説明

東洋医学に基づいたへそエステによる個人別化粧料の製造方法

【課題】 東洋医学に基づいたへそエステによる個人別化粧料の製造方法を提供する。
【解決手段】 ヒト皮膚の上にポリフェノール含有オイル、バラ花びら、たんぱく質を添加し、加温する工程からなる個人別の化粧料の製造方法であり、用いるヒト皮膚は個別に設定できる。ポリフェノール含有オイルとしては緑茶含有オイルやクコシ含有オイルが用いられる。この製造工程においてヒト皮膚細胞や常在菌から遊離するプロテアーゼ、リパーゼなどの酵素類が原材料と反応して個別に適した化粧料を生成する。個別の皮膚により生成された化粧料は安全性も高く、元の皮膚との反応性も高い。この製造方法は東洋医学に基づいたへそエステの反応に起因している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、東洋医学に基づいたへそエステによる個人別の化粧料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、美容に対する関心の高まりから、美容原料が新規に開発され、産業上利用されている。しかし、皮膚は個人差が大きく、美容の悩みも人それぞれである。そのため、個人別に適用できる化粧料が望まれている。
【0003】
さらに、皮膚の状態は加齢により変化することから、年齢や季節変動に適し、かつ、皮膚の健康状態に適合した化粧料であれば、肌のトラブルを避けることが可能で安全性も高い。
【0004】
しかし、個人別に処方を変更することは製造コストと製造時間などの制約により、個人別の化粧料の製造を困難にしている。
【0005】
個人別の化粧料に関する発明として化粧料オーダーメイドシステムがあるものの、受注システムであり、化粧料の製造方法に関するものではない。(例えば、特許文献1参照。)
【0006】
さらに、オーダーメイド商品のネット販売システムとして個人別の化粧料について発明があるものの、販売方法に限定されている。(例えば、特許文献2参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2824160号
【特許文献2】特願2001−48179
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の個人別の化粧料の製造方法では製造コストが高く、製造時間が長いという問題点がある。
【0009】
この発明は上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、副作用が弱く、安全性の高い優れた個人別の化粧品を効率良く製造する製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ヒト皮膚の上にポリフェノール含有オイル、バラ花びら、たんぱく質を添加し、加温する工程からなる製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
【0012】
請求項1に記載の製造方法によれば、効率良く個人別の化粧料を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0014】
個人別の化粧料の製造方法はヒト皮膚の上にポリフェノール含有オイル、バラ花びら、たんぱく質を添加し、加温する工程からなる。
【0015】
ヒトの皮膚は体表のすべての皮膚の部位が利用できる。特に、皮膚の反応性と再生力が高い部分である臍部分を用いることは化粧料の働きを高め、製造時間を短縮できる点から好ましい。
【0016】
用いるポリフェノール含有オイルは大豆油、コメヌカ油、ヤシ油、ナタネ油、ゴマ油などの化粧料に利用できるオイルにポリフェノールを溶解または分散したオイルである。
【0017】
ポリフェノールとしてはカテキン、イソフラボン、テルペン類、カロチン類、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、ルテイン、キサントン類などが用いられる。このうち、カテキンとカロテン類には抗酸化作用と抗菌作用があり、防腐作用がある点から好ましい。
【0018】
ポリフェノール含有オイルとして緑茶含有オイルやクコシ含有オイルを用いることは抗菌作用が高まり、皮膚細胞の活性化がはかれることから好ましい。
【0019】
また、カテキン誘導体を含有した緑茶含有オイルやテルペン誘導体を含むクコシ含有オイルを用いることは血液の循環や皮膚の保湿力が高まることから、さらに好ましい。
【0020】
用いるバラ花びらは日本産、ヨーロッパやブルガリア産、台湾産、中国産などいずれのものでも良く、乾燥したバラ花びらはポリフェノール含有オイルを吸着しやすいことから好ましい。
【0021】
用いるたんぱく質は牛乳やチーズなどの乳製品由来、小麦、大豆、米などの穀類由来、肉類由来や魚類由来である。このうち、小麦は皮膚のエモリエント作用が高い点から好ましい。
【0022】
製造手順は健常なヒトの皮膚を用いる。まず、ヒト皮膚を水または消毒用エタノールなどで洗浄する。ヒト皮膚の上に、上記のポリフェノール含有オイル、バラ花びら、たんぱく質を添加する。
【0023】
ポリフェノール含有オイル、バラ花びら、たんぱく質の含量としては、ポリフェノール含有オイル1重量に対してバラ花びら0.01から0.1重量、たんぱく質0.01から1重量が好ましい。
【0024】
これらを混合し、オイルの中に分散させる。混合方法として清浄なスプーンにより攪拌する。
【0025】
攪拌された混合物は加温される。加温の温度は39から40℃が好ましい。加温する温度が高いと皮膚に刺激を与える。加温には市販の温熱ヒーターなどを用いる。
【0026】
加温時間は30分間から1時間が好ましい。30分未満では反応が進まないおそれがあり、1時間を上回る場合、ヒト皮膚が膨張して反応性が低下するおそれがある。
【0027】
この工程ではヒト皮膚細胞から種々の酵素、たとえば、エステラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼなどの酵素が放出される。これらの酵素によりポリフェノールとバラ花びらエキスとたんぱく質が反応する。
【0028】
ポリフェノールとタンパク質と酵素が反応することにより、ポリフェノールの皮膚への浸透性が高まり、たんぱく質はペプチドとなり、ポリフェノールの働きを助ける。
【0029】
さらに、ポリフェノールとペプチドはエステル合成酵素によりポリフェノールとペプチドの誘導体が形成される。
【0030】
この酵素の放出と酵素反応には用いたヒト皮膚ごとに個人差があることから、個別に適した反応が発生する。
【0031】
ヒト皮膚には常在菌が存在しており、この常在菌からも酵素が放出されることは好ましい。つまり、個別の皮膚に適した反応が生じることになり、個別に適した化粧料となる。
【0032】
皮膚の上で得られる混合物を採取し、濾過後、滅菌され、化粧料とする。この化粧料は皮膚の提供者に適した個人別の化粧料となる。化粧料は常法により包装され、表示される。
【0033】
以下、前記実施形態を実施例及び試験例を用いて具体的に説明する。なお、実施例は一例であり、限定されるものではない。
【実施例1】
【0034】
39歳の健常な女性の臍部の皮膚を用いた。ベッドの上に上向きに寝た状態で、中性洗剤で洗浄後、温水で濯ぎ、消毒用エタノール(和光純薬製)により消毒した。
【0035】
日本産の小麦粉(日本製粉製)の200g(たんぱく質として約100g)に水を添加して練り上げて棒状とした。これを円盤状に臍部を中心として土手を作った。
【0036】
ここに加温した緑茶含有ヤシ油200mLを添加した。さらに、ブルガリア産の乾燥したバラ花びら2gを添加してこれらを混合した。
【0037】
加温用ヒーターにより39℃で、1時間加温し、時々、攪拌して反応を促進させた。
【0038】
1時間後、オイル部分を採取し、濾紙により濾過した。濾過液を100℃で10分間煮沸滅菌した。
【0039】
これにより、目的とする化粧料を得た。これを検体1とした。
【0040】
以下に、化粧料のヒト由来皮膚細胞を用いた効果試験について説明する。
(試験例1)
【0041】
ヒト皮膚上皮細胞をクラボウ株式会社より購入し、培養した。ここに検体1を添加し、ヒト皮膚細胞の増殖性とセラミド量を測定した。溶媒対照としてベースになる緑茶含有ヤシ油を用いた。
【0042】
その結果、検体1を添加した場合、その皮膚細胞は溶媒対照に比して188%となり、皮膚細胞の増殖性が認められた。また、セラミド量は溶媒対照に比して212%となり、セラミドの増加が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のヒト皮膚の上にポリフェノール含有オイル、バラ花びら、たんぱく質を添加し、加温する工程からなる個人別の化粧料の製造方法によれば、個人別に適した安全な化粧料が得られ、化粧品業界の発展に寄与する。
【0044】
また、個別の化粧料を用いて美容室やエステティック店で使用できることから美容業界の発展に寄与する。さらに、東洋医学の理論に基づいていることから、東洋医学の発展に貢献する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト皮膚の上にポリフェノール含有オイル、バラ花びら、たんぱく質を添加し、加温する工程からなる個人別の化粧料の製造方法

【公開番号】特開2012−240950(P2012−240950A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111481(P2011−111481)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(309018641)
【出願人】(504447198)
【Fターム(参考)】