説明

架橋されたポリエチレン製品とその製造法

強度の高い、柔軟性のある架橋されたポリエチレン(PEX)物質が提供される。ここでベースポリマーは、このポリマーの非晶領域に影響を与えかつこのベースポリマーの結晶部分には殆ど影響を及ぼさないポリマーの修飾剤と混合されている。その結果、非晶領域の密度は低くなり、最終製品は柔軟性が大きくなる。一方、このポリマーの架橋を受けた分子構造及び/又は結晶部分は、このベースポリマーの強度を決めるものであるが、強度は変わらない。このポリマー修飾剤はPAO、分類IIIのベースストック、またはガスツーリキッド炭化水素のような炭化水素流体を含むことができる。このプラスチック材料は、管類、パイプ類、気体、液体等の輸送管など、また被覆体及び絶縁体のようなワイヤー及びケーブルの外被の製造で特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明者
Robert G. Russell, Rodney Mize, Gary Lee Runyan, Bruce A. Harrington, Bryan R. Chapman, David B. Dunaway, 及びGerd Arthur Allermann
関連する出願に基づく優先権の主張と相互参照
本出願は、2007年6月21日出願のUS 60/936,577及び2008年1月15日出願のUS61/021,277に基づく優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
本出願は、一般に、柔軟性が改善された高圧のかかる用途で多く使用されるプラスチック材料とそのような材料を製造する方法、及び特に、ベースポリマーの構造及び/又はこのプラスチック材料の強度に悪影響を与えることなくプラスチック材料の柔軟性を大きくするためにベースポリマーに修飾剤を添加することに関する。
【0003】
プラスチック部分の柔軟性を大きくする一般的技術は、比較的低い密度のポリマー又はより非晶性のポリマー、例えばプラストマーをベースの樹脂に加えて、プラスチックの部分を形成することである。現在使用されているプラストマーは、製品の柔軟性を効果的に大きくするが、プラストマーはプラスチック材料のベースポリマー構造に悪影響を与えることがあるので、このプラスチックの強度を下げる短所がある。特に、プラストマーは通常、非晶構造を大きくすることによりプラスチック材料の強度を低下させる。
【0004】
架橋されたポリエチレンは、時に、PEXまたはXL-PEと呼ばれ、多くの一般的用途がある良く知られたプラスチック材料である。PEXは、防火、配管、気体の配送等の種々の用途で使用するため管類、導管、パイプ類の製造で広く使用されている。凍結温度以下から93℃(200°F)までにわたる温度におけるPEXの柔軟性と強度によりPEXは熱水または冷水の配管システム、温水放熱式循環暖房システム、融雪用途、アイススケート場及び冷蔵倉庫に用いる理想的なパイプ材料である。
【0005】
PEXの一般的用途はバリアーパイプの製造である。バリアーパイプは家庭の暖房システムで使用されるプラスチックの水用パイプである。このパイプは酸素がこの材料を浸透して水系に入ることを防ぎ、腐食の危険性を低減するバリヤーを付けて製造される。この酸素バリアー層は普通、このパイプの外層と内層の間に結合された樹脂材料である。
【0006】
別の架橋ポリエチレンの一般的用途は、例えば絶縁又は被覆のような外被等のワイヤーとケーブル用である。
【0007】
PEXの製造では、ポリエチレン巨大分子の間の架橋は、架橋された分子が極端な温度や化学物質の攻撃に対しより頑丈にし、クリープ変形に対してより大きい抵抗性をもつように形成される。例えばワイヤーとケーブル用途のような高度に充填されているブレンドでは、PEは必ずしも緊密に架橋しなければならないと考えられていない。しかし、本発明の目的では、カップリングし、結合をし、又はグラフトしている充填系は本明細書に述べる目的においては架橋されており、かつ、架橋ポリエチレンの定義の範囲内に含まれる。
【0008】
バリアーパイプのような、ある用途のPEXパイプの柔軟性を、特定の柔軟性の目標に達するように大きくしようとするとき、これまで使用されたプラストマーの添加水準は、材料組成物全体の普通、重量の20パーセントを超え、高くなければならなかった。プラストマーの多量の添加はベースPEXポリマー構造を稀釈した。その結果、最終のパイプは加圧耐性に乏しく、通常必要な加圧試験に不適合となり高温での性質も損ねることが多かった。
【0009】
例えばポリオレフィンのような準結晶性材料は非晶相と結晶相をもつとして特徴付けられる。その性質の多くはこれら2つの相の量と形態から生じる。例えば、硬度と強度は結晶性が大きくなると大きくなり、例えば柔軟性や靭性は結晶性が低くなると大きくなる。これはプラスチックのような高結晶性材料、プラストマーのような中間的な材料及びエラストマー又はゴムのような低結晶性材料について一般的に当てはまる。
【0010】
多くの半結晶性材料、及び特に半結晶性ポリオレフィンプラスチックでは強度と硬度はこのポリマーの結晶相から生じる。この結晶性は分子間連結鎖の硬い塊の架橋点として働く。形成された全体的な網目構造は応力が加えられたとき変形に抵抗性を与える。プラスチックでは、これは高い硬度と向上した強度となる。この半結晶性ポリオレフィンの柔軟性と靭性は分子鎖が無秩序にもつれている非晶相から生じる。もつれた分子鎖が動く自由度はポリマーが衝撃を吸収し、しなる機構を与える。良好な靭性または柔軟性が結晶性を減少させることにより達成される場合、多くのポリマー用途に好ましい性質のバランスが達成される。しかし、結晶性を低下させるとポリマーの強度と硬度を下げる。逆に、より強い、硬い半結晶性材料は靭性と柔軟性を犠牲にして結晶性を増大することにより得られる。
【0011】
性質のこのバランスを広げ靭性または柔軟性を犠牲にせずに強度または硬度を増大させる一方法がポリマーの非晶部位の分子鎖を架橋することである。これはポリエチレンの結晶性または硬度を大きくせずにより高い架橋網目構造の密度を作り出す。エチレンホモポリマーとコポリマーでは、この分子鎖は過酸化物のフリーラジカル化学、シラン化学、e-線のような高エネルギー放射によるラジカル形成、及び他の方法等の多くの方法で架橋できる。
【0012】
さらに性質のこのバランスに影響を与えるために、修飾剤又は可塑剤のポリマーへの添加は材料を柔軟にし柔軟性を改善するために使用されることが多い。この修飾剤がホストポリマーと適合する必要があり、修飾剤は一般的にホストポリマーの結晶相から排除されホストポリマーの非晶相で主に留まることが理解されている。典型的な修飾剤は、プラストマーのような高分子量、低い密度のコポリマー、リアクターコポリマー(R-COPO’s)のほか、鉱油、ホワイト油及びパラフィン油のような低分子量流体修飾剤のであり得る。
【0013】
しかし、半結晶性ポリオレフィンがより結晶性となり、プラスチック状となるにつれて、それらを修飾することはより難しくなる。この理由のひとつは、修飾剤が留まる非晶相がはるかに小さいことであり、別の理由はホストポリマーとの適合性が低くなることが多いことである。
【0014】
熱可塑性ブレンドまたはPEXの両者中のHD、メタロセン、LD及びLL等のPEの性質を修飾するために従来使用された一つの方法はリアクターコポリマー(R-COPO’s)またはエチレンブテン(EB)またはエチレンオクテン(EO)プラストマーのような低密度コポリマーを加えることであった。HDPEへ加える場合、これらの物質はは不適合であり、ホストポリマーの非晶相内でゴム領域から分離することが多い。得られる二相の形態をもつポリマーは、ある場合には衝撃耐性を与えることができるが、これらの高分子量ポリマー修飾剤は、また低い加工性、架橋効率の損失、靭性の減少のような好ましくない性質も持ち込む。これらは混合することが比較的困難であることが多く、切断耐性を低くし、形態の微妙な調整を要し、ホストポリマーと適合性の問題を引き起こすことが多い。加えて、より柔軟なポリマー修飾剤を加えると一般的に引張特性を低くするが、非効率的である。ホストポリマーでの張力特性を変化させるために相当量のゴム修飾剤を要することが多い。結局、柔軟性を改良するためにゴム修飾剤を使用することは効率的ではない。
【0015】
熱可塑性PEまたはPEXの性質を修飾する別の方法は鉱油、ホワイト油、パラフィン油のような流動性修飾剤を加えることである。しかし、架橋されたポリオレフィンに典型的な可塑剤を使用するときに生じる一つの問題は硬化系の効率を下げるように作用することである。この効果に対処するために、使用するこの流動性修飾剤の量を制限するか、望む架橋密度と物性を得るために使用する硬化剤の量を増やさなければならない。
【0016】
典型的な鉱油の修飾剤により生じる別の問題はホストポリマーとの適合性である。典型的な修飾剤は広い分子量分布(MWD)と複雑な組成をもつので、ホストポリマーの表面へ広がる極性成分と低分子量の種がある。この修飾剤は表面へ移動するので、ホストポリマー中のその濃度は時間とともに減少し、ポリマーの性質は大きく変わりうる。この例ではこの修飾剤は低い保留性を持つといわれる。
【0017】
DE1769723は種々のオイル、電気ケーブル用への使用が知られている、混合された架橋PE組成物を開示している。
【0018】
WO2004/014988、WO2004/014997、US2004/0054040、US2005/0148720、US2004/0260001、US2004/0186214は多くの用途用の、非官能性可塑剤と種々のポリオレフィンとのブレンドを開示している。
【0019】
米国特許第2006/0247331と米国特許第2006/0008643号は多くの用途用の、ポリプロピレンと非官能性可塑剤とのブレンドを開示している。
【0020】
WO2006/083540はポリエチレンと非官能性可塑剤とのブレンドを開示しているが、多くの用途用のPE-Xと非官能性可塑剤の具体的なブレンドは示していない。
【0021】
ワイヤーとケーブル用のシラン架橋ポリエチレンがUS7,153,571に開示されている。
【0022】
関連する他の参考文献はUS2001/0056759、US5,728,754、EP0757076A1、EP0775970A1、US5,494,962、US5,162,436、EP0407098B1、EP0404011A2、EP0344014A2、US3,415,925、US4,536,537、US4,774,277、JP56095938 A、EP0046536B1及びEP0448259B1を含む。
【発明の概要】
【0023】
驚くべきことに、架橋されたポリエチレン(PEX)に、ある液体炭化水素修飾剤を使用すると架橋効率を下げず、PEXで例外的に高い保留性と適合性をもち、架橋網目構造の密度を下げることなく、持続して優れた性質の修飾を与えることが見出された。
【0024】
本発明はプラスチック材料の柔軟性を大きくするためにベースポリマーにポリマー修飾剤を添加し、ここでこの修飾剤は架橋に悪影響を及ぼさずまたは好ましくないようにプラスチック材料のベースポリマーの構造と/または強度に影響しない。ある実施態様ではポリマー修飾剤はポリマーの非晶領域にのみ影響し、ベースポリマーの架橋を受けた分子構造及び/又は結晶性部分に干渉しないことが理論付けられている。
【0025】
一実施態様では、本発明は架橋されたポリエチレン製品を成型する方法を提供する。この方法は(1)柔軟性を与える量の非官能性可塑剤(NFP)とポリエチレン樹脂を混合し;(2)このブレンドを製品の形になるよう加工し;そして(3) このブレンドを架橋して架橋されたポリエチレン製品をつくる、ことを含む。このNFPは120より大きい粘度指数、100℃で3から300cStの動粘性率、-20℃より低い流動点、0.86より低い比重、200℃より高い引火点を持つことができ、このNFPは水酸基、アリール基、置換アリール基、ハロゲン、アルコキシ基、カルボキシレート基、エステル基、アクリレート基、酸素、窒素、カルボキシ基から選択される官能基をNFPの重量に基づき5重量%未満含み、オレフィン結合に含まれるNFPの炭素の数は、NFPの総炭素数の5%未満である。
【0026】
この方法の一実施態様では、このポリエチレン樹脂は少なくとも50モル%のエチレン単位と20モル%未満のプロピレン単位を含むエチレンに基づくポリマーを含むことができる。このポリエチレン樹脂は低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン及びそれらの組合せからなる群から選択できる。
【0027】
この方法の一実施態様では、加工段階でブレンドはポリエチレン樹脂とNFPの混合物の連続的な均一なマトリックス相を有すことができる。またはあるいはさらに、このブレンドはこのブレンドのポリマー成分の重量の少なくとも95重量%のポリエチレン樹脂を含み得る。
【0028】
本方法のある実施態様では、このNFPはこのポリエチレン樹脂の重量の約0.5から約10重量パーセントを、好ましくは0.5から5重量パーセントを含む。このNFPはポリアルファオレフィン(PAOs)、分類IIIのベースストックまたは鉱油、ガスツーリキッド法(gas-to-liquid process)による高純度炭化水素流体(GTLs)及びそれらの組合せから選択できる。ある実施態様では、このNFPはC5からC14オレフィンのオリゴマーを含み得る。ある実施態様では、このNFPは分類IIIのベースストックを含むことができ、100℃で4から50 cStの動粘性率をもち、400から1,000g/moleの数平均分子量(Mn)、またはそれらの組合せをもつ。ある実施態様では、NFPはフィッシャートロプシュ炭化水素及び/又はロウ由来のパラフィン系組成物を含むことができ、これらには100℃で約3cStから約500cStの動粘性率をもつ、ワックスイソメレート潤滑油ベースストックとガスツーリキッドベースストックが含まれる。
【0029】
本法のある実施態様では、この混合は溶融流体中での混合を含むことができる。いくつかの実施態様では、NFPはこの溶融流体の外側に添加され、他の実施態様ではNFPはこの溶融流体の内部へ添加される。この溶融流体は単軸スクリュー押出機でのコンパウンディングを含み得る。
【0030】
この方法の一実施態様では、この混合はこのブレンドに硬化剤系を導入することを含み得る。この硬化系は過酸化物の分解点より低い温度でこのブレンドに導入することを含むことができ、架橋はこの過酸化物の分解点より高い温度にこのブレンドを加熱することを含み得る。ある実施態様における架橋は押出機の下流での連続的加硫法を含み得る。別の実施態様でのこの架橋はエンゲル(Engel)法を含み得る。ここでは過酸化物が導入された後に、架橋された押し出物を作るため、ブレンドは過酸化物の分解温度より高い温度に維持されたヘッドを押し通る。
【0031】
この方法の別の実施態様では、この硬化系は水分により硬化するシラン化合物を含むことができ、このブレンドは成型された製品を水分に晒すことにより硬化できる。この水分への暴露は成型された製品を蒸気及び又は約40℃より高い熱水と接触させることを含み、またはこの水分は冷水バス(10℃未満)または氷の形態でも良い。別の実施態様では、空気中の水分又は湿度がシランを硬化反応させる。このシラン化合物はポリエチレン樹脂中のリアクターコポリマーに共重合できるコモノマーとして導入できる。混合は水分により硬化反応する触媒を含有するマスターバッチをブレンドへ導入することを含むことができる。代わりに、又は、追加して、このシラン化合物は反応的押し出しによりポリエチレン樹脂へグラフトでき、そしてこのグラフトを受けた樹脂は水分により硬化反応する触媒を含有するマスターバッチと混合できる。ある実施態様では、この方法はシラン化合物と架橋触媒が単軸押出機に導入される1ステップ法を含むことができる。または、あるいは加えて、この方法はこのシラン化合物と架橋反応触媒が別の押出機でブレンドに連続的に導入される2段階法を含み得る。
【0032】
本法の実施態様では、架橋は成型した製品の電子線放射を含み得る。
【0033】
別の実施態様では、本発明は上記の方法により製造された架橋されたポリエチレンの製品を提供する。この架橋されたポリエチレン製品は管類でありえる。または、加えて、この架橋されたポリエチレンの製品は、パイプ、導管、ワイヤー絶縁及び被覆、ケーブルの絶縁と被覆等から選ぶことができる。ある実施態様における架橋されたポリエチレン製品は押し出し物であり得る。
【0034】
別の実施態様では、本発明は管類として有用である組成物である。この組成物は、不可欠に、約0.5から約10重量パーセントのNFP層とブレンドされたPEXからなる少なくとも1つの層を含み得る。このNFPは120より大きい粘度指数、100℃で3から300cStの動粘性率、-20℃より低い流動点、0.86未満の比重、200℃より高い引火点を持つことができる。このNFPは、NFPの重量に基づき、水酸基、アリール基、置換アリール基、ハロゲン、アルコキシ基、カーボキシレート基、エステル基、アクリレート基、酸素、窒素及びカルボキシル基から選択された0.1重量パーセント未満の官能基を含み得る。オレフィン性結合に含まれるNFPの炭素数はNFPの炭素数の総数の5%未満であり得る。ある実施態様では、このNFPはPAO、分類IIIのベースストック又は鉱油、GTL及びそれらの組合せから選択されえる。
【0035】
ある実施態様では、この組成物はパイプの形状であり得る。このパイプは複数の層を含み、PEXは一層を構成しうる。ある実施態様では、この組成物は管状の形であり得る。ある実施態様では、この組成物はワイヤー又はケーブルの絶縁または被覆を含みえる。
【0036】
ある実施態様では、この組成物は熱水と冷水配管システム、温水放熱式循環暖房システム、融雪装置、アイススケート場の配管及び配線、冷蔵倉庫の配管と配線等から選択される構造中にある管状物を含み得る。この管状物は対応するNFPを有さない対応する非柔軟性管状体よりも少なくとも10パーセント以上柔軟性が高くありえる。
【0037】
本組成物のある実施態様では、NFPはC5からC14のオレフィンのオリゴマーを含み得る。代わりに、あるいは追加してNFPは第III分類のベースストックを含むことができ、100℃で4から50cStの動粘性率、400から1000g/モルの数平均分子量(Mn)、又はそれらの組合せをもち得る。代わりに、または、追加してこのNFPは、フィッシャートロプシュ炭化水素及び/又はロウに由来するパラフィン系組成物を含み得、これらには、100℃で約3cSTから約500cStの動粘性率をもつ、ワックスイソメレート潤滑油ベースストック及びガスツーリキッドベースストックが含まれる。
【0038】
本組成物のある実施態様では、架橋されたポリエチレンは少なくとも50モル%のエチレン単位と20モル%未満のプロピレン単位を含むエチレンベースポリマーを含むポリエチレン樹脂中にNFPをブレンドしたものを架橋することにより得られる。このポリエチレン樹脂は低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等及びそれらの組合せから選択されえる。
このブレンドはポリエチレン樹脂とNFPの連続的な混合物の均一なマトリックス相を有することができる。このブレンドはブレンドのポリマー成分の重量で少なくとも95重量パーセントのポリエチレン樹脂を含み得る。
【0039】
本組成物のある実施態様では、このブレンドは有機過酸化物で架橋されえる。代わりに、または追加して、このブレンドはシラン化合物と水分による硬化により架橋されえる。このブレンドは、水分硬化触媒を含有するマスターバッチと良く混合された混合物を含み得る。代わりに或いは追加して、ポリエチレン樹脂は共重合できるシラン化合物を含む反応器コポリマーを含み得る。代わりに或いはさらに、このブレンドは反応的押し出しによりポリエチレン樹脂にシラン化合物をグラフトでき、これと良く混ざる混合物に水分硬化反応触媒を含有するマスターバッチを含み得る。代わりにあるいは加えて、このブレンドは電子線放射により架橋されえる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は下記の実施例2−4に述べられたような発明の実施態様に従い0.5から4.5重量%の修飾剤を含有する架橋ポリエチレン(PEX)の屈曲力と破裂圧をプロットしている。
【図2】図2は下記の実施例2−4に述べられたような発明の実施態様に従い0.5から4.5重量%の修飾剤を含有するPEXの架橋効率の尺度としてのゲルの含量を示す。
【図3A】図3Aは、対照例4で記載のように比較をするため80rpmの押出機の回転、140℃/180℃/200℃/185℃の温度プロファイルにより調製された液体修飾剤を含まないワイヤーとケーブル用PEX調合物の粗い表面の外観を示す顕微鏡写真である。
【図3B】図3Bは、本発明の実施態様に従い実施例14で述べられたように同一温度プロファイルとrpmを用いた実施例14(2.7重量%の修飾剤)のワイヤーとケーブルPEX調合物の比較的滑らかな表面の外観を示す写真である。
【図3C】図3Cは図3Bの材料が本発明の実施態様に従い硬化されるとき、得られる表面のプロファイルの一層の改善を示す写真である。
【図3D】図3Dは本発明に従い100℃/160℃/220℃/200℃の温度プロファイルを使用して図3Cから得られる表面のプロファイルのさらなる改善を示す写真である。
【図4】図4は下記の実施例21-23に記載されたように本発明に従い修飾剤を含んだPEXパイプと含まないPEXパイプにおいて重量損失対時間をプロットしている。定義
【0041】
本発明とそれに関する特許請求の範囲については、ポリマー又はオリゴマーがオレフィンを含むといわれるとき、このポリマー又はオリゴマーに含まれるオレフィンはそれぞれそのオレフィンの重合またはオリゴマー化された形をいう。同様に用語ポリマーの使用はホモポリマーとコポリマーを含むことを意味する。加えて、用語コポリマーは2以上の化学的に異なるモノマーの種類を含むいずれのポリマーをも含む。例えば、本明細書では、用語「ポリエチレン」「エチレンポリマー」及び「エチレンベースポリマー」は少なくとも50モル%のエチレン単位(好ましくは少なくとも70モル%のエチレン単位、より好ましくは少なくとも80%のエチレン単位、さらに好ましくは少なくとも90モル%エチレン単位、さらに好ましくは少なくとも95モル%のエチレン単位又は100モル%のエチレン単位)を含み、20モル未満のポリエチレン単位(好ましくは、15モル%、好ましくは10モル%未満、好ましくは5モル%未満、好ましくは0モル%のプロピレン単位)を含むポリマーまたはコポリマーをいい、そのためエチレンコポリマーは下記に定義するエチレンプロピレンゴム(EPR)にはならない。
【0042】
本発明については、オリゴマーは10,000g/mole以下の数平均分子量(Mn)をもつと定義される。
【0043】
本発明とそれについての特許請求の範囲においては、0.86g/cm3以下の密度をもつエチレンポリマーはエチレンエラストマー又はエラストマーと呼ばれ、0.86より大きく0.910g/cm3未満の密度を持つエチレンポリマーはエチレンプラストマー又はプラストマーと呼ばれ;0.910から0.940g/cm3の密度をもつエチレンポリマーは低密度ポリエチレン(LDPE)と呼ばれ、不均一触媒を用いて作られたこの密度の範囲にあるエチレンポリマーをいう直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)及びフリーラジカル触媒を使用して高圧法で作られたこの密度範囲にあるエチレンポリマーを含む;また0.940g/cm3より大きい密度を持つエチレンポリマーは高密度ポリエチレン(HDPE)といわれる。
【0044】
本発明とそれに関する特許請求の範囲については、EPゴムまたはEPRはエチレンとプロピレン及び任意にジエンモノマーを含むコポリマーであり、化学的に架橋され(つまり、硬化され)あるいはされず、エチレンの含量は35から80重量%、ジエンの含量は0から15重量%、及び残りはプロピレンであると定義される。;この場合コポリマーは、(ASTM D1646に従い測定したとき)15から100のムーニー粘度、ML(1+4)125℃を持つ。本発明とこれに関する特許請求においてはEPDMまたはEPDMゴムはジエンを含むEPRであると定義される。
【0045】
本発明においては、液体は0℃より高い明確な融点、好ましくは、-20℃より高い明確な融点をもたず;100℃で3000cSt以下の動粘性率、好ましくは、1000cSt以下及び/又は40℃で35,000cSt以下、好ましくは10,000cSt以下の動粘性率をもつ流体であると定義される。
【0046】
本発明とそれに関する特許請求の範囲については、分類I、II及びIIIのベースストックは以下の性質を持つ鉱油であると定義される。

【0047】
重量%飽和度、重量%硫黄、粘度指数は以下のASTM D2007、ASTM D2622、及びASTM D2270に従いそれぞれ測定される。
【0048】
本発明とそれに関する特許請求の範囲について分類IVのベースストックはポリアルファオレフィン(PAO’s)であると定義され、これは、5以上の炭素原子をもつ、好ましくは、6以上の炭素原子をもつ、好ましくは8以上の炭素原子を持つ直鎖アルファ-オレフィンの触媒的オリゴマー化又は重合により製造される炭化水素液体である。このPAOはイソタクチシティーまたはシンジオタクチシティータクチシティーのいずれかの程度により特徴付けられても良く、及び/またはアタクチックでも良い。別の実施態様では、このPAOは、13C NMRで測定したとき50%より大きいメソ2連子、好ましくは60%より多く含む。別の実施態様では、このPAOは、WO2007011459A1に従い又はこれに記載されているように測定する場合、13C NMRで測定したとき50%より多くラセミ2連子を、好ましくは60%より多くラセミ2連子を含む。
【0049】
本発明とそれに関する特許請求の範囲について、この用語鉱油はいずれの石油をベースとしたオイルも含み;最終オイルを得るため(蒸留、溶媒処理、水添処理及び/又は脱ロウのような)精製工程を経た原油から作られる。これは、また厳しい処理を経て高度に精製及び/又は修飾された石油ベースのオイルも含む。本発明とそれについての特許請求について、合成オイルは触媒及び/又は熱を使用してモノマー単位を組み合わせることにより製造されたオイルである。
【0050】
融点が言及され、融点の範囲がある場合、本発明とそれに対する特許請求については、融点は示差走査熱量測定(DSC)から得られるピーク融点であると定義される。また1以上の融点ピークがある場合に、これは、最高の温度で生じるピークではなく、第1及び第2の融点ピークの中で最も大きいピークについてのピーク融点をいい、その物質の熱量的な反応の最大の寄与を反映している部分である。
【0051】
本発明とそれに関する特許請求の範囲について、相対的な柔軟性は、本明細書で述べられるように曲げ試験の値の逆数の比をとって決定される。例えば、0.454MPaの曲げ試験の値をもつNFPを含む架橋を受けたポリエチレン(PEX)パイプのサンプルは、曲げ試験の値が0.5MPaである、NFPを含まない同一のPEXパイプよりも10%柔軟性が大きい。

発明の詳細な説明
【0052】
従って、本発明は一実施態様では、架橋されたポリエチレン(PEX)に関しており、ここでベースポリマーはこのポリマーの非晶領域に影響するポリマー修飾剤と混合され、このベースポリマーの結晶部分は影響を受けず又は実質的に影響を受けずに残る。従って、非晶領域の密度は低くなり、より可塑性のある最終製品となる。一方、ベースポリマーの強度を調節する架橋された分子構造及び/又はポリマーの結晶部分、及びまたは、最終製品は強度を維持する。ある非限定的な実施態様では、この修飾剤は、本明細書に定義されているような非官能性可塑剤(NFP)を含む。
【0053】
プラスチック物質を製造する方法の一実施態様はベースポリマーとNFPを混合することを含み得、好ましくは単軸スクリュー押出機の溶融流体の外側でNFPを混合する。本法の別の実施態様は、溶融流体にNFPを導入し、そして、任意に多軸スクリュー押出機又は射出成型可塑機を利用することを含む。実施態様に従い多孔性ペレットのような予め調合された担体を使用してNFPを導入することもできる。このNFP/ベース樹脂混合物は次に所期の製品に形に成型され架橋される。
【0054】
本出願は、PEX管状物、例えば、絶縁又は被覆等のような管類、導管、パイプ類、ワイヤー及びケーブルに関する用途用の製造に特に有用である。この管類は耐火、配管、加熱、ガス配給等のような種々の環境で使用できる。この管類はまた、家庭用加熱システム用のバリアーパイプの製造にも特に有用である。しかし、本発明は管状物での用途に限定されず、いずれのポリマー製品についても実施できる。
【0055】
このNFP修飾剤はこのポリマーの最終の架橋ゲルの水準を変えることなく低い水準で使用できる。これはいずれか他のポリマー添加剤又はプラストマーとは異なる利益を与える。先に述べたように、従来使用されたポリマー改質剤はこのポリマーの基本的な特性を変え、全体的なパイプの性能を低下させた。しばしば、望む柔軟性を得るために、他の添加剤の添加量は20-25%を超えなければならかった。これはASTM F876の静水力学的要件に適合しないパイプとなった。本明細書で使用する場合、不可欠に含むとは、この材料から作られたパイプがPEX規格、特にASTM F876の静水力学的要件に適合しない程度を限度として、エチレンポリマー及びNFP修飾剤以外の成分を含まない実施態様をいうことが意図されている。
【0056】
ある実施態様では、このポリエチレン/修飾剤組成物は、大きさの安定性が向上した製品にされる。パイプと管については、この大きさの安定性の向上により、より一定の壁の厚みを与えることができ、これは破裂強さ及び、ひび割れ耐性に驚くべき程大きい影響を与えうる。本発明は理論により限定はされないが、ポリエチレン/修飾剤組成物の大きさの安定化効果は修飾剤存在下でのポリエチレン分子のより速い緩和、及び分子鎖のより無秩序な配向を可能にするポリマーマトリックス内での可動性の改善による。この配向性の欠如は、例えば、そうでない場合、高度に配向したポリマーの場合に得られる機械方向の高い強度と横断方向の低い強度ではなく、むしろ全体的な強度を上げ、等方性を改善する。本発明の実施態様に従い、ポリエチレン/修飾剤組成物から作られる管又はパイプは、壁の厚みがもっと大きく変動する緩和時間の遅い他のポリエチレン組成物と比較して、内部応力が低くかつ/又はポリマー配向性が低い。
【0057】
ある実施態様では本発明は、1以上の修飾剤、好ましくは液体修飾剤とのブレンドの中で、又はその存在下、架橋された1以上のエチレンポリマーを含む架橋されたポリエチレン組成物に関する。
【0058】
通常、このエチレンポリマーは本発明の組成物に50重量%以上、別の実施態様では好ましくは50から99.9重量%、及びさらに別の実施態様では60から99.5重量%、さらに別の実施態様では70から99重量%、及びさらに別の実施態様では80から99重量%、さらに別の実施態様では90から99重量%、さらに別の実施態様では95から99重量%含まれ、ここで望ましい範囲は本明細書に述べられたいずれか上限の重量%と下限の重量%のいずれかの組合せでも良く、この重量%は本組成物の重量に基づく。
【0059】
別の実施態様では、このエチレンポリマーは、エチレンポリマーと修飾剤の重量に基づき、80から99.99重量%、または90から99.5重量%、または95から99重量%含まれ、修飾剤は20から0.01重量%、または10から0.5重量%、又は5から1重量%含まれる。
【0060】
別の実施態様では、このエチレンポリマーは本組成物に、組成物のポリマー成分の総重量(修飾剤、充填剤及び他の非ポリマー性の添加剤又は成分を除く。)の少なくとも50重量%、または少なくとも60重量%、又は少なくとも70重量%、または少なくとも80重量%、または少なくとも90重量%、または少なくとも95重量%、または少なくとも97重量%、または、少なくとも98重量%、または少なくとも99重量%、または少なくとも99.5重量%、または少なくとも99.9重量%で含まれる。
【0061】
別の実施態様では、本修飾剤は0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、別の実施態様では20未満から0.1重量%、及び別の実施態様では10から0.5重量%、及びさらに別の実施態様では5から1重量%含まれ、ここで好ましい範囲は本明細書に述べられたいずれかの上限の重量%と下限の重量%のいずれの組合せでも良く、この重量%は組成物の重量に基づく。
【0062】
本発明の好ましい実施態様は、可塑剤の保留性がASTM D1203(0.25mmの厚さのシート、70℃オーブンで300時間)により決定される場合、修飾を受けた組成物の重量は3%未満減少し、好ましくは2%未満減少し、好ましくは1%未満減少し、好ましくは0.5%未満減少し、好ましくは0.1%未満減少し、好ましくは0.05%未満減少し、好ましくは0.01%未満減少する。ここでは重量損失は、同一の試験条件下で修飾を受けていない架橋されたポリエチレンについて測定された重量の損失を超えた分の重量損失をいう。
【0063】
一以上の実施態様では、本組成物は、組成物の重量に基づき、10重量%未満のポリプロピレンポリマー、好ましくは7重量%未満、好ましくは5重量%未満、好ましくは4重量%未満、好ましくは3重量%未満、好ましくは2重量%未満、好ましくは1重量%未満を含む。プロピレンポリマーは少なくとも50モル%のプロピレンをもつポリマーである。別の実施態様では、本組成物はプロピレンポリマーを本質的に含まず、または本組成物は0%のプロピレンポリマーを含む。
【0064】
または、1以上の実施態様では、本組成物は、10重量%未満(好ましくは、5重量%未満、好ましくは、4重量%未満、好ましくは、3重量%、好ましくは2重量%未満、好ましくは、1重量%未満)の40℃以上の融点を持つプロピレンポリマーを含む。別の実施態様では、本組成物は融点が40℃以上の融点をもつプロピレンポリマーを本質的に含まない、または本組成物は40℃以上の融点をもつプロピレンポリマーを0%含む。
【0065】
別の実施態様では、本発明の架橋されたポリエチレン/修飾剤組成物は、組成物の総重量に基づき、10重量%未満(好ましくは5重量%未満、好ましくは4重量%未満、好ましくは3重量%未満、好ましくは、2重量%未満、好ましくは1重量%未満)のEPゴムを含む。別の実施態様では、本組成物は本質的にEPゴムを含まず、または組成物は0%のEPゴムを含む。
【0066】
別の実施態様では、本組成物は、本組成物の総重量に基づき、10重量%未満(好ましくは5重量%未満、好ましくは4重量%未満、好ましくは3重量%未満、好ましくは2重量%未満、好ましくは1重量%未満)のブテンポリマー(ブテンポリマーは少なくとも50モル%のブテンモノマーを有するポリマーである。)を含む。別の実施態様では、本組成物は本質的にブテンポリマーを含まず、または本組成物は0%のブテンポリマーを含む。
【0067】
別の実施態様では、このエチレンポリマーは0%のジエンを含む。別の実施態様では、本組成物中に含まれる全てのエチレンポリマーの総ジエン含量は0%である。別の実施態様では、このエチレンポリマーは30重量%未満のジエン、好ましくは20重量%未満、好ましくは10重量%未満、好ましくは5重量%のジエン、好ましくは2.5重量%未満、好ましくは1重量%未満(エチレンポリマーの重量に基づく)を含み、好ましくは、0.86g/cm3、好ましくは0.87g/cm3より大きい密度をもつ。
【0068】
別の実施態様では、架橋されたポリエチレン/修飾剤組成物は、組成物の重量に基づき、50重量%未満のエチレンエラストマー、好ましくは40重量%未満、好ましくは30重量%未満、好ましくは20重量%未満、好ましくは10重量%未満、より好ましくは5重量%未満、より好ましくは1重量%未満を含む。別の実施態様では、本組成物は本質的にエチレンエラストマーを含まず、または組成物は0%のエチレンエラストマーを含む。
【0069】
別の実施態様では、修飾剤は、組成物の重量で25重量%まで全エラストマー、プラストマー又はそれらの組合せを含む架橋されたポリエチレン/エラストマー組成物中の幾分か又は全てのエラストマー及び/又はプラストマーを置き換えるために使用される。一実施態様では、本発明の架橋されたポリエチレン/修飾剤の組成物は組成物の重量に基づき、エラストマー及び/又はプラストマーを、総重量で少なくとも0.1重量%から25重量%、好ましくは総重量で20重量%未満、好ましくは総重量で10重量%未満、好ましくは総重量で5重量%未満、及び好ましくは総重量で1重量%未満含む。別の実施態様では、本組成物はエラストマーとプラストマーを本質的に含まず、または本組成物は0%のエラストマーとプラストマーを含む。ある実施態様では、このポリエチレン/修飾剤組成物は、HDPE、LDPE、LLDPE、VLDPEまたはそれらの混合物から任意に選択された少なくとも一つのポリエチレンベースポリマー;NFP修飾剤;及びEPR、EPDM、EP、EB、EHEO、またはそれらの組合せからなる群から任意に選択された少なくとも一つのエチレンエラストマーまたはプラストマーを含む。ある実施態様では、架橋されたポリエチレン-修飾剤-エラストマー及び/又は-プラストマー組成物から作られた管状物(パイプ又は管)はASTM F876の静水力学的要件に適合する。
【0070】
別の実施態様では、この架橋されたポリエチレン/修飾剤組成物は、US6,639,020に開示されているもののように、さらにエチレンと1以上のアルファ-オレフィンのコポリマー又はコオリゴマーを含んでも良い。
【0071】
別の実施態様では、この発明の架橋されたポリエチレン/修飾剤組成物は、組成物の重量に基づき20重量%未満、好ましくは10重量%未満、好ましくは1重量%未満の、40℃で10,000cSt以下の動粘性率をもつイソプレン及びまたはブタジエンの液体ホモポリマーまたはコポリマーを含む。別の実施態様では、本組成物は40℃で10,000cSt以下の動粘性率をもつイソプレン及び又はブタジエンの液体ホモポリマー又はコポリマーを本質的に含まない、または本組成物は40℃で10,000cSt以下の動粘性率をもつイソプレン及び又はブタジエンの液体ホモポリマー又はコポリマーを0%含む。別の実施態様では、本発明の架橋されたポリエチレン/修飾剤組成物は、20重量%未満、好ましくは10重量%未満、好ましくは1重量%未満の40℃での動粘性率を2,000cStと20cStの間に有するイソプレン及び又はブタジエンの液体ホモポリマーまたはコポリマーを含む。別の実施態様では、本組成物は、40℃での動粘性率を2,000cStと20cStの間に有するイソプレン及び又はブタジエンの液体ホモポリマーまたはコポリマーを本質的含まない、または本組成物は0%の40℃での動粘性率を2,000cStと20cStの間に有するイソプレン及び又はブタジエンの液体ホモポリマーまたはコポリマーを含む。
【0072】
本明細書に記載された修飾剤は本発明の架橋されたポリエチレン組成物を調製するために少なくとも1つのエチレンポリマーと混合される。本発明の一局面では、エチレンポリマーベース樹脂はエチレンホモポリマー、エチレンコポリマー、及びそれらのブレンドから選択される。有用なコポリマーはエチレンに加え1以上のコモノマーを含み、ランダムコポリマー、統計的コポリマー、ブロックコポリマー、及び/またはそれらの混合物であっても良い。特に、エチレンポリマー成分が主要成分(例.50重量%より多い)である場合は、本明細書でベース樹脂として述べるエチレンポリマーブレンドは、1種以上のエチレンポリマーの物理的ブレンドまたは反応系で生じたブレンドまたはエチレンポリマー以外のポリマーとエチレンポリマーのブレンドでも良い。このポリエチレンはスラリー、溶液、ガス相、高圧又は他の適した方法により、ポリエチレンの重合に適した触媒系、例えばチーグラーナッタ型触媒、クロム触媒、メタロセン型触媒、他の適した触媒系またはそれらの組合せ、又はフリーラジカル重合を使用して作ることができるので、このポリエチレンを作る方法が決定的に重要であるわけではない。好ましい実施態様では、エチレンポリマーは、US6,342,566、US6,384,142、WO03/040201、WO97/19991及びUS5,741,563に述べられた触媒、活性剤及び方法により作られる。そのような触媒は本技術分野で良く知られており、例えばZIEGLER CATALYSIS(Gerhard Fink、Rolf Mulhaupt及びHans.H.Brintzinger編、Springer-Verlag,1995);Resconiら;及びI,II METALLOCENE-BASED POLYOLEFINS(Wiley & Sons 2000)に述べられている。
【0073】
本発明でベース樹脂として有用な好ましいエチレンホモポリマーとコポリマーは、ExxonMobil HDPE、ExxonMobil LLDPE、及びExxonMobil LDPEの販売名で販売されているもの;及びEXACTTM、EXCEED TM、ESCORENE TM、ESCOR TM、PAXON TM、及びOPTEMA TMの販売名で販売されているもの等のExxonMobil Chemical Company(テキサス州ヒューストン)により販売されている樹脂を含む。
【0074】
本発明のベース樹脂として有用な好ましいエチレンホモポリマーとコポリマーは、(1)サイズ排除クロマトグラフィーで測定したとき、20,000から2,000,000 g/モル、好ましくは30,000から1,000,000、より好ましくは40,000から200,000の重量平均分子量(Mw)、及び/または(2) サイズ排除クロマトグラフィーで測定したとき、1から40の分子量分布(Mw/MnまたはMWDまたはPDI)、好ましくは1.6から20、より好ましくは1.8から10、より好ましくは1.8から4、好ましくは8から25;及び又は(3)DSC法で決定したとき30°から150℃、好ましくは30°から140℃、好ましくは50°から140℃、より好ましくは60°から135℃の融点(Tm)(第一融点ピーク)、及び/又は(4)DSC法で測定したとき5から80%、好ましくは10から70、より好ましくは20から60%の結晶度、及び/又は(5) DSC法で測定したとき300J/g以下、好ましくは10から260J/g、より好ましくは20から200J/gの融解熱;及び又は(6)15°から300℃、好ましくは20°から120℃、より好ましくは25°から110℃、好ましくは60°から125℃;及び又は(7)30°から120℃、好ましくは40°から100℃、より好ましくは50°から80℃のたわみ温度;及び又は(8)10以上、好ましくは20以上、好ましくは30以上、好ましくは40以上、好ましくは100以下、好ましくは25から75まで(ASTM D2240により測定されたとき)のショアー硬度(Shore hardmess)(Dスケール);及び又は(9)DSC法で決定したとき少なくとも30%以上の、好ましくは40%以上の、または少なくとも50%のパーセント結晶度、及び/または(10)100からパーセント結晶度を差し引いて決定するとき、少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、さらに50%と95%の間、または70%以下、好ましくは60%以下、好ましくは50%以下の非晶質含量;及び/または(11)0.2から2.0の、好ましくは0.5から1.5、好ましくは0.7から1.1の分岐指数(g’);及び/または(12)0.85から0.97g/cm3の、好ましくは0.86から0.965 g/cm3の、好ましくは0.88から0.96 g/cm3、または0.860と0.910 g/cm3の間、または0.910と0.940 g/cm3の間、または0.94から0.965 g/cm3の間の密度をもつ。
【0075】
このポリエチレンベース樹脂はHDPEのような、エチレンホモポリマーでも良い。別の実施態様ではエチレンホモポリマーは40までの、好ましくは1.5から20の範囲MWDをもち、別の実施態様では1.8から10、及びさらに別の実施態様では1.9から5の、さらに別の実施態様では2.0から4のMWDをもつ。別の実施態様では、1%割線曲げ弾性率は200から1000MPa、別の実施態様では300から800MPa、さらに別の実施態様では400から750MPaの範囲にあり、望ましいポリマーはいずれかの下限曲げ弾性率といずれかの上限曲げ弾性率のいずれかの組合せを示しても良い。ベース樹脂として使用される好ましいエチレンホモポリマーのメルトインデックス(MI)は、ASTM D1238(190℃,
2.16kg)により測定したとき一実施態様では0.05から800 dg/分の範囲にあり、別の実施態様では0.1から100 dg/分である。好ましくはこのベース樹脂のMIは少なくとも1 dg/分である。
【0076】
本発明の別の実施態様では、エチレンポリマーベース樹脂はエチレンコポリマーであり、エチレンと、C3からC20α-オレフィン、通常はC3からC10α-オレフィンから選択された1以上のコモノマーのランダムまたはブロックコポリマーである。一実施態様では、好ましくは、コモノマーはコポリマーの0.1重量%から50重量%で含まれ、別の実施態様では0.5から30重量%、さらに別の実施態様では1から15重量%、及びさらに別の実施態様では0.1から5重量%で含まれ、ここで望ましいコポリマーはエチレンとここに記載されたいずれか上限の重量%といずれか下限の重量%のいずれかの組合せでC3からC20のα-オレフィン由来の単位を含む。好ましくは、エチレンコポリマーは一実施態様では8,000g/モルより大きいMwをもち、別の実施態様では10,000g/モルより大きく、さらに別の実施態様では12,000g/モルより大きく、さらに別の実施態様では20,000 g/モルより大きく、さらに別の実施態様では1,000,000g/モル未満、さらに別の実施態様では800,000g/モル未満のMwをもち、好ましいコポリマーはここに記載されたいずれかの上限の分子量といずれかの下限の分子量を含んでも良い。
【0077】
別の実施態様では、このベース樹脂のエチレンコポリマーはエチレンとC3からC20の直鎖、分岐または環状モノマーからなる群から選択される1以上の他のモノマーを含み、いくつかの実施態様ではC3からC12の直鎖または分岐したα-オレフィン、好ましくはブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、4-メチル-ペンテン-1、3-メチルペンテン-1、3,5,5-トリメチル-ヘキセン-1等である。このモノマーは50重量%まで、好ましくは0から40重量%まで、より好ましくは0.5から30重量%まで、より好ましくは2から30重量%まで、より好ましくは5から20重量%まで含まれても良い。
【0078】
本発明のベースポリエチレン樹脂として有用なエチレンコポリマーのコモノマーとして有用な好ましい直鎖のα-オレフィンは、C3-C8アルファ-オレフィン、より好ましくは、1-ブテン、1-ヘキセン及び1-オクテンを含み、より好ましくは、1-ヘキセンを含む。好ましい分岐アルファ-オレフィンは4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン及び3,5,5-トリメチル-1-ヘキセン、5-エチル-1-ノネンを含む。好ましい芳香族基含有コモノマーは、30個までの炭素原子を含む。適した芳香族含有モノマーは少なくとも1個の芳香族構造、好ましくは1個から3個、より好ましくは、フェニル、インデニル、フルオレニル又はナフチル部位を含む。この芳香族基含有モノマーはさらに、少なくとも1つの重合性二重結合を含み、重合後この芳香族構造はポリマー骨格からぶら下がる。この芳香族基含有モノマーはさらに一以上のC1からC10アルキル基を非限定的に含む一以上のヒドロカルビル基で置換されても良い。加えて、2つの隣接する置換基が結合して環構造を形成しても良い。好ましい芳香族基含有モノマーは重合性オレフィン部位を結合した少なくとも一つの芳香族構造を含む。特に好ましい芳香族のモノマーはスチレン、アルファ-メチルスチレン、パラ-アルキルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、アリルベンゼン及びインデンを含み、特に、スチレン、パラメチルスチレン、4-フェニル-1-ブテン及びアリルベンゼンを含む。
【0079】
非芳香族環状基を含むコモノマーもまた好まれる。これらのモノマーは30個の炭素原子まで含み得る。モノマーを含む、適した非芳香族環状基は、この環状構造に結合するかまたはこの環状構造の一部である少なくとも一つの重合性オレフィン基をもつ。この環状構造はさらに一以上のヒドロカルビル基、例えば、C1からC10アルキル基を非限定的に含むものにより置換されても良い。好ましい、モノマーを含む非芳香族環状基はビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキセン、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、シクロペンタジエン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロブテン、ビニルアダマンタン等を含む。
【0080】
この発明で有用な好ましいジオレフィンモノマーはいずれかの炭化水素構造、好ましくは、少なくとも2つの不飽和結合をもつC4からC30を含み、この不飽和結合の少なくとも2個は立体特異的又は非-立体特異的触媒により容易にポリマーに組み入れられる。このジオレフィンモノマーはアルファ、オメガ-ジエンモノマー(つまり、ジビニルモノマー)から選択されることがさらに好ましい。さらに好ましくは、このジオレフィンモノマーは直鎖ジビニルモノマーであり、最も好ましくは4個から30個の炭素原子を含むものである。好ましいジエンの例は、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、ヘプタジエン、オクタジエン、ノナジエン、デカジエン、ウンデカジエン、ドデカジエン、トリデカジエン、テトラデカジエン、ペンタデカジエン、ヘキサデカジエン、ヘプタデカジエン、オクタデカジエン、ノナデカジエン、イコサジエン、ヘンエイコサジエン、ドコサジエン、トリコサジエン、テトラコサジエン、ペンタコサジエン、ヘキサコサジエン、ヘプタコサジエン、オクタコサジエン、ノナコサジエン、トリアコンタジエン、特に好ましいジエンは1,6-ヘプタジエン、1,7-オクタジエン、1,8-ノナジエン、1,9-デカジエン、1,10-ウンデカジエン、1,11-ドデカジエン、1,12-トリデカジエン、1,13-テトラデカジエン及び低分子量ポリブタジエン(1000g/モル未満のMw)を含む。好ましい環状ジエンはシクロペンタジエン、ビニルノルボルネン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、ジビニルベンゼン、ジシクロペンタジエン又は、種々の環上の位置で置換基をもつ又は持たないジオレフィンを含むより多環の化合物を含む。
【0081】
ある好ましい実施態様では、一以上のジエンはベース樹脂であるエチレンポリマーに、組成物の総重量に基づき、10重量%までの、好ましくは、0.00001から2重量%で、好ましくは、0.002から1重量%、さらに好ましくは、0.003から0.5重量%の1以上のジエンが含まれる。いくつかの実施態様では、500ppm以下のジエンが重合に加えられ、好ましくは400ppm以下、好ましくは300ppm以下が加えられる。他の実施態様では、少なくとも50ppmのジエンが重合に加えられ、又は100ppm以上、又は150ppm以上が加えられる。
【0082】
本発明の好ましい実施態様では、このベース樹脂は、5,000,000g/モル、1,000,000g/モル、または500,000g/モルの上限と10,000g/モル、20,000g/モル、または80,000g/モルの下限をもつ範囲内にあるMwをもつエチレンポリマーを含む。
【0083】
本発明のベース樹脂用の好ましいエチレンポリマーは1.5から20の範囲にあるMWD、及び別の実施態様では1.6から15、さらに別の実施態様では1.7から10、及びさらに別の実施態様では、1.8から5の範囲にあるMWD をもち、さらに別の実施態様では、1.5、1.8、または2.0の下限から40、20、10、5または4.5の上限をもつMWDをもつ。
【0084】
このベース樹脂の好ましいエチレンポリマーのMIは、ASTM D1238(190℃,2.16kg)により測定したとき、一実施態様では、0.02dg/分から800dg/分であり、別の実施態様では0.05から500dg/分、及び別の実施態様では0.1から100dg/分である。本発明の別の実施態様では、ポリエチレンは20dg/分以下の、7dg/分以下の、5dg/分以下の、2dg/分以下の、または2dg/分未満のMIをもつ。さらに別の実施態様では、このポリマーは、100以下、75以下、60以下又は30以下のMooney 粘度、ML(1+4)125℃(ASTM D1646に従い測定)をもつ。
【0085】
さらに別の実施態様では、ベース樹脂(架橋前)中の好ましいエチレンポリマーの1%割線曲げ弾性率は5から1000Mpaの範囲であり、別の実施態様では10から800Mpaの範囲であり、さらに別の実施態様では、5から200Mpaの範囲であり、ここで好ましいポリマーは、いずれかの下限の曲げ段率といずれかの上限の曲げ弾性率のいずれかの組合せを示しても良い。
【0086】
本明細書のベース樹脂で有用な好ましいエチレンポリマーの結晶性は融解熱により表される。本発明の実施態様はDSCで決定したとき、0.1J/g、好ましくは1.0J/gの下限から260J/gまたは好ましくは240J/gの上限までの範囲にある融解熱をもつポリマーを含む。
【0087】
ベース樹脂ポリマーの結晶性はパーセント結晶性によっても表されても良い。このパーセント結晶性は次の式により決定される。:X% = ((Hf -Pe J/g)/(290 J/g))x 100、ここでX%はこのパーセント結晶性であり、Hf-PEは本明細書に記載されたDSC法により得られた問題のエチレンポリマーの融解熱である。好ましくは、このポリマーは25から90%の、好ましくは40から85%の、より好ましくは50から80%の結晶性をもつ。
【0088】
結晶性の水準は融点に反映される。本発明のある実施態様では、このベース樹脂のエチレンポリマーは単一の融点をもつ。典型的には、エチレンコポリマーのサンプルは第1のピークに隣接して第2の融点ピークを示し、これは併せて単一の融点として考えられている。これらのピークの最も高いものが融点と考えられている。このポリマーは好ましくは、150℃、130℃、100℃、80℃、または60℃の上限から、0℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、又は45℃の下限の範囲のDSCによる融点をもつ。
【0089】
ポリエチレンベース樹脂及び架橋を受けたポリエチレンを修飾するために、本発明のある実施態様におけるポリオレフィン組成物は少なくとも一つの非官能性可塑剤(NFP)を含む。本明細書で使用する場合、NFPは炭化水素液体であり、水酸基、アリール基及び置換を受けたアリール基、ハロゲン、アルコキシル基、カルボキシレート基、エステル基、炭素不飽和、アクリレート基、酸素、窒素及びカルボキシル基から選択された官能基を相当の程度まで含まない。「相当の程度」とは、これらの基とこれらの基を含む化合物が意図的にNFPに加えられず、そもそも含まれていたとしても、実施態様では、NFPの重量の5重量%未満、または4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.7重量%未満、0.5重量%未満、0.3重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、0.01重量%未満又は0.001重量%未満で含まれることをいう。
【0090】
一実施態様では、芳香族部位(ベンゼン、ナフタレン、フェナンスレン、アントラセンなど環構造の特徴をもついずれの化合物も含む)はこのNFPには実質的に含まれない。別の実施態様では、ナフテン系の部位(ベンゼン、ナフタレン、フェナンスレン、アントラセン等を水素添加することにより製造されるような飽和環構造をもついずれかの化合物等)は、実質的にNFPに含まれない。「実質的に含まれない」とは、これらの化合物が意図的にこの組成物に加えられず、かつ、仮に含まれていても、NFPの0.5重量%未満、好ましくは0.1重量%未満で含まれることをいう。
【0091】
別の実施態様では、このNFPは相当の程度でオレフィン系不飽和を含まない。「相当な程度のオレフィン系不飽和」とは、オレフィン結合に含まれる炭素はNFP中の炭素総数の10%未満であり、好ましくは8%未満であり、6%未満であり、4%未満であり、2%未満であり、1%未満であり、0.7%未満であり、0.5%未満であり、0.3%未満であり、0.1%未満であり、0.05%未満であり、0.01%未満であり、または0.001%未満であることをいう。いくつかの実施態様では、オレフィン結合に含まれるNFPの炭素のパーセントはNFPの炭素総数の0.001と10%の間であり、好ましくは0.01と5%の間であり、好ましくは0.1と2%の間であり、より好ましくは0.1と1%の間である。
【0092】
特に好ましいNFPは、100より大きい粘度指数、-20℃未満の流動点、0.86未満の比重、200℃より高い引火点をもつ、ポリアルファオレフィン(PAOs)、分類IIIのベースストック、及びいわゆるガスツーリキッド法(GTL)由来の高純度炭化水素液体を含む。種々の実施態様では、このNFPは6個から200個の炭素原子、8個から100個の炭素原子、20個から1500個の炭素原子、25個から500個の端子原子、30個から500個の炭素原子、40個から500個の炭素原子、40個から250個の炭素原子、30個から150個の炭素原子または20個から100個の炭素原子をもつパラフィンを含む又は好ましくは不可欠に含む。好ましい実施態様では、NFPはC5からC24オレフィンのオリゴマーを含む。
【0093】
本発明の別の実施態様では、NFPは-10℃以下の流動点(ASTM D97により測定)、100℃で3cSt以上の動粘性率(ASTM D 445により測定)をもつPAO液体を含む。PAOは、例えば、US3,149,178;US4,827,064;US4,827,073;US5,171,908及びUS5,783,531及びSYNTHETIC LUBRICANTS AND HIGH-PERFORMANCE FUNCTIONAL FLUIDS(Leslie R. Rudnick & Ronald L. Shubkin, 編Marcel Dekker, Inc.1999) で3から52ページに述べられている。
【0094】
PAO液体は、たとえばフリーデルクラフト触媒(例えば、AlCl3、BF3及びBF3と水、アルコール、カルボン酸またはエステルの錯体等)、配位錯体触媒(例えば、エチルアルミニウムセスキクロリド+TiCl4系を含む)、又は、ポリエチレン及び/又はポリプロピレンの合成のため一般的に用いられる均一または不均一(担持された)触媒のような重合触媒(例えば、チーグラー-ナッタ触媒、メタロセン触媒又は他の単一部位触媒、及びクロム触媒を含む)の存在下α-オレフィンのオリゴマー化により、適宜、調製されても良い。
【0095】
ある実施態様では、このPAOは、α-オレフィンのC20からC1500(好ましくは、C30からC800、より好ましくは、C35からC400、最も好ましくはC40からC250)のオリゴマーを含む。これらのオリゴマーは、C3とC4α-オレフィンが10重量%以下で含まれていることを条件として、C3からC24の分岐又は直鎖α-オレフィン(好ましくは、C5からC18、より好ましくは、C6からC14、さらに好ましくはC8からC12、最も好ましくはC10)の二量体、三量体、四量体、五量体等である。別の実施態様では、このPAOは、C3及びC4 LAOが10重量%以下で含まれていることを条件に、このPAOはC3からC24(好ましくは、C5からC18、より好ましくはC6からC14、最も好ましくはC8からC12)の直鎖α-オレフィン(LAOs)を含む。適したオレフィンはプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1−ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1−ヘキサデセン、及びそれらの混合物を含む。炭素数が6個と18個(両端を含む)の間の偶数個の炭素数をもつLAOのオリゴマーが特に好ましい。
【0096】
一実施態様では、単一のLAOがこのオリゴマーを調製するために使用される。この場合、好ましい実施態様は1-デセンのオリゴマー化を含み、このPAOは、例えば、1-デセンの二量体、三量体、四量体、五量体、及びそれより大きい多量体等のオリゴマーの混合物である。別の実施態様では、C3とC4のLAOが10重量%以下で含まれていることを条件として、このPAOは2以上のC3からC18のLAOのオリゴマーを含み、二元ポリマー、三元ポリマー又はそれより高次のポリマーを作る。この場合、好ましい実施態様は1-オクテン、1-デセン及び1−ドデセンの混合物のオリゴマー化を含み、このPAOは1-オクテン/1-デセン/1-ドデセン三元重合体のオリゴマー(例えば、二量体、三量体、四量体、五量体及びそれより高次の多量体)の混合物である。
【0097】
別の実施態様では、このPAOは炭素数5から24個(好ましくは、6から18個、より好ましくは、8から12個、最も好ましくは10個)をもつ単一のアルファ-オレフィン種のオリゴマーを含む。別の実施態様では、このNFPは混合アルファ-オレフィン(つまり、2以上のアルファ-オレフィン種を含む)のオリゴマーを含み、各アルファ-オレフィンは、3又は4個の炭素数のアルファ-オレフィンが10重量%以下で含まれることを条件に、3から24個(好ましくは、5から24個、より好ましくは6から18個、最も好ましくは、8から12個)の炭素をもつ。特に好ましい実施態様では、このPAOはアルファ-オレフィンの混合物(つまり、2以上のアルファ-オレフィン種を含む。)のオリゴマーを含む。ここでアルファ-オレフィンの混合物の重量平均炭素数は6から14(好ましくは、8から12、好ましくは9から11)である。
【0098】
別の実施態様では、このPAOは-[CHR-CH2]-の繰り返し単位をもつ1以上のα-オレフィンのオリゴマーを含む。ここで、RはC3からC18飽和炭化水素の分岐である。好ましい実施態様では、Rは全てのオリゴマーで一定している。別の実施態様では、炭素数3から18個の炭素数に及ぶ範囲のR置換基がある。好ましくは、Rは直鎖、つまりRは(CH2)nCH3であり、nは3から17、好ましくは、4から11、好ましくは5から9である。任意に、Rは一つのメチルまたはエチルの分岐をもつ、つまり、Rは、(CH2)m[CH(CH3)](CH2ZCH3またはRは(CH2X[CH(CH2CH3)](CH2)yCH3であり、ここで(m+z)は1から15であり、好ましくは1から9、好ましくは3から7及び(x+y)は1から14、好ましくは、1から8、好ましくは、2から6である。好ましくは、m>z;より好ましくは、mは0から15、より好ましくは、2から15、より好ましくは、3から12、より好ましくは、4から9、及びnは0から10、好ましくは1から8、好ましくは1から6、好ましくは1から4である。好ましくはx>y;より好ましくは、xは0から14、より好ましくは、1から14、より好ましくは2から11、より好ましくは3から8;及びyは0から10、好ましくは、1から8、好ましくは1から6、好ましくは1から4である。好ましくは、繰り返し単位は頭-尾の様式で配列され、頭-頭結合は最小である。
【0099】
このPAOはアタクチック、イソタクチック又はシンジオタクチックでも良い。一実施態様では、このPAOは、必ずメソ及びラセミ二連子が同じ数を含むので、平均してアタクチクとなっている。別の実施態様では、このPAOは、13C-NMRで測定したとき50%より多い(好ましくは、60%より多い、好ましくは、70%より多い、好ましくは、80%より多い、好ましくは90%より多い)メソ二連子(つまり[m])を含む。別の実施態様では、このPAOは、13C-NMRで測定したとき50%より多い(好ましくは、60%より多い、好ましくは70%より多い、好ましくは80%より多い、好ましくは90%より多い)ラセミ二連子(つまり、[r])をもつ。一実施態様では、13C-NMRで測定したとき[m]/[r]は0.9と1.1の間にあり、別の実施態様では、[m]/[r]は1より大きく、さらに別の実施態様では、[m]/[r]は1未満である。
【0100】
このPAO液体は一以上の別のPAO成分からなっても良い。ある実施態様では、このNFPは異なる組成を持つ(例.異なるα-オレフィンがオリゴマーを合成するために使用された)、及びまたは異なる物性(例.動粘性率、流動点、粘度指数、及び/又はガラス転移温度)を持つ一以上のPAOのブレンドである。
【0101】
別の好ましい実施態様では、このPAOまたはPAOのブレンドは120以上の粘度指数(好ましくは、130以上、好ましくは140以上、好ましくは150以上、好ましくは170以上、好ましくは190以上、好ましくは200以上、好ましくは250以上または好ましくは300以上)をもつ。別の実施態様では、このPAOまたはPAOのブレンドは120から350の粘度指数(好ましくは130から250)をもつ。
【0102】
さらに別の好ましい実施態様では、このPAOまたはPAOのブレンドは-10℃以下の流動点(好ましくは、-20℃以下、好ましくは、-25℃以下、好ましくは-30℃以下、好ましくは-35℃以下、好ましくは、-40℃以下、好ましくは-50℃以下)をもつ。別の実施態様では、PAO又はPAOのブレンドは-15°から-70°(好ましくは-25°から-60℃)の流動点をもつ。
【0103】
さらに別の好ましい実施態様では、このPAOまたはPAOのブレンドは-40℃以下(好ましくは、-50℃以下、好ましくは-60℃以下、好ましくは-70℃以下、好ましくは-80℃以下)のガラス転移温度(Tg)をもつ。別の実施態様では、PAOまたはPAOのブレンドは-50°から-120℃(好ましくは、-60から-100℃、好ましくは-70°から-90℃)のTgをもつ。
【0104】
さらに別の好ましい実施態様では、このPAOとPAOのブレンドは200℃以上(好ましくは、210℃以上、好ましくは220℃以上、好ましくは、225℃以上)の引火点、好ましくは240℃と290℃の間に引火点をもつ。
【0105】
さらに別の好ましい実施態様では、このPAOまたはPAOのブレンドは0.86以下(好ましくは、0.855以下、好ましくは0.85以下、好ましくは0.84以下)(15.6/15.6℃)の比重をもつ。
【0106】
さらに別の好ましい実施態様では、このPAOまたはPAOのブレンドはN未満のNoack揮発性を有しここでN=60e-0.4(KV100℃)であり、Nは%の単位であり、対象の液体のKV100℃はcStの単位である。
【0107】
別の実施態様では、このPAOまたはPAOのブレンドは25℃で8(好ましくは8から10)cal1/2cm3/2以上の溶解性パラメータをもつ。
【0108】
PAOの好ましいブレンドは2以上のPAOのブレンドを含み、最も低いKV100℃に対する最も高いKV100℃の比率は少なくとも1.5(好ましくは少なくとも2、好ましくは少なくとも3、好ましくは少なくとも5)である。また少なくとも1つのPAOが上記で定義したNより低いNoack揮発性をもつ2以上のPAOのブレンドが好ましい。別の実施態様では、PAOのKV100℃は300cSt未満であり、好ましくは150cSt未満であり、好ましくは100cSt未満であり、好ましくは40cSt未満であり、好ましくは25cSt未満であり、好ましくは10cSt未満であり、好ましくは8cSt未満である。
【0109】
PAOの好ましいブレンドはまた、:2以上のPAOのブレンドであって、少なくとも1つのPAOが40cSt以上のKV100℃をもち、少なくとも1つのPAOが40cSt未満のKV100℃(好ましくは25cSt以下、好ましくは10cSt以下、好ましくは8cSt以下)をもつ。;2以上のPAOのブレンドであって、少なくとも1つのPAOが10cSt以上のKV100℃をもち、少なくとも1つのPAOが10cSt未満(好ましくは8cSt以下の、好ましくは6cSt以下の、好ましくは4cSt以下)のKV100℃をもつ。;2以上のPAOのブレンドであって、少なくとも1つのPAOが8cSt以上のKV100℃をもちまた少なくとも1つのPAOが8cSt未満(好ましくは6cSt以下、好ましくは4cSt以下)のKV100℃をもつ;及び2以上のPAOのブレンドであって少なくとも1つのPAOが6cSt以上のKV100℃をもち、少なくとも1つのPAOが6cSt未満(好ましくは4cSt以下)のKV100℃をもつ。
【0110】
特に好ましいPAOとPAOのブレンドはA)200℃以上の(好ましくは210℃以上、好ましくは220℃以上、好ましくは225℃以上)の引火点;とB)-20℃未満(好ましくは-25℃未満の、好ましくは-30℃未満の、好ましくは-35℃未満の、好ましくは、-40℃未満の)流動点及び/または100℃で4cSt以上(好ましくは、6cSt以上、好ましくは、8cSt以上、好ましくは10cSt以上)の動粘性率をもつものである。
【0111】
好ましいPAOは、テキサス州ヒューストンExxonMobilから SpectraSynTMとSpectraSynUltraTMとして購入でき(従来は、ExxonMobil Chemical CompanyによりSHFとSuperSynTMの商品名で販売されていた)、そのうちのいくつかを表Aにまとめた。他の有用なPAOはChevronPhillips Chemocal Company(テキサス州、パサデナ)からSynfluidTMの販売名で、Innovene(シカゴ、イリノイ州)からDurasynTMの販売名で、Neste Oil(Keilaniemi、フィンランド)からNexbaseTMの販売名で、Chemical Corporation
(ミドルベリー、コネチカット州)からSyntonTMの販売名で販売されている。PAOについては、非環状パラフィン構造(Cp)中の炭素原子のパーセンテージは100%に近い(通常、98%より大きくまたは99%よりも大きい)。

【0112】
好ましい実施態様では、NFPはGTLベースストックまたはオイルを含む。GTLベースストックとオイルはロウ状の合成炭化水素から一般的に調製された潤滑性の粘度をもつ液体であり、ロウ状の合成炭化水素はそれ自体、原料として、例えば、水素、二酸化炭素、一酸化炭素、水、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、プロパン、プロピレン、プロピン、ブタン、ブチレン及びブチンのようなガス状の炭素含有化合物と水素含有化合物から一以上の合成、組合せ、転換、及び/又は転移を経て合成される。好ましくはこの原料は、天然ガス、ナフサ及び/または石炭のような適切な原料から合成されたシンガス(合成ガス、本質的にはCOとH2)である。GTLベースストックとオイルはワックスイソメレート、例えば、水添異性化合成ワックス、水添異性化フィッシャー-トロプシュ(F-T)ワックス(ロウ状の炭化水素と生成しうる酸素含有物を含む)、またはそれらの混合物を含む。GTLベースストックとオイルはさらに他の水添異性化されたベースストックとベースオイルを含む。特に、好ましいGTLベースストックまたはオイルは、大部分水添異性化されたF-Tワックス、及び/又はF-T合成法により得られる他の液体炭化水素を含有するものである。
【0113】
F-T法によるロウ状の炭化水素等の炭化水素の合成は、炭化水素液中にスラリーの、固定床のまたは流動床の触媒を含む方法等のこの技術分野において知られているいずれか適した方法を含む。この触媒は例えば、適した無機担体物質上の、Fe、Ni、Co、Ru及びReのような第VIII族金属に基づく非晶性の触媒、または、結晶性触媒、例えば、ゼオライト触媒でも良い。ロウ状の原料から潤滑油のベースストック又はオイルを調製する方法は、水添脱ロウ法として特徴付けられる。水素処理段階、これは通常F-Tロウには必要ないが、求めるならば水添脱ロウの前に行うことができる。いくつかのF-Tロウは、酸素含有化合物の除去が便宜であるが、他のロウは水添脱ロウの前の酸素含有化合物による処理が好適である。この水添脱ロウ法は通常、水素存在下で高温、高圧で触媒または触媒の組合せで行われる。この触媒は非晶性触媒でも良く、例えば適した酸化物の担持体上の、Co、Mo、W等、又は結晶性触媒、例えば、米国特許4,906,350に開示され、PdまたはPtのような第VIII族金属と組み合わせて使用されることが多いZSM-23とZSM-48その他ゼオライトの触媒でも良い。この製法にはこの水添異性化物の流動点を下げるために溶媒及び/又は触媒的脱ロウ段階が続いてもよい。溶媒脱ロウは水添異性体からロウ状の成分の物理的分離を含む。触媒的脱ロウは水添異性体の一部を低沸点の炭化水素に変換する。;これは、水素存在下高温高圧で固定床、流動床又はスラリータイプの製法においてPtのような触媒金属成分と組み合わせたゼオライトまたはシリコアルミノリン酸塩のような形状選択的モレキュラーシーブを含むことが多い。
【0114】
GTLベースストックとオイル、フィッシャー-トロプシュ炭化水素由来のベースストックとオイル、ワックスイソメレート、水添異性化ベースストックとオイルのための有用な触媒、製法及び組成は例えば、US特許

6,475,960;6,620,312;及び6,676,827;ヨーロッパ特許EP324528、EP532116、EP532118
、EP537815、EP583836、EP666894、EP668342、EP776959;WIPO特許出願 、WO97/31693、WO99/20720、WO99/45085、WO02/64710、WO02/64711、WO02/70627、WO02/70629、WO03/33320;及び英国特許1,350,257;1,390,359;1,429,494;及び1,440,230に述べられている。特に好ましい製法はヨーロッパ特許出願EP464546とEP464547に述べられている。フィッシャー-トロプシュワックス原料を用いる製法はUS4,594,172;4,943,672;6,046,940;6,103,099;6,332,974;6,375,830;及び6,475,960に述べられている。
【0115】
本発明は、1以上の非官能性可塑剤(NFP)の存在下、架橋された1以上のポリエチレンベース樹脂を含有する柔軟性のある架橋ポリエチレン組成物にも関する。ここで、1以上のNFPは、炭素数の範囲が約C20からC100のパラフィンの混合物、約50:1より大きいイソパラフィン:n-パラフィンのモル比、98%以上のパラフィン性構造(Cp)に含まれる炭素のパーセンテージ、約-20°から-60℃の範囲にある流動点、100℃で約6から20cStの範囲にある動粘性率のパラフィンの混合物を含むGTL法由来の高純度炭化水素液である。
【0116】
本明細書で使用する場合、以下の用語は以下に示した意味をもつ。:「ナフテン系」は環状の(単環及び/又は多環)飽和炭化水素(つまり、シクロパラフィン)及び分岐環状飽和炭化水素をいう。;「芳香族性」は環状(単環及び/又は多環)不飽和炭化水素及び分岐環状不飽和炭化水素をいう。;「水添異性化」はノルマルパラフィン及び/又は分岐の少ないイソパラフィンが転移により、分岐がより多いイソパラフィンとなる触媒的製法(「異性化脱ロウ」としても知られている)をいう。;「ロウ(ワックス)」は、融点が0℃以上で、主にパラフィン分子からなり、その多くがノルマルパラフィンである、室温又は室温付近で固体として存在している炭化水素の物質である。;「スラックワックス」は溶媒脱ロウのように石油オイルから回収されるワックスであり、さらにヘテロ原子を除去するため水添処理されても良い。
【0117】
別の実施態様では、NFPは分類IIIの炭化水素オイル(または分類IIIの潤滑油ベースストック又は分類IIIの鉱油と呼ばれる)を含む。好ましくは、このNFPは90%以上の飽和度(好ましくは、92%以上、好ましくは94%以上、好ましくは95%以上、好ましくは98%以上);及び硫黄含量は0.03%未満(好ましくは0.001と0.01%の間);及び120以上のVI(好ましくは130以上)をもつ。好ましくは、分類IIIの炭化水素オイルは100℃で3から50、好ましくは4から40cSt、好ましくは6から30cSt、好ましくは8から20 cSt の動粘性率をもち、;及び/又は300から5,000g/モル、好ましくは400から2,000g/モル、より好ましくは500から1,000g/モルの数平均分子量をもつ。好ましくは、分類IIIの炭化水素オイルは-10℃以下の流動点、200℃以上の引火点及び0.86以下(15.6℃/15.6℃)の比重をもつ。
【0118】
好ましい分類IIIのベースストックは多くの発売元から購入でき、表Bに記載されているものを含む。このような液体の鎖状パラフィン構造(Cp)の炭素のパーセンテージは80%より大きい。

【0119】
好ましい実施態様では、このNFPは100℃で4cSt以上の、好ましくは5cSt以上の、好ましくは4から300cStの、好ましくは6から200cStの、好ましくは8から150cStの動粘性率(KV100)をもつ。
【0120】
好ましい実施態様では、このNFPは-10以下の、好ましくは-20℃以下の、好ましくは-30℃以下の、好ましくは-40℃以下の、好ましくは-45℃以下の、好ましくは、-50℃以下の、好ましくは-10から-100℃の、好ましくは-15°から-80℃、好ましくは-15°から-75℃、好ましくは、-20°から-70℃の、好ましくは-25°から-65℃の、好ましくは-120℃より高い流動点をもち、ここで、好ましい範囲は本明細書に記載されている上限の流動点と下限の流動点のいずれの組合せでも良い。別の実施態様では、このNFPは動粘性率が40℃で0.5から200cStであるとき、-30℃未満の流動点をもつ。殆どの鉱油は、通常芳香族部位と他の官能基を含むが、同じ動粘性率の範囲では10°から-20℃の流動点をもつ。
【0121】
好ましい実施態様では、このNFPは-40℃以下(好ましくは-50℃以下、好ましくは、-60℃以下、好ましくは-70℃以下又は好ましくは-80℃以下、好ましくは、-45°から-120℃、好ましくは、-65℃から-95℃)のガラス転移温度(Tg)をもつ。このとき好ましい範囲は、ここに記載されたいずれかの下限のTgと上限のTgのいずれかの組合せでも良い。)
【0122】
好ましい実施態様では、このNFPは90以上の、好ましくは100以上の、好ましくは110以上の、好ましくは120以上の、好ましくは130以上の、好ましくは115から350の、好ましくは、135から300の、好ましくは140から250の、好ましくは150から200の、好ましくは125から180の粘度指数(VI)をもち、ここで好ましい範囲はここに述べたいずれか下限のVIといずれか上限のVIのいずれかの組合せでも良い。
【0123】
好ましい実施態様では、このNFPは200℃以上の、好ましくは210℃以上の、好ましくは230℃以上の、好ましくは200℃から350℃の、好ましくは210℃から300℃の、好ましくは215℃から290℃の、好ましくは、220℃から280℃の、好ましくは225℃から280℃の引火点をもち、好ましい範囲はここに述べられたいずれか下限の引火点といずれか上限の引火点のいずれかの組合せでも良い。
【0124】
好ましい実施態様では、このNFPは0.86以下の、好ましくは0.855以下の、好ましくは、0.84以下の、好ましくは0.76から0.86の、好ましくは0.79から0.855の、好ましくは、0.80から0.85の、好ましくは0.81から0.845の、好ましくは、0.82から0.84の比重をもち、好ましい範囲はここに述べられているいずれかの下限の比重といずれかの上限の比重のいずれかの組合せでも良い。
【0125】
好ましい実施態様では、このNFPは250g/モル以上の、好ましくは300g/モル以上の、好ましくは400g/モル以上の、好ましくは500g/モル以上の、好ましくは300から21,000g/モルの、好ましくは300から10,000g/モルの、好ましくは400から5,000g/モルmの、好ましくは450から3,000g/モルのMnをもつ。
【0126】
好ましい実施態様では、このNFPは、例えば、「ウォーターホワイト」、「プライムホワイト」、「スタンダードホワイト」または「ブライトアンドクリアー」、好ましくは、ASTM D1209で決定したとき100以下の、好ましくは80以下の、好ましくは60以下の、好ましくは40以下の、好ましくは20以下のAPHA色として通常特定されるような低い水準の色をもつ。
【0127】
他の実施態様では、一実施態様においてはいずれのNFPも300から600℃の初留点(ASTM D1160)を持っても良く、別の実施態様では350から500℃の初留点をもっても良く、さらに別の実施太陽では400℃より高い初留点を持っても良い。
【0128】
本発明で使用するNFPのいずれも本明細書に述べられているいずれの実施態様により述べられても良く、または本明細書で述べられている実施態様の組合せでも良い。例えば、一実施態様では、このNFPは、-25℃未満の流動点をもつC6からC200のパラフィンである。または、このNFPは100℃で0.1から1000cStの動粘性率をもつ脂肪族炭化水素を含む。または、NFPは8から25炭素原子をもつイソパラフィンとPAOとそれらのブレンドから選ばれる。
【0129】
別の実施態様では、本発明のこのNFPはC25からC1500のパラフィンを、別の実施態様ではC30からC500のパラフィンを含み、200℃以上の引火点、-10℃以下の流動点及び120以上の粘度指数を含む。または、このNFPはC25からC1500のパラフィンを、好ましくは、C30からC500のパラフィンを含み、200℃以上の引火点及び、-20℃以下の流動点をもつ。またはこのNFPはC25からC1500のパラフィン、好ましくは、C30からC500のパラフィン、200℃以上の引火点及び100℃で35cSt以上の動粘性率をもつ。別の実施態様では、このNFPは実質的にC35からC300のパラフィンを含み、好ましくはこのNFPは実質的にC40からC250のパラフィンを含み、200℃以上の引火点をもち、-10℃以下の流動点と120以上の粘度指数をもつ。または、このNFPは実質的にC35からC300のパラフィンを含み、好ましくはC40からC250のパラフィンを含み、200℃以上の引火点及び-20℃以下の流動点をもつ。または、このNFPは実質的に、C35からC300のパラフィン、好ましくはC40からC250のパラフィンを含み、200℃以上の引火点及び100℃で35cSt以上の動粘成率をもつ。または、このNFPは200℃以上の引火点及び-20℃未満の流動点をもつ。または、このNFPは200℃以上の引火点と100℃で35cSt以上の動粘性率を持つ。
【0130】
好ましい実施態様では、本明細書に記載されたいずれのNFPも200℃以上(好ましくは210℃以上)の引火点及び-20℃以下(好ましくは、-25℃以下、より好ましくは-30℃以下、より好ましくは、-35℃以下、より好ましくは-45℃以下、より好ましくは、-50℃以下)の流動点をもつ。
【0131】
別の好ましい実施態様では、このNFPは220℃以上(好ましくは230℃以上の)引火点、-10℃以下(好ましくは、-25℃以下、より好ましくは-30℃以下、より好ましくは-35℃以下、より好ましくは-45℃以下、より好ましくは、-50℃以下)の流動点をもつ。
【0132】
別の好ましい実施態様では、このNFPは100℃で4cSt以上(好ましくは6cSt以上、好ましくは8cSt以上)の動粘性率及び0.87以下(好ましくは0.865以下、好ましくは0.86以下、好ましくは0.855以下)の比重及び200℃以上(好ましくは225℃以上)の引火点をもつ。
【0133】
別の実施態様では、このNFPはa)200℃以上の引火点、b)0.86以下の比重、及びc1)-10℃以下の流動点及び120以上の粘度指数またはc2)−20℃以下の流動点または、c3)100℃で4cSt以上の動粘性率をもつ。
【0134】
別の好ましい実施態様では、NFPは0.85以下(好ましくは0.80と0.85の間)の比重(15.6/15.6℃)と100℃で3cSt以上の(好ましくは4以上、好ましくは5cst以上、好ましくは8cst以上)の動粘性率及び/または少なくとも280g/モルの数平均分子量をもつ。
【0135】
別の実施態様では、NFPは0.86以下(好ましくは0.81と0.855の間、好ましくは0.82と0.85の間)の比重(15.6/15.6℃)と、100℃で4cSt以上(好ましくは6cSt以上、好ましくは、8cSt以上)の動粘性率及び/または少なくとも420g/モルの数平均分子量(Mn)をもつ。
【0136】
別の好ましい実施態様では、NFPは-25℃以下の、好ましくは-30℃と-90℃の間の流動点、40℃で20から5000cStの範囲の動粘性率をもつ。別の好ましい実施態様では、NFPは-25℃以下の流動点、400g/モル以上のMnをもつ。殆どの鉱油(通常、官能基を含む)は、同一の粘度と分子量範囲で10℃から-25℃の流動点をもつ。
【0137】
別の好ましい実施態様では、NFPはASTM E 1356により決定できないガラス転移温度(Tg)をもち、または決定できる場合には、ASTM E 1356によるTgは0℃未満、好ましくは-10℃未満、より好ましくは-20℃未満、より好ましくは-30℃未満、より好ましくは-40℃未満、また好ましくは以下の性質の一つ以上も有する。:(1) ASTM D 1160で決定したとき300℃より高い初留温度、好ましくは350℃より高く、好ましくは400℃より高い;及び/又は(2)−10℃以下、好ましくは-15℃以下、好ましくは-25℃以下、好ましくは-35℃以下、好ましくは、-45℃以下の流動点;及び/又は(3)0.88未満の比重(ASTM D 4502、15.6/15.6℃)、好ましくは0.86未満、好ましくは0.84未満、好ましくは0.80から0.88、好ましくは0.82から0.86;及び又は(4)ASTM D 1160で決定したとき、300℃から800℃の、好ましくは400℃から700℃の、好ましくは、500℃以上の終点;及び/または(5)30,000と400g/モルの間の、好ましくは15,000と450g/モルの間のMw;及び/または(6)10,000と400g/モルの間の、好ましくは5,000と450g/モルの間のMn;及び/又は(7)ASTM D92で決定したとき200℃より高い引火点。
【0138】
好ましい実施態様では、いずれのNFPについての鎖状のパラフィン(Cp)に含まれる炭素のパーセンテージも少なくとも80%(好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%)である。
【0139】
本発明の好ましい組成物は、NFPの保留性がASTM D1203(0.25mmの厚さのシート、乾燥70℃オーブンで300時間)で決定されたとき、架橋されたポリエチレン組成物は、重量で3%未満(好ましくは2%未満、好ましくは1%未満)減少する。ここで重量損失は同一の試験条件で可塑化されていない組成物について測定されたものを超えた分の重量減少をいう。
【0140】
本発明の好ましいNFPは、ポリエチレンを架橋する前に可塑化された組成物を形成するためポリエチレンベース樹脂と混合されたとき、可塑化されていないポリオレフィン動的機械熱分析(DMTA)トレース(「トレース」はタン-デルタ対温度のプロット)と比較したとき、DMTAトレースにおけるタン-デルタのピーク数に変化がないことにより示されているように、NFPがポリエチレンと混ざりうる点で特徴付けられる。混和性の欠如は非可塑性ポリオレフィンにおけるDMTAトレースにおけるタン-デルタのピークの数を上回るピーク数の増大により示される。
【0141】
本発明の一実施態様では、このNFPは、2以上の本明細書に記載されたNFP種のブレンドを含むことができる。ことなる特性をもつ2以上のNFP修飾剤を選択的に組み合わせることにより、それらの各々から利点を得ることができる。例えば、比較的低いMwのNFPと比較的高いMwの修飾剤の組合せは、同時に柔軟性を向上させながら、保留性を向上させる。別の実施態様では、低い流動点のNFPと高いMw のNFPの組合せは保留性を向上させ、同時に十分な低温の耐衝撃性を維持する。この技術分野の技術者は比較的高い粘度をもつこの発明の修飾剤とホストポリマーとより良好な適合性をもつ修飾剤は、一般的により良好な保留性と性質の保持を示す一方、低い粘度をもつ修飾剤は、PEX中でコンパウンディングされたとき、一般的により良好な易処理性、より良好な柔軟性及びより良好な低温耐衝撃性を示すことを理解するであろう。
【0142】
本発明での使用に適したポリエチレンベース樹脂は、架橋のため本発明の修飾剤との混合のため使用されるとき如何なる物理的形態でも良い。ある実施態様では、反応器顆粒(いずれかの処理の前に重合反応器から単離されるポリマー顆粒として定義される)は本発明の修飾剤と混合するために使用される。この反応器顆粒は、一実施態様では、通常、50μmから10mmの平均直径をもち、別の実施態様では、10μmから5mmの平均直径をもつ。別の実施態様ではこのベース樹脂はペレットの形態であり、例えば、反応器顆粒または重合反応器流出物の溶融押し出しから成型される1mmから10mmの平均半径をもつものである。
【0143】
本発明の架橋のために混合されるこのポリエチレンベース樹脂、修飾剤及び他の成分はいずれかの適した手段により混合でき、通常、混合されて均一な単一相の混合物でも良い、良く混合された組成物を与える。例えば、それらはスタティックミキサー、バッチミキサー、押出機またはそれらの組合せの中で混合されても良く、これはこのベース樹脂の中に適切な修飾剤の分散を十分に達成するものである。
【0144】
この混合工程は例えば、タンブルブレンダーを使用する第一の乾燥混合を含んでも良く、ここでこのベース樹脂と修飾剤は初めて接触するが、十分な混合はされていない。次に押し出し機の中で溶融混合され、そして架橋される。成分を混合する別の方法は、押し出し機又はバッチ混合機の中で直接に修飾剤とベース樹脂ペレットを溶融混合することである。これはマスターバッチ法も含んでも良く、最終修飾剤濃度は、先により濃度の高い修飾剤と調製された適量の可塑化されたポリマーとポリマーの純品を組み合わせることにより得られる。この混合工程は、例えば、ポリエチレン加工及び/又は架橋ラインの中の押し出し機又は射出成型機でこのブレンドと製造品を架橋するために使用される加工法の一部として行っても良い。
【0145】
本発明の一局面では、このエチレンポリマーと修飾剤は、単軸又は二軸スクリュー押し出し機のような押し出し機、又はバッチ混合機のような装置中で溶融混合される。このエチレンポリマーはタンブラー、ダブルコーンブレンダー、リボンブレンダーまたは他の適した混合機を用いて修飾剤と乾燥混合されても良い。さらに別の実施態様では、このエチレンポリマーと修飾剤は、例えば、タンブラー次に押し出し機という方法の組合せにより混合される。混合の好ましい方法は硬化系の混合、グラフト化及び/又は架橋のために、組成物を溶融し送り出すため使用される押し出し機へ導入される直前に連続的重力混合機中で最後の段階の混合をすることを含む。または、あるいは加えて、ある実施態様では混合は、ポリエチレンが十分に溶融される前または後に、修飾剤を押し出し機または射出成形器へ直接に射出することを含むことができる。
【0146】
押し出し機で使用される単軸スクリューのタイプはこの組成物がどの程度うまく混合されるか、及び組成物が作られる速度がどれほどであるかに効果を及ぼすことができる。ある条件では、いかなる単軸スクリューも使用できるが、ある実施態様では、ある種のスクリューが流体の及び固体のポリマーを混合する場合により適している。本発明の組成物用のスクリューのデザインは処理を受ける物質と押し出しの前にできる予備混合物の量により変わりうる。好ましくは、このスクリューの形状は良好な均一性を得るため最適化された混合要素と組み合わされた良好な固体移動性を備えている。求められる均一な結果物を得るため分配的かつ分散的混合要素の両方が使用できる。好ましい混合スクリューの形状の一例はバリアーフライトスクリュー(barrier flight screw)であり、本技術分野では”Maillefer”スクリューと呼ばれることが多い。このスクリューのデザインは、他の混合が必要な場合、他の混合要素と組み合わせることができる。デザインは滑らかなバレル、及び溝のあるバレルの両者で最適化することができる。一実施態様では、Madox混合部をもつ又はMadox及びBarrier混合部をもつ単軸スクリューを使用できる。従来のスクリュー押し出し機はiNOEX GmbHからPEXLINKの販売名で購入できる過酸化物架橋処理で使用できる。この場合、ラム押し出し機ではなく従来のスクリュー押し出し機からの押し出し物は30m/分までのライン速度で赤外線照射により下流で架橋される。ポリエチレン用の押し出し技術は例えば、PLASTICS EXTRUSION TECHNOLOGY 26-37(Friedhelm Hensen編、Hanser Publishers 1988)により詳細に述べられている。
【0147】
本発明の別の局面では、ポリエチレンベース樹脂は、両原料を相当程度にまで溶解する溶媒を使用していずれかの適した手段により溶液中で混合されても良い。この混合は修飾剤とエチレンポリマーベース樹脂が溶液に溶けている場合如何なる温度と圧力において行っても良い。好ましい条件は高温、例えば、エチレンポリマーの融点より10℃以上、好ましくは20℃以上高い高温で混合することを含む。このような溶液での混合は、エチレンポリマーが溶液法で製造されそして修飾剤が、全く別の混合工程で、乾燥ポリマーに加えられるのではなく、重合反応器又は最終処理工程に直接加えられる製法で特に有用であろう。そのような溶液混合は、また、ポリマーと修飾剤の両者がモノマーに溶けるバルク、又は高圧法でエチレンポリマーが作られる製法において特に有用であろう。この溶液製法に関し修飾剤は全く別の混合工程で乾燥ポリマーに加えられるよりもむしろ最終工程に直接加えられる。
【0148】
従って、十分に調合された予備混合されたペレットと同様、例えば、1工程または2工程の水分による硬化製法、過酸化物架橋、及びe-線架橋のような射出成型機又は押し出し機を含む方法を使用してポリエチレンの架橋と架橋されたポリエチレン製品の製造をする場合、架橋用の好ましいブレンドを得るためのポリエチレンと修飾剤を混合する如何なる手段も役に立つ。なぜならこの成型法は原料の再融解と混合を含むからである。;例となる組合せは、純粋なポリマーのペレットと修飾剤の、純粋なポリマー顆粒と修飾剤の、純粋なポリマーのペレットと予備混合されたペレットの、及び純粋なポリマーの顆粒と予備混合されたペレットの単純なブレンドを含む。ここで、「予備混合されたペレット」とは、エチレンポリマーとある濃度で修飾剤を含むポリエチレン組成物のペレットをいう。
【0149】
圧縮成型法においては、しかし、溶融された成分の混合は殆ど起こらない。そして、予備混合されたペレットが成分のペレット(又は顆粒)と修飾剤の単純な混合よりも好まれよう。本技術分野の技術者は製造法の経済的要請と成分原料の十分な混合の必要の平衡を図るためポリマーの混合の適切な方法を決定できよう。
【0150】
本発明においては、ポリエチレンはいくつかのポリエチレン架橋技術の一つにより、本技術分野で良く知られている装置により架橋される。実施態様においては、ポリエチレンは過酸化物、水分硬化系、照射等を用いてNFPの存在下で架橋される。過酸化物による架橋はポリマー中でフリーラジカル反応を開始させるため有機過酸化物を使用し、生じたフリーラジカルはポリマー鎖から水素イオンを引き抜き、ポリマー鎖が鎖の間に共有結合を形成できるようにする。架橋は好ましくは有機化酸化物、有機過エステル、アゾ化合物からなる群から選択されるフリーラジカル開始剤の存在下で起こる。そのような化合物の例は過酸化ベンゾイル、ジクロロ過酸化ベンゾイル、ジクミルパーオキシド、ジ-tert-ブチルパーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ペルオキシベンゾエート)ヘキシン-3、1,4-ビス(tert-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、過ラウリル酸、tert-ブチル過酢酸、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、過安息香酸tert-ブチル、酢酸tert-ブチルパーフェニル、過イソブタン酸tert-ブチル、過sec-オクタン酸tert-ブチル、過ピルビン酸tert-ブチル、過ピルビン酸クミル、及び過ジエチル酢酸tert-ブチル、アゾイソブチロニトリル、アゾイソブタン酸ジメチルを含む。本発明に従うポリエチレン/NFPブレンドを架橋するに適した有機化酸化物は、LUPEROX(好ましくは、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、LUPEROX(登録商標)101)の販売名で購入できる。
【0151】
この過酸化物は過酸化物の分解点より低い温度でポリエチレンヘ溶融混合される。そして最終製品が形成された後、温度は架橋反応を開始させるために上昇される。ワイヤー押し出しの実施態様において、押し出し後の硬化は、ダイスを出たワイヤーが100m以上でも良い高圧蒸気管に入りそこで絶縁物が蒸気による熱によりワイアー上で硬化される連続的加硫法により達成できる。パイプ押し出しの実施態様では、エンゲル法(Engel method)が使用でき、この方法では過酸化物は溶融混合されてポリエチレンブレンドに低温で混合され、このブレンドは次に、高圧、高温のヘッドに押し当たって通り抜け架橋されたパイプとして出てくる。過酸化物による架橋は低い原料費で比較的高い架橋密度を達成するが、しかし比較的高価な装置を要し、比較的生産速度が遅く、多くのエネルギーを要する。
【0152】
照射架橋は高エネルギー電子加速器からのようなイオン化照射を用いる。ポリエチレン/NFPブレンドは、架橋処理を加速するための添加物を含んでも良いが、比較的高い速度で従来の熱可塑処理装置を用いて作られ、好ましい形に成型され、そして次に生産ラインから取り出してこれを電子線に当てることにより硬化される。一つの実施態様では、この管状の製品はパイプまたは被覆されたワイヤーまたはケーブルの大きな輪またはリールに巻かれていても良く、電子線装置を通って再び巻き取られる。この管状物の壁の厚さにより、好ましい架橋密度を得るため、この電子線装置を通ることを繰り返すことが必要かもしれない。
【0153】
水分架橋の実施態様では、エチレンとビニルシランのコポリマーは、普通触媒の存在下水と反応し、架橋を達成する。この製品は従来の熱可塑処理装置で作られ、次に生産ラインから取り出して、水分に晒すことにより硬化される。この硬化速度は水分の水準、温度及び壁の厚さにより、低圧の蒸気または熱水と接触することにより加速することができるが周囲の条件下での架橋もまた可能であろう。
【0154】
このポリエチレンコポリマーは反応性の不飽和シラン化合物により架橋されることができる。本技術分野で良く知られているシラン架橋法はMaillefer and BICCにより開発された市販されているMONOSIL法、及びDow Corningにより開発されたSIOPLAS法を含む。SIOPLASあるいは2工程法では、ポリエチレンは最初にコンパウンディング混合機又は押し出し機の中で反応性シラン化合物とジクミル過酸化物のようなフリーラジカル開始剤によりグラフト化され、例えば、シランがグラフト化されたポリエチレンが製造され、これはその後の工程のためペレット化され、運搬され又は貯蔵できる。このシラン-グラフト化ポリエチレンは次にシラノール縮合触媒と混合され、そして望む形状に、例えばパイプ又はワイヤー被覆層に、溶融押し出しされ、その後、例えば水浴や蒸気浴の中で、熱と水分により硬化(架橋)される。暖かく湿度の高い気候では、硬化は周囲条件で起こりうる。ポリエチレン架橋用コンパウンディング原料は、適当な割合で混合できる予備グラフト化されたベース樹脂と触媒のマスターバッチ(例えば、重量で95/5または50/50のグラフト化PE樹脂/触媒マスターバッチ)を供給する多くの製造業者から入手でき、70℃-90℃の蒸気または周囲の水分に晒すことにより硬化できる物質を製造する。例えば、SIOPLAS PEX系成分は、販売名PEXIDAN(登録商標)(PEXIDAN(登録商標)V/T、PEXIDAN(登録商標)X/T、PEXIDAN(登録商標)U/T、PEXIDAN(登録商標)R/T、PEXIDAN(登録商標)H/T、PEXIDAN(登録商標)L/T)でPadanaplast USAから購入でき、これらはシラン予備グラフト(A-1001と命名されている)と触媒マスターバッチ(それぞれ、CAT-010FR ,CAT-005FR ,CAT-008、CAT-009、CAT-012FR、CAT-003と命名されている)を含んでいる。他のSIOPLAS PEX系の販売元はAEI Compounds Ltd.(SX704シラン予備グラフトPEとCM488触媒マスターバッチ);Silon Compounds Ltd.(TA1108 HD シラン予備グラフトPEとTA 2125 HD 触媒マスターバッチ)を含む。
【0155】
MONOSILまたは1工程製法では、ポリエチレン、反応性シラン化合物、フリーラジカル開始剤及びシラノール縮合触媒が全て押し出し機に投入され、望む形状、例えば、パイプまたはワイヤー被覆層に溶融押し出しされ、2工程法と同様、続いて熱と水分により硬化される。
【0156】
反応性シラン化合物は一以上の加水分解可能な基をもつ不飽和シラン化合物であり得る。典型的な反応性シラン化合物はビニル、アリル、イソプロピル、ブテニル、シクロヘキシル、又はγ-(メト)アクリロキシアリルのようなアルケニル基、ヒドロカルビロキシ、ヒドロカルボニロキシまたはヒドロカルビルアミノ基のような加水分解されえる基を含む。加水分解されえる基の具体例はメトキシ、エトキシ、ホルミロキシ、アセトキシ、プロピオニロキシ及びアルキルアミノ又はアクリルアミノ基を含む。
【0157】
適した反応性シランはビニルトリメトキシシランであり、OSi Specialities
からSILQUEST(登録商標)として、またはHuelsからDYNASYLAN VTMOとして入手できる。他のシラン化合物の販売元はMomentive Performance Materials(以前は、GE Silicons/OSi Witco)(SILCAT R and XL-PEARL 60);Wacker Chemie(XL 11 VP);Silon Compounds Ltd.(SILMIX)を含む。使用するシランの量は、処理条件、使用されるシラン及び他の良く知られた要因に基づき、本技術分野の技術者により容易に決定される。シラン化合物の典型的な量は約0.5から約5phrである。”phr”という単位はポリエチレン樹脂の重量の100部分当たりの部分の重量を示す。
【0158】
フリーラジカル開始剤はポリエチレンのペレット化に適した温度でパーオキシルまたはアジルラジカルを生成するように分解する過酸化物またはアゾ化合物であっても、電離放射線でもよい。典型的な過酸化物は、例えば、ジクミルパーオキシド、ジ-tert-ブチルパーオキシド、過安息香酸t-ブチル、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロパーオキシド、過オクタン酸t-ブチル、メチルエチルケトンパーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ラウリルパーオキシドと過酢酸tert-ブチルを含む。適したアゾ化合物はアゾビスイソブチルニトリルである。特に過酸化物は、ジクミルパーオキシドであり、HerculesからDICUP(登録商標)Rとして市販されている。フリーラジカル開始剤の量は本技術分野の技術者により容易に決定され、通常約0.04から約0.15phrである。いくつかの販売元は適した割合の過酸化物を含む反応性シラン化合物を提供する。例えば、ビニルトリメトキシシランと過酸化物のブレンド、及び/又はビニルトリメトキシシランと過酸化物及び/又は抗酸化剤と銅安定化剤のブレンドをDYNASILANE SILFINの販売名で提供している。
【0159】
シラノール縮合触媒は縮合架橋反応を促進するいずれの化合物でも良く、例えば、有機塩基、カルボン酸及び、有機チタン化合物と鉛、コバルト、鉄、ニッケル、亜鉛、またはスズの錯体又はカルボン酸塩等の有機金属化合物である。具体的触媒には、例えば、ジラウリル酸ジブチルスズ、マレイン酸ジオクチルスズ、ジ酢酸ジブチルスズ、ジオクタン酸ジブチルスズ、ジドデカン酸ジブチルスズ、酢酸スズ、オクタン酸スズ、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛及びナフテン酸コバルトが含まれる。特にスズのカルボン酸塩にはジドデカン酸ジブチルスズがあり、Akzo ChemieからSTANCLERE(登録商標)TLとして市販されている。この触媒は触媒的に有効な量で使用され、容易に本技術分野の技術者により決定される。典型的な触媒の量は約0.01から約0.1phrである。
【0160】
ビニルトリメトキシシランとポリエチレンの過酸化物で開始される反応はエチルトリメトキシシリル部位をペンダント部位としたポリエチレン骨格構造をもつグラフト化されたポリマーを生成する。架橋反応では、メトキシ基は加水分解されメタノールとペンダント部位のエチルジメトキシシラノリル基を生成し、これらは他のエチルジメトキシシラノリル基と縮合反応をし、水が除去されペンダントのシリル部位の間にSi−O−Si結合を形成する。
【0161】
特にシリカが主な充填物のとき、または別の充填剤と組合せて含まれる場合、一以上の架橋剤がこの組成物で使用されることが好ましい。より好ましくは、架橋/カップリング剤は二官能性有機シラン架橋剤である。「有機シラン架橋剤」は、本技術分野の技術者に既知のいずれかのシラン結合充填剤及び/又は架橋活性剤及び/又はシラン補強剤でよく、ビニルトリエトキシシラン、ビニル-トリス-(ベータ-メトキシエトキシ)シラン、メタクロリルプロピルトリメトキシシラン、ガンマ-アミノ-プロピルトリエトキシシラン(WitcoよりA1100として販売されている)、ガンマ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(Witco よりA189)等を非限定的に含む。一実施態様では、ビス-(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(DegussaよりSi69として市販されている)が使用される。Sigma Aldrich、Aceto Corp、Kenrich Petrochemicals,Inc.、Witcoは全てシランカップリング/架橋剤を販売している。
【0162】
1段階MONOSIL法では、グラフト化、混合及び最終製品の押し出しは同時にできる。例えば、ポリエチレン樹脂は押出し機に供給されえ、シラン、開始剤、及び触媒の溶液が秤量投入システムを通じてバレルへ射出され、浸され又は加えられる。または、シラン、開始剤及び触媒は、例えばDRY-SILのようなマスターバッチとして使用される多孔性又は非晶性のポリエチレン樹脂へ吸収されえる。多孔性ポリエチレンペレットは製造ラインにおいてシランを吸収するためにも使用でき、そのため、乾燥ブレンドが押し出し機へ導入される。例えばSilon CompoundsのSPHERSIL PROCESSでSPHERSIL P物質である。このグラフト化反応は押し出し工程において起こり、この原料はダイスを出るときワイヤーやケーブル上へ被覆される。この1工程製法は異なるスクリューデザインを必要とし、普通長さと直径の比が24から30であり、過酸化物または2工程の水分硬化法で求められるよりも長い押し出し機を必要とすることがある。安定剤、抗酸化剤、難燃剤及び他の添加剤の選択においても、それらがグラフト反応に干渉しないように注意が払われなければならない。
【0163】
本発明の一実施態様では、ポリ(塩化ビニル)に普通使用されているような従来の可塑剤は、この架橋されたポリエチレン組成物に実質的に含まれていない。特に、フタル酸塩、アジピン酸塩、トリメリト酸エステル、ポリエステル及び例えば、US3,318,835;US4,409,345;WO02/31044 A1;及びPLASTICS ADDITIVES 499-504(Geoffery Pritchard, 編、Chapman &Hall 1998) に開示されている他の官能性可塑剤は実質的に含まれない。「実質的に含まれない」とは、これらの化合物がこの組成物に意図的に加えられないことをいい、たとえ含まれていても、0.5重量%未満で含まれることをいう。
【0164】
いくつかの実施態様では、ナフテン系の鉱油と芳香族系の鉱油は実質的に含まれない。;つまり本発明の組成物の0.5重量%未満で含まれる。別の実施態様では、そのようなオイルが本組成物中に含まれる場合、そのようなオイルの合計は、本組成物中の液体修飾剤の多くとも5重量%である。また、さらに別の実施態様では、芳香族部位と炭素-炭素不飽和は本発明で使用されている修飾剤に本質的に含まれていない。芳香族の部位はベンゼン、ナフタレン、フェナンスレン、アントラセン等の環構造特性をもつ化合物を含む。「実質的含まない」とは、これらの芳香族化合物又は部位が意図的に組成物に加えられず、もし含まれていても、本組成物の0.5重量%未満までで含まれる。
【0165】
本発明の架橋を受けたポリエチレン組成物は他の添加物も含む。これらの添加物は抗酸化剤、核形成剤、酸のスカベンジャー、安定剤、腐食防止剤、発泡剤、分子鎖切断酸化防止剤などのような他のUV吸収剤、失活剤、帯電防止剤、滑剤、色素、染料及び充填剤と先に述べた過酸化物とシランのような硬化剤を含む。一実施態様では組成物の重量に基づき本産業で普通の染料と他の着色料は0.01から10重量%の、別の実施態様では0.1から6重量%含まれても良い。
【0166】
一実施態様では、特に、有機ホスファイト、立体的に障害のあるアミン及びフェノール性抗酸化剤のような抗酸化剤と安定剤は、組成物の重量に基づき、本発明の架橋を受けたポリエチレン組成物に0.001から2重量%で含まれも良く、及び別の実施態様では、0.01から0.8重量%及びさらに別の実施態様では0.02重量%から0.5重量%で含まれる。適した有機ホスファイトの非限定的な例は、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(IRGAFOS 168)及びジ(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト(ULTRANOX626)である。立体的な障害のあるアミンの非限定的な例はポリ[2-N,N’-ジ(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-ヘキサンジアミン-4-(1-アミノ-1,1,3,3-テトラメチルブタン)シン-トリアジン](CHIMASORB 944);セバシン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)(TINUVIN 770)を含む。フェノール性抗酸化剤の非限定的な例はペンタエリスリルテトラキス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート;及び1,3,5-トリ(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル-イソシアヌレート(IRGANOX3114)を含む。
【0167】
一実施態様では充填剤は0.001から50重量%含まれても良く、別の実施態様では、組成物の重量に基づき0.01から25重量%含まれても良く、さらに別の実施態様では、0.2から10重量%含まれても良い。好ましい充填剤は酸化チタン、シリコンカーバイド、シリカ(及びシリカの他の酸化物、沈降又は非沈降)、酸化アンチモニー、炭酸鉛、亜鉛華、リトポン、ジルコン、コランダム、スピネル、アパタイト、バライト粉、硫酸バリウム、マグネサイト、カーボンブラック、ドロマイト、炭酸カルシウム、タルク及びMg、CaまたはZnとAl、CrまたはFe及びCO3及び又はHPO4イオンからなるからなるヒドロタルサイト化合物で水和物又は水和物でないもの;石英粉末、塩酸炭酸マグネシウム(hydrochloric magnesium carbonate)、ガラス繊維、粘土、アルミナ及び他の金属酸化物及び炭酸塩、金属水酸化物、クロム、亜リン酸の及び臭素化難燃剤、三酸化アンチモン、シリカ、シロコーン及びそれらの混合物を非限定的に含む。これらの充填剤は、本技術分野で知られているいずれか他の充填剤と多孔性充填剤及び担体を特に含み、一実施態様では、本発明の修飾剤がエチレンポリマーに加えられる前に充填剤へ予備接触、又は予備吸着されても良い。
【0168】
特に、本発明の一実施態様では、修飾剤または修飾剤のある部分は充填剤、好ましくは多孔性充填剤と混合されても良い。この修飾剤と充填剤は、例えば、タンブラー又は他の湿式混合器により混合されても良い。一実施態様では、本実施態様のこの修飾剤と充填剤は修飾剤と充填剤の均一な組成物を形成するために適した時間混合される、望ましくは1分から5時間である。この修飾剤/充填剤のブレンドは、次にエチレンポリマーベース樹脂の可塑化の発明において、また架橋されたポリエチレンの柔軟化において有用なエチレンポリマーベース樹脂と混合されても良い。別の実施態様では、エチレンベースポリマー樹脂と充填剤を接触させる前に、多孔性の充填剤は修飾剤、またはその一部と接触しても良い。別の実施態様では、多孔性の充填剤、エチレンポリマー及び修飾剤は同時に接触する(又は、同一の混合機に入る)。いずれの場合でも、充填剤は、組成物の0.1から60重量%、及び別の実施態様では0.2から40重量%、及び更に別の実施態様では0.3から20重量%含まれても良い。
【0169】
脂肪酸の金属塩はまた、本発明の架橋を受けたポリエチレン組成物に含まれている。このような塩は一実施態様では、組成物の0.001から1重量%含まれても良く、別の実施態様では、0.01から0.8重量%含まれても良い。脂肪酸の例はラウリル酸、ステアリン酸、コハク酸、ステアリル乳酸、乳酸、フタル酸、安息香酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、ナフテン酸、オレイン酸、パルミチン酸、エルカ酸、または7個から22個の炭素原子の鎖長をもつ脂肪族の飽和又は不飽和のいずれかのモノカルボン酸を含む。適した金属はLi、Na、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Al、Sn、Pb等を含む。脂肪酸の好ましい金属塩はステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウムである。
【0170】
好ましい実施態様では、滑剤が本発明の組成物に含まれても良い。好ましくは、この滑剤は組成物の重量に基づき、0.001から1重量%(10から10,000ppm)、より好ましくは0.01から0.5重量%(100から5000ppm)、より好ましくは0.1から0.3重量%(1000から3000ppm)含まれる。
【0171】
このましい滑剤は脂肪酸アミド(例えば、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、アラキドン酸アミド、ベヘン酸アミド、ステアリルステアリン酸アミド、パルミチルパルミチン酸アミドとステアリルアラキドン酸アミド);飽和エチレン-ビス-アミド(例えば、ステアラミド-エチル-ステアラミド、ステアラミド-エチル-パルミチアミド及びパルミチアミド-エチル-ステアラミド);不飽和脂肪酸アミド(例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド及びリノール酸アミド);不飽和エチレン-ビス-アミド(例えば、エチレン-ビス-ステアラミド、エチレン-ビス-オレアミド、ステアリル-エルカミド、エルカミド-エチル-エルカミド、オレアミド-エチル-オレアミド、エルカミド-エチル-オレアミド、オレアミド-エチル-エルカミド、ステアラミド-エチル-エルカミド、エルカミド-エチル-パルミタミド及びパルミタミド-エチル-オレアミド);グリコール;ポリエーテルポリオール(例えばカーボワックス);脂肪族炭化水素の酸(例えば、アジピン酸とセバシン酸);芳香族又は脂肪族炭化水素のエステル(例えば、グリセロールモノステアレート及びペンタエリスリトールモノオレエート);スチレン-アルファ-メチル スチレン;フッ素含有ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素オイル及びフッ素ワックス);シリコン化合物(例えばシランとシリコーンポリマー、シリコンオイル、修飾を受けたシリコーンと硬化されたシリコーン);アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルリン酸エステル;及びそれらの混合物を非限定的に含む。
【0172】
好ましい滑剤は不飽和脂肪酸アミドであり、Crompton(KEKAMIDETMグレード)、Croda Universal(CRODAMIDE TMグレード)、及びAkzo NobelAmides株式会社(ARMOSLIP TMグレード)から購入できる。特に好ましい滑剤は化学構造CH3(CH27CH=CH(CH2)XCONH2をもち、ここでxは5から15である。好ましい種類は:1) エルカ酸アミド、ここでxは11であり、シス-13-ドコセン酸アミドともいわれる(ARMOSLIP Eとして購入できる);2)オレイル酸アミド、ここでxは8である;及び3) オレイン酸アミド、ここでxは7,またはN-9-オクタデセニル-ヘキサデカン酸アミドともいわれる。別の実施態様ではステアリン酸アミドはまた本発明で有用である。他の好ましい滑剤はWO2004/005601A1で述べられたものを含む。
【0173】
いくつかの実施態様では、本発明による架橋に使用されるポリエチレンベース樹脂は、熱可塑性ポリマー及び/又はエラストマーを非限定的に含む一以上の他のポリマーと混合されても良い。
【0174】
熱可塑性ポリマーとは、加熱前後で固体状態の性質に大きな変化なく、熱により溶融できその後、冷却されるポリマーをいう。熱可塑性ポリマーは通常、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリアセタール、ポリラクトン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、スチレン-アクリロニトリル樹脂、スチレンマレイン酸無水物、ポリイミド、芳香族ポリケトン、又は上記の2以上の混合物を非限定的に含む。好ましいポリオレフィンは、一以上の直鎖、分岐又は環状のC2からC40のオレフィン、好ましくは一以上のC3からC40オレフィン、好ましくは、C3からC20のアルファオレフィン、より好ましくはC3からC10のアルファ-オレフィンと共重合したエチレンを含むポリマーを非限定的に含む。特に好ましい例はポリブテンである。最も好ましいポリオレフィンはポリプロピレンである。他の好ましいポリオレフィンは、C3からC40のオレフィン、好ましくはC3からC20のアルファオレフィン、より好ましくはプロピレン、ブテン、ヘキセン、及び/又はオクテンと共重合されたエチレンを非限定的に含むエチレンを含むポリマーを非限定的に含む。
【0175】
エラストマーとは、全ての天然及び合成ゴムであり、ASTM D1566で定義されたものを含む。好ましいエラストマーの例はエチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、スチレンブロックコポリマーゴム(SEBS、SI、SIS、SB、SBS、SIBS等を含む。ここでS=スチレン、EB=ランダムエチレン+ブテン、I=イソプレン及びB=ブタジエン)、ブチルゴム、ハロブチルゴム、イソブチレンとパラ-アルキルスチレン、イソブチレンとパラーアルキルスチレンのハロゲン化コポリマー、天然ゴム、ポリイソプレン、アクリロニトリルとブタジエンのコポリマー、ポリクロロプレン、アルキルアクリレートゴム、塩素化イソプレンゴム、アクリロニトリル塩素化イソプレンゴム、ポリブタジエンゴム(シスとトランス)を非限定的に含む。
【0176】
別の実施態様では、本発明に従い架橋された、修飾剤を含むブレンドはさらに高圧フリーラジカル法により重合可能な一以上のポリマーと組み合わされても良い。これらは、ポリ塩化ビニル、ポリブテン-1、イソタクチックポリブテン、ABS樹脂、ブロックコポリマー、スチレンブロックコポリマー、ポリアミド、ポリカーボネート、PET樹脂、架橋ポリエチレン、エチレンとビニルアルコール(EVOH)のコポリマー、ポリスチレンのような芳香族モノマーのポリマー、ポリ-1エステル、ポリアセタール、ポリビニリジンフッ化物、ポリエチレングリコール及び/又はポリイソブチレンである。
【0177】
粘着剤は本発明のポリエチレンベース樹脂と混合されても良い。有用な粘着剤の例は、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族で修飾を受けた脂肪族炭化水素樹脂、水添されたポリシクロペンタジエン樹脂、ポリシクロペンタジエン樹脂、ゴムロジン、ゴムロジンエステル、木材樹脂、木材ロジン樹脂、トール油ロジン、トール油ロジンエステル、ポリテルペン、芳香族で修飾を受けたポリテルペン、テルペンフェノール、芳香族で修飾を受けた水添ポリシクロペンタジエン樹脂、水添脂肪族樹脂、水添脂肪族芳香族樹脂、水添テルペンと修飾を受けたテルペン及び水添ロジンエステルを非限定的に含む。いくつかの実施態様では、粘着剤は水素添加される。他の実施態様では、粘着剤は非極性である。「非極性」とは粘着剤が極性基をもつモノマーを実質的に含まないことをいう。好ましくは極性基は含まれず、しかし、含まれるのが好ましい場合は、粘着剤の重量に基づき、5重量%以下であり、好ましくは、2重量%以下であり、より好ましくは0.5重量%以下である。いくつかの実施態様では、粘着剤は80℃から140℃の、好ましくは100℃から130℃の軟化点(ASTM E-28により測定したとき、Ring and Ball)をもつ。この粘着剤は、もし含まれている場合、通常、ブレンドの重量に基づき約1重量%から約50重量%で含まれ、より好ましくは、10重量%から40重量%、さらにより好ましくは20重量%から40重量%で含まれる。しかし、好ましくは、粘着剤は含まれず、含まれていている場合、10重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは1重量%未満で含まれる。
【0178】
別の実施態様では、本発明の架橋されたポリエチレン、及び/又は修飾剤-ベース樹脂ブレンドは、さらに、本技術分野で知られている通常の添加剤を含む。例えば、充填剤、キャビテーティング剤(cavitating agents)、抗酸化剤、界面活性剤、補助剤、ブロック、アンチブロック、着色用マスターバッチ、色素、染料、処理助剤、UV安定剤、中性化剤、潤滑剤、ワックス、及び/又は核形成剤である。この添加剤は本技術分野で良く知られている通常の有効量で含まれても良い。例えば、本組成物の重量に基づき0.001重量%から10重量%である。好ましい抗酸化剤はIrganox 1010、Irganox 1076のようなフェノール性抗酸化剤を含み、両者はCiba-Geigyから入手できる。好ましい充填剤、キャビテーティング剤及び/又は核形成剤は、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、二酸化ケイ素、カーボンブラック、砂、ガラスビーズ、無機物の凝集物、タルク、粘土等を含む。
【0179】
本発明のバリアーパイプの実施態様では、本発明の架橋されたポリエチレンは、酸素がパイプの壁を浸透できる速度を低下させるために使用される少なくとも1つのバリアー層と組み合わせて使用される。このバリアー層は架橋されたポリエチレン管の内側表面又は外側表面にある層として使用される、または内部と外部の架橋ポリエチレン層の間にある内部層として挟まれているバリアー樹脂の薄い層でも良く、この架橋を受けたポリエチレンとバリアー樹脂の向かい合う表面の間に吸着性の結合層がある場合もありない場合もある。バリアー材料の代表的な非限定的な例はエチレンビニルアルコール(EVOH)コポリマーとポリアミド(Nylon)と、またはいくつかの実施態様では、この2材料の混合物である。適したバリアー樹脂は、販売名SELAR PA (Dupont)、SOARNOL EVOH (Soarus L.L.C)及びEVAL EVOH(Eval Co.)で市販されている。
【0180】
結合層は本発明のバリアーパイプの複層構造の異なる樹脂の結合を促す。一実態様ではこの結合層は、吸着性樹脂でも良く、例えば、架橋されたポリエチレンのほか、Nylon及び/又はEVOHのような種々の樹脂と結合するようにデザインされた官能基で修飾されたポリオレフィンでも良い。適した吸着性樹脂はADMER(Mitsui Chemical)、BYNEL(Dupont)及びPLEXAR(MSI Technology)の販売名で購入できる。
【0181】
一実施態様で架橋された管は中間の結合層と外部の酸素バリアー層で皮膜されて共押し出しされても良い。この結合層は求める結合に適した厚さをもち得、例えば0.01から0.05mm(0.5−2.0ミル)であり、このバリアー層は酸素透過性を抑制するに適した厚みをもち得、例えば、0.01-0.1mm(0.8-4ミル)である。さらに、このバリアー層は架橋されたポリエチレンの管の柔軟性や他の求める性質に悪影響を及ぼす程厚いものであってはならない。
【0182】
別の実施態様では、同様の多層バリアー管構造が使用でき、ここで、水分硬化ポリエチレン樹脂は、例えば1工程で、ポリエチレン樹脂層に挟まれたバリアーと結合層とともに共押し出しされ、この共押し出し工程の後ポリエチレン樹脂は架橋される。
多層バリアーパイプは、NFPの存在により優れた柔軟性と加工性をもつが、しかし驚くべきことに、修飾剤が表面への滲みや粘着性の低下を防ぐため架橋され又は樹脂に結合されなければならない他の柔軟化材料と異なり、本発明の本質的に不活性な修飾剤を用いた場合には結合層への粘着性の大きな損失はない。さらに、本発明のバリアーパイプは望ましいバリアー性をもつ。
【0183】
好ましい実施態様では、本発明の架橋されたブレンド(特にパイプと管類の用途で有用なもの)は少なくとも10Mpa以上の、好ましくは15Mpa以上の、好ましくは20Mpa以上の降伏応力をもつ。
【0184】
好ましい実施態様では、本発明の架橋されたブレンド(特にパイプと管類の用途で有用なもの)は0.5Mpa未満の、好ましくは0.3Mpa未満の、好ましくは0.1MPa未満の平均的曲げ試験強度をもつ。
【0185】
好ましい実施態様では、本発明の架橋されたブレンド(特にパイプと管類の用途で有用なもの)は82℃で2Mpa以上、好ましくは2.5Mpa以上、好ましくは3.0Ma以上の破裂圧をもつ。
【0186】
好ましい実施態様では、本発明の架橋されたブレンド(特にパイプと管類の用途で有用なもの)は、NFPを含有しない正確に同一の架橋ブレンドよりも少なくとも25%高い、好ましくは少なくとも50%高い、好ましくは少なくとも100%高いメルトインデックス(ASTM1238,190℃、2.16kg)をもつ。
【0187】
好ましい実施態様では、本発明の架橋ブレンド(特にワイヤーとケーブルの用途で有用なもの)は6dg/分以下、好ましくは5dg/分以下のメルトインデックス(ASTM1238、190℃ 2.16kg)をもつ。
【0188】
好ましい実施態様では、本発明の架橋されたブレンド(特にワイヤーとケーブルの用途で有用なもの)は、5MPa以上、好ましくは6MPa以上、好ましくは7MPa以上、好ましくは7.5Mpa以上の破断時の張力をもつ。
【0189】
好ましい実施態様では、本発明の架橋されたブレンド(特にワイヤーとケーブルの用途で有用なもの)は300%以下の、好ましくは275%以下の破断時の伸長点をもつ。
【0190】
好ましい実施態様では、充填剤を含む本発明の架橋されたブレンド(好ましくは少なくとも20重量%の充填剤)は、NFPを含有しない場合の同一の装置での同一のブレンドと比較して少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%のダイス加圧エネルギーの改善をもたらす。ダイスの加圧エネルギーの改善はNFP含有ブレンドの出口でのダイスの圧力を、NFPを含まない同一のブレンドの出口におけるダイスの圧力で割ったものと定義される。
【0191】
好ましい実施態様では、充填剤を含む本発明の架橋されたブレンド(好ましくは少なくとも20重量%の充填剤)は、NFPを含有しない場合の同一の装置での同一のブレンドと比較して少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%のトルクエネルギーの改善をもたらす。トルクエネルギーの改善はNFP含有ブレンドを押し出すために要するトルクを、NFPを含まない同一のブレンドを押し出すために要するトルクで割ったものと定義される。
【0192】
好ましい実施態様では、本発明の架橋されたブレンドはNFPを含まない同一の装置上での同一のブレンドと比較して少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%のトルクエネルギーの改善をもたらす。
【0193】
好ましい実施態様では、本発明の架橋ブレンドはNFPを含有しない場合の同一の装置の同一のブレンドと比較して少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%のダイス加圧エネルギーの改善をもたらす。
【発明を実施するための形態】
【0194】
試験方法
硬度:硬度試験はASTM D2240-05(EN ISO 868) または、ASTM D 785、プラスチックと電気絶縁体のロックウェル硬度試験法(Test Method for Rockwell Hardness of Plastics and Electrical Insulating materials)従い測定された。不一致のある場合、ASTM D 785が優先する。
【0195】
ヤング率またはE率:ヤング率試験はASTM D638/T4 またはISO 572-2/1B for Type 1B Dumbells, 室温におけるタイプIV及び1Bダンベルに関する引張特性(Tensile Properties on Type IV and 1B Dumbells at Room Temperature)に従い行われた。不一致のある場合、ASTM D638/T4が優先する。
【0196】
メルトフローレート(MFR):MFRはASTM D1238、押し出しプラストメーターによる熱可塑性樹脂の流動速度の標準的試験法(Standard Test Method for Flow Rates of Thrmoplastics by Extrusion Plastometer )に従い決定された。測定はポリエチレンポリマー(190℃と2.16kg)について示唆された温度と荷重を用いて手順Bに従い行われた。
【0197】
曲げ試験は、1.27cm(1/2インチ)の管をその管の外側の直径の8倍の半径をもつ軸の周りで90°曲げるのに要する力を測定する。この場合外側の管の直径は1.59cm(5/8インチ)であり、軸の半径は12.7cm(5インチ)であった。同様の手順が1.90 cm(3/4-in)パイプに使用された。
【0198】
降伏点の引張応力と極限伸長:張力および伸長試験はASTM D638,微小張力サンプルの使用によるプラスチックの引張特性の試験法(Test Method for Tensile Properties of Plastics by Use of Microtensile Specimens)に従い行われた。これらの例では、手順はASTMの手順で決められた試験の速度条件Cについては変更され、いくつかのサンプルは、微小張力サンプルではなく内径12.7mm(0.5インチ)、外径15.9mm(0.625インチ)の管であった。
【0199】
迅速破裂試験:82℃(180°F)破裂試験は、修正されたASTM D1599,プラスチックパイプ、管類及び器具の短時間水圧破損試験法(Test Method for a Short Time Hydraulic Failure Pressure of Plastic Pipe, Tubing and Fittings)に従い測定された。この標準的方法は60-70秒で破損又は破裂するように圧力の一定で均一な上昇を定めている。一方,修正試験法は管に関する標準、つまり、PEXの場合にはASTM F876で定められた最小迅速破裂圧(Quick Burst Pressure)にまで速やかに圧力を上げ、1分間この圧力を保ち、その後内圧がサンプルが破裂するまで増大された。
【0200】
平均%ゲル:ゲル試験はポリマーサンプル中の架橋を受けた、溶解しない物質のパーセントを測定する。これらの試験はASTM D 2765, 架橋エチレンプラスチックのゲル含量と膨潤比の決定試験法(Test Method for Determination of Gel Content and Swell Ratio of Crosslinked Ethylene Plastics)に従い行われた測定された。いくつかの場合、データは標準化されて報告されている、つまり、パーセントゲルは、試験で使用された溶媒に溶解するすると考えられるNFPのような低分子量の化合物の存在を考慮するだけで求めた重合化合物の重量パーセントである。例えば、3重量%のNFPと65.8重量%のゲルを含有する架橋ポリエチレンサンプルは、ポリマーに基づく値とするため65.8/(1-0.03)= 67.8重量%ゲルと標準化されている。
【0201】
酸化的誘導時間(OIT):OIT試験はASTM D 3895、示差走査熱量測定によるポリオレフィンの酸化的誘導時間試験法(Test Method for Oxidative-Induction Time of Polyolefins by Differential Scanning Calorimetry)に従い210℃で行われた。
【0202】
限界酸素指数(LOI):OIT試験はASTM D2863 Rev.A, プラスチックのロウソク様燃焼を行う最小酸素濃度の標準試験法(酸素指数)(Standard Test Method for Measuring the Minimum Oxgen Concentration to Support Candle-like Combustion of Plastics(Oxygen Index) )に従い行われた。
【0203】
ホットナイフ試験(Hot Knife Test):ホットナイフ試験はワイヤーとケーブル工業で使用されている公式な試験であり、BS/EN 60811-3-1(1995)に従い行われた。
【0204】
熱重量分析(TGA):TGA試験については、ポリマーサンプルは、熱重量分析機を使用して分析された。一定重量(70-74mg)と厚さ1.93mm(76ミル)のサンプルの重量損失は175℃と200℃の温度で等温的に60mL/分の窒素流速下で試験された。サンプルの質量は8時間にわたり時間の関数としてモニターされた。修飾剤のパーセント損失は本発明の修飾剤を含有するサンプルの総重量損失からポリマーのみの対照サンプルの重量損失を差し引き、修飾剤の総重量で割ることにより計算された。
【0205】
平均溶存酸素差(MDOD):MDOD試験は微生物の増殖への影響を示すものとして行われた。ガラスが陰性対照、ロウが陽性対象として使用された。修飾剤を含有する及び含有しない多くの試験サンプルを含む水溶液のサンプルが対照サンプルと比較された。微生物の増殖があったサンプルは、時間が経過するにつれその酸素が消耗され、大きなMDODとなった。微生物の増殖がなかったサンプルは時間が経過しても一定の酸素濃度を維持し、低いMDODであった。MDODを決定するために使用された試験法は英国標準6920:2000-飲用水に使用する非金属物質の試験-水棲微生物の増殖(British Standard(BS)6920:2000-Testing of Non-metallic Materials For Use With Drinking Water, Growth of Aquatic Microorganisms)であった。
以下の実施例で使用される略記は以下のものを含む。
BP 沸点
CS 硬化系
EB エチレンブテンプラストマー
EO エチレンオクテンプラストマー
EPM エチレンプロピレンゴム
EPDM エチレンプロピレンジエン修飾ゴム
EVA エチレン酢酸ビニルコポリマー
FR 難燃材
HD 高密度
KV 動粘性率
LD 低密度
LLD 線状低密度
LOI 限界酸素指数
MB マスターバッチ
MDOD 平均溶存酸素差
OIT 酸化的誘導時間
PAO ポリアルファオレフィン
PE ポリエチレン
PEX 架橋ポリエチレン
R-COPO 反応器コポリマー
TGA 熱重量分析
Tm 融点
VI 粘度指数

実施例
【0206】
NFP修飾剤を使用した試験的製作がINOEX重量混合機の混合チャンバーヘNFPを射出するように改良された市販の架橋ポリエチレン(PEX)装置を用いて行われた。名目1.27cnの直径(0.5インチ)と1.90cm(3/4インチ)の管が評価のために作られた。この工程はパイプサンプルが集められる前に定常状態に安定化された。一般的に、NFPの添加が増えると低い運転電流値が示された。これは粘度の変化がエネルギー消費の低減及び/又は同一のアンペアにおける効率の改善になったことを示していた。一般的に、この結果はまた、本明細書に述べられたNFPがPEXベース樹脂の架橋に干渉しないこと、または管の抗酸化剤パッケージに干渉しないことを示していた。破裂試験はまた、NFPで修飾されたPEXのサンプルが適合最小値より十分高い破裂圧に耐えることを示した。実際、5重量%添加したサンプルですら、対照サンプルに匹敵する破裂試験結果を示した。静水圧試験(HDS)が行われ、760psiのHDS評価圧を示す初期結果も示した。この結果は一般的にPEXベース樹脂へのNFP修飾剤の添加は柔軟性を向上させパイプサンプルの強度の殆どを維持することを示している。
【0207】
原料の性状:本発明は架橋ポリエチレンポリマーとコポリマーの性質をポリマー修飾剤を用いて向上させる方法を述べる。本発明は一般的に、HDPE、LPDE、LLDPE及びプラストマー等の全ての硬化されたチーグラー-ナッタとメタロセンPEに適用できる。
本発明の実施例で使用された発明に係るPEと対照PE物質のリストは表1に示されている。


【0208】
本発明で使用されるこの液体修飾剤は、本来的に不活性であり、鉱油、ホワイト油及びパラフィン油のような従来の修飾剤のように硬化に影響しないため、架橋を受けたPE用途で特に有用であることが見出された水添されたC8からC12 PAOを含む専用ポリマー修飾剤である。同様に、本明細書の一実施態様におけるこの液体修飾剤は他の化学的作用、例えば、抗酸化、充填、粘着等に影響せず、一般的に他の添加剤と反応しない。その結果、このNFP修飾剤が一実施態様で使用された場合には、抗酸化剤パッケージ等のいくつかの標準的添加剤濃度は減少でき、なおかつ同じ効果を達成できる。加えて、本発明の修飾剤は、高い保留性、ポリエチレン及びエチレンコポリマーと良好な適合性及び狭い分子量分布(Mw/Mn又はMWD)をもつ。その結果、本発明の修飾剤を使用すると高い硬化効率、改善された柔軟性及び靭性、易加工性等の好ましい性質の驚くべき組合せをもつ。加えて、これらは優れた表面特性と、時間が経過しても性質を例外的に保持する。本発明の実施例で使用される本発明と対照となる修飾剤の一覧は表2に示されている。

【0209】
以前はポリマー修飾剤と液体修飾剤はPE物質に作用させるために使用されてきたが、典型的なポリマー修飾剤と鉱油、ホワイト油またはパラフィン性油のような液体修飾剤ですらPEX系の架橋効率を減少させるように作用することが多く、ポリマーの性質の喪失又は求める性質を保持するための架橋剤の量を多くすることが必要になっていた。加えて、これらは柔軟性のような求める特性を発揮する上で非効率なことが多く、又は、例えば、機械的特性の減少又は加工性の低下のような大きな欠点を伴った。驚くべきことに、本明細書に述べられたNFP修飾剤は硬化系、又は結合、グラフト化又はカップリング系に悪影響を及ぼすことが見出されなかった。PEを硬化するため使用される架橋系は2,3挙げれば、シラン系、過酸化物系及びe-線処理系を含む。本発明の実施例で使用される例となる硬化系と硬化処理の一覧は表3に載せられている。過酸化物は別の例となる硬化系である。

サンプル調製法
【0210】
パイプ類及び管類の実施例:パイプ類及び管類の生産に関する本発明で提供される実施例のいくつかはシラン硬化系により架橋されたポリエチレン(PEX)を利用する。本発明の修飾剤は結果に影響を及ぼすことなく多くの方法で押し出し工程に加えることができる。一実施態様では、液体の修飾剤は、例えば、ポンプを使用して押し出し工程の間その工程に直接に加えることができる。工程への影響を最小限にし、既存の商業生産用管及びパイプ工程に大きな変更を加えることなく流体で修飾を受けたPEの加工を可能とするため、NFP液体修飾剤は単軸スクリュー押し出し機の溶融流の外でベース樹脂へ加えられた。または、本発明の液体修飾剤は、押出機に投入する前に、Inoex 秤量混合機の混合チャンバーへ加えられた。
【0211】
ワイヤーとケーブルの実施例:硬化系を使用するワイヤーとケーブルの生産のため開発された本発明で与えられる実施例のいくつかでは、ケーブルの製造開始時には活性化してはならない。その結果、後に例えば、連続的加硫ラインで高温で硬化される前の開始時のケーブル押し出しは、低温、硬化系の活性点未満で行われる。低温押し出しをする場合、これらの低温で高いポリマー粘度によるエネルギーの追加を必要とするであろう。
【0212】
別の実施態様では、シラン硬化系はPEを架橋するために使用される。本発明の修飾剤は、1工程MONOSIL法及び2工程SIOPLAS法等の多くの異なるシラン系においてPEの性質を向上させることが見出された。いくつかのサンプルは小型のHAAKE実験用押し出し機で作られ、細長い片に成型され、その後水分により硬化された。試験はこの細長い片で行われた。
【0213】
加えて、本発明のワイヤーとケーブルの例のいくつかは、難燃性である。難燃剤調合物は処理を更に困難にする高い含量の添加剤又は充填剤を含むことが多い。これらの理由により、難燃性の硬化されたワイヤーとケーブル調合剤は加工が非常に困難であり、加工性を改善する修飾剤に大きく依存している。
【0214】
実施例1−4、パイプ類と管類での使用における高い硬化効率
表4の実施例1−4は、本発明の修飾剤が架橋PE硬化系に悪影響を及ぼさないことを示す。2つの異なるシラン硬化系のデータが得られた。架橋密度を測定するために使用される試験は抽出試験であり、架橋PEの秤量したサンプルがソックスレー抽出器の下部に入れられ、非晶相が沸騰したドデカナフタレン(BP =190℃)で6時間抽出される。この非溶解部分が乾燥され秤量される。この重量が元のサンプルの重量のパーセントとして報告される。実際の測定されたパーセントが、発明のサンプルへ加えられた3%の修飾剤を補償するように計算された標準化されたパーセント(パーセントX 1.03 = 標準化されたパーセント)とともに報告される。報告された値は対照サンプルの値の約+/-2%以内にあり、硬化効率の有意な損失は本発明の修飾剤により引き起こされていないことを示唆している。

【0215】
実施例1−4、パイプ類と管類の用途における引張り特性
実施例1-4では、PEX物質はパイプ類用途において使用される硬い、高密度プラスチックであった。修飾剤はパイプの柔軟性を改善するために使用されることが多い、しかし、プラストマーのような従来の高Mwポリマー修飾剤が柔軟性を改善するために使用されると
きは、全ての引っ張り特性が大きく減少し弱いパイプとなることが一般的に見出されている。典型的な流動修飾剤が、PEXを修飾するために使用されるとき、硬化効率は減少し、その結果強度と靭性もまた減少することが一般的に見出されている。
【0216】
驚くべきことに、本発明の修飾剤を含むPEXは、曲げ弾性率の大きな減少(柔軟性の改善)とを示すが、しかし引っ張り強度と破裂強度(靭性の尺度)は、はるかに小さい減少を示す。これにより優れた柔軟性をもつ高い強度の耐久性の高いパイプを作ることができる。加えて、得られる好ましい特性は、本発明の修飾剤のホストポリマーとの優れた適合性、比較的大きいMw(典型的な流体修飾剤と比較するとき)及び狭い分子量分布により時間を経ても維持できる。併せて、本発明の修飾剤のこれらの性質はホストポリマーの中での高い保留性を与え、長期に特性を保持する。
【0217】
表5は実施例1-4の引っ張り特性を示す。パイプ曲げ試験は1.27cmのパイプを使用し、それを90°曲げるために要する力を測定した。比較的低い力はより柔軟なパイプを意味した。降伏点における応力は変形点の強度の尺度であり、迅速破裂試験(Quick Burst test)は所与の温度でパイプを破裂させるために要する内部圧を測定した。例えば、CS1を用いて硬化されたPE2のM2は柔軟性を36%改善したが、180℃での破裂強度はわずかに10%の減少であり、本出願で求められる規格内に留まった。

【0218】
加えて、この普通ではない効果は1PEまたは1硬化系に限定されず、多くのポリエチレンと種々の他の硬化系に適用できる。表5の実施例2−4は、種々の発明に係る修飾剤を用いた異なるPEと異なるシランの硬化法についての他の引っ張り強度において比較的小さい減少を伴いながら柔軟性において同様の向上のあることを示している。この一般的適用可能性は、コンパウンディング業者(compounder)及び製造業者に従来の原料の組合せを使用を可能にさせ、これらの製品に柔軟性を与え、特性を微細に調整することができる。
【0219】
実施例5-8:表6はこの効果がe-線を使用して架橋された系に適用できることも示唆する。実施例5は、降伏点における応力及び破裂試験の両者に反映されているように柔軟性における31%の増大、強度におけるわずか20%の損失を示した。
【0220】
表6もまた、この効果が非常に高いMw PE(実施例7)と非常に高い密度PE(実施例8)を含む種々の性質をもつ他のホストポリエチレンに適用できることを示している。この高いMw(低いMI)の例は、破裂強度が殆ど影響を受けずに、本発明の修飾剤の添加によりやや高い密度でも柔軟性に適度な向上を示した。非常に高い密度のサンプルは曲げの強さ(柔軟性)と降伏点での応力に殆ど変化を示さず、高温における破裂強さにおける適当な改善及び室温における破裂強さに大きな改善を示した。この知見により、当業者はPEホストポリマーの賢明な選択を通じて、求める引っ張り特性をもつコンパウンドを設計でき、そして本発明の修飾剤の正しい選択により柔軟性、靭性又は強度の微細な調整ができる。

【0221】
さらにより顕著であるのは、ある程度までは、柔軟性の程度が、コンパウンドで使用された修飾剤の量を増大又は減少させることにより調節できうることであり、しかし、82℃(180°F)における破裂強さのような他の引っ張り特性は修飾剤の含量が上昇しても比較的一定であることである。図1は実施例2-4のような典型的PEXパイプ調合物を使用して点を打ったものである。0と4.5重量%の間で発明の修飾剤を加える0.483Mpa(70 psi)から0.276Mpa(40psi)へ曲げ力が減少することによる柔軟性の改善をもたらす。一方、破裂圧は約2.76Mpa(400psi)で一定に維持されている。図2はゲルの含量を示すが、これは架橋効率の尺度である。これも組成の範囲で一定であり、高濃度であっても架橋に干渉しなかったことを示している。
【0222】
実施例9-10:本発明の修飾剤が多くのPEX硬化系に干渉しないことを示しまた、その引っ張り特性又は靭性の特性の有意な損失のない柔軟性の驚くべき改善に加え、本修飾剤は加工することが非常に困難な条件下でもPEXの加工を容易にするように作用する。表7はパイプ類と管類の用途での加工性の改善のためのいくつかのデータを示す。これは典型的パイプ類と管類の調合物に、3重量%と4重量%の間で、発明にかかる修飾剤を使用することに伴う工程の改善の大きさを示す。3.0重量%M2を含む実施例1は、一定のスクリュー速度で5.5%低い荷重と34%低いダイス圧力を示した。実施例9と10は、少し高含量の修飾剤で実施例2と同様であった。これらの実施例は、2つの異なるスクリュー速度で異なるPEと硬化系を使用し、それぞれはより良い加工成績を示した。実施例10は、4.0%のM2を用い、26rpmで26%低い荷重と8%低いダイス圧をもった。

【0223】
実施例11-12:上記のパイプ類と管類用途に見られる加工の改善は他の加工でも見られる。実施例11-12は表8にワイヤーとケーブル調合剤でのシランで架橋されたPEXの加工データを示す。同じ溶融温度で2.9%の本発明の修飾剤を含むPEはベースPEのみより押し出しトルクが44%小さく、同様の架橋されたシラン調合物においては、押し出しトルクが68%落ちている。加えて表面の外観は非常に粗いサメ肌様の外観から滑らかな外観へ改善された。

【0224】
実施例13-14:表9に示されているようにわずかに高い押し出し温度で行われた実施例13と14で非常に似た改善が達成された。表8と9を比較すると、易加工性における最大の改善は最も厳しい条件で得られたことが分かる。つまり、比較的低い温度、比較的高い粘度の加工及び充填剤を最も多量に詰めたものの加工は、本発明の流動修飾剤の使用から最大の利益を引き出すようである。

【0225】
発明の修飾剤を使用するとき図3A-3Dは表面の性質が改善する。図3Aは無添加のPE4(対照例4)の相当のサメ肌様の表面であり、10%のマスターバッチが加えられたとき(実施例14)図3Bで顕著に改善されたことを示す。10%MBは全体で2.9重量%濃度の流動修飾剤を与える。図3Cは、系が硬化されたとき、さらに別の改善があることを示し、図3Dは100℃/160℃/220℃/200℃の温度プロファイルを用いてわずかに高い温度でコンパウンドが押し出しを受け、硬化されたときの特別に滑らかな表面を示す。
【0226】
管類とパイプ類XLPE(PEX)コンパウンドでの抽出試験で測定された%ゲルデータと一致して、ワイヤーとケーブルPEXコンパウンドで測定されたホットセットデータ(hot set deta)は、同様に硬化に干渉がないことを示した。このホットセット試験は高温におけるPEXのクリープを測定する、つまり、特定の荷重で高温下PEXの伸長の増大を測定する。このホットセットデータは0.2MPaの力が15分間加えられた後に200℃での永久歪みのパーセントを記録する。このパーセントが低いと、架橋密度と硬化効率が高い。例えば、80rpmの一定のスクリュー速度で、温度プロファイルT1でCS4により硬化されたPE4はこのホットセット試験で伸長の25%増大を示した。一方、10%M4マスターバッチ(2.9重量%の発明の流動修飾剤)を含み、温度プロファイルT1でCS4により硬化されたPE4は同じ条件下で、同一の試験で30%増大という同様の数値を示し、硬化の効率が非常に似ており、かつ、硬化が発明の修飾剤により影響されないことを示している。
【0227】
実施例15-17 :押し出し機にとって最も加工の困難な原料の一つは難燃性ワイヤーとケーブル用コンパウンドに見出される。難燃剤コンパウンドは燃焼性を押さえるために60%より多くの添加物と充填剤を含み得る。粘性のある溶融物中のこのように多くの固体添加剤は押し出しが困難である。加えて、温度は、ケーブルの初期成型で架橋剤が活性化されないように低く維持されなければならない。これらの理由から硬化に影響を与えずかつ引っ張り特性に影響を与えずに加工を容易にできるポリマーの修飾剤は難燃性コンパウンドで求められることが多い。
【0228】
表10の実施例15-17は、本発明の修飾剤がいかにハロゲン非含有難燃剤(HFFR)ワイヤーとケーブル用コンパウンドを加工するためのエネルギー必要量を減少させるかを示している。例えば、HFFR調合物に1.87%の修飾剤を加えると約10%押し出しトルクを低下させ約15%ダイス圧を低くした。これは一部、混合物M1を2.8から約5.0dg/分(対照例5と実施例15)に殆ど2倍にすることにより達成されたものである。

【0229】
実施例15-17の製品の特性を見るとき、再び、引っ張り特性、ホットナイフ及びLOIのわずかな減少を伴う柔軟性における大きな改善があった。表11はHFFRワイヤー及びケーブル用製品のデータをまとめている。例えば、曲げ弾性率(Flex modulus)は28%まで改善し、伸長は約5%から8%改善し、一方、引っ張り強さはわずかに約6%減少した。靭性の減少を示すホットナイフ試験におけるわずかな増大及び物質がわずかにより可燃性になったことを示す約2パーセントのLOIの低下があったが、これらはわずかな変化であり、このコンパウンドは依然規格内にあった。

【0230】
実施例18:実施例1-10のパイプPEXコンパウンドはバリアーパイプに成型される。一実施態様では、この架橋された管は0.01-0.05mm(0.5-2.0ミル)のADMER(三井化学)、BYNEL(Dupont)、またはPLEXAR(MSI Technology)粘着性樹脂のような中間にある粘着層と、0.02-0.1mm(0.8-4ミル)SELAR PA(Dupont)、SOARNOL EVOH(Soarus L.L.C)、及びEVAL EVOH(Eval Co.)バリアー樹脂のような外側の酸素バリアー層により皮膜されて共押し出しされる。別の実施例では、このバリアー管は内側及び外側の層の実施例1-10の水分硬化性コンパウンドと中間の粘着性樹脂結合層の間に挟まれたバリアー樹脂ともに1段階で共押し出しされ、その後にPEXの外側の層の水分による硬化が行われる。このパイプは上記のように優れた柔軟性をもち、架橋反応に本質的に不活性である本明細書に述べられたNFPではない修飾剤について経験されたような結合層への粘着性の大きな喪失はない。そしてこのパイプはバリアー樹脂層により与えられる酸素バリアー特性をもつ。
【0231】
1.27cm OD(1/2インチ)パイプを用いる上記実施例1−4でみられる弾性率の劇的減少は小さい直径のパイプに限られない。大きい直径のパイプは本来堅く、柔軟にすることが難しい。しかし、修飾剤が1.9cm(3/4-インチ)パイプのような比較的大きなパイプを作るための調合物で使用されると柔軟性の同様の改善が見られた。比較的大きなパイプ(実施例19)の引っ張り特性は表13に1.27cm(対照例C1)のもの及び修飾剤を含まない1.9cmパイプ(対照例C3)のものと比較されている。

完全に調合されかつ架橋後
na, 得られず。
【0232】
表13は1.90cmのパイプ(実施例19)の曲げ力は3%のM2修飾剤が加えられたとき同様のコンパウンド密度をもちかつ修飾剤を含まない(C6)同様の架橋パイプと比較したとき弾性率が26%減少することを示す。
【0233】
実施例20-22:発明の修飾剤を含む、及び含まないパイプサンプルがTGAを使用して経時的なサンプル重量損失を測定するために窒素置換下で一定の高い温度で保持された。表12は3種の異なる修飾剤について8時間の175℃と200℃の一定温度でのデータをまとめている。

【0234】
適合性と分子量の正しい組合せをもつ発明の修飾剤の例では、経時的にほとんど重量損失がなく、高い保留性を示し、その結果、特性が良く持続することを示すと期待される。低い適合性または不十分な分子量の例では、時間経過とともに高い重量損失があり、低い保留性を示すであろう。先に述べたように、本発明の修飾剤を使用するとき得られる所期の組成物の性質は、本発明の修飾剤のホストポリマーとの優れた適合性、典型的な流動修飾剤と比較して高いMw、及び狭い分子量分布のため、時間が経過しても維持できる。併せて、本発明の修飾剤のこれらの性質はホストポリマーにおいて高い保留性を与え、経時的に特性を保持する。この点を例示するなら、M2とM3(実施例20と実施例22)は、これらの条件下、非常に低い重量損失を示し、PEXパイプにおいてこれらの条件下で優れた保留性を示す発明に係る修飾剤の例である。M1(実施例21)は今回試験したサンプルのうち最も低分子量であり、これらの条件で比較的大きい重量損失を示す。図4は中間時点で採った175℃損失データをプロットしている。
【0235】
実施例23:修飾剤を含む又は含まない多くのパイプサンプルを含む水溶液のMDODは、BS 6920:2000に合わせた方法で、ガラスのような不活性対照サンプル及びロウのような活性対象サンプルと比較された。微生物を増殖させるサンプルは時間が経過すると酸素が減少し、大きなMDODとなる。微生物を増殖させないサンプルは時間が経過しても酸素濃度は一定であり、低いMDODをもった。表15はPEXパイプサンプルにおける多くの発明の修飾剤について結果を示している。

【0236】
実施例24-25:別の実施態様では、本発明の修飾剤は巻かれ、架橋された管類とパイプ類が再び巻く効果を減少させることが見出された。巻かれたPEXパイプの問題の一つは、パイプが硬化中にとっていた形状を「記憶」し戻ろうとする傾向のあることである。管類が、市販において普通求められる、小さく巻いた状態で硬化されると、この小さい管は解いてまっすぐに保つことが困難である。なぜならこれが小さく巻いた形状に再び巻こうとするからである。この問題を除くためにこの管は非常に大きいロールで硬化されることが多く、その後硬化が終了してからより小さく巻かれる。この二度の巻き取りを行う労力は工程と費用を増やす。本発明の修飾剤は硬化後に管類をより柔軟にし、形状記憶傾向又は再巻きつき効果を低くし、管類が平らになることを促すことによりこの問題を軽減することに役立つ。
【0237】
この効果を定量化する一方法は所与の時間後の曲げ力を測定し、曲げの間に記録された初期最大曲げ力とそれを比較することである。パイプの曲がりを保つために要する力が経時的に記録され、それが減少する速度がそのパイプがいかに速く緩むか、またはいかに速く記憶を失うかの尺度である。0分と10分での曲げの力の違いは、元の曲げの力のパーセンテージとして表され、記憶損失%と呼ばれ、大きいマイナス値は最も大きい記憶損失をもつサンプルを示し、再び巻く性質が少なく、より平になりやすく、扱いが最も容易であるサンプルを表す。表16は発明の修飾剤を含む、及び含まないPEXパイプと比較した説明のための2例について記憶損失の大きさを示す。

【0238】
本発明は特定の実施態様を参照して述べられ、説明されているが、本技術分野の通常の技術者は本発明が本明細書に説明されていない多くの異なる変更を行えると理解するであろう。これらの理由により、本発明の真の範囲を決定する目的では請求項のみが参照されるべきである。全ての優先権書類はそのような組み入れが許される全ての法域について引用により本明細書にすべて組み入れられる。さらに、本明細書に引用されている全ての文書は、試験手順を含め、そのような組み入れが許される全ての法域において本明細書と不一致がない程度で引用により本明細書に全て組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋されたポリエチレン製品を形成する方法であって、ポリエチレン樹脂を、柔軟性を与えうる量の、120より大きい粘度指数、100℃で3から300cStの動粘性率、-20℃未満の流動点、0.86未満の比重、200℃より高い引火点をもつ非官能性可塑剤(NFP)(当該NFPは、当該NFPの重量に基づき、水酸基、アリール基、置換アリール基、ハロゲン、アルコキシ基、カルボキシレート基、エステル基、アクリレート基、酸素、窒素、カルボキシル基から選択される官能基を5重量%未満で含み、かつ、オレフィン結合に含まれるNFPの炭素数は当該NFPの総炭素数の5%未満である)と混合すること、当該ブレンドを加工して製品の形状にすること、当該ブレンドを架橋して、架橋を受けたポリエチレン製品を作ることを含む方法。
【請求項2】
請求項1の方法であって、当該ポリエチレン樹脂は少なくとも50モル%のエチレン単位を含み、20モル%未満のプロピレン単位をもつエチレンベースのポリマーを含むものである方法。
【請求項3】
請求項2の方法であって、当該ポリエチレン樹脂は低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン及びそれらの組合せからなる群から選択されるものである方法。
【請求項4】
請求項1の方法であって、当該加工工程の当該ブレンドは、当該ポリエチレン樹脂と当該NFPの混合物の連続的かつ均一なマトリックス相を含むものである方法。
【請求項5】
請求項1の方法であって当該ブレンドは、当該ブレンドのポリマーの成分の重量の少なくとも90重量パーセントでポリエチレン樹脂を含むものである方法。
【請求項6】
請求項1の方法であって、当該NFPが当該ポリエチレン樹脂の重量の約0.5から約10重量パーセントを構成するものである方法。
【請求項7】
請求項1の方法であって、当該NFPがポリ-アルファ-オレフィン(PAOs)、分類IIIのベースストック、ガスツーリキッド(GTLs)製法由来の高純度炭化水素流体及びそれらの組合せから選択されるものである方法。
【請求項8】
請求項1の方法であって、当該NFPがC5からC14オレフィンのオリゴマーを含むものである方法。
【請求項9】
請求項1の方法であって、当該NFPが分類IIIのベースストックを含み、100℃で4から50cStの動粘性率、400から1,000g/モルの数平均分子量(Mn)、またはそれらの組合せを含むものである方法。
【請求項10】
請求項1の方法であって、当該NFPがワックスイソメレート(isomerate)潤滑油ベースストック及びガスツーリキッド(gas-to-liquids)ベースストックを含み、100℃で約3cStから約500cStの動粘性率をもつフィッシャー-トロプシュ炭化水素及び/又はロウから得られるパラフィンの組成物を含むものである方法。
【請求項11】
請求項1の方法であり、当該混合は溶融流の中で混合することを含む方法。
【請求項12】
請求項11の方法であり、当該NFPが溶融流の外側でポリエチレンに加えられる方法。
【請求項13】
請求項11の方法であり、当該NFPは溶融流の中でポリエチレンに加えられる方法。
【請求項14】
請求項11の方法であり当該溶融混合は単軸スクリュー押し出し機の中でのコンパウンディング(compounding)を含むものである方法。
【請求項15】
請求項1の方法であって当該混合は当該ブレンドに硬化系を導入することを含むものである方法。
【請求項16】
請求項15の方法であって当該硬化系は有機過酸化物の分解点より低い温度で当該ブレンドに導入された当該有機化酸化物を含むものであり、当該架橋が当該ブレンドを当該過酸化物の分解点より高い温度に加熱することを含むものである方法。
【請求項17】
請求項16の方法であって当該架橋は押し出し機の下流で連続的加硫を含むものである方法。
【請求項18】
請求項16の方法であり、当該架橋は当該過酸化物が導入された後に、当該ブレンドが当該過酸化物の分解温度より高い温度で維持されているヘッドを押し通り架橋された押し出し物を形成するエンゲル法(Engel process)を含む方法。
【請求項19】
請求項15の方法であって、当該硬化系が水分硬化性シラン化合物を含みかつ当該ブレンドが成型された製品を水分へ晒すことにより硬化される方法。
【請求項20】
請求項19の方法であって当該水分への暴露が15℃以下の温度で水と当該成型された製品を接触させることを含む方法。
【請求項21】
請求項19の方法であって、当該シラン化合物がポリエチレン樹脂中の反応器コポリマーに共重合できるコモノマーとして導入される方法。
【請求項22】
請求項21の方法であって当該混合は水分硬化反応触媒を含有するマスターバッチを当該ブレンドへ導入することを含む方法。
【請求項23】
請求項19の方法であって当該シラン化合物は反応性押し出しにより当該ポリエチレン樹脂へグラフト化され、当該グラフト樹脂は水分硬化反応触媒を含有するマスターバッチと混合される方法。
【請求項24】
当該シラン化合物と架橋反応触媒が一つの押し出し機の中の
当該ブレンドへ導入される1工程の方法を含む請求項19の方法。
【請求項25】
請求項19の方法であって当該シラン化合物と架橋反応触媒が別の押し出し工程で当該ブレンドに連続的に導入されることを含む2工程の方法を含む方法。
【請求項26】
請求項1の方法であって当該架橋が当該成型された製品の電子線照射を含む方法。
【請求項27】
請求項1の方法により生産された架橋されたポリエチレン製品
【請求項28】
管状物を含む請求項27の当該架橋されたポリエチレンの製品。
【請求項29】
請求項27の架橋されたポリエチレン製品であって、当該架橋されたポリエチレン製品がパイプ、導管、管、ワイヤーの被覆体及び絶縁体、及びケーブルの被覆体と絶縁体からなる群から選択される製品。
【請求項30】
押し出し物を含む請求項29の架橋されたポリエチレン製品。
【請求項31】
120より大きい粘度指数、100℃で3から300cStの動粘性率、-20℃より低い流動点、0.86未満の比重、200℃より高い引火点をもつ約0.1から約10重量パーセントの非官能性可塑剤(NFP)の層と混合された架橋ポリエチレン(PEX)を不可欠に含む組成物であって、当該NFPが、当該NFPの重量に基づき、水酸基、アリール基、置換アリール基、ハロゲン、アルコキシ基、カルボキシレート基、エステル基、アクリレート基、酸素、窒素及びカルボキシル基から選択された官能基を5重量%未満で含み、オレフィン結合に含まれる当該NFPの炭素数は当該NFPの炭素原子の総数の5%未満である組成物。
【請求項32】
請求項31の組成物を含む少なくとも一つの層を含むパイプ。
【請求項33】
複数の層(当該PEX組成物が一層を形成する)を含む請求項32のパイプ。
【請求項34】
請求項31の組成物を含む少なくとも一層を含む管類。
【請求項35】
請求項31の組成物を含む少なくとも一層を含むワイヤー又はケーブル用の絶縁体と被覆体。
【請求項36】
熱水または冷水配管システム、飲用水システム、温水放熱式循環暖房システム、融雪装置、スケートリンク配管と配線系と冷蔵倉庫配管と配線からなる群から選択される構造に含まれる管状物であり、この管状物は請求項31の組成物を含む少なくとも1層を含む。
【請求項37】
請求項31の組成物を含む少なくとも1層を含み、NFPを含まず、対応する柔軟化されていない組成物を含む同様の管状物よりも少なくとも5%高い柔軟性を有する管状物。
【請求項38】
請求項31の当該組成物であって、当該NFPがC5からC14のオレフィンのオリゴマーを含むものである組成物。
【請求項39】
請求項31の組成物であって、当該NFPが分類IIIのベースストックを含み、100℃で4から50cStの動粘性率、400から1,000g/モルの数平均分子量(Mn)、またはそれらの組合せをもつ組成物。
【請求項40】
請求項31の組成物であって、ワックスイソメレート潤滑油ベースストック及びガスツーリキッドベースストックを含み、100℃で約3cStから約500cStまでの動粘性率をもつ、フィッシャートロプシュ炭化水素及び/又はロウから得られた、パラフィンの組成物を当該NFPが含むものである組成物。
【請求項41】
請求項31の当該組成物であって、少なくとも50モル%のエチレン単位を含み、20モル%未満のプロピレン単位をもつエチレンベースポリマーを含むポリエチレン樹脂中で当該NFPのブレンドを架橋させることにより当該架橋ポリエチレンが得られるものである組成物。
【請求項42】
請求項41の当該組成物であって、当該ポリエチレン樹脂が低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン及びそれらの組合せからなる群から選択されたルものである組成物。
【請求項43】
請求項41の組成物であって、当該ブレンドがポリエチレン樹脂と当該NFPの混合物の連続した、均一マトリックス相を含むものである組成物。
【請求項44】
請求項41の組成物であって当該ブレンドは当該ブレンドのポリマー成分の重量の少なくとも90重量パーセントのポリエチレン樹脂を含むものである組成物。
【請求項45】
請求項41の組成物であって、当該ブレンドは有機過酸化物で架橋されるものである組成物。
【請求項46】
請求項41の組成物であって、当該ブレンドはシラン化合物と水分による硬化により架橋されているものである組成物。
【請求項47】
請求項46の組成物であって当該ブレンドは水分硬化触媒を含有するマスターバッチとの緊密に混合された混合物を含むものである組成物。
【請求項48】
請求項41の組成物であって当該ポリエチレン樹脂は共重合できるシラン化合物を含有する反応器コポリマーを含むものである組成物。
【請求項49】
請求項41の組成物であって、当該ブレンドは反応性押し出しにより当該ポリエチレン樹脂へグラフト化されたシラン化合物と、緊密に混合した状態で水分硬化反応触媒を含有するマスターバッチを含むものである組成物。
【請求項50】
請求項41の当該組成物であって、当該ブレンドは電子線放射により架橋されるものである組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−531900(P2010−531900A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513307(P2010−513307)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/065177
【国際公開番号】WO2009/002653
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】