説明

架橋ポリマー組成物

第1のポリオレフィンポリマーおよび相互貫入型網目構造ポリマーを含むポリマー組成物が開示される。この相互貫入型網目構造ポリマーには、その相互貫入型網目構造ポリマーの全体重量を基準にして、10重量パーセントから80重量パーセントの量で存在する第2のポリオレフィンポリマー、およびその相互貫入型網目構造ポリマーの全体重量を基準にして、20重量パーセントから90重量パーセントの量で存在するビニル芳香族ポリマーが含まれている。但し初期の条件として、このポリマー組成物においては、その相互貫入型網目構造ポリマーは、実質的に架橋されていない。このポリマー組成物それ自体は少なくとも部分的に架橋されている。このポリマー組成物および膨張剤を含む発泡性ポリマー組成物が提供されるが、これは、16から400Kg/mの密度を有し得る発泡したポリマー組成物を形成させるよう膨張され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、少なくとも部分的に架橋されているポリマー組成物に関する。より詳細には、このポリマー組成物は、第1のポリオレフィンポリマー、および相互貫入型網目構造ポリマーを含む。この相互貫入型網目構造ポリマーは、但し、このポリマー組成物における初期条件として、実質的に架橋されていない。本発明は、また、発泡性ポリマー組成物および発泡した(または気泡した)ポリマー組成物にも関し、これらのそれぞれは、このポリマー組成物を含む。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ポリエチレンのような、ポリオレフィンをベースにしたポリマー組成物は周知であり、発泡および非発泡成型物品(例えば、発泡成形物品や発泡シート)を作製するのに用いられている。強靭性や熱安定性などの物性を改善するために、気泡したポリオレフィン組成物のようなポリオレフィン組成物は、典型的には、架橋されている。架橋し気泡したポリオレフィン組成物は、典型的には、望ましい物性、例えば強い引張り強度、引き裂き強度、耐穿刺強度および圧縮強度がもたらされるように、比較的高い密度を有していなければならない。高い密度は、しかしながら、特定の用途に対しては、その発泡したポリオレフィン素材の重量の増加が一般的には伴う。この気泡したポリオレフィン素材の重量の増加は、例えば、輸送関連用途(例えば、ポリオレフィンフォームで包装された商品の輸送)における燃料消費の増加や、スポーツ装具用途(例えば、ポリオレフィンフォーム製パッドやヘルメットライナー)における身体労作の増加をもたらし得るので、多くの場合、望ましいものではない。
【0003】
米国特許第5,932,659号;同第6,531,520号;同第6,359,021号;同第6,214,894号;および同第6,004,647号には、シングルサイト触媒ポリオレフィン樹脂を含む架橋ポリマーブレンド、およびエチレンおよびプロピレン残基を含むポリオレフィンが記載されている。この’659特許のポリマーブレンドは発泡性である。
【0004】
米国特許第7,411,024号には、インターポリマー樹脂粒子とポリエチレンの組合せから形成されたポリマー組成物が記載されている。
【0005】
米国特許第3,959,189号にはポリエチレン樹脂粒子を製造するための方法が記載されており、この方法には、そのポリエチレンのための架橋剤を懸濁液の重合に先行して加え、ポリエチレンその後スチレンを重合するステップ、および重合体スチレン樹脂を含有しているポリエチレン樹脂粒子に発泡剤を含浸させるステップが含まれる。
【0006】
米国特許第4,168,353号には発泡性ポリエチレン樹脂粒子を製造するための方法が記載されており、この方法には、水性媒体中にポリエチレン樹脂粒子を懸濁させるステップ、スチレンモノマーおよびこのモノマーを重合させるための触媒をこの懸濁液に加えるステップ、このモノマーを重合させるステップ、およびその重合体スチレン樹脂を含有しているポリエチレン樹脂粒子に発泡剤を含浸させるステップが含まれる。
【0007】
米国特許第5,844,009号には物理発泡低密度ポリエチレン(LDPE)フォームが記載されており、このフォームは、LDPE樹脂とシラングラフトシングルサイト開始ポリオレフィン樹脂とのブレンドである。
【0008】
米国特許第5,929,129号には架橋高分子フォーム組成物が記載されており、この組成物には、少なくとも1種のα−不飽和CからC20オレフィンコモノマーと重合されたエチレン、および場合により少なくとも1種のCからC20ポリエンが含まれている。
【0009】
米国特許第5,883,144号には、架橋ポリオレフィンコポリマーを利用している高分子フォーム組成物が記載されており、この組成物は、通常の低密度ポリエチレン組成物に比較して、強度、強靭性、柔軟性、耐熱性およびヒートシール温度範囲における改善を示している。このポリオレフィンは実質的に直鎖であって、少なくとも1種のα−不飽和CからC20オレフィン性コモノマーと重合されたエチレン、および場合により少なくとも1種のCからC20ポリエンが含まれている。このポリオレフィンは、その樹脂の物性および加工性を良くするためにシラングラフトされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,932,659号明細書
【特許文献2】米国特許第6,531,520号明細書
【特許文献3】米国特許第6,359,021号明細書
【特許文献4】米国特許第6,214,894号明細書
【特許文献5】米国特許第6,004,647号明細書
【特許文献6】米国特許第7,411,024号明細書
【特許文献7】米国特許第3,959,189号明細書
【特許文献8】米国特許第4,168,353号明細書
【特許文献9】米国特許第5,844,009号明細書
【特許文献10】米国特許第5,929,129号明細書
【特許文献11】米国特許第5,883,144号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記したポリオレフィンフォーム素材に関わる特定的な問題は、それらが、最適衝撃吸収特性より低い特性をもたらすことである。これは多くの用途分野におけるその有用性および使用を限定されたものにしている。
【0012】
膨張され得る、新規な架橋ポリオレフィン系ポリマー組成物を提供するのが望ましいと考える。加えて、そのような発泡した架橋ポリオレフィン系ポリマー組成物が、例えば改善された衝撃吸収特性のような、望ましい物性と、低密度との組合せをもたらすのが望ましいと考える。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
本発明により、第1のポリオレフィンポリマーおよび相互貫入型網目構造ポリマーを含むポリマー組成物が提供される。この相互貫入型網目構造ポリマーは、その相互貫入型網目構造ポリマーの全体重量を基準にして、10重量パーセントから80重量パーセントの量で存在する第2のポリオレフィンポリマー、およびその相互貫入型網目構造ポリマーの全体重量を基準にして、20重量パーセントから90重量パーセントの量で存在するビニル芳香族ポリマーを含む。但し、このポリマー組成物における初期条件として、この相互貫入型網目構造ポリマーは、実質的に、架橋されていない。本発明ポリマー組成物は、少なくとも部分的に架橋されている。
【0014】
また、本発明により、上記に概説したポリマー組成物を含む発泡性ポリマー組成物も提供され、これは、さらに、膨張剤を含む。この発泡性ポリマー組成物は、少なくとも部分的に架橋されている。
【0015】
さらに、本発明により、上記に概説したポリマー組成物を含む発泡したポリマー組成物が提供され、この発泡したポリマー組成物は、少なくとも部分的に架橋されており、16から400Kg/mの密度を有する。
【0016】
いくつかの好ましい実施形態の特徴の説明には、そのいくつかの図面を参照する。図面では、同じ参照番号は、同じ特徴を表している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のいくつかの実施形態に記載のヨガマットを示す斜視図である。
【図2】本発明のいくつかの実施形態に記載のテープを示している斜視図である。
【図3】本発明のいくつかの実施形態に記載の予発泡ガスケットを示す上面図である。
【図4】図3の予発泡ガスケットを示す輪郭図である。
【図5】本発明のいくつかの実施形態に記載のフロアーシステムを示す模式断面図である。
【図6】本発明のいくつかの実施形態に記載のフロアーシステムを示す模式断面図である。
【図7】本発明のいくつかの実施形態に記載の洗車用ファブリックストリップカーテンを示す側面図である。
【図8】複数のパッドを身に付けているフットボール選手を示す前面図であって(選手のユニフォームの各部分は引き離されている)、このパッドは本発明のいくつかの実施形態に含まれている。
【図9】本発明のいくつかの実施形態に記載の保護パッドを示す側断面図である。
【図10】本発明のいくつかの実施形態に記載のフォーム組成物を含むヘルメットを示す斜視図である(各部分は引き離されて、着用者に配置されている)。
【図11】本発明のいくつかの実施形態に記載のソール構造体で有用なミッドソール部材の内部側つまり「足側」を示す斜視図である。
【図12】本発明のいくつかの実施形態に記載のソール構造体で有用なミッドソール部材の外部側を示す斜視図である。
【図13】本発明のいくつかの実施形態に記載のボディーアーマーを示す分解等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(発明の詳細な記述)
本明細書および特許請求の範囲で使われている、用語「(メタ)アクリル酸」および類似の用語は、アクリル酸、メタクリル酸、ならびにこれらの組合せを意味する。本明細書および特許請求の範囲で使われている、用語「(メタ)アクリル酸エステル」および類似の用語、例えば「(メタ)アクリラート」は、アクリル酸エステル(またはアクリラート)、メタクリル酸エステル(またはメタクリラート)、ならびにこれらの組合せを意味する。
【0019】
実際の実施例以外では、またそうでないと記されているところ以外では、明細書および特許請求の範囲で使われている成分や反応条件などの量的なことを言及している数または表記は、すべてのケースで、用語「約」によってすべて修飾されていると理解されるべきである。
【0020】
本発明ポリマー組成物は、第1のポリオレフィンポリマーおよび相互貫入型網目構造ポリマーを含む。この第1のポリオレフィンポリマーは、公知のポリオレフィンポリマーから選択され得る。本明細書および特許請求の範囲で使われている、用語「ポリオレフィン」および類似の用語、例えば「ポリアルキレン」および「熱可塑性ポリオレフィン」は、ポリオレフィンホモポリマー、ポリオレフィンコポリマー、均一系ポリオレフィン、不均一系ポリオレフィン、ならびにこれらの2つまたはそれ以上同士のブレンドを意味する。例示の目的のためだが、ポリオレフィンコポリマーの例としては、限定するものではないが、エチレン、および1種以上のC−C12α−オレフィン(例えば1−ブテン、1−ヘキセンおよび/または1−オクテン);酢酸ビニル;塩化ビニル;(メタ)アクリル酸;および(メタ)アクリル酸エステル(例えばC−C−(メタ)アクリラート);のうちの少なくとも1種から調製されるコポリマーが挙げられる。
【0021】
本発明のそのポリマー組成物のこの第1のポリオレフィンは、不均一系ポリオレフィン、均一系ポリオレフィン、またはこれらの組合せから選択され得る。用語「不均一系ポリオレフィン」および類似の用語は、(i)個々のポリマー鎖の分子量の比較的広い変化(すなわち、多分散性指数が3に等しいまたはそれより大きい);および(ii)個々のポリマー鎖におけるモノマー残基分布の比較的広い変化(コポリマーのケースで)を有するポリオレフィンを意味する。用語「多分散性指数」(polydispersity index:PDI)は、M/M(ここで、Mは、重量平均分子量を意味し、Mは、数平均分子量を意味し、それぞれは、適切な標準物質(例えばポリエチレン標準物質)を用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(gel permeation chromatography:GPC)により測定される)の比を意味する。不均一系ポリオレフィンは、典型的には、チーグラー−ナッタ型触媒反応により不均一相で調製される。
【0022】
用語「均一系ポリオレフィン」および類似の用語は、(i)個々のポリマー鎖における分子量の比較的狭い変化(すなわち、多分散性指数が3より小さい);および(ii)個々のポリマー鎖におけるモノマー残基分布の比較的狭い変化(コポリマーのケースで)を有するポリオレフィンを意味する。それゆえ、不均一系ポリオレフィンとは対照的に、均一系ポリオレフィンは、個々のポリマー鎖における同じような鎖長さ、ポリマー鎖骨格に沿ったモノマー残基の比較的一様な分布、および個々のポリマー鎖骨格におけるモノマー残基の比較的類似した分布を有する。均一系ポリオレフィンは、典型的には、シングルサイト、メタロセンまたは幾何拘束型触媒反応により調製される。均一系ポリオレフィンコポリマーのモノマー残基分布は、組成分布幅指数(composition distribution breadth index:CDBI)値によって特性評価され得るが、これは、その中央部全モルコモノマー含量の50パーセント以内にコモノマー残基含量を有するポリマー分子のその重量パーセントと定義される。それゆえ、ポリオレフィンホモポリマーは、100パーセントのCDBI値を有する。例えば、均一系ポリエチレン/α−オレフィンコポリマーは、典型的には、60パーセントよりも大きい、または70パーセントよりも大きいCDBI値を有する。組成分布幅指数値は、当技術分野ではよく知られている方法、例えば、Wildら、Journal of Polymer Science、Poly.Phys.Ed.、Vol.20、441頁(1982)によって、または米国特許第4,798,081号に、または米国特許第5,089,321号に記載されている、温度上昇溶離分別(temperature rising elution fractionation:TREF)により、測定され得る。
【0023】
本発明の一実施形態では、その第1のポリオレフィンは、ポリエチレンである。用語「ポリオレフィン」に関して本明細書に提供されている説明によれば、用語「ポリエチレン」は、ポリエチレンホモポリマー、ポリエチレンコポリマー、均一系ポリエチレン、不均一系ポリエチレン;これらのうちの2つまたはそれ以上のそのようなポリエチレン同士のブレンド;およびエラストマー以外である別のポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン)とポリエチレンとのブレンドを意味する。
【0024】
本発明でその第1のポリオレフィンとして選択され得るポリエチレンコポリマーは、典型的には、少なくとも50重量パーセント、より典型的には少なくとも70重量パーセントのエチレンモノマー残基;および50重量パーセント以下、より典型的には30重量パーセント以下の非エチレンコモノマー残基(例えば、酢酸ビニルモノマー残基)を含む。この重量パーセントは、各場合、モノマー残基の全体重量を基準にしたものである。ポリエチレンコポリマーは、エチレン、およびエチレンと共重合性である任意のモノマーから調製され得る。エチレンと共重合性であるモノマーの例としては、限定するものではないが、C−C12α−オレフィン(例えば1−ブテン、1−ヘキセンおよび/または1−オクテン);酢酸ビニル;塩化ビニル;(メタ)アクリル酸;および(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
【0025】
本発明の複数実施形態では、この第1のポリオレフィンとしては、任意のC−C直鎖または分岐α−オレフィンのホモポリマー;エチレンとC−Cα−オレフィンとのコポリマー;C−C直鎖または分岐α−オレフィンと酢酸ビニルとのコポリマー;1種以上のC−C直鎖または分岐α−オレフィンと(メタ)アクリル酸のC−C直鎖または分岐アルキルエステルとのコポリマー;およびこれらの組合せから選択される1種以上のポリマーが挙げられる。
【0026】
本発明の特定の複数実施形態では、その第1のポリオレフィンとしては、均一系ポリエチレン、不均一系ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、長鎖分岐ポリエチレン、短鎖分岐ポリエチレン、エチレンとエチル(メタ)アクリラート(EMA)とのコポリマー、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマー、ならびにそのようなポリマー同士の組合せが挙げられ得る。
【0027】
本発明の他の特定の実施形態では、この第1のポリオレフィンとしては、エチレンホモポリマー、エチレンとC−Cα−オレフィンとのコポリマー、エチレンとエチル(メタ)アクリラートとのコポリマー、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマー(EVA)、およびこれらの組合せから選択される2つまたはそれ以上のポリマーの組合せが挙げられ得る。
【0028】
本発明のさらなる特定の実施形態では、この第1のポリオレフィンは、低密度ポリエチレン(LDPE);直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE);中密度ポリエチレン(MDPE);高密度ポリエチレン(HDPE);エチレンと酢酸ビニルとのコポリマー;エチレンとブチルアクリラートとのコポリマー;エチレンとメチルメタクリラートとのコポリマー;ポリエチレンとポリプロピレンとのブレンド;ポリエチレンとエチレン酢酸ビニルコポリマーとのブレンド;およびポリエチレンとエチレンプロピレンコポリマーとのブレンド;から選択されるポリエチレンポリマーである。
【0029】
本発明の特定の一実施形態では、この第1のポリオレフィンポリマーはオレフィンモノマー組成物から調製され、そのモノマー組成物は、エチレンモノマー、および場合によりエチレン以外のα−オレフィンモノマー、例えばC−Cα−オレフィンモノマー(例えば、プロピレンおよび/またはブチレン)、酢酸ビニル、C−C20−(メタ)アクリラート(例えばC−C−(メタ)アクリラート)、およびこれらの組合せを含む。典型的には、エチレンモノマーは、そのオレフィンモノマー組成物中に、そのオレフィンモノマー組成物の全体重量を基準にして、少なくとも50重量パーセントの量で存在する。
【0030】
さらなる特定の実施形態では、この第1のポリオレフィンポリマーは、少なくとも0.930g/cmの密度を有するシングルサイト触媒ポリオレフィンポリマーである。このシングルサイト触媒ポリオレフィンの密度は、例えば、0.930から0.940g/cm(両端の値も含まれる);または0.940g/cm以上(例えば、0.948g/cm)gであり得る。
【0031】
この第1のポリオレフィンが選択され得る、このシングルサイトポリオレフィンポリマーは、シングルサイト触媒ポリエチレンポリマーであり得る。このシングルサイト触媒ポリエチレンポリマーは、本明細書で先に記載したようなモノマーから調製され得るものであり、例えば、エチレンモノマー、および酢酸ビニル、C−C20α−オレフィン、C−C−(メタ)アクリラート、無水マレイン酸、マレイン酸無水物ジアルキルエステル、ビニル芳香族モノマー、ならびにこれらの組合せからなる群から選択されるコモノマーから調製され得る。このシングルサイト触媒ポリエチレンポリマーが調製され得るこのコモノマーは、より特定的には、酢酸ビニルおよび/またはC−Cα−オレフィンから選択され得る。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態では、この第1のポリオレフィンは、少なくとも約0.1、一部のケースでは少なくとも約0.2、他のケースでは少なくとも約0.25、一部の例では少なくとも約0.3、他の例では少なくとも約0.35、一部の状況では少なくとも約0.4、他の状況では少なくとも約0.45、特定のケースでは少なくとも約0.5g/10分のASTM D 1238(190℃/2.16Kg)に従って測定されるメルトインデックスを有する。また、この第1のポリオレフィンのASTM D 1238(190℃/2.16Kg)に従って測定されるメルトインデックスは、最大約35、一部のケースでは最大約30、他のケースでは最大約25、一部の例では最大約20、他の例では最大約15、一部の状況では最大約10、他の状況では最大約5、特定のケースでは少なくとも最大約2g/10分であり得る。この第1のポリオレフィンのメルトインデックスは、その最終のポリマー組成物に望まれている特性に応じて変えられるものである。この第1のポリオレフィンのメルトインデックスは、任意の値、または上記に記載した各値間の任意の範囲内にあり得る。
【0033】
本発明の特定の複数実施形態では、この第1のポリオレフィンは、ASTM D 1238(190℃/2.16Kg)に従って測定されるメルトインデックスが、1未満、一部のケースでは0.95未満であり、他のケースでは0.9未満および少なくとも0.1g/10分のASTM D 1238(190℃/2.16Kg)に従って測定されるメルトインデックスを有する。この特定の実施形態では、この第1のポリオレフィンのメルトインデックスは、任意の値、または上記に記載した各値間の任意の範囲内にあり得る。
【0034】
この第1のポリオレフィンポリマーは、本発明のそのポリマー組成物中に、そのポリマー組成物の全体重量を基準にして、90重量パーセント以下、典型的には80重量パーセント以下、さらに典型的には70重量パーセント以下の量で一般的には存在する。この第1のポリオレフィンポリマーは、本発明のそのポリマー組成物中に、そのポリマー組成物の全体重量を基準にして、少なくとも30重量パーセント、典型的には少なくとも40重量パーセント、さらに典型的には少なくとも50重量パーセントの量で一般的には存在する。本発明のそのポリマー組成物中に存在する第1のポリオレフィンポリマーの量は、そのような上限値と下限値との間(各記載した値も含まれる)の任意の組合せ間の範囲内にあり得る。例えば、この第1のポリオレフィンは、そのポリマー組成物中に、そのポリマー組成物の全体重量を基準にして、30から90重量パーセント、典型的には40から80重量パーセント、さらに典型的には50から70重量パーセントの量で存在し得る(各記載した値も含まれる)。
【0035】
このポリマー組成物には相互貫入型網目構造ポリマーも含まれており、このポリマーは、10から80パーセント、一部のケースでは20から80パーセント、他のケースでは30から80パーセント、および一部の例では30から70重量パーセントの第2のポリオレフィンポリマー;および20から90パーセント、一部のケースでは20から80パーセント、他のケースでは20から70パーセント、および一部の例では30から70重量パーセントのビニル芳香族ポリマーを含む(このパーセント重量は、各場合、その相互貫入型網目構造ポリマーの全体重量を基準にしている)。このビニル芳香族ポリマーは、実質的に、その第2のポリオレフィンポリマー内に粒子状形態で(すなわち、その第2のポリオレフィンポリマーが、粒子状形態にある期間中に)形成されている(すなわち、重合されている)。
【0036】
この相互貫入型網目構造ポリマーのその第2のポリオレフィンポリマーは、その第1のポリオレフィンポリマーに関して本明細書中先に記載したポリオレフィンの群および各例のうちの1つ以上から選択され得る。例えば、この第2のポリオレフィンポリマーは、ポリオレフィンホモポリマー、ポリオレフィンコポリマー、均一系ポリオレフィン、不均一系ポリオレフィン、およびこれらの2つまたはそれ以上同士のブレンドから選択され得る。
【0037】
本発明の一実施形態では、この第2のポリオレフィンは、ポリエチレンである。第1のポリオレフィンおよび用語「ポリオレフィン」に関して本明細書中に提供されている説明によれば、用語「ポリエチレン」は、ポリエチレンホモポリマー、ポリエチレンコポリマー、均一系ポリエチレン、不均一系ポリエチレン;これらのうちの2つまたはそれ以上のそのようなポリエチレン同士のブレンド;および別のポリマー(例えば、ポリプロピレン)とポリエチレンとのブレンドを意味する。
【0038】
本発明でその第2のポリオレフィンが選択され得る、ポリエチレンコポリマーは、典型的には、少なくとも50重量パーセント、より典型的には少なくとも70重量パーセントのエチレンモノマー残基;および50重量パーセント以下、より典型的には30重量パーセント以下の非エチレンコモノマー残基(例えば、酢酸ビニルモノマー残基)を含む。この重量パーセントは、各場合、モノマー残基の全体重量を基準にしている。ポリエチレンコポリマーは、エチレン、およびエチレンと共重合性である任意のモノマーから調製され得る。エチレンと共重合性であるモノマーの例としては、限定するものではないが、C−C12α−オレフィン(例えば1−ブテン、1−ヘキセンおよび/または1−オクテン);酢酸ビニル;塩化ビニル;(メタ)アクリル酸;および(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
【0039】
本発明でその第2のポリオレフィンが選択され得る、ポリエチレンブレンドは、典型的には、少なくとも50重量パーセント、より典型的には少なくとも60重量パーセントのポリエチレンポリマー(例えば、ポリエチレンホモポリマーおよび/またはコポリマー);および50重量パーセント以下、より典型的には40重量パーセント以下の、そのポリエチレンポリマーとは異なっている、別のポリマー(例えば、ポリプロピレン)を含む。この重量パーセントは、各場合、ポリマーブレンド全体重量を基準にしている。ポリエチレンブレンドは、ポリエチレン、およびそれと相溶性がある任意の他のポリマーから調製され得る。ポリエチレンとブレンドされ得るポリマーの例としては、限定するものではないが、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエンコポリマー、酢酸ビニル−エチレンコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエンコポリマー、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0040】
本発明の一実施形態では、この第2のポリオレフィンポリマーは、低密度ポリエチレン(LDPE);直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE);中密度ポリエチレン(MDPE);高密度ポリエチレン(HDPE);エチレンと酢酸ビニルとのコポリマー;エチレンとメチルアクリラート(EMA)とのコポリマー;エチレンとブチルアクリラートとのコポリマー;エチレンとメチルメタクリラートとのコポリマー;ポリエチレンとポリプロピレンとのブレンド;ポリエチレンとエチレン酢酸ビニルコポリマーとのブレンド;およびポリエチレンとエチレンプロピレンコポリマーとのブレンド;から選択されるポリエチレンポリマーである。
【0041】
本発明の特定の一実施形態では、この第2のポリオレフィンポリマーは、エチレンモノマー、および場合により、エチレン以外のα−オレフィンモノマー、例えばC−C20α−オレフィンモノマー、例えばC−Cα−オレフィンモノマー、例えばプロピレンおよび/またはブチレン;酢酸ビニル;C−C20−(メタ)アクリラート(例えばC−C−(メタ)アクリラート);およびこれらの組合せから選択されるコモノマーから調製される。典型的には、エチレンモノマーは、そのオレフィンモノマー組成物(これから、その第2のポリオレフィンが、調製される)中に、そのオレフィンモノマー組成物の全体重量を基準にして、少なくとも50重量パーセントの量で存在する。
【0042】
本発明のさらなる実施形態では、この相互貫入型網目構造ポリマーの、その第2のポリオレフィンポリマーはオレフィンモノマー組成物から調製され、そのモノマー組成物は、エチレンモノマー(例えば、そのオレフィンモノマー組成物の全体重量を基準にして、少なくとも50重量パーセントエチレンモノマー)および酢酸ビニルを含む。より特定的には、この第2のポリオレフィンポリマーは、75重量パーセントから99重量パーセントの量でエチレンモノマー残基、および1重量パーセントから25重量パーセントの量で酢酸ビニル残基を含有しているエチレンと酢酸ビニルとのコポリマーである、ポリエチレンポリマーである。この重量パーセントは、各場合、モノマー残基の全体重量を基準にしている。特定の一実施形態では、この第2のポリオレフィンポリマーは、95重量パーセントのエチレンモノマー残基、および5重量パーセントの酢酸ビニルモノマー残基を含有しているエチレンと酢酸ビニルとのコポリマーである(各場合モノマー残基の全体重量を基準にしている)、ポリエチレンポリマーである。本明細書および特許請求の範囲で使われている、このパーセント重量モノマー残基値は、この第2のポリオレフィンポリマーが調製されるそのオレフィンモノマー組成物内に存在する対応するモノマーのパーセント重量に実質的に等しい。
【0043】
この第2のポリオレフィンポリマーは、典型的には、その粒子状相互貫入型網目構造ポリマー中に、この粒子状相互貫入型網目構造ポリマーの全体重量を基準にして、80重量パーセント以下、より典型的には65重量パーセント以下、さらに典型的には50重量パーセント以下の量で存在する。この第2のポリオレフィンポリマーは、典型的には、その粒子状相互貫入型網目構造ポリマー中に、この粒子状相互貫入型網目構造ポリマーの全体重量を基準にして、10重量パーセント以上、より典型的には15パーセント重量以上、さらに典型的には20重量パーセント以上の量で存在する。本発明のその粒子状相互貫入型網目構造ポリマー中に存在する第2のポリオレフィンポリマーの量は、そのような上限値と下限値との間(各記載した値も含まれる)の任意の組合せ間の範囲内にあり得る。例えば、この第2のポリオレフィンポリマーは、その粒子状相互貫入型網目構造ポリマー中に、その粒子状相互貫入型網目構造ポリマーの全体重量を基準にして、10から80重量パーセント、より典型的には15から65重量パーセント、さらに典型的には20から50重量パーセントの量で存在し得る。
【0044】
本発明のこの粒子状相互貫入型網目構造ポリマーには、ビニル芳香族ポリマーも含まれている。本明細書および特許請求の範囲で使われている、用語「ビニル芳香族ポリマー」は、ビニル芳香族ホモポリマー、ビニル芳香族コポリマーおよびこれらのもの同士のブレンドを意味する。
【0045】
このビニル芳香族ポリマーは、1つ以上のビニル芳香族モノマー、および場合により、ビニル芳香族モノマーではない少なくとも1種のコモノマーから調製され得る。一実施形態では、このビニル芳香族ポリマーはビニル芳香族ポリマーモノマー組成物から調製され、そのモノマー組成物は、(i)そのビニル芳香族ポリマーモノマー組成物の全体重量を基準にして、70重量パーセントから99重量パーセント(または90から98重量パーセント、または92.5から97.5重量パーセント)の量で存在するビニル芳香族モノマー;および(ii)そのビニル芳香族ポリマーモノマー組成物の全体重量を基準にして、1重量パーセントから30重量パーセント(または2から10重量パーセント、または2.5から7.5重量パーセント)の量で存在するコモノマーを含む。
【0046】
この相互貫入型網目構造ポリマーのそのビニル芳香族ポリマーを調製するのに用いられ得るビニル芳香族モノマーとしては、当業者に知られているそのようなものが、挙げられ得る。一実施形態では、このビニル芳香族モノマーは、スチレン、α−メチルスチレン、パラ−メチルスチレン、エチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンゼン、イソプロピルキシレン、ならびにこれらの組合せから選択される。
【0047】
この相互貫入型網目構造ポリマーのそのビニル芳香族ポリマーを形成させるためにこのビニル芳香族モノマー(複数も)と重合され得るコモノマーとしては、当業者に知られているそのようなものが、挙げられ得る。適するコモノマーの例としては、限定するものではないが、アクリル酸;メタクリル酸;(メタ)アクリラート、例えばC−C20−またはC−C−(メタ)アクリラート(例えば、ブチルアクリラート、エチルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート、ブチルメタクリラート、および2−エチルヘキシルメタクリラート);アクリロニトリル;酢酸ビニル;ジアルキルマレアート(例えば、ジメチルマレアートおよびジエチルマレアート);およびマレイン酸無水物が挙げられる。このコモノマーは、多エチレン性不飽和モノマー、例えばジエン(例えば、1,3−ブタジエン);1種以上のアルキレングリコール繰り返し単位を有するアルキレングリコールのジ−(メタ)アクリラート(例えば、エチレングリコールジ−(メタ)アクリラート、ジエチレングリコールジ−(メタ)アクリラート、および3つまたはそれ以上のエチレングリコール繰り返し単位(例えば3から100繰り返し単位)を有するポリ(エチレングリコール)ジ−(メタ)アクリラート;トリメロイルプロパンジ−(メタ)アクリラートおよびトリメロイルプロパントリ−(メタ)アクリラート;ペンタエリトリトールジ−(メタ)アクリラート、ペンタエリトリトールトリ−(メタ)アクリラートおよびペンタエリトリトールテトラ−(メタ)アクリラート;およびジビニルベンゼン;からも選択され得る。多エチレン性不飽和モノマーは、典型的には、そのビニル芳香族ポリマーモノマー組成物中に、そのビニル芳香族ポリマーモノマー組成物の全体重量を基準にして5重量パーセント以下、より典型的には3重量パーセント以下(例えば、0.5から1.5または2重量パーセント)の量で存在する。
【0048】
一実施形態では、このビニル芳香族ポリマーはビニル芳香族ポリマーモノマー組成物から調製され、このモノマー組成物は、ビニル芳香族モノマー(例えば、スチレン)、および少なくとも1種のC−C20−(メタ)アクリラート、例えば少なくとも1種のC−C−(メタ)アクリラート、(例えば、ブチル(メタ)アクリラート)を含む。特定の一実施形態では、このビニル芳香族ポリマーはビニル芳香族ポリマーモノマー組成物から調製され、このモノマー組成物は、スチレンおよびブチルアクリラートを含む(例えば、97重量パーセントスチレン、および3重量パーセントブチルアクリラート(各場合モノマー全体重量を基準))。
【0049】
このビニル芳香族ポリマーは、典型的には、粒子状相互貫入型網目構造ポリマー中に、この粒子状相互貫入型網目構造ポリマーの全体重量を基準にして、90重量パーセント以下、より典型的には85重量パーセント以下、およびさらに典型的には80重量パーセント以下の量で存在する。このビニル芳香族ポリマーは、この粒子状相互貫入型網目構造ポリマーの全体重量を基準にして、典型的には、その20重量パーセント以上、より典型的には35パーセント重量以上、およびさらに典型的には50重量パーセント以上の量で存在する。本発明の粒子状相互貫入型網目構造ポリマー中に存在するビニル芳香族ポリマーの量は、このような上限値と下限値との間(各記載した値も含まれる)の任意の組合せ間の範囲内にあり得る。例えば、このビニル芳香族ポリマーは、粒子状相互貫入型網目構造ポリマー中に、この粒子状相互貫入型網目構造ポリマーの全体重量を基準にして、20から90重量パーセント、より典型的には35から85重量パーセント、およびさらに典型的には50から80重量パーセントの量で存在し得る。
【0050】
この第2のポリオレフィンポリマー(例えば、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマー)とこのビニル芳香族ポリマー(例えば、スチレンとブチルアクリラートとのコポリマー)は、一緒に、本発明のそのポリマー組成物のその粒子状相互貫入型網目構造ポリマーを形成している。典型的には、この相互貫入型網目構造ポリマーは、前もって形成/重合されたポリオレフィン粒子内に実質的にあるそのビニル芳香族ポリマーモノマー組成物を重合させることによって、調製される。一般的には、ポリオレフィン粒子には、このビニル芳香族ポリマーモノマー組成物および1種以上の開始剤(例えばペルオキシド開始剤)が注入または含浸される。このビニル芳香族ポリマーモノマー組成物はこの後重合される。手許にある証拠によると、またいかなる理論にも縛られることを意図するものではないが、このビニル芳香族ポリマーモノマー組成物の重合は、実質的に、そのポリオレフィン粒子内で起こっていると考えられる。
【0051】
本発明の一実施形態では、この粒子状相互貫入型網目構造ポリマーは、(a)そのポリオレフィンポリマーを粒子状ポリオレフィンポリマーの形態で準備するステップ;および(b)そのビニル芳香族ポリマーモノマー組成物を実質的にその粒子状ポリオレフィンポリマー内で重合させるステップを含む方法によって、調製される。
【0052】
この粒子状相互貫入型網目構造ポリマーの形成は、水性または非水性条件下で(例えば、有機媒体の存在下で)行われ得る。典型的には、この粒子状相互貫入型網目構造ポリマーの形成は、水性条件下で行われる。
【0053】
水性条件下で行われる場合は、このポリオレフィン粒子は、典型的には、水(例えば、脱イオン水)と懸濁化剤との組合せ中に先ず懸濁化される。当業者には知られている多くの懸濁化剤が用いられ得る。この相互貫入型網目構造ポリマーを形成させるのに用いられ得る懸濁化剤の群としては、限定するものではないが、水溶性高分子量物質(例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、およびポリビニルピリロドン);若干または僅かに水溶性の無機物質(例えば、リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、および炭酸カルシウム);およびスルホナート、例えばナトリウムドデシルベンゼンスルホナートが挙げられる。一実施形態では、リン酸三カルシウムおよびナトリウムドデシルベンゼンスルホナートが、この粒子状相互貫入型網目構造ポリマーの調製で、一緒に、懸濁化剤として用いられる。
【0054】
この懸濁化剤は、その水性媒体内にこのポリオレフィン粒子の懸濁を起こさせるような量で、存在し得る。典型的には、この懸濁化剤は、その水+懸濁化剤(複数も)の全体重量を基準にして、0.01から5重量パーセント、およびより典型的には1から3重量パーセントの量で存在する。
【0055】
このポリオレフィン粒子は、一般的には、撹拌しながら、前もって形成されている水+懸濁化剤組成物に加えられる。別法として、このポリオレフィン粒子、水および懸濁化剤は、並行して、一緒に混合され得る。このポリオレフィン粒子の量に比較しての、その存在する水の量は、広い範囲内で、変わり得る。このポリオレフィン粒子を効果的に懸濁させるためには、またそのビニル芳香族ポリマーモノマー組成物の添加、注入および重合を可能にさせるためには、十分な水を存在させる。典型的には、その水対ポリオレフィン粒子の重量比は、0.7:1から5:1、より典型的には3:1から5:1である。
【0056】
この水対粒子状ポリマー素材の重量比は、この粒子状相互貫入型網目構造ポリマーの形成過程の期間中に変化し得る。例えば、この水対ポリオレフィン粒子の重量比は、最初は、5:1であり得るが、そのビニル芳香族ポリマーモノマー組成物が導入され、重合されるとともに、そのうち、水対この形成されつつある/形成された粒子状相互貫入型網目構造ポリマーのその重量比は、結果として、また、対応して、低下され得る(例えば、1:1に)。
【0057】
そのビニル芳香族ポリマーモノマー組成物および開始剤は、典型的には、この後、この粒子状ポリオレフィン水性懸濁液に加えられる。その開始剤は、そのビニル芳香族ポリマーモノマー組成物と予混合されて、これと並行して、および/またはこれに続いて、加えられ得る。そのビニル芳香族ポリマーモノマー組成物とは別にして加えられる場合は、その開始剤は、当業者には知られているように、単独で、あるいは有機溶媒、例えばトルエンまたは1,2−ジクロロプロパンに溶解させて、加えられ得る。典型的には、この開始剤は、そのビニル芳香族ポリマーモノマー組成物と予混合(例えば、それに溶解)され、これらのその混合物が、そのポリオレフィン粒子水性懸濁液に加えられる。
【0058】
このビニル芳香族ポリマーモノマー組成物を重合させるのに適している1種以上の開始剤が、用いられ得る。適する開始剤の例としては、限定するものではないが、有機ペルオキシド、例えばベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾアート、およびt−ブチルペルオキシピバラート;ならびにアゾ化合物、例えばアゾビスイソブチルオニトリルおよびアゾビスジメチルバレロニトリルが挙げられる。
【0059】
このビニル芳香族ポリマーモノマー組成物の重合は、その得られるビニル芳香族ポリマーのその分子量を調節するよう働く連鎖移動剤の存在下でも行われ得る。用いられ得る連鎖移動剤の例としては、限定するものではないが、C2−15アルキルメルカプタン、例えばn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、およびn−ブチルメルカプタン;およびα−メチルスチレンダイマーが挙げられる。
【0060】
この開始剤は、一般的には、そのビニル芳香族ポリマーモノマー組成物のその各モノマーの実質的にすべてを重合させるのに少なくとも十分な量で存在する。典型的には、この開始剤は、ビニル芳香族ポリマーモノマー組成物および開始剤の全体重量を基準にして、0.05から2重量パーセントの量で、およびより典型的には0.1から1重量パーセントの量で存在する。
【0061】
このビニル芳香族ポリマーモノマー組成物のそのポリオレフィン粒子内での重合は、一般的には、その反応混合物への熱の導入を伴う。例えば、その反応器のその内容物は、当技術分野ではよく知られている手順に従って、不活性雰囲気(例えば、窒素スイープ)下にある閉鎖容器(または反応器)中で少なくとも1時間(例えば、8から20時間)の期間60°から120°の温度に加熱され得る。この重合が完了すると、後処理手順としては、当技術分野ではよく知られている方法に従った、1種以上の洗浄剤(例えば、無機酸)の導入、およびその水性反応媒体からのその粒子状相互貫入型網目構造ポリマーの分離(例えば、遠心分離により)が挙げられ得る。
【0062】
本発明のそのポリマー組成物における初期条件として設けられたように、この相互貫入型網目構造ポリマーは、実質的に架橋されていない。本明細書および特許請求の範囲で使われている、用語「実質的に架橋されていない」は、この相互貫入型網目構造ポリマーが、その相互貫入型網目構造ポリマーのその重量を基準にして、1.5重量パーセント以下(例えば、0から1.5重量パーセント)のゲル含量を有することを意味する。典型的には、この相互貫入型網目構造ポリマーは、その相互貫入型網目構造ポリマーのその重量を基準にして、0.8重量パーセント以下(例えば、0から0.8重量パーセント)、または0.5重量パーセント以下(例えば、0から0.5重量パーセント)のゲル含量を有する。ゲル含量値とその架橋レベルとは、典型的には、直接的な関係を有する。より詳細には、より小さい大きさのゲル含量値は、一般的には、より低いレベルの架橋(したがって、より小さい値の架橋重量パーセント)と相関している。ゲル含量値は、当技術分野ではよく知られている適する方法に従って測定され得る。本明細書および特許請求の範囲で使われている、用語「実質的に架橋されていない」に関しては、そのゲル含量値は、American Society for Testing and Materials(ASTM)test number D 2765に従って測定される値である(但しキシレンでなくトルエンを用いて)。
【0063】
この相互貫入型網目構造ポリマーが実質的に架橋されていないことを確実なものにするためには、その第2のポリオレフィンポリマーとそのビニル芳香族ポリマーの形成(その第2のポリオレフィンポリマー内での)は、多官能開始剤および/または多エチレン性不飽和モノマーの実質的に不存在下で行われる。例えば、このポリオレフィン粒子内でのそのビニル芳香族ポリマーモノマー組成物の重合は、例えば、ジ−t−ブチル−ペルオキシド、t−ブチル−クミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、α,α−ビス−(t−ブチルペルオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−ヘキシン−3,2,5−ジメチル−2,5−ジ−(ベンゾイルペルオキシ)−ヘキサン、t−ブチル−ペルオキシイソプロピル−カルボナート;および多官能有機ペルオキシド物質、例えばポリエーテルポリ(t−ブチルペルオキシカルボナート)(商品名LUPEROX(登録商標)JWEB50(Arkema Inc.(Philadelphia、PA))で市販);のような有機ペルオキシド系架橋剤、の実質的不存在下に行われる。
【0064】
この相互貫入型網目構造ポリマーは、実質的に架橋されていないことに加えて、典型的には、90℃から115℃(例えば、90℃から105℃)のVICAT軟化温度を有する。このVICAT軟化温度は、ASTM D 1525(速度B、荷重1)に従って測定されるものである。実質的に架橋されていないことに加えて、この相互貫入型網目構造ポリマーは、また、典型的には、0.2から35g/10分の、ASTM D 1238(230℃/2.16Kg)に従って測定されるメルトインデックスを有する。
【0065】
この相互貫入型網目構造ポリマーは、本発明のそのポリマー組成物に導入されるときは、任意の適する形態を有し得る。典型的には、この相互貫入型網目構造ポリマーは粒子状形態で用いられ、このケースでは、これは、粒子状相互貫入型網目構造ポリマーである。この粒子状相互貫入型網目構造ポリマーは、広い範囲の粒子サイズおよび形状を有し得る。典型的には、この粒子状相互貫入型網目構造ポリマーは、0.2から10.0mm、より典型的には1から8mm、およびさらに典型的には3から6mmの平均粒子サイズ(その最長粒子寸法に沿って測定される)を有する。この粒子状相互貫入型網目構造ポリマーは、球形形状、横長形状、棒状形状、不規則形状およびこれらの組合せから選択される形状を有し得る。より典型的には、この粒子状相互貫入型網目構造ポリマーは、球形形状および/または横長形状から選択される形状を有する。この粒子状相互貫入型網目構造ポリマーは、1:1から10:1(例えば、1:1から5:1)のアスペクト比を有し得る。
【0066】
一実施形態では、この相互貫入型網目構造ポリマーは、商品名IPN(商標)樹脂でNOVA Chemicals Inc.から市販されている各粒子状相互貫入型網目構造ポリマーのいずれかであり得る。
【0067】
本発明のそのポリマー組成物のこの相互貫入型網目構造ポリマーは、場合により、添加剤を含み得る。添加剤の例としては、限定するものではないが、着色剤(例えば、染料および/または顔料);紫外線吸収剤;酸化防止剤;帯電防止剤;難燃剤;増量剤(例えば、クレイ);核剤、典型的にはワックスの形態にある(例えば、ポリオレフィンワックス、例えばポリエチレンワックス);およびエラストマー(このポリマー組成物に関して本明細書でさらに述べられるエラストマー、例えばビニル芳香族−アルキルジエンブロックコポリマー(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロックコポリマー、水添スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)ブロックコポリマー、およびスチレン−ブタジエン(SBR)ブロックコポリマー)も含めた)が挙げられる。添加剤は、この相互貫入型網目構造ポリマー中に、作用的に十分な量で存在し得、例えば、その相互貫入型網目構造ポリマーの全体重量を基準にして、0.1重量パーセントから20重量パーセントの量で、独立に、存在し得る。これらの添加剤は、その相互貫入型網目構造ポリマーを形成させている期間中の任意の時点で、あるいはそのような時点における任意の成分に、導入され得る。例えば、これらの添加剤の少なくとも一部分は、その第2のポリオレフィンポリマーに、その重合の期間中に、および/または、重合の後溶融ブレンド(例えば、押し出し)することによって、導入され得る。別法として、これらの添加剤の少なくとも一部分は、そのビニル芳香族ポリマーモノマー組成物の重合の期間中に導入され得る。さらなる別法として、これらの添加剤の少なくとも一部分は、そのビニル芳香族ポリマーモノマー組成物の重合の後に導入され得る(例えば、その相互貫入型網目構造ポリマーと溶融配合することによって)。
【0068】
この相互貫入型網目構造ポリマーは、一般的には、本発明のそのポリマー組成物中に、そのポリマー組成物の全体重量を基準にして、以下70重量パーセント、典型的には60重量パーセント以下、およびさらに典型的には50重量パーセント以下の量で存在する。この相互貫入型網目構造ポリマーは、一般的には、本発明のそのポリマー組成物中に、そのポリマー組成物の全体重量を基準にして、少なくとも10重量パーセント、典型的には少なくとも15重量パーセント、およびさらに典型的には少なくとも20重量パーセントの量で存在する。本発明のそのポリマー組成物中に存在する相互貫入型網目構造ポリマーの量は、そのような上限値と下限値との間(各記載した値も含まれる)の任意の組合せ間の範囲内にあり得る。例えば、この相互貫入型網目構造ポリマーは、そのポリマー組成物中に、ポリマー組成物のその全体重量を基準にして、10から70重量パーセント、典型的には15から60重量パーセントまたは20から60重量パーセント、およびさらに典型的には20から50重量パーセントまたは25から50重量パーセントの量で存在し得る(各記載した値も含まれる)。
【0069】
本発明のそのポリマー組成物は、場合により、エラストマー性(弾性)ポリマーをさらに含み得る。本明細書および特許請求の範囲で使われている、用語「エラストマー性ポリマー」および類似の用語、例えば「エラストマー」は、ゴム状つまり可撓特性を有するポリマー素材を意味する(例えば、引張りまたは圧縮の後その元の寸法に実質的に回復するポリマー素材)。このエラストマー性ポリマーは、例えば、天然ゴム;合成ゴム、例えば、ニトリルゴム、ブチルゴム、ポリスルフィドゴム、シリコーンゴム、ハロシリコーンゴム、ポリウレタンゴムおよび熱可塑性オレフィンゴム;エチレン−プロピレン−ジエンコポリマー;ポリイソプレン;オキシラン系エラストマー;ビニル芳香族−アルキルジエンブロックコポリマー;ポリハロプレン;フルオロポリマー;およびこれらの組合せから選択され得る。
【0070】
このエラストマー性ポリマーが選択され得る、ビニル芳香族−アルキルジエンブロックコポリマーとしては、例えば、スチレンとブタジエンとのブロックコポリマー、例えば、スチレン−ブタジエンジブロックコポリマー(ポリスチレン−ポリブタジエンジブロックコポリマーまたはSBRゴムとも呼ばれる);スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)トリブロックコポリマー(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロックコポリマーとも呼ばれる);および水添スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)ブロックコポリマーが挙げられる。このエラストマー性ポリマーが選択され得る、ビニル芳香族−アルキルジエンブロックコポリマーとしては、KRATON(登録商標)ポリマー(これは、Kraton Polymers、LLCから市販されている)が挙げられる。このポリマー組成物のそのエラストマー性ポリマーが選択され得る、ビニル芳香族−アルキルジエンブロックコポリマーの好ましい群は、商品名KRATON G SEBSポリマーでKraton polymer、LLCから市販の各水添スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)ブロックコポリマーである。
【0071】
特定の一実施形態では、このエラストマー性ポリマーは、1種以上のエチレン−プロピレン−ジエンコポリマー/ターポリマー(「EPDM」)から選択される。このEPDMコポリマーは、例えば、そのポリマーの全体重量を基準にして、30から80重量パーセントの範囲のエチレン、10から70重量パーセントの範囲のプロピレン;および1から10重量パーセントの範囲のジエンを含有し得る。このEPDMのそのジエンは、EPDMの合成で用いられる1種以上の公知の各ジエンから選択され得る。一実施形態では、このEPDMのそのジエンは、エチリデンノルボルネンである。本発明のそのポリマー組成物中に用いられ得るEPDMコポリマーの例は、ExxonMobil Chemical Corp.(Irving,TX)から市販の、VISTALON(登録商標)2504ゴムである。
【0072】
本発明の特定の複数実施形態では、このエラストマー性ポリマーは、天然ゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、ポリスルフィドゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ハロシリコーンゴム、ポリウレタンゴム、熱可塑性オレフィンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンコポリマー、ポリイソプレン、オキシラン系エラストマー、ビニル芳香族−アルキルジエンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、ポリハロプレン、フルオロポリマー、ならびにこれらの組合せから選択される。本発明に用いられ得るエラストマー性ポリマーの非限定的な例は、Dow Chemical Companyから市販の商品名Engage(登録商標)樹脂で市販されている各エラストマーである。
【0073】
本発明の別の特定の実施形態では、このエラストマー性ポリマーは、エチレン−プロピレン−ジエンコポリマー、ビニル芳香族−アルキルジエンブロックコポリマー、ならびにこれらの組合せから選択される。
【0074】
このエラストマー性ポリマーは、本発明のそのポリマー組成物中に、そのポリマー組成物の全体重量を基準にして、50重量パーセント以下、典型的には45重量パーセント以下、またはより典型的には40重量パーセント以下の量で存在し得る。このエラストマー性ポリマーは、そのポリマー組成物中に、そのポリマー組成物の全体重量を基準にして、少なくとも5重量パーセント、典型的には少なくとも10重量パーセント、またはより典型的には少なくとも15重量パーセントの量で存在し得る。本発明のそのポリマー組成物中に存在するこのエラストマー性ポリマーの量は、そのような上限値と下限値との間(各記載した値も含まれる)の任意の組合せ間の範囲内にあり得る。例えば、このエラストマー性ポリマーは、そのポリマー組成物中に、そのポリマー組成物の全体重量を基準にして、5から50重量パーセント、典型的には10から45重量パーセント、およびより典型的には15から40重量パーセントの量で存在し得る(各記載した値も含まれる)。
【0075】
本発明のこのポリマー組成物は、少なくとも部分的に架橋されている。本明細書および特許請求の範囲で使われている、用語「少なくとも部分的に架橋された」は、そのポリマー組成物、またはその発泡性ポリマー組成物またはその発泡したポリマー組成物が、そのケースに応じて、少なくとも10重量パーセント、例えば10から100重量パーセント、20から100重量パーセント、30から90重量パーセント、20から60重量パーセント、30から60重量パーセントまたは40から80重量パーセント、(各場合そのポリマー組成物、またはその発泡性ポリマー組成物またはその発泡したポリマー組成物の全体重量を基準にして)、の架橋密度を有することを意味する。
【0076】
この架橋のレベル、したがってその架橋密度は、そのポリマー組成物またはその発泡したポリマー組成物がどのように用いられるか、またはその発泡性ポリマー組成物のケースではどのように用いられることが意図されているかに基づいて(例えば、熱成形性または熱硬化性ポリマー組成物として)、選択され得る。例えば、このポリマー組成物が熱成形性ポリマー組成物である場合、それは、そのポリマー組成物の全体重量を基準にして、20から60重量パーセントの架橋密度を有し得る。加えて、このポリマー組成物が熱硬化性ポリマー組成物である場合、それは、そのポリマー組成物の全体重量を基準にして、80から100重量パーセントの架橋密度を有し得る。本明細書および特許請求の範囲で使われている、このポリマー組成物、またはこの発泡性ポリマー組成物またはこの発泡したポリマー組成物に関してのその架橋のレベルしたがって用語「架橋密度」は、そのケースに応じて、そのポリマー組成物、またはその発泡性ポリマー組成物またはその発泡したポリマー組成物のそのゲル含量を測定することによって、決定される。本発明のそのポリマー組成物、またはその発泡性ポリマー組成物またはその発泡したポリマー組成物のそのゲル含量値は、当技術分野ではよく知られている方法に従って測定され得る。本発明のそのポリマー組成物、その発泡性ポリマー組成物およびその発泡したポリマー組成物のそのゲル含量値は、各場合、ASTM D 2765に従って測定される(キシレンでなくトルエンを用いて)。この相互貫入型網目構造ポリマーに関して本明細書において前に議論されたように、ゲル含量値とその架橋レベルは、典型的には、直接的な関係を有する。より詳細には、より大きい大きさのゲル含量値は、一般的には、高いレベルの架橋(したがって、より大きい大きさのパーセント架橋重量密度値)と相関している。
【0077】
本発明のこのポリマー組成物は、例えば、化学架橋、物理架橋(例えば、高エネルギー放射を介して)およびこれらの組合せから選択される適する方法によって、架橋され得る。本明細書で使われている、用語「化学架橋」は、化学架橋剤、例えばある種の有機ペルオキシドによって達成される架橋を意味する。本明細書で使われている、用語「物理架橋」は、この組成物のそのいくつかのポリマー鎖内、鎖間および鎖中に共有結合の形成をもたらす外部エネルギー源(例えば、高エネルギー放射源、例えば電子線装置)にそのポリマー組成物を曝露することによって達成される架橋を意味する。適する手法は、例えば、米国特許第5,883,144号および米国特許第5,844,009号に開示されている。
【0078】
化学架橋は、そのポリマー組成物が、フィルム、シートまたは三次元嵩(例えば、成形)物品の形態にある(またはその形態に加工されている)場合に、架橋を達成するのに用いられ得る。高エネルギー放射によるなどの、物理架橋は、典型的には、そのポリマー組成物が、フィルムまたはシートの形態にある(またはその形態に加工されている)場合に、架橋を達成するのに用いられる。このポリマー組成物の架橋は、(化学架橋法によってであれおよび/または物理架橋法によってであれ)、このポリマー組成物のそのいくつかのポリマー鎖の間に、それらのうちに、およびそれらの中に共有結合の形成をもたらし、それによって三次元架橋網目構造の形成がもたらされる。いかなる理論によっても縛られることを意図するものではないが、現在手許にある証拠に基づけば、架橋は(化学架橋法によってであれおよび/または物理架橋法によってであれ)、その第1のポリオレフィンポリマー;その相互貫入型網目構造ポリマー;およびその場合によるエラストマー性ポリマー(存在する場合);間に、うちに、および中に共有結合の形成をもたらし、それによってこのポリマー組成物全体に三次元架橋網目構造の形成がもたらされる。
【0079】
化学架橋は、典型的には、このポリマー組成物に架橋剤を含ませることによって、達成される。この架橋剤は、通常、高温(例えば、対流オーブンによりおよび/または赤外放射源により)、化学光(例えば、紫外光源)および/または高エネルギー放射(例えば、電子線源)に曝露することによって活性化される。典型的には、この架橋剤は、高温に曝露することによってそのポリマー組成物内で活性化される熱活性化型架橋剤である。一実施形態では、この架橋剤は、少なくとも1種の有機ペルオキシドから選択される。このポリマー組成物のその架橋剤(または、等しくは、その化学架橋剤)が選択され得る、有機ペルオキシドとしては、限定するものではないが、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(ペルオキシルベンゾアート、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾイル)ヘキシン、1,1−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−シクロヘキサン、2,2’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、4,4’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブチルバレラート、t−ブチルペルベンゾアート、t−ブチルペルテレフタラート、t−ブチルペルオキシド、ならびにこれらの組合せが挙げられる。
【0080】
存在する場合、この架橋剤は、典型的には、そのポリマー組成物を形成させている期間中に、他の各成分(例えば、その第1のポリオレフィンポリマー、その相互貫入型網目構造ポリマー、およびその場合によるエラストマー性ポリマー)と一緒に導入される。この架橋剤は、一般的には、そのポリマー組成物全体に亘って実質的に均質にまた均一に分散される。この架橋剤は、そのポリマー組成物中に、そのポリマー組成物の全体重量を基準にして(その架橋剤も含めて)、0.2重量パーセントから10重量パーセント、より典型的には0.5重量パーセントから5重量パーセント、およびさらに典型的には1重量パーセントから2.5重量パーセントの量で存在する。
【0081】
化学架橋のケースでは、特には架橋剤が用いられる場合は、このポリマー組成物の架橋は、(i)そのポリマー組成物を形成させている期間中に(例えば、溶融配合の期間中に);および/または(ii)そのポリマー組成物を形成させた後に(例えば、高温への曝露により);に行われ得る。架橋が、物理架橋手段のみにより(すなわち、化学架橋手段、例えば架橋剤、の不存在下に)達成される場合は、架橋は、通常、そのポリマー組成物を形成させた後に、達成される。例えば、このポリマー組成物は、押出機で溶融配合し、その後シート(またはフィルム)ダイスに通して未架橋シート(またはフィルム)を形成させ、これを周囲室温まで冷却させ、ロールに回収することによって形成され得る。この未架橋シートは、後に、そのロールから取り離され、高エネルギー放射(例えば、電子線装置により)に曝露することによって物理架橋され、および架橋シートとして別のロールに回収され得る。別法として、ロールに未架橋シートを回収する(および場合により出荷する)というこの中間ステップは、なしで済まされ得るものであって、そのシートは、それがそのシートダイスから押出されてくるときに連続的に高エネルギー放射に曝露することによって物理架橋され得、それによって架橋シートが形成され得、これは、この後、回収され得る(例えば、ロールに)。
【0082】
このポリマー組成物のその各成分(例えば、第1のポリオレフィン、相互貫入型網目構造ポリマー、場合によるエラストマー性ポリマー、場合による架橋剤、場合による添加剤、および場合による補強剤)は、1種以上の適する溶媒の存在下に高温でこれらの各成分を混合することによって、一緒にブレンドされ得る。実質的に均質混合物を得た後、その溶媒は、減圧の条件下で(例えば、薄膜式蒸発機により)除去され得、これによってこのポリマー組成物の形成がもたらされる。
【0083】
より典型的には、このポリマー組成物のその各成分は、当技術分野ではよく知られている溶融混合法、ブレンド法または配合法により、実質的にその溶媒の不存在下に、一緒にブレンドされる。当技術分野ではよく知られている適する混合装置、例えば内部式ミキサー(例えば、BANBURYミキサー)および/または押出機(例えば、単軸押出機、または同もしくは逆回転式二軸押出機)が、このポリマー組成物のその各成分を一緒にブレンドするのに用いられ得る。
【0084】
このポリマー組成物の各成分が一緒にブレンドされる(例えば、押出機での溶融ブレンドにより)温度(複数も)は、典型的には、そのポリマー成分の劣化;およびその架橋剤の活性化を最小限とするように選択される。別法として、このブレンド/混合温度は、このポリマー組成物の架橋と膨張を実質的に並行して行うように選択され得る。
【0085】
このポリマー組成物は、任意の適する形態を有し得る。例えば、このポリマー組成物は、粒子状形態、フレーク形態、ペレット形態、三次元形状形態、フィルム形態、シート形態およびこれらの組合せから選択される形態を有し得る。特定の一実施形態では、このポリマー組成物は、ポリマーフィルムまたはポリマーシートの形態にある。このフィルムまたはシートは単層または多層フィルムまたはシートから選択され得、この場合、これらの少なくとも一層は、本発明のそのポリマー組成物を含む。本発明のそのポリマー組成物を含む多層フィルムおよびシートは、さらに、1つ以上の非ポリマー層、例えば金属または金属箔層;および/または1つ以上の内部(例えば、間置きの)および/または外部接着層を含み得る。
【0086】
本発明のそのポリマー組成物、発泡性ポリマー組成物および発泡したポリマー組成物は、それぞれ、独立に、1種以上の添加剤を含み得る。添加剤の例としては、限定するものではないが、着色剤(例えば、染料および/または顔料);紫外線吸収剤;酸化防止剤(例えば、障害型フェノールおよびホスファイト);帯電防止剤;難燃剤;増量剤(例えば、クレイ);および加工油(例えば、炭化水素油、例えばミネラルオイル)が挙げられる。各添加剤は、このポリマー組成物、発泡性ポリマー組成物および発泡したポリマー組成物中に、作用的に十分な量で、例えば、そのポリマー組成物、その発泡性ポリマー組成物またはその発泡したポリマー組成物の全体重量を基準にして、そのケースに応じて、独立に、0.1重量パーセントから10重量パーセントの量で存在し得る。
【0087】
本発明のそのポリマー組成物、その発泡性ポリマー組成物およびその発泡したポリマー組成物は、それぞれ、独立に、1種以上の補強用素材を含み得る。本発明のその組成物中に含まれ得る補強用素材の例としては、限定するものではないが、ガラス繊維、ガラスビーズ、炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラファイト、金属フレーク、金属繊維、ポリアミド繊維(例えば、KEVLARポリアミド繊維)、セルロース繊維、ナノ粒子状クレイ、タルクおよびこれらの混合物が挙げられる。存在する場合、この補強用素材は、典型的には、補強する量で、例えば、そのポリマー組成物、その発泡性ポリマー組成物またはその発泡したポリマー組成物の全体重量(その補強用素材を含めて)を基準にして、そのケースに応じて、5から70重量パーセント、10から60重量パーセント、または30から50重量パーセント(例えば、40重量パーセント)の量で存在する。この補強用繊維、特にはこのガラス繊維は、当業者には知られているように、それらが組み込まれるそのポリマー素材に対する混和性および/または接着性を改善するためにそれらの表面にサイジング処理を有し得る。
【0088】
本発明はまた発泡性ポリマー組成物にも関するものであって、これには、先に説明したポリマー組成物および膨張剤が含まれており、この発泡性ポリマー組成物は少なくとも部分的に架橋されている。規定したように、このポリマー組成物には、第1のポリオレフィンポリマー;相互貫入型網目構造ポリマー;および場合によりエラストマーが含まれている。この第1のポリオレフィンポリマー、相互貫入型網目構造ポリマー、および場合によるエラストマーは、それぞれのケースで、本明細書中先に説明したとおりである。
【0089】
この膨張剤は、1種以上の物理膨張剤および/または1種以上の化学膨張剤およびこれらの組合せから選択され得る。本明細書および特許請求の範囲で使われている、用語「物理膨張剤」は、膨張したときに実質的に化学的に変化されないままである(すなわち、化学構造の実質的な変化を受けない);および場合によっては膨張したときに相を変える(例えば、固体または液体相から、気体相に変換される);膨張剤を、意味する。説明目的のためだが、物理膨張剤としての二酸化炭素(CO)のケースでは、特には非臨界点または非超臨界COのケースでは、膨張したときに、このCOは、典型的には、圧縮状態(例えば、押出機内でこのポリマー組成物に注入されるとき)から非圧縮状態(例えば、混合されたおよび/または溶解されたCOを含むそのポリマー組成物が、押出機から、例えばシートの形態で、押出されるとき)に変換される。この圧縮状態からその非圧縮状態への変換の期間中に、このポリマー組成物は膨張され、そのCOは実質的に化学的に変化されないままである(すなわち、それは、なお、COである)。臨界点または超臨界COのケースでは、膨張すると同時発生的な液体から気体相への変化が同時発生的に起こると考えられる。さらなる説明目的のためだが、物理膨張剤としてのペンタンのケースでは、膨張すると、このペンタンは、気体ペンタンに変換されるが、同時に化学的には変化されないままである(すなわち、それは、なお、ペンタンである)。物理膨張剤は、高温および/または低圧に曝されると、典型的には、気体相に変換される。
【0090】
本発明のその発泡性ポリマー組成物中に含まれ得る物理膨張剤は、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、ハロゲン化炭化水素、水、CO、窒素(N)およびこれらの組合せから選択され得る。特定の一実施形態では、この発泡性ポリマー組成物のその物理膨張剤は、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロブタン、シクロペンタン、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、水、CO、N、およびこれらの組合せから選択される(これらの構造異性体、例えば、n−ペンタン、イソ−ペンタン、1,1−ジメチルプロパンなども、含まれる)。
【0091】
この発泡性ポリマー組成物中に存在するその物理膨張剤の量は、一般的には、所望の密度を有する発泡したポリマー組成物がもたらされるよう、選択される。物理膨張剤は、用いられる場合、典型的には、本発明のその発泡性ポリマー組成物中に、その発泡性ポリマー組成物の全体重量(その物理膨張剤も含めて)を基準にして、0.5重量パーセントから25重量パーセント、より典型的には2重量パーセントから20重量パーセント、およびさらに典型的には4重量パーセントから15重量パーセントの量で存在する。
【0092】
本明細書および特許請求の範囲で使われている、用語「化学膨張剤」は、膨張すると相を変え(例えば、固体または液体相から、気体相に変換される)、化学構造の変化も受ける(例えば、分解反応の結果として)、膨張剤を意味する。本発明のこの発泡性ポリマー組成物で有用な化学膨張剤は、典型的には、高温および場合により低圧に曝されると分解反応を受けるものであり、これによって気体分解生成物の生成がもたらされる(例えば、窒素、二酸化炭素および/または一酸化炭素)。分解して、窒素などの、不活性気体分解生成物を生成する化学膨張剤は、そのような不活性気体分解生成物が最小限の環境への影響を有するので、およびこのポリマー組成物のそのポリマーマトリックスへの最小限の有害な影響を有するので、好ましい。
【0093】
この化学膨張剤は、アゾ化合物、N−ニトロソ化合物、セミカルバジド、スルホニルヒドラジド、炭酸塩、重炭酸塩、ならびにこれらの組合せから選択され得る。一実施形態では、この化学膨張剤は、アゾジカルボンアミド、p−p’−オキシビス(ベンゼン)−スルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、5−フェニルテトラゾール、エチル−5−フェニルテトラゾール、ジニトロソペンタメチレンテトラアミン、ならびにこれらの組合せから選択される。特定の一実施形態では、この化学膨張剤は、アゾジカルボンアミドおよび/またはp−p’−オキシビス(ベンゼン)スルホニルヒドラジドから選択される。
【0094】
化学膨張剤が用いられる場合、本発明のその発泡性ポリマー組成物は、1種以上の活性化剤も含み得る。活性化剤は、典型的には、その化学膨張剤のその分解温度を下げるよう働く、つまりこの発泡性ポリマー組成物の膨張が起こる温度を下げるよう働く。この発泡性ポリマー組成物中に含まれ得る活性化剤としては、限定するものではないが、金属塩、例えば、ステアリン酸亜鉛および/または酸化亜鉛から選択される亜鉛塩などが挙げられる。用いられる場合、活性化剤は、典型的には、その発泡性ポリマー組成物の全体重量(その活性化剤も含めて)を基準にして、0.05重量パーセントから3重量パーセントの量で存在する。
【0095】
その物理膨張剤と同じように、この発泡性ポリマー組成物中に存在する化学膨張剤のその量は、一般的には、所望の密度を有する発泡したポリマー組成物がもたらされるように選択される。化学膨張剤は、用いられる場合は、典型的には、本発明のその発泡性ポリマー組成物中に、その発泡性ポリマー組成物の全体重量(その化学膨張剤も含めて)を基準にして、1重量パーセントから25重量パーセント、より典型的には2重量パーセントから20重量パーセント、およびさらに典型的には4重量パーセントから15重量パーセントの量で存在する。
【0096】
この膨張剤(または各膨張剤)は、典型的には、そのポリマー組成物を形成させている期間中に、例えば、その第1のポリオレフィン、その相互貫入型網目構造ポリマー、およびその場合によるエラストマー性ポリマーを溶融配合している期間中に、実質的に並行して組み込まれる。別法として、この膨張剤は、前もって形成されているポリマー組成物に、例えば、当技術分野ではよく知られている注入または吸入法により、続いて導入され得る。この前もって形成されているポリマー組成物は、典型的には、比較的大きな表面積を有する形態、例えば粒子状形態、シート形態またはフィルム形態にある。この前もって形成されているポリマー組成物(例えば、粒子状、シートまたはフィルム形態にある)とこの膨張剤とは、典型的には、適する条件(例えば、高温および/または高圧)下で一緒に接触させて、その膨張剤がそのポリマー組成物に浸入し、それによって本発明のその発泡性ポリマー組成物の形成がもたらされる。前もって形成されているポリマー組成物に続いて組み込まれるまたは導入される場合は、その膨張剤は、典型的には、物理膨張剤(例えば、脂肪族炭化水素、例えばペンタン)である。
【0097】
このポリマー組成物を形成させている期間中に実質的に並行して組み込まれる場合は、その膨張剤は、物理膨張剤および/または化学膨張剤であり得る。より典型的には、そのポリマー組成物を形成させている期間中に実質的に並行して組み込まれる場合は(例えば、溶融配合により)、その膨張剤は、物理膨張剤が実質的に存在していない化学膨張剤(例えば、p−p’−オキシビス(ベンゼン)−スルホニルヒドラジド)である。このポリマー組成物を形成させている期間中にその膨張剤が並行して組み込まれるその温度(例えば、その溶融配合温度)は、典型的には、その膨張剤の膨張を実質的に防止するように選択される。このようにしてこの発泡性ポリマー組成物の形成がもたらされる。
【0098】
この発泡性ポリマー組成物は、少なくとも部分的に架橋されている。この発泡性ポリマー組成物の架橋のレベル、測定、および方法は、そのポリマー組成物に関して本明細書中先に説明したとおりである。例えば、この発泡性ポリマー組成物は、その発泡性ポリマー組成物の全体重量を基準にして、少なくとも10重量パーセント、例えば10から100重量パーセント、20から100重量パーセント、30から90重量パーセント、20から60重量パーセント、30から60重量パーセントまたは40から80重量パーセントの架橋密度を有し得る。
【0099】
この発泡性ポリマー組成物の架橋は、そのポリマー組成物に関して本明細書中先に提供した記載に従った物理架橋(例えば、高エネルギー放射への曝露による)および/または化学架橋(例えば、架橋剤による)により達成され得る。架橋は、このポリマー組成物にその膨張剤を組み込む前、その間および/またはその後に行われ得る。一実施形態では、架橋は、このポリマー組成物にその膨張剤を組み込んだ後、特にはその発泡性ポリマー組成物が発泡性ポリマーフィルムまたはシートの形態にあるとき、行われる。例えば、化学膨張剤、例えばp−p’−オキシビス(ベンゼン)スルホニルヒドラジドは、そのポリマー組成物が溶融配合(例えば、押出)されている期間中に組み込まれ得る。当技術分野ではよく知られている方法に従って、このポリマー組成物、化学膨張剤を含むその押出物を、フィルムまたはシートダイスに通すことによって、未架橋フィルムまたはシートが形成される。この未架橋フィルムまたはシートは、この後、続いて物理架橋され得る(例えば、高エネルギー放射への曝露により)。このようにして本発明によるこの発泡性ポリマー組成物(フィルムまたはシート形態にある)の形成がもたらされる。
【0100】
この発泡性ポリマー組成物は任意の適する形態を有し得る。例えば、この発泡性ポリマー組成物は、粒子状形態、三次元形状形態、フィルム形態、シート形態およびこれらの組合せから選択される形態を有し得る。特定の一実施形態では、この発泡性ポリマー組成物は、発泡性ポリマーフィルムまたは発泡性ポリマーシートの形態にある。この発泡性フィルムまたはシートは、単層または多層フィルムまたはシートから選択され得るものであって、この場合、これらの各層のうちの少なくとも1層は、本発明のその発泡性ポリマー組成物を含む。本発明のその発泡性ポリマー組成物を含む多層フィルムおよびシートは、さらに、1つ以上の非ポリマー層、例えば金属または金属箔層;および/または1つ以上の内部(例えば、間置きの)および/または外部接着層を含み得る。
【0101】
適する膨張条件下で、(これには、典型的には、高温および/または低圧への曝露が含まれる)、この膨張剤は活性化されて(例えば、この膨張剤自体が膨張するおよび/または膨張する部分体を発生する)、この発泡性ポリマー組成物の発泡した(または気泡した)ポリマー組成物への変換がもたらされる。つまり、本発明は、発泡したポリマー組成物にも関し、それには、第1のポリオレフィンポリマー;相互貫入型網目構造ポリマー;および場合によりエラストマー性ポリマーが含まれている。この第1のポリオレフィンポリマー、相互貫入型網目構造ポリマー、および場合によるエラストマー性ポリマーは、それぞれのケースで、本明細書中先に説明したとおりである。
【0102】
この発泡したポリマー組成物は少なくとも部分的に架橋されている。この発泡したポリマー組成物のその架橋のレベル、測定、および方法は、そのポリマー組成物に関して本明細書中先に説明したとおりである。例えば、この発泡したポリマー組成物は、その発泡したポリマー組成物の全体重量を基準にして、少なくとも10重量パーセント、例えば10から100重量パーセント、20から100重量パーセント、30から90重量パーセント、20から60重量パーセント、30から60重量パーセントまたは40から80重量パーセントの架橋密度を有し得る。
【0103】
この発泡したポリマー組成物の架橋は、そのポリマー組成物に関して本明細書中先に提供した記載に従った物理架橋(例えば、高エネルギー放射への曝露による)および/または化学架橋(例えば、架橋剤による)により達成され得る。この発泡したポリマー組成物は本発明のその発泡性ポリマー組成物から調製され得るものであって、このケースでは、少なくとも一部の架橋はその発泡性ポリマー組成物の膨張の前に行われ;場合によってはさらなる架橋がその膨張ステップの期間中および/または後に行われ得る。別法として、この発泡したポリマー組成物は、発泡性ポリマー組成物(本明細書中先に説明した)であるが、実質的に架橋されていない発泡性ポリマー組成物から調製され得、このケースでは、架橋は、その発泡性且つ未架橋ポリマー組成物の膨張と実質的に並行しておよび/またはそれに続いて行われる。典型的には、この発泡したポリマー組成物は、本発明のその発泡性ポリマー組成物から調製され、実質的にすべての架橋は、その膨張ステップの前に完了している。
【0104】
本発明のこの発泡したポリマー組成物は、この発泡したポリマー組成物が用いられることが意図されているその特定の用途に応じて、広い範囲の密度を有し得る。本発明のこの発泡したポリマー組成物は、典型的には、16Kg/mから400Kg/m(1から25ポンド/ft)、より典型的には24Kg/mから240Kg/m(1.5から15ポンド/ft)、およびさらに典型的には32Kg/mから192Kg/m(2から12ポンド/ft)の密度を有する。
【0105】
この発泡したポリマー組成物は任意の適する形態を有し得る。例えば、この発泡したポリマー組成物は、三次元形状形態、フィルム形態、シート形態およびこれらの組合せから選択される形態を有し得る。特定の一実施形態では、この発泡したポリマー組成物は、発泡したポリマーフィルムまたは発泡したポリマーシートの形態にある。この発泡したフィルムまたはシートは単層または多層フィルムまたはシートから選択され得るものであって、この場合は、そのような各層のうちの少なくとも1層は、本発明のこの発泡したポリマー組成物を含む。本発明のこの発泡したポリマー組成物を含む多層フィルムおよびシートは、さらに、1つ以上の非ポリマー層、例えば金属または金属箔層;および/または1つ以上の内部(例えば、間置きの)および/または外部接着層を含み得る。本発明による発泡したポリマー組成物は、開放気泡構造および/または独立気泡構造を有し得る。より典型的には、本発明のこの発泡したポリマー組成物は、独立気泡構造を有する。
【0106】
本発明の複数実施形態では、その第1のポリオレフィン、相互貫入型網目構造ポリマー、場合によるエラストマー性ポリマー、および膨張剤をブレンドし、この混合物を加熱することによって、発泡性溶融ポリマー素材を形成させることにより、架橋ポリマー発泡構造体が調製される。架橋がこの発泡性溶融ポリマー素材中に誘発され、この発泡性溶融ポリマー素材は、それを高温に曝すことによって膨張されて、その発泡構造体が形成される。
【0107】
本発明の特定の複数実施形態では、この発泡したポリマー組成物は、その第1のポリオレフィン、相互貫入型網目構造ポリマー、場合によるエラストマー性ポリマー、架橋剤、および膨張剤を混合してスラブ[slab]を形成させ、その架橋剤がそのポリマー素材を架橋できるようにおよびその膨張剤が分解できるようにモールド[mold]中でこの混合物を加熱し、およびそのモールド中の圧力の開放によって膨張させることにより、バンストック[bun stock]形態に作製され得る。場合によっては、圧力を開放したときに形成されるこのバンストックは、さらなる膨張を起こさせるために再加熱され得る。
【0108】
本発明の複数実施形態では、この第1のポリオレフィンポリマー、相互貫入型網目構造ポリマー、および場合によるエラストマー性ポリマーは、その各ポリマーおよび任意の添加剤を混合し、その間、場合によっては、このブレンド物を、Banbury型ミキサー(または押出機)で、均質ポリマーブレンドがもたらされるよう、混合しながら、加熱することによって、ブレンドされ得る。本発明の特定の複数実施形態では、この相互貫入型網目構造ポリマーおよびその第1のポリオレフィンポリマーの少なくとも一部分が、押出機でブレンドされ、その後その残りの各成分とブレンドされ得る。この混合のその温度および圧力は、発泡を避けるように選択される。多くの実施形態では、混合条件は、圧力20から200psiおよび温度150°Fから280°Fである。別形態として、このブレンドを混合するのに押出機が用いられる場合は、その温度は約275°F以下に維持され、その圧力は、一般的には、そのダイスに応じて500から5000psiである(すなわち、フラットシートを押出するのには2000から3000psiの圧力が用いられる)。一般的には、この処理温度は、その発泡剤およびその架橋剤が実質的に分解するのを避けるように選択される。このポリマーブレンドは、ロールミル加工または押出することによって、例えば、プレス加工用シートとして予形成され得る。別形態として、このブレンドは、ペレット化され得る。
【0109】
本発明の複数実施形態では、この均質ポリマーブレンドは、ポリマーブレンドフォームを、圧縮成型、射出成型により製造するのに、用いられる(あるいはシートとしても発泡され得る)。特には、このポリマーブレンドは、温度240°Fから320°Fおよび250から2500psiの圧力にある高トン数液圧プレス機を用いて20から90分間プレス加工する第1の操作で、圧縮成型により発泡される。このポリマーブレンドフォームは、温度300°Fおよび380°Fにあるオーブン中で20および320分間加熱する次の段階または温度300°Fおよび380°Fおよび250および1500psiの圧力にある中トン数液圧プレス機で20および320分間プレス加工する第2の操作でさらに膨張され得る。この予形成工程はそのブレンドを脱ガスするのに役立つこと、その第1のプレス加工操作はそのセルサイズを小さくしてセル品質を良くするのに役立つこと、およびその第2のプレス加工操作は表面劣化および素材喪失を防ぐのに役立つことが観察されている。このフォームは、一般的には、1.5から25pcfの平均密度を有する。
【0110】
本発明の複数実施形態では、このポリマーブレンドは、そのブレンドを軟化させるためにシートの一部分を予加熱し、その軟化したポリマーブレンドをモールド中でプレス加工することにより形成され得る。このポリマーブレンドは、それが発泡剤を含有しており、それが発泡を誘発するために加熱される場合は、発泡され得る。そのモールドは、一体モールドまたは合わせモールドであり得、またベントもされ得る。シートをモールド中でこのようにして形成および/または発泡させるのは、このポリマーブレンドからガスケットを形成させる1つの方法である。
【0111】
本発明の多くの実施形態では、この発泡したポリマー組成物を製造するのに必要とされるその加工時間つまりサイクルタイムは、その相互貫入型網目構造ポリマーを除いてはこの発泡したポリマー組成物と同じ各成分を含有している膨張組成物を製造するのに必要とされるそのサイクルタイムよりは短い。これらの実施形態では、その発泡したポリマー組成物を製造するのに必要とされるその加工つまりサイクルタイムは、その相互貫入型網目構造ポリマーを除いてはこの発泡したポリマー組成物と同じ各成分を含有している膨張組成物を製造するのに必要とされるそのサイクルタイムより少なくとも5%、一部のケースでは少なくとも10%、および他のケースでは少なくとも15%は少ない。
【0112】
本発明の複数実施形態では、このポリマーブレンドは、他の素材またはそれ自体に、そのラミネート界面を加熱処理することによりラミネートされ得る。接着剤が適用され得るが、このポリマーブレンドをラミネートするのには接着剤を用いる必要はない。
【0113】
本発明の複数実施形態では、このポリマーブレンド(または気泡したポリマーブレンド)は、引張り強度、剪断強度、および開裂強度の良好なバランスを有する。この引張り強度、伸び、圧縮抵抗(圧縮変形)、圧縮永久歪み、および剪断強度は、例えば、ASTM D−3575の手順に従って測定され得る。このポリマーブレンドのその柔軟特性およびクッション特性は、そのような各特性のなかでも、重要な構成要素である。
【0114】
本発明の複数実施形態では、この気泡したポリマーブレンドは、浮揚デバイスでの使用に適し得る。浮揚性能試験は、Underwriters Laboratories,Inc.によりUL 1191に説明されているガイドライン(参照により本明細書に組み込む)に従って行われ得る。浮揚素材は、一般的には、1ポンド/立方フィート(pcf)より大きい密度、少なくとも58ポンド(lbs)の比浮力、ある種の着用デバイス用には98%の浮力保持ファクター(Vファクター)およびクッション用には95%のクッション保持ファクター(Cファクター)、少なくとも20ポンド/平方インチ(psi)の引張り強度、良好な柔軟性(クラックなし)、および少なくとも1psiの圧縮変形(25%)を有することが推奨される。この浮力保持のその試験には、さらに、そのサンプルを60℃で120時間処理することを含む加熱調整が含まれる。この試験のその加熱調整の態様は、基本的には、その素材の熱的安定性を探査する高温クリープ試験である。
【0115】
本発明の複数実施形態では、このポリマーブレンドのその熱的安定性は、間接的ではあるけれど、その浮揚性能試験、具体的にはその浮力保持ファクターから、測定され得る。このポリマーブレンドのその熱的安定性は、他の用途にも関係している。特には、このポリマーブレンドおよび気泡したポリマーブレンドは、自動車用途で、特にはガスケットを作製するのに、有用である。この素材のその柔軟性および成形性と組み合わせたその熱的安定性は、このポリマーブレンドを自動車ガスケット用途に特に適したものにしている。
【0116】
本発明の複数実施形態では、このポリマーブレンドのガスケット用途でのその熱的安定性は、高温でのその寸法安定性を追跡することによって測定され得る。自動車用途に対しては、熱的安定性は、このポリマーブレンドの断片を特定量の時間高温に曝し、その断片のその寸法のパーセント変化を測定することによって試験され得る。例えば、ポリマーブレンドの断片(すなわち、12インチ×12インチ×1/4インチ片のフォーム)が158°Fに24時間加熱され得る。他の試験では、例えば、この断片は、158°Fに50時間、180°Fに7日間、257°Fに30分間、350°Fに4分間、130°Fに66時間、または410°Fに11分間加熱され得る。冷却の後、この断片のその寸法が計算され、それぞれの次元におけるそのパーセント変化が計算される。約8パーセントよりも小さい(多くの場合では5パーセント未満の)パーセント寸法変化は、ポリマーブレンドが自動車ガスケット用途に妥当な熱的安定性を有することを意味する。典型的な自動車用途用フォームガスケットは、2から14ポンド/立方フィートのフォーム密度を有する。
【0117】
本発明のこの発泡したポリマー組成物は、衝撃エネルギーマネジメント用途、例えば輸送用途、パッケージング用途、および個人保護装具用途に用いられ得る。例えば、本発明のこの発泡したポリマー組成物は、自動車、トラック、飛行機および船で乗員が衝突衝撃を受け得る(例えば、衝突の際)、その居室内部構造物(例えば、ダッシュボード、インストルメントパネルおよびドアライナー)のその作製で用いられ得る。この発泡したポリマー組成物は、個人保護装具用途、例えば個人スポーツ装具、安全装具および軍用装具のライナーとして組み込まれ得る。この発泡したポリマー組成物を含むライナーを含み得る個人スポーツ保護装具の例としては、限定するものではないが、スポーツヘルメット(例えば、ホッケーヘルメット、バッティングヘルメット、野球ヘルメット、クリケットヘルメット、フットボールヘルメット、二輪車ヘルメット、モーターサイクルヘルメットおよびレーシングヘルメット);ボディーパッド(例えば、肩パッド、腰パッド、腿パッドおよび尾骨パッド);および脛当て(例えば、野球、クリケットおよびサッカーで使用されているもの)が挙げられる。この発泡したポリマー組成物を含むライナーを含み得る個人安全保護装具の例としては、限定するものではないが、安全ヘルメット(例えば、工事ヘルメット)および消防ヘルメットが挙げられる。この発泡したポリマー組成物を含むライナーを含み得る個人保護軍用装具の例としては、限定するものではないが、戦闘ヘルメット、防弾ベスト(チョッキ)およびボディーアーマー(甲冑)が挙げられる。
【0118】
本発明のこの発泡したポリマー組成物は、建設用途および建築用途に用いられ得る。例えば、この発泡したポリマー組成物を含むシートは、フロアー(床)のアンダーレイメント(例えば、木材またはセラミックフロアーの下に)としてや、遮音用途(例えば、壁、天井および/またはフロアーに)で、用いられ得る。
【0119】
本発明のこの発泡したポリマー組成物を含み得るまたはそれから加工され得る製造物品のさらなる例としては、接着テープおよびラベルが挙げられる。この接着テープはその発泡したポリマー組成物を含む少なくとも1つの層を含んでいて、典型的にはさらに1つの(片面テープの場合)または2つの(両面テープの場合)外部接着層を含む。このラベルは、その発泡したポリマー組成物を含む少なくとも1つの層を含んでいて、場合により、さらに、外部接着層;1つ以上の他の膨張および/または非発泡したポリマー層;および/または少なくとも1つの非ポリマー層、例えば金属または金属箔層を含む。本発明のこの発泡したポリマー組成物を含む少なくとも1つの層を含むラベルは、典型的には、そのラベルの1つ以上の内部および/または外部層に適用された印字標(例えば、文字、数字、記号および/または画像)も含む。
【0120】
本発明のこの発泡したポリマー組成物を含み得るまたはそれから加工され得る物品のさらなる非限定的例としては、おもちゃ、ヨガマット、ガスケット、および靴部品(例えばインソール(内底)、ミッドソール(中底)、およびアッパー(表甲))が挙げられる。
【0121】
上記に示したように、本発明によるこの少なくとも部分的に架橋された発泡したポリマー組成物は、さまざまなタイプの物品に用いられ得る。そのような物品の特定的な非限定例が以下ならびにその図面に説明されている。
【0122】
図1は本発明の実施形態を示すものであって、ここではその少なくとも部分的に架橋された発泡したポリマー組成物が、ヨガマットの形態で用いられている。この実施形態では、ヨガマット10は、発泡したポリマー組成物シート12から作られており、使用の期間中のヨガマット10の望まれていない動きを最小限とするためのおよび使用者がヨガマット10上にいるときの心地良さを改善するためのエンボス14を場合によっては含み得る。このポリマー組成物中にその相互貫入型網目構造ポリマーが存在することによりヨガマット10のそのクッション特性が改善され、使用者にとってはそれをより心地良いものおよびよりストレスの少ないものにしている。
【0123】
図2は本発明の実施形態を示すものであって、ここではその少なくとも部分的に架橋された発泡したポリマー組成物が、両面カーペットテープの構成部分として用いられている。この実施形態では、カーペットテープ20(縮尺には描かれていない)には、第1の剥離フィルム28、第1の接着層26、この本発泡した架橋ポリマー組成物から作られたコア層22、第2の接着層24、および第2の剥離フィルム30が含まれている。このコア層22は、第1の接着層26および第2の接着層24の間に配置されている。第1の剥離フィルム28および第2の剥離フィルム30は、それぞれ、第1の接着層26および第2の接着層24に隣接しており、それを覆っている。このポリマー組成物中にその相互貫入型網目構造ポリマーが存在することによりカーペットテープ20のそのクッション特性が改善され、使用されている期間中の踏み歩きをより心地良いものにしている。
【0124】
図3および4は、本発明の実施形態によるガスケット40を示すものである。ガスケット40は、非限定例として、配管用途で有用である。ガスケット40は、外形寸法XおよびYを有する長方形に示されている。ガスケット40は、幅XおよびYを有して示されており、XおよびYは同じであっても異なっていてもよい。ガスケット40には、この本発泡した架橋ポリマー組成物から作られた圧縮性層50、第1の剥離層46によって覆われている第1の接着層48が含まれている。ガスケット40は、第2の剥離層54によって覆われている第2の接着層52を含み得る。その圧縮性層50は厚みZを有する。多くの実施形態では、この厚みZは、0.05から0.5インチの範囲にあり得る。
【0125】
本発明の複数実施形態では、この本発泡した架橋ポリマー組成物は、フロアーシステムのその下部フロアーとその仕上げフロアーとの間のアンダーレイメント(下敷き)として用いられ得る。非限定例として図5に示されている、フロアーシステム60には、コンクリート下部フロアー68と木材ラミネート仕上げフロアー70との間に装着されたアンダーレイメント62が含まれている。アンダーレイメント62は、普通、コンクリート下部フロアー68にフィルム64が接触するようにそのコンクリート下部フロアーに自由配置される(すなわち、接着剤や他の取り付け機構をまったく用いずに)。アンダーレイメント62のウェブは、隣接ウェブのその各側端が互いに突き当たるように装着され得る。装着の際は、アンダーレイメント62の各隣接ウェブは、テープ66の細片によって一緒に合わせられ得る。ラミネート木材フロアー70のプランクは、アンダーレイメント62の表面にそのプランクが静置されるように自由浮動方式でアンダーレイメント62上に配置され得る。隣接各プランク70は接着剤で接合され得るかあるいはそうでなければ慣用の実矧ぎ継ぎ[tongue−in−groove]配置を用いて一緒に嵌合され得るが、その各プランクはアンダーレイメント62には接着されない。
【0126】
本発明の実施形態に従うフロアーシステムのもう1つの非限定実施例が図6に示されている。この例示のフロアーシステム80では、アンダーレイメント82は、木材ラミネート仕上げフロアーの木材下部フロアー84とそのプランク90との間に装着されている。この配置に従ったこのフロアーシステムは図5に示されているフロアーシステムに似ている。しかしながら、その下部フロアーにフィルム86が接触するようにアンダーレイメント82を配置するというよりも、この装着では、その木材下部フロアー84にアンダーレイメント82の表面が接触するようおよびその下部フロアーからは外方向にフィルム86が向くようにアンダーレイメント82は配置されている。ラミネート木材フロアーのこのプランク90は、フィルム86にそのプランクが静置されるように自由浮動方式でアンダーレイメント82上に配置され得る。装着の際は、アンダーレイメント82の隣接各ウェブは、テープ88の細片によって一緒に合わせられ得る。
【0127】
図7に示されている本発明の実施形態は、本発明による洗車装置用ファブリックストリップカーテン100に関するものである。この洗車装置の中をその車両が引っ張っていかれる方向はその矢印で示されている。洗浄されるその車両の上には、フレーム構造102が配置されており、この上に、その引っ張っていく方向に対して横ざまに並んでいる複数の支持バー104が取り付けられている。駆動部106によってこのフレーム構造102およびそれによってその支持バー104は、起動されて、前後に動く。この本発泡した架橋ポリマー組成物から作られた、複数の洗浄ストリップ108が、各支持バー104に、互いの隣に、吊るされている。この洗浄ストリップのその上端部に張り付けられた、その支持バー104を取り巻いているループ110は、各場合、その目的に役立つものである。このループは取り付けストリップ112によって形成されており、この取り付けストリップは、その洗浄ストリップ108のその上部の方に延びている。この目的のために、このストリップ112は、取り付け部114でその洗浄ストリップ108に永久縫合されている。それぞれの取り付けストリップ112は取り付け具116を有しており、これで以って、その取り付けストリップ112のその自由端部がその洗浄ストリップ108のその取り付け部分114上に取り外し可能に張り付けられている。このようにして、このループ110は形成されており、このループはその支持バー104を取り巻いており、その取り外し可能な取り付けにより、個々の洗浄ストリップ108を取り外して交換できるように、いつでも開かれ得るようになっている。
【0128】
図8に示されている本発明の実施形態、フットボール選手の正面または前面像には、この本発泡した架橋ポリマー組成物を含有しているさまざまなタイプの保護パッドが含まれている。このフットボール選手は、ヘルメット150、各部分が引き離されているユニフォーム140、および複数のガードまたはパッドを着用して示されている。示されているのは、脛当て120、膝パッド122、大腿パッド124、腰パッド126、肋骨パッド127、肩パッド132、肘パッド138、グローブ136、前腕パッド128、二頭筋パッド130、頸パッド144、および顎パッド142である。この前記したガード、パッド、および他の衣料物品ならびに保護装具は、すべて、心地良い適合をもたらすためにこの本発泡した架橋ポリマー組成物を含むように作製され得る。
【0129】
図8に示されている実施形態に加えることとして、これらのパッドおよび保護装具の多くは図9に示されているように作製され得る(この図は保護パッド146の側断面図である)。示されているように、保護パッド146には、フォーム層147として示されているこの本発泡した架橋ポリマー組成物、および比較的硬質で比較的薄いプラスチック層148が含まれている。
【0130】
図10は、フォーム層154としてのこの本発泡した架橋ポリマー組成物を見せるために切り離されている、着用者の頭158に配置されたヘルメット150の透視図である。ヘルメット150は、いくつかの異なるフォーム層部分を有して作られるのが有利であり得、これは一般的にはその頭蓋骨のその主骨のその位置を模倣したものになっている。非限定例としては、その頭のその頂部156を保護する頭頂骨フォーム部分152、およびその頭のその前部158を保護する前頭骨フォーム部分52。ヘルメット150がその耳のその位置近くまたは下まで延びている場合は、その着用者160の聴力が著しくは損なわれないように穴または開口部を設けるのが場合によっては有利であり得る。この前記したそのヘルメット150の配置構成は、そのそれぞれのフォーム層各部分間のその接合部分がその頭蓋骨のそのいくつかの縫合に隣接して位置しているという事実から、着用者の頭158のその固有の解剖学的形状へ適応することを促進させるものである。
【0131】
図11および12は、靴物品(例えば、運動靴)用ソール構造体の一部分の例、すなわち例としてのミッドソール部材180を例示するものである。この本発泡した架橋ポリマー組成物を含む、このミッドソール部材180は、地面反作用力を減衰させるそのソール構造体主各要素のうちの1つである。特定の実施形態では、このミッドソール部材180は、完全に、この本発泡した架橋ポリマー組成物から作られている。ミッドソール部材180には、前足部分194、アーチ部分186、および後足部分182が含まれ得るが、これは、着用者の足のいくつかの部分に対応している。ミッドソール構造体は、接合剤、接着剤、密封用構造物、保持具、機械式コネクターや、当技術分野で知られまた用いられている通常の接合手段を、用いることによってを含めた、任意の適するまたは所望の方法で、本発明のこの実施形態から逸脱することなく、全体ソールまたは靴構造体のその他の部分に固定または保持され得る。
【0132】
図13に示されているように本発明の一部の実施形態により新規なボディーアーマー[body armor]物品が提供される。これらの実施形態によるボディーアーマー200にはソフトアーマーベスト222が含まれており、これは、右ベストセクション224および左ベストセクション225を有する。このベストセクション224および225は硬質のハードアーマープレートにより接続されている。このプレートには、2つの前面プレート(すなわち上胸プレート226と、これが上に重なっている下腹プレート228)および背プレート230が含まれている。この本発泡した架橋ポリマー組成物から作られている、フォームパッドのシステム232が、それぞれのベストセクション224および225の内側に張り付けられている。このパッドシステム232はそのベスト222にその着用者からの空間を設けるものであって、これによって複数の空気溝がその着用者とそのソフトアーマーとの間に画定される。このベストセクション224および225は、衝撃用ファブリック素材の複数層から縫製されている。
【0133】
それぞれのベストセクション224および225は、その着用者の背後に配置される背パネル244を有しており、これは肩セクション246により胸フラップ248に接続されている。胴セグメント250は横セクション252によってその背パネル244に接続されている。この胴セグメント250とこの胸フラップ248とが、このベストセクションのその前面パネルを画定している。その胸フラップ248、その肩セクション246、その背パネル244、およびその胴セグメント250は外縁254を有しており、これは、その着用者の腕が延びて中を通る腕穴256の形を描いている。
【0134】
この胸フラップ248のその下側部分はその胴セグメント250の上側部分に固定または縫合され得るが、あるいはそれらは回転式接合部258のところでピボット式にも接続され得る。
【0135】
このパッドシステムのその各パッド260、262、265、266、268および270のそれぞれはオープンメッシュファブリックから形成されており、その中にはこの本発泡した架橋ポリマー組成物から作られている独立気泡可撓フォームブロックが包まれている。このオープンメッシュファブリックは、3Dスペーサーファブリック、あるいは、別形態として、閉鎖平滑表面ナイロンもしくは木綿、ウィッキング素材、または低摩擦ナイロン素材であり得る。別形態として、このフォームブロックは、皮革に包まれ得るし、あるいは包みなしのむき出しでもあり得る。
【0136】
各ベストセクション224および225のためのそのパッドシステムには、そのベストセクションの内側表面に調節可能に配置するための締結手段が設けられている複数の再配置可能パッドが含まれている。一部の実施形態では、それぞれのパッドには、フックループファスナー(面ファスナー)システムの一部分が設けられている。他の容易配置ファスナーシステムも用いられ得る。このパッドシステムには、その背面パネル244からその肩セクション246に沿ってその胸フラップ248に延びる肩パッド260;その背面パネルのその背後端部264の近傍で垂直に延びている上側背面パッド262;その胸フラップ248上にある上側前面パッド265;その胴セグメント250上にある下側前面パッド266;およびその横セクション252上にある下側背面横パッド268および前面横パッド270が含まれ得る。
【0137】
ボディーアーマー200は、典型的には、手榴弾または迫撃砲あるいは他の低速度、亜音速発射脅威体からの拳銃射撃、破片射撃を処置するのには十分なものである。この本発泡した架橋ポリマー組成物のそのクッション特性および衝撃減衰特性はそのような使用に対してボディーアーマー200を特に適したものにしている。
【0138】
本発明を、以下の実施例を参照しながら、さらに説明する。以下の実施例は、単に、本発明を説明するものであって、それを限定しようとするものではない。特段の断りがない限り、パーセントは、すべて重量で、である。
【実施例】
【0139】
以下の実施例では、用いたその各出発素材は、以下にあるその各表においては、以下のとおりコードされている:
ZNPE−ポリエチレンLA0219−A(NOVA Chemicals Corp.,Calgary,Alberta,CA)
SSCPE−ポリエチレンFPs−317A(NOVA Chemicals Corp.,Calgary,Alberta,CA)
LDPE−ポリエチレン1076(Flint Hills Resources LLC,The Woodlands,TX)
LLDPE−ポリエチレンLA−0218−A(NOVA Chemicals Corp.,Calgary,Alberta,CA)
EPDM−Royalene(登録商標)511(Chemtura Corp.,Middlebury,CT)
SEBS−Kraton−G−1657(Kraton polymers U.S. LLC,Houston,TX)
EMA−EMAC2205(Westlake polymers LP,Houston,TX)
POE−ポリエチレンエラストマーEngage(登録商標)樹脂8452(Dow Chemical Co.,Midland,MI)
EVA−エチレン−酢酸ビニルコポリマー、1903(Huntsman Corp.,Odessa,TX)
IPN30−米国特許第7,411,024号の実施例1に従って調製された30%エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)/70%(96.7/3.3スチレン/ブチルアクリラートコポリマー)含有インターポリマー
IPN50−米国特許第7,411,024号の実施例1に従って調製された50重量%エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)/50重量%ポリスチレン含有インターポリマー
IPN70−米国特許第7,411,024号の実施例1に従って調製された70%EVA/30%ポリスチレン含有インターポリマー
IPN73−米国特許第7,411,024号の実施例1に従って調製された30%EVA/70%(90/10スチレン/ブチルアクリラートコポリマー)含有インターポリマー
FA−発泡剤−アゾジカルボンアミド
ANTIOX−酸化防止剤−ETHANOX(登録商標)310(Albemarle Corporation,Baton Rouge,LA)
OX−架橋剤−Perkadox(登録商標)40KE(Akzo Chemie Nederland B.V.,Amersfoort,The Netherlands)
【0140】
以下の試験方法をそのさまざまなサンプルを評価するのに用いた(その場合、MDは機械方向を意味し、TDはその機械方向に直角の横方向を意味する)。
密度−ASTM D−3575−91
引張り強度−ASTM 412(ASTM D−3575−91に参照されている)
圧縮−変形(25および50%C−D)−ASTM D−3575−91
引き裂き−ASTM D 624−73(ASTM D−3575−91に参照されている)
【0141】
(実施例1)
以下の表のその各サンプルを以下に述べるようにして調製した。表には本発明による各発泡したポリマー組成物が示されており、そこではその相互貫入型網目構造ポリマーのその組成が変化されている。
【0142】
より詳細には、この各ポリマーブレンドは、その各成分をバッチ操作で先に説明したようにして混合することによって一般的に調製された。以下のその表に示されているその各割合でその各バッチを秤量し、区分分けして順次的に添加した。そのさまざまな各成分を混入するのにはバンバリー[Banbury]型ミキサーを用いた。その混合は、閉鎖チャンバーの中にある逆回転複数ローターで行われた。このチャンバーの上面にあるポートは各成分の添加用に開けられ得るようになっている。混合するためにはこの開口部は加圧液圧ラムで密閉される。この得られる圧によってその素材はそのチャンバー内部に保持される。この圧は、さらに、その各ローターが、その各成分を、軟化させる、溶融させる、可塑化させる、融合させる、およびブレンドするのを助けるものではあるが、これらは、そのチャンバーおよびその各ローターに供給されている熱、およびそのミキサー中でその素材が動かされていることによって発生する剪断熱、によって達成されたものである。スクレーパーでこすり落とすことや他の成分を加えることのような、いくつかの操作は、予め指定した別の温度で行われた。一般的にはこの混合温度は、約245°Fから約285°Fに上がっていった。すべての成分の添加および混合が終了した時点で、その完成されたポリマーブレンドをそのミキサーから取り出した。
【0143】
一旦このポリマーブレンドが混合され終ると、それは、一般的には、予形成されてから発泡される。この加工操作にはおよそ270°Fに加熱されたカレンダーを用いて予形成体を調製した。この予形成体を2ロールミルでロールミル加工してシートを形成させた。一旦このポリマーブレンドが予形成され終ると、それは、フォームに膨張させるための高トン数プレス機に輸送された。
【0144】
この予形成体ポリマーブレンドを高トン数液圧プレス機のピクチャーフレーム型のモールドの中に挿入した。このモールドは、複数キャビティー高トン数液圧プレス機の多くあるよく見るタイプのモールドのうちの1つであった。一旦すべての予形成体がこのモールドの中に挿入され終ると、そのプレス機を閉じた。この予形成体ポリマーブレンドをおよそ2000psiの圧力下に置き、およそ50分間305°Fで加熱した。この加熱期間の終了点で一旦開放され終ると、この素材は、部分的に架橋され、部分的に膨張されていた。この部分的発泡したポリマーブレンドはこの後そのフォームを最終発泡させるための低トン数液圧プレス機に輸送された。
【0145】
この部分的架橋および膨張予形成体ポリマーブレンドを低トン数液圧プレス機の大きいモールドキャビティーの中に配置し、およそ900psi下の325°Fで15から60分間さらに加熱した。この加熱期間が終了した後、この素材を冷却させ、室温に常態化させた。一旦発泡され終ると、このポリマーブレンドは、さらに加工または切削できる状態にあった。
【0146】
【表1】

【0147】
本発明によるこの気泡したポリマー組成物を用いて得られた、このデータは、各物性のその望ましい組合せを例証している。
【0148】
(実施例2)
以下の表にあるその各サンプルを実施例1にあるようにして調製し、本発明による発泡したポリマー複合体のその特性を膨張ポリエチレンフォームと比較した。
【0149】
【表2】

【0150】
本発明によるこの気泡したポリマー複合体を用いて得られた、このデータは、各物性のその望ましい組合せを例証している。
【0151】
(実施例3)
以下の表にあるその各サンプルを実施例1にあるようにして調製した。ポリエチレンとSEBSとのブレンドを含有している本発明による発泡したポリマー組成物に対するその相互貫入型網目構造ポリマーの効果を例証するものである。
【0152】
【表3】

【0153】
本発明によるこの気泡したポリマー組成物を用いて得られた、このデータは、各物性のその望ましい組合せ(特にはその圧縮−変形値の増大)を例証している。
【0154】
(実施例4)
以下の表にあるその各サンプルを実施例1にあるようにして調製した。ポリエチレンとEPDMまたはEMAとのブレンドを含有している本発明による発泡したポリマー組成物に対するその相互貫入型網目構造ポリマーの効果を例証するものである。
【0155】
【表4】

【0156】
本発明によるこの気泡したポリマー組成物を用いて得られた、このデータは、各物性のその望ましい組合せ(特にはその圧縮−変形値の増大)を例証している。
【0157】
(実施例5)
以下の表にあるその各サンプルを実施例1にあるようにして調製した。本発明によるこの発泡したポリマー組成物のその各成分を変化させることの効果を例証するものである。
【0158】
【表5】

【0159】
本発明によるこの気泡したポリマー組成物を用いて得られた、このデータは、各物性のその望ましい組合せを例証している。
【0160】
(実施例6)
以下の表にあるその各サンプルを放射線架橋法を用いて調製した。この方法を用いて本発明によるこの発泡したポリマー組成物を製造することを例証するものである。
【0161】
以下の表にあるその各組成物を3ステップ法で調製した。その第1のステップでは、その樹脂ブレンドを、およそ135℃の温度で1時間当たりおよそ200ポンドの量でフラットダイスから押出した。その熱分解性化学発泡剤を含有している未発泡ポリマーブレンドの連続シートがおよそ.030インチの厚みおよびおよそ23インチの幅で製造された。その第2のステップでこのシートを、このシートを架橋させるその効果を有するおよそ11Mrad(rad=Radiation Absorbed Dose(放射線吸収線量);1radは0.01gray(Gy)に等しい)の線量で電子線照射に曝露した。その第3のステップでは、ホットエアーと赤外電気ヒーターの組合せを用いて加熱が調節されている発泡オーブンにこの連続シートを送り込んだ。このシートを、このシートを発泡させるその効果を有するその発泡剤のその分解温度以上の温度(およそ200℃)に加熱した。この発泡したシートは、およそ60インチの寸法およびおよそ.080インチの厚みを有していた。
【0162】
【表6】

【0163】
本発明によるこの気泡したポリマー組成物を用いて得られた、このデータは、各物性のその望ましい組合せを例証している。
【0164】
(実施例7)
以下の表にあるその各サンプルを実施例1にあるようにして調製した。本発明による発泡したポリマー組成物を製造することを例証するものである。
【0165】
【表7】

【0166】
本発明によるこの気泡したポリマー組成物を用いて得られた、このデータは、各物性のその望ましい組合せを例証している。
【0167】
本発明の特定の実施形態の具体的な詳細を参照しながら本発明を説明してきた。そのような詳細は、添付の特許請求の範囲にそのような詳細が含まれている限りを除いてはまたその範囲も除いては、本発明の範囲を限定するものと取るべきでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー組成物であって、
(a)第1のポリオレフィンポリマー、および
(b)相互貫入型網目構造ポリマーであって、
(i)前記相互貫入型網目構造ポリマーの全体重量を基準にして、10重量パーセントから80重量パーセントの量で存在する第2のポリオレフィンポリマー、および
(ii)前記相互貫入型網目構造ポリマーの全体重量を基準にして、20重量パーセントから90重量パーセントの量で存在するビニル芳香族ポリマー
を含む相互貫入型網目構造ポリマーであって、
前記ポリマー組成物における初期条件として、前記相互貫入型網目構造ポリマーは、実質的に架橋されていない、相互貫入型網目構造ポリマー
を含み、少なくとも部分的に架橋されている、ポリマー組成物。
【請求項2】
第1のポリオレフィンが、任意のC−C直鎖または分岐α−オレフィンのホモポリマー;エチレンとC−Cα−オレフィンとのコポリマー;C−C直鎖または分岐α−オレフィンと酢酸ビニルとのコポリマー;1種以上のC−C直鎖または分岐α−オレフィンと(メタ)アクリル酸のC−C直鎖または分岐アルキルエステルとのコポリマー;、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される1種以上のポリマーを含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
第1のポリオレフィンが、エチレンとエチル(メタ)アクリラートとのコポリマーを含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
第1のポリオレフィンが、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマーを含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
第1のポリオレフィンが、エチレンホモポリマー、エチレンとC−Cα−オレフィンとのコポリマー、エチレンとエチル(メタ)アクリラートとのコポリマー、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマー、およびこれらの組合せからなる群から選択される2種またはそれ以上のポリマーの組合せを含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
第1のポリオレフィンの、ASTM D 1238(190℃/2.16Kg)に従って測定されるメルトインデックスが、約0.1から約35g/10分である、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
第1のポリオレフィンの、ASTM D 1238(190℃/2.16Kg)に従って測定されるメルトインデックスが、1g/10分より低い、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
エラストマー性ポリマーを含む、請求項1のポリマー組成物。
【請求項9】
前記エラストマー性ポリマーが、天然ゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、ポリスルフィドゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ハロシリコーンゴム、ポリウレタンゴム、熱可塑性オレフィンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンコポリマー(EPDM)、ポリイソプレン、オキシラン系エラストマー、ビニル芳香族−アルキルジエンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、ポリハロプレン、フルオロポリマー、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項8のポリマー組成物。
【請求項10】
前記エラストマー性ポリマーが、エチレン−プロピレン−ジエンコポリマー、ビニル芳香族−アルキルジエンブロックコポリマー、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項8のポリマー組成物。
【請求項11】
前記相互貫入型網目構造ポリマーの前記第2のポリオレフィンポリマーが、第2のポリエチレンポリマーである、請求項1のポリマー組成物。
【請求項12】
前記第2のポリエチレンポリマーが、エチレン、および酢酸ビニル、C−C20α−オレフィン、(メタ)アクリル酸のC−C直鎖または分岐アルキルエステル;無水マレイン酸、マレイン酸のジアルキルエステル、ビニル芳香族モノマー、およびこれらの組合せからなる群から選択されるコモノマーから調製される、請求項11のポリマー組成物。
【請求項13】
前記コモノマーが、酢酸ビニル、C−Cα−オレフィン、(メタ)アクリル酸のC−C直鎖または分岐アルキルエステル、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項12のポリマー組成物。
【請求項14】
前記相互貫入型網目構造ポリマーの前記ビニル芳香族ポリマーがビニル芳香族モノマー組成物であって、
前記ビニル芳香族モノマー組成物の全体重量を基準にして、70重量パーセントから99重量パーセントの量で存在するビニル芳香族モノマー、および
前記ビニル芳香族モノマー組成物の全体重量を基準にして、1重量パーセントから30重量パーセントの量で存在するコモノマー
を含むビニル芳香族モノマー組成物から調製される、請求項1のポリマー組成物。
【請求項15】
前記ビニル芳香族モノマーが、スチレン、α−メチルスチレン、パラ−メチルスチレン、エチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンゼン、イソプロピルキシレン、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項14のポリマー組成物。
【請求項16】
前記ビニル芳香族モノマー組成物の前記コモノマーが、(メタ)アクリル酸のC−C直鎖または分岐アルキルエステルからなる群から選択される少なくとも1種のメンバーを含む、請求項14のポリマー組成物。
【請求項17】
前記ビニル芳香族モノマーがスチレンであり、前記コモノマーがブチルアクリラートである、請求項14に記載のポリマー組成物。
【請求項18】
前記ポリマー組成物の全体重量を基準にして、20から60重量パーセントの架橋密度を有する、請求項1のポリマー組成物。
【請求項19】
少なくとも1種の有機ペルオキシドから選択される架橋剤によって架橋されている、請求項1のポリマー組成物。
【請求項20】
前記有機ペルオキシドが、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(ペルオキシベンゾアート、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾイル)ヘキシン、1,1−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−シクロヘキサン、2,2’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、4,4’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブチルバレラート、t−ブチルペルベンゾアート、t−ブチルペルテレフタラート、t−ブチルペルオキシド、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項19のポリマー組成物。
【請求項21】
前記ポリマー組成物が高エネルギー放射源に曝露されることによって架橋されている、請求項1のポリマー組成物。
【請求項22】
前記第1のポリオレフィンポリマーが30から90重量パーセントの量で存在しており、前記相互貫入型網目構造ポリマーが10から70重量パーセントの量で存在する、請求項1のポリマー組成物(各場合、パーセント重量は前記ポリマー組成物の全体重量を基準にしている)。
【請求項23】
発泡性ポリマー組成物であって、
(a)第1のポリオレフィンポリマー、および
(b)相互貫入型網目構造ポリマーであって、
(i)前記相互貫入型網目構造ポリマーの全体重量を基準にして、10重量パーセントから80重量パーセントの量で存在する第2のポリオレフィンポリマー、および
(ii)前記相互貫入型網目構造ポリマーの全体重量を基準にして、20重量パーセントから90重量パーセントの量で存在するビニル芳香族ポリマー
を含む相互貫入型網目構造ポリマーであって、
前記発泡性ポリマー組成物における初期条件として、前記相互貫入型網目構造ポリマーは、実質的に架橋されていない、相互貫入型網目構造ポリマー、および
(c)物理膨張剤、化学膨張剤、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される膨張剤
を含み、少なくとも部分的に架橋されている、発泡性ポリマー組成物。
【請求項24】
前記物理膨張剤が、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項23の発泡性ポリマー組成物。
【請求項25】
前記物理膨張剤が、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロブタン、シクロペンタン、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項23の発泡性ポリマー組成物。
【請求項26】
前記膨張剤が、アゾ化合物、N−ニトロソ化合物、セミカルバジド、スルホニルヒドラジド、炭酸塩、重炭酸塩、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される前記化学膨張剤である、請求項23の発泡性ポリマー組成物。
【請求項27】
発泡したポリマー組成物であって、
(a)第1のポリオレフィンポリマー、および
(b)相互貫入型網目構造ポリマーであって、
(i)前記相互貫入型網目構造ポリマーの全体重量を基準にして、10重量パーセントから80重量パーセントの量で存在する第2のポリオレフィンポリマー、および
(ii)前記相互貫入型網目構造ポリマーの全体重量を基準にして、20重量パーセントから90重量パーセントの量で存在するビニル芳香族ポリマー
を含む相互貫入型網目構造ポリマーであって、
前記発泡したポリマー組成物における初期条件として、前記相互貫入型網目構造ポリマーは、実質的に架橋されていない、相互貫入型網目構造ポリマー
を含み、少なくとも部分的に架橋されており、ならびに16から400Kg/mの密度を有する、発泡したポリマー組成物。
【請求項28】
前記発泡したポリマー組成物の全体重量を基準にして、20から60重量パーセントの架橋密度を有する、請求項27の発泡したポリマー組成物。
【請求項29】
請求項27に記載の発泡したポリマー組成物を含む、製造物品。
【請求項30】
フィルム、シート、1つ以上の非ポリマー層を含む多層フィルム、1つ以上の非ポリマー層を含む多層シート、個人保護用物品、キャビン内部構造物、フロアーアンダーレイメント、音絶縁物品、おもちゃ、ヨガマット、ガスケット、および靴部品からなる群から選択される、請求項29に記載の製造物品。
【請求項31】
発泡したポリマー組成物であって、
(a)前記発泡したポリマー組成物を基準にして30から90重量パーセントの、エチレンホモポリマー、エチレンとC−Cα−オレフィンとのコポリマー、エチレンとエチル(メタ)アクリラートとのコポリマー、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマー、およびこれらの組合せからなる群から選択される第1のポリオレフィンポリマー、および
(b)前記発泡したポリマー組成物を基準にして10から70重量パーセントの相互貫入型網目構造ポリマーであって、
(i)前記相互貫入型網目構造ポリマーの重量を基準にして、10重量パーセントから80重量パーセントの量で存在する第2のポリオレフィンポリマー、および
(ii)前記相互貫入型網目構造ポリマーの重量を基準にして、20重量パーセントから90重量パーセントの量で存在するビニル芳香族ポリマー
を含む相互貫入型網目構造ポリマーであって、
前記第2のポリオレフィンが、エチレンホモポリマー、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマー、エチレンとC−Cα−オレフィンとのコポリマー、エチレンと(メタ)アクリル酸のC−C直鎖または分岐アルキルエステルとのコポリマー、およびこれらの組合せからなる群から選択され、ならびに
前記ビニル芳香族ポリマーが、ポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル酸のC−C直鎖または分岐アルキルエステルとのコポリマー、およびこれらの組合せからなる群から選択される
相互貫入型網目構造ポリマー
を含み、ならびに
前記発泡したポリマー組成物は少なくとも部分的に架橋されており、および前記発泡したポリマー組成物の重量を基準にして、20から60重量パーセントの架橋密度を有しており、ならびに
16から400Kg/mの密度を有する、
発泡したポリマー組成物。
【請求項32】
請求項31に記載の発泡したポリマー組成物を含む、製造物品。
【請求項33】
フィルム、シート、1つ以上の非ポリマー層を含む多層フィルム、1つ以上の非ポリマー層を含む多層シート、個人保護用物品、キャビン内部構造物、フロアーアンダーレイメント、音絶縁物品、おもちゃ、ヨガマット、ガスケット、および靴部品からなる群から選択される、請求項32に記載の製造物品。
【請求項34】
より短い時間で発泡したポリマー組成物を製造する方法であって、
(a)第1のポリオレフィンポリマー、
(b)相互貫入型網目構造ポリマーであって、
(i)前記相互貫入型網目構造ポリマーの全体重量を基準にして、10重量パーセントから80重量パーセントの量で存在する第2のポリオレフィンポリマー、および
(ii)前記相互貫入型網目構造ポリマーの全体重量を基準にして、20重量パーセントから90重量パーセントの量で存在するビニル芳香族ポリマー
を含む相互貫入型網目構造ポリマー、
(c)1種以上の架橋剤、および
(d)1種以上の発泡剤
を合わせることによってポリマーブレンドを形成させるステップ、
前記ポリマーブレンドを240から320°Fの温度および250から2,500psiにあるプレス機に20から90分間入れておくことによって第1の気泡したポリマー組成物を形成させるステップ、および
前記第1の気泡したポリマー組成物を300から380°Fの温度および250から1,500psiにあるプレス機に15から320分間入れておくことによって最終の気泡したポリマー組成物を形成させるステップ
を含み、
前記発泡したポリマー組成物を製造するのに必要とされるそのサイクルタイムが、前記相互貫入型網目構造ポリマーを除いては前記発泡したポリマー組成物と同じ各成分を含有している発泡した組成物を製造するのに必要とされるサイクルタイムよりも少なくとも5%少ない方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−500327(P2012−500327A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523979(P2011−523979)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/054409
【国際公開番号】WO2010/022208
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(503200752)ノバ・ケミカルズ・インコーポレイテツド (19)
【Fターム(参考)】