説明

果菜類品質測定装置

【課題】 搬送手段を変更することなく、品質検査を精度よく行うことができながらも、大きな果菜類が搬送されてきたときでも果菜類の向きを変更したり、果菜類の搬送に抵抗を与えることがない。
【解決手段】 搬送手段1にて搬送されてきた果菜類Mにそれの搬送幅方向一側又は両側から測定光を照射するための測定光照射手段2と、測定光照射手段2から果菜類Mに照射された測定光のうちの果菜類Mを透過して上方へ移動してきた測定光を受光するために搬送されてくる果菜類Mの上方へ位置させた受光部3と、受光部3の搬送幅方向両側に位置させて果菜類Mの上面を通して該受光部側へ入射してくる測定光を遮光するための遮光手段4とを備え、遮光手段4を、果菜類Mの上面に接触して搬送手段1とほぼ同速度で駆動回転される少なくとも接触部が柔軟性を有する材料から構成された駆動回転体5から構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柿、ミカン、もも、八朔、なし、リンゴ、メロン等の他、ジャガイモ等の果菜類の糖度、酸度、水分含有率、鮮度等の品質を非破壊測定で判定する果菜類品質測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記果菜類品質測定装置としては、各種のものが提案されているが、例えばベルトコンベア等の搬送手段にて載置搬送されてくる果菜類に向けて搬送幅方向両側から測定光を照射する照射手段と、その照射手段にて照射した測定光のうちの果菜類を透過して搬送手段の搬送幅方向ほぼ中央部に形成の隙間から下方へ移動してきた測定光を受光する受光手段と、前記果菜類載置部と果菜類との接触部に隙間が発生することを阻止するために搬送手段に備えさせた阻止手段とを備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。これは大型で高価となる搬送手段に、前記隙間を形成したり、阻止手段を備えさせることが必要となるため、品質測定用に最低限必要となる搬送距離を有する専用の搬送手段を既存の搬送手段とは別に構成しなければならないだけでなく、その既存の搬送手段にて搬送されてきた果菜類を専用の搬送手段へ乗り継がせ、この専用の搬送手段にて品質測定した後の果菜類を前記搬送手段とは別の第2の搬送手段へ乗り継がせることになることから、その乗り継ぎ時の衝撃力にて果菜類を傷めてしまうことがあり、非常に採用し難いものであった。
そこで、前記不具合を解消できるように、搬送手段の上方のスペースを有効利用して配設できるものとして、例えば搬送幅方向両側から搬送物である果菜類に測定光を照射するための左右一対の光源と、これら光源にて照射した測定光のうちの果菜類を透過して上方へ移動してきた測定光を受光する受光手段と、前記光源からの測定光が果菜類の上面から果菜類の上方に位置する受光センサへ移動することを遮断するための左右一対の遮光プレートとを備えた測定部を搬送手段の上方に設置できるようにしたものが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2001−91447号公報(図1参照)
【特許文献2】特開2000−199743号公報(図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献2の装置では、遮光プレートの下面と果菜類の上面との間に僅かに隙間が発生する状態になっているため、その隙間を介して光源からの測定光の一部が入り込んでしまい、透過光のみを受光部にて受光することができず、品質検査を精度よく行うことができない不都合があった。また、遮光プレートが搬送方向の軸周りで揺動可能に構成されていることから、大きな果菜類が搬送されてきたときに遮光プレートが果菜類の接当により押し上げられるようになっているが、果菜類との接触により、果菜類の向きが変更されたり、果菜類の搬送に抵抗を与えることがあり、改善の余地があった。
【0004】
本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、搬送手段を変更することなく、品質検査を精度よく行うことができながらも、大きな果菜類が搬送されてきたときでも果菜類の向きを変更したり、果菜類の搬送に抵抗を与えることがない果菜類品質測定装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の果菜類品質測定装置は、前述の課題解決のために、果菜類を搬送するための搬送手段と、該搬送手段にて搬送されてきた果菜類にそれの搬送幅方向一側又は両側から測定光を照射するための測定光照射手段と、該測定光照射手段から果菜類に照射された測定光のうちの該果菜類を透過して上方へ移動してきた測定光を受光するために搬送されてくる果菜類の上方へ位置させた受光部と、該受光部の搬送幅方向両側に位置させて果菜類の上面を通して該受光部側へ入射してくる前記測定光を遮光するための遮光手段とを備え、前記遮光手段を、果菜類の上面に接触して前記搬送手段とほぼ同速度で駆動回転できる少なくとも接触部が柔軟性を有する材料から構成された駆動回転体から構成したことを特徴としている。
搬送されてきた果菜類の上面にほぼ同速度で駆動回転される駆動回転体が接触することによって、果菜類の上面と駆動回転体との間を遮断した状態にしながら、搬送されてきた姿勢を維持したまま果菜類を搬送することができる。前記駆動回転体の間に配置した受光部にて駆動回転体を通過しようとしている果菜類を透過した測定光を受光して品質測定を行うことができる。又、前記駆動回転体の接触部を柔軟性を有する材料から構成していることから、大きな果菜類が搬送されてきた場合でも、柔軟性を有する接触部が変形することによって、果菜類に抵抗を与えることがなく、スムーズに搬送することができる。尚、測定光照射手段は、搬送幅方向の一側のみ設けて実施してもよいし、両側ともに設けて実施してもよい。
【0006】
前記駆動回転体が、搬送幅方向に所定間隔を置いて回転自在に配置された複数のほぼ円形の遮光ドラムと、該遮光ドラムの外周面に多数のフィラメントを備えたブラシ部とから構成してもよい。
【0007】
前記駆動回転体が、ほぼ円形又は多角形の単又は複数の駆動回転用の保形部材と、外部からの遮光と内部に前記受光部を配置可能な空間を形成するために、該保形部材に被せる軟質の合成樹脂又は軟質のゴムからなる袋状部材とからなり、該袋状部材の外周面に周方向に沿って所定間隔を置いて光透過用孔を形成し、該袋状部材が搬送されてくる果菜類との接触により該果菜類の表面に密着して果菜類表面から該袋状部材内へ侵入する光を遮断しながら該光透過用孔を通して該袋状部材内に位置する受光部に果菜類を透過した光を取り込むように構成してもよい。
【0008】
前記遮光ドラムが、搬送幅方向からの測定光を遮光するための左右一対の円板部の外周縁から搬送幅方向内側に延びると共に前記ブラシ部を取り付けるための左右一対の第1フランジ部と、これら第1フランジ部の搬送幅方向内側端からそれぞれ内側へ向けて延びる第2フランジ部とからなり、前記第2フランジ部同士間の間隔を該フランジ部間に配置される前記受光部の大きさよりも少し大きく設定してもよい。
【0009】
前記駆動回転体の搬送手段に対する上下位置を調節するための昇降手段を備えてもよい。
【0010】
前記測定光照射手段の光軸が、それの照射側ほど下方に位置する前下がり傾斜になるように、該測定光照射手段を取り付けてもよい。
【0011】
又、前記測定光照射手段の光軸が、それの照射側ほど上方に位置する前上がり傾斜になるように、該測定光照射手段を取り付けてもよい。
【発明の効果】
【0012】
果菜類にそれの搬送幅方向両側から測定光を照射し、その照射された測定光のうちの果菜類を透過して上方に移動してきた測定光を受光部にて受光する構成にすることによって、搬送手段を何ら改造することがなく、しかも今まで通り所定距離搬送することができる搬送手段を用いることができるから、従来のように搬送手段を繋いで果菜類の乗り継ぎを行わせて果菜類が傷付くといったことがなく、品質測定を行うことができる。又、遮光手段を、果菜類の上面に接触して搬送手段とほぼ同速度で駆動回転される少なくとも接触部が柔軟性を有する材料から構成された駆動回転体から構成することによって、果菜類の上面と駆動回転体との間を確実に遮断することができるから、品質測定を精度よく行うことができながらも、搬送されてきた姿勢を維持したまま果菜類をスムーズに連続して搬送することができる。又、大きな果菜類が搬送されてきた場合でも、柔軟性を有する接触部が変形することによって、果菜類に抵抗を与えることがなく、スムーズに搬送することができ、商品価値の高い装置とすることができる。
【0013】
駆動回転体が、搬送幅方向に所定間隔を置いて回転自在に配置された複数のほぼ円形の遮光ドラムと、遮光ドラムの外周面に多数のフィラメントを備えたブラシ部とから構成することによって、例えばベルトコンベアなどから駆動回転体を構成する場合に比べて、部品点数の削減化及び装置の小型化を同時に図ることができる利点がある。
【0014】
又、前記駆動回転体が、ほぼ円形又は多角形の単又は複数の駆動回転用の保形部材と、外部からの遮光と内部に前記受光部を配置可能な空間を形成するために、該保形部材に被せる軟質の合成樹脂又は軟質のゴムからなる柔軟性を有する袋状部材とからなり、該袋状部材の外周面に周方向に沿って所定間隔を置いて光透過用孔を形成し、該袋状部材が搬送されてくる果菜類との接触により該果菜類の表面に密着して果菜類表面から該袋状部材内へ侵入する光を遮断しながら該光透過用孔を通して該袋状部材内に位置する受光部に果菜類を透過した光を取り込むように構成した場合には、完全に受光部への外部からの光を遮断することができ、特別な遮光用のカバーを不要にすることができる利点がある。
【0015】
遮光ドラムが、搬送幅方向からの測定光を遮光するための左右一対の円板部の外周縁から搬送幅方向内側に延びると共に前記ブラシ部を取り付けるための左右一対の第1フランジ部と、これら第1フランジ部の搬送幅方向内側端からそれぞれ内側へ向けて延びる第2フランジ部とからなり、前記第2フランジ部同士間の間隔を該フランジ部間に配置される前記受光部の大きさよりも少し大きく設定することによって、果菜類の内部を透過した測定光のうちの長い距離を透過した測定光を受光部にて取り込むことができるから、検出精度を高めることができる利点がある。
【0016】
駆動回転体の搬送手段に対する上下位置を調節するための昇降手段を備えさせることによって、果菜類の大きさに応じて駆動回転体の上下位置を変更することができる。
【0017】
測定光照射手段の光軸が、それの照射側ほど下方に位置する前下がり傾斜になるように、該測定光照射手段を取り付けることによって、測定光照射手段から拡散する余分な光が駆動回転体と果菜類との接触部側へ照射されることを回避して、果菜類を透過していない測定光が受光部に入り込むことを回避することができる。又、測定光照射手段の光軸を水平にした場合に測定光照射手段を下方に位置させなければならないことになり、その分装置の他の部品の配置に制約を与えることになるが、測定光照射手段をそれよりも上方に位置させて他の部品の配置に制約を受けることを回避することができ、設計の自由度を高めることができる。
【0018】
又、測定光照射手段の光軸が、それの照射側ほど上方に位置する前上がり傾斜になるように、測定光照射手段を取り付けることによって、大きな果菜類であっても測定光を果菜類の中心部付近を透過させて、測定光の透過距離をも長くすることができるから、精度の良い品質測定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1に、果菜類品質測定装置を示している。この果菜類品質測定装置は、果菜類M(図4参照)を搬送するための搬送手段1と、該搬送手段1にて搬送されてきた果菜類Mにそれの搬送幅方向両側から測定光を照射するための測定光照射手段2と、該測定光照射手段2から果菜類Mに照射された測定光のうちの該果菜類Mを透過して上方へ移動してきた測定光を受光するために搬送されてくる果菜類Mの上方へ位置させた受光部3(図5参照)と、該受光部3の搬送幅方向両側に位置させて果菜類Mの上面を通して搬送幅方向中央側へ入射してくる前記測定光を遮光するための遮光手段4とを備え、前記遮光手段4を、果菜類Mの上面に接触して前記搬送手段1とほぼ同速度で駆動回転される少なくとも接触部が柔軟性を有する材料から構成された駆動回転体5から構成している。ここでは、果菜類Mとして、柿を例に挙げて説明しているが、ミカン、もも、八朔、なし、リンゴ、メロン等の果物の他、ジャガイモ等の野菜であってもよい。ここでは、果菜類Mの搬送幅方向両側に測定光照射手段2を配置したが、果菜類Mの搬送幅方向一側にのみ配置して実施してもよい。
【0020】
前記搬送手段1は、本体フレーム6上に前後に配置した左右一対のコンベアフレーム7,7間に設けたベルトコンベアからなっているが、ローラーコンベア、果菜類を一個ずつ搬送するカップ形コンベア等であってもよい。前記ベルトコンベア1は、図4に示すように、搬送幅方向中央部ほど下方に位置する逆への字状の表面を備えたものから構成しており、果菜類Mがベルトのセンターに寄りやすいようになっているが、表面が水平面となる平ベルトであってもよい。又、果菜類Mがベルトのセンターに強制的に位置させるセンタリング装置を設けて実施すれば、果菜類Mの位置ずれによる検出精度が低下することを確実に回避することができる。
【0021】
図2〜図5に示すように、前記駆動回転体5が、搬送幅方向に所定間隔を置いて支軸Dを介して回転自在に配置された2つの円形(三角形、四角形、五角形、六角形、八角形などの多角形でもよい)の遮光ドラム5A,5Aと、該遮光ドラム5A,5Aの外周面に柔軟性に優れたナイロン(柔軟性を有するものであればどのような材料であってもよい)でなる多数のフィラメントを備えたブラシ部5B,5Bとからなり、ほぼL字状のフレーム8に遮光ドラム5A,5Aを水平軸芯X周りで回転自在に構成し、該フレーム8に取り付けられた電動モータ9にて駆動回転可能に構成している。前記遮光ドラム5A,5Aには一方向クラッチ(図示せず)を備えてあり、果菜類Mとの接触により回転できるようになっており、搬送手段1と駆動回転体5との間に速度差が発生した場合でも果菜類Mとの接触にて駆動回転体5を回転させることができるようになっているが、無くてもよい。前記2つの遮光ドラム5A,5Aを設ける他、4つ又は6つなどの偶数の遮光ドラムを設けて実施してもよいが、場合によっては3つ又は5つなどの奇数の遮光ドラムを設けて実施してもよい。
前記フレーム8の果菜類搬送方向終端側上端部を後述する昇降手段10を構成する可動部材11に水平軸芯Y周りで揺動自在に連結しており、大きな果菜類Mが搬送されてきた場合でも、水平軸芯Y周りでフレーム8を上方へ揺動させることで駆動回転体5が上昇し、果菜類Mをスムーズに搬送することができるようになっているが、揺動不能な状態、つまり完全に固定して実施することもできる。
【0022】
図1〜図3に示すように、前記駆動回転体5の搬送手段1に対する上下位置を調節するための昇降手段10をユニットフレーム12に取り付けている。前記ユニットフレーム12は、左右の前後フレーム13,13と、これら前後フレーム13,13の前側に立設した左右の前側縦フレーム14,14と、前記前後フレーム13,13の後側に立設した枠状にした枠フレーム15とを主要部材として構成しているが、他の構成であってもよい。このようにユニットフレーム12に構成することによって、このユニットフレーム12を搬送手段1に着脱するだけで、品質測定ユニットを一体的に着脱することができるようになっている。そして、前記昇降手段10を構成する固定フレーム16を前記枠フレーム15の前側に取り外し自在に取り付けている。前記昇降手段10は、前記固定フレーム16と、この固定フレーム16に取り付けられたガイド棒17に図示していない電動モータからの動力を利用して昇降自在な可動部材11とから構成しているが、他の構成であってもよい。図1に2点鎖線で示す18は、測定開始や駆動回転体5の昇降位置などを指示するためのコントロールボックスであり、Kは品質測定部を上方から覆うためのカバーである。そして、コントロールボックスに備える計測開始スイッチ(図示せず)をON操作すると、昇降手段10にて最上昇位置の待機位置にある駆動回転体5、測定光照射手段2、受光部3、遮光手段4を一体的に予め設定されている検査位置まで下降させるとともに、搬送手段1を駆動して果菜類Mの品質検査を開始するようにしている。
【0023】
図5に示すように、前記遮光ドラム5A,5Aが、搬送幅方向からの測定光を遮光するための左右一対の円板部5a,5aの外周縁から搬送幅方向内側に延びると共に前記ブラシ部5B,5Bを取り付けるための左右一対の第1フランジ部5b,5bと、これら第1フランジ部5b,5bの搬送幅方向内側端からそれぞれ内側へ向けて延びる第2フランジ部5c,5cとからなり、前記第2フランジ部5c,5c同士間の間隔Sを該フランジ部5c,5c間に配置される前記受光部3の設置スペース、つまり受光部3の直径の大きさよりも少し大きく設定している。従って、果菜類Mの端(外面に近い箇所)を透過した測定光H1(果菜類の内部を通過した距離が短い測定光)は、第2フランジ部5c,5cにて上方への移動が遮蔽され、果菜類Mの中心に近い(外面から遠い)箇所を透過した測定光H2(果菜類の内部を通過した距離が長い測定光)は、第2フランジ部5c,5cの間を通して上方の受光部3まで到達することができ、精度の良い品質測定を行うことができるようになっているが、第2フランジ部5c,5cを備えていないもので実施してもよい。前記2つの円板部5a,5aを、それらが互いに向かい合う内側が開放された断面形状コの字状に構成しているが、内側にも内側壁があるものであってもよいが、この場合、内側壁表面に当たった光が受光部3に入り込むことがあるため、内側壁表面に測定光の反射を防止する処理を施しておけば該反射した測定光の入り込みを解消できる。前記受光部3に接続されているフレキシブルホース3Aを介して図示していない分析装置まで受光部3にて受光した測定光の分析を行って、果菜類の糖度、酸度、水分含有率、鮮度等の品質測定を行うことになる。
【0024】
図4にも示すように、前記測定光照射手段2は、左右一対のかさ付きランプ2A,2Aからなり、それらかさ付きランプ2A,2Aの光軸2B,2Bが、それの照射側ほど下方に位置する前下がり傾斜になるように、該ランプ2A,2Aを取り付けている。図では、水平面に対してほぼ10度程度にしているが、0度を超える角度で下向きに30度までであれば、構わない。又、光軸2Bが0度となる水平にして実施してもよいし、果菜類が大きな場合には、できるだけ果菜類の中心部を透過させることができるように、前記とは逆に照射側ほど上方に位置する前上がり傾斜にしてもよい。この場合には0度を超える角度で上向きに30度までであれば構わない。前記のように下向きに傾斜させることによって、かさ付きランプ2A,2Aを水平方向に配設する場合に比べてかさ付きランプ2A,2Aの上下位置を上方に位置させることができ、その分装置の他の部品の配置に制約を受けることがなく、設計の自由度を高めることができる。又、測定光照射手段2から拡散する余分な光が駆動回転体5と果菜類Mとの接触部側へ照射されることを回避して、果菜類Mを透過していない測定光が受光部3に入り込むことを回避することができる。図4に示す光軸2Aを挟んで上下に位置する破線2Cは、かさ付きランプ2Aの照射範囲を示している。前記測定光照射手段2の具体的構成は、図に示されるもの以外であってもよい。又、測定光照射手段2を搬送幅方向両側にそれぞれ一個ずつ設けた場合を示しているが、少なくとも一方側に複数の測定光照射手段2を設けて実施してもよい。
【0025】
図2に示す19は、前記可動部材11に一端が連結されたワイヤー20の他端に連結された揺動アーム21の先端に取り付けられた反射板であり、図3にも示すように、前記のように駆動回転体5等が最上昇位置に位置することによりワイヤー20が弛むことで揺動アーム21が押されて下方に約150度揺動し、測定光照射手段2を反射させて受光部3に取り込むことで、照射光量の変動(実際には低下)や受光部3の検出感度の変動(実際には低下)を検出するリファレンス測定装置を構成しているが、他の構成であってもよい。
【0026】
前記駆動回転体5を遮光ドラム5A,5Aから構成することによって、装置の小型化を図ることができる利点があるが、図6(a),(b)に示すように、駆動プーリ22と従動プーリ23とに渡って巻回されたベルト24の2組を受光部3を挟んだ両側に配置したものから駆動回転体5を構成してもよい。前記各ベルト24の幅方向2箇所に周方向に沿って隙間の無い状態で高さの異なる2種類の遮光板24A,24Bの多数を備えさせて、これら遮光板24A,24Bが果菜類Mの上面に接触することによって、測定光照射手段2からの測定光が果菜類Mの上面から受光部3に入らないように遮光することができるようになっている。
【0027】
前記駆動回転体5を遮光ドラム5A,5Aから構成する他、図7に示すように構成してもよい。つまり、駆動回転体5を、各8つの辺が中心側に凹んだ円弧状に形成されたほぼ8角形(三角形、四角形、五角形、あるいは六角形などの他、円形でもよい)の左右一対の駆動回転用の保形部材25と、外部からの遮光と内部に前記受光部3を配置可能な空間を形成するために、該保形部材25に被せる軟質の合成樹脂又は軟質のゴムからなる柔軟性を有する袋状部材26とからなり、該袋状部材26の外周面に周方向に沿って所定間隔を置いて光透過用孔26Aを形成し、該袋状部材26が搬送されてくる果菜類Mとの接触により該果菜類Mの表面に密着して果菜類表面から該袋状部材26内へ侵入する光を遮断しながら該光透過用孔26Aを通して該袋状部材26内に位置する受光部3に果菜類Mを透過した透過光を取り込むように構成している。前記一方の保形部材25の中心に貫通する軸27を駆動回転することによって、保形部材25を介して袋状部材26を駆動回転するように構成しているが、他の構成であってもよい。又、搬送されてくる果菜類Mに対する袋状部材26の光透過用孔26Aのタイミングを取りやすいように、搬送手段1を多数の駆動ローラ28からなるローラコンベアから構成しているが、果菜類を一個ずつ受ける受皿などの位置決め部材を搬送方向に所定間隔を置いて複数個備えているベルトコンベアなどの他の搬送手段であってもよい。前記受光部3は、回転する袋状部材26内において図に示す姿勢を維持することができるように図示していない支持部材にて支持されることになる。
このように構成することによって、完全に受光部3への外部からの光を遮断することができ、特別な遮光用のカバー、例えば図1で示したカバーKを不要にすることができる利点がある。前記左右一対の保形部材25を設けて袋状部材26の保形性を保つようにしているが、一枚の保形部材にて袋状部材26の保形性を保つように構成してもよいし、3枚以上の保形部材にて袋状部材26の保形性を保つように構成してもよい。又、保形部材25は袋状部材26の保形性を保ちながらも、搬送されてくる果菜類Mの接触により変形できるように接触部分を柔軟性を有する材料から構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】果菜類品質測定装置の概略全体側面図である。
【図2】品質測定部を測定位置に位置させた要部の側面図である。
【図3】品質測定部を待機位置に位置させた要部の側面図である。
【図4】品質測定部にて測定している状態を示す要部の正面図である。
【図5】測定光の移動経路を示す品質測定部の要部の正面図である。
【図6】別の駆動回転体を示し、(a)は縦断正面図、(b)は一部省略の側面図である。
【図7】別の駆動回転体を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
1 ベルトコンベア(搬送手段)
2 測定光照射手段
2A ランプ
2B 光軸
3 受光部
4 遮光手段
5 駆動回転体
5b フランジ部
5c フランジ部
5B ブラシ部
5a 円板部
5A 遮光ドラム
6 本体フレーム
7 コンベアフレーム
8 フレーム
9 電動モータ
10 昇降手段
11 可動部材
12 ユニットフレーム
13 前後フレーム
14 前側縦フレーム
15 枠フレーム
16 固定フレーム
17 ガイド棒
18 コントロールボックス
19 反射板
20 ワイヤー
21 揺動アーム
22 駆動プーリ
23 従動プーリ
24 ベルト
24A,24B 遮光板
25 保形部材
26 袋状部材
26A 光透過用孔
D 支軸
H1,H2 測定光
K カバー
M 果菜類
S 間隔
X,Y 水平軸芯


【特許請求の範囲】
【請求項1】
果菜類を搬送するための搬送手段と、該搬送手段にて搬送されてきた果菜類にそれの搬送幅方向一側又は両側から測定光を照射するための測定光照射手段と、該測定光照射手段から果菜類に照射された測定光のうちの該果菜類を透過して上方へ移動してきた測定光を受光するために搬送されてくる果菜類の上方へ位置させた受光部と、該受光部の搬送幅方向両側に位置させて果菜類の上面を通して該受光部側へ入射してくる前記測定光を遮光するための遮光手段とを備え、前記遮光手段を、果菜類の上面に接触して前記搬送手段とほぼ同速度で駆動回転できる少なくとも接触部が柔軟性を有する材料から構成された駆動回転体から構成したことを特徴とする果菜類品質測定装置。
【請求項2】
前記駆動回転体が、搬送幅方向に所定間隔を置いて回転自在に配置された複数のほぼ円形の遮光ドラムと、該遮光ドラムの外周面に多数のフィラメントを備えたブラシ部とから構成してなる請求項1に記載の果菜類品質測定装置。
【請求項3】
前記駆動回転体が、ほぼ円形又は多角形の単又は複数の駆動回転用の保形部材と、外部からの遮光と内部に前記受光部を配置可能な空間を形成するために、該保形部材に被せる軟質の合成樹脂又は軟質のゴムからなる柔軟性を有する袋状部材とからなり、該袋状部材の外周面に周方向に沿って所定間隔を置いて光透過用孔を形成し、該袋状部材が搬送されてくる果菜類との接触により該果菜類の表面に密着して果菜類表面から該袋状部材内へ侵入する光を遮断しながら該光透過用孔を通して該袋状部材内に位置する受光部に果菜類を透過した光を取り込むように構成してなる請求項1に記載の果菜類品質測定装置。
【請求項4】
前記遮光ドラムが、搬送幅方向からの測定光を遮光するための左右一対の円板部の外周縁から搬送幅方向内側に延びると共に前記ブラシ部を取り付けるための左右一対の第1フランジ部と、これら第1フランジ部の搬送幅方向内側端からそれぞれ内側へ向けて延びる第2フランジ部とからなり、前記第2フランジ部同士間の間隔を該フランジ部間に配置される前記受光部の配設スペースよりも少し大きく設定してなる請求項2に記載の果菜類品質測定装置。
【請求項5】
前記駆動回転体の搬送手段に対する上下位置を調節するための昇降手段を備えてなる請求項1〜4のいずれかに記載の果菜類品質測定装置。
【請求項6】
前記測定光照射手段の光軸が、それの照射側ほど下方に位置する前下がり傾斜になるように、該測定光照射手段を取り付けてなる請求項1〜5のいずれかに記載の果菜類品質測定装置。
【請求項7】
前記測定光照射手段の光軸が、それの照射側ほど上方に位置する前上がり傾斜になるように、該測定光照射手段を取り付けてなる請求項1〜5のいずれかに記載の果菜類品質測定装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−46936(P2007−46936A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−229306(P2005−229306)
【出願日】平成17年8月8日(2005.8.8)
【出願人】(000173706)財団法人雑賀技術研究所 (11)
【Fターム(参考)】