説明

板紙

【課題】パルプ繊維と非パルプ繊維とを含む層を備えながら、優れた強度を有する板紙の提供を図ることを目的とする。
【解決手段】本発明は、繊維素材としてパルプ繊維と非パルプ繊維とを含む混抄層を備える板紙であって、上記混抄層における非パルプ繊維とパルプ繊維との質量基準の配合比が5:95以上20:80以下であり、上記非パルプ繊維が非直線形状を有することを特徴とする。上記非パルプ繊維が巻縮しており、この非パルプ繊維の巻縮数が100個/m以上4,000個/m以下であるとよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維素材としてパルプ繊維と非パルプ繊維とを含む混抄層を有する板紙に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、繊維素材としてパルプ繊維に加えて、パルプ繊維以外の被抄紙成分を含むスラリーを抄紙して得られる混抄紙が各種用途に用いられている。この混抄紙としては、例えば(1)パルプ繊維と化学繊維とを混抄して製造され、ワイパー(払拭用紙)等に用いられるもの(特開2008−253281号公報参照)、(2)パルプ繊維と小豆粕やおから等とを混抄して製造されるもの(特開2002−294585号公報参照)等がある。(1)の混抄紙は、化学繊維を混抄させることで、払拭用紙の柔軟性や嵩高性を高めることができ、(2)の混抄紙は、小豆粕やおから等を混抄させることで、独特の風合いや模様を醸し出したりすることができるなど、混抄紙は紙の用途を広げ、また、付加価値を高めることができる。
【0003】
しかしながら、混抄紙は非パルプ繊維を混抄して得られるため、この非パルプ繊維とパルプ繊維との親和性が低い場合は両繊維素材の相互作用が弱くなる傾向を示す。そのため、混抄紙は非パルプ繊維を含まない通常の紙よりも紙力が低いという不都合がある。従って、混抄紙を高い層間強度、寸法安定性、加工適性等が要求される板紙へ適用するには改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−253281号公報
【特許文献2】特開2002−294585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたもので、繊維素材としてパルプ繊維と非パルプ繊維とを含む混抄層を備えながら、優れた強度、寸法安定性及び加工適性を有する板紙の提供を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた発明は、
繊維素材としてパルプ繊維と非パルプ繊維とを含む混抄層を備える板紙であって、
上記混抄層における非パルプ繊維とパルプ繊維との質量基準の配合比が5:95以上20:80以下であり、
上記非パルプ繊維が非直線形状を有することを特徴とする。
【0007】
当該板紙によれば、非パルプ繊維が非直線形状を有するため、通常フィブリル化されているパルプ繊維とこの非パルプ繊維とが容易に絡み合うことができる。従って、当該板紙によれば、パルプ繊維と親和性の低い非パルプ繊維を混抄した場合であっても、混抄層内及び層間で高い強度を有し、高い層間強度、寸法安定性及び加工適性を発揮することができる。また、当該板紙は、混抄層におけるパルプ繊維と非パルプ繊維との配合比を上記範囲としていることで、非パルプ繊維を含有させることによる諸特性を発揮させつつ、高い強度を備えることができる。
【0008】
上記非パルプ繊維が巻縮しており、この非パルプ繊維の巻縮数が100個/m以上4,000個/m以下であるとよい。このように非パルプ繊維が所定巻縮数で巻縮していることで、原料パルプスラリー中又は抄紙の際の、非パルプ繊維とパルプ繊維との絡み合いを容易にし、かつ抄紙後の層内及び層間でこの絡みをほどけにくくすることができる。従って、当該板紙は、さらに強度を高めることができる。なお、巻縮とは、繊維の有する波状又は螺旋状の縮れをいう。
【0009】
上記非パルプ繊維が合成繊維であるとよい。非パルプ繊維として合成繊維を用いることで、上記所定巻縮数の巻縮形状等の非直線形状を比較的容易に形成することができる。従って、当該板紙によれば、強度をさらに高めることができる。
【0010】
上記非パルプ繊維の平均長さが0.5mm以上5mm以下であるとよい。このように非パルプ繊維の平均長さを比較的短い上記範囲とすることで、原料パルプスラリー中において、パルプ繊維と均一に混ぜ合わせることができ、両繊維素材が均一に分散された、強度にムラのない板紙を得ることができる。また、当該板紙によれば、比較的短い非パルプ繊維を用いることで、層表面の毛羽立ちを低減させることができる。
【0011】
上記非パルプ繊維の繊度が1dtex以上40dtex以下であるとよい。当該板紙によれば、非パルプ繊維として繊度の小さいものを用いることで、抄紙の際に非パルプ繊維部分が膨らむことなどを抑制し、毛羽立ちをさらに押さえ、層表面の平滑性及び層間の強度をさらに高めることができる。
【0012】
上記非パルプ繊維の少なくとも一部が、染料及び/又は紙力増強剤で被覆されているとよい。このように非パルプ繊維の少なくとも一部をこれらの添加剤で被覆することで、非パルプ繊維の見かけの比重を調整することができる。従って、当該板紙によれば、原料パルプスラリー中において両繊維素材をより均一に分散させることができるため、強度にムラが無く、例えば寸法安定性等を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したとおり、本発明の板紙によれば、繊維素材としてパルプ繊維と非パルプ繊維とを含む混抄層を備えながら、優れた強度を有することができる。従って、当該板紙は、混抄されているにもかかわらず、層間剥離が生じにくく、寸法安定性及び加工適性に優れており、通常の板紙と同様に、段ボール紙等に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の板紙の混抄層表面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の板紙の実施の形態について詳説する。
本発明の板紙は、繊維素材としてパルプ繊維と非パルプ繊維とを含む混抄層を備える。当該板紙は、少なくとも一層の混抄層を備えていれば、単層であっても多層であってもよいが、板紙としての必要な強度を発揮させるために多層であることが好ましい。さらに、当該板紙が多層である場合は、混抄層が表層に設けられていることが好ましい。以下、表層、中間層及び裏層の三層構造を有する多層抄き板紙であって、かつ、この表層が上記混抄層である場合を例として本発明の一実施形態を説明する。
【0016】
(混抄層:表層)
上記混抄層は、繊維素材としてパルプ繊維と非直線形状を有する非パルプ繊維とを含む原料パルプスラリーを抄紙して得られる。当該板紙によれば、非パルプ繊維が非直線形状を有するため、通常フィブリル化されているパルプ繊維とこのパルプ繊維とが容易に絡み合うことができる。従って、当該板紙によれば、パルプ繊維と親和性の低い非パルプ繊維を混抄した場合であっても、層内及び隣接する他の層(中層)との間で優れた強度を有することができる。
【0017】
上記非パルプ繊維とパルプ繊維との配合比としては、質量基準で、5:95以上20:80以下であり、7:93以上15:85以下が好ましい。当該板紙は、混抄層におけるパルプ繊維と非パルプ繊維との配合比を上記範囲としていることで、非パルプ繊維の諸特性を発揮させつつ、高い強度を備えることができる。
【0018】
非パルプ繊維のパルプ繊維に対する配合比が上記下限未満の場合は、非パルプ繊維を混抄させることによる効果を十分に発揮させることができない。逆に、この非パルプ繊維の配合比が上記上限を超えると、パルプ繊維の配合比が低下することで、板紙としての必要な強度が発揮されないこととなるとともに、毛羽立ちが発生しやすくなり、印刷適性が低下するおそれがある。
【0019】
なお、この原料パルプスラリーには、パルプ繊維と非パルプ繊維以外に、他の成分が含有されていてもよい。
【0020】
(パルプ繊維)
パルプ繊維とは、通常、紙の原料として用いられ、木材その他の植物から機械的又は化学的処理によって取り出したセルロース繊維の集合体をいう。上記パルプ繊維としては、通常、板紙等の紙の原料に使用されるものを用いることができ、例えば古紙パルプ、化学パルプ、機械パルプ等の各繊維を挙げることができる。
【0021】
古紙パルプとしては、例えば段ボール古紙、茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、上白古紙、ケント古紙、構造古紙、地券古紙等から製造される離解古紙パルプ、離解・脱墨古紙パルプ、脱墨・漂白古紙パルプ等が挙げられる。
【0022】
化学パルプとしては、例えば広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等が挙げられる。
【0023】
機械パルプとしては、例えばストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)等が挙げられる。
【0024】
これらのパルプ繊維の中でも、得られる板紙に優れた強度、寸法安定性及び加工適性を併せ持って付与できる観点から、化学パルプが好ましく、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)が特に好ましい。
【0025】
(非パルプ繊維)
非パルプ繊維とは、上記パルプ繊維以外の繊維をいう。この非パルプ繊維としては、無機繊維と有機繊維とを挙げることができる。
【0026】
上記無機繊維としては、鉄系、コバルト系、ニッケル系、シリコン系又はこれらの合金からなる繊維等を挙げることができる。
【0027】
上記有機繊維としては、天然繊維や、合成繊維を挙げることができる。
【0028】
上記天然繊維としては、例えば綿、麻等のセルロース繊維;羊毛、絹等のタンパク質系繊維;これらの2種以上の天然繊維からなる混紡天然繊維等が挙げられる。
【0029】
上記合成繊維としては、例えばレーヨン系繊維(ビスコースレーヨン繊維、キュプラレーヨン繊維等)、ポリエステル系繊維(ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維等の芳香族ポリエステル繊維等)、ポリアミド系繊維(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612等の脂肪族ポリアミド系繊維、脂環族ポリアミド系繊維、ポリフェニレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリp−フェニレンテレフタルアミド等の芳香族ポリアミド系繊維等)、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン、ポリプロピレン繊維等)、エチレン−ビニルアルコール系共重合体繊維、ポリ塩化ビニル系繊維(ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体の繊維等)、ポリ塩化ビニリデン系繊維(塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体の繊維等)、ポリウレタン繊維、アクリル系繊維(アクリロニトリル−塩化ビニル共重合体等のアクリロニトリル系繊維等)、ビニロン等のポリビニルアルコール系繊維、ポリクラール繊維、フッ素系繊維、タンパク−アクリロニトリル共重合体系繊維、ポリグリコール酸繊維、フェノール樹脂繊維等を挙げることができる。
【0030】
これらの非パルプ繊維の中でも、後述する好ましい形状を好適に形成することができる点から有機繊維が好ましく、合成繊維がさらに好ましく、レーヨン系繊維及びポリエステル系繊維が特に好ましい。
【0031】
本発明に用いられる非パルプ繊維の形状としては、非直線形状を有していれば特に限定されず、例えば巻縮している形状(波状又は螺旋状)、分岐形状、渦巻形状、ジグザグ形状等の形状を挙げることができる。
【0032】
非パルプ繊維におけるこれらの形状の中でも、巻縮している形状が好ましい。非パルプ繊維が巻縮していることで、図1に模式的に示されるように、非パルプ繊維1の巻縮構造(波構造又は螺旋構造)内に通常フィブリル化されているパルプ繊維2が進入するなど、複雑に絡み合うことができる。従って、当該板紙によれば、パルプ繊維と親和性の低い非パルプ繊維を混抄した場合であっても、混抄層内で、及び混抄層と隣接する層との間で両繊維素材が絡み合った状態を形成し、かつ維持することができるため優れた強度を有することができる。
【0033】
この非パルプ繊維の平均長さとしては、0.5mm以上5mm以下が好ましく、1mm以上3mm以下がさらに好ましい。このように非パルプ繊維の平均長さを比較的短い上記範囲とすることで、原料パルプスラリー中において、パルプ繊維と均一に混ぜ合わせることができ、両繊維素材が均一に分散されることで、強度にムラがなく、かつ強度に優れた板紙を得ることができる。また、当該板紙によれば、比較的短い非パルプ繊維を用いることで、層表面の毛羽立ちを抑制することができる。更には、事前に非パルプ繊維を後述する紙力増強剤含有液中に分散若しくは、非パルプ繊維分散液中に紙力増強剤を添加することで、非パルプ繊維表面に紙力増強剤の被覆を形成させ、得られる板紙の紙質強度向上と寸法安定性の改善を更に図ることができる。本発明において併用する紙力増強剤としては、ポリビニールアルコールを主成分とする紙力増強剤を用いるのが好ましい。他の種類の紙力増強剤を用いても、優れた効果が発現するため、併用する紙力増強剤の種類には特に限定はなく、さらに数種類の紙力増強剤を併用することもできる。
【0034】
非パルプ繊維の平均長さが上記下限未満の場合は、非パルプ繊維を混ぜて混抄したことによるメリットを享受できにくくなる場合がある。逆に、この平均長さが上記上限を超えると、非パルプ繊維がパルプ繊維と絡まない部分が存在しやすくなるため、この結果表面の毛羽立ちが生じやすくなったり、罫線割れが生じやすくなるなど、加工適性、強度が低下するおそれがある。
【0035】
ここで、非パルプ繊維の平均長さとは、混抄層表面を顕微鏡で拡大観察し、無作為に抽出した20本の非パルプ繊維の長さ(L)の平均で算出した値である。また、非パルプ繊維の長さ(L)とは、非パルプ繊維の両端を直線で結んだ長さの値をいう(図1参照)。
【0036】
上記非パルプ繊維の繊度としては1dtex以上40dtex以下が好ましく、5dtex以上25dtex以下がさらに好ましい。このように非パルプ繊維として繊度の小さいものを用いることで、抄紙の際に非パルプ繊維部分が膨らむことなどを抑制し、毛羽立ちをさらに押さえ、層表面の平滑性及び層間の強度をさらに高めることができる。
【0037】
非パルプ繊維の繊度が上記下限より小さいと、例えば非パルプ繊維同士がパルプスラリー中で凝集しやすくなり、得られる板紙の強度が低下するおそれなどがある。逆に、この繊度が上記上限を超えると、巻縮による嵩高さが抄紙又は抄紙後のプレスによっても維持され、その結果、層表面における非繊維パルプ部分が膨らむこととなり、この部分から罫線割れなどが生じやすくなったり、隣接する他層(中層)との強度が低下したりするおそれがある。
【0038】
この非パルプ繊維の巻縮数としては、100個/m以上4,000個/m以下が好ましく、200個/m以上2,500個/m以下がさらに好ましく、400個/m以上2,000個/m以下が特に好ましい。非パルプ繊維がこのような巻縮数で巻縮していることで、原料パルプスラリー中又は抄紙の際のパルプ繊維との絡み合いを容易にし、かつ抄紙後の混抄層内及び層間でこの絡みをほどけにくくすることができる。従って、当該板紙は、さらに強度を高めることができる。
【0039】
この巻縮数は、例えば端布の粉砕機を使用して解繊した場合、非パルプ繊維の裁断長さの違いにより約1割程度巻縮数の変動が生じる場合があり、元来繊維の持つ巻縮数に加え、裁断による巻縮数の変動を考慮しながら巻縮数を所望の範囲に設定することが、単に非パルプ繊維を混抄する従来技術と異なり、本件発明における課題解決に有益である。
【0040】
この巻縮数が上記下限未満の場合は、非パルプ繊維の非直線度合いが低く、パルプ繊維と絡み合いにくくなるため、得られる混抄層及び層間、ひいては板紙の引裂強度が十分に向上しない場合がある。逆に、この巻縮数が上記上限を超えると、巻縮形状が密になりすぎるため巻縮構造(波状構造又は螺旋構造)内にパルプ繊維が進入しにくい、つまり絡み合いにくくなり、その結果得られる混抄層及び層間、ひいては板紙の引裂強度が十分に向上しない場合がある。
【0041】
ここで、巻縮数とは、単位長さ(1m)当たりの巻縮の数をいい、螺旋形状の場合は単位長さ当たりの巻き数、波状形状の場合は単位長さ当たりの波数(山の数)をいう。またこの巻縮数は無作為に抽出した20本の非パルプ繊維の巻縮数の平均の値をいう。
【0042】
この非パルプ繊維の巻縮率としては、1.2以上5以下が好ましく、1.5以上4以下がさらに好ましい。ここで巻縮率とは、巻縮した状態の長さに対するこの巻縮を解いた状態の長さの比をいう。また、この巻縮率は無作為に抽出した20本の非パルプ繊維の巻縮率の平均の値をいう。非パルプ繊維がこのような巻縮率で巻縮していることで、パルプ繊維との絡み合いがより効果的に生じる。
【0043】
なお、このような巻縮数、平均長さ、繊度等を有する非直線形状の非パルプ繊維は、布等の糸を裁断することによって効率的に得ることができる。すなわち、所望する巻縮数及び繊度に対応する糸を、裁断機で所望する平均長さに裁断することによって得ることができる。なお、裁断の際に、繊維の巻縮形状が緩み、繊維の巻縮数が減少するため、これを考慮して適度な巻縮数(撚り数)を有する糸を選択する必要がある。
【0044】
上記非パルプ繊維の少なくとも一部が、染料及び/又は紙力増強剤で被覆されているとよい。混抄する非パルプ繊維の比重が、パルプ繊維の比重と大きく異なると、原料パルプスラリー中において、又は、抄紙の際に両繊維素材が均一に混ざり合っていない場合が生じ、得られる板紙の強度等に部分的に又は表と裏とで、ムラが生じるおそれがある。しかしながら、このように非パルプ繊維の少なくとも一部をこれらの添加剤で被覆することで非パルプ繊維の見かけの比重を調整することができる。従って、当該板紙によれば、スラリー中において両パルプ繊維をより均一に分散させることができるため、強度にムラが無く、例えば寸法安定性等を向上させることができる。
【0045】
非パルプ繊維の少なくとも一部を染料及び/又は紙力増強剤で被覆させる方法としては特に限定されず、例えば、パルプ繊維と非パルプ繊維とが配合された原料パルプスラリーに添加する方法、非パルプ繊維のみを含むパルプスラリーに添加する方法、染料により着色された非パルプ繊維を用いる方法等を挙げることができる。
【0046】
(染料)
上記染料としては、特に限定されず、公知のものを用いることができ、分散染料、カチオン染料、塩基性染料、酸性染料、含金属染料、反応染料、直接染料、硫化染料、硫化建染染料、建染染料、アゾ染料、媒染染料、酸性媒染染料、複合染料等を挙げることができる。
【0047】
本発明において、表層の黒色着色剤として染料が用いられる場合、染料としては、例えば、アニオン性直接染料、カチオン性直接染料、塩基性染料、酸性染料等を使用することができる。
【0048】
アニオン性直接染料は、元来セルロース繊維染色の目的に作られたもので、中性塩を含む染浴から直接にセルロース繊維に染着する。化学構造からみると、アゾ、スチルベン、チアゾール、ジオキサジン、フタロシアニン等に分けられる。アニオン性直接染料としては、アゾ基(−N=N−)を発色団として持つアゾ染料からなるものが一般的であるが、任意のアニオン性直接染料を用いることができる。カチオン性直接染料とは、発色団の末端がカチオン基になったもので、例えば、分子中にスルホン基、フェノール性水酸基、カルボキシル基などをもち、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウム塩の形となった分子構造の染料である。
【0049】
塩基性染料は、助色団としてアミノ基(−NH)や置換アミノ基(−NHR又は−NR)を持ち、水溶液はカチオン性で、鮮明で、染着力が大きい。カチオン性であるためパルプに含まれるリグニンとイオン結合し染着する。酸性染料は、分子中にスルホン基、フェノール性水酸基、カルボキシル基等をもち水溶性で溶液はアニオン性を示す。一般に溶解性の優れるものが多く、鮮明度は塩基性染料に次いで高い。酸性染料は羊毛、ナイロン繊維等に汎用される染料で、セルロースに対する親和性は低い。しかし、パルプ染色では通常硫酸バンドを添加するので、硫酸バンドで染料が不溶性の塩となりパルプに吸着される。
【0050】
本発明に用いる染料としては、パルプ繊維及び非パルプ繊維に対する高親和性による染着が可能であり、染着力に優れるアニオン性直接染料、カチオン性直接染料を使用することが好ましい。例えば、攪拌装置を有する染色用バッチ槽内での染着に、アニオン性直接染料を使用し、色の微調整にはカチオン性直接染料を用いる。
【0051】
(定着剤)
染料の定着剤として、硫酸バンド、澱粉、ポリアクリルアマイドなどが用いられる。本願発明における所望の明度、色相に調整するためには、染料添加量も多くなる。そこで、本願発明においては特に染料の定着性を向上させるために、第4級アンモニウム塩、ピリジウム塩、ジシアンジアミド・ホルムアルデヒド縮合物、ポリアミン系重合物等の定着剤を用いることが好ましい。例えば、アニオン性直接染料、カーボンブラック用いずれの定着剤としてもポリアミン系重合物の定着剤を用いることができる。染料用の定着剤は、染料100重量部に対して、好ましくは1.5質量部以下、さらに好ましくは0.8質量部以下で添加する。なお、染料を添加した場合であっても、染料用定着剤は必ずしも添加しなくてもよい。カーボンブラック等の顔料用はカチオン度が低いものが好ましく、アニオン性直接染料用にはカチオン度の高い定着剤が好ましい。
【0052】
染料用定着剤としては、具体的には、クラリアントジャパン株式会社製のサンドフィックスTPS、大日精化工業株式会社製のダイフィックスなどが好適に使用できる。顔料用定着剤としては、具体的には、クラリアントジャパン株式会社製のカルタレチンFリキッドが好適に使用できる。
【0053】
紙力増強剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができ、例えば澱粉、変成澱粉、カチオン澱粉、ポリアクリルアミドメラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)等を1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0054】
なお、この紙力増強剤を用いることで、均一分散性が高まるとともに、非パルプ繊維が層表面から毛羽立つことを抑えることができる。これらの紙力増強剤の中でも、この毛羽立ちを効果的に抑えることができる点で澱粉、変成澱粉、カチオン澱粉、PVAを用いることが好ましく、PVAを用いることが特に好ましい。
【0055】
このPVAとしては、特に限定されないが繊維状PVAが好ましい。繊維状PVAを混抄しておくと、この繊維状PVAが、例えば、ドライヤパート等で熱を受けて、フィルム状の層となるため、透気度が高くなる。この透気度が150秒以上となるようにすると、バキューム搬送時の重送トラブルが減少する。この重送トラブルの減少は、樹脂の含浸や含浸紙の貼り合わせ等によるものではなく、繊維状PVAの混抄によるものなので、工程増加によって製造コストが高くなるという不都合も生じない。また、繊維状PVAの混抄によると、発塵低減という効果も得られる利点がある。
【0056】
これらの紙力増強剤の添加率は紙の種類、用途、要求される性能に応じて変えられるが、非パルプ繊維の乾燥重量当たり0.01〜3.0質量%、好ましくは0.1〜1.0質量%である。本発明においては、紙力増強剤が少ない添加率でも効果が発現し、これ以上の添加率で紙力増強剤を使用すると、かえって板紙の地合の低下、ろ水性の低下などの問題点が生じる場合があり好ましくない。
【0057】
本発明においては、上記製紙用紙力増強剤の他に、製紙用サイズ剤と定着剤、填料、顔料、歩留まり向上剤、染料、消泡剤、防腐剤、粘度低下剤等の公知の抄紙薬品を、必要に応じて併用添加することができ、これらの種類および添加率には特に制限はない。
【0058】
(その他の任意成分)
混抄層には、上記パルプ繊維及び非パルプ繊維の他に、本発明の目的効果を損なわない範囲で、任意成分を適宜使用することができる。この任意成分としては、例えば、
ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(PDADMAC)又はその誘導体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドと他のモノマーの共重合体、ポリアクリルアミド、ポリアミン、ポリエチレンイミン、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド重合物、変性ポリエチレンイミン等の凝結剤;
水溶性アニリン樹脂塩酸塩、ポリエチレンイミン、ポリアミン、キトサン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ヘキサメチレンジアミン−エピクロロヒドリン系樹脂等の凝集剤;
軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クレー、焼成カオリン、デラミカオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、微小中空粒子などの填料;
アルキルケテンダイマー系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤、中性ロジンサイズ剤などのサイズ剤;
アクリルアミド/アミノメチルアクリルアミドの共重合物の塩、カチオン化澱粉、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、アクリルアミド/アクリル酸ナトリウム共重合物などの歩留り向上剤;
その他、紙粉脱落防止剤;紙厚向上剤;嵩高剤などを、その種類及び含有量を適宜調整して添加することができる。
【0059】
表層(混抄層)の坪量の上限としては、100g/mが好ましく、80g/mがより好ましい。また、この表層の坪量の下限としては、25g/mが好ましく、30g/mがより好ましい。このように表層の坪量を上記範囲とすることで、当該板紙は、混抄されているにもかかわらず、板紙としての高い緩衝性を発揮しつつ、罫線割れしにくいなどの優れた加工適性を発揮させることができる。
【0060】
(中層及び裏層)
中層及び裏層としては、特に限定されず、従来の板紙の中層及び裏層と同様の組成等を備えたものである。すなわち、パルプ繊維を主成分とする原料パルプスラリーを抄紙することによって得られる層である。このパルプ繊維としては、上述した混抄層(表層)に用いられるものと同様のものを用いることができ、同様に、各種の添加剤を添加して抄紙することができる。
【0061】
中層の坪量の上限としては、140g/mが好ましく、100g/mがより好ましい。また、この中層の坪量の下限としては、25g/mが好ましく、30g/mがより好ましい。このように中層の坪量を上記範囲とすることで、当該板紙は、高い強度を維持しつつ、軽量性を発揮することができる。
【0062】
裏層の坪量の上限としては、130g/mであることが好ましく、100g/mであることがより好ましい。また、この裏層の坪量の下限としては、30g/mであることが好ましく、50g/mであることがより好ましい。このように裏層の坪量を上記範囲とすることで、当該板紙に対して強度及び軽量性の両立を図ることができる。
【0063】
(製造方法)
当該板紙の製造方法としては、一般的に製紙用途で使用される多層抄きの方法を用いることができる。具体的には、表層、中層及び裏層に対応するそれぞれの原料パルプスラリーを用いて、ワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、リールパートを経て抄紙し、これを巻き取ることで製造することができる。なお、ドライヤーパートにおいては、表層(混抄層)表面の毛羽立ちを押さえるべく、110℃以上150℃以下の範囲で加熱することが好ましい。
【0064】
(板紙)
当該板紙の全体の密度の上限としては、1.0g/cmであることが好ましく、0.8g/cmであることがより好ましい。また、この板紙全体の密度の下限としては、0.5g/cmであることが好ましく、0.7g/cmであることがより好ましい。このように板紙全体の密度を上記範囲とすることで、軽量性と、加工適性等を含む強度とをバランス良く発揮することができる。
【0065】
なお、この板紙全体の密度が上記下限未満であると、層間強度が低下し、各層間が剥離し易くなるため好ましくない。また、この全体の密度が上記上限を超えると板紙としての緩衝性が低下するなるため好ましくない。なお、かかる密度は、JIS−P8118(厚さ及び密度の試験方法)に準拠した値である。
【0066】
なお、本発明の板紙は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば混抄層のみからなる単層構造であってもよい。また、裏層又は中層に混抄層を用いてもよい。
【実施例】
【0067】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0068】
なお、本実施例における各測定値は以下の方法にて測定した値である。
【0069】
(層間強度)
層間強度(単位:mJ)JAPAN TAPPI No.18−2に規定するインターナルボンドテスタ法により測定した。
【0070】
(引裂強度(横)
引裂強度(横)(単位:mN)は、JIS−P8116:2000に準じて測定した。
【0071】
(寸法安定性)
10cm×10cmの試験片を作製した。この試験片を40℃、85%RHに調温調湿された部屋に7日間放置した後、寸法変化率を測定し、以下の基準で判定した。
A:寸法変化率1%未満
B:寸法変化率1%以上、3%未満
C:寸法変化率3%以上、5%未満
D:寸法変化率5%以上
【0072】
(罫線割れ)
耐折試験法のMIT試験機にて折り込みを10回くり返し折り、表層(混抄層)の折目の割れ方を相対評価したもので、その評価基準は下記の通りである。
A:罫線割れが全く発生していない
B:罫線割れが殆ど発生していない
C:罫線割れが多少発生しているが、実用上、問題ない
D:罫線割れの発生が多く、美粧印刷を施すことができない
【0073】
[実施例1]
(表層用原料パルプスラリー)
レーヨン繊維製の端布A(繊度:17dtex)を、株式会社ホーライ製の廃棄物リサイクル用粉砕器(FG−2060)を用い、スクリーンの孔径を2mmとして、裁断し、非パルプ繊維A−1を得た。
【0074】
非パルプ繊維A−1を10質量%、及びパルプ繊維として広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)を90質量%配合した後に、離解フリーネスを380ccに調整した原料パルプスラリーに、硫酸バンド4質量%、サイズ剤(近代化学工業株式会社製R50)を0.3質量%添加して表層用の原料パルプスラリーを調製した。なお、「離解フリーネス(cc)」は、各試料を約3cmの大きさに裁断して約25gの重さの試験片とし、この試験片を1リットルの水に24時間浸漬した後、JIS−P8220に準拠して標準離解機で15分間離解処理し、試験片が完全に離解していることを目視で確認した後、JIS−P8121に準拠してカナダ標準濾水度試験機にて測定した濾水度の値である(以下、同様)。
【0075】
(中層用原料パルプスラリー)
ケント古紙パルプ(NBKP)60質量%と上質古紙パルプ40質量%とを配合した後に、離解フリーネスを350ccに調整した原料パルプスラリーに、硫酸バンド4質量%、サイズ剤(近代化学工業株式会社製R50)を0.3質量%添加して中層用の原料パルプスラリーを調製した。
【0076】
(裏層用原料パルプスラリー)
地券古紙パルプ100質量%を、離解フリーネス230ccに調整し、硫酸バンド4質量%、サイズ剤(R50)を0.3質量%添加して裏層用の原料パルプスラリーを調製した。
【0077】
これらの原料スラリーを用い、ウルトラフォーマー(小林製作所株式会社製)にて、表層、中層及び裏層の3層の紙層を抄き合わせて、ヤンキードライヤーにて乾燥し、付け量を表層が70g/m、中層が80g/m、裏層が70g/m、板紙全体の坪量が220g/mである実施例1の板紙を得た。
【0078】
[実施例2〜14及び比較例1〜5]
表層用原料パルプスラリーにおける非パルプ繊維の種類、及び非パルプ繊維とパルプ繊維との配合比を表1に示すとおりとし、一部表1に示す前処理を施したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜14及び比較例1〜5の板紙を得た。
【0079】
なお、実施例3、10及び13においては、原料パルプ配合前の各非パルプ繊維スラリーに、繊維状PVAを固形分換算で0.3質量%添加し(表1中PVA処理1)、実施例6、8及び11においては、原料パルプ配合前の各非パルプ繊維スラリーに、繊維状PVAを固形分換算で0.5質量%添加し(表1中PVA処理2)、実施例9においては、繊維状PVAを固形分換算で0.5質量%に加え、アニオン性直接染料(商品名:イエローRNH、井上化学株式会社製)を0.4質量%添加し(表1中PVA・染色処理)、実施例12においてはアニオン性直接染料(商品名:イエローRNH、井上化学株式会社製)を0.4質量%添加し(表1中染色処理)、表層用の原料スラリーを調製した。
【0080】
・非パルプ繊維A−2
レーヨン繊維製の端布A(繊度:17dtex)を、株式会社ホーライ製の廃棄物リサイクル用粉砕器(FG−2060)を用い、スクリーンの孔径を5mmとして、裁断したもの。
【0081】
・非パルプ繊維A−3
レーヨン繊維製の端布A(繊度:17dtex)を、株式会社ホーライ製の廃棄物リサイクル用粉砕器(FG−2060)を用い、スクリーンの孔径を10mmとして、裁断したもの。
【0082】
・非パルプ繊維A−4
レーヨン繊維製の端布A(繊度:17dtex)を、株式会社ホーライ製の廃棄物リサイクル用粉砕器(FG−2060)を用い、スクリーンの孔径を1mmとして、裁断したもの。
【0083】
・非パルプ繊維A−5
染色剤にて黒色に染色(表面が被覆)されているレーヨン繊維製の端布A(繊度:17dtex)を、株式会社ホーライ製の廃棄物リサイクル用粉砕器(FG−2060)を用い、スクリーンの孔径を1mmとして、裁断したもの。
【0084】
・非パルプ繊維B
レーヨン繊維製の端布B(繊度:8dtex)を、株式会社ホーライ製の廃棄物リサイクル用粉砕器(FG−2060)を用い、スクリーンの孔径を2mmとして、裁断したもの。
【0085】
・非パルプ繊維C−1
レーヨン繊維製の端布C(繊度:30dtex)を、株式会社ホーライ製の廃棄物リサイクル用粉砕器(FG−2060)を用い、スクリーンの孔径を2mmとして、裁断したもの。
【0086】
・非パルプ繊維C−2
レーヨン繊維製の端布C(繊度:30dtex)を、株式会社ホーライ製の廃棄物リサイクル用粉砕器(FG−2060)を用い、スクリーンの孔径を1mmとして、裁断したもの。
【0087】
・非パルプ繊維D
レーヨン繊維製の端布D(繊度:15dtex)を、株式会社ホーライ製の廃棄物リサイクル用粉砕器(FG−2060)を用い、スクリーンの孔径を2mmとして、裁断したもの。
【0088】
・非パルプ繊維E
ポリエステル繊維製の端布E(繊度:17dtex)を、株式会社ホーライ製の廃棄物リサイクル用粉砕器(FG−2060)を用い、スクリーンの孔径を2mmとして、裁断したもの。
【0089】
・非パルプ繊維F
レーヨン繊維製の端布F(繊度:4dtex)を、株式会社ホーライ製の廃棄物リサイクル用粉砕器(FG−2060)を用い、スクリーンの孔径を10mmとして、裁断したもの。
【0090】
・非パルプ繊維a
直線状のポリエチレンテレフタレート(PET)繊維(クラレ社製 ソフィットN720)。
【0091】
・非パルプ繊維b
直線状のビニロン繊維(クラレ社製 VPB303)。
【0092】
なお、得られた各板紙の表層側の表面を顕微鏡で拡大観察し、無作為に抽出した非パルプ繊維20本の長さ、巻縮の数を測定し、平均長さ(mm)及び巻縮数(個/m)を算出した。それぞれの数値を表1に示す。なお、この巻縮数は、同じ種類の非パルプ繊維を用いても裁断の長さ(粉砕器のスクリーンの孔径)等によって、変化する。
【0093】
また、得られた各板紙における層間強度、引裂強度(横)、寸法安定性及び罫線割れについて、上述した方法にて評価した。評価結果を表1に示す。
【0094】
【表1】

【0095】
表1に示されるように、実施例1〜14の板紙は、非パルプ繊維が配合されているにもかかわらず、層間強度、引裂強度及び寸法安定性に優れ、罫線割れが生じにくく、優れた加工適性を有していることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の板紙は、層間強度、引裂強度、寸法安定性及び加工適性に優れており、段ボール紙等の板紙として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0097】
1 非パルプ繊維
2 パルプ繊維

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維素材としてパルプ繊維と非パルプ繊維とを含む混抄層を備える板紙であって、
上記混抄層における非パルプ繊維とパルプ繊維との質量基準の配合比が5:95以上20:80以下であり、
上記非パルプ繊維が非直線形状を有することを特徴とする板紙。
【請求項2】
上記非パルプ繊維が巻縮しており、
この非パルプ繊維の巻縮数が100個/m以上4,000個/m以下である請求項1に記載の板紙。
【請求項3】
上記非パルプ繊維が合成繊維であり、非パルプ繊維の繊度が1dtex以上40dtex以下、非パルプ繊維の平均長さが0.5mm以上5mm以下である請求項1又は請求項2に記載の板紙。
【請求項4】
上記非パルプ繊維の少なくとも一部が、染料及び/又は紙力増強剤で被覆されている請求項1、請求項2又は請求項3に記載の板紙。

【図1】
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【公開番号】特開2012−77414(P2012−77414A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224384(P2010−224384)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】