説明

枠体及び電子部品組み合わせ、枠体及び電子部品の製造方法、カードの製造方法

【課題】カード表面の段差を抑制できる枠体及び電子部品組み合わせ、枠体及び電子部品の製造方法、カードの製造方法を提供する。
【解決手段】アッセンブリ30は、カード40を製造する工程で製造される枠体31及び電子モジュール10の組み合わせであって、製造されるカード40のカード外形40cよりも大きな孔部32を有する枠体31と、孔部32の規定位置に配置された状態で枠体31に対して保持される電子モジュール10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードの製造過程で製造される枠体及び電子部品組み合わせ、枠体及び電子部品の製造方法、カードの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ICモジュール等の電子モジュールを内蔵したカードがあった(例えば特許文献1)。従来のカードは、基材を切削して孔部を設けて、電子モジュールを収容して、この孔部を接着材によって封止している。
しかし、従来のカードは、接着材が固着する場合に収縮するため、カード表面のうち孔部に対応する部分が窪んでしまう。このため、カード表面に段差が生じる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−192568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、カード表面の段差を抑制できる枠体及び電子部品組み合わせ、枠体及び電子部品の製造方法、カードの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。また、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【0006】
第1の発明は、カードを製造する工程で製造される枠体及び電子部品の組み合わせであって、製造されるカード外形(40c)よりも大きな孔部(32)を有する枠体(31)と、前記孔部の規定位置に配置された状態で、前記枠体に対して保持される電子部品(10)とを備えること、を特徴とする枠体及び電子部品の組み合わせである。
第2の発明は、第1の発明の枠体及び電子部品の組み合わせにおいて、前記電子部品は、前記孔部の規定位置に配置された状態で、前記枠体に対して保持される保持部(20,220−1,220−2,320)を備えること、を特徴とする枠体及び電子部品の組み合わせである。
第3の発明は、第2の発明の枠体及び電子部品の組み合わせにおいて、前記枠体(31)は、複数の孔部(32)が設けられ、複数の前記電子部品(10)が、前記複数の孔部に収容され、前記カード(40)は、多面取りされること、を特徴とする枠体及び電子部品の組み合わせである。
第4の発明は、第2又は第3の発明の枠体及び電子部品の組み合わせにおいて、前記電子部品(10)は、表示部(12)を備え、前記保持部(20,220−1,220−2,320)は、前記表示部が前記孔部の規定位置に配置されるように、前記電子部品を保持すること、を特徴とする枠体及び電子部品の組み合わせである。
第5の発明は、第2から第4までのいずれかの発明の枠体及び電子部品の組み合わせにおいて、前記保持部(20,220−1,220−2,320)は、接着シートであること、を特徴とする枠体及び電子部品の組み合わせである。
【0007】
第6の発明は、第2から第5までのいずれかの発明の枠体及び電子部品の製造方法であって、前記保持部(20,220−1,220−2,320)を前記電子部品(10)に、位置決めして取り付ける保持部電子部品取り付け工程と、前記保持部を前記枠体(31)に位置決めして取り付け、前記電子部品を前記孔部(32)の前記規定位置に配置する保持部枠体取り付け工程とを備えること、を特徴とする枠体及び電子部品の製造方法である。
第7の発明は、第1から第6までのいずれかの発明の枠体及び電子部品の組み合わせを用いたカードの製造方法であって、前記枠体(31)及び前記電子部品の組み合わせの表裏に表シート(43)及び裏シート(41)を積層して積層体(45)を作製する積層工程と、前記積層工程内に設けられ、前記枠体(31)の前記孔部(32)内部に接着材(42)を充填する接着材充填工程(♯2)と、前記積層工程で積層した前記積層体の前記表シート及び前記裏シートを加圧して前記枠体に当接させることにより、前記表シート及び前記裏シートの厚み方向の位置決めをし、前記孔部内部に前記接着材を充填する加圧工程(♯4)と、前記加圧工程で加圧した前記積層体をカード外形に切断する切断工程(♯6)とを備えること、を特徴とするカードの製造方法である。
【0008】
第8の発明は、カードを製造する工程で製造される枠体及び電子部品の組み合わせであって、製造されるカード外形(40c)よりも大きな孔部(32)を有する枠体(31)と、前記枠体の一方の面に積層される積層シート(43)とを備え、電子部品は、前記積層シートに対して保持される保持部(420)を備え、前記保持部は、前記枠体及び前記積層シートが積層された状態で前記電子部品(10)が前記孔部の規定位置に配置される位置に、前記電子部品を前記積層シートに対して保持すること、を特徴とする枠体及び電子部品の組み合わせである。
【0009】
第9の発明は、第8の発明の枠体及び電子部品の製造方法であって、前記保持部(420)を前記電子部品(10)に、位置決めして取り付ける保持部電子部品取り付け工程と、前記保持部を前記積層シート(42)に、位置決めして取り付ける保持部積層シート取り付け工程と、前記保持部を前記枠体に位置決めして取り付けて、前記電子部品が前記孔部内部の規定位置に配置されるように、前記積層シートを前記枠体に積層する積層シート積層工程(♯403)とを備えると、を特徴とする枠体及び電子部品の製造方法である。
第10の発明は、第8の発明の枠体及び電子部品の組み合わせを用いたカードの製造方法であって、前記枠体(31)の他方の面に、他のシート(41)を積層して積層体(445)を作製する積層工程と、前記積層工程内に設けられ、前記枠体の前記孔部(32)内部に接着材(42)を充填する接着材充填工程(♯402)と、前記積層工程で積層した前記積層体の前記積層シート(43)及び前記他のシートを加圧して前記枠体に当接させることにより、前記積層シート及び前記他のシートの厚み方向の位置決めをし、前記孔部内部に前記接着材を充填する加圧工程(♯404)と、前記加圧工程で加圧した前記積層体をカード外形(40c)に切断する切断工程(♯6)とを備えること、を特徴とするカードの製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
第1の発明は、電子部品が孔部の規定位置に配置され、枠体に対して保持されるので、カード製造時には、この枠体及び電子部品の組み合わせを、カードの表シート及び裏シートに挟み込んで接着すればよいため、工程が容易である。
また、枠体がカード外形よりも大きな孔部を有するので、カード外形に切断後において、表シート及び裏シートの間には、接着材のみが残存することになる。接着材は、硬化にともない、一律の割合で収縮するので、カード表面の段差(歪み)を低減できる。
すなわち、本願とは異なり孔部がカード外形よりも小さく、カード外形に切断後において枠体が残存する形態では、枠体が存在する表面部分と、接着材が存在する表面部分との境界近傍に、接着材の収縮に起因して、段差が生じる可能性がある。本願では、接着材のみが残存するので、カード表面の段差を低減できる。
第2の発明は、電子部品が枠体に対して保持される保持部を備えるので、電子部品の枠体への保持工程が簡単である。
第3の発明は、複数の電子部品が複数の孔部に収容され、カードが多面取りされるので、作業が簡単であり、製造時間の効率を向上できる。
【0011】
第4の発明は、保持部によって、表示部が孔部の規定位置に配置されるように電子部品を保持するので、この枠体及び電子部品の組み合わせを表シートに位置合わせすることにより、表示部及び表シートの窓部の位置を一致させることができる。
第5の発明は、保持部が接着シートであるので、接着シートの一端に電子部品を貼付し、他端に枠体に貼付することにより、電子部品を保持できる。
【0012】
第6の発明は、上記第1の発明の枠体及び電子部品の組み合わせの製造方法であるので、上記第1の発明と同様な効果を奏する。また、電子部品及び保持部を位置決めして、保持部及び枠体を位置決めすることにより、電子部品を孔部の規定位置に配置できるので、保持部を介して、電子部品及び孔部を位置決めできる。
第7の発明は、上記第1の発明の枠体及び電子部品の組み合わせを利用したカードの製造方法であるので、上記第1の発明と同様な効果を奏する。また、表シート及び裏シートを加圧して枠体に当接させて表シート及び裏シートの厚み方向の位置決めをし、孔部内部に満たした接着材を充填するので、枠体を、電子部品を保持に利用することに加えて、厚み方向の位置決めに利用できる。
【0013】
第8の発明は、保持部が、枠体及び積層シートが積層された状態で電子部品が孔部の規定位置に配置される位置に、電子部品を積層シートに対して保持するので、第1の発明と同様な効果を奏する。
【0014】
第9の発明は、保持部を枠体に位置決めして取り付けて、電子部品が孔部内の規定位置に配置されるように、積層シートを枠体に積層する枠体及び電子部品の組み合わせの製造方法であるので、第5の発明と同様な効果を奏する。
なお、保持部及び電子部品が既に位置決めされているので、積層シート積層工程における保持部(電子部品)及び枠体の位置決め精度をさげることができるため、作業が簡単である。
第10の発明は、上記第7の発明の枠体及び電子部品の組み合わせを利用したカードの製造方法であり、第6の発明と同様な構成を備えるので、第6の発明と同様な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態の電子モジュール10の平面図、側面図である。
【図2】第1実施形態の電子モジュール10及び枠体31のアッセンブリ30を示す図である。
【図3】第1実施形態のカード製造工程について説明する図である。
【図4】第1実施形態のカード製造工程について説明する図である。
【図5】第1実施形態のカード製造工程について説明する図である。
【図6】第2実施形態の電子モジュール10及び枠体31のアッセンブリ230の平面図、断面図である。
【図7】第3実施形態の電子モジュール10及び枠体31のアッセンブリ330の平面図、断面図である。
【図8】第4実施形態の電子モジュール10及び表シート43の平面図、断面図である。
【図9】第4実施形態のカードの製造方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態の電子モジュール10の平面図、側面図である。
実施形態では、表示部12の表示面の法線方向を鉛直方向Zにして、電子モジュール10等を見た図を、平面図という。また、平面図において、表示部12の表示が正位置になるように電子モジュール10等を見たときの左右方向をX、縦方向YをYという。また、平面図における形状を適宜平面形状という。なお、各図面において、鉛直方向Z(厚み方向)等の構成等は、構成を明確に図示するために、適宜大きさを誇張する。
【0017】
電子モジュール10は、カード40(図5参照)に内蔵される部品である。このカード40は、クレジットカード等である。電子モジュール10は、カード40使用毎に認証パスワード(いわゆるワンタイムパスワード)を生成する機能を有するが、特にこの機能には限定されない。
なお、詳細な説明は、省略するが、その他の構成として、接触用端子、ループアンテナ等を設けて、外部機器(カードリーダ)との間で通信してもよい。
電子モジュール10は、基板11、表示部12、ボタン13、電池14、ICチップ15等の電子部品と、接着シート20(保持部)とを備える。
【0018】
基板11は、リジット又はフレキシブルタイプのプリント配線基板である。
表示部12は、ワンタイムパスワードを表示する表示装置である。表示部12は、例えば、液晶ディスプレイ、電子ペーパディスプレイ等である。表示部12は、基板11に実装されている。表示部12は、ケーブル12aによって、基板11に接続されている。なお、表示部12は、その厚みが厚い場合には、ケーブル12aによって、基板11に対して保持してもよい。
ボタン13は、ワンタイムパスワードを生成する場合に、利用者が操作する押しボタンである。ボタン13は、例えば、基板11に実装されたドームスイッチ等である。ボタン13は、操作情報をICチップ15に出力する。
【0019】
電池14は、電子モジュール10の表示部12、ICチップ15等に電力を供給する部材である。電池14は、接続端子14aによって、基板11に接続及び固定されている。
ICチップ15は、電子モジュール10を制御する制御装置である。ICチップ15は、基板11に実装されている。ICチップ15は、電池14や外部機器から電力を供給されて駆動する。ICチップは、電子モジュール10の処理を制御する制御プログラム等を記憶した記憶装置(図示せず)を備える。
【0020】
電子モジュール10の動作を説明する。
利用者によってボタン13が操作されると、ICチップ15は、ボタン13の出力に基づいて、ワンタイムパスワードを生成する。ICチップ15は、表示部12を駆動して、このワンタイムパスワードを表示する。また、必要に応じて、外部機器と通信する。
【0021】
接着シート20は、PET等のシート材の片面に接着材が塗布されたテープである。接着シート20の一端には、基板11及び電池14の両方の縁部が接着されている。なお、接着シート20は、基板11及び電池14の一方の縁部が接着されてもよい。
接着シート20の左右方向Xの長さは、電子モジュール10と等しい。また、接着シート20は、接着作業時に基板11の外形に合わせるように目印線21が印刷されている。
このため、接着シート20を電子モジュール10に接着する工程(保持部電子部品取り付け工程)では、作業者は、左右方向Xにおいて、接着シート20及び電子モジュール10の左右方向Xの端部を揃え、かつ、縦方向Yにおいて、目印線21を基板11の端部に合わせるようにすればよい。これにより、接着シート20が電子モジュール10に対して位置決めされる。
【0022】
なお、接着シート20の位置決めは、これに限定されず、いずれの方法を用いてもよい。例えば、基板11に目印線を設け、作業者が、接着シート20端部をこの目印に合わせるように、接着シート20を接着してもよい。
また、左右方向Xにおいても、目印線を、接着シート20又は基板11に設ければ、接着シート20及び電子モジュール10を位置合わせして接着できる。
【0023】
カード40を製造する過程で製造される電子モジュール10(電子部品)及び枠体31のアッセンブリ30(組み合わせ)について説明する。
図2は、第1実施形態の電子モジュール10及び枠体31のアッセンブリ30を示す図である。
枠体31は、カード製造工程内で、電子モジュール10を保持するための部材である。枠体31は、例えば樹脂シート材である。
図2に破線で示すように、枠体31は、製造されるカード40のカード外形40cよりも大きな孔部32を有する。
なお、実施形態のカード40は、製造時間等の効率を向上するために、多面取りによって製造される。このため、枠体31は、取り数分の孔部32が形成されている。
【0024】
接着シート20が枠体31に接着されることにより、複数の電子モジュール10が孔部32に収容される。
なお、接着シート20は、電池14に直接接着されている。電池14は、他の電気部品よりも重量があるため不安定になりやすいが、実施形態では、接着シート20を電池14に直接接着することにより、安定して保持される。
接着シート20の厚みは、30μm程度である。接着シート20は、厚みが薄い程好ましいが、薄すぎると製造時のハンドリングが悪化するため、30μm程度が好適である。
【0025】
枠体31には、接着時に接着シート20の外形を示す目印線33が印刷されている。このため、接着シート20を枠体31に接着する工程(保持部枠体取り付け工程)では、作業者は、この目印線33を接着シート20に合わせるようにすればよい。
これにより、接着シート20及び枠体31の位置決めがされ、電子モジュール10及び孔部32は、接着シート20を介して位置決めされる。また、表示部12が孔部32の規定位置に配置される。
このように、電子モジュール10を枠体31に取り付ける工程は、簡単な作業で行うことができる。
【0026】
なお、アッセンブリ30は、後述するカード製造工程と一連の工程で製造してもよいが、その形態で保管できるので、他の工程で予め製造してもよい。このため、カード40の製造者は、例えば、協力工場等に依頼して製造したアッセンブリ30を納入してもよい。
【0027】
次に、アッセンブリ30を利用してカード40まで製造する工程について説明する。
図3から図5は、第1実施形態のカード製造工程について説明する図である。
図3は、カード製造工程を説明する断面図である。
図4は、表シート43を積層した状態を説明する平面図である。
図5は、切断工程を説明する平面図、及び断面図である。
【0028】
カード40は、以下の工程に従って製造される。
(積層工程)
積層工程は、裏シート積層工程♯1、接着材充填工程♯2、表シート積層工程♯3の順に行われる。
・裏シート積層工程♯1
図3(a)に示すように、アッセンブリ30の裏面、つまり枠体31の下側Z1の裏面31bに裏シート41を積層する。裏シート41の平面形状は、枠体31と同等の大きさである。なお、裏シート41及び枠体31間は、必要に応じて、粘着材等により接着してもよい。
・接着材充填工程♯2
図3(b)に示すように、枠体31の孔部32内部に接着材42を充填する。接着材42は、例えば、エポキシ系、アクリル系のものを利用できる。
【0029】
・表シート積層工程♯3
図3(c)に示すように、アッセンブリ30の表面、つまり、枠体31の上側Z2の表面31aに表シート43を積層して積層体45を作製する。
図4に示すように、表シート43は、カード40の表面40aに配置されるシートである。表シート43は、透明な材料により形成されており、光を通過する窓部43aが設けられている。なお、窓部43a以外の領域は、印刷等が施されており、カード40内部の構造が視認できないようになっている。
【0030】
表シート43をアッセンブリ30の表面に積層する場合には、窓部43a及び表示部12の位置合わせを行う。この位置合わせは、窓部43a及び表示部12が一致する形態であれば、いずれの手法を用いてもよい。例えば、作業者が窓部43a及び表示部12を目視によって確認しながら、一致するようにしてもよく、また、表シート43の裏面にアッセンブリ30の外形に合わせた目印線を設けて、この目印線に合わせるように、表シート43をアッセンブリ30に積層してもよい。さらに、表示部12及び窓部43aの位置を光学センサ等で検出してもよい。この場合には、制御装置、プレス装置を有する装置が、光学センサ等の出力に応じて、表シート43の位置を制御しながら、表シート43を積層すればよい。
【0031】
以上により、積層工程が終了する。なお、実施形態では、表シート43を先に枠体31に積層して、孔部32に接着材42を充填する例を示すが、これとは逆に、表シート43を先に枠体31に積層して、孔部32に接着材42を充填してもよい。作業者は、いずれを先に積層するかを、例えば、接着材42で電子モジュール10を十分に封止できるか等に基づいて適宜決定すればよい。
【0032】
(加圧工程♯4)
図3(d)に示すように、積層体45を加圧ローラ51,52間を通して、表シート43及び裏シート41を加圧して、表シート43及び裏シート41を枠体31に当接させる。加圧は、接着材42の粘度にもよるが、2〜500kgt/cmで行うのが好適である。
これにより、表シート43及び裏シート41が枠体31に完全に密着し、裏シート41の鉛直方向Z(厚み方向)の位置決めがされ、また、孔部32内部に接着材42が充填され、かつ、孔部32内部の余分な接着材42が外部に排出される。
このように、実施形態では、製造途中において、枠体31を、電子モジュール10を保持に利用することに加えて、厚み方向(鉛直方向Z)の平滑性を維持することができる。
なお、加圧工程は、プレス板で加圧して行ってもよい。
【0033】
(接着材硬化工程♯5)
加圧した積層体45を必要な時間かけて、接着材42を硬化させる。なお、表シート43及び裏シート41は、枠体31に当接しているので、厚み方向の平滑性が維持される。
【0034】
(切断工程♯6)
図5に示すように、加圧工程で加圧した積層体45(図3参照)を、孔部32よりも小さいカード外形40cで切断して個片にする。このため、個片にされたカード40は、枠体31の部分が取り除かれる。また、接着シート20のカード外形40cよりも大きい部分が、切断されて取り除かれる。
これにより、カード40は、裏シート41及び表シート43の間に、接着材42、電子モジュール10等のみが残存することになるので、カード40表面の段差(歪み)を低減できる。すなわち、実施形態とは異なり、カード外形40cに切断後において枠体31が残存する形態では、枠体31が存在する表面部分と、接着材42が存在する表面部分との境界近傍に、接着材42の収縮に起因して、段差が生じる可能性がある。
実施形態では、孔部32がカード40の外形よりも大きいため、段差が生じた場合でも、切断工程において段差が生じた領域を切断して取り除くことができる。これにより、カード40は、接着材42等のみが残存し、表面の段差を低減できる。
【0035】
なお、切断面には、接着シート20の切断面が露出することになるが、接着シート20及び接着材42を同様な色彩のものを選択すれば、接着シート20の切断面を目立たなくすることができる。
【0036】
以上説明したように、第1実施形態のカード40は、アッセンブリ30、表シート43等を積層して製造できるので、工程を複雑にすることなく、表面の段差を低減できる。
【0037】
(第2実施形態)
次に、本発明を適用したカードの第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
図6は、第2実施形態の電子モジュール10及び枠体31のアッセンブリ230の平面図、断面図である。
アッセンブリ230は、縦方向Yに長い2列の接着シート220−1,220−2を備えている。
【0038】
接着シート220−1は、アッセンブリ230の左側X1に設けられ、縦方向Yに配列された複数の電子モジュール10が接着され、さらに、枠体31に接着されている。
接着シート220−1の電子モジュール10に対する位置合わせは、例えば、接着シート220−1に電子モジュール10の外形の目印線221を印刷によって設け、この目印線221に合わせて電子モジュール10を接着シート220−1に接着すればよい。なお、この接着作業は、作業者が行うようにしてもよい。
接着シート220−1及び枠体31の位置合わせは、例えば、枠体31に接着シート220−1の外形の目印線233を印刷によって設け、作業者がこの目印線233に合わせて、接着シート220−1を枠体31に接着すればよい。
【0039】
接着シート220−2は、アッセンブリ230の右側X2に設けられ、接着シート220−1と同様に、電子モジュール10を枠体31に接着する。
なお、カードの製造工程は、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0040】
以上説明したように、第2実施形態のカードは、接着シート220−1,220−2がそれぞれ複数の電子モジュール10を接着する。これにより、接着シート220−1,220−2を枠体31に接着することにより、複数の電子モジュール10を孔部32内部に配置でき、製造工程を短縮することができる。
【0041】
(第3実施形態)
次に、本発明を適用したカードの第3実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第1,2実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
図7は、第3実施形態の電子モジュール10及び枠体31のアッセンブリ330の平面図、断面図である。
アッセンブリ330は、縦方向Yに長い1枚の接着シート320を備えている。
接着シート320は、縦方向Yに2列に配列された複数の電子モジュール10が接着され、さらに、枠体31に接着されている。
これにより、本実施形態のカードは、2列の電子モジュールを孔部32に配置できるので、第2実施形態よりも製造工程をさらに短縮することができる。
【0042】
(第4実施形態)
次に、本発明を適用したカードの第4実施形態について説明する。
第1実施形態のカードが枠体31に電子モジュール10を取り付けたのに対して、第4実施形態のカードは、表シート43(積層シート)側に電子モジュール10を取り付けたものである。
図8は、第4実施形態の電子モジュール10及び表シート43の平面図、断面図である。
なお、図8には、電子モジュール10は、左側X1のみ破線で示すが、右側X2にも同様に配列されている。
図9は、第4実施形態のカードの製造方法を説明する図である。
【0043】
第4実施形態のカードの各部品の形態は、第1実施形態とほぼ同様である。
以下、第4実施形態のカードの製造方法について説明する。
(接着シート電子モジュール取り付け工程(保持部電子部品取り付け工程))
図8に示すように、第1実施形態と同様に、接着シート420を電子モジュール10に位置決めして取り付ける。接着シート420の貼り付け面は、第1実施形態とは逆であり、上側Z2である。
(接着シート表シート接着工程(保持部積層シート取り付け工程))
接着シート420を表シート43(積層シート)に、表示部12と表シート43の窓部43aの位置が一致するように、位置決めして取り付ける。なお、図8(b)には、窓部43aの位置を示すために、印刷層43bを図示した。
電子モジュール10は、接着シート420が表シート43の裏面に接着されることにより、表シート43に取り付けられる。表シート43の裏面には、接着シート420が接着される。電子モジュール10及び表シート43の位置決めは、作業者が表示部12及び窓部43aを目視で確認して行ってもよく、表シート43の裏面に接着シート420の外形を印刷しておいてもよい。
これにより、表示部12及び表シート43の窓部43aの位置が一致する。
【0044】
(積層工程)
図9に示すように、積層工程は、裏面シート積層工程♯401、接着材充填工程♯402、表シート積層工程♯403(積層シート積層工程)の順に行われる。
・裏面シート積層工程♯401
図9(a)に示すように、枠体31の裏面(他方の面)に、裏シートを積層する。
・接着材充填工程♯402
図9(b)に示すように、枠体31の孔部32内部に接着材42を充填する。
・表シート積層工程♯403
図9(c)に示すように、表シート43を枠体31に位置決めして積層する。位置決めは、例えば、枠体31の外形を表シート43に印刷等で設けておけばよい。これにより、電子モジュール10が孔部32内の規定位置に配置される。
【0045】
本実施形態では、前述した接着シート表シート接着工程で、電子モジュール10及び表シート43を既に位置決めしているので、表シート43及び枠体31の位置決め精度をある程度下げることができるため、製造工程をさらに短縮することができる。
なお、本実施形態とは逆に、表シート43を先に枠体31に積層して、孔部32に接着材42を充填してもよい。
【0046】
(加圧工程♯404、接着材硬化工程♯405、切断工程)
加圧工程♯404、接着材硬化工程♯405(図9(d)参照)、切断工程は、第1実施形態の加圧工程♯4、接着材硬化工程♯5、切断工程♯6と同様である(図3、図5参照)。
【0047】
以上説明したように、本実施形態のカードは、表シート43側に電子モジュール10を取り付けて製造できる。この場合であっても、第1実施形態と同様に、工程を複雑にすることなく、表面の段差を低減できる。
なお、本実施形態のカードは、接着シート420の形状を変更することにより、第2及び第3実施形態と同様に変形できる。この場合にも、接着シート420の電子モジュール10に対する位置決めは、接着シート420等に目印線等を設けることにより行うことができ、また、表シート43及び枠体31の位置決めは、表シート43等に目印線等を設けることにより行うことができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0049】
(変形形態)
実施形態において、電子モジュールは、保持部として、接着シートを備える例を示したが、これに限定されない。例えば、電子モジュールの基板をフレキシブルタイプのものを用いる場合には、基板を接着シートに対応したサイズまで大きくして、保持部として、基板を枠体に対して両面テープ、接着材等によって保持する保持部分を設けてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 電子モジュール
12 表示部
20,220−1,220−2,320,420 接着シート
30,230,330 アッセンブリ
31 枠体
32 孔部
45 積層体
40 カード
41 裏シート
42 接着材
43 表シート
43a 窓部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードを製造する工程で製造される枠体及び電子部品の組み合わせであって、
製造されるカード外形よりも大きな孔部を有する枠体と、
前記孔部の規定位置に配置された状態で、前記枠体に対して保持される電子部品とを備えること、
を特徴とする枠体及び電子部品の組み合わせ。
【請求項2】
請求項1に記載の枠体及び電子部品の組み合わせにおいて、
前記電子部品は、前記孔部の規定位置に配置された状態で、前記枠体に対して保持される保持部を備えること、
を特徴とする枠体及び電子部品の組み合わせ。
【請求項3】
請求項2に記載の枠体及び電子部品の組み合わせにおいて、
前記枠体は、複数の孔部が設けられ、
複数の前記電子部品が、前記複数の孔部に収容され、
前記カードは、多面取りされること、
を特徴とする枠体及び電子部品の組み合わせ。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の枠体及び電子部品の組み合わせにおいて、
前記電子部品は、表示部を備え、
前記保持部は、前記表示部が前記孔部の規定位置に配置されるように、前記電子部品を保持すること、
を特徴とする枠体及び電子部品の組み合わせ。
【請求項5】
請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の枠体及び電子部品の組み合わせにおいて、
前記保持部は、接着シートであること、
を特徴とする枠体及び電子部品の組み合わせ。
【請求項6】
請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載の枠体及び電子部品の製造方法であって、
前記保持部を前記電子部品に、位置決めして取り付ける保持部電子部品取り付け工程と、
前記保持部を前記枠体に位置決めして取り付け、前記電子部品を前記孔部の前記規定位置に配置する保持部枠体取り付け工程とを備えること、
を特徴とする枠体及び電子部品の製造方法。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の枠体及び電子部品の組み合わせを用いたカードの製造方法であって、
前記枠体及び前記電子部品の組み合わせの表裏に表シート及び裏シートを積層して積層体を作製する積層工程と、
前記積層工程内に設けられ、前記枠体の前記孔部内部に接着材を充填する接着材充填工程と、
前記積層工程で積層した前記積層体の前記表シート及び前記裏シートを加圧して前記枠体に当接させることにより、前記表シート及び前記裏シートの厚み方向の位置決めをし、前記孔部内部に前記接着材を充填する加圧工程と、
前記加圧工程で加圧した前記積層体をカード外形に切断する切断工程とを備えること、
を特徴とするカードの製造方法。
【請求項8】
カードを製造する工程で製造される枠体及び電子部品の組み合わせであって、
製造されるカード外形よりも大きな孔部を有する枠体と、
前記枠体の一方の面に積層される積層シートとを備え、
電子部品は、前記積層シートに対して保持される保持部を備え、
前記保持部は、前記枠体及び前記積層シートが積層された状態で前記電子部品が前記孔部の規定位置に配置される位置に、前記電子部品を前記積層シートに対して保持すること、
を特徴とする枠体及び電子部品の組み合わせ。
【請求項9】
請求項8に記載の枠体及び電子部品の製造方法であって、
前記保持部を前記電子部品に、位置決めして取り付ける保持部電子部品取り付け工程と、
前記保持部を前記積層シートに、位置決めして取り付ける保持部積層シート取り付け工程と、
前記保持部を前記枠体に位置決めして取り付けて、前記電子部品が前記孔部内部の規定位置に配置されるように、前記積層シートを前記枠体に積層する積層シート積層工程とを備えると、
を特徴とする枠体及び電子部品の製造方法。
【請求項10】
請求項8に記載の枠体及び電子部品の組み合わせを用いたカードの製造方法であって、
前記枠体の他方の面に、他のシートを積層して積層体を作製する積層工程と、
前記積層工程内に設けられ、前記枠体の前記孔部内部に接着材を充填する接着材充填工程と、
前記積層工程で積層した前記積層体の前記積層シート及び前記他のシートを加圧して前記枠体に当接させることにより、前記積層シート及び前記他のシートの厚み方向の位置決めをし、前記孔部内部に前記接着材を充填する加圧工程と、
前記加圧工程で加圧した前記積層体をカード外形に切断する切断工程とを備えること、
を特徴とするカードの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−54655(P2013−54655A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193851(P2011−193851)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】