説明

板状体の欠陥検出装置および欠陥検出方法

【課題】光弾性を有する板状体の欠陥を良好に検出可能な欠陥検出装置を提供することができる。
【解決手段】欠陥検出装置は、光弾性を有する板状体Pに光を透過させることにより、該板状体Pの欠陥を検出する。欠陥検出装置は、板状体Pより前に光が透過する直線偏光子2と、板状体Pより後に光が透過する1/4波長板3aと、1/4波長板3aより後に光が入射し、透過軸が1/4波長板3aの遅相軸に対して45度傾いている直線偏光子3bと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光弾性を有する板状体の欠陥検出装置および欠陥検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置には、たとえばクリーニングブレードや現像剤量規制ブレードなどのブレード部材が用いられる。一般的なブレード部材は、所定の寸法に裁断された透明または半透明の板状体が、金属部材に貼り付けられたものである。板状体は光弾性を有する材料で形成される場合がある、この場合、板状体に応力が加わっていると、当該板状体を透過する光が複屈折を起こすことが知られている。
【0003】
板状体を形成する材料としては、一般的に、エラストマーや、熱硬化性樹脂や、熱可塑性樹脂や、これらの複合材料がある。エラストマーとしては、たとえば、シリコーンゴムやフッ素ゴムや熱硬化性ポリウレタンエラストマーが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、たとえば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、たとえば、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートが挙げられる。
【0004】
一般的な板状体の形成方法として、押出し法、遠心成形法、射出成型法、キャスト法などが知られている。
【0005】
ブレード部材の製造過程では、硬化後の板状体を製造装置から剥離する際や搬送する際に、無理な力が加わり伸ばされたり、折れ目が付いて応力が加わったり、また板状体にキズが発生することや、板状体に異物が付着することがある。また、ブレード部材の製造過程によっては、応力が加わった状態のまま板状体が金属部材に貼り付けられることもある。このようなブレード部材では、感光ドラムや現像スリーブに対する板状体の当接圧が不均一になる。このことが、電子写真の現像不良の原因となることがある。
【0006】
ブレード部材の板状体の検査方法としては、目視検査や食指検査などの人間による検査や、赤外線センサなどによる非接触検査や、外観を撮像した画像を用いた画像処理検査などがある。これらの板状体の検査方法では、キズや、異物や、表面の大きな凹凸などを検出することはできるものの、板状体に上記製造過程により応力が加わっているか否かを判別することは困難である。
【0007】
特許文献1に、板状体に応力が加わっているか否かを判別可能な板状体の欠陥検出装置が開示されている。この欠陥検出装置は、平行に配置された2枚の直線偏光子を備えている。当該2枚の直線偏光子のうちの一方の透過軸と他方の透過軸とのなす角度は90度である。この欠陥検出装置では、この2枚の直線偏光子の間に検査対象物である板状体を配置し、一方の直線偏光子と板状体とを透過した光が、他方の直線偏光子を透過するか否かにより、板状体に応力が加わっているか否かを判別する。
【0008】
板状体に応力が加わっていない場合には、一方の直線偏光子を透過した直線偏光は、板状体を透過する際に偏光状態が変更されることなく、他方の直線偏光子に入射する。そのため、板状体を透過した直線偏光は他方の直線偏光子によって全て遮断される。したがって、この場合、一方の直線偏光子と板状体とを透過した光が、他方の直線偏光子を透過しない。
【0009】
板状体に応力が加わっている場合には、一方の直線偏光子を透過した直線偏光は、板状体を透過する際に、板状体に加わっている応力に応じて複屈折し、偏光状態が変化させられる。そのため、板状体を透過した光の一部は、他方の直線偏光子を透過する。したがって、この場合、一方の直線偏光子と板状体とを透過した光が、他方の直線偏光子を透過する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−170953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に記載された板状体の欠陥検出装置は、2枚の直線偏光子のうちの一方の透過軸と他方の透過軸とのなす角度は90度となるように構成されている。したがって、一方の直線偏光子を透過した直線偏光は、板状体を透過する際に偏光状態が変化させられない限り、他方の直線偏光子を透過しない。そのため、この欠陥検出装置では、板状体に直線偏光を変化させない欠陥(異物の付着等)を検出することはできない。
【0012】
そこで、本発明は、光弾性を有する板状体の欠陥を良好に検出可能な欠陥検出装置および欠陥検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の欠陥検出装置は、光弾性を有する板状体に光を透過させることにより、該板状体の欠陥を検出する欠陥検出装置において、前記板状体より前に光が透過する第1の直線偏光子と、前記板状体より後に光が透過する1/4波長板と、該1/4波長板より後に光が入射し、透過軸が前記1/4波長板の遅相軸に対して45度傾いている第2の直線偏光子と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光弾性を有する板状体の欠陥を良好に検出可能な欠陥検出装置および欠陥検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る板状体の欠陥検出装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施例1に係る板状体の欠陥検出装置の概略構成図である。
【図3】本発明の実施例2および3に係る板状体の欠陥検出装置の斜視図である。
【図4】図3に示した板状体の欠陥検出装置の部分拡大図である。
【図5】比較例1および2に係る板状体の欠陥検出装置の概略構成図である。
【図6】比較例3および4に係る板状体の欠陥検出装置の概略構成図である。
【図7】比較例5および6に係る板状体の欠陥検出装置の概略構成図である。
【図8】比較例7および8に係る板状体の欠陥検出装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態の概要について説明する。図1は本実施形態に係る板状体Pの欠陥検出装置の概略構成図である。
【0018】
本実施形態に係る欠陥検出装置は、光を発する光源1と、該光源1が発した光が入射する第1の直線偏光子2と、該直線偏光子2を透過した光が入射する円偏光子3と、を有している。検査対象物である板状体Pは、直線偏光子2と円偏光子3との間に配置される。
【0019】
この欠陥検出装置では、光源1が発した光を直線偏光子2に入射させ(第1段階)、直線偏光子2を透過した光を板状体Pに入射させ(第2段階)、板状体Pを透過した光を円偏光子3に入射させる(第3段階)。この欠陥検出装置では、円偏光子3を透過する光を用いて、板状体Pの欠陥の有無を判別する。
【0020】
光源1としては、たとえば、均一な光を発することが可能な一般的なハロゲンランプ、タングステンランプ、蛍光灯、メタルハライドランプ、LED(Light Emitting Diode)照明が用いられる。
【0021】
直線偏光子2および円偏光子3には、市販されている一般的なものを用いることが可能である。円偏光子3は、1/4波長板3aと第2の直線偏光子3bとを備えている。円偏光子3では、1/4波長板3aの遅相軸に対して、直線偏光子3bの透過軸が45度傾いている。
【0022】
円偏光子は円偏光を得るために用いられる素子である。そのため、円偏光子を用いる際には、一般的に、円偏光子は光が入射する方向に直線偏光子側を向けて配置される。これにより、円偏光子では、直線偏光子を透過した直線偏光が1/4波長板を透過することにより円偏光が得られる。
【0023】
本実施形態に係る欠陥検出装置では、円偏光子3が、上記とは表裏を反転させられて配置される。すなわち、円偏光子3は、光が入射する方向に1/4波長板3a側を向けて配置される。したがって、円偏光子3に入射する光は、1/4波長板3aを透過した後に直線偏光子3aに入射する。
【0024】
円偏光子には、一般的に、右円偏光が得られる右円偏光子と、左円偏光が得られる左円偏光子と、がある。この2種類の円偏光子は、1/4波長板の遅相軸の直線偏光子の透過軸に対する角度が、+45度に設定されているか、−45度に設定されているか、が異なる。
【0025】
しかし、本実施形態に係る欠陥検出装置では、円偏光子3として、右円偏光子を用いても、左円偏光子を用いても、板状体Pの欠陥を検出する性能は同等であった。したがって、本実施形態に係る板状体Pの欠陥検出装置の円偏光子3は、右円偏光子であっても左円偏光子であっても以下に示す結果は同じである。
【0026】
本実施形態に係る板状体Pの欠陥検出装置では、円偏光子3を透過する光を用いて、板状体Pの欠陥を有効に検出することができる。
【0027】
まず、板状体Pに欠陥がない場合について説明する。光源1から発せられ、直線偏光子2を透過した均一な直線偏光は、偏光状態を変えられることなく板状体Pを透過し、円偏光子3に入射する。
【0028】
直線偏光子2の透過軸と円偏光子3の1/4波長板3aの遅相軸とのなす角度がゼロ度または180度の場合には、直線偏光子2を透過した直線偏光は、1/4波長板3aを透過する際に、位相が変化するものの振動方向は変化しない。1/4波長板3aの遅相軸と直線偏光子3bの透過軸とのなす角度は45度であるため、1/4波長板3aを透過した直線偏光の一部は直線偏光子3bを透過する。直線偏光子3bを透過する光は、輝度の均一な直線偏光である。
【0029】
直線偏光子2の透過軸と円偏光子3の1/4波長板3aの遅相軸とのなす角度が90度または270度である場合には、直線偏光子2を透過した直線偏光は、1/4波長板3aを透過する際に偏光状態が変化しない。1/4波長板3aの遅相軸と直線偏光子3bの透過軸とのなす角度は45度であるため、1/4波長板3aを透過した直線偏光の一部は直線偏光子3bを透過する。直線偏光子3bを透過する光は、輝度の均一な直線偏光である。
【0030】
直線偏光子2の透過軸と円偏光子3の1/4波長板3aの遅相軸とのなす角度が0度、90度、180度、270度以外の場合には、直線偏光子2を透過した直線偏光は、1/4波長板3aを透過する際に円偏光または楕円偏光となる。1/4波長板3aを透過した円偏光または楕円偏光の一部は直線偏光子3bを透過する。直線偏光子3bを透過する光は、輝度の均一な直線偏光である。
【0031】
以上のように、板状体Pに欠陥がない場合には、いずれも輝度の均一な直線偏光が得られるため、円偏光子3の直線偏光子3b側からは輝度の均一な光が観察される。
【0032】
次に、板状体Pに、異物が付着している場合や、キズがついている場合について説明する。直線偏光子2を透過した直線偏光は、板状体Pの異物やキズによって透過することが妨げられる。そのため、板状体Pおよび円偏光子3を透過する光は、輝度が不均一になる。特に、板状体Pに異物が付着している場合には、板状体Pおよび円偏光子3を透過する光は、異物に対応する部分が暗部となる。
【0033】
以上のように、板状体Pに異物が付着している場合や、キズがついている場合には、いずれも輝度の不均一な光が得られるため、円偏光子3の直線偏光子3b側からは輝度の不均一な光が観察される。特に、板状体Pに異物が付着している場合には、円偏光子3の直線偏光子3b側からは黒点が観察される。
【0034】
次に、板状体Pに表面や内部に歪みがある場合には、板状体Pに応力が加わっている。光弾性を有する板状体Pに応力が加わっていると、光は板状体Pに透過する際に複屈折する。板状体Pを透過する際に複屈折し、円偏光子3を透過する光は干渉する。板状体Pの歪みは、板状体Pの成形時以外にも、板状体Pにキズがついた場合や、板状体Pの金属部材Mへの接着時にも発生する。
【0035】
以上のように、板状体Pに歪みがある場合には、円偏光子3の直線偏光子3b側からは干渉縞が観察される。
【0036】
このように、図1に示した構成によれば、円偏光子3の直線偏光子3b側から観察される光によって、板状体Pの欠陥の有無を良好に判別することができる。また、板状体Pに欠陥がある場合、円偏光子3の直線偏光子3b側から観察される光により、板状体Pの欠陥の種類を特定することも可能である。
【0037】
以下、本発明の実施例、および本発明に関連する比較例について説明する。
(実施例1)
図2は、本発明の実施例1に係る板状体Pの欠陥検出装置の概略構成図である。この欠陥検出装置では、図1に示した直線偏光子2に、光源(不図示)に接続された光ファイバ7と、集光レンズ8と、が取り付けられている。本実施例の光源、光ファイバ7および集光レンズ8の全体が、図1における光源1に対応している。光源には消費電力が150Wのハロゲンランプを用いた。
【0038】
光源が発した光は、光ファイバ7により集光レンズ8に導かれる。集光レンズ8は、光ファイバ7から入射した光を均一に直線偏光子2に照射するために設けられている。光を均一化する部材としては、集光レンズ8以外のものを適宜用いることができ、たとえば拡散板を用いることができる。
【0039】
直線偏光子2の形状には特別な制限はない。直線偏光子2としては、たとえば、集光レンズ8に取り付け可能な市販の偏光フィルタを用いることができる。また、直線偏光子2は、四角形や円形にくり抜いた枠に挟み込んだ状態で用いることもできる。
【0040】
直線偏光子2を透過した光は、検査対象物である板状体Pに入射する。板状体Pは金属部材Mに接着されている。板状体Pは、金属部材Mとともにブレード部材を構成する。
【0041】
板状体Pはポリウレタンエラストマーシートを所定の寸法に裁断したものである。ポリウレタンエラストマーシートの原料は、アジペート系ウレタンプレポリマー100質量部(数平均分子量2000、NCO含有量6.25質量%)、1,4−ブタンジオール3.7質量部、トリメチロールプロパン1.9質量部とした。
【0042】
ポリウレタンエラストマーシートの製造過程では、まず、上記の原料を注型機ミキシングチャンバー内で混合攪拌し、液状エラストマー原料を得る。ポリウレタンエラストマーシートは、この液状エラストマー原料を遠心成型機に注入して成形することにより得られる。ポリウレタンエラストマーシートの成形には、温度を130℃に保持した遠心成型機の円筒形金型内に液状エラストマー原料を流し込み、50分間保持して硬化させる方法を用いた。成形後のポリウレタンエラストマーシートは、両面が鏡面であり、厚さが1mm±0.05mmであった。
【0043】
金属部材Mは鉄を主原料とする材料を板金加工したものである。板状体Pと金属部材Mとの接着は、ホットメルト接着剤を用いたホットプレス法により行った。
【0044】
板状体Pを透過した光が入射する円偏光子3には、光の入射面に直交する軸を中心に回転可能な市販のものを用いた。円偏光子3の形状にも特に制限はない。円偏光子3は、四角形や円形にくり抜いた枠に挟み込んだ状態で用いることもできる。
【0045】
本実施例では、光の入射面に直交する軸を中心に回転可能な円偏光子3を用いた。しかし、この欠陥検出装置は、直線偏光子2の透過軸と、円偏光子3の直線偏光子3bの透過軸と、のなす角度を変更できるものであればよい。そのため、直線偏光子2として、光の入射面に直交する軸を中心に回転可能なものを用いてもよい。
【0046】
図2に示した欠陥検出装置によって板状体Pの欠陥の有無の判別を行った。円偏光子3を回転させることにより、直線偏光子2の透過軸と円偏光子3の直線偏光子3bの透過軸とのなす角度を90度、100度、180度として矢印A方向から目視による観察を行った。
【0047】
検査対象物である板状体Pには、以下のものを複数枚ずつ用意した。
板状体(1):欠陥のないもの
板状体(2):異物が付着したもの
板状体(3):キズのついたもの
板状体(4):金属部材Mへの接着時の歪みがあるもの
板状体(5):成形時の歪みがあるもの
図2に示した欠陥検出装置を用いて、各板状体Pについて観察した。その結果を以下に示す。
板状体(1):いずれの角度においても輝度の均一な光が観察された。
板状体(2):いずれの角度においても黒点が観察された。
板状体(3):いずれの角度においても輝度の不均一な光および干渉縞が観察された。
板状体(4):いずれの角度においても干渉縞が観察された。
板状体(5):いずれの角度においても干渉縞が観察された。
【0048】
以上のように、欠陥のある板状体(2)〜板状体(5)について、良好に欠陥を検出することができた。また、板状体(3)〜板状体(5)について観察された干渉縞は、直線偏光子2の透過軸と円偏光子3の直線偏光子3bの透過軸とのなす角度が90度の場合に最も明確に認識することができた。
(実施例2)
実施例2では、実施例1と同様の板状体Pの欠陥検出装置を用いた。したがって、本実施例も図2を参照して説明する。
【0049】
実施例1では検査対象物である板状体Pに両面が鏡面であるものを使用したが、本実施例では板状体Pに、一方の面が鏡面であり、他方の面が粗面であるものを使用した。板状体Pの粗面は、十点測定における平均粗さがRzJIS規格で20から25μmまでとなるように形成した。
【0050】
粗面のある板状体Pの成形には、表面に粗面化微粒子剤を分散させた円筒形金型を使用した。これにより、遠心成型機で板状体Pを成形すると、円筒形金型の表面に接している方の板状体Pの表面は粗面となり、円筒形金型の表面に接していない方の板状体Pの表面は鏡面となる。この板状体Pを金属部材Mに接着した現像剤量規制ブレードでは、板状体Pの粗面が現像スリーブに当接する。
【0051】
図2に示した欠陥検出装置によって板状体Pの欠陥の有無の判別を行った。円偏光子3を回転させることにより、直線偏光子2の透過軸と円偏光子3の直線偏光子3bの透過軸とのなす角度を90度、100度、180度として矢印A方向から目視による観察を行った。
【0052】
検査対象物である板状体Pには、実施例1と同様の板状体(1)〜板状体(5)を複数枚ずつ用意した。
【0053】
その結果、実施例1と同様に、欠陥のある板状体(2)〜板状体(5)の板状体Pについて、良好に欠陥を検出することができた。また、板状体(3)〜板状体(5)の板状体Pについて観察された干渉縞は、直線偏光子2の透過軸と円偏光子3の直線偏光子3bの透過軸とのなす角度が90度の場合に最も明確に認識することができた。
(実施例3)
図3は、本発明の実施例3に係る板状体Pの欠陥検出装置の斜視図であり、図4はその欠陥検出装置の検査対象物である板状体Pおよびその周辺を拡大して示した概略構成図である。本実施例に係る欠陥検出装置は、以下に示す構成以外は、実施例1に係る欠陥検出装置と同様の構成を有している。図3および図4では、図2と共通する構成については同様の符号を付している。
【0054】
本実施例に係る欠陥検出装置では、光ファイバ7に光源1が接続されており、光源1が発した光が光ファイバ7を介して集光レンズ8に入射する。また、この欠陥検出装置では、円偏光子3の、板状体Pとは反対側に、撮像レンズ10とカメラ11が設けられている。カメラ11は、板状体Pおよび円偏光子3を透過した光を、撮像レンズ10を介して撮像し、画像を形成する。カメラ11によって撮像された画像は、PC(Personal Computer)13に取り込まれる。PC13に取り込まれた画像は、PC13によって処理され、その処理結果がモニタ14に表示される。
【0055】
カメラ11には、たとえばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)を備えたエリアカメラを用いることができる。カメラ11は、モノクロカメラとカラーカメラとのいずれでもよい。しかし、カメラ11としては、撮像される画像に生じる干渉縞が虹色となり、輝度情報だけでなく、色情報も得られるカラーカメラを用いることが望ましい。撮像レンズ10は、カメラ11の撮像距離、撮像倍率に合わせたものが適宜選択される。
【0056】
また、カメラ11の撮像倍率が等倍から2倍までの程度の場合には、撮像レンズ10に円偏光フィルタ3を取り付け、さらに市販のリバースリングを介して、表裏反転させた撮像レンズ10をカメラ11に取り付けてもよい。
【0057】
また、本実施例に係る欠陥検出装置では、板状体Pを金属部材Mに接着したブレード部材が載置されるリニアモータ15を有し、ブレード部材は、リニアモータ15上をその長手方向に移動可能である。この欠陥検出装置では、ブレード部材を適宜移動させながら、板状体Pの全体を検査可能である。
【0058】
カメラ11により撮像された画像のPC13による処理として、画像のコントラストや明るさや彩度の調整などを行うものがある。この場合、PC13によって処理された画像をモニタ14に表示し、モニタ14に表示された画像内の輝度や色の不均一な部分を目視にて評価し、板状体Pの欠陥を検出することができる。
【0059】
また、カメラ11により撮像された画像のPC13による処理として、画像を複数の部分に分割し、各部分による輝度の平均値などの相違により、画像の不均一性を評価するものもある。この場合、モニタ14に、画像の不均一性の評価結果を表示される。板状体Pの欠陥の有無の判別は、目視によってもPC13によってもよい。
【0060】
図3および図4に示した欠陥検出装置によって板状体Pの欠陥の有無の判別を行った。円偏光子3を回転させることにより、直線偏光子2の透過軸と円偏光子3の直線偏光子3bの透過軸とのなす角度を90度、100度、180度としてカメラ11よって撮像された画像を用いて板状体Pの欠陥の検出を行った。
【0061】
検査対象物である板状体Pには、実施例1と同様の板状体(1)〜板状体(5)を複数枚ずつ用意した。
【0062】
その結果、実施例1と同様に、欠陥のある板状体(2)〜板状体(5)について、良好に欠陥を検出することができた。
(実施例4)
実施例4では、実施例3と同様の板状体Pの欠陥検出装置を用いた。したがって、本実施例も図3および図4を参照して説明する。
【0063】
実施例3では検査対象物である板状体Pに両面が鏡面であるものを使用したが、本実施例では板状体Pに、一方の面が鏡面であり、他方の面が粗面であるものを使用した。板状体Pの粗面は、十点測定における平均粗さがRzJIS規格で20から25μmまでとなるように形成した。
【0064】
図3および図4に示した欠陥検出装置によって板状体Pの欠陥の有無の判別を行った。円偏光子3を回転させることにより、直線偏光子2の透過軸と円偏光子3の直線偏光子3bの透過軸とのなす角度を90度、100度、180度としてカメラ11よって撮像された画像を用いて板状体Pの欠陥の検出を行った。
【0065】
検査対象物である板状体Pには、実施例1と同様の(1)〜(5)の板状体Pを複数枚ずつ用意した。
【0066】
その結果、実施例3と同様に、欠陥のある(2)〜(5)の板状体Pについて、良好に欠陥を検出することができた。
(比較例1)
図5は、本発明の比較例1に係る板状体Pの欠陥検出装置の概略構成図である。本比較例に係る欠陥検出装置は、以下に示す構成以外は、実施例1に係る欠陥検出装置と同様の構成を有している。図5では、図2と共通する構成については同様の符号を付している。
【0067】
本比較例に係る欠陥検出装置では、図2に示した欠陥検出装置の円偏光子3に代えて直線偏光子6を用いている。
【0068】
光源(不図示)が発した光は光ファイバ7により集光レンズ8に導かれる。集光レンズ8を透過した光は直線偏光子2に入射する。直線偏光子2を透過した光は、検査対象物である板状体Pに入射する。板状体Pを透過した光は、直線偏光子6に入射する。直線偏光子6には、光の入射面に直交する軸を中心に回転可能な市販のものを用いた。
【0069】
図5に示した欠陥検出装置によって板状体Pの欠陥の有無の判別を行った。円偏光子3を回転させることにより、直線偏光子2の透過軸と直線偏光子6の透過軸とのなす角度を90度、100度、180度として矢印A方向から目視による観察を行った。
【0070】
検査対象物である板状体Pには、実施例1と同様の板状体(1)〜板状体(5)の板状体Pを複数枚ずつ用意した。
【0071】
まず、直線偏光子2の透過軸と直線偏光子6の透過軸とのなす角度が90度の場合について説明する。欠陥のない板状体(1)については、光が観察されなかった。異物の付着した板状体(2)は、異物が付着していない部分でも、異物が付着した部分でも、光が板状体Pまたは直線偏光子6を透過しないため、光が観察されなかった。したがって、板状体(2)の欠陥は検出できなかった。また、板状体(3)〜板状体(5)については、干渉縞が観察された。したがって、板状体(3)〜板状体(5)の欠陥は検出できた。
【0072】
次に、直線偏光子2の透過軸と直線偏光子6の透過軸とのなす角度が100度の場合について説明する。欠陥のない板状体(1)については、輝度が均一な光が観察された。異物の付着した板状体(2)については、全体が暗い光であるが、黒点が観察された。したがって、板状体(2)の欠陥は検出できた。キズのついた板状体(3)については、全体が暗い光であるため、干渉縞を検出することは困難であったが、輝度が不均一な光が観察された。したがって、板状体(3)の欠陥は検出できた。また、板状体(4)および板状体(5)については、全体が暗い光であるため干渉縞を観察することは困難であった。したがって、板状体(4)および板状体(5)の欠陥は検出できなかった。
【0073】
次に、直線偏光子2の透過軸と直線偏光子6の透過軸とのなす角度が180度の場合について説明する。欠陥のない板状体(1)については、輝度が均一な光が得られた。異物の付着した板状体(2)については、黒点が観察された。したがって、板状体(2)の欠陥は検出できた。キズのついた板状体(3)については、輝度が不均一な光が観察された。したがって、板状体(3)の欠陥は検出できた。また、板状体(4)および板状体(5)については、全体が暗い光であるため干渉縞を観察することは困難であった。したがって、板状体(4)および板状体(5)の欠陥は検出できなかった。
(比較例2)
比較例2では、比較例1と同様の欠陥検出装置を用いた。したがって、本比較例も図5を参照して説明する。
【0074】
実施例1では検査対象物である板状体Pに両面が鏡面であるものを使用したが、本比較例では板状体Pに、一方の面が鏡面であり、他方の面が粗面であるものを使用した。板状体Pの粗面は、十点測定における平均粗さがRzJIS規格で20から25μmまでとなるように形成した。
【0075】
図5に示した欠陥検出装置によって板状体Pの欠陥の有無の判別を行った。円偏光子3を回転させることにより、直線偏光子2の透過軸と円偏光子3の直線偏光子3bの透過軸とのなす角度を90度、100度、180度として矢印A方向から目視による観察を行った。
【0076】
検査対象物である板状体Pには、実施例1と同様の板状体(1)〜板状体(5)を複数枚ずつ用意した。
【0077】
まず、直線偏光子2の透過軸と直線偏光子6の透過軸とのなす角度が90度の場合について説明する。欠陥のない板状体(1)については、光が観察されなかった。異物の付着した板状体(2)は、異物が付着していない部分でも、異物が付着した部分でも、光が板状体Pまたは直線偏光子6を透過しないため、光が観察されなかった。したがって、板状体(2)の欠陥は検出できなかった。また、板状体(3)〜板状体(5)については、干渉縞が観察された。したがって、板状体(3)〜板状体(5)の欠陥は検出できた。
【0078】
次に、直線偏光子2の透過軸と直線偏光子6の透過軸とのなす角度が100度の場合について説明する。欠陥のない板状体(1)については、輝度が均一な光が観察された。異物の付着した板状体(2)については、全体が暗い光であるが、黒点が観察された。したがって、板状体(2)の欠陥は検出できた。キズのついた板状体(3)については、全体が暗い光であるため、干渉縞を検出することは困難であったが、輝度が不均一な光が観察された。したがって、板状体(3)の欠陥は検出できた。また、板状体(4)および板状体(5)については、全体が暗い光であるため干渉縞を観察することは困難であった。したがって、板状体(4)および板状体(5)の欠陥は検出できなかった。
【0079】
次に、直線偏光子2の透過軸と直線偏光子6の透過軸とのなす角度が180度の場合について説明する。欠陥のない板状体(1)については、輝度が均一な光が得られた。異物の付着した板状体(2)については、黒点が観察された。したがって、板状体(2)の欠陥は検出できた。キズのついた板状体(3)については、輝度が不均一な光が観察された。したがって、板状体(3)の欠陥は検出できた。また、板状体(4)および板状体(5)については、全体が暗い光であるため干渉縞を観察することは困難であった。したがって、板状体(4)および板状体(5)の欠陥は検出できなかった。
(比較例3)
図6は本発明の比較例3に係る板状体Pの欠陥検出装置の概略構成図である。本比較例に係る欠陥検出装置は、以下に示す構成以外は、実施例3に係る欠陥検出装置と同様の構成を有している。図6では、図4と共通する構成については同様の符号を付している。
【0080】
本比較例に係る欠陥検出装置では、図2に示した欠陥検出装置の円偏光子3に代えて直線偏光子6を用いている。
【0081】
図6に示した欠陥検出装置によって板状体Pの欠陥の有無の判別を行った。円偏光子3を回転させることにより、直線偏光子2の透過軸と円偏光子3の直線偏光子3bの透過軸とのなす角度を90度、100度、180度としてカメラ11よって撮像された画像を用いて板状体Pの欠陥の検出を行った。
【0082】
検査対象物である板状体Pには、実施例1と同様の板状体(1)〜板状体(5)を複数枚ずつ用意した。
【0083】
まず、直線偏光子2の透過軸と直線偏光子6の透過軸とのなす角度が90度の場合について説明する。欠陥のない板状体(1)については、輝度がゼロの均一な画像が得られた。異物の付着した板状体(2)は、異物が付着していない部分でも、異物が付着した部分でも、輝度がゼロとなるため、輝度がゼロの均一な画像が得られた。したがって、板状体(2)の欠陥は検出できなかった。また、板状体(3)〜板状体(5)については、干渉縞が観察された。したがって、板状体(3)〜板状体(5)の欠陥は検出できた。
【0084】
次に、直線偏光子2の透過軸と直線偏光子6の透過軸とのなす角度が100度の場合について説明する。欠陥のない板状体(1)については、輝度が均一な画像が得られた。異物の付着した板状体(2)については、全体が暗い画像であるため黒点を検出することは困難であった。したがって、板状体(2)の欠陥は検出できなかった。キズのついた板状体(3)については、全体が暗い画像であるため輝度が不均一な部分や干渉縞を検出することは困難であった。したがって、板状体(3)の欠陥は検出できなかった。また、板状体(4)および板状体(5)については、全体が暗い画像であるため干渉縞を検出することは困難であった。したがって、板状体(4)および板状体(5)の欠陥は検出できなかった。
【0085】
次に、直線偏光子2の透過軸と直線偏光子6の透過軸とのなす角度が180度の場合について説明する。欠陥のない板状体(1)については、輝度が均一な画像が得られた。異物の付着した板状体(2)については、黒点が検出された。したがって、板状体(2)の欠陥は検出できた。キズのついた板状体(3)については、輝度が不均一な画像が得られた。したがって、板状体(3)の欠陥は検出できた。また、板状体(4)および板状体(5)については、干渉縞のコントラストが低く輝度がほぼ均一な画像が得られた。したがって、板状体(4)および板状体(5)の欠陥は検出できなかった。
(比較例4)
比較例4では、比較例3と同様の板状体Pの欠陥検出装置を用いた。したがって、本比較例も図6を参照して説明する。
【0086】
比較例3では検査対象物である板状体Pに両面が鏡面であるものを使用したが、本比較例では板状体Pに、一方の面が鏡面であり、他方の面が粗面であるものを使用した。板状体Pの粗面は、十点測定における平均粗さがRzJIS規格で20から25μmまでとなるように形成した。
【0087】
図6に示した欠陥検出装置によって板状体Pの欠陥の有無の判別を行った。円偏光子3を回転させることにより、直線偏光子2の透過軸と円偏光子3の直線偏光子3bの透過軸とのなす角度を90度、100度、180度としてカメラ11よって撮像された画像を用いて板状体Pの欠陥の検出を行った。
【0088】
検査対象物である板状体Pには、実施例1と同様の板状体(1)〜板状体(5)を複数枚ずつ用意した。
【0089】
まず、直線偏光子2の透過軸と直線偏光子6の透過軸とのなす角度が90度の場合について説明する。欠陥のない板状体(1)については、輝度がゼロの均一な画像が得られた。異物の付着した板状体(2)は、異物が付着していない部分でも、異物が付着した部分でも、輝度がゼロとなるため、輝度がゼロの均一な画像が得られた。したがって、板状体(2)の欠陥は検出できなかった。また、板状体(3)〜板状体(5)については、干渉縞が観察された。したがって、板状体(3)〜板状体(5)の欠陥は検出できた。
【0090】
次に、直線偏光子2の透過軸と直線偏光子6の透過軸とのなす角度が100度の場合について説明する。欠陥のない板状体(1)については、輝度が均一な画像が得られた。異物の付着した板状体(2)については、全体が暗い画像であるため黒点を検出することは困難であった。したがって、板状体(2)の欠陥は検出できなかった。キズのついた板状体(3)については、全体が暗い画像であるため輝度が不均一な部分や干渉縞を検出することは困難であった。したがって、板状体(3)の欠陥は検出できなかった。また、板状体(4)および板状体(5)については、全体が暗い画像であるため干渉縞を検出することは困難であった。したがって、板状体(4)および板状体(5)の欠陥は検出できなかった。
【0091】
次に、直線偏光子2の透過軸と直線偏光子6の透過軸とのなす角度が180度の場合について説明する。欠陥のない板状体(1)については、輝度が均一な画像が得られた。異物の付着した板状体(2)については、黒点が検出された。したがって、板状体(2)の欠陥は検出できた。キズのついた板状体(3)については、輝度が不均一な画像が得られた。したがって、板状体(3)の欠陥は検出できた。また、板状体(4)および板状体(5)については、干渉縞のコントラストが低く輝度がほぼ均一な画像が得られた。したがって、板状体(4)および板状体(5)の欠陥は検出できなかった。
(比較例5)
図7は本発明の比較例5に係る板状体Pの欠陥検出装置の概略構成図である。本比較例に係る欠陥検出装置は、以下に示す構成以外は、実施例3に係る欠陥検出装置と同様の構成を有している。図7では、図4と共通する構成については同様の符号を付している。
【0092】
本比較例に係る欠陥検出装置では、図2に示した欠陥検出装置の円偏光子3を表裏反転させて用いている。したがって、本比較例では、板状体Pを透過した光は、直線偏光子3bを透過した後に、直線偏光子3aに入射する。
【0093】
図7に示した欠陥検出装置によって板状体Pの欠陥の有無の判別を行った。円偏光子3を回転させることにより、直線偏光子2の透過軸と円偏光子3の直線偏光子3bの透過軸とのなす角度を90度、100度、180度としてカメラ11よって撮像された画像を用いて板状体Pの欠陥の検出を行った。
【0094】
検査対象物である板状体Pには、実施例1と同様の板状体(1)〜板状体(5)を複数枚ずつ用意した。
【0095】
まず、直線偏光子2の透過軸と直線偏光子6の透過軸とのなす角度が90度の場合について説明する。欠陥のない板状体(1)については、輝度がゼロの均一な画像が得られた。異物の付着した板状体(2)は、異物が付着していない部分でも、異物が付着した部分でも、輝度がゼロとなるため、輝度がゼロの均一な画像が得られた。したがって、板状体(2)の欠陥は検出できなかった。また、板状体(3)〜板状体(5)については、干渉縞が観察された。したがって、板状体(3)〜板状体(5)の欠陥は検出できた。
【0096】
次に、直線偏光子2の透過軸と直線偏光子6の透過軸とのなす角度が100度の場合について説明する。欠陥のない板状体(1)については、輝度が均一な画像が得られた。異物の付着した板状体(2)については、全体が暗い画像であるため黒点を検出することは困難であった。したがって、板状体(2)の欠陥は検出できなかった。キズのついた板状体(3)については、全体が暗い画像であるため輝度が不均一な部分や干渉縞を検出することは困難であった。したがって、板状体(3)の欠陥は検出できなかった。また、板状体(4)および板状体(5)については、全体が暗い画像であるため干渉縞を検出することは困難であった。したがって、板状体(4)および板状体(5)の欠陥は検出できなかった。
【0097】
次に、直線偏光子2の透過軸と直線偏光子6の透過軸とのなす角度が180度の場合について説明する。欠陥のない板状体(1)については、輝度が均一な画像が得られた。異物の付着した板状体(2)については、黒点が検出された。したがって、板状体(2)の欠陥は検出できた。キズのついた板状体(3)については、輝度が不均一な画像が得られた。したがって、板状体(3)の欠陥は検出できた。また、板状体(4)および板状体(5)については、干渉縞のコントラストが低く輝度がほぼ均一な画像が得られた。したがって、板状体(4)および板状体(5)の欠陥は検出できなかった。
(比較例6)
比較例6では、比較例5と同様の板状体Pの欠陥検出装置を用いた。したがって、本比較例も図7を参照して説明する。
【0098】
比較例5では検査対象物である板状体Pに両面が鏡面であるものを使用したが、本比較例では板状体Pに、一方の面が鏡面であり、他方の面が粗面であるものを使用した。板状体Pの粗面は、十点測定における平均粗さがRzJIS規格で20から25μmまでとなるように形成した。
【0099】
図7に示した欠陥検出装置によって板状体Pの欠陥の有無の判別を行った。円偏光子3を回転させることにより、直線偏光子2の透過軸と円偏光子3の直線偏光子3bの透過軸とのなす角度を90度、100度、180度としてカメラ11よって撮像された画像を用いて板状体Pの欠陥の検出を行った。
【0100】
検査対象物である板状体Pには、実施例1と同様の板状体(1)〜板状体(5)を複数枚ずつ用意した。
【0101】
まず、直線偏光子2の透過軸と直線偏光子6の透過軸とのなす角度が90度の場合について説明する。欠陥のない板状体(1)については、輝度がゼロの均一な画像が得られた。異物の付着した板状体(2)は、異物が付着していない部分でも、異物が付着した部分でも、輝度がゼロとなるため、輝度がゼロの均一な画像が得られた。したがって、板状体(2)の欠陥は検出できなかった。また、板状体(3)〜板状体(5)については、干渉縞が観察された。したがって、板状体(3)〜板状体(5)の欠陥は検出できた。
【0102】
次に、直線偏光子2の透過軸と直線偏光子6の透過軸とのなす角度が100度の場合について説明する。欠陥のない板状体(1)については、輝度が均一な画像が得られた。異物の付着した板状体(2)については、全体が暗い画像であるため黒点を検出することは困難であった。したがって、板状体(2)の欠陥は検出できなかった。キズのついた板状体(3)については、全体が暗い画像であるため輝度が不均一な部分や干渉縞を検出することは困難であった。したがって、板状体(3)の欠陥は検出できなかった。また、板状体(4)および板状体(5)については、全体が暗い画像であるため干渉縞を検出することは困難であった。したがって、板状体(4)および板状体(5)の欠陥は検出できなかった。
【0103】
次に、直線偏光子2の透過軸と直線偏光子6の透過軸とのなす角度が180度の場合について説明する。欠陥のない板状体(1)については、輝度が均一な画像が得られた。異物の付着した板状体(2)については、黒点が検出された。したがって、板状体(2)の欠陥は検出できた。キズのついた板状体(3)については、輝度が不均一な画像が得られた。したがって、板状体(3)の欠陥は検出できた。また、板状体(4)および板状体(5)については、干渉縞のコントラストが低く輝度がほぼ均一な画像が得られた。したがって、板状体(4)および板状体(5)の欠陥は検出できなかった。
(比較例7)
図8は本発明の比較例7に係る板状体Pの欠陥検出装置の概略構成図である。本比較例に係る欠陥検出装置は、以下に示す構成以外は、実施例3に係る欠陥検出装置と同様の構成を有している。図8では、図4と共通する構成については同様の符号を付している。
【0104】
本比較例に係る欠陥検出装置では、図4に示した欠陥検出装置の円偏光子3を設けていない。
【0105】
図8に示した欠陥検出装置によって板状体Pの欠陥の有無の判別を行った。当該欠陥検出装置のカメラ11よって撮像された画像を用いて板状体Pの欠陥の検出を行った。
【0106】
検査対象物である板状体Pには、実施例1と同様の板状体(1)〜板状体(5)を複数枚ずつ用意した。
【0107】
その結果、欠陥のない板状体(1)については、輝度が均一な画像が得られた。異物の付着した板状体(2)については、黒点が検出された。したがって、板状体(2)の欠陥は検出できた。キズのついた板状体(3)については、輝度が不均一な画像が得られた。したがって、板状体(3)の欠陥は検出できた。また、板状体(4)および板状体(5)については、干渉縞のコントラストが低く輝度がほぼ均一な画像が得られた。したがって、板状体(4)および板状体(5)の欠陥は検出できなかった。
(比較例8)
比較例8では、比較例7と同様の板状体Pの欠陥検出装置を用いた。したがって、本比較例も図8を参照して説明する。
【0108】
比較例7では検査対象物である板状体Pに両面が鏡面であるものを使用したが、本比較例では板状体Pに、一方の面が鏡面であり、他方の面が粗面であるものを使用した。板状体Pの粗面は、十点測定における平均粗さがRzJIS規格で20から25μmまでとなるように形成した。
【0109】
図8に示した板状体Pの欠陥検出装置によって板状体Pの欠陥の有無の判別を行った。当該欠陥検出装置のカメラ11よって撮像された画像を用いて板状体Pの欠陥の検出を行った。
【0110】
検査対象物である板状体Pには、実施例1と同様の板状体(1)〜板状体(5)を複数枚ずつ用意した。
【0111】
その結果、欠陥のない板状体(1)については、輝度が均一な画像が得られた。異物の付着した板状体(2)については、黒点が検出された。したがって、板状体(2)の欠陥は検出できた。キズのついた板状体(3)については、輝度が不均一な画像が得られた。したがって、板状体(3)の欠陥は検出できた。また、板状体(4)および板状体(5)については、干渉縞のコントラストが低く輝度がほぼ均一な画像が得られた。したがって、板状体(4)および板状体(5)の欠陥は検出できなかった。
(まとめ)
表1は、以上の結果をまとめたものである。実施例1〜4ではいずれの欠陥も良好に検出することができた。一方、比較例1〜8ではいずれも良好に検出できない欠陥があった。
【0112】
【表1】

【符号の説明】
【0113】
1 光源
2 直線偏光子
3 円偏光子
3a 直線偏光子
3b 1/4波長板
P 板状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光弾性を有する板状体に光を透過させることにより、該板状体の欠陥を検出する欠陥検出装置において、
前記板状体より前に光が透過する第1の直線偏光子と、前記板状体より後に光が透過する1/4波長板と、該1/4波長板より後に光が入射し、透過軸が前記1/4波長板の遅相軸に対して45度傾いている第2の直線偏光子と、を有することを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項2】
前記第1の直線偏光子と前記第2の直線偏光子との少なくとも一方が、光の入射面に直交する軸を中心に回転可能であり、かつ前記1/4波長板と前記第2の直線偏光子の位相は一定である、請求項1に記載の欠陥検出装置。
【請求項3】
前記第2の直線偏光子を透過した光を撮像するカメラを有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の欠陥検出装置。
【請求項4】
光弾性を有する板状体に光を透過させることにより、該板状体の欠陥を検出する欠陥検出方法において、
第1の直線偏光子に光を入射させる第1段階と、該1段階の後に、板状体に光を入射させる第2段階と、該第2段階の後に、1/4波長板と第2の直線偏光子とを備えた円偏光子に、前記1/4波長板の側から光を入射させる第3段階と、を含むことを特徴とする欠陥検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−198032(P2012−198032A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60611(P2011−60611)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】