説明

果樹園におけるコドリンガ(蛾)を管理するための薬物

本発明は、植物組織抽出物にβ−グルコシダーゼを作用させることによりその非揮発性グリコシドから放出される揮発性の昆虫駆除及び/又は誘引物質を同定する方法を提供する。この方法により、ゲラニオールはコドリンガ駆除物質として、サリチル酸メチル、(2R,5R)−テアスピラン、(2S,5R)−テアスピラン及び程度は低いがリナロール及びベンジルアルコールはコドリンガ誘引物質として同定された。本発明は、該駆除物質及び誘引物質を含む組成物及び果樹園、好ましくはリンゴ果樹園のコドリンガを管理する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昆虫駆除物質及び誘引物質を同定するための方法、及び果樹園におけるコドリンガの統合的管理のために特定の昆虫駆除物質及び誘引物質を使用することに関係する。
【背景技術】
【0002】
コドリンガの幼虫は極めて破壊的な害虫である。コドリンガの成虫は羽の幅が1/2から3/4インチで、小さく、イエバエほどの大きさである。その灰色のまだらの外観は樹皮の色に溶け込み、発見を困難にしている。成虫を捕まえようとする場合には、コドリンガは輝く赤褐色の印のついた黒褐色のその羽の先端により、果樹に付随するほかの蛾と区別することが出来る。卵は、果実、ナッツ又は近くの葉の上に1個ずつ産み付けられる。西洋ナシでは、葉の塊の付け根にも卵は産み付けられることがある。リンゴと西洋ナシでは、幼虫は果実の中に侵入し、芯まで穴を開け、果実の中に褐色の穴を残し、その中には糞粒(幼虫の糞)が詰まっている。プラム及び時には他の核果において、コドリンガは果実の中を掘り進み、深い穴を開ける。
【0003】
コドリンガ(CM)Cydia pomonella(L.)は、世界中のリンゴ栽培にとって経済的に最も重要な虫である。それは、リンゴ並びに一部のほかの植物と生態学上密接に関係している(Shel’deshova,1967)。Bengtssonらは、風洞中において緑の果実が付いている枝と付いていないリンゴの枝に対するコドリンガ成虫の行動反応を観察し、リンゴの緑の果実及び葉の両者が単独でコドリンガの雌を誘引することを発見した(Bengtsson et al.,2001)。この関係は宿主植物から放出される一部の揮発性誘引物質により主に仲介されることが知られている(Bengtsson et al.,2001;Sutherland and Hutchins,1972;Yan et al.,1999;Knight and Light,2001;Light et al.,2001)。(E,E)−α−ファルネセン(Sutherland and Hutchins,1972;Wearing and Hutchins,1973)、リナロール及びβ−カリオフィレン(Bengtsson et al.,2001)は、コドリンガ成虫及び新生幼虫の誘引物質として同定されている(Knight and Light,2001;Light et al.,2001)。しかし、これらの化合物の一部は多様な非宿主植物の揮発性成分(volatile profiles)の中にも存在する。したがって、宿主植物の揮発物の組成を変えることによりコドリンガ虫との関係が変わる可能性があると考えるのが合理的である。
【0004】
多くの植物が顕著な量のグリコシド結合した揮発物を含んでいることは良く知られている。通常、植物の葉は最も多様なアグリコンを示し、次いで花、幹及び根である(Stahl−Biskup et al.,1993)。りんごの葉及び果実の中の一部のグリコシド結合した揮発性化合物が単離され、同定されている(Schwab and Schreier,1988;Stingl et al.,2002)。さらに、外因性のβ−グルコシダーゼの適用により、フルーツジュース及びワインの香りの増強に成功したことが示されている(Belancic et al.,2003;Shoseyov et al.,1990;Yanai and Sato,1999)。
【0005】
コドリンガは、特にその集団を1シーズンか2シーズンにわたって形成させてしまった場合には、処理するのが極めて困難である。集団が大きく、そして多数の寄生した木が近くにある場合には、非常に低いレベルに集団を減少させるために、殺虫剤を適用することが必要であろう。しかし、殺虫剤は使用の時期を正確にはかるのが非常に難しく、使用できる高度に有効な物質は天敵及びミツバチに対して毒である。したがって非化学的方法が好ましい。生産果樹園におけるコドリンガの管理は、木及び果実の定期的検査(偵察活動と呼ばれる)、フェロモントラップ、天候監視及び度日モデル(degree-day models)の使用を含めて、非化学的手段に依存することがある。果樹園におけるコドリンガに対して有用であり得る天然の非毒性化合物を発見することは非常に好ましいことであろう。
【0006】
バラの油、パルマローザ、シトロネラ、レモングラス油などのような多数のエッセンシャルオイルの中に認められるオレフィン性テルペンアルコールであるゲラニオールは、The Merck Index(13th Edition,2001,#4415)に昆虫誘引物質として記述されている。しかし、いくつかの出版物は、ゲラニオールを揮発性昆虫駆除物質として記述している。
【0007】
US 4,774,081は、ゲラニオールをゴキブリ及びその他の這い回る昆虫に対する接触昆虫駆除物質の例として開示している。Chem.Abstracts,Vol.105:204742qは、月桂樹(Laurus nobilis L.)の葉の化合物は、Tribolium castaneum(Herbst)に対する有用な駆除物質であり、そしてこの化合物は、50ppmで存在する場合に、特にゲラニオールを含んでいることを開示している。Chem.Abstracts,Vol.113:110945w(JP02/67202の抄録)は、特に、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール及びネロールが、多孔性の無機マイクロカプセルに取り込んだ場合に、ゴキブリ、ナメクジ、アリなどに対する駆除物質であることを開示している。
【0008】
US 5,227,406、US 5,346,922、US 5,648,398及びUS 5,621,013は、ライム病を運ぶダニ、並びにサシバエ(biting flies)及びサシガメ(シャーガスムシ)を駆除するためのヒト及び動物用の昆虫駆除剤であって、輸送媒体の中に入れられた活性物質として、テルピネオール、シトロネラ、及びロジノールエクストラ及びゲラニオールの一つ又は両者を含む、昆虫駆除剤を開示している。この活性物質は小さなパーセンテージで使用され、例えば、0.01%の少量、好ましくは0.05%〜0.08%、好ましくは1%未満で、それでも特にライム病を運ぶダニに対して相乗的に有効である。
【0009】
US 5,633,236は、3次元空間を、限定された時間、有効に駆除する濃度及び量の、本質的に50〜100%のゲラニオール又はゲラニオール前駆体(例えば、ゲラニルオキシ−1,3,2−ジオキサボリナン、ジゲラニルオキシジメチルシラン及びゲラニルグリコシド、例えば、ゲラニル 6−O−(アルファ−L−ラムノピラノシル)−ベータ−D−グルコピラノシド)と、(組成物が100%ゲラニオールでない場合に)シトロネロール及びネロールからなる群から選択される化合物である組成物の残余とからなるゲラニオール又はゲラニオール前駆体を含む組成物に暴露させるステップから本質的になる、Musca domestica L.(双翅目:イエバエ科)、Aedes aegypti,Culex nigripalpus,Aedes atlanticus,Culex salinarius,Aedes vexans,Culex spp.,Simulium spp.,Psoroferia ferox,Aedes infirmatus,Drosophila melanogaster,Coccinellidae,Anopheles crucians,Psoroferia columbiae,Culicoides spp.及びAedes spp.を駆除する方法を記述している。上記の駆除物質は、そのままでも又はポリマーに含まれていても有用であり、そのポリマーは、大きな比率でポリ(イプシロンカプロラクトン)ホモポリマーを含む組成物のような生分解性ポリマーであり得ることが記述されている。US 5,401,500、US 6,143,288、US 5,635,173及びUS 5,665,781は、本質的に50〜100%のゲラニオールとシトロネロール及びネロールからなる群から選択される組成物の残余とからなるゲラニオール含有組成物に暴露させることを含む、Musca domestica L.(双翅目:イエバエ科)及び/又はAedes aegyptaeを駆除する方法を記述している。
【0010】
US 5,753,686は、昆虫種:(i)Haematobia irritans(Linnaeus)(一般的にはサシバエ(horn fly)として知られている);及び(ii)Solenopsis invicta Buren(一般的には“red imported fire ant”(ヒアリの一種)として知られている)の少なくとも一つを、該昆虫種の少なくとも一つが生息している表面又はかたまり(volume)から駆除する方法であって、当該表面又はかたまりに、“red imported fire ant”及び/又はノサシバエを駆除する量及び濃度の(i)0から約20重量%までのネロール;(ii)約20から約40重量%までのシトロネロール;及び(iii)約50から約70重量%までのゲラニオールを含み、該特許の図面に記載されている特定のGLCプロフィールと明細書に記載されている屈折率及び密度とに従って規定されているゲラニオール含有混合物を適用するステップからなる、駆除法を記述している。
【0011】
ゲラニオールを含有する製品は、昆虫駆除剤として使用するために、バンド、濡れナプキン及びポンプ式スプレー容器の形態で市販品を入手することが出来る。液体を衣服や皮膚に直接スプレーすることによりゲラニオールの蒸気が保護バリアーを形成し、血液を吸う昆虫が刺すのを阻止する。これらの製品は、カ、ノミ、ダニ、クロバエ、ブヨ、ツツガムシ、ヌカカなど多種に対して有効であることが立証されている。
【0012】
本発明者の知る限りでは、ゲラニオールはコドリンガに対する駆除物質として文献中に記述されていない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の要約
一態様において、本発明は、植物組織抽出物に対するβ−グルコシダーゼの作用により非揮発性グルコシドから放出される揮発性の昆虫駆除物質及び/又は誘引物質を同定する方法に関係する。
【0014】
リンゴ葉抽出物にこの方法を適用することにより、ゲラニオールはコドリンガ駆除物質として同定され、そしてサリチル酸メチル、(2R,5R)−及び(2S,5R)−アスピラン異性体、リナロール及びベンジルアルコールはコドリンガの誘引物質として同定された。
【0015】
したがって、別の態様において、本発明は、ゲラニオールを含むコドリンガ駆除剤として使用するための組成物、並びにこのゲラニオール駆除組成物により果樹園を処理することにより果樹園のコドリンガを駆除する方法に関係する。
【0016】
さらに別の態様において、本発明は、サリチル酸メチル、アスピラン異性体、リナロール、ベンジルアルコール、又はそれらの組合せを含む、コドリンガの誘引剤として使用するための組成物、並びにこの誘引組成物により果樹園を処理することにより果樹園のコドリンガを誘引する方法に関係する。
【0017】
また別の態様において、本発明は、当該ゲラニオール駆除組成物及び誘引組成物の両者による果樹園の処理により果樹園のコドリンガを統合的に管理する方法に関係する。
【0018】
発明の詳細な説明
一態様において、本発明は、植物組織抽出物に対するβ−グルコシダーゼの作用により非揮発性グルコシドから放出される揮発性の昆虫駆除物質及び/又は誘引物質を同定する方法であって、
(i)植物組織をホモジナイズし、この植物組織ホモジネートに抽出緩衝液を作用させるステップと;
(ii)植物抽出物をβ−グルコシダーゼ又はβ−グルコシダーゼ阻害物質で処理するステップと;
(iii)β−グルコシダーゼ阻害物質で処理した抽出物に比較して、β−グルコシダーゼで処理した抽出物においてレベルが増加した、ステップ(ii)において放出された特定の揮発性物質をGC−MSにより同定するステップと;
(iv)ステップ(iii)において同定された揮発性物質のそれぞれについて昆虫の行動に対する影響を検査し、
こうして、試験した昆虫のそれぞれについて揮発性物質が駆除物質であるか又は誘引物質であるかを同定するステップとを含む方法に関係する。
【0019】
本発明の方法において、いずれのβ−グルコシダーゼも使用することが出来るが、好ましくは、組換えβ−グルコシダーゼであり、またいずれのβ−グルコシダーゼ阻害物質も使用することが出来、例えば、グルコイミダゾールがあるが、これに限定されるものではない。
【0020】
本願においては、リンゴ(Malus domestica,cv.Anna)の葉に存在する揮発物質のグリコシドを加水分解するために、Pichia pastorisにおいて生産された組換えAspergillus niger β−グルコシダーゼ(以後BGL1)を使用した。BGL1で処理した葉抽出物においてグルコイミダゾールで処理した葉抽出物より高いレベルにある、酵素的に放出された揮発性化合物の効果は、コドリンガ成虫の行動で評価された。
【0021】
本発明では、リンゴ葉抽出物(cv.Anna)から放出されたグリコシド結合した揮発物質を、SPME−GC−MSにより分析し、そしてコドリンガ(CM)成虫の行動に対するその効果をケージバイオアッセイにおいて評価した。1−オクタノール、リナロール、ゲラニオール、ベンジルアルコール、サリチル酸メチル、(2R,5R)−テアスピラン及び(2S,5R)−テアスピランのレベルは、グルコイミダゾールを含有する抽出物に比較して、A.nigerのβ−グルコシダーゼ(BGL1)を含有する葉抽出物において有意に増加した。個々の化合物のCM成虫誘因能力は、サリチル酸メチル及び二つのテアスピランの異性体の混合物、次いでリナロール及びベンジルアルコールの順に弱くなることが認められた。ゲラニオールはCM成虫に対して駆除物質であることが認められた。個々の揮発物質のいずれかに又はこれらの誘引物質の混合物にゲラニオール(39.4ng ml−1)を加えることにより、その誘引能力は失われた。われわれのデータは、リンゴ果樹園におけるCMの統合的管理のために、駆除剤としてゲラニオールを適用し、そして誘引剤としてサリチル酸メチル又はテアスピランを適用する可能性を示している。
【0022】
本発明の一部の実験の目的は、幅広い特異性のA.niger BGL1によるリンゴ葉中の植物揮発性物質を遊離する能力の測定、及びこの放出された揮発性物質とリンゴにとって最も重要な虫であるコドリンガの間の相互作用の可能性を測定することであった。
【0023】
こうして、本発明により、ゲラニオールがコドリンガに対する駆除物質であることが発見された。
【0024】
したがって、本発明は、ゲラニオールを含むコドリンガ駆除剤として使用するための組成物に関係する。
【0025】
この組成物は、天然又は合成のゲラニオールのみを含有することができ、又は他の成分、例えば、ネロール及びシトロネロールを含むことができ、好ましくは約50から約70重量%のゲラニオール、0から約20重量%までのネロール、及び約20から約40重量%までのシトロネロールを含むことができる。
【0026】
本発明により、サリチル酸メチル、(2R,5R)及び(2S,5R)テアスピラン異性体、リナロール、及びベンジルアルコールはコドリンガの誘引物質であることがさらに発見された。
【0027】
したがって、本発明はさらに、サリチル酸メチル、テアスピラン異性体、リナロール、ベンジルアルコール及びそれらの組合せからなる群から選択される物質を含む、コドリンガの誘引剤として使用するための組成物に関係する。これらの誘引物質は、単独で又は組み合わせて、急性毒物及び/又は捕集装置への誘導促進剤として有用である。好ましい態様において、誘引物質はサリチル酸メチル、(2R,5R)テアスピラン、(2S,5R)テアスピラン又はそれらの組合せである。
【0028】
本明細書で定義した揮発性駆除剤及び誘引剤は、処理した基質の急速な蒸発及び/又は吸収のために比較的短期間しか防御できない欠点がある。これらの二つの因子、吸収及び蒸発は頻回の適用を必要とし、それは面倒であり、時間の浪費である。本発明の揮発性昆虫駆除剤及び誘引剤の残留活性を延長するために、この分野で知られている種々の材料を使用することができ、それらの全てが本発明に包含される。
【0029】
本明細書に定義したゲラニオール又はコドリンガ誘引物質を含む組成物は、天然又は合成の適するポリマーと組み合わせることができ、このポリマーは、生分解性であってもなくてもよい。このポリマーは、セルロース誘導体であってもよく、非限定的に、セルロースエーテル、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース;セルロースエステル、例えば、アセチルセルロースを含む。このポリマーはまた、コーンスターチで担持され、コーティングされた微細ビーズ(beadlets)を作るために、ゼラチン及び他の材料に基づくコーティング材料であってもよい。また、このポリマーは、高密度ポリエチレンまたは低密度ポリエチレン、または生分解性ポリマー、例えば生分解性熱可塑性ポリウレタン、主鎖にエステル結合を持つ生分解性エチレンポリマー、及び本明細書に参照により取り入れたU.S.Pat.Nos.4,496,467;4,469,613及び4,548,764に開示されているようなポリ(イプシロン−カプロラクトン)ホモポリマーであってもよい。
【0030】
本発明の組成物はスプレー可能なものでもよく、その場合には水性希釈剤も含み、或いは濃縮することもでき、その場合にはスプレーすることができる組成物を提供するために、水で希釈、懸濁または溶解することが必要である。
【0031】
本発明の好ましい一態様において、本発明の組成物は、ゲラニオールまたは1以上の本発明の誘引物質を含有するマイクロカプセルを含む。このマイクロカプセルは、ゲラニオールまたは誘引物質の除放を含むいくつかの利点を提供する。さらに、このマイクロカプセルは非常に小さいので、スプレーノズルを詰まらせずにスプレーできる組成物に使用するのに適しているであろう。さらに、ゲラニオールまたは誘引物質は、例えば、液滴の形で植物の茎葉(例えば、葉またはその他の光合成器官)または樹皮の上に「接着し」、そして効果的に保持されるであろう。
【0032】
本発明のその他の態様において、ゲラニオール又は誘引物質の組成物は、ゆっくり、そして制御しながら、それを放出することができる顆粒の中にも取り込むことができる。上述のマイクロカプセルのように、顆粒はマトリックスの中に存在し、そして液滴又は液滴様に単位の形態で散布される。顆粒は、当業者に良く知られているような小さな粒状の無機担体及び/又は有機ポリマーで構成することができる。
【0033】
また、本発明は、コドリンガを駆除するための方法であって、該コドリンガの被害を受けたか、又は被害を受けることが切迫している環境を、ゲラニオールを含むコドリンガ駆除組成物で処理することを含む方法を提供する。
【0034】
本発明はさらに、限定された期間内に、コドリンガが生息する果樹園において、果樹園をゲラニオール駆除組成物で処理することを含むコドリンガを駆除する方法に関係する。
【0035】
その他の態様において、本発明は、サリチル酸メチル、テアスピラン異性体、リナロール、ベンジルアルコール及びそれらの組合せからなる群から選択される誘引物質で果樹園を処理することを含む果樹園においてコドリンガを誘引する方法に関係する。
【0036】
一態様において、本発明は、リンゴ果樹園のコドリンガを昆虫の罠に誘引する方法であって、該罠を取り巻く環境を、ポリマーと、サリチル酸メチル、テアスピラン異性体、リナロール、ベンジルアルコール及びそれらの組合せからなる群から選択される誘引物質の該ポリマーの少なくとも1重量%との混合物からなるポリマーを含有する昆虫誘引剤に暴露するステップを含む方法を提供する。
【0037】
さらに、本発明は、コドリンガが生息しうる果樹園において一定時間コドリンガを統合的に管理する方法であって、果樹園を、ゲラニオール駆除組成物及び、サリチル酸メチル、テアスピラン異性体、リナロール、ベンジルアルコール及びそれらの組合せからなる群から選択されるコドリンガ誘引物質を含む組成物で処理することを含む方法に関係する。
【0038】
本発明のゲラニオール駆除物質組成物及び誘引物質組成物で処理することができる果樹園は、コドリンガ害虫に攻撃される農園であり、リンゴ、西洋ナシ、マルメロ、クルミ、サンザシ及び野生リンゴの果樹園を含む。最も好ましい一態様において、本発明の方法は、リンゴ果樹園に適用され、そして果実のなるシーズンの間、木にスプレーする。
【0039】
次に、以下の非限定的実施例により、本発明を説明する。
【実施例】
【0040】
材料と方法
(i)昆虫−ペトリ皿中で、CM Cydia pomonella L.の卵を室温で孵化させた。幼虫に人工餌(Manduca Premix−Heliothis Premix,Stonefly Inc.,Bryan,TX)を与え、五齢幼虫まで25±0.5℃、相対湿度60±1%及び照明サイクル16:8時間(L:D)に維持し、幼虫を皺を寄せた紙片(2cm)に移した。発生したら、性と齢(2日以内)の混ざった成虫をケージバイオアッセイに使用した。
【0041】
(ii)リンゴ葉抽出物の処理−2004年6月、イスラエル、Rehovotの郊外にある生産農園から葉と果実の付いたリンゴ(cv.Anna)の枝を切り取った。葉を枝から切り取り、再蒸留水(DDW)で洗い、水を濾紙で乾かした。乾いた葉を液体窒素中でホモジナイズした。50mMクエン酸緩衝液中に10mM EDTA及び4mM DDTを含む3倍重量の氷冷抽出緩衝液、pH4.3を、葉のホモジネート(処理あたり4〜5g)に加えた。次いで混合物を1時間4℃で攪拌し、16,000gで5分間遠心分離した。上清(処理あたり10ml)を採取した。1回の処理において、P.pastoris(Dan et al.,2000)中で生産された組換えA.niger BGL1の1単位を加え、そして溶液を37℃に4時間保った。別の処理において、内因性のβ−グルコシダーゼ活性を遮断するために、抽出緩衝液を加えた直後に、葉ホモジネートに2μMグルコイミダゾール(β−グルコシダーゼ阻害物質)を加えた。定量的β−グルコシダーゼ活性は、Shoseyov et al(1990)に従い、基質としてp−ニトロフェニル−β−D−グルコピラノシド(pNPG)を使用してアッセイした。
【0042】
(iii)揮発性物質の収集及びGC−MS(ガスクロマトグラフィー(GC)及びマススペクトロメトリー(MS))分析−葉抽出物及びフルーツジュースの混合物から放出されたヘッドスペース揮発物質(headspace volatiles)を、100μmポリジメチルシロキサン(PDMS)でコーティングした固相ミクロ抽出(SPME)線維で採取した。この線維をヘッドスペース揮発物質に30分間暴露した。SPMEの間、バイアルの中の葉抽出物の温度は攪拌せずに60℃であった。SPME線維に吸着された揮発性物質は、30m、0.25mmID DB−5キャピラリーカラム(J&W,Folson,CA)を装着したVarian−3 GC−MSシステムの注入口で3分間脱着された。サンプリング及び脱着時間は、Varian 8200オートサンプラー(Varian,Palo Alto,CA)で正確に管理された。内部標準として、3−オクタノール(0.1ppm)を各検体に加えた。それぞれの検体を独立して3回分析した。GC−MSパラメーターはShalit et al(2003)に従ってセットした。インジェクター温度は、スプリットレスインジェクションの設定である250℃であった。カラムは1分間50℃にセットし、次いで温度を4℃ min−1の速度で200℃へ上昇させた。電子エネルギー70evで、45から450マス対電荷比の質量範囲を記録した。
【0043】
大部分の揮発性化合物は、Wileyマススペクトルライブラリー(McLafferty,1994)及び文献データ(Adams,1995)により補足した基準化合物のマススペクトル及び保持データと比較することにより同定した。揮発性物質の量は、内部標準に比較して濃度を算出して定量した。揮発性物質のピーク面積は、内部標準のピーク面積により正規化した。
【0044】
(iv)化合物−大部分の合成標品はSigma/Aldrich(St.Louis,MO)から購入した。純度の範囲は98から99.5%であった。(2R,5R)−テアスピラン及び(2S,5R)−テアスピランの混合物はFluka(Buchs SG,Switzerland)から購入した。
【0045】
(v)ケージバイオアッセイ−罠試験は、Zhu et al(2003)の方法に基づいて、実験室の室温(23℃±3℃)においてスクリーンケージ(96×68×45cm)中で行った。性と齢(さなぎから出て2日後)の混合したコドリンガ成虫60匹を、種々の処理をした罠を有するケージに入れた。罠は、中央に穴(直径5mm)の空いた白い紙のふたで覆った100−mlビーカーで作られていた。Whatman濾紙細片(長さ10cm)を試験物質投与に使用した。葉抽出物に組換えBGL1を加えた影響を試験するために、4つの罠を作り同じケージに入れた。第1の罠には、組換えBGL1を加えた10mlの葉抽出物を入れた。第2の罠には、グルコイミダゾールを加えた葉抽出物を同量入れた。第3の罠には葉抽出物のみを、第4の罠には水を入れた。昆虫をケージに入れてから12時間後に、罠に捕らえられたかあるいは罠の周囲にいる昆虫を数えた。罠の周囲の昆虫は次のように定義した:スクリーンケージの空間を4等分した。罠をそれぞれ、各部分の中央においた。罠の中にいる昆虫を除いて、それぞれの特定の区間に存在する昆虫の数をこの実験で得た。合成化合物の誘引能力を試験するために、BGL1で処理した葉抽出物中にSPME−GC−MS分析により測定された濃度で、最初にエタノール中に溶解された個別の化合物で罠は作られた。エタノールの最終濃度は0.01%であった。それぞれの罠は、0.01%エタノールを含む対照水罠のみとともにケージに維持された。実験は、早朝、日の出前の活動時期を含むように、終夜(9pm〜9am)行われた。各実験は、予備的実験においてコドリンガの行動に作用を示さなかった対照1−オクタノールを除いて、5回反復した。この実験は3回反復した。罠の位置効果の可能性を除去するために、反復実施において罠を無作為に配置した。昆虫フェロモンの複雑な関与のために、捕捉された昆虫の性比の試験は行わなかった。
【0046】
実施例1.コドリンガ成虫に対するリンゴ葉抽出物の誘引/忌避に対するβ−グルコシダーゼ活性の影響
基質としてp−ニトロフェニル β−D−グルコピラノシド(pNPG)を使用する定量的β−グルコシダーゼ活性アッセイにより、リンゴ葉抽出物中における内因性β−グルコシダーゼの残留活性(0.24単位 g−1新鮮重量 min−1)が確認された。グルコイミダゾール(Heightman and Vasella,1999)での処理により、葉抽出物中のβ−グルコシダーゼ活性は検出できないレベルであった。
【0047】
リンゴ葉抽出物及び2μMグルコイミダゾールを入れた罠は、葉抽出物、BGL1処理葉抽出物又は水を入れた罠よりも有意に多い成虫コドリンガを罠の中に捕捉した。さらに、葉プラス阻害物質の罠の周囲には、他の罠のいずれよりも有意に多くの昆虫が存在した(図1)。これは、β−グルコシダーゼ作用により放出されるアグリコンはコドリンガ昆虫に対して駆除作用を持つことを示す結果とよく一致する。さらに、グルコイミダゾールによるβ−グルコシダーゼ活性の完全な阻害及びこのβ−グルコシダーゼ阻害物質により処理された葉抽出物の有意な誘引は、これらのグリコシド及びβ−グルコシダーゼが無傷の葉の中では異なるコンパートメントに存在していることを示している。
【0048】
宿主植物の香りに対する植食性昆虫の誘引又は指向性反応は、植物が傷つくことにより促進又は増強される可能性がある。他のコドリンガ幼虫が寄生したリンゴの果実に対してコドリンガの幼虫及び成虫が強く反応することが報告されている(Landolt et al.,2000;Reed and Landolt,2002)。この試験において、われわれは、グルコイミダゾールとともに砕いたリンゴの葉はコドリンガ成虫に対する誘引能力を保持していることを示した。
【0049】
実施例2.BGL1又はβ−グルコシダーゼ阻害物質で処理したリンゴ葉抽出物のGC−MS分析
BGL1又はβ−グルコシダーゼ阻害物質で処理した、又は無処理の葉抽出物のヘッドスペース揮発性物質をSPME線維で採取し、GC−MSにより分析した。検出された揮発性物質の同定及び定量は、マススペクトル及び保持指数を基準合成標品と比較することにより行った。1−オクタノール(CV、変動係数、32.6%)、リナロール(28.6%)、ゲラニオール(22.4%)、ベンジルアルコール(32.1%)、サリチル酸メチル(41.9%)、(2R,5R)−テアスピラン(38.7%)及び(2S、5R)−テアスピラン(32.4%)は、β−グルコシダーゼ阻害物質で処理した葉抽出物に比較してBGL1で処理した葉抽出物において有意に増加し(図2)、これらの化合物は主にグルコシドとしてリンゴ葉の中に存在していることを示した。
【0050】
A.niger BGL1は、外因性β−グルコシダーゼ又はβ−グルコシダーゼ阻害物質が存在しない葉抽出物に比較して、葉抽出物から有意に多くのアグリコンを放出した。これは、A.niger BGL1及びリンゴのβ−グルコシダーゼの間の基質特異性の相違か、又は単に反応バイアルにおけるA.niger BGL1の高い活性を反映している可能性がある。
【0051】
同定された揮発性物質の大部分は、多くの植物種において共通のアグリコンと考えられる(Stahl−Biskup et al.,1993)。リンゴのアグリコンに関するデータは非常に限られている。C13−ノルイプレノイドのかなりの量は、リンゴの果実と葉の中に芳香族化合物とグリコシド結合をして存在していることが認められている(Schwab and Schreier,1988;Stingl et al.,2003)。しかし、これまでリンゴのアグリコンとしてゲラニオール、サリチル酸メチル及びテアスピラン異性体は報告が無い。
【0052】
また、一定のアグリコンの存在は、リンゴの品種によって変わる可能性がある。テアスピランのジアステレオマーは天然に発見されている(Schmidt et al.,1992)。その二つは紫色のパッションフルーツ(Passiflora edulis Sims)中のアグリコンとして同定されていた(Winterhalter,1990)。Schmidt et al.(1992)は、知覚上の性質が明確に異なるテアスピランの4つの異性体を合成した。(2R,5R)−テアスピランは、弱いカンファー様の特徴が認められるが、(2S,5R)−テアスピランは強いカンファー様の、殆んどナフタレン様の特徴が認められる。この試験において、同定は、この二つの合成テアスピラン異性体標品に基づいて行った。われわれの知る限りでは、本報告は、リンゴ葉中のアグリコンとして存在するテアスピラン異性体の最初の報告である。
【0053】
1−オクタノール、ベンジルアルコール及びサリチル酸メチルは、A.niger BGL1が存在する時にのみ検出された。これは、BGL1及び内因性リンゴβ−グルコシダーゼの基質特異性の相違、又は内因性β−グルコシダーゼの不充分な抽出によるかもしれない。ブドウ液果のグルコシダーゼのような一部の植物グルコシダーゼは、膜結合酵素であることが知られている


その抽出には特殊な条件が必要である。β−グルコシダーゼのアグリコン部分の特異性は、酵素のオリジンによってかなり変化することが、詳細に記述されている


Babcock and Esen,1994)。この試験においては、試験した条件においてβ−グルコシダーゼ活性を完全に阻害するグルコイミダゾールで処理した葉抽出物中に低いレベルのリナロール及びテアスピランが検出され、これらの化合物は遊離の形態でリンゴの葉の中に存在することを示した。Bengtsson et al.(2001)もまた、“Jonathan”リンゴ葉のヘッドスペースの中に少量の遊離リナロールを検出したが、テアスピランには言及しなかった。
【0054】
これら上記の化合物に加えて、リンゴ葉抽出物から放出された他の揮発性物質が多数あることを、記憶に留めておかなければならない。GC−MSの限定された感度のために、リンゴ葉のヘッドスペースに何か他の昆虫誘引物質又は駆除物質が存在する可能性がある。
【0055】
実施例3.コドリンガに対するβ−グルコシダーゼ増強化合物の誘引的/忌避的影響
ケージバイオアッセイにおいて、葉抽出物中に検出された濃度の個別化合物を入れた罠を、水及びエタノールのみを入れた対照罠と対にした。成虫に対する化合物の誘引能力は、サリチル酸メチル、二つのテアスピラン異性体の混合物、次いでリナロール、そしてベンジルアルコールの順に減少した。これらの化合物は総て、ブランクとしての水より誘因性があった(図3)。興味あることに、これらの化合物総ての混合物を入れた罠は、殆んど昆虫を捕捉しなかった。われわれの知る限りでは、本報告は、コドリンガ誘引物質としてテアスピラン異性体を報告する最初の報告である。これらの化合物は、広く認められている昆虫交配破壊技術に加えて(Calkins and Faust,2003)、成虫の大規模な罠におけるおとりとして使用することができる。
【0056】
70ng ml−1の1−オクタノールを入れた罠は昆虫を一つも捕捉せず、同じ量の1−オクタノールを他の化合物のいずれかに加えても、これらの化合物の単独に比較して捕捉する昆虫の数に有意な影響を及ぼさなかった(データは示さず)。これは、1−オクタノールがコドリンガ成虫の行動に対して有意に影響をしないことを示した。
【0057】
注目すべきことには、39.4ng ml−1のゲラニオールはコドリンガ成虫に対して駆除効果を示した。既に記述した誘引化合物のいずれかと、同量のゲラニオールを入れた罠は、1匹の昆虫も捕捉せず、この濃度のゲラニオールはこの実験に使用した化合物の誘引能力を消失させた。ゲラニオールは、一部の市販の蚊駆除製品の重要な成分として(Xue et al.,2003)、また蚊に対する生物学的駆除剤として販売されているペラゴニューム(citrosa plants)の天然のエッセンシャルオイルの主成分として(Matsuda et al.,1996)報告されている。
【0058】
昆虫の管理は、作物と動物の防御及び公衆衛生の維持の両者に焦点を絞っている。関心分野の一つは、環境上安全で毒性の無い昆虫駆除剤の開発と製造に関係している。われわれの結果は、コドリンガのリンゴ宿主植物において、ゲラニオールは不活化グルコシド/コドリンガ駆除剤として存在している。葉が傷ついたときのみ、グルコシド及びβ−グルコシダーゼの区画が解消され、ゲラニオールの放出が生じる。さらに最近、われわれは、形質転換タバコにおけるA.niger β−グルコシダーゼ遺伝子(BGL1)の発現により、無傷の及び砕いた葉の両者における揮発性物質の有意な変化が生じることを示した(Wei et al.,2004)。
【0059】
実施例4.ゲラニオールを含むマイクロカプセル
ゲラニオール含むマイクロカプセルは、最初に液体ゲラニオールをリン酸三カルシウム(TCP)に吸収させ、次いで表1の行1〜3及び5の材料でコーティングするか、又は表1の第4行に記載のようにして製造する。
【表1】


(引用文献)







【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、組換えβ−グルコシダーゼ(BGL1)及びグルコイミダゾール(β−グルコシダーゼ阻害物質)で処理をしたリンゴ葉抽出物の誘引を示す。Leaf BGL1−β−グルコシダーゼで処理をした葉抽出物を入れた罠;Leaf Inhi−グルコイミダゾールで処理をした葉抽出物を入れた罠;Leaf−葉抽出物を入れた罠;Water−水を入れた罠。小文字と大文字の同じ文字は、異なる罠に捕捉された昆虫及び罠の周囲の昆虫の数に有意差がないことを示した、それぞれp=0.05,多重Turkey検定。
【図2】図2A−2Bは、外来のβ−グルコシダーゼ(BGL1)を加えたリンゴ(cv.Anna)の葉抽出物から放出された化合物の増加したレベルを示す。(2A)β−グルコシダーゼ(BGL1)、又はグルコイミダゾール(阻害物質)を加えたか、又は何も加えないリンゴ葉抽出物のGCクロマトグラフ。ピーク1、ベンジルアルコール;2、リナロール;3、サリチル酸メチル;4、ゲラニオール;5、(2R、5R)−テアスピラン;6、(2S,5R)−テアスピラン。(2B)β−グルコシダーゼBGL1により増加した葉抽出物中の化合物のレベル。同じ文字は異なる罠に捕捉された昆虫の数に有意差のないことを示す、p=0.05、多重Turkey検定。
【図3】図3は、β−グルコシダーゼにより増強された化合物のコドリンガ昆虫に対する誘引/忌避作用を示す。罠試験は対の罠と60匹の成虫を使用してスクリーンケージ中で行った。罠に捕捉された昆虫の数を記録し、t−検定により分析した(p<0.05)。+G、39.4ng ml−1のゲラニオールを添加;Mixed,葉抽出物中に検出された濃度の誘引物質の全ての混合物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲラニオールを含むコドリンガ駆除剤として使用するための組成物。
【請求項2】
前記ゲラニオールが、ネロール及びシトロネロールのような他の成分と混合している請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
約50から約70重量%までのゲラニオール、0から約20重量%までのネロール及び約20から約40重量%までのシトロネロールを含む請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ゲラニオール又はゲラニオール混合物が、ポリマーマトリックスに含まれている請求項1から3のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項5】
スプレー可能な形態である請求項1から4のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項6】
スプレー可能な組成物を提供するために水で希釈、分散又は溶解するための濃縮物として提供される請求項1から4のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項7】
ゲラニオール又はゲラニオール混合物を含有するマイクロカプセルを含む請求項1から6のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項8】
前記ゲラニオール又はゲラニオール混合物を除放するための請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
コドリンガを駆除する方法であって、該コドリンガが寄生した又は寄生が切迫している環境を、ゲラニオールを含むコドリンガ駆除組成物で処理することを含む、方法。
【請求項10】
前記組成物が、ネロール及びシトロネロールのような他の成分と混合したゲラニオールを含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物がゲラニオール及びゲラニオール混合物を含有するマイクロカプセルを含むスプレー可能な組成物である請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記環境が、西洋ナシ、リンゴ、マルメロ、クルミ、サンザシ及び野生リンゴの果樹園を含む果樹園である請求項9から11のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
前記果樹園が、リンゴ果樹園である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が、前記果樹園にスプレーされる請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
リンゴ果樹園のコドリンガを駆除する方法であって、ゲラニオール駆除組成物でリンゴ果樹園を処理することを含む、方法。
【請求項16】
サリチル酸メチル、テアスピラン異性体、リナロール、ベンジルアルコール及びそれらの組合せからなる群から選択される物質を含む、コドリンガ誘引剤として使用するための組成物。
【請求項17】
前記物質が、サリチル酸メチル、(2R,5R)テアスピラン、(2S,5R)テアスピラン又はそれらの組合せである請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記誘引物質又はその組合せがポリマーマトリックス中に含まれている請求項16又は17に記載の組成物。
【請求項19】
スプレーできる形態の請求項16から18のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項20】
スプレーできる組成物を提供するために水で希釈、分散又は溶解するための濃縮物として提供される請求項16から18のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項21】
マイクロカプセルの形態の請求項16から20のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項22】
コドリンガの誘引物質又は誘引物質の組合せを除放するための請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
昆虫の罠にコドリンガを誘引する方法であって、サリチル酸メチル、テアスピラン異性体、リナロール、ベンジルアルコール及びそれらの組合せからなる群から選択されるコドリンガ誘引物質で、コドリンガが寄生した又は寄生が切迫している該罠を取り囲む環境を処理することを含む、方法。
【請求項24】
前記環境が、西洋ナシ、リンゴ、マルメロ、クルミ、サンザシ及び野生リンゴを含む果樹園である請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記果樹園が、リンゴ果樹園である請求項24に記載の方法。
【請求項26】
果樹園のコドリンガを統合的に管理する(integrated control)方法であって、コドリンガが寄生した又は寄生が切迫している環境を、ゲラニオールを含むコドリンガ駆除組成物と、サリチル酸メチル、テアスピラン異性体、リナロール、ベンジルアルコール及びそれらの組合せからなる群から選択されるコドリンガ誘引組成物とで処理することを含む、方法。
【請求項27】
植物組織に、β−グルコシダーゼを作用させることにより非揮発性グルコシドから放出される揮発性の昆虫駆除物質及び/又は誘引物質を同定する方法であって、
(i)植物組織をホモゲナイズし、植物組織ホモジネートに抽出緩衝液を作用させるステップと;
(ii)該植物抽出物を、β−グルコシダーゼ又はβ−グルコシダーゼ阻害物質で処理するステップと;
(iii)β−グルコシダーゼ阻害物質で処理した抽出物に比較してβ−グルコシダーゼで処理した抽出物においてレベルが増加する、ステップ(ii)において放出された特異な揮発性物質を、GC−MSにより同定するステップと;
(iv)ステップ(iii)で同定された揮発性物質のそれぞれについて昆虫の行動に対する作用を試験し、
こうして試験したそれぞれの昆虫の駆除物質又は誘引物質である揮発性物質を同定するステップと
を含む、方法。
【請求項28】
前記β−グルコシダーゼが、組換えβ−グルコシダーゼであり、前記β−グルコシダーゼ阻害物質がグルコイミダゾールである請求項27に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−515965(P2008−515965A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536346(P2007−536346)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【国際出願番号】PCT/IL2005/001079
【国際公開番号】WO2006/040766
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(507121585)エファル ケミカル インダストリーズ リミテッド (1)
【出願人】(500450716)イシウム リサーチ デベロップメント カンパニー オブ ザ ヘブリュー ユニバーシティー オブ イエルサレム (3)
【Fターム(参考)】