説明

【課題】簡単な構成で、頭を冷すことができると共に脳をリラックスさせることができるようにする。
【解決手段】熱伝導性電気絶縁膜からなる絶縁層と、この絶縁層に覆われた熱伝導性金属線材がコイル状に巻回されて巻回単位が形成されるとともに全体が扁平に連続形成されて隣接する巻回単位が相互に位置ずれして空隙部と接触部を有する放熱フィン5と、この放熱フィン5を頭部載置面の下面に接して収納し熱伝導性を促す素材からなる外装体と、放熱フィン5に所定周波数の交流電流を流すコントローラ30とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、就寝時等において利用される枕にかかり、特に頭を冷却すると共に、誘眠を促進させる枕に関する。
【背景技術】
【0002】
睡眠は、健康を維持する上で非常に重要であり、かかる睡眠に影響を与える物として枕が注目されている。睡眠においては頭を冷却して所謂頭寒足熱状態を達成するものが好ましく、このため枕に熱が籠らないように通気性を確保した形状等が提案され、また頭に汗をかいているような場合にも、速やかに吸水、吸湿して暑苦しさを解消しようとする提案がなされている(特許文献1参照)。
【0003】
このような外面から心地よい睡眠を実現しようとする一方で、肉体に直接誘眠を働きかける提案もなされている。即ち、就寝時から寝入るには脳は覚醒状態からリラックス状態に移行する必要がある。この脳のリラックス状態への移行を促進するためにアルファ波、シータ波やデルタ波等の周波数の超音波を発生して誘眠を行う提案がなされている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−287804号公報
【特許文献2】特開2003−199831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、吸湿・吸水シートにより汗を吸収する構成では、シートに汗が吸収された後に蒸発するため、気化熱はシートから奪われる構成となり、頭の汗は吸収されるものの温度が下がり難い(頭が冷却され難い)問題があった。
加えて、汗が吸収されて気持よくなる効果はあるものの、脳をリラックスさせる直接的な作用はなく、脳が自然にリラックスするのを待たなければならず寝入るまで時間を要する問題がある。
【0005】
一方、超音波を発生させて脳をリラックスさせる方法では、脳をリラックスさせる直接的な作用が期待できるものの、頭を冷す作用はないため頭寒足熱状態を達成することが困難である問題がある。
【0006】
このように、短時間に睡眠に入り、かつ、心地よく睡眠できるようにするためには、頭を冷すと共に脳をリラックスさせることが必要であるが、従来提案されている種々の構成ではこれらを同時に満たすことができなかった。
【0007】
そこで、本発明は、簡単な構成で、頭を冷すことができると共に脳をリラックスさせることができるようにして短時間に睡眠に入り、かつ、心地よく睡眠できるようにした枕を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1にかかる枕は、熱伝導性電気絶縁膜からなる絶縁層と、この絶縁層に覆われた熱伝導性金属線材がコイル状に巻回されて巻回単位が形成され、全体が扁平に連続形成されるとともに隣接する巻回単位が相互に位置ずれして空隙部と接触部を有する放熱フィンと、この放熱フィンを頭部載置面の下面に接して収納し熱伝導性を促す素材からなる外装体とから構成したことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2にかかる枕は、熱伝導性電気絶縁膜からなる絶縁層と、この絶縁層に覆われた熱伝導性金属線材がコイル状に巻回されて巻回単位が形成されるとともに全体が扁平に連続形成され、隣接する巻回単位が相互に位置ずれして空隙部と接触部を有する放熱フィンと、この放熱フィンを頭部載置面の下面に接して収納し熱伝導を促す素材からなる外装体と、上記放熱フィンに接続される電源から構成したことを特徴とする。
【0010】
また、請求項3にかかる枕外装体は、熱伝導性電気絶縁膜からなる絶縁層と、この絶縁層に覆われた熱伝導性金属線材がコイル状に巻回されて巻回単位が形成されるとともに全体が扁平に連続形成され、隣接する巻回単位が相互に位置ずれして空隙部と接触部を有する放熱フィンと、この放熱フィンを頭部載置面の下面に接して収納し熱伝導を促す素材からなる外装体とから構成したことを特徴とする。
【0011】
さらに、請求項4にかかる枕外装体は、熱伝導性電気絶縁膜からなる絶縁層と、この絶縁層に覆われた熱伝導性金属線材がコイル状に巻回されて巻回単位が形成されるとともに全体が扁平に連続形成され、隣接する巻回単位が相互に位置ずれして空隙部と接触部を有する放熱フィンと、この放熱フィンを頭部載置面の下面に接して収納し熱伝導を促す素材からなる外装体と、上記放熱フィンに接続される電源から構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、熱伝導性電気絶縁膜からなる絶縁層と、この絶縁層に覆われた熱伝導性金属線材がコイル状に巻回されて巻回単位が形成されるとともに全体が扁平に連続形成され、隣接する巻回単位が相互に位置ずれして空隙部と接触部を有する放熱フィンと、この放熱フィンを頭部載置面の下面に接して収納し熱伝導を促す素材からなる外装体とから構成したので、簡単な構成で、頭を冷すことができるようになる。
【0013】
また、熱伝導性電気絶縁膜からなる絶縁層と、この絶縁層に覆われた熱伝導性金属線材がコイル状に巻回されて巻回単位が形成されるとともに全体が扁平に連続形成され、隣接する巻回単位が相互に位置ずれして空隙部と接触部を有する放熱フィンと、この放熱フィンを頭部載置面の下面に接して収納し熱伝導を促す素材からなる外装体と、上記放熱フィンに接続される電源から構成したので、簡単な構成で、頭を冷すことができると共に脳をリラックスさせることができるようにして短時間に睡眠に入り、かつ、心地よく睡眠できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態を図を参照して説明する。図1は、枕1の構成図であり、図2は枕本体2の断面斜視図、図3は当該枕本体2の上面図である。当該枕1は、熱伝導性金属線材から形成された放熱フィン5、該放熱フィン5を収納すると共に枕1の主要体をなす緩衝材3を収納する外装体4、該放熱フィン5に交流電流を流すコントローラ30を主要構成としている。
【0015】
なお、本実施例においては、図2に示すように、放熱フィン5と緩衝材3とが外装体4に内包された構成を例に説明するが、図4に示すように外装体7に放熱フィン5のみを内包して枕外装体2’を構成し、これを図5に示すように既存の枕本体に装着する構成であっても良い。
【0016】
一般に、枕は枕カバー(布製であるか紙であるかを問わない)を装着して頭髪等により汚れた場合に、この枕カバーを取外して洗濯又は交換して利用される。従って、本発明で言う枕外装体2’は、かかる意味での枕カバーを意味せず、図4及び図5に示すように既存の枕に装着して利用するものをいう。
【0017】
このような外装体4には、頭部が載置される面(頭部載置面)に複数の開口6が形成されると共に、その下面に放熱フィン5が配置されている。
【0018】
なお、本発明はかかる開口6を必須要件とするものではない。即ち、開口6は、後述するように頭と放熱フィン5との熱交換を促進させるために設けている。しかし、放熱フィン5は後述するように複数の熱伝導性金属線材(以下、単に線材と記載する)をコイル状に巻回して形成されているため、頭髪が放熱フィン5に挟込まれてしまうような不都合が生じることが予想される。従って、開口6を設けるような場合は、当該開口6を覆う部材の装着を前提とする。このような部材として、従来用いられている枕カバーが例示でき、また開口6をメッシュ材に覆う構成が例示できる。
【0019】
外装体4の材料としては、通気性を有するものが好ましく、一般的には合成繊維、天然繊維の織布が好適である。また、合成繊維としては、レーヨン、テンセル、アセテート、ポリエステル、ウレタン(特に遅延発泡性の等の各種繊維を用いることができ、天然繊維としては、綿、麻、羊毛、絹、ココナッツ繊維等の各種繊維を用いることができる。
【0020】
放熱フィン5は、図6に示すように、線材を左巻きしてなるコイル5aと右巻きしてなるコイル5bとを組合わせ、これらを扁平に一体成形して形成されている。なお、図6(a)は放熱フィンの上面図であり、図6(b)は矢視A−A断面図である。以下、左巻して扁平成形されたコイルを左巻フィン5a、右巻して扁平成形されたコイルを右巻フィン5bと記載し、これらを総称してフィン5と記載する。
【0021】
扁平形状のフィン5は、左巻フィン5aと右巻フィン5bとを組合わせて、この状態で押圧して扁平に成形することにより製造され、その材料としてはアルミニウム、銅、銀、金等の金属材料、またはこれらとニッケル、マグネシウム、亜鉛、ケイ素等との合金等を挙げることができる。銅系やアルミニウム系の材料は熱伝導性に優れるため好適であり、特にアルミニウム系の材料は、熱伝導性と柔軟性に優れ、かつ軽量、低コストであるため好適である。
【0022】
放熱フィン5には電流を流すので安全性のため放熱フィン5を構成する線材の表面に熱伝導性電気絶縁膜(絶縁層)12を被覆して左巻フィン5a及び右巻フィン5bが形成されている。かかる絶縁層12として超高分子ポリエチレン樹脂、ポリウレタン、ポリイミド等が例示できる。
【0023】
なお、絶縁層12の被覆方法としては、左巻フィン5a及び右巻フィン5bのそれぞれに被覆する方法、左巻フィン5a又は右巻フィン5bのいずれか1方に被覆する方法、扁平に押圧成形した後の放熱フィン5に被覆する方法が可能であり、これらの選定は通電方法に応じて決定される。以下の説明では、左巻フィン5a及び右巻フィン5bのそれぞれに被覆した場合を例に説明する。
【0024】
このように左右のフィン5a,5bを組合わせて扁平成形することにより、ターン毎の線材(巻回単位)は隣接ターンと位置ずれしながら接触する部分(接触部11a)と接触していない部分(空隙部11b)が形成され、扁平成形により左右巻フィン5は密集して絡合うようになる。
【0025】
左右巻フィン5が密集して絡合うため、放熱フィン5の形態が安定化する。また、接触部11aにより、頭が放熱フィン5と部分的に接触している場合でも、熱はこの接触部11aを介して隣接する巻回単位に素早く伝導するので、速やかな熱分散が行えるようになる。そして、空隙部11bは大気の流動路として機能するため、大気への放熱を高めることが可能になる。従って、頭の熱を効率的に大気に放熱できるため、容易に、頭寒足熱状態が達成できる。
【0026】
また、空隙部11bが大気の流動路として機能することから、汗の蒸発も容易に行われ、その際の気化熱が直接頭部から奪われるので、頭の冷却効果が向上する。
【0027】
放熱フィン5は、図1に示すように蛇行して頭部が載置される面に延設され、その端部には電極を兼ねる終端部材9が取り付けられている。この終端部材9の材質としては、アルミニウム、銅、銀、金等の金属材料、またはこれらとニッケル、マグネシウム、亜鉛、ケイ素等との合金等を挙げることができる。銅系やアルミニウム系の材料は熱伝導性に優れるため好適に用いられ、特にアルミニウム系の材料は、熱伝導性と柔軟性に優れ、かつ軽量、低コストであるため好適である。
【0028】
このような放熱フィン5には、コントローラ30を介して交流電流が供給される。このコントローラ30は、図7に示すように電流を放熱フィン5に流す時間を設定するタイマ設定部31、流す電流の周波数を設定する周波数設定部32、電流を放熱フィン5に供給する電流供給部33、放熱フィン5に供給する電流値を設定する電流値設定部34等を備えている。
【0029】
周波数設定部32は、利用者の設定に応じて0〜数十ヘルツの周波数信号を発生し、電流供給部33はこの周波数の交流電流を供給する。そして、このときの電流値は電流値設定部34で設定される。従って、周波数設定部32で設定された周波数の交流電流が放熱フィン5に供給されて、この周波数の電磁波が放熱フィン5から放射される。電磁波は自律神経に作用し、この結果としてその周波数に対応したアルファ波、シータ波、デルタ波等の脳波が出やすくなって誘眠効果が発現する。
【0030】
なお、アルファ波(8〜14ヘルツ)は脳が精神的安静状態にあるときの脳波、シータ波(4〜6ヘルツ)は脳が浅い睡眠状態のときの脳波、デルタ波(0.5〜3ヘルツ)は脳が深い睡眠状態のときの脳波であり、利用者により係る状態への移行時間の違いに対応するためにタイマ設定部31を設けている。
【0031】
従って、タイマ設定部31においては、就寝開始時における脳の覚醒状態からリラックスして精神的安静状態に至るまでの時間、精神的安静状態から浅い睡眠状態に至るまでの時間、浅い睡眠状態から深い睡眠状態に至るまでの時間がそれぞれ設定できるようにすることが好ましいが、本発明は少なくとも覚醒状態からリラックスして精神的安静状態に至るまでの時間を設定できることを要件とする。
これは、誘眠において覚醒状態からリラックスして精神的安静状態に至るまでの時間が最も重要であると考えられるためである。
【0032】
また、周波数設定部32で周波数を設定可能にしたのは、上述したようにアルファ波と言っても8〜14ヘルツと幅があるので利用者に適した周波数に設定できるようにするためである。
【0033】
このような交流電流は、終端部材9により並列接続された左巻コイル及び右巻コイルに供給される。このとき、左巻コイル及び右巻コイルは独自に絶縁層12が被覆されているので、各コイルで発生する電磁波は弱め合うため、効率的に電磁波を発生することができない場合が生じる。このような場合には、図8(a)に示すように両コイルに流す交流電流の位相を180度ずらして供給することが好ましい。このように位相をずらすことにより、両コイルからの電磁波の位相も揃うため、発生した電磁波が弱め合うようなことがない。
【0034】
また、図8(b)に示すように、一方のコイルのみに交流電流を流すようにしてもよい。この場合には、電流を流さないコイルには絶縁層12を被覆しないことが好ましい。これは、絶縁層12が熱伝導性に優れているか否かを問わず、当該絶縁層12を設けると放熱効果が低下してしまうことを防止するためである。
【0035】
さらに、図8(c)に示すように、コイルと接地との間に交流を印可して、当該コイルをアンテナとして作用させることにより電波を放射するようにしても良い。この場合は電波が自律神経に作用し、この結果としてその周波数に対応したアルファ波、シータ波、デルタ波等の脳波が出やすくなって誘眠効果が発現する。
【0036】
なお、このとき放熱フィンの長さ(コイルとしての長さ)は、放射する電波と共振状態になるように設定することが好ましい。なお、周波数は上述したように可変に設定されているので、コイルの長さをできるだけ長くすることが好ましい。
【0037】
このように、放熱フィンによる放熱効果及び当該放熱フィンからの電磁波の放射による脳のリラックス状態への誘導効果により、気持よく、かつ、速やかな睡眠を誘うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】枕の概略構成を示す図である。
【図2】枕本体の断面斜視図である。
【図3】枕本体の上面図である。
【図4】枕外装体の構成を示す断面図である。
【図5】枕外装体を枕本体に装着した際の断面斜視図である。
【図6】放熱フィンの構成を示す図である。
【図7】コントローラのブロック図である。
【図8】右コイルと左コイルとの結線状態を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 枕
2 枕本体
2’ 枕外装体
3 緩衝材
4 外装体
5 放熱フィン
5b 右巻フィン
5a 左巻フィン
6 開口
7 外装体
9 終端部材
11b 空隙部
11a 接触部
12 絶縁層
30 コントローラ
31 タイマ設定部
32 周波数設定部
33 電流供給部
34 電流値設定部
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、就寝時等において利用される枕にかかり、特に頭を冷却すると共に、誘眠を促進させる枕に関する。
【背景技術】
【0002】
睡眠は、健康を維持する上で非常に重要であり、かかる睡眠に影響を与える物として枕が注目されている。睡眠においては頭を冷却して所謂頭寒足熱状態を達成するものが好ましく、このため枕に熱が籠らないように通気性を確保した形状等が提案され、また頭に汗をかいているような場合にも、速やかに吸水、吸湿して暑苦しさを解消しようとする提案がなされている(特許文献1参照)。
【0003】
このような外面から心地よい睡眠を実現しようとする一方で、肉体に直接誘眠を働きかける提案もなされている。即ち、就寝時から寝入るには脳は覚醒状態からリラックス状態に移行する必要がある。この脳のリラックス状態への移行を促進するためにアルファ波、シータ波やデルタ波等の周波数の超音波を発生して誘眠を行う提案がなされている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−287804号公報
【特許文献2】特開2003−199831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、吸湿・吸水シートにより汗を吸収する構成では、シートに汗が吸収された後に蒸発するため、気化熱はシートから奪われる構成となり、頭の汗は吸収されるものの温度が下がり難い(頭が冷却され難い)問題があった。
加えて、汗が吸収されて気持よくなる効果はあるものの、脳をリラックスさせる直接的な作用はなく、脳が自然にリラックスするのを待たなければならず寝入るまで時間を要する問題がある。
【0005】
一方、超音波を発生させて脳をリラックスさせる方法では、脳をリラックスさせる直接的な作用が期待できるものの、頭を冷す作用はないため頭寒足熱状態を達成することが困難である問題がある。
【0006】
このように、短時間に睡眠に入り、かつ、心地よく睡眠できるようにするためには、頭を冷すと共に脳をリラックスさせることが必要であるが、従来提案されている種々の構成ではこれらを同時に満たすことができなかった。
【0007】
そこで、本発明は、簡単な構成で、頭を冷すことができると共に脳をリラックスさせることができるようにして短時間に睡眠に入り、かつ、心地よく睡眠できるようにした枕を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1にかかる枕は、熱伝導性電気絶縁膜からなる絶縁層と、この絶縁層に覆われた熱伝導性金属線材がコイル状に巻回されて巻回単位が形成され、全体が扁平に連続形成されるとともに隣接する巻回単位が相互に位置ずれして空隙部と接触部を有する放熱フィンと、この放熱フィンを頭部載置面の下面に接して収納する外装体とから構成したことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2にかかる枕は、熱伝導性電気絶縁膜からなる絶縁層と、この絶縁層に覆われた熱伝導性金属線材がコイル状に巻回されて巻回単位が形成されるとともに全体が扁平に連続形成され、隣接する巻回単位が相互に位置ずれして空隙部と接触部を有する放熱フィンと、この放熱フィンを頭部載置面の下面に接して収納する外装体と、上記放熱フィンに接続され該放熱フィンに交流電流を供給する電源から構成したことを特徴とする。
【0010】
また、請求項3にかかる枕外装体は、熱伝導性電気絶縁膜からなる絶縁層と、この絶縁層に覆われた熱伝導性金属線材がコイル状に巻回されて巻回単位が形成されるとともに全体が扁平に連続形成され、隣接する巻回単位が相互に位置ずれして空隙部と接触部を有する放熱フィンと、この放熱フィンを頭部載置面の下面に接して収納する外装体とから構成したことを特徴とする。
【0011】
さらに、請求項4にかかる枕外装体は、熱伝導性電気絶縁膜からなる絶縁層と、この絶縁層に覆われた熱伝導性金属線材がコイル状に巻回されて巻回単位が形成されるとともに全体が扁平に連続形成され、隣接する巻回単位が相互に位置ずれして空隙部と接触部を有する放熱フィンと、この放熱フィンを頭部載置面の下面に接して収納する外装体と、上記放熱フィンに接続され該放熱フィンに交流電流を供給する電源から構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、熱伝導性電気絶縁膜からなる絶縁層と、この絶縁層に覆われた熱伝導性金属線材がコイル状に巻回されて巻回単位が形成されるとともに全体が扁平に連続形成され、隣接する巻回単位が相互に位置ずれして空隙部と接触部を有する放熱フィンと、この放熱フィンを頭部載置面の下面に接して収納し熱伝導を促す素材からなる外装体とから構成したので、簡単な構成で、頭を冷すことができるようになる。
【0013】
また、熱伝導性電気絶縁膜からなる絶縁層と、この絶縁層に覆われた熱伝導性金属線材がコイル状に巻回されて巻回単位が形成されるとともに全体が扁平に連続形成され、隣接する巻回単位が相互に位置ずれして空隙部と接触部を有する放熱フィンと、この放熱フィンを頭部載置面の下面に接して収納し熱伝導を促す素材からなる外装体と、上記放熱フィンに接続される電源から構成したので、簡単な構成で、頭を冷すことができると共に脳をリラックスさせることができるようにして短時間に睡眠に入り、かつ、心地よく睡眠できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態を図を参照して説明する。図1は、枕1の構成図であり、図2は枕本体2の断面斜視図、図3は当該枕本体2の上面図である。当該枕1は、熱伝導性金属線材から形成された放熱フィン5、該放熱フィン5を収納すると共に枕1の主要体をなす緩衝材3を収納する外装体4、該放熱フィン5に交流電流を流すコントローラ30を主要構成としている。
【0015】
なお、本実施例においては、図2に示すように、放熱フィン5と緩衝材3とが外装体4に内包された構成を例に説明するが、図4に示すように外装体7に放熱フィン5のみを内包して枕外装体2’を構成し、これを図5に示すように既存の枕本体に装着する構成であっても良い。
【0016】
一般に、枕は枕カバー(布製であるか紙であるかを問わない)を装着して頭髪等により汚れた場合に、この枕カバーを取外して洗濯又は交換して利用される。従って、本発明で言う枕外装体2’は、かかる意味での枕カバーを意味せず、図4及び図5に示すように既存の枕に装着して利用するものをいう。
【0017】
このような外装体4には、頭部が載置される面(頭部載置面)に複数の開口6が形成されると共に、その下面に放熱フィン5が配置されている。
【0018】
なお、本発明はかかる開口6を必須要件とするものではない。即ち、開口6は、後述するように頭と放熱フィン5との熱交換を促進させるために設けている。しかし、放熱フィン5は後述するように複数の熱伝導性金属線材(以下、単に線材と記載する)をコイル状に巻回して形成されているため、頭髪が放熱フィン5に挟込まれてしまうような不都合が生じることが予想される。従って、開口6を設けるような場合は、当該開口6を覆う部材の装着を前提とする。このような部材として、従来用いられている枕カバーが例示でき、また開口6をメッシュ材に覆う構成が例示できる。
【0019】
外装体4の材料としては、通気性を有するものが好ましく、一般的には合成繊維、天然繊維の織布が好適である。また、合成繊維としては、レーヨン、テンセル、アセテート、ポリエステル、ウレタン(特に遅延発泡性の等の各種繊維を用いることができ、天然繊維としては、綿、麻、羊毛、絹、ココナッツ繊維等の各種繊維を用いることができる。
【0020】
放熱フィン5は、図6に示すように、線材を左巻きしてなるコイル5aと右巻きしてなるコイル5bとを組合わせ、これらを扁平に一体成形して形成されている。なお、図6(a)は放熱フィンの上面図であり、図6(b)は矢視A−A断面図である。以下、左巻して扁平成形されたコイルを左巻フィン5a、右巻して扁平成形されたコイルを右巻フィン5bと記載し、これらを総称してフィン5と記載する。
【0021】
扁平形状のフィン5は、左巻フィン5aと右巻フィン5bとを組合わせて、この状態で押圧して扁平に成形することにより製造され、その材料としてはアルミニウム、銅、銀、金等の金属材料、またはこれらとニッケル、マグネシウム、亜鉛、ケイ素等との合金等を挙げることができる。銅系やアルミニウム系の材料は熱伝導性に優れるため好適であり、特にアルミニウム系の材料は、熱伝導性と柔軟性に優れ、かつ軽量、低コストであるため好適である。
【0022】
放熱フィン5には電流を流すので安全性のため放熱フィン5を構成する線材の表面に熱伝導性電気絶縁膜(絶縁層)12を被覆して左巻フィン5a及び右巻フィン5bが形成されている。かかる絶縁層12として超高分子ポリエチレン樹脂、ポリウレタン、ポリイミド等が例示できる。
【0023】
なお、絶縁層12の被覆方法としては、左巻フィン5a及び右巻フィン5bのそれぞれに被覆する方法、左巻フィン5a又は右巻フィン5bのいずれか1方に被覆する方法、扁平に押圧成形した後の放熱フィン5に被覆する方法が可能であり、これらの選定は通電方法に応じて決定される。以下の説明では、左巻フィン5a及び右巻フィン5bのそれぞれに被覆した場合を例に説明する。
【0024】
このように左右のフィン5a,5bを組合わせて扁平成形することにより、ターン毎の線材(巻回単位)は隣接ターンと位置ずれしながら接触する部分(接触部11a)と接触していない部分(空隙部11b)が形成され、扁平成形により左右巻フィン5は密集して絡合うようになる。
【0025】
左右巻フィン5が密集して絡合うため、放熱フィン5の形態が安定化する。また、接触部11aにより、頭が放熱フィン5と部分的に接触している場合でも、熱はこの接触部11aを介して隣接する巻回単位に素早く伝導するので、速やかな熱分散が行えるようになる。そして、空隙部11bは大気の流動路として機能するため、大気への放熱を高めることが可能になる。従って、頭の熱を効率的に大気に放熱できるため、容易に、頭寒足熱状
態が達成できる。
【0026】
また、空隙部11bが大気の流動路として機能することから、汗の蒸発も容易に行われ、その際の気化熱が直接頭部から奪われるので、頭の冷却効果が向上する。
【0027】
放熱フィン5は、図1に示すように蛇行して頭部が載置される面に延設され、その端部には電極を兼ねる終端部材9が取り付けられている。この終端部材9の材質としては、アルミニウム、銅、銀、金等の金属材料、またはこれらとニッケル、マグネシウム、亜鉛、ケイ素等との合金等を挙げることができる。銅系やアルミニウム系の材料は熱伝導性に優れるため好適に用いられ、特にアルミニウム系の材料は、熱伝導性と柔軟性に優れ、かつ軽量、低コストであるため好適である。
【0028】
このような放熱フィン5には、コントローラ30を介して交流電流が供給される。このコントローラ30は、図7に示すように電流を放熱フィン5に流す時間を設定するタイマ設定部31、流す電流の周波数を設定する周波数設定部32、電流を放熱フィン5に供給する電流供給部33、放熱フィン5に供給する電流値を設定する電流値設定部34等を備えている。
【0029】
周波数設定部32は、利用者の設定に応じて0〜数十ヘルツの周波数信号を発生し、電流供給部33はこの周波数の交流電流を供給する。そして、このときの電流値は電流値設定部34で設定される。従って、周波数設定部32で設定された周波数の交流電流が放熱フィン5に供給されて、この周波数の電磁波が放熱フィン5から放射される。電磁波は自律神経に作用し、この結果としてその周波数に対応したアルファ波、シータ波、デルタ波等の脳波が出やすくなって誘眠効果が発現する。
【0030】
なお、アルファ波(8〜14ヘルツ)は脳が精神的安静状態にあるときの脳波、シータ波(4〜6ヘルツ)は脳が浅い睡眠状態のときの脳波、デルタ波(0.5〜3ヘルツ)は脳が深い睡眠状態のときの脳波であり、利用者により係る状態への移行時間の違いに対応するためにタイマ設定部31を設けている。
【0031】
従って、タイマ設定部31においては、就寝開始時における脳の覚醒状態からリラックスして精神的安静状態に至るまでの時間、精神的安静状態から浅い睡眠状態に至るまでの時間、浅い睡眠状態から深い睡眠状態に至るまでの時間がそれぞれ設定できるようにすることが好ましいが、本発明は少なくとも覚醒状態からリラックスして精神的安静状態に至るまでの時間を設定できることを要件とする。
これは、誘眠において覚醒状態からリラックスして精神的安静状態に至るまでの時間が最も重要であると考えられるためである。
【0032】
また、周波数設定部32で周波数を設定可能にしたのは、上述したようにアルファ波と言っても8〜14ヘルツと幅があるので利用者に適した周波数に設定できるようにするためである。
【0033】
このような交流電流は、終端部材9により並列接続された左巻コイル及び右巻コイルに供給される。このとき、左巻コイル及び右巻コイルは独自に絶縁層12が被覆されているので、各コイルで発生する電磁波は弱め合うため、効率的に電磁波を発生することができない場合が生じる。このような場合には、図8(a)に示すように両コイルに流す交流電流の位相を180度ずらして供給することが好ましい。このように位相をずらすことにより、両コイルからの電磁波の位相も揃うため、発生した電磁波が弱め合うようなことがない。
【0034】
また、図8(b)に示すように、一方のコイルのみに交流電流を流すようにしてもよい。この場合には、電流を流さないコイルには絶縁層12を被覆しないことが好ましい。これは、絶縁層12が熱伝導性に優れているか否かを問わず、当該絶縁層12を設けると放熱効果が低下してしまうことを防止するためである。
【0035】
さらに、図8(c)に示すように、コイルと接地との間に交流を印可して、当該コイルをアンテナとして作用させることにより電波を放射するようにしても良い。この場合は電波が自律神経に作用し、この結果としてその周波数に対応したアルファ波、シータ波、デルタ波等の脳波が出やすくなって誘眠効果が発現する。
【0036】
なお、このとき放熱フィンの長さ(コイルとしての長さ)は、放射する電波と共振状態になるように設定することが好ましい。なお、周波数は上述したように可変に設定されているので、コイルの長さをできるだけ長くすることが好ましい。
【0037】
このように、放熱フィンによる放熱効果及び当該放熱フィンからの電磁波の放射による脳のリラックス状態への誘導効果により、気持よく、かつ、速やかな睡眠を誘うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】枕の概略構成を示す図である。
【図2】枕本体の断面斜視図である。
【図3】枕本体の上面図である。
【図4】枕外装体の構成を示す断面図である。
【図5】枕外装体を枕本体に装着した際の断面斜視図である。
【図6】放熱フィンの構成を示す図である。
【図7】コントローラのブロック図である。
【図8】右コイルと左コイルとの結線状態を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 枕
2 枕本体
2’ 枕外装体
3 緩衝材
4 外装体
5 放熱フィン
5b 右巻フィン
5a 左巻フィン
6 開口
7 外装体
9 終端部材
11b 空隙部
11a 接触部
12 絶縁層
30 コントローラ
31 タイマ設定部
32 周波数設定部
33 電流供給部
34 電流値設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導性電気絶縁膜からなる絶縁層と、この絶縁層に覆われた熱伝導性金属線材がコイル状に巻回されて巻回単位が形成され、全体が扁平に連続形成されるとともに隣接する巻回単位が相互に位置ずれして空隙部と接触部を有する放熱フィンと、この放熱フィンを頭部載置面の下面に接して収納し熱伝導を促す素材からなる外装体とから構成される枕。
【請求項2】
熱伝導性電気絶縁膜からなる絶縁層と、この絶縁層に覆われた熱伝導性金属線材がコイル状に巻回されて巻回単位が形成され、全体が扁平に連続形成されるとともに隣接する巻回単位が相互に位置ずれして空隙部と接触部を有する放熱フィンと、この放熱フィンを頭部載置面の下面に接して収納し熱伝導を促す素材からなる外装体と、上記放熱フィンに接続される電源から構成される枕。
【請求項3】
熱伝導性電気絶縁膜からなる絶縁層と、この絶縁層に覆われた熱伝導性金属線材がコイル状に巻回されて巻回単位が形成されるとともに全体が扁平に連続形成され、隣接する巻回単位が相互に位置ずれして空隙部と接触部を有する放熱フィンと、この放熱フィンを頭部載置面の下面に接して収納し熱伝導性を促す素材からなる外装体とから構成される枕外装体。
【請求項4】
熱伝導性電気絶縁膜からなる絶縁層と、この絶縁層に覆われた熱伝導性金属線材がコイル状に巻回されて巻回単位が形成され、全体が扁平に連続形成されるとともに隣接する巻回単位が相互に位置ずれして空隙部と接触部を有する放熱フィンと、この放熱フィンを頭部載置面の下面に接して収納し熱伝導性を促す素材からなる外装体と、上記放熱フィンに接続される電源から構成される枕外装体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導性電気絶縁膜からなる絶縁層と、この絶縁層に覆われた熱伝導性金属線材がコイル状に巻回されて巻回単位が形成され、全体が扁平に連続形成されるとともに隣接する巻回単位が相互に位置ずれして空隙部と接触部を有する放熱フィンと、この放熱フィンを頭部載置面の下面に接して収納する外装体とから構成される枕。
【請求項2】
熱伝導性電気絶縁膜からなる絶縁層と、この絶縁層に覆われた熱伝導性金属線材がコイル状に巻回されて巻回単位が形成され、全体が扁平に連続形成されるとともに隣接する巻回単位が相互に位置ずれして空隙部と接触部を有する放熱フィンと、この放熱フィンを頭部載置面の下面に接して収納する外装体と、上記放熱フィンに接続され該放熱フィンに交流電流を供給する電源から構成される枕。
【請求項3】
熱伝導性電気絶縁膜からなる絶縁層と、この絶縁層に覆われた熱伝導性金属線材がコイル状に巻回されて巻回単位が形成されるとともに全体が扁平に連続形成され、隣接する巻回単位が相互に位置ずれして空隙部と接触部を有する放熱フィンと、この放熱フィンを頭部載置面の下面に接して収納する外装体とから構成される枕外装体。
【請求項4】
熱伝導性電気絶縁膜からなる絶縁層と、この絶縁層に覆われた熱伝導性金属線材がコイル状に巻回されて巻回単位が形成され、全体が扁平に連続形成されるとともに隣接する巻回単位が相互に位置ずれして空隙部と接触部を有する放熱フィンと、この放熱フィンを頭部載置面の下面に接して収納する外装体と、上記放熱フィンに接続され該放熱フィンに交流電流を供給する電源から構成される枕外装体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−345992(P2006−345992A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−173831(P2005−173831)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【特許番号】特許第3803737号(P3803737)
【特許公報発行日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(501195670)株式会社事業創造研究所 (12)
【Fターム(参考)】