説明

柄付き清掃具

【課題】 従来の片手用の柄付き清掃具の場合、その構造的要因から作業者が加える力が擦る面に有効に伝わりにくく、汚れが落ちにくかったり、作業者の手首に負荷がかかりすぎる問題があった。
【解決手段】 本発明の柄付き清掃具では、図3のように柄3cの一端に弾性を備える環状または半環状の腕支持部3dを設け、その腕支持部3dに腕を通して柄3cを握ることができる構造にする。この構造により、腕支持部3dと腕の接点が支点となり、梃子の原理によって、腕の力やかけた体重が有効に摺擦部3aにより有効に伝わる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、柄付き清掃具の中で、特に片手で使用する形態の清掃具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
柄付き清掃具は、浴槽など水槽の清掃、窓ガラスや床面の清掃などに広く用いられている。楽な姿勢で手が届きにくい箇所を清掃するために、ブラシやスポンジなどの摺擦材に柄を取り付け、洗剤等を付け摺擦することで清掃するものである。
【0003】
フロア用など長い柄付き清掃具で両手が使える場合は、ひどい汚れも体重をかけて擦り取ることは容易である。しかるに浴槽用など片手で擦る形態の柄付き清掃具の場合、力が入りにくく、手首にかなりの疲労負担がかかることがある。その差は力学的に説明ができる。図1はフロア用の長い柄付き清掃具の、力学的構造を簡略的に示したものである。支点1bを片手でしっかり保持し、もう片方の手で力点1aを体重をかけ押すことで、作用点1cに強い圧力をかけることが可能である。対して図2は浴槽用など片手で擦る形態の柄付き清掃具の力学的構造を簡略的に示したものであるが、作用点2cに圧力をかけるためには支点2bの薬指と小指を強く握り、力点2aの人差し指を強く押す必要がある。しかし力点2aと支点2bの距離が、作用点2cと支点2bの距離に対し極めて短いために、力が有効に伝わりにくく、手首にも強い負荷がかかってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 実登3008809公報
【特許文献2】 特許3143618公報
【特許文献3】 実公昭3143618公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の片手用の柄付き清掃具の場合、その構造的要因から作業者が加える力が擦る面に有効に伝わりにくく、汚れが落ちにくかったり、作業者の手首に負荷がかかりすぎる問題があった。本発明の目的は、両手用柄付き清掃具の梃子構造をヒントに、子供や女性また高齢者など、握力や手首の力の弱い作業者でも楽に清掃作業ができるような構造を備えた片手用の柄付き清掃具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の柄付き清掃具では、図3に示すように柄3cの一端に樹脂や金属素材など曲げ弾性を備える環状または半環状の腕支持部3dを設け、その腕支持部3dに腕を通して柄3cを握ることができる構造にする。この構造により、腕支持部3dと腕の接点が支点となり、梃子の原理によって、連結部3bを介し、腕の力やかけた体重が摺擦部3aにより有効に伝わる。
【0007】
図4は浴槽清掃を例に、その力学的構造を簡略的に示したものである。力点4aと支点4bの距離が、従来の片手用の柄付き清掃具と比べ相対的に離れたことで、作用点4cに対しより力が伝わりやすく、また体重もかけやすくなり、楽に汚れを擦り取ることが可能になる。腕支持部3d(図3)に弾性を持たせることにより、しなりによって作業者の腕にかかる負荷が分散され、また作用点4bと清拭面の密着性も高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】両手で擦る柄付き清掃具の使用状態参考図
【図2】従来の片手で擦る形態の柄付き清掃具の使用状態参考図
【図3】本発明の柄付き清掃具の説明図
【図4】本発明の清掃具での浴槽清掃時の使用状態説明図
【図5】本発明の清掃具の外観例(突起グリップ付き)
【図6】本発明の清掃具の外観例(グリップなし)
【図7】本発明の清掃具の外観例(棒状グリップ付き)
【図8】本発明の清掃具の外観例(半環状の腕支持部)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、図3のように、腕支持部3dに腕を通して柄3cを握る構造のため、腕と柄が成す角度は制限される。そこで清拭面に摺擦部3aを正対させるために、連結部3bは可動的に接続することが望ましい。この接続方法については例えば先行技術(特許3143618)などがある。
【0010】
柄の握り方は、図6のように柄をそのまま掴む形態以外にも、例えば浴槽のように様々な角度を持つ清掃対象面に対応する場合などは、図5の突起状グリップ5a、あるいは図7の棒状グリップ7aなどの形態が、作業者の姿勢に自由度が生まれ、適している。
【0011】
図3において腕支持部3dは、曲げ弾性を備える素材で作られた環状形態をなす。この形態は環状に限らず、図8のように半環状でも良い。また弾性的特徴は必ずしも腕支持部のみが持つ必要はなく柄全体で備えれば良い。
【符号の説明】
【0012】
1a 力点
1b 支点
1c 作用点
2a 力点
2b 支点
2c 作用点
3a 摺擦部
3b 連結部
3c 柄
3d 腕支持部
4a 力点
4b 支点
4c 作用点
5a 突起状グリップ
7a 棒状グリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
摺擦部とそれに連結した柄からなる片手用の柄付き清掃具において、柄の他端が、短径10〜20cmの環状をなす腕支持部を備えた清掃具。
【請求項2】
請求項1において柄の中間に突起状のグリップを備えた清掃具。
【請求項3】
請求項1において柄と環状の腕支持部の間に、柄と直交方向に長い棒状グリップを備えた清掃具。
【請求項4】
請求項1、2、3において、柄の他端が、短径10〜20cmの一端が開いた半環状をなす腕支持部を備えた清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−66041(P2012−66041A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230054(P2010−230054)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(500096008)
【Fターム(参考)】