説明

杭抜き具

【課題】 杭を曲げることなく容易に地面から抜くことができる杭抜き具の提供。
【解決手段】 杭Pに取り付けられる本体3と、本体3に下方へ向けてねじ込まれる操作棒5と、地面に載置され、操作棒5の下端部が当接される台座7とを備える。本体3は、一対の矩形板状の支持片9,11により構成されており、ボルト31により互いに固定可能とされる。各支持片9,11の他端部中央部には、上下方向に貫通してネジ穴19,21が形成されており、ネジ穴19,21には、それぞれネジ棒状の操作棒5が上下方向に進退可能にねじ込まれている。杭Pに本体3が固定された状態で、操作棒5がねじ込まれ、操作棒5の下端部が地面に載置された台座7の受部39に当接し、さらにねじ込むことで本体3が上昇すると共に杭Pも上昇して杭Pを抜くことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭を抜くのに使用される杭抜き具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建設現場など多様な場所で杭が使用されており、作業終了後には杭を抜く場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来は、手で引き抜いていたため重労働であると共に、強引に抜こうとすると杭が曲がるおそれがあった。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、杭を曲げることなく容易に抜くための杭抜き具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、請求項1に記載の発明は、杭に締め付けて固定される本体と、この本体に上下方向に沿って進退可能にねじ込まれ、地面または地面に載置された部材へ向けてねじ込まれることで、前記本体を杭と共に引き上げる操作棒とを備えることを特徴とする杭抜き具である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記操作棒は、前記本体に2本設けられ、各操作棒は、前記本体に固定される杭を挟んで杭から等距離に配置されることを特徴とする請求項1に記載の杭抜き具である。
【0007】
請求項3に記載の発明は、前記本体は、2つの支持片により構成されており、杭を挟み込んで杭に固定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の杭抜き具である。
【0008】
さらに、請求項4に記載の発明は、地面に載置され、前記操作棒の下端部を受ける台座をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の杭抜き具である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の杭抜き具によれば、曲げることなく容易に地面から杭を抜くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の杭抜き具の実施例1を示す斜視図である。
【図2】図1の杭抜き具の分解斜視図である。
【図3】図1の杭抜き具の本体を示す平面図である。
【図4】図1の杭抜き具の本体を示す正面図である。
【図5】図4のA―A断面図である。
【図6】図1の杭抜き具が杭に取り付けられた状態を示す正面図である。
【図7】図1の杭抜き具が杭に取り付けられた状態を示す平面図である。
【図8】図1の杭抜き具が杭に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の杭抜き具の実施例2を示す斜視図である。
【図10】図9の杭抜き具の本体を示す平面図である。
【図11】図9の杭抜き具の本体を示す正面図である。
【図12】図11のB―B断面図である。
【図13】図9の杭抜き具が杭に取り付けられた状態を示す正面図である。
【図14】図9の杭抜き具が杭に取り付けられた状態を示す平面図である。
【図15】図9の杭抜き具が杭に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の杭抜き具の実施例について図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1および図2は、本発明の杭抜き具の実施例1を示す図であり、図1は斜視図であり、図2は分解斜視図である。なお、図1および図2では台座が省略されている。
また、図3〜図5は、図1の杭抜き具の本体を示す図であり、図3は平面図、図4は正面図、図5は図4のA―A断面図である。
さらに、図6〜図8は、図1の杭抜き具が杭に取り付けられた状態を示す図であり、図6は正面図、図7は平面図、図8は斜視図である。
【0013】
本実施例1の杭抜き具1は、杭Pに取り付けられる本体3と、この本体3に下方へ向けてねじ込まれる操作棒5と、地面に載置され、操作棒5の下端部が当接される台座7とを主要部に備える。
【0014】
本実施例では、本体3は、一対の矩形板状の支持片9,11により構成されている。
各支持片9,11は、その一側端部同士を向き合わせた状態で配置される。
各支持片9,11の一側端部の中央部には、略半円形状の溝13,15が上下方向に沿って形成されており、支持片同士がつき合わされて当接した状態では、図1に示すように、溝13,15により円形状の貫通穴17が現出する。
また、各支持片9,11の他側端部の前後方向中央部には、上下方向に貫通してネジ穴19,21が形成されている。
【0015】
各支持片9,11のネジ穴19,21には、それぞれネジ棒状の操作棒5が上下方向に進退可能にねじ込まれている。本実施例では、操作棒5は、軸部の長いボルトが使用される。
【0016】
さらに、一方の支持片9には、前後各端部に、左右方向に沿って貫通穴27,27が形成されている。また、他方の支持片11には、前後各端部に、左右方向に沿って貫通穴29が形成されており、この貫通穴29のうち、図4において左端部はネジ穴29aとされている。本実施例1では、各支持片9,11が一側端部同士を向き合わせた状態で配置されて、一方の支持片9の貫通穴27,27から他方の支持片11のネジ穴29a,29aにそれぞれボルト31,31がねじ込まれることで、支持片9,11同士が固定される。
【0017】
台座7は、矩形板状とされ、その一端辺中央部から中心へ向けて矩形状の溝37が、厚さ方向に貫通して形成されている。また、溝37を挟んだ両端部には、上方へ突出して円柱状の受部39が設けられている。受部39の中央部には、下方へ突出して円錐状の凹部39aが形成されている。本実施例1では、受部39,39同士の離隔距離は、支持片9,11同士が当接された状態における操作棒5,5の離隔距離と同じとされている。
【0018】
このような構成の本実施例1の杭抜き具1により地面に打ち込まれた杭Pを抜く場合、まず、台座7の溝37に杭Pを通して台座7を地面に載置する。そして、杭Pを挟み込むように各支持片9,11を配置して、ボルト31をねじ込んで本体3を杭Pに固定する。このように杭Pに本体3が固定された状態において、各操作棒5は、杭Pから等距離に配置されている。
【0019】
次に、各支持片9,11のネジ穴19,21に設けられた操作棒5,5を電動工具でねじ込む。操作棒5をねじ込んでいくことで、操作棒5の下端部が台座7の受部39の凹部39aに当接し、この当接した状態から、さらに工具で操作棒5を回転させることで、本体3が上昇するのに伴って、杭Pも上昇して杭Pを引き抜くことができる。操作棒5をねじ込む際、2本の操作棒5,5を交互にねじ込んでいくことで、杭Pを垂直上方へ引き抜くことができる。
【0020】
このように、本実施例1では、本体3に対して操作棒5を回転させることで、杭Pを容易に抜くことができ、また、曲げることなく杭を抜くことができ、杭を再使用することができる。
また、本実施例1では、杭Pに本体3を挟み込んで固定する構成であるので、杭Pに部品等が装着されている場合でも、各部品を外すことなく、装着することができる。
【実施例2】
【0021】
次に、本発明の杭抜き具の実施例2について説明する。
【0022】
図9は、本発明の杭抜き具の実施例2を示す斜視図である。なお、図9では台座が省略されている。
また、図10〜図12は、図9の杭抜き具の本体を示す図であり、図10は平面図、図11は正面図、図12は図11のB―B断面図である。
さらに、図13〜図15は、図9の杭抜き具が杭に取り付けられた状態を示す図であり、図13は正面図、図14は平面図、図15は斜視図である。
【0023】
本実施例2の杭抜き具50は、杭Pに取り付けられる本体51と、この本体51に下方へ向けてねじ込まれる操作棒53と、地面に載置され、操作棒53の下端部が当接される台座7とを主要部に備える。
【0024】
本実施例2では、本体51は、杭Pに通される杭挿通部55と、この杭挿通部55に設けられる保持部57とにより構成されている。
【0025】
杭挿通部55は、平面視略C字形の筒状体とされる。具体的には、杭挿通部55は、上下方向に開口する円筒体の周壁の一部が、軸方向に切り欠かれた平面視略C字形とされ、その開口端部同士が、近接および離隔可能に撓み変形可能とされる。また、杭挿通部55は、その開口両端部から外方へ延出して矩形板状の締付片61,63がそれぞれ形成されている。
【0026】
この一対の締付片61,63のうち、一方の締付片61には厚さ方向に貫通して丸穴61aが形成されている。また、他方の締付片63には、一方の締付片61の丸穴61aと同軸線上にネジ穴63aが形成されている。本実施例では、一方の締付片61の丸穴61aからボルト65が通されて、他方の締付片63のネジ穴63aにねじ込まれることで締付片61,63同士が近接し、ひいては杭挿通部55が若干縮径する。
【0027】
杭挿通部55には、開口部を挟んだ両側に矩形板状の腕部71,71が外方へ延出して設けられており、この腕部71の先端部にそれぞれ保持部57が設けられている。
【0028】
各保持部57は、断面略六角形状の柱状とされ、軸線を上下に配置した状態で腕部71に固定されており、その中央部には、軸方向に沿ってネジ穴57aが形成されている。そして、各保持部57には、ネジ棒状の操作棒53が上下方向に進退可能にねじ込まれており、本実施例2では、実施例1と同様、軸部の長いボルトが使用されている。
台座7は、上記実施例1と同一の構成とされるので、説明は省略する。
【0029】
本実施例2の杭抜き具50により、地面に打ち込まれた杭Pを抜く場合、まず、台座7の溝37に杭Pを通して、台座7を地面に載置する。そして、杭挿通部55を杭Pに通して、ボルト65をねじ込み本体51を杭Pに固定する。
【0030】
次に、操作棒53を電動工具でねじ込み、台座7の受部39に当接させ、さらに操作棒53をねじ込む。これにより本体51が上昇すると共に、本体51に固定された杭Pも上昇して、杭Pを抜くことができる。
【0031】
本発明の杭抜き具は、上記各実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。
上記各実施例では、操作棒を2本設けたが、1本または3本以上としてもよい。
また、杭への本体の固定方法は、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 杭抜き具
3 本体
5 操作棒
7 台座
9 支持片
11 支持片
39 受部
51 本体
53 操作棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭に締め付けて固定される本体と、
この本体に上下方向に沿って進退可能にねじ込まれ、地面または地面に載置された部材へ向けてねじ込まれることで、前記本体を杭と共に引き上げる操作棒と
を備えることを特徴とする杭抜き具。
【請求項2】
前記操作棒は、前記本体に2本設けられ、
各操作棒は、前記本体に固定される杭を挟んで杭から等距離に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の杭抜き具。
【請求項3】
前記本体は、2つの支持片により構成されており、杭を挟み込んで杭に固定される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の杭抜き具。
【請求項4】
地面に載置され、前記操作棒の下端部を受ける台座をさらに備える
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の杭抜き具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−44110(P2013−44110A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180853(P2011−180853)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(307038724)
【Fターム(参考)】