説明

板状沈降炭酸カルシウムの合成法

板状PCCを製造する方法であって、水酸化カルシウムの縣濁物を用意し、該水酸化カルシウムの縣濁物を炭酸化し、炭酸化が完了するに前に、該縣濁物に縮合リン酸塩を加えて、板状炭酸カルシウムを沈降させる段階を含む方法。本発明に従う板状PCCを使用するところの、充填された紙がまた提供され、かつ被覆された紙及び充填されたポリマーが意図される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
必要とされるものは使用するために経済的であるところの板状沈降炭酸カルシウム(PCC)を製造するための新規な方法である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明は、該方法及び該方法により製造される生成物を提供する。本明細書に開示されているものは、水酸化カルシウムの水性縣濁物を用意し、該水酸化カルシウムの縣濁物、いわゆるスラリーを炭酸化し、炭酸化が完了する前に、該スラリーに縮合リン酸塩を加えて、板状炭酸カルシウムを沈降させる段階を有する、板状PCCを製造するための方法である。この方法により製造される板状PCCで充填される紙がまた提供される。加えて、本発明に従って作られる板状PCCが紙のためのコーティング又はポリマーのためのフィラーとして使用され得ることが意図される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0003】
該方法により製造された生成物は典型的には、約0.4ミクロン〜約1.0ミクロンの幅及び0.10ミクロン未満〜約0.25ミクロンの厚さ、並びに約8〜約42平方メートル/グラムの比表面積を有するPCCの小板を含む。
【0004】
下記の実施例6に開示されているような本発明に従って作られた例示的な板状沈降炭酸カルシウムの10,000X倍率における顕微鏡写真が図1に示されている。
【0005】
本発明に従う実質的に板状モルホロジーの寸法特性及び幅及び厚さが測定されたところの方法を説明するPCC粒子の概略図が図2に示されている。
【0006】
本発明の上記板状PCCは、縮合リン酸塩の添加が、水性の水酸化カルシウム縣濁物、即ちスラリーの炭酸化の間に生ずるところの方法により作られ得ることが分かった。要するに、本発明の板状PCCを製造するための方法は、好ましくはポリリン酸塩又はメタリン酸塩等の形態における縮合リン酸塩の存在下に水酸化カルシウムの水性縣濁液を二酸化炭素と反応することを含む。本発明の一態様において、縮合リン酸塩は、炭酸化反応の開始後かつ完了前に提供される。
【0007】
他の更なる特定の態様において、本発明に従う方法は、水を加えて生石灰(CaO)を消化して、約0.09グラム水酸化カルシウム/ミリリットル(ml)〜約0.14グラム水酸化カルシウム/ミリリットル(ml)スラリー、かつ他の態様において、約0.11グラム水酸化カルシウム/ml〜約0.13グラム水酸化カルシウム/mlスラリーの濃度を持つ、水性の水酸化カルシウム縣濁物即ちスラリーを形成する段階を含む。出発炭酸化温度は、約8℃〜約18℃の間の範囲にあり得、ここで、約10℃〜約18℃の間の温度が本発明の他の態様であり、かつ約12℃〜約18℃の間の温度が本発明のなお更なる態様である。
【0008】
CO2ガスが水酸化カルシウムスラリーに加えられて炭酸化反応を開始する。炭酸化時間は約100分間〜約150分間であり、これは典型的には、約0.0022リットル〜約0.0033リットルCO2/分/グラム水酸化カルシウムのガス流速を要求する。炭酸化のための二酸化炭素の性質は特に重要ではなく、かつ純粋な二酸化炭素又は窒素若しくは空気中の二酸化炭素の混合物を提供されてよい。同様に、出発水酸化カルシウムスラリー源の性質は重要ではない。炭酸化ガス、水及び生石灰の純度は本質的に最終生成物の純度を決定する。
【0009】
炭酸化の間、反応混合物の電気伝導度が、伝導度メーター又はセル、例えば、Cole-ParmerInstrument Company, Vernon Hills, IL or Extech Instruments Corporation,Waltham, マサチューセッツ州から市販されているものを使用することにより測定される。炭酸化の間の反応混合物が伝導度の突然の特徴的低下を開始するとき、スラリーへの縮合リン酸塩の添加が開始される。本明細書において使用された伝導度は、水性スラリーの電気伝導性を言い、これは、水性相におけるイオン(例えば、Ca2+、OH)の存在による。炭酸化プロセスの間になされる測定は実際には比伝導度であり、これは、スラリーの1センチメートル(cm)を通る水性スラリーの電気伝導度の測定である。比伝導度の単位はミリジーメンス/センチメートル(mS/cm)である。縮合リン酸塩添加がなされるところにおける伝導度の低下は、伝導度が約0.02〜約0.04ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)の速度で減少するときに生ずる。典型的には伝導度のこの減少は、CaCO3への水酸化カルシウムのスラリー転化が約60%〜約70%の完了のときに生ずる。滴定は、約60%〜約70%の水酸化カルシウムが炭酸カルシウムに転化されたときを測定する一つの方法である。
【0010】
本発明の更なる態様において、縮合リン酸塩は、乾燥PCC収量に基づいて少なくとも約1.25重量%の乾燥縮合リン酸塩の範囲の量、かつ他の態様において、乾燥PCC収量に基づいて少なくとも約3重量%の乾燥縮合リン酸塩の範囲の量で水性溶液として水酸化カルシウムスラリーに加えられる。本発明において使用され得るところの縮合リン酸塩は、ポリリン酸塩及びメタリン酸塩等を含み、これは通常、金属イオン封鎖剤、解こう剤、洗浄促進剤、分散剤、乳化剤、食品添加剤、縣濁剤、セラミックス成分として、かつ耐火物として使用され、かつトリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム及びトリメタリン酸ナトリウムを含む。トリポリリン酸ナトリウムはNaP3O10の式を有し、かつまた通常、STPP、STP、ペンタナトリウムトリホスフェート、ナトリウムトリホスフェート、及びトリリン酸と言われる。ヘキサメタリン酸ナトリウムは、Na(n+2)PO(3n+1)の一般式を有し、ここで、n=6〜21である。ヘキサメタリン酸ナトリウムはまた通常、SHMP、グラハムの塩、リン酸ナトリウムガラス、ガラス状ヘキサメタリン酸ナトリウム、ガラス状リン酸ナトリウム、及びガラス状酸性メタリン酸ナトリウムと言われる。トリメタリン酸ナトリウムは(NaPO)の式を有する。トリメタリン酸ナトリウムはまた通常、STMP及びメタリン酸三ナトリウムと言われる。
【0011】
上記のように、本発明の方法の炭酸化反応は、約8℃〜約18℃の間の温度で開始され、そして約8℃〜約80℃の温度範囲で反応され、ここで、約10℃〜約70℃が典型的であり、かつ約15℃〜約60℃が最も典型的である。出発炭酸化温度が約16℃を超えるとき、クエン酸が、板状PCC粒子を形成するために乾燥PCC収量に基づいて最大約0.30重量%のクエン酸量で加えられる。クエン酸はまた、約0.2ミクロン未満の厚さ及びクエン酸を使用しないで製造された板状PCC粒子に優る増加された表面積、殆どの紙適用(例えば、紙充填及び紙コーティング)において所望されるところの性質を有する板状PCC粒子を提供するために炭酸化前の任意のときに水酸化カルシウムスラリーに加えられ得る。水酸化カルシウムスラリーの炭酸化は、炭酸カルシウムへの転化が本質的に完了するまで続けられ、かつ通常、炭酸化されたスラリーのpHが約7.5〜約8.0であるときに終了される。そのような炭酸化は通常、約4時間以下の時間で達成される。好ましい炭酸化時間は約100分間〜約180分間である。更に、COガス流速を変えることにより反応時間が調節され得る。
【0012】
スラリー形態において製造された炭酸カルシウムが紙コーティングにおける使用のために高固体で使用され得、濃縮され得かつ分散され得、あるいは乾燥生成物としての使用のために濾過され、乾燥されかつ粉砕され得る。
【0013】
本発明の生成物は紙の充填剤として特に有用であることが分かり、かつ更に、ポリマー及び塗料の充填剤としてかつ紙コーティング顔料として有用であると考えられる。
【0014】
下記の限定するものではない実施例は、本明細書において考えられた本発明の更に詳細な教示を提供しかつ特定の実施態様を示す。しかし、これらは単に説明目的のためであり、かつ本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。少しの変更及び改変が、本明細書において特に考慮されていないプロセスパラメーター及び成分になされ得ることが認められる。しかし、そのような変更及び改変が、プロセス又は最終生成物を著しく変化させず又は影響を及ぼさない程度まで、そのような変更がまた、請求項により定義されたような発明の範囲内に含まれることが理解されるべきである。
【0015】
下記のように、比表面積は、粒子上にガス分子の単一層として吸着するところの窒素ガスの量に基づいた単位重量当りの粒子表面積を言う。問題の物質のガス吸着性が測定されたなら、次いで、問題の物質の表面積が、Brunauer-Emmett-Teller(BET)の式、Micromeritics Flowsorb 2300 Instruction Manual、1986年を使用して計算される。小板の形状をした粒子の幅及び厚さは、Philips XL-20走査電子顕微鏡を使用して測定された。
【0016】
実施例1:ヘキサメタリン酸ナトリウム添加を伴う4リットル規模における板状PCC
一対のガス分散インペラー及びCO2インジェクション管を備えた4リットルのステンレス鋼製の攪拌反応器が、10分間かつ41℃の初期温度において、210グラム(g)の酸化カルシウム(CaO)を2.1リットルの水と混合するために使用された。攪拌は750回転/分に設定され、かつ1ノルマル(N)の塩酸による滴定により測定された0.12グラム/ミリリットルの水酸化カルシウム濃度を有するスラリーが製造された。
【0017】
水酸化カルシウムスラリーは、1250回転/分に反応容器の回転を増加すると共に15.1℃に冷却された。炭酸化反応は、反応器に0.86リットルCO2/分の速度でCO2ガスを添加することにより開始された。CO2ガスは、15%CO2/85%空気に基づいたガス混合物として添加された。
【0018】
炭酸化反応温度は炭酸化の最初の12分間の間に17℃に保持され、そして次いで制御されなかった。炭酸化反応の89分において、電気伝導度は有意的に低下して、電気伝導度記録に特異的低下を形成した。この低下は、約0.02ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)〜約0.04ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)の速度における電気伝導度の減少に対応する。CO2/空気ガス流が停止され、かつ乾燥PCCに基づいた5.0重量%の乾燥ヘキサメタリン酸ナトリウム量におけるヘキサメタリン酸ナトリウムの水性溶液がスラリーに加えられ、そして該スラリーは更に10分間混合され、そしてそのとき、反応器へのCO2/空気ガスの添加が、0.86リットルCO2/分の速度で再開された。スラリーが8.1のpHに到達したとき、CO2/空気ガス流が停止された。合計の反応時間は151分間であった。
【0019】
最終生成物の顕微鏡写真は、得られた炭酸カルシウム生成物が、図2により、約0.4〜約1.0ミクロン(μm)の幅及び約0.15〜約0.20μmの厚さがある小板を含むことを示した。該生成物のBET比表面積は39.0m/グラムであった。
【0020】
実施例2:ヘキサメタリン酸ナトリウム添加を伴う4リットル規模における板状PCC
実施例1のための上記方法が、炭酸化反応の86分において、電気伝導度が、約0.02ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)〜約0.04ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)の速度における電気伝導度の減少に対応する、電気伝導度記録における特異的低下を形成したことを除いて繰返された。乾燥PCCに基づいた5.0重量%の乾燥ヘキサメタリン酸ナトリウムの水性溶液が、ぜん動ポンプを使用して40分間の時間に亘ってスラリーに連続的に加えられた。また、実施例1との相違は、ヘキサメタリン酸ナトリウムの水性溶液がCO2/空気ガス流を停止することなしにスラリーに加えられたことであった。CO2/空気ガス混合物は、pH8.0までスラリーに加えられた。合計反応時間は141分間であった。
【0021】
最終生成物の顕微鏡写真は、得られた炭酸カルシウム生成物が、図2により、約0.4〜約1.0ミクロン(μm)の幅及び約0.15〜約0.20μmの厚さがある小板を含むことを示した。該生成物のBET比表面積は9.8m/グラムであった。
【0022】
実施例3:ヘキサメタリン酸ナトリウム添加を伴う4リットル規模における板状PCC
実施例1のための上記方法が、乾燥PCC収量に基づいた0.15重量%の乾燥クエン酸が、炭酸化反応を開始前に水酸化カルシウムスラリーに加えられたことを除いて繰返された。炭酸化反応の62分において、電気伝導度が、約0.02ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)〜約0.04ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)の速度における電気伝導度の減少に対応する、電気伝導度記録における特異的低下を形成した。乾燥PCCに基づいた5.0重量%の乾燥ヘキサメタリン酸ナトリウムの水性溶液が、ぜん動ポンプを使用して40分間の時間に亘ってスラリーに連続的に加えられた。実施例2におけるように、ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液が、CO2/空気ガス流を停止することなしにスラリーに加えられた。CO2/空気ガス混合物はpH7.3までスラリーに加えられた。合計反応時間は105分間であった。
【0023】
最終生成物の顕微鏡写真は、得られた炭酸カルシウム生成物が、図2により、約0.4〜約1.0ミクロン(μm)の幅及び0.1未満〜約0.15μmの厚さがある小板であることを示した。該生成物のBET比表面積は15.4m/グラムであった。
【0024】
実施例4:ヘキサメタリン酸ナトリウム添加を伴う4リットル規模における板状PCC
実施例1のための上記方法が、炭酸化反応を開始する前に、乾燥PCC収量に基づいた0.30重量%の乾燥クエン酸の濃度においてクエン酸が水酸化カルシウムスラリーに加えられたことを除いて繰返された。炭酸化反応の75分において、電気伝導度が、約0.02ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)〜約0.04ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)の速度における電気伝導度の減少に対応する、電気伝導度記録における特異的低下を形成した。乾燥PCCに基づいた4.0%の乾燥ヘキサメタリン酸ナトリウムの水溶液が、CO2/空気ガス流を停止することなしにスラリーに5分間の時間に亘って連続的に加えられた。CO2/空気ガスはpH7.6までスラリーに加えられた。合計反応時間は149分間であった。
【0025】
最終生成物の顕微鏡写真は、得られた炭酸カルシウム生成物が、図2により、約0.5〜約1.0ミクロン(μm)の幅及び約0.1〜約0.2μmの厚さがある小板を含むことを示した。該生成物のBET比表面積は42.3m/グラムであった。
【0026】
実施例5:ヘキサメタリン酸ナトリウム添加を伴う4リットル規模における板状PCC
実施例1のための上記方法が、炭酸化反応の70分において、電気伝導度が電気伝導度記録において特異的低下を形成したことを除いて繰返された。ヘキサメタリン酸ナトリウムの水溶液が加えられた。ここで、ヘキサメタリン酸ナトリウムは、乾燥PCCに基づいて3.0重量%の乾燥ヘキサメタリン酸ナトリウム量で提供された。ヘキサメタリン酸ナトリウムの水性溶液がCO2/空気ガス流を停止することなしに加えられた。全体のヘキサメタリン酸ナトリウム溶液は、ぜん動ポンプを使用して5分間の時間に亘って連続的に加えられた。CO2/空気ガス混合物は、反応混合物がpH8.0に達するまで加えられた。合計反応時間は110分間であった。
【0027】
最終生成物の顕微鏡写真は、得られた炭酸カルシウム生成物が、図2により、約0.4〜約1.0ミクロン(μm)の幅及び約0.15〜約0.25μmの厚さがある小板を含むことを示した。該生成物のBET比表面積は27.5m/グラムであった。
【0028】
実施例6:ヘキサメタリン酸ナトリウム添加を伴う4リットル規模における板状PCC
実施例1のための上記方法が、乾燥PCC収量に基づいた0.15重量%の乾燥クエン酸が、炭酸化反応を開始する前に水酸化カルシウムスラリーに加えられたことを除いて繰返された。炭酸化反応の70分において、電気伝導度が、約0.02ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)〜約0.04ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)の速度における電気伝導度の減少に対応する、電気伝導度記録における特異的低下を形成した。乾燥PCCに基づいた3.0%の乾燥ヘキサメタリン酸ナトリウムの水溶液が、CO2/空気ガス流を停止することなしにスラリーに10分間の時間に亘って連続的に加えられた。CO2/空気ガス混合物はpH7.4までスラリーに加えられた。合計反応時間は120分間であった。
【0029】
最終生成物の顕微鏡写真は、得られた炭酸カルシウム生成物が、図2により、約0.4〜約0.9ミクロン(μm)の幅及び約0.1未満〜約0.2μmの厚さがある小板を含むことを示した。該生成物のBET比表面積は25.0m/グラムであった。
【0030】
実施例7:ヘキサメタリン酸ナトリウム添加を伴う4リットル規模における板状PCC
実施例1のための上記方法が、炭酸化反応を開始する前に、乾燥PCC収量に基づいた0.30重量%の乾燥クエン酸が、水酸化カルシウムスラリーに加えられたことを除いて繰返された。炭酸化反応の76分において、電気伝導度が、約0.02ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)〜約0.04ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)の速度における電気伝導度の減少に対応する、電気伝導度記録における特異的低下を形成した。乾燥PCCに基づいた3.0重量%の乾燥ヘキサメタリン酸ナトリウムの水溶液が、CO2/空気ガス流を停止することなしにスラリーに40分間の時間に亘って連続的に加えられた。CO2/空気ガス混合物はpH7.7までスラリーに加えられた。合計反応時間は128分間であった。
【0031】
最終生成物の顕微鏡写真は、得られた炭酸カルシウム生成物が、図2により、約0.5〜約1.0ミクロン(μm)の幅及び約0.1〜約0.15μmの厚さがある小板を含むことを示した。該生成物のBET比表面積は13.6m/グラムであった。
【0032】
実施例8:ヘキサメタリン酸ナトリウム添加を伴う4リットル規模における板状PCC
実施例1のための上記方法が、炭酸化反応の77分において、電気伝導度が、約0.02ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)〜約0.04ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)の速度における電気伝導度の減少に対応する、電気伝導度記録における特異的低下を形成したことを除いて繰返された。乾燥PCCに基づいた2.0%の乾燥ヘキサメタリン酸ナトリウムの水溶液が、CO2/空気ガス流を停止することなしにスラリーに5分間の時間に亘って連続的に加えられた。CO2/空気ガス混合物はpH7.5までスラリーに加えられた。合計反応時間は125分間であった。
【0033】
最終生成物の顕微鏡写真は、得られた炭酸カルシウム生成物が、図2により、約0.5〜約1.0ミクロン(μm)の幅及び約0.15〜約0.25μmの厚さがある小板及び約5〜約12μmであるプリズム状結晶の混合物を含むことを示した。該生成物のBET比表面積は17.9m/グラムであった。
【0034】
実施例9:ヘキサメタリン酸ナトリウム添加を伴う4リットル規模における板状PCC
実施例1のための上記方法が、クエン酸が、炭酸化反応を開始する前に水酸化カルシウムスラリーに加えられたことを除いて繰返された。クエン酸は、乾燥PCC収量に基づいた0.30%の乾燥クエン酸量で提供された。炭酸化反応の78分において、電気伝導度が、約0.02ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)〜約0.04ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)の速度における電気伝導度の減少に対応する、電気伝導度記録における特異的低下を形成した。乾燥PCCに基づいた2.0重量%の乾燥ヘキサメタリン酸ナトリウムの水溶液が、CO2/空気ガス流を停止することなしにスラリーに1分間以内に加えられた。CO2/空気ガス混合物はpH8.0までスラリーに加えられた。合計反応時間は131分間であった。
【0035】
最終生成物の顕微鏡写真は、得られた炭酸カルシウム生成物が、図2により、約0.5〜約1.0ミクロン(μm)の幅及び約0.1〜約0.15μmの厚さがある小板及び約5〜約13μmであるプリズム状結晶の混合物を含むことを示した。該生成物のBET比表面積は15.9m/グラムであった。
【0036】
実施例10:ヘキサメタリン酸ナトリウム添加を伴う4リットル規模における板状PCC
一対のガス分散インペラー及びCO2インジェクション管を備えた4リットルのステンレス鋼製の攪拌反応器が、10分間かつ45℃の初期温度において、210グラム(g)の酸化カルシウム(CaO)を2.1リットルの水と混合するために使用された。攪拌は1000回転/分に設定され、かつ1ノルマル(N)の塩酸による滴定により測定された0.12グラム/ミリリットルの水酸化カルシウム濃度を有するスラリーが製造された。
【0037】
水酸化カルシウムスラリーは、1250回転/分に反応容器の回転を増加すると共に15.0℃に冷却された。炭酸化反応は、反応器に0.73リットルCO2/分の速度でCO2ガスを添加することにより開始された。CO2ガスは、18%CO2/82%空気に基づいたガス混合物として添加された。
【0038】
炭酸化反応温度は、炭酸化の最初の10分間に間に15℃に保持され、そして次いで制御されなかった。炭酸化反応の76分において、電気伝導度は有意的に低下して、電気伝導度記録に特異的低下を形成した。この低下は、約0.02ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)〜約0.04ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)の速度における電気伝導度の減少に対応する。乾燥PCCに基づいて1.25重量%の乾燥ヘキサメタリン酸ナトリウム量においてヘキサメタリン酸ナトリウムの水性溶液がスラリーに加えられた。ヘキサメタリン酸ナトリウムの水性溶液は、CO2/空気ガス流を停止することなしにスラリーに加えられた。CO2/空気ガス混合物はpH7.1までスラリーに加えられた。合計反応時間は129分間であった。
【0039】
最終生成物の顕微鏡写真は、得られた炭酸カルシウム生成物が、約5〜約35ミクロン(μm)の直径である粗いプラズマ状結晶、及び図2により、約0.4〜約0.7ミクロン(μm)の幅及び約0.10〜約0.20μmの厚さがある細かい小板の混合物を含むことを示した。該生成物のBET比表面積は8.1m/グラムであった。
【0040】
実施例11:ヘキサメタリン酸ナトリウム添加を伴うパイロットプラント規模における板状PCC
CaOは、ZMI Portec Chemical Processing Group, Sibley,アイオワ州から市販されている2領域ZMI PORTECスレーカーにおいて50℃でH2O中で水和されて、0.12グラム/ミリリットル濃度で644ガロンの水酸化カルシウムスラリーを生じた。該水酸化カルシウムスラリーは、850ガロン反応器に加えられ、そして17.0℃に冷却された。乾燥PCC収量に基づいて0.15重量%のクエン酸が、一対のガス分散インペラーを使用して197回転/分で攪拌しながら、水酸化カルシウムスラリーに加えられた。炭酸化反応は、15%CO2/85%空気のガス混合物を、31標準立方フィート/分のCO2及び176標準立方フィート/分の空気の速度で反応器に添加することにより開始された。炭酸化反応温度が制御され、かつ反応の最初の13分間に19.0℃未満に維持され、その後、該温度は制御されなかった。炭酸化反応の58分において、電気伝導度は有意的に低下して、約0.02ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)〜約0.04ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)の速度における電気伝導度の減少に対応する、電気伝導度記録における特異的低下を形成した。乾燥PCCに基づいた3.5重量%の乾燥ヘキサメタリン酸ナトリウムの水性溶液が、CO2/空気ガス流を停止することなしに2分間の時間に亘ってスラリーに連続的に加えられた。CO2/空気ガス混合物はpH7.6までスラリーに加えられた。合計反応時間は100分間であった。
【0041】
最終生成物の顕微鏡写真は、得られた炭酸カルシウム生成物が、図2により、約0.5〜約0.9ミクロン(μm)の幅及び約0.10〜約0.15μmの厚さがある小板を含むことを示した。該生成物のBET比表面積は37.3m/グラムであった。
【0042】
実施例12:トリポリリン酸ナトリウム添加を伴う4リットル規模における板状PCC
実施例1のための上記方法が、炭酸化反応を開始する前に、乾燥PCC収量に基づいた0.30重量%の乾燥クエン酸が、水酸化カルシウムスラリーに加えられたことを除いて繰返された。炭酸化反応の77分において、電気伝導度が、約0.02ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)〜約0.04ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)の速度における電気伝導度の減少に対応する、電気伝導度記録における特異的低下を形成した。乾燥PCCに基づいた3.0重量%の乾燥トリポリリン酸ナトリウムの水溶液が、CO2/空気ガス流を停止することなしにスラリーに5分間の時間に亘って連続的に加えられた。CO2/空気ガス混合物はpH8.0までスラリーに加えられた。合計反応時間は135分間であった。
【0043】
最終生成物の顕微鏡写真は、得られた炭酸カルシウム生成物が、図2により、約0.4〜約1.0ミクロン(μm)の幅及び約0.1〜約0.15μmの厚さがある小板を含むことを示した。該生成物のBET比表面積は17.8m/グラムであった。
【0044】
実施例13:トリメタリン酸ナトリウム添加を伴う4リットル規模における板状PCC
実施例1のための上記方法が、炭酸化反応を開始する前に、乾燥PCC収量に基づいた0.30重量%の乾燥クエン酸が、水酸化カルシウムスラリーに加えられたことを除いて繰返された。炭酸化反応の73分において、電気伝導度が、約0.02ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)〜約0.04ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)の速度における電気伝導度の減少に対応する、電気伝導度記録における特異的低下を形成した。乾燥PCCに基づいた4.0重量%の乾燥トリメタリン酸ナトリウムの水溶液が、CO2/空気ガス流を停止することなしにスラリーに5分間の時間に亘って連続的に加えられた。CO2/空気ガス混合物はpH7.3までスラリーに加えられた。合計反応時間は127分間であった。
【0045】
最終生成物の顕微鏡写真は、得られた炭酸カルシウム生成物が、図2により、約0.4〜約0.7ミクロン(μm)の幅及び約0.1μm以下の厚さがある小板を含むことを示した。該生成物のBET比表面積は38.6m/グラムであった。
【0046】
実施例14:ポリプロピレン適用における板状PCC
板状PCC顔料が、押出機を使用して約20%フィラー充填量でポリプロピレンコポリマーに充填される。比較試料が、タルク及び粉砕炭酸カルシウム(GCC)を使用して作られた。射出成形された試料が、光学及び機械特性のために評価された。板状PCCを充填されたポリプロピレン試料は、タルク及びGCCで充填された試料より高いIzod衝撃強度を示す。
【0047】
実施例15:ポリ塩化ビニル(PVC)適用における板状PCC
板状PCC及び種々の他のPVCフィラーが、押出機を使用して20%フィラー充填量にPCV樹脂で混ぜ合わされる。射出成形品が製造され、そして機械特性のために試験される。この研究における比較フィラーは、プリズム状PCC、針状PCC、及びGCCを含む。板状PCCは、ノッチ付きIzod靭性、(23℃における)耐落下重量衝撃性及び延性に関し比較フィラーと比較可能に実施する。
【0048】
縮合リン酸塩のより少ない量の使用並びに他のリン酸塩及び酸の効果を評価するために、実験は、オルトリン酸(HPO)、一塩基リン酸ナトリウム(NaHPO)、二塩基リン酸ナトリウム(NaHPO)、三塩基リン酸ナトリウム(NaPO)、及びピロリン酸ナトリウム(NaPO)を使用して実行された。結果は下記に詳細に記載されている。
【0049】
比較例1
一対のガス分散インペラー及びCO2インジェクション管を備えた4リットルのステンレス鋼製の攪拌反応器が、10分間かつ40℃の初期温度において、210グラム(g)の酸化カルシウム(CaO)を2.1リットルの水と混合するために使用された。攪拌は750回転/分に設定され、かつ1ノルマル(N)の塩酸による滴定により測定された0.12グラム/ミリリットルの水酸化カルシウム濃度を有するスラリーが製造された。
【0050】
水酸化カルシウムスラリーは17℃に冷却され、かつ攪拌は1250回転/分に増加された。クエン酸が、乾燥PCCに基づいた0.30重量%の乾燥クエン酸の濃度において水酸化カルシウムスラリーに加えられた。空気ガス混合物中の20%CO2が、0.84リットルCO2ガス/分で水酸化カルシウムスラリーにバブリングされた。反応温度は、プロセスの最初の18分間に20℃に保持された。炭酸化反応の79分において、電気伝導度が有意に低下して、約0.02ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)〜約0.04ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)の速度における電気伝導度の減少に対応する、電気伝導度記録における特異的低下を形成した。乾燥PCCに基づいた4.0重量%の乾燥オルトリン酸(HPO) の水性溶液が、CO2/空気ガス流を停止することなしにスラリーに5分間の時間に亘って連続的に加えられた。CO2/空気ガス混合物はpH8.5までスラリーに加えられた。合計反応時間は118分間であった。
【0051】
最終生成物の顕微鏡写真は、得られた炭酸カルシウム生成物が、細かい輪郭のはっきりしない結晶を含むことを示した。板状又は板形の結晶は見られなかった。
【0052】
比較例2
比較例1のための上記方法が、炭酸化反応を開始する前に、クエン酸が消化物に加えられなかったことを除いて繰返された。炭酸化反応の75分において、電気伝導度が有意に低下して、約0.02ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)〜約0.04ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)の速度における電気伝導度の減少に対応する、電気伝導度記録における特異的低下を形成した。CO2/空気ガス流が停止され、そして乾燥PCCに基づいた7.3%の乾燥一塩基リン酸ナトリウム一水和物(NaHPO・HO) の水性溶液が、1分間の時間に亘ってスラリーに加えられ、そして次いで、更に5分間攪拌され、その後、炭酸化反応が、pH7.5まで0.84リットルCO2ガス/分の速度でスラリー中に空気ガス混合物中の20%のCO2を加えることによる後に再開された。合計反応時間は120分間であった。
【0053】
最終生成物の顕微鏡写真は粗い細長い結晶を示した。板状又は板形の結晶は見られなかった。
【0054】
比較例3
比較例2のための上記方法が、炭酸化反応の80分において、電気伝導度が有意に低下して、約0.02ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)〜約0.04ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)の速度における電気伝導度の減少に対応する、電気伝導度記録における特異的低下を形成したことを除いて繰返された。CO2/空気ガス流が停止され、そして乾燥PCCに基づいた5.0重量%の乾燥二塩基リン酸ナトリウム(NaHPO)の水溶液がスラリーに加えられた。炭酸化反応が、pH7.7まで0.84リットルCO2ガス/分の速度でスラリー中に空気ガス混合物中の20%のCO2を加えることにより再開された。合計反応時間は120分間であった。
【0055】
最終生成物の顕微鏡写真は粗い細長い結晶を示した。板状又は板形の結晶は見られなかった。
【0056】
比較例4
比較例2のための上記方法が、炭酸化反応の90分において、電気伝導度が有意に低下して、約0.02ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)〜約0.04ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)の速度における電気伝導度の減少に対応する、電気伝導度記録における特異的低下を形成したことを除いて繰返された。CO2/空気ガス流が停止され、そして乾燥PCCに基づいた6.5重量%の乾燥三塩基リン酸ナトリウム12水和物(NaPO・12H2O)の水性溶液がスラリーに加えられた。炭酸化反応が、pH7.2まで0.84リットルCO2ガス/分の速度でスラリー中に空気ガス混合物中の20%のCO2を加えることにより再開された。合計反応時間は140分間であった。
【0057】
最終生成物の顕微鏡写真は、粗い細長い結晶及び細かい輪郭のはっきりしない結晶を示した。板状又は板形の結晶は見られなかった。
【0058】
比較例5
比較例2のための上記方法が、炭酸化反応の85分において、電気伝導度が有意に低下して、約0.02ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)〜約0.04ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)の速度における電気伝導度の減少に対応する、電気伝導度記録における特異的低下を形成したことを除いて繰返された。CO2/空気ガス流が停止され、そして乾燥PCCに基づいた6.5重量%の乾燥ピロリン酸ナトリウム(NaPO・12H2O) の水性溶液がスラリーに加えられた。炭酸化反応が、pH8.3まで0.84リットルCO2ガス/分の速度でスラリー中に空気ガス混合物中の20%のCO2を加えることにより再開された。合計反応時間は120分間であった。
【0059】
最終生成物の顕微鏡写真は塊になったプリズム状結晶を示した。板状又は板形の結晶は見られなかった。
【0060】
比較例6:ヘキサメタリン酸ナトリウム添加を伴う4リットル規模におけるPCC
一対のガス分散インペラー及びCO2インジェクション管を備えた4リットルのステンレス鋼製の攪拌反応器が、10分間かつ46℃の初期温度において、210グラム(g)の酸化カルシウム(CaO)を2.1リットルの水と混合するために使用された。攪拌は1000回転/分に設定され、かつ1ノルマル(N)の塩酸による滴定により測定された0.12グラム/ミリリットルの水酸化カルシウム濃度を有するスラリーが製造された。
【0061】
水酸化カルシウムスラリーは、1250回転/分に反応容器の回転を増加すると共に14.9℃に冷却された。炭酸化反応は、反応器に0.73リットルCO2/分の速度でCO2を添加することにより開始された。CO2ガスは、18%CO2/82%空気に基づいたガス混合物として添加された。
【0062】
炭酸化反応温度は、炭酸化の最初の10分間に間に15℃に保持され、そして次いで制御されなかった。炭酸化反応の76分において、電気伝導度は有意的に低下して、電気伝導度記録に特異的低下を形成した。この低下は、約0.02ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)〜約0.04ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)の速度における電気伝導度の減少に対応する。乾燥PCCにおいて1.0重量%の乾燥ヘキサメタリン酸ナトリウム量においてヘキサメタリン酸ナトリウムの水性溶液がスラリーに加えられた。ヘキサメタリン酸ナトリウムの水性溶液が、CO2/空気ガス流を停止することなしに、スラリーに加えられた。CO2/空気ガス混合物はpH7.2までスラリーに加えられた。合計反応時間は126分間であった。
【0063】
最終生成物の顕微鏡写真は、得られた炭酸カルシウム生成物が、約5〜約25ミクロン(μm)の直径を示す粗いプリズム状結晶を含むことを示した。該生成物のBET比表面積は4.0m/グラムであった。板状又は板形の結晶は見られなかった。
【0064】
比較例7:ヘキサメタリン酸ナトリウム添加を伴う4リットル規模におけるPCC
比較例6のための上記方法が、乾燥PCC収量に基づいた0.03重量%の乾燥クエン酸が、炭酸化反応の前に、水酸化カルシウムスラリーに加えられたことを除いて繰返された。炭酸化反応の78分において、電気伝導度が、約0.02ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)〜約0.04ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)の速度における電気伝導度の減少に対応する、電気伝導度記録における特異的低下を形成した。CO2/空気ガス流が停止され、かつ乾燥PCCに基づいて0.50重量%の乾燥ヘキサメタリン酸ナトリウム量においてヘキサメタリン酸ナトリウムの水性溶液がスラリーに加えられ、そして該スラリーは5分間混合され、その後、反応器へのCO2/空気ガス流の添加が、8.0のpHが達成されるまで0.73リットルCO2/分の速度で再開された。合計の反応時間は136分間であった。
【0065】
最終生成物の顕微鏡写真は、得られた炭酸カルシウム生成物が、約8〜約14ミクロン(μm)の直径を示すプリズム状結晶であったことを示した。該生成物のBET比表面積は1.1m/グラムであった。板状又は板形の結晶は見られなかった。
【0066】
比較例8:ヘキサメタリン酸ナトリウム添加を伴う4リットル規模におけるPCC
比較例7のための上記方法が、クエン酸が、炭酸化反応の前に、水酸化カルシウムスラリーに加えられなかったことを除いて繰返された。加えて、温度は、反応の間の任意の点において35℃を超えて上昇することを許されなかった。炭酸化反応の76分において、電気伝導度が、約0.02ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)〜約0.04ミリジーメンス/センチメートル/秒(mS/cm/sec)の速度における電気伝導度の減少に対応する、電気伝導度記録における特異的低下を形成した。CO2/空気ガス流が停止され、かつ乾燥PCCに基づいた0.50重量%の乾燥ヘキサメタリン酸ナトリウム量においてヘキサメタリン酸ナトリウムの水性溶液がスラリーに加えられた。該スラリーは更に5分間混合され、このとき、反応器へのCO2/空気ガス流の添加が、7.6のpHまで0.87リットルCO2/分の速度で再開された。合計反応時間は125分間であった。
【0067】
最終生成物の顕微鏡写真は、得られた炭酸カルシウム生成物が、約10ミクロン(μm)より大きい直径を示すプリズム状結晶であったことを示した。該生成物のBET比表面積は1.1m/グラムであった。板状又は板形の結晶は見られなかった。
【0068】
本発明の新規な特徴及び利点は、添付図面と一緒に下記の詳細な説明を読むことから当業者に明らかになるであろう。
【0069】
試験されたリン酸塩を検討することにおいて、いくつかの傾向がおよそ観察された。まず、ポリリン酸塩及びメタリン酸塩等を含む本発明に従う縮合リン酸塩は、比較例1〜5のリン酸塩及びリン酸を含む他の効果的でないリン酸塩と比較して、実施例1〜15に示されているように適切な量で使用されたとき板状PCCの形成に効果的な添加物であった。実施例1〜11を比較例6〜8と比較することにより理解され得るように、ヘキサメタリン酸ナトリウムの例示的な場合において、乾燥PCCに基づいた少なくとも約1.25重量%の乾燥ヘキサメタリン酸ナトリウムの量における添加物量の使用は、板状PCCモルホロジーを効果的に提供する。更に、板状PCCの増加するフラクションがより高い添加物量で観察され、ここで、実質的に全ての板状PCCが、乾燥PCCに基づいて少なくとも約3重量%の乾燥ヘキサメタリン酸ナトリウムの添加物量において形成される。更に、実施例11は、この板状モルホロジーが、PCCのより大きな製造規模量を製造するときに達成され得ることを説明する。本発明に従う他の縮合リン酸塩に関して、実施例12及び13は、トリポリリン酸ナトリウム(STPP)及びトリメタリン酸ナトリウム(STMP)が、使用された量において有効であることを説明するけれども、これらの添加物、並びに他のポリリン酸塩及びメタリン酸塩は、もし、ヘキサメタリン酸ナトリウムのために試験されたと同一の範囲、即ち、乾燥PCCに基づいて約1.25重量%を超える乾燥縮合リン酸塩添加物の範囲において利用されるなら、板状PCCモルホロジーを提供することにおいて有効であろうことが期待される。
【0070】
本発明の方法によれば、板状PCCは、種々の適用のための顔料、例えば、紙のためのフィラー組成物として使用され得、かつポリマーのためのフィラー又は紙のためのコーティング組成物として有用であると考えられる。
【0071】
スーパーカレンダー砕木パルプハンドシートの研究は、PCCフィラー(偏三角面体モルホロジー)を(実施例4の手順に従って製造された)本発明の板状PCCと比較するために完了された。紙試料が、75%の加圧された砕木パルプ/25%の漂白されたクラフトパルプの混合物を使用して作られた。シートは動的シート形成機(Canpa Instruments, Greenfield Park, ケベック州、カナダ国)で形成された。目標基本重量(basis weight)は52グラム/平方メートルであった。カチオン性じゃがいもでんぷん(Staley Manufacturing Company, Decatur, イリノイ州から市販されているSTA-Lok 400)が、14ポンド/トンの速度で供給物に加えられた。フィラーが、調節された基準において25%及び30%のフィラー含有量を達成するために供給物に加えられた。カチオン性保持助剤(CIBASpecialty Chemicals Corporation, Suffolk, バージニア州から市販されているPercol 175)が、乾燥シートの0.025重量%の割合(0.5ポンド/トン)で供給物に加えられた。成形ワイヤ上に静止しているシートは吸取紙間に挟まれそして手動で圧縮された。シートは裏返され、底部吸取紙が下方へ置かれ、スクリーンが取り除かれ、そして残っている吸取紙及びシートが第一の吸取紙の頂部にセットされた(底部上の二枚の吸取紙及び頂部上のシートワイヤ側)。新しい吸取紙がシート上に置かれた。シートは、30ポンド/平方インチにおけるゴムと鋼製ロールとの間に圧縮された。シートは、220°F(104℃)及び22秒間の乾燥時間でドラム乾燥機上に2回通過して乾燥された(ドラムに対して第一のワイヤサイド、次いで、ドラムに対してフェルトサイド)。スーパーカレンダー処理のために、シートは、調節されたシート水分(約6%)において、150°F(66℃)に加熱された鋼製ロールと1700ポンド/一次インチ(2400ポンド/平方インチ)におけるSupertexロールニップとの間で4回圧縮された。シートは通過の間に再調節されなかった。シートは調節され、そして23℃及び50%相対湿度のTAPPI標準条件下で試験された。得られたハンドシートの性質は下記の表Iに要約されている。本発明の板状PCCは有意に紙の光沢及び平滑性を増加し、かつ有意に、偏三角面体モルホロジーを有するPCCフィラーと比較して紙の多孔性を減ずることが観察された。
【0072】
【表1】

【0073】
本発明の実施態様及び適用が示されかつ述べられた一方、変形及び具現化が、本明細書に記載された発明概念から離れることなしに可能であることが当業者により認識されるであろう。例えば、実施態様が、小さなバッチ及びパイロットプラントバッチプロセスに関して上記において示されかつ述べられているけれども、これらのプロセスがフルスケールのバッチ又は連続反応として提供され得ることが当業者に認識されるであろう。それ故、添付した請求項は、本発明の真の精神及び範囲内に含まれるところの全てのそのような変形及び具現化を含むことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】図1は、本発明に従う実質的に板状のモルホロジーのPCCの10,000X倍率における顕微鏡写真である。
【0075】
【図2】図2は、本発明に従う実質的に板状のモルホロジーの寸法特性を説明するPCC粒子の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状PCCを製造する方法であって、
水酸化カルシウムの縣濁物を用意し、
該水酸化カルシウムの縣濁物を炭酸化し、
炭酸化が完了するに前に、乾燥PCCに基づいて少なくとも約1.25重量%の乾燥縮合リン酸塩添加物の量で、該縣濁物に縮合リン酸塩を加えて、板状炭酸カルシウムを沈降させる
段階を含む方法。
【請求項2】
炭酸カルシウムの縣濁物を用意する段階が、生石灰を水和して、縣濁物の1ミリリットル当り約0.09グラム〜約0.14グラムの水酸化カルシウムの濃度を有する水酸化カルシウム縣濁物を形成することを含むところの請求項1記載の板状PCCの製造方法。
【請求項3】
炭酸化の前の炭酸カルシウム縣濁物の初期温度が約8℃〜約18℃の範囲にあるところの請求項1記載の板状PCCの製造方法。
【請求項4】
クエン酸が、乾燥PCCに基づいて最大約0.30重量%の乾燥クエン酸の量で加えられるところの請求項1記載の板状PCCの製造方法。
【請求項5】
縣濁物を炭酸化する段階が、得られた溶液のpHが約7.0〜約8.0に到達するまで実行されるところの請求項1記載の板状PCCの製造方法。
【請求項6】
縣濁物に縮合リン酸塩を加える段階が、縣濁物を炭酸化する段階を停止することなしに実行されるところの請求項1記載の板状PCCの製造方法。
【請求項7】
縮合リン酸塩を加える段階が、炭酸化する段階を停止し、水性溶液としての縮合リン酸塩を加え、縣濁物を混合し、そして縣濁物を炭酸化することを再開して板状PCCを沈降させることにより実行されるところの請求項1記載の板状PCCの製造方法。
【請求項8】
水酸化カルシウムの縣濁物を炭酸化する段階が、水酸化カルシウムを逐次的に炭酸化することを含み、かつ該縣濁物に縮合リン酸塩を加える段階が、炭酸化の間に開始されるところの請求項1記載の板状PCCの製造方法。
【請求項9】
比伝導度が約0.02〜約0.04ミリジーメンス/センチメートル/秒の速度で減少する炭酸化の間に、縮合リン酸塩が縣濁物に加えられるところの請求項1記載の板状PCCの製造方法。
【請求項10】
縣濁物に加えられる縮合リン酸塩が、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリメタリン酸ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウムより成る群から選ばれるところの請求項1記載の板状PCCの製造方法。
【請求項11】
縮合リン酸塩が、乾燥PCC収量に基づいて少なくとも約3重量%の乾燥縮合リン酸塩の量で加えられるところの請求項1記載の板状PCCの製造方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法により製造された板状PCC生成物。
【請求項13】
請求項6記載の方法により製造された板状PCC生成物。
【請求項14】
請求項7記載の方法により製造された板状PCC生成物。
【請求項15】
請求項8記載の方法により製造された板状PCC生成物。
【請求項16】
請求項11記載の方法により製造された板状PCC生成物。
【請求項17】
約0.4ミクロン〜約1.0ミクロンの幅及び0.10ミクロン未満〜約0.25ミクロンの厚さ、並びに約8平方メートル/グラム〜約42平方メートル/グラムの比表面積を有する小板を持つ実質的に板状のモルホロジーの粒子を有する板状沈降炭酸カルシウム。
【請求項18】
請求項1記載の方法により製造された板状沈降炭酸カルシウムをフィラーとして有するポリマー。
【請求項19】
請求項1記載の方法により製造された板状沈降炭酸カルシウムをフィラーとして有する紙。
【請求項20】
請求項1記載の方法により製造された板状沈降炭酸カルシウムを含む組成物で被覆された紙。

【公表番号】特表2007−500672(P2007−500672A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532861(P2006−532861)
【出願日】平成16年5月7日(2004.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/014342
【国際公開番号】WO2004/106236
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(502335051)スペシャルティ ミネラルズ (ミシガン) インク. (14)
【Fターム(参考)】