説明

架橋クラムラバーを使用する改質アスファルトバインダ材料および改質アスファルトバインダを製造する方法

クラムラバーまたは粉砕したタイヤゴムおよび架橋剤の添加によって改質する瀝青質アスファルトバインダ材料について記載している。加えて、クラムラバーまたは粉砕したタイヤゴムおよび架橋剤を含有する改質アスファルトバインダを製造するための方法が提供される。その改質アスファルトバインダは、ニートアスファルト、クラムラバー、1つまたは複数の酸および架橋剤を含む。場合によって、該改質アスファルトバインダは1つまたは複数のポリマー添加剤を含むことができる。このクラムラバーは、トラックおよび/または自動車のタイヤを再利用することによって得ることができる。アスファルトバインダ中へのクラムラバーの添加により、高温および低温におけるアスファルトバインダのコンシステンシーおよび特性を改善することができる。特に、本発明の改質アスファルトバインダは、この改質アスファルトバインダを用いて舗装した道路またはその他の表面の改良された性能をもたらす改良された弾性的挙動を発揮する。永久歪、疲労クラックおよび熱クラックに対する道路の耐性は、この改質アスファルトバインダの使用によって改良される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一態様において、クラムラバーまたは粉砕したタイヤゴムおよび架橋剤の添加によって改質される瀝青質アスファルトバインダ材料を対象とする。第二の態様において、本発明は、クラムラバーまたは粉砕したタイヤゴムおよび架橋剤を含有する改質アスファルトバインダを製造する方法を対象とする。本発明の改質アスファルトバインダは、ニートアスファルト、クラムラバー、1つまたは複数の酸および架橋剤を含む。場合によって、該改質アスファルトバインダは1つまたは複数のポリマー添加剤を含んでもよい。このクラムラバーは、トラックおよび/または自動車のタイヤを再利用することによって得ることができる。
【背景技術】
【0002】
本出願は、その全体の内容が参照により本明細書に組み込まれている“Modified Asphalt Binder Material Using Crosslinked Crumb Rubber and Methods of Manufacturing the Modified Asphalt Binder”の名称がついている2005年3月3日出願の米国特許仮出願第60/677402号に対して米国特許法(35U.S.C.)第119条(e)に順ずる優先権を主張するものである。
【0003】
アスファルトバインダ中へのクラムラバーの添加により、高温および低温におけるアスファルトバインダのコンシステンシーおよび特性を改良することができる。特に、本発明の改質アスファルトバインダは、この改質アスファルトバインダを用いて舗装した道路またはその他の表面の改良された性能をもたらす改良された弾性的挙動を発揮する。永久歪、疲労クラックおよび熱クラックに対する道路の耐性は、この改質アスファルトバインダの使用によって改良される。架橋剤の添加は、また、改質アスファルト架橋剤の保存に対する安定性を改良する。
【0004】
本明細書および特許請求の範囲において使用される「アスファルトバインダ」という語句は、道路またはその他の表面を舗装するために使用されるアスファルト中のバインダとして使用されるか、または屋根材、塗料、および水シール材などの建設材料に使用される、時々瀝青と称される瀝青質材料を指す。本発明の組成物および方法で使用することができる瀝青の例としては、天然瀝青、ピロ瀝青、人工瀝青が挙げられる。特に好ましい瀝青は、アスファルトまたはマルサ(maltha)などの車道に使用されるものである。
【0005】
本明細書および特許請求の範囲において使用される「クラムラバー」という語句は、約5mm未満の粒径を有しており、好ましくは約2mm未満の粒径を有しているゴム粒子を指す。クラムラバーは、使用済みのトラックのタイヤまたは自動車のタイヤの粉砕によるか、またはその他の適当な粉砕ゴム源から得ることができる。
【0006】
アスファルトバインダ中のクラムラバーおよびポリリン酸の使用は、題名が、「瀝青質バインダおよびその製造方法(Bituminous Binder and Method for the Production Thereof)」である国際公開番号第04/081098号にすでに記載されている。その公開特許出願に記載されているように、0.5重量%と5重量%の間のポリリン酸、および0.5重量%と25重量%の間のクラムラバー(または粉砕したタイヤゴム)を瀝青質アスファルトバインダと組み合わせることによって、回転粘度が増大してその結果混合プロセスが高温条件を必要とすることのないように、アスファルトバインダの特性を有利に改質することができる。
【0007】
アスファルトバインダは、特に舗装道路に使用される場合に、環境条件の広範な変化があり得る用途で頻繁に使用される。したがって、アスファルトバインダの高温および低温条件における特性は、関心事である。低温においてはバインダ材料によっては脆弱になって熱応力によって長い横裂を生じ得る。高温においては、アスファルトバインダは、より流動的(すなわち、粘度が低い)となって、表面上を車両が通過することによって、舗装道路のわだち掘れを生じ得る。疲労および衝撃に対する抵抗、ならびにアスファルトバインダの舗装用途における骨材への付着力は、特定用途において同様に考慮しなくてはならない特定のバインダの性質である。
【0008】
アスファルトバインダによっては、例えば、対応するアスファルト舗装混合物が、交通量が多くて負荷の高い区域で使用される場合は、相対的に高い弾性挙動を必要とするかもしれない。単独で使用されるか、またはポリリン酸との組合せで使用されるクラムラバー(または粉砕したタイヤゴム)は、交通量が多くて負荷の高い使用に対してアスファルト舗装混合物の弾性挙動を十分には改良しない。高弾性が必要な場合は、多量のクラムラバーをアスファルトバインダに加えなければならない。これは、回転粘度の望ましくない増加、ならびにバインダ材料の保存と関係する問題を引き起こし得る。
【0009】
【特許文献1】国際公開第04/081098号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、相対的に高い弾性と、受け入れられる回転粘度とを備えており、十分な期間にわたって貯蔵することができるアスファルトバインダ材料を提供することである。本発明のもう1つの目的は、これらの性質を有するアスファルトバインダを製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様において、本発明は、アスファルト、クラムラバー、1つまたは複数の酸、架橋剤、および、場合によって1つまたは複数のポリマーを含む改質アスファルトバインダ材料を対象とする。本発明の一実施形態においては、ニートアスファルトを、0.5重量%から30重量%のクラムラバー、0.05重量%から5重量%の1つまたは複数の酸、および0.01重量%から5重量%の架橋剤によって改質する。該改質アスファルトバインダは、また、0.5重量%と30重量%の間の1つまたは複数のポリマー添加剤を含むことができる。本発明のアスファルトバインダは、一般的に、標準的な弾性回復試験、例えばAASHTO T51、ASTM D6084−04、NLT329またはその他の標準試験法に示されているような試験プロトコルのもとで、約10%と約90%の間の弾性回復を有する。
【0012】
別の態様において、本発明は、アスファルト、クラムラバー、1つまたは複数の酸、1つまたは複数の架橋剤、および、場合によって1つまたは複数のポリマーを含む改質アスファルトバインダ材料を製造する方法を対象とする。
【0013】
さらに別の態様において、本発明の改質アスファルトバインダは、エマルジョンを形成するために水および乳化剤と混合することができる。乳化したアスファルトバインダは、骨材物質と混合して所望の厚さの層を形成するために広げることができ、そのエマルジョンは破壊されてアスファルト舗装が形成される。別法では、乳化したアスファルトバインダは、表面に広げることができ、骨材物質をその乳化したバインダの上に広げ、エマルジョンを破壊してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、改質アスファルトバインダおよび改質アスファルトバインダを製造する方法を対象とする。その改質アスファルトバインダは、ニートアスファルト、クラムラバー、1つまたは複数の酸、および1つまたは複数の架橋剤を含む。場合によって、該組成物は、1つまたは複数のポリマーをさらに含むことができる。当然のことながら、本明細書で使用される「クラムラバー」としては、クラムラバー、例えば粉砕したタイヤゴムまたはアスファルトバインダとの混合物に適する粒子の形で提供される任意のその他のゴムが挙げられる。一般的には、クラムラバーの大部分は、約5mm未満、好ましくは約2mm未満、より好ましくは1mm未満の粒径を有する。本発明はこれに関しては限定されず、クラムラバーは所望の特性を備えたアスファルトバインダを生ずる任意の粒径分布を有することができる。
【0015】
本発明の改質アスファルトバインダは、約60重量%と約98.9重量%の間のニートアスファルト、約0.1量%と約30重量%の間のクラムラバー、約0.05重量%と約5重量%の間の1つまたは複数の酸、および約0.01重量%と約5重量%の間の架橋剤を含む。場合によって、該改質アスファルトバインダは、約0.5重量%と約30重量%の間の1つまたは複数の合成ポリマーをさらに含むことができる。
【0016】
一実施形態において、該改質アスファルトバインダは、約82重量%と約99重量%の間のニートアスファルト、約0.5重量%と約10重量%の間のクラムラバー、約0.5重量%と約3重量%の間の1つまたは複数の酸、および約0.01重量%と約5重量%の間の1つまたは複数の架橋剤を含む。
【0017】
別の実施形態において、該改質アスファルトバインダは、約52重量%と約98.5重量%の間のニートアスファルト、約0.5重量%と約10重量%の間のクラムラバー、約0.5重量%と約3重量%の間の1つまたは複数の酸、約0.01重量%と約5重量%の間の1つまたは複数の架橋剤、および約0.5重量%と約30重量%の間の1つまたは複数の合成ポリマーを含む。
【0018】
本発明の改質アスファルトバインダにおいて使用するための好ましい酸としては、リン酸、ポリリン酸(オルトリン酸含有量で表して100%を超える)(「PPA」)、90重量%を超える硫酸、ホウ酸、およびカルボン酸類、例えば、アジピン酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、吉草酸、コハク酸、フマル酸、グルタミン酸、フタル酸、酢酸など、ならびに上記酸類の組合せが挙げられる。本発明はこれに関しては限定されず、当業者には既知の任意の適当な酸を当該改質アスファルトバインダ中に使用することができる。
【0019】
その酸は、アスファルトバインダに固形または溶液のどちらでも加えることができる。固形の酸が使用される場合、その酸は、ホウ酸またはポリリン酸などは純粋な酸であり得、あるいはその酸成分は、例えばSiO−PPA混合剤などのように、取り扱いを容易にするために不活性成分と組み合わせてもよい。
【0020】
好ましい架橋剤としては、硫黄系化合物、例えば、ベンゾチアゾール、ジフェニルグアニジン、ジチオカルバメート、および元素硫黄ならびに/またはそれらの混合物などが挙げられる。以下の米国特許および公開出願:米国特許第6451886号、米国特許公開出願第2003144387号および米国特許第5256710号、に言及されている架橋剤であるButaphalt架橋剤もまた適切である。本発明はこれに関しては限定されず、当業者には既知の任意の適当なゴム架橋剤を本発明において使用することができる。
【0021】
合成ポリマーが使用される本発明のそのような実施形態において、好ましい合成ポリマーとしては、スチレンブタジエンコポリマー、スチレンブタジエンスチレン(SBS)3元ブロックコポリマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンプロピレンコポリマー、ポリ塩化ビニル(PVC)、ナイロン、ポリスチレン、ポリブタジエン、アクリル樹脂、フッ化炭素樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル、ポリエチレン(線状のまたは架橋した)、エポキシターポリマー、ポリプロピレン(アタクチックまたはイソタクチック)、および上記ポリマーの組合せが挙げられる。本発明はこれに関しては限定されず、当業者には既知の任意の適当な合成ポリマーを当該改質アスファルトバインダにおいて使用することができる。
【0022】
第2の態様において、本発明は、当該改質アスファルトバインダを製造する方法を対象とする。合成ポリマー添加剤を含まない本発明のそのような実施形態に対して、改質アスファルトバインダを製造するための好ましい方法は、(1)アスファルトを約120℃と約200℃の間の温度まで加熱するステップ、(2)第1の改質成分を加えるステップ、(3)前記アスファルトおよび前記第1の改質成分を、高せん断ミキサ、例えば、ロータ−ステータ型ミキサ(すなわち、シルバーソン型ミキサ)により約5分と約10時間の間、混合するステップ、(4)当該改質されたアスファルトバインダに第2の改質成分を加えるステップ、(5)前記第2の改質成分および当該改質されたアスファルトバインダを、高せん断ミキサ中で約5分と約10時間の間、混合するステップ、(6)当該改質されたアスファルトバインダに第3の改質成分を加えるステップ、および(7)前記第3の改質成分および当該改質されたアスファルトバインダを、低せん断ミキサ(例えば、イカ型ラボミキサに類似した約250rpmのモータで駆動するプロペラ型ミキサなど)により約5分と約48時間の間、撹拌するステップを含む。
【0023】
本発明の方法のこれらの実施形態において、第1の改質成分は、クラムラバーまたは1つもしくは複数の酸のいずれかであり得る。第1の改質成分が、クラムラバーである場合、第2の改質成分は、架橋剤であり、第3の改質成分は、1つまたは複数の酸である。別法では、第1の改質成分が、1つまたは複数の酸である場合、第2の改質成分は、クラムラバーであり、第3の改質成分は、架橋剤である。好ましくは、クラムラバーは、最終の改質アスファルト材料中に約0.1重量%と約30重量%の間のクラムラバー濃度を得るように加え、1つまたは複数の酸は、改質アスファルト材料中に約0.05重量%と約5重量%の間の全体の酸濃度を得るように加え、架橋剤は、約0.01重量%と約5重量%の間の架橋剤の濃度を得るように加える。
【0024】
本発明の方法の他の実施形態においては、1つまたは複数の合成ポリマーを改質アスファルト組成物に加える。本発明のこれらの実施形態においては、アスファルトバインダを改質する好ましい方法は、(1)アスファルトを約120℃と約200℃の間の温度まで加熱するステップ、(2)第1の改質成分を加えるステップ、(3)前記アスファルトおよび前記第1の改質成分を、高せん断ミキサ、例えば、ロータ−ステータ型ミキサ(すなわち、シルバーソン型ミキサ)により約5分と約10時間の間、混合するステップ、(4)当該改質されたアスファルトバインダに第2の改質成分を加えるステップ、(5)前記第2の改質成分および当該改質されたアスファルトバインダを、高せん断ミキサ中で約5分と約10時間の間、混合するステップ、(6)当該改質されたアスファルトバインダに第3の改質成分を加えるステップ、(7)場合によって、前記第3の改質成分および当該改質されたアスファルトバインダを約5分と約10時間の間、混合するステップ、(8)当該改質されたアスファルトバインダに第4の改質成分を加えるステップ、および(9)前記第4の改質成分および当該改質されたアスファルトバインダを低せん断ミキサ(例えば、イカ型ラボミキサに類似した約250rpmのモータで駆動するプロペラ型ミキサなど)により約5分と約48時間の間、撹拌するステップを一般に含む。
【0025】
方法のこれらの実施形態において使用される改質成分は、上記の、クラムラバー、1つまたは複数の酸、1つまたは複数の合成ポリマー、および架橋剤である。このクラムラバー、酸および合成ポリマーは、任意の順序でアスファルトに加えることができる。架橋剤は、クラムラバーが加えられた後にアスファルトに加えられるが、この架橋剤は酸またはポリマーのいずれかの前または後に加えることができる。
【0026】
本発明の方法のこれらの実施形態においては、クラムラバーは、最終の改質アスファルト材料中に約0.1重量%と約30重量%の間のクラムラバー濃度が得られるようにアスファルトに加えられ、1つまたは複数の酸は、改質アスファルト材料中に約0.05重量%と約5重量%の間の全体の酸濃度が得るように加えられ、1つまたは複数の合成ポリマーは、約0.5重量%と約30重量%の間の全体のポリマー濃度が得るように加えられ、架橋剤は、架橋剤の約0.01重量%と約5重量%の間の濃度が得られるように加えられる。
【0027】
当業者には当然のことであろうが、上記の方法において、使用される温度および混合時間によっては、低せん断ミキサを、高せん断ミキサの代わりに使用することができ、当業者であれば、使用される温度および添加材料に基づいて適切な混合時間を容易に決定することができる。
【0028】
本発明の方法において使用される好ましい合成ポリマーおよび好ましい酸は、上に記載されている。
【0029】
本発明の方法のいくつかの典型的な実施形態を以下で説明する。
【実施例】
【0030】
[実施例1]
クラブラバー−酸−架橋剤系
・ニートアスファルトを約120℃から約200℃の温度まで加熱する
・約0.1重量%から約10重量%のクラムラバーを加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.01重量%から約5重量%の架橋剤を加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.5重量%から約3重量%の1つまたは複数の酸を加える
・得られた改質アスファルトを低せん断ミキサにより5分から48時間撹拌する
【0031】
[実施例2]
・ニートアスファルトを約120℃から約200℃の間の温度まで加熱する
・約0.5重量%から約3重量%の1つまたは複数の酸を加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.1重量%から約10重量%のクラムラバーを加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.01重量%から約5重量%の架橋剤を加える
・得られた改質アスファルトを低せん断ミキサにより5分から48時間撹拌する
【0032】
[実施例3]
クラムラバー−ポリマー−酸−架橋剤系
・ニートアスファルトを約120℃から約200℃の間の温度まで加熱する
・約0.5重量%から約5重量%の1つまたは複数の合成ポリマーを加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.1重量%から約10重量%のクラムラバーを加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.5重量%から約3重量%の1つまたは複数の酸を加える
・約0.01重量%から約5重量%の架橋剤を加える
・得られた改質アスファルトを低せん断ミキサにより5分から48時間撹拌する
【0033】
[実施例4]
・ニートアスファルトを約120℃から約200℃の間の温度まで加熱する
・約0.5重量%から約5重量%の1つまたは複数の合成ポリマーを加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.5重量%から約3重量%の1つまたは複数の酸を加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.1重量%から約10重量%のクラムラバーを加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.01重量%から約5重量%の架橋剤を加える
・得られた改質アスファルトを低せん断ミキサにより5分から48時間撹拌する
【0034】
[実施例5]
・ニートアスファルトを約120℃から約200℃の間の温度まで加熱する
・約0.1重量%から約10重量%のクラムラバーを加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.5重量%から約5重量%の1つまたは複数の合成ポリマーを加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.5重量%から約3重量%の1つまたは複数の酸を加える
・約0.01重量%から約5重量%の架橋剤を加える
・得られた改質アスファルトを低せん断ミキサにより5分から48時間撹拌する
【0035】
[実施例6]
・ニートアスファルトを約120℃から約200℃の間の温度まで加熱する
・約0.1重量%から約10重量%のクラムラバーを加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.5重量%から約3重量%の1つまたは複数の酸を加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.5重量%から約5重量%の1つまたは複数の合成ポリマーを加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.01重量%から約5重量%の架橋剤を加える
・得られた改質アスファルトを低せん断ミキサにより5分から48時間撹拌する
【0036】
[実施例7]
・ニートアスファルトを約120℃から約200℃の間の温度まで加熱する
・約0.5重量%から約3重量%の1つまたは複数の酸を加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.5重量%から約5重量%の1つまたは複数の合成ポリマーを加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.1重量%から約10重量%のクラムラバーを加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.01重量%から約5重量%の架橋剤を加える
・得られた改質アスファルトを低せん断ミキサにより5分から48時間撹拌する
【0037】
[実施例8]
・ニートアスファルトを約120℃から約200℃の間の温度まで加熱する
・約0.5重量%から約3重量%の1つまたは複数の酸を加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.1重量%から約10重量%のクラムラバーを加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.5重量%から約5重量%の1つまたは複数の合成ポリマーを加える
・高せん断ミキサにより、約5分から約10時間の間、混合する
・約0.01重量%から約5重量%の架橋剤を加える
・得られた改質アスファルトを低せん断ミキサにより5分から48時間撹拌する
【0038】
本発明による架橋剤を用いる改質アスファルトバインダの特性を測定するために試験を行った。試験の1つの設定において、1つの改質アスファルトバインダは、クラムラバーおよびPPAのみを使用して調製し、一方、第2の改質アスファルトバインダは、クラムラバー、架橋剤としての0.1%の硫黄、およびPPAを使用して調製した。両方の場合ともクラムラバーを最初にアスファルトバインダに加え、高せん断ミキサにより約2時間撹拌した。第1の改質バインダについては、PPAを加え、高せん断ミキサを用いて約30分間混合した。第2の改質バインダについては、硫黄を加えて高せん断ミキサを用いて約15分間混合し、続いてPPAを加え、高せん断ミキサによりさらに約30分間混合した。得られた改質アスファルトバインダについて測定した特性を下の表1にまとめる。
【0039】
【表1】

【0040】
SBS、ポリリン酸およびクラムラバーをアスファルトバインダに添加することにより、改質アスファルトバインダを製造する一連の試験を行った。改質アスファルトバインダの1つにおいて、そのアスファルトバインダにはクラムラバーの添加に続いて架橋剤を加えた。高せん断ミキサを用いる混合時間は、次のようにした(各成分の添加後の混合時間は添加の順序と関係なく同じである):クラムラバーの添加後は約2時間;SBSの添加後は約6時間;硫黄の添加後は約30分;PPAの添加後は約30分。この試験において得られた改質アスファルトバインダの特性を表2にまとめる。
【0041】
【表2】

【0042】
上表から分かるように、いずれの場合にも、クラムラバーおよび架橋剤を含有する改質アスファルトバインダは、架橋剤を含まない配合と比較して改良された弾性を実証した。
【0043】
この改質アスファルト組成物は、エマルジョン型のプロセスにおいて使用し、アスファルトバインダ材料を適用することができる。一実施形態において、そのエマルジョンプロセスは次のステップを含む:
1)改質アスファルト組成物を上記のようにして調製し、
2)ステップ1で得られた改質アスファルト組成物のエマルジョンを、水と該改質アスファルト組成物ならびに乳化剤を周囲温度で混合することによって調製し、
3)ステップ2で得られたエマルジョンを、乳化したアスファルトバインダの均一な層を得るために広げ、
4)そのエマルジョンを破壊する。
【0044】
エマルジョンを破壊する前に、乳化したアスファルトバインダの上に骨材物質を散布してもよい。別法では、上記のプロセスは、そのプロセスのステップ2で得られたエマルジョンに、撹拌しながら周囲温度で骨材を加えてアスファルト舗装材料を形成するさらなるステップを含むことができる。このアスファルト舗装材料は、所望の厚さに広げ、エマルジョンを破壊する。乳化剤は当業者に知られている任意の適当な乳化剤であり得る。また、エマルジョンは、アスファルトエマルジョンを破壊するための通常の方法を用いて破壊することができる。
【0045】
上記の組成物または方法は、本発明の範囲から逸脱することなく多数のやり方で修正することができることは当業者には認識されよう。例えば、上記の混合ステップの1つまたは複数は、省略することができ、2つ以上の改質成分を一緒にまたは同時にアスファルトに加えることができ、あるいはさらなる改質剤を組成物に加えて組成物の特性をさらに改質することができる。したがって、本明細書に記載した好ましい実施形態は、説明のためであって決して限定を意図したものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.約60重量%から約98.9重量%のアスファルトバインダ材料と、
b.約0.1重量%から約30重量%のクラムラバーと、
c.約0.05重量%から約5重量%の少なくとも1つの酸と、
d.約0.01重量%から約5重量%の架橋剤と、
を含むことを特徴とする、改質アスファルトバインダ組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物において、
前記クラムラバーの大部分が、2mm未満の粒径を有することを特徴とする組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の組成物において、
前記少なくとも1つの酸が、リン酸、ポリリン酸(オルトリン酸含量として表して100%を超える)、90重量%を超える硫酸、ホウ酸、およびカルボン酸類、例えば、アジピン酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、吉草酸、コハク酸、フマル酸、グルタミン酸、フタル酸、酢酸など、ならびにそれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の組成物において、前記架橋剤が、元素硫黄であることを特徴とする組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の組成物において、1つまたは複数の合成ポリマーをさらに含むことを特徴とする組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の組成物において、
前記少なくとも1つの合成ポリマーが、スチレンブタジエンコポリマー、スチレンブタジエンスチレン(SBS)3元ブロックコポリマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンプロピレンコポリマー、ポリ塩化ビニル(PVC)、ナイロン、ポリスチレン、ポリブタジエン、アクリル樹脂、フッ化炭素樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル、ポリエチレン(線状のまたは架橋した)、エポキシターポリマー、ポリプロピレン(アタクチックまたはイソタクチック)、およびそれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の組成物において、
前記少なくとも1つの酸が、リン酸、ポリリン酸(オルトリン酸含量として表して100%を超える)、90重量%を超える硫酸、ホウ酸、およびカルボン酸類、例えば、アジピン酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、吉草酸、コハク酸、フマル酸、グルタミン酸、フタル酸、酢酸など、ならびにそれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項8】
請求項7に記載の組成物において、前記架橋剤が、元素硫黄であることを特徴とする組成物。
【請求項9】
a.適当な容器中にニートアスファルトを準備するステップと、
b.前記ニートアスファルトを約120℃と約200℃の間の温度まで加熱するステップと、
c.前記ニートアスファルトに第1の改質成分を加えるステップと、
d.前記アスファルトおよび前記第1の改質成分を、高せん断ミキサまたは低せん断ミキサの1つにより約5分と約10時間の間、混合するステップと、
e.当該改質されたアスファルトバインダに第2の改質成分を加えるステップと、
f.前記第2の改質成分および当該改質されたアスファルトバインダを、高せん断ミキサまたは低せん断ミキサの1つにより約5分と約10時間の間、混合するステップと、
g.当該改質されたバインダ材料に第3の改質成分を加えるステップと、
h.前記第3の改質成分および当該改質されたバインダ材料を、高せん断ミキサまたは低せん断ミキサの1つにより約5分と約48時間の間、撹拌するステップと、
を含むことを特徴とする、改質アスファルトバインダ組成物を製造する方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、
前記第3の改質成分および当該改質されたバインダ材料を高せん断ミキサまたは低せん断ミキサの1つにより撹拌するステップの前に、前記第3の改質成分および当該改質されたバインダ材料を高せん断ミキサまたは低せん断ミキサの1つにより5分と10時間の間、混合するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法において、
前記第1の改質成分が、約0.5重量%と約30重量%の間のクラムラバーであり、
前記第2の改質成分が、約0.01重量%と約5重量%の間の架橋剤であり、
前記第3の改質成分が、約0.05重量%と約5重量%の間の少なくとも1つの酸であることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法において、
前記第1の改質成分が、約0.05重量%と約5重量%の間の少なくとも1つの酸であり、
前記第2の改質成分が、約0.1重量%と約30重量%の間のクラムラバーであり、
前記第3の改質成分が、約0.01重量%と約5重量%の間の架橋剤であることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項9に記載の方法において、
第4の改質成分を当該改質されたアスファルトバインダ材料に加えるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記第1の改質成分が、約0.5重量%と約30重量%の間の少なくとも1つの合成ポリマーであり、
前記第2の改質成分が、約0.1重量%と約30重量%の間のクラムラバーであり、
前記第3の改質成分が、約0.5重量%と約5重量%の間の少なくとも1つの酸であり、
前記第4の改質成分が、約0.01%と約5%の間の架橋剤であることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法において、
前記第1の改質成分が、約0.5重量%と約30重量%の間の少なくとも1つの合成ポリマーであり、
前記第2の改質成分が、約0.05重量%と約5重量%の間の少なくとも1つの酸であり、
前記第3の改質成分が、約0.1重量%と約30重量%の間のクラムラバーであり、
前記第4の改質成分が、約0.01%と約5%の間の架橋剤であることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法において、
前記第1の改質成分が、約0.1重量%と約30重量%の間のクラムラバーであり、
前記第2の改質成分が、約0.5重量%と約30重量%の間の少なくとも1つの合成ポリマーであり、
前記第3の改質成分が、約0.05重量%と約5重量%の間の少なくとも1つの酸であり、
前記第4の改質成分が、約0.01%と約5%の間の架橋剤であることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項13に記載の方法において、
前記第1の改質成分が、約0.1重量%と約30重量%の間のクラムラバーであり、
前記第2の改質成分が、約0.05重量%と約5重量%の間の少なくとも1つの酸であり、
前記第3の改質成分が、約0.5重量%と約30重量%の間の少なくとも1つの合成ポリマーであり、
前記第4の改質成分が、約0.01%と約5%の間の架橋剤であることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項13に記載の方法において、
前記第1の改質成分が、約0.5重量%と約5重量%の間の少なくとも1つの酸であり、
前記第2の改質成分が、約0.5重量%と約30重量%の間の少なくとも1つの合成ポリマーであり、
前記第3の改質成分が、約0.1重量%と約30重量%の間のクラムラバーであり、
前記第4の改質成分が、約0.01%と約5%の間の架橋剤であることを特徴とする方法。
【請求項19】
(a)請求項1に記載の改質アスファルトバインダ材料を調製するステップと、
(b)前記改質アスファルトバインダを、水および乳化剤と周囲温度で混合してアスファルトエマルジョンを生成させるステップと、
(c)前記アスファルトエマルジョンを所望の厚さに広げるステップと、
(d)前記エマルジョンを破壊するステップと、
を含むことを特徴とする、舗装材料を調製する方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、
前記アスファルトエマルジョンを広げるステップの前に、骨材を前記アスファルトエマルジョンと混合することを特徴とする方法。

【公表番号】特表2008−540739(P2008−540739A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510157(P2008−510157)
【出願日】平成18年5月3日(2006.5.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/016966
【国際公開番号】WO2006/119354
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(505084756)イノフォス インコーポレーテッド (10)
【Fターム(参考)】