説明

杭穴掘削ヘッド

【課題】掘削ロッドの正回転のみで異なる径の掘削ができる。
【解決手段】掘削ヘッド50は、掘削ロッド52との連結軸部5を有するヘッド本体1に、先端に掘削刃24を設けた掘削腕15、15を取り付けてなり(a)、揺動角度を変えて、ニュートラル位置(a)、小径掘削位置(b)、大径掘削位置(c)を取る。掘削腕15が下方に垂れたニュートラル位置で、揺動スペーサー30はニュートラル状態にある(a)。掘削ロッド52が正回転し掘削腕15の揺動により、揺動スペーサー30は、回転軸37廻りに回動して一側面17と第1大径ストッパー43との間に介在され(装着状態)、径Dの杭穴軸部60を掘削できる(b)。一旦、掘削ロッド52の回転を止めると、揺動スペーサーは、下方に外れ(脱状態)、掘削ロッド52を正回転すれば、径Dの拡大根固め部61の掘削ができる(c)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ヘッド本体に揺動自在に掘削腕を取り付けて、杭穴の軸部掘削、拡底部掘削の2種類の掘削径で掘削できる杭穴掘削ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘッド本体の両側面に、先端に掘削刃を設けた掘削腕を揺動自在に設けて、杭穴掘削ヘッドが提案されていた(特許文献1)。この杭穴掘削ヘッドでは、杭穴掘削ヘッドの正回転により掘削腕が一側へ小さい揺動角度で振れて、第1ストッパーに当たり、杭穴の軸部掘削をし、杭穴掘削ヘッドの逆回転により、掘削腕が他側へ大きな揺動角度で振れて、第2ストッパーにあたり拡底部掘削をしていた。
【0003】
この掘削ヘッドへは、軸部掘削径(小径掘削)と拡底部掘削(大径掘削)との比を大きくでき、軸部径に比して大径の拡底部掘削ができ、かつストッパーの位置を調節して揺動角度を調節するだけで、容易に掘削径を調節できた。
【特許文献1】特開2005−307496
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の技術では、前記のように有用な杭穴掘削ヘッドであったが、小径掘削から大径掘削へ、切り替える際に掘削ヘッドの回転を、正回転から逆回転に変更する必要があり、排土等との関係で、逆回転せずに、切り替えることが求められる場合もあった。
【0005】
また、反転させずに揺動角度を切り替えるためには、一側の揺動側に2つのストッパーを設ける必要があり、ストッパーの作動、解除に複雑な仕組みが必要であり、実施には至っていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
然るにこの発明は、揺動する掘削腕が当接する1つのストッパーと、ストッパーと揺動腕との間に介装する揺動スペーサーを使用したので、前記問題点を解決した。
【0007】
即ちこの発明は、掘削ロッドとの連結部を有するヘッド本体の両側面に、水平軸で、先端に掘削刃を設けた掘削腕を揺動自在に取り付け、
・前記掘削ロッドが回転しない場合に、前記掘削腕はニュートラル位置にあり、
・前記掘削ロッドの正回転により、前記掘削腕を一側に揺動させる
ことができる杭穴掘削用のヘッドにおいて、以下のように構成したことを特徴とする杭穴掘削ヘッドである。
(1) 前記掘削腕は、前記一側への揺動で、一側への大揺動位置をとることができ、前記ヘッド本体に、大揺動位置で掘削腕を保持する大径ストッパーを設ける。
(2) 前記掘削腕が、前記一側への揺動で、前記大径ストッパーと前記掘削腕との間に着脱自在に配置できるスペーサーを、前記掘削腕及び/又は前記ヘッド本体に設ける。
(3) 前記スペーサーが脱状態で、前記掘削腕が前記大径ストッパーに当接して、大揺動位置で、大径掘削できる。
(4) 前記スペーサーが着状態で、前記掘削腕が前記スペーサーに当接して、小揺動位置で、小径掘削できる。
【0008】
また、前記において、以下のようにスペーサーを構成したことを特徴とする杭穴掘削ヘッドである。
(1) ヘッド本体であって、「大径ストッパーの位置」又は「大径ストッパーに近接した位置」に、揺動軸と平行な回転軸を設ける。
(2) 前記回転軸周りに回動自在に、スペーサーを取り付ける。
【0009】
さらに、前記において、以下のようにスペーサーを構成したことを特徴とする杭穴掘削ヘッドである。
(1) ヘッド本体の表面であって、「ニュートラル位置の掘削腕位置と大揺動位置の掘削腕位置との間」の外に基準位置を設定して、該基準位置に前記スペーサーを設ける。
(2) 前記スペーサーは、前記掘削腕のニュートラル位置で、ニュートラル状態となり、基準位置から前記掘削腕までの距離Lとなる。
(3) 前記スペーサーは、前記掘削腕が一側へ揺動した小揺動位置で、着状態となり前記基準位置から前記掘削腕までの距離Lとなり、L<L とする。
(4) (3)の状態で、前記スペーサーは大径ストッパーに係止する。
(5) 前記スペーサーは、前記掘削腕が一側への大揺動位置で、「ニュートラル位置の掘削腕位置と大揺動位置の掘削腕位置との間」の外に位置して、脱状態となる。
【発明の効果】
【0010】
発明は、ヘッド本体に揺動自在に掘削腕を取り付けた掘削ヘッドで、掘削腕の最大揺動を規制する大径ストッパーを設け、大径ストッパーと掘削腕との間に、着脱自在にスペーサーを取り付けたので、スペーサーの着状態で、掘削腕が小揺動で小径の杭穴掘削をし、スペーサーの脱状態で、掘削腕が大揺動で大径の杭穴掘削することができる。したがって、掘削ロッドの一側への回動で、逆回転することなく、大小2つの径の杭穴を掘削できる効果がある。
【0011】
よって、異なる径で掘削する場合であっても、掘削ロッドを逆回転し無くても良いので、杭打ち機の構造を単純化でき、地上の作業者がロッドの芯を合わせる作業等を簡略化でき、掘削ヘッドを逆回転に対応させる必要がないので、掘削ヘッドの構造も簡略化できる。
【0012】
また、排土用のスパイラルを設けた掘削ロッドを使用した場合に、大径掘削時にも小径掘削時と同様に、排土をすることができるので、排土効率を高めることできる。
【0013】
また、杭穴掘削ヘッドを、掘削ロッドの逆回転により掘削腕を他側にも揺動できる構造とした場合、他側の揺動で第3の揺動状態を設定すれば、一側への揺動で2つの径の掘削と合わせて、1つの掘削ヘッドで、合計径3つの径で杭穴を掘削できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(1) 掘削ヘッド50は、掘削ロッド52との連結軸部(連結部)5を有するヘッド本体1の第1側面3、3に、先端に掘削刃24、24を設けた掘削腕15、15を揺動自在に取り付けて構成する(図1(a))。掘削ヘッド50は、
・掘削ロッド52が回転しない場合に、掘削腕15は下に垂れた状態で、ニュートラル位置をとり、
・掘削ロッド52が正回転した場合、掘削腕15は一側に揺動でき、掘削ロッド52の逆回転により、掘削腕15を他側に揺動させることができる。
【0015】
掘削腕15は、一側への揺動で、大揺動位置をとることができ、ヘッド本体1に、大揺動位置で掘削腕15の一側面17が当接して、この揺動位置を保持することができる第1大径ストッパー43を設ける。また、この状態で掘削腕15の上端に設けた第2制御凸部29を当接できる第2大径ストッパー44を設ける。
【0016】
ヘッド本体1に、回転軸37で回動自在な揺動スペーサー(スペーサー)30を取り付ける。回転軸37(基準位置)は、「ニュートラル位置の掘削腕15の一側面17の位置と大揺動位置の掘削腕15の一側面17位置との間」の外に設ける。また、揺動スペーサー30は、
・第1位置で、掘削腕15と第1大径ストッパー43の間に介装でき(着状態)、
・第2位置で、掘削腕15と第1大径ストッパー43と間から除外する(脱状態)
ことができる。
【0017】
(2) 掘削ロッド52を回転しない状態で、掘削ヘッド50の掘削腕15は下方に垂れた状態にあり、揺動スペーサー30の先端は、掘削腕15の第1制御凸部28に係止し、揺動スペーサー30の位置を保持できる(図1(a)、図2、図3。ニュートラル状態)。この際、回転軸37から掘削腕15の一側面17までの距離Lとなる。
【0018】
(3) 掘削ロッド52を正回転すると、掘削腕15は矢示53方向に揺動して、掘削腕15の一側面17が揺動スペーサー30を回転させ、掘削腕15の一側面17と第1大径ストッパー43との間に介在され(装着状態)、径Dの杭穴軸部60を掘削できる(図1(b)、図4、図5)。この際、回転軸37から掘削腕15の一側面17までの距離Lとなる(L<L)。
【0019】
(4) 一旦、掘削ロッド52の回転を止めると揺動スペーサーは、自重で回動して、掘削腕15の一側面17と第1大径ストッパー43との間から除外される(脱状態)。再び掘削ロッド52を正回転すると、掘削腕15は矢示53方向に揺動して、掘削腕15の一側面17が第1大径ストッパー43に当接して、掘削ヘッド50により、径Dの拡大根固め部61の掘削ができる(図1(c)。また、この際、掘削腕15の第2制御凸部29が第2大径ストッパー44に当接する。
【実施例1】
【0020】
図面に基づきこの発明の実施例を説明する。
【0021】
[1]掘削ヘッド50の構成
【0022】
(1) ヘッド 本体1は、四角柱状の基部2の上端2aに、掘削ロッド52と連結する連結軸部5を、軸を一致させて連設し、基部2の下端に連続して、扁平の膨出部6を形成してなる。 基部2の4つの側面を、互いに平行な第1側面3、3と、互いに平行な第2側面4、4とする。膨出部6で、基部2の第1側面3、3と連続した面を第1側面7、7とし、基部2の第2側面4、4と連続して、第1側面と隣接する(反対側の)面を第2側面とする。すなわち、膨出部6の膨出方向に第2側面8、8が位置する。したがって、膨出部6の第1側面7、7は扁平面となり、膨出部6は水平方向に膨出して、扁平面の幅が大きくなるように形成される。また、膨出部6の下面6bは、掘削腕15、15の揺動軌道に沿った円弧に形成すると共に、先端を下方に向けて固定掘削刃10、10を取付ける。
【0023】
また、基部2及び膨出部6は、下方に向けて第1側面3、3、第1側面7、7が互いに近づくような(第2側面4、8の幅が縮まるような)寸法に設定してある。
【0024】
(2) ヘッド 本体1の基部2の第1側面3、3に水平軸12、12を突出する。水平軸12は第1側面3、3で軸が一致してあれば、一体の軸でも、分割された軸でもいずれでも可能である。水平軸12、12に、掘削腕15の基端部20を揺動自在に取り付ける。また、水平軸12は掘削腕15を回動できる軸が形成されれば良いので、掘削腕15に水平軸12を設けて、ヘッド 本体1に軸受けを設けても良い(図示していない)。
【0025】
(3) 掘削腕15は、ヘッド本体1側の面を内面16a、内面16aの反対側を外面16とする。
【0026】
掘削腕15の基端部20で、水平軸12の周りを大径に形成し、中間部21で幅が小さく、先端部22を幅広く形成する。また、両掘削腕15、15は、基端部20、20の内面16a、16aが平行に形成され、中間部21、21は、下方に向けて内面16a、内面16aが互いに近づき、外面16、外面16が近づくように屈曲して形成されている。よって、中間部21の下端を最も近接した形状として、先端部22、22は逆に下方に向けて内面16a、内面16aが遠ざかるように、かつ外面16、外面16が遠ざかるように形成する。
【0027】
したがって、掘削腕15、15の先端部22、22は外側に向けて開くように形成され、掘削腕15、15の下端部に、開き方向に連続するように、外側に向けて掘削刃24、24を突設する。
【0028】
また、掘削腕15、15の内面16a及び外面16に隣接する面(基部2の第2側面4と同じ方向にある面)を一側面17とし、他側を他側面18とする。一側面17は、正回転で揺動する際に前面側に向く側面で、他側面18は正回転で揺動する際に後面側に向く側面である。
【0029】
掘削腕15の一側面17で先端部22に、掘削刃24を保護し、掘削土を撹拌できる半円形の保護突板25を突設する。また、一側面17で、中間部21に、第1制御凸部28を突設する。また、掘削腕15の上端に第2制御凸部29を、上方に向けて突設する。
【0030】
(4) ヘッド本体1の基部2及び膨出部6の第1側面3、7は、掘削腕15が揺動した際に、掘削腕15の内面16aの揺動軌跡に略沿った形状で形成されている。
【0031】
また、掘削ロッド52を正回転した際に、掘削腕15は一側(矢示53方向)に揺動するが、その一側の最大揺動を規制する第1大径ストッパー43をヘッド本体1の第2側面4に固定する。第1大径ストッパー26は、大径掘削位置にある掘削腕15の一側面17に当接して、それ以上の掘削腕15の揺動を規制する。また、第1大径ストッパー43は、第1側面3より外方(掘削腕15側)に突出している。また、この掘削腕15の揺動状態で、掘削腕15の第2制御凸部29が当接して揺動を制限する第2大径ストッパー44を、基部の第1側面3に突設する。
【0032】
(5) 揺動スペーサー30は、扁平半円状(一側が直線部32で他側が曲線部33)のスペーサー基部31の一端部34の直線部32に軸突片36を突設して構成する。スパーサー基部31の他端部34aに厚肉部35を形成する(図1(c))。
【0033】
ヘッド本体1の膨出部6の第2側面8に取付ブロック41を固定し、取付ブロック41に、揺動スペーサー30を、軸突片36の略中央に取り付けた回転軸37で軸止めする。掘削腕15の一側面17が第1大径ストッパー43に当接した状態で、第1大径ストッパー43の下方(一側面17に沿った外方)に位置するように、取付ブロック41が配置される(図2(a)、図6(a))。
【0034】
また、回転軸37(軸突片36の略中央)からスペーサー本体31の先端(厚肉部35の先端35a)までの距離をLとし、回転軸37(軸突片36の略中央)からスペーサー本体31の曲線部33までの距離をLとする(図2(c))。L>L で形成されている。
【0035】
(6) 以上のようにして、掘削ヘッド50を構成する(図2(a)(b)、図3)。図中、46は、ヘッド本体1の基部2の第2側面に取り付けた撹拌板である(図2(a)(b)。また、図中47はヘッド本体1の膨出部6の下面6bの略中央に形成した吐出口で(図3)、吐出口47から地上から供給するセメントミルクなどを杭穴内に吐出できる。
【0036】
[2]掘削ヘッド50の作動
【0037】
(1) 排土用スパイラル(図示していない)を形成した掘削ロッド52の先端にヘッド本体1の連結軸部5を取り付ける(図2(a)(b))。
【0038】
(2) 掘削ロッド52を回転しない(掘削ヘッド50も回転していない)状態で、掘削ヘッド50の掘削腕15、15は自重で下方に垂れた状態にある(図2(a)(b)、図3)。また、この状態で、揺動スペーサー30は、厚肉部35の先端35aを掘削腕15に向けて、横方向(直線部32が水平に近い状態。ニュートラル状態)に配置されている。また、揺動スペーサー30の厚肉部35が、掘削腕15の第1制御凸部28の上縁28aに乗った状態となっている(図2(a))。
【0039】
したがって、掘削ヘッド50に比べて揺動スペーサー30は充分に軽く形成されているので、揺動スペーサー30は横方向の位置を保つ。また、中掘工法に適用した場合は、掘削ヘッド50は、この状態で既製杭の中空部63内を挿通できる(図3)。
【0040】
(3) 次ぎに、掘削ロッド52を正回転(矢示53a方向)すると、掘削腕15、15の掘削刃24、24が土圧を受けて、一側(矢示53方向)に揺動する。掘削腕15の一側への揺動に伴い、第1制御凸部28は、揺動スペーサー30の厚肉部35を押し上げて、揺動スペーサー30は回転軸37廻りに時計回り(矢示55方向)に回動して、厚肉部35が、第1制御凸部28に押し出され、厚肉部35の下縁35bは第1制御凸部28の上方に位置する(図4(a))。
【0041】
そして、揺動スペーサー30の直線部32が、第1大径ストッパー43に当接密着して、揺動スペーサー30の曲線部33が掘削腕15の一側面17に当接する。したがって、揺動スペーサー30は第1大径ストッパー43と掘削腕15との間に安定して介装され(着状態)、揺動スペーサー30の回転軸37と掘削腕15の一側面17との間は、距離Lに相当する長さに保たれる(図2(c))。
【0042】
よって、掘削腕15は、小径掘削状態(小揺動位置)を保って、掘削刃24、24、固定掘削刃10、10により、径Dの杭穴軸部60が掘削される(図4(a)、図5)。
【0043】
(4) 径Dの杭穴軸部60の掘削が完了したならば、一旦、掘削ロッド52の回転を止めると掘削腕15、15は、一側への揺動から若干他側(矢示54方向)に揺動して、垂れた状態(図2(a)(b))に近づく。この状態で、揺動スペーサー30の厚肉部35と第1制御凸部28の係止が外れ、揺動スペーサー30は自重で下方に垂れた状態となる。したがって、揺動スペーサー30は、第1大径ストッパー43と掘削腕15の一側面17との間から外れて、脱状態となる。
【0044】
この状態で、再び掘削ロッド52を正回転(矢示53a方向)させると、下方に垂れた状態の揺動スペーサー30の厚肉部35の先端35aを、掘削腕15の一側面17が押し上げて、揺動スペーサー30をさらに時計回り(矢示55方向)に回動して、掘削腕15の一側面17が第1大径ストッパー43に当接する。また、この状態で、掘削腕15の第1制御凸部28は、第1大径ストッパー43に当接しない位置に形成されている。また、回動した揺動スペーサー30の軸突片36の先端36aが掘削腕15の一側面17に当接するので、軸突片36の先端36aが第1大径ストッパー43と同様の機能を発揮する。
【0045】
また、同時に、掘削腕15の第2制御凸部29が大径第2ストッパー44に当接する(図6)。したがって、掘削腕15は、大径揺動位置を保持して、杭穴軸部60の下方(又は下部)に径Dの拡大根固め部61を掘削できる。
【0046】
小径揺動から大径揺動に切り替える際に、掘削ロッド52は逆回転せずに、正回転をしたままであるので、スパイラル上の掘削土を保持したまま、大径掘削でも引き続き地上に排土ができる。
【0047】
[3]他の実施例
【0048】
(1) 前記実施例において、掘削ロッド52に排土用のスパイラルを形成したので、排土しながら掘削する工法(特に、中掘工法)に有効であるが、排土用スパイラルは省略することもできる。
【0049】
(2) また、前記実施例において、揺動ストッパー30の構造は実施例に限らず、第1大径ストッパーと掘削腕の間に着脱自在に装着できれば、他の構造とすることもできる(図示していない)。
【0050】
(3) また、前記実施例において、掘削ヘッド50は、掘削ロッド52の逆回転(54a方向)により、他側54方向に揺動できる構造であるので、他側への揺動に対応して、ストッパーを設置すれば、掘削ロッド52の正回転及び逆回転により、少なくとも3つの径で掘削ができる(図示していない)。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】この発明の実施例で、(a)はニュートラル状態、(b)は小径掘削状態、(c)は大径掘削状態を夫々表す。
【図2】この発明の実施例でニュートラル状態を表し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は揺動スペーサーの拡大図である。
【図3】同じくニュートラル状態の底面図である。
【図4】この発明の実施例で小径掘削状態を表し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図5】同じく小径掘削状態の底面図である。
【図6】この発明の実施例で大径掘削状態を表し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図7】同じく大径掘削状態の底面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 ヘッド本体
2 ヘッド本体の基部
2a 基部の上端
3 基部の第1側面
4 基部の第2側面
5 連結軸部
6 ヘッド本体の膨出部
6b 膨出部の下面
7 膨出部の第1側面
8 膨出部の第2側面
10 固定掘削刃
12 水平軸
15 掘削腕
16 掘削腕の外面
16a 掘削腕の内面
17 掘削腕の一側面
18 掘削腕の他側面
20 掘削腕の基端部
21 掘削腕の中間部
22 掘削腕の先端部
24 掘削刃
25 保護突板
28 第1制御凸部
29 第2制御凸部
30 揺動スペーサー
31 揺動スペーサーのスペーサー基部
32 スパーサー基部の直線部
33 スペーサー基部の曲線部
34 スペーサー基部の一端部
34a スペーサー基部の他端部
35 揺動スペーサーの厚肉部
35a 厚肉部の先端
35b 厚肉部の下縁
36 揺動スペーサーの軸突片
37 揺動スペーサーの回転軸
41 取付ブロック
43 第1大径ストッパー
44 第2大径ストッパー
46 撹拌板
47 吐出口
52 掘削ロッド
53 矢示(揺動方向)
53a 正回転方向
54 矢示(揺動方向)
54a 逆回転方向
55 矢示
60 杭穴軸部
61 杭穴の拡大根固め部
63 既製杭の中空部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削ロッドとの連結部を有するヘッド本体の両側面に、水平軸で、先端に掘削刃を設けた掘削腕を揺動自在に取り付け、
・前記掘削ロッドが回転しない場合に、前記掘削腕はニュートラル位置にあり、
・前記掘削ロッドの正回転により、前記掘削腕を一側に揺動させる
ことができる杭穴掘削用のヘッドにおいて、以下のように構成したことを特徴とする杭穴掘削ヘッド。
(1) 前記掘削腕は、前記一側への揺動で、一側への大揺動位置をとることができ、前記ヘッド本体に、大揺動位置で掘削腕を保持する大径ストッパーを設ける。
(2) 前記掘削腕が、前記一側への揺動で、前記大径ストッパーと前記掘削腕との間に着脱自在に配置できるスペーサーを、前記掘削腕及び/又は前記ヘッド本体に設ける。
(3) 前記スペーサーが脱状態で、前記掘削腕が前記大径ストッパーに当接して、大揺動位置で、大径掘削できる。
(4) 前記スペーサーが着状態で、前記掘削腕が前記スペーサーに当接して、小揺動位置で、小径掘削できる。
【請求項2】
以下のようにスペーサーを構成したことを特徴とする請求項1記載の杭穴掘削ヘッド。
(1) ヘッド本体であって、「大径ストッパーの位置」又は「大径ストッパーに近接した位置」に、揺動軸と平行な回転軸を設ける。
(2) 前記回転軸周りに回動自在に、スペーサーを取り付ける。
【請求項3】
以下のようにスペーサーを構成したことを特徴とする請求項1記載の杭穴掘削ヘッド。
(1) ヘッド本体の表面であって、「ニュートラル位置の掘削腕位置と大揺動位置の掘削腕位置との間」の外に基準位置を設定して、該基準位置に前記スペーサーを設ける。
(2) 前記スペーサーは、前記掘削腕のニュートラル位置で、ニュートラル状態となり、基準位置から前記掘削腕までの距離Lとなる。
(3) 前記スペーサーは、前記掘削腕が一側へ揺動した小揺動位置で、着状態となり前記基準位置から前記掘削腕までの距離Lとなり、L<L とする。
(4) (3)の状態で、前記スペーサーは大径ストッパーに係止する。
(5) 前記スペーサーは、前記掘削腕が一側への大揺動位置で、「ニュートラル位置の掘削腕位置と大揺動位置の掘削腕位置との間」の外に位置して、脱状態となる。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−112082(P2010−112082A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−285986(P2008−285986)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(000176512)三谷セキサン株式会社 (91)
【Fターム(参考)】