説明

析出プロセスにおいて医薬粒子を生成するための反応器

析出プロセスにおいて粒子を製造する反応器、反応器システムおよび方法が提供される。反応器は、反応室を画定するハウジング、2つ以上のステータを含むステータアセンブリ、2つ以上のロータを含むロータアセンブリであって、ステータアセンブリに対して回転の軸のまわりに回転するように構成された、前記ロータアセンブリ、第1の反応物質を第1の半径方向位置において反応室に供給する第1の取入口、第2の反応物質を第1の半径方向位置と異なる第2の半径方向位置において反応室に供給する第2の取入口であって、第1および第2の反応物質が反応して反応室において粒子の析出を生成する、前記第2の取入口、および反応室において形成された粒子を供給する取出口を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物製品の製造中の析出プロセスにおいて医薬粒子を生成するための反応器、反応器システムおよび方法に関する。実施態様によっては、これらの反応器、反応システムおよび方法は、肺送達用の医薬製品の製造プロセスにおいて使用される。
【背景技術】
【0002】
関係出願の相互参照
本出願は、参照によりその全文が本明細書に組み入れられている、2009年11月2日付け出願の米国特許仮出願番号第61/257311号、および2010年9月20日付け出願の同仮出願番号第61/384662号に基づいて優先権を主張するものである。
【0003】
Steinerらに対して2000年6月6日付けで発行された米国特許第6071497号は、マイクロ粒子の析出を伴うジケトピペラジン(diketopiperazine)のマイクロ粒子の製造方法を記載している。しかしながら、特許第6071497号に記載された方法は、マイクロ粒子が形成されるときに、そのマイクロ粒子中に薬物を混入するプロセスである。一方で、米国特許第6444226号は、活性物質とマイクロ粒子の複合体を形成することによって予備成形されるジケトピペラジンマイクロ粒子を使用しての、製剤の製造方法を開示している。そのようなマイクロ粒子懸濁液をさらに処理することによって、治療目的で吸入式により患者に投与することのできる、乾燥粉末を生成することができる。上記記載の方法のすべてにおいて、ジケトピペラジンに関わる析出反応は、反応半減期が0.5秒程度と極めて速く、析出を生じた懸濁液は非ニュートン流体である。
【0004】
析出における結晶形成は非常に迅速に発生するので、析出プロセスは、通常、小さな粒子を生成するのに使用される。析出プロセス中に使用される条件によって、粒子寸法および粒子の構造が決まる。このプロセスには、溶解した固体混合物を、混合中に過飽和にすることが含まれる。この混合速度および過飽和の程度が、粒子寸法形成に重要な役割を果たす。従来技術の混合装置としては、衝突ジェットミキサ類(impinging jet mixers)、高圧ホモジェナイザ(homogenizer)類、および噴霧乾燥を伴う静的混合が挙げられる。析出プロセスが極端に急速で、結果として得られる懸濁液が非ニュートン流体である場合には、これらの装置はいずれも、連続プロセスにおいては使用することができない。流体の非ニュートン特性が原因で、流出流における速度勾配が小さい場合には、析出粒子が析出装置の壁に付着する。すなわち、混合装置の目詰まりが発生する可能性がある。
したがって、連続析出プロセスにおいて粒子を生成するための、改良型の反応器、反応器システムおよび方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、薬物製品の製造中の析出プロセスにおいて医薬粒子を生成するための反応器、反応器システムおよび方法を提供する。本発明は、非常に短い時間で発生し、反応器の目詰まりを引き起こすことのある析出反応に特に有用である。本発明は、第1の反応物質および第2の反応物質を、それぞれ第1および第2の取入口において、反応室に供給することを含む。第2の取入口は、反応室内で第1の取入口の下流にあってもよい。第1の反応物質は、速度が増大するとともに、小さな飛沫に縮小され、次いで、第2の取入口の下流で第2の反応物質と反応し、反応室の取出口において、第1および第2の反応物質の反応によって形成される粒子となる。
【0006】
本発明の第1の観点によれば、析出プロセスにおいて粒子を生成するための反応器が提供される。この反応器は、反応室を画定するハウジング;前記反応室内に2つ以上のステータを含む、ステータアセンブリ;前記反応室内に2つ以上のロータを含むロータアセンブリであって、前記ステータアセンブリに対して、回転軸のまわりに回転するように構成された、前記ロータアセンブリ;第1の反応物質を第1の半径方向位置において前記反応室に供給する第1の取入口;第2の反応物質を、前記第1の半径方向位置と異なる第2の半径方向位置において前記反応室に供給する第2の取入口であって、前記第1および第2の反応物質が反応して前記反応室において粒子の析出を生成する、前記第2の取入口;および前記反応室において形成された粒子を供給する、取出口を含む。
【0007】
本発明の第2の観点によれば、析出プロセスにおいて粒子を生成するための反応器が提供される。この反応器は、反応室を包囲するハウジング;前記反応室内に少なくとも第1のステータおよび第2のステータを含む、ステータアセンブリ;前記反応室内に少なくとも第1のロータ、第2のロータおよび第3のロータを含む、ロータアセンブリ;前記第1のロータの上流で、前記反応室に第1の反応物質を供給する、第1の取入口;前記第2のステータの領域内で、前記反応室に第2の反応物質を供給する第2の取入口;および前記第1および第2の反応物質の反応によって形成される粒子を供給する取出口を含み、前記第1の物質が、前記第1のロータによって速度を上げられ、前記第1のステータおよび前記第2のロータによって小さな飛沫に縮小されるとともに、前記第2の取入口の下流で、前記第1の反応物質が前記第2の反応物質と反応する。
【0008】
本発明の第3の観点によれば、析出プロセスにおいて粒子を生成するための反応器システムが提供される。この反応器システムは、反応室を包囲するハウジング、前記反応室内に少なくとも第1のステータおよび第2のステータを含む、ステータアセンブリ、前記反応室内に少なくとも第1のロータ、第2のロータおよび第3のロータを含む、ロータアセンブリ、前記第1のロータの上流で前記反応室に結合された、第1の取入口、前記第2のステータの領域において前記反応室に結合された、第2の取入口、および前記反応室の取出口を含む、反応器;前記反応室内で、前記ステータアセンブリに対して前記ロータアセンブリを回転させるように構成された駆動機構;前記反応器の前記第1の取入口に第1の反応物質を供給するように構成された第1の供給源;および前記反応器の前記第2の取入口に第2の反応物質を供給するように構成された第2の供給源を含み、前記第1の物質が、前記第1のロータによって速度を上げられ、前記第1のステータおよび前記第2のロータによって小さな飛沫に縮小されるとともに、前記第1の反応物質が、前記第2の取入口の下流で、前記第2の反応物質と反応して、反応室の取出口において、第1および第2の反応物質の反応によって形成される粒子となる。
【0009】
本発明の第4の観点によれば、析出プロセスにおいて粒子を生成する方法が提供される。この方法は、反応室を有するとともに、前記反応室内に少なくとも第1のステータと第2のステータを含むステータアセンブリ、前記反応室内に少なくとも第1のロータ、第2のロータ、および第3のロータを含むロータアセンブリを含む、反応器を準備すること;前記反応室内で前記ステータアセンブリに対して前記ロータアセンブリを回転させること;前記第1のロータの上流で、前記反応室に第1の反応物質を供給すること;および前記第2のステータの領域内で、前記反応室に第2の反応物質を供給することを含み、前記第1の物質が、前記第1のロータによって速度を上げられ、前記第1のステータおよび前記第2のロータによって小さな飛沫に縮小されるとともに、前記第1の反応物質は、前記第2の取入口の下流で、前記第2の反応物質と反応して、前記反応室の取出口で、前記第1および第2の反応物質の反応によって形成される粒子となる。
【0010】
本発明の第5の観点によれば、析出プロセスにおいて粒子を生成する方法が提供される。この方法は、反応室を有するとともに、2つ以上のステータを有するステータアセンブリと2つ以上のロータを有するロータアセンブリとを含む、反応器を準備すること;前記ロータアセンブリを、前記ステータアセンブリに対して回転の軸のまわりに回転させること;第1の反応物質を、第1の半径方向位置において前記反応室に供給すること;および第2の反応物質を、第1の半径方向位置と異なる第2の半径方向位置において前記反応室に供給することを含み、前記反応室において前記第1および第2の反応物質が反応して粒子の析出を生成する。
本発明をより詳細に理解するために、参照により本明細書に組み入れられている添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施態様による反応器システムの概略ブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施態様による反応器の簡略化された横断面図である。
【図3】図3は、本発明の実施態様による、反応器内で使用されるロータアセンブリの概略図である。
【図4】図4は、本発明の実施態様による、反応器内で使用されるステータアセンブリの第1の態様の概略図である。
【図5】図5は、図4のステータアセンブリの、部分横断面概略図である。
【0012】
【図6】図6は、図2の線6−6に沿って切断した、反応器システムの部分横断面概略図である。
【図7】図7は、本発明の実施態様による、反応器システムにおいて使用されるステータアセンブリの第2の態様の概略図である。
【図8】図8は、図7のステータアセンブリの部分横断面概略図である。
【図8A】図8Aは、図8の第2のステータの部分横断面概略図である。
【0013】
詳細な説明
図1に、本発明の実施態様による反応器システムの概略ブロック図が示されている。反応器システムの主要構成要素としては、第1の取入口12、第2の取入口14および取出口20を有する、反応器10が挙げられる。駆動モータ22が、反応器10のロータアセンブリに結合されている。第1の反応物質の第1の供給源30は、第1の取入口12に結合され、第2の反応物質の第2の供給源32は、第2の取入口14に結合されている。後述するように、第2の取入口14は、反応器10内の反応室への複数の個別開口を含む。取出口20は、プロセス容器34に結合されている。
【0014】
さらに図1に示されているように、第1の供給源30は、ポンプ42、バルブ44および流量計46を介して反応器10の第1の取入口12に結合された、プロセス保持容器40を含む。圧力計48が、第1の取入口12に接続されている。第2の供給源32は、ポンプ52、バルブ54および流量計56を介して反応器10の第2の取入口14に結合された、プロセス保持容器50を含む。圧力計58が、第2の取入口14に接続されている。反応器10に付随して、ポンプ70、シールシステムタンク72、熱交換器74、背圧バルブ76、圧力計78、圧力スイッチ80および流れスイッチ82がある。
【0015】
反応器10の一態様が図2〜6に示されている。反応器10は、Arde Barinco社から入手可能なCavitron反応器システムなどの、市販の高せん断力ミキサ(high shear mixer)の改変仕様でもよい。特定の一態様においては、反応器10は、Arde Barinco社製のモデル1025 Cavitron反応器システムの改変仕様である。市販の反応器システムにおいて、すべての反応物質は、ステータアセンブリおよびロータアセンブリの上流で、回転の軸に沿って反応器に供給される。
反応器10は、反応室110を画定する反応器ハウジング100を含む。反応器10は、さらに、図3で最もよくわかるように、ロータアセンブリ120、および図4で最もよくわかるステータアセンブリ130を含む。ロータアセンブリ120は、図2に示す回転の軸132のまわりに回転するように構成されている。
【0016】
図2および3を参照すると、ロータアセンブリ120は、第1のロータ140、第2のロータ142、第3のロータ144および第4のロータ146を含む。第1のロータ140は、全体的に螺旋状の羽根148の配列を含む。第2のロータ142、第3のロータ144および第4のロータ146は、それぞれ、回転の軸132と同心の円形パターンに配設された、間隔を空けて配置された複数の歯150を含む。第1のロータ140、第2のロータ142、第3のロータ144および第4のロータ146は、順次大きくなる直径を有し、歯150の円形パターンは、半径方向に間隔を空けて配置されている。
【0017】
図2および4を参照すると、第1の態様において、ステータアセンブリ130は、第1のステータ152、第2のステータ154および第3のステータ156を含み、それぞれがハウジング100に固定されている。各ステータは、回転の軸132と同心の円形パターンに配列された、間隔を空けて配置された複数の歯158を含む。各ステータの歯158は、リング形ベース159に固定してもよい。第1のステータ152、第2のステータ154および第3のステータ156は、順次大きくなる直径を有し、歯158の円形パターンは、半径方向に間隔を空けて配置されている。
【0018】
ステータアセンブリ130およびロータアセンブリ120が一緒にシールされている場合には、ステータとロータが互いに噛合うことによって、第1のステータ152が、第1のロータ140と第2のロータ142の間に位置し、第2のステータ154が、第2のロータ142と第3のロータ144の間に位置し、第3のステータ156が、第3のロータ144と第4のロータ146の間に位置する。ロータアセンブリ120は、動作中にロータアセンブリ120を回転させるための、駆動モータ22(図1)に結合されている。
再び図2および4を参照すると、反応器10の第1の取入口12は、回転の軸132に沿って、第1の供給源30から開口160を介して反応室110の中心へと、第1の反応物質を供給する。すなわち、第1の反応物質は、第1のロータ140の上流で、第1の取入口12を介して供給される。
【0019】
反応器10の第2の取入口14は、第2の反応物質を、第2の供給源32から反応室110に、第2のステータ154内の複数の開口170を介して供給する。開口170は、第2のステータ154の歯158の半径方向内側に位置して、第2のステータ154のベース159を貫通している。いくつかの態様においては、第2の取入口14は、第2のステータ154内で4つの開口170と流体連通していてもよい。この4つの開口170は、回転の軸132から等間隔で配置してもよく、また第2のステータ154の周囲のまわりに90°間隔を空けて配置してもよい。一例においては、開口170は直径が1/8インチであり、第2のステータ154の歯158に近接して位置している。開口170は、歯150同士の間の空間と整列されるよりも、第2のステータ154の歯158と半径方向に整列されて位置するのが好ましい。個々のプロセスの要件に基づいて、異なる寸法、位置および数の開口170を、本発明の範囲内において使用してもよいことが理解されるであろう。
【0020】
第1の取入口12と第2の取入口14の配設によって、第1の取入口12を介して供給された第1の反応物質の速度を加速させて、反応室110内で第2の反応物質と反応にする前に、小さな飛沫に分裂させることが可能になる。特に、第1のロータ140は、第1の取入口112を介して反応室110に供給される、第1の反応物質の速度を上げる。第1のステータ152と第2のロータ142は、第1の反応物質を小さな渦(eddies)、飛沫(droplets)または小球体(globules)に変換する。第2のステータ154と第3のロータ144は、開口170を介して供給される第2の反応物質と、上述のように速度を上げられて小さな飛沫に変換された、第1の反応物質との反応を可能にする。
【0021】
この反応によって、第2のステータ154と第3のロータ144の領域において、粒子の迅速な析出が発生する。第3のステータ156と第4のロータ146は、比較的大きな粒子の凝集物(aggregates)または集塊(agglomerates)の寸法を減少させて、反応器10の取出口20を介して供給される、小径の、比較的均一な寸法の粒子を生成する働きをする。反応物質は、第2のロータ142、第3のロータ144および第4のロータ146内の歯150の間の空間を通過するとともに、第1のステータ152、第2のステータ154および第3のステータ156内の歯158の間の空間を通過することによって、反応室110を通過する。粒子の析出は、目詰まりを起こすことなく、連続的に進行する。
【0022】
図7、8および8Aに本発明の第2の態様によるステータアセンブリ200が示されている。ステータアセンブリ200は、第1のステータ210、第2のステータ212および第3のステータ214を含み、それぞれがハウジング100に固定されている。各ステータは、ベース220およびベース220に支持されたリング222を含む、円形構造としてもよい。各リング222は、反応物質を通過させるための複数の半径方向ノズル230を含む。ノズル230は、反応物質を通過させるように寸法決めされた複数の穴である。第1のステータ210、第2のステータ212および第3のステータ214は、順次大きくなる直径を有し、この3つのステータのリング222は、半径方向に間隔を空けて配置されている。
【0023】
図3に示し、上記で説明したロータアセンブリ120を、ステータアセンブリ200と共に使用してもよい。ステータアセンブリ200およびロータアセンブリ120が一緒にシールされている場合には、ステータとロータが互いに噛合うことによって、第1のステータ210が、第1のロータ140と第2のロータ142の間に位置し、第2のステータ212が、第2のロータ142と第3のロータ144の間に位置し、第3のステータ214が、第3のロータ144と第4のロータ146の間に位置する。
【0024】
反応器の第2の取入口14は、第2の供給源32からの第2の反応物質を、第2のステータ212内の複数の開口240を介して反応室110に供給する。図8Aで最も分かり易いように、開口240は、第2のステータ212のリング222の半径方向内側に位置し、ベース220を貫通している。態様によっては、第2の取入口14は、ステータ212内の16個の開口240と流体連通していてもよい。16個の開口240は、回転の軸132から等間隔で配置するとともに、第2のステータ212の周囲まわりに等間隔で配置してもよい。その他の態様においては、4個または8個の開口240を、第2のステータ212に設けもてよい。開口240の直径は、約1/16インチから1/8インチの範囲としてもよい。個々のプロセスの要件に基づいて、異なる寸法、位置および数の開口240を、本発明の範囲内において使用してもよいことが理解されるであろう。
【0025】
図7、8および8Aに示すステータアセンブリ200は、上述のステータアセンブリ130と同様に動作させることができる。反応物質は、第2のロータ142、第3のロータ144および第4のロータ146における歯150の間の空間を通過するとともに、第1のステータ210、第2のステータ212および第3のステータ214内のノズル230を通過することによって、反応室110を通過する。ノズルが設けられた同心リングの構成を用いるステータアセンブリ200は、ステータアセンブリ130よりも小さい寸法の粒子を得ることができる。この場合も、粒子の析出は、目詰まりを起こすことなく連続的に進行する。
【0026】
当該反応器の性能に影響を与える動作パラメータとしては、例えば、反応器間隙設定、反応器に進入する流れの圧力、反応器に進入する流れの温度、反応器に進入する流れの質量流量、ロータアセンブリの回転速度、および反応器内での滞留時間が挙げられる。さらに、ロータおよびステータ内の歯の数、ロータおよびステータの歯の間の間隙などの、ロータおよびステータのパラメータが性能に影響を与える。
【0027】
ある特定のプロセスにおいては、当該反応器システムは、医薬用途のジケトピペラジン(diketopiperizine)のマイクロ粒子を製造するのに使用される。個々の態様においては、ジケトピペラジンは、フマリルジケトピペラジン(FDKP)としても知られている、(ビス‐3,6‐(N‐フマリル‐4‐アミノブチル)‐2,5‐ジケト‐ジケトピペラジンであってもよい。特に、これらのマイクロ粒子は処理されて、治療目的で吸入式で患者に投与することができる、乾燥粉末が生成される。このプロセスにおいて、第1の供給源30から第1の取入口12を介して供給される、第1の反応物質は、約0.01%から約5%(v/v)の濃度のポリソルベート80などの、表面活性剤を含むか、または含まない酢酸などの酸である。第2の供給源32から第2の取入口14を介して供給される、第2の反応物質は、溶液中に約0.01%〜約5%(v/v)の表面活性剤を任意選択で含有する、FDKP溶液である。反応器10は、TECHNOSPHERE(登録商標)microparticlesとして知られている、マイクロ粒子を生成する。ある態様においては、この反応は、表面活性剤を含有することなく発生させることができる。
【0028】
一態様において、粒子を製作するプロセスは、(1)マイクロレベルにおいて、液状小球体を含む、FDKP溶液が酢酸溶液と接触する、(2)塩基性FDKP溶液が酢酸と反応する、(3)反応によって、溶液からFDKP分子が析出させられる、および(4)FDKP分子が、互いに結合してTECHNOSPHERE(登録商標)粒子を形成することを含む。要求される粒子寸法の小さな粒子を製作するためには、FDKPの非常に小さい小球体、およびFDKP分子の非常に効率的な混合と迅速な析出が得られる塩基性溶液が必要となる。分子の形成が速くなるほど、結合するのに有効なFDKP分子部位が多くなる。すなわち、多数の小さいTECHNOSPHERE粒子が、第2のステータ154および第3のロータ144の領域で形成される。第3のステータ156および第4のロータ146は、このプロセスで形成される、より大きなTECHNOSPHERE粒子を細かく分断する、せん断装置として機能する。結果として、非常に均一な粒子寸法分布が得られる。
【0029】
次いで、肺送達用の乾燥粉末製剤に使用される、500グラムを超える、FDKPマイクロ粒子の大規模製造用のプロセスについて説明する。このプロセスでは、高強度ミクロ混合環境を与えたときに、FDKP懸濁液を形成する溶液からマイクロ粒子が析出するように、溶液の混合を容易化する反応器を使用する。このプロセスには、少なくとも10リットル容量のある容器内に塩酸および氷酢酸などの酸を含む第1の溶液を準備すること;約10を超えるpHで、水酸化アンモニウムまたは水酸化ナトリウムなどの塩基内にジケトピペラジンを含む、第2の溶液を準備すること;第1の溶液と第2の溶液が反応器の入口で衝突するように、例えば、第1の溶液と第2の溶液を所定の流量と温度で、反応器に圧送によって送ることを含み、反応器内部の高いエネルギ消費によって、マイクロ粒子が形成される。
【0030】
このプロセスは、さらに、第1および第2の溶液の未反応の成分を洗浄、除去して、懸濁液内にマイクロ粒子の実質的に純粋な組成を得るために使用される、脱イオン水を含む、第3の溶液または第4の溶液を反応器中に送ることを含む。このプロセスは、連続プロセスであって、懸濁液中のマイクロ粒子は、反応器の下流にある第3の容器内に集められる。本プロセスを用いて形成されたマイクロ粒子は、約2〜2.5μmの平均空気力学的直径(median aerodynamic diameter)、高い内部孔隙率、およびペプチド、タンパク質またはその他の薬物もしくは活性成分の吸着に使用することのできる、大きな表面を有することができる。本プロセスは、反応の速度や溶液の流量などの反応条件を調節することによって、その使用に応じてより大きな粒子寸法を発生させるように制御することができる。例えば、鼻送達用には、10μm超、または20μm超の粒子寸法とすることができる。
【0031】
一態様においては、ジケトピペラジンマイクロ粒子を製造するプロセスは、酸を含む第1の溶液を、少なくとも10リットルの容量を有する容器内に準備すること;pHが約10より大きい溶液内に溶解したジケトピペラジンを含む、第2の溶液を準備すること;第1の溶液および第2の溶液を反応器内部で衝突して析出物を形成するように、第1の溶液および第2の溶液を、所定の流量および温度で高せん断力ミキサまたは反応器中に圧送すること;第1の溶液および第2の溶液を、約0.8〜約1.2の酸/塩基比を得るような流量で混合することを含む。
【0032】
本明細書において用いるときには、「マイクロ粒子」の用語は、正確な外部または内部構造には関係なく、直径が約0.5〜約1000μmの粒子を指している。約0.5〜約10μの直径を有するマイクロ粒子は、ほとんどの天然のバリアをうまく通過して肺に到達することができる。喉の曲がった部分を通り抜けるには、10μ未満の直径が必要であり、吐き出されるのを避けるには、約0.5μ以上の直径が必要である。最も効率的な吸収が起こると考えられている、深肺部に(または肺胞領域(alveolar region))に到達するには、文献によってはいくぶん異なる範囲が用いられているが、一般的には約0.5〜5.7μであると考えられている、「吸入性部分(respirable fraction)」に含まれる粒子の割合を最大化するのが好ましい。
【0033】
本明細書において用いるときには、「乾燥粉末」という用語は、推進剤、担体、またはその他の液体に懸濁または溶解しない、微細粒子組成物を指している。それは、全ての水分子が完全に存在しないことを必ずしも意味するものではない。
本明細書において用いるときには、「約」という用語は、値を決定するのに使用されている装置または方法に対する測定の標準偏差が、その値に含まれることを示すのに使用する。
【0034】
ジケトピペラジン
薬物不安定性および/または吸収不良などの医薬技術における問題を克服するのに使用されてきた薬物送達剤の一分類が、2,5‐ジケトピペラジン類である。2,5‐ジケトピペラジン類は、以下に示す一般式1の化合物によって表わされ、ここでE1およびE2は独立してN、またはより具体的にはNHである。その他の態様においては、E1および/またはE2は、独立して酸素または窒素であり、E1およびE2の置換基のいずれか一方が酸素であり、他方が窒素である場合に、この式は置換類似体ジケトモルホリン(substitution analog diketomorpholine)を示し、E1およびE2の両方が酸素である場合には、この式は置換類似体ジケトジオキサン(diketodioxane)を示す。
【化1】

【0035】
これらの2,5‐ジケトピペラジン類は、例えば、ジケトピペラジン類およびジケトピペラジン媒介薬物送達に関する教示のすべてに対して、それぞれの全文を参照により本明細書に組み入れてある、「Self Assembling Diketopiperazine Drug Delivery System」という名称の米国特許第5352461号、「Method For Making Self-Assembling Diketopiperazine Drug Delivery System」とう名称の米国特許第5503852号、「Microparticles For Lung Delivery Comprising Diketopiperazine」という名称の米国特許第6071497号、「Carbon-Substituted Diketopiperazine Delivery System」という名称の米国特許第6331318号に記載されているような、薬物送達、特に酸性R1基およびR2基を有するものに対して有用であることが示されてきた。ジケトピペラジン類は、薬物をそれに吸着させることのできる、薬物またはマイクロ粒子を受け入れる、マイクロ粒子として形成することができる。薬物とジケトピペラジンの組合せによって、改善された薬物安定性および/または吸収特性を付与することができる。これらのマイクロ粒子は、様々な投与経路によって投与することができる。乾燥粉末として、これらのマイクロ粒子は、肺を含む呼吸器系の特定の部位に吸入式で送達することができる。
【0036】
ジケトピペラジン類の合成方法が、例えば、その教示の全文が参照により本明細書に組み入れられている、Katchalskiら、J. Amer. Chem. Soc. 68, 879-880 (1946)、およびKoppleら、J. Org. Chem. 33(2), 862-864 (1968)に記載されている。2,5‐ジケト‐3,6−ジ(アミノブチル)ピペラジン(Katchalskiらは、これをリジン無水物と呼ぶ)も、Kopple法と同様に、溶融フェノール内のN‐ε‐P‐L‐リジンのシクロ二量化と、それに続く適当な試薬と状態によって、ブロック化(P)基(blocking (P)-groups)を除去することにより調整することができる。例えば、CBz保護基は、酢酸内で、4.3MのHBrを使用して除去することができる。この経路は、市販の開始材料を使用すること、製品において開始材料の立体化学を保存すると報告されている、反応条件を用いること、すべての工程が製造のために容易に規模拡大することができることから好ましいと言える。ジケトピペラジン類の合成方法は、同様のことに関する教示を参照により本明細書に同様に組み入れてある、「Catalysis of Diketopiperazine Synthesis」という名称の米国特許第7709639号にも記載されている。
【0037】
フマリルジケトピペラジン(ビス‐3,6‐(N‐フマリル‐4‐アミノブチル)‐2,5‐ジケト‐ジケトピペラジン;FDKP)は、呼吸器系用途に対して好ましい一種のジケトピペラジンである。
【化2】

【0038】
FDKPは、酸中での溶解度は低いが、中性または塩基性pHでは容易に可溶であることから、有利なマイクロ粒子マトリックスをもたらす。これらの特性によって、FDKPが結晶化することができ、結晶は、自己集合して、酸性条件の下でマイクロ粒子を形成することができる。これらの粒子は、pHが中性である生理学的条件下で、容易に溶解する。なお、約0.5〜約10μの直径のマイクロ粒子は、肺まで到達し、天然のバリアのほとんどをうまく通過することができる。この寸法範囲の粒子は、FDKPから容易に調製することができる。
【0039】
一態様においては、このプロセスは、本明細書で上述したような高せん断力ミキサもしくは高強度ミキサ、またはホモジェナイザを使用して、酸性溶液を、所定の量の溶解FDKP溶質を含有する塩基性溶液と混合することを含む。この設定においては、ホモジェナイザには、少なくとも2つの吸入ポートが設けられており、一方の、第1の吸入ポートは、第1の容器から収納された氷酢酸または塩酸を含む、酸などの第1の溶液を供給するための、第1の容器に接続されており、第2の吸入ポートは、基剤内のFDKP溶液を収納して供給する第2の容器に接続されている。溶液は、これらのポートを介して、それぞれ所定の流量で送ることができ、その結果、それらの溶液は高せん断力ミキサ内で混合されて、溶液からFDKPマイクロ粒子を析出させて、懸濁液を形成する。
【0040】
ある態様においては、溶液は、約10kg/min〜約100kg/min、または約15kg/min〜約35kg/minの流量で反応器中に送ることができる。FDKPマイクロ粒子を製作するプロセスは、連続プロセスであり、懸濁液は、排出ポートを介して反応器から流出して、活性剤の吸着工程に先立ち懸濁液のさらなる洗浄などの、さらなる処理を行うための第3の容器中に流入する。ある態様においては、反応を実行することのできる圧力は、使用される高せん断力ミキサに応じて、約15psig〜約2000psigの範囲とすることができる。一態様においては、反応を実行することのできる圧力は、約35psig〜約110psigの範囲とすることができる。
【0041】
ある態様においては、FDKPマイクロ粒子を製作するプロセスは、例えば、一定に保たれなくてはならない、析出装置の流体力学に関する装置特有パラメータを使用して、過飽和および結晶化の温度に関連するパラメータを変更することによって達成される。態様によっては、反応器またはホモジェナイザ内の酸供給液と塩基供給液の混合比を変化させることによって、過飽和の程度を変更することが可能であり、供給液温度を変化させることによって、結晶化温度を変更することが可能である。例示的な一態様においては、反応の温度は、約10℃〜約30℃、約13℃〜約27℃、または約15℃〜約20℃の範囲とすることができる。
【0042】
例示的な一態様においては、FDKP溶液は、pHがpH10を超える塩基性溶液である。塩基性溶液において使用するのに好適な塩基は、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、その他である。この態様およびその他の態様において、酸性溶液は、約1%〜約4%(w/w)で変わる量の氷酢酸を含む。その他の酸、例えば、塩酸を反応において使用することができる。個々の態様においては、反応の酸/塩基の比は、約0.8〜約1.2(w/w)または約0.95〜約1.05で変えることができる。FDKPマイクロ粒子を製作するための製造プロセスは、容器内に貯蔵される開始材料の量に応じて変えることができる。例えば、容器1および容器2は大きさを変えることが可能であり、製造要求に応じて、例えば、約10L〜約10000Lの溶液、または、それを超えて装入することができる。
【0043】
上記に概説したパラメータの下で、本製造プロセスによって製作されるマイクロ粒子は、それに限定はされないが、インシュリン、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド1、タンパク質、核酸、その他を含む、内分泌ホルモン類などのペプチド類を含む、様々な活性剤と共に使用するのに好適である。そのように生成されたマイクロ粒子は、肺を通して、または肺送達により送達することのできる活性剤との使用、および乾燥粉末吸入システムによる経口吸入に特に好適である。
【0044】
前述の開示は、実証のための態様である。当業者には、本明細書において開示する技法は、本開示の実施において良好に機能する、代表的な技法を明らかにするものであることを理解されるべきである。しかしながら、当業者であれば、本開示に照らして、本発明の趣旨と範囲を逸脱することなく、開示された具体的な態様に多くの変更を加えることが可能であり、同一または類似の結果がなお得られることを理解すべきである。
【0045】
特に断らない限りは、明細書および請求の範囲に使用される、成分量を表わすすべての数字、分子量などの特性、反応条件、その他は、「約(about)」という用語によって、すべての場合において修飾されているものと理解されるべきである。したがって、逆であることが示されない限り、明細書および添付の請求の範囲に記載された数値パラメータは、本発明によって得ようとする、所望の特性に応じて変えることのできる、近似値である。少なくとも、また請求の範囲に対する均等論の応用を制限しようとする試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告有効桁数に照らして、また通常の丸め技法を応用することによって、解釈すべきである。本発明の広義の範囲を記載する数値範囲およびパラメータが近似であるにもかかわらず、特定の例において記載された数値は、できる限り正確に報告される。しかしながら、いずれの数値も、それぞれの試験測定値における標準偏差から必然的に生じるある種の誤差を本質的に含んでいる。
【0046】
本発明を説明する文脈において(特に、以下の請求の範囲の文脈において)使用される、「a」、「an」、「the」および同様の参照語は、本明細書において明確に指示されるか、文脈が明白に矛盾しない限りは、単数および複数の両方に当てはまると考えるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、単に、その範囲に入るそれぞれの独立の値を個別に参照する簡易的な方法として、役立てることを意図するものであり。本明細書において特に断らない限りは、それぞれの個々の値は、本明細書に個別に列挙されているかのごとく、明細書に組み入れられる。本明細書において記述されるすべての方法は、本明細書において特に断わるか、あるいは文脈から明白に矛盾しない限りは、任意好適な順序で実施することができる。本明細書において用いられる、任意またはすべての事例、または例示的言語(例えば、「〜など」)は、本発明をよりよく解明することだけを目的とするものであり、別に請求される本発明の範囲を限定するものではない。明細書におけるいかなる言語も、本発明の実施に対して必須である、いかなる非請求要素を指示するものとは解釈すべきではない。
【0047】
本明細書において開示される特定の態様は、「〜からなる(consisting of)」または「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」という言い回しを用いてさらに限定してもよい。請求の範囲において使用される場合には、移行語「consisting of」は、請求の範囲において規定されていない、いかなる要素、ステップ、または成分をも除外する。移行語「consisting essentially of」は、規定された材料またはステップ、および基本的特性および新規の特性に実質的に影響しないものに対する請求項の範囲を限定する。そのようにして請求された本発明の態様は、本明細書において内在的にまたは明白的に記述され、有効にされる。
【0048】
本明細書において開示される、本発明の代替的な要素または態様のグループ化は、限定として解釈すべきではない。各グループメンバは、個別に、またはそのグループのその他のメンバもしくは明細書内にあるその他の要素との任意の組合せで、参照して権利請求することができる。グループの1つまたは2つ以上のメンバが、便宜上および/または特許性の理由から、グループに含められたり、そこから消去されたりすることが予期される。そのような包含または消去が行われるときには、本明細書は、修正されたグループを包含し、それによって、添付の請求の範囲に使用される、すべてのマーカッシュグループについての書面による説明を満足するものと解釈される。
【0049】
本発明のある態様は、本発明を実施するのに本発明者らが知見する最良の形態を含んで、本明細書に記載されている。勿論のこと、これらの記載された態様についての変形仕様は、前述の説明を読めば、当業者には明白になるであろう。本発明者らは、当業者が、そのような変形仕様を適当に利用することを期待し、また本発明者らは、本発明が、本明細書に具体的に記載される以外の方法で実施されることを意図するものである。したがって、本発明は、関係法令によって許容されるように、本明細書に添付された請求の範囲において列挙された、主題のすべての変形仕様および均等物を含むものである。さらに、すべての可能な変形仕様の上述の要素の任意の組合せは、本明細書において特に断らない限り、または文脈が明白に矛盾しない限りは、本発明に包含されるものである。
【0050】
さらに、この明細書を通して、多数の特許および印刷出版物の引用を行った。上記の参考文献および印刷出版物のそれぞれは、その全文を参照により本明細書に組み入れてある。
本明細書において開示される本発明の実施態様は、本発明の原理を実証するためのものであることを理解すべきである。利用されることのある、その他の修正仕様は、本発明の範囲に含まれる。すなわち、例示としてであって、限定ではなく、本発明の代替構成を、本明細書の教示に従って利用してもよい。すなわち、本発明は、提示して解説した内容に厳密に限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
析出プロセスにおいて粒子を生成するための反応器であって、
反応室を画定するハウジング;
前記反応室内に2つ以上のステータを含む、ステータアセンブリ;
前記反応室内に2つ以上のロータを含むロータアセンブリであって、前記ステータアセンブリに対して、回転軸のまわりに回転するように構成された、前記ロータアセンブリ;
第1の反応物質を第1の半径方向位置において前記反応室に供給する第1の取入口;
第2の反応物質を、前記第1の半径方向位置と異なる第2の半径方向位置において前記反応室に供給する第2の取入口であって、前記第1および第2の反応物質が反応して前記反応室において粒子の析出を生成する、前記第2の取入口;および
前記反応室において形成された粒子を供給する、取出口を含む、前記反応器。
【請求項2】
ステータアセンブリが、少なくとも第1のステータおよび第2のステータを含み、ロータアセンブリが、少なくとも第1のロータ、第2のロータおよび第3のロータを含み、第1の取入口が、前記第1のロータの上流で反応室に第1の反応物質を供給するように位置しており、第2の取入口が、前記第2のステータの領域において前記反応室へ第2の反応物質を供給するように位置している、請求項1に記載の反応器。
【請求項3】
ステータアセンブリが第3のステータをさらに含み、ロータアセンブリが第4のロータをさらに含み、前記第3のステータと前記第4のロータが、第1と第2の反応物質の反応によって形成される粒子の寸法を縮小する、請求項2に記載の反応器。
【請求項4】
ステータの1つまたは2つ以上が、円形パターンに、周囲方向に間隔を空けられた複数の歯を含む、請求項1に記載の反応器。
【請求項5】
ステータの1つまたは2つ以上が、複数の半径方向開口を有する円形リングを含む、請求項1に記載の反応器。
【請求項6】
第2の取入口が、反応室と連通する複数の開口を含み、前記開口はロータアセンブリの軸から間隔を空けられている、請求項1に記載の反応器。
【請求項7】
第2の取入口が、ステータアセンブリ内に複数の開口を含む、請求項2に記載の反応器。
【請求項8】
析出プロセスにおいて粒子を生成するための反応器であって、
反応室を包囲するハウジング;
前記反応室内に少なくとも第1のステータおよび第2のステータを含む、ステータアセンブリ;
前記反応室内に少なくとも第1のロータ、第2のロータおよび第3のロータを含む、ロータアセンブリ;
前記第1のロータの上流で、前記反応室に第1の反応物質を供給する、第1の取入口;
前記第2のステータの領域内で、前記反応室に第2の反応物質を供給する第2の取入口;および
前記第1および第2の反応物質の反応によって形成される粒子を供給する取出口を含み、
前記第1の物質が、前記第1のロータによって速度を上げられ、前記第1のステータおよび前記第2のロータによって小さな飛沫に縮小されるとともに、前記第2の取入口の下流で、前記第1の反応物質が前記第2の反応物質と反応する、前記反応器。
【請求項9】
ステータアセンブリが第3のステータをさらに含み、ロータアセンブリが第4のロータをさらに含み、前記第3のステータと前記第4のロータが、第1と第2の反応物質の反応によって形成される粒子の寸法を縮小する、請求項8に記載の反応器。
【請求項10】
ステータの1つまたは2つ以上が、円形パターンに、周囲方向に間隔を空けられた複数の歯を含む、請求項8に記載の反応器。
【請求項11】
ステータの1つまたは2つ以上が、複数の半径方向開口を有する円形リングを含む、請求項8に記載の反応器。
【請求項12】
ロータおよびステータが、ロータアセンブリの回転の軸に対して同心状である、請求項8に記載の反応器。
【請求項13】
第1の取入口が、ロータアセンブリの回転の軸上に位置している、請求項8に記載の反応器。
【請求項14】
第2の取入口が、反応室と連通する複数の開口を含み、前記開口はロータアセンブリの軸から間隔を空けられている、請求項8に記載の反応器。
【請求項15】
第2の取入口が、反応室と連通する数個の開口を含み、前記開口が、ロータアセンブリの回転の軸から等間隔に配置され、かつ回転の軸のまわりに等間隔で配置されている、請求項8に記載の反応器。
【請求項16】
第2の取入口が、第2のステータ内に複数の開口を含む、請求項8に記載の反応器。
【請求項17】
粒子が、反応室内において析出プロセスによって連続的に生成される、請求項8に記載の反応器。
【請求項18】
析出プロセスにおいて粒子を生成するための反応器システムであって、
反応室を包囲するハウジング、前記反応室内に少なくとも第1のステータおよび第2のステータを含む、ステータアセンブリ、前記反応室内に少なくとも第1のロータ、第2のロータおよび第3のロータを含む、ロータアセンブリ、前記第1のロータの上流で前記反応室に結合された、第1の取入口、前記第2のステータの領域において前記反応室に結合された、第2の取入口、および前記反応室の取出口を含む、反応器;
前記反応室内で、前記ステータアセンブリに対して前記ロータアセンブリを回転させるように構成された駆動機構;
前記反応器の前記第1の取入口に第1の反応物質を供給するように構成された第1の供給源;および
前記反応器の前記第2の取入口に第2の反応物質を供給するように構成された第2の供給源を含み、
前記第1の物質が、前記第1のロータによって速度を上げられ、前記第1のステータおよび前記第2のロータによって小さな飛沫に縮小されるとともに、前記第1の反応物質が、前記第2の取入口の下流で、前記第2の反応物質と反応して、反応室の取出口において、第1および第2の反応物質の反応によって形成される粒子となる、前記反応器システム。
【請求項19】
第1の供給源が、第1のポンプを介して反応器の第1の取入口に結合された、第1のプロセス保持容器を含む、請求項18に記載の反応器システム。
【請求項20】
第2の供給源が、第2のポンプを介して反応器の第2の取入口に結合された、第2のプロセス保持容器を含む、請求項19に記載の反応器システム。
【請求項21】
析出プロセスにおいて粒子を生成する方法であって、
反応室を有するとともに、前記反応室内に少なくとも第1のステータと第2のステータを含むステータアセンブリ、前記反応室内に少なくとも第1のロータ、第2のロータ、および第3のロータを含むロータアセンブリを含む、反応器を準備すること;
前記反応室内で前記ステータアセンブリに対して前記ロータアセンブリを回転させること;
前記第1のロータの上流で、前記反応室に第1の反応物質を供給すること;および
前記第2のステータの領域内で、前記反応室に第2の反応物質を供給することを含み、
前記第1の物質が、前記第1のロータによって速度を上げられ、前記第1のステータおよび前記第2のロータによって小さな飛沫に縮小されるとともに、前記第1の反応物質は、前記第2の取入口の下流で、前記第2の反応物質と反応して、前記反応室の取出口で、前記第1および第2の反応物質の反応によって形成される粒子となる、前記方法。
【請求項22】
第1の反応物質を供給することが、酢酸溶液を反応室の第1の取入口に供給することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
第2の反応物質を供給することが、FDKP溶液を反応室の第2の取入口に供給することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
第2の反応物質が、第2のステータ内の複数の開口を介して反応室に供給される、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
第2のステータが、円形パターンの複数の歯を含み、第2の反応物質が、前記歯の内側の第2のステータを介して反応室に供給される、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
第2のステータが、複数の半径方向開口を有する円形リングを含み、第2の反応物質が、前記円形リングの内側の第2のステータを介して反応室に供給される、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
析出プロセスにおいて粒子を生成する方法であって、
反応室を有するとともに、2つ以上のステータを有するステータアセンブリと2つ以上のロータを有するロータアセンブリとを含む、反応器を準備すること;
前記ロータアセンブリを、前記ステータアセンブリに対して回転の軸のまわりに回転させること;
第1の反応物質を、第1の半径方向位置において前記反応室に供給すること;および
第2の反応物質を、第1の半径方向位置と異なる第2の半径方向位置において前記反応室に供給することを含み、前記反応室において前記第1および第2の反応物質が反応して粒子の析出を生成する、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図8A】
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【公表番号】特表2013−509299(P2013−509299A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537189(P2012−537189)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/055090
【国際公開番号】WO2011/053963
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(507302829)マンカインド コーポレ−ション (16)
【Fターム(参考)】