説明

板状構造体

【課題】延長の短い材料を利用しても強固に一体化することが可能であり、軟弱地盤における盛土の基礎だけでなく、構造物の部材としても使用可能な板状構造体の提供。
【解決手段】同じ向きとされた複数の柱状材料11aが同一面内に敷き詰められて形成された外側構成層11と、外側構成層11の外側の面に接触させて所定間隔で配置され、その軸方向が当該外側構成層11の複数の柱状材料11aの向きに対して直交する向きで配置された複数の棒状拘束体13と、複数の棒状拘束体13と対向する外側構成層11の外側の面に接触させて所定間隔で配置され、その軸方向が当該外側構成層11の複数の柱状材料11aの向きに対して直交する向きで配置された複数の棒状拘束体13と、複数の棒状拘束体13,13を緊結する複数の緊結体15とを有する板状構造体10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟弱地盤における盛土の基礎や構造物の部材として使用可能な板状構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、軟弱地盤上に盛土などの重量構造物を施工する際に用いられる地盤補強構造体として、特許文献1に記載のものを提案している。図8は、この特許文献1に記載の従来の地盤補強構造体の施工途中の状態を示す斜視図である。図8に示すように、この地盤補強構造体110は、地盤111中に垂直に打設された複数の木製杭112a,113aと、これらの木製杭112a,113aに水平状態に積層して係止された第1木製筏構造体114および第2木製筏構造体116とを備えている。
【0003】
なお、図示しないが、木製杭112a,113aはそれぞれ一定方向に沿って互いに隣接するように複数打設され、これによって左外縁の縦列杭構造体112と、右外縁の縦列杭構造体113とが形成されている。第1層木製筏構造体114は、縦列杭構造体112,113を横断する方向に配置された複数の主桁木材114aと、これらの間を埋めるように敷設された複数の間詰め木材114bとで形成されている。第2層木製筏構造体116は、主桁木材114aと直交方向に配置された複数の主桁木材116aと、これらの間を埋めるように敷設された複数の間詰め木材116bとで形成されている。
【0004】
また、第2層木製筏構造体116の上には、主桁木材114aと同方向に複数の主桁木材118aが配置され、これらの主桁木材118aの間に複数の間詰め木材(図示せず。)が敷設されることによって、第1木製筏構造体114と同様の第3木製筏構造体(図示せず。)が形成されている。主桁木材114a,116a,118aには長さ、直径および材質などが所定の基準で選別、管理された木材が使用され、間詰め木材114b,116bには木材の種類、材質、形状、サイズなどが特に限定されることなく、様々な木材が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3939320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記地盤補強構造体では、長さ、直径および材質などが所定の基準で選別、管理された木材を主桁木材として使用することで、これらの主桁木材の間の種類、材質、形状、サイズなどが特に限定されることのない様々な木材である間詰め木材と一体化しているが、この地盤補強構造体を強固に一体化するためには、延長の長い高価な木材を主桁木材として使用する必要があり、コストアップの原因となっている。
【0007】
そこで、本発明においては、延長の短い材料を利用しても強固に一体化することが可能であり、軟弱地盤における盛土の基礎だけでなく、構造物の部材としても使用可能な板状構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の板状構造体は、同じ向きとされた複数の柱状材料が同一面内に敷き詰められて形成された外側構成層と、外側構成層の外側の面に接触させて所定間隔で配置される複数の第1の棒状拘束体であり、その軸方向が当該外側構成層の複数の柱状材料の向きに対して直交する向きで配置された複数の第1の棒状拘束体と、複数の第1の棒状拘束体と対向する外側構成層の外側の面に接触させて所定間隔で配置される複数の第2の棒状拘束体であり、その軸方向が当該外側構成層の複数の柱状材料の向きに対して直交する向きで配置された複数の第2の棒状拘束体と、複数の第1の棒状拘束体と複数の第2の棒状拘束体とを緊結する複数の緊結体とを有するものである。
【0009】
本発明によれば、同じ向きとされて同一面内に敷き詰められた複数の柱状材料が、第1の棒状拘束体と第2の棒状拘束体とによって挟持され、複数の緊結体により緊結されて固定され、強固に一体化された板状構造体が得られる。この板状構造体は、曲げ力に対して第1の棒状拘束体および第2の棒状拘束体によって抵抗するので、外側構成層を構成する柱状材料として延長の短い材料を利用することが可能である。
【0010】
また、本発明の板状構造体において、外側構成層は2つであり、この2つの外側構成層の間に、2つの外側構成層の少なくとも一方の複数の柱状材料の向きに対して直交する向きで複数の柱状材料が敷き詰められて形成された内側構成層を有するものであることが望ましい。
【0011】
これにより、内側構成層は、その柱状材料の向きに対して直交する向きで敷き詰められた少なくとも一方の外側構成層と、その柱状材料の向きに対して直交する向きで配置された第1の棒状拘束体または第2の棒状拘束体とによって挟持され、複数の緊結体により緊結されて固定されるので、強固に一体化された板状構造体が得られる。
【0012】
また、内側構成層は複数であることが望ましい。これにより、板状構造体全体の厚さを増し、曲げ力に対してさらに強い板状構造体が得られる。
【0013】
また、複数の第1の棒状拘束体および複数の第2の棒状拘束体は同じ向きかつ外側構成層を挟んで対向する位置に配置されたものであることが望ましい。これにより、外側構成層を挟んで対向する位置に配置された棒状拘束体同士を緊結体により容易に緊結することが可能となる。また、曲げ力に対して第1および第2の棒状拘束体の両方が同じ向きで抵抗するので、一方向の曲げ力に対して特に強い板状構造体が得られる。
【0014】
あるいは、複数の第1の棒状拘束体および複数の第2の棒状拘束体は互いに直交する向きに配置されたものであることが望ましい。これにより、互いに直交する向きで曲げ力に対して抵抗する板状構造体が得られる。
【0015】
また、棒状拘束体は、形鋼材であることが望ましい。これにより、複数の柱状材料が簡単な構成で強固に一体化された板状構造体を得ることができる。
【0016】
あるいは、棒状拘束体は、複数の第1柱状材料が平行に並べて配置され、かつ、複数の第2柱状材料が軸方向に隣り合う少なくとも2つの第1柱状材料を共に挟み込むように橋渡しされて配置され、複数の第1柱状材料および複数の第2柱状材料の隣接部分で固定されたものであることが望ましい。
【0017】
本発明によれば、複数の第1柱状材料および複数の第2柱状材料の組み合わせにより棒状拘束体を構成して、複数の柱状材料が強固に一体化された板状構造体を得ることができ、棒状拘束体としても延長の短い材料を利用することが可能となる。
【0018】
ここで、複数の第1柱状材料および第2柱状材料は軸方向に所定間隔で配置されたものであることが望ましい。これにより、所定間隔を設けた分だけ材料使用量が減り、板状構造体の総重量を削減することができる。
【0019】
また、複数の第1柱状材料および複数の第2柱状材料の隣接部分に橋渡しされ、複数の緊結体により外側構成層とともに緊結される複数の受圧板を有することが望ましい。これにより、第1および第2の棒状拘束体により挟持する複数の柱状材料の締め付け力を受圧板によって分散することができる。
【0020】
また、本発明の板状構造体は、延長の短い材料を利用することが可能であるため、柱状材料として間伐材を用いることができる。
【発明の効果】
【0021】
(1)同じ向きとされた複数の柱状材料が同一面内に敷き詰められて形成された外側構成層と、外側構成層の外側の面に接触させて所定間隔で配置される複数の第1の棒状拘束体であり、その軸方向が当該外側構成層の複数の柱状材料の向きに対して直交する向きで配置された複数の第1の棒状拘束体と、複数の第1の棒状拘束体と対向する外側構成層の外側の面に接触させて所定間隔で配置される複数の第2の棒状拘束体であり、その軸方向が当該外側構成層の複数の柱状材料の向きに対して直交する向きで配置された複数の第2の棒状拘束体と、複数の第1の棒状拘束体と複数の第2の棒状拘束体とを緊結する複数の緊結体とを有することにより、柱状材料として延長の短い材料を利用しても、強固に一体化された板状構造体が得られる。これにより、軟弱地盤における盛土の基礎だけでなく、構造物の部材としても使用可能な低コストの板状構造体が得られる。
【0022】
(2)外側構成層は2つであり、この2つの外側構成層の間に、2つの外側構成層の少なくとも一方の複数の柱状材料の向きに対して直交する向きで複数の柱状材料が敷き詰められて形成された内側構成層を有するものであることにより、内側構成層は、その柱状材料の向きに対して直交する向きで敷き詰められた少なくとも一方の外側構成層と、その柱状材料の向きに対して直交する向きで配置された第1の棒状拘束体または第2の棒状拘束体とによって挟持され、複数の緊結体により緊結されて固定されるので、強固に一体化された板状構造体が得られる。
【0023】
(3)内側構成層が複数であることにより、板状構造体全体の厚さを増し、曲げ力に対してさらに強い板状構造体が得られる。
【0024】
(4)複数の第1の棒状拘束体および複数の第2の棒状拘束体が同じ向きかつ外側構成層を挟んで対向する位置に配置されたものであることにより、外側構成層を挟んで対向する位置に配置された棒状拘束体同士を緊結体により容易に緊結することが可能となり、板状構造体の組立が容易に行える。また、曲げ力に対して第1および第2の棒状拘束体の両方が同じ向きで抵抗するので、一方向の曲げ力に対して特に強い板状構造体が得られる。
【0025】
(5)複数の第1の棒状拘束体および複数の第2の棒状拘束体が互いに直交する向きに配置されたものであることにより、互いに直交する向きで曲げ力に対して抵抗する板状構造体が得られる。
【0026】
(6)棒状拘束体が形鋼材であることにより、複数の柱状材料が簡単な構成で強固に一体化された板状構造体を得ることができる。
【0027】
(7)棒状拘束体が、複数の第1柱状材料が平行に並べて配置され、かつ、複数の第2柱状材料が軸方向に隣り合う少なくとも2つの第1柱状材料を共に挟み込むように橋渡しされて配置され、複数の第1柱状材料および複数の第2柱状材料の隣接部分で固定されたものであることにより、複数の第1柱状材料および複数の第2柱状材料の組み合わせにより棒状拘束体を構成して、複数の柱状材料が強固に一体化された板状構造体を得ることができ、棒状拘束体としても延長の短い材料を利用することが可能となる。
【0028】
(8)複数の第1柱状材料および第2柱状材料が軸方向に所定間隔で配置されたものであることにより、材料使用量を減らして、板状構造体の総重量を削減することができる。
【0029】
(9)複数の第1柱状材料および複数の第2柱状材料の隣接部分に橋渡しされ、複数の緊結体により外側構成層とともに緊結される複数の受圧板を有することにより、第1および第2の棒状拘束体により挟持する複数の柱状材料の締め付け力を受圧板によって分散することができるため、全体をより均一に締め付けた板状構造体が得られる。
【0030】
(10)棒状材料として間伐材を用いることができるので、間伐材の再利用が可能となり、環境保護に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態における板状構造体を用いた地盤補強構造を示す斜視図である。
【図2】図1の板状構造体の分解斜視図である。
【図3】図1に示す地盤補強構造を構成する列杭構造体を示す斜視図である。
【図4】本発明の板状構造体の別の実施形態を示す分解斜視図である。
【図5】本発明の板状構造体の別の実施形態を示す分解斜視図である。
【図6】本発明の板状構造体の別の実施形態を示す分解斜視図である。
【図7】本発明の板状構造体の別の実施形態を示す分解斜視図である。
【図8】従来の地盤補強構造体の施工途中の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は本発明の実施の形態における板状構造体を用いた地盤補強構造を示す斜視図、図2は図1の板状構造体の分解斜視図、図3は図1に示す地盤補強構造を構成する列杭構造体を示す斜視図である。
【0033】
図1において、本発明の実施の形態における地盤補強構造1は、地下水位Wより高位の地表面上あるいは掘削平面上に構築され、構築後の圧密沈下や地下水位回復により、地下水位Wより低位の地盤中に維持されるものである。地盤補強構造1は、地盤2中に垂直に打設された複数の木製杭3a,4aと、これらの木製杭3a,4aに水平状体に積層して係止される板状構造体10とから構成される。
【0034】
板状構造体10は、図2に示すように、複数の柱状材料11aにより形成される外側構成層11と、複数の柱状材料12aにより形成される内側構成層12と、複数の柱状材料13a,13bおよび受圧板13cにより形成される複数の棒状拘束体13,14とから構成されている。
【0035】
なお、本実施形態においては、柱状材料11a,12a,13a,13bは、長さ3.0〜5.0m程度の円柱状や角柱状などの短い柱状の木材を使用しているが、材料の種類、材質、形状やサイズなどは特に限定されず、様々な材料を使用することが可能である。
【0036】
外側構成層11は、同じ向きとされた複数の柱状材料11aが、同一面内に敷き詰められて形成されている。内側構成層12は、このように柱状材料11aが敷き詰められた面と平行な面内で、柱状材料11aの配置方向に対して直交方向に同じ向きとされた複数の柱状材料12aが敷き詰められて形成されている。板状構造体10は、この内側構成層12を2層に積層して、上下2つの外側構成層11により挟み込み、さらに棒状拘束体13,14によって挟み込んで固定したものである。
【0037】
棒状拘束体13,14は、複数の柱状材料13aおよび柱状材料13bを複数の受圧板13cおよび緊結体15によって固定したものである。棒状拘束体13は、上側の外側構成層11の外側の面すなわち上面に接触させて所定間隔で複数配置される。棒状拘束体14は、棒状拘束体13と対向する下側の外側構成層11の外側の面すなわち下面に接触させて所定間隔で配置される。また、これらの棒状拘束体13,14は、その軸方向がそれぞれ接触する外側構成層11の複数の柱状材料11aの向きに対して直交する向きで配置される。
【0038】
すなわち、これらの棒状拘束体13,14を構成する柱状材料13aは、柱状材料11aの配置された面に沿って、その軸方向が柱状材料11aの向きに対して直交する向きで2本ずつ並べて配置されている。また、この柱状材料13aは、その軸方向に隙間13dを設けて所定間隔で配置されている。
【0039】
また、棒状拘束体13には、柱状材料13bが、軸方向に隣り合う柱状材料13aを共に挟み込むように両側にそれぞれ2本ずつ橋渡されて配置されている。この柱状材料13bも柱状材料13aと同様に、軸方向に隙間13eを設けて所定間隔で配置されている。そして、これらの柱状材料13aと柱状材料13bの隣接部分が受圧板13cおよび緊結体15により固定されている。
【0040】
受圧板13cは、複数の柱状材料13aおよび複数の柱状材料13bの隣接部分に橋渡しされ、複数の緊結体15により外側構成層11および内側構成層12とともに緊結される。受圧板13cは、図示した溝形鋼の他、山形綱などの形鋼材により形成される。緊結体15は、ボルトおよびナットなどの引っ張り材やロープなどを利用することが可能である。
【0041】
また、図1に示す木製杭3a,4aは、図3に示すように、それぞれ一定方向に沿って互いに隣接するように複数打設されている。これによって、左外縁の縦列杭構造体3と、右外縁の縦列杭構造体4とが形成されている。また、左右の縦列杭構造体3,4の間には、これらの縦列杭構造体3,4を横断する方向に沿って複数の木製杭5aを互いに隣接させて打設することにより、複数の横列杭構造体5が一定間隔ごとに形成されている。板状構造体10は、これらの縦列杭構造体3,4および横列杭構造体5に係止される。
【0042】
このような構成の板状構造体10は、地下水位より低位の地盤中において、引張力や曲げ力に抵抗する比較的剛性の高いスラブとしての機能を発揮するので、この後に施工される盛土に伴う滑り破壊ならびに不等沈下や段差の発生などを抑制する効果が得られる。また、板状構造体10は、一般の盛土材料に比較して軽量であるため、盛土荷重の軽減効果が得られる。さらに、滑り破壊に対する安全性が高いため、盛土の急速施工が可能となる。その上、この板状構造体10は、延長の短い柱状の木材を使用しているため、低コストである。
【0043】
また、この板状構造体10は、複数の外側構成層11と、この複数の外側構成層11の間に挟まれて配置された複数の内側構成層12とが、複数の柱状材料13a,13bおよび複数の受圧板13cにより形成される棒状拘束体13によって挟み込んで固定されるため、柱状材料11a,12a,13a,13bとして延長の短い材料を利用しても、強固に一体化されている。また、この板状構造体10では、内側構成層12が複数であることにより、板状構造体10全体のい厚さを増し、曲げ力に対してさらに強いものとなる。
【0044】
特に、この板状構造体10では、柱状材料13a,13bは軸方向に隙間13d,13eを設けて所定間隔で配置されるため、この隙間13d,13eに相当する分だけ材料使用量を減らすことができ、板状構造体10の総重量が削減されている。
【0045】
また、この板状構造体10では、複数の受圧板13cが、柱状材料13a,13bに橋渡しされ、複数の緊結体により外側構成層11とともに緊結されているため、棒状拘束体13,14により挟持する複数の柱状材料13a,13bの締め付け力が受圧板13cによって互いに分散されており、全体がより均一に締め付けられている。
【0046】
また、この板状構造体10は、柱状材料11a,12a,13a,柱状材料13bが木材により構成されており、地下水中に浸漬された状態であれば、腐食や材料劣化の進行が極めて緩慢である。このため、構築後の圧密沈下や地下水位回復により、地下水位以下の地盤中に維持された板状構造体10は、施工後の耐久性も極めて良好である。また、木材として間伐材を再利用することも可能である。
【0047】
また、この板状構造体10は、複数の木製杭3a,4a,5aを地中に垂直に打設した後、これらの木製杭3a,4a,5aにより形成された縦列杭構造体3,4および横列杭構造体5上に構築すれば良いので、特殊な機械や高度の熟練技術を必要とせず、比較的短期間で地盤補強構造1を構築することができる。また、天然素材である木材は地中に有害成分を放出することもないので、自然環境に悪影響を及ぼすこともない。
【0048】
なお、この板状構造体10は、上述のように木製杭3a,4a等と組み合わせて軟弱地盤における盛土の基礎(浮き基礎)として使用するだけでなく、外側構成層11と内側構成層12とが強固に一体化された板状構造体10であるため、この板状構造体10単体で様々な構造物の部材として使用することが可能である。
【0049】
また、本実施形態における板状構造体10は、外側構成層11と内側構成層12とをそれぞれ2層ずつとしたものであるが、外側構成層11により挟み込まれる内側構成層12は1層とすることも可能であり、3層以上とすることも可能である。また、内側構成層12の間に、さらに内側構成層を挟み込んだ構成とすることも可能である。
【0050】
そして、棒状拘束体13の延長方向と同じ方向に柱状材料11aの軸方向を合わせた内側構成層12の層数を増やした場合には曲げ剛性が大きくなるので、要求される曲げ剛性に応じて層数を調整することが可能である。また、棒状拘束体13の間隔を大きくすると曲げ剛性は小さくなる。さらに、棒状拘束体13すなわち外側構成層11による内側構成層12の締め付け度を小さくすると曲げ剛性は小さくなるので、この棒状拘束体13の締め付け度や棒状拘束体13の間隔を調整することで曲げ剛性を調整することが可能である。
【0051】
次に、本発明の板状構造体の別の実施形態について説明する。図4〜図7は本発明の板状構造体の別の実施形態を示している。なお、以下の説明において、図1および図2の板状構造体10と共通の構成部分については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0052】
図4は棒状拘束体16,17として溝形鋼を用いた板状構造体10aを示している。棒状拘束体16,17は、それぞれが接触する外側構成層11の複数の柱状材料11aの向きに対して直交する向きで配置されたものであり、棒状拘束体16,17は同じ向きかつ外側構成層11を挟んで対向する位置に配置されている。棒状拘束体16と棒状拘束体17とは複数の緊結体15によって緊結されている。
【0053】
このような構成の板状構造体10aにおいても、前述の板状構造体10と同様、柱状材料として延長の短い材料を利用することが可能であり、強固に一体化された板状構造体10aが得られる。これにより、軟弱地盤における盛土の基礎だけでなく、構造物の部材としても使用可能な低コストの板状構造体10aが得られる。なお、棒状拘束体16,17は溝形鋼に代えて山形鋼やH形鋼などの別の形鋼材を用いることも可能である。
【0054】
また、この板状構造体10では、外側構成層11を挟んで対向する位置に配置された溝形鋼からなる棒状拘束体16,17同士を緊結体15により容易に緊結することが可能であり、組立が容易に行える。また、曲げ力に対して棒状拘束体16,17の両方が同じ向きで抵抗するので、一方向の曲げ力に対して特に強いものとなる。
【0055】
次に、図5は内側構成層12を1層とした板状構造体10bを示している。この板状構造体10bにおいても、棒状拘束体16,17は、それぞれが接触する外側構成層11の複数の柱状材料11aの向きに対して直交する向きで配置されたものであり、棒状拘束体16,17は同じ向きかつ外側構成層11を挟んで対向する位置に配置されている。これにより、板状構造体10aと同様、柱状材料として延長の短い材料を利用することが可能であり、強固に一体化された板状構造体10bが得られる。
【0056】
図6は内側構成層12を省略し、外側構成層11を1層のみとした板状構造体10cを示している。この板状構造体10cにおいても、棒状拘束体16,17は、それぞれが接触する外側構成層11の複数の柱状材料11aの向きに対して直交する向きで配置されたものであり、棒状拘束体16,17は同じ向きかつ外側構成層11を挟んで対向する位置に配置されている。これにより、板状構造体10aと同様、柱状材料として延長の短い材料を利用することが可能であり、強固に一体化された板状構造体10cが得られる。
【0057】
図7は内側構成層12を省略し、2層の外側構成層18a,18bとした板状構造体10dを示している。なお、この板状構造体10dでは、外側構成層18a,18bは、それぞれの柱状材料11aが互いに直交する向きで配置されたものである。この板状構造体10dにおいても、棒状拘束体19,17は、それぞれが接触する外側構成層18a,18bの複数の柱状材料11aの向きに対して直交する向きで配置されている。すなわち、棒状拘束体19,17は互いに直交する向きに配置されている。
【0058】
そして、これらの棒状拘束体19,17は、外側構成層18a,18bを挟んで上下で立体交差する位置で、複数の緊結体15によって緊結されている。このように、棒状拘束体19,17が互いに直交する向きに配置されたものであることにより、互いに直交する向きで曲げ力に対して抵抗する板状構造体10dが得られる。
【0059】
また、このように、それぞれの柱状材料11aが互いに直交する向きで配置された板状構造体10dであっても、その2つの外側構成層18a,18bの間に内側構成層12を配置した構成とすることが可能である。この場合、内側構成層12は、いずれか一方の複数の柱状材料11aの向きに対して直交する向きで複数の柱状材料12aが敷き詰められたものとする。
【0060】
この場合であっても、内側構成層12は、その柱状材料12aの向きに対して直交する向きで柱状材料11aが敷き詰められた一方の外側構成層18aまたは外側構成層18bと、その柱状材料11aの向きに対して直交する向きで配置された棒状拘束体19または棒状拘束体17とによって挟持され、複数の緊結体15により緊結されて固定されるので、強固に一体化された板状構造体が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の板状構造体は、軟弱地盤における盛土の基礎や構造物の部材として有用である。
【符号の説明】
【0062】
1 地盤補強構造
2 地盤
3,4 縦列杭構造体
5 横列杭構造体
3a,4a,5a 木製杭
10,10a,10b,10c,10d 板状構造体
11,18a,18b 外側構成層
11a,12a,13a,13b 柱状材料
12 内側構成層
13,14,16,17,19 棒状拘束体
13c 受圧板
13d,13e 隙間
15 緊結体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ向きとされた複数の柱状材料が同一面内に敷き詰められて形成された外側構成層と、
前記外側構成層の外側の面に接触させて所定間隔で配置される複数の第1の棒状拘束体であり、その軸方向が当該外側構成層の複数の柱状材料の向きに対して直交する向きで配置された複数の第1の棒状拘束体と、
前記複数の第1の棒状拘束体と対向する前記外側構成層の外側の面に接触させて所定間隔で配置される複数の第2の棒状拘束体であり、その軸方向が当該外側構成層の複数の柱状材料の向きに対して直交する向きで配置された複数の第2の棒状拘束体と、
前記複数の第1の棒状拘束体と前記複数の第2の棒状拘束体とを緊結する複数の緊結体と
を有する板状構造体。
【請求項2】
前記外側構成層は2つであり、
この2つの外側構成層の間に、前記2つの外側構成層の少なくとも一方の複数の柱状材料の向きに対して直交する向きで複数の柱状材料が敷き詰められて形成された内側構成層を有する請求項1記載の板状構造体。
【請求項3】
前記内側構成層は複数である請求項2記載の板状構造体。
【請求項4】
前記複数の第1の棒状拘束体および複数の第2の棒状拘束体は同じ向きかつ前記外側構成層を挟んで対向する位置に配置されたものである請求項1から3のいずれかに記載の板状構造体。
【請求項5】
前記複数の第1の棒状拘束体および複数の第2の棒状拘束体は互いに直交する向きに配置されたものである請求項1から3のいずれかに記載の板状構造体。
【請求項6】
前記棒状拘束体は、形鋼材である請求項1から5のいずれかに記載の板状構造体。
【請求項7】
前記棒状拘束体は、複数の第1柱状材料が平行に並べて配置され、かつ、複数の第2柱状材料が軸方向に隣り合う少なくとも2つの前記第1柱状材料を共に挟み込むように橋渡しされて配置され、前記複数の第1柱状材料および複数の第2柱状材料の隣接部分で固定されたものである請求項1から6のいずれかに記載の板状構造体。
【請求項8】
前記複数の第1柱状材料および第2柱状材料は軸方向に所定間隔で配置されたものである請求項7記載の板状構造体。
【請求項9】
前記複数の第1柱状材料および複数の第2柱状材料の隣接部分に橋渡しされ、前記複数の緊結体により前記外側構成層とともに緊結される複数の受圧板を有する請求項7または8に記載の板状構造体。
【請求項10】
前記柱状材料は間伐材である請求項1から9のいずれかに記載に板状構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−32682(P2011−32682A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178176(P2009−178176)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(597104053)日本建設技術株式会社 (24)
【Fターム(参考)】