板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定装置及びこの固定装置を使用した板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法
【課題】一工程で一方の端部に他の環状の鍔部を形成して板状部材の取付孔に鍔付円筒巻きブッシュを固定することができる板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定装置及びその方法を提供すること。
【解決手段】固定装置10は、基台13と、円環状の端面14で開口した円形の有底柱状穴15を有する円柱状案内部材16と、有底柱状穴12に配されたコイルばね18と、円環状の端面20で基台13の端面11に対峙している長尺円筒体22と、長尺円筒体22の貫通円孔21に配された鍔加工治具23と、鍔加工治具23を貫通円孔21外に押し出すように押圧する弾性手段25とを具備している。
【解決手段】固定装置10は、基台13と、円環状の端面14で開口した円形の有底柱状穴15を有する円柱状案内部材16と、有底柱状穴12に配されたコイルばね18と、円環状の端面20で基台13の端面11に対峙している長尺円筒体22と、長尺円筒体22の貫通円孔21に配された鍔加工治具23と、鍔加工治具23を貫通円孔21外に押し出すように押圧する弾性手段25とを具備している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定装置及びこの固定装置を使用した板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のドア、トランク、ボンネット等のヒンジ機構においては、軸受支持機構とこれと相対回転する軸との間に、これら相対回転を円滑に行わせるべく鍔付円筒巻きブッシュが配されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実願昭59−173625号(実開昭61−87226号)のマイクロフィルム
【特許文献2】実願平1−12663号(実開平2−103479号)のマイクロフィルム
【特許文献3】特開平2−209585号公報
【特許文献4】特開平4−285317号公報
【特許文献5】特開2007−239838号公報
【0004】
裏金と裏金の表面に一体的に形成された多孔質金属焼結層と該多孔質金属焼結層の孔隙及び表面に充填・被覆された合成樹脂層からなる三層構造の複層摺動板を、合成樹脂層を内側にして円筒状に捲回して作製した円筒巻きブッシュは、特許文献1から特許文献5等により知られている。
【0005】
斯かる鍔付円筒巻きブッシュは、プレスダイの円孔に円筒巻きブッシュを嵌入し、この嵌入後、ポンチを円筒巻きブッシュ内に嵌入して円孔から外部に突出した円筒巻きブッシュの一方の端部をポンチの截頭円錐部により径方向外方に拡開せしめて漏斗状の拡径部にに形成し、ついで、この漏斗状の拡径部を他のポンチにより更に拡径して拡径鍔部にして、製造される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の鍔付円筒巻きブッシュの製造方法においては、円筒巻きブッシュの一方の端部に鍔部を形成するにあたり、漏斗状に拡径するポンチと拡径鍔部を形成するポンチの二種類のポンチを使用しなければならないという製造上の煩雑さがある。
【0007】
開口した一方の端部を有する円筒部と該円筒部の他方の端部に径方向外方に拡がる環状の鍔部を予め備えた鍔付円筒巻きブッシュを使用して、特許文献1、特許文献2又は特許文献5に記載されているように、該円筒部の一方の端部に他の環状の鍔部を形成する場合も、前記と同様の方法が採用されており、前記と同様、製造上の煩雑さがある。
【0008】
本発明は上記諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ヒンジ等の板状部材の取付孔に鍔付円筒巻きブッシュを固定するにあたり、二種類のポンチを使用することなく一工程で一方の端部に他の環状の鍔部を形成して板状部材の取付孔に鍔付円筒巻きブッシュを固定することができる板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定装置及びこの装置を使用した板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定装置は、一方の端面で開口した第一の有底柱状穴を有した基台と、基台に対して摺動自在になるように該第一の有底柱状穴に配されていると共に一方の端面で開口した第二の有底柱状穴を有する円柱状案内部材と、第一の有底柱状穴の開口を介して第一の有底柱状穴外に該円柱状案内部材を押し出すように当該円柱状案内部材を押圧すべく、該第一の有底柱状穴に配されたコイルばねと、一方及び他方の端面で夫々開口した貫通円孔を有すると共に他方の端面で基台の一方の端面に対峙している長尺円筒体と、該長尺円筒体に対して摺動自在になるように長尺円筒体の貫通円孔に配された鍔加工治具と、長尺円筒体の一方の端面での貫通円孔の開口を介して該鍔加工治具を該貫通円孔外に押し出すように押圧する弾性手段とを具備しており、第一の有底柱状穴は、有底の小径有底柱状穴部と、一端では基台の一方の端面で開口している一方、他端では該小径有底柱状穴部に連接されていると共に小径有底柱状穴部よりも大径の大径円形孔部とを具備しており、鍔加工治具は、該長尺円筒体に対して摺動自在になるように長尺円筒体の貫通円孔に配された円柱状基部と、該円柱状基部の一方の端面に設けられていると共に長尺円筒体の外部に配された環状鍔部と、一方の端面で該円柱状基部の他方の端面に設けられていると共に該円柱状基部に対して縮径した鍔加工治具部と、該鍔加工治具部の他方の端面に設けられていると共に該鍔加工治具部に対して縮径した案内ピンとを具備しており、円柱状基部の他方の端面と鍔加工治具部の円筒状の外周面との間には円弧状凹面が介在しており、大径円形孔部を規定する基台の大径円環状内周面、円環状の外周縁では該大径円環状内周面に連接する一方、円環状の内周縁では小径有底柱状穴部を規定する基台の小径円筒内周面に連接する基台の段部面及び円柱状案内部材の外周面で規定される環状凹所には、開口した一方の端部を有する円筒部が基台の一方の端面から突出するようにして鍔付円筒巻きブッシュの当該円筒部の他方の端部に予め一体形成された一方の環状の鍔部が装着されるようになっており、基台の一方の端面から突出する円柱状案内部材の外周面には、基台の一方の端面から突出する鍔付円筒巻きブッシュの円筒部を間にして板状部材がその取付孔において嵌合されるようになっており、案内ピンの円柱状案内部材の第二の有底柱状穴への挿入後、鍔加工治具部の他方の端面は、円柱状案内部材の一方の端面を押圧して円柱状案内部材を小径柱状穴部に沿って基台に対して移動させるようになっており、円弧状凹面は、鍔付円筒巻きブッシュの円筒部の一方の端部を拡径させるようになっており、円柱状基部の他方の端面は、当該拡径された円筒巻きブッシュの円筒部の一方の端部を板状部材の一方の面と協働して鍔付円筒巻きブッシュの他方の環状の鍔部として変形させ、円筒部が取付孔に挿通された鍔付円筒巻きブッシュを板状部材にカシメ固着するようになっている。
【0010】
本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定装置によれば、円筒部の他方の端部に予め一体形成された環状の鍔部を有する鍔付円筒巻きブッシュの当該円筒部の一方の端部に径方向外方に拡がる環状の鍔部の形成を、従来の二種類のパンチを使用することなく一工程で行うことができるので、製造過程においてパンチの交換を必要とせず、装置自体を簡略化することができる。
【0011】
好ましい例では、コイルばねは、一方の端部で円柱状案内部材の他方の端面に接触している一方、他方の端部で小径有底柱状穴部の底面を規定する基台の底壁面に接触している。
【0012】
弾性手段は、一方の端部で環状鍔部に接触する一方、他方の端部で該長尺円筒体の一方の端面に接触すると共に環状鍔部を長尺円筒体の一方の端面から離反させる他のコイルばねを具備していてもよい。
【0013】
鍔加工治具の長尺円筒体の貫通円孔からの抜け出しを阻止する阻止手段を更に具備していてもよく、斯かる阻止手段は、該長尺円筒体に軸方向に所定の長さにわたって形成された長孔と、円柱状基部の外周面から突設されていると共に該長孔に配された係合ピンとを具備しており、係合ピンは、長孔の一方の端部を規定する長尺円筒体の長孔端面への接触で、円柱状基部の長尺円筒体の貫通円孔からの抜け出しを阻止するようになっているとよい。
【0014】
上記固定装置を使用した本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法は、開口した一方の端部を有する円筒部と該円筒部の他方の端部に一体形成された一方の環状の鍔部とを備えた鍔付円筒巻きブッシュを準備する工程と、該鍔付円筒巻きブッシュの一方の環状の鍔部を環状凹所に装着すると共に鍔付円筒巻きブッシュの円筒部を基台の一方の端面から突出する円柱状案内部材の外周面に嵌挿する工程と、円柱状案内部材の外周面に嵌挿された鍔付円筒巻きブッシュの円筒部の外周面に取付孔を備えた板状部材を当該取付孔において圧入嵌合する工程と、環状鍔部を基台に向かって押圧して案内ピンを円柱状案内部材の第二の有底柱状穴に挿入する工程と、案内ピンの円柱状案内部材の第二の有底柱状穴への挿入後、環状鍔部を基台に向かって更に押圧して弾性手段を介して長尺円筒体の他方の端面で板状部材の一方の面を押圧して板状部材の他方の面を基台の一方の端面に接触させると共に鍔加工治具部の他方の端面を円柱状案内部材の一方の端面に接触させる工程と、この接触後、鍔加工治具部を鍔付円筒巻きブッシュの円筒部の内周面で規定される中空部に圧入すると共に鍔加工治具部により円柱状案内部材をコイルばねの弾性力に抗して小径有底柱状穴部に沿って基台に対して移動させる工程と、この移動と共に鍔加工治具部を鍔付円筒巻きブッシュの円筒部の内周面で規定される中空部に圧入しつつ円弧状凹面により円筒巻きブッシュの円筒部の一方の端部を拡径する工程と、当該拡径された鍔付円筒巻きブッシュの円筒部の一方の端部を円柱状基部の他方の端面で板状部材の一方の端面に向かって押し付けて円柱状基部の他方の端面と板状部材の一方の端面と協働して鍔付円筒巻きブッシュの他方の環状の鍔部として変形させると共に円筒部が取付孔に挿通された鍔付円筒巻きブッシュを一方の環状の鍔部と他方の環状の鍔部とを介して板状部材にカシメ固着する工程とからなる。
【0015】
本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法によれば、鍔付円筒巻きブッシュの円筒部の一方の端部に径方向外方に拡がる環状の鍔部の形成と取付孔への固定を一工程で同時にできるので工程が簡略化され、結果として鍔付円筒巻きブッシュを固着した板状部材の製造コストを大幅に削減することが可能となる。
【0016】
本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法において、裏金と、該裏金の表面に一体的に被着形成された合成樹脂層との二層構造からなると共に合成樹脂層を内側にして円筒状に捲回してなり、開口した一方の端部を有する円筒部及びこの円筒部の他方の端部に一体形成された一方の環状の鍔部とを有した鍔付円筒巻きブッシュの当該一方の環状の鍔部を環状凹所に装着してもよく、これに代えて、裏金と該裏金の表面に一体的に形成された多孔質金属焼結層と該多孔質金属焼結層の孔隙を充填して該多孔質金属焼結層の表面に被覆された合成樹脂層との三層構造からなると共に合成樹脂層を内側にして円筒状に捲回してなり、開口した一方の端部を有する円筒部と該円筒部の他方の端部に一体形成された一方の環状の鍔部とを有した鍔付円筒巻きブッシュの当該一方の環状の鍔部を環状凹所に装着してもよく、更には、金属製の網状体を基材とし、この網状体の網目及び表面に合成樹脂が充填、被覆された可撓性潤滑シートを円筒状に捲回してなると共に開口した一方の端部を有する円筒部と該円筒部の他方の端部に一体形成された一方の環状の鍔部とを有した鍔付円筒巻きブッシュの当該一方の環状の鍔部を環状凹所に装着してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、従来の二種類のパンチを使用することなく、鍔付円筒巻きブッシュの円筒部の一方の端部に径方向外方に拡がる環状の鍔部の形成と板状部材の取付孔への固着を一工程で同時にできる板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定装置及び該固定装置を使用した板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、円筒部と該円筒部の他方の端部に径方向外方に拡がる環状の鍔部を備えた鍔付円筒巻きブッシュの一例の斜視説明図である。
【図2】図2は、複層摺動板の一例の断面説明図である。
【図3】図3は、本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定装置の好ましい例の断面説明図である。
【図4】図4は、図3に示す例の一部拡大断面説明図である。
【図5】図5は、本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法の好ましい例の説明図である。
【図6】図6は、本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法の好ましい例の説明図である。
【図7】図7は、本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法の好ましい例の説明図である。
【図8】図8は、本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法の好ましい例の説明図である。
【図9】図9は、本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法の好ましい例の説明図である。
【図10】図10は、本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法の好ましい例の説明図である。
【図11】図11は、本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法の好ましい例の説明図である。
【図12】図12は、本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法の好ましい例の説明図である。
【図13】図13は、本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法の好ましい例の説明図である。
【図14】図14は、自動車のヒンジ構造を示す平面説明図である。
【図15】図15は、図14に示すヒンジ構造の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明及びその実施の形態を、図に示す好ましい実施例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に何等限定されないのである。
【0020】
図1及び図2において、鍔付円筒巻きブッシュ1は、開口した一方の端部2aを有する円筒部2と、円筒部2の他方の端部2bに径方向外方に拡がって予め一体形成された一方の環状の鍔部3とを備えており、鋼板などの金属製の裏金4と、裏金4の一方の表面4aに一体的に被着形成された多孔質金属焼結層5と、多孔質金属焼結層5の孔隙及び表面4aに充填被覆された合成樹脂層6からなる三層構造の板状の複層摺動板7を、複層摺動板7の合成樹脂層6を内側にして突合せ面1aをもって円筒状に捲回して円筒体を形成し、この円筒体の一方の端部を径方向外方に拡げて鍔部3を一体形成したものであり、円筒部2の内周面8及び鍔部3の一方の表面9は合成樹脂層6の露出面となっている。
【0021】
鍔付円筒巻きブッシュ1の固定装置10は、図3及び図4に示すように、円環状の端面11で開口した円形の有底柱状穴12を有した基台13と、基台13に対して軸方向Aに摺動自在になるように有底柱状穴12に配されていると共に円環状の端面14で開口した円形の有底柱状穴15を有する円柱状案内部材16と、有底柱状穴12の円形の開口17を介して有底柱状穴12外に円柱状案内部材16を押し出すように円柱状案内部材16を押圧すべく、有底柱状穴12に配されたコイルばね18と、円環状の端面19及び20で夫々開口した貫通円孔21を有すると共に円環状の端面20で基台13の端面11に対峙している長尺円筒体22と、長尺円筒体22に対して軸方向Aに摺動自在になるように長尺円筒体22の貫通円孔21に配された鍔加工治具23と、長尺円筒体22の端面19での貫通円孔21の円形の開口24を介して鍔加工治具23を貫通円孔21外に押し出すように押圧する弾性手段25と、鍔加工治具23の長尺円筒体22の貫通円孔21からの抜け出しを阻止する阻止手段26とを具備している。
【0022】
有底柱状穴12は、有底の小径有底柱状穴部31と、一端では基台13の端面11で開口している一方、他端では小径有底柱状穴部31に連接されていると共に小径有底柱状穴部31よりも大径の大径円形孔部32とを具備している。
【0023】
基台13は、小径有底柱状穴部31を規定する小径円筒内周面34と、大径円形孔部32を規定する大径円環状内周面35と、円環状の外周縁36では大径円環状内周面35に連接する一方、円環状の内周縁37では小径円筒内周面34に連接する円環状の段部面38と、小径有底柱状穴部31の底面を規定する底壁面39とを具備している。
【0024】
有底柱状穴12の小径有底柱状穴部31に配されたコイルばね18は、一方の端部で円柱状案内部材16の端面40に接触する一方、他方の端部で底壁面39に接触しており、その弾性力により円柱状案内部材16を軸方向Aにおいて端面20に向かって押圧するようになっており、その自由長では、有底柱状穴12に配された円柱状案内部材16を円筒部2の軸長分だけ基台13の端面11から端面20に向かって有底柱状穴12外に突出させている。
【0025】
大径円環状内周面35、段部面38及び円柱状案内部材16の円筒状の外周面41により環状凹所42が規定されており、環状凹所42には、図5に示すように、開口した一方の端部2aを有する円筒部2が基台13の一方の端面11から突出するようにして鍔付円筒巻きブッシュ1の当該円筒部2の他方の端部2bに予め一体形成された一方の環状の鍔部3が装着されるようになっている。
【0026】
鍔加工治具23は、長尺円筒体22に対して軸方向Aに摺動自在になるように長尺円筒体22の貫通円孔21に配された円柱状の円柱状基部45と、円柱状基部45の一方の円形の端面46に一体的に設けられていると共に長尺円筒体22の外部、即ち貫通円孔21外に配された環状鍔部47と、一方の円形の端面48で円柱状基部45の他方の円形の端面49の中央部に一体的に設けられていると共に円柱状基部45に対して縮径した円柱状の鍔加工治具部50と、円形の一端面51で鍔加工治具部50の他方の円形の端面52の中央部に一体的に設けられていると共に鍔加工治具部50に対して縮径した案内ピン53とを具備している。
【0027】
鍔加工治具部50は、端面52に加えて、環状凹所42に装着された鍔付円筒巻きブッシュ1の円筒部2の円筒状の内周面8と実質的に同径の円筒状の外周面56と、一端では外周面56に連接する一方、他端では端面52に連接して端面52に向かうに連れて徐々に縮径した挿入案内用の環状のテーパー面57とを具備しており、円柱状基部45の端面49と鍔加工治具部50の円筒状の外周面56との間には円弧状凹面58が介在している。
【0028】
案内ピン53は、円形の先端面61と、有底柱状穴15を規定する円柱状案内部材16の円筒状の内周面62と実質的に同径の円筒状の外周面63と、一端では外周面63に連接する一方、他端では先端面61に連接して先端面61に向かうに連れて徐々に縮径した挿入案内用の環状のテーパー面64とを具備している。
【0029】
弾性手段25は、一方の端部で環状鍔部47の一方の環状の端面71に接触する一方、他方の端部で長尺円筒体22の端面19に接触すると共に弾性力により環状鍔部47を長尺円筒体22の一方の端面19から離反させるコイルばね72を具備している。
【0030】
阻止手段26は、長尺円筒体22に軸方向Aに所定の長さにわたって形成された長孔75と、貫通円孔21を規定する長尺円筒体22の円筒状の内周面76に摺動自在に接触する円柱状基部45の円筒状の外周面77から径方向に一体的に突設されていると共に長孔75に配された円柱状の係合ピン78とを具備している。
【0031】
係合ピン78は、長孔75の軸方向Aの一方の端部を規定する長尺円筒体22の長孔端面79への接触で、円柱状基部45の長尺円筒体22の貫通円孔21からの抜け出しを阻止するようになっている。
【0032】
以上の固定装置10を使用して図1に示す鍔付円筒巻きブッシュ1を図14及び15に示すヒンジ片80のような板状部材を取付孔へ固定する固定方法の一例を図5から図13を参照して次に説明する。
【0033】
図1に示す鍔付円筒巻きブッシュ1を準備して、この準備した鍔付円筒巻きブッシュ1の鍔部3を環状凹所42に装着すると共に鍔付円筒巻きブッシュ1の円筒部2を基台13の端面11から突出する円柱状案内部材16の円筒状の外周面41に嵌挿する(図5)。
【0034】
円柱状案内部材16の円筒状の外周面41に嵌挿された鍔付円筒巻きブッシュ1の円筒部2の外周面81に、ヒンジ片80のような取付孔82を備えた板状部材83を当該取付孔82において圧入嵌合して、基台13の端面11から突出する円柱状案内部材16の外周面41に、基台13の端面11から突出する鍔付円筒巻きブッシュ1の円筒部2を間にして板状部材83をその取付孔82において嵌合する(図6)。
【0035】
油圧ラムなどにより環状鍔部47を基台13に向かって押圧して案内ピン53を円柱状案内部材16の有底柱状穴15に順次挿入して、案内ピン53の円柱状案内部材16の有底柱状穴15への挿入により基台13に対して鍔加工治具23を位置決めすると共に位置決め挿入に続いて環状鍔部47を基台13に向かって更に押圧してコイルばね72を介して長尺円筒体22の端面20を板状部材83の一方の面84に接触させる(図7)。
【0036】
案内ピン53の円柱状案内部材16の有底柱状穴15への挿入及び端面20の面84への接触後、油圧ラムなどにより環状鍔部47を基台13に向かって更に押圧してコイルばね72を介して長尺円筒体22の端面20で板状部材83の一方の面84を押圧して板状部材83の他方の面85を基台13の端面11に接触させると共に鍔加工治具部50の端面52を円柱状案内部材16の端面14に接触させる(図8)。
【0037】
この接触後に、更に油圧ラムなどにより環状鍔部47をコイルばね18及び72の弾性力に抗して基台13に向かって更に押圧して鍔加工治具部50の端面52で円柱状案内部材16の端面14を押圧して円柱状案内部材16を小径有底柱状穴部31に沿って底壁面39に向かって基台13に対して軸方向Aに移動させつつ鍔加工治具部50を内周面8により規定される鍔付円筒巻きブッシュ1の円筒部2の中空部に圧入する(図9)。
【0038】
この移動と共に鍔加工治具部50を鍔付円筒巻きブッシュ1の内周面8で規定される円筒部2の中空部に圧入しつつ円弧状凹面58により鍔付円筒巻きブッシュ1の円筒部2の一方の端部2bを拡径する(図10及び図11)。
【0039】
油圧ラムなどにより環状鍔部47をコイルばね18及び72の弾性力に抗して基台13に向かって更に押圧すると共に端面14に接触する鍔加工治具部50の端面52により円柱状案内部材16をコイルばね18の弾性力に抗して小径有底柱状穴部31に沿って底壁面39に向かって基台13に対して軸方向Aに移動させて、拡径された鍔付円筒巻きブッシュ1の円筒部2の端部2bを円柱状基部45の端面49で板状部材83の一方の面84に向かって押し付けて板状部材83の一方の面84と円柱状基部45の端面49との協働で円筒部2の端部2bを鍔付円筒巻きブッシュ1の他方の環状の鍔部86として変形させる共に円筒部2が取付孔82に挿通された鍔付円筒巻きブッシュ1を一方の環状の鍔部3と他方の環状の鍔部86とを介して板状部材83にカシメ固着する(図12及び図13)。
【0040】
以上の工程を経て得られた板状部材83を固定装置10から取出すことにより、鍔付円筒巻きブッシュ1が鍔部3及び86を介して取付孔82において固定された板状部材83を得る。
【0041】
而して、大径円環状内周面35、段部面38及び外周面41で規定される環状凹所42には、円筒部2が端面11から突出するようにして鍔部3が装着されるようになっており、端面11から突出する円柱状案内部材16の外周面41には、端面11から突出する鍔付円筒巻きブッシュ1の円筒部2を間にして板状部材83がその取付孔82において嵌合されるようになっており、案内ピン53の有底柱状穴15への挿入後、鍔加工治具部50の端面52は、円柱状案内部材16の端面14を押圧して円柱状案内部材16を小径有底柱状穴部31に沿って基台13に対して移動させるようになっており、円弧状凹面58は、円筒部2の端部2aを拡径させるようになっており、端面49は、拡径された端部2aを面84と協働して鍔部86として変形させ、円筒部2が取付孔82に挿通された鍔付円筒巻きブッシュ1を板状部材83にカシメ固着するようになっている鍔付円筒巻きブッシュ1の固定装置10によれば、鍔付円筒巻きブッシュ1の円筒部2の端部2aに径方向外方に拡がる環状の鍔部86の形成を、従来の二種類のパンチを使用することなく一工程で行うことができるので、製造過程においてパンチの交換を必要とせず、装置自体を簡略化することができる。
【0042】
更に、以上の鍔付円筒巻きブッシュ1の固定方法によれば、鍔付円筒巻きブッシュ1の円筒部2の端部2aに径方向外方に拡がる環状の鍔部86の形成と取付孔82への固定を一工程で同時にできるので工程が簡略化され、結果として鍔付円筒巻きブッシュ1を固着した板状部材83の製造コストを大幅に削減することが可能となる。
【0043】
次に、鍔付円筒巻きブッシュ1を取付孔82において鍔部3及び86を介して固定したヒンジ片80を具備した図14及び図15に示す自動車のトランクのヒンジ構造を説明すると、自動車の車体ピラーに固着される固定側のヒンジ片80は、水平部91と水平部91の端部に一体的に設けられた取付部92とを具備しており、水平部91には自動車の車体ピラーへの固着用の複数個のボルト93が挿通する挿通孔94が形成されており、取付部92には取付孔82としての軸孔95が形成されている。
【0044】
自動車のトランク側に固着される可動側のヒンジ片96は、水平部97と水平部97の端部に一体的に設けられた取付部98とを具備しており、水平部97には自動車のトランクへの固着用の複数個のボルト挿通孔99が形成されており、取付部98には軸孔100が形成されている。
【0045】
鍔付円筒巻きブッシュ1は、環状の鍔部3の裏面を板状部材83としての固定側のヒンジ片80の取付部92の一方の板面101に接触させ、円筒部2の外周面81を取付孔82としての軸孔95においてヒンジ片80の取付部92に嵌合させ、軸孔95より突出した円筒部2の端部2bを前記固定方法と同様にして径方向外方に拡径して形成された環状の鍔部86の裏面をヒンジ片80の取付部92の他方の板面102に接触させて取付部92に固定されている。
【0046】
ヒンジ片80とヒンジ片96とを連結する連結軸105は、円柱軸部106と円柱軸部106の一方の端部に一体に設けられた環状鍔部107とを備えており、連結軸105は、円柱軸部106を鍔付円筒巻きブッシュ1の円筒部2の内周面8で規定される中空部に挿通させ、環状鍔部107を鍔付円筒巻きブッシュ1の鍔部3の合成樹脂層6の露出面側において鍔部3に接触させ、更に、鍔付円筒巻きブッシュ1の他の環状の鍔部86の合成樹脂層6の露出面側に接触して配された可動側のヒンジ片96の取付部98の軸孔100に円柱軸部106を挿通させて、配されており、円柱軸部106の端部108において可動側のヒンジ片96の取付部98にカシメ固定されている。
【0047】
而して、連結軸105は、可動側のヒンジ片96の取付部98に対して相対回転することはなく、鍔付円筒巻きブッシュ1は、固定側のヒンジ片80の取付部92に軸孔95において嵌合固定されているため、鍔付円筒巻きブッシュ1の円筒部2の内周面8と連結軸105の円柱軸部106の外周面との間、鍔付円筒巻きブッシュ1の鍔部3の合成樹脂層6の露出面と連結軸105の環状鍔部107との間及び可動側のヒンジ片96の取付部98と鍔付円筒巻きブッシュ1の環状の鍔部86の合成樹脂層6の露出面との間での相対回転は、許容されるようになっており、当該相対回転は円筒部2の内周面8、鍔部3及び86の合成樹脂層6の露出面により円滑に行われるようになっている。
【0048】
このように本例の鍔付円筒巻きブッシュ1の固定装置10を使用した鍔付円筒巻きブッシュ1の固定方法においては、ヒンジ片80等の板状部材83の取付孔82に鍔付円筒巻きブッシュ1を圧入嵌合し、鍔付円筒巻きブッシュ1の円筒部2の端部2aに環状の鍔部86を加工すると共に鍔付円筒巻きブッシュ1を板状部材83の取付孔82に直接固定することができるので、製造工程の短縮と同時に製造コストの削減を可能とする。
【0049】
本発明の固定方法を実施するに際に準備する鍔付円筒巻きブッシュとしては、上記の鍔付円筒巻きブッシュ1に代えて、裏金と、該裏金の表面に一体的に被着形成された合成樹脂層との二層構造からなると共に合成樹脂層を内側にして円筒状に捲回してなり、円筒部及びこの円筒部の一方の端部に一体形成された一方の環状の鍔部とを有した鍔付円筒巻きブッシュでもよく、又は、これに代えて、金属製の網状体を基材とし、この網状体の網目及び表面に合成樹脂が充填、被覆された可撓性潤滑シートを円筒状に捲回してなると共に開口した一方の端部を有する円筒部と該円筒部の他方の端部に一体形成された一方の環状の鍔部を有した鍔付円筒巻きブッシュでもよく、準備したいずれの鍔付円筒巻きブッシュでも、一方の環状の鍔部を環状凹所に装着するとよい。
【符号の説明】
【0050】
10 鍔付円筒巻きブッシュの固定装置
11、14、19、20 端面
12、15 有底柱状穴
13 基台
16 円柱状案内部材
17、24 開口
18 コイルばね
21 貫通円孔
22 長尺円筒体
23 鍔加工治具
25 弾性手段
26 阻止手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定装置及びこの固定装置を使用した板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のドア、トランク、ボンネット等のヒンジ機構においては、軸受支持機構とこれと相対回転する軸との間に、これら相対回転を円滑に行わせるべく鍔付円筒巻きブッシュが配されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実願昭59−173625号(実開昭61−87226号)のマイクロフィルム
【特許文献2】実願平1−12663号(実開平2−103479号)のマイクロフィルム
【特許文献3】特開平2−209585号公報
【特許文献4】特開平4−285317号公報
【特許文献5】特開2007−239838号公報
【0004】
裏金と裏金の表面に一体的に形成された多孔質金属焼結層と該多孔質金属焼結層の孔隙及び表面に充填・被覆された合成樹脂層からなる三層構造の複層摺動板を、合成樹脂層を内側にして円筒状に捲回して作製した円筒巻きブッシュは、特許文献1から特許文献5等により知られている。
【0005】
斯かる鍔付円筒巻きブッシュは、プレスダイの円孔に円筒巻きブッシュを嵌入し、この嵌入後、ポンチを円筒巻きブッシュ内に嵌入して円孔から外部に突出した円筒巻きブッシュの一方の端部をポンチの截頭円錐部により径方向外方に拡開せしめて漏斗状の拡径部にに形成し、ついで、この漏斗状の拡径部を他のポンチにより更に拡径して拡径鍔部にして、製造される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の鍔付円筒巻きブッシュの製造方法においては、円筒巻きブッシュの一方の端部に鍔部を形成するにあたり、漏斗状に拡径するポンチと拡径鍔部を形成するポンチの二種類のポンチを使用しなければならないという製造上の煩雑さがある。
【0007】
開口した一方の端部を有する円筒部と該円筒部の他方の端部に径方向外方に拡がる環状の鍔部を予め備えた鍔付円筒巻きブッシュを使用して、特許文献1、特許文献2又は特許文献5に記載されているように、該円筒部の一方の端部に他の環状の鍔部を形成する場合も、前記と同様の方法が採用されており、前記と同様、製造上の煩雑さがある。
【0008】
本発明は上記諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ヒンジ等の板状部材の取付孔に鍔付円筒巻きブッシュを固定するにあたり、二種類のポンチを使用することなく一工程で一方の端部に他の環状の鍔部を形成して板状部材の取付孔に鍔付円筒巻きブッシュを固定することができる板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定装置及びこの装置を使用した板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定装置は、一方の端面で開口した第一の有底柱状穴を有した基台と、基台に対して摺動自在になるように該第一の有底柱状穴に配されていると共に一方の端面で開口した第二の有底柱状穴を有する円柱状案内部材と、第一の有底柱状穴の開口を介して第一の有底柱状穴外に該円柱状案内部材を押し出すように当該円柱状案内部材を押圧すべく、該第一の有底柱状穴に配されたコイルばねと、一方及び他方の端面で夫々開口した貫通円孔を有すると共に他方の端面で基台の一方の端面に対峙している長尺円筒体と、該長尺円筒体に対して摺動自在になるように長尺円筒体の貫通円孔に配された鍔加工治具と、長尺円筒体の一方の端面での貫通円孔の開口を介して該鍔加工治具を該貫通円孔外に押し出すように押圧する弾性手段とを具備しており、第一の有底柱状穴は、有底の小径有底柱状穴部と、一端では基台の一方の端面で開口している一方、他端では該小径有底柱状穴部に連接されていると共に小径有底柱状穴部よりも大径の大径円形孔部とを具備しており、鍔加工治具は、該長尺円筒体に対して摺動自在になるように長尺円筒体の貫通円孔に配された円柱状基部と、該円柱状基部の一方の端面に設けられていると共に長尺円筒体の外部に配された環状鍔部と、一方の端面で該円柱状基部の他方の端面に設けられていると共に該円柱状基部に対して縮径した鍔加工治具部と、該鍔加工治具部の他方の端面に設けられていると共に該鍔加工治具部に対して縮径した案内ピンとを具備しており、円柱状基部の他方の端面と鍔加工治具部の円筒状の外周面との間には円弧状凹面が介在しており、大径円形孔部を規定する基台の大径円環状内周面、円環状の外周縁では該大径円環状内周面に連接する一方、円環状の内周縁では小径有底柱状穴部を規定する基台の小径円筒内周面に連接する基台の段部面及び円柱状案内部材の外周面で規定される環状凹所には、開口した一方の端部を有する円筒部が基台の一方の端面から突出するようにして鍔付円筒巻きブッシュの当該円筒部の他方の端部に予め一体形成された一方の環状の鍔部が装着されるようになっており、基台の一方の端面から突出する円柱状案内部材の外周面には、基台の一方の端面から突出する鍔付円筒巻きブッシュの円筒部を間にして板状部材がその取付孔において嵌合されるようになっており、案内ピンの円柱状案内部材の第二の有底柱状穴への挿入後、鍔加工治具部の他方の端面は、円柱状案内部材の一方の端面を押圧して円柱状案内部材を小径柱状穴部に沿って基台に対して移動させるようになっており、円弧状凹面は、鍔付円筒巻きブッシュの円筒部の一方の端部を拡径させるようになっており、円柱状基部の他方の端面は、当該拡径された円筒巻きブッシュの円筒部の一方の端部を板状部材の一方の面と協働して鍔付円筒巻きブッシュの他方の環状の鍔部として変形させ、円筒部が取付孔に挿通された鍔付円筒巻きブッシュを板状部材にカシメ固着するようになっている。
【0010】
本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定装置によれば、円筒部の他方の端部に予め一体形成された環状の鍔部を有する鍔付円筒巻きブッシュの当該円筒部の一方の端部に径方向外方に拡がる環状の鍔部の形成を、従来の二種類のパンチを使用することなく一工程で行うことができるので、製造過程においてパンチの交換を必要とせず、装置自体を簡略化することができる。
【0011】
好ましい例では、コイルばねは、一方の端部で円柱状案内部材の他方の端面に接触している一方、他方の端部で小径有底柱状穴部の底面を規定する基台の底壁面に接触している。
【0012】
弾性手段は、一方の端部で環状鍔部に接触する一方、他方の端部で該長尺円筒体の一方の端面に接触すると共に環状鍔部を長尺円筒体の一方の端面から離反させる他のコイルばねを具備していてもよい。
【0013】
鍔加工治具の長尺円筒体の貫通円孔からの抜け出しを阻止する阻止手段を更に具備していてもよく、斯かる阻止手段は、該長尺円筒体に軸方向に所定の長さにわたって形成された長孔と、円柱状基部の外周面から突設されていると共に該長孔に配された係合ピンとを具備しており、係合ピンは、長孔の一方の端部を規定する長尺円筒体の長孔端面への接触で、円柱状基部の長尺円筒体の貫通円孔からの抜け出しを阻止するようになっているとよい。
【0014】
上記固定装置を使用した本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法は、開口した一方の端部を有する円筒部と該円筒部の他方の端部に一体形成された一方の環状の鍔部とを備えた鍔付円筒巻きブッシュを準備する工程と、該鍔付円筒巻きブッシュの一方の環状の鍔部を環状凹所に装着すると共に鍔付円筒巻きブッシュの円筒部を基台の一方の端面から突出する円柱状案内部材の外周面に嵌挿する工程と、円柱状案内部材の外周面に嵌挿された鍔付円筒巻きブッシュの円筒部の外周面に取付孔を備えた板状部材を当該取付孔において圧入嵌合する工程と、環状鍔部を基台に向かって押圧して案内ピンを円柱状案内部材の第二の有底柱状穴に挿入する工程と、案内ピンの円柱状案内部材の第二の有底柱状穴への挿入後、環状鍔部を基台に向かって更に押圧して弾性手段を介して長尺円筒体の他方の端面で板状部材の一方の面を押圧して板状部材の他方の面を基台の一方の端面に接触させると共に鍔加工治具部の他方の端面を円柱状案内部材の一方の端面に接触させる工程と、この接触後、鍔加工治具部を鍔付円筒巻きブッシュの円筒部の内周面で規定される中空部に圧入すると共に鍔加工治具部により円柱状案内部材をコイルばねの弾性力に抗して小径有底柱状穴部に沿って基台に対して移動させる工程と、この移動と共に鍔加工治具部を鍔付円筒巻きブッシュの円筒部の内周面で規定される中空部に圧入しつつ円弧状凹面により円筒巻きブッシュの円筒部の一方の端部を拡径する工程と、当該拡径された鍔付円筒巻きブッシュの円筒部の一方の端部を円柱状基部の他方の端面で板状部材の一方の端面に向かって押し付けて円柱状基部の他方の端面と板状部材の一方の端面と協働して鍔付円筒巻きブッシュの他方の環状の鍔部として変形させると共に円筒部が取付孔に挿通された鍔付円筒巻きブッシュを一方の環状の鍔部と他方の環状の鍔部とを介して板状部材にカシメ固着する工程とからなる。
【0015】
本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法によれば、鍔付円筒巻きブッシュの円筒部の一方の端部に径方向外方に拡がる環状の鍔部の形成と取付孔への固定を一工程で同時にできるので工程が簡略化され、結果として鍔付円筒巻きブッシュを固着した板状部材の製造コストを大幅に削減することが可能となる。
【0016】
本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法において、裏金と、該裏金の表面に一体的に被着形成された合成樹脂層との二層構造からなると共に合成樹脂層を内側にして円筒状に捲回してなり、開口した一方の端部を有する円筒部及びこの円筒部の他方の端部に一体形成された一方の環状の鍔部とを有した鍔付円筒巻きブッシュの当該一方の環状の鍔部を環状凹所に装着してもよく、これに代えて、裏金と該裏金の表面に一体的に形成された多孔質金属焼結層と該多孔質金属焼結層の孔隙を充填して該多孔質金属焼結層の表面に被覆された合成樹脂層との三層構造からなると共に合成樹脂層を内側にして円筒状に捲回してなり、開口した一方の端部を有する円筒部と該円筒部の他方の端部に一体形成された一方の環状の鍔部とを有した鍔付円筒巻きブッシュの当該一方の環状の鍔部を環状凹所に装着してもよく、更には、金属製の網状体を基材とし、この網状体の網目及び表面に合成樹脂が充填、被覆された可撓性潤滑シートを円筒状に捲回してなると共に開口した一方の端部を有する円筒部と該円筒部の他方の端部に一体形成された一方の環状の鍔部とを有した鍔付円筒巻きブッシュの当該一方の環状の鍔部を環状凹所に装着してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、従来の二種類のパンチを使用することなく、鍔付円筒巻きブッシュの円筒部の一方の端部に径方向外方に拡がる環状の鍔部の形成と板状部材の取付孔への固着を一工程で同時にできる板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定装置及び該固定装置を使用した板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、円筒部と該円筒部の他方の端部に径方向外方に拡がる環状の鍔部を備えた鍔付円筒巻きブッシュの一例の斜視説明図である。
【図2】図2は、複層摺動板の一例の断面説明図である。
【図3】図3は、本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定装置の好ましい例の断面説明図である。
【図4】図4は、図3に示す例の一部拡大断面説明図である。
【図5】図5は、本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法の好ましい例の説明図である。
【図6】図6は、本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法の好ましい例の説明図である。
【図7】図7は、本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法の好ましい例の説明図である。
【図8】図8は、本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法の好ましい例の説明図である。
【図9】図9は、本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法の好ましい例の説明図である。
【図10】図10は、本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法の好ましい例の説明図である。
【図11】図11は、本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法の好ましい例の説明図である。
【図12】図12は、本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法の好ましい例の説明図である。
【図13】図13は、本発明の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法の好ましい例の説明図である。
【図14】図14は、自動車のヒンジ構造を示す平面説明図である。
【図15】図15は、図14に示すヒンジ構造の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明及びその実施の形態を、図に示す好ましい実施例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に何等限定されないのである。
【0020】
図1及び図2において、鍔付円筒巻きブッシュ1は、開口した一方の端部2aを有する円筒部2と、円筒部2の他方の端部2bに径方向外方に拡がって予め一体形成された一方の環状の鍔部3とを備えており、鋼板などの金属製の裏金4と、裏金4の一方の表面4aに一体的に被着形成された多孔質金属焼結層5と、多孔質金属焼結層5の孔隙及び表面4aに充填被覆された合成樹脂層6からなる三層構造の板状の複層摺動板7を、複層摺動板7の合成樹脂層6を内側にして突合せ面1aをもって円筒状に捲回して円筒体を形成し、この円筒体の一方の端部を径方向外方に拡げて鍔部3を一体形成したものであり、円筒部2の内周面8及び鍔部3の一方の表面9は合成樹脂層6の露出面となっている。
【0021】
鍔付円筒巻きブッシュ1の固定装置10は、図3及び図4に示すように、円環状の端面11で開口した円形の有底柱状穴12を有した基台13と、基台13に対して軸方向Aに摺動自在になるように有底柱状穴12に配されていると共に円環状の端面14で開口した円形の有底柱状穴15を有する円柱状案内部材16と、有底柱状穴12の円形の開口17を介して有底柱状穴12外に円柱状案内部材16を押し出すように円柱状案内部材16を押圧すべく、有底柱状穴12に配されたコイルばね18と、円環状の端面19及び20で夫々開口した貫通円孔21を有すると共に円環状の端面20で基台13の端面11に対峙している長尺円筒体22と、長尺円筒体22に対して軸方向Aに摺動自在になるように長尺円筒体22の貫通円孔21に配された鍔加工治具23と、長尺円筒体22の端面19での貫通円孔21の円形の開口24を介して鍔加工治具23を貫通円孔21外に押し出すように押圧する弾性手段25と、鍔加工治具23の長尺円筒体22の貫通円孔21からの抜け出しを阻止する阻止手段26とを具備している。
【0022】
有底柱状穴12は、有底の小径有底柱状穴部31と、一端では基台13の端面11で開口している一方、他端では小径有底柱状穴部31に連接されていると共に小径有底柱状穴部31よりも大径の大径円形孔部32とを具備している。
【0023】
基台13は、小径有底柱状穴部31を規定する小径円筒内周面34と、大径円形孔部32を規定する大径円環状内周面35と、円環状の外周縁36では大径円環状内周面35に連接する一方、円環状の内周縁37では小径円筒内周面34に連接する円環状の段部面38と、小径有底柱状穴部31の底面を規定する底壁面39とを具備している。
【0024】
有底柱状穴12の小径有底柱状穴部31に配されたコイルばね18は、一方の端部で円柱状案内部材16の端面40に接触する一方、他方の端部で底壁面39に接触しており、その弾性力により円柱状案内部材16を軸方向Aにおいて端面20に向かって押圧するようになっており、その自由長では、有底柱状穴12に配された円柱状案内部材16を円筒部2の軸長分だけ基台13の端面11から端面20に向かって有底柱状穴12外に突出させている。
【0025】
大径円環状内周面35、段部面38及び円柱状案内部材16の円筒状の外周面41により環状凹所42が規定されており、環状凹所42には、図5に示すように、開口した一方の端部2aを有する円筒部2が基台13の一方の端面11から突出するようにして鍔付円筒巻きブッシュ1の当該円筒部2の他方の端部2bに予め一体形成された一方の環状の鍔部3が装着されるようになっている。
【0026】
鍔加工治具23は、長尺円筒体22に対して軸方向Aに摺動自在になるように長尺円筒体22の貫通円孔21に配された円柱状の円柱状基部45と、円柱状基部45の一方の円形の端面46に一体的に設けられていると共に長尺円筒体22の外部、即ち貫通円孔21外に配された環状鍔部47と、一方の円形の端面48で円柱状基部45の他方の円形の端面49の中央部に一体的に設けられていると共に円柱状基部45に対して縮径した円柱状の鍔加工治具部50と、円形の一端面51で鍔加工治具部50の他方の円形の端面52の中央部に一体的に設けられていると共に鍔加工治具部50に対して縮径した案内ピン53とを具備している。
【0027】
鍔加工治具部50は、端面52に加えて、環状凹所42に装着された鍔付円筒巻きブッシュ1の円筒部2の円筒状の内周面8と実質的に同径の円筒状の外周面56と、一端では外周面56に連接する一方、他端では端面52に連接して端面52に向かうに連れて徐々に縮径した挿入案内用の環状のテーパー面57とを具備しており、円柱状基部45の端面49と鍔加工治具部50の円筒状の外周面56との間には円弧状凹面58が介在している。
【0028】
案内ピン53は、円形の先端面61と、有底柱状穴15を規定する円柱状案内部材16の円筒状の内周面62と実質的に同径の円筒状の外周面63と、一端では外周面63に連接する一方、他端では先端面61に連接して先端面61に向かうに連れて徐々に縮径した挿入案内用の環状のテーパー面64とを具備している。
【0029】
弾性手段25は、一方の端部で環状鍔部47の一方の環状の端面71に接触する一方、他方の端部で長尺円筒体22の端面19に接触すると共に弾性力により環状鍔部47を長尺円筒体22の一方の端面19から離反させるコイルばね72を具備している。
【0030】
阻止手段26は、長尺円筒体22に軸方向Aに所定の長さにわたって形成された長孔75と、貫通円孔21を規定する長尺円筒体22の円筒状の内周面76に摺動自在に接触する円柱状基部45の円筒状の外周面77から径方向に一体的に突設されていると共に長孔75に配された円柱状の係合ピン78とを具備している。
【0031】
係合ピン78は、長孔75の軸方向Aの一方の端部を規定する長尺円筒体22の長孔端面79への接触で、円柱状基部45の長尺円筒体22の貫通円孔21からの抜け出しを阻止するようになっている。
【0032】
以上の固定装置10を使用して図1に示す鍔付円筒巻きブッシュ1を図14及び15に示すヒンジ片80のような板状部材を取付孔へ固定する固定方法の一例を図5から図13を参照して次に説明する。
【0033】
図1に示す鍔付円筒巻きブッシュ1を準備して、この準備した鍔付円筒巻きブッシュ1の鍔部3を環状凹所42に装着すると共に鍔付円筒巻きブッシュ1の円筒部2を基台13の端面11から突出する円柱状案内部材16の円筒状の外周面41に嵌挿する(図5)。
【0034】
円柱状案内部材16の円筒状の外周面41に嵌挿された鍔付円筒巻きブッシュ1の円筒部2の外周面81に、ヒンジ片80のような取付孔82を備えた板状部材83を当該取付孔82において圧入嵌合して、基台13の端面11から突出する円柱状案内部材16の外周面41に、基台13の端面11から突出する鍔付円筒巻きブッシュ1の円筒部2を間にして板状部材83をその取付孔82において嵌合する(図6)。
【0035】
油圧ラムなどにより環状鍔部47を基台13に向かって押圧して案内ピン53を円柱状案内部材16の有底柱状穴15に順次挿入して、案内ピン53の円柱状案内部材16の有底柱状穴15への挿入により基台13に対して鍔加工治具23を位置決めすると共に位置決め挿入に続いて環状鍔部47を基台13に向かって更に押圧してコイルばね72を介して長尺円筒体22の端面20を板状部材83の一方の面84に接触させる(図7)。
【0036】
案内ピン53の円柱状案内部材16の有底柱状穴15への挿入及び端面20の面84への接触後、油圧ラムなどにより環状鍔部47を基台13に向かって更に押圧してコイルばね72を介して長尺円筒体22の端面20で板状部材83の一方の面84を押圧して板状部材83の他方の面85を基台13の端面11に接触させると共に鍔加工治具部50の端面52を円柱状案内部材16の端面14に接触させる(図8)。
【0037】
この接触後に、更に油圧ラムなどにより環状鍔部47をコイルばね18及び72の弾性力に抗して基台13に向かって更に押圧して鍔加工治具部50の端面52で円柱状案内部材16の端面14を押圧して円柱状案内部材16を小径有底柱状穴部31に沿って底壁面39に向かって基台13に対して軸方向Aに移動させつつ鍔加工治具部50を内周面8により規定される鍔付円筒巻きブッシュ1の円筒部2の中空部に圧入する(図9)。
【0038】
この移動と共に鍔加工治具部50を鍔付円筒巻きブッシュ1の内周面8で規定される円筒部2の中空部に圧入しつつ円弧状凹面58により鍔付円筒巻きブッシュ1の円筒部2の一方の端部2bを拡径する(図10及び図11)。
【0039】
油圧ラムなどにより環状鍔部47をコイルばね18及び72の弾性力に抗して基台13に向かって更に押圧すると共に端面14に接触する鍔加工治具部50の端面52により円柱状案内部材16をコイルばね18の弾性力に抗して小径有底柱状穴部31に沿って底壁面39に向かって基台13に対して軸方向Aに移動させて、拡径された鍔付円筒巻きブッシュ1の円筒部2の端部2bを円柱状基部45の端面49で板状部材83の一方の面84に向かって押し付けて板状部材83の一方の面84と円柱状基部45の端面49との協働で円筒部2の端部2bを鍔付円筒巻きブッシュ1の他方の環状の鍔部86として変形させる共に円筒部2が取付孔82に挿通された鍔付円筒巻きブッシュ1を一方の環状の鍔部3と他方の環状の鍔部86とを介して板状部材83にカシメ固着する(図12及び図13)。
【0040】
以上の工程を経て得られた板状部材83を固定装置10から取出すことにより、鍔付円筒巻きブッシュ1が鍔部3及び86を介して取付孔82において固定された板状部材83を得る。
【0041】
而して、大径円環状内周面35、段部面38及び外周面41で規定される環状凹所42には、円筒部2が端面11から突出するようにして鍔部3が装着されるようになっており、端面11から突出する円柱状案内部材16の外周面41には、端面11から突出する鍔付円筒巻きブッシュ1の円筒部2を間にして板状部材83がその取付孔82において嵌合されるようになっており、案内ピン53の有底柱状穴15への挿入後、鍔加工治具部50の端面52は、円柱状案内部材16の端面14を押圧して円柱状案内部材16を小径有底柱状穴部31に沿って基台13に対して移動させるようになっており、円弧状凹面58は、円筒部2の端部2aを拡径させるようになっており、端面49は、拡径された端部2aを面84と協働して鍔部86として変形させ、円筒部2が取付孔82に挿通された鍔付円筒巻きブッシュ1を板状部材83にカシメ固着するようになっている鍔付円筒巻きブッシュ1の固定装置10によれば、鍔付円筒巻きブッシュ1の円筒部2の端部2aに径方向外方に拡がる環状の鍔部86の形成を、従来の二種類のパンチを使用することなく一工程で行うことができるので、製造過程においてパンチの交換を必要とせず、装置自体を簡略化することができる。
【0042】
更に、以上の鍔付円筒巻きブッシュ1の固定方法によれば、鍔付円筒巻きブッシュ1の円筒部2の端部2aに径方向外方に拡がる環状の鍔部86の形成と取付孔82への固定を一工程で同時にできるので工程が簡略化され、結果として鍔付円筒巻きブッシュ1を固着した板状部材83の製造コストを大幅に削減することが可能となる。
【0043】
次に、鍔付円筒巻きブッシュ1を取付孔82において鍔部3及び86を介して固定したヒンジ片80を具備した図14及び図15に示す自動車のトランクのヒンジ構造を説明すると、自動車の車体ピラーに固着される固定側のヒンジ片80は、水平部91と水平部91の端部に一体的に設けられた取付部92とを具備しており、水平部91には自動車の車体ピラーへの固着用の複数個のボルト93が挿通する挿通孔94が形成されており、取付部92には取付孔82としての軸孔95が形成されている。
【0044】
自動車のトランク側に固着される可動側のヒンジ片96は、水平部97と水平部97の端部に一体的に設けられた取付部98とを具備しており、水平部97には自動車のトランクへの固着用の複数個のボルト挿通孔99が形成されており、取付部98には軸孔100が形成されている。
【0045】
鍔付円筒巻きブッシュ1は、環状の鍔部3の裏面を板状部材83としての固定側のヒンジ片80の取付部92の一方の板面101に接触させ、円筒部2の外周面81を取付孔82としての軸孔95においてヒンジ片80の取付部92に嵌合させ、軸孔95より突出した円筒部2の端部2bを前記固定方法と同様にして径方向外方に拡径して形成された環状の鍔部86の裏面をヒンジ片80の取付部92の他方の板面102に接触させて取付部92に固定されている。
【0046】
ヒンジ片80とヒンジ片96とを連結する連結軸105は、円柱軸部106と円柱軸部106の一方の端部に一体に設けられた環状鍔部107とを備えており、連結軸105は、円柱軸部106を鍔付円筒巻きブッシュ1の円筒部2の内周面8で規定される中空部に挿通させ、環状鍔部107を鍔付円筒巻きブッシュ1の鍔部3の合成樹脂層6の露出面側において鍔部3に接触させ、更に、鍔付円筒巻きブッシュ1の他の環状の鍔部86の合成樹脂層6の露出面側に接触して配された可動側のヒンジ片96の取付部98の軸孔100に円柱軸部106を挿通させて、配されており、円柱軸部106の端部108において可動側のヒンジ片96の取付部98にカシメ固定されている。
【0047】
而して、連結軸105は、可動側のヒンジ片96の取付部98に対して相対回転することはなく、鍔付円筒巻きブッシュ1は、固定側のヒンジ片80の取付部92に軸孔95において嵌合固定されているため、鍔付円筒巻きブッシュ1の円筒部2の内周面8と連結軸105の円柱軸部106の外周面との間、鍔付円筒巻きブッシュ1の鍔部3の合成樹脂層6の露出面と連結軸105の環状鍔部107との間及び可動側のヒンジ片96の取付部98と鍔付円筒巻きブッシュ1の環状の鍔部86の合成樹脂層6の露出面との間での相対回転は、許容されるようになっており、当該相対回転は円筒部2の内周面8、鍔部3及び86の合成樹脂層6の露出面により円滑に行われるようになっている。
【0048】
このように本例の鍔付円筒巻きブッシュ1の固定装置10を使用した鍔付円筒巻きブッシュ1の固定方法においては、ヒンジ片80等の板状部材83の取付孔82に鍔付円筒巻きブッシュ1を圧入嵌合し、鍔付円筒巻きブッシュ1の円筒部2の端部2aに環状の鍔部86を加工すると共に鍔付円筒巻きブッシュ1を板状部材83の取付孔82に直接固定することができるので、製造工程の短縮と同時に製造コストの削減を可能とする。
【0049】
本発明の固定方法を実施するに際に準備する鍔付円筒巻きブッシュとしては、上記の鍔付円筒巻きブッシュ1に代えて、裏金と、該裏金の表面に一体的に被着形成された合成樹脂層との二層構造からなると共に合成樹脂層を内側にして円筒状に捲回してなり、円筒部及びこの円筒部の一方の端部に一体形成された一方の環状の鍔部とを有した鍔付円筒巻きブッシュでもよく、又は、これに代えて、金属製の網状体を基材とし、この網状体の網目及び表面に合成樹脂が充填、被覆された可撓性潤滑シートを円筒状に捲回してなると共に開口した一方の端部を有する円筒部と該円筒部の他方の端部に一体形成された一方の環状の鍔部を有した鍔付円筒巻きブッシュでもよく、準備したいずれの鍔付円筒巻きブッシュでも、一方の環状の鍔部を環状凹所に装着するとよい。
【符号の説明】
【0050】
10 鍔付円筒巻きブッシュの固定装置
11、14、19、20 端面
12、15 有底柱状穴
13 基台
16 円柱状案内部材
17、24 開口
18 コイルばね
21 貫通円孔
22 長尺円筒体
23 鍔加工治具
25 弾性手段
26 阻止手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端面で開口した第一の有底柱状穴を有した基台と、基台に対して摺動自在になるように該第一の有底柱状穴に配されていると共に一方の端面で開口した第二の有底柱状穴を有する円柱状案内部材と、第一の有底柱状穴の開口を介して第一の有底柱状穴外に該円柱状案内部材を押し出すように当該円柱状案内部材を押圧すべく、該第一の有底柱状穴に配されたコイルばねと、一方及び他方の端面で夫々開口した貫通円孔を有すると共に他方の端面で基台の一方の端面に対峙している長尺円筒体と、該長尺円筒体に対して摺動自在になるように長尺円筒体の貫通円孔に配された鍔加工治具と、長尺円筒体の一方の端面での貫通円孔の開口を介して該鍔加工治具を該貫通円孔外に押し出すように押圧する弾性手段とを具備しており、第一の有底柱状穴は、有底の小径有底柱状穴部と、一端では基台の一方の端面で開口している一方、他端では該小径有底柱状穴部に連接されていると共に小径有底柱状穴部よりも大径の大径円形孔部とを具備しており、鍔加工治具は、該長尺円筒体に対して摺動自在になるように長尺円筒体の貫通円孔に配された円柱状基部と、該円柱状基部の一方の端面に設けられていると共に長尺円筒体の外部に配された環状鍔部と、一方の端面で該円柱状基部の他方の端面に設けられていると共に該円柱状基部に対して縮径した鍔加工治具部と、該鍔加工治具部の他方の端面に設けられていると共に該鍔加工治具部に対して縮径した案内ピンとを具備しており、円柱状基部の他方の端面と鍔加工治具部の円筒状の外周面との間には円弧状凹面が介在しており、大径円形孔部を規定する基台の大径円環状内周面、円環状の外周縁では該大径円環状内周面に連接する一方、円環状の内周縁では小径有底柱状穴部を規定する基台の小径円筒内周面に連接する基台の段部面及び円柱状案内部材の外周面で規定される環状凹所には、開口した一方の端部を有する円筒部が基台の一方の端面から突出するようにして鍔付円筒巻きブッシュの当該円筒部の他方の端部に予め一体形成された一方の環状の鍔部が装着されるようになっており、基台の一方の端面から突出する円柱状案内部材の外周面には、基台の一方の端面から突出する鍔付円筒巻きブッシュの円筒部を間にして板状部材がその取付孔において嵌合されるようになっており、案内ピンの円柱状案内部材の第二の有底柱状穴への挿入後、鍔加工治具部の他方の端面は、円柱状案内部材の一方の端面を押圧して円柱状案内部材を小径有底柱状穴部に沿って基台に対して移動させるようになっており、円弧状凹面は、鍔付円筒巻きブッシュの円筒部の一方の端部を拡径させるようになっており、円柱状基部の他方の端面は、当該拡径された円筒巻きブッシュの円筒部の一方の端部を板状部材の一方の面と協働して鍔付円筒巻きブッシュの他方の環状の鍔部として変形させ、円筒部が取付孔に挿通された鍔付円筒巻きブッシュを板状部材にカシメ固着するようになっている特徴とする板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定装置。
【請求項2】
コイルばねは、一方の端部で円柱状案内部材の他方の端面に接触している一方、他方の端部で小径有底柱状穴部の底面を規定する基台の底壁面に接触している請求項1に記載の鍔付円筒巻きブッシュの固定装置。
【請求項3】
弾性手段は、一方の端部で環状鍔部に接触する一方、他方の端部で該長尺円筒体の一方の端面に接触すると共に環状鍔部を長尺円筒体の一方の端面から離反させる他のコイルばねを具備している請求項1又は2に記載の鍔付円筒巻きブッシュの固定装置。
【請求項4】
鍔加工治具の長尺円筒体の貫通円孔からの抜け出しを阻止する阻止手段を更に具備しており、阻止手段は、該長尺円筒体に軸方向に所定の長さにわたって形成された長孔と、円柱状基部の外周面から突設されていると共に該長孔に配された係合ピンとを具備しており、係合ピンは、長孔の一方の端部を規定する長尺円筒体の長孔端面への接触で、円柱状基部の長尺円筒体の貫通円孔からの抜け出しを阻止するようになっている請求項1から3のいずれか一項に記載の鍔付円筒巻きブッシュの固定装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の鍔付円筒巻きブッシュの固定装置を使用した板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法であって、開口した一方の端部を有する円筒部と該円筒部の他方の端部に一体形成された一方の環状の鍔部とを備えた鍔付円筒巻きブッシュを準備する工程と、該鍔付円筒巻きブッシュの一方の環状の鍔部を環状凹所に装着すると共に鍔付円筒巻きブッシュの円筒部を基台の一方の端面から突出する円柱状案内部材の外周面に嵌挿する工程と、円柱状案内部材の外周面に嵌挿された鍔付円筒巻きブッシュの円筒部の外周面に取付孔を備えた板状部材を当該取付孔において圧入嵌合する工程と、環状鍔部を基台に向かって押圧して案内ピンを円柱状案内部材の第二の有底柱状穴に挿入する工程と、案内ピンの円柱状案内部材の第二の有底柱状穴への挿入後、環状鍔部を基台に向かって更に押圧して弾性手段を介して長尺円筒体の他方の端面で板状部材の一方の面を押圧して板状部材の他方の面を基台の一方の端面に接触させると共に鍔加工治具部の他方の端面を円柱状案内部材の一方の端面に接触させる工程と、この接触後、鍔加工治具部を鍔付円筒巻きブッシュの円筒部の内周面で規定される中空部に圧入すると共に鍔加工治具部により円柱状案内部材をコイルばねの弾性力に抗して小径有底柱状穴部に沿って基台に対して移動させる工程と、この移動と共に鍔加工治具部を鍔付円筒巻きブッシュの円筒部の内周面で規定される中空部に圧入しつつ円弧状凹面により円筒巻きブッシュの円筒部の一方の端部を拡径する工程と、当該拡径された鍔付円筒巻きブッシュの円筒部の一方の端部を円柱状基部の他方の端面で板状部材の一方の面に向かって押し付けて円柱状基部の他方の端面と板状部材の一方の面と協働して鍔付円筒巻きブッシュの他方の環状の鍔部として変形させると共に円筒部が取付孔に挿通された鍔付円筒巻きブッシュを一方の環状の鍔部と他方の環状の鍔部とを介して板状部材にカシメ固着する工程とからなることを特徴とする板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法。
【請求項6】
裏金と、該裏金の表面に一体的に被着形成された合成樹脂層との二層構造からなると共に合成樹脂層を内側にして円筒状に捲回してなり、開口した一方の端部を有する円筒部及びこの円筒部の他方の端部に一体形成された一方の環状の鍔部とを有した鍔付円筒巻きブッシュの当該一方の環状の鍔部を環状凹所に装着する請求項5に記載の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法。
【請求項7】
裏金と該裏金の表面に一体的に形成された多孔質金属焼結層と該多孔質金属焼結層の孔隙を充填して該多孔質金属焼結層の表面に被覆された合成樹脂層との三層構造からなると共に合成樹脂層を内側にして円筒状に捲回してなり、開口した一方の端部を有する円筒部と該円筒部の他方の端部に一体形成された一方の環状の鍔部とを有した鍔付円筒巻きブッシュの当該一方の環状の鍔部を環状凹所に装着する請求項5に記載の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法。
【請求項8】
金属製の網状体を基材とし、この網状体の網目及び表面に合成樹脂が充填、被覆された可撓性潤滑シートを円筒状に捲回してなると共に開口した一方の端部を有する円筒部と該円筒部の他方の端部に一体形成された一方の環状の鍔部とを有した鍔付円筒巻きブッシュの当該一方の環状の鍔部を環状凹所に装着する請求項5に記載の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法。
【請求項1】
一方の端面で開口した第一の有底柱状穴を有した基台と、基台に対して摺動自在になるように該第一の有底柱状穴に配されていると共に一方の端面で開口した第二の有底柱状穴を有する円柱状案内部材と、第一の有底柱状穴の開口を介して第一の有底柱状穴外に該円柱状案内部材を押し出すように当該円柱状案内部材を押圧すべく、該第一の有底柱状穴に配されたコイルばねと、一方及び他方の端面で夫々開口した貫通円孔を有すると共に他方の端面で基台の一方の端面に対峙している長尺円筒体と、該長尺円筒体に対して摺動自在になるように長尺円筒体の貫通円孔に配された鍔加工治具と、長尺円筒体の一方の端面での貫通円孔の開口を介して該鍔加工治具を該貫通円孔外に押し出すように押圧する弾性手段とを具備しており、第一の有底柱状穴は、有底の小径有底柱状穴部と、一端では基台の一方の端面で開口している一方、他端では該小径有底柱状穴部に連接されていると共に小径有底柱状穴部よりも大径の大径円形孔部とを具備しており、鍔加工治具は、該長尺円筒体に対して摺動自在になるように長尺円筒体の貫通円孔に配された円柱状基部と、該円柱状基部の一方の端面に設けられていると共に長尺円筒体の外部に配された環状鍔部と、一方の端面で該円柱状基部の他方の端面に設けられていると共に該円柱状基部に対して縮径した鍔加工治具部と、該鍔加工治具部の他方の端面に設けられていると共に該鍔加工治具部に対して縮径した案内ピンとを具備しており、円柱状基部の他方の端面と鍔加工治具部の円筒状の外周面との間には円弧状凹面が介在しており、大径円形孔部を規定する基台の大径円環状内周面、円環状の外周縁では該大径円環状内周面に連接する一方、円環状の内周縁では小径有底柱状穴部を規定する基台の小径円筒内周面に連接する基台の段部面及び円柱状案内部材の外周面で規定される環状凹所には、開口した一方の端部を有する円筒部が基台の一方の端面から突出するようにして鍔付円筒巻きブッシュの当該円筒部の他方の端部に予め一体形成された一方の環状の鍔部が装着されるようになっており、基台の一方の端面から突出する円柱状案内部材の外周面には、基台の一方の端面から突出する鍔付円筒巻きブッシュの円筒部を間にして板状部材がその取付孔において嵌合されるようになっており、案内ピンの円柱状案内部材の第二の有底柱状穴への挿入後、鍔加工治具部の他方の端面は、円柱状案内部材の一方の端面を押圧して円柱状案内部材を小径有底柱状穴部に沿って基台に対して移動させるようになっており、円弧状凹面は、鍔付円筒巻きブッシュの円筒部の一方の端部を拡径させるようになっており、円柱状基部の他方の端面は、当該拡径された円筒巻きブッシュの円筒部の一方の端部を板状部材の一方の面と協働して鍔付円筒巻きブッシュの他方の環状の鍔部として変形させ、円筒部が取付孔に挿通された鍔付円筒巻きブッシュを板状部材にカシメ固着するようになっている特徴とする板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定装置。
【請求項2】
コイルばねは、一方の端部で円柱状案内部材の他方の端面に接触している一方、他方の端部で小径有底柱状穴部の底面を規定する基台の底壁面に接触している請求項1に記載の鍔付円筒巻きブッシュの固定装置。
【請求項3】
弾性手段は、一方の端部で環状鍔部に接触する一方、他方の端部で該長尺円筒体の一方の端面に接触すると共に環状鍔部を長尺円筒体の一方の端面から離反させる他のコイルばねを具備している請求項1又は2に記載の鍔付円筒巻きブッシュの固定装置。
【請求項4】
鍔加工治具の長尺円筒体の貫通円孔からの抜け出しを阻止する阻止手段を更に具備しており、阻止手段は、該長尺円筒体に軸方向に所定の長さにわたって形成された長孔と、円柱状基部の外周面から突設されていると共に該長孔に配された係合ピンとを具備しており、係合ピンは、長孔の一方の端部を規定する長尺円筒体の長孔端面への接触で、円柱状基部の長尺円筒体の貫通円孔からの抜け出しを阻止するようになっている請求項1から3のいずれか一項に記載の鍔付円筒巻きブッシュの固定装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の鍔付円筒巻きブッシュの固定装置を使用した板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法であって、開口した一方の端部を有する円筒部と該円筒部の他方の端部に一体形成された一方の環状の鍔部とを備えた鍔付円筒巻きブッシュを準備する工程と、該鍔付円筒巻きブッシュの一方の環状の鍔部を環状凹所に装着すると共に鍔付円筒巻きブッシュの円筒部を基台の一方の端面から突出する円柱状案内部材の外周面に嵌挿する工程と、円柱状案内部材の外周面に嵌挿された鍔付円筒巻きブッシュの円筒部の外周面に取付孔を備えた板状部材を当該取付孔において圧入嵌合する工程と、環状鍔部を基台に向かって押圧して案内ピンを円柱状案内部材の第二の有底柱状穴に挿入する工程と、案内ピンの円柱状案内部材の第二の有底柱状穴への挿入後、環状鍔部を基台に向かって更に押圧して弾性手段を介して長尺円筒体の他方の端面で板状部材の一方の面を押圧して板状部材の他方の面を基台の一方の端面に接触させると共に鍔加工治具部の他方の端面を円柱状案内部材の一方の端面に接触させる工程と、この接触後、鍔加工治具部を鍔付円筒巻きブッシュの円筒部の内周面で規定される中空部に圧入すると共に鍔加工治具部により円柱状案内部材をコイルばねの弾性力に抗して小径有底柱状穴部に沿って基台に対して移動させる工程と、この移動と共に鍔加工治具部を鍔付円筒巻きブッシュの円筒部の内周面で規定される中空部に圧入しつつ円弧状凹面により円筒巻きブッシュの円筒部の一方の端部を拡径する工程と、当該拡径された鍔付円筒巻きブッシュの円筒部の一方の端部を円柱状基部の他方の端面で板状部材の一方の面に向かって押し付けて円柱状基部の他方の端面と板状部材の一方の面と協働して鍔付円筒巻きブッシュの他方の環状の鍔部として変形させると共に円筒部が取付孔に挿通された鍔付円筒巻きブッシュを一方の環状の鍔部と他方の環状の鍔部とを介して板状部材にカシメ固着する工程とからなることを特徴とする板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法。
【請求項6】
裏金と、該裏金の表面に一体的に被着形成された合成樹脂層との二層構造からなると共に合成樹脂層を内側にして円筒状に捲回してなり、開口した一方の端部を有する円筒部及びこの円筒部の他方の端部に一体形成された一方の環状の鍔部とを有した鍔付円筒巻きブッシュの当該一方の環状の鍔部を環状凹所に装着する請求項5に記載の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法。
【請求項7】
裏金と該裏金の表面に一体的に形成された多孔質金属焼結層と該多孔質金属焼結層の孔隙を充填して該多孔質金属焼結層の表面に被覆された合成樹脂層との三層構造からなると共に合成樹脂層を内側にして円筒状に捲回してなり、開口した一方の端部を有する円筒部と該円筒部の他方の端部に一体形成された一方の環状の鍔部とを有した鍔付円筒巻きブッシュの当該一方の環状の鍔部を環状凹所に装着する請求項5に記載の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法。
【請求項8】
金属製の網状体を基材とし、この網状体の網目及び表面に合成樹脂が充填、被覆された可撓性潤滑シートを円筒状に捲回してなると共に開口した一方の端部を有する円筒部と該円筒部の他方の端部に一体形成された一方の環状の鍔部とを有した鍔付円筒巻きブッシュの当該一方の環状の鍔部を環状凹所に装着する請求項5に記載の板状部材の取付孔への鍔付円筒巻きブッシュの固定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−43208(P2013−43208A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183067(P2011−183067)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000103644)オイレス工業株式会社 (384)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000103644)オイレス工業株式会社 (384)
【Fターム(参考)】
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