説明

架橋剤を含むカプセル化された顔料

顔料コア及びポリマーシェルを有するポリマーカプセル化顔料。当該シェルは、疎水性モノマー及び酸性モノマーを含み、特定の架橋剤も含む重合ポリマーである。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
インクジェット印刷が様々な媒体表面、特に紙上に画像を記録する人気の手段となったことにはいくつかの理由がある。それらの理由のいくつかは、プリンタのノイズが小さいこと、高速記録が可能であること、及びマルチカラー記録が可能であることを含む。加えて、これらの利点は、比較的低コストで消費者が得ることができる。インクジェット印刷において大きな改善はあったが、かかる改善に伴って、当分野の消費者からの要求、つまり高速、高解像度、フルカラー画像形成、より大きな安定化等への要求がますます大きくなっている。新規のインクジェットインク及び印刷エンジンが開発されているが、印刷表面又は基材との関係でインクを評価する際に、考慮すべきいくつかの慣例の性質がある。そのような性質は、表面上の画像のエッジ精度(edge acuity)及び光学濃度、光沢、インクの基材上での乾燥時間、基材への付着、インク滴の配置につき逸脱がないこと、全ての滴の存在、乾燥後の水及び他の溶剤に対するインクの耐性、長期保存安定性、及びペン材料の劣化又はノズル詰まりなしの長期信頼性を含む。上に列記した性質は、達成すべき価値ある目標を示すものではあるが、これらの性質の全てを満たすことに関しては困難がある。よって、高い画像品質で印刷することのできるインク配合物を開発する研究が続けられている。
【発明の概要】
【0002】
本発明を開示し記述する前に、本発明が、ここに開示の特定のプロセスステップ及び材料に限定されるものではないことを理解されたい。それというのは、そのようなプロセスステップ及び材料は、いくらかの変更が可能であるからである。また、ここで使用される用語が、特定の態様のみを記載することを目的として使用されていることも理解されたい。用語は、限定を意図したものではなく、それというのは、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれと同等のものによってのみ限定されることが意図されているからである。
【0003】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される限りでは、「a」、「an」及び「the」を付した単数形の語は、その内容が明確に別の事項を指示していない限り、複数を示すことに留意されたい。
【0004】
濃度、量及び他の数値データは、ここでは範囲の形式で表現され又は表され得る。このような範囲の形式は、便宜及び簡素化のために使用されており、よって、そのような範囲の限界として明確に示された数値のみを含むのではなく、その範囲内に含まれる個々の数値又は副次的な範囲の全てを、各数値及び副次的な範囲が明確に示されているかのように含むと柔軟に解釈されるべきであると理解されたい。例えば、「0.1重量%〜5重量%」の濃度範囲は、明確に示された0.1重量%〜5重量%の濃度だけでなく、その指示された範囲内の個々の濃度及び副次的な範囲をも含むと理解されるべきである。よって、この数値範囲には、1重量%、2重量%、3重量%及び4重量%といった個々の濃度、並びに0.1重量%〜1.5重量%、1重量%〜3重量%、2重量%〜4重量%、3重量%〜5重量%等といった副次的な範囲が含まれる。1つの数値のみを記載する範囲についても同じことが云える。例えば、「5重量%未満」とした範囲は、0重量%と5重量%との間の全ての値及び副次的範囲を含むと解釈されるべきである。さらに、このような解釈は、記載されている範囲の幅又は性質に関係なく適用されるべきである。ここで用いる限り、「有効量」とは、所望の効果を達成するのに十分な物質又は薬剤の少なくとも最小の量を指す。例えば、「インクビヒクル」の有効量は、インク組成物に必要な特性を維持しながら、インク組成物を形成するのに必要とされる少なくとも最小の量である。
【0005】
一般に、印刷されたインクの耐水性及び耐退色性を向上させる試みは、結局、インクジェットインクの着色剤として顔料の使用を増大させることとなっていた。顔料を含むインクを使用する場合、普通紙におけるスミア及びスマッジに対する耐性(ハイライタスミア、親指スマッジ)並びにパンフレット/写真用媒体におけるスミア及びスマッジに対する耐性(擦り及び引っ掻きに対する耐性)は、主たる課題であり、このような欠点を排除又は低減するための様々な解決策、例えば、ポリマーバインダをインクに添加することが試みられてきた。このようなバインダは、印刷媒体上において顔料粒子に結合した場合、粒子上に保護層を形成することによって耐性を増大させると予想される。顔料及びバインダが印刷媒体上で緊密に結合することを確実にするためには、過剰量のバインダが一般に必要とされ、これによりインク中の固体量が大きくなる。しかし、このような他の面では望ましい属性(例えば高い固体量、低いTg、疎水性)は全て、典型的には、水ベースのサーマル式インクジェットインクにおける噴射性の問題を招く。
【0006】
したがって、インク中の過剰量のバインダを必要とすることなく、インク粘性又は滴吐出に不利な影響を与えることなく、顔料粒子及びポリマーバインダの印刷媒体上での緊密な結合を達成するための性能を増大させることに関心が持たれている。このような関心は、顔料のポリマーによる一般的なカプセル化に繋がっている。しかし、このような背景に留意しても、そのようなカプセル化は、一般に、均一に及び/又は完全にカプセル化された顔料を提供しないことが認識されている。均一な及び/又は完全なカプセル化が明示されている文献もあるものの、これは、典型的には事実と異なる。そのような均一性及び/又は完全なカプセル化が得られないことによって、印刷性能は全体的に低下する。
【0007】
ポリマーシェル及び架橋剤の組合せによって顔料をカプセル化することによって、顔料の完全なカプセル化及び実質的な均一性が提供され得ることが見出されている。加えて、ポリマーシェル及び架橋剤のこのような組合せにより、それを含むインク組成物のより良好な印刷性性能が得られる。
【0008】
これに関連して、本開示は、インクジェットインク用途での使用のための、カプセル化された顔料、組成物、並びにポリマーシェル及び架橋剤を使用して顔料をカプセル化する方法に関する。本願の組成物又はそれに関連する方法について議論する際、その各議論は、それらの態様のそれぞれに適用可能であり、そのような態様との関連で明らかに議論されているか否かには関係ないと考えることができることに留意されたい。よって、例えば、ポリマーカプセル化された顔料においてモノマーについて議論されている場合、そのモノマーは、顔料をカプセル化する方法でも使用することができるし、その逆もあり得る。
【0009】
一態様では、本開示は、顔料コア及びポリマーシェルを含むポリマーでカプセル化された顔料を記載する。一態様では、ポリマーシェルは、疎水性モノマー及び酸性モノマーを含み、さらに架橋剤も含む重合ポリマーである。
【0010】
一態様では、架橋剤は、式I又はII
【0011】
【化1】

【0012】
〔式中、Xは、(C(O)O−R’−O(O)C)、(O−R’−O)、(NH−C(O)−R’−C(O)NH)、(C(O)NH−R’−NHC(O))、(NH−R’−NH)又は(CH−C(O)O−R’−OC(O)−CH)であり、R’は、アルケニル、アリーレン、アルキレン、アルケノキシ又はアルキノキシ基からなる群から選択される二価の連結基であり、RはH又はアルキル基である〕に従い選択される。
【0013】
加えて、一態様では、本開示は、顔料をカプセル化する方法であって、水性溶液中に顔料を分散させて顔料分散液を形成し、当該顔料分散液に疎水性モノマー及び酸性モノマーを添加し、当該顔料分散液に架橋剤を添加し、顔料の存在下でモノマーを重合してポリマーシェルとし、カプセル化顔料を形成するステップを含む方法を記載する。
【0014】
さらに、一態様では、本開示は、ここに記載のカプセル化顔料を含むインクジェットインクを提供する。別の態様では、ここに記載のカプセル化顔料は、色を付与する当分野で知られた任意の顔料であってよい。そのような顔料は、非限定的に、カーボンブラックを含むブラック、マゼンタ、イエロー、ブルー、シアン等を含む。加えて、前記顔料は、別個の分散剤、例えば界面活性剤又はポリマー分散剤を用いて使用してもよいし、且つ/又は自己分散性であってもよい、例えば、小分子又はポリマーにより修飾された顔料表面を有していてよい。別の態様では、本開示は、画像を印刷するためのインクジェットインク、つまり、インクビヒクルとインクビヒクル中に分散させたここに記載のポリマーカプセル化顔料とを含むインクジェットインクを記載する。
【0015】
一態様では、ポリマーカプセル化顔料は、インクジェットインク組成物、例えば、ピエゾ式インクジェットインク又はサーマル式インクジェットインク中で配合され、分散されていてよい。このポリマーカプセル化顔料は、両タイプのインクジェット機構から良好に噴射させることができるが、特に、サーマル式インクジェット用途のより厳しい要求にも適合する。
【0016】
ここで用いる限り、「カプセル化する」又は「カプセル化された」との語は、ポリマーシェルによる顔料の部分的なカプセル化から完全なカプセル化までを含む。これは、粒子の表面上でポリマーシェルを吸着又は反応させることによって行うことができる。
【0017】
本発明の一態様によれば、ポリマーカプセル化顔料は、直径30nm〜400nmのサイズを有する。別の態様では、ポリマーカプセル化顔料は、100nm〜250nmのサイズを有する。一態様では、ポリマーカプセル化顔料は、約0.90g/cm〜約3g/cmのバルク密度を有する。一態様では、ポリマーカプセル化された顔料は、室温で約1.5〜約3.0の表面誘電率を有する。一態様では、ポリマーカプセル化顔料は、約2.3〜約2.8の表面誘電率を有する。さらに、一態様では、このようなカプセル化顔料は、約−40℃〜約125℃の算出されたTgを有していてよい。一態様では、算出Tgは、約0℃〜約75℃であってよく、1つの局面では35℃〜約50℃であってよい。
【0018】
一態様では、架橋剤は、一般式I又は式II
【0019】
【化2】

【0020】
〔式中、Xは、(C(O)O−R’−O(O)C)、(O−R’−O)、(NH−C(O)−R’−C(O)NH)、(C(O)NH−R’−NHC(O))、(NH−R’−NH)又は(CH−C(O)O−R’−OC(O)−CH)であり、R’は、アルケニル、アリーレン、アルキレン、アルケノキシ又はアルキノキシ基からなる群から選択される二価の連結基であり、RはH又はアルキル基である〕を有する。一態様では、架橋剤の式(I)において、Xは、(C(O)O−R’−O(O)C)、(O−R’−O)、(NH−C(O)−R’−C(O)NH)又は(CH−C(O)O−R’−OC(O)−CH2)である。
【0021】
一態様では、R’は、置換アルケニル、アリーレン、アルキレン、アルケノキシ又はアルキノキシ基である。別の態様では、R’は、置換アルケニル、アリーレン又はアルキレン基である。別の態様では、R’は、2〜約20の炭素原子を含む、別の態様では4〜10の炭素原子を含む、別の態様では4〜8の炭素原子を含む置換アルケニル、アリーレン、アルキレン、アルケノキシ又はアルキノキシ基である。別の態様では、R’は、(CHCHO)、(CHCHOCHCH)、(CHCHO)、(CH又は(CHである。
【0022】
一態様では、RはH又はアルキル基である。一態様では、RはH又は低級アルキル基である。別の態様では、Rは1〜20の炭素原子を含むアルキル基である。別の態様では、Rは1〜10の炭素原子を含むアルキル基であり、別の態様では、Rは1〜約4の炭素原子を含むアルキル基である。別の態様では、RはH又はCHである。
【0023】
別の態様では、架橋剤は、エチレングリコールジメタクリレート、ジ(エチレングリコール)ジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ビスフェノールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、N、N’−エチレンビス(アクリルアミド)、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、ジアリルマレエート、ジアリルフタレート、1,3−ジビニルベンゼン及び1,4−ジビニルベンゼンを含む群から選択される。別の態様では、架橋剤は、エチレングリコール、ジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリ又はテトラアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレートを含む群から選択される。別の態様では、架橋剤は、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリルアミド、ジビニルベンゼン、又は重合可能な二官能性若しくは多官能性基を有する他のモノマーを含む群から選択される。
【0024】
理論に縛られることなく、当該架橋剤は、サーマル式インクジェット印刷の際に生じる高い熱剪断条件の下でのカプセル化粒子の完全性の維持を、室温被膜形成能に悪い影響を与えることなく、助成することができると考えられる。
【0025】
「アルキル」という語は、ここで用いる限り、例えば、1〜約50の炭素原子、又は1〜約40の炭素原子、又は1〜約30の炭素原子を含み得る分枝、非分枝又は環式の飽和炭化水素基を意味する。アルキルは、非限定的に、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、オクチル及びデシル、並びに例えばシクロペンチル及びシクロヘキシルのようなシクロアルキル基を含む。「低級アルキル」という語は、1〜6の炭素原子を有するアルキル基を意味する。「高級アルキル」という語は、6より多い炭素原子、例えば、7〜約50の炭素原子、又は7〜約40の炭素原子、又は7〜約30以上の炭素原子を有するアルキル基を意味する。ここで用いる限り、「置換アルキル」という語は、1つ以上の置換基で置換されたアルキルを意味する。「ヘテロアルキル」という語は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置き換えられたアルキルを意味する。別途記載がなければ、「アルキル」という語は、未置換アルキル、置換アルキル、低級アルキル及びヘテロアルキルを含む。
【0026】
ここで用いる限り、「アルケニル」という語は、2〜約50炭素原子、又は2〜約30炭素原子、又は2〜約20以上の炭素原子の、少なくとも1つの二重結合を含む直鎖、分枝又は環式の炭化水素基、例えば、エテニル、n−プロペニル、イソプロペニル、n−ブテニル、イソブテニル、オクテニル、デセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、エイコセニル及びテトラコセニルを含む。「低級アルケニル」という語は、2〜6の炭素原子を有するアルケニルを意味する。「高級アルケニル」という語は、6以上の炭素原子、例えば、7〜約50の炭素原子、又は7〜約40の炭素原子、又は7〜約30以上の炭素原子を有するアルケニル基を意味する。「置換アルケニル」という語は、1つ以上の置換基で置換されたアルケニル又はシクロアルケニルを意味する。「ヘテロアルケニル」という語は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置き換えられたアルケニル又はシクロアルケニルを意味する。別途指示がなければ、「アルケニル」という語は、未置換アルケニル、置換アルケニル、低級アルケニル及びヘテロアルケニルを含む。
【0027】
「アルキレン」という語は、ここで用いる限り、2つの水素原子がアルキル基における位置で置換された、1〜約50炭素原子、又は1〜約30炭素原子、又は1〜約20炭素原子を有する直鎖、分子又は環式のアルキル基を意味する。よって、アルキレン結合は、例えば−CHCH−、及び−CHCHCH−、並びに1つ以上の水素が非水素置換基で置き換えられたその置換体を含む。「低級アルキレン」という語は、2〜6の炭素原子を含むアルキレン基を指す。「高級アルキレン」という語は、6以上の炭素原子、例えば7〜約50の炭素原子、又は7〜約40の炭素原子、又は7〜約30以上の炭素原子を有するアルキレン基を意味する。ここで用いる限り、「置換アルキレン」という語は、1つ以上の置換基で置換されたアルキレンを意味する。ここで用いる限り、「ヘテロアルキレン」という語は、1つ以上のメチレン単位がヘテロ原子で置き換えられたアルキレンを意味する。別途指示がなければ、「アルキレン」という語は、ヘテロアルキレンを含む。
【0028】
「アルケノキシ」という語は、ここで用いる限り、1〜約50の炭素原子、又は1〜約40の炭素原子、又は1〜約30の炭素原子を有する、単一の末端エーテル結合によって別の化学的構造に結合されたアルケニル基を意味する。ここで用いる限り、「低級アルケノキシ」という語は、アルケニル基が2〜6の炭素原子を含むアルケノキシ基を意味し、例えば、エテノキシ、n−プロペノキシ、イソプロペノキシ及びt−ブテノキシを含む。「高級アルケノキシ」という語は、アルケニル基が、6以上の炭素原子、例えば、7〜約50炭素原子、又は7〜約40炭素原子、又は7〜約30以上の炭素原子を有するアルケノキシ基を意味する。ここで用いる限り、「置換アルケノキシ」という語は、1つ以上の置換基で置換されたアルケノキシを意味する。「ヘテロアルケノキシ」という語は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置き換えられたアルケノキシを意味する。別途指示がなければ、「アルケノキシ」という語は、未置換アルケノキシ、置換アルケノキシ、低級アルケノキシ、高級アルケノキシ及びヘテロアルケノキシを含む。
【0029】
「アルキノキシ」という語は、ここで用いる限り、1〜約50炭素原子、又は1〜約40の炭素原子、又は1〜約30の炭素原子を有する、単一の末端エーテル結合によって別の化学的な構造に結合されたアルキニル基を意味する。ここで用いる限り、「低級アルキノキシ」という語は、アルキニル基が2〜6の炭素原子を有するアルキノキシ基を意味し、例えば、エチノキシ、n−プロピノキシ、イソプロピノキシ及びt−ブチノキシを含む。「高級アルキノキシ」という語は、アルキニル基が6以上の炭素原子を有するアルキノキシ基を意味し、例えば、7〜約50の炭素原子、又は7〜約40の炭素原子、又は7〜約30以上の炭素原子を含む。ここで用いる限り、「置換アルキノキシ」という語は、1つ以上の置換基で置換されたアルキノキシを意味する。「ヘテロアルキノキシ」という語は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置き換えられたアルキノキシを意味する。別途指示がなければ、「アルキノキシ」という語は、未置換アルキノキシ、置換アルキノキシ、低級アルキノキシ、高級アルキノキシ及びヘテロアルキノキシを含む。
【0030】
「アリーレン」という語は、二価の芳香族環系を含む基、つまり二価のアリール基を意味する。「アリール」という語は、単一の芳香族環、又は融合した、直接的に結合した若しくは間接的に結合した複数の芳香族環(例えば、異なる芳香族環が、メチレン又はエチレン部分のような共通の基に結合している)を含む基を意味する。ここに記載のアリール基は、非限定的に、5〜約50の炭素原子、又は5〜約40の炭素原子、又は5〜30以上の炭素原子を含む。アリール基は、例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルアミン及びベンゾフェノンを含む。「置換アリール」という語は、1つ以上の置換基を含むアリール基を指す。「ヘテロアリール」という語は、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置き換えられているアリール基を意味する。別途指示がなければ、「アリール」という語は、未置換アリール、置換アリール及びヘテロアリールを含む。
【0031】
「置換された」という語は、化合物又は部分の水素原子が、置換基と呼ばれる基の一部である他の原子、例えば炭素原子又はヘテロ原子によって置き換えられていることを意味する。置換基は、例えば、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アルケニル、アルケノキシ、アルキニル、アルキノキシ、チオアルキル、チオアルケニル、チオアルキニル及びチオアリール基を含む。
【0032】
「ヘテロ原子」という語は、ここで用いる限り、窒素、酸素、リン又は硫黄を意味する。「ハロ」及び「ハロゲン」という語は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨード置換基を意味する。「環式」という語は、脂環式又は芳香族環構造を意味し、それは、置換されていてもされていなくてもよく、1つ以上のヘテロ原子を含んでいても含んでいなくてもよい。環式構造は、単環式構造、二環式構造及び多環式構造を含む。「脂環式」という語は、芳香族の環部分に対して、脂肪族の環部分を指すために使用される。
【0033】
「芳香族環系」又は「芳香族」という語は、ここで用いる限り、単環式の環、二環式の環系及び多環式の環系であって、単環式の環、二環式の環系又は多環式の環系の少なくとも一部が芳香族である(例えばπ共役を示す)ものを指す。芳香族環系の単環式の環、二環式の環系及び多環式の環系は、炭素環式環及び/又は複素環式環を含む。「炭素環式環」という語は、各環の原子が炭素である環を指す。「複素環式環」という語は、少なくとも1つの環原子が炭素でなく、1〜4ヘテロ原子を含む環を指す。
【0034】
「少なくとも」という語は、ここで用いる限り、特定の事項の数が、記載の数以上であり得ることを意味する。「約」という語は、ここで用いる限り、記載の数が、±10%であり得ることを意味し、例えば、「約5」は、4.5〜5.5の範囲を意味する。「…と…との間」という表現は、例えば「約2と約50との間」というように、2つの数に関連して用いるならば、示されているその2つの数も含む。さらに、ここに示す例は、単なる例示を意図しているにすぎず、議論を目的として提示されているのであり、限定のためではない。
【0035】
一態様では、本開示は、顔料コア及びポリマーシェルを含むポリマーカプセル化された顔料を記載する。ここで用いる限り、「顔料」は、一般に、有機の及び無機の顔料着色剤、磁気粒子、アルミナ、シリカ、及び/又は他のセラミックス、有機金属又は他の不透明粒子を含み、そのような粒子が色を付与するか否かは問わない。よって、ここでの説明は、顔料着色剤の使用を主として例示しているが、「顔料」という語は、より一般に、顔料着色剤を記載するのみならず、他の顔料、例えば有機金属、フェライト、セラミックス等を記載するために用いることができる。しかし、一態様では、顔料は顔料着色剤である。一態様では、顔料は有機の又は無機の顔料着色剤である。
【0036】
一態様では、顔料は、本発明の態様によるポリマーカプセル化顔料と共に液体ビヒクル中に懸濁された又は溶解された色を付与する粒子及び他の物質も含み得る。使用可能な顔料は、自己分散性顔料、分散剤分散顔料、未処理の顔料等を含む。それらに含まれる自己分散性顔料は、電荷又はポリマー類によって化学的に表面改質されていてよい。この化学的な改質は、液体ビヒクル中での顔料の分散及び/又はその実質的な維持を助成する。この顔料は、分散剤分散顔料、つまり、多くの場合、物理的なコーティングを利用して液体ビヒクル中での顔料の分散及び/又はその実質的な維持を助成させる、液体ビヒクル及び/又は顔料中の分散剤(ポリマー、オリゴマー又は界面活性剤であってよい)を利用する顔料であってよい。使用可能な他の粒子に関して、その例は、半金属及び金属粒子、半金属酸化物及び金属酸化物粒子、分散性シリケート及びガラス粒子、強磁性体及び他の磁性粒子を含み、そのような粒子が色を付与するか否かは問わない。
【0037】
一態様では、顔料は、分散媒体に応じて、約5nm〜約10μmのサイズである。一態様では、顔料は、水中の分散液については500nm未満のサイズである。各顔料のサイズ形成は、材料に応じて、剪断機構によって行うことができ、例えば、ミル加工、マイクロ流動化(microfluidization、微少溶液操作)及び音波処理(sonification)を含む。
【0038】
一態様では、顔料粒子は、媒体、例えば水中に分散されている。このことは、媒体及び界面活性剤の存在下で顔料を剪断し、ポリマー又は他の分散剤を分散させることによって達成される。必要とされる分散剤の量と種類は、通常、剪断プロセス、媒体及び顔料材料によって決められる。
【0039】
任意の色又は種類の顔料を使用することができるが、本発明の態様によれば、着色有機顔料又はブラック炭素顔料が例示されている。炭素顔料は、許容可能な光学濃度及び印刷物の性質を提供するならば、ほぼ任意の市販の炭素顔料であってよい。本発明での使用に適した炭素顔料は、非限定的に、カーボンブラック、グラファイト、ガラス状炭素、木炭、及びこれらの組合せを含む。
【0040】
本発明の一局面では、炭素顔料はカーボンブラック顔料である。このようなカーボンブラック顔料は様々な公知の方法、例えば、チャネル法、接触法、ファーネス法、アセチレン法、又はサーマル法で製造することができ、Cabot Corporation、Columbian Chemicals Company、Degussa AG及びE.I. du Pont de Nemours and Companyのような製造者から市販されている。適切な市販のカーボンブラックの例は、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA8、No.2200B、Raven 1255、Regal 400R、Regal 330R、Regal 660R、Mogul L、Color Black FW1、Color Black FW18、Color Black S170、Color Black S150、Printex 35及びPrintex Uを含む。他の適切なカーボンブラック顔料は、非限定的に、Cabotの顔料、例えばMonarch(登録商標)1400、Monarch(登録商標)900、Monarch(登録商標)880、Monarch(登録商標)800、CAB-O-JET(登録商標)200;Columbianの顔料、例えばRaven(登録商標)7000、Raven(登録商標)5750、Raven(登録商標)5250及びRaven(登録商標)3500;Degussaの顔料、例えばColor BlackFW200、Raven(登録商標)FW1、Special Black 6、Special Black 4A、Special Black 4、Phntex(登録商標)U、及びPrintex(登録商標)140Vを含む。
【0041】
別態様では、本発明の態様によれば、有機の着色顔料は、ポリマーでカプセル化されていてもよい。本発明の態様による使用に適した例示的な顔料は、アゾ顔料、例えばアゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、及び縮合アゾ顔料;並びに多環式顔料、例えばフタロシアニン顔料;キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、及びアントラキノン顔料を含む。使用に適した特定の顔料は、Pigment Blue 15:3、Pigment Green 36、Pigment Blue 15:6、Pigment Red 177、及び/又はPigment Red 208(DIC社製);Pigment Red 168、Pigment Violet 23、Pigment Yellow 155及び/又はPigment Violet 19(Clariant社製);並びにPigment Red 254(Ciba社製)を含む。上記及び他の製造業者から入手できる使用可能な他の顔料の例は、C.I. Pigment Yellow 1、C.I. Pigment Yellow 2、C.I. Pigment Yellow 3、C.I. Pigment Yellow 13、C.I. Pigment Yellow 16、Pigment Yellow 138、Pigment Yellow 128及びこれらに類するもの;C.I. Pigment Red 5、C.I. Pigment Red 7、C.I. Pigment Red 12、C.I. Pigment Red 57(Ca)及びこれらに類するもの;C.I. Pigment Blue 1、C.I. Pigment Blue 2、C.I. Pigment Blue 16、C.I. Pigment Blue 22、C.I. Vat Blue 4、C.I. Vat Blue 6、及びこれらに類するもの;カーボンブラック顔料;並びに本発明のために配合された場合にその性能特性を満足し、本発明の範囲内にあると考えられる他の顔料を含む。適切な顔料を提供する顔料の製造業者は、そのいくつかは前記されているものであるが、DIC、Cabot、Orient、BASF、Ciba、Heubach及びClariantを含む。
【0042】
一態様では、本開示は、顔料コア及びポリマーシェルを含むポリマーカプセル化顔料を記載する。一態様では、ポリマーシェルは、疎水性モノマー及び酸性モノマーを含む重合ポリマーである。こに記載のモノマーは、ポリマーを形成することのできる任意の数の任意の化合物であってよい。
【0043】
「ポリマーシェル」という語は、ここでは、顔料粒子の表面上に堆積された又は付着された、又は別態様では、顔料の表面上に堆積された中間の橋渡し層(bridging layer)に付着したポリマー又はラテックス材料の層を意味する。このポリマーシェルは、顔料粒子上に、又は顔料粒子上に堆積された橋渡し層上に付着又は堆積していてよい。環境に対し感応性の大きい橋渡し層を使用する場合、ポリマーカプセルシェル又は層を形成してしまえば、橋渡し層の形成に関連してもたらされた環境条件の変化は大抵はほとんど重要ではなく、ポリマーカプセルシェルが橋渡し層の実質的な再溶解を防止するように作用する。本発明の態様によれば、ポリマーカプセルシェルは、モノマー及びそこに溶解されたポリマーの混合物として適用され、そして、顔料の表面(又は橋渡し層)上においてモノマーが重合されると、既に存在していたポリマー及び新たに重合されたモノマーがポリマーカプセルシェルを形成することに留意されたい。顔料粒子をコーティングするためのモノマー混合物中に混合され又は溶解された「ポリマー」と記載した場合、この語は、得られるカプセル厚みを増大させるのに十分であるようモノマー混合物の粘性を増大させる任意のポリマーの又はオリゴマーの材料を含む。ポリマーシェルの厚みは、任意の適切な厚みであってよい。しかし、一態様では、ポリマーシェルは、約2nm〜約100nmの平均の厚みを有する。別の態様では、ポリマーシェルは、約20nm〜約80nmの平均の厚みを有する。
【0044】
適切なポリマーは、機能する任意の重量平均分子量を有していてよいが、一態様では、平均分子量は、5、000Mw〜2、000、000Mwである。別の態様では、平均分子量は、25、000Mw〜500、000Mwである。
【0045】
さらに、一態様では、ポリマーカプセル化された顔料固体は、1〜220mgKOH/g、別の態様では5〜150mgKOH/g、又は別の態様では50〜100mgKOH/gの酸価を有するコポリマーによってカプセル化されていてよい。
【0046】
一態様では、ポリマーカプセル化された顔料は、顔料コア及びポリマーシェルを含み、そのようなポリマーシェルは、疎水性モノマー及び酸性モノマーを含む重合ポリマーである。
【0047】
一態様では、カプセル化顔料のポリマーシェルの疎水性モノマーは、ポリマーシェルを形成するモノマーの全量の99重量%までの量で存在する。別の態様では、カプセル化顔料のポリマーシェルの疎水性モノマーは、ポリマーシェルを形成するモノマーの全量の約70重量%〜約98重量%の量で存在する。別の態様では、ポリマーシェルの疎水性モノマーは、ポリマーシェルを形成するモノマーの全量の約80重量%〜約95重量%で存在する。
【0048】
一態様では、カプセル化された顔料のポリマーシェルの疎水性モノマーは、疎水性アクリルモノマーである。
【0049】
適した疎水性モノマーは、一般に、ラテックスを合成するラテックスの分野において知られた、一般に水により溶解しないモノマーを含む。一態様では、疎水性モノマーは、フリーラジカル重合可能なビニル基を含む。別の態様では、疎水性モノマーは、本質的に、アクリレート、メタクリレート又は他のビニル含有モノマー、例えばスチレンからなる。別の態様では、疎水性モノマーは、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ビニルアセテート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、オクタデシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、スチレン、メチルスチレン、ビニルベンジルクロライド、ブチルビニルエーテル、並びにこれらの組合せを含む群から選択される。別の態様では、疎水性モノマーは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートラウリルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート及びスチレンを含む群から選択される。
【0050】
一態様では、カプセル化された顔料のポリマーシェルの酸性モノマーは、ポリマーシェルを形成する全モノマーの約0.5重量%〜約20重量%の量で存在する。別の態様では、ポリマーシェルの酸性モノマーは、ポリマーシェルを形成する全モノマーの約1重量%〜約10重量%で存在し、別の態様では、ポリマーシェルを形成する全モノマーの約3重量%〜約6重量%で存在する。
【0051】
一態様では、適した酸性モノマーの非限定的な例は、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリロイルオキシエチルスクシネート又はホスフェート、イタコン酸、マレイン酸、ビニル安息香酸、スチレンスルホン酸ナトリウム塩、若しくはそれらの誘導体、又はそれらの組合せを含む。別の態様では、少なくとも1つの酸性モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル安息香酸及びメタクリロイルオキシエチルスクシネートからなる群から選択される。
【0052】
理論に縛られることなく、酸性モノマーは、有利には、カプセル化顔料のポリマーシェルに安定性を提供することができ、それにより、水中でカプセル化顔料が安定となると考えられる。より詳細には、酸性モノマーは、ポリマーシェルに電荷を組み込み、このことがポリマーシェルの安定性に寄与する。粒子の電荷は、カプセル化顔料が構築される媒体のpHを上昇させて酸の−COOH官能基を塩の形態に変換にすることによって、さらに強化させることができる。一態様では、安定性を増大させることができる他のモノマーが、カプセル化顔料のポリマーシェル中に存在していてよく、それは、アクリルアミド及びビニルピロリドンを含む。
【0053】
別の態様では、モノマー混合物を、カプセル化顔料のポリマーシェルのガラス転移温度(Tg)を調節し、よって、印刷されたコーティング組成物の有効性を調節するよう使用することができる。一態様では、ポリマーシェルの転移温度(Tg)は、約−40℃〜約+125℃である。別の態様では、ポリマーシェルの転移温度(Tg)は約0℃〜約+75℃であり、別の態様では約35℃〜約50℃である。
【0054】
ここで用いる限り、Tgは、Foxの式:すなわち、コポリマーTg=1/(Wa/(TgA)+Wb(TgB)+...)、〔式中、Wa=モノマーAのコポリマー中の重量分率であり、TgAが、モノマーAのホモポリマーでのTg値、Wb=モノマーBの重量分率であり、TgBがモノマーBのホモポリマーのTg値等である〕によって計算されるガラス転移温度である。
【0055】
別の態様では、本開示は、顔料をカプセル化する方法に関する。そのような方法は、水溶液中に顔料を分散させて顔料分散液を形成し、顔料分散液にモノマーを添加し、顔料分散液に架橋剤を添加し、顔料の存在下でモノマーを重合して、カプセル化顔料を形成するステップを含む。顔料をカプセル化する本方法は、一般に、顔料を分散させ、顔料分散液にモノマーを添加し、顔料分散液に架橋剤に添加し、モノマーを重合して、カプセル化された顔料を形成することを含むが、当業者は、本願のカプセル化顔料を提供するのであれば本方法を変更できることを理解されたい。
【0056】
一態様では、ここに記載のモノマーは、顔料の存在下でカプセルポリマーを形成するようにインサイトゥで重合でき、それにより、顔料がカプセルポリマーによってカプセル化される。加えて、一態様では、混合物は、約0.25:1〜約5:1のモノマー対顔料比を有していてよい。一態様では、モノマー対顔料比は約0.5:1〜約3:1であってよい。別の態様では、モノマー対顔料比は約1:1〜約3:1であってよい。
【0057】
プロセスステップを特定の順序で記載してはいるが、このステップは、具体的に記載がなければ、このような順序に限定されるものではなく、ここに記載の態様も、そのような任意の順序に限定されることを意味してはない。例えば、架橋剤を添加するステップが、モノマーを添加するステップの後に記載されている。しかし、このステップは、任意の順序で行うことができるし、組み合わせることもできる。例えば、モノマーを添加すること及び架橋剤を添加することは同時に行うことができるし、モノマーを添加すること及び架橋剤試薬を添加することは連続して行うことができる。加えて、ここに記載の本方法は、さらに、架橋剤を、顔料分散液に組み込む前に準備するステップを含む。
【0058】
加えて、一態様では、本方法は、完全にカプセル化された顔料及び/又は実質的に均一なカプセル化された顔料を提供することができる。一態様では、重合するステップは、界面活性剤なしで行うことができる。
【0059】
別態様では、上記方法はさらに、重合の前に界面活性剤を添加することを含む。別の態様では、上記方法は、剪断工程を用いずに行うことができる。別態様では、上記方法はさらに剪断工程を含むことができる。
【0060】
さらに、本方法は、特定のポリマー構造を提供するために使用することができる。例えば、一態様では、ここに記載の顔料をカプセル化するポリマーは、ブロックコポリマー構造を有する。加えて、別の態様では、顔料をカプセル化するポリマーは、ブロック構造を有していてよく、1つの局面では、ランダム構造を有していてよい。コポリマーと記載された場合、そのようなコポリマーは、1つ以上のモノマーを有する任意のポリマーを含む。
【0061】
よって、一態様では、カプセル化された顔料粒子は、界面活性剤の添加によってさらに安定化される。例えば、一態様では、カプセル化顔料粒子は、さらに、重合プロセスにおいて反応性の界面活性剤を含む。一態様では、反応性界面活性剤は、カプセル化顔料粒子の表面に共有結合することができる疎水性部分を含む。加えて、そのような反応性界面活性剤は、適切な有機基、例えばビニル基による重合の際に組み込むことができ、カプセル化顔料の表面が、反応性界面活性剤を含むようになる。
【0062】
一態様では、反応性界面活性剤は、カプセル化顔料粒子を水性媒体中で分散及び/又は安定化することを可能にする親水性基を含む。親水性基は、アニオン性、カチオン性、非イオン性、又は両性イオン性であってよい。例えば、適したアニオン性基は、スルホネート、ホスホネート及びカルボキシレート基を含み、適したカチオン性基は、アミン基を含み、適した非イオン性基は、ポリエチレン酸化物、イミダゾール及びアミド基を含む。例えば、一態様では、反応性界面活性剤は、官能化されたエチレングリコールアクリレートであり、それには、Rhodia社から入手可能な界面活性剤のSipomer(登録商標)のシリーズが含まれる。
【0063】
一態様では、本発明のポリマーシェルは、モノマーを共に混合し、モノマー混合物を形成することによって調製することができる。一態様では、水に不溶な開始剤がモノマー混合物に添加され、相分離を防ぐ。別の態様では、取り扱いを容易にするために、水に不溶な開始剤を、重合ステップを開始する直前に混合物に添加する。
【0064】
一態様では、顔料の表面上でのポリマーの生成は、ポリマー及びモノマーコートされた顔料と接触する開始剤を添加することによって、又は熱感応性開始剤を非連続相へ添加し、その開始剤を、形成後にコート粒子を加熱することによって活性化することによって行うことができる。いくつかの態様では、橋渡し層が、顔料コアとポリマーシェルとの間に配置されていてよい。一態様では、モノマー混合物は、高い剪断の下で、所望の粒径を構成する。高い剪断条件は、音波処理及び/又はマイクロ流動化を含む任意の公知の方法によって得られる。この混合物は、モノマーを重合するためのより高い温度に加熱される。
【0065】
本発明の教示は、インク中へのポリマーカプセル化顔料の組込み及びコーティング配合並びにその使用も含む。ここでは、サーマル式インクジェット印刷における用途に重きをおいてはいるものの、本発明で教示されたカプセル化の化学的機構及びプロセスは、顔料着色剤又は他の粒子が基材上へと適用され又は画像形成される他の印刷及びコーティング技術に等しく適用可能であると認識される。しかし、サーマル式インクジェット技術の議論が提供されており、それは、サーマル式インクジェット技術が、効果的な噴射のためにより厳しい要求がなされることが知られているからである。よって、本発明の教示は、一般に、顔料のポリマーカプセル化が望ましい任意の粒子の用途に応用可能である。したがって、基本的な教示は、モノマー混合物の特定の組成、カプセルの特性、粒子の定義、分散液媒体又は適用に縛られることはない。
【0066】
よって、一態様では、本開示は、上で定義したようなインクビヒクル及びポリマーカプセル化顔料を含むインクジェットインクに関する。ここで用いる限り、「液体ビヒクル」又は「インクビヒクル」は、本開示のカプセル化顔料がその中で分散されて、本発明の態様によるインクジェットインクを形成する流体を指す。多くの液体ビヒクル及びビヒクル成分は当分野で知られている。典型的なインクビヒクルは、共溶剤、緩衝剤、殺生物剤、金属イオン封鎖剤、増粘剤、及び水のような様々な異なる薬剤の混合物を含み得る。
【0067】
一態様では、上で定義したポリマーカプセル化顔料は、インク組成物の全重量の約0.5重量%〜約40重量%の量でインク組成物中に存在する。別の態様では、カプセル化された顔料は、インク組成物の全重量の約1重量%〜約20重量%の量で、一態様では、約2重量%〜約6重量%の量でインク組成物中に存在する。
【0068】
一態様では、ここに記載のポリマーカプセル化顔料と共に使用することができる液体ビヒクルの配合は水を含み、別の態様では、液体ビヒクルの配合は、約5重量%〜約50重量%の全量で存在する1つ以上の共溶剤を含み得る。
【0069】
一態様では、1つ以上の非イオン性、カチオン性、及び/又はアニオン性の界面活性剤が存在していてよい。このような界面活性剤は、0重量%〜5重量%で存在する。配合の残量は、純水又は当分野で知られた他のビヒクル成分、例えば殺生物剤、増粘剤、pH調整のための材料、金属イオン封鎖剤、防腐剤及びこれらに類するものであってよい。一態様では、液体ビヒクルは主として水である。
【0070】
使用することができる共溶剤の類の非限定的な例は、脂肪族アルコール、芳香族アルコール、ジオール、グリコールエーテル、ポリグリコールエーテル、カプロラクタム、ホルムアミド、アセトアミド、及び長鎖アルコールを含み得る。そのような化合物の例は、第1級脂肪族アルコール、第2級脂肪族アルコール、1,2−アルコール、1,3−アルコール、1,5−アルコール、エチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルエーテルの高次の同族体、N−アルキルカプロラクタム、未置換カプロラクタム、置換及び未置換ホルムアミドの両方、置換及び未置換アセトアミドの両方、並びにこれらに類するものを含み得る。使用可能な溶剤の特定の例は、トリメチロールプロパン、2−ピロリジノン、及び1,5−ペンタンジオールを含む。
【0071】
1つ以上の多くの界面活性剤も、インク配合物の当業者に知られているように、使用することができ、それは、アルキルポリエチレン酸化物、アルキルフェニルポリエチレン酸化物、ポリエチレン酸化物ブロックコポリマー、アセチレン性ポリエチレン酸化物、ポリエチレン酸化物(ジ)エステル、ポリエチレン酸化物アミン、プロトン化したポリエチレン酸化物アミン、プロトン化したポリエチレン酸化物アミド、ジメチコンコポリオール、置換されたアミン酸化物、及びこれらに類するものを含む。一態様では、界面活性剤は、0重量%〜5重量%の範囲で添加することができる。一態様では、本発明のインクは、約1.5cps〜約6cpsの粘性を有していてよい。
【0072】
本発明の配合物に矛盾することなく、特定の用途のためのインク組成物の特性を最適化するために、様々な他の添加物を使用することができる。これらの添加物の例は、有害な微生物の成長を阻止するために添加することができる。これらの添加物は、殺生物剤、殺菌剤、及びインク配合物において通常使用される他の微生物用薬剤であってよい。適した微生物用薬剤は、非限定的に、Nuosept(Nudex, Inc.)、Ucarcide(Unioncarbide Corp.)、Vancide(RT. Vanderbilt Co.)、Proxel(ICI America)、及びこれらの組合せを含む。
【0073】
一態様では、金属イオン封鎖剤、例えばEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を、重金属不純物の不都合な作用を除くために含めることができ、また緩衝剤溶液を、インクのpHを調整するために使用することができる。例えば、0重量%〜2重量%の量で使用することができる。一態様では、増粘剤及び緩衝剤並びに当業者に知られた他の添加剤も、所望に応じてインクの特性を変化させるために存在していてよい。このような添加剤は、0重量%〜20重量%で存在していてよい。
【0074】
一態様では、開示されたインクジェットインクは、画像を印刷するために使用することができる。したがって、画像を印刷する方法が、基材上にインクジェットインクをサーマル式にインクジェットして画像を形成することを含んでいてよい。ここで言及されている媒体基材は、印刷分野で知られている又は使用されている任意のタイプであってよい。特定の態様では、媒体基材が、ポリマーベースの膨潤性コーティング又は無機粒子ベースのコーティングでコートされている。
【0075】
一態様では、ここに記載され且つ上記態様によるポリマーカプセル化顔料を含むインク組成物の使用は、いくつかの利点をもたらすと考えられる。例えば、ポリマーカプセル化顔料は、溶液中の全粒子の数及びその組み合わせられた表面積を低下させる傾向を有し、顔料懸濁液、例えばインク粘性がそれにより低減され得る。カプセル化は、基材上に適用された場合、例えばインクが媒体基材上に印刷された場合の顔料の分離も阻止し、それにより、耐性及び光学濃度がより最適化される。さらに、ここに記載のポリマーカプセル化顔料を含むインク組成物は、デキャップ性能の能力増大も可能にすると考えられる。「デキャップ」という語は、ここで使用する限り、長期にわたる空気への曝露後にプリントヘッドから容易に吐出されるインクジェットインクの能力を意味する。インク組成物の全ての材料が有効量で存在し、それにより、その組合せによって印刷する際の上記性質を達成すると理解されたい。さらに、ポリマーカプセル化顔料中で架橋剤を使用することによって、印刷特性に影響を与えることなく印刷性性能が向上すると考えられる。
【0076】
一態様では、ここに記載の組成物は、市販のインクジェットプリンタ、例えば顔料ベースのインクジェットインクを印刷するために適した、カリフォルニア州パロアルトのHewlett-Packard Companyで製造されたプリンタを使用して、インクジェット画像を印刷するためのものである。本発明のインクジェットインクは、顔料着色剤、例えばイエロー、シアン、ペールシアン、マゼンタ、ぺールマゼンタ、グレー、オレンジ、グリーン、パープル、ピンク、レッドブルー、ブラック及び他の知られた顔料の色を含んでいてよい。
【0077】
以下の実施例は、現在最もよく知られている本発明の態様を例示する。しかし、以下の記述は、本発明の原理の応用の例又は例示であるにすぎないと理解されたい。多数の変更並びに組成物、方法及びシステムの変形態様が、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく、当業者により想到され得る。添付の特許請求の範囲は、そのような変更及び変形を包含するよう意図されている。よって、本発明は上で詳細に説明をしてはいるが、以下の実施例は、本発明の最も実際的で且つ好ましい態様と現在考えられているものに関連してさらなる詳細を提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0078】
実施例1:ポリマーによる顔料のカプセル化
このシェルポリマーは、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート及びメタクリル酸(MMA/BA/MAA)モノマーを65.5/28.5/6の重量比で、トルエン中で95℃で重合させることによって調製された。続いて、ヘキサン中で混合物を沈殿させて、その後に真空オーブン中でそれを乾燥させることによって、固体ポリマーを得た。得られたポリマー(2.4g)を、65.5/26/6/2.5(9.6g)の比のメチルメタクリレート、ブチルアクリレート、メタクリル酸及びヒドロキシエチルアクリレート(MMA/BA/MAA/HEA)のモノマー混合物中に溶解させた。
【0079】
上記溶液をイソオクチルメルカプトプロピオネート(IOMP)(0.09g)、ヘキサデカン(0.3g)、アゾビスイソブチロニトリル(0.3g)及び10%ドデシル硫酸ナトリウム(4.8g)と共に混合し、エマルジョンを得る観点から振とうさせた。続いて水(10ml)を添加し、さらに撹拌しながらBlue 2G-D(登録商標)分散液(60g)(Clariantから入手)へと移した。さらに水(20ml)を添加し、完全にエマルジョンへと変化させた。この混合物を4時間撹拌し、その後、80psiで3パスのマイクロ流動化を行った。続いて、溶液を捕集し、窒素雰囲気中で22.5時間、75℃に加熱した。重合が完了した後、溶液を冷却し、水酸化カリウム溶液でpH8.5に中和させた。この溶液を200メッシュフィルタで濾過し、14.2%の固体を得た。
【0080】
実施例2:ポリマー及び架橋剤による顔料粒子のカプセル化
実施例1による方法を同じ条件下で繰り返したが、架橋剤(エチレングリコールジメタクリレート)1gを用いて行った。最終的な組成物は、15.8重量%の固体パーセントを有していた。
【0081】
実施例3:ろ過特性
実施例1及び実施例2に基づいて得られたカプセル化された顔料組成物を、1ミクロンシリンジフィルタで濾過した。
【0082】
実施例1のカプセル化された顔料について、この反応混合物の3分の1しか濾過されなかった。溶液の3分の1のみしか濾過できなかったこの事実は、架橋剤なしでカプセル化された顔料が、高濃度の界面活性剤条件下で、良好なろ過特性を阻む「ヘア状の(hairy)」構造を示すことを明らかにしている。実施例2によって得られたカプセル化された顔料は、1ミクロンサイズのシリンジフィルタを使用して小さな力で濾過された。下の表Aを参照されたい。この濾過ステップによって、得られたカプセル化された顔料粒子のしっかりした(rugged)構造が明らかとなった。よって、1ミクロンシリンジフィルタによるろ過特性は、架橋されたカプセル化顔料については極めて良好である。ミクロンサイズのシリンジフィルタを用いたカプセル化された粒子のろ過特性は、カプセル化粒子の剪断安定性を示す。実際、円滑なろ過は、カプセル化顔料粒子の良好な剪断安定性と相関関係にあり、よって、より良好な印刷性能を有する粒子に反映する。
【0083】
【表A】

【0084】
実施例4:カプセル化顔料を含むインク組成物
下の表Bに、本発明の一態様によるカプセル化顔料を含むインク組成物を示す。比は全て、組成物全体に対する重量パーセントで表現されている。
【0085】
【表B】

【0086】
実施例5:デキャップ試験におけるインク組成物の性能
所与の時間にわたりインクジェットノズルを放置させた後に通常の印刷特性を回復させることのできる所与のインクの品質を、「デキャップ」と呼ぶ。このインクデキャップ時間は、潜在的にクロッギング又はプラギング(詰まり又は塞ぎ)によって印刷ノズルがもはや適性に噴射しなくなる前までにインクプリントヘッドをキャップを外して放置してよい時間量として測定される。
【0087】
一般に、ノズルは、水の喪失、インクの外皮形成、並びに/又はいずれかのノズルにおいて且つ/若しくはその周りでの染料の結晶化の結果、ノズルにおいて形成される粘性のプラグによって、クロッギングを生じ/プラギングし得る。ノズルが詰まった場合、ノズルのオリフィスを介して吐出されたインク滴は誤った方向に方向付けされ、このことは、印刷品質に悪い影響を与える。オリフィスも、完全にブロックされた状態となり得、その結果、インク滴は、影響を受けたノズルを通過することができない。インクデキャップ時間は、典型的には、短時間及び長時間にわたり測定される。短時間デキャップは、一般に、滴の品質が、新たにキャップを外されたプリントヘッドで得られる品質を下回るまで、どのくらいの時間プリントヘッドがキャップなしでいられるかを決定する。様々な印刷物/画像の欠陥は、この滴品質の低下によって生じ得る。デキャップの影響に対抗するために、定期的なプリンタサービスは、印刷障害を回避するために、アイドリングさせているノズルが規則的に廃棄液容器(スピット容器)へスピットすることを要求する。スループットを維持又は改善し且つインクを節約しつつ、良好な印刷画像品質を得るためには、できるだけ短時間のデキャップを維持し、ノズルをリフレッシュさせるためのスピット回数ができるだけ少ないことが望ましい。一方、長時間デキャップは、ノズルが、定期的なプリンタサービスによって簡単に回復可能となるまで、どのくらいの時間プリントヘッドがキャップなしの状態で保存できるかを決定する。特に、これは、プリントヘッドの属性、例えば貯蔵安定性を決定する。長時間デキャップ(長時間の長時間デキャップ)はインクにとって望ましく、その場合、ノズルが、長時間にわたりキャップなしで放置され使用されないで放置されることが可能であり、一方、そのプリントヘッドはサービスによって回復もできる。
【0088】
デキャップ試験は、インク組成物A及びBについて、所与の試料を含むプリントヘッドノズルを所与の時間にわたり放置させ、その後、通常の印刷特性を回復するためにノズルのスピットが何回必要であったかを判定することによって行った。回復のために行うスピットが多いほど、所与時間点での所与のインクについてのプリントヘッド性能は悪い。(4未満のデキャップ値は良好、10までのスピットは許容可能、10を超えるスピットは許容不能と考える。)
デキャップ試験を、インクA及びBの印刷特性を決定するために行った。結果は、表Cに示すが、この結果は、7秒及び12秒のアイドリング後にペンを回復させるために行ったスピットの回数を判定するものである(回数が小さいほど、インクの印刷適性若しくは印刷可能性が高い(printable)ことを意味する)。
【0089】
これらの結果によれば、架橋ポリマーを含むカプセル化顔料を含む組成物が、良好なデキャップ性能を示し、ひいてはより良好な印刷特性を示すことが明らかである。
【0090】
【表C】

【0091】
実施例6:架橋剤の例



【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)顔料コア、及び
b)疎水性モノマー及び酸性モノマーを含み且つ架橋剤を含む重合したポリマーであるポリマーシェルを含み、
前記架橋剤が、式I又はII
【化3】


〔Xが(C(O)O−R’−O(O)C)、(O−R’−O)、(NH−C(O)−R’−C(O)NH)、(C(O)NH−R’−NHC(O))、(NH−R’−NH)又は(CH−C(O)O−R’−OC(O)−CH)であり、R’がアルケニル、アリーレン、アルキレン、アルケノキシ又はアルキノキシ基からなる群から選択される二価の結合基であり、RがH又はアルキル基である〕による、ポリマーカプセル化顔料。
【請求項2】
前記架橋剤の式において、R’が、2〜約20の炭素原子を含む置換アルケニル、アリーレン又はアルキレン基である、請求項1に記載のポリマーカプセル化顔料。
【請求項3】
前記架橋剤の式において、R’が、(CHCHO)、(CHCHOCHCH)、(CHCHO)、(CH又は(CHである、請求項1に記載のポリマーカプセル化顔料。
【請求項4】
前記架橋剤の式において、Rが、1〜20の炭素原子を含むH又はアルキル基である、請求項1に記載のポリマーカプセル化顔料。
【請求項5】
前記架橋剤の式において、Rが、H又はCHである、請求項1に記載のポリマーカプセル化顔料。
【請求項6】
前記架橋剤が、エチレングリコールジメタクリレート、ジ(エチレングリコール)ジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ビスフェノールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、N、N’−エチレンビス(アクリルアミド)、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、ジアリルマレエート、ジアリルフタレート、1,3−ジビニルベンゼン及び1,4−ジビニルベンゼンを含む群から選択される、請求項1に記載のポリマーカプセル化顔料。
【請求項7】
前記カプセル化顔料の前記ポリマーシェルの疎水性モノマーが、当該ポリマーシェルを形成するモノマーの全量の約70重量%〜約98重量%の量で存在する、請求項1に記載のポリマーカプセル化顔料。
【請求項8】
前記カプセル化顔料の前記ポリマーシェルの疎水性モノマーが、疎水性のアクリルモノマーである、請求項1に記載のポリマーカプセル化顔料。
【請求項9】
前記疎水性モノマーが、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ビニルアセテート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、オクタデシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、スチレン、メチルスチレン、ビニルベンジルクロライド、ブチルビニルエーテル及びこれらの組合せを含む群から選択される、請求項1に記載のポリマーカプセル化顔料。
【請求項10】
前記カプセル化顔料の前記ポリマーシェルの酸性モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル安息香酸及びメタクリロイルオキシエチルスクシネートからなる群から選択される、請求項1に記載のポリマーカプセル化された顔料。
【請求項11】
カプセル化顔料の前記ポリマーシェルの酸性モノマーが、ポリマーシェルを形成する全モノマーの約1重量%〜約10重量%の量で存在する、請求項1に記載のポリマーカプセル化顔料。
【請求項12】
前記カプセル化顔料が、直径30nm〜400nmのサイズを有する、請求項1に記載の前記ポリマーカプセル化顔料。
【請求項13】
前記ポリマーシェルが、約2nm〜約100nmの平均厚みを有する、請求項1に記載のポリマーカプセル化顔料。
【請求項14】
a)インクビヒクル、及び
b)請求項1に記載のポリマーカプセル化顔料
を含むインクジェットインク。
【請求項15】
顔料をカプセル化する方法であって、
顔料を水性溶液中で分散させて、顔料分散液を形成し、
疎水性モノマー及び酸性モノマーを前記顔料分散液に添加し、
請求項1に記載の架橋剤を前記顔料分散液に添加し、
前記顔料の存在下で、モノマーを重合させてポリマーシェルとし、カプセル化顔料を形成するステップを含む、方法。

【公表番号】特表2013−500380(P2013−500380A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522788(P2012−522788)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/052257
【国際公開番号】WO2011/014173
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(511076424)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (155)
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
【Fターム(参考)】