説明

果実の鮮紅色出し反射体

【課題】商品価値の高い完熟マンゴー等の果実の栽培において、鮮紅色を効率よく現出できる反射体を提供する。
【解決手段】少なくとも片面に反射部が設けられた基材の略中央部に、完熟マンゴー等の果実8の落下防止用ネット9と係合する係合孔5を有する果実の鮮紅色出し反射体1であって、前記果実の鮮紅色出し反射体1は、前記果実8の下部で前記果実落下防止用ネット9と係合し、前記果実の鮮紅色出し反射体1と前記果落下防止用ネット9との係合は、前記果実8の落下時に解除されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果実用反射体であって、とくにマンゴー等の果実の鮮紅色出し反射体に関するものである
【背景技術】
【0002】
現在、南九州を中心として、熱帯果実の栽培が盛んに行なわれている。とくにマンゴーは、完熟して果実全体が鮮紅色となったものが付加価値の高い贈答用果物として位置づけられており、品質の向上のために様々な栽培方法が実践されている。例えば完熟して落下するマンゴーを、合成樹脂性ネット等で保護し栽培する方法や、マンゴーの木の周辺の地面に反射シートを設置し、反射シートで反射される日光等の光をマンゴーの果実に当て、日照不足による糖度の低下や色付きのばらつきを防止する栽培方法等が挙げられる。
【0003】
ところが、マンゴーは果実の周辺に葉が多く繁茂しており、葉が陰となって光を遮りマンゴーの果実に光が当たらない箇所が生じ、完熟マンゴーの果実特有の鮮紅色とならず部分的に緑色や黄色が残るという問題点があった。また反射シートを使用した栽培方法の場合は、葉の陰でマンゴーに反射光が当たりにくいばかりでなく、比較的に日照条件の良い場所において合成樹脂性ネット等で保護され完熟し、鮮紅色となったマンゴーの果実にまで反射した光が当たるため、過剰な光によってマンゴーの果実の表面に日焼けが生じ、商品価値が下がってしまうという問題点もあった。しかも完熟したマンゴーの果実を探すためには、人手によって合成樹脂性ネット等の中に落下しているマンゴーの果実を一個つ確認するしか方法がなく、多くの時間と力を必要とした。
【0004】
これらの問題点を解決するために、少なくとも片面を光反射面とした日光反射片に屈曲自在な取付用線体を設けて成る果樹栽培用日光反射具が提案されている(特許文献1参照。)。また、上端開口状の袋本体の上部を半透明に光遮蔽部とし、更に該光遮蔽部の下部より上記袋本体の下部に向けて透明部を形成せしめ、該袋本体1の開口端に枝に取り付けるための取付け金具を装着したことを特徴とする果実の鮮紅色出し袋も開示されている(特許文献2参照。)。
【特許文献1】実開昭61−182240号公報
【特許文献2】実登3027165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に提案されている果樹栽培用日光反射具の場合、マンゴーの果実の下方から日光を反射させることはできるものの、完熟したマンゴーの果実が落下する際に、果樹栽培用日光反射具に接触したりまた取付金具によって果実に傷がつく危険性がある。
【0006】
また、上記特許文献2の果実の鮮紅色出し袋では、太陽光線によるマンゴーの果実の肩部分の日焼けと完熟落下の防止は考慮されているものの、完熟落下後も底面からの光反射が継続され、日焼けを生じる惧れがあり、しかも完熟したマンゴーの果実と袋が接触したまま放置され、果実の接触面が変色する惧れもある。さらに、完熟したマンゴーの果実を探す作業に関しては何ら考慮されていないものである。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたもので、マンゴーの果実に反射させた光を確実に当て完熟マンゴーの果実の特有の鮮紅色を確実に発色させ、果実が完熟して落下する際には反射体も落下し果実に過度の光を当てることがなく、しかも落下した反射体は完熟したマンゴーの果実の位置を示すマーカーとして利用できる果実の鮮紅色出し反射体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため本発明では、少なくとも片面に反射部を有する基材の略中央部に、果実落下防止用ネットと係合する係合孔を有する果実の鮮紅色出し反射体であることを第1の特徴とする。
【0009】
また、前記果実が、マンゴー等の熱帯果実であることを第2の特徴とする。
【0010】
そして、前記反射体は、前記果実の下部で前記果実落下防止用ネットと係合することをことを第3の特徴とする。
【0011】
さらに、前記反射体と前記果実落下防止用ネットとの係合は、前記果実の落下時に解除されることを第4の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る果実の鮮紅色出し反射体によれば、マンゴー等の果実の落下防止用ネットと係合する係合孔を有し、前記果実の下部で係合するため反射した光を確実にマンゴー等の果実に照射することができるという優れた効果を有する。
【0013】
また、マンゴー等の果実が完熟して落下する際に、前記果実が落下防止用ネット内で落下するため、前記落下防止用ネットと係合する前記反射体の係合孔部において前記果実の落下に伴う衝撃により拡張或いは裂け目が生じ、前記落下防止用ネットと前記反射体との係合が解除され反射体が地面に落下するため、前記落下した果実と反射体とが接触することがなく、また前記落下した果実に過剰な反射光が当たらず、しかも地面に落下した反射体は完熟したマンゴー等の果実の位置を示すマーカーとして利用できるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に示す実施例に基づいて説明するが、本発明が本実施例に限定されないことは言うまでもない。図1は本発明に係る果実の鮮紅色出し反射体の一実施例を示す平面図、図2は図1の側面図、図3は本発明に係る果実の鮮紅色出し反射体の使用状態を示す図である。図4は他の実施例を示す平面図である。
【実施例】
【0015】
図1、図2に示すように、本発明に係る果実の鮮紅色出し反射体1は、反射部2と基材3とから構成されており折り曲げが容易な矩形のシート状とされている。反射部2はアルミ箔等からなり、太陽光を効率よく反射できものが使用される。また基材3は紙、合成紙、プラスチック等孔加工、折加工がし易いものであれば良い。4、6は折目、5は係合孔、7は切れ目を示しており、折目4に従い反射部2の方向に基材3を折り、所定の角度で固定させ太陽光をさらに効率よく反射させることができる。また係合孔5の周囲に設けられた折目6、切れ目7によって係合穴の大きさが微調整され後述する果実落下防止用ネットと係合する。
【0016】
次に、図3により本発明に係る果実の鮮紅色出し反射体1の使用例について説明する。完熟期に近づいたマンゴー8には、合成樹脂性の果実落下防止用ネット9が取り付けられ、果実落下防止用ネット9の上部には金属フック11を介して紐12が取り付けられ、果樹の近傍に設けられた支持用の吊り具(図示せず)に連結される。果実落下防止用ネット9の下端部10は閉塞されており、マンゴー8の地面への落下を防止する。果実の鮮紅色出し反射体1は反射部2をマンゴーの果実8に対向するよう向けられ、前記係合孔5に前記果実落下防止用ネット9の下端部10が挿入され、マンゴー8の下部の果実落下防止用ネット9の所定位置で係合し保持される。この際前記折目6、切れ目7によって前記係合孔5の大きさが微調整され果実落下防止用ネット9との係合が容易になり取り付ける位置が自在に調整できる。さらに前記折目4に従って基材3を反射部2方向に折ることにより、マンゴー8に最適な反射光が供給できる角度に調整できる。
【0017】
完熟したマンゴー8は果梗13から切離れ、前記果実落下防止用ネット9内の下端部10方向に落下し、果実落下防止用ネット9で保持されるが、マンゴー8の落下に伴い前記果実落下防止用ネット9に係合して保持されていた果実の鮮紅色出し反射体1は、前記マンゴーの果実8の落下による衝撃によって前記係合孔5の大きさが急激に広がり、また場合により切れ目7が裂け前記果実落下防止用ネット9との係合が解除され地面に落下する。このため完熟して落下したマンゴー8が前記果実の鮮紅色出し反射体1と接触することもなく、また完熟して落下したマンゴーに過剰な光を当てることもなく、さらに地面に落下した果実の鮮紅色出し反射体1は、完熟したマンゴーの位置を示すマーカーとして利用ができることになる。
【0018】
図4は、本発明に係る果実の鮮紅色出し反射体の他の実施例を示しており、反射部102と基材103で構成され円形のシート状とされている。外周端から中心部に向かって所定の長さの切れ目107が4箇所形成され、切れ目107の端部同士を矩形に連接する折目104が形成されている。果実の鮮紅色出し反射体101の中央部には係合用孔105が形成され、係合用孔105の周囲には放射状に係合用切れ目106が形成されている。図4による果実の鮮紅色出し反射体101の使用方法は図3に示す使用例と同じであり、図1の果実の鮮紅色出し反射体1と同様の効果を奏する。
【0019】
以上、本発明による果実の鮮紅色出し反射体によれば、果実の下部で果実落下防止用ネットと係合するため反射した光を確実にマンゴー等の果実に照射することができる。しかも前記反射体と前記果落下防止用ネットとの係合は、前記果実の落下時に解除されるため落下した果実と反射体とが接触することがなく、また前記落下した果実に過剰な反射光が当たらず、しかも地面に落下した反射体は完熟したマンゴー等の果実の位置を示すマーカーとして利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る果実の鮮紅色出し反射体の一実施例を示す平面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】本発明に係る果実の鮮紅色出し反射体の使用状態を示す図である。
【図4】本発明に係る果実の鮮紅色出し反射体の他の実施例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0021】
1、101 果実の鮮紅色出し反射体
2、102 反射部
3、103 基材
4、6、104 折目
5、105 係合孔
7、107 切れ目
8 マンゴー
9 果実落下防止用ネット
10 下端部
11 金属フック
12 紐
13 果梗
106 係合用切れ目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも片面に反射部を有する基材の略中央部に、果実落下防止用ネットと係合する係合孔を有することを特徴とする果実の鮮紅色出し反射体。
【請求項2】
前記果実が、マンゴー等の熱帯果実である請求項1記載の果実の鮮紅色出し反射体。
【請求項3】
前記反射体は、前記果実の下部で前記果実落下防止用ネットと係合することを特徴とする請求項1又は2記載の果実の鮮紅色出し反射体。
【請求項4】
前記反射体と前記果実落下防止用ネットとの係合は、前記果実の落下時に解除されることを特徴とする請求項1乃至3記載の果実の鮮紅色出し反射体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−42658(P2006−42658A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−226696(P2004−226696)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(500379473)株式会社川越紙店 (1)
【Fターム(参考)】