説明

果実掛袋

【課題】果実の幼果期において余白部を可及的に短く、果実の成熟期において果実の肥大化に伴って余白部の長さを延長することができるようにする。
【解決手段】略長方形のシート体の一端に重ね部10を残すようにしてシート体を2つ折りした後、重ね部10をシート体の他端に重ね合わせ、その重ね部10と外袋3の下縁部8を接着して外袋3を形成する。重ね部10の上部は接着剤を塗布しない余白部15を形成し、この下部に接着部14(下部に強接着域14a、その上部に弱接着域14b)を形成する。幼果期に余白部15と隣接する弱接着域14bによって重ね部10を接着し、果実Aが生育するのに伴い、その膨張圧力によって余白部15となる重ね部10が外側に広がり、さらに果実Aが肥大化した際、その膨張圧力が弱接着域14bの点付け接着部17に加わって点付け接着部17が剥れ、非接着部16と余白部15とが連続し、外側に広がる領域が延長される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、桃、りんご、プラム等の果実に使用する果実掛袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、果実の生産に際し、果実の病害予防、防虫、生育促進、果実の表面の傷等を防ぐといった種々の目的のため、幼果期に果実に果実掛袋を被せることが行われている。
【0003】
この種の果実掛袋として、本願出願人は、特許文献1において、所定の光線透過率を有する紙からなる内袋と遮光性を有する外袋とを重ね合せて果実掛袋を構成し、外袋より露出している内袋の正面側及び背面側の開口上縁に果実の軸又は果樹の枝を挿入するための切欠き部を夫々設け、さらに内袋の周面に縦ひだを設けて内袋を伸長可能に設けると共に、外袋が略長方形のシート体の両端部を重ね合わせ、その重ね部の縦方向及び外袋の下縁部に沿って接着剤を塗布して貼り合わせることによって有底で上縁部のみを開口した袋状とし、かつ、前記重ね部の上部に接着剤を塗布しない余白部を形成した果実掛袋を提案している。
【0004】
【特許文献1】特許第2829945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記果実掛袋は、果実の幼果期において外袋で太陽光線を遮るので後の鮮やかな着色の妨げとなる葉緑素の形成を抑制し、成熟期に向かう段階で外袋を取り除いて(除袋)、透光性を有する内袋のみが果実に掛かった状態で果実の着色を促すものである。ところで、果実掛袋に内包する果実は、幼果期から成熟期に向かうに従って肥大化するが、前記果実掛袋においては、内袋の両側に縦ひだを形成し、かつ、外袋の重ね部の上部に接着剤を塗布しない余白部を形成することによって、果実の肥大化による膨張圧力によって、内袋の縦ひだ及び外袋の余白部が外側に押し広げられて内袋と外袋の開口径が大きくなり、果実を覆う外袋を除袋する際、外袋が果実の外周に添って張った状態とならず外袋の除袋作業が容易であり、かつ、果実の幼果期においては、外袋の糊代となる重ね部も重ね合った状態を維持できるから、太陽光線の入射による果実の着色不良等も一掃することができる。
【0006】
しかしながら、近年の果実の品種改良や消費者の大玉嗜好などによる栽培方法の変化や年々の天候の違いによって、果実の品種や個体差などによっては果実の縦方向の肥大に伴い余白部の下端(接着部の上端)が果実の最大肥大部分より上方に位置してしまうことがある。このように、余白部の下端が果実の最大肥大部分より上方に位置してしまった場合、果実の生育に伴う膨張圧力が接着部に加わり、余白部には果実の膨張圧力が加わらないことになるため、外袋が果実を包み込むように張った状態で果実に密着し、外袋を外側に広げるための余白部が機能しないことが起こり得る。この場合、外袋の除袋作業に際し、外袋の内縁が果実に沿って張った状態となるため、外袋を効果的に除袋できない。すなわち、特許文献1において余白部を設ける目的としては前述したように、果実の生育に伴う膨張圧力によって、余白部の重ね分を外側に押し広げることによって、片手で外袋を引っ張るだけで外袋を簡単に除袋することであるが、余白部の下端が果実の最大肥大部分より上方に位置してしまった場合には、余白部によって外袋が広がらないため、一方の手で果実を押え、他方の手で外袋の上部を掴んで数回にかけて破り取ることを繰り返すといった極めて効率の悪い作業を強いられる。
【0007】
このような問題は、余白部の下端が果実の最大肥大部分より上方に位置してしまった場合に起こり得るから、例えば、余白部の下端を下げて余白部の長さを長くすることも考えられるが、このように余白部の下端を下げてしまうと、その分、接着部の長さが短くなり、果実の幼果期において、余白部が捲れたり、余白部が離れるなどして、その隙間から太陽光が入射してしまい、葉緑素が形成されるので収穫期の鮮やかな着色の妨げとなることが懸念される。
【0008】
本発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであって、果実の幼果期において余白部を可及的に短く、果実の成熟期において果実の肥大化に伴って余白部の長さを延長することができる果実掛袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための請求項1の発明は、外袋と内袋と一体化した二重構造の果実掛袋を成形するとともに、前記外袋は略長方形のシート体の一端に重ね部を残すようにして前記シート体を2つ折りし、前記重ね部を前記シート体の他端に重ね合わせるようにして折り返し、その重ね部の縦方向及び外袋の下縁部に沿って接着剤を塗布して貼り合わせることによって有底で上縁部のみを開口した袋状とし、かつ、前記重ね部の上部に接着剤を塗布しない余白部を形成するとともに、前記重ね部の接着部を、下部の強接着域と、前記余白部と隣接する上部の弱接着域とで構成し、この弱接着域を前記内袋に内包する果実の生育による膨張圧力によって剥離可能としたことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、前記余白部と接着部分との構成比率を1:1.5〜1:3としたことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、前記接着部における弱接着域と強接着域との構成比率を1:1〜1:5としたことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、前記弱接着域が非接着部と点付け接着部とで構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、前記弱接着域が前記強接着域より接着剤の塗布面積が狭く形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明に係る果実掛袋は、内袋が果実の幼果を内包できる大きさの袋形状であるので、幼果期に果実に被袋させることによって果実の病害予防、防虫、生育促進、果実の表面の傷等を防ぐといった効果を発揮できる。外袋は、接着剤を塗布しない余白部と、強接着域及び弱接着域を有する。そして、弱接着域は余白部と隣接するように形成されている。これにより、果実が生育して内袋の内部で膨らむと接着剤を塗布しない余白部は果実の生育による膨張圧力によって開くとともに、たとえ外袋に内包する果実の最大肥大部が余白部の下端より下がった位置となった場合であっても、外袋の接着部を強接着域と弱接着域とで構成し、その弱接着域を余白部と隣接させて形成することにより、果実の生育による膨張圧力によって弱接着域が剥離し、その剥離部分が余白部と連続して余白部の領域を延長することができる。これにより、外袋の内縁が果実に沿って張った状態とならず、片手で外袋を引っ張るだけで外袋を簡単に除袋することができる。しかも、果実の幼果期においては、弱接着域によって重ね部が閉じた状態で接着されているから、余白部の捲れや余白部が開いて太陽光が入射することなく、外袋によって果実を確実に遮光することができるから、果実の育成段階において、着色の妨げとなる葉緑素の形成を抑制することができる。
【0015】
請求項2の発明に係る果実掛袋は、果実掛袋で育成する果実の種類などに応じて余白部と接着部分との構成比率を最適化できる。
【0016】
請求項3の果実掛袋は、果実掛袋で育成する果実の種類などに応じて接着部分における弱接着域と強接着域との構成比率を最適化できる。
【0017】
請求項4の果実掛袋は、弱接着域を非接着部と点付け接着部とで構成することにより、果実の生育による膨張圧力によって点付け接着部が剥離して非接着部と余白部とが連続し、余白部の領域が広がって外袋がさらに外側に広がるため、外袋の内縁が果実に沿って張った状態とならず、片手で外袋を引っ張るだけで外袋を簡単に除袋することができる。しかも、果実の幼果期においては、弱接着域によって重ね部が閉じた状態で接着されているから、余白部の捲れや余白部が開いて太陽光が入射することなく、外袋によって果実を確実に遮光することができるから、果実の育成段階において、着色の妨げとなる葉緑素の形成を抑制することができる。
【0018】
請求項5の果実掛袋は、弱接着域を強接着域より塗布面積が狭く形成することで弱接着域が強接着域より接着力が弱くなる。これにより、果実の生育による膨張圧力によって接着力が弱い弱接着域が剥離し、剥離した部分と余白部と連続し余白部の領域が広がるため、外袋の内縁が果実に沿って張った状態とならず、片手で外袋を引っ張るだけで外袋を簡単に除袋することができる。しかも、果実の幼果期においては、弱接着域によって重ね部が閉じた状態で接着されているから、余白部の捲れや余白部が開いて太陽光が入射することなく、外袋によって果実を確実に遮光することができるから、果実の育成段階において、着色の妨げとなる葉緑素の形成を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例の形態について説明する。
【0020】
果実掛袋1は内袋2と外袋3とを重ね合せてなり、前記内袋2の上部側は外袋3より上方に露出している。内袋2の上縁中央部には、果実Aの袋掛けの際、果樹の枝Bを挿入するためのV字形の切欠き部4が設けられている。また内袋2の両側部をそれぞれZ状に折り畳んで内袋2の両側部に縦ひだ5を形成するとともに、内袋2の両端部を重ね合わせて糊代面6を形成し、その糊代面6を接着剤で貼り合わせることによって内袋2の上下縁が開口している。このように、内袋2の両側部にZ状に折り畳んだ縦ひだ5を形成して内袋2の重ね部となる糊代面6を貼り合わせることよって内袋2の開口有効径を外袋3の開口径より実質上大きく形成している。また、内袋2の糊代面6には内袋2を固定するのに用いる細い針金7が封入されている。また、内袋2の下端には、切り裂き線13aを介して繋がっている接着片13が形成されている。
【0021】
前記外袋3は内袋2より縦幅を短く形成した略長方形のシート体の一端に重ね部10を残すようにして前記シート体を2つ折りし、前記重ね部10をシート体の他端に重ね合わせるようにして折り返し、その重ね部10と外袋3の下縁部8に接着剤を塗布して貼り合わせることより、外袋3は有底で上縁部のみを開口した袋状に製袋される。なお、外袋3の底縁両隅は、接着剤を塗布した下辺接着部8aを形成しない領域を形成することにより、排水開口部12を形成し、その排水開口部12から外袋3内に浸入する雨水を効果的に排出させる。また、外袋3の底縁中央には前記接着片13が外袋3の表裏紙に挟まれて外袋3を貼り合わせる前記下辺接着部8aによって接着固定されている。また、外袋3の両端部の重ね部10の接着部14は図1に示すように重ね部10の縦方向の下部に形成され、重ね部10の上部は接着剤を塗布しない余白部15を形成する。なお、本実施例では、外袋3の底縁両隅に排水開口部12を形成することから、重ね部10の下端部にも接着部14が無い若干の余白部12aを形成しているが、必ずしも重ね部10の下端部の余白部12aを形成する必要はなく、接着部14は重ね部10の下端部まで形成してもよい。また、重ね部10の上部の余白部15は、果実掛袋1に収納された果実Aの生育によって、その体積膨張に伴う圧力により重ね部10の分だけ外側に広がりを持たせる部分である。また、接着部14は、その下部を剥離しにくい強接着域14aと、この強接着域14aの上部に位置する弱接着域14bとで構成している。また、強接着域14aの上端は、図1に示すように、果実Aの最大径aに対応する部位より下方に位置するように形成される。
【0022】
前記接着部14は、強接着域14aと弱接着域14bとで構成されているが、その強接着域14aは接着剤を一定の幅で連続させて塗布した部分であり、弱接着域14bは接着剤を塗布しない非接着部16と点付け接着部17とで構成されている。このように強接着域14aの上部に非接着部16と点付け接着部17から成る弱接着域14bを形成し、かつ、その弱接着域14bを余白部15と隣接させて形成することにより、連続的に形成された強接着域14aに対して点付け接着部17の面積が極めて小さいことから、強接着域14aより弱接着域14bの接着力が弱くなる。このため、果実Aの生育による膨張圧力が点付け接着部17に加わると、点付け接着部17は果実Aの膨張圧力によって剥れる。このように、果実Aの膨張圧力によって点付け接着部17が剥れると、非接着部16と余白部15とが連続し、外側に広がる領域も広がる。ところで、強接着域14aの上端は果実Aの最大径aに対応する部位より下方に位置するように形成するが、果実Aの最大径aは、果実Aの種類や果実Aを育成する環境などによって異なることから、余白部15と接着部14との構成比率、接着部14における弱接着域14bと強接着域14aとの構成比を所定の範囲内で種々設定している。すなわち、余白部15と接着部14との構成比率を1:1.5〜1:3とし、また、接着部14における弱接着域14bと強接着域14aとの構成比を1:1〜1:5の範囲内で形成しており、具合的な寸法として、外袋3の縦幅wを105mm、接着部14全体の縦幅w1は50mm〜70mm、余白部15の縦幅w2が17mm〜38mm、弱接着域14bの縦幅w3が8mm〜35mm、強接着域14aの縦幅w4が25mm〜58mmとある程度の幅を持たせている。尚、前記内袋2は白色又は淡色のパラフィン紙もしくは耐水、撥水処理を施した紙により形成しており、適度の透光性を備え、一方、前記外袋3は適度の遮光性を備えている。また、外袋3の表面紙及び裏面紙のそれぞれ上部には内袋2と部分的に接着して外袋3と内袋2とを一体化する貼着部30が切裂き線31によって外袋3と分離可能に形成されている。
【0023】
以上のように構成される本発明の果実掛袋1の使用方法について説明する。図3に示すように、果実Aに果実掛袋1を被せて前記内袋2の切欠き部4に枝Bを挿入し、枝B上で内袋2の開口上縁を集束して針金7で緊縛することによって、袋掛け作業が終了する。このように、果実Aを果実掛袋1で覆うことにより、雨水による病害の抑止と、糖度上昇及び熟度の進展を促して、収穫期まで内袋2を掛けて果実Aを病害、害虫、害鳥及び散布農薬の汚染から保護することができる。なお、外袋3内に溜まる雨水は、外袋3の両側下端に設けた排水開口部12から外部に排水される。
【0024】
一定期間を経過すると、果実掛袋1内の果実Aは生育し、肥大するから、それに伴って内袋2は縦ひだ5が展開して径方向に広がる。尚、幼果期から成熟期に至る大半の期間を外袋3で遮光された状態となっている。この際外袋3はその横方向の長さが内袋2に比して短いから、果実Aの肥大化により育成途中の果実Aによって内側から押し広げられる。この時、外袋3は、接着部14が形成された外袋3の下部は、接着状態を保ったままであるが、接着されていない余白部15は、果実掛袋1に収納された果実Aの生育による体積膨張に伴う圧力によって外側に広がり、外袋3を構成するシート体の重ね部10の分だけ重なり合った状態を維持しながら外側に広がるから、太陽光線が入射されることなく押し広げられて径大となる。さらに、果実Aが育成して肥大化すると、果実Aの体積膨張に伴う圧力が強接着部14aの上部に形成した非接着部16と点付け接着部17とから成る弱接着域14bに加わることになり、強接着域14aより接着力の弱い弱接着域14bが果実Aの圧力によって剥れる。これにより、非接着部16と余白部15が連続して、外袋3の広がり代が増えることから、外袋3の内縁が果実に沿って張った状態とならず、外袋3を除袋する際、外袋3を下方に引っ張るだけで外袋3と内袋2を部分的に接着する貼着部30が切裂き線31から切り離されるとともに接着片13が切裂き線13aから切り離され、果実Aを内袋2で包んだ状態で外袋3のみを簡単に除袋することができる。こうして、外袋3を除袋することで、果実Aに着色等を促すことができる。
【0025】
一方、果実Aの幼果期から成熟期に至る期間は、点付け接着部17によって外袋3の重ね部10が貼り合わされているから、余白部15は可及的に短く形成することができ、風などの影響で余白部15が捲れたり、余白部15が開くなどして外袋3の内側に入射する太陽光線を確実に遮光することが可能となる。
【0026】
以上のように、外袋3を接着剤で貼り合わせるための重ね部10の上端部に位置して接着剤が塗布しない余白部15を形成するとともに、余白部15に隣接して非接着部16と点付け接着部17とで剥離し易い弱接着域14bを形成し、その強接着域14aの上端を果実Aの最大径aに対応する部位より下方に位置するように形成することにより、果実Aの生育による膨張圧力によって弱接着域14bの点付け接着部17が剥離し、非接着部16と余白部15とが連続して余白部15の領域を延長することができる。これにより、外袋3の内縁が果実に沿って張った状態とならず、片手で外袋3を引っ張るだけで外袋3を簡単に除袋することができる。しかも、果実の幼果期においては、弱接着域14bによって重ね部10が閉じた状態で接着されているから、余白部15の捲れや余白部15が開いて太陽光が入射することなく、外袋3によって果実を確実に遮光することができ、果実Aの育成段階において、着色の妨げとなる葉緑素の形成を抑制することができる。
【0027】
しかも、余白部15は重ね部10に接着剤を設けないことにより形成できるので、簡単に形成することができるとともに、弱接着域14bも強接着域14aと接着剤を塗らない非接着部16を隔てて点付け接着部17を形成するだけなので簡単に形成することができる。
【0028】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、前記実施例においては、非接着部16と点付け接着部17それぞれ一つずつ形成した例を示したが、図5に示す本発明の実施例2のように、弱接着域14bを複数の非接着部16と点付け接着部17を交互に配置して構成してもよい。さらに、図6に示す本発明の実施例3のように、例えば、弱接着域14bが強接着域14aより細い幅狭部21によって構成され、弱接着域14bの面積を強接着域14aより狭く形成することによって弱接着域14bの接着力を強接着域14aより弱める構造であってもよい。また、接着力の異なる接着剤を塗布し、強い接着力の接着剤で強接着域14aを形成し、弱い接着力の接着剤で弱接着域14bを形成するようにしてもよく、要は余白部15と連続する接着部14の上部に強接着域14aより接着力が弱い弱接着域14bを形成して果実Aの体積膨張に伴う圧力によって弱接着域14bが剥れ易い構造とすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例1を示す果実掛袋の正面図である。
【図2】同上、果実掛袋の分解斜視図である。
【図3】同上、果実掛袋を果実に被せた状態を示す斜視図である。
【図4】同上、生育した果実から外袋を除袋する状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施例2を示す外袋の正面図である。
【図6】本発明の実施例3を示す外袋の正面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 果実掛袋
2 内袋
3 外袋
10 重ね部
14 接着部
14a 強接着域
14b 弱接着域
15 余白部
16 非接着部
17 点付け接着部
21 幅狭部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外袋と内袋と一体化した二重構造の果実掛袋を成形するとともに、前記外袋は略長方形のシート体の一端に重ね部を残すようにして前記シート体を2つ折りし、前記重ね部を前記シート体の他端に重ね合わせるようにして折り返し、その重ね部の縦方向及び外袋の下縁部に沿って接着剤を塗布して貼り合わせることによって有底で上縁部のみを開口した袋状とし、かつ、前記重ね部の上部に接着剤を塗布しない余白部を形成するとともに、前記重ね部の接着部を、下部の強接着域と、前記余白部と隣接する上部の弱接着域とで構成し、この弱接着域を前記内袋に内包する果実の生育による膨張圧力によって剥離可能としたことを特徴とする果実掛袋。
【請求項2】
前記余白部と接着部分との構成比率を1:1.5〜1:3としたことを特徴とする請求項1記載の果実掛袋。
【請求項3】
前記接着部における弱接着域と強接着域との構成比率を1:1〜1:5としたことを特徴とする請求項1記載の果実掛袋。
【請求項4】
前記弱接着域が非接着部と点付け接着部とで構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の果実掛袋。
【請求項5】
前記弱接着域が前記強接着域より接着剤の塗布面積が狭く形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の果実掛袋。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−213403(P2009−213403A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−60818(P2008−60818)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(594099820)柴田屋加工紙株式会社 (4)
【Fターム(参考)】