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架橋性置換フルオレン化合物をベースにした共役オリゴマー又はポリマーを含むフィルム
説明

架橋性置換フルオレン化合物をベースにした共役オリゴマー又はポリマーを含むフィルム

【課題】電子素子において中間層を形成するために使用する場合に特に有効な正孔注入/輸送又は電子阻止特性を有するオリゴマー及びポリマーを含むフィルムを提供する。
【解決手段】特定のフルオレンジイル構造を有する繰り返し単位を有する架橋性オリゴマー又はポリマーの1つ又は複数を含むフィルム

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2003年11月17日出願の米国特許仮出願第60/520,597号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、新規な架橋性フルオレン化合物及びその調製方法に関する。さらに、本発明は、その架橋誘導体を含めてこのような化合物のオリゴマー及びポリマー;このような化合物、オリゴマー又はポリマーから調製されたフィルム及びコーティング;このようなフィルム及びコーティングの調製方法;並びに1層又は複数層のこのようなポリマーフィルムを含む電子素子、特にエレクトロルミネッセンス素子に関する。
【背景技術】
【0003】
米国特許第6,605,373号、第6,362,310号、第6,255,449号、第6,255,447号、第6,169,163号、第5,962,631号及び関連特許は、いくつかの架橋性置換フルオレン化合物、並びにそれからのオリゴマー及びポリマーを開示している。Macromolecular Rapid Communication、21巻、583〜589頁(2000年)は、架橋性オキセタン基を含有するアリールアミン含有架橋性正孔輸送材料の合成を記載している。Macromolecular Rapid Communication、20巻、224〜228頁(1999年)は、フィルムとしてスピンコートし架橋することができる架橋性オキセタン基を有するトリアリールアミン小分子の合成を記載している。上記の参考文献は、架橋ポリマーが開示されている範囲において、共役ポリマー主鎖を欠いており、制限された電荷輸送能しか有さない。
【0004】
国際公開第2004/072123号には、有機発光ディスプレイに使用するためのフルオレンジイルを含む化合物が開示されている。関連化合物も米国特許第6,559,256号及び2004年3月18日発行の米国特許出願公開第2004/0054152号に開示されている。
【0005】
ディスプレイ技術における最近の進歩によって、発光ダイオード(LED)などのエレクトロルミネッセンス素子に使用される化合物及び加工技術の改善がもたらされた。青色発光化合物を含めて、可視光スペクトルの大部分について、高輝度材料が入手可能である。最近、活性層又は発光層と陽極との間に電荷輸送層を組み込むことによって、多層LEDの活性層又は発光層の寿命及び効率が改善されることが見出された。このような層は、正孔注入層及び/又は正孔輸送層とも呼ばれ、その目的は、発光層への正孔注入を改善すること、及び陽極と発光層との間に緩衝層を提供することである。他の応用として、このような正孔輸送層と発光層の間の中間層は、改善された素子効率及び寿命を提供することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,605,373号明細書
【特許文献2】米国特許第6,362,310号明細書
【特許文献3】米国特許第6,255,449号明細書
【特許文献4】米国特許第6,255,447号明細書
【特許文献5】米国特許第6,169,163号明細書
【特許文献6】米国特許第5,962,631号明細書
【特許文献7】国際公開第2004/072123号
【特許文献8】米国特許第6,559,256号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2004/0054152号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Macromolecular Rapid Communication、21巻、583〜589頁(2000年)
【非特許文献2】Macromolecular Rapid Communication、20巻、224〜228頁(1999年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、多層LEDの正孔輸送層及び中間層に使用するための、並びに電界効果トランジスタ(FET)、光電池などのその他の電子素子に使用するための、さらには集積回路又はプリント回路基板に使用するための新規化合物を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、本発明は、1つ又は複数の次式のフルオレンジイル基
【化1】


好ましくは
【化2】


[式中、Rはそれぞれ独立して出現するごとに、不活性置換基、一価の架橋形成性基X又は多価の架橋形成性基X’であり、但し、1分子当たり少なくとも1つの繰返し単位において少なくとも1つのRはX又はX’である]
を含む架橋性化合物である。
架橋性基X及びX’は懸垂性であるので、本発明の化合物は、比較的多量の共役不飽和を含むオリゴマー及びポリマーを形成し、それによって改善された電荷輸送特性をもたらすことができる。上記の化合物を含む架橋組成物から得られる、コポリマーを含めて、オリゴマー及びポリマーは、低減されたイオン化ポテンシャル及び改善された導電性を特徴として有利である。さらに、この化合物は、エレクトロルミネッセンス素子において中間層又は発光層として使用するのによく適した耐溶媒性架橋フィルムを形成することができる。
【0010】
したがって、第2の態様では、本発明は、次の実験式の繰返し単位
【化3】


好ましくは
【化4】


[式中、Rはそれぞれ独立して出現するごとに、不活性置換基、一価の架橋形成性基X又は多価の架橋形成性基X’であり、但し、1分子当たり少なくとも1つの繰返し単位において、少なくとも1つのRはX又はX’であり、
Zは、共重合性コモノマーの2価の残基又は1価の連鎖停止基であり、
xは1〜10,000の数であり、zは0〜10,000の数であり、組成物中の平均繰返し単位数を示す]
を有するオリゴマー又はポリマーを含む架橋性組成物である。
【0011】
第3の態様では、本発明は、式Ia又はIa’の、コポリマーを含むオリゴマー又はポリマーの調製方法であって、式Iの少なくとも1つの単位を含む1つ又は複数の化合物、或いはこれを含む組成物、例えばそれらとポリマーの成分Zを形成することができる1つ又は複数の付加重合性コモノマーとの混合物を、反応を妨害しない任意のその他の化合物の存在下、式Ia又はIa’のオリゴマー又はポリマーを形成するのに十分な反応条件下で加熱する工程を含む方法である。
【0012】
第4の態様では、本発明は、次式に対応する繰返し単位、
【化5】


好ましくは次式に対応する繰返し単位
【化6】


[式中、
R’はそれぞれ独立して出現するごとに、R;又はX若しくはX’の架橋誘導体であり、但し、少なくとも1つの出現において、R’はX又はX’の架橋誘導体であり、
X、X’、R、Z、x及びzは先に定義した通りである]
を有する架橋したポリマーを含む。
【0013】
第5の態様では、本発明は、本発明の第2又は第4の態様のオリゴマー又はポリマー、或いは本発明の第3の態様に従って調製可能なオリゴマー又はポリマーのうちの1つ又は複数を含むフィルムである。
【0014】
第6の態様では、本発明は、少なくとも1層が本発明の第5の態様によるフィルムを含む、1層又は複数層のポリマーフィルムを含む電子素子である。
【発明の効果】
【0015】
上記の化合物、オリゴマー及びポリマーは、電子素子において中間層を形成するために使用する場合に特に有効な正孔注入/輸送又は電子阻止特性を有することが見出され、低減されたイオン化ポテンシャル及び改善された導電性を特徴として有利である。さらに、この化合物は、LEDなどの電子素子においてこのような中間層として使用するのによく適した耐溶媒性架橋フィルムを形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
米国特許の実務により、本明細書で引用した特許、特許出願又は刊行物についてその全ての内容が、特にモノマー、オリゴマー又はポリマーの構造、合成技術及び当技術分野における一般的な知識の記載が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書において用語「〜を含む」及びその類義語が使用された場合、そのものが本明細書に開示されているいないにかかわらず、さらなる成分、工程または手順の存在を排除しない。疑義を回避するために記すと、用語「〜を含む」を使用して本明細書でクレームされる組成物は全て、これに反する記述がない限り、さらなる添加剤、補助剤又は化合物を含むことができる。一方、本明細書において用語「〜から本質的になる」が使用された場合は、その語に続く列挙の範囲から、実施可能性にとって本質的でないものを除き、他の全ての成分、工程又は手順は排除される。用語「〜からなる」が使用された場合は、具体的に記述又は列挙されていない成分、工程又は手順は全て排除される。用語「又は」は、他に反対の記載がない限り、又は文脈から明らかでない限り、列挙された個々のメンバー及び任意の組み合わせを意味する。
【0017】
本明細書で使用する用語「芳香族」とは、(4δ+2)π電子を含む多原子環状環系を指し、δは、1以上の整数である。本明細書で2つ以上の多原子環状の環を含む環系に関して使用される用語「縮合した」とは、その少なくとも2つの環に関して、隣接する原子の少なくとも一対が2環に含まれていることを意味する。
「B段階の(B−Staged)」とは、モノマーの部分重合から得られるオリゴマー混合物又は低分子量ポリマー混合物を指す。未反応モノマーがその混合物に含まれ得る。
【0018】
「共役」は、興味のあるポリマー鎖中の原子に関連した隣接するπ−、p−又はd−軌道電子の完全な又は部分的な重なりを指す。共役は、非局在化した電荷を有する原子を含有する2つの単位間に存在すると推定され、これらの単位はたとえば二重又は三重結合のような共有結合、又は−S−、−O−、−NR−、−PR−、−BR−又は−SiR−基によってそれぞれ結合される。
【0019】
「架橋性」は、不可逆的に硬化又は重合し、それによって再造形又は再形成することができない材料を形成することができる官能基を意味する。架橋を、熱によって、或いはUV、マイクロ波、X線又は電子線照射によって助長することができる。この用語は、架橋が熱的に行われる場合には「熱硬化性」としばしば互換可能に使用される。
【0020】
「ヒドロカルビル」は、炭素と水素の原子だけを含む1価の部分を指す。
【0021】
「ヒドロカルビレン」は、炭素と水素の原子だけを含む2価の部分を指す。
【0022】
「不活性な」は、本明細書の所望の調製又は合成を妨害しない、或いは本発明の組成物の後続の反応、カップリング又は重合を妨害しない置換基又は化合物を意味する。適切な不活性置換基には、水素、C1〜20ヒドロカルビル及びトリ(C1〜20ヒドロカルビル)シリル基が含まれる。
【0023】
「脱離基」は、カップリング条件下で分子から容易に置換又は脱離する置換基を意味する。適切な脱離基の例には、ハロ、シアノ、トリフラート、アジド、−B(OR及び
【化7】


[式中、Rはそれぞれ独立して出現するごとに、不活性置換基、好ましくは水素又はC1〜10アルキル基であり、
はそれぞれ独立して出現するごとに、C2〜10アルキレン基である]が含まれる。好ましい脱離基はブロモである。
【0024】
一官能性の架橋性X基の例は、二重結合、三重結合、二重結合をその場で形成することができる前駆体又はヘテロ環付加重合性基を含む部分である。好ましい架橋性X基としては、ベンゾシクロブタン、アジド、オキシラン、ジ(ヒドロカルビル)アミノ、シアン酸エステル、ヒドロキシ、グリシジルエーテル、C1〜10アルキルアクリレート、C1〜10アルキルメタクリレート、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、マレイミド、ナジイミド、トリ(C1〜4)−アルキルシロキシ、トリ(C1〜4)アルキルシリル及びそれらのハロゲン化誘導体からなる群から選択される1つ又は複数の置換基を含む置換C6〜12アリーレン又はアラルキレン基がある。最も好ましい架橋性X基は、ビニルベンジル、p−エテニルフェニル、ペルフルオロエテニル、ペルフルオロエテニルオキシ、ベンゾ−3,4−シクロブタン−l−イル及びp−(ベンゾ−3,4−シクロブタン−1−イル)フェニルである。
【0025】
適切な架橋性X基の具体例には、
【化8】


[式中、
は、水素、ハロゲン、C1〜20ヒドロカルビル、C1〜20ハロヒドロカルビル又はC1〜20ハロカルビルであり、
は、C1〜20ヒドロカルビレン、C1〜20ハロヒドロカルビレン、又はC1〜20ハロカルビレン、好ましくはアリーレン、最も好ましくはp−フェニレンであり、
pは0又は1である]が含まれる。
【0026】
同じ趣旨で、多官能性X’基は、上記の架橋性X官能基を2つ以上を含む置換基である。X官能基の架橋は、2つ以上の異なる化合物、オリゴマー又はポリマー中の2つ以上のX基間の反応、或いはX基と、別に添加された重合性コモノマーとの反応によってこれらの分子を単一の化学単位に結合させるものであることが当業者によって理解されるであろう。
【0027】
本発明の好ましい一実施形態では、X基は、芳香族部分、好ましくは式ArX”の部分(式中、Arは、水素を数に入れずに最高20個の原子を有する2価の芳香族基、及びX”は、非局在化電子電荷を有するArの原子に共有結合するその架橋形成用原子のうちの少なくとも1つを有する架橋性基である)を含む。すなわち、X”基は、Arを含む芳香族基に直接結合している。この実施形態では特に適切なX”基には、p−エテニルフェニル、p−ビニルベンジル、又はベンゾ−3,4−シクロブタン−1−イル基、及びその不活性置換誘導体が含まれる。さらに別の好ましい実施形態では、X基は自己架橋性であり、これは前記X基が関与する架橋を開始するために酸、塩基又は過酸化物化合物などの開始剤が必要でないことを意味し、共重合性コモノマー、特にエチレン性不飽和化合物などの付加重合性コモノマーが、さらに存在することができると理解される。この実施形態では、酸、塩基又は過酸化物開始剤が存在しないので、得られた電子素子の陰極又は他の成分の腐食が低減され、中間層内でのプロトン移動に起因する問題が取り除かれる。
【0028】
適切な不活性非架橋性R基には、C1〜20ヒドロカルビル及びハロゲン化C1〜20ヒドロカルビル基、特にアリール及びアルカリール基が含まれる。好ましい非架橋性R基には、フェニル及びC1〜10アルキルフェニル、特にp−n−ブチルフェニルが含まれる。
【0029】
適切なAr基には、フェニレン、ビフェニレン、ナフタレンジイル、アントラセンジイル、スチルベンジイル、及びフルオレンジイル基、その不活性置換誘導体、並びに上記の基の組合せが含まれる。
【0030】
本発明による好ましいフルオレンジイルを含む化合物は、次式に対応する。
【化9】


[式中、R、x及びzは、先に定義した通りであり、
Z”は、1価の連鎖停止基であり、
Z’は、共役不飽和を含む2価の繰返し単位であり、より好ましくはフェニレン、チオフェンジイル、フランジイル又はピロールジイル基などの1つ又は複数のアリーレン基、或いはその不活性置換誘導体である]
【0031】
適切なZ’基の例には、
【化10−1】


【化10−2】


[式中、Xは、O又はSであり、Qはハロ、アルキル、アラルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール(ヘテロアリール及びポリシクロアリールを含む)、又はその組合せであり、前記Qは、水素を数に入れずに最高40個の原子を有する]、及びその不活性置換誘導体が含まれる。
【0032】
上記の構造上の適切な置換基は、Q基も含み、それぞれ独立して出現するごとに、C1〜20ヒドロカルビル、C1〜20ヒドロカルビルオキシ、C1〜20ヒドロカルビルスルフィド、C1〜20ヒドロカルビルカルボキシル、C1〜20ヒドロカルビルカルボニルオキシ、トリ(C1〜20)ヒドロカルビルシリル及びシアノからなる群から選択される。
【0033】
好ましいQ基には、水素を数に入れずに最高20個の原子をもつアルキル、アラルキル、ハロアルキル又はシクロアルキル;及び水素を数に入れずに最高40個の原子をもつ不活性置換又は非置換アリール基が含まれる。非常に望ましいQ基には、フェニル、アルキル化フェニル、2−フルオレニル、アントラセニル、フェナンテレニル(phenantherenyl)、ピロリル、ピリジニル、イソキノリニル、キノリニル、トリアジニル、トリアゾリル、ベンゾトリアゾリル及びフェナントリジニルが含まれる。
【0034】
より好ましいZ’基は、次式の単位
【化11】


[式中、Rはそれぞれ独立して出現するごとに、不活性置換基、X又はX’であり、RはC1〜10アルキル、アリール、又はアラルキルであり、nは1又は2である]から選択される。
【0035】
好ましい置換基Rには、C1〜40ヒドロカルビル基、又は1つ若しくは複数のS、N、O、P、若しくはSiヘテロ原子を含むC1〜40ヒドロカルビル基、及び架橋性X基で置換された上記のC1〜40ヒドロカルビル又はC1〜40ヘテロ原子含有基が含まれる。より好ましい実施形態では、Rは、C1〜10アルキル基である。
【0036】
本発明の化合物、特に硬化オリゴマー及びポリマーは、架橋性フルオレンジイル基及びZ’基で定義される主鎖に沿って、完全共役していないにしても、高度に共役していることが好ましい。極めて好ましい化合物は、1,5−、1,6−、1,7−、1,8−、2,5−、2,6−、2,8−、3,5−、3,6−、3,7−、3,8−、4,5−、4,6−、4,7−又は4,8−置換も考え得るが、2,7−置換のフルオレンジイル部分を含むものである。
【0037】
さらに好ましい実施形態では、主鎖は、フルオレンとトリアリールアミンZ’基との二官能性の誘導体を含む。すなわち、化合物は、次式に対応する架橋用基も含む。
【化12】

【0038】
上記の化合物の極めて好ましい実施形態は、Arがそれぞれ出現するごとに、1,4−フェニレン、9,9−ジ(C1〜20アルキル)フルオレン−2,7−ジイル又はその組合せであり;X’が、3,4−ベンゾシクロブタン−1−イル、エテニル、ビニルアクリレート、p−ビニルベンジル又はp−エテニルフェニル基の架橋残基であり;Z”が水素又は臭素であるものである。これらの化合物のうち、Arがそれぞれ出現するごとに、フェニレンであり;X基がそれぞれ3,4−ベンゾシクロブタン−1−イル又はp−ビニルベンジルであり;Z”がそれぞれ出現するごとに、水素又は臭素であるものがさらに好ましい。
【0039】
本発明による式Iaの化合物の好ましい例は、次の構造
【化13】


[式中、R、Z”、x及びzは、先に定義した通りである]を有するものである。ランダム及びブロックコポリマーはともに、上記の式に含まれる。本発明のモノマーの場合、xは1であり、zはそれぞれ出現するごとに1であることが極めて好ましい。
【0040】
本発明によるオリゴマー及びポリマーは、脱離基Z”の喪失又は重合、及びモノマー単位間の共有結合の形成をもたらす通常の合成技術を使用して容易に調製される。適切な技術には、周知のバックウォルド(Buchwald)又はハーフバックウォルド(half−Buchwald)反応、スズキカップリング反応又は同様の技術が含まれる。
【0041】
オリゴマー及びポリマーは、エレクトロルミネッセンス素子における正孔輸送フィルムと中間層フィルムの両方の調製への使用に極めて適している。
【0042】
モノマーの架橋
本発明の式Ia又はIbの化合物は、このような化合物を含む組成物を、高温で、少なくともいくつかのX又はX’の官能基の付加重合、又は他の架橋反応が生じるのに十分な時間加熱することによって容易に架橋する。一実施形態では、化合物を、2価の架橋用部分を形成することができる1つ又は複数の共重合性モノマーと共重合する。本明細書での使用に好ましい共重合性化合物は、次式II又はIIIで示される。
【化14】


[式中、Qはそれぞれ独立して出現するごとに、C1〜20ヒドロカルビル、又は1つ若しくは複数のS、N、O、P又はSi原子を含むC1〜20ヒドロカルビル、C4〜16ヒドロカルビルカルボニルオキシ、C4〜16アリール(トリアルキルシロキシ)であり、或いは2つのQは共にフルオレン環上の9位の炭素と一緒になって、C5〜20環構造又はS、N又はOのうちの1つ又は複数を含むC4〜20環構造を形成してもよく、
はそれぞれ独立して出現するごとに、C1〜20ヒドロカルビル、C1〜20ヒドロカルビルオキシ、C1〜20チオエーテル、C1〜20ヒドロカルビルカルボニルオキシ又はシアノであり、
はそれぞれ独立して出現するごとに、C1〜20ヒドロカルビル、又はジ(C1〜20アルキル)アミノ、C1〜20ヒドロカルビルオキシ若しくはC1〜20ヒドロカルビルで置換されたC1〜20ヒドロカルビル、或いはトリ(C1〜10アルキル)シロキシであり、
aはそれぞれ独立して出現するごとに、0又は1であり、
Z”は、脱離基、特にブロモである。]
【0043】
好ましい一実施形態では、本発明のオリゴマー及びポリマーは、1〜99パーセント、より好ましくは2〜50パーセント、最も好ましくは2〜10パーセントの式Ia又はIbの繰返し単位、及び99〜1パーセント、より好ましくは98〜50パーセント、最も好ましくは98〜90パーセントの次式
【化15】


[式中、Q1’は共有結合又はQの2価の残基である]の繰返し単位を含む。
【0044】
本発明のモノマー及びオリゴマー、又はb段階の誘導体は、一般的な有機溶媒に容易に可溶である。これらは、溶媒を使用して又は使用せずに、通常の技術、特に溶液スピンコーティング又はインクジェット印刷によって、薄いフィルム又はコーティングに加工することもできる。
【0045】
本発明のオリゴマー又はポリマーは、好ましくは1000ダルトン以上、より好ましくは5000ダルトン以上、さらにより好ましくは10,000ダルトン以上、非常に好ましくは15,000ダルトン以上、及び最も好ましくは20,000ダルトン以上であり、好ましくは1,000,000ダルトン以下、より好ましくは750,000ダルトン以下、及び最も好ましくは400,000ダルトン以下である重量平均分子量を有する。分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを使用し、ポリスチレン換算で決定する。ポリマーの繰返し単位数によって測定される本発明のポリマーの重合度は、好ましくは少なくとも2、より好ましくは少なくとも3である。オリゴマー又はポリマーは、好ましくは5.0以下、より好ましくは3.0以下、最も好ましくは2.0以下の多分散性(Mw/Mn)を示す。
【0046】
オリゴマー又はポリマーの調製方法
本発明の化合物、オリゴマー及びポリマーは、N.Miyaua及びA.SuzukiによってChemical Reviews、95巻、457〜2483頁(1995年)に報告されている周知の「鈴木反応」などの縮合反応を含む任意の適切なプロセスによって調製される。米国特許第5,777,070号に教示されるように、このパラジウムを触媒とする反応は、相間移動触媒を添加し、高分子量ポリマー及びコポリマーを調製するために適用できる。この反応は、通常は適切な溶媒又は希釈液中、70℃〜120℃で実施される。好ましい溶媒には、トルエンやジエチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、或いはテトラヒドロフランやジメチルホルムアミドなど脂肪族又は芳香族のエーテル、エステル、カルバマートが含まれる。上記の溶媒又は希釈液の混合物も使用することができる。最も好ましい溶媒は、トルエンである。脱離基の反応生成物、一般にはHBr用の捕捉剤として、水性塩基、好ましくは炭酸又は重炭酸ナトリウムを使用する。反応試薬の反応性及び所望の生成物の分子量に応じて、重合反応を1分〜100時間行う。一官能性アリールハロゲン化物又はアリールボロナート化合物を、この反応の連鎖停止剤として添加してもよく、これによって末端にアリール基が形成される。
【0047】
本発明による化合物の形成に使用されるジハロ官能性反応物質しか関与しない重合方法は、ニッケルを触媒とするカップリング反応を使用して実施することもできる。このようなカップリング反応のひとつは、参照により本明細書に組み込まれるColonらのJournal of Polymer Science、Part A、Polymer Chemistry Edition、28巻、367頁(1990年)、及びColonらのJournal of Organic Chemistry、51巻、2627頁(1986年)に記載されている。この反応は、通常は極性非プロトン性溶媒(例えば、ジメチルアセトアミド)中、触媒量のニッケル塩、多量のトリフェニルホスフィン及び大過剰の亜鉛末を用いて実施する。有機可溶性ヨウ化物を促進剤として使用したこの方法の変形は、IoydaらのBulletin of the Chemical Society of Japan、63巻、80頁(1990年)に記載されている。ジハロ芳香族化合物の混合物を不活性溶媒中で過剰量のニッケル(1,5−シクロオクタジエン)錯体で処理した、ニッケルを触媒とする別のカップリング反応は、YamamotoのProgress in Polymer Science、17巻、1153頁(1992年)に開示されている。ニッケルを触媒とするカップリング反応は、2つ以上の芳香族ジハロゲン化物の反応物質混合物に適用するとすべて、本質的にランダムコポリマーを生じる。このような重合反応は、少量の水を重合反応混合物に添加し、それによって末端のハロゲン基を水素基で置換することによって停止することができる。或いは、一官能性アリールハロゲン化物を連鎖停止剤として使用し、末端にアリール基を形成することができる。
【0048】
共役基を含むコポリマー
本発明のポリマーは、望ましくは主鎖に沿って共役不飽和基を含む。「共役基」は、1つの共有結合で隔てられた2つ以上の二重結合、三重結合、及び/又は芳香族環を含む部分を指す。このような基をポリマーに組み込むことによって、ポリマーの光吸収、イオン化ポテンシャル及び/又は電子諸特性を改変することができる。本明細書で使用する共役不飽和基を含むコモノマー中に存在する好ましい不飽和基には、ベンゼン、ナフタレン、アセナフテン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、ピレン、ルブレン及びクリセンの2価の誘導体など炭化水素の2価の誘導体、並びにフラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、テトラゼン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアジン、フェナジン、フェナントリジン、アクリジン、カルバゾール及びジフェニレンオキシドの2価の誘導体など不飽和のヘテロ環基が含まれる。極めて望ましい共重合性の共役不飽和基には、9,9−二置換フルオレンジイル基及びトリアリールアミン基が含まれる。
【0049】
モノマーフィードの順序及び組成を制御することによって、得られたコポリマー中のモノマー単位のシーケンスを制御することが可能であり、特に鈴木反応を使用する場合、可能である。例えば、交互ジアリールアミン−コモノマーオリゴマーの短いブロックに結合したポリフルオレンジイルホモポリマーの大きいブロックを主に含む高分子量コポリマーは、まず、交互フルオレンジイル−コモノマーオリゴマーを調製するために適した比の適切な反応物質を導入し、続いて、反応試薬の総合的な化学量論的バランスが存在する範囲において、残部のジアリールアミン又は他のモノマー、すなわちホウ素及び臭素を含有する試薬を導入することによって調製することができる。
【0050】
さらに本発明のコポリマーに組み込むことができるアリールアミン基の例は、2つの反応性置換基を含有する第三級芳香族アミンである。このような化合物は、対応するトリアリールアミン残基をコポリマーに含める。適切な第三級芳香族アミンの例には、トリフェニルアミン、アルキルジアリールアミン、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン及びN,N,N’,N’−テトラフェニル−1,4−フェニレンジアミンが含まれる。
【0051】
一般に、最高60個の炭素を含有する共重合性共役化合物は、この目的のために有用である。これらは、ポリマー組成物のルミネッセンス特性に有害でない1つ又は複数の置換基によって任意に置換することができる。適切な置換基の例には、C〜C20ヒドロカルビル基、C〜C20(チオ)アルコキシ基、C〜C20(チオ)アリールオキシ基、シアノ、フルオロ、クロロ、C〜C20アルコキシカルボニル、C〜C20アリーオキシルカルボニル、C〜C20カルボキシル及びアルキル(アリール)スルホニル基が含まれる。アリールカルボニル及びニトロ基など知られているルミネッセンスクエンチャーである置換基は望ましくなく、回避されるべきである。
【0052】
ポリマーブレンド
本発明のオリゴマー及びポリマーは、少なくとも2つのポリマーのブレンドを形成する際に使用することができる。ブレンドのオリゴマー又はポリマーのうちの1つ又は複数を、所望により発光ポリマーとすることができる。ブレンドは、適切にはポリスチレン、ポリブタジエン、ポリ(メタクリル酸メチル/メチルメタクリレート)、ポリ(エチレンオキシド)、フェノキシ樹脂、ポリカーボナート、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリイミド、架橋エポキシ樹脂、架橋フェノール樹脂、架橋アクリレート樹脂及び架橋ウレタン樹脂から選択される1つ又は複数のポリマー材料から構成される。これらのポリマーの例は、Preparative Methods of Polymer Chemistry、W.R.Sorenson及びT.W.Campbell、第2版、Interscience Publishers(1968年)に出ている。架橋したポリマーを含むブレンドは、架橋前の成分をブレンドし、後にその成分をその場で架橋することによって形成することが好ましい。
【0053】
ブレンドは、少なくとも2つの共役半導体ポリマーを含み、ブレンド中のポリマーのうちの1つの最大発光波長は、ブレンド中の少なくとも1つの他のポリマーの最大吸収波長の25nm内であることが好ましい。極めて望ましくは、ブレンドは2つのポリマーの混合物を含み、各々のポリマーは本発明に対応し、それぞれ0.1〜99.9及び99.9〜0.1パーセントの範囲である。
【0054】
ポリマー用途
本発明のオリゴマー及びポリマーの場合の主な用途は、フィルムの形成におけるものである。このようなフィルムは、有機発光ダイオード、特にポリマー発光ダイオード、光電池、照明、フォトダイオード、センサー、薄膜トランジスタ、他の素子などの電子素子における光ルミネッセンス又は蛍光コーティング、並びに中間層、保護コーティング、電子輸送及び正孔輸送層を調製する際に使用することができる。コーティング又はフィルムの厚さは、最終用途に依存する。一般に、このような厚さは、0.01〜200マイクロメートルとすることができる。蛍光コーティングとして使用する場合、フィルムの厚さは、望ましくは50〜200マイクロメートルである。電子保護層として使用する場合、フィルムの厚さは、望ましくは5〜20マイクロメートルである。ポリマー発光ダイオード層として使用する場合、フィルムの厚さは、望ましくは0.001〜2マイクロメートルである。本発明のオリゴマー又はポリマーは、実質的にピンホール及び他の欠陥のないフィルムを形成する。このようなフィルムは、スピンコーティング、スプレーコーティング(インクジェット印刷を含む)、ディップコーティング、及びロールコーティングを含めて当技術分野でよく知られている手段によって調製することができる。このようなコーティングは、本発明の化合物、オリゴマー又はポリマーを含む組成物を基板に塗布し、フィルムが一般に架橋反応によって形成されるような条件に曝露する方法によって調製する。フィルムを形成する条件は、塗布技術及びフィルム形成部分の反応性末端基に応じて異なる。溶液は、0.1〜10重量パーセントの本発明のオリゴマー又はポリマーを含み、残部は溶媒であることが好ましい。薄いコーティングの場合、組成物は0.5〜5.0重量パーセントの化合物、オリゴマー又はポリマーを含むことが好ましい。次いで、この組成物を、所望の方法によって適切な基板に塗布し、溶媒を蒸発させる。残留溶媒を真空及び/又は加熱によって除去することができる。溶媒が低沸点である場合、低い溶液濃度、例えば0.1〜2パーセントが望ましい。溶媒が高沸点である場合、高濃度、例えば3〜10パーセントが望ましい。溶媒を除去した後、高い耐溶媒性及び耐熱性を有するフィルムを調製するために、必要に応じてコーティングをフィルムを硬化するのに必要な条件に曝露する。フィルムは好ましくは厚さが実質的に均一であり、ピンホールが実質的にない。フィルムは好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上、最も好ましくは200℃以上の温度に曝露すると硬化する。フィルムは好ましくは300℃以下の温度で硬化する。
【0055】
フィルムを調製する際、組成物は、架橋プロセスを促進する又は開始するのに適した触媒をさらに含むことができる。このような触媒は、当技術分野でよく知られている。例えば、エチレン性不飽和基を有する材料の場合、フリーラジカル触媒を使用することができる。グリシジルエーテルを末端基として有するアリール成分の場合、尿素類又はイミダゾール類を使用することができる。末端部分としてグリシジルエーテル置換アリール基を有するフルオレン類からフィルムを調製する場合、材料を、架橋を促進する一般的に知られている硬化剤と反応させることができる。好ましい硬化剤には、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物(無水ナディック酸)及び無水マレイン酸がある。
【0056】
別の望ましい実施形態では、フィルムを形成する前に、モノマー及びオリゴマーを部分硬化させるか又はB段階とすることができる。このような実施形態では、組成物を、反応性材料の一部分が硬化し、反応性材料の一部分が硬化しないような条件に曝露する。これは組成物の加工性を改善するためによく使用され、フィルムの調製を容易にする。このようなB段階の材料は、上記に記載した方法でその後コーティングを調製するために使用することができる。B段階化中、好ましくは反応性部分の10〜50パーセントを反応させる。
【0057】
本発明のさらに別の態様は、本発明のポリマーのフィルムを含む有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子に関する。有機EL素子は、一般に陽極と陰極との間に挟まれた有機フィルムからなり、プラスのバイアスが素子にかけられると、正孔が陽極から有機フィルムに注入され、電子が陰極から有機フィルムに注入される。正孔と電子が組み合わされるとエキシントンを生じることができ、それが光子を放出することによって基底状態への放射減衰を起す。実際には、陽極には一般的にその高い導電性及び透明性のためインジウムとスズの混合酸化物(ITO)が使用される。有機フィルムによる発光が観察できるように、混合酸化物を通常はガラスやプラスチックなど透明な基板上に蒸着する。有機フィルムは、それぞれ明確な機能又は目的のために設計された個別の層の複数からなる複合体とすることができる。正孔は陽極から注入されるため、陽極に隣接する層は、正孔を輸送するのに適した機能を有することが望ましい。同様に、陰極に隣接する層は、電子を輸送するのに適した機能を有することが望ましい。多くの場合、正孔又は電子輸送層は発光層としても働く。場合によっては、一層で正孔輸送、電子輸送及び発光の組み合わされた機能を果たす。一般に、本発明のポリマーを含むフィルムは、電子素子中で緩衝層又は正孔輸送層として働く。上記のポリマーフィルム層に加えて、望むなら、熱蒸発によって堆積させた小分子のフィルムを電子素子に組み込むことができる。有機フィルムの全厚は、1000nm未満、より好ましくは500nm未満、最も好ましくは300nm未満であることが好ましい。本発明の一実施形態は、その有機フィルムが本発明のポリマー組成物のうちの少なくとも1つを含むEL素子である。
【0058】
陽極として働くITO表面は、通常はまず曝露面を洗浄剤水溶液、有機溶媒、及び/又はUV若しくはプラズマ発生オゾン処理で清浄にしたのち、本発明によるフィルムで被覆することができる。望むなら、電導性物質の薄層で被覆して、正孔注入を容易にすることもできる。適切な電導性物質には、銅フタロシアニン、ポリアニリン及びポリ(3,4−エチレンジオキシ−チオフェン)(PEDT)が含まれる。この最後の2つは、有機の強酸、例えばポリ(スチレンスルホン酸)をドーピングすることによって導電性にする。導電性層を使用する場合その厚さは、好ましくは、200nm以下、より好ましくは100nm以下である。
【0059】
本発明の化合物は、多層素子の中間層の調製において、正孔輸送ポリマー層を形成する化合物の混合物の一成分として、又は多層電子素子、特にエレクトロルミネッセンス素子の別の正孔輸送層として使用することができる。本発明以外の正孔輸送ポリマーを使用する場合、既知の正孔導電性ポリマー、例えばポリビニルカルバゾール、又は米国特許第5,728,801号若しくは第5,929,194号に開示されたポリマーアリールアミンを使用することができる。次に塗布されるはずのコポリマーフィルム溶液による侵食に対するこの層の抵抗性は、多層素子の作製を成功させるには明らかに重要である。したがって、本発明のコポリマーは、通常は正孔輸送層が不溶であるキシレンやトルエンなどの有機溶媒の溶液から塗布する。正孔輸送ポリマーを本発明による架橋ポリマーを含む中間層で被覆又は保護することによって、正孔輸送ポリマーを電子素子の製造に使用するその後の試薬又は溶媒から保護することができる。本発明による正孔輸送層又は中間層の厚さは、望ましくは500nm以下、好ましくは300nm以下、最も好ましくは150nm以下である。
【0060】
適切な電子輸送層を使用する場合は、予め被着させたフィルム層を著しくは損傷しない溶媒を使用して、低分子量材料の熱蒸発によって、又は本発明によるポリマーなどポリマーの溶液塗布によって塗布することができる。電子輸送層を形成する際に通常使用される低分子量材料の例には、8−ヒドロキシキノリンの金属錯体(BurrowsらのApplied Physics Letters、64巻、2718〜2720頁(1994年)に記載)、10−ヒドロキシベンゾ(h)キノリンの金属錯体(HamadaらのChemistry Letters、906〜906頁(1993年)に記載)、1,3,4−オキサジアゾール(HamadaらのOptoelectronics−Devices and Technologies、7巻、83〜93頁(1992年)に記載)、1,3,4−トリアゾール(KidoらのChemistry Letters、47〜48頁(1996年)に記載)、及びペリレンのジカルボキシミド(YoshidaらのApplied Physics Letters、69巻、734〜736頁(1996年)に記載)が含まれる。
【0061】
本発明のものに加えて、ポリマーの電子輸送材料は、1,3,4−オキサジアゾールを含むポリマー(LiらのJournal of Chemical Society、2211〜2212頁(1995年)、Yang及びPeiのJournal of Applied Physics、77巻、4807〜4809頁(1995年)に記載)、1,3,4−トリアゾールを含むポリマー(StrukeljらのScience、267巻、1969〜1972頁(1995年)に記載)、キノキサリンを含むポリマー(YamamotoらのJapan Journal of Applied Physics、33巻、L250〜L253頁(1994年)、O’BrienらのSynthetic Metals、76巻、105〜108頁(1996年)に記載)、及びシアノ−PPV(WeaverらのThin Solid Film、273巻、39〜47頁(1996年)に記載)によって例示される。この層の厚さは、500nm以下、好ましくは300nm以下、最も好ましくは150nm以下とすることができる。
【0062】
電子素子の最終層は、通常は任意の導電材料、好ましくは金属から形成することができる陰極である。適切な金属の例には、リチウム、カルシウム、マグネシウム、インジウム、銀、アルミニウム又は上記のブレンド及び合金が含まれる。金属陰極を知られている技法に従って熱的蒸発又はスパッタリングによって被着することができる。陰極の厚さは、100nm〜10,000nmとすることができる。好ましい金属は、カルシウム、マグネシウム、インジウム及びアルミニウムである。これらの金属の合金も使用することができる。1〜5パーセントのリチウムを含有するアルミニウムの合金及び少なくとも80パーセントのマグネシウムを含有するマグネシウムの合金が極めて好ましい。
【0063】
本発明のEL素子は50ボルト以下の印加電圧にかけると発光する。望むなら、封緘又は保護コーティングを、仕上げ素子の1つ又は複数の曝露面に塗布することができる。
【0064】
好ましい実施形態では、エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも1つの正孔輸送ポリマーフィルム及び発光ポリマーフィルムを含み、そのうちの少なくとも1つは本発明のポリマーからなり、陽極材料と陰極材料との間に配置され、素子が順方向にバイアスをかけられたとき、印加電圧下で、正孔は陽極材料から正孔輸送ポリマーフィルムに注入され、電子は陰極材料から発光ポリマーフィルムに注入され、発光層からの発光が生じる。別の好ましい実施形態では、正孔輸送ポリマーの層は、陽極に最も近い層がより低い酸化電位を有し、隣接する層が徐々により高い酸化電位を有するように配置されている。これらの方法によって、単位電圧当たりの発光出力が比較的高いエレクトロルミネッセンス素子を調製することができる。
【0065】
本明細書で使用される用語「正孔輸送ポリマーフィルム」とは、ポリマーのフィルム層であって、2つの電極間に配置され、電界がかけられ、正孔が陽極から注入されるときに、正孔の発光ポリマーへの適切な輸送を可能にするポリマーのフィルム層を指す。本明細書で使用される用語「発光ポリマーフィルム」は、光子を放出することによって、好ましくは可視光範囲の波長に対応する光子を放出することによって励起状態から基底状態に戻ることができるポリマーのフィルム層を指す。本明細書で使用される用語「陽極材料」は、4.5電子ボルト(eV)〜5.5eVの仕事関数を有する半透明又は透明な導電フィルムを指す。その例は、金及び酸化物並びにインジウムとスズの混合酸化物である。本明細書で使用される用語「陰極材料」は、望ましくは2.5eV〜4.5eVの仕事関数を有する導電フィルムを指す。
【0066】
本発明のモノマーは、その化学的諸特性のため顕著な商業的利点を有する。特に、以下の顕著な利点を列挙することができる。
【0067】
1.材料の溶解性の制御−本発明によるポリマーは様々な標準溶媒から薄いフィルムへと処理することができる。フィルムを加熱し、硬化反応を生じさせた後は、ポリマーの溶解性は低減し、硬化性モノマーの十分量が存在する場合には完全に不溶性になる。これによって、製造業者は多層の素子を一般的な溶媒から調製することが可能である。フィルムを硬化させることができなければ、第2の層の塗布によって先の層が溶解又は腐食されてしまう。
【0068】
2.上昇したガラス転移温度−線状半導体ポリマーは、熱可塑性であり、材料が軟化するガラス転移温度を示す。電子素子では、特にその作製中、高いTgを有するか、或いはTgを全くもたないことが有利である。本発明のb段階のポリマーの熱分析によれば、硬化前のTgは、硬化反応後、Tgの上昇又はTgの消滅を示す。Tgの変化量はポリマー中の官能性モノマーの量によって制御する。高度に架橋された(より高いレベルの官能性モノマー)ポリマーはTgを示さない。
【0069】
3.熱寸法安定性−硬化ポリマーは架橋されているので、加熱(Tg)しても軟化せず、したがって改善された寸法安定性を有する。低い熱膨張係数を有するポリマーを薄いフィルム/電子素子に使用することが有利である。
【0070】
4.改善された電子素子性能−本発明の硬化性モノマーを使用する、特により高いフィルム乾燥温度を使用するポリマー発光ダイオードの作製によって、大幅に改善された効率及び寿命を実現できる。
【0071】
5.改善された薄いフィルム特性−硬化反応を通してポリマー分子量を増大させることによって、薄いフィルムの強さ及び硬度は、より低い分子量の硬化前の材料を使用した場合に比べて増大している。これらは、電子素子での使用を含めて、たいていの薄いフィルム用途において重要な特性である。
【0072】
6.増大できる分子量−本発明のポリマーの分子量は、材料を溶媒中で、溶媒なしで又は固体の形で硬化活性化温度より高く加熱することによって、硬化前の前駆体のそれより増大させることができる。これらの基は、ポリマーに添加することができる他の基と反応させることもでき、硬化度を制御することによって複数の分子量を有する生成物を提供できる。
【0073】
7.結晶化度及び形態の制御−本発明のポリマー中には硬化性官能基が存在するので、存在する架橋性官能基の量に応じて分枝状ポリマーネットワーク又は高度に架橋されたネットワークの形成が可能になる。半導体ポリ共役ポリマーは半晶質となる傾向にあり、結晶形成を導くポリマー鎖の配向が起こる可能性がある。架橋性官能基によって分岐点を導入すると、未硬化ポリマーの結晶化又は配向する傾向が阻害される。
【0074】
8.延長されたポリマー寿命−架橋は、ポリマー鎖を相互に結び付けることによってポリマーの形態を「凍結」する。ポリマーフィルムの形態を制御し、経時変化しないことを保証することは、薄いフィルムの電子用途において使用するポリマーの場合に有利な特性である。
【0075】
本発明の実施形態のうちのいずれか1つに関する好ましい又は所望の、より好ましい又はより所望の、極めて好ましい又は極めて所望の、或いは最も好ましい又は最も所望の置換基、範囲、最終用途、方法又は組合せの上記の開示は、同様に本発明の前出の又は後に続く実施形態のいずれに対しても、他のいずれの特定の置換基、範囲、用途、方法又は組合せとは無関係に適用できることを明らかに意図している。
【実施例】
【0076】
以下の実施例は、例示の目的のために含まれているだけであって、特許請求の範囲を限定するものではない。特に明記しないかぎり、文脈から間接的に又は当技術分野の慣例で、本明細書の部及び百分率はすべて、重量に基づくものである。本発明が、具体的に開示されていない任意の成分がなくとも実施可能であることは当然である。「一晩」という用語が使用される場合、約16〜18時間という時間を指し、「室温」が使用される場合、約20〜25℃という温度を指す。
(実施例1)
【0077】
典型的なスズキカップリング反応条件を使用して、架橋ポリマーを下記の6つのモノマー単位から調製する。それぞれのモノマー単位の使用量を表1に示す。得られたポリマー組成物を表2に示す。
モノマー
【化16】

【0078】
モノマー合成
1)C6BE(2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン)
オーバーヘッドスターラ、滴下漏斗及び窒素ラインに接続させた冷却器を装備した500mLの三つ口丸底フラスコに、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン(21.9g、40mmol)及びTHF(200mL)を仕込む。混合物を撹拌し、アセトン−ドライアイス浴中で約−77℃に冷却する。窒素下で、n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、33.6mL、84mmol)を約10分で滴下する。黄色溶液になり、次第に曇ってくる。混合物を−77℃でさらに90分撹拌する。次いで、ホウ酸トリイソプロピル(22.6g、120mmol)を15分かけて滴下し、その間、混合物は濃厚(thick)な白色ゲル様材料になる。冷却浴をはずし、混合物を周囲温度まで温める。反応物を、さらに2時間激しく撹拌する。この混合物を、砕氷500g及び濃塩酸100mLを入れたビーカーにゆっくりと注ぎ、次いで分液漏斗に移し、トルエン(3×200mL)で抽出する。抽出液を合わせて、飽和塩水(2×100mL)で洗浄し、体積を回転蒸発によって約250mLに減らす。HPLC分析は、試料が>90%のジボロン酸中間体を含んでいることを示す。
【0079】
マグネチックスターラ、及び冷却器と接続させたディーンスタークトラップを装備した500mLの三つ口丸底フラスコ中の上記の溶液に、エチレングリコール(7.5g、120mmol)を添加する。混合物を撹拌し、窒素下で6時間還流し、トルエン−水の共沸混合物約25mLを廃棄する。溶媒を回転蒸発によって除去し、残渣オイルを冷蔵庫で冷却すると同時にヘキサンで結晶化する。得られた生成物は白色結晶質粉末材料17.5g(82.5パーセント)である。HPLC分析は、生成物の純度が>99%であることを示す。H及び13C−NMRのスペクトルは、予想される生成物の構造に一致する。
【0080】
2)C6Br2(2,7−ジブロモ−9,9−ジヘキシルフルオレン)
オーバーヘッドスターラ、滴下漏斗及び窒素ラインに接続させた冷却器を装備した1リットルの三つ口丸底フラスコに、2,7−ジブロモ−フルオレン(65.2g、0.20mol)、水酸化ナトリウム水溶液(50パーセント、80mL、1.00mol)、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(4.0g、17.56mmol)及びDMSO(235mL)を仕込む。冷却器を通して窒素を徐々にパージして、激しく撹拌しながら臭化n−ヘキシル(87.4g、0.53mol)を滴下する。反応物の温度は、15分以内で約85℃に上昇し、反応物の色は青色に変化する。温度が周囲温度に下がるまで、反応物を2時間撹拌する。氷/水(約600mL)及び濃塩酸(101mL)を入れたビーカーに、この青色の不均一材料を徐々に添加する。得られた混合物を30分撹拌し、沈殿物をろ過し、水で洗浄し、風乾する。次いで、粗生成物をアセトニトリル(800mL)中、12時間機械的に撹拌する。生成物をろ過によって収集し、アセトニトリルで洗浄し、真空オーブン中、40℃で12時間乾燥して、93.5g(95パーセント)のオフホワイトの粉末材料を得る。HPLC分析は、生成物の純度が>98%であることを示す。
【0081】
次の精製では、上記の粗生成物(50g)をトルエン(200mL)に溶解し、Celite(商標)ブランドのろ過助剤(7×1cm)、シリカゲル(7×15cm)、及びCelite(商標)(7×1cm)を充填したカラムに通してトルエンで溶離する。溶媒を回転蒸発で除去し、残渣の濃厚なオイルをトルエン−エタノールで結晶化する。生成物をろ過によって収集し、エタノールで洗浄し、真空オーブン中、40℃で16時間乾燥して、46g(92パーセント)の淡黄色針状物を得る。H及び13C−NMRのスペクトルは、予想される生成物の構造に一致する。
【0082】
3)ADB(N,N’−ジ(4−ブロモフェニル)−N,N’−ジ(3−エトキシカルボニルフェニル)−ベンジジン)
オーバーヘッドスターラ、還流冷却器とともに採用したディーンスターク受器、及び窒素ラインを装備した1リットルの三つ口丸底フラスコに、N,N’−ジフェニルベンジジン(60.0g、178mmol)、3−ヨウ化安息香酸エチル(123g、445mmol)、銅ブロンズ粉末(27g、502mmol)、粉末炭酸カリウム(66g、478mmol)及び1,2−ジクロロベンゼン(390mL)を仕込む。冷却器を通して窒素を徐々にパージして、反応容器を加熱マントルに配置し、撹拌された反応物を撹拌し、220℃で16時間穏やかに還流する。約25mLの水−ジクロロベンゼンをその間収集する。HPLC分析は、99パーセントの生成物形成を示す。冷却後、混合物をCelite(商標)層を通してろ過して、固体材料を除去する。セライトをトルエンで洗浄する。ろ液を合わせて、溶媒の大部分を回転蒸発で除去する。残留溶媒を、Krugerlrohr装置を用いてさらに除去して、褐色粘性オイルを得る。アルミナカラム(塩基性)フラッシュクロマトグラフィー及び溶媒除去によって濃厚なオイルが得られ、静置すると周囲温度で固化する。トルエン−エタノールで結晶化すると、97.8g(87パーセント)の生成物N,N’−ジ(エチル3−フェニルカルボキシラート)−ベンジジンが淡黄色粉末材料として得られる。
【0083】
メカニカルスターラ、滴下漏斗及び窒素ラインを装備した1000mLの三つ口丸底フラスコに、N,N’−ジ(エチル3−フェニルカルボキシラート)−ベンジジン(40g、63mmol)及びジメチルホルムアミド(DMF)(250mL)を添加する。撹拌中の混合物に、N−ブロモスクシンイミド(23g、129mmol)のDMF(70mL)溶液を20分かけて滴下する。混合物を周囲温度で3時間撹拌する。その間、生成物が溶液から沈殿する。次いで、混合物に、エタノール(150ml)を添加し、撹拌を1時間続ける。固体をろ過によって収集し、エタノールで洗浄し、風乾する。粗生成物をトルエンに再溶解し、短いシリカゲルカラムに通してトルエンで溶離する。溶媒を回転蒸発で除去し、固体残渣をトルエン−エタノールで再結晶化する。生成物をろ過によって収集し、エタノールで洗浄し、真空オーブン中、65℃で8時間乾燥して、33.6g(68パーセント)の白色針状物を得る。HPLC分析は、生成物の純度が>98パーセントであることを示す。H及び13C−NMRのスペクトルは、予想される生成物の構造に一致する。
【0084】
4)PPPBr2(2,7−ジブロモ−9,9−ジビフェニルフルオレン)
オーバーヘッドスターラ及び窒素ラインに接続させた還流冷却器を装備した1Lの三つ口丸底フラスコに、4−ブロモビフェニル(23.3g、100mmol)及びヘキサン(250mL)を仕込む。撹拌中の混合物に、n−BuLi(41mL、102mmol、ヘキサン中2.5M)を、注射器を用いてセプタムを通して滴下する。次いで、得られた混合物を撹拌し、穏やかな還流まで1時間加熱する。混合物をイソプロパノール/ドライアイス浴中で−70℃に冷却し、この手順中に、リチウム塩が沈殿する。得られた懸濁液を、乾燥THF(100mL)を滴下して希釈する。さらに、4,4−ジブロモビフェニル−2−カルボキシラート(17.8g、50mmol)を乾燥THF50mLに溶かした溶液を滴下する。混合物を−70℃で30分間撹拌し、次いで周囲温度に温まるまで放置し、さらに3時間撹拌する。水(40mL)で反応を止め、次いで希塩酸で酸性にする。混合物をエーテル(3×100mL)で抽出し、エーテル溶液を合わせて、飽和塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮して、濃厚なオイルを得る。
【0085】
オーバーヘッドスターラ及び窒素ラインに接続させた還流冷却器を装備し、このオイルが入っている500mLの三つ口丸底フラスコに、酢酸(100mL)を添加する。濃硫酸(5mL)をゆっくりと添加し、混合物を撹拌し、125℃で3時間加熱する。冷却後、エタノール(50mL)を添加し、混合物を30分間撹拌する。得られた沈殿物をろ過によって収集し、エタノールで洗浄し、風乾する。
【0086】
粗生成物を塩化メチレン(150mL)に溶解し、炭酸ナトリウム(100mL、0.2M)で洗浄し、MgSOで乾燥する。溶液をシリカゲルカラム(4.5×15cm)に通し、塩化メチレンで溶離する。生成物を含有する分画を収集し、溶媒を除去する。固体残渣をCHCl/CHCNで再結晶化して、24.8g(79パーセント)の白色結晶質生成物を得る。HPLCによる純度は、ほぼ100パーセントであり、H及び13C−NMRのスペクトルは、DPPBr2の構造に一致する。
【0087】
5)PFBBr2(N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ−(4−n−ブチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミン)
オーバーヘッドスターラ、及び窒素ラインに接続させた還流冷却器を装備した1000mLの三つ口丸底フラスコに、酢酸パラジウム(405mg、1.8mmol)、トリ−o−トリルホスフィン(1.21g、3.9mmol)及びトルエン(30mL)を仕込む。混合物を、均質な黄色溶液になるまで周囲温度で10分間撹拌する。この溶液に、N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン(11.7g、45mmol)、4−n−ブチルブロモベンゼン(21.3g、100mmol)、tert−ブトキシドナトリウム(9.61g、100mmol)及びさらにトルエン(370mL)を添加する。冷却器を通して窒素を徐々にパージして、反応容器を油浴に入れ、撹拌中の反応物を12時間加熱還流する。冷却した混合物に、濃塩酸(38パーセント、11mL)を添加し、撹拌を1時間続ける。溶液を短いカラム(中性アルミナ、6.5×11cm)に通し、トルエンで溶離する。溶媒の大部分を蒸発させ、残留溶媒を、Krugerlrohr装置を用いてさらに除去して、淡褐色粘性オイルを得る。アセトン/メタノールで結晶化すると、15.9g(67パーセント)の生成物が白色片として得られる。HPLC分析は、生成物の純度が>98パーセントであることを示す。H及び13C−NMRのスペクトルは、生成物N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ−(4−n−ブチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミンに一致する。
【0088】
メカニカルスターラ、窒素ラインに取り付けた冷却器を装備した500mLの三つ口丸底フラスコに、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ−(4−n−ブチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミン(10.50g、20.0mmol)、DMF(80ml)及びTHF(80mL)を添加する。撹拌中の混合物に、N−ブロモスクシンイミド(7.92g、44.0mmol)をDMF20mLに溶かした溶液を10分間かけて添加する。次いで、得られた混合物を周囲温度で3時間撹拌する。溶媒の体積をロータリーエバポレータで約50mLに削減する。エタノール(150mL)を添加し、混合物を周囲温度で1時間撹拌する。粗生成物をろ過によって収集し、エタノールで洗浄し、風乾する。生成物をトルエン(100mL)に再溶解し、溶液を、中性アルミナカラム(6.5×10cm)によるフラッシュクロマトグラフィーにかけ、トルエンで溶離する。溶媒を回転蒸発で除去し、残渣をアセトン−エタノールで再結晶化する。生成物をろ過によって収集し、エタノールで洗浄し、真空オーブン中、65℃で8時間乾燥して、13.7g(86パーセント)の白色針状物を得る。HPLC分析は、生成物の純度がほぼ100パーセントであることを示す。H及び13C−NMRのスペクトルは、PFBBr2の構造に一致する。
【0089】
6)DBS(2,7−ジブロモ−9,9−ジ(ビニルベンジル)フルオレン)
窒素雰囲気中、2,7−ジブロモフルオレン(6.5g、20mmol)及び4−ビニルベンジルクロリド(6.72g、44mmol)を、500mLの三つ口丸底フラスコに入れる。ジメチルスルホキシド(DMSO)100mLを、相間移動触媒の塩化ベンジルトリエチルアンモニウム1.00gとともに添加する。撹拌を開始し、50パーセントのNaOH水溶液20mLを添加する。追加のDMSO(40mL)を添加し、溶液を60℃に2時間加熱する。溶液を氷に注ぎ、1N HCl水溶液250mLを添加する。1時間撹拌した後、固体を回収し、水ですすぎ、乾燥する。生成物をメタノールに溶解し、ろ過し、メタノール及び水ですすぎ、真空オーブン中、55℃で一晩乾燥する。
【表1】


【表2】

【0090】
窒素ライン、オーバーヘッドスターラ、冷却器及び加熱用油浴を装備した250mLの三つ口丸底フラスコに、表に挙げた反応物質をテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム触媒(7.5mg、65.8mmol)、NaCO(2M水溶液15mL)、塩化トリカプリルメチルアンモニウム界面活性剤(0.97g)及びトルエン35mLとともに加える。混合物を、95℃の油浴で約19時間加熱する。反応の進行につれて、有機相の粘度がゆっくり上昇する。わずかに粘性の淡黄色トルエン溶液が生ずる。走査電子熱量測定(SEC)によって測定する分子量は、80Kである。生成物は、ブロモベンゼン0.1g及びフェニルボロン酸0.15gを添加し、95℃に4〜6時間再加熱することによって末端キャップする。
【0091】
冷却後、水層を除去し、有機層を水で洗浄し、混合物をフラスコに戻し、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム塩三水和物とともに80℃に加熱し、一晩撹拌する。冷却後、水層を除去し、有機層を2パーセントの酢酸水溶液で2回(2×300mL)洗浄する。残留有機溶液を、珪藻土ろ過助剤、シリカゲル、塩基性アルミナ、及び第2の珪藻土層を充填したカラムに通し、トルエンを溶離液として使用する。収集した溶液を回転蒸発で濃縮し、メタノールを加えて沈殿させる。ポリマーを吸引ろ過によって収集し、風乾し、次いで50℃の真空オーブンに一晩入れておき、乾燥させる。乾燥させたポリマーをトルエンに再溶解し、メタノールで沈殿し、ろ過し、真空オーブン中50℃で乾燥させる。単離したポリマーの分子量はSECで決定して、94Kである。
【0092】
小試料を示差走査熱量計で加熱することによって、硬化架橋組成物を調製する。第1の加熱下では、変曲点は132℃に見られ、発熱ピークは、158℃及び214℃に見られる。第2の加熱走査では、変曲点が唯一117℃にしか見られず、それによって試料は完全に架橋されていることが示されている。
(実施例2)
【0093】
下記の反応スキームは、架橋性ベンゾシクロブタン官能基を含むトリアリールアミン二臭化物化合物の調製、並びに本発明による架橋性コポリマーを作製するための、9,9−ジ(ビニルベンジル)−2,7−フルオレニルジボロナート及びジ(p−ブロモフェニル)(p−i−ブチルフェニル)アミンを用いた重合反応でのその使用を開示している。
【化17】

【0094】
A)ジフェニルベンゾシクロブタンアミンの合成
メカニカルスターラ、窒素インレット及び(窒素アウトレットを有する)還流冷却器を装備した500mLの三つ口丸底フラスコ中で、酢酸パラジウム(II)(196mg、1.20mmol)及びトリ(o−トリル)ホスフィン(731mg、2.40mmol)をトルエン100mLに添加する。パラジウム触媒が溶解し溶液が黄色になるまで、混合物を窒素中、室温で撹拌する。ジフェニルアミン(20.0g、118mmol)、ブロモベンゾシクロブタン(23.8g、130mmol)及びトルエン400mL、続いてt−ブトキシドナトリウム(22.8g、237mmol)を添加する。t−ブトキシドナトリウムを添加すると、反応物が黒色になる。反応物を窒素下で22時間加熱還流する。1M HCL水溶液30mLを添加することによって、反応を止める。トルエン層を2M NaCO(100mL)で洗浄し、次いでトルエン溶液を塩基性アルミナに通す。トルエンを蒸発させると、黄色オイルが得られる。オイルをイソプロパノールとともに撹拌することによって、生成物を沈殿させる。固体を収集し、熱イソプロパノールで再結晶化する。H NMR(CDCl−d)δ:7.3−6.8(m,13H,Ar),3.12(d,4H,−CHCH−)。
【0095】
B)ジ(4−ブロモフェニル)ベンゾシクロブタンアミン(1)の合成
250mLの丸底フラスコ中で、ジフェニルベンゾシクロブタンアミン(8.00g、29.5mmol)を氷酢酸5滴を含有するジメチルホルムアミド(DMF)100mLに添加する。撹拌中の溶液に、N−ブロモスクシンイミド(NBS、10.5g、60.7mmol、1.97eq.)を添加する。5時間撹拌した後、反応混合物をメタノール/水(体積比1:1)600mLに注ぎ入れることによって、反応を止める。灰色固体をろ過によって回収し、イソプロパノールで再結晶化する。H NMR(CDCl−d)δ:7.3(d,4H,Ar)、7.0(d,4H,Ar)、6.95(t,Ar)、6.8(s,Ar)、3.12(d,4H,−CHCH−)。
【0096】
C)2,7−ビス(1,3,2−ジオキシボロール)−9,9−ジ(p−ビニルベンジル)フルオレンの合成
このモノマーは、実質的にモノマー合成(1)の技法に従ってホウ酸トリイソプロピルと2,7−ジブロモ−9,9−ジ(p−ビニルベンジル)フルオレン(DBS)との反応によって合成する。
【0097】
D)ポリマーの合成
実施例1のポリマー形成条件を実質的に繰り返して、本発明によるポリマーを形成する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式の架橋性オリゴマー又はポリマーの1つ又は複数を含むフィルム
【化1】


[式中、Rはそれぞれ独立して出現するごとに、不活性置換基、一価の架橋形成性基X又は多価の架橋形成性基X’であり、但し、1分子当たり少なくとも1つの繰返し単位において、少なくとも1つのRはベンゾ−3,4−シクロブタン−1−イル又はp−ビニルベンジルであり、
xは1〜10,000の数であり、zは1〜10,000の数であり、組成物中の平均繰返し単位数を示し、
Z”は、1価の連鎖停止基であり、
Z’はそれぞれ独立して出現するごとに、次式のモノマーからなる群から選択される
【化2】


[式中、Rはそれぞれ独立して出現するごとに、不活性置換基、X又はX’であり、RはC1〜10アルキル、アリール又はアラルキルであり、nは1又は2である]]。
【請求項2】
前記架橋性オリゴマー又はポリマーが次の構造を有する、請求項1に記載のフィルム。
【化3】


[構造中、R、x、z、及びZ”は先に請求項1で定義した通りである]。
【請求項3】
次式に対応する架橋ポリマーの1つ又は複数を含むフィルム
【化4】


[式中、R’はそれぞれ独立して出現するごとに、R、又はX若しくはX’の架橋誘導体であり、但し、少なくとも1つの出現において、R’はベンゾ−3,4−シクロブタン−1−イル又はp−ビニルベンジルの架橋誘導体であり、
X、X’、R、x、Z’、Z”及びzは、先に請求項1で定義した通りである]。
【請求項4】
次式の1つ又は複数のフルオレンジイル基
【化5】


[式中、Rはそれぞれ独立して出現するごとに、不活性置換基、一価の架橋形成性基X又は多価の架橋形成性基X’であり、但し、1分子当たり少なくとも1つの繰返し単位において、少なくとも1つのRはベンゾ−3,4−シクロブタン−1−イル又はp−ビニルベンジルである]
を含む1つ又は複数の化合物或いは同じものを含む組成物を、反応を妨害しない任意のその他の化合物の存在下、請求項1に記載のオリゴマー又はポリマーを形成するのに十分な反応条件下で加熱する工程を含む方法により調製された請求項1に記載のオリゴマー又はポリマーの1つ又は複数を含むフィルム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のフィルムを製造する方法であって、スピンコーティング、スプレーコーティング(インクジェット印刷を含む)、ディップコーティング、及びロールコーティングから選ばれる少なくとも一の手段を用いる、上記方法。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載のフィルムを製造する方法であって、100℃以上に曝露することでフィルムを硬化させる工程を有する、上記方法。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか一項に記載のフィルム、透明基板、及び該透明基板上に蒸着された混合酸化物を含んでなる陽極、を有する積層体。

【公開番号】特開2013−14770(P2013−14770A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−181954(P2012−181954)
【出願日】平成24年8月21日(2012.8.21)
【分割の表示】特願2006−539570(P2006−539570)の分割
【原出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】