説明

枚葉フィルム検査装置

【課題】枚葉シートに切り取られたフィルムをシワの無い一様な被検査面に形成して外観検査を容易にし、検査精度を向上することが可能で、しかも設備費用が抑制された自動検査装置を提供する。
【解決手段】被検査対象の枚葉フィルムが巻き取られた段取り用ローラーと、枚葉フィルムの巻き出し方向に対向する2辺をそれぞれ挟み、枚葉フィルムを引っ張りながら巻き出し巻取りを行って搬送する2本のフィルム挟み込みローラーと、前記2本のフィルム挟み込みローラーを駆動する手段と、2本のフィルムサポートローラーと、枚葉フィルムの検査面を照明する手段と、照明された枚葉フィルムを撮像する手段と、照明する手段を移動する手段と、撮像する手段を移動する手段と、撮像された画像を処理し不良欠陥を検出する画像処理手段と、前記2本のフィルム挟み込みローラーと2本のフィルムサポートローラーを移動する手段と、を有する枚葉フィルム検査装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学機能性フィルム等の柔軟性を有するフィルムの外観検査に用いる検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、プラスチックフィルム、紙、金属箔等の柔軟性を有する長尺の基材をロール状に巻き付けた状態から巻き出してから巻取りを行う間に、印刷や塗工、フォトリソプロセス等の各種表面処理を行う技術が一般的に多用されてきた。そこで取り扱う柔軟で長尺の媒体をウェブと称し、ウェブを巻き出し搬送し、前記処理工程を経て最終的に巻き取る技術がウェブハンドリング技術として知られている。
【0003】
近年は、特に、光学機能性フィルム等の光学フィルムの製造において、前記ウェブハンドリング技術を駆使して、大量で安価な生産を可能としている。また、量産に際しては、光学フィルムの原反材料そのものに付着している異物欠陥や、製造工程中に生じる傷や異物付着といった欠陥が有り、それらの欠陥を検出する検査方法が各種提案されている。
【0004】
図1は光学機能性フィルムの一例である液晶ディスプレイ等の表示デバイスの表示画面の最表面に貼られる反射防止フィルムの断面を示す図である。反射防止フィルムは、表示画面をキズから保護したり、防汚、帯電防止、映り込み防止のために、透明フィルムに反射防止材料をコーティングして製造される。
【0005】
反射防止フィルムの製造工程では、ロール状の長尺帯状の透光性のフィルムに対し、塗工、乾燥といった表面処理が単数または複数回行われ、光学膜が形成される。図1に示される反射防止フィルムはフィルム基材1、ハードコート層2、反射防止層3の各層で構成されている。
【0006】
従来よりフィルム基材1にハードコート層2を塗布する前、ハードコート層2を塗布した後、更に反射防止層3を塗布した後、あるいはそのいずれかの段階でフィルム基材及び表面処理の製造工程中に生じるキズ、気泡、異物、シワの外観欠陥を判断するための外観検査の手法が各種提案されている。
【0007】
欠陥を検出する検査はウェブ工程の中間でインラインで検査されているが、高速で表面処理中での検査であることから、微小な不良箇所が見落とされることがある。特に、ロールの最初から最後までに共通に発生している、いわゆる共通欠陥の見逃しは、ロール全てが欠陥品となってしまうため、インライン検査だけでは、十分であるとはいえない。
【0008】
そこで上記インラインでの検査の代用として、ウェブ状から枚葉シートを切り取って検査する場合がある。その際には例えば、図2に示すようにフィルムの枚葉シート4を枠体5で固定して、透過光や反射光の各種光源によって種々の方向からの目視検査を、フィルムを持ち回ることなく、一定位置で行うための検査装置がある。前記ウェブ基材といえども、最終の使用形態である枚葉シートに裁断後に、このような目視検査による外観検査を行うことは同一欠陥を検出できる等の一定の意義がある。ここでいう枚葉シート4の長手方向の大きさは外観検査の目的によって適宜決められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−233892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ロール・ツー・ロールプロセスから切り取った枚葉シートを枠体に張り付け検査する場合には、枚葉シートをシワの無い一様な被検査面に形成することが必要になるが、図3に示すようにシワ6のない一様な面を形成することは元来難しいものであり、そのために検査の精度が低下する原因となっている。
【0011】
また、従来枚葉シートの外観検査は目視によって行われていたが、自動検査化による検出能力の安定化や検査費用の削減が求められている。
【0012】
本発明は、前記の問題点に鑑みて、枚葉シートに切り取られたフィルムをシワの無い一様な被検査面に形成して外観検査を容易にし、検査精度を向上することが可能で、しかも設備費用が抑制された自動検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで本発明の請求項1に係る発明は、枚葉フィルムの外観を検査する検査装置であって、
被検査対象の枚葉フィルムが巻き取られた段取り用ローラーと、
段取り用ローラーに巻かれた枚葉フィルムを巻き出した後、枚葉フィルムの巻き出し方向に対向する2辺をそれぞれ挟み、更に前記枚葉フィルムを引っ張りながら巻き出し巻取りを行って搬送する2本のフィルム挟み込みローラーと、
前記2本のフィルム挟み込みローラーを駆動する手段と、
前記2本のフィルム挟み込みローラー間に設けられフィルムの搬送をサポートする2本のフィルムサポートローラーと、
搬送途中の枚葉フィルムの検査面を照明する手段と、
照明された枚葉フィルムを撮像する手段と、
前記照明する手段を移動する手段と、
前記撮像する手段を移動する手段と、
撮像された画像を処理し不良欠陥を検出する画像処理手段と、
前記2本のフィルム挟み込みローラーと2本のフィルムサポートローラーを移動する手段と、を有する枚葉フィルム検査装置である。
【0014】
本発明の請求項2に係る発明は、前記段取りローラーは、その両端にツバを有し、前記2本のフィルム挟み込みローラーの鉛直方向の上方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の枚葉フィルム検査装置である。
【0015】
本発明の請求項3に係る発明は、前記2本のフィルム挟み込みローラーは枚葉フィルムを挟み込む溝を有し、更に溝内に備えられたシリコンチューブに圧縮空気を送り込むことによって枚葉フィルムを固定することを特徴とする請求項1に記載の枚葉フィルム検査装置である。
【0016】
本発明の請求項4に係る発明は、前記2本のフィルム挟み込みローラーを駆動する手段は、搬送されるフィルムに任意の張力を与えることを特徴とする請求項1に記載の枚葉フィルム検査装置である。
【0017】
本発明の請求項5に係る発明は、前記2本のフィルム挟み込みローラーを駆動する手段は、フィルムを往復の両方向に搬送し、しかも搬送距離は予め設定可能であることを特徴とする請求項1に記載の枚葉フィルム検査装置である。
【0018】
本発明の請求項6に係る発明は、前記2本のフィルムサポートローラーによって枚葉フィルムを撮像する手段と検査面との位置が一定になることを特徴とする請求項1に記載の枚葉フィルム検査装置である。
【0019】
本発明の請求項7に係る発明は、枚葉フィルムの搬送と、前記枚葉フィルムの検査面を照明する手段と枚葉フィルムを撮像する手段の枚葉フィルムの搬送方向と直角方向であるフィルムの幅方向の移動によって、枚葉フィルムの全面が検査されることを特徴とする請求項1に記載の枚葉フィルム検査装置である。
【0020】
本発明の請求項8に係る発明は、前記2本のフィルム挟み込みローラーと2本のフィルムサポートローラーとを移動する手段は前記4本のロールを検査前段取り位置と、検査位置とに、移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の枚葉フィルム検査装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の枚葉フィルム検査装置によれば、枚葉シートに切り取られたフィルムを検査する場合にシワの無い一様な被検査面を形成することが容易になり、その結果、外観検査を容易にし、検査精度を向上することが可能となる。しかも検査装置を比較的簡易な構成とすることが出来るため設備費用を抑制することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】光学機能性フィルムの一例である反射防止フィルムの断面を示す図。
【図2】フィルムの枚葉シートを枠体で固定して目視検査を行う従来の方法を示す図。
【図3】枚葉シートを枠体で固定する場合にシワが発生してしまうこと示す図。
【図4】本発明に係る枚葉フィルム検査装置の一例を示す概略構成図。
【図5】本発明に係るツバを備えた段取り用ローラーを示す図。
【図6】本発明に係るフィルム挟み込みローラーを示す図。(a)はフィルム挟み込みローラーの一方を示す図。(b)は(a)の他方のフィルム挟み込みローラーを示す図。
【図7】本発明に係るフィルムサポートローラーを説明するための図。
【図8】本発明に係るフィルム挟み込みローラーを駆動する手段を説明するための図。
【図9】本発明に係るフィルム挟み込みローラーを駆動してフィルムを往路方向に搬送する場合を示す図。
【図10】本発明に係るフィルム挟み込みローラーを駆動してフィルムを復路方向に搬送する場合を示す図。
【図11】本発明に係る撮像カメラを移動することによって枚葉フィルムの全面を検査する場合を示す図。(a)は側面から見た図。(b)は(a)の矢印44の方向から見た正面図。
【図12】本発明に係る搬送フレームを説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明に係る枚葉フィルム検査装置を実施するための形態を説明する。
【0024】
図4は本発明に係る枚葉フィルム検査装置の一例を示す概略構成図である。枚葉フィルム検査装置は、被検査対象の枚葉フィルム11が巻き取られた段取り用ローラー12と、段取り用ローラーに巻かれた枚葉フィルムの巻き出し方向の対向する2端をそれぞれ挟み、更に前記フィルムを引っ張りながら巻き出し巻取りを行って搬送する2本のフィルム挟み込みローラー13−1及び13−2と、2本のフィルム挟み込みローラーを駆動する手
段である図示しない駆動モータとパウダーブレーキと、前記2本のフィルム挟み込みローラー間に設けられ、フィルムの搬送をサポートする2本のフィルムサポートローラー14−1及び14−2と、搬送途中の枚葉フィルムの検査面を照明する手段である照明光源15と、照明された枚葉フィルムを撮像する手段である撮像カメラ16と、前記照明光源15を移動する手段である図示しない照明光源移動装置と、前記撮像カメラ16を移動する手段である図示しない撮像カメラ移動装置と、撮像された画像を処理し不良欠陥を検出する画像処理手段である画像処理装置17と、前記2本のフィルム挟み込みローラー13−1及び13−2と2本のフィルムサポートローラー14−1及び14−2とを移動する手段である搬送フレーム21と、を有している。尚、前記2本のフィルム挟み込みローラーと2本のフィルムサポートローラーは架台22に保持され、架台22が搬送フレーム21上を矢印23に示す方向に移動される。
【0025】
被検査対象の枚葉フィルム11が巻かれた段取り用ローラー12は、フィルム挟み込みローラー13−1の上方に設けられ、被検査対象の枚葉フィルム11の一辺が、フィルム挟み込みローラー13−1に向かって巻き出される。また段取り用ローラー12は、図5に示すようにその両端にツバ12a及び12bを有している。ツバ12a及び12bの間に枚葉フィルム11は巻かれている。
【0026】
図6(a)に示すフィルム挟み込みローラー13−1は、段取り用ローラー12に巻かれた枚葉フィルム11の一辺11−1を挟み込む溝13−1aを有し、更に溝内に設けられたシリコンチューブ30−1に図示しない圧縮空気供給装置から圧縮空気が供給され、枚葉フィルム11の一辺11−1が固定される。その後枚葉フィルム11はフィルム挟み込みローラー13−1に巻き取られる。前記段取り用ローラー12に設けられた図5に示すツバ12a及び12b間に巻き取られていた枚葉フィルム11をフィルム挟み込みローラー13−1に段差が無く巻き取ることが出来る。
【0027】
フィルム挟み込みローラー13−1に巻き取られた枚葉フィルム11は、その後徐々に巻き出されながら他の一方のフィルム挟み込みローラー13−2に設けられた挟み込む溝13−2aに枚葉フィルム11の一辺11−1と対向する辺11−2が挟み込まれる(図6(b))。更に溝13−2a内に設けられたシリコンチューブ30−2に図示しない圧縮空気供給装置から圧縮空気が供給され、枚葉フィルム11の一辺11−2が固定される。この場合、枚葉フィルム11はフィルムサポートローラー14−1及び14−2の上方にパスが通される。
【0028】
図7はフィルムサポートローラー14−1及び14−2を説明するための図で、枚葉フィルム11の2辺が2本のフィルム挟み込みローラー13−1と13−2の溝に挟み込まれ、フィルムサポートローラー14−1及び14−2を介して枚葉フィルム11が通されたことを示す図である。この場合、枚葉フィルム11はフィルム挟み込みローラー13−1と13−2によってテンションがかけられながら、フィルム挟み込みローラー13−1から巻き出され、フィルム挟み込みローラー13−2で巻き取られることによって搬送される。
【0029】
枚葉フィルム11をフィルムサポートローラー14−1及び14−2を介すことによって、例えばフィルム挟み込みローラー13−1に巻かれているフィルムの残量が少なくなった場合でも、撮像カメラ16と検査面との距離dを常に一定に保つことが出来る。
【0030】
フィルム挟み込みローラー13−1と13−2は、図8に示される駆動手段によって駆動される。フィルム挟み込みローラー13−1の回転軸には駆動手段であるサーボモータ13−1Mとパウダーブレーキ13−1Bが繋がれており、同様にフィルム挟み込みローラー13−2の回転軸には駆動手段であるサーボモータ13−2Mとパウダーブレーキ1
3−2Bが繋がれている。上記フィルム挟み込みローラー13−1と13−2に繋がれたサーボモータ13−1Mとパウダーブレーキ13−1Bと、サーボモータ13−2Mとパウダーブレーキ13−2Bを制御することによって、枚葉フィルム11にテンションをかけながら矢印51で示す往路の方向に搬送したり、矢印52で示す復路の方向に搬送したりすることが出来る。
【0031】
サーボモータ13−1M及び13−2Mには例えばパルス電圧を印加することによって一定の回転角度で回転させることが出来るパルスモータを使用することが出来る。従って印加するパルス数を制御することによって任意の角度で回転することが出来る。その結果、枚葉フィルム11を予め設定された長さ分、搬送することが出来る。サーボモータ13−1M及び13−2Mには上記パルスモータに限らず、ACサーボモータやDCサーボモータを使用することが出来る。
【0032】
図9、図10はフィルム挟み込みローラー13−1と13−2によって枚葉フィルム11にテンションをかけながら搬送する方法を説明する図である。図9は枚葉フィルム11を搬送する往路、即ち図8の矢印51で示されるフィルム挟み込みローラー13−2から枚葉フィルム11を巻き出し、フィルム挟み込みローラー13−1によって巻き取る場合を示す。横軸は経過時間t、縦軸はサーボモータまたはパウダーブレーキの出力を示す。図10は図9の逆で枚葉フィルム11を搬送する復路、即ち図8の矢印52で示されるフィルム挟み込みローラー13−1から枚葉フィルム11を巻き出し、フィルム挟み込みローラー13−2によって巻き取る場合を示す。
【0033】
図9に示す枚葉フィルム11を往路の方向に搬送する場合は、フィルム挟み込みローラー13−1に繋がれたサーボモータ13−1Mを駆動し(図9(a))、且つパウダーブレーキ13−1Bを定格(100%)出力とする(図9(b))ことによってフィルム挟み込みローラー13−1をサーボモータ13−1Mと同じ速度で回転することが出来る。一方フィルム挟み込みローラー13−2に繋がれたサーボモータ13−2Mを停止し(図9(c))、且つパウダーブレーキ13−2Bを定格以下(図9(d)では30%)の出力とすることによって、フィルム挟み込みローラー13−2をブレーキのかかった状態で回転することが出来る。この結果、枚葉フィルム11にテンションをかけながら往路の方向(図8の矢印51の方向)に搬送することが出来る。
【0034】
一方、図9とは逆に図10に示す枚葉フィルム11を復路の方向に搬送する場合は、フィルム挟み込みローラー13−1に繋がれたサーボモータ13−1Mを停止し(図10(a))、且つパウダーブレーキ13−1Bを定格以下(図10(b)では30%)の出力とし、フィルム挟み込みローラー13−2に繋がれたサーボモータ13−2Mを駆動し(図10(c))、且つパウダーブレーキ13−2Bを定格(100%)出力とする(図10(d))ことによって、フィルム挟み込みローラー13−2をサーボモータ13−2Mと同じ速度で回転することが出来、一方フィルム挟み込みローラー13−1をブレーキのかかった状態で回転することが出来る。この結果、枚葉フィルム11にテンションをかけながら復路の方向(図8の矢印52の方向)に搬送することが出来る。
【0035】
図9、図10ではパウダーブレーキ13−1B及び13−2Bの出力を30%として例示したが、0〜100%未満の任意の出力に設定することで、枚葉フィルム11が巻取り軸へ引っ張られることによりパウダーブレーキが滑ることになる。パウダーブレーキが滑る程度が、そのままフィルムに張力を与えることとなり、巻き出し軸のパウダーブレーキの出力が100%に近い場合、フィルムに与える張力は高くなり、巻き出し軸のパウダーブレーキの出力が0%に近い場合、フィルムに与える張力は低くなる。このようにパウダーブレーキの出力を、0〜100%の間で枚葉フィルム11の厚みや材質等の違いによって適宜選択することによって、シワのない均一なフィルム検査面を作ることが出来る。
【0036】
上記フィルム挟み込みローラー13−1に繋がれたサーボモータ13−1Mとパウダーブレーキ13−1Bと、フィルム挟み込みローラー13−2に繋がれたサーボモータ13−2Mとパウダーブレーキ13−2Bによって枚葉フィルム11をテンションをかけながら搬送することが出来ると同時に、枚葉フィルム11の搬送を間欠的に行うことが出来たり、往路と復路の搬送長さを同じにすることが出来る。
【0037】
枚葉フィルム11の搬送を間欠的に行えることによって、二次元カメラでの撮像が可能となり、二次元カメラを移動して枚葉フィルム11の全面の検査を行うことが出来き、撮像カメラの費用を安価に抑えることが出来る。
【0038】
図11は枚葉フィルム11の全面を検査する方法を説明するための図である。図11(a)は側面から見た図で、図11(b)は図11(a)の矢印44の方向から見た正面図である。図11(a)で示されるフィルム挟み込みローラー13−1が回転方向41−1に回転することによって枚葉フィルム11は巻き出され、同時にフィルム挟み込みローラー13−2が回転方向41−2に回転することによって巻き取られる。この場合、枚葉フィルム11は間欠搬送され、間欠搬送の搬送停止時に、撮像カメラ16によって撮像される。この際、撮像カメラ16は二次元カメラであって、図11(b)に示すように枚葉フィルム11の搬送方向に対して直角方向であるフィルムの幅方向、即ち矢印43で示す方向に移動しながら検査面を撮像する。
【0039】
枚葉フィルム11の搬送方向に対して直角方向であるフィルムの幅方向への撮像カメラ16の移動に追従して、照明光源15も矢印43で示す方向に移動する。図11に示すように撮像カメラ16には二次元カメラを用い、更に枚葉フィルム11の搬送方向に対して直角方向であるフィルムの幅方向へ移動しながら枚葉フィルム11を撮像することによって、例えば一般的に高価といわれるリニアセンサーカメラをフィルムの幅方向に複数台並べてフィルムの全幅を検査する場合と比較して、撮像カメラの費用を安価に抑えることが出来る。
【0040】
また、枚葉フィルム11の往路と復路の搬送を間欠搬送し、更に往路と復路の間欠搬送の回数を適宜制御することによって、特に重点的に検査したい場所を複数回検査することも出来る。更に、フィルム挟み込みローラー13−1によって枚葉フィルム11を巻き取った際のサーボモータ13−1Mの回転制御を、同じようにサーボモータ13−2Mに行うことによって元の状態に巻き戻すことが出来る。
【0041】
また往路と復路の搬送長さを同じにすることが出来るため、検査後のフィルムを元の状態に正確に巻き戻すことが出来、フィルムのハンドリングが更に容易になる。
【0042】
図12は、2本のフィルム挟み込みローラー13−1及び13−2と、2本のフィルムサポートローラー14−1及び14−2と、を移動する手段である搬送フレーム21を説明するための図である。搬送フレーム21は2本のフィルム挟み込みローラー13−1及び13−2と、2本のフィルムサポートローラー14−1及び14−2と、を検査前段取り位置53と、検査位置54と、に移動可能であって、搬送フレーム21上を前記フィルム挟み込みローラー13−1及び13−2と2本のフィルムサポートローラー14−1及び14−2は架台22に保持され、架台22が搬送フレーム21上を矢印23に示す方向に移動される。
【0043】
以上のように本発明による枚葉フィルム検査装置によれば、枚葉フィルムを検査する場合にシワの無い一様な被検査面を形成することが容易になり、サーボモータとパウダーブレーキといった比較的簡便で安価な構成によってフィルムの搬送を行い、また、二次元カ
メラをフィルムの搬送方向と直角の幅方向に移動することによって、撮像カメラの費用を安価に抑えることが出来、その結果、検査の信頼性を向上するとともに検査装置の設備費用を抑えることが可能になる。
【符号の説明】
【0044】
1・・・フィルム基材
2・・・ハードコート層
3・・・反射防止層
4・・・枚葉シート
5・・・枠体
6・・・フィルム上のシワ
11・・・枚葉フィルム
11−1、11−2・・・枚葉フィルム11の対向する辺
12・・・段取り用ローラー
12a、12b・・・段取り用ローラーに設けられたツバ
13−1、13−2・・・フィルム挟み込みローラー
13−1a、13−2a・・・挟み込みローラー設けられ溝
13−1M、13−1B・・・フィルム挟み込みローラー13−1に繋がれたサーボモータとパウダーブレーキ
13−2M、13−2B・・・フィルム挟み込みローラー13−2に繋がれたサーボモータとパウダーブレーキ
14−1、14−2・・・フィルムサポートローラー
15・・・照明光源
16・・・撮像カメラ
17・・・画像処理装置
21・・・搬送フレーム
22・・・架台
23・・・搬送フレームの移動方向を示す矢印
30−1、30−2・・・シリコンチューブ
41−1・・・フィルム挟み込みローラー13−1が回転する方向を示す矢印
41−2・・・フィルム挟み込みローラー13−2が回転する方向を示す矢印
42・・・枚葉フィルムの搬送方向を示す矢印
43・・・照明光源、撮像カメラを移動する方向を示す矢印
44・・・検査装置を見る正面の方向を示す矢印
51・・・フィルムが搬送される往路の方向を示す矢印
52・・・フィルムが搬送される復路の方向を示す矢印
53・・・検査前段取り位置
54・・・検査位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枚葉フィルムの外観を検査する検査装置であって、
被検査対象の枚葉フィルムが巻き取られた段取り用ローラーと、
段取り用ローラーに巻かれた枚葉フィルムを巻き出した後、枚葉フィルムの巻き出し方向に対向する2辺をそれぞれ挟み、更に前記枚葉フィルムを引っ張りながら巻き出し巻取りを行って搬送する2本のフィルム挟み込みローラーと、
前記2本のフィルム挟み込みローラーを駆動する手段と、
前記2本のフィルム挟み込みローラー間に設けられフィルムの搬送をサポートする2本のフィルムサポートローラーと、
搬送途中の枚葉フィルムの検査面を照明する手段と、
照明された枚葉フィルムを撮像する手段と、
前記照明する手段を移動する手段と、
前記撮像する手段を移動する手段と、
撮像された画像を処理し不良欠陥を検出する画像処理手段と、
前記2本のフィルム挟み込みローラーと2本のフィルムサポートローラーを移動する手段と、を有する枚葉フィルム検査装置。
【請求項2】
前記段取りローラーは、その両端にツバを有し、前記2本のフィルム挟み込みローラーの鉛直方向の上方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の枚葉フィルム検査装置。
【請求項3】
前記2本のフィルム挟み込みローラーは枚葉フィルムを挟み込む溝を有し、更に溝内に備えられたシリコンチューブに圧縮空気を送り込むことによって枚葉フィルムを固定することを特徴とする請求項1に記載の枚葉フィルム検査装置。
【請求項4】
前記2本のフィルム挟み込みローラーを駆動する手段は、搬送されるフィルムに任意の張力を与えることを特徴とする請求項1に記載の枚葉フィルム検査装置。
【請求項5】
前記2本のフィルム挟み込みローラーを駆動する手段は、フィルムを往復の両方向に搬送し、しかも搬送距離は予め設定可能であることを特徴とする請求項1に記載の枚葉フィルム検査装置。
【請求項6】
前記2本のフィルムサポートローラーによって枚葉フィルムを撮像する手段と検査面との位置が一定になることを特徴とする請求項1に記載の枚葉フィルム検査装置。
【請求項7】
枚葉フィルムの搬送と、前記枚葉フィルムの検査面を照明する手段と枚葉フィルムを撮像する手段の枚葉フィルムの搬送方向と直角方向であるフィルムの幅方向の移動によって、枚葉フィルムの全面が検査されることを特徴とする請求項1に記載の枚葉フィルム検査装置。
【請求項8】
前記2本のフィルム挟み込みローラーと2本のフィルムサポートローラーとを移動する手段は前記4本のロールを検査前段取り位置と、検査位置とに、移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の枚葉フィルム検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−189482(P2012−189482A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54050(P2011−54050)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】