説明

枕兼用おくるみおよび育児器具

【課題】母親および乳児の両方が使用することのできる抱き枕兼用おくるみを提供する。
【解決手段】抱き枕兼用おくるみ1は、柱状の形態を有して長手方向に延在するクッション材10と、クッション材10に隣接して長手方向に延在する収納空間を形成するようにクッション材に取付けられたカバー部材20と、カバー部材20の収納空間内に取り出し可能に収納された平面状のおくるみ部材30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、枕に関するものであり、特に妊婦および乳児が使用することのできる抱き枕兼用おくるみに関するものである。
【背景技術】
【0002】
枕の一例としての抱き枕は、通常、柱状(棒状)の形態を有するクッション材からなる。このような抱き枕は、例えば、特開2001−190384号公報(特許文献1)、登録実用新案第3037495号公報(特許文献2)、登録実用新案第3076636号公報(特許文献3)等に開示されている。登録実用新案第3076636号公報は、妊婦に安らぎを与えることを意図した抱き枕を提案している。
【0003】
乳児用のおくるみは、例えば、登録実用新案第3087679号公報(特許文献4)、特開平9−228105号公報(特許文献5)、登録実用新案第3070302号公報(特許文献6)等に開示されている。特開平9−228105号公報は、乳母車に装着され得るおくるみを提案している。
【特許文献1】特開2001−190384号公報
【特許文献2】登録実用新案第3037495号公報
【特許文献3】登録実用新案第3076636号公報
【特許文献4】登録実用新案第3087679号公報
【特許文献5】特開平9−228105号公報
【特許文献6】登録実用新案第3070302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
お腹の大きい妊婦は、仰向けに寝るとお腹に圧迫感を感じるので、自然に横臥することが多い。このような場合、妊婦が抱き枕を抱えた状態で休息したり睡眠をとったりすると、精神的に落ち着いて安らぎを感じることができる。
【0005】
出産後においても、母親は、休息時、授乳時、睡眠時等に抱き枕を使用することがある。母親が、妊婦の時から出産後に至るまで長期に亘って抱き枕を使用すると、抱き枕に母親の匂いが染み込む。
【0006】
乳児は、母親の匂いを感ずることによって、心穏やかな気持ちになる。母親の匂いの染み込んだおくるみによって乳児を包み込むようにすれば、乳児は安らいだ気持ちを持つことができる。
【0007】
本発明の目的は、母親および乳児の両方が使用することのできる枕兼用おくるみを提供することである。特に、母親の匂いによって乳児に安らぎを与えるようにした抱き枕兼用おくるみを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に従った枕兼用おくるみは、長手方向に延在するクッション材と、このクッション材に隣接して長手方向に延在する収納空間を形成するようにクッション材に取付けられたカバー部材と、カバー部材の収納空間内に取り出し可能に収納された平面状のおくるみ部材とを備える。
【0009】
枕としては、抱き枕のみならず、通常の枕やクッションをも含むものとして理解されねばならない。
【0010】
抱き枕として使用するときには、おくるみ部材をカバー部材の収納空間内に折畳んで収納する。カバー部材の収納空間内に折畳んだおくるみ部材が入っていると、クッション材とカバー部材とからなる抱き枕の横断面積が大きくなるので、抱き枕は、使用者にとって抱え易い大きさの棒状の形態となる。
【0011】
おくるみとして使用するときには、カバー部材の収納空間から折畳んだおくるみ部材を取り出し、平面状に展開する。
【0012】
好ましくは、おくるみ部材の一端は、カバー部材内に接続されている。カバー部材は、長手方向に延びるスリットと、このスリットを開閉する開閉ファスナーとを含む。
【0013】
一つの実施形態では、おくるみ部材に、乳児を抱く人の手を通過させるスキンシップ用スリットが設けられている。
【0014】
好ましくは、クッション材は、長手方向の中央に位置する中央クッション領域と、この中央クッション領域を両側から挟むように位置する両側クッション領域とを含む。両側クッション領域は、中央クッション領域に対して折り曲げ可能とされている。
【0015】
上記の場合、中央クッション領域に対して折り曲げた状態となっている両側クッション領域と、おくるみ部材とを接続して、クッション材全体を逆U字状の形態に維持する接続手段を備えるようにしてもよい。
【0016】
他の局面において、この発明に従ったベッド状育児器具は、枕兼用おくるみを備える。この場合、クッション材の中央クッション領域は、ベッドに寝かされた乳児の頭頂部に対面し、両側クッション領域は、乳児の側頭部に対面するように位置する。おくるみ部材は、ベッドに寝かされた乳児の背後に位置する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1〜図5は、本発明の一実施形態に係る抱き枕兼用おくるみを示している。図1および図5は抱き枕としての形態を示し、図2、図3および図4はおくるみとしての形態を示している。
【0018】
図1および図5から明らかなように、抱き枕兼用おくるみ1は、柱状の形態を有して長手方向に延在するクッション材10と、このクッション材10に隣接して長手方向に延在する収納空間を形成するようにクッション材10に取付けられたカバー部材20と、カバー部材20の収納空間内に取り出し可能に収納された平面状のおくるみ部材30とを備える。
【0019】
カバー部材20は、長手方向に延びるスリットと、このスリットを開閉する開閉ファスナー21とを含む。おくるみ部材30は、例えば柔らかい布地からなり、折畳んだ状態でカバー部材20内に収納されている。好ましくは、おくるみ部材30の一端は、カバー部材20内に接続されている。
【0020】
クッション材10は、長手方向の中央に位置する中央クッション領域11と、この中央領域11を両側から挟むように位置する左側および右側クッション領域12,13とを含む。図3に示すように、左側クッション領域12および右側クッション領域13は、中央クッション領域11に対して折り曲げ可能とされている。
【0021】
図2は、おくるみ部材30を取り出して展開した状態の抱き枕兼用おくるみ1を背面側から見た図である。左右のクッション領域12,13を折り曲げてクッション材10の全体を逆U字状の形態に維持するために、左右のクッション領域12,13または左右の領域に位置するカバー部材20の部分に止めボタン32を取付け、おくるみ部材30に止めボタン32を留めるためのボタン穴33を形成している。左右の止めボタン32を左右のボタン穴33に留めるようにすれば、クッション材10を逆U字状の形態に維持できる。
【0022】
なお、クッション材10を逆U字状の形態に維持する手段として、他の形態の接続手段を用いることができるのは言うまでもない。
【0023】
おくるみ部材30は、乳児を左右から包み込むことができるようにするために、左右に大きく膨出した平面形状を有している。乳児を包み込む形態を図3では想像線で示し、図4では実線で示している。
【0024】
乳児をおくるみ部材30で包んでいるときに親と乳児との間のスキンシップを図るために、好ましくは、おくるみ部材30にスキンシップ用スリット31を形成しておく。親は、スリット31内に差し入れた手で乳児に触れることができるので、良好なスキンシップの関係を築くことができる。スリット31の形成位置は、例えば、乳児の背中やお尻を触ることのできる位置である。
【0025】
図3および図4は、抱き枕兼用おくるみ1が乳母車、チャイルドシート、室内用ベッド等のベッド付き育児器具に装着されている場合を示している。この装着状態では、クッション材10の中央クッション領域11がベッドに寝かされた乳児の頭頂部に対面して位置し、左側および右側クッション領域12,13が乳児の左右の側頭部に対面するように位置する。また、おくるみ部材30は、乳児の背後に位置し、下方の領域および左右の領域を折り重ねるようにして乳児を包み込む。図示していないが、おくるみ部材30の折り重ね部分を互いに接続してそれらが離れないようにするために、適当な接続手段を設けるようにしてもよい。
【0026】
胎児をお腹に抱えた妊婦は、抱き枕兼用おくるみを図1に示す棒状の形態で使用する。この状態では、おくるみ部材30がカバー部材20内に折畳んで収納されているので、カバー部材30は大きく膨らむ。言い換えれば、クッション材10とカバー部材20とからなる抱き枕の横断面積が大きくなるので、抱き枕は、妊婦にとって抱え易い大きさの棒状形態となる。出産後においても、母親は、休息時、授乳時、睡眠時に抱き枕を使用する。
【0027】
母親が、妊婦の時から出産後に至るまで長期に亘って抱き枕兼用おくるみ1を使用することにより、クッション材10やおくるみ部材30に母親の匂いが染み込む。
【0028】
おくるみ部材30を取り出して乳児を包み込むようにすれば、乳児は、おくるみ部材30やクッション材10から母親の匂いを感じることができ、安らいだ気持ちになる。育児器具のベッドに寝かされた乳児を抱き枕兼用おくるみ1で包み込むようにしても良いし、おくるみ1で包み込んだ乳児を抱っこするようにしても良い。
【0029】
なお、上述の実施形態では、枕として抱き枕の例を説明したが、通常の枕やクッションにもこの発明を適用できる。
【0030】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
この発明は、抱き枕兼用おくるみとして有利に利用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】抱き枕としての形態になっている抱き枕兼用おくるみを示す斜視図である。
【図2】おくるみ部材を取り出した状態の抱き枕兼用おくるみを背面側から見た図である。
【図3】ベッド付き育児器具上に装着された形態の抱き枕兼用おくるみを示す斜視図である。
【図4】おくるみの形態になっている抱き枕兼用おくるみを示す斜視図である。
【図5】図1の線V−Vに沿って見た断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 抱き枕兼用おくるみ、10 クッション材、11 中央クッション領域、12 左側クッション領域、13 右側クッション領域、20 カバー部材、21 開閉ファスナー、30 おくるみ部材、31 スキンシップ用スリット、32 止めボタン、33 ボタン穴。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延在するクッション材と、
前記クッション材に隣接して長手方向に延在する収納空間を形成するように前記クッション材に取付けられたカバー部材と、
前記カバー部材の収納空間内に取り出し可能に収納された平面状のおくるみ部材とを備えた、枕兼用おくるみ。
【請求項2】
前記おくるみ部材の一端は、前記カバー部材内に接続されており、
前記カバー部材は、長手方向に延びるスリットと、このスリットを開閉する開閉ファスナーとを含む、請求項1に記載の枕兼用おくるみ。
【請求項3】
前記おくるみ部材には、乳児を抱く人の手を通過させるスキンシップ用スリットが設けられている、請求項1または2に記載の枕兼用おくるみ。
【請求項4】
前記クッション材は、長手方向の中央に位置する中央クッション領域と、この中央クッション領域を両側から挟むように位置する両側クッション領域とを含み、
前記両側クッション領域は、前記中央クッション領域に対して折り曲げ可能とされている、請求項1〜3のいずれかに記載の枕兼用おくるみ。
【請求項5】
前記中央クッション領域に対して折り曲げた状態となっている両側クッション領域と、前記おくるみ部材とを接続して、前記クッション材全体を逆U字状の形態に維持する接続手段を備える、請求項4に記載の枕兼用おくるみ。
【請求項6】
請求項4または5に記載の枕兼用おくるみを備えたベッド状育児器具であって、
前記クッション材の中央クッション領域は、ベッドに寝かされた乳児の頭頂部に対面し、両側クッション領域は、乳児の側頭部に対面するように位置し、
前記おくるみ部材は、ベッドに寝かされた乳児の背後に位置する、育児器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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