説明

板状部材取付け装置

【課題】簡単な構成により板状部材を容易に取り付け、取り外しできるようにする。
【解決手段】板状部材取付け装置1は、ベースパネル11のパネル支持部23とダンパー12とによりフロントパネル14を支持する。ダンパー12は、垂直方向の小さい押圧力で第1段階の変形を生じ、その後に大きい押圧力で第2段階の変形を生じ、第1の方向の押圧力で第1の方向に変形し、第1段階の変形を生じた状態にてフロントパネル14を後面側から支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば照明器具のカバーパネルや広告用の看板、その他種々の板状部材を取り付ける板状部材取付け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、広告用の看板などのパネルは、一般にねじによって、あるいは特殊な取付け金具によって、所定の取付け対象部材に固定されている。
【0003】
また、例えば照明器具のカバーパネルは、例えば非特許文献1に示すように、多数の部品によって照明器具本体部に取り付けられている。図11は、非特許文献1に示されている従来の蛍光灯用の照明器具の分解斜視図である。
【0004】
図11に示すように、照明器具500は、照明器具本体部501がボルトとナットによって天井に固定され、照明器具本体部501に反射板502がねじよって固定され、カバー部材503が4個のV字型のばね504によって照明器具本体部501に取り付けられている。カバー部材503はパネル上のカバー505の周りを枠部材506によって支持した構造である。
【0005】
図12は、カバー部材503の照明器具本体部501への取付け構造を示す斜視図である。カバー部材503の照明器具本体部501への取り付けは、図12に示すように、作業者が、枠部材506に取り付けられたV字型のばね504を、照明器具本体部501に設けられたばね取付け部507に嵌め込むことにより行われている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「三菱蛍光灯器具(天井埋込型器具)型名FY2544X 取扱説明書」、日本、第2頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば、広告用の看板をねじによって、あるいは特殊な取付け金具によって、所定の取付け対象部材に固定する構成では、作業者による看板の取り付け、取り外し作業が面倒である。このため、例えば駅の通路に配置された看板を短期間のサイクルにて交換することは容易ではない。
【0008】
また、例えば照明器具500において、蛍光灯を交換する場合には、作業者が枠部材506に取り付けられた複数のばね504を照明器具本体部501のばね取付け部507から外して、カバー部材503を外さなければならない。したがって、この作業も作業者にとって面倒である。また、カバー505を照明器具本体部501に取り付ける構造自体、カバー505に枠部材506を設け、枠部材506に多数のばね504を取り付け、それらばね504を照明器具本体部501に設けられたばね取付け部507に嵌め込むといったものであるため、多数の部品を要し、かつ複雑なものとなっている。
【0009】
したがって、本発明は、簡単な構成により板状部材を容易に取り付け、かつ取り外すことができる板状部材取付け装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の板状部材取付け装置は、ベース部材と弾性部材とを備え、板状部材が取り付けられる板状部材取付け装置であって、前記ベース部材は、ベース部と支持部とを有し、前記ベース部は、前記弾性部材が固定される弾性部材固定面を有し、前記支持部は、前記弾性部材固定面と平行な第1の方向における一方側の位置と他方側の位置とに、前記第1の方向の間隔が前記板状部材における前記第1の方向の長さよりも短い間隔となるように、前記弾性部材固定面の前方側の位置にそれぞれ配置され、前記板状部材を前面側から支持し、前記弾性部材は、前記弾性部材固定面に固定され、前記弾性部材固定面に対する垂直方向の第1段階の押圧力を受けた場合に前記垂直方向に第1段階の変形を生じ、この第1段階の変形後に、前記垂直方向の前記第1段階の押圧力よりも大きい第2段階の押圧力を受けた場合に前記垂直方向に第2段階の変形を生じ、かつ前記第1の方向の押圧力を受けた場合に前記第1の方向に変形し、前記第1段階の変形を生じた状態にて前記板状部材を後面側から支持することを特徴としている。
【0011】
また、本発明の板状部材取付け装置は、ベース部材と弾性部材と板状部材とを備えている板状部材取付け装置であって、前記板状部材は後面が弾性部材固定面となっており、
前記ベース部材は、ベース部と支持部とを有し、前記ベース部は、前記弾性部材の前端面が当接する弾性部材当接面を有し、前記支持部は、前記弾性部材当接面と平行な第1の方向における一方側の位置と他方側の位置とに、前記第1の方向の間隔が前記板状部材における前記第1の方向の長さよりも短い間隔となるように、前記弾性部材当接面の前方側の位置にそれぞれ配置され、前記板状部材を前面側から支持し、前記弾性部材は、前記板状部材の前記弾性部材固定面に固定され、前記弾性部材固定面に対する垂直方向の第1段階の押圧力を受けた場合に前記垂直方向に第1段階の変形を生じ、この第1段階の変形後に、前記垂直方向の前記第1段階の押圧力よりも大きい第2段階の押圧力を受けた場合に前記垂直方向に第2段階の変形を生じ、かつ前記第1の方向の押圧力を受けた場合に前記第1の方向に変形し、前記第1段階の変形を生じた状態にて前記弾性部材当接面に当接され、前記板状部材を後面側から支持することを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、板状部材を取り付ける場合には、まず、板状部材の第1の方向における一方の端縁部を先頭にして、一方の端縁部をベース部材の一方の支持部とベース部との間に挿入していく。その後、板状部材の他方の端縁部が他方の支持部と衝突しない位置まで達すると、今度は、板状部材の他方の端縁部を先頭にして、他方の端縁部をベース部材の他方の支持部とベース部との間に挿入する。この作業により、板状部材の前面が両側の支持部によって支持される所定の配置位置に板状部材を配置する。
【0013】
上記のように、板状部材の取り付けの際に、板状部材を第1の方向に移動させる作業では、板状部材の後面あるいはベース部の弾性部材当接面が弾性部材と干渉するものの、弾性部材は第1の方向の押圧力を受けた場合に第1の方向に変形する。したがって、その作業を容易に行うことができる。また、板状部材の取り外しは、取り付けとは逆の作業によって容易に行うことができる。このように、本発明では、簡単な構成により板状部材の取り付け、および取り外しを容易に行うことができる。
【0014】
また、板状部材を所定の配置位置に配置した状態では、弾性部材は第1の方向の変形から復帰している。したがって、板状部材の前面は両側の支持部によって支持され、後面は第1段階の変形を生じた状態の板状部材によって支持される。これにより、板状部材を安定に保持することができる。
【0015】
上記の板状部材取付け装置において、前記ベース部材の両支持部の後面には、凸状の湾曲面を有し、前記板状部材の第1の方向における端縁部を前記ベース部材の支持部とベース部との間に挿入する際の前記板状部材の移動、および前記板状部材の所定の配置位置への移動を案内し、前記配置位置において、前記板状部材を前記第1の方向において位置決めする案内部材が設けられている構成としてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、板状部材を取り付ける場合には、案内部材により、板状部材の第1の方向における端縁部をベース部材の支持部とベース部との間に挿入する際の板状部材の移動、および板状部材の所定の配置位置への移動が案内され、板状部材を円滑に所定の配置位置に配置することができる。また、板状部材は、配置位置において、案内部材により第1の方向において位置決めされるので、板状部材を配置位置においてさらに確実に保持することができる。
【0017】
上記の板状部材取付け装置において、前記弾性部材は、前記弾性部材固定面において、前記両支持部の間の位置、かつ前記板状部材の前記第1の方向における一方側の端縁部に沿う位置に対応する位置と、前記両支持部の間の位置、かつ前記板状部材の前記第1の方向における他方側の端縁部に沿う位置に対応する位置とに、前記第1の方向と直交する方向に延びた状態に設けられている構成としてもよい。
【0018】
上記の構成によれば、ベース部および支持部を有するベース部材と2本の弾性部材とを備えた簡単な構成により、板状部材を適切に保持することができる。
【0019】
上記の板状部材取付け装置において、前記弾性部材は、前記弾性部材固定面において、前記板状部材の前記第1の方向における中央部に対応する位置に、前記第1の方向と直交する方向に延びた状態に設けられている構成としてもよい。
【0020】
上記の構成によれば、ベース部および支持部を有するベース部材と1本の弾性部材とを備えた簡単な構成により、板状部材を適切に保持することができる。
【0021】
上記の板状部材取付け装置において、前記弾性部材は、前記弾性部材固定面に固定される基壁部、前記基壁部から前記弾性部材固定面に対して垂直方向に延び、かつ互いに平行な状態にて前記第1の方向に並ぶ第1および第2縦壁部、ならびに前記第1および第2縦壁部の前端部同士をつなぐように形成され、湾曲して前方に突出する前壁部を有し、前記基壁部、前記第1および第2縦壁部、ならびに前記前壁部が環状につながり、内部に空間を有する筒状に形成されている構成としてもよい。
【0022】
上記の構成によれば、弾性部材において、第1段階の押圧力を受けた場合の第1段階の変形は、前壁部の変形にて生じることができる。また、第1段階の変形後の第2段階の変形では、垂直方向の押圧力によって第1および第2縦壁部が変形することになるので、第1段階の押圧力よりも大きい第2段階の押圧力が必要となる。また、第1および第2縦壁部の側面に対して垂直な方向となる第1の方向の押圧力を受けた場合に、弾性部材は第1の方向に容易に変形することができる。これにより、上記構成の弾性部材は、板状部材の取り付けおよび取り外しが容易であり、かつ所定の配置位置に配置された板状部材を適切に保持する板状部材取付け装置において、好適なものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の構成によれば、板状部材の取り付けの際に、板状部材を第1の方向に移動させる作業では、板状部材の後面あるいはベース部の弾性部材当接面が弾性部材と干渉するものの、弾性部材は第1の方向の押圧力を受けた場合に第1の方向に変形する。したがって、その作業を容易に行うことができる。また、板状部材の取り外しは、取り付けとは逆の作業によって容易に行うことができる。これにより、簡単な構成により板状部材の取り付け、および取り外しを容易に行うことができる。
【0024】
また、板状部材を所定の配置位置に配置した状態では、弾性部材は第1の方向の変形から復帰している。したがって、板状部材の前面は両側の支持部によって支持され、後面は第1段階の変形を生じた状態の板状部材によって支持される。これにより、板状部材を安定に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態における板状部材取付け装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示した板状部材取付け装置の分解斜視図である。
【図3】図2に示した弾性部材の複数の例、および各弾性部材の板状部材取付け装置への使用の適否を検証した結果を示す説明図である。
【図4】図3に示した各タイプの弾性部材における長手方向の一部分についての斜視図である。
【図5】図5(a)は、図2に示した板状部材取付け装置における、ベースパネルからフロントパネルを取り外した状態を示す説明図、図5(b)は、上記ベースパネル内の一方の端部領域にフロントパネルの一方の端縁部を挿入する作業の初期の状態を示す説明図、図5(c)は、上記ベースパネル内の一方の端部領域にフロントパネルの一方の端縁部を挿入する作業の途中の状態を示す説明図である。
【図6】図6(a)は、図5(c)に示した状態から、ベースパネル内の一方の端部領域にフロントパネルの一方の端縁部を挿入する作業の完了状態を示す説明図、図6(b)は、上記ベースパネル内にフロントパネルの両方の端縁部を挿入した状態を示す説明図、図6(c)は、上記ベースパネル内のパネル配置位置へのフロントパネルの配置が完了した状態を示す説明図である。
【図7】図7(a)は、本発明の他の実施の形態の板状部材取付け装置における、ベースパネルからフロントパネルを取り外した状態を示す説明図、図7(b)は、上記ベースパネル内の一方の端部領域にフロントパネルの一方の端縁部を挿入する作業の初期の状態を示す説明図、図7(c)は、上記ベースパネル内の一方の端部領域にフロントパネルの一方の端縁部を挿入する作業の途中の状態を示す説明図である。
【図8】図8(a)は、図7(c)に示した状態から、ベースパネル内の一方の端部領域にフロントパネルの一方の端縁部を挿入する作業の完了状態を示す説明図、図8(b)は、上記ベースパネル内にフロントパネルの両方の端縁部を挿入した状態を示す説明図、図8(c)は、上記ベースパネル内のパネル配置位置へのフロントパネルの配置が完了した状態を示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態における板状部材取付け装置のさらに他の例を示すものであって、2個の弾性部材がフロントパネに設けられている構成の板状部材取付け装置において、フロントパネルがベースパネルに取り付けられた状態を示す説明図である。
【図10】本発明の実施の形態における板状部材取付け装置のさらに他の例を示すものであって、1個の弾性部材がフロントパネルに設けられている構成の板状部材取付け装置において、フロントパネルがベースパネルに取り付けられた状態を示す説明図である。
【図11】従来の蛍光灯用の照明器具の分解斜視図である。
【図12】図11に示したカバー部材の照明器具本体部への取付け構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の形態を図面に基づいて以下に説明する。
図1は、本発明の実施の形態における板状部材取付け装置1を示す斜視図である。図2は、図1に示した板状部材取付け装置1の分解斜視図である。板状部材取付け装置1は、例えば建築物の天井面や壁面、あるいは板状部材取付け装置1を支持する何らかの器具や構造部に設けることができる。
【0027】
図1および図2に示すように、板状部材取付け装置1は、ベースパネル(ベース部材)11、ダンパー(弾性部材)12、サイドパネル13、およびフロントパネル(板状部材)14を備えている。ベースパネル11、サイドパネル13およびフロントパネル14は、用途に応じて、樹脂、金属あるいはその他の材質のものが使用される。ダンパー12は、各種ゴムや弾性機能を有する樹脂等により形成される。
【0028】
ベースパネル11は、ベース部21、立上がり部22、パネル支持部(支持部)23およびガイド部(案内部材)24を備えている。
【0029】
ベース部21は、本実施の形態において、平板状に形成され、軽量化のために切り欠き状の複数の開口部21aが形成されている。
【0030】
立上がり部22は、ベース部21の例えば長手方向あるいは短手方向の両端縁部からベース部21の垂直前方へ立ち上がった状態に形成されている。本実施の形態において、立上がり部22は、長手方向の両端縁部に形成されている。
【0031】
立上がり部22の高さは、板状部材取付け装置1の用途に応じて適宜設定される。例えば、板状部材取付け装置1がフロントパネル14を保持するだけの用途のものであれば、フロントパネル14の厚さに合わせて設定すればよい。また板状部材取付け装置1が例えば照明器具として使用される場合には、ベース部21とフロントパネル14との間に、照明器具を配置できるように設定すればよい。
【0032】
パネル支持部23は、両立上がり部22の前端縁部から垂直に、すなわちベース部21の前面(弾性部材固定面)と平行になるように、反対側の立上がり部22方向へ所定長さだけ延びている。
【0033】
両パネル支持部23同士の間隔は、ベースパネル11の両立上がり部22の間に配置されたフロントパネル14を両パネル支持部23によって保持できるように設定されている。すなわち、両パネル支持部23同士の間隔は、両パネル支持部23の間における開口部分の幅がフロントパネル14の幅よりも狭くなるように設定されている。さらに、両パネル支持部23同士の間隔は、上記開口部分からフロントパネル14を斜めにして、ベースパネル11の両立上がり部22の間に挿入できるように設定されている。
【0034】
すなわち、パネル支持部23は、ベース部21の前面(弾性部材固定面)と平行な第1の方向における一方側の位置と他方側の位置とに、第1の方向の間隔がフロントパネル14における第1の方向の長さよりも短い間隔となるように、ベース部21の前面(弾性部材固定面)の前方側の位置にそれぞれ配置されている。
【0035】
ガイド部24は、凸状の湾曲面を有し、ベースパネル11における立上がり部22からパネル支持部23への屈曲部の内面に設けられている。ガイド部24は、作業者が、フロントパネル14を上記開口部分からベースパネル11の両立上がり部22の間に斜めに挿入する場合に、フロントパネル14の移動を案内する。このために、ガイド部24は外面が凸状の湾曲形状となっている。これにより、ユーザはフロントパネル14の上記挿入作業を容易に行うことができる。
【0036】
また、ガイド部24は、ベースパネル11の両立上がり部22の間に配置されたフロントパネル14に対して、フロントパネル14の幅方向(両パネル支持部23の対向方向)への移動を規制する。
【0037】
すなわち、ガイド部24は、フロントパネル14の前記第1の方向における端縁部をパネル支持部23とベース部21との間に挿入する際のフロントパネル14の移動、および所定のパネル配置位置への移動を案内し、パネル配置位置において、フロントパネル14を前記第1の方向において位置決めする。
【0038】
したがって、両ガイド部24の相互に対向する側の端部同士の間隔は、フロントパネル14の幅よりも若干広い程度に設定されている。これにより、ガイド部24は、ベースパネル11において、フロントパネル14が両ガイド部24の間における所定のパネル配置位置に安定に保持されるようにしている。
【0039】
ダンパー12は、本実施の形態において、筒状に形成され、ベースパネル11の各立上がり部22に沿い、ベースパネル11の長手方向に延びた状態にて、ベース部21の前面(弾性部材固定面)に設けられている。ベース部21へのダンパー12の取り付けは、例えば接着剤にて行われている。
【0040】
すなわち、ダンパー12は、詳細には、ベース部21の前面(弾性部材固定面)において、両パネル支持部23の間の位置、かつフロントパネル14の前記第1の方向における一方側の端縁部に沿う位置に対応する位置と、両パネル支持部23の間の位置、かつフロントパネル14の前記第1の方向における他方側の端縁部に沿う位置に対応する位置とに、前記第1の方向と直交する方向に延びた状態に設けられている。
【0041】
ダンパー12は、フロントパネル14が両ガイド部24間の上記パネル配置位置に配置された状態において、フロントパネル14をその後面側から押圧してパネル支持部23に押し付ける。すなわち、ダンパー12は、フロントパネル14に当接する面の摩擦力と、フロントパネル14に対する押圧力によって、フロントパネル14を上記パネル配置位置に安定に保持する。
【0042】
また、ダンパー12は、フロントパネル14がベース部21に挿入される場合のダンパー12の取り付け面(ベース部21の前面)に対する垂直方向の押圧力に対して、垂直方向の所定の高さ範囲までは相対的に小さい第1段階の押圧力にて変形する。一方、前記所定の高さ範囲を超えて垂直方向に変形する場合には、相対的に大きい(第1段階の押圧力よりも大きい)第2段階の押圧力が必要となる。すなわち、ダンパー12は、垂直方向の押圧力を受けて高さが垂直方向に変化する場合に、所定の高さ範囲までの第1段階の変形を生じる場合と、第1段階の変形を超えて第2段階の変形を生じる場合とで、必要な押圧力が段階的に変化し、第2段階の変形には第1段階の変形を生じる第1段階の押圧力よりも大きい第2段階の押圧力が必要な構成となっている。
【0043】
また、ダンパー12は、前記第1の方向(横方向)の押圧力に対して、容易に第1の方向に変形し、かつ第1の方向の押圧力が解除された場合に、容易に元の状態に復元する構成となっている。
【0044】
これにより、作業者がベースパネル11にフロントパネル14を挿入する場合において、ダンパー12が存在していても、その作業を容易に行うことができる。
【0045】
サイドパネル13は、本実施の形態において、ベースパネル11の長手方向の両端面に取り付けられ、ベースパネル11の長手方向の両開口部を塞ぐようになっている。これにより、ベースパネル11の長手方向の両端部からのベースパネル11内への異物や雨水等の浸入を防止でき、かつ板状部材取付け装置1の美観を向上することができる。
【0046】
フロントパネル14は、ベースパネル11の寸法に応じた寸法を有する。図2の例では、フロントパネル14として単なる板状のものを示している。フロントパネル14は、ベースパネル11に取り付けられ、両ガイド部24の間における所定のパネル配置位置に保持される。この状態において、フロントパネル14は、後面がダンパー12によって前方へ押圧され、前面はパネル支持部23によって支持され、幅方向の位置は、両ガイド部24によって規制されている。したがって、パネル配置位置において安定に保持される。
【0047】
次に、ダンパー12の構成について詳細に説明する。
ダンパー12としては、種々の断面形状のものを使用することができる。ここでは、ダンパー12として、図3および図4に示す例えばタイプAのものを使用している。タイプAはダンパー12として好適なものである。図3は、ダンパー12の複数の例、および各ダンパー12の板状部材取付け装置1への使用の適否を検証した結果を示す説明図である。また、図4は、図3に示したタイプA〜Jのダンパー12における長手方向の一部分についての斜視図である。
【0048】
タイプAに関し、ダンパー12は、図4に示すように、ベースパネル11への接着面101を有する基壁部102に対して、垂直方向に延びる第1〜第3縦壁部103〜105を有する。第1および第2縦壁部103,104は、左右の側壁部となっており、第3縦壁部105は第1および第2縦壁部103,104の中間の位置に設けられている。第1〜第3縦壁部103〜105は互いに平行となり、前記第1の方向に並んでいる。ダンパー12は、さらに第1および第2縦壁部103,104の前端部同士をつなぐ前壁部106を有している。前壁部106は、凸状に湾曲した形状である。この前壁部106と第3縦壁部105の前端部との間には、隙間が形成されている。
【0049】
ダンパー12において、第1段階の押圧力による第1段階の変形は、前壁部106が第3縦壁部105の前端部に当接するまでの前壁部106の変形となる。前壁部106が第3縦壁部105に当接した後の第2段階の変形は、垂直方向の押圧力に対して第1〜第3縦壁部103〜105から抗力が作用するので、第1段階の押圧力よりも大きい第2段階の押圧力が必要となる。
【0050】
一方、ダンパー12は、第1または第2縦壁部103,104の外面に対して垂直な方向である第1の方向の押圧力に対して、抗力が小さく、容易に第1の方向に変形する。また、基壁部102、第1縦壁部103、第2縦壁部104および前壁部106によって、閉じた筒形状が形成されているので、第1の方向の押圧力が解除された場合に、容易に元の状態に復元する。
【0051】
上記の構成において、ベースパネル11に対するフロントパネル14の取り付け方法について、図5(a)〜図5(c)および図6(a)〜図6(c)に基づいて説明する。なお、これら図では、サイドパネル13を除去した状態を示している。
【0052】
図5(a)は、ベースパネル11からフロントパネル14を取り外した状態を示す説明図、図5(b)は、ベースパネル11内の一方の端部領域にフロントパネル14の一方の端縁部を挿入する作業の初期の状態を示す説明図、図5(c)は、ベースパネル11内の一方の端部領域にフロントパネル14の一方の端縁部を挿入する作業の途中の状態を示す説明図である。図6(a)は、図5(c)に示した状態から、ベースパネル11内の一方の端部領域にフロントパネル14の一方の端縁部を挿入する作業の完了状態を示す説明図、図6(b)は、ベースパネル11内にフロントパネル14の両方の端縁部を挿入した状態を示す説明図、図6(c)は、ベースパネル11内のパネル配置位置へのフロントパネル14の配置が完了した状態を示す説明図である。
【0053】
ベースパネル11にフロントパネル14を取り付ける場合には、まず、図5(a)に示すように、フロントパネル14がベースパネル11から取り外された状態から、図5(b)および図5(c)に示すように、ベースパネル11内の一方の端部領域にフロントパネル14の一方の端縁部を挿入する。
【0054】
ベースパネル11内の上記の端部領域は、ベース部21、立上がり部22およびパネル支持部23によって囲まれた領域である。図5(b)に示す作業の初期の状態では、作業者は、図5(a)に示すように、フロントパネル14をベースパネル11の前面側に保持した状態から、フロントパネル14の一方の端縁部をベース部21内に押し入れる。
【0055】
図5(b)の状態では、ダンパー12において第1段階の変形が生じている。この状態では、ダンパー12の前壁部106がひしゃげて(前壁部106の湾曲の一部が平坦化して)、フロントパネル14と前壁部106との接触面積が広がっている。したがって、フロントパネル14に対するダンパー12の摩擦力が高まっている。
【0056】
次に、作業者は、フロントパネル14を図5(b)の状態から、図5(c)に示すように、ベースパネル11内の上記の端部領域に押し込む。この動作において、ダンパー12はフロントパネル14から第1の方向の押圧力(斜め上方向からの押圧力)を受けて、第1の方向に変形する。この第1の方向のダンパー12の変形は、ダンパー12が第1の方向に容易に変形することから、作業者からの大きい力を必要とせず、容易に生じる。
【0057】
また、ベースパネル11内の上記の端部領域に挿入されるフロントパネル14の端縁部は、ガイド部24に案内されて、ガイド部24とベース部21との間の領域に進む。
【0058】
次に、図5(c)の状態から、作業者がさらにフロントパネル14を押し込むと、図6(a)に示すように、フロントパネル14の端縁部は、立上がり部22の内面に突き当たる。これにより、フロントパネル14の一方の端縁部をベースパネル11内の一方の端部領域に押し込む作業の完了状態となる。
【0059】
次に、作業者は、フロントパネル14の他方の端縁部をベースパネル11内に押し込む(図6(a)の矢印の操作)。その後、作業者は、図6(b)に示すように、フロントパネル14をベースパネル11内の他方の端部領域の方向へ移動させる。この移動は、フロントパネル14の一方の端縁部が一方のガイド部24の上から外れ、かつ他方の端縁部が他方のガイド部24の上に載らない位置に達するまで行われる。
【0060】
次に、作業者は、フロントパネル14を、図6(b)の状態から、図6(c)に示すように、ベース部21の前方へ移動させて、パネル配置位置に配置する。
【0061】
フロントパネル14は、パネル配置位置に配置された状態おいて、第1段階の変形を生じているダンパー12によって前方へ押圧されている。この場合、ダンパー12は、第1の方向の変形から復帰している。したがって、フロントパネル14は、ダンパー12によりフロントパネル14の外面と平行な方向への移動を阻止された状態である。これにより、外部から板状部材取付け装置1に振動が加わった場合であっても、フロントパネル14はがたつきを生じ難い状態となっている。
【0062】
また、フロントパネル14におけるその外面と平行な方向への移動に関し、ベースパネル11の立上がり部22方向(第1の方向)への移動は、ベースパネル11の両側のガイド部24によって確実に規制されている。また、両側のサイドパネル13方向への移動は、それらサイドパネル13によって確実に記載されている。
【0063】
また、ベースパネル11からのフロントパネル14の取り外しは、上述したベースパネル11に対するフロントパネル14の取り付け作業とは逆の作業を行えばよい。
【0064】
上述したような、ベースパネル11に対するフロントパネル14の取り付けおよび取り外し作業は、ベースパネル11にサイドパネル13を取り付けた状態、あるいはサイドパネル13を取り外した状態のいずれの状態であっても行うことができる。したがって、それら状態は、状況に応じて適宜選択すればよい。
【0065】
次に、ダンパー12の他の具体例について、図3および図4を参照して説明する。なお、図4に示すタイプA〜Jにおいて、平坦面となっている上面は、ベースパネル11のベース部21に接着される面である。
【0066】
タイプAについては、前述のように、ダンパー12として説明したとおりである。
【0067】
タイプBは、タイプAと同様、接着面111、基壁部112、第1〜第3縦壁部113〜115および前壁部116を有する。タイプBがタイプAと相違する点は、第3縦壁部115が前壁部116の内面に設けられている点である。したがって、第3縦壁部115の後端部と基壁部112との間には隙間が形成されている。
【0068】
タイプBにおいて、第1段階の押圧力による第1段階の変形は、第3縦壁部115の後端部が基壁部112に当接するまでの前壁部116の変形となる。タイプBが、第2段階の変形において第1段階の押圧力よりも大きい第2段階の押圧力が必要となる理由、第1の方向(水平方向)の押圧力に対して容易に第1の方向(水平方向)に変形する理由、および第1の方向(水平方向)の押圧力が解除された場合に容易に元の状態に復元する理由はタイプAの場合と同様である。これにより、タイプBはダンパー12として好適である。
【0069】
タイプCは、接着面121、基壁部122、第1〜第2縦壁部123〜124および前壁部126を有する。タイプCがタイプAと相違する点は、第3縦壁部が存在しないことである。また、第1〜第2縦壁部123〜124の厚みが、基壁部122側において第1および第2縦壁部103,104よりも厚く、前端部に向って漸次薄くなり、前端部において第1および第2縦壁部103,104の厚みとほぼ同じになっていることである。
【0070】
タイプCにおいて、第1段階の押圧力による第1段階の変形は、前壁部126の凸形状がなくなるまでの変形である。それ以上の第2段階の変形には、第1および第2縦壁部103,104よりも厚みが厚い第1および第2縦壁部123,124の抗力が作用するので、第1段階の押圧力よりも大きい第2段階の押圧力が必要となる。なお、タイプCが、第1の方向の押圧力に対して容易に第1の方向に変形する理由、および第1の方向の押圧力が解除された場合に容易に元の状態に復元する理由はタイプAの場合と同様である。これにより、タイプCはダンパー12として好適である。
【0071】
タイプDは、接着面131、基壁部132、第1〜第2縦壁部133〜134、前壁部136および横壁部137を有する。タイプDがタイプAと相違する点は、第3縦壁部が存在せず、前壁部136の後方側位置に、第1縦壁部133と第2縦壁部134とをつなぐ横壁部137が存在することである。
【0072】
タイプDにおいて、第1段階の押圧力による第1段階の変形は、前壁部136の凸形状がなくなるまでの変形である。それ以上の第2段階の変形には、基壁部132、第1縦壁部133、第2縦壁部134および横壁部137からなる、閉じた断面矩形の形状による抗力が作用するので、第1段階の押圧力よりも大きい第2段階の押圧力が必要となる。
【0073】
一方、タイプDは、第1の方向の押圧力に対して、横壁部137が存在する分、抗力が若干大きくなるものの、第1の方向への変形は容易である。また、基壁部132、第1縦壁部133、第2縦壁部134、前壁部136および横壁部137によって、閉じた筒形状が形成されているので、第1の方向の押圧力が解除された場合に、容易に元の状態に復元する。これにより、タイプDもダンパー12として好適である。
【0074】
タイプEは、断面形状がベースパネル11への接着面141を底辺とする二等辺三角形の棒状である。二等辺三角形の頂部は湾曲した形状となっている。また、頂部付近には、穴142が形成されている。タイプEは、このような断面形状であるから、垂直方向の変形を生じるための押圧力は、最初は相対的に小さく、変形が進むに連れて漸次増加する。したがって、第1段階、第2段階といった段階的な押圧力の変化は起こらない。この点から、タイプEはダンパー12として好適ではない。
【0075】
なお、タイプEは、第1の方向の押圧力に対して、抗力が大きく、容易には第1の方向に変形しない。なお、第1の方向の押圧力が解除された場合の復元性は良好である。
【0076】
タイプFは、タイプEと同様、断面形状がベースパネル11への接着面151を底辺とする二等辺三角形状であり、かつ頂部が湾曲した形状となっている。ただし、穴142は形成されていない。したがって、タイプFは、タイプEと同様、垂直方向の変形を生じるための押圧力において、第1段階、第2段階といった段階的な押圧力の変化は起こらない。この点から、タイプFはダンパー12として好適ではない。
【0077】
なお、タイプFは、第1の方向の押圧力に対して容易には第1の方向に変形しない一方、第1の方向の押圧力が解除された場合の復元性は良好である。
【0078】
タイプGは、ベースパネル11への接着面161を有する基壁部162に対して、垂直方向に延びる縦壁部163を有する。縦壁部163の前部には楕円形筒部164が設けられている。具体的には、縦壁部163が楕円形筒部164の後部壁を貫通し、前部壁の手前まで達している。したがって、縦壁部163の前端部と楕円形筒部164の前部壁との間には隙間が形成されている。
【0079】
タイプGにおいて、第1段階の押圧力による第1段階の変形は、楕円形筒部164の前部壁が縦壁部163の前端部に当接するまでの楕円形筒部164の変形となる。楕円形筒部164が縦壁部163に当接した後の第2段階の変形は、垂直方向の押圧力に対して縦壁部163から抗力が作用するので、第1段階の押圧力よりも大きい第2段階の押圧力が必要となる。
【0080】
一方、タイプGは、第1の方向の押圧力に対して、抗力が小さく、容易に第1の方向に変形する。その反面、楕円形筒部164を一つの縦壁部163のみによって支持している形状であるから、第1の方向の押圧力が解除された場合の元の状態への復元性は低い。この点から、タイプGはダンパー12として好適ではない。
【0081】
タイプHは、垂直方向に延びる一つの縦壁部172を有する。縦壁部172の後端面はベースパネル11への接着面171となっている。縦壁部172は、後縦壁部173と前縦壁部174とを有し、前縦壁部174は、縦壁部172の前端部を所定間隔ごとに切り欠くことにより形成されている。したがって、前縦壁部174は後縦壁部173の前端部において、縦壁部172の長手方向に所定間隔をおいて形成された状態である。
【0082】
タイプHにおいて、第1段階の押圧力による第1段階の変形は、例えば前縦壁部174が左右いずれかの方向に倒れ込むといった変形によって生じる。その後の第2段階の変形は、垂直方向の押圧力に対して、前縦壁部174からの抗力よりも大きい後縦壁部173からの効力が作用するので、第1段階の押圧力よりも大きい第2段階の押圧力が必要となる。
【0083】
一方、タイプHは、第1の方向の押圧力に対して、抗力が小さく、容易に第1の方向に変形する。その反面、一つの縦壁部172のみからなる形状であるから、第1の方向の押圧力が解除された場合の元の状態への復元性は低い。この点から、タイプHはダンパー12として好適ではない。
【0084】
タイプIは、ベースパネル11への接着面181を有する基壁部182に対して、左右の位置に、垂直方向に延びる第1〜第2縦壁部183〜184を有する。第2縦壁部184は、第1縦壁部183よりも前方への高さが高くなっている。
【0085】
タイプIにおいて、第1段階の押圧力による第1段階の変形は、第1縦壁部183よりも高さの高い第2縦壁部184のみの変形となる。その後の第2段階の変形は、第1〜第2縦壁部183〜184から抗力が作用するので、第1段階の押圧力よりも大きい第2段階の押圧力が必要となる。
【0086】
一方、タイプIは、第1の方向の押圧力に対して、抗力が小さく、容易に第1の方向に変形する。その反面、第1〜第2縦壁部183〜184がそれぞれ独立して形成されているので、第1の方向の押圧力が解除された場合の元の状態への復元性は低い。この点から、タイプIはダンパー12として好適ではない。
【0087】
タイプJは、断面形状がタイプAおよびタイプBと類似した形状であり、接着面191、基壁部192、第1〜第3縦壁部193〜195および前壁部196を有する。タイプJがタイプAおよびタイプBと相違する点は、第3縦壁部195が基壁部192および前壁部196と接続されており、第3縦壁部195と基壁部192または前壁部196との間に隙間が存在しない点である。
【0088】
タイプJは、上記のような断面形状であるから、垂直方向の変形を生じるための押圧力は、ほぼ一定であり、第1段階、第2段階といった段階的な変化は起こらない。この点から、タイプJはダンパー12として好適ではない。
【0089】
なお、タイプJは、タイプAおよびタイプBと同様、第1の方向の押圧力に対して容易に第1の方向に変形し、また、第1の方向の押圧力が解除された場合に、容易に元の状態に復元する。
【0090】
本実施の形態の板状部材取付け装置1は、上記のように、ベースパネル11にダンパー12を設けた簡単な構成により、板状部材としてのフロントパネル14をベースパネル11に容易に取り付け、かつ容易に取り外すことができる。
【0091】
また、ベースパネル11からフロントパネル14を取り外す場合には、図6(a)(あるいは図5(c))に示すように、フロントパネル14の一方の端縁部を立上がり部22の内面位置まで押し込んで、ダンパー12を第1の方向に変形させる作業を伴う。したがって、板状部材取付け装置1の全体が振動する地震によっては、図6(a)(あるいは図5(c))に示すような状態は生じ難い。これにより、板状部材取付け装置1は、地震によってもフロントパネル14がベースパネル11から脱落し難く、十分な耐震性を有する。
【0092】
また、上記の実施の形態において、フロントパネル14は、単純な平板状のものとして示しているが、適宜種々の加工が施されていてもよい。例えば、フロントパネル14の前面がパネル支持部23の前面と面一となるように、フロントパネル14のパネル支持部23により支持される端縁部に、パネル支持部23の厚みの分だけ前面側の厚みを切り欠いた切り欠き部を形成しておいてもよい。
【0093】
また、板状部材は、看板や広告用パネルとして使用される上記のフロントパネル14に限定されず、例えば照明器具におけるパネル状のカバー部材、あるいはパネル状の各種表示装置であってもよい。さらに、板状部材は、板状部材自体が自ら発光する例えば有機EL照明器具等の薄型照明器具であってもよい。
【0094】
なお、フロントパネル14が看板や広告用パネルとして使用される場合、フロントパネル14の取り付けおよび取り外しが容易な点から、板状部材取付け装置1は、特に、駅や人通りの多い通路などに設置され、短いサイクルにてフロントパネル14が取り替えられる用途に特に有効である。
【0095】
また、フロントパネル14が照明器具におけるパネル状のカバー部材である場合、照明装置の本体部分は、ベースパネル11とフロントパネル14との間に設けられていてもよい。また、フロントパネル14がパネル状の表示装置である場合、表示装置を駆動するための装置や部品がベースパネル11とフロントパネル14との間に設けられていてもよい。
【0096】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態を図面に基づいて以下に説明する。
先の実施の形態では、ダンパー12がベースパネル11に対して2個(2本)設けられている板状部材取付け装置1について示した。しかしながら、ダンパー12はベースパネル11に対して1個(1本)設けられている構成であってもよい。
【0097】
例えば図7(a)に示しように、ベースパネル11に対して1個(1本)のダンパー12が設けられている板状部材取付け装置2では、ダンパー12はベースパネル11のベース部21における、両立上がり部22の間の中央部に配置される。すなわち、ダンパー12は、フロントパネル14の後面(弾性部材固定面)において、フロントパネル14の前記第1の方向における中央部に、前記第1の方向と直交する方向に延びた状態に設けられている。この場合、ベース部21におけるダンパー12の配置位置には、開口部21aが形成されない。他の構成は、板状部材取付け装置1の場合と同様である。
【0098】
上記の構成において、ベースパネル11に対するフロントパネル14の取り付け方法について、図7(a)〜図7(c)および図8(a)〜図8(c)に基づいて説明する。
【0099】
図7(a)〜図7(c)は、作業者による前述の図5(a)〜図5(c)の作業に対応し、図8(a)〜図8(c)は、作業者による前述の図6(a)〜図6(c)の作業に対応している。したがって、ここでは、先の実施の形態に対する相違点のみについて説明する。
【0100】
ベースパネル11にフロントパネル14を取り付ける場合には、まず、図7(a)に示す状態から、図7(b)および図7(c)に示すように、ベースパネル11内の一方の端部領域にフロントパネル14の一方の端縁部を挿入する。
【0101】
図7(b)および図7(c)の状態では、図5(b)および図5(c)の状態とは異なり、フロントパネル14はダンパー12と当接せず、したがって、ダンパー12の変形は生じていない。
【0102】
次に、図8(a)に示すように、フロントパネル14の一方の端縁部が立上がり部22の内面に突き当たった状態から、作業者は、フロントパネル14の他方の端縁部をベースパネル11内に押し込む(図8(a)の矢印の操作)。この作業の過程において、フロントパネル14がダンパー12と当接し、ダンパー12に第1段階の変形が生じる。
【0103】
その後、作業者は、図8(b)に示すように、フロントパネル14をベースパネル11内の他方の端部領域の方向へ移動させる。この動作により、ダンパー12はフロントパネル14から第1の方向の押圧力(斜め上方向からの押圧力)を受けて、第1の方向に変形する。その後、フロントパネル14は、図8(c)に示すように、パネル配置位置に配置される。
【0104】
フロントパネル14がパネル配置位置に配置された状態おける板状部材取付け装置2の各機能は、板状部材取付け装置1の場合と同様である。また、板状部材取付け装置2を使用できる各形態についても板状部材取付け装置1の場合と同様である。
【0105】
以上の実施の形態では、ダンパー12がベースパネル11に設けられた板状部材取付け装置1,2の例について示した。この場合、フロントパネル14は種々のものを選択して使用できる。したがって、板状部材取付け装置1,2においては、ベースパネル11およびダンパー12が必須の構成と考えることができる。
【0106】
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態を図面に基づいて以下に説明する。
上記の板状部材取付け装置1,2において、ダンパー12はベースパネル11ではなく、フロントパネル14の後面(弾性部材固定面)に設けられている構成であってもよい。ここで、そのような構成の板状部材取付け装置について示す。
【0107】
図9は、2個のダンパー12がフロントパネル14に設けられている構成の板状部材取付け装置3において、フロントパネル14がベースパネル11に取り付けられた状態を示す説明図である。図10は、1個のダンパー12がフロントパネル14に設けられている構成の板状部材取付け装置4において、フロントパネル14がベースパネル11に取り付けられた状態を示す説明図である。
【0108】
板状部材取付け装置3,4において、図9および図10に示す状態は、フロントパネル14がパネル配置位置に配置された状態である。この状態において、ダンパー12はベース部21の前面に当接(圧接)され、第1段階の変形を生じている。したがって、フロントパネル14は、ダンパー12によって前方へ押圧されている。これにより、フロントパネル14は、ダンパー12によりフロントパネル14の外面と平行な方向への移動を阻止された状態であり、板状部材取付け装置1,2の場合と同様、パネル配置位置に安定に保持される。
【0109】
板状部材取付け装置3,4において、ベースパネル11に対するフロントパネル14の取り付けおよび取り外しは、板状部材取付け装置1,2の場合と同様にして行うことができる。また、板状部材取付け装置3,4が有する機能は、板状部材取付け装置1,2において説明したものと同様である。
【0110】
また、板状部材取付け装置3,4の場合、フロントパネル14はダンパー12が設けられていることにより必須の構成となる。したがって、板状部材取付け装置3,4において、ベースパネル11、ダンパー12およびフロントパネル14が必須の構成と考えることができる。
【0111】
また、以上の実施の形態において、一つのダンパー12は一本につながったものとして示しているが、長さが短い複数のダンパー12が一列に配置されている構成であってもよい。
【0112】
また、上記の板状部材取付け装置において、前記弾性部材は、前記第1縦壁部と前記第2縦壁部との間に、前記第1および第2縦壁部と平行な第3縦壁部を有し、前記第3縦壁部は、前記弾性部材固定面に対する垂直方向の一端部が前記基壁部もしくは前記前壁部と接続され、非接続端部となっている他端部と前記基壁部もしくは前記前壁部との間に隙間を有している構成としてもよい。
【0113】
上記の構成によれば、弾性部材において、第1段階の押圧力を受けた場合の第1段階の変形は、前壁部の変形にて生じることができる。また、第1段階の変形後の第2段階の変形では、垂直方向の押圧力によって第1から第3縦壁部が変形することになるので、第1段階の押圧力よりも大きい第2段階の押圧力が必要となる。また、第1から第3縦壁部の側面に対して垂直な方向となる第1の方向の押圧力を受けた場合に、弾性部材は第1の方向に容易に変形することができる。これにより、上記構成の弾性部材は、板状部材の取り付けおよび取り外しが容易であり、かつ所定の配置位置に配置された板状部材を適切に保持する板状部材取付け装置において、さらに好適なものである。
【0114】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、照明器具のカバーパネル、広告用の看板、その他種々の板状部材の取り付けに利用することができる。
【符号の説明】
【0116】
1,2,3,4 板状部材取付け装置
11 ベースパネル(ベース部材)
12 ダンパー(弾性部材)
13 サイドパネル
14 フロントパネル(板状部材)
21 ベース部
22 立上がり部
23 パネル支持部(支持部)
24 ガイド部(案内部材)
101,111,121,131 接着面
102,112,122,132 基壁部
103,113,123,133 第1縦壁部
104,114,124,134 第2縦壁部
105,115 第3縦壁部
106,116,126,136 前壁部
137 横壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と弾性部材とを備え、板状部材が取り付けられる板状部材取付け装置であって、
前記ベース部材は、ベース部と支持部とを有し、
前記ベース部は、前記弾性部材が固定される弾性部材固定面を有し、
前記支持部は、前記弾性部材固定面と平行な第1の方向における一方側の位置と他方側の位置とに、前記第1の方向の間隔が前記板状部材における前記第1の方向の長さよりも短い間隔となるように、前記弾性部材固定面の前方側の位置にそれぞれ配置され、前記板状部材を前面側から支持し、
前記弾性部材は、前記弾性部材固定面に固定され、前記弾性部材固定面に対する垂直方向の第1段階の押圧力を受けた場合に前記垂直方向に第1段階の変形を生じ、この第1段階の変形後に、前記垂直方向の前記第1段階の押圧力よりも大きい第2段階の押圧力を受けた場合に前記垂直方向に第2段階の変形を生じ、かつ前記第1の方向の押圧力を受けた場合に前記第1の方向に変形し、前記第1段階の変形を生じた状態にて前記板状部材を後面側から支持することを特徴とする板状部材取付け装置。
【請求項2】
ベース部材と弾性部材と板状部材とを備えている板状部材取付け装置であって、
前記板状部材は後面が弾性部材固定面となっており、
前記ベース部材は、ベース部と支持部とを有し、
前記ベース部は、前記弾性部材の前端面が当接する弾性部材当接面を有し、
前記支持部は、前記弾性部材当接面と平行な第1の方向における一方側の位置と他方側の位置とに、前記第1の方向の間隔が前記板状部材における前記第1の方向の長さよりも短い間隔となるように、前記弾性部材当接面の前方側の位置にそれぞれ配置され、前記板状部材を前面側から支持し、
前記弾性部材は、前記板状部材の前記弾性部材固定面に固定され、前記弾性部材固定面に対する垂直方向の第1段階の押圧力を受けた場合に前記垂直方向に第1段階の変形を生じ、この第1段階の変形後に、前記垂直方向の前記第1段階の押圧力よりも大きい第2段階の押圧力を受けた場合に前記垂直方向に第2段階の変形を生じ、かつ前記第1の方向の押圧力を受けた場合に前記第1の方向に変形し、前記第1段階の変形を生じた状態にて前記弾性部材当接面に当接され、前記板状部材を後面側から支持することを特徴とする板状部材取付け装置。
【請求項3】
前記ベース部材の両支持部の後面には、凸状の湾曲面を有し、前記板状部材の第1の方向における端縁部を前記ベース部材の支持部とベース部との間に挿入する際の前記板状部材の移動、および前記板状部材の所定の配置位置への移動を案内し、前記配置位置において、前記板状部材を前記第1の方向において位置決めする案内部材が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の板状部材取付け装置。
【請求項4】
前記弾性部材は、前記弾性部材固定面において、前記両支持部の間の位置、かつ前記板状部材の前記第1の方向における一方側の端縁部に沿う位置に対応する位置と、前記両支持部の間の位置、かつ前記板状部材の前記第1の方向における他方側の端縁部に沿う位置に対応する位置とに、前記第1の方向と直交する方向に延びた状態に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の板状部材取付け装置。
【請求項5】
前記弾性部材は、前記弾性部材固定面において、前記板状部材の前記第1の方向における中央部に対応する位置に、前記第1の方向と直交する方向に延びた状態に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の板状部材取付け装置。
【請求項6】
前記弾性部材は、前記弾性部材固定面に固定される基壁部、前記基壁部から前記弾性部材固定面に対して垂直方向に延び、かつ互いに平行な状態にて前記第1の方向に並ぶ第1および第2縦壁部、ならびに前記第1および第2縦壁部の前端部同士をつなぐように形成され、湾曲して前方に突出する前壁部を有し、前記基壁部、前記第1および第2縦壁部、ならびに前記前壁部が環状につながり、内部に空間を有する筒状に形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の板状部材取付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−96457(P2013−96457A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237849(P2011−237849)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(596143749)
【Fターム(参考)】