架橋微粒子の製造方法及び架橋微粒子
【課題】化学的安定性や物理的安定性、光学的安定性、或いは使用時の操作安定性等に優れた架橋微粒子を工業的容易且つ安価に得ることのできる架橋微粒子の製造方法及びこれを用いてなる架橋微粒子を提供する。
【解決手段】 ポリマー及び/又はオリゴマー(A)中に、(A)と混和性を有するが非相溶であり、架橋剤を含むポリマー及び/又は反応性化合物(B)を島成分として含む成形体において、架橋剤を含むポリマー及び/又は反応性化合物(B)に架橋構造を導入し、次いで、ポリマー及び/又はオリゴマー(A)を分解又は溶解して除去し架橋剤を含むポリマー及び/又は反応性化合物(B)を分離・回収する。架橋剤は、熱架橋剤、感光架橋剤、放射線架橋剤、電子線架橋剤からなる群から選ばれた少なくとも1種の架橋剤であることが好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定した化学的、熱的、物理的性質を有した架橋微粒子の製造方法及び架橋微粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
架橋微粒子(架橋性ポリマー微粒子)の製法としては、先ず微粒子の製造とともに架橋も行うことが一般的であり、例えば、微粒子を形成するモノマーに架橋性モノマーを添加することが行われている。しかし、この方法では、使用できるモノマーやポリマー及び架橋の方法が限られる、架橋を微粒子の形成と同時に行わせる為に微粒子の直径の制御が十分でない、架橋が微粒子間にまたがり微粒子の凝集体が生成しやすい等の欠点があった。
【0003】
また、架橋させた樹脂を粉砕して微粒子化する方法も行われることがあるが、この方法では粉砕によって細かくなる粒子の径に限界があり、あまり細かい粒子を得ることは不可能であり、さらに、粒子の形状に凸凹があり、充分な流動性や付着性が得られない等の問題があった(特許文献1参照)。
【特許文献1】特表2002−506890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記のような種々の問題点を解決し、微粒子の形状を表面が平滑な球形或いは楕円形とするとともに、粒子径等、大きさの制御も十分に行い、かつ、架橋の程度も目的によって任意に制御することによって、化学的安定性や物理的安定性、光学的安定性、或いは使用時の操作安定性等に優れた架橋微粒子を工業的容易且つ安価に得ることのできる架橋微粒子の製造方法及びか架橋微粒子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明者等は、上記の欠点を改善すべく鋭意検討を行った。その結果、微粒子の製造と架橋の形成過程とを分離することによって、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち、 請求項1の架橋微粒子の製造方法は、ポリマー及び/又はオリゴマー(A)中に、ポリマー及び/又はオリゴマー(A)と混和性を有するが非相溶であり、架橋剤を含むポリマー及び/又は反応性化合物(B)を島成分として含む成形体において、架橋剤を含むポリマー及び/又は反応性化合物(B)に架橋構造を導入し、次いで、ポリマー及び/又はオリゴマー(A)を分解又は溶解して除去し前記架橋構造が導入された架橋剤を含むポリマー及び/又は反応性化合物(B)を分離・回収することを特徴としている。
【0007】
請求項2の架橋微粒子の製造方法は、架橋剤が、熱架橋剤、感光架橋剤、放射線架橋剤、電子線架橋剤からなる群から選ばれた少なくとも1種の架橋剤であることを特徴としている。
【0008】
請求項3の架橋微粒子の製造方法は、架橋剤を含むポリマー及び/又は反応性化合物(B)中の架橋剤量が、少なくとも0.1重量%であることを特徴としている。
【0009】
請求項4の架橋微粒子は、請求項1〜3のいずれか1項記載の架橋微粒子の製造方法により製造されてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、微粒子の形成段階と架橋反応段階とを分離することができるので、従来の製造方法では困難であった各種材料の微粒子化が可能となる。また、従来では微粒子に分散させるために必要であった分散剤や界面活性剤を必ずしも必要とせず不純物の少ないより安定した且つ化学的、物理的に均質で且つ形状安定性や耐熱性、耐薬品性に優れた微粒子を工業的容易且つ安価に得ることが出来、従来の微粒子が使用されていた用途は勿論であるが上記理由からその他の分野にも広く利用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明を具体的に説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
【0012】
本発明で使用するポリマー及び/又はオリゴマー(A)とは、熱によって流動する熱可塑性樹脂であれば特に限定されないが、例えば、熱可塑性ポリマー或いはその低分子オリゴマーが挙げられ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンープロピレン共重合体等のポリオレフィン類;
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、等のポリエスエテル類;
ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチレート、エイレンビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニル系重合体;
ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリブチレンメタクリレート、ポリエチレンナフタレート等のアクリル系重合体;
ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12等のポリアミド類;
ポリアセタ−ル、ポリアリレート、ポリカーボネート類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリスルホン、又は各種液晶性ポリマー、或いはポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート等の生分解性ポリマー;
又は、石油系樹脂;
エチルセルロース、サクサンセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体類;等のポリマー、及びそれらの組成を有するが分子量が高々10000程度のオリゴマーが挙げられる。これらの樹脂は高分子であっても或いはオリゴマー程度のものであっても、目的にあっておればかまわない。
【0013】
更に好ましくは、これらの熱可塑性樹脂が、加水分解可能或いは低級アルコールに分解可能或いはアンモニア水溶液に分解可能なポリマー又はオリゴマーであり、例えば、水溶性のポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル・アルコール、スルフォン酸変性水溶性ポリエステル、水溶性ポリアミド等が好ましい。また、更に好ましくは、アルカリ又は酸、又はそれらの水溶液や低級アルコール溶液で分解(解重合)される樹脂であり、例えば、ポリエチレンテレフタレート、スルフォン酸変性ポリエチレンテレフタレート、或いはポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、等の脂肪族ポリエステル類である。また、(B)の融点以下及び分解点以下で熱分解可能なポリマー及び/又はオリゴマー(B)の融点以下及び分解点以下で熱分解可能なポリマー或いはオリゴマーで、例えば、上述した(A)の中からこの条件に該当する樹脂を選定することが出来、或いはその他のものも使用可能である。
【0014】
本発明に使用する架橋剤を含むポリマー及び/又は反応性化合物(B)としては、ポリエチレンテレフタレート類、ポリアミド類、ビニル重合体類、アクリル系重合体類、ポリカーボネート類、生分解ポリマー類、ポリアミド類、ビニル系重合体類、ポリオレフィン類、アクリル系重合体類、及び上記例示のポリマーの反応性オリゴマーやモノマーを一部として含むものが挙げられる。上記例示のポリマー及び/又は反応性化合物(B)としては、より具体的には、ナイロン6、ポリスチレン、ポリエチレン(PE)、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0015】
混和性を有するとは、(A)と(B)とを混合した場合、(B)が島成分として十分に安定した状態で存在することであり、非相溶とは(A)及び(B)が実質的に溶解しないことで、上述したように(A)中に(B)の島成分が明瞭に存在すること(相分離した状態)を示す。これは、通常の光学顕微鏡や位相差顕微鏡、電子顕微鏡にて容易に観察判断できる。
【0016】
従って、(A)と(B)との好ましい組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば、(A)として、ポリエチレンを使用した場合は、(B)として、ポリエチレンテレフタレート類、ポリアミド類、ビニル重合体類、アクリル系重合体類、ポリカーボネート類、生分解ポリマー類、等が好適に使用可能である。また、(A)として、ポリエステル類を使用した場合は、(B)として、ポリアミド類、ビニル系重合体類、ポリオレフィン類、アクリル系重合体類等を好適に使用できる。
【0017】
また、上記例示のポリマーの反応性オリゴマーやモノマーを一部として含むものも使用可能である。
【0018】
反応性オリゴマーとは例えばポリエステルのエステル交換後のオリゴマー或いはナイロンの重合過程のオリゴマー、ポリウレタンではポリオールとジイソシアネートとのプレポリマーにブタンジオール等の鎖伸長剤を含んだもの等を示す。
【0019】
ポリマー及び/又はオリゴマー(A)としてアクリル系重合体を使用した場合は、同様にアクリル系重合体以外のポリマーを好適に使用できる。それらの中でどういう組み合わせにするかは、(A)と(B)とを混合した場合の相分離の状態や安定性、系の粘度、或いはそれぞれの融点或いは混合系から(B)の微粒子の取り出し方により最適な組み合わせを選択する。
【0020】
(B)中には、架橋剤或いは必要に応じて重合触媒、熱安定剤、光安定剤、滑剤、又は樹脂に使用されるその他の一般的添加剤を含むことが出来る。架橋剤としては熱により架橋反応を起こす熱架橋剤、光特に紫外線により架橋を起こす感光架橋剤(光架橋剤)、ガンマ線や電子線といった高エネルギー線にて架橋を起こす各種の多官能基含有化合物等からなる放射線架橋剤、電子線架橋剤等の中から、目的や性能或いは製造方法に最適の架橋剤を選定すればよい。
【0021】
ここで、上記架橋反応とは、三次元のポリマーネットワークを形成することあり、通常は架橋剤を介しての(B)ポリマーの分子鎖間での架橋反応或いは架橋剤同士での反応をいう。従って、本発明の架橋微粒子の製造方法において、架橋構造を導入するとは、島成分である(B)中に架橋剤を介して分子鎖間で架橋を形成させることをいう。架橋剤は、上記の反応を起こすものであれば特に限定されないが、例えば、複数のエポキシ基を分子内に有するアリルグリシジルエーテル、エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類、複数のビニル基を分子内に有するグリシジルメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート等のジ(メタ)アクリレート類、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド等のビスマレイミド類、ジアセトンアクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビスアミド類、ジメチルベンジルパーオキサイド、ジベンジルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド等のパーオキサイド類、カルボジイミド類、ジイソシアネート類、メチレンビスアクリルアミド等のジアミド類、トリメタノールプロパン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコール類、トリアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアネート等のイソシアヌレート類等が挙げられる。
【0022】
本発明に使用する架橋剤の量は、少なくとも0.1重量%、好ましくは0.5重量%、特に好ましくは1-10重量%である。0.1重量%より低い場合は架橋反応が十分でないか或いは架橋反応に時間がかかるおそれがある。また、10重量%より多くなると架橋剤の効果が飽和に達するか或いは物性の低下をきたす場合がある。上記架橋剤の中で、熱架橋剤は混合時に架橋反応を生じさせず、或いは混合後に架橋温度まで昇温して架橋反応を起こすことが出来る。
【0023】
また、光架橋剤を使用した場合は、(A)と(B)との混合状態では、光が十分に内部まで通らず架橋反応を均一に起こすことが出来ない場合があり、微粒子を取り出した後、光を照射して架橋反応を行う必要がある。電子線や放射線等の高エネルギー線では任意に照射量の調整が出来、また、連続的に処理やバッチ的な処理のいずれも可能で工業的には好ましい。
【0024】
高エネルギー線の照射線量としては、通常少なくとも5KGy、好ましくは少なくとも10KGy、更に好ましくは少なくとも15〜300KGyである。5KGyより低い場合は、十分な架橋反応が起きず粒子を取り出す際に粒子の変形や溶剤への溶解等が生じる事がある。一方、300KGyより大きい場合は、粒子の架橋は飽和に達するばかりか構成するポリマー分子の切断等が多くなり物性が低下する場合がある。
【0025】
架橋の程度は、(B)成分よりなるポリマーの良溶剤に粒子を一定時間浸漬して、溶剤により粒子から未架橋部分のポリマーが溶出する際の重量減少率より評価できるが、通常高々20重量%、好ましくは高々10重量%、更に好ましくは7.5重量%である。重量減少率が低いほど、架橋構造は高く粒子の化学的安定性や熱的な安定性、機械的強度が高いことがわかる。一方、重量減少率が高いほど、架橋の割合は低く粒子は変形しやすく、又低温で融着する。用途や目的に応じてこうした架橋度を調整する必要がある。例えば、充填剤等に使用し比較的力学的強度が必要な場合は、架橋度を上げるが、比較的低温で融着するトナーの用途等では架橋度を下げる必要がある。しかし、こうした熱的な性質や力学的性質は架橋度の調整以外に(B)成分の調整によっても可能であり、目的、性能に応じて多くの条件の調整が可能なことも本発明の特徴である。
【0026】
本発明における、(A)/(B)の比率はそれらの合計を100重量部として通常、(A)/(B)=30〜90重量部/70〜10重量部である。好ましくは(A)/(B)=50〜80重量部/50〜20重量部であり、更に好ましくは(A)/(B)=60〜80重量部/40〜20重量部である。 これらの比率は(A)と(B)との組み合わせにより任意に組み合わせればよく特に限定はない。例えば粒子径の小さい(B)、例えば10ミクロン以下の粒径を有する(B)を得る場合は、(B)の比率が高々30重量部、好ましくは高々20重量部、更に好ましくは高々10重量部である。勿論この値は(A)と(B)の性状や温度や剪断力、時間等の混練条件によっても調整が可能であり、極めて広範囲に有用な方法である、
(A)と(B)との混合においては、ポリマーブレンド或いはアロイ化の場合に使用される分散剤或いは相溶化剤を使用することも可能である。分散剤は界面活性剤を使用することが出来、(B)成分よりなる粒子の形状やサイズの調整に効果的である。しかし、相溶化剤の使用においては、(A)と(B)との相溶性が余りに上がると、(A)と(B)との界面の相互溶解が進行し、純粋な島成分としての(B)成分による粒子が得られないということもあるので、使用においては注意を有する。
【0027】
本発明において、(A)と(B)との混合・分散は攪拌機を有する加熱可能な混合機、単軸或いは多軸混練機或いは静的混練素子或いは超音波分散機にて行うことが出来るが、ポリマーを十分に溶融し、且つ大きな剪断力与えるために1軸或いは多軸のスクリューを有する溶融混練機、2軸でお互いに大きな面積と剪断を与える突起等を有する回転板からなる高剪断攪拌機、加熱状態で大きな攪拌力を与えるニーダー、バンバリーミキサー、或いは2本ローラー等の通常ポリマーやゴムの溶融混練に使用される攪拌混合機を使用することが出来る。混合の程度は、攪拌時の粘度や外観、サンプリングして(A)及び(B)の相分離構造を光学顕微鏡や電子顕微鏡にて観察して最適の状態を得ることが出来る。また、混合時に適当な相溶化剤を添加することも好ましい。
【0028】
(B)には(A)との混合時又はそれ以前に微粒子として使用する場合に機能を与えるための添加剤、例えば、酸化チタン、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機微粒子、染料や顔料等の着色用の色素、酸化鉄、フェライト等の磁性材料、微粒子のダイヤモンドやコランダム等の研磨材、有機系或いは無機系発泡剤を混合することも好ましい。
【0029】
(A)と(B)との混合物は、通常のペレットの形で押し出したり、ストランド状、シート状やフィルム状に押し出したり、或いは繊維状に押し出したり任意の形で押し出すことが出来、この後固化したり、或いはそのまま次の工程に入ることも出来る。
【0030】
本発明における架橋構造の導入すなわち、架橋処理は、(A)成分中に(B)成分よりなる微粒子が島成分として含まれている状態であれば、どの段階でもかまわないが、通常は(A)と(B)とを混合後、上述したように、ペレット状、シート状、フィルム状、繊維状であればそのまま加熱ゾーンや紫外線照射ゾーン、放射線照射ゾーン或いは電子線照射ゾーン等を一定速度で通過させることによって連続して処理可能である。或いは、バッチ的に処理可能である。ペレット状であれば、ベルトコンベア等連続的に動かして上述した連続処理が可能であり、或いは金属製、プラスチック製、セラミック製、木製或いは紙製の容器に入れて連続的に処理したり、或いはバッチ的に処理することが可能である。こうして架橋処理後に(A)を溶解或いは分解して(B)を(A)から分離・回収することが出来る。
【0031】
また、架橋処理は上述した他に、(A)から、(B)成分よりなる粒子を分離回収後に、上述した連続処理或いはバッチ的な処理により架橋処理を行うことが出来る。一般的に、こうした対象物に直接高エネルギー線を照射する場合は、材料表面に活性な部位が付与されそこに空気中の酸素が付着し酸化基(OH,CO,COOH等)が発生し粒子事態の表面特性が変化することがある為に、必要であれば窒素やアルゴン等の不活性ガスでシールする等の処置をすることが好ましい。或いは、(B)成分よりなる粒子を分離・回収後に架橋処理を行う際は、粒子が過熱等により融着・凝集しないように例えば架橋処理に悪影響しない媒体中、例えば水中、塩溶液中、アルコール中、シリコーン油中、鉱物油中、適宜その他の媒体中で処理することが好ましい。
【0032】
(A)成分中からの(B)成分よりなる粒子の取り出し方は、多くの方法が可能である。例えば、(A)を溶解し(B)を溶解しない溶剤で処理し(A)を除去し(B)粒子をろ過法や遠心分離法等にて取り出す方法、(A)を分解(例えば加水分解或いは低級アルコールでの分解等、或いは熱分解、或いは光分解)させて(B)粒子を取り出す方法等が可能である。取り出された(B)粒子は必要であれば、表面の洗浄を行い、或いは粒子の良溶剤やエッチング剤で処理する事によって粒子の表面状態の変化(凹凸の付与や水酸基或いはカルボニル基、アミノ基等官能基の生成付与)が可能であり、又必要であれば所定の粒子群になるように分級する。更に、必要であれば、所定の分散液に分散させた状態で保存することや乾燥して保存することも可能である。または、着色したり、所定の荷電を与えたり、滑剤を与えて摩擦を下げたりする表面処理を施すことも可能である。
【0033】
本発明の(B)の粒子は、各種充填剤や添加剤或いは潤滑剤、紫外線吸収剤或いは熱線吸収剤、色剤、物質貯蔵剤或いは磁性粉体、触媒機能を有する粉体として色々な用途に使用可能である。
【実施例】
【0034】
以下、実施例につき説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
(B)成分として、ナイロン6(東洋紡製 T802)を使用し、その中にトリアリルイソシアヌレート(TAIC シグマアルドリッチ試薬)を10%添加して密閉式2軸ニーダーにて210℃で20分混合する。次いで、この(B)を粉砕機にて大きさが約2-5mm程度の粒状に粉砕した。この粉砕物と(A)としてポリ乳酸(ビーエムジー製、Mw=14.7万、Tm=171.3℃)とを(A)/(B)=60/40(重量比)でドライブレンドし、これを2軸混練機(機種名:KZW15−30MG テクノベル製)でC1/C2/C3/C4/C5/Dの温度をそれぞれ150/200/210/230/230/180(℃)として、2軸スクリューの回転を60rpmにて溶融混練を行った。溶融混練物は幅50mm厚さ0.5mmのT−ダイ式口金よりシート状に押し出し、50℃に保ったチルドローラーで引き取りシート化した。シートは失透しており、(A)と(B)とが相分離していることが示された。次いで、このシートに電子線(NHVコーポレーション製800KV機)を50kGy照射した。そのシートを約5mm角程度のフレイクに切断し、このフレイクを1%NaOH水溶液で95℃、1時間処理すると、粉体が得られた。得られた粉体は、水分散液にてナノトラック(モデルNPA150:日機装(株)製)にかけて粒度分布を測定した。粒子径は本発明では、2.3〜3.8μmの極めて幅の狭い分布を示した。又、ポリ乳酸の良溶剤であるジオキサンに室温で24時間浸漬攪拌後残存した試料の重量減少率を測定した結果、5.3重量%であった。
【0035】
(比較例1)
シートに対する電子線照射を行わない以外は実施例1と同様の操作を行い比較用のシートを得た。そのシートを約5mm角程度のフレイクに切断し、このフレイクを1%NaOH水溶液で95℃、1時間処理すると、粉体が得られた。得られた粉体は、水分散液にてナノトラック(モデルNPA150:日機装(株)製)にかけて粒度分布を測定した。粒子径は2.3〜5.1と幾分広い分布となった。又、ポリ乳酸の良溶剤であるジオキサンに室温で24時間浸漬攪拌後残存した試料の重量減少率を測定した結果、サンプルは完全に溶解して残存重量はなかった。
【0036】
(実施例2)
(B)成分としてポリスチレン(宇部興産製 US310)を用い、その中にトリアリルメタイソシアネート(TMAIC)を18重量%混合し、実施例1と同様にニーダーにて140℃にて15分間溶融混練した。取り出し冷却後、粉砕機にかけて約5mm程度の粒子とした。次いで、(A)成分として、酸成分として5 −スルホイソフタル酸ジメチルナトリウムを50モル%、テレフタル酸を50モル%含み、アルコール成分としエチレングリコール35モル%及び1,4−シクロヘキサンジメタノール65モル%よりなるスルフォン酸変性ポリエチレンテレフタレートを用いて、(A)/(B)=65/35(重量部)をドライブレンド後、実施例1と同様に、2軸混練機にてC1/C2/C3/C4/C5/D=150/230/230/250/250/220(℃)の温度で溶融混合した。溶融混練後に、押し出し機先端より直径3mmのストランドとして押し出し、空気で冷却後ストランドカッターにて長さ3mmに切断してペレットを得た。このペレットを実施例1と同様に電子線を照射した。このペレットを0.5%のアルカリ水溶液中で95℃で2時間処理した。各々のペレットから粒子が生成した。生成した粒子をろ過にて取り出し、純粋で洗浄した。洗浄後の粒子を純粋に分散させて、粒子径分布を測定した。6.3〜8.1μの粒子径分布を有し、比較例は6.1〜8.7μの粒子径分布を有した。又、分離洗浄した粒子を50℃で6時間乾燥後、80℃のホットプレート上に置きスライドガラスで弱く上から押さえると粒子は融着せず耐熱性に優れていた。
【0037】
(比較例2)
ペレットに対する電子線照射を行わない以外は実施例2と同様の操作を行い比較用のペレットを得た。このペレットを0.5%のアルカリ水溶液中で95℃で2時間処理した。各々のペレットから粒子が生成した。生成した粒子をろ過にて取り出し、純粋で洗浄した。洗浄後の粒子を純粋に分散させて、粒子径分布を測定した。6.1〜8.7μの粒子径分布を有した。又、分離洗浄した粒子を50℃で6時間乾燥後、80℃のホットプレート上に置きスライドガラスで弱く上から押さえると粒子はお互いに融着した。
【0038】
(実施例3)
(B)成分として、PE(日本ポリエチレン製 HY420)を使用し、先ず実施例1と同様にTAICを12.5重量%添加して、2軸ニーダーにて130℃で30分間溶融混練した。次いで、(A)成分として、ポリビニルアルコール(商品名「エクセバール」 クラレ製)を用いて、(A)/(B)=55/45(重量部)にドライブレンドして、2軸混練機にてC1/C2/C3/C4/C5/D=110/130/130/150/150/120(℃)の温度で溶融混合し、押し出し機の先端につけた実施例1で使用したTダイより、シート状に押し出し空気で冷却し、シートを得た。次いで、該シートを電子線(NHVコーポレーション製800KV機)を50kGy照射した。次いで、照射後のシートを95℃の熱水にて溶解してPEの微粒子を得た。本発明の粒子は直径が3.9〜9.2μmの分布を有していた。60℃に加熱したホットプレート状に得られた粒子を置き、上からスライドガラスで弱く抑えると本発明の粒子では融着せず安定であった。
【0039】
(比較例3)
シートに対する電子線照射を行わない以外は実施例3と同様の操作を行い比較用のシートを得た。この未照射のシートを同様に熱水で処理した。粒子は、4.1〜10.3μmの粒子径の分布を有していた。60℃に加熱したホットプレート状に得られた粒子を置き、上からスライドガラスで弱く抑えると粒子がお互いに融着した。
【0040】
(実施例4)
(B)成分として、PE(日本ポリエチレン製 HY420)を使用し、先ず実施例1と同様に、TAICを12.5重量%添加して、2軸ニーダーにて130℃で30分間溶融混練した。次いで、(A)成分として、ポリビニルアルコール(商品名「エクセバール」 クラレ製)を用いて、(A)/(B)=55/45(重量部)にドライブレンドして、2軸混練機にてC1/C2/C3/C4/C5/D=110/130/130/150/150/120(℃)の温度で溶融混合し、押し出し機の先端につけた実施例1で使用したTダイより、シート状に押し出し空気で冷却し、シートを得た。次いで、該シートを電子線(NHVコーポレーション製800KV機)を50kGy照射した。次いで、照射後のシートを95℃の熱水にて溶解してPEの微粒子を得た。又、比較例として未照射のシートを同様にて熱水で処理した。本発明の粒子は直径が3.9〜9.2μmの分布を有していた。又比較例は、4.1〜10.3μmの粒子径の分布を有していた。60℃に加熱したホットプレート状に得られた粒子を置き、上からスライドガラスで弱く抑えると比較例は粒子がお互いに融着したが、本発明の粒子では融着せず安定であった。
【0041】
(比較例4)
シートに対する電子線照射を行わない以外は、実施例4と同様の操作を行い比較用のシートを得た。この未照射のシートを実施例4と同様に熱水で処理した。微粒子は、4.1〜10.3μmの粒子径の分布を有していた。60℃に加熱したホットプレート状に得られた粒子を置き、上からスライドガラスで弱く抑えると粒子がお互いに融着した。
【0042】
(実施例5)
(B)成分として、ポリビニルアルコールを使用し、先ず実施例1と同様にTAICを10重量%添加して、2軸ニーダーにて150℃で30分間溶融混練した。次いで、(A)成分として、ポリスチレン(出光興産製 US310)を用いて、(A)/(B)=75/25(重量部)にドライブレンドして、2軸混練機にてC1/C2/C3/C4/C5/D=110/150/150/170/150/120(℃)の温度で溶融混合し、押し出し機の先端につけた実施例1で使用したTダイより、シート状に押し出し空気で冷却し、厚さ0.5mmのシートを得た。次いで、該シートを電子線(NHVコーポレーション製800KV機)を50kGy照射した。次いで、照射後のシートを60℃にて処理し、マトリックス成分のポリスチレンを溶解除去してポリビニルアルコールの微粒子を得た。本粒子は直径が1.4〜3.2μmの比較的狭い分布を有していた。本微粒子は水に浸漬すると約30重量部の水を吸水膨潤する性能を有するが、それでもなお弾力性のある粒子形状を維持していた。この性質より化粧品の保湿剤や滑剤として有効であることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の架橋微粒子は、各種充填剤や添加剤或いは潤滑剤、紫外線吸収剤或いは熱線吸収剤、色剤、物質貯蔵剤或いは磁性粉体、触媒機能を有する粉体として色々な用途に使用可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー及び/又はオリゴマー(A)中に、ポリマー及び/又はオリゴマー(A)と混和性を有するが非相溶であり、架橋剤を含むポリマー及び/又は反応性化合物(B)を島成分として含む成形体において、架橋剤を含むポリマー及び/又は反応性化合物(B)に架橋構造を導入し、次いで、ポリマー及び/又はオリゴマー(A)を分解又は溶解して除去し架橋剤を含むポリマー及び/又は反応性化合物(B)を分離・回収することを特徴とする架橋微粒子の製造方法。
【請求項2】
架橋剤が、熱架橋剤、感光架橋剤、放射線架橋剤、電子線架橋剤からなる群から選ばれた少なくとも1種の架橋剤であることを特徴とする請求項1項記載の架橋微粒子の製造方法。
【請求項3】
架橋剤を含むポリマー及び/又は反応性化合物(B)中の架橋剤量が少なくとも0.1重量%である請求項1または2記載の架橋微粒子の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の架橋微粒子の製造方法により製造されてなる架橋微粒子。
【公開番号】特開2006−188613(P2006−188613A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
化学;冶金 | 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物 | 仕上げ;一般的混合方法;サブクラスC08B,C08C,C08F,C08GまたはC08Hに包含されない後処理 | 高分子物質の処理方法または混合方法 | 高分子物質の架橋,例.加硫,
化学;冶金 | 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物 | 高分子化合物の組成物 | 不特定の高分子化合物の組成物
【出願番号】特願2005−1881(P2005−1881)
【出願日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(591167430)株式会社KRI
【Fターム(参考)】
高分子物質の処理方法 | 高分子材料(化学構造) | 多糖類、その誘導体 | セルロース系
高分子物質の処理方法 | 高分子材料(化学構造) | 付加系ポリマー | オレフィンの(共)重合体
高分子物質の処理方法 | 高分子材料(化学構造) | 付加系ポリマー | オレフィンの(共)重合体 | エチレンの
高分子物質の処理方法 | 高分子材料(化学構造) | 付加系ポリマー | オレフィンの(共)重合体 | プロピレンの
高分子物質の処理方法 | 高分子材料(化学構造) | 付加系ポリマー | オレフィンの(共)重合体 | エチレン−プロピレン共重合体(←EPDM)
高分子物質の処理方法 | 高分子材料(化学構造) | 付加系ポリマー | 不飽和芳香族化合物の(共)重合体 | スチレンの
高分子物質の処理方法 | 高分子材料(化学構造) | 付加系ポリマー | ハロゲン化ビニル、ビニリデンの(共)重合体 | 塩素原子を有するもの | 塩化ビニル、ビニリデン
高分子物質の処理方法 | 高分子材料(化学構造) | 付加系ポリマー | 不飽和アルコール、エーテル系の(共)重合体
高分子物質の処理方法 | 高分子材料(化学構造) | 付加系ポリマー | 不飽和アルコール、エーテル系の(共)重合体 | ビニルアルコールの
高分子物質の処理方法 | 高分子材料(化学構造) | 付加系ポリマー | 不飽和エステルの(共)重合体
高分子物質の処理方法 | 高分子材料(化学構造) | 付加系ポリマー | 不飽和エステルの(共)重合体 | 酢酸ビニルの
高分子物質の処理方法 | 高分子材料(化学構造) | 付加系ポリマー | 不飽和モノカルボン酸又はその誘導体の | エステルの
高分子物質の処理方法 | 高分子材料(化学構造) | 付加系ポリマー | 不飽和モノカルボン酸又はその誘導体の | エステルの | (メタ)アクリル酸エステル系
高分子物質の処理方法 | 高分子材料(化学構造) | 付加系ポリマー | 不飽和モノカルボン酸又はその誘導体の | ニトリル | (メタ)アクリロニトリル
高分子物質の処理方法 | 高分子材料(化学構造) | 重付加、重縮合 | ポリアセタール
高分子物質の処理方法 | 高分子材料(化学構造) | 重付加、重縮合 | ポリエステル
高分子物質の処理方法 | 高分子材料(化学構造) | 重付加、重縮合 | ポリエステル | 全芳香族ポリエステル
高分子物質の処理方法 | 高分子材料(化学構造) | 重付加、重縮合 | ポリカーボネート
高分子物質の処理方法 | 高分子材料(化学構造) | 重付加、重縮合 | ポリアミド
高分子物質の処理方法 | 高分子材料(化学構造) | 重付加、重縮合 | ポリイミド(←ポリアミドイミド)
高分子物質の処理方法 | 高分子材料(化学構造) | 重付加、重縮合 | 主鎖に−S−結合を含むもの
高分子物質の処理方法 | 配合剤又は処理剤(化学構造) | 有機化合物 | 酸素含有化合物 | アルコール、金属アルコラート
高分子物質の処理方法 | 配合剤又は処理剤(化学構造) | 有機化合物 | 酸素含有化合物 | エーテル
高分子物質の処理方法 | 配合剤又は処理剤(化学構造) | 有機化合物 | 窒素含有化合物 | アミド
高分子物質の処理方法 | 配合剤又は処理剤(化学構造) | 有機化合物 | 有機過酸化物
高分子物質の処理方法 | 配合剤又は処理剤(化学構造) | 有機化合物 | 芳香環以外のC−C不飽和結合を持つもの | ビニル基を有するもの
高分子物質の処理方法 | 配合剤又は処理剤(化学構造) | 有機化合物 | 環式のもの | 複素環を有するもの
高分子物質の処理方法 | 配合剤又は処理剤(機能) | 架橋剤、加硫剤、それらの助剤、促進剤
高分子物質の処理方法 | 架橋(手段) | 波動エネルギー又は粒子線を適用するもの
高分子物質の処理方法 | 架橋(手段) | 過酸化物によるもの
高分子物質の処理方法 | 架橋(手段) | 加熱によるもの
高分子物質の処理方法 | 架橋(操作) | 架橋、硬化時の条件の特定
高分子物質の処理方法 | 架橋(対象物の形状、構造等) | 特定形状、構造のもの
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