説明

架橋陽イオン交換ポリマー、組成物、および高カリウム血症の治療における使用

本発明は、フルオロ基および酸性基を含む架橋陽イオン交換ポリマー、これらのポリマーの医薬組成、線状ポリオールの組成、ならびにそのようなポリマーの塩を対象とする。粒径、粒子形状、粒径分布、粘度、降伏応力、圧縮率、表面形態、および/または膨張率の組み合わせを含む、有益な物理特性を有する、架橋陽イオン交換ポリマーについても説明される。これらのポリマーおよび組成物は、胃腸管におけるカリウムの結合に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胃腸管においてカリウムを除去する方法を対象とし、粒径、粒子形状、粒径の分布、粘度、降伏応力、圧縮性、表面形態、および/または膨張率の組み合わせを含む、有益な物理特性を有する、架橋陽イオン交換ポリマーの投与によって、高カリウム血症を治療する方法、フルオロ基および酸性基を含み、少なくとも3つのモノマー単位の重合の生成物である、架橋陽イオン交換ポリマーを調製するためのプロセス、および胃腸管におけるカリウムの結合に有用なフルオロ基および酸性基を含む、安定化線状ポリオールおよび架橋陽イオン交換ポリマーの組成を対象とする。
【背景技術】
【0002】
カリウム(K)は、最も豊富にある細胞内陽イオンのうちの1つである。カリウムホメオスタシスは、主に、腎臓排出の調節によって維持される。腎機能の低下、尿生殖器疾患、癌、重度の糖尿病、鬱血性心疾患、および/またはこれらの状態の処置等の様々な医療状態は、高カリウム血症をもたらすか、患者が高カリウム血症を発症しやすくする。高カリウム血症は、特許文献1において開示されるような、ポリフルオロアクリル酸を含む、様々な陽イオン交換ポリマーで治療することができる。
【0003】
様々なポリスチレンスルホン酸陽イオン交換ポリマー(例えば、Kayexalate(登録商標)、Argamate(登録商標)、Kionex(登録商標))が、患者における高カリウム血症の治療に使用されている。これらのポリマーおよびポリマー組成物は、投与サイズおよび頻度、味および/またはテクスチャ、および胃の不快感を含む、患者のコンプライアンス問題を有することが知られている。例えば、一部の患者において、便秘が発生し、その場合、一般に、ソルビトールを共投与して、便秘を回避するが、これは、下痢および他の胃腸副作用をもたらす。医薬組成物において、多様な糖を使用できることも知られている。例えば、特許文献2を参照されたい。
【0004】
カリウムを減少させる方法、および/または高カリウム血症を治療する方法は、特に、長期的な設定において、患者のコンプライアンス問題を引き起こすが、それらは、本発明によって解決される。そのような問題は、治療有効量のポリマー結合体への耐容性の欠如(例えば、拒食症、吐き気、胃痛、嘔吐、および便秘)、投与形態(例えば、味、口触り等)、および投与頻度(例えば、1日3回等)を含む。本発明は、実質的に同様の有効性を維持しながら、有意な胃腸副作用なしに、1日1回または1日2回投与することができる、ポリマー結合体またはポリマー結合体を含有する組成物を提供することによって、これらの問題を解決する。本発明の方法は、カリウム結合体の投与頻度および形態を減少させ、患者のコンプライアンスを向上させる耐容性を高め、かつカリウム結合の有効性を高める。
【0005】
また特に、線状ポリオールは、その塩形態での架橋ポリα−フルオロアクリル酸に対して、貯蔵中の安定化効果を有することがわかった。現在、架橋フルオロアクリル酸ポリマーの生成は、DVBよりも遅い反応速度を有する第2の架橋体の添加によって改善することもわかっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2005/097081号
【特許文献2】欧州特許第1785141号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、架橋陽イオン交換ポリマーの塩および線状ポリオール安定剤を含む、医薬組成物を提供する。任意で、水分が組成物に添加される。好適な架橋陽イオン交換ポリマーの塩は、少なくとも2つ、任意で3つの異なるモノマー単位の重合の生成物であり、フッ化物放出に関して安定化される。本発明の様々な態様のうちの1つは、線状ポリオール、およびフルオロ基と酸性基とを含む架橋陽イオン交換ポリマーの塩を含む、組成物であり、少なくとも2つ、任意で3つの異なるモノマー単位の重合の生成物である。通常、一方のモノマーは、フルオロ基および酸性基を含み、他方のモノマーは、二官能性アリーレンモノマーまたは二官能性アルキレン、エーテル含有またはアミド含有モノマー、あるいはそれらの組み合わせである。
【0008】
本発明のさらなる態様は、架橋陽イオン交換ポリマー塩、および組成物の総重量に基づいて、約10重量%〜約40重量%の線状ポリオールを含む、医薬組成物である。架橋陽イオン交換ポリマーは、式1および2、式1および3、または式1、2、および3に対応する構造単位を含み、式1、式2、および式3は、以下の構造によって表される。
【0009】
【化1】

【0010】
式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、Aはカルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸であり、Xはアリーレンであり、Xはアルキレン、エーテル部分、またはアミド部分である。一部の例において、式1、式2、および式3は、以下の構造によって表される。
【0011】
【化2】

【0012】
本発明の別の一態様は、架橋陽イオン交換ポリマー塩および前記ポリマー塩を安定化させるために十分な有効量の線状ポリオールを含む医薬組成物であり、架橋陽イオン交換ポリマーの塩は、式1および2、式1および3、または式1、2、および3に対応する構造単位を含む。一部の例において、式1、式2、および式3の構造単位は、それぞれ式1A、式2A、および式3Aに対応する。任意で、組成物は、水分をさらに含む。
【0013】
さらなる態様は、架橋陽イオン交換ポリマー塩、および組成物の総重量に基づいて、約10重量%〜約40重量%の線状ポリオールを含む医薬組成物であり、架橋陽イオン交換ポリマーは、(i)式11および22、(ii)式11および33、または(iii)式11、22、および33のいずれかのモノマーを含む、重合混合物の反応生成物である。式11、式22、および式33は、以下の構造によって表される。
【0014】
【化3】

【0015】
式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、A11は、任意で保護されているカルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸であり、Xは、アリーレンであり、Xは、アルキレン、エーテル部分、またはアミド部分である。一部の例において、式11、式22、および式33は、以下の構造によって表される。
【0016】
【化4】

【0017】
本発明の別の一態様は、架橋陽イオン交換ポリマー塩、および当該ポリマー塩を安定化させるために十分な有効量の線状ポリオールを含む医薬組成物であり、架橋陽イオン交換ポリマーの塩は、式11および22、式11および33、または式11、22、および33に対応するモノマーを含む、重合混合物の反応性生物である。一部の例において、式1、式2、および式3は、それぞれ式11A、式22A、および式33Aに対応する。任意で、組成物は、水分をさらに含む。
【0018】
さらに別の一態様は、カリウムを、除去を必要とする動物対象の胃腸管から除去するための方法である。方法は、本明細書に説明される架橋陽イオン交換ポリマーまたは医薬組成物のうちのいずれか1つを対象に投与するステップを含み、それによって、ポリマーまたは医薬組成物は、対象の胃腸管を通過し、治療上有効量のカリウムイオンを、対象の胃腸管から除去する。一部の実施形態において、対象は哺乳類であり、好ましくはヒトである。
【0019】
さらなる一態様は、カリウムを、除去を必要とする動物対象の胃腸管から除去するための方法であって、本明細書に説明される有効量の架橋陽イオン交換ポリマーまたは任意の医薬組成物を、1日1回または1日2回、対象に投与するステップを含み、ポリマーは、式1および2、式1および3、または式1、2、および3に対応する構造単位を含み、式1、式2、および式3は、以下の構造によって表される。
【0020】
【化5】

【0021】
式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、Aは、カルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸であり、Xは、アリーレンであり、Xは、アルキレン、エーテル部分、またはアミド部分であり、ポリマーまたは組成物の1日量は、同一日量を1日3回で投与される同一ポリマーまたは組成物の結合能力の少なくとも75%のカリウム結合能力を有する。
【0022】
本発明は、1日1回または1日2回、本明細書に説明される架橋陽イオン交換ポリマーまたは任意の医薬組成物を、対象に有効量投与することを含む、カリウムを、除去を必要とする動物対象において、除去する方法も提供し、ポリマーは、(i)式11および22、(ii)式11および33、または(iii)式11、22、および33のうちのいずれかのモノマーを含む重合混合物の反応性生物である。式11、式22、および式33は、以下の構造によって表される。
【0023】
【化6】

【0024】
式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、A11は、任意で保護されているカルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸であり、Xは、アリーレンであり、かつXは、アルキレン、エーテル部分、またはアミド部分であり、ポリマーまたは組成物の1日量は、同一日量を1日3回で投与される同一ポリマーまたは組成物の結合能力の少なくとも75%のカリウム結合能力を有する。
【0025】
他の実施形態において、本発明は、本明細書に説明されるように、有効量の架橋陽イオン交換ポリマーまたは医薬組成物の1日量を、1日1回または1日2回対象に投与することを含む、カリウムを、除去を必要とする動物対象の胃腸管から除去する方法を提供し、(1)ポリマーまたは組成物を1日1回または1日2回摂取する対象の25%未満が、軽度または中度の胃腸副作用を経験するか、または(2)ポリマーまたは組成物の1日量は、1日3回投与される同一日量の同一ポリマーの少なくとも75%のカリウム結合能力を有するかのいずれかであるか、または(3)両方である。
【0026】
架橋脂肪族カルボン酸ポリマーおよび有効量の、または一部の例においては約10重量%〜約40重量%の線状ポリオールを含む、組成物の使用は、線状ポリオールを含有しない組成物と比較して、カリウムの除去に対する有効性が増大したことも発見された。この点において、増大した有効性は、カリウムの糞便中排泄量によって測定される。本発明の組成物および/または方法は、有効量の、または一部の例では約10重量%〜約40重量%の線状ポリオール、および架橋脂肪族カルボン酸ポリマーを含む組成物を含み、線状ポリオールによって安定化されない、同一用量および同一投与頻度の同一ポリマーと比較して、約5%多くのカリウムを、抽出を必要とする動物対象から抽出する。
【0027】
本発明の様々な態様には、所望の粒径、粒子形状、粒径分布、降伏応力、粘度、圧縮性、表面形態、および/または膨張率を有する架橋陽イオン交換ポリマー、およびポリマーを含む医薬組成物を、それを必要とする動物対象に投与することによって、カリウムを除去する方法が含まれる。
【0028】
本発明の別の態様は、カリウムを、除去を必要とする動物対象から除去する、および/または高カリウム血症を治療するための方法であって、カリウム結合ポリマーを動物対象に投与することを含む。カリウム結合ポリマーは、酸または塩形態で酸性基を含む架橋陽イオン交換ポリマーであり、約20μm〜約200μmの平均径を有する略球状の粒子形態で、かつ粒子の約4容量%未満が、約10μm未満の直径を有する。ポリマー粒子は、約4000Pa未満の沈渣降伏応力、およびポリマー1グラム当たり約10グラム未満の水の膨張率も有する。
【0029】
本発明のさらなる一態様は、カリウムを、除去を必要とする動物対象において、除去する、および/または高カリウム血症を治療するための方法であって、カリウム結合ポリマーを動物対象に投与することを含む。カリウム結合ポリマーは、酸または塩形態で酸性基を含む架橋陽イオン交換ポリマーであり、約250μm未満の平均径を有する、略球状の粒子の形態であり、粒子の約4容量%未満は、約10μm未満の直径を有する。ポリマー粒子は、ポリマー1グラム当たり約10グラム未満の水の膨張率も有し、ポリマー粒子の水和および沈渣した塊は、1,000,000パスカル秒(Pa・s)未満の粘度を有し、粘度は、0.01秒−1のせん断率で測定される。
【0030】
したがって、本発明は、カリウムを、除去を必要とする動物対象において、除去する、および/または高カリウム血症を治療する方法を提供し、有効量の架橋陽イオン交換ポリマーを、約250μm未満の平均径を有する略球状の形態で、1日1回または1日2回、対象に投与することを含み、粒子の約4容量%未満が、約10μm未満の直径を有し、1日1回または1日2回投与されるポリマーの1日量は、同一日量を1日3回投与される同一ポリマーの結合能力の少なくとも75%のカリウム結合能力を有する。
【0031】
他の実施形態において、本発明は、カリウムを、除去を必要とする動物対象において、除去する、および/または高カリウム血症を治療する方法を提供し、有効量の1日量の架橋陽イオン交換ポリマーを、約250μm未満の平均径を有する略球状粒子の形態で、1日1回または1日2回投与することを含み、粒子の約4容量%未満が、約10μm未満の直径を有し、ポリマーを1日1回または1日2回摂取する対象の25%未満が、軽度または中度の胃腸副作用を経験する。1日1回または1日2回投与される陽イオン交換ポリマーは、1日3回投与される同一日量の同一ポリマーとほぼ実質的に同一の耐容性を有することも本発明の特徴である。
【0032】
本発明は、少なくとも3つの異なるモノマー単位の重合の生成物である、架橋ポリマー、およびこれらのポリマーを調製するためのプロセスを提供する。本発明の様々な態様には、フッ素基および酸性基を含み、少なくとも3つの異なるモノマー単位の重合の生成物である架橋陽イオン交換ポリマー、およびそれを調製するためのプロセスが含まれる。通常、1つのモノマーは、フッ素基および酸性基を含み、1つのモノマーは、二官能性アリーレンモノマーであり、もう1つのモノマーは、二官能性アルキレン、エーテル、またはアミド含有モノマーである。
【0033】
本発明の別の態様は、3つ以上のモノマーを含む重合混合物の反応性生物を含む、架橋ポリマーである。モノマーは、式11、式22、および式33に対応し、(i)式11に対応するモノマーは、重合混合物における式11、22、および33のモノマーの総重量に基づいて、少なくとも約85重量%または約80重量%〜95重量%を占め、式22に対応するモノマー対式33に対応するモノマーの重量比は、約4:1〜約1:4であるか、または(ii)重合混合物における式11のモノマーのモル分率は、式11、22、および33のモノマーのモル総数に基づいて、少なくとも約0.87であるか、または約0.87〜約0.94であり、重合混合物における式22のモノマー対式33のモノマーのモル比は、約0.2:1〜約7:1である。式11、式22、および式33は、以下の構造に対応し、
【0034】
【化7】

【0035】
式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、A11は、任意で保護されているカルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸であり、Xは、アリーレンであり、かつXはアルキレン、エーテル部分、またはアミド部分である。
【0036】
さらに別の一態様は、式1、2、および3に対応する構造単位を含む、陽イオン交換ポリマーであり、(i)式1に対応する構造単位は、重合反応において使用されるモノマーの量から計算される、ポリマー中の式1、2、および3の構造単位の総重量に基づいて、少なくとも約85重量%または約80重量%〜約95重量%を占め、式2に対応する構造単位対式3に対応する構造単位の重量比は、約4:1〜約1:4であるか、または(ii)ポリマー中の式1の構造単位のモル分率は、式1、2、および3の構造単位のモル総数に基づいて、少なくとも約0.87であるか、または約0.87〜約0.94であり、式2の構造単位対式3の構造単位の比は、約0.2:1〜約7:1である(重合反応において使用されるモノマーの量から計算される)。式1、式2、および式3は、以下の構造に対応し、
【0037】
【化8】

【0038】
式中、RおよびRは独立して水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、Aは、塩または酸形態のカルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸であり、Xは、アリーレンであり、Xは、アルキレン、エーテル部分、またはアミド部分である。
【0039】
本発明のさらなる一態様は、3つ以上のモノマーを含む、重合混合物の反応生成物を含む架橋ポリマーである。モノマーは、式11A、式22A、および式33Aに対応し、(i)式11Aに対応するモノマーは、重合混合物中の式11A、22A、および33Aのモノマーの総重量に基づいて、少なくとも約85重量%または約80重量%〜約95重量%を占め、式22Aに対応するモノマー対式33Aに対応するモノマーの重量比は、約4:1〜約1:4であるか、または(ii)重合混合物中の式11Aのモノマーのモル分率は、式11A、22A、および33Aのモノマーのモルの総数に基づいて、少なくとも約0.87、または約0.87〜約0.94であり、重合混合物中の式22Aのモノマー対式33Aのモノマーは、約0.2:1〜約7:1である。式11A、式22A、および式33Aは、以下の構造に対応する。
【0040】
【化9】

【0041】
別の一態様は、式1A、2A、および3Aに対応する構造単位を含む陽イオン交換ポリマーであり、(i)式1Aに対応する構造単位は、ポリマー中の式1A、2A、および3Aの構造単位の総重量に基づいて、少なくとも約85重量%または約80重量%〜約95重量%を占め、式2Aに対応する構造単位対式3Aに対応する構造単位の重量比は、約4:1〜約1:4であるか(重合反応において使用されるモノマーの量から計算される)、または(ii)ポリマー中の式1Aの構造単位のモル分率は、式1A、2A、および3Aの構造単位のモル総数に基づいて、少なくとも約0.87または約0.87〜約0.94であり、式2Aの構造単位対式3Aの構造単位のモル比は、約0.2:1〜約7:1である(重合反応において使用されるモノマーの量から計算される)。式1A、式2A、および式3Aは、以下の構造に対応する。
【0042】
【化10】

【0043】
さらなる一態様は、本明細書に記載の架橋陽イオン交換のいずれか、および医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物である。
【0044】
本発明のさらに別の一態様は、動物対象の胃腸管からカリウムを除去するための方法であり、上述される医薬組成物を対象に投与することを含み、それによって、医薬組成物は、対象の胃腸管を通過して、治療上有効量のカリウムイオンを対象の胃腸管から除去する。一部の例において、動物対象は、哺乳類またはヒトである。
【0045】
別の態様は、架橋陽イオン交換ポリマーを形成する方法であって、3つ以上のモノマーを含む混合物を重合開始剤と接触させて、架橋ポリマーを形成することを含む。モノマーは、式11、式22、および式33に対応し、(i)式11に対応するモノマーは、重合混合物中の式11、22、および33のモノマーの総重量に基づいて、少なくとも約85重量%または約80重量%〜約95重量%を占め、式22に対応するモノマー対式33に対応するモノマーの重量比は、約4:1〜約1:4であるか、または(ii)重合混合物中の式11のモノマーのモル分率は、式11、22、および33のモノマーのモル総数に基づいて、少なくとも約0.87または約0.87〜約0.94であり、重合混合物中の式22のモノマー対式33のモノマーのモル比は、約0.2:1〜約7:1である。式11、式22、および式33は、以下の構造に対応し、
【0046】
【化11】

【0047】
式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、A11は、保護されているカルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸であり、Xは、アリーレンであり、Xは、アルキレン、エーテル部分、またはアミド部分である。
【0048】
さらなる態様は、架橋陽イオン交換ポリマーを形成する方法であり、3つ以上のモノマーを含む混合物を、重合開始剤と接触させて、架橋ポリマーを形成することを含む。モノマーは、式11A、式22A、および式33Aに対応し、(i)式11Aに対応するモノマーは、重合混合物中の式11A、22A、および33Aのモノマーの総重量に基づいて、少なくとも約85重量%または約80重量%〜約95重量%を占め、式22に対応するモノマー対式33Aに対応するモノマーの重量比は、約4:1〜約1:4であるか、または(ii)重合混合物中の式11Aのモノマーのモル分率は、式11A、22A、および33Aのモノマーのモル総数に基づいて、少なくとも約0.87または約0.87〜約0.94であり、重合混合物中の式22Aのモノマー対式33Aのモノマーのモル比は、約0.2:1〜約7:1である。式11A、22A、および33Aは、以下の構造に対応する。
【0049】
【化12】

【0050】
上述の架橋陽イオン交換ポリマーを形成する方法は、架橋ポリマーを加水分解剤で加水分解することをさらに含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1A】実施例8Aにおいて説明されるように調製された、ビードの表面の走査型電子顕微鏡(SEM)マイクログラフを示す。図1Bは、低温破砕によって割られた実施例8Aのビーズの断面SEMマイクログラフを示す。
【図1B】実施例8Aにおいて説明されるように調製された、ビードの表面の走査型電子顕微鏡(SEM)マイクログラフを示す。図1Bは、低温破砕によって割られた実施例8Aのビーズの断面SEMマイクログラフを示す。
【図2A】実施例8Aのプロセスによって調製された2つのCa(ポリフルオロアクリレート)試料の表面の原子間力顕微鏡(AFM)画像を示し、測定値は、実施例9において説明される。
【図2B】実施例8Aのプロセスによって調製された2つのCa(ポリフルオロアクリレート)試料の表面の原子間力顕微鏡(AFM)画像を示し、測定値は、実施例9において説明される。
【図3】実施例11において説明されるように、漸増量のジクロロエタン溶媒で調製された架橋ポリ(FAA)ビーズの一連のSEMマイクログラフを示す。
【図4】実施例12において説明されるように、漸増量の塩化ナトリウムで調製された架橋ポリ(FAA)ビーズの一連のSEMマイクログラフを示す。
【図5】実施例8Dにおいて説明されるように、t−ブチルフルオロアクリレートモノマーを重合することによって調製された、架橋ポリ(FAA)ビーズのSEMマイクログラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
線状ポリオール安定化組成物
本発明は、ポリオールおよび架橋陽イオン交換ポリマーの塩を含む医薬組成物を対象とし、当該ポリオールは、貯蔵中に陽イオン交換ポリマーからのフッ素イオンの放出を減少させるために十分な量で存在する。一部の実施形態において、本発明の医薬組成物は、追加で水を含み、これも貯蔵中に陽イオン交換ポリマーからのフッ素イオンの放出を減少させるか、または減少を支援するために十分な量で存在する。一般に、フルオロ基および酸性基を含む架橋陽イオン交換ポリマーの塩は、少なくとも2つ、および任意で3つの異なるモノマー単位の重合の生成物である。通常、一方のモノマーは、フルオロ基および酸性基を含み、他方のモノマーは、二官能性アリーレンモノマーまたは二官能性アルキレン、エーテル、またはアミド含有モノマー、あるいはそれらの組み合わせである。これらの医薬組成物は、胃腸管においてカリウムと結合するために有用である。好適な実施形態において、線状ポリオールは、線状糖アルコールである。異なる投薬レジメンにおける有効性および/または耐容性の増大が、線状ポリオールを含まず、任意で水を含むことがない組成物と比較して見られる。
【0053】
線状ポリオールは、架橋陽イオン交換ポリマーの塩を含有する組成物に、ポリマー塩を安定化させるための有効量で添加され、一般に、組成物の総重量に基づいて、約10重量%〜約40重量%の線状ポリオールとなる。線状ポリオールは、好ましくは、線状糖(すなわち、線状糖アルコール)である。線状糖アルコールは、好ましくは、D−(+)アラビトール、エリトリトール、グリセロール、マルチトール、D−マンニトール、リビトール、D−ソルビトール、キシリトール、トレイトール、ガラクチトール、イソマルト、イビトール、ラクチトール、およびそれらの組み合わせから成る群から選択され、より好ましくは、D−(+)アラビトール、エリトリトール、グリセロール、マルチトール、D−マンニトール、リビトール、D−ソルビトール、キシリトール、およびそれらの組み合わせから成る群から選択され、最も好ましくは、キシリトール、ソルビトール、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される。好ましくは、医薬組成物は、組成物の総重量に基づいて、約15重量%〜約35重量%の安定化ポリオールを含有する。様々な実施形態において、この線状ポリオール濃度は、同一温度および貯蔵時間において、安定化ポリオールを含有しないことを除いて同一の組成物と比較して、陽イオン交換ポリマーからのフッ素イオンの放出を減少させるために十分である。
【0054】
組成物の含水量を安定化専用ポリオールで平衡させて、組成物内で安定化ポリオールを提供することができる。一般に、組成物の含水量が増加すると、ポリオールの濃度は減少し得る。しかしながら、含水量は、製造または包装動作中に、組成物の自由な流れを妨げるほど高く上昇してはならない。一般に、含水量は、組成物の総重量に基づいて、約1〜約30重量%の範囲内であり得る。より具体的には、含水量は、ポリマーの組成物、線状ポリオール、および水の総重量に基づいて、約10〜約25重量%であり得る。1つの特定例において、医薬組成物は、約10〜40重量%の線状ポリオール、約1〜30重量%の水、および残りは架橋陽イオン交換ポリマーを含み、重量%は、線状ポリオール、水、およびポリマーの総重量に基づく。また1つの特定例において、医薬組成物は、約15重量%〜約35重量%の線状ポリオール、約10重量%〜約25重量%の水、および残りは架橋陽イオン交換ポリマーを含み、重量%は、線状ポリオール、水、およびポリマーの総重量に基づく。別の特定例において、医薬組成物は、約10重量%〜約40重量%の線状ポリオール、および残りは架橋陽イオン交換ポリマーを含み、重量%は、線状ポリオールおよびポリマーの総重量に基づく。
【0055】
含水量は、当業者に知られている方法で測定することができる。組成物中の含水量は、2つの方法、すなわち(a)製造過程中の水分アナライザを介する熱重量方法、または(b)米国薬局方(USP)<731>に従って、乾燥減量を測定することによって決定され得る。水分アナライザを介する熱重量方法の実施条件は、ポリマー組成物0.3gを、約160℃で約45分間加熱するものである。USP<731>方法の実施条件は、ポリマー組成物1.5〜2gを、25〜35mbarの真空下、約130℃で約16時間加熱するものである。
【0056】
安定化の視点から、医薬組成物中の無機フッ素の濃度(例えば、フッ素イオンから)は、典型的な貯蔵条件下、約1000ppm未満、約500ppm未満、または約300ppm未満である。より具体的には、医薬組成物中の無機フッ素の濃度は、加速貯蔵条件での貯蔵後(約40℃で約6週間)、約1000ppm未満であり、室温での貯蔵後(約25℃で約6週間)、約500ppm未満であり、または冷蔵貯蔵後(約5℃で約6週間)、約300ppm未満である。追加として、医薬組成物中の無機フッ素の濃度は、同一温度および貯蔵時間において安定化ポリオールを含有しないことを除いて同一の組成物中の無機フッ素の濃度よりも、一般に、50%少なく、好ましくは75%少ない。
【0057】
物理特性が向上した架橋陽イオン交換ポリマー
本発明は、特定の粒径および粒径分布の組み合わせ、粒子形状、降伏応力、粘度、圧縮性、表面形態、および/または膨張率を有する架橋陽イオン交換ポリマーの投与によって、カリウムを、除去を必要とする動物対象から除去するか、または高カリウム血症を治療するための方法を対象とする。ポリマーは、インビボでカリウムと交換して、必要とする対象の胃腸管からカリウムを除去することができる、陽イオンを含み、したがって、カリウム結合ポリマーである。架橋陽イオン交換ポリマーおよびカリウム結合ポリマーという用語は、本明細書において同義的に使用される。当業者であれば理解するように、ポリマーのある種の特性は、ポリマー形態の物理特性に由来するため、一般に粒子という用語を使用して、そのような特性を示す。
【0058】
本発明において使用される架橋陽イオン交換ポリマーは、略球状粒子の形態である。本明細書で使用されるように、「略」という用語は、約1.0〜約2.0の平均アスペクト比を有する、全体的に丸い粒子を意味する。アスペクト比は、粒子の最大線寸法対粒子の最小線寸法の比である。アスペクト比は、当業者によって容易に決定され得る。この定義は、定義上1.0のアスペクト比を有する球状粒子を包含する。一部の実施形態において、粒子は、約1.0、1.2、1.4、1.6、1.8または2.0の平均アスペクト比を有する。粒子は、視野が粒子の直径の少なくとも2倍である拡大率で観察すると、円形または楕円であり得る。例えば、図1Aを参照されたい。
【0059】
架橋陽イオン交換ポリマー粒子は、約20μm〜約200μmの平均径を有する。具体的な範囲は、架橋陽イオン交換粒子が約20μm〜約200μm、約20μm〜約150μm、または約20μm〜約125μmの平均径を有する場合である。他の範囲は、約35μm〜約150μm、約35μm〜約125μm、または約50μm〜約125μmを含む。平均径、分布等を含む粒径は、当業者に知られている方法を使用して決定することができる。例えば、米国薬局方(USP)<429>は、粒径を決定するための方法を開示している。
【0060】
様々な架橋陽イオン交換ポリマー粒子は、約10μm未満の直径を有する粒子が約4容量%未満、具体的には、約10μm未満の直径を有する粒子が約2容量%未満、より具体的には、約10μm未満の直径を有する粒子が約1容量%未満、なおもさらに具体的には、約10μm未満の直径を有する粒子が約0.5容量%未満である。他の例において、具体的な範囲は、約20μm未満の直径を有する粒子が約4容量%未満、約20μm未満の直径を有する粒子が約2容量%未満、約20μm未満の直径を有する粒子が約1容量%未満、約20μm未満の直径を有する粒子が約0.5容量%未満、約30μm未満の直径を有する粒子が約2容量%未満、約30μm未満の直径を有する粒子が約1容量%未満、約30μm未満の直径を有する粒子が約1容量%未満、約40μm未満の直径を有する粒子が約1容量%未満、約40μm未満の直径を有する粒子が約0.5容量%未満である。様々な実施形態において、架橋陽イオン交換ポリマーは、粒子の約5容量%未満が約30μm未満の直径を有し(すなわち、D(0.05)<30μm)、粒子の約5容量%未満が約250μm超の直径を有し(すなわち、D(0.05)>250μm)、粒子の少なくとも約50容量%が約70〜約150μmの範囲の直径を有する。
【0061】
架橋陽イオン交換ポリマーの粒子分布は、スパンとして説明することができる。粒子分布のスパンは、(D(0.9)−D(0.1))/D(0.5)として定義され、D(0.9)は、粒子の90%が当該値未満の直径を有する場合の値であり、D(0.1)は、粒子の10%が当該値未満の直径を有する場合の値であり、D(0.5)は、レーザ回折によって測定して、粒子の50%が当該値より大きい直径を有し、粒子の50%が当該値未満の直径を有する場合の値である。粒子分布のスパンは、通常、約0.5〜約1、約0.5〜約0.95、約0.5〜約0.90、または約0.5〜約0.85である。粒径の分布は、Malvern Mastersizerを使用し、GEA Niro(Denmark)から入手可能なNiro Method No.A8d(2005年9月改定)を使用して測定することができる。
【0062】
架橋陽イオン交換ポリマーが有し得る別の望ましい特性は、水和および沈渣された際の粘度が、約10,000Pa・s〜約1,000,000Pa・s、約10,000Pa・s〜約800,000Pa・s、約10,000Pa・s〜約600,000Pa・s、約10,000Pa・s〜約500,000Pa・s、約10,000Pa・s〜約250,000Pa・s、または約10,000Pa・s〜約150,000Pa・s、約30,000Pa・s〜約1,000,000Pa・s、約30,000Pa・s〜約500,000Pa・s、または約30,000Pa・s〜約150,000Pa・sとなることであり、粘度は、0.01秒−1のせん断速度として測定される。この粘度は、ポリマーをわずかに過剰なシミュレート腸液(USP<26>)と完全に混合し、混合物を3日間37℃で沈渣させ、沈渣した湿式ポリマーから遊離液を移すことによって調製される、湿式ポリマーを使用して測定される。この湿式ポリマーの安定状態でのせん断粘度は、Bohlin VOR Rheometer(Malvern Instruments Ltd.,Marvern,U.K.から入手可能)または同等の機器を使用して、平行プレート形状(上部プレートは直径15mmであり、下部プレートは直径30mm、プレート間の間隙は1mm)で、温度を37℃に維持して、決定することができる。
【0063】
架橋陽イオン交換ポリマーは、約150Pa〜約4000Pa、約150Pa〜約3000Pa、約150Pa〜約2500Pa、約150Pa〜約1500Pa、約150Pa〜約1000Pa、約150Pa〜約750Pa、または約150Pa〜約500Pa、約200Pa〜約4000Pa、約200Pa〜約2500Pa、約200Pa〜約1000Pa、または約200Pa〜約750Paの水和および沈渣降伏応力をさらに有し得る。動的応力スイープ測定値(すなわち、降伏応力)は、Reologica STRESSTECHレオメータ(Reologica Instruments AB,Lund,Swedenから入手可能)または同等の機器を使用して、当業者に知られている様式で測定することができる。このレオメータもまた、平行プレート形状を有し(上部プレートは直径15mm、下部プレートは直径30mmであり、プレート間の間隙は1mm)、温度は37℃に維持される。せん断応力が1〜10Paに増加する間、2つの統合期間を有する1Hzの一定周波数を使用することができる。
【0064】
本発明において使用される架橋陽イオン交換ポリマーは、乾燥粉末の形態である場合、望ましい圧縮性およびバルク密度も有する。いくつかの種類の乾燥形態の架橋陽イオン交換ポリマーの粒子は、約0.8g/cm〜約1.5g/cm、約0.82g/cm〜約1.5g/cm、約0.84g/cm〜約1.5g/cm、約0.86g/cm〜約1.5g/cm、約0.8g/cm〜約1.2g/cm、または約0.86g/cm〜約1.2g/cmのバルク密度を有する。バルク密度は、患者への投与に必要とされる架橋陽イオン交換ポリマーの量に影響する。例えば、より高いバルク密度は、より低容量で同グラム数の架橋陽イオン交換ポリマーが提供されることを意味する。この低容量は、容量が小さいことで少量を摂取すると患者に認識させることによって、患者のコンプライアンスを向上させることができる。
【0065】
乾燥形態の架橋陽イオン交換ポリマーの粒子で構成される粉末は、約3〜約15、約3〜約14、約3〜約13、約3〜約12、約3〜約11、約5〜約15、約5〜約13、または約5〜約11の圧縮性指数を有する。圧縮性指数は、100*(TD−BD)/TDとして定義され、BDおよびTDは、それぞれバルク密度およびタップ密度である。バルク密度およびタップ密度を測定するための手順は、実施例10において以下に説明される。さらに、陽イオン交換ポリマーの粉末形態は、高カリウム血症を治療するために従来使用されているポリマーよりも容易に、その最小容量に定着する。これは、バルク密度とタップ密度(設定回数タッピングした後に測定される粉末密度)との間の差を、バルク密度の約3%〜約14%、約3%〜約13%、約3%〜約12%、約3%〜約11%、約3%〜約10%、約5%〜約14%、約5%〜約12%、または約5%〜約10%にする。
【0066】
一般に、粒子形態のカリウム結合ポリマーは、胃腸管から吸収されない。「非吸収」という用語およびその文法的な同等語は、投与されたポリマーの全体量が吸収されないことを意味するものではない。ある量のポリマーが吸収され得ることが予測される。具体的には、ポリマーの約90%以上が吸収されず、より具体的には、約95%以上が吸収されず、なおもさらに具体的には、約97%以上が吸収されず、最も具体的には、ポリマーの約98%が吸収されない。
【0067】
胃腸管の状態を表す、生理的等張緩衝液中のカリウム結合ポリマーの膨張率は、通常、約1〜約7、具体的には、約1〜約5、より具体的には、約1〜約3、より具体的には、約1〜約2.5である。一部の実施形態において、本発明の架橋陽イオン交換ポリマーは、約5未満、約4未満、約3未満、約2.5未満、または約2未満の膨張率を有する。本発明のポリマーは、架橋材料であり、それらは、一般に溶媒に溶解せず、溶媒中で膨張するに過ぎないことを意味する。本明細書で使用される「膨張率」は、水性環境において平衡される際に、1グラムの、それ以外では溶媒和されていない架橋ポリマーによって取り込まれる溶媒のグラム数を意味する。複数の膨張の測定値が所定のポリマーから取られる場合、測定値の平均が膨張率であると見なされる。ポリマーの膨張は、それ以外では溶媒和されていないポリマーの、溶媒を取り込む際の増量率によって計算することもできる。例えば、膨張率1は、100%のポリマー膨張に対応する。
【0068】
有利な表面形態を有する架橋陽イオン交換ポリマーは、実質的に平滑な表面を有する、略球状の粒子の形態のポリマーである。実質的に平滑な表面は、いくつかの異なる表面特徴全体、およびいくつかの異なる粒子全体でランダムに決定される表面特徴の頂点から底部までの平均距離が、約2μm未満、約1μm未満、または約0.5μm未満である場合の表面である。通常、表面特徴の頂点から底部までの平均距離は、約1μm未満である。
【0069】
表面形態は、粗雑さを測定するための方法を含む、いくつかの方法を使用して測定することができる。粗雑さは、表面のテクスチャの測定値である。それは、その理想形態からの実際の表面の垂直偏差によって定量される。これらの偏差が大きい場合、表面は粗雑であり、それらが小さい場合は表面が平滑である。粗雑さは、通常、測定した表面の高周波の短波長構成要素であると見なされる。例えば、粗雑さは、接触または非接触方法を使用して測定することができる。接触方法は、表面全体に測定スタイラスを引っ張ることを含み、これらの器具は、プロフィロメータおよび原子力間顕微鏡(AFM)を含む。非接触方法は、干渉法、共焦点顕微鏡法、電気容量、および電子顕微鏡法を含む。これらの方法は、Chapter 4:Surface Roughness and Microtopography by L.Mattson in Surface Characterization,ed.by D.Brune,R.Hellborg,H.J.Whitlow,O.Hunderi,Wiley−VCH,1997において詳細に説明される。
【0070】
3次元測定のためには、プローブに命令して、表面上の2次元領域を走査させる。データポイントの間隔は、両方向で同一ではない場合がある。表面の粗雑さを測定する別の方法は、試料粒子を割り、図1BのようなSEM顕微鏡写真を得ることである。このようにして、表面の側面図を得ることができ、表面のレリーフを測定することができる。
【0071】
表面の粗雑さは、多数の方法で制御することができる。例えば、より平滑な表面を有するポリ(α−フルオロアクリレート)粒子を調製するための3つのアプローチが決定され。第1のアプローチは、モノマーおよびポリマー生成物に許容される溶媒である溶媒を含むことであった。第2のアプローチは、塩折プロセスによって、水相中の有機相の溶媒和を減少させることであった。第3のアプローチは、開始フルオロアクリレートモノマーの疎水性を増加させることであった。これらのアプローチは、実施例11〜13において詳細に説明される。
【0072】
高カリウム血症の長期治療のための投薬レジメンは、特に、グラム量で摂取される架橋陽イオン交換ポリマーに対する患者のコンプライアンスを高めることができる。本発明は、カリウムを、除去を必要とする哺乳類から長期的に除去する方法、具体的には、架橋脂肪族カルボン酸ポリマーであるカリウム結合体、および好ましくは、線状ポリオールで安定化したそのようなポリマーの塩を用いて、高カリウム血症を長期的に治療する方法も対象とし、ポリマーは、略球状粒子の形態である。
【0073】
ポリマー粒子を使用する際、1日1回のカリウム結合投薬は、1日2回のカリウム結合投薬と実質的に同等であり、これは、1日3回投薬とも実質的に同等であることが現在わかっている。実施例に示されるように、架橋ポリ−α−フルオロアクリル酸ポリマー粒子のポリオール安定化したカルシウム塩を1日1回摂取するボランティアは、実質的に同一量の同一結合ポリマー粒子を1日3回摂取するボランティアの便カリウム量の82.8%を排出した。架橋ポリ−α−フルオロアクリル酸ポリマー粒子のポリオール安定化したカルシウム塩を1日2回摂取するボランティアは、実質的に同一量の同一結合ポリマー粒子を1日3回摂取するボランティアの便カリウム量の91.5%を排出したことも示されている。便排出は、それを必要とする対象における血清カリウムの低下に関連する、有効性のインビボ測定法である。
【0074】
これらの結果は、食事とともに投与することに基づかず、任意の特定の製剤にも基づかなかった。特に、本発明において使用されるカリウム結合ポリマー粒子は、食物と実質的に反応せず、典型的な食品(例えば、水、プリン、アップルソース、焼いた食品)に添加することができ、コンプライアンス強化を増大させる(特に、水分が制限された食事の患者の場合)。この文脈において、実質的に、非反応とは、ポリマー粒子が、混合または混入される食品の味、堅さ、または他の特性を効果的に変えないことを意味する。また、本発明において使用されるポリマー粒子は、食事の時間に関係なく投与することができる。実際に、結合されているカリウムは、単に食事に由来するものではなく、胃腸管に排出されるカリウムであるため、投与は任意の時間に行うことができる。投薬レジメンは、限度容量、量、および粒子形態を含む、本明細書で論じられる他の実施形態も考慮に入れる。
【0075】
本明細書で使用されるポリマー粒子は、1日3回と比較して、1日1回または1日2回投与される場合に十分に耐容されることもわかっている。したがって、本発明は、ポリマー粒子またはポリマー粒子および約10重量%〜約40重量%の線状ポリオールを含む医薬組成物を1日1回投与することによって、動物対象からカリウムを除去する方法も対象とし、ポリマー粒子または組成物を1日1回摂取する対象の25%未満が、軽度または中度の胃腸副作用を経験する。胃腸副作用は、鼓腸、下痢、腹痛、便秘、胃炎、吐き気、および嘔吐から成る群から選択される影響を含み得る。一部の態様において、ポリマー粒子または組成物は、1日2回投与され、ポリマー粒子または組成物を1日2回摂取する対象の25%未満が、軽度または中度の胃腸副作用を経験する。一部の例において、ポリマー粒子または組成物を1日1回または1日2回摂取する対象は、深刻な胃腸副作用を経験しない。本発明において使用されるポリマー粒子または組成物は、1日3回投与される同一日量の同一ポリマー粒子または組成物と比較して、約50%以上の耐容性を有する。例えば、1日3回のポリマー投与が十分に耐容される2人の患者ごとに、少なくとも1人の患者において、1日1回または1日2回のポリマー投与が十分に耐容される。一部の例において、ポリマー粒子または組成物は、1日3回投与される同一日量の同一ポリマー粒子または組成物と比較して、約75%以上の耐容性を有する。1日1回または1日2回投与される本発明のポリマー粒子または組成物は、1日3回投与される同一日量の同一ポリマー粒子または組成物と比較して、約85%以上の耐容性を有することも、本発明の特徴である。1日1回または1日2回投与される本発明のポリマー粒子または組成物は、1日3回投与される同一日量の同一ポリマー粒子または組成物と比較して、約95%以上の耐容性を有することも、本発明の特徴である。1日1回または1日2回投与される本発明のポリマー粒子または組成物は、1日3回投与される同一日量の同一ポリマー粒子または組成物と比較して、実質的に同等の耐容性を有することも、本発明の特徴である。
【0076】
投与が十分に耐容される場合、対象による有意な用量修正または服薬中断はほとんどまたはまったくないはずである。一部の実施形態において、十分に耐容されるとは、胃腸副作用に対する明らかな用量応答関係がないことを意味する。これらの実施形態の一部において、十分に耐容されるとは、以下、鼓腸、下痢、腹痛、便秘、胃炎、吐き気、および嘔吐から成る群から選択される影響を含む、胃腸副作用が、統計的に有意な数の対象から報告されないことを意味する。特に、実施例は、対象において深刻な胃腸副作用がないことも示す。
【0077】
カリウム結合ポリマーのある特性について説明したが、これらの特性を提供する粒子形態の様々なポリマーの構造および/または化学的特徴を説明する。一部の実施形態において、カリウム結合ポリマーは、少なくとも1つの架橋体、およびそれらのプロトン化またはイオン化形態の酸性基、例えば、スルホン酸基、硫酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、あるいはスルファミン酸基、またはそれらの組み合わせを含有する、少なくとも1つのモノマーに由来する架橋陽イオン交換ポリマーである。一般に、本発明で使用されるポリマーの酸性基のイオン化の分率は、結腸内の生理的pH(例えば、約pH6.5)において約75%を超え、インビボのカリウム結合能力は、約0.6mEq/gを超え、より具体的には、約0.8mEq/gを超え、なおもさらに具体的には、約1.0mEq/gを超える。一般に、酸性基のイオン化は、結腸の生理的pH(例えば、約pH6.5)において約80%を超え、より具体的には、約90%を超え、最も具体的には、約100%である。ある実施形態において、酸を含有するポリマーは、複数の種類の酸性基を含有する。他の例において、酸を含有するポリマーは、それらの実質的に無水または塩形態で投与され、生理液と接触すると、イオン化形態を生成する。これらのカリウム結合ポリマーの代表的な構造単位が、表1に示され、結合の末端におけるアスタリスクは、結合が別の構造単位または架橋単位に結合されることを示す。
【0078】
【表1】

【0079】
他の適切な陽イオン交換ポリマーは、以下の構造を有する反復単位を含み、
【0080】
【化13】

【0081】
式中、Rは結合または窒素であり、Rは水素またはZであり、RはZまたは−CH(Z)であり、各Zは独立して、SOHまたはPOHであり、xは2または3であり、yは0または1であり、nは約50以上であり、より具体的には、nは約100以上であり、なおもさらに具体的には、nは約200以上であり、最も具体的には、nは約500以上である。
【0082】
スルファミン酸(すなわち、Z=SOHの場合)また亜リン酸アミド(すなわち、Z=POHの場合)ポリマーは、アミンポリマーまたはモノマー前駆体から、それぞれ三酸化硫黄/アミン付加物等のスルホン化剤、またはP等のホスホン化剤で処理して、得ることができる。通常、ホスホン酸基の酸性プロトンは、約6〜約7のpHにおいて、ナトリウムまたはカリウム等の陽イオンと交換可能である。
【0083】
適切なホスホン酸モノマーは、ビニルホスホン酸、ビニル−1,1−ビスホスホン酸、およびホスホノカルボキシレートエステルのエチレン誘導体、オリゴ(ホスホン酸メチレン)、およびヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸を含む。これらのモノマーの合成方法は、当該技術分野においてよく知られている。
【0084】
上述の陽イオン交換構造単位および酸性基を含有する反復単位は、架橋されて本発明の架橋陽イオン交換ポリマーを形成する。代表的な架橋モノマーは、表2に示されるものを含む。
【0085】
【表2】

【0086】
反復単位対架橋体の比は、所望のポリマー粒子の物理特性に基づいて、当業者によって選択され得る。例えば、膨張率を使用し、架橋が増加すると、膨張率は一般に減少するという当業者の一般理解に基づいて、架橋の量を決定することができる。特定の一実施形態において、重合反応混合物中の架橋体の量は、重合反応に添加されるモノマーおよび架橋体の総重量に基づいて、3重量%〜15重量%の範囲であり、より具体的には、5重量%〜15重量%の範囲であり、なおもさらに具体的には、8重量%〜12重量%である。架橋体は、表2に示されるもののうちの1つまたは混合を含んでもよい。
【0087】
一部の実施形態において、架橋陽イオン交換ポリマーは、pKa減少基を含み、好ましくは、電子求引性置換基を含み、好ましくは、酸性基のαまたはβ位置において、酸性基に隣接して位置する。電子求引性置換基の好適な位置は、酸性基に対してα位置の炭素原子に結合される。一般に、電子求引性置換基は、ヒドロキシル基、エーテル基、エステル基、酸性基、またはハロゲン化物原子である。より好ましくは、電子求引性置換基は、ハロゲン化物原子である。最も好ましくは、電子求引性置換基は、フッ化物であり、酸性基に対してα位置の炭素原子に結合される。酸性基は、カルボン酸、ホスホン酸、リン酸、またはそれらの組み合わせである。
【0088】
他の特に好適なポリマーは、α−フルオロアクリル酸、ジフルオロマレイン酸、またはそれらの無水物の重合に由来する。本明細書で使用されるモノマーは、α−フルオロアクリル酸およびジフルオロマレイン酸を含み、α−フルオロアクリル酸が最も好適である。このモノマーは、多様な経路から調製することができ、例えば、Gassen et al,J.Fluorine Chemistry,55,(1991)149−162、KF Pittman,C.U.,M.Ueda,et al.(1980).Macromolecules13(5):1031−1036を参照されたい。ジフルオロマレイン酸は、フルオロ芳香族化合物(Bogachev et al,Zhurnal Organisheskoi Khimii,1986、22(12),2578−83)またはフルオリン化フラン誘導体(米国特許第5,112,993号を参照)の酸化によって調製される。α−フルオロアクリル酸の合成モードは、欧州特許第EP415214号において提供される。
【0089】
一般に、フルオロ基および酸性基を含む架橋陽イオン交換ポリマーの塩は、少なくとも2つ、および任意で3つの異なるモノマー単位の重合の生成物である。一部の例において、一方のモノマーは、フルオロ基および酸性基を含み、他のモノマーは、二官能性アリーレンモノマーまたは二官能性アルキレン、エーテル、またはアミド含有モノマー、またはそれらの組み合わせである。
【0090】
特定の実施形態において、架橋陽イオン交換ポリマーは、式1および2、式1および3、または式1、2、および3を有する単位を含み、式1、式2、および3は、以下の構造によって表され、
【0091】
【化14】

【0092】
式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、Aはカルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸であり、Xはアリーレンであり、Xはアルキレン、エーテル部分、またはアミド部分である。より具体的には、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、Aはカルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸であり、Xはアリーレンであり、Xはアルキレン、エーテル部分、またはアミド部分である。
【0093】
がエーテル部分である場合、エーテル部分は、−(CH−O−(CH−または−(CH−O−(CH−O−(CH−であり得、式中、dおよびeは独立して、1〜5の整数である。一部の例において、dは1〜2の整数であり、eは1〜3の整数である。Xがアミド部分である場合、アミド部分は、−C(O)−NH−(CH−NH−C(O)−であり、式中、pは1〜8の整数である。一部の例において、pは4〜6の整数である。
【0094】
式2に対応する単位は、式CH=CH−X−CH=CHを有する二官能性架橋ポリマーに由来し得、式中、Xは式2に関連して定義されるとおりである。さらに、式3に対応する単位は、式CH=CH−X−CH=CHを有する二官能性架橋モノマーに由来し得、式中、Xは式3に関連して定義されるとおりである。
【0095】
式1に関連して、一実施形態において、RおよびRは水素であり、Aはカルボン酸である。式2に関連して、一実施形態において、Xは任意で置換されるフェニレンであり、好ましくはフェニレンである。式3に関連して、一実施形態において、Xは任意で置換されたエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、またはヘキシレンであり、より具体的には、Xはエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、またはヘキシレンであり、好ましくは、Xはブチレンである。特定の一実施形態において、RおよびRは水素であり、Aはカルボン酸であり、Xはフェニレンであり、Xはブチレンである。
【0096】
本発明の医薬組成物のうちのいずれも、本明細書に記載されるような架橋カルボン酸陽イオン交換ポリマーを含み得る。具体的に、組成物は、式1および2、式1および3、または式1、2、および3に対応する構造単位を含む、架橋陽イオン交換ポリマーを含む。
【0097】
一実施形態において、架橋陽イオン交換ポリマーは、(i)式1および2、(ii)式1および3、または(iii)式1、2、および3に対応する重合混合物において使用される構造単位の総重量に基づいて、少なくとも約80重量%、具体的には、少なくとも約85重量%、より具体的には、少なくとも約90重量%または約80重量%〜約95重量%、約85重量%〜約95重量%、約85重量%〜約93重量%、または約88重量%〜約92重量%の式1に対応する構造単位を含む。追加として、ポリマーは、(i)式1および2、(ii)式1および3、または(iii)式1、2、および3に対応する単位のモル総数に基づいて、少なくとも約0.87または約0.87〜約0.94、または約0.90〜約0.92のモル分率を有する式1の単位を含む。
【0098】
一部の態様において、架橋陽イオン交換ポリマーは、(i)式1Aおよび2A、(ii)式1Aおよび3A、または(iii)式1A、2A、および3Aに対応する単位を含み、式1A、2A、および3Aは、一般に以下の構造によって表される。
【0099】
【化15】

【0100】
式1または1Aにおいて、カルボン酸は、好ましくは、塩形態である(すなわち、Ca2+、Mg2+、Na、NH4+等の対イオンで平衡される)。好ましくは、カルボン酸は、塩形態であり、Ca2+対イオンで平衡される。架橋陽イオン交換形態のカルボン酸が、二価対イオンで平衡される場合、2つのカルボン酸基を、1つの二価陽イオンと会合させることができる。
【0101】
本明細書に記載されるポリマーは、一般にランダムポリマーであり、式1、2、または3(式11、22、または33のモノマーに由来する)、または1A、2A、または3A(式11A、22A、または33Aのモノマーに由来する)の構造単位の正確な順序は、事前に決定されていない。
【0102】
本発明は、少なくとも3つのモノマーの重合生成物である、フルオロ基および酸性基を含む、特定の好適な架橋陽イオン交換ポリマー、およびそれを調製するためのプロセスも対象とする。ポリマーまたはこれらのポリマーの医薬組成物は、胃腸管におけるカリウムの結合に有用である。
【0103】
一般に、3つのモノマーのうちの2つは、フルオロアクリル酸メチル(MeFA)モノマーとの異なる反応率を有する、二官能性架橋モノマーでなければならない。任意の特定の理論に固執するものではないが、重合化中に、式11(例えば、MeFA)のモノマーの異なる反応率を有する、2つの異なる架橋モノマーの使用は、他のモノマーの前に、より高速の架橋モノマーが消費されるのを可能にし、より高速のモノマーを豊富に含む中間体を形成すると考えられる。これは、次いで、残りのモノマーを消費するのを可能にし、第2の反応速度のより遅い架橋体が、追加の架橋を提供するようにする。例えば、その実証は、ポリマー生成物の分析に由来し得、その分析は、反応速度の高いモノマーは、重合反応の早期に生成されるポリマーの部分に豊富に存在するようになる一方で、反応速度の遅いモノマー構造は、後期に生成される最終生成物の部分に豊富に存在するようになるような、構造内の架橋単位の分布を明らかにする。
【0104】
一実施形態において、ポリマーは、式1、2、および3の構造単位を含み、式2に対応する構造単位対式3に対応する構造単位の重量比、約4:1〜約1:4、約2:1〜1:2、または約1:1を有する。追加として、このポリマーは、式2の構造単位対式3の構造単位のモル比、約0.2:1〜約7:1、約0.2:1〜約3.5:1、約0.5:1〜約1.3:1、約0.8から約0.9、また約0.85:1を有し得る。
【0105】
一般に、ターポリマーの式1、2、および3構造単位は、特定の比率を有し、例えば、式1に対応する構造単位は、ポリマー中の式1、2、および3の構造単位の総重量に基づいて、少なくとも約85重量%または約80〜約95重量%、約85重量%〜約93重量%、または約88重量%〜約92重量%を占め、モノマーおよび架橋体の量、または重合反応において使用される式11、22、および33のモノマーに基づいて計算され、式2に対応する構造単位対式3に対応する構造単位の重量比は、約4:1〜約1:4、または約1:1である。さらに、構造単位の比率は、ポリマー中の式1の構造単位のモル分率として表される場合、式1、2、および3の構造単位のモル総数に基づいて、少なくとも約0.87または約0.87〜約0.94、または約0.9〜約0.92であり、式2の構造単位対式3の構造単位のモル比は、約0.2:1〜約7:1、約0.2:1〜約3.5:1、または約0.8〜約0.9、または0.85:1であり、ここでもこれらの計算は、モノマーおよび架橋体の量、または重合反応において使用される式11、22、および33のモノマーの量を使用して行われる。変換を計算する必要はない。
【0106】
一部の態様において、架橋陽イオン交換ポリマーは、式1A、2A、および3Aに対応する単位を含み、式1A、式2A、および式3Aは、以下の構造に対応する。
【0107】
【化16】

【0108】
式1または1Aにおいて、カルボン酸は、酸性形態(すなわち、水素で平衡される)、塩形態(すなわち、Ca2+、Mg2+、Na、NH等の対イオンで平衡される)、またはエステル形態(すなわち、メチル等のアルキルで平衡される)であり得る。好ましくは、カルボン酸は、塩形態であり、Ca2+対イオンで平衡される。架橋陽イオン交換形態のカルボン酸が、二価対イオンで平衡される場合、2つのカルボン酸基は、1つの二価陽イオンと会合することができる。
【0109】
ターポリマーの構造単位は、特定の比率を有し得、例えば、式1Aに対応する構造単位は、少なくとも約85重量%または約95重量%、約85重量%〜約93重量%、または約88重量%〜約92重量%を占め、式1A、2A、および3Aの構造単位の総重量に基づいて、重合反応において使用される式11A、22A、および33Aのモノマーの量に基づいて計算され、式2Aに対応する構造単位対式3Aに対応する構造単位の重量比は、約4:1〜約1:4、または約1:1である。さらに、ポリマーにおける式1Aの構造単位のモル分率として表される場合、構造単位の比率は、少なくとも約0.87または約0.87〜約0.94、または約0.9〜約0.92であり、式1A、2A、および3Aの構造単位のモル総数に基づいて、重合反応において使用される式11A、22A、および33Aのモノマーの量から計算され、式2Aの構造単位対式3Aの構造単位のモル比は、約0.2:1〜約7:1、約0.2:1〜約3.5:1、約0.5:1〜約1.3:1、約0.8:1〜約0.9:1、または約0.85:1である。
【0110】
式11、22、および33のモノマーに由来する陽イオン交換ポリマーは、加水分解に続いて、以下のとおり表される構造を有し得る。
【0111】
【化17】

【0112】
式中、R、R、A、X、およびXは、式1、2、および3に関連して定義され、mは、約85〜約93モル%の範囲内であり、nは、約1〜約10モル%の範囲内であり、pは、約1〜約10モル%の範囲内であり、重合混合物に添加されるモノマーの比率に基づいて計算される。式40のポリマー構造における波状の結合は、相互に構造単位のランダム結合を表すように含まれ、式1の構造単位は、式1の別の構造単位、式2の構造単位、または式3の構造単位に結合することができ、式2および3の構造単位は、同一範囲の結合可能性を有する。
【0113】
一般に式11A、22A、および33Aによって表されるモノマーを用いる、本明細書に記載の重合プロセス、続いて、加水分解およびカルシウムイオン交換を使用して、以下に示される一般構造によって表されるポリマーが得られる。
【0114】
【化18】

【0115】
式中、mは、約85〜約93モル%の範囲内であり、nは、約1〜約10モル%の範囲内であり、かつpは約1〜約10モル%の範囲内であり、重合混合物に添加されるモノマーの比率に基づいて計算される。式40Aのポリマー構造における波状の結合は、相互に構造単位のランダム結合を表すように含まれ、式1Aの構造単位は、式1Aの別の構造単位、式2Aの構造単位、または式3Aの構造単位に結合することができ、式2Aおよび3Aの構造単位は、同一範囲の結合可能性を有する。
【0116】
架橋陽イオン交換ポリマーは、一般に、重合条件に供される重合混合物の反応生成物である。重合混合物は、ポリマーに化学的に組み込まれない組成物も含み得る。架橋陽イオン交換ポリマーは、通常、フルオロ基および酸性基を含み、3つの異なるモノマー単位の重合の生成物であって、1つのモノマーは、フルオロ基および酸性基を含み、別のモノマーは、二価アリーレンモノマーであり、第3のモノマーは、二官能性アルキレン、エーテル、またはアミド含有モノマーである。より具体的には、架橋陽イオン交換ポリマーは、式11、22、33のモノマーを含む重合混合物の反応生成物であり得る。式11のモノマー、式22のモノマー、式33のモノマーは、一般式を有し、
【0117】
【化19】

【0118】
式中、RおよびRは、式1に関連して定義されるとおりであり、Xは、式2に関連して定義されるとおりであり、Xは、式3に関連して定義されるとおりであり、A11は、任意で保護されているカルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸である。好適な実施形態において、A11は、保護されているカルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸である。重合混合物は、通常、重合開始剤をさらに含む。
式11、22、33を含む重合混合物の反応生成物は、保護酸性基を有し、式10に対応する単位および式2および3に対応する単位を含むポリマーを含む。
【0119】
一般に、反応混合物は、式11、22、および33に対応するモノマーの総重量に基づいて、式11に対応するモノマーの少なくとも約80重量%、具体的には、少なくとも約85重量%、より具体的には、少なくとも約90重量%または約80重量%〜約95重量%、約85重量%〜約95重量%、約85重量%〜約93重量%、約88重量%〜約92重量%を含有し、式22に対応するモノマー対式33に対応するモノマーの重量、約4:1〜約1:4、約2:1〜約1:2、または約1:1を有する混合物である。追加として、反応混合物は、式11、22、および33に対応するモノマーのモル総数に基づいて、少なくとも約0.87または約0.87〜約0.94のモル分率を有する、式11に対応する単位を含み得、式22に対応するモノマー対式33に対応するモノマーの重量比、約0.2:1〜約7:1、約0.2:1〜約3.5:1、約0.5:1〜約1.3:1、約0.8〜約0.9、または約0.85:1を有する混合物である。
【0120】
一部の実施形態において、高カリウム血症を治療するために有用なポリマーは、本明細書において論じられる物理特性を有する樹脂であってもよく、ジビニルベンゼンと架橋されるスルホン酸ポリスチレンを含む。この構造を有する様々な樹脂は、The Dow Chemical Companyから商品名Dowex、例えば、Dowex50WX2、50WX4または50WX8として入手可能である。
【0121】
架橋陽イオン交換ポリマーは、一般に、重合条件に供される重合混合物の反応生成物である。重合混合物は、化学的にポリマーに組み込まれない構成要素も含有し得る。架橋陽イオン交換ポリマーは、通常、フルオロ基および酸性基を含み、少なくとも2つ、任意で3つの異なるモノマー単位の重合の生成物であり、一方のモノマーは、フルオロ基および酸性基を含み、他方のモノマーは、二官能性アリーレンモノマーまたは二官能性アルキレン、エーテルまたはアミド含有モノマー、またはそれらの組み合わせである。より具体的には、架橋陽イオン交換ポリマーは、(i)式11および22、(ii)式11および33、または(iii)式11、22、および33のうちのいずれかのモノマーを含む重合混合物の反応生成物であり得る。式11、22、および33のモノマーは、一般に、以下によって表され、
【0122】
【化20】

【0123】
式中、RおよびRは、式1に関連して定義されるとおりであり、Xは、式2に関連して定義されるとおりであり、Xは式3に関連して定義されるとおりであり、A11は、任意で保護されているカルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸である。好適な実施形態において、A11は、保護されているカルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸である。
【0124】
(i)式11および22、(ii)式11および33、または(iii)式11、22、および33のモノマーを含む重合反応の生成物は、任意で保護されている酸性基を有し、式10に対応する単位および式2および3に対応する単位を含むポリマーを含む。保護酸性基を有するポリマー生成物を加水分解して、非保護酸性基を有し、式1、2、および3に対応する単位を含むポリマーを形成することができる。式10によって一般に表される構造単位は、以下の構造を有し、
【0125】
【化21】

【0126】
式中、R、R、およびA11は、式11に関連して定義されるとおりである。
【0127】
架橋陽イオン交換ポリマーが、モノマーの重合混合物の反応生成物である、本発明の方法のうちのいずれかに関する好適な実施形態において、A11は、保護されているカルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸である。重合反応において形成されるポリマーは、保護されているカルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸基を含有する。加水分解剤を、重合反応において形成されるポリマーに添加して、これらの保護基を加水分解し、それらをカルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸基に変換し得るか、または当該技術分野においてよく知られる他の脱保護方法を使用することができる。好ましくは、加水分解ポリマーをイオン交換に供し、治療用途に適したポリマー塩を得る。
【0128】
一実施形態において、反応混合物は、(i)式11および22、(ii)式11および33、または(iii)式11、22、および33に対応するモノマーの総重量に基づいて、式11に対応するモノマーの少なくとも約80重量%、具体的には、少なくとも約85重量%、より具体的には、少なくとも約90重量%または約80重量%〜約95重量%、約85重量%〜約95重量%、約85重量%〜約93重量%、または約88重量%〜約92重量%を含む。追加として、反応混合物は、(i)式11および22、(ii)式11および33、または(iii)式11、22、および33に対応するモノマーのモル総数に基づいて、少なくとも約0.87または約0.87〜約0.94のモル分率を有する式11の単位を含む。
【0129】
一実施形態において、重合反応混合物は、式11、22、および33のモノマーを含有し、式22に対応するモノマー対式33に対応するモノマーの重量比、約4:1〜約1:4、約2:1〜約1:2、または約1:1を有する。追加として、この混合物は、式22のモノマー対式33のモノマーのモル比、約0.2:1〜約7:1、0.2:1〜3.5:1、約0.5:1〜約1.3:1、約0.8:1〜約0.9:1、または約0.85:1を有し得る。
【0130】
特定の架橋陽イオン交換ポリマーは、(i)式11および22、(ii)式11および33、または(iii)式11、22、および33のモノマーを含む重合混合物の反応生成物である。モノマーは、一般に、以下の構造を有する式11A、22A、および33Aによって表され、
【0131】
【化22】

【0132】
式中、アルキルは、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、またはtert−ペンチルから選択される。最も好ましくは、アルキル基は、メチルまたはtert−ブチルである。−O−アルキル部分は、カルボキシル部分が、重合反応中に他の反応部分と反応することから保護し、以下でより詳細に説明されるように、加水分解または他の脱保護方法によって除去することができる。
【0133】
さらに、重合反応混合物は、(i)式11Aおよび22A、(ii)式11Aおよび33A、または(iii)式11A、22A、および33Aによって一般に表されるモノマーの総重量に基づいて、式11に対応するモノマーの少なくとも約80重量%、具体的には、少なくとも約85重量%、より具体的には、少なくとも約90重量%または約80重量%〜約95重量%、約85重量%〜約95重量%、約85重量%〜約93重量%、または約88重量%〜約92重量%を含有する。追加として、反応混合物は、(i)式11Aおよび22A、(ii)式11Aおよび33A、または(iii)式11A、22A、および33Aによって一般に表されるポリマー中に存在するモノマーのモル総数に基づいて、少なくとも約0.87または約0.87〜約0.94、または約0.9〜約0.92のモル分率を有する式11Aの単位を含み得る。
【0134】
一部の例において、反応混合物は、式11、22、および33のモノマーを含有し、一般に式22Aによって表されるモノマー対一般に式33Aによって表されるモノマーの重量比は、約4:1〜約1:4、または約1:1である。また、この混合物は、式22Aのモノマー対式33Aのモノマーのモル比を有し、約0.2:1〜約7:1、約0.2:1〜約3.5:1、約0.5:1〜約1.3:1、約0.8:1〜約0.9:1、または約0.85:1である。
【0135】
好適な実施形態において、開始された重合反応が用いられ、ここでは重合開始剤を重合反応混合物中で使用し、重合反応の開始を支援する。懸濁重合反応において、ポリ(メチルフルオロアクリレート)または(ポリMeFA)または本発明で使用される任意の他の架橋陽イオン交換ポリマーを調製する場合、遊離ラジカル開始剤の性質が、ポリマー粒子の安定性、ポリマー粒子の収率、およびポリマー粒子の形状に関して、懸濁液の質において役割を果たす。過酸化ラウロイル等の水不溶性遊離ラジカル開始剤の使用は、ポリマー粒子を高い収率で生成することができる。任意の特定理論に固執するものではないが、水不溶性遊離ラジカル開始剤は、主に、式11および22、11および33、または11、22、および33のモノマーを含有する分散相内で、重合を開始すると考えられる。そのような反応スキームは、バルクポリマーゲルではなく、ポリマー粒子を提供する。したがって、プロセスは、水溶性が0.1g/Lよりも低い、具体的には、0.01g/Lよりも低い遊離ラジカル開始剤を使用する。特定の実施形態において、ポリメチルフルオロアクリレート粒子は、低水溶性遊離ラジカル開始剤と、塩化ナトリウム等の水相中の塩の存在との組み合わせで生成される。
【0136】
重合開始剤は、多様なクラスの開始剤から選択することができる。例えば、熱に暴露するとポリマー擬似ラジカルを生成する開始剤は、過酸化物、過硫酸塩、またはアゾ型開始剤(例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、過酸化ラウロイル(LPO)、tert−ブチル過酸化水素、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−プロピオン酸メチル)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)、(2,2″−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、またはそれらに組み合わせを含む。別のクラスのポリマー開始ラジカルは、過硫酸およびアミン等の酸化還元反応から生成されるラジカルである。ラジカルは、所定の開始剤を紫外線または空気に暴露することによって生成することもできる。
【0137】
重合混合物において、ポリマーに組み込むことが意図されない追加の構成要素を含有する重合反応物の場合、そのような追加の構成要素は、通常、界面活性剤、溶媒、塩、緩衝剤、水相重合阻害剤、および/または当業者に知られている他の構成要素を含む。重合が懸濁モードで実行される場合、追加の構成要素は、水相に含有され得るが、モノマーおよび開始剤は、有機相に含有され得る。水相が存在する場合、水相は、水、界面活性剤、安定剤、緩衝剤、塩、および重合抑止剤で構成され得る。界面活性剤は、陰イオン、陽イオン、非イオン、両性イオン、双性イオン、またはそれらの組み合わせから成る群から選択されてもよい。陰イオン界面活性剤は、通常、硫酸、スルホン酸、またはカルボン酸陰イオンに基づく。これらの界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸アンモニウム、他の硫酸アルキル塩、ラウレス硫酸ナトリウム(またはラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES))、N−ラウロイルサルコシンナトリウム塩、ラウリルジメチルアミン−オキシド(LDAO)、エチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、石鹸、脂肪酸塩、またはそれらの組み合わせを含む。例えば、陽イオン界面活性剤は、第4級アンモニウム陽イオンを含有する。これらの界面活性剤は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTABまたはヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド)、セチルピリジニウム塩化物(CPC)、ポリエトキシル化獣脂アミン(POEA)、ベンズアルコニウム塩化物(BAC)、ベンゼトニウム塩化物(BZT)、またはそれらの組み合わせである。双性イオンまたは両性界面活性剤は、ドデシルベタイン、ドデシルジメチルアミンオキシド、コカミドプロピルベタイン、ココアンホグリシン酸塩またはそれらの組み合わせを含む。非イオン界面活性剤は、アルキルポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)およびポリ(プロピレンオキシド)のコポリマー(商業的にポロキサマーまたはポロキサミンと呼ばれる)、アルキルポリグルコシド(オクチルグルコシド、デシルマルトシド、脂肪アルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、コカミドMEA、コカミドDEAを含む)、またはそれらの組み合わせを含む。他の医薬的に許容される界面活性剤は、当該技術分野においてよく知られており、McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents,N.American Edition(2007)に記載されている。
【0138】
重合反応安定剤は、有機ポリマーおよび無機粒子安定剤から成る群から選択され得る。実施例は、ポリビニルアルコール−co−ビニル酢酸およびその類の加水分解生成物、ポリビニル酢酸、ポリビニルピロリジノン、ポリアクリル酸の塩、セルロースエーテル、天然ゴム、またはそれらの組み合わせを含む。
【0139】
緩衝剤は、例えば、4−2−ヒドロキシエチル−1−ピペラジンエタンスルホン酸、2−{[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ}エタンスルホン酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)、リン酸二ナトリウム七水和物、リン酸一ナトリウム一水和物、またはそれらの組み合わせから成る群から選択されてもよい。
【0140】
重合反応塩は、塩化カリウム、塩化カルシウム、臭化カリウム、臭化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、過酸化スルホン酸アンモニウム、またはそれらの組み合わせから成る群から選択され得る。
【0141】
重合阻害剤は、当該技術分野において知られているように使用されてもよく、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1−アザ−3,7−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン−5−メタノール、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)フルオロホスファイト、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール),2,5−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2−ヘプタノンオキシム、3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル−4,4’−ジオール、3,9−ビス(2,4−ジクミルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、4,4−ジメチルオキサゾリジン、4−メチル−2−ペンタノンオキシム、5−エチル−1−アザ−3,7−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン、6,6’−ジヒドロキシ−5,5’−ジメトキシ−[1,1’−ビフェニル]−3,3’−ジカルボキシアルデヒド、ジステアリール−3,3’−チオジプロピオン酸、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオン酸、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、ペンタエリトリトールテトラキス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、ポリ(1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン)、ナトリウムD−イソアスコルビン酸一水和物、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニルジホスホナイト、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、窒化ナトリウム、またはそれらの組み合わせから成る群から選択され得る。
【0142】
一般に、重合混合物は、重合条件に供される。懸濁重合が好適であるが、本明細書において既に論じられるように、本発明に使用されるポリマーは、バルク、溶液、または乳化重合プロセスにおいて調製されてもよい。そのようなプロセスに関する詳細は、本発明の開示に基づいて、当業者の技術の範囲内である。重合条件は、通常、重合反応温度、圧力、混合および反応器の形状、重合混合物の添加のシーケンスおよび速度等を含む。重合温度は、通常、約50〜100℃の範囲である。重合圧力は、通常、大気圧で実行されるが、より高い圧力(例えば、130PSIの窒素)で実行することができる。重合混合物は、使用される重合および装置の規模に依存し、当業者の技術の範囲内である。様々なα−フルオロアクリレートポリマーおよびこれらのポリマーの合成は、米国特許出願公開第2005/0220752号において説明され、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0143】
本明細書において実施例に関連して詳細に説明されるように、様々な特定の実施形態において、架橋陽イオン交換ポリマーは、有機相および水相を調製することによって合成することができる。有機相は、通常、重合開始剤および(1)式11のモノマーおよび式22のモノマー、(ii)式11のモノマーおよび式33のモノマー、または(iii)式11、22、および33のモノマーを含有する。水相は、一般に、重合懸濁安定剤、水溶性塩、水、および任意で緩衝剤を含む。次に、有機相および水相を組み合わせ、窒素下で撹拌する。混合物は、一般に、約60℃〜約80℃で、約2.5〜約3.5時間加熱し、重合の開始後、最大95℃まで上昇させてもよく、次に、室温に冷却する。冷却後、水相を除去する。水を混合物に添加し、混合液を撹拌して、得られる固形物をろ過する。固形物を水、アルコールまたはアルコール/水の混合液で洗浄する。
【0144】
上述のとおり、重合懸濁安定剤、例えば、ポリビニルアルコールを使用して、重合プロセス中の粒子の合着を防ぐ。さらに、水相中に塩化ナトリウムを添加することによって、合着および粒子の凝集が減少することが認められている。この目的に適した他の塩は、水相で溶解可能な塩を含む。この実施形態において、水溶性の塩は、約0.1重量%〜約10重量%、具体的には、約2重量%〜約5重量%、およびなおもさらに具体的には、約3重量%〜約4重量%の濃度で添加される。
【0145】
好ましくは、メチル2−フルオロアクリレート(90重量%)、1,7−オクタジエン(5重量%)およびジビニルベンゼン(5重量%)の有機相を調製し、0.5重量%の過酸化ラウロイルを添加して、重合反応を開始する。追加として、水、ポリビニルアルコール、塩化ナトリウム、および窒化ナトリウムの水相を調製する。窒素下で、温度を約30℃以下に保持しながら、水相および有機相を一緒に混合する。一旦、完全に混合されると、反応混合物を連続的に撹拌しながら徐々に加熱する。重合反応が開始された後、反応混合物の温度は、最大約95℃まで上昇してもよい。重合反応が完了すると、反応混合物を室温に冷却し、水相を除去する。水を混合物に添加すると、固形物をろ過によって単離することができる。ろ過した固形物を水で洗浄した後、メタノール/水の混合液で洗浄する。得られた生成物は、架橋(メチル2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンターポリマーである。
【0146】
本明細書において論じられるように、重合後、当該技術分野において知られている方法によって、生成物を加水分解するか、またはそうでなければ、脱保護してもよい。カルボン酸基を有するポリマーを形成するためのエステル基を有するポリマーの加水分解の場合、好ましくは、ポリマーを強塩基(例えば、NaOH、KOH、Mg(OH)またはCa(OH))で加水分解し、アルキル(例えば、メチル)基を除去して、カルボン酸塩を形成する。代替として、ポリマーを強い酸(例えば、HCl)で加水分解し、カルボン酸塩を形成することができる。好ましくは、(メチル2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンターポリマーを、過剰な水酸化ナトリウム水溶液を用いて、約30℃〜約100℃の温度で加水分解し、(ナトリウム2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンターポリマーを得る。通常、加水分解反応は、約15〜25時間行う。加水分解後、固形物をろ過し、水および/またはアルコールで洗浄する。
【0147】
加水分解反応または他の脱保護ステップにおいて形成されるポリマー塩の陽イオンは、当該ステップにおいて使用される塩基に依存する。例えば、水酸化ナトリウムが塩基として使用される場合、ポリマーのナトリウム塩が形成される。このナトリウムイオンは、ナトリウム塩を過剰な水性金属塩と接触させることによって、別の陽イオンと交換することができ、所望のポリマー塩の不溶性固形物を得る。所望のイオン交換後に、生成物をアルコールおよび/または水で洗浄し、直接乾燥させるか、または変性したアルコールによる脱水処置後に乾燥させるが、好ましくは、生成物を水で洗浄し、直接乾燥させる。例えば、陽イオン交換ポリマーのナトリウム塩は、ナトリウムの代わりにカルシウムを代用する溶液で洗浄することによって、例えば、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、グルコン酸カルシウム乳酸塩、またはそれらの組み合わせを使用することによってカルシウム塩に変換される。またより具体的には、ナトリウムイオンをカルシウムイオンと交換するために、(ナトリウム2−フルオロアクリレート)ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンターポリマーを、過剰な水性塩化カルシウムと接触させて、架橋(カルシウム2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンターポリマーの不溶性の固形物を得る。
【0148】
この懸濁重合プロセスを使用して、架橋ポリMeFAポリマーは、良好な収率、一般に、約85%以上、より具体的には約90%以上、およびなおもさらに具体的には、約93%以上で単離される。第2のステップ(すなわち、加水分解)の収率は、好ましくは、100%で起こり、約85%、より具体的には約90%以上、およびなおもさらに具体的には約93%以上の全体収率を提供する。
【0149】
線状ポリオールを本発明の線状安定化組成物に添加するために、ポリマーの塩をポリオールの水溶液(例えば、ソルビトール)でスラリー化し、通常、ポリマー重量に基づいて、過剰量のポリオールを含有するスラリーを用いる。このステップを行うことにより、組成物中の無機フッ素を減少させ得る。スラリーは、少なくとも3時間、大気温度および大気圧等の、当業者に知られる条件下で維持される。次に、固体をろ過し、所望の含水量に乾燥させる。
【0150】
本発明の組成物は、多様な確立された試験手順を使用して、それらの特徴および特性について試験される。例えば、組成物中の無機フッ素率(%)は、定義された比率で、組成物の乾燥試料をC−ワックスと混合し、アルミニウムカップにおいて、約40kNの力でそれを圧縮することによって、ペレットを形成することによって試験される。フッ素含有率(%)は、X線蛍光によって、当業者に知られる方法、例えば、Bruker AXS SRS3400(Bruker AXS,Wisconsin)を使用して分析される。一般に、組成物中の有機フッ素の量は、組成物の総重量に基づいて、25重量%未満、好ましくは20重量%未満、より好ましくは7重量%〜25重量%、および最も好ましくは7重量%〜20重量%である。ポリマーまたは組成物中のカルシウム率(%)は、誘導的に結合したプラズマ光学発光分光(ICP−OES)分析を使用し、当業者に知られている様式で、例えば、IRIS Intrepid II XSP(Thermo Scientific,Waltham,MA)によって、適切な酸(例えば、3M塩酸)による抽出後に試験する。一般に、ポリマー中のカルシウム量は、ポリマーの総重量に基づいて、約8重量%〜約25重量%の範囲であり、好ましくは、約10重量%〜約20重量%の範囲である。
【0151】
また、例えば、カリウム結合能力を、ポリマーまたは組成物の特性化に使用することができる。この実施例において、カリウム結合能力は、約300mgのポリマーまたは組成物の乾燥試料を計量し、40mLのネジ蓋付のバイアルに移し、次に、計算した量の200mM KCl溶液を添加することによって、インビトロで行われ、20mg/mLの試験物質の濃度を達成する。バイアルを2時間激しく振動させて、0.45μmフィルタを通して上澄みをろ過した後、水で1:20に希釈する。ICP−OESによって、カリウム濃度について上澄みを分析し、以下の式を使用して、カリウム結合を計算する。
【0152】
【数1】

【0153】
本発明の一態様は、本発明の架橋陽イオン交換ポリマーまたは医薬組成物を用いて、カリウムイオンを、除去を必要とする動物対象の胃腸管から除去する方法である。架橋陽イオン交換ポリマーは、一般に、高い全体交換能力を有する。全体交換能力は、mEq/gで測定される陽イオン交換ポリマーによって結合される、陽イオンの最大量である。これは、ポリマー中の酸性基の密度の測定であるため、より高い交換能力が望ましく、単位重量あたりの酸性基が多いほど、ポリマーの全体交換能力は高まる。
【0154】
架橋陽イオン交換ポリマー、および線状ポリオールと架橋陽イオン交換ポリマーとを含む組成物も、一般に、カリウムに対して高い結合能力を有する。特に、インビボ結合能力は、患者の治療利益に関連する。一般に、インビボ結合能力が高いほど、より顕著な治療効果が得られる。しかしながら、患者は、陽イオン交換ポリマーの投与に対して広範な応答を有し得るため、カリウムに対するインビボ結合能力の1つの測定方法は、同一群全体で計算されるインビボ結合能力の平均である。本明細書で使用される「高い能力」という用語は、ポリマー1グラム当たり約1.0mEq以上のカリウムの平均インビボ結合を包含する。
【0155】
インビボカリウム結合能力の1つの測定法は、エクスビボヒト吸引の使用である。この方法の場合、健康な患者が、消化の模倣として食事を与えられ、次に、分割量の糜粥を小腸の内腔および腸の他の部分に配置される管を使用して試料採取する。例えば、正常な対象に、二重内腔ポリビニル管を挿管し、小腸への管の移動を容易にするように、管の末端に水銀で重くした袋を取り付ける。二重内腔管の1つの吸引孔は、胃の中に位置し、他の開口は、トライツ靱帯(空腸上部)にある。設置は、蛍光透視の使用によって行う。管を設置した後、550mLの液体標準試験食事(マーカー、ポリエチレングリコール(PEG)−2g/550mLを補充)を、毎分22mLの速度で、胃の開口を通して胃に注入する。食事全体が胃に到達するまでに約25分を要する。この摂取速度は、通常の食事を食べるために必要な時間をシミュレートしている。空腸の糜粥は、その内腔がトライツ靱帯に位置する管から吸入される。この液体を、2時間半の期間、30分間隔で連続的に採取する。このプロセスから5つの標本が得られ、それらを混合し、量を測定して、凍結乾燥させる。
【0156】
カリウム結合手順は、(適量の脱イオン水中で凍結乾燥物質を再構成した後)エクスビボ吸引液が使用されることを除いて、非干渉バッファ実験を用いて以下に記載される手順と同一である。エクスビボ吸引物(VA)における結合能力は、ポリマーを有する、およびポリマーを有さない吸引物中の、カリウムの濃度から計算される。一部の実施形態において、ヒト胃腸吸引物の平均エクスビボカリウム結合能力は、ポリマー1グラム当たり約0.7mEqに等しいか、またはそれ以上であり得る。より具体的には、エクスビボカリウム結合能力は、1グラム当たり約0.8mEq以上、より具体的には、1グラム当たり約1.0mEq以上、なおもさらに具体的には、1グラム当たり約1.2mEq以上、最も具体的には、1グラム当たり約1.5mEq以上である。
【0157】
カリウムのインビボ結合能力の別の測定法は、特定のpHにおける非干渉環境または干渉環境における、カリウムのインビトロ結合能力である。非干渉環境において、架橋陽イオン交換ポリマーは、唯一の陽イオンとしてカリウムイオンを有する溶液中に置かれる。この溶液は、好ましくは、適切なGI生理的pHにある(例えば、約6.5)。非干渉環境におけるカリウムのインビトロ結合能力は、陽イオンの総合結合能力の測定法である。
【0158】
さらに、干渉環境において、環境は、胃腸管における通常濃度に関連する濃度で陽イオンを含み、生理的pH(例えば、約6.5)である。干渉環境において、ポリマーまたは医薬組成物は、カリウムイオンに対して選択的な結合を呈することが好ましい。
【0159】
一部の実施形態において、インビトロカリウム結合能力は、pH約5.5以上の溶液中で決定される。様々な環境において、pH約5.5以上でのインビトロカリウム結合能力は、ポリマー1グラム当たり6mEqに等しいか、またはそれ以上である。pH約5.5以上での特定範囲のインビトロカリウム結合能力は、ポリマー1グラム当たり約6mEq〜約12mEqである。好ましくは、pH約5.5以上でのインビトロカリウム結合能力は、1グラム当たり約6mEq以上、より具体的には、1グラム当たり約7mEq以上、なおもさらに具体的には、1グラム当たり約8mEq以上である。
【0160】
より高いポリマー能力は、低用量の医薬組成物の投与を可能にし得る。通常、所望の治療および/または予防効果を得るために使用されるポリマーの用量は、約0.5グラム/日〜約60グラム/日である。特定の用量範囲は、約5グラム/日〜約60グラム/日であり、より具体的には、約5グラム/日〜約30グラム/日である。様々な投与プロトコルにおいて、用量は、1日約3回、例えば、食事とともに投与される。他のプロトコルにおいて、用量は、1日1回または1日2回投与される。これらの用量は、慢性または急性投与を目的とし得る。
【0161】
一般に、本明細書に記載されるポリマー、ポリマー粒子、および医薬組成物は、有意量の結合カリウムを維持し、具体的に、ポリマーによって結合されたカリウムは、便中のポリマーの排出に先立って放出されない。本明細書で使用される「有意量」という用語は、結合カリウムの全体量が、排出に先立って維持されることを意味するものではない。十分な量の結合カリウムが維持され、治療および/または予防効果が得られるようにする。維持され得る特定量の結合カリウムは、約5%〜約100%の範囲である。ポリマーまたは医薬組成物は、結合カリウムの約25%、より具体的には、約50%、なおもさらに具体的には、約75%、最も具体的には、結合カリウムの約100%を維持する必要がある。維持期間は、一般に、ポリマーまたは組成物が治療的に使用されている間である。ポリマーまたは組成物を使用して、カリウムを結合し、胃腸管から除去する実施形態において、維持期間は、胃腸管におけるポリマーまたは組成物の残留期間であり、より具体的には、結腸における平均残留期間である。
【0162】
一般に、陽イオン交換ポリマーおよびポリマー粒子は、胃腸管から有意に吸収されない。陽イオン交換ポリマー粒子のサイズ分布に応じて、臨床的に有意でない量のポリマーが吸収され得る。より具体的には、約90%以上のポリマーが吸収されず、約95%以上が吸収されず、なおもさらに具体的には、約97%以上が吸収されず、最も具体的には、ポリマーの約98%以上が吸収されない。
【0163】
本発明の一部の実施形態において、本発明において使用されるポリマーおよびポリマー粒子は、非製剤で投与される(すなわち、追加の担体または他の組成物を含有しない)。他の例において、ポリマー、安定化線状ポリオール、および任意で水を含有する医薬組成物が、本明細書に記載のとおり投与される。
【0164】
本明細書に記載の方法、ポリマー、ポリマー粒子、および組成物は、患者からのカリウム除去に、患者がそのようなカリウム除去を必要とする場合に、適している。例えば、疾患および/または所定薬剤の使用によってもたらされる高カリウム血症を経験している患者は、そのようなカリウム除去の利益を享受する。さらに、カリウム滞留をもたらす薬剤の使用によって、高い血清カリウム濃度を生じるリスクのある患者は、カリウム除去を必要とし得る。本明細書に記載の方法は、高い血清カリウム値をもたらしている基礎状態にかかわらず、これらの患者に適用可能である。
【0165】
高カリウム血症の長期処置のための投薬レジメンは、特に、グラム量で摂取される本発明の架橋陽イオン交換ポリマー、ポリマー粒子、または組成物に対して、患者によるコンプライアンスを高めることができる。本発明は、カリウムを、その除去を必要とする動物対象から長期的に除去する方法、特に、高カリウム血症を、架橋脂肪族カルボン酸ポリマーであるカリウム結合体、および好ましくは、本明細書に記載されるような架橋陽イオン交換ポリマーと線状ポリオールとを含む医薬組成物で長期的に処置する方法も対象とする。
【0166】
現在、本発明の架橋陽イオン交換ポリマー、ポリマー粒子および組成物を使用する場合、1日1回用量は、1日2回用量に実質的に等しく、1日3回用量にも実質的に等しいことがわかっている。一般に、ポリマーまたは組成物の1日量の、1日1回または1日2回の投与は、同一日量を1日3回で投与される同一ポリマーまたは組成物の結合能力の少なくとも75%のカリウム結合能力を有する。より具体的には、ポリマーまたは組成物の1日量の、1日1回または1日2回の投与は、同一日量を1日3回で投与される同一ポリマーまたは組成物の結合能力の少なくとも80、85、90または95%のカリウム結合能力を有する。なおもさらに具体的には、ポリマーまたは組成物の1日量の、1日1回または1日2回の投与は、同一日量を1日3回で投与される同一ポリマーまたは組成物の結合能力の少なくとも80%のカリウム結合能力を有する。なおもさらに具体的には、ポリマーまたは組成物の1日量の、1日1回または1日2回の投与は、同一日量を1日3回で投与される同一ポリマーまたは組成物の結合能力の少なくとも90%のカリウム結合能力を有する。最も好適には、ポリマーまたは組成物の1日量の、1日1回または1日2回の投与は、同一日量を1日3回で投与される同一ポリマーまたは組成物の結合能力と統計的に有意に異ならないカリウム結合能力を有する。
【0167】
追加として、本発明は、架橋陽イオン交換ポリマーおよび有効量あるいは約10重量%〜約40重量%の線状ポリオールを含む、架橋陽イオン交換ポリマーまたは医薬組成物を対象に1日1回投与することによって、動物対象からカリウムを除去する方法を対象とし、1日1回ポリマーまたは組成物を摂取する対象の25%未満が、軽度または中度の胃腸副作用を経験する。胃腸副作用は、鼓腸、下痢、腹痛、便秘、胃炎、吐き気および/または嘔吐を含み得る。一部の態様において、ポリマーまたは組成物は、1日2回投与され、1日2回ポリマーまたは組成物を摂取する対象の25%が、軽度または中度の胃腸副作用を経験する。一部の例において、1日1回または1日2回、ポリマーまたは組成物を摂取する対象は、深刻な胃腸副作用を経験しない。本発明の架橋陽イオン交換ポリマー、ポリマー粒子、または医薬組成物は、1日3回投与される同一日量の同一ポリマーまたは組成物と比較して、約50%以上の耐容性を有する。例えば、1日3回のポリマー投与が十分に忍容される2名の患者ごとに、少なくとも一人の患者は、1日1回または1日2回のポリマー投与が十分に耐容される。架橋陽イオン交換ポリマー、ポリマー粒子、または医薬組成物は、1日3回投与される同一日量の同一ポリマーまたは組成物と比較して、約75%以上の耐容性を有する。1日1回または1日2回投与される陽イオン交換ポリマー、ポリマー粒子、または組成物は、1日3回投与される同一日量の同一ポリマーまたは組成物の約85%以上の耐容性を有することも本発明の特徴である。1日1回または1日2回投与される陽イオン交換ポリマー、ポリマー粒子、または組成物は、1日3回投与される同一日量の同一ポリマーまたは組成物の約95%以上の耐容性を有することも本発明の特徴である。1日1回または1日2回投与される陽イオン交換ポリマー、ポリマー粒子、または組成物は、1日3回投与される同一日量の同一ポリマーまたは組成物とほぼ実質的に同一の耐容性を有することも本発明の特徴である。
【0168】
別の実施形態において、本発明は、カリウムを、除去を必要とする動物対象の胃腸管から除去する方法を提供し、有効量の任意の架橋陽イオン交換ポリマー、ポリマー粒子、医薬組成物、または本明細書に記載されるような架橋陽イオン交換ポリマーと線状ポリオールとを含む組成物を、1日1回または1日2回、対象に投与することを含み、ポリマー、ポリマー粒子、または組成物は、実質的に同一量の同一ポリマーまたは組成物を1日3回投与する場合と同様に耐容される。一部の例において、対象は、高カリウム血症を経験しているため、当該方法は、高カリウム血症を治療する。他の例において、当該方法は、血清カリウムを低下させる。特定の実施形態において、カリウムポリマーは、架橋脂肪族カルボン酸ポリマーである。
【0169】
本発明の組成物および/または方法は、架橋陽イオン交換ポリマーおよび有効量あるいは約10重量%〜約40重量%の線状ポリオールを含む組成物を含み、線状ポリオールを含有しない同一組成物の同一用量および同一投与頻度と比較して、約5%多くのカリウムを、除去を必要とする動物対象から抽出する。より具体的には、組成物および/または方法は、線状ポリオールを含有しない同一組成物の同一用量および同一投与頻度と比較して、それを必要とする動物対象から、約10%多くのカリウムを抽出する、本発明の組成物を含む。なおもさらに具体的には、組成物および/または方法は、線状ポリオールを含有しない同一組成物の同一用量および同一投与頻度と比較して、それを必要とする動物対象から、約15%または約20%多くのカリウムを抽出する、本発明の組成物を含む。
【0170】
必要に応じて、架橋陽イオン交換ポリマー、ポリマー粒子、医薬組成物、または架橋陽イオン交換ポリマーと線状ポリオールとを含む組成物は、他の治療薬と併せて投与されてもよい。本発明の化合物と共投与できる治療薬の選択は、治療されている状態に部分的に依存する。
【0171】
さらに、慢性腎疾患および/または鬱血性心不全を患う患者は、これらの状態を治療するために使用される薬剤が、これらの患者の有意集団において、カリウム滞留をもたらし得るため、特にカリウム除去を必要とし得る。これらの患者の場合、腎カリウム排出の減少は、(特に、糸球体ろ過率の減少に伴う)腎不全に起因し、カリウム排出を干渉する薬物、例えば、カリウム保持性利尿剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE)、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、ベータ遮断薬、レニン阻害剤、アルドステロン合成酵素阻害剤、非ステロイド系抗炎症薬、ヘパリン、またはトリメトプリム等のスペアリング利尿剤の摂取と一緒になる場合が多い。例えば、慢性腎疾患を患う患者は、疾患の進行を遅らせる様々な薬剤を処方される場合があり、この目的のために、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE)、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、およびアルドステロン合成酵素阻害剤が、一般に処方される。これらの治療レジメンにおいて、アンジオテンシン変換酵素阻害剤は、カプトプリル、ゾフェノプリル、エナラプリル、ラミプリル、キナプリル、ペリドンプリル、リシノプリル、ベンアジプリル、ホシノプリル、またはそれらの組み合わせであり、アンジオテンシン受容体遮断薬は、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、またはそれらの組み合わせであり、レニン阻害剤はアリスキレンである。アルドステロン拮抗薬もカリウム滞留をもたらし得る。したがって、これらの治療を必要とする患者を、体内からカリウムを除去する薬剤で処置することは有益であり得る。通常、処方されるアルドステロン拮抗薬は、スピロノラクトン、エプレレノン等である。
【0172】
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される架橋陽イオン交換ポリマー、ポリマー粒子、または組成物は、慢性状態を治療するために、定期的に投与することができる。典型的には、そのような治療は、高カリウム血症をもたらし得る薬物、例えば、カリウム保持性利尿薬、ACE、ARB、アルドステロン拮抗薬、β遮断薬、レニン阻害剤、非ステロイド系抗炎症薬、ヘパリン、トリメトプリム、またはそれらの組み合わせを患者が使用し続けることを可能にする。また、本明細書に記載されるポリマー組成物の使用は、上述のある種の薬物を使用できなかったある種の患者集団が、そのような薬物を使用するのを可能にする。
【0173】
ある使用状況において、使用される架橋陽イオン交換ポリマー、ポリマー粒子は、1日約5mEq未満のカリウム、または1日当たり約5mEq〜約60mEqの範囲のカリウムを除去することができる。
【0174】
ある他の実施形態において、本明細書に記載される組成物および方法は、高カリウム血症の治療が、それを必要とする患者において、例えば、カリウムの過剰摂取によってもたらされる場合に使用される。過剰なカリウム摂取自体は、高カリウム血症の一般的な原因ではない。よりより多くの場合、高カリウム血症は、カリウムの細胞内移行または腎臓のカリウム排出の機序不全を伴う患者において、無差別のカリウム消費によってもたらされる。
【0175】
本発明において、架橋陽イオン交換ポリマー、ポリマー粒子、または架橋陽イオン交換ポリマーおよび線状ポリオールを含む組成物は、他の活性医薬と共投与することができる。この共投与は、2つの薬剤を同一投与形態で同時に投与すること、個別の投薬形態で同時に投与すること、および個別の投与を含み得る。例えば、高カリウム血症の処置の場合、本発明の架橋陽イオン交換ポリマーまたは組成物は、高カリウム血症をもたらす薬物、例えば、カリウム保持性利尿剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE)、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、ベータ遮断薬、レニン阻害剤、非ステロイド系抗炎症薬、ヘパリン、またはトリメトプリムと共投与することができる。特に、架橋陽イオン交換ポリマーまたは組成物は、ACE(例えば、カプトプリル、ゾフェノプリル、エナラプリル、ラミプリル、キナプリル、ペリドンプリル、リシノプリル、ベンアジプリル、およびホシノプリル)、ARB(例えば、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、およびバルサルタン)、およびレニン阻害剤(例えば、アリスキレン)と共投与することができる。特定の実施形態において、薬剤は同時投与され、両薬剤は、個別の組成物中に存在する。他の実施形態において、薬剤は、時間内に個別に(すなわち、連続的に)投与される。
【0176】
本明細書で使用される「治療する」という用語は、治療効果を達成することを含む。治療効果とは、処置されている基礎疾患の根絶、緩和、または予防を意味する。例えば、高カリウム血症患者において、治療効果は、基礎となる高カリウム血症の根絶または緩和を含む。また治療効果は、基礎疾患と関連付けられる生理的症状のうちの1つ以上の根絶、緩和、または予防によって達成され、患者が依然として基礎疾患に悩まされ得るとしても、患者において改善が認められるようにする。例えば、高カリウム血症を経験している患者にカリウム結合ポリマーを投与することは、患者の血清カリウム値が減少するだけでなく、腎不全等の高カリウム血症に付随する他の疾患に関して、患者に改善が認められるという治療効果をもたらす。一部の治療レジメンにおいて、本発明の架橋陽イオン交換ポリマー、ポリマー粒子、または組成物は、高カリウム血症を発症するリスクのある患者、高カリウム血症の診断が成されていないが、高カリウム血症の生理的症状のうちの1つ以上を報告している患者に投与してもよい。
【0177】
本発明の医薬組成物は、架橋陽イオン交換ポリマーまたはポリマー粒子が、有効量で存在する、すなわち、治療または予防効果を達成するために有効な量で存在する、組成物を含む。特定の適応に有効な実際の量は、患者(例えば、年齢、体重等)、治療されている状態、および投与経路に応じて異なる。有効量の決定は、特に、本明細書の開示に照らして、十分に当業者の能力の範囲内である。ヒトにおいて使用するための有効量は、動物モデルから決定することができる。例えば、ヒトに対する用量は、動物において有効であると認められた胃腸濃度を達成するように処方することができる。
【0178】
本明細書に記載されるポリマー、ポリマー粒子、および組成物は、食品および/または食品添加物として使用することができる。それらは、消費する前、または包装中に食品に添加することができる。ポリマー、ポリマー粒子、および組成物は、動物の飼料に使用してカリウム値を低下させることもでき、これは、排水を低下させるために、ブタおよび鶏の飼料に望ましい。
【0179】
本明細書に記載される架橋陽イオン交換ポリマー、ポリマー粒子、またはその医薬的に許容される塩、あるいは組成物は、広範な投与経路またはモードを使用して患者に送達することができる。投与に最も好適な経路は、経口、腸内、または肛門である。肛門投与経路は、当業者に知られている。腸内投与経路は、概して、例えば、胃腸管または小孔を通して、胃腸管のセグメントに直接投与することを意味する。最も好適な投与経路は経口である。
【0180】
ポリマー、ポリマー粒子(またはその医薬的に許容される塩)は、そのまま投与され得るか、活性成分が1つ以上の医薬的に許容される賦形剤との混合剤または混合物中に含まれる医薬組成物の形態で投与され得る。本発明に従って使用するための医薬組成物は、活性成分を生理的に使用可能な製剤に処理することを促進する担体、希釈剤、および補助剤を含む1つ以上の医薬的に許容される賦形剤を使用して、従来様式で製剤され得る。適切な組成物は、選択される投与形態に依存する。
【0181】
経口投与の場合、本発明のポリマー、ポリマー粒子、または組成物は、ポリマーまたは組成物を、当該技術分野においてよく知られている医薬的に許容される賦形剤と組み合わせることによって、容易に製剤することができる。そのような賦形剤は、本発明の組成物を、処置される患者によって経口摂取するための錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液、ウエハ等として製剤可能にする。一実施形態において、経口組成物は、腸溶性コーティングを有しない。経口使用のための医薬製剤は、固形の賦形剤として得られ、任意で、得られる混合物を粉砕し、必要に応じて適切な補助剤を添加した後、顆粒の混合物を処理して、錠剤または糖衣錠コアを得ることができる。適切な賦形剤は、特に、ラクトースまたはスクロースを含む砂糖等の充填剤、例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)等のセルロース製剤、および当該技術分野において知られている様々な香味料である。必要に応じて、架橋ポリビニルピロリドン、アガー、またはアルギニン酸あるいはアルギニン酸ナトリウム等のその塩等の崩壊剤を添加してもよい。
【0182】
様々な実施形態において、活性成分(例えば、ポリマー)は、経口投与形態の重量で約20%以上、より具体的には、約40%以上、なおもさらに具体的には、約50%以上、最も具体的には、約60%以上を占め、残りは、適切な賦形剤を含む。水および線状ポリオールを含有する組成物において、ポリマーは、好ましくは、経口投与形態の重量で約20%以上、より具体的には、約40%以上、なおもさらに具体的には、約50%以上を占める。
【0183】
一部の実施形態において、医薬組成物は、液体組成物の形態である。様々な実施形態において、医薬組成物は、適切な液体賦形剤で分散される、架橋陽イオン交換ポリマーを含有する。適切な液体賦形剤は、当該技術分野において知られており、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciencesを参照されたい。
【0184】
特に明記されない限り、本明細書に記載されるようなアルキル基は、単独または別の基の一部として、任意に置換された線状飽和一価炭化水素ラジカルであって、1〜20の炭素原子および好ましくは、1〜8の炭素原子を含有するか、または任意で置換された分岐飽和一価炭化水素ラジカルであって、3〜20の炭素原子および好ましくは、3〜8の炭素原子を含有する。非置換アルキル基の実施例は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−メンチル、s−ペンチル、t−ペンチル等を含む。
【0185】
本明細書で使用される「アミド部分」という用語は、少なくとも1つの
【0186】
【化23】

【0187】
を含む二価(すなわち、二官能性)基を表し、例えば、−C(O)−NR−R−NR−C(O)−であり、式中、RおよびRは独立して、水素またはアルキルであり、Rはアルキレンである。例えば、アミド部分は、−C(O)−NH−(CHP−NH−C(O)−であり得、式中、pは1〜8の整数である。
【0188】
本明細書で使用される「アリール」という用語は、単独または別の基の一部として、任意で置換される一価芳香族炭化水素ラジカル、好ましくは、6〜12炭素を環部分に含む、一価単環または二環基を示し、例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチル、置換フェニル、置換ビフェニル、または置換ナフチルである。「アリール」という用語は、ヘテロアリールも含む。
【0189】
「カルボン酸基」、「カルボン酸」または「カルボキシル」という用語は、一価ラジカル−C(O)OHを示す。pH条件に応じて、一価ラジカルは、−C(O)Oの形態であり得、式中、Qは陽イオン(例えば、ナトリウム)であるか、または近接する一価ラジカルのうちの2つが、二価陽イオンQ2+(例えば、カルシウム、マグネシウム)と結合することができるか、またはこれらの一価ラジカルと−C(O)OHの組み合わせが存在する。
【0190】
本明細書で使用される「シクロアルキル」という用語は、3〜8の炭素原子を1つの環に含み、最大20の炭素原子を複数の環状基に含む、任意で置換された環状飽和一価架橋または非架橋炭化水素ラジカルを任意で示す。典型的な非置換シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル、ノルボルニル等を含む。
【0191】
別の基の一部として接尾辞で使用される「−ene」という用語は、二価ラジカルを示し、水素原子は基の2つの末端炭素から除去されるか、または基が環状である場合は、環における2つの異なる炭素原子のうちの1つから除去される。例えば、アルキレンは、メチレン(−CH−)またはエチレン(−CHCH−)等の二価アルキル基を示し、アリーレンは、o−フェニレン、m−フェニレン、またはp−フェニレン等の二価アリール基を示す。
【0192】
本明細書で使用される「エーテル部分」という用語は、少なくとも1つのエーテル結合(すなわち、−O−)を含む、二価(すなわち、二官能性)基を表す。例えば、式3または33において、本明細書において定義されるように、エーテル部分は、−ROR−または−ROROR−であり得、式中、R、RおよびRは独立して、アルキレンである。
【0193】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」という用語は、単独または別の基の一部として、5〜10環状原子の任意に置換された一価単環または二環芳香族ラジカルを示し、1つ以上、好ましくは1つ、2つ、または3つの環状原子が、N、O、およびSから独立して選択されるヘテロ原子であって、残りの環状原子は炭素である。典型的なヘテロアリール部分は、ベンゾフラニル、ベンゾ[d]チアゾリル、イソキノリニル、キノリニル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾリル、キノリニル、フラニル、タゾリル、ピリジニル、フリル、チエニル、ピリジル、オキサゾリル、ピロリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル等を含む。
【0194】
本明細書で使用される「ヘテロシクロ」という用語は、単独または別の基の一部として、4〜8環状原子の飽和または不飽和一価単環基を示し、1つ以上の環状原子は、ヘテロ原子であって、それらはN、O、およびSから独立して選択され、残りの環状原子は炭素原子である。追加として、ヘテロ環リング全体が完全に芳香族でないことを条件として、ヘテロ環状リングをフェニルまたはヘテロアリール環に融合してもよい。典型的なヘテロ環基は、上述のヘテロアリール基、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、ピペラジノ等を含む。
【0195】
本明細書で使用される「炭化水素」という用語は、炭素および水素要素のみから成る化合物またはラジカルを説明する。
【0196】
「ホスホン酸」または「ホスホニル」という用語は、一価ラジカル
【0197】
【化24】

【0198】
を示す。
【0199】
「リン酸」または「ホスホリル」という用語は、一価ラジカル
【0200】
【化25】

【0201】
を示す。
【0202】
本明細書で使用される「保護される」という用語は、別の基の一部として、化合物の保護部分において、反応を遮断する一方で、化合物の他の置換基を妨げないように、十分に軽い条件下で容易に除去される基を意味する。例えば、保護カルボン酸基−C(O)OPまたは保護リン酸基−OP(O)(OH)OP、あるいは保護リン酸基が挙げられる。
【0203】
−P(O)(OH)OPは、それぞれ酸性基の酸素と関連付けられる保護基Pを有し、式中、Pは、アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、s−ペンチル、t−ペンチル等)、ベンジル、シリル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、トリフェニルシリル(TPS)、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)等であり得る。多様な保護基およびその合成は、「Protective Groups in Organic Synthesis」by T.W.Greene and P.G.M.Wuts,John Wiley & Sons,1999において見出すことができる。「保護される」という用語が、一連の可能な保護基に先行する場合、この用語は、当該基のすべての構成要素に適用されることが意図される。つまり、「保護カルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸」という表現は、「保護カルボン酸、保護ホスホン酸、または保護リン酸」として解釈されるものとする。同様に、「任意で保護されているカルボン酸、リン酸、またはホスホン酸」という表現は、「任意で保護されているカルボン酸、任意で保護されているホスホン酸、または任意で保護されているリン酸」として解釈されるものとする。
【0204】
「置換アリール」、「置換アルキル」等における「置換」という用語は、問題の基(すなわち、アルキル、アリール、または当該用語に続く他の基)において、炭素原子に結合される少なくとも1つの水素原子が、1つ以上の置換基、例えば、ヒドロキシ(−OH)、アルキルチオ、ホスフィノ、アミド
(−CON(R)(R)、式中、RおよびRは独立して、水素、アルキル、またはアリールである)、アミノ(−N(R)(R)、式中、RおよびRは独立して、水素、アルキル、またはアリールである)、ハロ(フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード)、シリル、ニトロ(−NO)、エーテル(−OR、式中、Rはアルキルまたはアリールである)、エステル(−OC(O)R、式中、Rはアルキルまたはアリールである)、ケト(−C(O)R、式中、Rはアルキルまたはアリールである)、ヘテロシクロ等と置換されることを意味する。「置換」という用語が、一連の可能な置換基に先行する場合、この用語は、当該基のすべての構成要素に適用されることが意図される。つまり、「任意で置換されるアルキルまたはアリール」という表現は、「任意で置換されるアルキルまたは任意で置換されるアリール」として解釈されるものとする。
【0205】
本発明を詳細に説明したが、添付の請求項に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、修正および変化が可能であることは明らかである。
【実施例】
【0206】
実施例
以下の非限定例は、本発明をさらに例証するために提供される。
【0207】
実施例1〜5の材料。メチル2−フルオロアクリレート(MeFA、SynQuest Labs)は、0.2重量%のヒドロキノンを含有し、使用前に真空蒸留した。ジビニルベンゼン(DVB、Aldrich)は、工業銘柄の80%異性体の混合物であった。1,7−オクタジエン(ODE98%、Aldrich)、過酸化ラウロイル(LPO99%、ACROS Organics)、ポリビニルアルコール(PVA通常モル重量85,000〜146,000、87〜89%加水分解、Aldrich)、塩化ナトリウム(NaCl、Aldrich)、リン酸二ナトリウム七水和物(NaHPO・7HO、Aldrich)、およびリン酸一ナトリウム一水和物(NaHPO・HO、Aldrich)は、受け取った状態で使用した。
【0208】
実施例1:架橋モノマーとしてのDVB
重合は、テフロン(登録商標)パドルを有するオーバーヘッド機械撹拌器および水冷却器を備える、1Lの三つ口Morton型丸底フラスコにおいて行った。有機相は、MeFA(54g)、DVB(6g)、およびLPO(0.6g)を混合することによって調製し、水相は、PVA(3g)およびNaCl(11.25g)を水(285.75g)に溶解することによって調製した。次に、有機相および水相をフラスコ内で混合し、窒素下、300rpmで撹拌した。フラスコを70℃の油浴に3時間浸し、室温に冷却した。反応中の内部温度は、約65℃であった。固形生成物を水で洗浄し、上澄み溶液を移すことによって採取した。白い固形物を凍結乾燥させて、乾燥した固形ポリMeFA粒子(またはビーズ)(56.15g、94%)を得た。
【0209】
加水分解は、重合と同一設定で実行した。上記からのポリMeFA粒子(48.93g)をKOH溶液(500g、10重量%)に懸濁し、300rpmで撹拌した。混合物を95℃の油浴で20時間加熱し、室温に冷却した。固形生成物を水で洗浄し、上澄み溶液を移すことによって採取した。凍結乾燥後、ポリフルオロアクリル酸(ポリFAA)粒子(48.54g、82%)が得られた。これらの粒子は、ビーズの形態であった。
【0210】
実施例2:2つの架橋モノマーを使用したポリマー合成
複数の懸濁重合を、実施例1と実質的に類似する様式で行った。合成条件および結果は、表3に要約される。実施例1と比較して、試験したすべての比率において、第2の架橋体としてODEを添加することにより、加水分解ステップ後の収率が増加した。したがって、ポリFAAビーズ合成の全体収率は、90%を超えるレベルに向上した。
【0211】
【表3】

【0212】
実施例3〜5:DVB/ODEによるFAAビーズの合成
実施例3〜5のポリマーは、以下のように調製した。テフロン(登録商標)パドルおよび水冷却器を有するオーバーヘッド機械撹拌器を備えた1Lの三つ口Morton型丸底フラスコにおいて重合を実行した。MeFA、DVB、ODE、およびLPO(0.6g)を混合することによって有機相を調製し、水相は、PVA(3g)およびNaCl(11.25g)を水(285.75g)に溶解することによって調製した。次に、有機相および水相をフラスコ内で混合し、窒素下、300rpmで撹拌した。フラスコを70℃の油浴に5時間浸し、室温に冷却した。反応中の内部温度は、約65℃であった。固形生成物を水で洗浄し、ろ過によって収集した。白い固体を凍結乾燥させて、乾燥した固形ポリMeFAビーズを得た。
【0213】
重合の場合と同一ステップで、加水分解を実行した。重合反応から得たポリMeFAビーズをNaOH溶液(400g、10重量%)中で懸濁し、200rpmで撹拌した。混合物を95℃の油浴中で20時間加熱し、室温に冷却した。固形生成物を水で洗浄し、ろ過によって収集した。凍結乾燥後、ポリFAAビーズを得た。合成条件および選択した特性は、以下に要約される。
【0214】
【数2】

【0215】
実施例4のポリFAAビーズのカルシウム形態を、(ナトリウム2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンコポリマーを過剰な塩化カルシウム水溶液に暴露することによって調製し、不溶性の架橋(カルシウム2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンコポリマーを得た。カルシウムイオン交換後、Ca(ポリFAA)最終生成物をエタノールおよび水で洗浄した。
【0216】
実施例6:Ca(ポリFAA)および安定化ポリオールによる組成物の調製およびそのような組成物の貯蔵中の安定性試験
組成物の調製:磁気撹拌器および窒素吸入アダプタを備える、500mLの3つ口丸底フラスコに、D−ソルビトール(60g、0.3モル)に続いて、240gの水を充填した。透明な溶液が得られるまで、混合物を撹拌した。実施例4に記載のプロセスによって調製されたCa(ポリFAA)(30g)を、ソルビトール溶液に一度に添加し、得られたスラリーを大気温度(20〜25℃)で3時間撹拌した。固形物をろ過し、減圧下で所望の含水量まで乾燥させた。糖アルコール含有量、乾燥減少(LOD)、およびカルシウム含有量について、固形物(35.1g)を分析した。これと同一の試料調製法を、他の組成物に使用し、異なるD−ソルビトール濃度、混合回数、および乾燥の特定の詳細は、表4に記載されるとおりである。
【0217】
上述のとおり調製された試料は、表5〜14に列挙する温度および回数で貯蔵された。5℃および大気温度で貯蔵される試料の場合、試料をバイアルに移し、Sure−Sealバッグに入れて密閉し、次に、乾燥剤(硫酸カルシウム)とともに第2のSure−Sealバッグに入れ、これも密閉した。より高温での試料の場合、試料をバイアルに入れ、示された温度で貯蔵した。特定した時期に(1週、3週、5週、7週等)、試料の分割量を貯蔵から取り出し、それらの重量、含水量、LOD、および遊離無機フッ化物について試験した。これらの試験は、上で明細書に詳述されるとおり実行した。以下の表5〜14に示されるフッ化物濃度は、水およびポリオール重量に関して訂正されている。
【0218】
【表4】

【0219】
【表5】

【0220】
【表6】

【0221】
【表7】

【0222】
【表8】

【0223】
【表9】

【0224】
【表10】

【0225】
【表11】

【0226】
【表12】

【0227】
【表13】

【0228】
【表14】

【0229】
実施例7:ポリオール安定化FAAのカリウム結合能力
材料。使用される材料は、塩化カリウム(試薬プラスグレード、99%以上、Sigma#P4504または相当)、18メガオーム抵抗より大きい脱イオン水、ICカリウム標準(1,000ppm、Alltech Cat#37025または相当)、イオンクロマトグラフィ(IC)カリウム標準、第2のソースから1000ppm(例えば、Fisher Scientific #CS−K2−2Y)、およびメタンスルホン酸(MSA、99.5%、Aldrich#471356)であった。使用した機器が電解で移動相を生成できなかった場合は、MSAを使用して、IC移動相を形成した。
【0230】
200mM KCl溶液の調製。塩化カリウム(14.91g)を800mLの水に溶解した。メスシリンダを使用し、水を添加して1L溶液とした。この溶液は、結合アッセイのための200mM塩化カリウム溶液であった。
【0231】
IC分析のためのQCおよび線状曲線調製。IC用のカリウム標準溶液(100、250、500ppm)は、ストック1000ppm溶液を蒸留(DI)水で希釈することによって調製した。QCチェック標準は、第2のソースの認証1000ppmカリウム標準をDI水で希釈し、250ppm濃度を達成することによって得た。
【0232】
試料溶液の調製。実施例4(500mg)の方法によって調製されたCa(ポリFAA)の2つの試料を、個別のねじ口バイアルに入れた。以下の式を使用して、バイアルに添加する200mM KCl溶液の量を計算した。
【0233】
【数3】

【0234】
式中、MはCa(ポリFAA)試料重量(mg)であり、SはCa(ポリFAA)の乾燥重量に基づくソルビトール含有量であり、Wは乾燥減少(%)である。計算した量の200mM KCl溶液を、10mLピペットを使用して、各バイアルに添加した。バイアルの蓋をきつく締めた。15mLの200mM KCl溶液を含有する2つのブランクバイアルを調製した。バイアルは、バイアルを回転タンブラーで2時間、約35rpmで回転させた。2時間後、バイアルをタンブラーから取り出した。内容物を5分間定着させた。各試料(2〜10mL)およびブランクを0.45ミクロンフィルターでろ過した。各ろ過試料は、500μLの各試料またはブランクを9500μLの水に添加することによって、1:20に希釈した。希釈したろ液を、ICを使用して、カリウム含有量について分析した。
【0235】
ICによる試料分析。20mM MSA移動相を電解で生成することができない場合、20mMストックMSA移動相は、MSAを水中で希釈することによって形成した。ICは、以下の設定を有した:注入量5μL、流速1mL/分、カラム温度35℃、試料容器温度は大気温度、実行時間20分、およびCD25設定は電流88mA、セル温度35℃、オートレンジ。各ブランクおよび試料は、2回注入した。
【0236】
使用されたICシステムは、AS50自動抽出器、電導度検出器CD25およびDS3フローセルを備える、Dionex IC System2000であった。使用されたカラムは、CS12A 250x4mm ID分析カラム、CG12A 50x4mm IDガードカラム(任意)に連結されるDionex#016181、Dionex#046074であった。使用されたサプレッサは、Dionex CSRS−Ultra II(4mm)サプレッサ、Dionex#061563であった。データ取得に使用されたソフトウェアは、Dionex Chromeleonクロマトグラフィソフトウェアであった。溶出カートリッジは、メタンスルホン酸(MSA)移動相を電解で生成するためのDionex#058902であった。
【0237】
データ分析。カリウムの濃度は、mMで報告した。以下の等式を使用して、各試料の結合能力を計算した。
【0238】
【数4】

【0239】
式中、cブランクは、IC分析(mM)による、20倍に希釈したブランク中の平均カリウム濃度であり、c試料は、IC分析(mM)による、20倍に希釈した試料溶液中の平均カリウム濃度である。複製の平均を報告した。各個別値の偏差は、平均から最大10%であった。より大きい偏差が得らた場合は、アッセイを繰り返した。
【0240】
結果。実施例4におけるプロセスによって調製されたCa(ポリFAA)試料は、1.60mmol/gのカリウム結合能力を有した。同様のCa(ポリFAA)試料を、実施例6に記載のプロセスを使用して、D−ソルビトールの20重量%、25重量%、30重量%、および45重量%溶液でスラリー化した。それらの安定化Ca(ポリFAA)試料のカリウム結合能力を表15に記載する。
【0241】
【表15】

【0242】
実施例8:ポリマー合成
材料。メチル2−フルオロアクリレート(MeFA、SynQuest Labs)は、0.2重量%ヒドロキノンを含み、使用前に真空蒸留した。ジビニルベンゼン(DVB、Aldrich)は、工業銘柄80%、異性体の混合物であった。1,7−オクタジエン(ODE98%、Aldrich)、過酸化ラウロイル(LPO99%、ACROS Organics)、ポリビニルアルコール(PVA通常モル重量85,000〜146,000、87〜89%加水分解、Aldrich)、塩化ナトリウム(NaCl、Aldrich)、リン酸二ナトリウム七水和物(Na2HPO4・7H2O、Aldrich)、およびリン酸一ナトリウム一水和物(NaH2PO4・H2O、Aldrich)を受け取った状態で使用した。
【0243】
実施例8A:
適切な撹拌および他の装置を備えた25L反応器において、メチル2−フルオロアクリレート(約3kg)、1,7−オクタジエン(約0.16kg)、およびジビニルベンゼン約0.16kg)を混合することによって、モノマーの有機相の180:10:10重量比混合物を調製した。1の割合の過酸化ラウロイル(約0.016kg)を重合反応の開始剤として添加した。安定化水相は、水、ポリビニルアルコール、リン酸、塩化ナトリウム、および亜硝酸ナトリウムから調製した。温度を30℃以下に維持しながら、窒素下、大気圧において、水相およびモノマー相を一緒に混合した。継続的に撹拌しながら、反応混合物を徐々に加熱した。一旦重合反応が開始すると、反応混合物の温度を最大95℃まで上昇させた。重合反応の完了後、反応混合物を冷却し、水相を除去した。水を添加し、混合液を撹拌し、固形物をろ過によって単離した。次に、固形物を水で洗浄して、約2.1kgの架橋(メチル2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンポリマーを得た。
【0244】
(メチル2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンコポリマーを、過剰な水酸化ナトリウム水溶液を用いて、90℃で24時間加水分解し、(ナトリウム2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンポリマーを得た。加水分解後、固形物をろ過し、水で洗浄した。(ナトリウム2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンポリマーを室温で、過剰な塩化カルシウム水溶液に暴露し、不溶性の架橋(カルシウム2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンポリマーを得た。カルシウムイオン交換後、生成物を水で洗浄し、乾燥させた。
【0245】
実施例8Aのプロセスによって生成されたビーズを図1Aおよび1Bに示すが、これらは、このビーズが、実施例11〜13に記載のプロセスによって形成されたビーズよりも、一般に粗雑でより多孔の表面を有することを示す。
【0246】
実施例8B:
適切な撹拌器および他の装置を備える2L反応器において、メチル2−フルオロアクリレート(約0.24kg)、1,7−オクタジエン(約0.0124kg)、およびジビニルベンゼン(約0.0124kg)を混合することによって、モノマーの有機相の180:10:10重量比混合物を調製した。1の割合の過酸化ラウロイル(約0.0012kg)を重合反応の開始剤として添加した。安定化水相は、水、ポリビニルアルコール、リン酸、塩化ナトリウム、および亜硝酸ナトリウムから調製した。温度を30℃以下に維持しながら、窒素下、大気圧で水相およびモノマー相を一緒に混合した。連続的に撹拌しながら、反応混合物を徐々に加熱した。一旦、重合反応が開始すると、反応混合物の温度を最大95℃まで上昇させた。重合反応の完了後、反応混合物を冷却し、水相を除去した。水を添加し、混合液を撹拌して、固形物をろ過によって単離した後、水で洗浄した。
【0247】
重合反応をさらに5回繰り返し、バッチからのポリマーを一緒に合わせて、約1.7kgの架橋(メチル2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンポリマーを得た。(メチル2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンポリマーは、過剰の水酸化ナトリウムおよびイソプロパノール水溶液を用いて、65℃で24時間加水分解し、(ナトリウム2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンポリマーを得た。加水分解後、固形物をろ過し、水で洗浄した。(ナトリウム2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンポリマーを室温で、過剰な塩化カルシウム水溶液に暴露し、不溶性の架橋(カルシウム2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンポリマーを得た。カルシウムイオン交換後、生成物を水で洗浄し、乾燥させた。
【0248】
実施例8C:
適切な撹拌器および他の装置を備える20L反応器において、メチル2−フルオロアクリレート(約2.4kg)、1,7−オクタジエン(約0.0124kg)、およびジビニルベンゼン(約0.124kg)を混合することによって、モノマーの有機相の180:10:10重量比混合物を調製した。1の割合の過酸化ラウロイル(約0.0124kg)を重合反応の開始剤として添加した。安定化水相は、水、ポリビニルアルコール、リン酸、塩化ナトリウム、および亜硝酸ナトリウムから調製した。温度を30℃以下に維持しながら、窒素下、1.5barの圧力で水相およびモノマー相を一緒に混合した。連続的に撹拌しながら、反応混合物を徐々に加熱した。一旦、重合反応が開始すると、反応混合物の温度を最大95℃まで上昇させた。重合反応の完了後、反応混合物を冷却し、水相を除去した。水を添加し、混合液を撹拌して、固形物をろ過によって単離した。次に、固形物を水で洗浄して、約1.7kgの架橋(メチル2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンポリマーを得た。
【0249】
(メチル2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンコポリマーを、過剰な水酸化ナトリウム水溶液を用いて、85℃で24時間加水分解し、(ナトリウム2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンポリマーを得た。加水分解後、固形物をろ過し、水で洗浄した。(ナトリウム2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンポリマーを室温で、過剰な塩化カルシウム水溶液に暴露し、不溶性の架橋(カルシウム2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンポリマーを得た。カルシウムイオン交換後、生成物をトルエンで洗浄し、共沸蒸留を使用して乾燥させた。
【0250】
実施例8D:
塩化ナトリウム(NaCl、4.95g)、水(157.08g)、ポリビニルアルコール(1.65g)、NaHPO・7HO(1.40g)、NaHPO・HO(0.09g)、およびNaNO(0.02g)のストック水溶液を調製した。t−ブチル−フルオロアクリレート(30.00g)、ジビニルベンゼン(1.19g)、オクタジエン(1.19g)、および過酸化ラウロイル(0.24g)から成る有機構成要素の溶液を調製した。各構成要素の重量(g)が上述の値に一致するように、構成要素を、バッフルを備える500mL3つ口反応フラスコに手動で量り入れた。フラスコは、オーバーヘッド撹拌器および冷却器を備えていた。窒素を反応上に10分間吹きかけ、窒素のブランケットを反応全体で維持した。撹拌速度は、180rpmに設定した。浴温度は70℃に設定した。12時間後、熱を2時間85℃に高め、反応物を室温に冷却した。ビーズを反応フラスコから単離し、イソプロピルアルコール、エタノール、および水で洗浄した。ポリ(α−フルオロアクリレート、t−ブチルエステル)ビーズを室温で、減圧下乾燥させた。
【0251】
バッフルを備える500mL3つ口反応フラスコに、28.02gのポリ(α−フルオロアクリレート、t−ブチルエステル)、84gの濃縮塩酸(ビーズ重量の3倍、3モルの塩酸対1t−ブチル−エステルを含む)、および84gの水(ビーズの3倍)を量り入れた。フラスコは、オーバーヘッド撹拌器および冷却器を備えていた。窒素を反応上に10分間吹きかけ、窒素のブランケットを反応全体で維持した。撹拌速度は、180rpmに設定した。浴温度は75℃に設定した。12時間後、熱を止め、反応を室温に冷却した。ビーズを反応フラスコから単離し、イソプロピルアルコール、エタノール、および水で洗浄した。プロトン形態のビーズを室温で、減圧下乾燥させた。
【0252】
次に、プロトン形態のビーズをガラスカラムに配置し、溶離液のpHが強力なアルカリになり、カラムにおけるビーズの様相が均一になるまで1N NaOHで洗浄した。次に、溶離液のpHが再び中性になるまで、ビーズを再度脱イオン水で洗浄した。次に、精製したナトリウム負荷ビーズを、真空ラインに取り付けられたフリット漏斗に移し、再度、脱イオン水で洗浄し、過剰な水を吸引によって除去した。次に、得られた材料を60℃のオーブンで乾燥させた。
【0253】
ビーズの単離および電子顕微鏡を走査することによる後次の試験後、ビーズは、平滑な表面形態を有することが認められた(図5を参照)。
【0254】
実施例9:特性測定
実施例9A:試料の調製
カルシウム形態からナトリウム形態へのポリ(α−フルオロアクリル酸)のイオン交換。実施例8A、8Bおよび8Cから得た材料の試料を、以下のようにナトリウム形態に交換した。10グラムの樹脂を250mLボトルに入れ、200mlの1N塩酸(HCl)を添加し、混合物を約10分間回転させることによって撹拌した。ビーズを沈殿させ、上澄みを移し、この手順を繰り返した。酸を移した後、ビーズを、約200mLの水で1回、次に200mLの1M水酸化ナトリウム(NaOH)で2回、約10分間洗浄した。次に、ビーズを再度200mLの水で洗浄し、最後に、フリット漏斗に移して、1Lの脱イオン水で(吸引により)洗浄した。得られケーキを一晩60℃で乾燥させた。得られた物質を、Ex.8A−Na、Ex.8B−Na、およびEx.8C−Naと名付けた。
【0255】
実施例8Dの場合のナトリウム形態からカルシウム形態へのイオン交換。実施例8D(ナトリウム形態)の分割量を、以下のようにカルシウム形態に変換した。10グラムの樹脂を200mLボトルに入れ、150mlの0.5M塩化カルシウム(CaCl)で3回洗浄した。第1の洗浄期間は、約1日であり、続いて、第2の洗浄(期間は一晩)前に、水ですすいだ。第2の塩化カルシウム(CaCl)洗浄溶液を移した後、第3の塩化カルシウム戦場溶液を添加した(その間の水でのすすぎなし)。最終の塩化カルシウム洗浄期間は、2時間であった。次に、フリット漏斗上で、吸引によりビーズを1Lの脱イオン水で洗浄し、60℃で一晩乾燥させた。物質は、Ex.8D−Caと名付けた。
【0256】
KayexalateおよびKionexにおけるナトリウム形態からカルシウム形態へのイオン交換。Kayexalate(Sanofi−Aventisから)およびKionex(Paddock Laboratories,Inc.)を購入した。ポリマーを購入した状態で使用し、以下のようにカルシウム形態に変換した。10グラムの各樹脂(ナトリウム形態で購入)を、200mLボトルに入れ、100mLの0.5M塩化カルシウムで一晩洗浄した。翌日、懸濁液をシェーカーから除去し、一晩沈殿させた。上澄みを移し、150mLの0.5M塩化カルシウムを添加して、上澄みを2時間撹拌した。次に、懸濁液をフリット漏斗に移し、150mLの0.5M塩化カルシウムで洗浄し、続いて、吸引を使用して、1Lの脱イオン水で洗浄した。得られたビーズを一晩60℃で乾燥させた。これらの物質は、Kayexalate−CaおよびKionex−Caと名付けた。
【0257】
実施例9B:粘度、降伏応力、および含水量
レオロジー試験のための水和樹脂試料の調製
樹脂の水和に使用された緩衝剤。すべての実験に対して、USPシミュレート腸液を、樹脂の膨張のための緩衝剤として使用した(USP30−NF25)。リン酸二水素カリウム(27.2g、KHPO)を、2リットルの脱イオン水に溶解し、123.2mLの0.5N水酸化ナトリウムを添加した。得られた溶液を混合し、0.5N水酸化ナトリウムの添加によって、pHを6.8±0.1に調節した。追加の脱イオン水を添加して、容量を4リットルにした。
【0258】
樹脂水和のための以下の手順を用いた。各樹脂(3g±0.1g)を20mLシンチレーションバイアルに入れた。樹脂がほぼ飽和されるまで、緩衝剤を1mLアリコートごとに添加した。次に、樹脂が完全に飽和され、撹拌時に遊離懸濁液が形成されるまで、混合液をスパチュラで均質化し、さらなる緩衝剤を添加した。次に、懸濁液を激しく撹拌し、バイアルにきつく蓋をして、真っ直ぐ立てた状態で、37℃の培養器に3日間置いた。次に、バイアルを慎重に取り除いた。すべての例において、樹脂はバイアルの底に定着し、塊を、上部の1〜2mLの透明な上澄みとともに形成した。真空ボトルに接続されるピペットチップを用いて吸引することによって、上澄みを移し、各容器に飽和/沈殿ペーストのみを残し、試験前に密閉した。
【0259】
加水分解したポリマーの安定状態のせん断粘度は、平行プレート形状を有する(上部プレートは直径15mm、下部プレートは直径30mm)、Bohlin VORレオメータを使用して決定した。プレート間の間隙は、1mmであり、温度は37℃で維持した。粘度は、0.0083〜1.32s−1のせん断速度の関数として得られた。指数法則せん断薄化動作が、試料のすべてに対して認められた。Barnes et al.,″An Introduction to Rheology,″1989,page19を参照されたい。
【0260】
降伏応力は、Reologica STRESSTECHレオメータを使用して測定した。このレオメータも平行プレート形状を有する(上部プレートは直径15mm、下部プレートは直径30mm)。プレート間の間隙は1mmであり、温度は37℃で維持した。せん断応力を1〜10Paに増加させる間、2つの統合期間を有する1Hzの一定周波数を使用した。
【0261】
粘度および降伏応力の両方に対して、試料を負荷し、やさしくタップした後、上部プレートを試験間隙まで徐々に下げた。STRESSTECHレオメータの場合、このプロセスは、20Nを決して超えない負荷力で自動制御された。Bohlin VORレオメータの場合、これは手動で達成された。1.1mmの間隙において端から押し出された物質をトリムした後、上部プレートを所望の1mmの間隙まで下げ続けた。次に、300秒の平衡時間を使用して、試料を負荷応力から緩和させ、熱平衡に到達させた。
【0262】
含水量。水和試料の含水量は、熱重量分析(TGA)を使用して決定した。試料は、沈殿および静注によって調製したため、測定される含水量は、ビーズ内に吸収される水分およびビーズ間の間質水の両方を含んだ。
【0263】
約20mg重量の試料を、事前にタールを塗ったアルミニウムパンに入れ、クリンプして密閉した(それによって水分喪失を防ぐ)。TA Instruments Q5000−IR TGAのオートサンプラーカルーセル上に試料を載せた。各試料の分析に先立って、自動穿孔機構によって、蓋に穴を開け、次に、穿孔したパンを炉に入れた。毎分20℃の速度で、室温から300℃まで温度が上昇する間、重量および温度を継続的に監視した。含水量は、室温から250℃への重量減少%として定義した。スルホン酸ポリスチレン樹脂の場合、225℃〜300℃(走査の上限)の間に有意な重量減少はなかったため、これは、正確な定義であった。ポリ(α−フルオロアクリレート)樹脂の場合、すべての水が蒸発した後でも、200〜300℃の温度範囲において、継続的な物質の分解が一部認められたため、含水量の測定は正確さが低く、過大に推定される可能性が高い。
【0264】
結果を表16および17に示すが、ここでstdevは標準偏差を意味する。
【0265】
【表16】

【0266】
【表17】

【0267】
実施例9C:粒径および表面の粗雑さ
粒径の測定は、Malvern Masterisizer2000粒径アナライザを使用し、実施例9Aのとおり、または購入あるいは合成されるとおり調製した試料に関して、Hydro 2000μP分散単位を用いて行った。粒径を測定するための方法は以下のとおりであった:(1)シリンジを使用して、試料セルにシミュレート腸液(SIF、pH=6.2)を充填した、(2)バックグラウンド測定値を取る前に、泡を除去するための嫌気性充填を行なった、(3)15〜20%のあいまい性に到達するまで、SIFを含有する試料セルに試料粉末を添加し、数滴のメタノールを試料ウェルに添加して、SID培地中の粉末の分散を助けた、(4)試料測定を行った後、蒸留した脱イオン水およびイソプロパノールで少なくとも4回システムをフラッシュした。
【0268】
機器設定は以下のとおりであった:測定時間12秒、バックグラウンド測定時間12秒、測定スナップ12,000、バックグラウンドスナップ12,000、ポンプ速度2,000、超音波50%、反復測定1/分割量、分散剤の屈折指数1.33(水)、粒子の屈折指数1.481、およびあいまい性範囲15%〜20%。結果を表18に示す。
【0269】
【表18】

【0270】
実施例8A〜8Cにおいて概説されるプロセスによって調製される試料の原子間力顕微鏡(AFM)画像を得た。AFM画像は、NanoScope III Dimension5000(Digital Instruments,Santa Barbara,CA)を使用して収集した。機器は、2%よりも良好な精度で、NIST追跡可能な標準に対して較正した。NanoProbeシリコンチップを使用し、自動平面化、平面フィッティング、または回旋を含む画像処理手順を使用した。1つの10umx10um領域は、各試料の1つのビーズの上付近に撮像された。図2Aおよび2Bは、垂直誇張されたビーズの表面の斜視図を示し、z軸は、200nm増分でマークされる。粗雑さ分析を行い、二乗平均平方根(RMS)、平均粗雑さ(R)、および頂点から底部までの最大高(Rmax)で表した。これらの結果は、表19に詳述される。
【0271】
【表19】

【0272】
実施例10:圧縮性指数(バルクおよびタップ密度)
バルク密度(BD)およびタップ密度(TD)を使用して、圧縮性指数(CI)を計算する。この測定のための標準化手順は、USP<616>として明記されている。粉末の量を、勾配シリンダに量り入れる。塊Mおよび初期(ゆるくパックされた)量Vを記録する。次に、シリンダを装置に設置し、シリンダを3mm±10%の高さから、毎分250回(タップ)の速度で上下させる。500タップ後、次に再度追加の750タップ(合計1250回)後に量を測定する。500タップと1250タップ後の量の差が2%未満である場合、次に、最終量をVとして記録し、実験を完了する。そうでなければ、タッピング前後の量変化が2%未満なるまで、1回に1250タップの増分でタッピングを繰り返す。以下の量が、データから計算される。
バルク密度(BD)=M/V
タップ密度(TD)=M/V
圧縮性指数(CI、Carr指数とも呼ばれる)=100*(TD−BD)/TD
KayexalateおよびKionexは、購入された状態で使用した。ポリ(α−フルオロアクリレート)樹脂の試料は、実質的に実施例8のとおり合成した。試料は、上述の様式で、それらのCIについて試験した。結果を表20に示す。15%以上のCI値を示す結果が、細粉された陽イオン交換樹脂(KayexalateおよびKionex)に特徴的であるが、略球状のビーズ樹脂は、15%以下のCI値を有する(実質的に実施例8のとおり調製される試料)。試験の完了後に、球状ビーズは、シリンダから、傾けることによって容易に注出することができるが、細粉された樹脂は、粉末を除去するために、シリンダを反転させて、硬い物体(スパチュラまたはスクリュードライバー等)でシリンダを何度も激しく叩く必要があることが認められた。圧縮性指数のデータおよびパックされた粉末のフローの観察は、球状ビーズと比較して、乾燥形態の粉砕樹脂の低いフロー特性と一致し、湿っている場合の粉砕樹脂のより低いフロー特性とも一致する。
【0273】
【表20】

【0274】
実施例11:さまざまな溶媒量の存在下におけるポリ(α−フルオロアクリレート)ビーズ
実施例11〜12において、以下の試薬を使用した。メチル2−フルオロアクリレート(MeFA)、ジビニルベンゼン(DVB)、工業銘柄80%異性体の混合物、1,7−オクタジエン(ODE)98%、過酸化ラウロイル(LPO)99%、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)87〜89%加水分解、NaCl:塩化ナトリウム、NaHPO・7HO:リン酸二ナトリウム七水和物、および脱イオン(DI)水。試薬は、商業的な供給元から入手し(実施例8を参照)、当業者にとって標準的な実践に従って使用した。
【0275】
一連の重合反応は、さまざまな量のジクロロエタンにおいて、試料11A1〜試料11A6から得た漸増量のジクロロエタン溶媒を用いて行った。合成において添加されたジクロロエタンの範囲は、メチルフルオロアクリレート+ジビニルベンゼン+オクタジエン1gごとに0〜1gのジクロロエタンであった。
【0276】
反応混合物を、液注ロボットおよび付属のソフトウェア(Symyx Technologies,Inc.,Sunnyvale,CAから入手可能)を使用して調製した。NaCl、水、ポリビニルアルコール(PVA87%)、NaHPO・7HO(NaHPO)、NaHPO・HO(NaHPO)、およびNaNOのストック水溶液を調製した。次に、液注ロボットを使用して、これを反応管に分注し、各管内の重量(g)が表21に表される重量の測定量にするようにした。メチル−フルオロアクリレート(MeFA)、ジビニルベンゼン(DVB)、オクタジエン(ODE)、および過酸化ラウロイル(LPO)から成る有機構成要素のストック溶液を調製し、液注ロボットを使用して送達した。ジクロロエタン(DiCl Et)も管に添加し、各構成要素の重量(g)が、表21に記載される値と一致するようにし、すべての単位は、グラム(g)で計量される。
【0277】
【表21】

【0278】
反応は、懸濁液タイプの形式で、オーバーヘッド撹拌器を備える、平行、密閉、加熱反応器において行った。平行反応器装置は、米国特許第6,994,827号において詳述されている。一般に、すべてのウェル全体で反応の化学量論を維持したが、溶媒は、各ウェルに異なる濃度で添加した。完全な処方の入った管を平行反応器に設置し、300rpmで撹拌した。窒素を10分間反応上に吹きかけ、窒素のブランケットを反応全体で維持した。以下の加熱プロファイルを使用した:室温〜55℃で1時間以上、55℃で4時間維持、55℃〜80℃で1時間以上、80℃で2時間維持、80℃〜室温で2時間。ポリマービーズを管から単離し、イソプロピルアルコール、エタノール、および水で洗浄した。減圧下、ビーズを室温で乾燥させた。
【0279】
図3は、反応から得られたビーズを示し、顕微鏡写真A1は、他の条件下で調製したビーズよりも粗雑な表面構造を示す。顕微鏡写真A2〜A6において、ジクロロエタンの濃度が、プロセスにおいて増加している。図3のA2〜A6における走査型電子顕微鏡(SEM)結果を検討すると、粗雑な表面から平滑な表面への進行がある。さらに、ジクロロエタンを含有した反応物は、ジクロロエタンを含有しない反応(試料11A1)と比較して、より透明な水相を有した。溶媒の存在下で調製したビーズの精製および後次の単離後、ビーズは透明に見え、それらの表面は光を反射した(光って見えた)。これは、溶媒なしで調製したビーズ(ビーズは白く見え、マットな(非反射)表面を有した)とは対照的であった。
【0280】
実施例12:ビーズの表面の粗さに影響を及ぼすための塩析プロセスの使用
一連の平行重合実験を、MeFAモノマーを用い、反応全体で塩勾配を使用して実行し、懸濁液重合の水相におけるMeFAの溶解性を減少させた。実施例11に記載されるように、重合反応混合物は、液分ロボットを使用して調製した。塩化ナトリウム(NaCl)、水、メチルヒドロキシエチルセルロース(MWn723,000)、NaHPO・7HO、NaHPO・HO、およびNaNOのストック水溶液を調製した。液分ロボットを使用して、これを試験管に分注し、各管が表20に示される反応物の量を含むようにした。メチルフルオロアクリレート、ジビニルベンゼン、オクタジエン、過酸化オクタジエンから成る有機組成物のストック溶液を調製し、液分ロボットを使用して送達した。Walocel(登録商標)は、精製されたナトリウムカルボキシメチルセルロースであり、界面活性剤として購入し、受け取った状態で使用した。ジクロロエタンも管に添加し、各構成要素の重量(g)が表22に記載の値と一致するようにした(すべての単位はグラム(g)重量である)。
【0281】
【表22】

【0282】
完全な反応混合物の入った管を、米国特許第6,994,827号に記載されるような、オーバーヘッド撹拌器を備える平行反応器に設置した。撹拌速度は、300rpmに設定した。窒素を反応上に10分間吹きかけ、窒素のブランケットを反応全体で維持した。以下の加熱プロファイルを使用した:室温〜55℃で1時間以上、55℃で4時間維持、55℃〜80℃で1時間以上、80℃で2時間維持、80℃〜室温で2時間。ビーズを管から単離し、イソプロピルアルコール、エタノール、および水で洗浄した。減圧下、ビーズを室温で乾燥させた。
【0283】
反応から得たビーズを精製した後、SEMを使用して、ビーズの表面形態を検討した。図4が示すように、反応B1からのビーズは、粗雑な表面構造を有した。B1〜B8を見ると、塩化ナトリウムの濃度は、水相において、3重量%から13重量%に増加した。より高い塩化ナトリウム濃度で実行されたビーズの表面については、より均一な表面構造が認められた(例えば、SEMB7およびB8)。
【0284】
実施例13:ヒト臨床研究
パートA:
メチル2−フルオロアクリレート(MeFA)を購入し、使用前に真空蒸留した。ジビニルベンゼン(DVB)をAldrichから、工業銘柄80%異性体の混合物として購入し、受け取った状態で使用した。1,7−オクタジエン(ODE)、過酸化ラウロイル(LPO)、ポリビニルアルコール(PVA)(通常モル重量85,000〜146,000、87〜89%加水分解)、塩化ナトリウム(NaCl)、リン酸二ナトリウム七水和物(NaHPO・7HO)およびリン酸一ナトリウム一水和物(NaHPO・HO)を商業供給元から購入し、受け取った状態で使用した。
【0285】
適切な撹拌器および他の装置を備えた適切なサイズの反応器において、メチル2−フルオロアクリレート、1,7−オクタジエン、およびジビニルベンゼンを混合することによって、モノマーの有機相の90:5:5重量比混合物を調製した。過酸化ラウロイルの半量を、重合反応の開始剤として添加した。安定化水相は、水、ポリビニルアルコール、リン酸、塩化ナトリウム、および亜硝酸ナトリウムから調製した。温度を30℃以下に維持しながら、窒素下、大気圧で水相およびモノマー相を一緒に混合した。連続的に撹拌しながら、反応混合物を徐々に加熱した。一旦、重合反応が開始すると、反応混合物の温度は、最大95℃まで上昇させた。
【0286】
重合反応の完了後、反応混合物を冷却し、水相を除去した。水を添加し、混合液を撹拌して、固形物をろ過によって単離した。次に、固形物を水で洗浄し、架橋(メチル2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンポリマーを得た。(メチル2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンコポリマーを、過剰な水酸化ナトリウム水溶液を用いて、90℃で24時間加水分解し、(ナトリウム2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンポリマーを得た。加水分解後、固形物をろ過し、水で洗浄した。(ナトリウム2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンポリマーを室温で過剰な塩化カルシウム溶液に暴露し、不溶性の架橋(カルシウム2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンポリマーを得た。
【0287】
カルシウムイオン交換後、大気温度で、湿式ポリマーをソルビトールの25〜30%w/w水溶液でスラリー化し、ソルビトール負荷ポリマーを得た。過剰なソルビトールは、ろ過によって除去する。得られるポリマーは、所望の水分含有量(10〜25w/w%)に到達するまで、20〜30℃で乾燥させる。これは、ソルビトール負荷、架橋(カルシウム2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンポリマーをもたらす。
【0288】
パートB:
この研究の目的は、この実施例のパートAから得たポリマーの1日1回、1日2回、および1日3回投与の等価を評価することであった。4日間食事を管理した後、12名の健康なボランティアを非盲検、複数投与クロスオーバー研究においてランダム化した。ポリマーを水性懸濁液として、30グラム(g)を1日1回6日間、15gを1日2回6日間、および10gを1日3回6日間、ランダムに割り当てられた順序で、6つの投与シーケンスのうちの1つに基づいて経口投与した。研究室および副作用評価を研究全体で行い、安全性と耐容性を監視した。対象は、研究期間の間、制御された食事を摂取するように求められた。所定の研究日に、便および尿を24時間間隔で採取し、カリウム排出を評価した。
【0289】
対象は、有意な医学的疾患歴のない、10歳〜55歳の健康な成人男性または女性であり、スクリーニング訪問時の体重指数は19〜29kg/m、血清カリウム値は4.0より大かつ5.0mEq/L以下、および血清マグネシウム、カルシウム、およびナトリウムレベルは正常範囲内であった。妊娠の可能性のある女性は、非妊娠かつ非授乳である必要があり、研究の間および前後は、極めて有効な形態の避妊を使用しなければならない。
【0290】
30gのポリマーを6日間、それぞれ30gを1日1回、15gを1日2回、または10gを1日3回の複数回投与は、十分に忍容された。重篤な副作用は報告されず、すべての副作用は、重篤度において軽度または中度であった。カリウムの便および尿排出に対する効果は明らかであった。
【0291】
便カリウム排出について、平均日値およびベースライン値からの変化は、すべての3つの投与レジメンに対して有意に増加した。ポリマーを1日1回摂取したボランティアは、実質的に同一量の同一ポリマーを1日3回摂取したボランティアの便カリウムの量の82.8%を排出した。ポリマーを1日2回摂取したボランティアは、実質的に同一量の同一ポリマーを1日3回摂取したボランティアの便カリウム量の91.5%を排出したことも示された。尿カリウム排出について、平均日値およびベースライン値からの変化は、すべての3つの投与レジメンに対して有意に減少した。驚くべきことに、3つの投与レジメン間で統計的に有意な差はなかった。
【0292】
耐容性に関して、1日1回投与または1日2回投与を受けた12名の対象のうちの2名は、軽度または中度の胃腸副作用を報告した(鼓腸、下痢、腹痛、便秘、胃炎、吐き気、および/または嘔吐)。また12名の対象のうちの2名は、ベースライン制御ダイエットにおいて、軽度または中度の胃腸副作用を報告した。したがって、これらの対象のうちの16.7%未満は、軽度または中度の胃腸副作用を報告し、本明細書でしようされるように、1日1回または2回の投与は、十分に耐容されたことを示した。投与レジメンのいずれでも、またはベースラインにおいて、深刻な胃腸副作用を報告した対象はいなかった。
【0293】
パートC:
別の研究を行って、ソルビトール負荷がないことを除いて、この実施例のパートAに記載されるものと同一である結合ポリマーの安全性と有効性を評価した。18歳から55歳までの33人の健康な対象(男性26および女性7)が、二重盲検、ランダム化平行群研究において、ポリマーまたはプラセボの単回および複数回投与を受けた。ポリマーを摂取する、またはプラセボを一致させる4つの処置群のうちの1つにそれぞれ8名の対象をランダムに割り当てた。対象は、1、5、10、または20gのポリマーまたはプラセボを、研究1日目に単回投与され、その後7日間の食事管理を受けた後、続いて、8日間、1日3回投与を受けた。対象は、研究の期間中、管理された食事を食べる必要があった。
【0294】
ポリマーは、すべての対象によって十分に耐容された。深刻な副作用は発生しなかった。報告された胃腸副作用は、1名の対象に対して、重篤度で軽度から中度であった。胃腸または全身副作用の報告において、明らかな用量応答関係はなく、プラセボと比較して、副作用の報告の増加はなかった。
【0295】
複数回投与の研究期間の最後に、用量応答効果は、カリウムの便および尿排出に関して明らかであった。便カリウム排出について、平均日値およびベースライン値からの変化は、用量関連様式で有意に増加した。尿カリウム排出について、平均日値およびベースライン値からの変化は、用量関連様式で減少した。
【0296】
パートCとパートBを比較すると、ソルビトール負荷した(パートB)同一量のポリマーを摂取したボランティアは、ソルビトール負荷していないポリマー(パートC)を摂取したボランティアと比較して、約20%多くカリウムを便排出した。
【0297】
実施例14:試料Aの調製
適切な撹拌器および他の装置を備える2L反応器において、2−フルオロアクリレート(約0.24kg)、1,7−オクタジエン(約0.0124kg)、およびジビニルベンゼン(約0.0124kg)を混合することによって、モノマーの有機相の180:10:10重量比を調製した。1の割合の過酸化ラウロイル(約0.0012kg)を重合反応の開始剤として添加した。安定化水相は、水、ポリビニルアルコール、リン酸、塩化ナトリウム、および亜硝酸ナトリウムから調製した。温度を30℃以下に維持しながら、窒素下、大気圧で、水相およびモノマー相を一緒に混合した。連続的に撹拌しながら、反応混合液を徐々に加熱した。一旦、重合反応が開始すると、反応混合物の温度を最大95℃まで上昇させた。重合反応の完了後、反応混合物を冷却し、水相を除去した。水を添加し、混合液を撹拌して、固形物をろ過によって単離した後、水で洗浄した。
【0298】
重合反応をさらに5回繰り返し、バッチからのポリマーを一緒に合わせて、約1.7kgの架橋(メチル2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンポリマーを得た。(メチル2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンポリマーを、過剰な塩酸およびイソプロパノール水溶液を用いて、65℃で24時間加水分解し、(ナトリウム2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンポリマーを得た。加水分解後、固形物をろ過し、水で洗浄した。(ナトリウム2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンポリマーを室温で、過剰な塩化カルシウム水溶液に暴露し、不溶性の架橋(カルシウム2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンポリマーを得た。カルシウムイオン交換後、試料A−Ca生成物を水で洗浄し、乾燥させた。
【0299】
ポリマーのナトリウム形態を調製するために、上記から10グラムの樹脂を250mLボトルに入れ、200mlの1N塩酸(HCl)を添加し、混合液を約10分間回転させることによって撹拌した。ビーズを沈殿させ、上澄みを移して、手順を繰り返した。酸を移した後、ビーズを約200mLの水で1回、次に、200mLの1M水酸化ナトリウム(NaOH)で2回、約10分間洗浄した。次に、再度200mLの水でビーズを洗浄し、最後に、フリット漏斗に移し、1Lの脱イオン水で(吸引により)洗浄した。得られるケーキを一晩60℃で乾燥させて、試料A−Naを得た。
【0300】
実施例15:エクスビボカリウム結合研究
実施例14からの試料A−Naおよび試料A−Caによるカリウム結合を、エクスビボヒト便および結腸抽出物中で評価した。2つの便試料、および人口肛門袋の使用によって得られた1つの結腸試料は、3人のヒトボランティアから提供された。試料を遠心分離し、得られた上澄みを単離して、結合研究の試験媒体として使用した。試料Aは、ナトリウム形態およびカルシウム形態の両方で、抽出試料に20mg/mLで添加し、24時間37℃で培養した。カリウムの結合ならびに抽出物中に存在する他の陽イオンは、試料A1グラムあたりで決定した。
【0301】
両試験剤は、使用前に凍結乾燥によって乾燥させた。3つの抽出物から、ナトリウム形態(試料A−Na)は、1グラム当たり平均1.54ミリ等量(mEq)結合および除去されたが、カルシウム形態(試料A−Ca)は、1グラム当たり平均0.85mEqカリウム結合した。
【0302】
便試料は、2人の健康な男性ボランティアから提供され(対象#1および#2)、それぞれ36歳と33歳の西洋系および東洋系であった。便試料は、1ガロンのZiplocバッグに採取および即時に混合されて、遠心分離管に移された。結腸試料は、人口肛門袋の使用によって、81歳の西洋系女性ドナー(対照#3)から提供された。人口肛門袋の内容物は、ドライアイス上で搬送され、解凍、混合して、遠心分離管に移された。便および結腸試料を、21,000rpmで20時間、4℃で遠心分離した(Beckman−Coulter Avanti J−E遠心分離におけるBeckman JS−25.50ロータ)。得られる上澄みを対象ごとに貯蔵し、Nalgene0.2μm使い捨てフィルタ単位を使用してろ過した。次に、便および結腸抽出物を新鮮なまま使用するか、または必要になるまで−20℃で冷凍した。
【0303】
便および結腸抽出物における試料Aの陽イオン結合の決定方法。便および結腸抽出物を室温の水浴で解凍し、磁気撹拌プレートで撹拌した。ペニシリンG/ストレプトマイシン(Gibco、15140−122)(1/100量の100xストック溶液)、および亜鉛ナトリウム(1/1000量の10%ストック溶液)を各抽出試料に添加し、アッセイ中の細菌または真菌の増殖を抑制した。試料A−Naおよび試料A−Caを16x100mmガラス管に重複して添加し、各管に140〜170mgの乾燥し、正確に計量した試料を入れた。撹拌しながら、便または結腸抽出物を管に分注し、抽出物mL当たり20mgの試験試料の最終濃度を形成した。各抽出物は、試験試料を含まない重複管に追加で分注した。すべての管を密閉し、24時間37℃で培養し、回転式ミキサーで回転させた。培養後、25μLの各試料を475μLのMilli−Q精製水で希釈した(1:20希釈)。次に、希釈した試料を13,200rpmで、Microcon YM−3フィルターユニット(3000MWCO)を通して、1時間、遠心分離によってろ過した。ろ液を1mLの96ウェルプレートに移し、イオンクロマトグラフィによって陽イオン濃度の分析に提出した。
【0304】
便および結腸抽出物中の陽イオン濃度を測定するためのイオンクロマトグラフィ方法。便および結腸抽出試料中の陽イオン濃度は、Dionex WPS3000オートサンプラー、DS3電導度フローセルおよびCSRS−UltraII4mmサプレッサを備える、Dionex ICS2000システム上で、強力陽イオン交換カラムセット(Dionex CG16 50x5mm IDおよびCS16 250x5mm ID)を使用して分析した。イオンクロマトグラフィ検出方法は、1mL/分の流速で30mMメタンスルホン酸を使用する、定組成溶離を含み、合計実行時間は、試料当たり30分であった。
【0305】
データ分析。陽イオン結合は、イオンの(Cstart−Ceq)/20*原子価として計算し、式中、Cstartは、便または結腸抽出物中の陽イオンの開始濃度(mM)であり、Ceqは、試験剤に対する暴露後の平衡で、試料中に残存する陽イオンの濃度(mM)であり、20は、試験剤の濃度に対応する(mg/mL)。イオンの原子価で掛けることによって(カリウム、アンモニウム、およびナトリウムの場合1、カルシウムおよびマグネシウムの場合2)、試験剤1グラム当たりのイオン結合のミリ等量(mEq)で表される結合値が得られる。すべての試料は、平均(Avg)、±標準偏差(SD)として報告される値を用いて、重複して試験した。
【0306】
【表23】

【0307】
カリウム結合(mEq/g)を、2つのヒト便抽出物および1つの結腸抽出物における24時間培養後に、カルシウムおよびナトリウム負荷した試料Aに対して決定した。3つの抽出試料における初期カリウムレベルは、92.7mM〜128.8mMの範囲であった。20mg/mlのナトリウム負荷した試料A−Naを添加して、抽出物中のナトリウム濃度は、約28%減少した。ポリマー1グラム当たりのカリウム結合は、平均1.54mEq/gであった。カルシウム負荷試料A−Ca結合は、平均0.85mEq/gであった。
【0308】
実施例16:ブタモデル陽イオン結合研究
腎機能の正常なブタをモデルとして使用し、胃腸管からのカリウムの結合および除去におけるCa(ポリFAA)の医薬効果を評価した。ブタとヒトの胃腸管のよく知られた類似性に基づいて、ブタモデルを使用する。1日当たり1g/体重1kgの濃度でCa(ポリFAA)を補充した食餌をブタに与えた。対照として、ブタにCa(ポリFAA)を含まない食餌を与えた。
【0309】
材料。実施例14に記載されるのと同様の方法を使用して、Ca(ポリFAA)を合成し、そのカルシウム形態で使用した。酸化鉄(Fisher Scientificから購入)、ロット番号046168を、不消化マーカーとして添加した。酸化鉄は、各動物の胃腸管を通した、消化物の通過速度を決定するために、常に目に見えるマーカーとして使用した。
【0310】
動物。14匹の約9週齢に飼育された体重約25kgの去勢ブタ(Camborough15または22damsxTerminal Sire boars、PIC Canada Inc.)を本研究に使用した。実験の開始時に、14匹のブタの体重を測定し、体重によって対照と処置群とにランダム割り当てした。実験は、2つの食餌期間に分割した。第1の期間は、順化期間(D(−7)〜D(−1))、および第2の期間は、試験期間(D(1)〜D(9))である。
【0311】
順化期間前に、ブタに標準製品の食餌を与えた。順化期間中に、標準製品の飼育食餌に対する比率として、漸増量の対照食餌を徐々に与えた。
【0312】
同日に、酸化鉄をブタに与え、7匹の試験ブタを試験食餌に切り替えた。対照ブタは、対象(順化)食餌で維持した。試験食餌は、10日間(D(1)〜D(10))与えられた。研究全体を通して、個別のブタに与えられる1日の許容量を2つの等量サイズに分割し、08:30および15:30頃に与えた。1日の食餌許容量が与えられると、それを完食するようにブタを訓練し、食べられなかった食餌は計量し、次の食餌前に除去した。
【0313】
尿の採取。尿の採取は、D(1)に酸化鉄のボーラスを提供することとともに開始した。各日の試料は、各ブタに分けて保管した。尿の採取の完了に続いて、各ブタの1日の試料を解凍し、十分に混合して、副標本をとった。以下に記載されるような電解質濃度に関して、各ブタの24時間試料の少なくとも10mLの副標本を分析した。
【0314】
便の採取。便の採取は、D(1)に酸化鉄ボーラスを提供することとともに開始した。各日の試料は、各ブタに分けて保管した。
【0315】
尿電解質。尿試料を解凍し、50mM塩酸中で30倍に希釈した後、ろ過した(Whatman0.45ミクロンPPフィルタープレート、1000xg10分)。これらの尿試料中の陽イオン濃度は、Dionex AS50オートサンプラー、DS3電導度フローセルおよびCSRS−UltraII4mmサプレッサを備える、Dionex ICS2000システム上で、強力陽イオン交換カラムセット(Dionex CG16 50x5mm IDおよびCS16 250x5mm ID)を使用して分析した。イオンクロマトグラフィ検出方法は、1mL/分の流速で31mMメタンスルホン酸を使用する、定組成溶離を含み、合計実行時間は、試料当たり33分であった。
【0316】
便電解質。15mLの円錐管に、200mgの便および10mLの1M 塩酸を添加した。便混合物を室温で約40時間、回転式ミキサー上で培養した。遠心分離(2000xg、15分)および次にろ過(Whatman0.45ミクロンPPフィルタープレート、1000xg10分)後、便上澄みの試料を単離した。ろ液は、Milli−Q水で2倍に希釈した。
【0317】
誘導的に結合したプラズマ光学発光分析法(ICP−OES)によって、Thermo Intrepid II XSP Radial Viewを使用して、希釈したろ液陽イオン含有量を測定した。蠕動ポンプおよびCETAC ASX−510オートサンプラーを使用して、試料をスプレー室に注入した。内部標準、イットリウム(1M塩酸中の10ppm)を用いて、試料フローならびにプラズマ条件の変動を訂正した。カリウムの定量に使用した発光ラインは、7664nm(内部標準437.4nm)であった。
【0318】
データ分析。便電解質は、以下の等式を使用して、1日当たりのミリ等量(mEq/日)で計算した。
【0319】
【数5】

【0320】
上記等式において、mEq/L電解質は、希釈因子および原子価の調整後、ICPスペクトロメトリによって報告される電解質の濃度であり、1日当たりの総便量は、凍結乾燥後24時間に採取した便のグラム量である。
【0321】
尿電解質は、1日当たり排出されたmEq電解質(mEq/日)において、以下の等式(1L当たりのmEq電解質)*(24時間の尿量)を使用して計算した。データは、平均±標準偏差を使用し、および/またはスキャタープロットによって提示した。統計分析は、GraphPad Prism、バージョン4.03において行った。尿および便分析について、可能性(p)値は、両側t検定を使用して計算し、Ca(ポリFAA)処置群を非処置群と比較した。統計的有意性は、計算したp値が0.05未満である場合に示された。
【0322】
便分析について、各群からの平均結果は、各動物の処置3日〜8日の合計mEq/日電解質値を平均し、次に、各処置群に対してこの結果を平均することによって決定した。この方法は、尿電解質にも用いたが、各動物の平均は、処置(1)日〜(8)日であった。
【0323】
GI移行時間。便中の赤色の出現に基づいて、研究の(1)日目に投与した酸化鉄マーカーの移行時間を表24に示す。どのブタにおいても、移行時間は60時間を超えなかった。したがって、3日以降の便は、陽イオン含有量について評価した。
【0324】
【表24】

【0325】
便電解質。1日目に、便に酸化鉄の存在が見られる前に、収集した試料中のベースライン便陽イオンを測定した。ベースライン便カリウム値は、表25に要約される。処置3〜8日の便カリウム値は、表26に要約される。Ca(ポリFAA)処置したブタは、非処置群よりも著しく高いレベルの便カリウム排出を有した(p<0.05)。
【0326】
【表25】

【0327】
【表26】

【0328】
尿電解質。ベースライン尿電解質測定値は取られなかった。処置1〜8日の尿電解質値は、表27に要約される。
【0329】
【表27】

【0330】
本発明またはその実施形態の要素が続く場合場合、「a」、「an」、「the」および「said」という冠詞は、要素が1つ以上存在することを意味するものである。「comprising(含む)」、「including(含む)」、および「having(有する)」という用語は、包括的であることが意図され、リストされる要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。
【0331】
上記を考慮すると、本発明のいくつかの目的が達成され、他の有利な結果が得られることがわかるであろう。
【0332】
本発明の範囲から逸脱することなく、上記の組成物および方法において様々な変更を行うことができるため、上記説明に含まれるすべての事項は、例証として解釈されるべきであり、制限的意味を有しないことが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋陽イオン交換ポリマー塩を含む医薬組成物であって、かつ前記組成物の総重量に基づいて、約10重量%〜約40重量%の線状ポリオールを含み、前記架橋陽イオン交換ポリマーは、式1および2、式1および3、または式1、2、および3に対応する構造単位を含み、
式1、式2、および式3は、以下の構造によって表され、
【化26】

式中、
およびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、
は、カルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸であり、
は、アリーレンであり、
は、アルキレン、エーテル部分、またはアミド部分である、
医薬組成物。
【請求項2】
架橋陽イオン交換ポリマー塩および線状ポリオールを含む医薬組成物であって、前記架橋陽イオン交換ポリマーは、式1および2、式1および3、または式1、2、および3に対応する構造単位を含み、
式1、式2、および式3は、以下の構造によって表され、
【化27】

式中、
およびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、
は、カルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸であり、
は、アリーレンであり、
は、アルキレン、エーテル部分、またはアミド部分であり、
前記線状ポリオールは、同一温度および貯蔵時間で、線状ポリオールを含有しないこと以外は同一の組成物と比較して、貯蔵時の前記陽イオン交換ポリマーからのフッ化物イオンの放出を減少させるために十分な量で、前記組成物中に存在し、貯蔵後の前記組成物中の無機フッ素は、1000ppm以下である、医薬組成物。
【請求項3】
式1、2、および3によって表される前記構造単位は、以下の構造
【化28】

によって表される、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記ポリマーは、式1、2および3に対応する構造単位を含む、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
(i)式1に対応する前記構造単位が、重合反応において使用されるモノマーの量から計算される、前記ポリマー中の式1、2、および3の構造単位の総重量に基づいて、少なくとも約85重量%を占め、式2に対応する前記構造単位対式3に対応する前記構造単位の重量比が、約4:1〜約1:4であるか、または
(ii)前記ポリマー中の式1の前記構造単位のモル分率が、重合反応において使用されるモノマーの量から計算される、式1、2、および3の前記構造単位のモルの総数に基づいて、少なくとも約0.87であり、式2の前記構造単位対式3の前記構造単位のモル比が、約0.2:1〜約7:1であるか、
のいずれかである、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記ポリマーは、式1および2に対応する構造単位を含む、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記ポリマーは、式1および3に対応する構造単位を含む、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
架橋陽イオン交換ポリマー塩を含む医薬組成物であって、かつ前記組成物の総重量に基づいて、約10重量%〜約40重量%の線状ポリオールを含み、前記架橋陽イオン交換ポリマーは、(i)式11および式22、(ii)式11および33、または(iii)式11、22、および33のうちのいずれかのモノマーを含む、重合混合物の反応生成物であり、
式11、式22、および式33は、以下の構造によって表され、
【化29】

式中、
およびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、
11は、任意で保護されているカルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸であり、
は、アリーレンであり、
は、アルキレン、エーテル部分、またはアミド部分である、
医薬組成物。
【請求項9】
架橋陽イオン交換ポリマー塩および線状ポリオールを含む医薬組成物であって、前記架橋陽イオン交換ポリマーは、(i)式11および22、(ii)式11および33、または(iii)式11、22、および33のうちのいずれかのモノマーを含む、重合混合物の反応生成物であり、
前記線状ポリオールは、同一温度および貯蔵時間で、線状ポリオールを含有しないこと以外は同一の組成物と比較して、貯蔵時の前記ポリマーからのフッ化物イオンの前記放出を減少させるために十分な量で、前記組成物中に存在し、貯蔵後の前記組成物中の無機フッ素は、1000ppm以下であり、かつ
式11、式22、および式33は、以下の構造によって表され、
【化30】

式中、
およびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、
11は、任意で保護されているカルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸であり、
は、アリーレンであり、
はアルキレン、エーテル部分、またはアミド部分である、
医薬組成物。
【請求項10】
11は、保護されているカルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸である、請求項8または9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
式11、22、および33は、以下の構造によって表される、
【化31】

請求項8〜10のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記ポリマーは、式11、22、および33に対応する構造単位を含む、請求項8〜10のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
(i)式11に対応するモノマーは、重合混合物中の式11、22、および33のモノマーの総重量に基づいて、少なくとも約85重量%を占め、式22に対応するモノマー対式33に対応するモノマーの重量比は、約4:1〜約1:4であるか、または
(ii)重合混合物中の式11のモノマーのモル分率は、式11、22、および33のモノマーのモル総数に基づいて、少なくとも約0.87であり、重合混合物における式22のモノマー対式33のモノマーのモル比は、約0.2:1〜約7:1であるか、のいずれかである、
請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記ポリマーは、式11および22に対応する構造単位を含む、請求項8〜11のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記ポリマーは、式11および33に対応する構造単位を含む、請求項8〜11のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記陽イオン交換ポリマーは、加水分解、イオン交換、または加水分解およびイオン交換を経る、請求項8〜15のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記重合混合物は、重合開始剤をさらに含む、請求項8〜16のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記架橋陽イオン交換ポリマーは、(1)重合開始剤と(i)式11および22、(ii)式11および33、または(iii)式11、22、および33のうちのいずれかの前記モノマーとの、そして(2)加水分解剤との反応の生成物である、請求項8〜17のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記エーテル部分は、−(CH−O−(CH−または−(CH−O−(CH−O−(CH−であり、式中、dおよびeは独立して、1〜5の整数であるか、または前記アミド部分は、−C(O)−NH−(CH−NH−C(O)−であり、式中、pは1〜8の整数である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
11は、カルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸である、請求項8〜19のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記重合混合物は、重合開始剤を含まない、請求項8〜20のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記加水分解剤は、強塩基である、請求項18〜21のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記塩の前記陽イオンは、カルシウム、ナトリウム、またはそれらの組み合わせである、請求項1〜22のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記塩の前記陽イオンは、カルシウムである、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記組成物は、前記組成物の総重量に基づいて、約15重量%〜約35重量%の線状ポリオールを含む、請求項1〜24のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記線状ポリオールは、アラビトール、エリトリトール、グリセロール、マルチトール、マンニトール、リビトール、ソルビトール、キシリトール、トレイトール、ガラクチトール、イソマルト、イジトール、ラクチトール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜25のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記線状ポリオールは、アラビトール、エリトリトール、グリセロール、マツチトール、マンニトール、リビトール、ソルビトール、キシリトール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜25のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記線状ポリオールは、ソルビトール、キシリトール、またはそれらの組み合わせである、請求項1〜25のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
線状ポリオールの前記組成物、ポリマー、および水分または水の総重量に基づいて、10重量%〜25重量%の水分または水をさらに含む、請求項1〜28のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項30】
貯蔵後の前記組成物中の無機フッ素は、1000ppm以下である、請求項1、3〜8および10〜29のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項31】
無機フッ素の濃度は、約40℃で約6週間の貯蔵後、約1000ppm未満である、請求項1〜29のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項32】
無機フッ素の濃度は、約25℃で約6週間の貯蔵後、約500ppm未満である、請求項1〜29のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
無機フッ素の濃度は、約5℃で約6週間の貯蔵後、約300ppm未満である、請求項1〜29のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項34】
、R、X、およびXは非置換である、請求項1〜33のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項35】
胃腸管からカリウムを除去するための医薬組成物であって、前記治療は、請求項1〜34のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物を、それを必要とする動物対象に投与することを含み、それによって、前記医薬組成物は、前記対象の前記胃腸管を通過し、治療上有効量のカリウムイオンを、前記対象の前記胃腸管から除去する、医薬組成物。
【請求項36】
胃腸管からカリウムを除去するための架橋陽イオン交換ポリマーまたは医薬組成物であって、前記治療は、架橋陽イオン交換ポリマーまたは請求項1〜34のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物を、それを必要とする動物対象に1日1回投与することを含み、前記ポリマーの1日量は、1日3回投与される同一ポリマーの同一日量の少なくとも75%のカリウム結合能力を有する。
【請求項37】
前記ポリマーは、式1および2、式1および3、または式1、2、および3に対応する構造単位を含み、式1、式2、および式3は、以下の構造によって表され、
【化32】

式中、
およびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、
は、カルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸であり、
は、アリーレンであり、
は、アルキレン、エーテル部分、またはアミド部分である、
請求項36に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項38】
前記ポリマーは、(i)式11および22、(ii)式11および33、または(iii)式11、22、および33のうちのいずれかのモノマーを含む、重合混合物の反応生成物であり、式11、式22、および式33は、以下の構造によって表され、
【化33】

式中、
およびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、
11は、任意で保護されているカルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸であり、
は、アリーレンであり、
は、アルキレン、エーテル部分、またはアミド部分である、
請求項36に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項39】
胃腸管からカリウムを除去するための架橋陽イオン交換ポリマーまたは医薬組成物であって、前記治療は、有効量の架橋陽イオン交換ポリマーまたは請求項1〜7、および23〜34のうちのいずれか1項に記載の医薬組成物を、それを必要とする動物対象に1日1回投与することを含み、前記ポリマーまたは前記組成物を1日1回摂取する対象の25%未満が、軽度または中度の胃腸副作用を経験し、前記ポリマーは、式1および2、式1および3、または式1、2、および3に対応する構造単位を含み、式1、式2、および式3は、以下の構造によって表され、
【化34】

式中、
およびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、
は、カルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸であり、
は、アリーレンであり、
は、アルキレン、エーテル部分、またはアミド部分である、
架橋陽イオン交換ポリマーまたは医薬組成物。
【請求項40】
前記胃腸管からカリウムを除去するための架橋陽イオン交換ポリマーまたは医薬組成物であって、前記処置は、有効量の架橋陽イオン交換ポリマーまたは請求項8〜34のうちのいずれか1項に記載の前記医薬組成物を、それを必要とする動物対象に1日1回投与することを含み、前記ポリマーまたは前記組成物を1日1回摂取する対象の25%未満が、軽度または中度の胃腸副作用を経験し、前記ポリマーは、(i)式11および22、(ii)式11および33、または(iii)式11、22、および33のうちのいずれかのモノマーを含む重合混合物の反応生成物であり、式11、式22、および式33は、以下の構造によって表され、
【化35】

式中、
およびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、
11は、任意で保護されているカルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸であり、
は、アリーレンであり、
は、アルキレン、エーテル部分、またはアミド部分である、
架橋陽イオン交換ポリマーまたは医薬組成物。
【請求項41】
前記ポリマーまたは前記組成物は、1日2回投与される、請求項36〜40のうちのいずれか1項に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項42】
前記ポリマーまたは前記組成物は、1日2回投与され、前記ポリマーまたは前記組成物を1日2回摂取する対象の25%未満は、中度または軽度の胃腸副作用を経験する、請求項39または40に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項43】
1日2回投与される前記日量の前記ポリマーまたは前記組成物は、1日3回投与される同一日量の同一ポリマーまたは同一組成物の少なくとも85%のカリウム結合能力を有する、請求項41または42に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項44】
1日2回投与される前記日量の前記ポリマーまたは前記組成物は、1日3回投与される同一日量の同一ポリマーまたは同一組成物の少なくとも95%のカリウム結合能力を有する、請求項41または42に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項45】
1日1回または1日2回、前記ポリマーまたは組成物を摂取する対象の17%未満が、軽度または中度の胃腸副作用を経験する、請求項39〜44のうちのいずれか1項に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項46】
1日1回または1日2回、前記ポリマーまたは組成物を摂取する前記動物対象は、深刻な胃腸副作用を経験しない、請求項39〜44のうちのいずれか1項に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項47】
1日1回または1日2回投与される前記ポリマーまたは前記組成物は、1日3回投与される場合と同一日量の同一ポリマーまたは同一組成物とほぼ実質的に同一の耐容性を有する、請求項39〜46のうちのいずれか1項に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項48】
11は、保護されているカルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸である、請求項38および40〜47のうちのいずれか1項に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項49】
1日1回投与される前記日量の前記ポリマーまたは前記組成物は、1日3回投与される前記同一日量の前記同一ポリマーまたは前記同一組成物の少なくとも85%のカリウム結合能力を有する、請求項35〜48のうちのいずれか1項に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項50】
1日1回投与される前記日量の前記ポリマーまたは前記組成物は、1日3回投与される前記同一日量の前記同一ポリマーまたは前記同一組成物の少なくとも95%のカリウム結合能力を有する、請求項35〜48のうちのいずれか1項に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項51】
前記重合混合物は、重合開始剤をさらに含む、請求項38および40〜50のうちのいずれか1項に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項52】
前記架橋陽イオン交換ポリマーは、(1)重合開始剤および(i)式11および22、(ii)式11および33、または(iii)式11、22、および33のうちのいずれかの前記モノマー、および(2)加水分解剤の反応の生成物である、請求項38および40〜51のうちのいずれか1項に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項53】
前記エーテル部分は、−(CH−O−(CH−または−(CH−O−(CH−O−(CH−であり、式中、dおよびeは独立して、1〜5の整数であるか、または前記アミド部分は、−C(O)−NH−(CH−NH−C(O)−であり、式中、pは1〜8の整数である、請求項52に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項54】
11は、カルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸である、請求項38および40〜53のうちのいずれか1項に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項55】
前記重合混合物は、重合開始剤を含まない、請求項38および40〜54のうちのいずれか1項に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項56】
前記胃腸管からカリウムを除去するための線状ポリオール安定化架橋脂肪族カルボン酸ポリマーであって、前記治療は、有効量の線状ポリオール安定化架橋脂肪族カルボン酸ポリマーを投与することを含み、線状ポリオールによる安定化なしの、同一用量および同一投与頻度の同一ポリマーと比較して、約5%多くのカリウムを抽出する、線状ポリオール安定化架橋脂肪族カルボン酸ポリマー。
【請求項57】
前記安定化ポリマーは、線状ポリオールによる安定化なしの、同一用量および同一投与頻度の同一ポリマーと比較して、約10%多くのカリウムを前記対象から抽出する、請求項56に記載のポリマー。
【請求項58】
前記安定化ポリマーは、線状ポリオールによる安定化なしの、同一用量および同一投与頻度の同一ポリマーと比較して、約15%多くのカリウムを前記対象から抽出する、請求項56に記載のポリマー。
【請求項59】
前記安定化ポリマーは、線状ポリオールによる安定化なしの、同一用量および同一投与頻度の同一ポリマーと比較して、約20%多くのカリウムを前記対象から抽出する、請求項56に記載のポリマー。
【請求項60】
血清カリウム値は、前記対象において減少する、請求項35〜59に記載のポリマーまたは組成。
【請求項61】
前記対象は、高カリウム血症を経験している、請求項35〜59に記載のポリマーまたは組成。
【請求項62】
前記陽イオン交換ポリマーは、約10g/日〜約30g/日の用量で投与される、請求項34〜61のうちのいずれか1項に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項63】
前記対象は、慢性腎疾患を罹患する、請求項34〜61のうちのいずれか1項に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項64】
前記対象は、鬱血性心不全を罹患する、請求項34〜63のうちのいずれか1項に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項65】
前記対象は、透析を受けている、請求項63または64に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項66】
前記対象はヒトである、請求項34〜65のうちのいずれか1項に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項67】
前記ヒトは、カリウム滞留をもたらす薬剤で治療されている、請求項66に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項68】
前記陽イオン交換ポリマーおよびカリウム滞留をもたらす前記薬剤は、同時に投与される、請求項67に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項69】
カリウム滞留をもたらす前記薬剤は、アンジオテンシン変換酵素阻害剤である、請求項67または68に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項70】
前記アンジオテンシン変換酵素阻害剤は、カプトプリル、ゾフェノプリル、エナラプリル、ラミプリル、キナプリル、ペリンドプリル、リシノプリル、ベナジプリル、ホシノプリル、またはそれらの組み合わせである、請求項69に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項71】
カリウム滞留をもたらす前記薬剤は、アンジオテンシン受容体遮断薬である、請求項67または68に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項72】
前記アンジオテンシン受容体遮断薬は、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、またはそれらの組み合わせである、請求項71に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項73】
カリウム滞留をもたらす前記薬剤は、アルドステロン拮抗剤である、請求項67または68に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項74】
前記アルドステロン拮抗剤は、スピロノラクトン、エプレレノン、またはそれらの組み合わせである、請求項73に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項75】
前記日量は、少なくとも5gの陽イオン交換ポリマーである、請求項35〜74のうちのいずれか1項に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項76】
前記日量は、少なくとも7.5gの陽イオン交換ポリマーである、請求項35〜74のうちのいずれか1項に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項77】
前記日量は、少なくとも10gの陽イオン交換ポリマーである、請求項35〜74のうちのいずれか1項に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項78】
前記日量は、少なくとも15gの陽イオン交換ポリマーである、請求項35〜74のうちのいずれか1項に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項79】
前記陽イオン交換ポリマーは、他の方法で製剤化されていない、請求項35〜78のうちのいずれか1項に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項80】
前記陽イオン交換ポリマーは、実質的に食品と反応しない、請求項35〜79のうちのいずれか1項に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項81】
前記陽イオン交換ポリマーは、ソルビトールを負荷した架橋(カルシウム2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンポリマーである、請求項35〜80のうちのいずれか1項に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項82】
、R、X、Xまたはそれらの任意の組み合わせは、非置換である、請求項35〜81のうちのいずれか1項に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項83】
胃腸管からカリウムを除去するための架橋陽イオン交換ポリマーであって、前記治療は、カリウム結合ポリマーを、それを必要とする動物対象に投与することを含み、前記カリウム結合ポリマーは、酸または塩形態の酸性基を含む架橋陽イオン交換ポリマーであり、、前記カリウム結合ポリマーは、約20μm〜約200μmの平均径を有する、略球状の粒子の形態であり、前記粒子の約4容量%未満が、約10μm未満の直径を有し、前記カリウム結合ポリマーは、約4000Pa未満の沈渣降伏応力、およびポリマー1gあたり10g未満の水の膨張率を有する、架橋陽イオン交換ポリマー。
【請求項84】
胃腸管からカリウムを除去するための架橋陽イオン交換ポリマーであって、前記治療は、カリウム結合ポリマーを、それを必要とする動物対象に投与することを含み、前記カリウム結合ポリマーは、酸または塩形態の酸性基を含む架橋陽イオン交換ポリマーであり、前記カリウム結合ポリマーは、約250μm未満の平均径を有する、略球状の粒子の形態であり、前記粒子の約4容量%未満が、約10μm未満の直径を有し、前記カリウム結合ポリマーは、ポリマー1gあたり10g未満の水の膨張率を有し、ポリマー粒子の水和および沈渣した塊は、約1,000,000Pa・s未満の粘度を有し、前記粘度は、0.01秒−1のせん断速度で測定される、架橋陽イオン交換ポリマー。
【請求項85】
血清カリウム値は、前記対象において減少する、請求項83または84に記載のポリマー。
【請求項86】
前記対象は、高カリウム血症を経験している、請求項83、84、または85に記載のポリマー。
【請求項87】
前記平均径は、約25μm〜約150μmである、請求項83〜86のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項88】
前記平均径は、約50μm〜約125μmである、請求項83〜86のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項89】
前記粒子の約0.5容量%未満が、約10μm未満の直径を有する、請求項83〜88のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項90】
前記粒子の約4容量%未満が、約20μm未満の直径を有する、請求項83〜88のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項91】
前記粒子の約0.5容量%未満が、約20μm未満の直径を有する、請求項83〜88のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項92】
前記粒子の約4容量%未満が、約30μm未満の直径を有する、請求項83〜88のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項93】
前記ポリマーは、約1〜約5の膨張率を有する、請求項83〜92のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項94】
前記ポリマーは、約1〜約3の膨張率を有する、請求項83〜92のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項95】
前記沈渣降伏応力は、4000Pa未満である、請求項84〜94のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項96】
前記沈渣降伏応力は、3000Pa未満である、請求項83〜94のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項97】
前記沈渣降伏応力は、2500Pa未満である、請求項83〜94のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項98】
前記ポリマーの水和および沈殿によって形成される、大量の前記ポリマー粒子は、約1,000,000Pa未満の粘度を有し、前記粘度は、0.01秒−1のせん断速度で測定される、請求項83および85〜97のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項99】
前記沈殿した塊の粒子は、800,000Pa未満の粘度を有する、請求項98に記載のポリマー。
【請求項100】
前記沈殿した塊の粒子は、500,000Pa未満の粘度を有する、請求項98に記載のポリマー。
【請求項101】
乾燥形態の前記ポリマー粒子は、約14未満の圧縮性指数を有し、前記圧縮性指数は、100*(TD−BD)/TDと定義され、BDおよびTDは、それぞれバルク密度およびタップ密度である、請求項83〜100のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項102】
前記圧縮性指数は、約10未満である、請求項101に記載のポリマー。
【請求項103】
前記粒子は、表面特徴の頂上から谷までの平均距離は、約2μm未満である、請求項83〜102のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項104】
前記粒子は、重合後に研磨または粉砕されない、請求項83〜103のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項105】
前記陽イオン交換ポリマーは、その他の方法で製剤化されない、請求項83〜104のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項106】
前記陽イオン交換ポリマーは、実質的に食品と非反応性である、請求項83〜105のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項107】
前記酸性基は、スルホン酸基、硫酸基、カルボン酸、ホスホン酸基、リン酸基、スルファミン酸基、またはそれらの組み合わせである、請求項83〜106のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項108】
前記ポリマーは、1日1回前記対象に投与され、1日1回前記ポリマーを摂取する対象の25%未満が、軽度または中度の胃腸管副作用を経験する、請求項83〜107のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項109】
前記ポリマーは、1日2回前記対象に投与され、1日2回前記ポリマーを摂取する対象の25%未満が、軽度または中度の胃腸副作用を経験する、請求項83〜107のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項110】
1日1回または1日2回、前記ポリマーを摂取する対象の17%未満が、軽度または中度の胃腸副作用を経験する、請求項108または109に記載のポリマー。
【請求項111】
1日1回または1日2回、前記ポリマーを摂取する対象は、深刻な胃腸管副作用を経験しない、請求項110に記載のポリマー。
【請求項112】
1日1回または1日2回投与される前記ポリマーは、1日3回投与される前記同一日量の前記同一ポリマーとほぼ実質的に同一の耐容性を有する、請求項108〜111のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項113】
前記ポリマーは、1日1回前記対象に投与され、1日量の前記ポリマーは、1日3回投与される前記同一量の前記同一ポリマーの少なくとも75%のカリウム結合能力を有する、請求項83〜112のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項114】
前記ポリマーは、1日2回前記対象に投与され、1日量の前記ポリマーは、1日3回投与される前記同一量の前記同一ポリマーの少なくとも75%のカリウム結合能力を有する、請求項83〜112のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項115】
1日1回または2回投与される前記量の前記ポリマーは、1日3回投与される前記同一量の前記同一ポリマーの少なくとも85%のカリウム結合能力を有する、請求項113または114に記載のポリマー。
【請求項116】
1日1回または2回投与される前記量の前記ポリマーは、1日3回投与される前記同一量の前記同一ポリマーの少なくとも95%のカリウム結合能力を有する、請求項113または114に記載のポリマー。
【請求項117】
前記日量は、少なくとも5gの陽イオン交換ポリマーである、請求項108〜116のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項118】
前記日量は、少なくとも7.5gの陽イオン交換ポリマーである、請求項108〜116のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項119】
前記日量は、少なくとも10gのカリウム結合ポリマーである、請求項108〜116のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項120】
前記日量は、少なくとも15gのカリウム結合ポリマーである、請求項108〜116のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項121】
前記陽イオン交換ポリマーは、少なくとも1つの架橋体および少なくとも1つのモノマーに由来し、それらのプロトン化またはイオン化形態で酸性基を含有し、前記酸性基は、スルホン酸、硫酸、カルボン酸、ホスホン酸、リン酸、スルファミン酸、およびそれらの組み合わせから成る群から選択され、前記酸性基のイオン化の分率は、大腸における生理学的pHにおいて、約75%より大きい、請求項83〜120のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項122】
前記陽イオン交換ポリマーは、その塩または酸形態であり、(i)式11および22、(ii)式11および33、または(iii)式11、22、および33のうちのいずれかのモノマーを含む、重合混合物の反応生成物であり、
式11、式22、および式33は、以下の構造によって表され、
【化36】

式中、
およびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、
11は、任意で保護されているカルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸であり、
は、アリーレンであり、
は、アルキレン、エーテル部分、またはアミド部分である、
請求項83〜120のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項123】
11は、保護されているカルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸である、請求項122に記載のポリマー。
【請求項124】
前記重合混合物は、重合開始剤をさらに含む、請求項122または123に記載のポリマー。
【請求項125】
前記陽イオン交換ポリマーは、架橋脂肪族カルボン酸ポリマーである、請求項83〜120のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項126】
前記陽イオン交換ポリマーは、架橋(カルシウム2−フルオロアクリレート)−ジビニルベンゼン−1,7−オクタジエンポリマーである、請求項83〜120のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項127】
前記対象はヒトである、請求項83〜126のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項128】
前記胃腸管からカリウムを除去するための架橋陽イオン交換ポリマーであって、前記治療は、1日1回または1日2回、架橋陽イオン交換ポリマーを、約20μm〜約200μmの平均径を有する略球状の粒子の形態で、それを必要とする動物対象に投与することを含み、前記粒子の約4容量%未満が、約10μm未満の直径を有し、1日1回または1日2回投与される、1日量の前記ポリマーは、1日3回投与される前記同一日量の前記同一ポリマーの少なくとも75%のカリウム結合能力を有する、架橋陽イオン交換ポリマー。
【請求項129】
前記胃腸管からカリウムを除去するための架橋陽イオン交換ポリマーであって、前記治療は、1日1回または1日2回、架橋陽イオン交換ポリマーを、約250μm未満の平均径を有する略球状の粒子の形態で、それを必要とする動物対象に投与することを含み、前記粒子の約4容量%未満が、約10μm未満の直径を有し、かつポリマー1gあたり10g未満の水の膨張率を有し、1日1回または1日2回投与される、1日量の前記ポリマーは、1日3回投与される前記同一日量の前記同一ポリマーの少なくとも75%のカリウム結合能力を有する、架橋陽イオン交換ポリマー。
【請求項130】
前記胃腸管からカリウムを除去するための架橋陽イオン交換ポリマーであって、前記治療は、1日1回または1日2回、架橋陽イオン交換ポリマーを、約250μm未満の平均径を有する略球状の粒子の形態で、それを必要とする動物対象に投与することを含み、かつ前記粒子の約4容量%未満が、約10μm未満の直径を有し、1日1回または1日2回、前記ポリマーを摂取する対象の25%未満が、軽度または中度の胃腸副作用を経験する、架橋陽イオン交換ポリマー。
【請求項131】
血清カリウム値は、前記対象において減少する、請求項128〜130のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項132】
前記対象は、高カリウム血症を経験している、128〜131のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項133】
前記平均径は、約25μm〜約150μmである、請求項128〜132のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項134】
前記平均径は、約50μm〜約125μmである、請求項128〜132のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項135】
前記粒子の約0.5容量%未満が、約10μm未満の直径を有する、請求項128〜134のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項136】
前記粒子の約4容量%未満が、約20μm未満の直径を有する、請求項128〜134のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項137】
前記粒子の約0.5容量%未満が、約20μm未満の直径を有する、請求項128〜134のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項138】
前記粒子の約4容量%未満が、約30μm未満の直径を有する、請求項128〜134のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項139】
1日1回または1日2回投与される前記ポリマーの前記量は、1日3回投与される前記同一量の前記同一ポリマーの少なくとも80%のカリウム結合能力を有する、請求項128〜138のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項140】
1日1回または1日2回投与される前記量の前記ポリマーは、1日3回投与される同一量の前記同一ポリマーの少なくとも90%のカリウム結合能力を有する、請求項128〜138のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項141】
3つ以上のモノマーを含む重合混合物の反応性生物を含む、架橋陽イオン交換ポリマーであって、前記モノマーは、式11、式22、および式33に対応し、
(i)式11に対応するモノマーは、前記重合混合物中の式11、22、および33のモノマーの総重量に基づいて、少なくとも約85重量%を占め、かつ式22に対応するモノマー対式33に対応するモノマーの重量比は、約4:1〜約1:4であるか、または
(ii)前記重合混合物中の式11のモノマーのモル分率は、式11、22、および33のモノマーのモル総数に基づいて、少なくとも約0.87であり、重合混合物における式22のモノマー対式33のモノマーのモル比は、約0.2:1〜約7:1であり、かつ
式11、式22、および式33は、以下の構造に対応し、
【化37】

式中、
およびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、
11は、任意で保護されているカルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸であり、
は、アリーレンであり、
は、アルキレン、エーテル部分、またはアミド部分である、
架橋陽イオン交換ポリマー。
【請求項142】
式11、式22、および式33は、以下の構造に対応する、
【化38】

請求項141に記載のポリマー。
【請求項143】
11は、保護されているカルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸である、請求項141に記載のポリマー。
【請求項144】
前記重合混合物は、重合開始剤をさらに含む、請求項141〜143のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項145】
酸または塩形態の架橋陽イオン交換ポリマーであって、請求項141〜144のうちのいずれか1項に記載の前記架橋ポリマーおよび加水分解剤の反応性生物を含む、陽イオン交換ポリマー。
【請求項146】
11は、カルボン酸、ホスホン酸基、またはリン酸基である、請求項141〜145のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項147】
前記重合混合物は、重合開始剤を含まない、請求項141〜146のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項148】
式1、2、および3に対応する構造単位を含む架橋陽イオン交換ポリマーであって、
(i)式1に対応する前記構造単位は、前記重合反応において使用されるモノマーの前記量から計算される、前記ポリマー中の式1、2、および3の構造単位の総重量に基づいて、少なくとも約85重量%を占め、式2に対応する構造単位対式3に対応する構造単位の重量比は、約4:1〜約1:4であるか、または
(ii)前記ポリマー中の式1の前記構造単位のモル分率は、前記重合反応において使用されるモノマーの量から計算される、式1、2、および3の構造単位のモル総数に基づいて、少なくとも約0.87であり、式2の構造単位対式3の構造単位のモル比は、約0.2:1〜約7:1であり、かつ
式1、式2、および式3は、以下の構造に対応し、
【化39】

式中、
およびRは独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、
は、その塩または酸形態で、カルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸であり、
は、アリーレンであり、
は、アルキレン、エーテル部分、またはアミド部分である、
架橋陽イオン交換ポリマー。
【請求項149】
式1、式2、および式3は、以下の構造に対応する、請求項143に記載のポリマー。
【化40】

【請求項150】
式3または33のXは、(a)−(CH−O−(CH−または−(CH−O−(CH−O−(CHd−のいずれかから選択されるエーテル部分であって、式中、dおよびeは独立して、1〜5の整数であるか、または(b)前記式−C(O)−NH−(CH−NH−C(O)−のアミド部分であって、式中、pは1〜8の整数であるか、または(c)式3または33は、前記エーテル部分および前記アミド部分を有する構造単位の混合物である、請求項141および143〜148のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項151】
は前記エーテル部分であり、dは1〜2の整数であり、かつeは1〜3の整数である、請求項150に記載のポリマー。
【請求項152】
は前記アミド部分であり、pは4〜6の整数である、請求項150に記載のポリマー。
【請求項153】
はアルキレンである、請求項141および143〜148のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項154】
はエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、またはヘキシレンである、請求項153に記載のポリマー。
【請求項155】
はブチレンである、請求項153に記載のポリマー。
【請求項156】
はフェニレンである、請求項141、143〜148および150〜155のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項157】
およびRは水素である、請求項141、143〜148および150〜156のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項158】
11は保護されているカルボン酸である、請求項141、143〜148および150〜157のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項159】
保護されているカルボン酸は、−C(O)O−アルキルである、請求項158に記載のポリマー。
【請求項160】
前記加水分解剤は、強塩基である、請求項145および150〜159のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項161】
強塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、またはそれらの組み合わせである、請求項160に記載のポリマー。
【請求項162】
前記架橋陽イオン交換ポリマーにおける式22のモノマー対式33のモノマーの重量比は、約2:1〜1:2である、請求項141〜145および150〜161のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項163】
前記架橋陽イオン交換ポリマーにおける式22のモノマー対式33のモノマーの重量比は、約1:1である、請求項141〜145および150〜161のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項164】
前記架橋陽イオン交換ポリマーにおける式22のモノマー対式33のモノマーのモル比は、0.2:1〜3.5:1である、請求項141〜145および150〜161のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項165】
前記架橋陽イオン交換ポリマーにおける式22のモノマー対式33のモノマーのモル比は、0.5:1〜約1.3:1である、請求項141〜145および150〜161のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項166】
架橋陽イオン交換ポリマーにおける式2の構造単位対式3の構造単位のモル比は、0.2:1〜3.5:1である、請求項148〜161のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項167】
架橋陽イオン交換ポリマーにおける式2の構造単位対式3の構造単位のモル比は、0.5:1〜1.3:1である、請求項148〜161のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項168】
前記陽イオンの塩は、カルシウム、ナトリウム、またはそれらの組み合わせである、請求項141〜167のうちのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項169】
前記塩の陽イオンはカルシウムである、請求項168に記載のポリマー。
【請求項170】
請求項141〜169のうちのいずれか1項に記載の架橋陽イオン交換ポリマー、および医薬的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項171】
架橋陽イオン交換ポリマーを形成する方法であって、3つ以上のモノマーを含む混合物を接触させて、前記架橋陽イオン交換ポリマーを形成することを含み、前記モノマーは、式11、式22、および式33に対応し、
(i)式11に対応するモノマーは、重合混合物中の式11、22、および33のモノマーの総重量に基づいて、少なくとも約85重量%を占め、式22に対応するモノマー対式33に対応するモノマーの重量比は、約4:1〜約1:4であるか、または
(ii)前記重合混合物中の式11のモノマーのモル分率は、式11、22、および33のモノマーのモル総数に基づいて、少なくとも約0.87であり、前記重合混合物中の式22のモノマー対式33のモノマーのモル比は、約0.2:1〜約7:1であり、かつ
式11、式22、および式33は、以下の構造に対応し、
【化41】

式中、
およびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、
11は、任意で保護されているカルボン酸、ホスホン酸基、またはリン酸基であり、
は、アリーレンであり、
は、アルキレン、エーテル部分、またはアミド部分である、
方法。
【請求項172】
式11、22、および33は、以下の構造
【化42】

に対応する、請求項171に記載の方法。
【請求項173】
前記架橋陽イオン交換ポリマーを加水分解剤で加水分解することをさらに含む、請求項171または172に記載の方法。
【請求項174】
重合収率は、少なくとも約85%である、請求項171または172に記載の方法。
【請求項175】
加水分解ステップ後の前記収率は、少なくとも約85%である、請求項173に記載の方法。
【請求項176】
11は、カルボン酸、ホスホン酸、またはリン酸である、請求項171〜175のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項177】
前記重合混合物は、重合開始剤を含まない、請求項171〜176のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項178】
胃腸管からカリウムを除去するための架橋陽イオン交換ポリマーまたは医薬組成物であって、前記治療は、請求項170に記載の医薬組成物、または請求項141〜169のうちのいずれか1項に記載のポリマーを、それを必要とする動物対象に投与することを含み、それによって、前記医薬組成物または前記ポリマーは、前記対象の胃腸管を通過し、治療上有効量のカリウムイオンを前記対象の胃腸管から除去する、架橋陽イオン交換ポリマーまたは医薬組成物。
【請求項179】
前記動物対象は哺乳類であり、請求項141〜169のうちのいずれか1項に記載の前記ポリマーが、前記対象に投与される、請求項178に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項180】
前記対象は、慢性腎疾患を罹患する、請求項178または179に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項181】
前記対象は、鬱血性心不全を罹患している、請求項178または179に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項182】
前記対象は、透析を受けている、請求項180または181に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項183】
前記対象は、高カリウム血症を経験している、請求項178〜182のうちのいずれか1項に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項184】
前記対象はヒトである、請求項178〜183のうちのいずれか1項に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項185】
前記カリウム結合ポリマーは、約10g/日〜約30g/日の用量で投与される、請求項178〜184のうちのいずれか1項に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項186】
前記ヒトは、カリウム滞留をもたらす薬剤で治療されている、請求項184または185に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項187】
前記カリウム結合ポリマーおよびカリウム滞留をもたらす前記薬剤は、同時に投与される、請求項186に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項188】
カリウム滞留をもたらす前記薬剤は、アンジオテンシン変換酵素阻害剤である、請求項186または187に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項189】
前記アンジオテンシン変換酵素阻害剤は、カプトプリル、ゾフェノプリル、エナラプリル、ラミプリル、キナプリル、ペリンドプリル、リシノプリル、ベナジプリル、ホシノプリル、またはそれらの組み合わせである、請求項188に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項190】
カリウム滞留をもたらす前記薬剤は、アンジオテンシン受容体遮断薬である、請求項186または187に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項191】
前記アンジオテンシン受容体遮断薬は、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、またはそれらの組み合わせである、請求項189に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項192】
カリウム滞留をもたらす薬剤は、アルドステロン拮抗薬である、請求項186または187に記載のポリマーまたは組成物。
【請求項193】
前記アルドステロン拮抗薬は、スピロノルアクトン、エプレレノン、またはそれらの組み合わせである、請求項192に記載のポリマーまたは組成物。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公表番号】特表2012−500806(P2012−500806A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524060(P2011−524060)
【出願日】平成21年8月22日(2009.8.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/054706
【国際公開番号】WO2010/022383
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(508246489)レリプサ, インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】