説明

杭穴掘削ヘッド

【課題】ヘッド本体の下面に空隙が形成され、土塊等が杭穴の底部に残っても、空隙の周囲で破壊して掘削効率を高める。
【解決手段】ヘッド本体1に、掘削腕30を回転自在に取り付けて掘削ヘッド50とする(a)。ヘッド本体1の下面は、斜面11、12により中央部8を底として下方に開口を向けた凹部が形成され、中央部8側に空隙20を有する。斜面11、12に、第一掘削刃15、15を下方に向けて突設する。第一掘削刃15は第一掘削刃片16、16が逆V字状に配置され、間に空隙17が形成される(a、b、d)。掘削腕30は、下端部32の下面に下方に向けた第二掘削刃35、35を突設する(c)。第二掘削刃35は、逆V字状で、第二掘削刃片36、36の間に空隙37が形成される。第二掘削刃35、35の全体も、各刃先36aが逆V字状に配置され、中央の第二掘削刃36の下方に空隙40が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、杭穴を掘削する際に使用する杭穴掘削ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘッド本体の下面に固定掘削刃(第一掘削刃)を設けて、ヘッド本体に水平軸を設けて、水平軸周りに揺動自在に掘削腕を取り付けて、掘削ヘッドを構成していた(特許文献1、2)。このヘッドは、掘削腕の先端に掘削刃(第二掘削刃)を固定してあり、従来の螺旋状の掘削刃を設けた掘削ヘッドなどに比べて、掘削効率も良く、より大きな拡大径の掘削を実現できた。
【0003】
この場合、固定掘削刃、掘削刃の形状は、いずれも先が尖った角柱で形成されていた。これは、先端が尖った棒状が杭穴壁を削り易いと考えられていたためである。
【0004】
また、掘削刃の取付角度は多々あるが、杭穴底部分のみを削りながら深く至るか、あるいは、杭穴底と杭穴の底につながる杭穴の側壁を削りながら深く至るのかの相違である。
【0005】
また、ヘッド本体の下面は、下に凸の形状で、掘削腕の揺動軌跡に併せた曲面に形成されていた。これは、杭穴の中心部に固い塊や大きい塊が残っていると掘進の阻害となるので、杭穴の円周方向(側壁方向)へ移動しやすいと考えられていたためであった。また、掘削腕の揺動がし易い形状とも考えられていた。従って、土塊を中心から円周方向へ移動させれば、順次上方に送られスムーズな掘進がなされていた。
【0006】
さらに、ヘッド本体の各固定掘削刃の先端は略水平に揃えてあった。また、掘削刃の先端も、掘削腕がアイドリング状態で水平に形成されていた、即ち、掘削腕の軸方向に対して直角な方向に形成されていた。この場合、地面に対して、固定掘削刃が刃先に均一に負荷が掛かるので、掘削効率が良いと考えたためである。掘削刃についても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−127788
【特許文献2】特開2008−179971
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ヘッド本体が回動した際の地面との当接、掘削腕が揺動した際の地面との当接に焦点を当てて、より掘削効率の良い掘削ヘッドの構造が求められていた。例えば、土質によっては、固い土塊や大きな土塊が杭穴底部に残ってしまうおそれもあり、この場合には掘進に支障がある場合も予想された。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこでこの発明では、第一掘削刃を設けたヘッド本体下面を凹状に形成し、あるいは各掘削刃を、所定距離を離した掘削刃片から構成したので、前記問題点を解決した。
【0010】
即ちこの第一の発明は、掘削ロッドと共に縦回転軸周りに回転するヘッド本体に、揺動自在に掘削腕を設け、前記ヘッド本体の下端に第一掘削刃を、掘削腕の先端に第二掘削刃をそれぞれ設けてなり、以下のように構成したことを特徴とする杭穴掘削ヘッドである。
(1) 前記ヘッド本体の対向する取付面にそれぞれ水平軸を設け、該水平軸周りに前記掘削腕の上端部を揺動自在に取り付ける。前記ヘッド本体の下面を、前記縦回転軸を中心として凹状として、前記縦回転軸の中心側が高く、周辺側が低く形成する。
(2) 前記凹状の面に略下方に向けて前記第一掘削刃を配置した。
【0011】
また、前記において、以下のように構成したことを特徴とする杭穴掘削ヘッドである。
(1) 前記水平軸に直角で、かつ鉛直線に直角な方向を、取付方向とする。
(2) 第一掘削刃は、ヘッド本体の下面で、前記取付方向に沿って、複数個を並列して固定した。
(3) 前記第一掘削刃は下方に向けて形成し、前記取付方向で、両端部に掘削刃片を突設して、両掘削刃片の間に空隙を形成した。
【0012】
また、前記において、以下のように構成したことを特徴とする杭穴掘削ヘッドである。
(1) 前記水平軸に直角で、かつ鉛直線に直角な方向を、取付方向とする。
(2) 第二掘削刃は、掘削腕の先端で、前記取付方向に沿って、複数個を並列して固定した。
(3) 前記第二掘削刃は、前記掘削腕がニュートラル状態又は揺動状態で、下方に向けて形成する。
(4) 前記第二掘削刃は、前記取付方向で、両端部に掘削刃片を突設して、両掘削刃片の間に空隙を形成した。
【0013】
また、第二の発明は、掘削ロッドと共に縦回転軸周りに回転するヘッド本体に、揺動自在に掘削腕を設け、前記ヘッド本体の下端に第一掘削刃を、掘削腕の先端に第二掘削刃をそれぞれ設けてなり、以下のように構成したことを特徴とする杭穴掘削ヘッドである。
(1) 前記ヘッド本体の対抗する取付面にそれぞれ水平軸を設け、該水平軸周りに前記掘削腕の上端部を揺動自在に取り付ける。
(2) 前記水平軸に直角で、かつ鉛直線に直角な方向を、取付方向とする。
(3) 前記第一掘削刃は、前記ヘッド本体の下面で、前記取付方向に沿って、複数個を並列して固定した。
(4) 前記第一掘削刃は下方に向けて形成し、前記取付方向で、両端部に掘削刃片を突設して、両掘削刃片の間に空隙を形成した。
【0014】
また、第三の発明は、掘削ロッドと共に縦回転軸周りに回転するヘッド本体に、揺動自在に掘削腕を設け、前記ヘッド本体の下端に第一掘削刃を、掘削腕の先端に第二掘削刃をそれぞれ設けてなり、以下のように構成したことを特徴とする杭穴掘削ヘッドである。
(1) ヘッド本体の対抗する取付面にそれぞれ水平軸を設け、該水平軸周りに前記掘削腕の上端部を揺動自在に取り付ける。
(2) 前記水平軸に直角で、かつ鉛直線に直角な方向を、取付方向とする。
(3) 前記第二掘削刃は、前記掘削腕の先端で、前記取付方向に沿って、複数個を並列して固定した。
(4) 前記第二掘削刃は、前記掘削腕がニュートラル状態又は揺動状態で、下方に向けて形成する。
(5) 前記第二掘削刃は、前記取付方向で、両端部に掘削刃片を突設して、両掘削刃片の間に空隙を形成した。
【発明の効果】
【0015】
この発明は、ヘッド本体の下面は斜面を有する凹状に形成したので、ヘッド本体の下面で縦回転軸付近に空隙が形成されるので、万一固い土塊や大きい土塊が杭穴の底部に残った場合であっても、空隙の周囲の斜面や第一掘削刃で徐々に固い土塊や大きい土塊が破壊されるので、掘削効率を固めることができる。
【0016】
更に、第一掘削刃も回転方向で刃先の間に空隙を形成し、第二掘削刃も回転方向に刃先間に空隙が形成されるので、地盤を切り易く、空隙で掘削残りも崩れやすく、掘削効率が良い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、この発明の実施形態の概念図で、(a)はヘッド本体の正面図、(b)は平面図、(c)は掘削腕の正面図で(d)はヘッド本体の拡大底面図である。
【図2】図2は、第一掘削刃の他の実施形態で、ヘッド本体の拡大底面図ある。
【図3】図3は、第一掘削刃の他の実施形態で、ヘッド本体の正面図ある。
【図4】図4は、他の実施形態の正面図ある。
【図5】図5は、この発明の実施例で(a)はニュートラル状態の正面図、(b)はニュートラル状態の底面図である。
【図6】図6は、この発明の実施例のニュートラル状態の右側面図である。
【図7】図7は、この発明実施例で小径掘削状態を表し、(a)は正面図、(b)は底面図である。
【図8】図8は、この発明実施例で大径掘削状態を表し、(a)は正面図、(b)は底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(1)掘削ヘッド50
【0019】
この発明の掘削ヘッド50は、ヘッド本体1の水平軸5に、掘削腕30の上端部31を回転自在(揺動自在)に取り付けて構成する(図1)。
【0020】
(2)ヘッド本体1
【0021】
ヘッド本体1は、角筒状の上部2と長方形板状の下部7とからなる。上部2の上端に掘削ロッドの下端に連結するための連結部3を形成する。掘削ロッドの回転軸、即ちヘッド本体1の回転軸を縦回転軸4をとする。ヘッド本体1の上部2に、縦回転軸4を貫通する位置に(縦回転軸4と直角に)、掘削腕30を取り付けるための水平軸5を形成する。なお、掘削ロッドなど長尺のロッドの先端にヘッド本体1を一体に形成する場合には、連結部3は不要である。
【0022】
下部7の下面は、縦回転軸4が通る部分を中央部8として、中央部8付近が最も短く、縦回転軸4から離れる両端部9、9が長く形成され、端部9から中央部8に向けて斜面11、12が形成される。即ち、中央部8を底として、下方に開口向けた凹部が形成される。
【0023】
斜面11の端部9、中央部8、斜面12の端部9を結ぶ線(即ち、縦回転軸4に直角で、かつ水平軸5にも直角な線の方向)に沿った方向を取付方向13とする。斜面11、12には、取付方向13に沿って、第一掘削刃15、15が下方に向け突設される。
【0024】
第一掘削刃15は逆V字状で、一方の刃を第一掘削刃片16、他方を第一掘削刃片16とする。第一掘削刃片16、16は角度20〜60度程度で逆V字状に配置され、第一掘削刃片16、16は取付方向13に並ぶ(図1(c)。また、第一掘削刃片16、16の間は空隙17となり、両第一掘削刃片16、16の先端16a、16aを結ぶ線は略水平に配置される。従って、第一掘削刃15は、取付方向13に並ぶので、取付方法13に沿って、「第一掘削刃片16、空隙17、第一掘削刃片16」「第一掘削刃片16、空隙17、第一掘削刃片16」・・・「第一掘削刃片16、空隙17、第一掘削刃片16」が順に並ぶことになる(図1(d))。
【0025】
また、第一掘削刃15は同じ構造であり、斜面11、12に固定されるので、端部9、9に近い側(中央部8から遠い側)の第一掘削刃15の先端16a、16aの位置は最も低い位置に配置され、中央部8に近づくにつれて、先端16a、16aの位置は高く形成される。従って中央部8側に空隙20が形成される。
【0026】
(3)掘削腕30
【0027】
掘削腕30は、上端部31を水平軸4に取り付け、下端部32に3本の第二掘削刃35、35を有する。各第二掘削刃35は、取付方向13に並ぶ(図1(c))。第二掘削刃35は、逆V字状で、一方の刃を第二掘削刃片36、他方を第二掘削刃片36とする。第二掘削刃片36、36の対向内面間は角度20〜60度程度で逆V字状に配置され、第二掘削刃片36、36は取付方向13に並ぶ。また、第二掘削刃片36、36の間は空隙37となり、両第二掘削刃片36、36の先端36a、36aは、掘削腕30をニュートラル状態(下垂れ状態)にした際に、略水平に(即ち、水平軸5に直角で、かつ軸38に直角な方向に配置される。
【0028】
また、両側の2つの第二掘削刃35A、35Aの先端(第二掘削刃片36、36の先端36a、36a)は同じ高さの低い位置にあり、中央の第二掘削刃35Bの先端(第二掘削刃片36、36の先端36a、36a)は、若干高い位置に配置される。従って、第二掘削刃35A、35B、35Aの先端を結ぶ線は逆V字状(下方から凹状)に形成され、両側の2つの第二掘削刃35A、35Aの先端を結ぶ線39と、中央の第二掘削刃35Bの先端との間に、空隙40が形成される。
【0029】
(4)掘削ヘッド50の使用
【0030】
この掘削ヘッド50は従来の掘削ヘッドと同様に、掘削ロッドの先端に固定して、回転すると掘削腕30が土圧により振れて、ストッパーに応じた掘削径で、杭穴掘削ができる。この場合、第二掘削刃35、35は、回転方向に刃先36a、36aが空隙37を空けて並ぶので、地盤を切り易く、空隙37で掘削残りも崩れやすく、掘削効率が良い。
【0031】
また、第一掘削刃15、15は、補助的に第二掘削刃35、35で、削り残した杭穴の中央部分を削るが、第一掘削刃15、15は、回転方向に刃先16a、16aが空隙17を空けて並ぶので、地盤を切り易く、空隙17で掘削残りも崩れやすく、掘削効率が良い。
【0032】
また、ヘッド本体1は斜面11、12があり、下面が凹状となっているので、空隙20が形成されるので、万一固い土塊や大きい土塊が杭穴の底部に残った場合であっても、空隙20の周囲の斜面11、12や第一掘削刃15、15で徐々に固い土塊や大きい土塊が破壊されるので、掘削効率を固めることができる。
【0033】
(5)他の実施形態
【0034】
前記実施態様において、第一掘削刃15は、取付方法13に沿って、「第一掘削刃片16、空隙17、第一掘削刃片16」「第一掘削刃片16、空隙17、第一掘削刃片16」・・・「第一掘削刃片16、空隙17、第一掘削刃片16」と順に並べることが望ましいが、各第一掘削刃15を90度回転した状態で配置することもできる(図2)。したがって、取付方法13に沿って、各第一掘削刃15で、「第一掘削刃片16、第一掘削刃片16、・・・、第一掘削刃片16」が並ぶ。また、取付方法13に沿って、各第一掘削刃15で、「空隙17、空隙17、・・・、空隙17」が並ぶ。
【0035】
また、前記実施態様において、各第一掘削刃15、15は同一構造としたが、異なる構造とすることもできる。例えば、取付方向13で、各第一掘削刃15の下端(即ち、刃先16a)が水平に揃うように(刃先16a、16aが水平線13aに沿って配置される)、各第一掘削刃15を異なる構造とすることもできる(図3)。この場合、ヘッド本体1の下面で、中央部8付近の第一掘削刃15の鉛直方向の長さが最も長く、縦回転軸4から離れる両端部9、9付近の第一掘削刃15の鉛直方向が短く形成される(図3)。
【0036】
また、前記実施態様において、第二掘削刃片36、36の先端36a、36aは、掘削腕30をニュートラル状態(下垂れ状態)にした際に、略水平に(即ち、水平軸5に直角で、かつ軸38に直角な方向に配置したが、他の構造とすることもできる。例えば、第二掘削刃片36、36の下端部32を屈曲して、掘削腕30が正回転の際に(杭穴の軸部掘削状態の回転)、第二掘削刃片36、36の先端36a、36aが略水平に位置するように形成して、杭穴掘削ヘッド50とすることもできる(図4)。この場合には、掘削腕30が正回転の際に(杭穴の軸部掘削状態の回転)、第二掘削刃35、35は、杭穴側壁よりも杭穴底を掘削しながら掘進することになる。
【実施例】
【0037】
図5〜図7に基づきこの発明の実施例を説明する。
【0038】
(1) 掘削ヘッド50は、第一掘削刃15、15を有するヘッド本体1の水平軸5に、第二掘削刃35、35を有する掘削腕30、30を取り付けて構成する(図5、図6)。
【0039】
(2)ヘッド本体1
【0040】
ヘッド本体1は、角筒状で、上部2、中間部6及び下部7からなる。上部2は断面正方形状で、上部の下側はやや断面を小さくなるように縮径してあり、上面に掘削ロッド60の下端と連結するための連結部3を形成し、対向する側面に、掘削腕30を連結するための水平軸5を形成する。水平軸5を設けない他の対向する面に、それぞれ撹拌板22、23を横方向に突設する。撹拌板22、23は上下高さを違えて配置され、かつ掘削ロッド60の回転方向に合わせて斜めに配置されている。また、連結部3は、掘削ロッド60の縦回転軸4と軸を合わせて形成される。
【0041】
下部7は、水平軸5を形成した面は、上部と連続して面一で形成され、水平軸5と直交する面(撹拌板22、23を設けた面)側では、横方向(略水平方向)に膨出部10、10を形成する。
【0042】
縦回転軸4に直角で、かつ水平軸5にも直角な線の方向に沿った方向を取付方向13とする。
【0043】
下部7の下面は、上方に向けた凹部が形成され、縦回転軸4が通る部分の周辺が水平面からなる中央部8として、凹部の底を構成する。中央部8付近から取付方向13で、両端部9、9は凹部の縁を構成し、水平面となっている。また、端部9、9と中央部8を結ぶ間は、平坦な平面(直線状)の斜面11、12が形成される。
【0044】
斜面11、12には、取付方向13に沿って、第一掘削刃15、15が下方に向け、並列して突設される。第一掘削刃15、15の刃先(先端=下端)は斜面11、12に略平行に形成され、両端部9、9の第一掘削刃15の刃先が最も低い位置(最も下がった位置)、中央部8の第一掘削刃15の刃先が最も高い位置(最も上がった位置)に形成される。従って、第一掘削刃15、15の刃先を結んだ線は、逆v字状に形成され、中央部8側に空隙20が形成される。
【0045】
第一掘削刃15は、図6の方向(水平軸5に直角で、かつ軸4にも直角な方向)から見ると取付方向13に直角の向きで、斜めに配置された第一掘削刃片16、16からなる逆V字状に形成され、第一掘削刃片16、16の間は、先端に向けてやや開いた逆U字状に形成されている。従って、第一掘削刃片16、16の間に空隙17が形成される。第一掘削刃15は、取付方向13に直角の向きで、第一掘削刃片16、16の先端(刃先)16a、16aを結ぶ線は略水平に配置される。
【0046】
(3)掘削腕30
【0047】
掘削腕30は、上端部31が幅広(太く)で、中間部33が幅狭(細く)、下端部32が幅広(太く)で形成され、上端部31を水平軸5に回転自在に取り付けて構成する。中間部33は、ヘッド本体1の側面に沿って、両掘削腕30の中間部33が下方に向けて近づくように斜めに配置され、下端部32は下方に向けて、互いに離れるように斜めに配置される。
【0048】
下端部32に3本の第二掘削刃35、35を並列して突設し、第二掘削刃35、35は下端部32の斜めの方向に沿って、下方に向けて、両掘削腕30の第二掘削刃35、35の先端(刃先)36aが互いに離れるように配置される。また、各掘削腕30で、各第二掘削刃35、35は、取付方向13に沿って並ぶ(図5(a))。
【0049】
また、各掘削腕30で、掘削腕30が下方に垂れた状態で、3つの第二掘削刃35、35の内、両端の2つの第二掘削刃35A、35Aの先端36a、36aは同じ高さの低い位置にあり、中央部の第二掘削刃35Bの先端36aは、若干高い位置に配置される。従って、第二掘削刃35A、35B、35Aの各先端36aを結ぶ線は逆V字状(下方上方に向けて凹状)に形成され、両側の2つの第二掘削刃35A、35Aの先端36a、36aを結ぶ線39と、中央の第二掘削刃35Bの先端36aとの間に、空隙40が形成される(図5(a))。
【0050】
また、掘削腕30の上端部31の上側(水平軸5を挟んで第二掘削刃35の反対側)に操作突起42を上方に向けて突設する。操作突起42の上端側には、斜面43を形成してある。
【0051】
(4)ストッパー24〜28
【0052】
掘削腕30が掘削ロッド60を正回転した際に、一側に揺動して小径掘削できるように、最大揺動角度を規制する第一ストッパー24、25を、ヘッド本体1の上部2と下部7にそれぞれ突設する。第一ストッパー24は、掘削腕30の操作突起42に当接し、第一ストッパー25は操作腕30の中間部33に当接する(図7(a))。
【0053】
また、掘削腕30が掘削ロッド60を逆回転した際に、他側に揺動して大径掘削できるように、最大揺動角度を規制する第二ストッパー26、27、28をヘッド本体1に取り付ける。第二ストッパー26は上部2、第二ストッパー27は下部7の膨出部10の上面に、第二ストッパー27は下部7の表面にそれぞれ突設する。第二ストッパー26、27は、掘削腕30の操作突起42、中間部33にそれぞれ当接する。また、第二ストッパー28はバネにより、常時はヘッド本体1の表面より突出しており、掘削腕30の通過により没状態(ヘッド本体1の表面より突出しない又は突出量が少ない状態)となることができる。掘削腕30のヘッド本体1側の面に、第二ストッパー28を収容する凹部からなるストッパー受け44を設ける。
【0054】
(5)掘削ヘッド50の使用
【0055】
掘削ヘッド50は従来の掘削ヘッドと同様に、掘削ロッド60の先端に固定して地面に近づけ(図5、図6)、掘削ロッド60を正回転すると掘削腕30が土圧により一側に振れて、掘削腕30、30が第一ストッパー24、25に当たって、設定した径で杭穴軸部55を掘削する(図7)。
【0056】
この場合、第二掘削刃35、35の刃先36a、36aが地盤を削るように掘削し、第一掘削刃15、15で、削り残した杭穴軸部55の中央部分を削る。また、ヘッド本体1は斜面11、12があり、下面が凹状となっており、中央8周辺に空隙20が形成されるので、万一固い土塊や大きい土塊が杭穴の底部に残った場合であっても、空隙20の周囲の斜面11、12や第一掘削刃15、15で徐々に固い土塊や大きい土塊が破壊されるので、掘削効率を固めることができる。
【0057】
また、杭案軸部55の掘削が完了したならば、掘削ロッド60を逆回転させると掘削腕30が土圧により他側に振れて、掘削腕30、30が第二ストッパー26〜28により、設定した径で杭穴拡底部56を掘削する(図8)。
【符号の説明】
【0058】
1 ヘッド本体
2 ヘッド本体の上部
3 連結部
4 縦回転軸
5 水平軸
6 ヘッド本体の中間部
7 ヘッド本体の下部
8 下部の中央部
9 下部の端部
11 斜面
12 斜面
13 取付方向
13a 水平線
15 第一掘削刃
16 第一掘削刃片
16a 第一掘削刃片の刃先
17 第一掘削刃片間の空隙
20 第一掘削刃間に空隙
22、23 撹拌板
24、25 第一ストッパー
26、27、28 第二ストッパー
30 掘削腕
31 掘削腕の上端部
32 掘削腕の下端部
33 掘削腕の中間部
35 第二掘削刃
35A 第二掘削刃(端部)
35B 第二掘削刃(中央部)
36 第二掘削刃片
37 第二掘削刃片間の空隙
38 掘削腕の軸
39 第二掘削刃35A、35Aの刃先を結ぶ線
40 第二掘削刃間の空隙
42 掘削腕の操作突起
44 掘削腕のストッパー受け
55 杭穴軸部
56 杭穴拡底部
50 掘削ヘッド
55 杭穴軸部
56 杭穴拡底部
60 掘削ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削ロッドと共に縦回転軸周りに回転するヘッド本体に、揺動自在に掘削腕を設け、前記ヘッド本体の下端に第一掘削刃を、掘削腕の先端に第二掘削刃をそれぞれ設けてなり、以下のように構成したことを特徴とする杭穴掘削ヘッド。
(1) 前記ヘッド本体の対向する取付面にそれぞれ水平軸を設け、該水平軸周りに前記掘削腕の上端部を揺動自在に取り付ける。前記ヘッド本体の下面を、前記縦回転軸を中心として凹状として、前記縦回転軸の中心側が高く、周辺側が低く形成する。
(2) 前記凹状の面に略下方に向けて前記第一掘削刃を配置した。
【請求項2】
以下のように構成したことを特徴とする請求項1記載の杭穴掘削ヘッド。
(1) 前記水平軸に直角で、かつ鉛直線に直角な方向を、取付方向とする。
(2) 第一掘削刃は、ヘッド本体の下面で、前記取付方向に沿って、複数個を並列して固定した。
(3) 前記第一掘削刃は下方に向けて形成し、前記取付方向で、両端部に掘削刃片を突設して、両掘削刃片の間に空隙を形成した。
【請求項3】
以下のように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の杭穴掘削ヘッド。
(1) 前記水平軸に直角で、かつ鉛直線に直角な方向を、取付方向とする。
(2) 第二掘削刃は、掘削腕の先端で、前記取付方向に沿って、複数個を並列して固定した。
(3) 前記第二掘削刃は、前記掘削腕がニュートラル状態又は揺動状態で、下方に向けて形成する。
(4) 前記第二掘削刃は、前記取付方向で、両端部に掘削刃片を突設して、両掘削刃片の間に空隙を形成した。
【請求項4】
掘削ロッドと共に縦回転軸周りに回転するヘッド本体に、揺動自在に掘削腕を設け、前記ヘッド本体の下端に第一掘削刃を、掘削腕の先端に第二掘削刃をそれぞれ設けてなり、以下のように構成したことを特徴とする杭穴掘削ヘッド。
(1) 前記ヘッド本体の対抗する取付面にそれぞれ水平軸を設け、該水平軸周りに前記掘削腕の上端部を揺動自在に取り付ける。
(2) 前記水平軸に直角で、かつ鉛直線に直角な方向を、取付方向とする。
(3) 前記第一掘削刃は、前記ヘッド本体の下面で、前記取付方向に沿って、複数個を並列して固定した。
(4) 前記第一掘削刃は下方に向けて形成し、前記取付方向で、両端部に掘削刃片を突設して、両掘削刃片の間に空隙を形成した。
【請求項5】
掘削ロッドと共に縦回転軸周りに回転するヘッド本体に、揺動自在に掘削腕を設け、前記ヘッド本体の下端に第一掘削刃を、掘削腕の先端に第二掘削刃をそれぞれ設けてなり、以下のように構成したことを特徴とする杭穴掘削ヘッド。
(1) ヘッド本体の対抗する取付面にそれぞれ水平軸を設け、該水平軸周りに前記掘削腕の上端部を揺動自在に取り付ける。
(2) 前記水平軸に直角で、かつ鉛直線に直角な方向を、取付方向とする。
(3) 前記第二掘削刃は、前記掘削腕の先端で、前記取付方向に沿って、複数個を並列して固定した。
(4) 前記第二掘削刃は、前記掘削腕がニュートラル状態又は揺動状態で、下方に向けて形成する。
(5) 前記第二掘削刃は、前記取付方向で、両端部に掘削刃片を突設して、両掘削刃片の間に空隙を形成した。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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