説明

架橋性オリゴマーの製造方法

VHC=CHXの構造を有し、その60%超が少なくとも一つの架橋性官能性部分を有する少なくとも一つのモノマーと、WHC=CYZの構造を有する少なくとも一つのモノマーとを所定のモル比と反応条件で反応させることを含む架橋性オリゴマーの製造方法。斯様な架橋性オリゴマーを利用する硬化性コーティング、封止剤、および接着剤および斯様な架橋性オリゴマーから誘導されるブロック状、分岐状、星型、および櫛型のグラフト架橋性コポリマーもまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規架橋性オリゴマーの製造方法、新規架橋性オリゴマー、および該架橋性オリゴマーを利用する架橋性コーティング、封止剤、および接着剤に関する。斯様な架橋性オリゴマーから誘導されるブロック状、分岐状、星型、および櫛型のグラフト架橋性コポリマーもまた開示される。
【背景技術】
【0002】
コーティングおよび他の産業においてますます厳しくなる世界的なVOCの規制、およびこれに伴い、これらのVOC規制に適合するに必要な溶剤含有率低減のため、樹脂性能の向上が必要になった。コーティング中の溶剤含有率の低減には固体/粘度特性の改良が必要である。通常、低VOC系で樹脂の粘度と必要溶剤量を低減するには分子量と重合度を低下させる。しかし、通常の重合技術ではオリゴマーの分子量が低ければ低いほど、十分な架橋官能基を取り入れるのが困難である。事実、分子量が非常に低いオリゴマーは官能基が全くない画分を含む可能性がある。その結果として不十分な架橋密度と比較的高含量の易動性かつ抽出可能な成分に起因するコーティングの性能低下の可能性がある。この官能基不足は官能性モノマーの配合率を非常に高くすることにより幾分相殺できるが、この解決法は相溶性不足、高濃度のイソシアナートの必要など、それ自体の諸問題を誘発する恐れがある。イソシアナートは最も高価なコーティング成分の一つであり、後者はコーティングメーカーにとってコスト増を招く可能性がある。さらに、従来の重合技術では狭い官能基分布や狭い分子量分布が得られない。
【0003】
VOCを低減する他の技術には、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、およびトリメチロールプロパンなどの低分子量の、オリゴマーでない「ポリオール」を用いる方法がある。しかし、これらは非常に高濃度のイソシアナートを必要とする、乾燥時間が非常に遅い、架橋密度が非常に高いなどの難点がある。また、同様の欠点を有し、非常に湿気に敏感でもあるのが、障害によって反応性を抑制したアルジミン、ケチミン、およびオキサゾリジノンなどのアミン含有希釈剤である。
【0004】
いくつかの他の技術もまた分子構造および重合反応を制御するのに利用される。これらはグループ移動重合(GTP)、原子移動重合(ATRP)、ニトロキシドが介在する重合、および可逆付加開裂移動(RAFT)重合が含まれる。これらの技術は重合反応に顕著な制御を与えるが、また、排除し難く費用効率的でない既調製試薬の使用を必要とする。
【0005】
さらに、従来のラジカル重合法で調製した架橋性コポリマーが少なくとも一つの架橋性部分を有することを確実にする種々の試みが知られている。通常、これは少なくとも一つの末端基を斯様な架橋性部分に確実に結合させることにより達成される。たとえば、開始剤部分に結合した架橋性官能基を利用することができる。しかし、この方法は特殊開始剤の高コストと、目的とする低分子量を達成するに必要な斯様な特殊開始剤の高濃度とを合わせればコスト的に成立しない。
【0006】
従来の連鎖移動剤に付けた架橋性官能基(たとえばメルカプトエタノール)も用いられてきた。しかし、これらは高価である上に、メルカプタン官能基はオリゴマーの毒性と臭気を増加させ、得られるコーティングの耐久性を低下させる。
【0007】
高い連鎖移動反応性を有するアリルアルコール誘導体などの官能性コモノマーを用いることができる。Guoらは2月6−8日の第29回国際水性ハイソリッドおよび粉体コーティングシンポジウム予稿集211−223ページの“High-Solids Urethane Coatings With Improved Properties From Blends of Hard and Soft Acrylic Polyols Based on Allylic Alcohols”にこの方法で得られたポリオールの「保証された」官能性を記述している。より具体的には、この報告は重合方法において一官能性および無官能性ポリマー鎖の濃度を制限する官能基制御について述べている。この重合法はまた、より多くの交互水酸基官能性構造を生じさせる。連鎖移動剤機能としても作用するアリルアルコールモノマーも使用されている。米国特許第5,571,884号および米国特許第5,475,073はアリル系ヒドロキシ官能基モノマーおよび低分子量樹脂の使用に関するが、斯様な「保証された」官能性を特に記載していない。しかし、この種の方法は特殊な官能性コモノマーの使用を必要とする。これらのコモノマーは、より広く用いられているメタクリレートやスチレン系に比して耐久性の観点からあまり好ましくない。
【0008】
より一般的な官能性モノマーのラジカル共重合が架橋性ポリマーの製造に広く用いられている。斯様な方法に比較的高温条件を用いることも既知である。しかし、コモノマーや標準的な開始剤以外に構造材を用いないで官能性オリゴマーの最小の官能性をいかに増加させるかについて、これらの方法は明らかにしていない。
【0009】
米国特許第5,710,227号はアクリル酸およびその塩のモノマーと特定の組成の水、ケトン、アルコールまたは他のエステル以外の溶剤とからのオリゴマーの生成に関する。これらのオリゴマーの重合度は50未満であるが、最小官能基濃度や純度の制御法の記載はない。
【0010】
米国特許第5,376,626号は高温条件下のアクリル、スチレン系およびメタクリル系モノマーからの高純度マクロモノマーの合成について記述している。高純度マクロモノマーは反応混合物中のアクリルおよびスチレン系モノマーの量が等しいかまたは反応混合物中の全モノマーの半分以上であるときにのみ得られる。Polymer Preprints, 2002, volume 43, issue 2、page 160で山田も過剰のアクリルモノマーを必要とするメタクリルおよびアクリルモノマーの共重合を記述している。さらに、両資料とも、マクロモノマー中の架橋性官能基の分布の制御の記載はない。
【0011】
WO99/07755およびEP1010706に、非常に高濃度のスチレン系およびアクリル系モノマーを利用してマクロモノマーを作る高温法が記載されているが、生成物中に高濃度化された最小の架橋性側基の官能基を取り入れる方法は記述されていない。
【0012】
米国特許第6,100,350号は、重合性オレフィン基を有する多重分岐を含む付加ポリマーの合成に関する。しかし、反応混合物中に多量のアクリレートモノマーを必要とし、効率的な重合には前もって調製したマクロモノマー状の連鎖移動剤の使用を必要とする。
【0013】
米国特許公開2002/0193530号はジカルボン酸と反応できるペンダント官能基を有するコポリマーに関する。
【0014】
米国特許公開2004/0122195号は、複合マクロモノマー合成と引き続くアクリレートとの低温共重合を含み、用いるアクリレートコモノマーの量がマクロモノマーとコモノマーの全混合物の50%以下である、コポリマーの製造方法に関する。さらに、オリゴマー中の架橋性官能基の分布の制御には注意が払われていない。
【0015】
公開WO2004/007627号は、非官能性アクリレートおよび官能性メタクリレートモノマーのモノマー混合物の反応を含む、架橋性オリゴマーの製造方法を記述している。これらの架橋性オリゴマーを含むコーティングはコーティングの硬度およびコーティング硬化時間が不十分であり、揮発性有機物含有率(VOC)が高すぎる。
【0016】
米国特許公開2005/004321は官能性アクリレートおよび非官能性メタクリレートモノマーのモノマー混合物の反応を含む架橋性オリゴマーの製造方法を記述している。得られる架橋性オリゴマーは架橋性機能を保証するために比較的高い分子量を有し、マクロモノマーの純度は比較的低い。これらの比較的高い分子量の架橋性オリゴマーを含むコーティングは望ましくない高い揮発性有機物含有率(VOC)を有する。
【0017】
米国特許US5098956は、共にヒドロキシアルキルアクリレートまたはメタクリレートと水酸基を含まないアルキルメタクリレートを含む低および高Tgのアクリル系コポリマーを含むポリオールブレンドについて記述している。十分な架橋性機能を保証するには、このオリゴマーは望ましくないほど高い分子量を有する必要がある。これらの架橋性オリゴマーを含むコーティングもまた望ましくない高い揮発性有機物含有率(VOC)を有する。
【特許文献1】米国特許第5,710,227号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、本発明の目的の一つは、官能基分布の制御と分子量が制御された架橋性オリゴマーの経済的な製造方法を提供するにある。本発明のさらなる目的は、メタクリレート、アクリレート、およびスチレンなどの実際に一般に用いられているコモノマーから作られる改良された架橋性オリゴマーを製造するにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
ここにさらに述べるように、特定の比率の或るモノマーを含む反応混合物に高温重合法を実施すると、鎖末端と結合した高濃度の架橋性側基を有し、従って相対的に非常に低い比率の非官能性を伴う架橋性オリゴマーが得られることが分かった。
【0020】
より具体的には、本発明は構造(1)
VHC=CHX (1)
を有する少なくとも一つのモノマーと、構造(2)
WHC=CYZ (2)
を有する少なくとも一つのモノマー(式中V、W、X、およびZは、水素、R、COR、COH、COR、CN、CONH、CONHR、CONR、OCR、ORまたはハロゲンからなる群から独立に選択され、しかしZは水素ではなく、Rは置換または非置換のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロサイクリル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アラルキル、シリル、またはアリールからなる群から独立に選択され、Yは置換または非置換のアルキル、アルケニル、アリール、およびアラルキルからなる群から選択され、(1)および/または(2)は、VとXが互いに結合しておよび/またはWとZが互いに結合して少なくとも4原子を含む環を形成している環状であってもよい)を反応させて反応混合物を形成することを含む架橋性オリゴマーの製造方法において、反応混合物中の(2)型のモノマーの量が、反応される(1)型および(2)型のモノマーの総モル数の50モル%と95モル%の間にあり、(1)型のモノマーの60モル%超が少なくとも一つの架橋性官能基部分を含む側基を有し、該方法において、反応な間中(1)型および(2)型のモノマーを実質的に液相中に保つに十分な圧を維持し、かつ温度を170℃と260℃の間に保つところの方法。
【0021】
この新規な方法の結果として形成されるオリゴマーは、低分子量画分の質量スペクトル分析が示すように、抽出可能な非架橋性官能性物質が非常に低レベルになる。これらのオリゴマーは接着剤、コーティングおよび封止剤用の架橋性処方における使用に特に有用である。
【0022】
さらに、この新規な方法の結果として形成されるオリゴマーは、ここに記述したその不飽和官能基を用いる第二の重合過程に用いることにより、ブロックの、分岐状、星型、または櫛型のグラフト架橋性コポリマーの生成にもまた特に有用である。
【0023】
さらなる目的、利点、および新規な特徴は、以下の記述を調べることにより当業者には明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
先行技術において、アクリレートまたはスチレンのみが関与するラジカル重合条件下では、分子内プロトン引き抜きと続いて起こるβ‐解裂による分解の結果、(スキーム1中でY=Hで示され、さらにマクロモノマーと云われる)不飽和末端基を持つ鎖を生じる可能性が示唆されてきた。これらのモノマーが非常に高濃度で用いられるときにのみコポリマーについて高いマクロモノマー純度が観察される。
【0025】
本発明においては、タイプ(1)のモノマーの少なくとも一つとタイプ(2)のモノマーの少なくとも一つとを高温で反応させる。本発明の反応において、理論に束縛されることを望むのではないが、先行技術で示唆された主鎖で起こるであろう水素引き抜きは、含まれたタイプ(1)のモノマーから生じるメチン基からのみ起こりうる。したがって、不飽和末端基は(スキーム1中でXにより示されるように、但しY≠Hであり、WおよびV基は明瞭化のため描かれていない)タイプ(1)モノマーの側基と結合されるであろう。
【0026】
先行技術に照らして驚くべきことに、タイプ(1)のモノマーの60%超が架橋性官能基を有し、タイプ(2)のモノマーの総量がタイプ(1)およびタイプ(2)のモノマーの総量の50モル%と95モル%との間になるようにタイプ(2)モノマーと配合したときに、得られたオリゴマーは末端炭素−炭素二重結合が非常に多く、かつ末端の架橋性官能基(X)が多いことが分かった。

【0027】
官能性モノマーの十分な取り込みと、したがって、非官能性で抽出できるオリゴマー成分の少ない量を保証するためには、反応混合物中に加えるように選択したタイプ(1)モノマーまたはモノマー群の全量の少なくとも60モル%が少なくとも一つの架橋性官能基部分を含む側基を有することになる。好ましくは、加えるべく選択されたタイプ(1)モノマーまたはモノマー群の少なくとも80モル%が斯様な側基を有し、より好ましくは90モル%、最も好ましくは実質的に全ての選択されたタイプ(1)モノマーまたはモノマー群がその側基を有する。
【0028】
架橋性または非架橋性のタイプ(2)官能基(Z)と共にオリゴマー鎖1つ当り少なくとも一つの架橋性官能基(X)の高パーセント取り込みを確実にするには、全てが少なくとも一つの架橋性側基を含むタイプ(1)のモノマーまたはモノマー群の利用および非常に高いマクロモノマー純度の両者が必要である。マクロモノマー純度(マクロマー純度ともいう)は、NMR測定による不飽和結合数をGPCで測定されたオリゴマーの数平均分子量で割った値で定義される、不飽和末端基を有するオリゴマーのモルパーセントである。好ましくは、本発明に従う方法において、マクロマー純度は少なくとも70モル%、より好ましくは少なくとも80モル%、さらにより好ましくは90モル%、最も好ましくは少なくとも95モル%である。
【0029】
タイプ(2)モノマーの量に比べて比較的少ないモル量のタイプ(1)のモノマーを反応混合物に加え、したがって単純なランダム重合から統計的に期待できないときでさえも、架橋性側基を含む末端基に非常に富むオリゴマーが生成する。
【0030】
架橋性コーティング処方を含む後重合反応において、官能基の相対反応性が架橋化学の操作にとって強力なツールであることは当業者には明らかであろう。この化学は架橋性オリゴマーの生成において異なる架橋性側基を有するタイプ(1)モノマーの混合物を用いることにより制御でき、このことは異なる架橋性末端基を有する架橋性オリゴマーの混合物を生成する。たとえば、二成分架橋性組成物のポットライフはこのようにして操作できる。さらに、官能基相互の相対反応性はかなり重要であり、重合反応および/または後重合の間の架橋度の操作を可能にすることは当業者には明らかであろう。分子内に2種以上の架橋性官能基を含み、架橋剤の適切な選択により異なる反応性を示すタイプ(1)モノマーを利用することもまた本発明の展望の範囲内にある。
【0031】
Rが以下に示す一つ以上の基で置換されたタイプ(1)モノマーなどの、本発明に有用な架橋性官能性部分を有する多くのタイプ(1)モノマーがあることを当業者は認めるであろう:ヒドロキシル、エポキシ、アルコキシ、アシル、アシロキシ、シリル、シリロキシ、シラン、カルボン酸(および塩)、1,3-ジカルボニル、イソシアナト、スルホン酸(および塩)、酸無水物、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、イミノエーテル、イミドエーテル、アミドエーテル、ラクトン、ラクタム、アミド、アセタール、ケタール、ケトン、オキサゾリジノン、(非環状および環状)カルバメート、(非環状および環状)カーボネート、ハロ、ジアルキルアミノ、オキサジリジン、アジリジン、オキサゾリジン、オルトエステル、(非環状および環状)ウレア、オキセタンまたはシアノ。好ましくは、側基に含まれる架橋性官能性部分は、ヒドロキシル、シリル、酸無水物、エポキシ、アミン、エーテル、カルボン酸、スルホン酸、カルバメート、カーボネート、ケトン、アセタール、ラクタム、アミド、ウレア、および1,3−ジカルボニルからなる群から選択される。しかし、異なる架橋性官能基を有するタイプ(1)モノマーの混合物を利用することも本発明の範囲内にある。
【0032】
ヒドロキシル側基を有するモノマーの好適な例には、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシペンチルアクリレート(すべての異性体)、ヒドロキシヘキシルアクリレート(すべての異性体)、ヒドロキシブチルアクリレート(すべての異性体)、ヒドロキシプロピルアクリレートの異性体、4−ヒドロキシスチレン、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、ε‐カプロラクトンで封止されたヒドロキシエチルアクリレート(TONEモノマー)、アクリル酸とモノエポキシドとのアダクト、たとえばCarudura E−10(Resolution Performance Productsから市販されているネオデカン酸のグリシジルエステル)などの、1,2−エポキシシクロヘキサン、グリシドール、カーボネートアクリレートとアミンとのアダクト、ポリエチレンオキサイドで封止されたヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレンオキサイドで封止されたヒドロキシプロピルアクリレート、ポリエチレンオキサイドで封止されたヒドロキシヘキシルアクリレート、ポリエチレンオキサイドで封止されたヒドロキシブチルアクリレートの異性体、ポリプロピレンオキサイド付加ヒドロキシエチルアクリレート、ポリプロピレンオキサイド付加ヒドロキシプロピルアクリレート、ポリプロピレンオキサイド付加ヒドロキシヘキシルアクリレート、ポリプロピレンオキサイド付加ヒドロキシブチルアクリレート異性体、およびそれらの混合物が含まれる。
【0033】
シリル側基を含むモノマーの好適な例には、ビニルオキシトリメチルシラン、トリメトキシシリルプロピルアクリレート、トリエトキシシリルプロピルアクリレート、ジメトキシシリルプロピルアクリレート、ジエトキシシリルプロピルアクリレート、ジブトキシシリルプロピルアクリレート、ジイソプロポキシシリルプロピルアクリレートが含まれる。
【0034】
本発明の実施に有用な酸無水物官能性モノマーは、分子内に環状または非環状酸無水物基とフリーラジカル重合性ビニル基を有する脂肪族または芳香族化合物でありうる。本発明の実施において特に好ましくは、アクリル酸無水物、アルケニル琥珀酸無水物、マレイン酸無水物、ビニルヘキサヒドロフタル酸無水物異性体、3−メチルー1,2,6−テトラヒドロフタル酸無水物、2−メチルー1,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、2−(3/4−ビニルベンジル)琥珀酸、(2−琥珀酸無水物酸)アクリレート、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−スピロ−3’−エキソ―琥珀無水物のような酸無水物官能性モノマーを用いる。プロペニル琥珀酸無水物、およびドデセニル琥珀酸無水物、オクテニル琥珀酸無水物などのより高級のアルケニル酸無水物を含むアルケニル琥珀酸無水物は、無水マレイン酸とオレフィンの反応により常法で製造される。
【0035】
有用なエポキシ官能性モノマーは、1,2−エポキシ基を有し、分子内にフリーラジカル重合で架橋できるエチレン性不飽和基を含む脂肪族または芳香族化合物でありうる。エポキシモノマーの例は、グリシジルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(4−HBAGE)、ビニルシクロヘキセンオキサイド、アリルグリシジルエーテル、N−グリシジルアクリルアミド、脂環式エポキシ基を有するアクリレートモノマーを含む。
【0036】
タイプ(1)モノマーまたはモノマー群として利用できるアミン官能性モノマーは、3級アミン基または立体障害のある2級アミン基を有し、エチレン性不飽和基を含む脂肪族または芳香族化合物でありうる。アミン官能性モノマーの例は、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、n−t−ブチルアミノエチルアクリレート、t−ブチルアミンまたはジアルキルアミンとグリシジルアクリレートとの反応で得られるモノマー、およびそれらの混合物である。
【0037】
本発明の実施に好適なエーテルモノマーは、ビニルアルキルエーテルやアルコキシメチル基のような、エーテルまたはアミノプラスト架橋性側基を分子中に有するアクリレート、ビニルまたはスチレン性モノマーを含む。これらのモノマーの例は、メチル化N−メチロールアクリルアミドやブチル化N−メチロールアクリルアミドなどのアクリルアミドのN−アルコキシメチル誘導体、ウレア、アミド、イミド、メラミン、およびベンゾグアナミン基のアルコキシメチル誘導体を含むビニルおよびアクリレートモノマーを含む。他の例は、琥珀酸イミドのビニルN−アルコキシメチル誘導体、フタルイミド、N−アルコキシメチル1,2,3,6−テトラヒドロフタルイミド無水物、およびN−アルコキシメチルマレイミドを含む。
【0038】
カルボン酸、スルホン酸、カルバメート、カーボネート、ケトン、アセタール、ラクタム、アミド、ウレア、および1,3−ジカルボニル官能性モノマーなど、当業者に知られる架橋性官能基を有する他のモノマーもまた本発明の実施に好適である。斯様な好適な官能性モノマーの例はアクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、4−tert−ブチル安息香酸ビニル、VEOVA(Resolution Performance Productsから市販されているベルサチン酸のビニルエステル)、琥珀酸アクリロイルオキシエチル、マレイン酸、フマール酸、および無水マレイン酸のハーフ酸/エステル、ジアセトンアクリルアミド、アセト酢酸アクリロイルオキシエチル、2−ビニル−1,3−ジオキソラン、ビニルエチレンカーボネート、N−ビニルカプロラクタム、アクリルアミド、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、2−N−エチレンウレア−エチルオキシアクリレート、および2−N−エチレンウレア−エチルアクリルアミドを含む。
【0039】
本発明に用いられるタイプ(1)モノマーの0ないし40%は架橋性官能性部分を含まなくてよい。本発明に用いることができる斯様な非官能性のタイプ(1)モノマーの例はメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、プロピルアクリレートの異性体、ブチルアクリレート、ブチルアクリレートの異性体、ヘキシルアクリレート、2−エチルブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソアミルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソデシルアクリレート、スチレン、およびセチルアクリレートを含む。
【0040】
一つ以上のタイプ(2)モノマーは反応器内でタイプ(1)モノマーまたはモノマー群と混合される。全モノマー混合物中のタイプ(2)モノマーのレベルは、生成するオリゴマーのマクロモノマー純度にとって重要である。本発明に用いられるタイプ(2)モノマーまたはモノマー群の量は、タイプ(1)およびタイプ(2)の両方の全モル数の50モル%ないし95モル%である。好ましくは、タイプ(2)モノマーまたはモノマー群の量は55モル%ないし90モル%、より好ましくは60モル%ないし80モル%である。マクロモノマー純度は、50モル%超のタイプ(2)モノマーを使用したときに増加し、タイプ(2)モノマーの量が60モル%ないし80モル%のときに最高レベルになる。
【0041】
本発明に用いるのに好適なタイプ(2)モノマーの例は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、プロピルメタクリレート異性体、ブチルメタクリレート、ブチルメタクリレート異性体、ヘキシルメタクリレート、2−エチルブチルメタクリレート、クロチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、アルファメチルスチレン、シクロヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、イソデシルメタクリレートを含むがこれに制限されない。本発明の範囲は架橋性基を含まないタイプ(2)モノマーに制限されず、したがって、本発明に用いるのに好適な架橋性タイプ(2)モノマーは、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート異性体、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート異性体、グリセロールモノメタクリレート、メタクリル酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、2−tert−ブチルアミノエチルメタクリレート、トリエチレングリコールメタクリレート、メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−tert−ブチルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチロールメタクリルアミド、アルファメチルビニル安息香酸(全異性体)、ジエチルアミノアルファメチルスチレン、2−イソシアナトエチルメタクリレート、ジエチルアミノアルファメチルスチレンの異性体、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、トリエトキシシリルプロピルメタクリレート、メタクリル酸、トリブトキシシリルプロピルメタクリレート、ジメトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジイソプロポキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジメトキシシリルプロピルメタクリレート、ジエトキシシリルプロピルメタクリレート、ジブトキシシリルプロピルメタクリレート、ジイソプロポキシシリルプロピルメタクリレート、イソブチレン、およびそれらの混合物を含むが、これに制限されない。
【0042】
好ましくは、本発明に従う方法において、ZおよびXはカルボン酸、カルボン酸エステル、または置換または非置換芳香族基である。これは特にアクリレート、メタクリレートおよびスチレン型のモノマーに相当する。それらの容易に入手できる廉価なモノマーを用いても非常に良い結果が得られる。
【0043】
任意的に、タイプ(1)およびタイプ(2)モノマーは、タイプ(1)およびタイプ(2)モノマーの混合物の一部としてまたは別仕込みとして反応容器に加えることができる少なくとも一つのフリーラジカル開始剤の存在下に反応させられる。別仕込みとして加えるときは、開始剤は、供給の完了を同期化するためにタイプ(1)および(2)モノマーの混合物と同じ速度で加えてもよく、あるいはモノマー混合物の添加速度より遅くまたは速く加えてもよい。重合温度における適切な半減期を有するように当業者が選択するいかなる通常のフリーラジカル開始剤も本発明に利用できる。たとえば、好適な開始剤は、エーテルまたはアシルハイドロパーオキサイド、ジエーテルまたはジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、混合エーテルアシルパーオキサイド、混合エーテルパーオキシカーボネート、およびパーオキサイド上の置換が任意のアルキルおよび/またはアリール基によるものでもよい混合アシルパーオキシカーボネートを含む。アゾ開始剤はまた、アルキルまたはアリール基で置換されていてもよい。好適なアルキル基の例は、メチル、エチル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、tert−アミル、ジソプロピルベンジル、セチル、2,2,4−トリメチルペンチル、イソプロピル、2−エチルヘキシル、ネオデシル、バレリルを含むが、これに制限されない。好適なアリール基の例は、ベンジル、フェニル、1,1−ジフェニルメチル、1−フェニルエチル、フタリル、クミル、およびジイソプロピルベンジルの全異性体を含むが、これに制限されない。好ましい開始剤は、tert−アミルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クミルハイドロパーオキサイド、2,4,4−トリメチルペンチルー2−ハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)および2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのパーオキサイドまたはアゾ系開始剤を含む。
【0044】
開始剤が反応に用いられるとき、モノマー添加率および本発明に開示されるマクロモノマー純度との間のバランスを確実にするために、そのときの反応条件とモノマー含有率に適合する量を選択することが重要であることを当業者は認識するであろう。本発明において、開始剤は反応されるタイプ(1)および(2)モノマーのモル数に基づいて0.1モル%ないし5モル%の量で加えられる。好ましくは、0.1モル%ないし2モル%が加えられ、より好ましくは0.1モル%ないし1モル%の開始剤が加えられる。5モル%超の開始剤レベルでは、マクロモノマーの純度が著しく低下し、したがって、オリゴマー中の架橋性官能性の制御が低減する。
【0045】
比較的低分子量のオリゴマーを得るという観点から、開始剤の量は好ましくは少なくとも0.4、より好ましくは少なくとも0.5、さらにより好ましくは少なくとも0.6、また最も好ましくは少なくとも0.75モル%がよい。よい結果は1%の開始剤でも得ることができる。比較的高い開始剤レベルはモノマータイプ(2)の比較的高い量を選択することにより相殺できることが分かった。0.5モル%超の開始剤レベルでかつ(モノマータイプ(1)および(2)の総量に対して)少なくとも60モル%のモノマータイプ(2)の量のとき、2500未満の分子量を有し、高い架橋性官能性と高いマクロモノマー純度を有する架橋性オリゴマーを得ることができた。
【0046】
本発明の一つの好ましい実施態様において、反応溶液中に残っている残留のタイプ(1)および/または(2)モノマーをさらに重合させるために、反応方法の実質的完了の後に、追加量の少なくともひとつのフリーラジカル開始剤を任意的に添加することができる追加操作が行われる。好ましくは、追加操作は170℃未満の温度で行われる。初期の反応プロセスの間に用いられるどのフリーラジカル開始剤もまた追加操作でも用いることができる。
【0047】
しかし、本発明に従う方法において好ましい高いマクロモノマー純度を得るという観点から、残留未反応モノマーは反応の実質的な完了の直後に追加操作なしで、すなわち、引き続き170℃未満の温度で少なくとも一つのフリーラジカル開始剤を加えることなく除去されるのがよい。好ましくは、これは揮発物除去ステップ、たとえばストリッピングまたは蒸留において行われる。
【0048】
反応容器内では、反応の間にモノマーおよび開始剤を実質的に液相内に保つのに十分な圧が維持される。さらに、170℃ないし260℃、好ましくは175℃ないし240℃、より好ましくは185℃ないし220℃、およびさらにより好ましくは190℃ないし210℃の温度を反応の間中維持するのがよい。低分子量架橋性オリゴマーを得るという観点から、比較的高い反応温度を選ぶのが好ましく、好ましくは190℃超、より好ましくは少なくとも192℃以上、さらにより好ましくは少なくとも195℃以上がよい。このような高温でマクロモノマー純度が低いという欠点は、反応混合物中のタイプ(2)モノマーの比較的高い量を選択することにより相殺できることが分かった。当業者は、これらの制限内で、正確な圧と温度は、モノマーおよび任意的に、用いられる開始剤、斯様なモノマーと任意的開始剤の反応される量と共に変化することを認識するであろう。
【0049】
溶剤または希釈剤もまた任意的に、好ましくはタイプ(1)およびタイプ(2)モノマーおよび任意的フリーラジカル開始剤の添加の前に反応物に添加することができる。しかし、溶剤/希釈剤またはその一部はモノマー及び任意的開始剤の添加の間に添加してもよい。溶剤または希釈剤は任意の量で加えてもよいが、高収率を得るという観点から、50重量%超の固形分含有率で反応を行うのが好ましく、より好ましくは少なくとも60、さらにより好ましくは少なくとも70、および最も好ましくは少なくとも75重量%である。少なくとも80重量%の固形分含有率は可能である。比較的低分子量のオリゴマーを得るという観点から、少なくとも20、好ましくは少なくとも25、より好ましくは少なくとも30、さらにより好ましくは少なくとも35、最も好ましくは少なくとも40重量%を含む、より希釈された反応混合物を用いるのが好ましい。
【0050】
好適な溶剤および希釈剤は、重合の条件下でラジカル反応から独立に反応する、または重合条件下で不活性または実質的に不活性だがコーティング架橋反応を含む後重合条件下で反応性であるものを含む(たとえば、溶剤/希釈剤はラジカル反応に関与しない架橋性低分子量成分、または比較的高分子量の予め生成したオリゴマー/樹脂でありうる)。後者の場合に希釈剤は主重合反応において溶剤として、また後重合において反応剤として作用することは当業者には明らかであろう。斯様な溶剤または希釈剤はまた、系中のタイプ(1)および/またはタイプ(2)モノマーの架橋性側基官能性と反応して、利用できる側基の数を維持または増加させる可能性がある。官能性モノマー、希釈剤、および反応条件を適切に選択することにより、系中で架橋性官能基のタイプを変えることが可能であることは当業者には明らかであろう。溶剤または希釈剤は、上述のように反応性である一つ以上の官能基を含むことができる。溶剤または希釈剤に複数の官能基があれば、その官能基は、架橋性側基および/または架橋処方の他の成分に対して異なる反応性を有する同じ官能基または一つ以上の官能基の混合物であることができる。
【0051】
好適な溶剤および希釈剤は、エステル、ケトン(たとえばメチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン)、カーボネート(たとえばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、グリセリンカーボネート)、カルバメート(メチルカルバメート、ヒドロキシエチルカルバメート、ヒドロキシプロピルカルバメート)芳香族および(シクロ)脂肪族炭化水素(たとえばパーヒドロナフタレン、テトラヒドロナフタレン、キシレン、o−ジクロロベンゼン)、アルコール類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルエステル類、オキサゾリジン類、アセタール類、オルトエステル類、およびそれらの混合物を含む。好ましくは、溶剤はエステル溶剤である。エステル溶剤の好適な例は、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸n−ブチル、酢酸イソブチル、プロピオン酸n−ペンチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、イソ酪酸イソブチル、および3−エトキシプロピオン酸エチルを含むが、これに限定されない。
【0052】
希釈剤は低分子量ポリマーであってもよい。斯様な希釈剤は通常反応完了後に反応混合物から除去できない。この低分子量ポリマー希釈剤の分子量は好ましくは5000gr/モル未満、より好ましくは4000gr/モル未満、さらにより好ましくは2000gr/モル未満である。好ましくはポリオールが用いられ、好ましくは少なくとも50、好ましくは少なくとも75、より好ましくは少なくとも100mgKOH/gのOH価を有するポリエステルがよい。好ましい実施態様において、希釈剤は少なくとも100mgKOH/gのOH価を有し、2000未満の数平均分子量を有するポリエステルオリゴマーである。
【0053】
本発明の方法によって製造される架橋性オリゴマーは3と24の間の数平均重合度を持つのが好ましいことが分かっている。より好ましくは3と15の間の数平均重合度、最も好ましくは3と10の間の数平均重合度がよい。架橋性オリゴマーの架橋官能性は、官能基当量(FEW、官能基数をオリゴマーの重量で割ることによって決まる官能基あたりの平均重量として定義される)で表現される。架橋性オリゴマーの好ましい実施態様において、架橋性部分はヒドロキシル基である。この場合、架橋性官能性はポリオールについてのFEWであるヒドロキシル当量(HEW)で表現される。好ましくはFEWおよびHEWは100と1200の間、より好ましくは125と1000の間、より好ましくは150と800の間である。好ましくは、架橋性オリゴマーは−50℃と100℃の間、好ましくは−35℃と80℃の間、より好ましくは−20℃と60℃の間のTgを有するのがよい。
【0054】
図1のグラフが示すように、分子量は、モノマー混合物中のタイプ(2)モノマーのパーセントが増加すれば減少する。2500gr/モル未満の分子量(Mw)は少なくとも50モル%のタイプ(2)モノマーレベルで達成することができる。これは開示された方法が、実行されるタイプ(2)モノマー含有率の範囲内で分子量と分子量分布を制御する非常に強力なツールを提供することを示す。
【0055】
本発明に従う方法において、モノマー混合物は、その60モル%ないし100モル%が架橋性官能部分を含み0ないし40モル%が架橋性官能部分を含まないタイプ(1)モノマーを含み、(タイプ(1)およびタイプ(2)モノマーの総モル数に対して)50モル%ないし95モル%のタイプ(2)モノマーを含み、該タイプ(2)モノマーは任意的に架橋性官能部分を含んでもよい。
【0056】
十分な架橋性官能性を達成するには、モノマー混合物は好ましくは(タイプ(1)およびタイプ(2)モノマーの総モル数に対して)少なくとも10モル%、好ましくは15、より好ましくは少なくとも20モル%の架橋性官能部分を有するモノマーを含む。タイプ(2)モノマーは架橋性官能部分を有するモノマーを5モル%超含むことができる。少なくとも10、20、30、または40モル%というより大きい量も可能である。その選択は意図される応用に依存する。タイプ(2)モノマーも架橋性官能性を有することができるが、架橋性官能性はタイプ(1)モノマーに集中される方が好ましい。したがって、モノマー混合物は、架橋性官能部分を有するモノマーを(タイプ(1)およびタイプ(2)モノマーの総モル数に対して)少なくとも10モル%含み、架橋性官能部分を有するモノマーを合計で少なくとも20モル%含む。
【0057】
本発明によって生成する新規な架橋性オリゴマーは、方法が提供する非官能性で抽出可能なオリゴマー画分が低レベルであるため、潤滑剤、接着剤、封止剤、およびコーティングに実用的に有用であることが分かっている。
【0058】
本発明に従う方法において、タイプ(1)のモノマーの80モル%超、最も好ましくは実質的に100モル%が架橋性官能部分を有する。斯様な潤滑剤、接着剤、封止剤、およびコーティングに用いられる最も好ましい架橋性オリゴマーは、選択されたタイプ(1)モノマーまたはモノマー群の100モル%が上記のように少なくとも一つの架橋性官能部分を含む側基を有するときに生成する架橋性オリゴマーである。
【0059】
本方法の一つの好ましい実施態様において、架橋性オリゴマーは500と2500の間の重量平均分子量を有する。低分子量にもかかわらず、この低分子量の架橋性オリゴマーのマクロモノマー純度はそれでも少なくとも70モル%、好ましくは少なくとも80モル%、より好ましくは少なくとも90モル%である。
【0060】
この低い分子量を達成するという観点から、(タイプ(1)およびタイプ(2)モノマーの総モル数に対する)タイプ(2)モノマーの量は少なくとも60モル%であり、さらに方法が下記の特徴の少なくとも一つ、好ましくは少なくとも二つ、最も好ましくは全てを含むことが好ましい。
a)開始剤の量が0.5モル%と5モル%(上記で定義した%)の間である。
b)反応温度は190℃超、好ましくは少なくとも195℃である。
c)溶剤または希釈剤の量は(モノマーと希釈剤の総重量に対して)少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30または少なくとも40重量%である。
【0061】
最も好ましくは、方法において開始剤の量は0.5と5モル%の間、タイプ(2)モノマーの量は(タイプ(1)およびタイプ(2)モノマーの総モル数に対して)少なくとも60モル%、好ましくは少なくとも73、より好ましくは少なくとも75、さらにより好ましくは少なくとも80、最も好ましくは少なくとも85または90モル%がよい。
【0062】
開始剤の量が少なくとも0.6モル%、タイプ(2)モノマーの量が(タイプ(1)およびタイプ(2)モノマーの総モル数に対して)少なくとも80モル%である方法でよい結果が得られた。
【0063】
本発明の架橋性オリゴマーは更なる共重合に有用であることも分かっている。好ましくは、反応性オリゴマーをさらにフリーラジカル開始剤および追加のモノマーまたはモノマー群と反応させるさらなる重合によってブロック状の、分岐した、星型、および櫛型のグラフト架橋性コポリマーを生成することができる。本発明はまた、本発明に従う方法で得ることができる架橋性オリゴマーの、ブロック状、分岐状、星型、および櫛型のグラフト架橋性コポリマーにおける利用に関する。
【0064】
本発明はまた、架橋性オリゴマーの製造プロセスおよびさらに少なくとも一つの共重合工程を含む架橋性コポリマーの製造方法に関し、該共重合工程において、該架橋性オリゴマーがさらに少なくとも一つの第二のフリーラジカル開始剤および少なくとも一つの追加のモノマーまたはモノマー群と反応され、該追加のモノマーまたはモノマー群がタイプ(1)モノマー、タイプ(2)モノマーおよび、二つ以上のラジカル重合性オレフィン性不飽和基、好ましくはアクリレート、メタクリレートおよび/または置換または非置換アリール基を含むオレフィン性不飽和基を有するタイプ(3)モノマーからなる群から選択される。
【0065】
該さらなる共重合工程は、好ましくは190℃未満、好ましくは180℃未満、より好しくは170℃未満で行うのがよい。追加のモノマーが実質的な量のタイプ(2)モノマーを含むときは、温度は好ましくは170℃未満がよい。実質的な量とはたとえば20モル%超である。追加のモノマーの量は広い範囲で、通常オリゴマーの全重量の2ないし90重量%の範囲で変えられうる。好ましくは、追加のモノマーは、ブロックコポリマーの全重量に対して少なくとも10、好ましくは少なくとも15、より好ましくは少なくとも20、最も好ましくは少なくとも25重量%を成す。通常、追加のモノマーは、架橋性オリゴマーのFEWより少なくとも10%、好ましくは15、より好ましくは少なくとも20%高いまたは低いFEWを有する。
【0066】
斯様な共重合は、架橋性オリゴマーの生成に直ちに続いて、架橋性オリゴマーと同じ反応容器中で行うことができる。追加の共重合工程の利点の一つは、追加工程を省略することができ、オリゴマー調製の実質的な終了の直後に追加のモノマーが供給されることである。あるいは、架橋性オリゴマーの共重合は別の反応容器中で行ってもよい。共重合はバッチ、半バッチ、連続またはループ反応条件下で行うことができる。
【0067】
架橋性オリゴマーは、タイプ(2)モノマーと、任意的に、特に低分子量オリゴマー画分において、架橋性官能基濃度を高めるために架橋官能性単位とブロック共重合されることができる。好ましい実施態様において、追加モノマーまたはモノマー群の50%超はタイプ(2)モノマーである。これは分岐を少なくするということが分かった。実施例11は、優れた硬度および耐溶剤性を示すコーティングにおいてブロックコポリマーの使用が有利であることを示す。このステップで架橋性官能性タイプ(2)モノマーを用いると、これはたとえばオリゴマーの分子量の増加に伴うヒドロキシ当量(HEW)の増加を伴う官能性勾配を生じる。斯様な官能性勾配は、非常に高濃度の架橋性官能性モノマー(タイプ(1)およびタイプ(2)とも)を必要とせずに架橋性官能性のより良い分布へと導く。さらに、(たとえばタイプ(1)モノマーが架橋性官能性を有するなどの)最も好ましい実施態様において、タイプ(2)によるブロック延長が比較的起こりにくいと考えられる末端から二つ目のタイプ(1)モノマー単位を有するオリゴマー成分が、すでに少なくとも二つの架橋性官能性のタイプ(1)モノマーを含んでおり、より好適な架橋性官能性分布を有する。したがって、全体として、オリゴマー鎖あたり少なくとも二つの架橋性側基に富む架橋性オリゴマーが生成する。架橋官能基を含まない、または一つしか含まないオリゴマー鎖の数は減少する。このことにより架橋性処方におけるよりよいネットワーク形成に導くことができる。あるいは、タイプ(2)のモノマーが非架橋性官能性を含むときは、架橋性官能性を殆んどまたは全く有しない中間セグメントで隔離された架橋性官能性のセグメント化された領域を有するブロック型架橋性コポリマーを得ることが可能である。
【0068】
たとえば、架橋性コポリマーは、本発明にしたがって製造した架橋性オリゴマーに、混合物の少なくとも50モル%がタイプ(2)モノマーであるタイプ(1)とタイプ(2)モノマーの混合物を加えて、それから製造することができる。架橋性オリゴマーセグメントのFEW値が追加のモノマーによって生成するセグメントと実質的に異なる架橋性ブロックコポリマーを生成させることができる。たとえば、(好ましくはタイプ(1)とタイプ(2)モノマーの混合物である)追加モノマーの平均OH価は、架橋性オリゴマーの平均OH価は架橋性オリゴマーの平均OH価の半分未満である。追加モノマー混合物の質量は、架橋性オリゴマー質量の半分より多いのが好ましい。逆に、タイプ(1)とタイプ(2)モノマーの混合物の平均OH価は架橋性オリゴマーの平均OH価の2倍より多く、混合物の質量は架橋性オリゴマーの質量の半分未満であってよい。
【0069】
架橋性オリゴマーは、タイプ(1)モノマーと共重合されて分岐架橋性コポリマーを形成するか、または下記のタイプのモノマーと共重合されて高度に分岐した、または星型の架橋性コポリマーを形成することもできる。
(CH=CH)−U−(CY’=CHW’)(3)
式中、nは0より大きいかまたはこれと等しく、mは0より大きいかまたはこれと等しく、n+mは2より大きいかまたはこれと等しく、Y’とW’はそれぞれタイプ(2)モノマーにおけるYおよびWと同様に定義され、Uは二つ以上のC=C単位の接続点である。
【0070】
本発明において有用なタイプ(3)モノマーの好適な例は、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセロール−1,3−ジメタクリレート、ポリエチレングリコール200−ジメタクリレート、アリルメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジウレタンジメタクリレート、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシ−プロポキシ)フェニル]プロパン、および1,12−ドデカンジオールジメタクリレートを含む。
【0071】
本発明はまた、本発明に従う架橋性オリゴマーを、追加モノマーまたはモノマー群の(混合物中のモノマーの総量に対して)高々20モル%がタイプ(3)モノマーであるモノマー混合物と反応させることを含む、星型架橋性コポリマーの製造方法に関する。
【0072】
架橋性オリゴマーをタイプ(1)、タイプ(2)またはタイプ(3)の任意の混合物と共重合させることも本発明の範囲内にある。全ての場合に、最終製品中の任意のコポリマー鎖中の架橋性官能基の数が、そのコポリマー鎖に取り込まれた各マクロモノマーオリゴマー中の官能基の数の和に少なくとも等しく、従ってコポリマー製品の平均最小官能性がマクロモノマーオリゴマーの平均最小官能基数およびそのコポリマーに取り込まれたオリゴマーの平均数に比例して増加する。
【0073】
任意の追加共重合に先立って、架橋性オリゴマー上で何らかの中間方法を任意に行うことができる。一つの実施態様において、重合中に消費されなかったいずれかの残留モノマーが架橋性オリゴマーを単離されるために除去されることができる。さらに、架橋性オリゴマーの生成中に溶剤/希釈剤を加えた場合、共重合の開始に先立って架橋性オリゴマーを単離するために、共重合に先立って残留モノマーと共に斯様な溶剤/希釈剤もまた除去することができる。この操作は、架橋性オリゴマーを製造するのと同じ反応容器中、または別の反応容器中で行うことができる。
【0074】
一つの好ましい実施態様において、前述の追加操作は、タイプ(1)およびタイプ(2)の未反応モノマーを消費するための中間操作として行うことができる。この場合、共重合の開始に先立って架橋性オリゴマーを単離するために溶剤/希釈剤は除去することができる。有意な残留モノマーが残る場合、この方法は反応のコスト効率を改善することができる。これはまた、共重合の初期に起こりうる、共重合のために選択された追加モノマーとオリゴマーの生成から残った何らかの残留モノマーとの混合を避けることにより、より良く定義されたコポリマーに導くことができる。
【0075】
本発明の架橋性オリゴマーはまた、架橋性オリゴマー中に取り込まれたタイプ(1)および/またはタイプ(2)モノマー中の架橋性側基官能性が利用できる架橋性側基の数を維持または増加する適当な試薬と反応することにより修飾される次のステップで用いることもできる。新しい架橋性側基または側基群は、修飾前の架橋性側基と同じか、異なる架橋性側基か、または二つ以上の架橋性側基の混合物でもありうる。好適な修飾剤は、前記の架橋性側基と化学的に反応し、但し、利用できる架橋性側基の数を減らさないものであればよい。さらに、斯様な修飾剤は単官能性、多官能性、または種々の度合いの官能性を有する修飾剤の混合物であってもよい。多官能性試薬の場合、官能基は全て同種であっても、異なるタイプの混合であってもよい。
【0076】
好適な反応物は一つ以上の以下の官能基を有する:エポキシ、シリル、イソシアナト、アミノ、アンヒドリド、ヒドロキシ、イミノエーテル、イミドエーテル、アミドエーテル、カルバメート、シアノ、ラクトン、ラクタム、(非環状および環状)カルバメート、非環状および環状)カーボネート、アジリジン、アンヒドリド、アミン、カルボン酸。好適な特定の反応物は以下を含むが、これに制限されない:ε‐カプロラクトン、メチルカルバメート、Cardura E−10(ネオデカン酸のグリシジルエステル)、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、メチルカルバメート、ヒドロキシプロピルカルバメート、アンモニア、イソフォロンジイソシアネート、無水琥珀酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ジメチロールプロピオン酸、およびレゾルシノールジグリシジルエーテル。修飾反応物および反応条件はオリゴマー中の存在する架橋性官能性のタイプおよび得られるオリゴマー中の望まれる架橋性官能性のタイプに依存することは当業者には明らかであろう。たとえば、カルボン酸架橋官能基を有するオリゴマーはエポキシ官能反応物で修飾されて、ヒドロキシ官能性オリゴマーを生成することができる。
【0077】
上記の反応は架橋性オリゴマーの製造に用いるのと同じ反応容器中で架橋性オリゴマーの実質的生成の直後に架橋性オリゴマー上で行うことができる。前記のとおり、これは任意の追加操作または他の中間操作の後で行ってもよい。上記反応の生成物は、初期の架橋性オリゴマーの不飽和末端基を保有しているので、上記の架橋性オリゴマーについで述べたようなタイプ(1)、タイプ(2)またはタイプ(3)の任意の混合物とも共重合させることができる。
【0078】
本発明はさらに、本発明に従う方法で得られる架橋性オリゴマーに関し、特により具体的には、構造(1)
VHC=CHX (1)
を有する少なくとも一つのモノマーと、構造(2)
WHC=CYZ (2)
を有する少なくとも一つのモノマー(式中V、W、X、およびZは、水素、R、COR、COH、COR、CN、CONH、CONHR、CONR、OCR、ORまたはハロゲンからなる群から独立に選択され、しかしZは水素ではなく、Rは置換または非置換のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロサイクリル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アラルキル、シリル、またはアリールからなる群から独立に選択され、Yは置換または非置換のアルキル、アルケニル、アリール、およびアラルキルからなる群から選択され、(1)および/または(2)は、VとXが互いに結合しておよび/またはWとZが互いに結合して少なくとも4原子を含む環を形成している環状であってもよい)を含むモノマー混合物の反応生成物を含む架橋性オリゴマーにおいて、反応混合物中の(2)型のモノマーの量が、反応される(1)型および(2)型のモノマーの総モル数の50モル%と95モル%の間にあり、(1)型のモノマーの60モル%超が少なくとも一つの架橋性官能基部分を含む側基を有し、オリゴマーが3ないし24の数平均重合度を有し、FEWが100ないし1500であり、(不飽和末端基を有するオリゴマーのモル%での割合として定義される)マクロマー純度が少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%である。
【0079】
架橋性オリゴマーが、架橋性官能性部分を有するタイプ(1)モノマーを80モル%超、最も好ましくは実質的に100モル%を含み、かつマクロモノマー純度が少なくとも80%であることが好ましい。
【0080】
好ましい実施態様において、架橋性オリゴマーは500と2500の間の重量平均分子量を有し、好ましくは(タイプ(1)およびタイプ(2)モノマーの総量に対して)少なくとも70モル%のタイプ(2)モノマー量を有する。高架橋性官能性を達成するという観点から、架橋性オリゴマーが(モノマータイプ(1)および(2)の総量に対して)10モル%超の、架橋性機能部分を有するタイプ(2)モノマーを含むことが好ましい。
【0081】
本発明はさらに、本発明に従う架橋性オリゴマーにタイプ(1)モノマーにより生成されたオリゴマーの末端基と該オリゴマーの残部との間に追加モノマーを挿入して、オリゴマーと本質的に同じ末端架橋性官能性を有するブロック型コポリマーを生成することを含む方法で得られる架橋性ブロックコポリマーに関する。好ましくは、架橋性ブロック型コポリマーは、本タイプ(2)モノマーを50モル%超含むブロックで延長された発明に従う架橋性オリゴマーを含む。延長ブロックを形成する追加モノマーの量は広範囲に変化でき、通常ブロックコポリマーの総重量の2ないし90重量%である。追加モノマーは、ブロックコポリマーの総重量の少なくとも10、好ましくは少なくとも15、より好ましくは少なくとも20、最も好ましくは少なくとも25重量%を形成するのが好ましい。通常、追加モノマーで形成される延長ブロックは、架橋性オリゴマーのFEWより少なくとも10%、好ましくは15、より好ましくは少なくとも20%高いまたは低いFEWを有する。
【0082】
本発明はさらに、本発明に従う架橋性オリゴマーを含むブロック状、分岐状、星型または櫛型グラフト架橋性コポリマー、およびブロック状、分岐状、星型または櫛型グラフト架橋性コポリマーにおける本発明に従う架橋性リゴマーの使用に関する。
【0083】
本発明はさらに、上記架橋性オリゴマーを含むコーティング、潤滑剤、封止剤、および接着剤、およびコーティング、潤滑剤、封止剤、または接着剤における前記架橋性オリゴマーを含むブロック状、分岐状、星型、または櫛型グラフト架橋性コポリマーにおける架橋性オリゴマーの使用に関する。
【0084】
以下の実施例は説明のためのものであり、本発明の範囲を制限しない。以下の実施例は全て記述された様に加圧された密閉反応容器内で反応された。モノマーと開始剤の混合物は一定速度で反応器に供給した。反応器の温度は各実施例に示した温度に保たれた。
【0085】
別途示したように、タイプ(1)およびタイプ(2)モノマーの量は全モノマーのモル%で示す。重合開始剤の量は全モノマーモル量に対するモル%で示す。溶剤中のモノマーの濃度は特に示さない限り重量%で示す。分子量はPolymer LabsのPL100およびPL1000カラムの組合せを持つGPC(ゲル浸透クロマトグラフィ)を用い、ポリスチレン標準を用いて測定した。
【0086】
マクロモノマー純度は、測定Mn(GPC)とNMRスペクトルを用いて計算したMnとを比較して決定し、不飽和末端基を有するオリゴマーの%を反映する。低分子量オリゴマー中の架橋性官能性の取り込みは、ESI−MSスペクトル法で測定した。DP(重合度)はGPCで求めたMnを用いて計算した。全ての反応は、別途記載がなければ、加熱冷却制御装置、機械式攪拌機、圧力および温度ゲージ、および加圧計量ポンプを備えた6.5リットルステンレス鋼加圧反応器中で行われ、または同様の制御備品を有するガラス/ステンレス鋼250ml反応器中で行われた。
【実施例1】
【0087】
実施例1において、HEA−BMA架橋性オリゴマーを調製し、マクロモノマー純度と分子量分布に対するタイプ(2)モノマーの効果を例示する。比較例C1Aは比較例であり、実施例1Bおよび1Cは本発明の実施例である。試験は4モル/リットルの総モノマー濃度および1モル%開始剤レベルで行った。結果は表1に示した。
比較例C1A:6.5リットルステンレス鋼圧力反応器に1170gの酢酸n−ブチルを入れ、75psiに加圧し195℃に加熱した。975.4gの2−ヒドロキシエチルアクリレート、298.6gのn−ブチルメタクリレートおよび15.35gの過酸化ジ−t−ブチルの混合物を1.5時間かけて反応器に供給した。さらに45分経過の後、混合物を冷却し、圧を開放し、揮発成分1050gを溜去した。樹脂サンプルをさらに減圧濃縮して、揮発分を全て除去し分析した。
実施例1Bおよび1C:表1に示した量のモノマーおよび溶媒を用い、比較例C1Aと同じ操作で実施例1Bおよび1Cを行った。1Bおよび1Cにつきそれぞれ、モノマー添加後の追加加熱時間は85および60分、溜去揮発分の量は811gおよび770gであった。
【表1】

上記結果は、タイプ(2)/タイプ(1)比が本発明の範囲である場合に実施例1Bおよび1CのHEA−BMA架橋性オリゴマーのマクロモノマー純度は、比較例C1AのHEA−BMAオリゴマーのマクロマー純度と比較して非常に高いことを、予期に反して明らかに示している。さらに、唯一のタイプ(1)モノマーとしてHEA(ヒドロキシエチルアクリレート)を用いることが、HEAレベルが低い実施例1Cにおいてさえも、少なくとも一つの架橋性官能基を含む低分子量オリゴマーの非常に高い濃度を与える。
【実施例2】
【0088】
実施例2において、HEA−BMA架橋性オリゴマーを調製し、マクロモノマー純度と分子量分布に対するタイプ(2)モノマーレベルの効果を示した。0.1モル%の開始剤レベルは実施例1の1.0モル%に代って、好ましい範囲の低レベルにあった。比較例C2Aは比較例であり、実施例2Bおよび2Cは本発明の実施例である。実験は4モル/リットルの総モノマー濃度および0.1モル%の開始剤レベルで行った。結果を表2に示す。
比較例2A、実施例2Bおよび2C:表2に示すモノマーおよび溶媒の量を用い、比較例C1Aの操作で比較例C2A、実施例2Bおよび2Cを行った。C2A、2Bおよび2Cについてそれぞれモノマー添加後の追加加熱時間は30、60、および55分間、溜去した揮発分の量は1024、800、および806gであった。
【表2】

ここでも、上記結果は、タイプ(2)/タイプ(1)比が本発明の範囲にある場合に実施例2Bおよび2CのHEA−BMA架橋性オリゴマーのマクロモノマー純度は、比較例C2Aと比較して高いことを、予期に反して明らかに示している。
【実施例3】
【0089】
実施例3において、HEA−HEMA−MMA−BMA架橋性オリゴマーを調製して、マクロモノマー純度および分子量分布に対する開始剤レベルの効果を示した。タイプ(2)モノマーのレベルは一定で90モル%であった。結果を表3に示した。
実施例3A:6.5リットルステンレス鋼加圧反応器に1800gの酢酸n−ブチルを入れ、75psiに加圧し、195℃に加熱した。158.4gの2−ヒドロキシエチルアクリレート、325.8gの2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1144.8gのn−ブチルメタクリレート、171.0gのメチルメタクリレートおよび23.9gの過酸化ジ−t−ブチルの混合物を3.3時間掛けて反応器に供給した。モノマー供給終了後、反応器を冷却し、樹脂サンプルを取り出して分析した。
実施例3Bおよび3C:表3に示した開始剤量以外は実施例3Aの操作に従って実施例3Bおよび3Cを行った。
【表3】

3A、3B、3C、のモノマー組成は同じであり、HEA/HEMA/BMA/MMA=10/18/59/13モル%である。

表3の結果は、開始剤レベルが増加するとマクロモノマー純度が低下すること、およびタイプ(2)モノマー含有率90モル%では分子量が低いことを示す。
【実施例4】
【0090】
実施例4において、HEA−BMA架橋性オリゴマーを調製し、タイプ(2)モノマーレベルが好ましい範囲内にあるときの開始剤レベルの効果を示した。試験は68モル%のタイプ(2)モノマー、BMA、および32モル%のタイプ(1)モノマー、HEAを用いて行った。結果を表4に示す。
実施例4A:6.5リットルステンレス鋼反応器に995gの酢酸n−ブチルを入れ、75psiに加圧し、195℃に加熱した。398.9gの2−ヒドロキシエチルアクリレート、1038.1gのn−ブチルメタクリレート、および1.57gの過酸化ジ−t−ブチルの混合物を1.5時間掛けて反応器に供給した。さらに60分経過後、混合物を冷却し、圧を開放し、800gの揮発分を溜去した。樹脂サンプルをさらに減圧濃縮して揮発分を全て除去し、分析した。
実施例4Bおよび4C:実施例4Bおよび4Cは、4Bで8.63gの過酸化ジ−t−ブチルを用い、4Cで15.7gの過酸化ジ−t−ブチルを用いた以外は実施例4Aと同様に行った。実施例4Bでは886gの揮発分を除去し、実施例4Cでは811gの揮発分を除去した。
【表4】

上記の結果は、開始剤レベルおよびタイプ(2)モノマー含有率の好ましい範囲内においてマクロマー純度が高いことを明らかに示す。
【実施例5】
【0091】
実施例5において、HEA−HEMA−MMA−BMA架橋性オリゴマーを調製し、マクロマー純度および分子量分布に対する温度の効果を示した。タイプ(2)モノマー含有率は90モル%、開始剤レベルは1.2モル%であった。結果を表5に示す。
実施例5A:6.5リットルステンレス鋼加圧反応器に1800gの酢酸n−ブチルを入れ、55psiに加圧し175℃に加熱した。159.1gの2−ヒドロキシエチルアクリレート、326.0gの2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1144.7gのn−ブチルメタクリレート、171.1gのメチルメタクリレートおよび23.9gの過酸化ジ−t−ブチルの混合物を3.3時間掛けて反応器に供給した。モノマー供給終了後、反応器を冷却し、樹脂サンプルを取り出して分析した。
実施例5B:実施例5Bは、重合を195℃および75psiで行った以外は5Aと同様に行った。
【表5】

上記結果は、より低い温度およびタイプ(2)モノマー含有率90モル%ではマクロマー純度が低下し、分子量が増加することを明らかに示す。
【実施例6】
【0092】
実施例6においてHEA−BMA架橋性オリゴマーを調製し、タイプ(2)モノマー含有率の好ましい範囲内でのマクロマー純度および分子量分布に対する反応固形分の効果を示した。試験はBMA68モル%、HEA32モル%、過酸化ジ−t−ブチル開始剤1.0モル%で行った。溶媒として酢酸n−ブチルを用い、固形分含有率は60重量%および75重量%であった。結果を表6に示す。
実施例6A:6.5リットルステンレス鋼反応器に995gの酢酸n−ブチルを入れ、75psiに加圧し195℃に加熱した。398.9gの2−ヒドロキシエチルアクリレート、1038.1gのn−ブチルメタクリレート、および15.7gの過酸化ジ−t−ブチルの混合物を1.5時間掛けて反応器に供給した。さらに60分経過後、混合物を冷却し、圧を開放し、811gの揮発分を溜去した。樹脂サンプルをさらに減圧濃縮して揮発分を全て除去し分析した。
実施例6B:実施例6Bは、酢酸n−ブチル量を1000g、2−ヒドロキシエチル量を832.8g、n−ブチルメタクリレート量を2167.3g、過酸化ジ−t−ブチル量を32.8gとした以外は6Aと同様に行った。
【表6】

上記の結果は、タイプ(2)モノマーおよび開始剤含有率が好ましい範囲内において固形分含有率のマクロマー純度に対する影響は極めて小さいことを明らかに示している。
【実施例7】
【0093】
実施例7において、HEA−HEMA−MMA−BMA架橋性オリゴマーを調製し、マクロマー純度および分子量分布に対する反応固形分の効果を示した。タイプ(2)モノマー含有率は90モル%、開始剤レベルは5.0モル%であった。プロピオン酸n−ブチルを溶媒として用いて、固形分含有率は60重量%、70重量%、および80重量%であった。結果を表7に示す。
実施例7A:6.5リットルステンレス鋼反応器に2000gのプロピオン酸n−ブチルを入れ、60psiに加圧し200℃に加熱した。176.0gの2−ヒドロキシエチルアクリレート、362.0gの2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1272.0gのn−ブチルメタクリレート、190.0gのメチルメタクリレートおよび110.7gの過酸化ジ−t−ブチルの混合物を4時間掛けて反応器に供給した。モノマー供給終了時点で反応器を冷却し、分析のため樹脂サンプルを取り出した。
実施例7B:実施例7Bは以下の量の材料を用いて7Aと同様に行った。プロピオン酸n−ブチル1170g、2−ヒドロキシエチルアクリレート240.2g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート504.0g、n−ブチルメタクリレート1736.3g、メチルメタクリレート259.4gおよび過酸化ジ−t−ブチル151.1g。
実施例7C:実施例7Cは以下の量の材料を用いて7Aと同様に行った。プロピオン酸n−ブチル682.5g、2−ヒドロキシエチルアクリレート240.2g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート494.1g、n−ブチルメタクリレート1736.3g、メチルメタクリレート259.4gおよび過酸化ジ−t−ブチル151.1g。
【表7】

上記データは、マクロマー純度がモノマーの全重量含有率に比較的鈍感であること、低分子量オリゴマーが高い固形分条件下で生成しうることを明らかに示す。これらの例で観察された、以前の例と比較して全体に低いマクロモノマー純度は、フリーラジカル開始剤のレベルが高いことに起因する。
【実施例8】
【0094】
実施例8はエポキシ官能性タイプ(1)モノマーを用いる架橋性オリゴマーの調製を示す。6.5リットルステンレス鋼反応器に640.0gのプロピオン酸n−ブチルを入れ、66psiに加圧し200℃に加熱した。393.2gの4−HBAGE(4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエステル)、567.8gのn−ブチルメタクリレートおよび8.74gの過酸化ジ−t−ブチルの混合物を2時間掛けて反応器に供給した。さらに40分経過の後、反応器を冷却し、圧を開放し、分析のため樹脂サンプルを取り出した。最終樹脂の分析値はMn 1082、Mw 1625、Mz 2436、エポキシ当量430mgKOH/g固形分であった。
【実施例9】
【0095】
実施例9は重合ステップ中にタイプ(1)モノマーの架橋性官能基と反応する希釈剤の存在下に作られる架橋性オリゴマーの調製を記述する。
実施例9A:250mLステンレス鋼圧力容器に100gのε‐カプロラクトンを入れ、43psiに加圧し200℃に加熱した。29.5gのHEA、33.0gのHEMA、36.1gのBMAおよび1.48gのTrigonox Bの混合物を6時間掛けて加えた後、室温に冷却した。この段階で材料の固形分含有率は94%であった。反応混合物を減圧ストリッピングによりさらに濃縮した。得られた物質のMnは1670、Mwは3850、ヒドロキシ当量は438であった。マクロマー純度は80%と計算された。
実施例9B:6.5リットルステンレス鋼容器に1402.4gのCardura E−10(ネオデカン酸のグリシジルエステル)を入れ、62psiに加圧し195℃に加熱した。445.1gのアクリル酸、656.3gのメチルメタクリレート、525.7gのn−ブチルケタクリレートおよび36.3gの過酸化ジ−t−ブチルの混合物を2.5時間掛けて反応器に加えた。さらに40分経過の後、反応器を冷却し、樹脂のサンプルを取り出して分析した。転化率は、非揮発性固体分析から計算して95.7%であった。最終ポリオールの分析値はMn 1391、Mw 2592、Mz 4176、酸価0.8mgKOH/g固形分であった。
実施例9Aおよび9Bは、追加の溶媒を用いず反応性希釈剤の存在下に反応を行う場合の本発明の有用性を示す。実施例9Bはカルボン酸からヒドロキシ架橋性官能性へのその場での(系内)変化を示す。
【実施例10】
【0096】
実施例10は、本発明に従って調製した架橋性オリゴマーと、架橋性官能基のないタイプ(1)モノマーであるn−ブチルアクリレートから調製した比較オリゴマーとの比較分析であった。二つのコポリマーの測定したヒドロキシ当量(HEW)値、分子量分布、およびTgは一定に保たれた。
実施例10A:250mLステンレス鋼反応器に100gのo−ジクロロベンゼンを入れ、52psiの加圧下に200℃に加熱した。次いで、27.91gのHEA、70.63gのn−ブチルメタクリレートおよび1.46gの過酸化−t−ブチルの混合物を6時間掛けて反応器に供給した。冷却後、反応生成物を減圧ストリップして揮発分を除去した。生成物の分析値はMn 933、Mw 1271、測定されたTg −50℃、ヒドロキシ当量382であった。
比較試験10B:250mLステンレス鋼反応器に100gのo−ジクロロベンゼンを入れ、52psiの加圧下に200℃に加熱した。次いで、31.65gのn−ブチルアクリレート、29.02gのn−ブチルメタクリレート、37.85gmpHEMAおよび1.48gの過酸化ジ−t−ブチルの混合物を6時間掛けて反応器に供給した。冷却後、反応生成物を減圧ストリップして揮発分を除去した。生成物の分析値はMn 929、Mw 1273、測定されたTg −50℃、ヒドロキシ当量382であった。
実施例10Cおよび実施例10D:それぞれ実施例10Aおよび10Bについてのコーティング分析:10Aおよび10Bのサンプルを表10−1に成分を示すクリアコート処方で評価した。コーティングパネルは成分(i)および (ii)を混合し、ついで硝子板上に2.0ミルのバードバーで塗布して調製した。粘度の増加はブルックフィールド粘度計で測定した。
【表8】

表10−2のデータが示すように、樹脂例10Aを含むコーティング例10Cは、比較樹脂例10Bで作ったコーティング例10Dと比較して遅い粘度増加と遅いゲルタイムを示した。両コーティングは同様の乾燥時間を示した。乾燥特性に悪影響を及ぼさず粘度増加が遅いことは、処方の可使ポットライフを延長するので、スプレイコーティング処方に有利である。
【表9】


【実施例11】
【0097】
実施例11は、本発明に従う高濃度のヒドロキシ官能性鎖末端を有する架橋性オリゴマーの調製、これらの架橋性オリゴマーのブロック共重合、およびクリアコート特性に対する架橋性官能基制御の効果を示す。実施例11Aは、ヒドロキシ官能性の不飽和末端基を有する高ヒドロキシ官能性オリゴマーの生成を記述する。これは、タイプ(2)非架橋性官能性モノマーであるnBMAとの共重合実施例11Bで使用されて、ヒドロキシ官能性ブロック、非官能性ブロックおよびヒドロキシ官能性不飽和末端基を有するコポリマーを生成する。実施例11Cは、ヒドロキシ官能性不飽和末端基を有する低ヒドロキシ官能性オリゴマーの生成を記述する。これは、それぞれ架橋性および非架橋性のタイプ(2)モノマーであるHPMAおよびnBMAの混合物との共重合実施例11で使用されて、架橋性官能性がランダムに分布したコポリマーを生成する。実施例11Eおよび11Fはそれぞれ実施例11Bおよび11Dを用いるコーティング処方を記述する。
実施例11A:72.5gのEEP(3-エトキシプロピオン酸エチル)を250mLステンレス鋼反応器に入れて、ヒドロキシ官能性不飽和末端基を有する高ヒドロキシ官能性オリゴマーを生成した。反応器圧を45psiに上げ、温度を200℃に上げ、24.9gのHEA、83.6gのHPMA、56.5gのBMAおよび2.5gの過酸化ジ−t−ブチルの混合物をこの反応器に6時間掛けて供給し、実施例11Aを得た。
減圧で揮発分を除去した後の11Aのサンプルを分析した結果、Mn 940、Mw 1260、Mz 1724を有していた、本物質のヒドロキシ当量は212であった。この段階におけるモノマー転化率は72%であった。
実施例11B:上記反応混合物実施例11Aの200gを第二の反応器に移して、ヒドロキシ官能性ブロック、非官能性ブロックおよびヒドロキシ官能性不飽和末端基を有するコポリマーを生成させた。第二の反応器を140℃に加熱した。127.1gのBMAおよび1.9gのAMBN開始剤の混合物を5時間掛けて添加した。反応混合物を140℃でさらに35分間保った後、室温に冷却して実施例11Bを得た。実施例11Bの分析値はMn 2110、Mw 3840、Mz 6070、およびヒドロキシ当量432であった。
実施例11C:250mLステンレス鋼反応器に72.5gのEEPを加えることによりヒドロキシ官能性不飽和末端基を有する低ヒドロキシ官能性マクロモノマーを生成させた。反応器圧を45psiに上げ、温度を200℃に上げ、24.9gのHEA、24.8gのHPMA、115.3gのBMAおよび2.5gの過酸化ジ−t−ブチルの混合物を6時間掛けて反応器に供給して、実施例11Cを得た。
揮発分を減圧除去した後の11Cのサンプルを分析した結果、Mn 870、Mw 1150、Mz 1540を有していた。本物質のヒドロキシ当量は390であった。この段階におけるモノマー転化率は66%であった。
実施例11D:実施例11Cの200gを第二の反応器に移して、ランダムに分布したヒドロキシ官能性とヒドロキシ官能性不飽和末端基とを有する架橋性コポリマーを生成させた。第二の反応器を140℃に保った。50.1gのHPMA、70.3gのBMAおよび1.8gのAMBN開始剤の混合物を6時間掛けて添加した。140℃の反応混合物をさらに30分保った後、室温に冷却して実施例11Dを得た。実施例11Dの分析値はMn 2090、Mw 3660、Mz 5510、ヒドロキシ当量400であった。
実施例11Eおよび11F。実施例11Bおよび11Dについてのコーティング分析:11Bおよび11Dのサンプルを、表11−1に成分を示すクリアコート処方で評価した。コーティングパネルは、表に示すように、成分(i)および (ii)を混合し、ついで硝子板上に2.0ミルのバードバーで、またはBonderite1000冷延鋼板上に60RDSアプリケーターバーを用いて塗布して調製した。強制乾燥条件は室温での2時間室温硬化、120°Fで12時間および140°Fで4時間であった。
【表10】

表11−2に示す得られたコーティングデータは、実施例11Eおよび11Fが類似のポットライフ、ゲルタイムおよび乾燥時間を有することを示している。しかし、予期に反して、樹脂例11Bを含み、ブロック型のヒドロキシ官能性分布を特徴とする実施例11Eは、樹脂例11Dを含み、よりランダムなヒドロキシ官能性分布を特徴とする実施礼11Fに比して優れた硬度および耐溶剤性を示す。
【表11】

本実施例は、高濃度の末端不飽和とヒドロキシ官能性末端基を含む架橋性オリゴマーから得られたブロックタイプコポリマー中の架橋性官能性分布を本発明に従って制御することの利点を示している。
【実施例12】
【0098】
実施例12は重合反応が実質的に完了した後に反応混合物に開始剤を添加する方法を示す。6.5リットルのステンレス鋼反応器に1140.0gのプロピオン酸n−ブチルを入れ、63psiに加圧し、202℃に加熱した。875.9gの2−ヒドロキシエチルアクリレート、37.2gの2−ヒドロキシエチルメタクリレート、608.8gのメチルメタクリレート、979.0gのn−ブチルメタクリレート、161.6gのイソボルニルメタクリレートおよび69.4gの過酸化ジ−t−ブチルの混合物を4時間掛けて反応器に供給した。さらに40分経過の後、反応器を158℃に冷却し、47psiに減圧し、15.4gの過酸化ジ−t−ブチルと136.6gのプロピオン酸n−ブチルの混合物を55分掛けて反応器に加えた。さらに50分経過の後、混合物を冷却し、樹脂のサンプルを分析用に取り出した。モノマー転化率は97%であった。最終樹脂の分析値はMn 973、Mw 1426、Mz 2091、着色はAPHA 12であった。
【実施例13】
【0099】
実施例13は本発明に従って調製した架橋性オリゴマーと、より高いVOCの用途用に従来法で調製した比較用オリゴマーとの比較分析であった。
実施例13A:6.5Lステンレス鋼反応器に900gのプロピオン酸n−ブチルを入れて200℃に加熱し、63psiに加圧した。次いで、941.2gのヒドロキシプロピルアクリレート、59.1gのヒドロキシプロピルメタクリレート、741.6gのメチルメタクリレート、28.6gのメタクリル酸、160.5gのスチレン、444.8gのイソブチルメタクリレート、487.2gのイソボルニルメタクリレートおよび14.2gの過酸化ジ−t−ブチルの混合物を150分掛けて反応器に供給した。追加の60gのプロピオン酸n−ブチルを用いてフィードラインを洗浄した。さらに45分経過の後、反応器を145℃に冷却し、圧を45psiに調節した。引き続き、1.17gの過安息香酸t−ブチルおよび98.5gのプロピオン酸n−ブチルの混合物を全注入時間80分を掛けて反応器に供給した。更に15分経過の後、反応器を冷却し、生成物を取り出した。ポリオールは分析の結果、固形物含有率67.4%、粘度1800cps、Mn 1611、Mw 3254、Mz 5924であった。
実施例13Aのコーティング分析:表12−1に成分を示したクリアコート処方で13Aのサンプルを評価した。比較のために市販のアクリル樹脂Setalux 17−1447を用いた。コーティングパネルは成分(i)および(ii)を混合して調製した。ペイントの初期粘度はザーン#2粘度カップで25秒であった。ペイントはBonderite 1000冷延鋼板上に60RDSアプリケーターバーで塗布した。強制乾燥条件は4時間室温硬化および120°Fで15時間であった。衝撃試験および硬度試験用の乾燥フィルムの厚みは約1.6ミルであった。
【表12】

表12-2に示した得られたコーティングデータは、13Aが対照より低いVOCを与えることを示す。実施例13Aは対照より低いVOCを与えることを示す。実施例13のVOCの方が低い場合でさえ、硬度値および衝撃値は対照(Setalux 17−1447)のそれと同程度である。
【表13】

【実施例14】
【0100】
実施例14は、本発明に従う高濃度のヒドロキシ官能性鎖末端を有する架橋性オリゴマーの調製、これらの架橋性オリゴマーのブロック共重合、およびクリアコート特性に対する架橋性官能基制御の効果を示す。実施例14Aはヒドロキシ官能性不飽和末端基を有する高ヒドロキシ官能性オリゴマーの生成を記述している。それは、ヒドロキシ官能性ブロック、非官能性ブロックおよびヒドロキシ官能性不飽和末端基を有するコポリマーを生成するタイプ(2)非架橋性官能性モノマーとの共重合である実施例14Bに用いられる。実施例14Eおよび14Fは14Bを用いるコーティング処方、およびランダム重合により製造された典型的な低固形分の従来のポリオールをそれぞれ記述する。
実施例14A:6.5Lステンレス鋼反応器に783.6gのプロピオン酸n−ブチルを加えることにより、ヒドロキシ官能性不飽和末端基を有する高ヒドロキシ官能性オリゴマーを調製した。反応器圧力を65psiに高め、温度を200℃に上昇し、747.0gの2−ヒドロキシエチルアクリレート、91.2gの2−ヒドロキシエチルメタクリレート、866.8gのn−ブチルメタクリレート、344.9gのメチルメタクリレートおよび33.1gの過酸化ジ−t−ブチルの混合物を185分を掛けてこの反応器に供給した。注入期間終了後、温度を20分間200℃に保ち、次いで145℃に下げた。1.38gの過安息香酸t−ブチルおよび69.2gのプロピオン酸n−ブチルの混合物を40分を掛けて添加して実施例14Aを得た。
14Aのサンプルの分析結果はMn 1149、Mw 1790、およびMz 2694であった。この段階でのモノマー転化率は94%であった。
実施例14B:6.5Lステンレス鋼反応器中で上記反応混合物を直接処理することによりヒドロキシ官能性ブロック、非官能性ブロックおよびヒドロキシ官能性不飽和末端基を有するコポリマーを調製した。反応器を46psiに加圧し、146℃に加熱した。314.5gのメチルメタクリレート、331.8gのi−ブチルメタクリレート、28.9gのメタクリル酸、190.4gのイソボルニルメタクリレートおよび14.9gの2−エチルへキサン過酸t−ブチル開始剤の混合物を220分を掛けて添加した。反応混合物をさらに34分間146℃に保った。次いで、285.8gの揮発分を常圧で溜去して、実施例14Bを得た。実施例14Bの分析値は固形分73.8%、Mn 1611、Mw 2604、Mz 3906、モノマー転化率に基づきヒドロキシ当量350であった。
実施例14についてのコーティング分析:成分を表13−1に示す組成のクリアコート処方で14Bのサンプルを評価した。比較のため、市販のアクリル樹脂Setalux 17−1447を用いた。コーティングパネルは成分(i)および(ii)を混合して調製した。ペイントの初期粘度はザーン#2粘度カップで25秒であった。ペイントは表に示すように、ガラス板上に2.0ミルのバードバーで、またはBonderite 1000冷延鋼板上に60RDS塗布バーで塗布した。QUV耐候性試験のため、ペイントを60RDS塗布バーで、硬化した白いベースコート上に塗布した。強制乾燥条件は、4時間環境温度硬化および15時間120°Fであった。衝撃試験用の乾燥フィルムの厚みは1.6−1.85ミル、MEK2回こすり試験用は1.85−2.1ミルであった。
【表14】

表13−2に示した得られたコーティングのデータは、実施例14−Bが対照より低いVOCを与えることを示す。硬化乾燥(ハードドライ)および完全乾燥(ドライスルー)時間は対照より速い。架橋密度を代表する8時間後のMEK2回こすり(ダブルラブ)もまた対照より高い。硬度は同等である。QUV−A露光の結果は光安定剤が存在しないと20°光沢保存が対照よりやや低く、実施例14Bの黄色指標は標準よりかなり低かった(良かった)。上記特性は全てヒドロキシ官能性ブロック型分布がより速い硬化とよりよい耐黄色化性を示すことを示している。
【表15】


本実施例は、本発明に従って高濃度の末端不飽和およびヒドロキシ官能性末端基を含む架橋性オリゴマーから得られるブロック型コポリマー中の架橋性官能性分布の制御の利点を示す。
【実施例15】
【0101】
反応器に50.23gの溶剤を含まないオリゴマーポリエステルポリオール(トリメチロールプロパン、ヘキサヒドロフタル酸無水物、およびPrifac5908(Uniqemaより)から調製された、Mn 759、Mw 1068、Mz 1409、ヒドロキシ価276mgKOH/g)を入れ、3.5バール圧下に200℃に加熱した。次いで、113.8gのn−ブチルメタクリレート、46.45gのヒドロキシエチルアクリレートおよび2.53gのTrigonox Bの混合物150gを6時間掛けて徐々に供給した。冷却し過剰の圧を開放した後、Mn 1009、Mw 1571、Mz 2418のモル質量分布を有する澄明な樹脂を得た。残留モノマーを減圧除去した後、NMRで測定した末端C=C濃度は0.61mmol/g樹脂であった。SEC値から鎖の数は0.99mmol鎖/g樹脂であり、その内0.33mmolはポリエステルとして始めに導入されたものであった。このポリエステル鎖を補正すると、生成した新しい鎖のマクロマー純度は92%であった。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】分子量とタイプ(2)モノマーのモル%との関係を示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本発明は構造(1)
VHC=CHX (1)
を有する少なくとも一つのモノマーと、構造(2)
WHC=CYZ (2)
を有する少なくとも一つのモノマー(式中V、W、X、およびZは、水素、R、COR、COH、COR、CN、CONH、CONHR、CONR、OCR、ORまたはハロゲンからなる群から独立に選択され、しかしZは水素ではなく、Rは置換または非置換のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロサイクリル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アラルキル、シリル、またはアリールからなる群から独立に選択され、Yは置換または非置換のアルキル、アルケニル、アリール、およびアラルキルからなる群から選択され、(1)および/または(2)は、VとXが互いに結合しておよび/またはWとZが互いに結合して少なくとも4原子を含む環を形成している環状であってもよい)を反応させて反応混合物を形成することを含む架橋性オリゴマーの製造方法において、反応混合物中の(2)型のモノマーの量が、反応される(1)型および(2)型のモノマーの総モル数の50モル%と95モル%の間にあり、(1)型のモノマーの60モル%超が少なくとも一つの架橋性官能基部分を含む側基を有し、該方法において、反応な間中(1)型および(2)型のモノマーを実質的に液相中に保つに十分な圧を維持し、かつ温度を170℃と260℃の間に保つところの方法。
【請求項2】
Rが置換されており、置換基がヒドロキシ、エポキシ、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、シリル、シリルオキシ、シラン、カルボン酸(および塩)、1,3−ジカルボニル、イソシアナト、スルホン酸(および塩)、無水物基、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、イミノエーテル、イミドエーテル、アミドエーテル、ラクトン、ラクタム、アミド、アセタール、ケタール、ケトン、オキサゾリジノン、(非環状および環状)カルバメ−ト、(非環状および環状)カーボネート、ハロ、ジアルキルアミノ、オキサジリジン、アジリジン、オキサゾリジン、オルトエステル、(非環状および環状)尿素、オキセタン、シアノ、およびこれらの混合からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも一つのタイプ(1)モノマーの60ないし100モル%が、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシペンチルアクリレート(全異性体)、ヒドロキシヘキシルアクリレート(全異性体)、ヒドロキシブチルアクリレート(全異性体)、ヒドロキシプロピルアクリレートの異性体、4−ヒドロキシスチレン、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、カプロラクトン封止ヒドロキシエチルアクリレート(TONEモノマー)、アクリル酸とモノエポキシドとのアダクト、2−エポキシシクロヘキサン、グリシドール、カーボネートアクリレートとアミンとのアダクト、ポリエチレンオキサイド封止ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレンオキサイド封止ヒドロキシプロピルアクリレート、ポリエチレンオキサイド封止ヒドロキシへキシルアクリレート、ポリエチレンオキサイド封止ヒドロキシブチルアクリレートの異性体、ポリプロピレンオキサイド付加ヒドロキシエチルアクリレート、ポリプロピレンオキサイド付加ヒドロキシプロピルアクリレート、ポリプロピレンオキサイド付加ヒドロキシヘキシルアクリレート、ポリプロピレンオキサイド付加ヒドロキシブチルアクリレートの異性体、ポリプロピレンオキサイド付加ヒドロキシブチルアクリレートの異性体及びその混合物、グリシジルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンオキサイド、アリルグリシジルエーテル、N−グリシジルアクリルアミド、アクリルエポキシ基含有アクリレートモノマー群、およびそれらの混合物、またはビニルオキシトリメチルシラン、トリメトキシシリルプロピルアクリレート、トリエトキシシリルプロピルアクリレート、ジメトキシシリルプロピルアクリレート、ジエトキシシリルプロピルアクリレート、ジブトキシシリルプロピルアクリレート、ジイソプロポキシシリルプロピルアクリレート、およびそれらの混合物、またはアクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸、ビニルアセテート、安息香酸ビニル、4−t−ブチル安息香酸ビニル、ベルサチン酸ビニルエステル群、アクリロイルオキシエチルサクシネート、マレイン酸、フマール酸、無水マレイン酸のハーフ酸/エステル、ジアセトンアクリルアミド、アクリロイルオキシエチルアセトアセテート、2−ビニル−1,3−ジオキソラン、ビニルエチレンカーボネート、N−ビニルカプロラクタム、アクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、2−N−エチレンウレアエチルオキシアクリレート、および2−N−エチレンウレアエチルアクリルアミド、およびその混合物、またはジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N−t−ブチルアミノエチルアクリレート、t−ブチルアミンまたはジアルキルアミンとグリシジルアクリレートとの反応で生成するモノマー、およびその混合物、または無水アクリル酸、無水アルケニル琥珀酸、無水マレイン酸、無水ビニルヘキサヒドロフタル酸、無水3−メチル−1,2,6−テトラヒドロフタル酸、無水2−メチル−1,3,6−テトラヒドロフタル酸、2−(3/4−ビニルベンジル)琥珀酸、(2−無水琥珀酸)アクリレート、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−スピロ−3’−エキソ琥珀酸無水物、無水アルケニル琥珀酸、およびその混合物、またはメチル化N−メチロールアクリルアミド、ブチル化N−メチロールアクリルアミド、琥珀酸イミドのビニル−N−アルコキシメチル誘導体、フタルイミド、N−アルコキシメチル−1,2,3,6−テトラヒドロフタルイミド無水物、N−アルコキシメチルマレイミド、およびその混合物からなる架橋性官能性部分を有するモノマー群から選択され、かつ少なくとも一つのタイプ(1)モノマーの0ないし40モル%が、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、プロピルアクリレート異性体、ブチルアクリレート、ブチルアクリレート異性体、ヘキシルアクリレート、2−エチルブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソアミルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソデシルアクリレート、スチレン、セチルアクリレート、およびその混合物からなる架橋性官能性部分を含まないタイプ(1)モノマー群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも一つのタイプ(2)モノマーが、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、プロピルメタクリレート異性体、ブチルメタクリレート、ブチルメタクリレート異性体、ヘキシルメタクリレート、2−エチルブチルメタクリレート、クロチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、アルファメチルスチレン、シクロヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、およびその混合物からなる架橋性官能性部分を含まないタイプ(2)モノマー群から選択されるかまたは、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート異性体、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート異性体、グリセロールモノメタクリレート、メタクリル酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、2−tert−ブチルアミノエチルメタクリレート、トリエチレングリコ−ルメタクリレート、メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−tert−ブチルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチロールメタクリルアミド、アルファメチルビニル安息香酸(全ての異性体)、ジエチルアミノアルファメチルスチレン、2−イソシアナトエチルメタクリレート、ジエチルアミノアルファメチルスチレン異性体、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、トリエトキシシリルプロピルメタクリレート、メタクリル酸、トリブトキシシリルプロピルメタクリレート、ジメトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジイソプロポキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジメトキシシリルプロピルメタクリレート、ジエトキシシリルプロピルメタクリレート、ジブトキシシリルプロピルメタクリレート、ジイソプロポキシシリルプロピルメタクリレート、イソブチレン、およびその混合物からなる架橋性官能性部分を含まないタイプ(2)モノマー群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ZおよびXがカルボン酸、カルボン酸エステル、または置換または非置換アリール基である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
反応されるモノマーの総モル数に対して0.1モル%ないし5モル%の量の少なくとも一つのフリーラジカル開始剤をタイプ(1)および(2)モノマーに加えることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
タイプ(1)および(2)モノマーに、少なくとも一つの溶媒または希釈剤を加えることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
溶媒が酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸n−ブチル、酢酸イソブチル、プロピオン酸n−ペンチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、およびイソ酪酸イソブチルからなる群から選択されるエステル溶媒である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
溶媒または希釈剤が、OH価が少なくとも100mgKOH/g、数平均分子量が2000未満であるポリエステルオリゴマーであることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
溶剤または希釈剤がラジカル反応と独立に重合条件下で反応性であるか、または重合条件下で不活性または実質的に不活性であるがコーティング架橋反応を含む後重合条件下で反応性である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
実質的な反応完了において170℃未満の温度で少なくとも一つのフリーラジカル開始剤を加えて残留モノマーを反応させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
反応の実質的な完了直後に、少なくとも一つのフリーラジカル開始剤を加えることなく170℃未満の温度で残留未反応モノマーの除去を行うことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
モノマー混合物が、その60モル%ないし100モル%が架橋性官能性部分を含み、その0ないし40モル%が架橋性官能性部分を含まないところのタイプ(1)モノマーを含み、かつ、(タイプ(1)およびタイプ(2)モノマーの総モル数に対して)50モル%ないし95モル%の任意的に架橋性官能性部分を含んでもよいタイプ(2)モノマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
モノマー混合物が、(タイプ(1)およびタイプ(2)モノマーの総モル数に対して)少なくとも10モル%の架橋性官能性部分を含むモノマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
モノマー混合物が、(タイプ(1)およびタイプ(2)モノマーの総モル数に対して)少なくとも10モル%の架橋性官能性部分を含むモノマーを含み、合計して少なくとも20モル%のモノマーが架橋性官能性部分を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
タイプ(1)モノマーの80モル%超、最も好ましくは実質的に100モル%が架橋性官能性部分を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
タイプ(2)モノマーが5モル%超の架橋性官能性部分を含むモノマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
(不飽和末端基を有するオリゴマーのモル%比率で定義される)マクロマー純度が少なくとも70モル%である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
オリゴマーが500ないし2500の重量平均分子量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
タイプ (2)モノマーの量が(タイプ(1)およびタイプ(2)モノマーの総モル数に対して)少なくとも60モル%であり、さらに以下の特徴
a)開始剤の量が0.5モル%ないし5モル%である、
b)反応温度が190℃超である、
c)溶媒または希釈剤の量が少なくとも20重量%である
の少なくとも一つを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
開始剤の量が0.5ないし5モル%であり、タイプ(2)の量が(タイプ(1)およびタイプ(2)モノマーの総モル数に対して)少なくとも60モル%である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
開始剤の量が少なくとも0.6モル%であり、タイプ(2)モノマーの量が(タイプ(1)およびタイプ(2)モノマーの総モル数に対して)少なくとも80モル%である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
請求項1ないし22のいずれか一つに従う方法を含み、さらに、請求項1ないし22に従う方法で得られる架橋性オリゴマーをさらに少なくとも一つの第二のフリーラジカル開始剤と少なくとも一つの追加モノマーまたはモノマー群と反応させる少なくとも一つの共重合ステップを含む架橋性コポリマーの製造方法であって、該追加モノマーまたはモノマー群がタイプ(1)モノマー群、タイプ(2)モノマー群、および、二つ以上のラジカル重合性のオレフィン性不飽和基、好ましくはアクリレート、メタクリレートおよび/または置換または非置換アリールを有するオレフィン性不飽和基を有するタイプ(3)モノマー群からなる群から選択される方法。
【請求項24】
タイプ(3)のモノマー群が下記の構造で表され、
(CH=CH) −U−(CY’=CHW’) (3)
式中nは0より大きいかまたはこれと等しく、mは0より大きいかまたはこれと等しく、n+mは2より大きいかまたはこれと等しく、Y’およびW’はそれぞれタイプ(2)モノマー群におけるYおよびWと同じく定義され、Uは2以上のC=C単位の結合点である、請求項23に従う方法。
【請求項25】
タイプ(3)のモノマー群がジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセロール−1,3−ジメタクリレート、ポリエチレングリコール200−ジメタクリレート、アリルメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジウレタンジメタクリレート、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロポキシキ)フェニル]プロパン、1,12−ドデカンジオールジメタクリレート、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
追加モノマーも実質的な量のタイプ(2)モノマーを含むときには、さらなる共重合ステップが190℃未満、好ましくは170℃未満で行われる請求項23に従う架橋性コポリマーの製造方法。
【請求項27】
請求項1ないし22に従うオリゴマーの製造の実質的な完了の直後にそのオリゴマーに追加モノマーが供給される請求項26に従う架橋性コポリマーの製造方法。
【請求項28】
追加モノマーまたはモノマー群の50モル%超がタイプ(2)モノマーである請求項23に従う方法を含むブロックタイプ架橋性コポリマーの製造方法。
【請求項29】
架橋性オリゴマーセグメントのFEW値が追加モノマーによって生成されるセグメントと実質的に異なる請求項28に従うブロックタイプの架橋性コポリマーの製造方法。
【請求項30】
追加モノマーの平均OH価が架橋性オリゴマーの平均OH価の半分未満である請求項28に従うブロックタイプの架橋性コポリマーの製造方法。
【請求項31】
追加モノマーの質量が架橋性オリゴマーの質量の半分より多い、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
追加モノマーの平均OH価が架橋性オリゴマーの平均OH価の2倍より大きい請求項27に従うブロックタイプの架橋性コポリマーの製造方法。
【請求項33】
追加モノマーの質量が架橋性オリゴマーの質量の半分より少ない、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
請求項23に従う方法を含む星型架橋性コポリマーの製造方法であって、(混合物中の総モノマー量に対して)追加モノマーまたはモノマー群の高々20モル%がタイプ(3)モノマーである方法。
【請求項35】
請求項1に従う架橋性オリゴマーの製造方法と、架橋性オリゴマーをさらに少なくとも一つの官能基を有する一つ以上の反応物と反応させる少なくとも一つの追加ステップとを含む変性された架橋性オリゴマーの製造方法であって、該官能基がタイプ(1)またはタイプ(2)のモノマーまたはモノマー群の一つ以上の架橋性官能性部分を修飾して新しい架橋性オリゴマーを得ることができる、上記製造方法。
【請求項36】
官能基がエポキシ、シリル、イソシアナト、アミノ、酸無水物、ヒドロキシ、イミノエーテル、イミドエーテル、アミドエーテル、カルバメート、シアノ、ラクトン、ラクタム、(非環状および環状)カルバメート、(非環状および環状)カーボネート、アジリジン、アンヒドリド、アミン、カルボン酸、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
請求項1ないし22のいずれか一つに従う方法によって得られる架橋性オリゴマー。
【請求項38】
構造(1)
VHC=CHX (1)
を有する少なくとも一つのモノマーと、構造(2)
WHC=CYZ (2)
を有する少なくとも一つのモノマー(式中V、W、X、およびZは、水素、R、COR、COH、COR、CN、CONH、CONHR、CONR、OCR、ORまたはハロゲンからなる群から独立に選択され、しかしZは水素ではなく、Rは置換または非置換のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロサイクリル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アラルキル、シリル、またはアリールからなる群から独立に選択され、Yは置換または非置換のアルキル、アルケニル、アリール、およびアラルキルからなる群から選択され、(1)および/または(2)は、VとXが互いに結合しておよび/またはWとZが互いに結合して少なくとも4原子を含む環を形成している環状であってもよい)を含むモノマー混合物の反応生成物を含む架橋性オリゴマーにおいて、反応混合物中の(2)型のモノマーの量が、反応される(1)型および(2)型のモノマーの総モル数の50モル%と95モル%の間にあり、(1)型のモノマーの60モル%超が少なくとも一つの架橋性官能基部分を含む側基を有し、該オリゴマーが3ないし24の数平均重合度、100ないし2000のFEW、および少なくとも70%の(不飽和末端基を有するオリゴマーのモル%での割合として定義される)マクロマー純度を有する、架橋性オリゴマー。
【請求項39】
タイプ(1)のモノマーの80モル%超、好ましくは実質的に100モル%が架橋性官能部分を有し、マクロマー純度が少なくとも80%である、請求項38に従う架橋性オリゴマー。
【請求項40】
500ないし2500の重量平均分子量を有する、請求項38に従う架橋性オリゴマー。
【請求項41】
タイプ(2)モノマーの量が少なくとも70モル%である、請求項40に従う架橋性オリゴマー。
【請求項42】
(タイプ(1)およびタイプ(2)モノマーの総量に対して)10モル%超の三架橋性官能性部分を有するタイプ(2)モノマーを含む、請求項38に従う架橋性オリゴマー。
【請求項43】
追加モノマーのブロックが、タイプ(1)モノマーから生成するオリゴマーの不飽和末端基とオリゴマーの残部との間でオリゴマー中に挿入され、それによって上記オリゴマーと本質的に同じ末端架橋性官能性を有することを特徴とする、請求項28ないし33のいずれか一つに従う方法によって得られる架橋性ブロック型コポリマー。
【請求項44】
請求項37ないし42のいずれか一つに従うオリゴマーを含み、50モル%超のタイプ(2)モノマーを含むブロックで延長された、架橋性ブロック型コポリマー。
【請求項45】
請求項37または38の架橋性オリゴマーを含むブロック状、分岐状、星型または櫛型のグラフト架橋性コポリマー。
【請求項46】
請求項37ないし42のいずれか一つの架橋性オリゴマーを含むコーティング、潤滑剤、封止剤、または接着剤。
【請求項47】
ブロック状、分岐状、星型、または櫛型グラフト架橋性コポリマーにおいて請求項37ないし42のいずれか一つに従う架橋性オリゴマーを用いる方法。
【請求項48】
コーティング、潤滑剤、封止剤、または接着剤組成物において、請求項37ないし42に従う架橋性オリゴマーを用いるおよび/または該架橋性オリゴマーを含むブロック状の、星型、または櫛型グラフト架橋性コポリマーを用いる方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−511710(P2008−511710A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528887(P2007−528887)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【国際出願番号】PCT/EP2005/054344
【国際公開番号】WO2006/024669
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(505396349)ヌプレクス レジンズ ビー.ブイ. (13)
【Fターム(参考)】