説明

架橋剤及び二重ラジカル硬化ポリマー

各モノマーのための対応する架橋剤を用いることで、非常に異なる反応性比を有する少なくとも2種のモノマーを含むポリマーの合成ルート。少なくも1種の親水性モノマーと、眼内レンズ用材料を調製するために通常に使用される少なくとも1種のレンズモノマーとの共重合を行う新規の架橋剤を記載する。この新規の架橋剤は、親水性モノマーに対して比較的に高い選択性を有し、レンズモノマーを重合するために使用する架橋剤との反応性が制限されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は架橋剤及びその架橋剤のポリマーを提供するための使用に関する。このポリマーは2種以上のモノマーのモノマー単位及び2種以上の架橋剤を含む。このポリマーは眼科用レンズのための光学ポリマー材料として使用されることができる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)を用いて調製されるハイドロゲルコンタクトレンズ材料は比較的に高い含水率であることが期待され、このため、許容されうるレベルの酸素透過率を有することが期待される。たとえば、NVPはしばしばアルキルアクリレートもしくはメタクリレート、たとえば、メチルメタクリレートと共重合して、含水率が通常50質量%〜80質量%であるレンズ材料を提供する。しかし、このようなコポリマーは、NVPのN−ビニル基の重合反応速度とアルキルアクリレートもしくはメタクリレートのアクリロイル基もしくはメタクリロイル基の重合反応速度が異なるので、均一に制御したやり方で合成を行うことが困難である。典型的には、相分離及びそれに対応してポリマーレンズ材料の透明性の低下が観測され、又は、レンズが吸水するときにレンズ材料の機械特性が低下する。
【0003】
NVPとアルキルアクリレート/メタクリレートとの差異を克服する試みにおいて、米国特許第4,547,543号明細書はN−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン(NMMP)の使用を記載している。NMMPは他のアクリレート/メタクリレートモノマーと、より適合した重合反応速度を有し、そして、必要とされるNVPの所望の親水性をも提供すると記載されている。したがって、’543号特許は、(a)25〜100部がNMMPであり、0〜75部がNVPであるモノマー単位を、合計モノマー単位の50〜95質量部、及び、(b)アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、スチレン、アルキルスチレン、ベンジルアクリレート及びベンジルメタクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーから本質的になる強化モノマー単位を、合計モノマー単位の約5〜約50質量部、から本質的になるコポリマーを記載している。
【0004】
米国特許第3,949,021号は上記の問題とは若干異なるアプローチを記載している。’021号特許はすでに形成された水不溶性ポリマ−(たとえば、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン又はポリ酢酸ビニル)をポリ(NVP)中にトラッピングし又はカプセル化することを記載している。McCabeらの米国特許(米国特許第6,822,016号及び第7,052,131号)は高分子量親水性ポリマー及びシリコーンモノマーからポリマー眼科用レンズ材料を製造する方法を記載している。MacCabeの方法は、約100,000ダルトン以上の分子量のポリ(NVP)などの、すでに形成された親水性ポリマーの存在下に、シリコーンモノマーを重合させる。
【0005】
2つの非常に異なる反応性比を有する2種以上のラジカルモノマー及び単一の架橋剤を含む従来のポリマー配合物は2種のモノマーが本質的に2種のホモポリマーとして共存しているポリマーを提供することがある。重合反応の初期段階の間に、1つのモノマーが架橋剤と優先的に反応し、そのモノマーがほぼ消費された後になって初めて第二のモノマーが架橋剤と反応し始める。ある場合には、架橋剤と第二のモノマーとの反応性比の大きな差異が、比較的に多量の未反応の第二のモノマー又はオリゴマーを含むポリマーを提供することがあり、その後、このようなモノマー又はオリゴマーはポリマーから抽出されなければならない。このことは生産コスト(収率)の観点から非常に非効率であり、材料特性に悪影響を及ぼしうる。また、1つの製造バッチから別の製造バッチでポリマーを調製し、このような様々な反応条件下で設計仕様内に留めることがしばしば困難になる。
【0006】
2種の異なるモノマー(そのうちの1種は架橋剤)の反応から生成されるポリマーの理論組成は下記式によって決定される。
dn1/dn2 = (N1/N2)(r1N1 + N2) / (r2N2 + N1)
上式中、nはコポリマー中のモノマー1のモルであり、nはコポリマー中のモノマー2のモルであり、N及びNはそれぞれモノマー混合物中のモノマー1及び2のモル数であり、r及びrはモノマー反応性比である。この反応性比は、下記の重合反応によって、生長速度定数、k11、k12、k22及びk21によって定義される。
【0007】
+ M →M11
+ M →M12
+ M→ M22
+ M→ M21
そしてr=k11/k12 及びr=k22/k21である。
【0008】
本発明は、少なくとも2種のモノマーを単一の架橋剤を用いて共重合しようとする試みで、もし、2種のモノマーのうちの1種のモノマーが架橋剤に対して非常に異なる反応性比を有する場合に生じる欠点を克服する。
【発明の概要】
【0009】
発明の要旨
本発明は一般式I
【化1】

【0010】
(式中、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノール又はヒドロキシルから選ばれ、
AはO、O(CHCHO) 又は[SiRO]SiRであり、R及びRは、独立に、C〜Cアルキル又はフェニルから選ばれ、vは1〜20であり、wは0〜60であり、
m及びnは独立に1〜10から選ばれる整数であり、pは0又は1であり、qは0〜6の整数であり、
X及びYは、独立に、O又はNRから選ばれ、Rは水素、C〜Cアルキル又はC〜Cアルカノールである)の架橋剤に関する。
【0011】
本発明は、また、一般式II
【化2】

【0012】
(式中、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノール又はヒドロキシルから選ばれ、
AはO、O(CHCHO) 又は[SiRO]SiRであり、R及びRは、独立に、C〜Cアルキル又はフェニルから選ばれ、vは1〜20であり、wは0〜60であり、
m及びnは独立に1〜10から選ばれる整数であり、pは0又は1であり、qは0〜6の整数である)の架橋剤に関する。
【0013】
本発明は、また、2種以上の架橋剤、親水性モノマー及びレンズモノマーの反応生成物を含み、その架橋剤の少なくとも1種が一般式I又は一般式IIを有するポリマーに関する。このポリマーは眼科用レンズを形成するために使用できる。
【0014】
本発明は、また、一般式IIIの架橋剤を用いて調製したポリマーに関する。このポリマーは、2種以上の架橋剤、親水性モノマー及びレンズモノマーの反応生成物であり、その架橋剤の少なくとも1種は一般式IIIを有する。
【0015】
【化3】

【0016】
(式中、R及びRは、独立に、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノール又はヒドロキシルから選ばれ、
AはO、O(CHCHO) 又は[SiRO]SiRであり、R及びRは、独立に、C〜Cアルキル又はフェニルから選ばれ、vは1〜20であり、wは0〜60であり、
mは1、2又は3であり、n及びn’は独立に1〜10から選ばれる整数であり、pは0又は1である)。
【0017】
本発明は、また、反応性比Rがkhh/khxである親水性モノマー及び反応性比Rがkxx/kxhである架橋剤を含む重合混合物を提供する方法により調製されるポリマーであって、khh、khx、kxx 及びkxh は以下のラジカル重合反応についての生長定数であり、そしてMは親水性モノマーであり、Mは親水性モノマーラジカルであり、Mは架橋剤であり、Mは架橋剤ラジカルであり、
* + M → Mhh
+ M → Mhx
+M → Mxx
+ M → M
xh;及び
/R の比は0.1〜10である、ポリマーに関する。この重合は、また、反応性比Rがkll/klyであるレンズモノマー及び反応性比Rがkyy/kylである架橋剤を含み、kll、kly、kyy 及びkyl は以下のラジカル重合反応についての生長定数であり、そしてMはレンズモノマーであり、Mはレンズモノマーラジカルであり、Mは架橋剤であり、Mは架橋剤ラジカルであり、
* + M → Mll
+ M → Mly
+M → Myy
+ M → Myl;及び
/R の比は0.1〜10である。得られるポリマーは眼科用レンズを形成するのに使用できる。
【0018】
発明の詳細な説明
本発明は、各々が非常に異なる反応性比を有する少なくとも2種のモノマー、特に、少なくとも2種のビニルモノマーを含むポリマーの、各モノマーに対応する架橋剤を使用することによる合成ルートを提供する。少なくとも1種の親水性モノマー、たとえば、N−ビニルラクタムのいずれかと、眼科用レンズのためのポリマー材料を調製するために通常に使用される少なくとも1種の慣用のモノマーとを共重合させうる新規の架橋剤が記載される。以後、慣用のモノマーを(下記にその幾つかを説明する)「レンズモノマー」と呼ぶことにする。新規の架橋剤は親水性モノマーに比較的に高い選択性を有し、レンズモノマーを重合するのに使用される架橋剤との反応性が制限されている。
【0019】
本発明は、また、少なくとも2種のモノマー単位及び少なくも2種の異なる架橋単位を含む親水性架橋ポリマーの製造方法に関する。少なくとも1種の親水性モノマーと少なくとも1種のレンズモノマーは容易には共重合しないので、ここでも、2種の異なる架橋剤が要求される。親水性モノマー及びレンズモノマーの各々に対応する架橋剤の使用は相互に適合性のポリマーを確保する。結果として、重合反応後に抽出可能な親水性モノマー及び親水性オリゴマーの量は有意に低減される。二重架橋系の使用は、また、得られるポリマーの最終的な化学、物理及び構造特性を良好に制御するルートを提供する。
【0020】
本発明は一般式I
【化4】

(式中、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノール又はヒドロキシルから選ばれ、
AはO、O(CHCHO) 又は[SiRO]SiRであり、R及びRは、独立に、C〜Cアルキル又はフェニルから選ばれ、vは1〜20であり、wは0〜60であり、
m及びnは独立に1〜10から選ばれる整数であり、pは0又は1であり、qは0〜6の整数であり、
X及びYは、独立に、O又はNRから選ばれ、Rは水素、C〜Cアルキル又はC〜Cアルカノールである)の架橋剤に関する。
【0021】
用語「直鎖又は枝分かれアルキル」及び「環式炭化水素」とは、1つ以上の非炭素置換基、たとえば、ヒドロキシル、アミン、カルボン酸、エステル又はエーテルを含んでよい脂肪族基である。
【0022】
1つの実施形態において、YはNRであり、XはOである。別の実施形態において、YはOであり、XはNRである。さらに別の実施形態において、YはNRであり、XはNRである。特定の実施形態において、m及びnは2又は3であり、pは0であり、R、R、R及びRは水素である。また、qは0、1又は2であることが好ましい。
【0023】
本発明は、また、一般式II
【化5】

【0024】
(式中、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノール又はヒドロキシルから選ばれ、
AはO、O(CHCHO) 又は[SiRO]SiRであり、R及びRは、独立に、C〜Cアルキル又はフェニルから選ばれ、vは1〜20であり、wは0〜60であり、
m及びnは独立に1〜10から選ばれる整数であり、pは0又は1であり、qは0〜6の整数である)の架橋剤に関する。
【0025】
特定の実施形態において、m及びnは2又は3であり、pは0であり、R、R、R及びRは水素である。また、qは0、1又は2であることが好ましい。
【0026】
本発明は、また、2種以上の架橋剤、親水性モノマー及びレンズモノマーの反応生成物を含み、その架橋剤の少なくとも1種が一般式I又は一般式IIを有するポリマーに関する。 このポリマーは眼科用レンズを形成するために使用できる。
【0027】
本発明は、また、一般式IIIの架橋剤を用いて調製したポリマーに関する。このポリマーは2種以上の架橋剤、親水性モノマー及びレンズモノマーの反応生成物であり、その架橋剤の少なくとも1種が一般式IIIを有する。
【0028】
【化6】

【0029】
(式中、R及びRは、独立に、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノール又はヒドロキシルから選ばれ、
AはO、O(CHCHO) 又は[SiRO]SiRであり、R及びRは、独立に、C〜Cアルキル又はフェニルから選ばれ、vは1〜20であり、wは0〜60であり、
mは1、2又は3であり、n及びn’は独立に1〜10から選ばれる整数であり、pは0又は1である)。
【0030】
たとえば、1つの実施形態において、mは1であり、R及びRは水素であり、n及びn’は独立に、3、4又は5であり、pは0である。
【0031】
一般式I、一般式II又は一般式IIIの架橋剤の存在下で親水性モノマーとレンズモノマーとを共重合させる記載の方法は、もし、親水性モノマーがN−ビニルラクタムであり、特に、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリドン及びN−ビニル−ε−カプロラクタム及びそれらの混合物からなる群より選ばれるN−ビニルラクタムである場合に特定の利点を提供する。N−ビニルラクタムは、多くの、より一般的なアクリレート、メタクリレート又はアクリルアミドをベースとするモノマーとのラジカル重合反応が遅いことが周知のこととして知られている。特に、眼科用レンズのためのポリマー材料を提供するのに典型的に使用されるアクリレート、メタクリレート又はアクリルアミドをベースとするモノマーは、たとえば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、トリス(トリメチルシロキシ)−3−メタクリルオキシプロピルシラン(TRIS)、ジメチルアクリルアミド(DMA)、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、メタクリル酸(MA)、2−フェニルエチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、モノメトキシポリエチレングリコール(PEG)メタクリレートである。
【0032】
たとえば、NVPと上記のいずれか1種以上のレンズモノマーとを共重合させようとする以前の試みでは、常に、非常に少量のNVPしか含まないアクリレート、メタクリレート又はアクリルアミドポリマーを生成することになる。むしろ、ポリマー中に存在するNVPのほとんどは非共有結合として結合したポリ(NVP)のホモポリマー鎖として存在している。このポリ(NVP)鎖は時間とともにポリマーから浸出する傾向がある。ポリ(NVP)の浸出はポリマーの親水性を低下させ、ポリマーの含水率又は湿潤性の低下が観測される。さらに、NVPを下記の1種以上のシロキサンマクロモノマーと共重合させようと試みると、相分離を生じることがあり、そして眼科用レンズの場合には、このような相分離は材料の不透明化をもたらすことがある。
【0033】
表1は、NVP(モノマー1)及び眼科用レンズ材料を製造するために通常に使用される幾つかのさらなるモノマー(モノマー2)の反応性比を示している。これらの反応性比はJ. Brandrup and E. J. Immergut, “Polymer Handbook”, 3rd Ed., Wiley Interscience(1989)から抜粋している。
【0034】
【表1】

【0035】
本発明の方法は、また、反応性比Rがkhh/khxである親水性モノマー及び反応性比Rがkxx/kxhである架橋剤を含む重合混合物を共重合させるのに特に有用であり、khh、khx、kxx 及びkxh は以下のラジカル重合反応についての生長定数であり、そしてMは親水性モノマーであり、Mは親水性モノマーラジカルであり、Mは架橋剤であり、Mは架橋剤ラジカルであり、
【0036】
+ M → Mhh
+ M → Mhx
+ M → Mxx
+ M → Mxh;及び
/R の比は0.1〜10である。
【0037】
この重合は、また、反応性比Rがkll/klyであるレンズモノマー及び反応性比Rがkyy/kylである架橋剤を含み、kll、kly、kyy 及びkyl は以下のラジカル重合反応についての生長定数であり、そしてMはレンズモノマーであり、Mはレンズモノマーラジカルであり、Mは架橋剤であり、Mは架橋剤ラジカルであり、
【0038】
+ M → Mll
+ M → Mly
+ M → Myy
+ M → Myl;及び
/R の比は0.1〜10である。
得られるポリマーは眼科用レンズを形成するのに使用できる。
【0039】
多くの重合混合物の調製において、親水性モノマー及びレンズモノマーは、通常、比較的に大きな反応性の差を有するであろう。別の言い方をすれば、下記に示す同様の重合反応の組み合わせ(架橋剤は同一である−単一の架橋剤系)に基づいて反応性比R/Rを定義しようとするならば、反応性比R/Rは大きい、10倍の差(たとえば、10より大きいか又は0.1未満)であるはずである。したがって、親水性モノマー及びレンズモノマーは、反応性比R/Rが10より大きいか又は0.1未満であり、反応性比R/Rは以下のラジカル重合反応で定義され、Mは親水性モノマーであり、Mは親水性モノマーラジカルであり、Mはレンズモノマーであり、Mはレンズモノマーラジカルであり、Mは架橋剤であり、Mは架橋剤ラジカルであり、
【0040】
+ M → Mhh
+ M → Mhi
+ M → Mii
+ M → Mih;及び
はR/Rであり、
【0041】
+ M → Mll
+ M → Mli
+ M → Mii
+ M → Mil;及び
はR/R である。
【0042】
したがって、1つの実施形態において、親水性モノマーは、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリドン及びN−ビニル−ε−カプロラクタム及びそれらの混合物からなる群より選ばれるN−ビニルラクタムである。他の親水性ビニルモノマーとしては、N−ビニルイミダゾリドン、N−ビニルスクシンイミド及びN−ビニルホルムアミドが挙げられる。しかし、多くの場合、親水性モノマーはN−ビニルピロリドンであろう。
【0043】
1種又はそれ以上の親水性モノマーと共重合されるレンズモノマーの例としては、アクリレート、メタクリレート又はアクリルアミドをベースとするモノマーである。眼科用レンズのためのポリマー材料を提供するのに典型的に使用されるアクリレート、メタクリレート又はアクリルアミドをベースとするモノマーは、たとえば、HEMA、TRIS、DMA、EGDMA、MA、2−フェニルエチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート、モノメトキシポリエチレングリコール(PEG)メタクリレートである。
【0044】
記載される方法は、また、ポリマーシリコーンハイドロゲルの調製に特に有用である。この場合、下記の1種以上のシロキサンモノマー又はマクロモノマーは親水性モノマーと重合される。ある場合には、架橋剤中にシロキサン結合を導入することが有利であることがあり、すなわち、シリコーンハイドロゲルの合成のために一般式I又は一般式IIでAが[SiRO]SiRであり、pが1であることが有利であることがある。
【0045】
1.コンタクトレンズ材料を製造するための架橋剤の使用
1種以上のいずれかの既知のケイ素含有モノマー又はマクロモノマーを親水性モノマー及び一般式I、一般式II又は一般式IIIの架橋剤と組み合わせてモノマー混合物を提供し、その後、そのモノマー混合物を重合して眼科用レンズ材料を製造するためのシロキサンポリマーを提供することができる。
【0046】
使用されうる特定のシリコーンモノマーは構造Aを有する。
【化7】

【0047】
(式中、RはH又はCHであり、qは1又は2であり、各qの場合に、R、R及びRは独立に、エチル、メチル、ベンジル、フェニル又は1〜30個のSi−O繰り返し単位を含む一価のシロキサン鎖から選ばれ、pは1〜10の整数であり、r=(3−q)であり、XはO、NH又はN(C1−4アルキル)であり、aは0又は1であり、Lは二価の結合基であり、好ましくは2〜5個の炭素を含み、それはまた、場合により、エーテル又はヒドロキシル基も含んでよく、たとえば、ポリ(エチレングリコール)鎖である)。
【0048】
使用されうる構造Aのケイ素含有モノマーの例は、(3−メタクリロイルオキシプロピル)ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)−ペンタメチルジシロキサン、(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ビス(トリメチルシロキシ)メチルシランである。好ましいケイ素含有モノマーはモノメタクリロイルオキシアルキル末端ポリジメチルシロキサン(mPDMS)であり、たとえば、構造Bに示すものである。
【0049】
【化8】

【0050】
上式中、bは0〜100であり、Rはヘテロ原子を含んでよいC1−10脂肪族もしくは芳香族基であり、ただし、Siに結合している位置ではRは官能化されていない。好ましくは、RはC3−8アルキル基であり、ブチル基、特にsec-ブチル基が最も好ましい。Rはエチレン系不飽和部分であり、好ましくは単一重合性ビニル基である。より好ましくは、Rはメタクリル部分であるが、アルキルもしくはスチレン部分又は他の同様の部分であってもよい。
【0051】
使用されうる他のケイ素含有モノマーとしては、(3−メタクリルオキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン(TRIS)、TRISのアミド類似体(米国特許第4,711,943号に記載される)、及び、ビニルカルバメート又はカーボネート類似体(米国特許第5,070,215号に記載される)が挙げられる。
【0052】
幾つかの他のケイ素含有モノマーの例としては、嵩高ポリシロキサニルアルキル(メタ)アクリルモノマーが挙げられる。嵩高ポリシロキサニルアルキル(メタ)アクリルモノマーの例は構造Cにより表される。
【0053】
【化9】

【0054】
上式中、XはO又はNRであり、hは1〜10の整数であり、
各Rは独立に、水素又はメチルであり、各Rは独立に、低級アルキル基、フェニル基又は下記式により表される基
【0055】
【化10】

【0056】
を表し、各Rは低級アルキル又はフェニル基である。
【0057】
代表的なケイ素含有モノマーの別のクラスとしては、ケイ素含有ビニルカーボネートもしくはビニルカルバメートモノマーが挙げられ、たとえば、
1,3−ビス[4−ビニルオキシカルボニルオキシ]ブト−1−イル]テトラメチルジシロキサン、
1,3−ビス[4−ビニルオキシカルボニルオキシ]ブト−1−イル]ポリジメチルシロキサン、
3−(トリメチルシリル)プロピルビニルカーボネート、
3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]、
3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、
3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、
3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカーボネート、
t−ブチルジメチルシロキシエチルビニルカーボネート、
トリメチルシリルエチルビニルカーボネート及びトリメチルシリルメチルビニルカーボネートがある。
【0058】
ケイ素含有ビニルカーボネートもしくはビニルカルバメートの例は、構造Dによって表される。
【0059】
【化11】

【0060】
上式中、YはO、S又はNHであり、
Siはケイ素含有有機基であり、
は水素又はメチルであり、
dは1、2、3又は4であり、qは0又は1である。
【0061】
適切なケイ素含有有機基RSiとしては以下のものが挙げられる。
−(CHSi[(CHCH]、−(CHSi[OSi(CHCH]、−(CHSi[OSi(R]、−(CH[Si(R2O]Si(R及び−(CH[Si(R2O]Mが挙げられ、Mは
【0062】
【化12】

【0063】
で表され、pは1〜6であり、
は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基又はフルオロアルキル基であり、
eは1〜200の整数であり、nは1、2、3又は4であり、mは0、1、2、3、4又は5である。
【0064】
構造Dに入る特定の種の例は構造Eにより表される。
【化13】

【0065】
別のクラスのケイ素含有モノマーとしてはポリウレタン−ポリシロキサンマクロモノマー(時にプレポリマーとも呼ばれる)が挙げられ、伝統的なウレタンエラストマーのようにハード−ソフト−ハードブロックを有することができる。シリコーンウレタンモノマーの例は一般式IV及びVによって表される。
(IV) E(G)E’又は
(V) E(A)E’
上式中、Dは6〜30個の炭素原子を有するアルキル二価基、アルキルシクロアルキル二価基、シクロアルキル二価基、アリール二価基又はアルキルアリール二価基であり、
Gは1〜40個の炭素原子を有するアルキル二価基、シクロアルキル二価基、アルキルシクロアルキル二価基、アリール二価基又はアルキルアリール二価基であり、主鎖中にエーテル、チオ又はアミン結合を含んでよく、
*はウレタン又はウレイド結合を表し、
aは少なくとも1であり、
Aは構造Fの二価ポリマー基であり、
【0066】
【化14】

【0067】
は独立に、1〜6個の炭素原子を有するアルキルもしくはフルオロ置換アルキル基であって、炭素原子間にエーテル結合を含んでよく、
mは少なくとも1であり、
pは400〜10,000の部分分子量を提供する数であり、
Eは構造G
【0068】
【化15】

【0069】
により表される重合性不飽和有機基であり、
は水素又はメチルであり、
は水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基又は−CO−Y−R基であり、YはO、S又はNHであり、
は1〜10個の炭素原子を有する二価のアルキレン基であり、
は1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、
XはCO又はOCOであり、
ZはO又はNHであり、
Arは6〜30個の炭素原子を有する芳香族基であり、
wは0〜6の整数であり、xは0又は1であり、yは0又は1であり、zは0又は1である。
【0070】
シリコーン/エポキシ含有モノマーと組み合わせることができる別のケイ素含有モノマーの例は構造Jによって示される。
【0071】
【化16】

上式中、Bは
【0072】
【化17】

によって表され、そしてAは
【0073】
【化18】

によって表され、Rは独立にC〜Cアルキルであり、Rは独立にC〜Cアルキレンであり、Rは独立に直鎖もしくは枝分かれアルキレンであり、Rは独立にC〜Cアルキレンであり、Rは独立にC〜Cアルキレンであり、m及びpは独立に、3〜44の整数から選ばれ、nは13〜80の整数であり、そしてケイ素含有モノマーは数平均分子量が2000〜10,000である。
【0074】
ケイ素含有ウレタンモノマーのより特定の例は構造Hによって表される。
【0075】
【化19】

【0076】
上式中、mは少なくとも1であり、好ましくは3又は4であり、aは少なくとも1であり、好ましくは1であり、pは400〜10,000の部分分子量を提供する整数であり、好ましくは少なくとも30であり、R10はイソシアネート基の除去後のジイソシアネート二価基であり、たとえば、イソホロンジイソシアネートの二価基であり、そして各E”は下記式により表される基である。
【0077】
【化20】

【0078】
ポリマーの水和後のシリコーンハイドロゲルは、通常、シリコーンハイドロゲルの合計質量の10〜60質量%の水、又は、25〜約50質量%の水を含むであろう。
【0079】
シリコーンハイドロゲル材料は、また、低い曇り度、良好な湿潤性及び弾性率を有することを特徴とすることができる。曇り度は、黒色背景上の透明セル中の塩水中に試験レンズを入れ、レンズセルに対して角度66°法線方向に光ファイバーランプで下から照射し、そしてレンズの画像をビデオカメラで上からキャプチャーすることにより測定される。背景を差し引いた散乱光画像を、レンズの中心10mmにわたって積算し、−1.00ジオプターCSI薄型レンズ(登録商標)(適宜100の曇り度値に設定され、レンズセットなしでは0の曇り度値である)と比較することで定量的に分析する。
【0080】
湿潤性はウィルヘルミー(Wilhelmy)バランスを用いて、ホウ酸塩緩衝塩水溶液によって23℃で動的接触角、すなわち、DCAを測定することにより測定される。レンズ表面とホウ酸塩緩衝塩水溶液との間の湿潤力は、サンプルを塩水溶液中に浸漬し又は取り出しながらウィルヘルミー(Wilhelmy)マイクロバランスを用いて測定される。以下の式を用いる。
F=2γρcosθ
【0081】
上式中、Fは湿潤力であり、γはプローブ液体の表面張力であり、ρはメニスカスでのサンプルの周囲長さであり、θは接触角である。通常、2つの接触角が動的湿潤実験から得られ、すなわち、前進接触角及び後退接触角である。前進接触角は、サンプルをテスト液体中に浸漬している湿潤試験の部分から得られる。各組成の少なくとも4つのレンズを測定し、そして平均を報告する。
【0082】
シリコーンハイドロゲル材料は少なくとも約30psi、好ましくは30psi〜100psi、又は、40psiと70psiとの間の弾性率を有する。弾性率は、初期ゲージ高さに下げられるロードセルを装備した一定速度のクロスヘッドの移動型引張り試験機を用いることで測定される。適切な試験機としてはインストロンモデル1122が挙げられる。犬の骨型のサンプルであって、0.522インチ長さ、0.276インチ「イア」幅、及び0.213インチ「ネック」幅を有するサンプルをグリップ中に装填し、それが破損するまで、2インチ/分の一定ひずみ速度で延伸する。サンプルの初期ゲージ長さ(Lo)及び破断時のサンプル長さ(Lf)を測定する。各組成の12個の試料を測定し、そして平均を報告する。応力/ひずみ曲線の初期の線形部分で引張り弾性率を測定する。
【0083】
シリコーンハイドロゲル材料はポーラログラフ法によって決定して40〜300barrerのODk値
を有する。レンズをセンサー上に配置し、次いで、上側をメッシュサポートでカバーする。湿潤された21wt%酸素の雰囲気にレンズを暴露する。レンズを通して拡散する酸素を、4mmの直径の金のカソード及び銀のリングアノードからなるポーラログラフ酸素センサーを用いて測定する。参照値はBalafilcon A レンズ(Bausch & Lomb)であり、それは約80barrersのDk値を有する。
【0084】
2.眼内レンズ材料の製造のための架橋剤の使用
眼内レンズとしての用途のために、一般式I又は一般式IIの架橋剤、親水性モノマー及びレンズモノマーを用いてポリマー材料を製造する。得られるポリマーは十分な光学透明性を有し、約1.40以上の比較的に高い屈折率を有するであろう。
【0085】
眼内レンズを製造するために使用されるレンズモノマーの例示のリストとしてはC〜C10アルキルメタクリレート(たとえば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、オクチルメタクリレート又は2−エチルヘキシルメタクリレート)、C〜C10アルキルアクリレート(たとえば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート又は2−エトキシエチルアクリレート)、C〜C40アリールアルキルアクリレート(たとえば、2−フェニルエチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、3−フェニルプロピルアクリレート、4−フェニルブチルアクリレート、5−フェニルペンチルアクリレート、8−フェニルオクチルアクリレート又は2−フェニルエトキシアクリレート)、及び、C〜C40アリールアルキルメタクリレート(たとえば、2−フェニルエチルメタクリレート、3−フェニルプロピルメタクリレート、4−フェニルブチルメタクリレート、5−フェニルペンチルメタクリレート、8−フェニルオクチルメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、3,3−ジフェニルプロピルメタクリレート、2−(1−ナフチルエチル)メタクリレート、ベンジルメタクリレート又は2−(2−ナフチルエチル)メタクリレート)が挙げられる。
【0086】
又は、C〜C40アリールアルキルアクリレートは下記式によって定義されうる。
【化21】

【0087】
上式中、RはH又はCHであり、mは0〜10であり、
Yは存在しないか、あるいは、O、S又はNRであり、RはH、CHもしくは他の低級アルキル、iso-OC、フェニル又はベンジルであり、
Arはあらゆる芳香環であり、たとえば、フェニルであり、これは未置換であっても、又は、H、CH、C、n−C、iso-C、OCH、C11、Cl、Br又はOHによって置換されていてもよい。
【0088】
一般式I又は一般式IIの架橋剤及び親水性ビニルモノマーを用いて、強化された、架橋されたシリコーンエラストマーを調製することができる。これらのシリコーンエラストマーは式R−SiOのアリール置換シロキサン単位を12〜18モル%含むシロキサンポリマーを含むであろう。式中、R及びRは同一であり又は異なり、そして、フェニル、モノ−低級アルキル置換フェニル基、又は、ジ−低級アルキル置換フェニル基を表す。好ましくは、R及びRの両方はフェニルである。シロキサンポリマーは式R−SiOのシロキサン単位を含むエンドブロッカーを有し、R及びRはアルキル、アリール又は置換アルキルもしくは置換アリール基であり、R及びRは同一でも又は異なっていてもよい。エンドブロッキングシロキサン単位のR基はアルケニル基である。好ましくは、エンドブロッカーはジメチルビニルシロキサン単位である。
【0089】
ポリマーの残部はR−SiOのジアルキルシロキサン単位からなり、R及びRは同一であるか又は異なり、そしてメチル又はエチル基であり、ポリマーは100〜2000の重合度を有する。好ましくは、R及びRは両方ともメチルであり、重合度は約250である。
【0090】
トリメチルシリル処理されたシリカ強化剤は100部のポリマーに対して約15〜45部の強化剤の質量比でポリマー中に微細に分散される。好ましくは、100部のコポリマーに対して約27部の強化剤が存在する。
【0091】
一般式I又は一般式IIの架橋剤及び親水性ビニルモノマーを用いて調製されるポリマー材料は下記のモノマー成分を重合することによって調製されうる。
(A)下記一般式により表されるアクリレート、5〜25質量%、
【化22】

【0092】
(上式中、Arは芳香環であり、その芳香環の水素原子は置換基によって置換されていてよく、Xは酸素原子又は直接結合であり、そしてmは1〜5の整数である)
(B)2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、50〜90質量%、
(C)モノマー(A)を表す式でなく、また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートでもない(メタ)アクリレートモノマー、5〜45質量%。また、モノマー(C)のホモポリマーの水吸収係数は30質量%以下である。水吸収係数(Habs.%)は以下の等式として定義される:Habs.%=[(W−W)/W]]×100。
【0093】
ここで、その値は1mmの厚さのサンプルを用いることで25℃で計算され、Wは水との平衡状態でのサンプルの重量(g)を表し、Wは乾燥状態でのサンプルの重量(g)を表す。水含有分(含水率)(%水)は下記式によって与えられる。
%水=[(W−W)/W]×100
【0094】
(メタ)アクリレートモノマー(C)の例示のリストとしては、直鎖、枝分かれ鎖又は環式鎖を含むアルキル(メタ)アクリレート、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、アルキル基が1〜5個の炭素原子を含むアルキル(メタ)アクリレート、直鎖、枝分かれ鎖又は環式鎖を含むヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(2−HE(M)A (B)を除く)及びそれらの混合物が挙げられる。アルキルメタクリレートの中で、アルキル基が1〜3個の炭素原子を含むアルキルメタクリレートが好ましい。ヒドロキシアルキルメタクリレートの中で、ヒドロアルキル基が3〜6個の炭素原子を含むヒドロキシアルキルメタクリレートが好ましい。
【0095】
ペルフルオロオクチルエチルオキシプロピレン(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレート及び下記一般式
【化23】

【0096】
(式中、Rは水素又はメチルであり、Rは直鎖又は枝分かれC〜C12アルキル基である)を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む、特定のモノマー混合物を共重合することで、一般式I、一般式II又は一般式IIIの架橋剤及び親水性ビニルモノマーを用いてポリマー材料を製造することができる。ペルフルオロオクチルエチルオキシプロピレン(メタ)アクリレートは5〜20質量%で存在し、2−フェニルエチル(メタ)アクリレートは40〜60質量%で存在し、アルキル(メタ)アクリレートモノマーは30〜50質量%で存在し、架橋剤は0.5〜4質量%で存在する。
【0097】
上記のポリマー材料は、概して慣用の重合方法によってそれぞれのモノマー成分から調製されうる。選択された量のモノマーの重合混合物を調製する。この混合物に、一般式I又は一般式IIの架橋剤、アクリレート、メタクリレートもしくはアクリルアミドをベースとしたモノマーに特に適する他の少なくとも1種の架橋剤及び慣用の熱ラジカル開始剤を添加する。この混合物を光学材料を形成するのに適切な形状の型に導入し、そして穏やかな加熱によって重合を開始する。典型的な熱ラジカル開始剤としては、ペルオキシド、たとえば、ベンゾフェノンペルオキシド、ペルオキシカーボネート、たとえば、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、アゾニトリル、たとえば、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。好ましい開始剤はビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(PERK)である。
【0098】
または、モノマーはこれらのアクリルモノマー及び架橋剤の重合を開始することができる波長の化学線に対して透明である型を用いることによってモノマーを光重合してもよい。慣用の光開始剤化合物、たとえば、ベンゾフェノン型光開始剤を導入して光重合を促進することができる。
【実施例】
【0099】
例1 1,6−ヘキサンジオールビス(N−ビニルカルバメート)の調製
250mLの火炎乾燥した3つ口丸底フラスコ(RBF)はフリードリヒ還流コンデンサー(2.5℃に冷却するように設定)、温度モニタリングプローブ及び、圧力平衡化アームを有する60mL付加漏斗を備えていた。この装置を若干のN圧下に維持した。その後、RBFに120mLの無水THF,200μLのジブチルスズジラウレート(OH基に対して約0.2%モル)及び10gの1,6−ヘキサンジオール(0.085mol)を装填した。これらの成分を室温にて混合させた。
【0100】
60mL付加漏斗(火炎トーチで徹底的に乾燥)に、15gのN−ビニルイソシアネート(0.217mol)及び40mLの無水THFを、湿分暴露を防止するための膜を通してシリンジを介して添加した。反応がかなり発熱性であるので、過度の加熱を防止するために、ゆっくりと、THF中のN−ビニルイソシアネートをRBFに添加した。又は、添加はアイスウォーターバスによって0℃〜5℃で行うこともできる。THF中のN−ビニルイソシアネートの添加は2時間にわたって行われる。RBFの内容物を窒素上で24時間、室温でゆっくりと攪拌する。溶剤の除去によって白色粉末として生成物を提供し、その生成物は真空下(20〜30mmHg)で24〜48時間静置することでさらに乾燥できる。典型的な収率範囲は95〜99質量%である。
【0101】
例2 ジエチレングリコールビス(N−ビニルカルバメート)
250mLの火炎乾燥した3つ口丸底フラスコ(RBF)はフリードリヒ還流コンデンサー(2.5℃に冷却するように設定)、温度モニタリングプローブ及び、圧力平衡化アームを有する60mL付加漏斗を備えていた。この装置を若干のN圧下に維持した。その後、RBFに75mLの無水塩化メチレン、150μLのジブチルスズジラウレート(OH基に対して約0.2%モル)及び6gのジエチレングリコール(0.0565mol)を装填した。これらの成分を室温にて混合させた。60mL付加漏斗(火炎トーチで徹底的に乾燥)に、10gのN−ビニルイソシアネート(0.145mol)及び50mLの無水塩化メチレンを、湿分暴露を防止するための膜を通してシリンジを介して添加した。
【0102】
反応がかなり発熱性であるので、過度の加熱を防止するために、ゆっくりと、塩化メチレン中のN−ビニルイソシアネートをRBFに添加した。又は、添加はアイスウォーターバスによって0℃〜5℃で行うこともできる。この添加は2時間にわたって行われる。その後、RBFの内容物を24時間、室温でゆっくりと攪拌する。溶剤の除去によって白色粉末として生成物を提供し、その生成物は真空下(20〜30mmHg)で24〜48時間静置することでさらに乾燥できる。典型的な収率範囲は95〜99質量%である。その生成物はエチルエーテル/ヘキサンからの再結晶によって精製されうる。
【0103】
例3 1,12−ビス−(3−(1−ビニル−2−ピロリジノニル)ドデカンの合成
Whiteら、J. of Polymer Science Part A: Polymer Chemistry Vol. 40, 694-706(2002)に記載される合成手順に従った。すべてのガラス機器を使用前に160℃で炉乾燥した。N−ビニル−2−ピロリジノン(NVP)を蒸留し、使用前に24時間、4Åモレキュラーシーブ上に配置した。すべての他の試薬はAldrich chemical Co.から受け取ったままで使用した。250mL3つ口フラスコは付加漏斗、Nインレット、マグネティックスターラー、ゴム膜及び熱電対プローブを備えていた。このフラスコに、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LTMSA)82mL(THF中1.0モル溶液)、0.82molを装填し、次いで、ドライアイス/アセトンバス中にて攪拌して約−76℃とした。THF(9mL)中のNVP(9mL,0.084mol)を約30分間にわたって滴下して添加した。反応物をさらに1時間攪拌した。10mlのTHF中の1,12−ジブロモドデカン(12.8g、0.039mol)を反応フラスコに滴下して添加した。−74℃未満で混合物を1時間攪拌し、その後、室温に到達させた。攪拌を48時間続けた。サンプルを取り出し、水でクエンチし、エーテルで抽出した。GC分析は反応混合物中に残存している1,12−ジブロモドデカン(I)の証拠を示さなかった。
【0104】
反応を50mLの精製水でクエンチし、有機層を取り出した。水層を3×50mLのエーテルで抽出し、有機層を合わせて硫酸マグネシウム上で乾燥した。フラッシュ蒸留によって13.3gの粗材料を提供し、その粗材料をGC質量分析で分析し、それはNVPモノマー、1−(3−ビニル−2−ピロリジニノニル)−12−ブロモドデカン及び所望の生成物を含んでいた。粗材料の収率は88%であった。この粗材料を溶離溶剤として酢酸エチル/ヘプタン(70/30)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。画分I及び画分IIは主要生成物を含むようであった。第一の画分は6.1gの粘性油で、第二の画分は3.05gの半固体であった。
【0105】
例4及び5 シリコーンハイドロゲルの調製
表2に示す重合混合物からシリコーンハイドロゲル材料を調製した。当業者によく知られた方法を用いて重合反応を行った。重合に使用したビニル架橋剤は1,6−ヘキサンジオール−ビス(N−ビニルカルバメート)であり、それを重合混合物の合計質量に基づく質量%で報告する。M2D39は下記に示すジクワット、シロキサンモノマーであり、そしてTrisはトリス−(トリメチルシロキシ)−3−メタクリルオキシプロピルシランである。
【0106】
【化24】

【0107】
【表2】

【0108】
表2のシリコーンハイドロゲルフィルムを乾燥してそれぞれの型から離型し、重量計量した。その後、フィルムを水で一晩かけて抽出し、又はイソプロパノールで一晩(約16時間)もしくは2時間かけて抽出した。その後、抽出したフィルムを減圧下(30mmHg)で100℃で18〜24時間乾燥し、乾燥重量を記録した。表3はフィルムから抽出した化合物の質量%をまとめており、それは希釈剤であるプロピレングリコールを含んでいる。
【0109】
【表3】

【0110】
例6A〜6C シリコーンハイドロゲルの調製
表4に示す重合混合物からシリコーンハイドロゲル材料を調製した。当業者によく知られた方法を用いて重合反応を行った。重合に使用したビニル架橋剤は1,6−ヘキサンジオール−ビス(N−ビニルカルバメート)であり、それを重合混合物の合計質量に基づく質量%で報告する。シリコーンハイドロゲルフィルムを乾燥してそれぞれの型から離型し、重量計量した。その後、フィルムを表3に示すように抽出した。その後、抽出したフィルムを減圧下(30mmHg)にて100℃で18〜24時間乾燥した。各配合物に対して、重合及び続いて行う抽出を5回繰り返した。繰り返し実験について標準偏差とともに抽出データも表4に報告した。
【0111】
例7A〜7C シリコーンハイドロゲルの調製
表5に示す重合混合物からシリコーンハイドロゲル材料を調製した。当業者によく知られた方法を用いて重合反応を行った。重合に使用したビニル架橋剤はジエチレングリコール−ビス(N−ビニルカルバメート)であり、それを重合混合物の合計質量に基づく質量%で報告する。
【0112】
表5のシリコーンハイドロゲルフィルムを乾燥してそれぞれの型から離型し、重量計量した。その後、フィルムをイソプロパノールで2時間かけて抽出した。その後、抽出したフィルムを減圧下(30mmHg)にて100℃で18〜24時間乾燥し、乾燥質量を記録した。各配合物に対して、重合及び続いて行う抽出を5回繰り返した。繰り返し実験について標準偏差とともに抽出データも表5に報告する。
【0113】
【表4】

【0114】
MD1D11は下記一般式を有するGelest MCR−C12のモノメタクリレートエステルである。
【0115】
【化25】

【0116】
例8A〜8D シリコーンハイドロゲルの調製
表6に示す重合混合物からシリコーンハイドロゲル材料を調製した。当業者によく知られた方法を用いて重合反応を行った。重合に使用したビニル架橋剤はジエチレングリコール−ビス(N−ビニルカルバメート)であり、それを重合混合物の合計質量に基づく質量%で報告する。
【0117】
表6のシリコーンハイドロゲルフィルムを乾燥してそれぞれの型から離型し、重量計量した。その後、フィルムをイソプロパノールで2時間かけて抽出した。その後、抽出したフィルムを減圧下(30mmHg)にて100℃で18〜24時間乾燥し、乾燥質量を記録した。各配合物に対して、重合及続いて行う抽出を5回繰り返した。繰り返し実験について標準偏差とともに抽出データも表6に報告する。
【0118】
【表5】

【0119】
例9A〜9Dの得られたハイドロゲルフィルムの機械特性を表7に示す。比較例3の配合物は弱く、脆い材料となり、それは機械試験を行うことができず、このため、適切な光学材料ではない。
【0120】
【表6】

【0121】
M2D25はα,ω−ビス(メタクリルオキシブチルポリジメチルシロキサン)でDP=25である。
【0122】
【表7】

【0123】
例9A〜9D シリコーンハイドロゲルの調製
表8のシリコーンハイドロゲルフィルムを乾燥してそれぞれの型から離型し、重量計量した。その後、フィルムをイソプロパノールで2時間かけて抽出した。その後、抽出したフィルムを減圧下(30mmHg)にて100℃で18〜24時間乾燥し、乾燥質量を記録した。各配合物に対して、重合及び続いて行う抽出を5回繰り返した。
例9A〜9Dの得られたハイドロゲルフィルムの機械特性を表9に示す。
【0124】
【表8】

【0125】
VCa1D11は下記式のシロキサンマクロマーである。
【0126】
【化26】

【0127】
【表9】

【0128】
例10A〜10E シリコーンハイドロゲルの調製
表10のシリコーンハイドロゲルフィルムを乾燥してそれぞれの型から離型し、重量計量した。各成分を重合混合物の質量%で示す。その後、フィルムをイソプロパノールで2時間かけて抽出した。その後、抽出したフィルムを減圧下(30mmHg)にて100℃で18〜24時間乾燥し、乾燥質量を記録した。各配合物に対して、重合及び続いて行う抽出を5回繰り返した。
例10A〜10Eの得られたハイドロゲルフィルムの機械特性を表11示す。
【0129】
【表10】

【0130】
VC1D11及びM1−MCR−C12は下記式のシロキサンマクロマーである。
【0131】
【化27】

【0132】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
【化1】

(式中、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノール又はヒドロキシルから選ばれ、
AはO、O(CHCHO) 又は[SiRO]SiRであり、R及びRは、独立に、C1−4アルキル又はフェニルから選ばれ、vは1〜20であり、wは0〜60であり、
m及びnは独立に1〜10から選ばれる整数であり、pは0又は1であり、qは0〜6の整数であり、
X及びYは、独立に、O又はNRから選ばれ、Rは水素、C〜Cアルキル又はC〜Cアルカノールである)の化合物。
【請求項2】
YはNRであり、XはOである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
YはOであり、XはNRである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
YはNRであり、XはNRである、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
m及びnは2又は3であり、pは0であり、R、R、R及びRは水素である、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
一般式II
【化2】

(式中、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノール又はヒドロキシルから選ばれ、
AはO、O(CHCHO) 又は[SiRO]SiRであり、R及びRは、独立に、C1−4アルキル又はフェニルから選ばれ、vは1〜20であり、wは0〜60であり、
m及びnは独立に1〜10から選ばれる整数であり、pは0又は1であり、qは0〜6の整数である)の化合物。
【請求項7】
m及びnは2又は3であり、pは0であり、qは0、1又は2であり、R、R、R及びRは水素である、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
親水性モノマーの共重合のための架橋剤としての請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物の使用であって、前記親水性モノマーは反応性比Rがkhh/khxであり、請求項1の化合物は反応性比Rがkxx/kxhであり、khh、khx、kxx 及びkxh は以下のラジカル重合反応についての生長定数であり、そしてMは親水性モノマーであり、Mは親水性モノマーラジカルであり、Mは架橋剤であり、Mは架橋剤ラジカルであり、
* + M → Mhh
+ M → Mhx
+M → Mxx
+ M → Mxh
であり、R/R の比は0.1〜10である、前記化合物の使用。
【請求項9】
前記親水性モノマーはN−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニルイミダゾリドン、N−ビニルスクシンイミド、N−ビニルホルムアミド及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項8記載の化合物の使用。
【請求項10】
N−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニルイミダゾリドン、N−ビニルスクシンイミド、N−ビニルホルムアミド及びそれらの混合物からなる群より選ばれる親水性モノマーの共重合のための架橋剤としての請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物の使用であって、
請求項1の化合物及び前記親水性モノマーはレンズモノマーのための架橋剤をも含む重合混合物中に含まれ、前記レンズモノマーは2−ヒドロキシエチルメタクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)−3−メタクリルオキシプロピルシラン、ジメチルアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、メタクリル酸、2−フェニルエチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、モノメトキシポリエチレングリコールメタクリレート及びそれらの任意の混合物からなる群より選ばれる、前記化合物の使用。
【請求項11】
2種以上の架橋剤、親水性モノマー及びレンズモノマーの反応生成物を含むポリマーであって、その架橋剤の少なくとも1種が一般式I
【化3】

(式中、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノール又はヒドロキシルから選ばれ、
AはO、O(CHCHO) 又は[SiRO]SiRであり、R及びRは、独立に、C1−4アルキル又はフェニルから選ばれ、vは1〜20であり、wは0〜60であり、
m及びnは独立に1〜10から選ばれる整数であり、pは0又は1であり、qは0〜6の整数であり、
X及びYは、独立に、O又はNRから選ばれ、Rは水素、C〜Cアルキル又はC〜Cアルカノールである)を有する、ポリマー。
【請求項12】
2種以上の架橋剤、親水性ビニルモノマー及びレンズモノマーの反応生成物を含むポリマーであって、その架橋剤の少なくとも1種が一般式II
【化4】

(式中、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノール又はヒドロキシルから選ばれ、
AはO、O(CHCHO) 又は[SiRO]SiRであり、R及びRは、独立に、C〜Cアルキル又はフェニルから選ばれ、vは1〜20であり、wは0〜60であり、
m及びnは独立に1〜10から選ばれる整数であり、pは0又は1であり、qは0〜6の整数である)を有する、ポリマー。
【請求項13】
2種以上の架橋剤、親水性モノマー及びレンズモノマーの反応生成物を含むポリマーであって、その架橋剤の少なくとも1種が一般式III
【化5】

(式中、R及びRは、独立に、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノール又はヒドロキシルから選ばれ、
AはO、O(CHCHO) 又は[SiRO]SiRであり、R及びRは、独立に、C〜Cアルキル又はフェニルから選ばれ、vは1〜20であり、wは0〜60であり、
mは1、2又は3であり、n及びn’は独立に1〜10から選ばれる整数であり、pは0又は1である)を有する、ポリマー。
【請求項14】
前記親水性モノマーはN−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニルイミダゾリドン、N−ビニルスクシンイミド、N−ビニルホルムアミド及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項11、12又は13記載のポリマー。
【請求項15】
前記レンズモノマーは2−ヒドロキシエチルメタクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)−3−メタクリルオキシプロピルシラン、ジメチルアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、メタクリル酸、2−フェニルエチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、モノメトキシポリエチレングリコールメタクリレート及びそれらの任意の混合物からなる群より選ばれる、請求項11〜14のいずれか1項記載のポリマー。
【請求項16】
前記親水性モノマーは反応性比Rがkhh/khxであり、式Iの架橋剤は反応性比Rがkxx/kxhであり、khh、khx、kxx 及びkxh は以下のラジカル重合反応についての生長定数であり、そしてMは親水性モノマーであり、Mは親水性モノマーラジカルであり、Mは架橋剤であり、Mは架橋剤ラジカルであり、
* + M → Mhh
+ M → Mhx
+M → Mxx
+ M → Mxh
であり、R/R の比は0.1〜10である、請求項11〜15のいずれか1項記載のポリマー。
【請求項17】
前記親水性モノマー及びレンズモノマーは、反応性比R/Rが10より大きいか又は0.1未満であり、反応性比R/Rは以下のラジカル重合反応で定義され、Mは親水性モノマーであり、Mは親水性モノマーであり、Mはレンズモノマーであり、Mはレンズモノマーラジカルであり、Mは架橋剤であり、Mは架橋剤ラジカルであり、
+ M → Mhh
+ M → Mhi
+ M → Mii
+ M → Mih;及び
はR/R であり、そして
+ M → Mll
+ M → Mli
+ M → Mii
+ M → Mil;及び
はR/R である、請求項11〜16のいずれか1項記載のポリマー組成物。

【公表番号】特表2010−533232(P2010−533232A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516196(P2010−516196)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/069412
【国際公開番号】WO2009/009527
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(506076640)ボーシュ アンド ローム インコーポレイティド (99)
【Fターム(参考)】