説明

柑橘エキスおよびその製造方法

【課題】柑橘の果実以外の部位や搾汁残渣等の利用に関する更なる技術を提供する。
【解決手段】次の工程(a)および(b)
(a)柑橘原料を低級アルコールで抽出する工程
(b)工程(a)で得られた低級アルコール抽出物を芳香族系合成吸着樹脂で処理する
工程
を含む工程により得られる柑橘エキスおよびその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柑橘原料から得られる柑橘エキスおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オレンジ、グレープフルーツ、ウンシュウミカン、ナツミカン、レモン、ユズ、ライム、ブンタン、シークワサー、タンカン等のミカン科の柑橘は、果汁を使用した飲料、その他の食品として利用されている。
【0003】
しかしながら、柑橘は、果実以外の部位や、果汁を搾った後に得られる搾汁残渣等の有効利用はされておらず、ほとんどが廃棄されていた。
【0004】
柑橘の果実以外の部位や搾汁残渣等の利用についてもいくつか報告されている(特許文献1〜8)が、更なる技術を開発する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−276578号公報
【特許文献2】特開2001−46019号公報
【特許文献3】特開2002−153231号公報
【特許文献4】特開2004−18737号公報
【特許文献5】特開2005−229836号公報
【特許文献6】特開2008−214223号公報
【特許文献7】特開2009−17822号公報
【特許文献8】特開2009−67755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、柑橘の果実以外の部位や搾汁残渣等の利用に関する更なる技術を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、柑橘原料を低級アルコールで抽出した後、特殊な合成吸着樹脂で処理することにより、コラゲナーゼ阻害活性やエラスターゼ阻害活性の高いエキスが得られ、これが飲食品や化粧品等に利用できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は次の工程(a)および(b)
(a)柑橘原料を低級アルコールで抽出する工程
(b)工程(a)で得られた低級アルコール抽出物を芳香族系合成吸着樹脂で処理する
工程
を含む工程により得られる柑橘エキスである。
【0009】
また、本発明は次の工程(a)および(b)
(a)柑橘原料を低級アルコールで抽出する工程
(b)工程(a)で得られた低級アルコール抽出物を芳香族系合成吸着樹脂で処理する
工程
を含むことを特徴とする柑橘エキスの製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の柑橘エキスは、柑橘由来の芳香に優れ、各種柑橘由来のポリフェノール、スフィンゴ脂質、植物ステロイド等の機能性物質を多く含む優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は柑橘エキスからセラミド配糖体およびステロイド配糖体を得るためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の柑橘エキス(以下、「本発明エキス」という)は、次の工程(a)および(b)
(a)柑橘原料を低級アルコールで抽出する工程
(b)工程(a)で得られた低級アルコール抽出物を芳香族系合成吸着樹脂で処理する
工程
を含む工程により得られる。
【0013】
本発明エキスの原料となる柑橘原料は、オレンジ(Citrus sinensis (L.) Osbeck)、グレープフルーツ(Citrus Xparadisi)、ウンシュウミカン(citrus unshiu Marc.)、ナツミカン(Citrusnatsudaidai Hayata)、レモン(Citrus limon (L.) Burm.f.)、ユズ(Citrus junos Siebold ex. Taknaka)、ライム(Citrus aurantifolia)、ブンタン(Citrus maxima)、シークワサー(Citrus depressa Hayata)、タンカン(Citrus tankan Hayata)、キンカン(Fortunella)、カラタチ(Poncirus trifoliata)等のミカン科ミカン連の(柑橘)から選ばれる植物の果実、果皮、種子、砂嚢およびその搾汁残渣から選ばれる1種以上である。これらの柑橘原料の中でもシークワサーの搾汁残渣が好ましい。なお、本発明において搾汁残渣とは、果実を公知の搾汁機等で搾汁した後に得られる残渣であり、果皮、種子および砂嚢が含むが、果汁をほとんど含まないものである。また、これら柑橘原料は、公知の手段により乾燥や粉砕をしてあってもよい。
【0014】
上記柑橘原料の低級アルコールによる抽出は、特に制限されないが、例えば、低級アルコール中に柑橘原料を、1〜99質量%(以下、単に「%」という)、好ましくは20〜25%浸漬させ、0〜100℃、好ましくは20〜30℃で1分間〜1週間、好ましくは3〜24時間抽出すればよい。この抽出に用いられる低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。これらの低級アルコールの中でもエタノールが好ましい。
【0015】
上記抽出により得られた低級アルコール抽出物は、後述する芳香族系合成吸着樹脂による処理の前に、遠心分離等の公知の手段で抽出液と抽出残渣に分離しておくことが好ましい。また、抽出液は公知の手段で濃縮しておいてもよい。
【0016】
上記抽出物は、次いで、芳香族系合成吸着樹脂で処理する。この処理に用いられる芳香族系吸着樹脂としては、例えば、スチレン−ベンゼン系の樹脂が挙げられる。このような樹脂の市販品としては、ダイヤイオン(登録商標)HP−20、HP−21(三菱化学社製)等が挙げられる。
【0017】
上記芳香族系合成吸着樹脂を用いて上記抽出物を処理する方法は、特に制限されないが、例えば、抽出物を芳香族系合成吸着樹脂に接触させて本発明エキスを樹脂に吸着させ、次いで、樹脂に吸着した本発明エキスを溶出させる方法等が挙げられる。具体的に、抽出物中の本発明エキスを芳香族系合成吸着樹脂に吸着させるには、芳香族系合成吸着樹脂を充填したカラムに1〜99%、好ましくは10〜90%、より好ましくは20〜60%エタノール水溶液を十分に通液した後、抽出物を通液させればよい。また、樹脂に吸着させた本発明エキスを溶出させるには、吸着させた時に用いたエタノール水溶液よりもエタノール濃度が高い、2〜100%、好ましくは70〜100%エタノール水溶液をカラムに通液させればよい。
【0018】
また、上記処理をした後は、液液分配、カラムクロマトグラフィー等の公知の精製手段で本発明エキスを精製してもよい。
【0019】
上記工程(a)および(b)を含む工程により得られる本発明エキスは、柑橘由来の芳香に優れ、各種柑橘由来のポリフェノール、スフィンゴ脂質、植物ステロイド等の機能性物質が多く含まれている。そのため、本発明エキスは、従来の植物由来の抽出物が利用されている、化粧水、化粧クリーム、石けん等の化粧品、飲料、アメ、氷菓等の飲食品、香料等に用いることができる。
【0020】
なお、本発明エキスは、コラゲナーゼ阻害活性(IC50)が1.0〜120μg/ml、好ましくは1.0〜12.0μg/mlであり、エラスターゼ阻害活性(IC50)が0.5〜50μg/ml、好ましくは0.5〜5.0μg/mlである。そのため、本発明エキスは、特に化粧品に用いることが好ましい。本明細書においてコラゲナーゼ阻害活性およびエラスターゼ阻害活性は、文献記載の方法(薬学雑誌Vol.118、pp423〜429、(1998)および機能性化粧品素材開発のための実験法−in vitro/細胞/組織培養、芋川玄爾著、シーエムシー出版、pp60〜64、(2007))や後述する実施例に記載の方法により測定された値である。
【0021】
また、本発明エキスには、次の式(I)または(II)で表される新規なセラミド配糖体が含まれる。なお、これらセラミド配糖体は本発明エキスから図1に記載の方法により得ることができる。
【化1】

【化2】

【0022】
これらセラミド配糖体の物性は以下の通りである。
・ろう状白色粉末
・水、エーテル、石油エーテルに不溶で、ピリジン、クロロホルム、熱エタノールに可溶
・比較的安定で長期間保存可
・セレブロン画分は融点212〜215℃、比旋光度[α]22+3.98°
・ケラシン画分は融点185〜187℃、比旋光度[α]22−3.82°
・ネルボン画分は融点180℃、比旋光度[α]22−3.70°
・オキシネルボン画分は融点205〜210℃、比旋光度[α]22+3.80°
・分子量713(質量分析法)
【0023】
これらセラミド配糖体は、化粧水、化粧クリーム、石けん等の化粧品、ドリンク、ゼリー、サプリメント等の飲食品、塗り薬、軟膏等の医薬品、医薬部外品等に用いることができる。
【0024】
更に、本発明エキスには、次の式(III)で表される新規なステロイド配糖体が含まれる。なお、このステロイド配糖体は本発明エキスから図1に記載の方法により得ることができる。
【化3】

【0025】
このステロイド配糖体の物性は以下の通りである。
・白色粉末
・クロロホルム、ピリジンに易溶、メタノール、エタノールに可溶、水に難溶
・融点は293〜294℃、比旋光度[α]25−40.0°(c2.6、ピリジン)
・分子量576(質量分析法)
【0026】
このステロイド配糖体は石けん、シャンプー等の化粧品、軟膏、栄養ドリンク、シロップ、うがい薬などの医薬品、医薬部外品等に用いることができる。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0028】
実 施 例 1
柑橘エキスの製造:
シークワサーの搾汁残渣15kgを凍結乾燥機にかけて、凍結乾燥物3kgを得た。この凍結乾燥物3kgを粉砕した後、95%エタノールを12l加え、室温(20℃)で一晩(12時間)抽出した。抽出した凍結乾燥物とエタノールの混合物を、遠心分離機を使って、抽出液と抽出残渣に分離し、抽出液を9L得た。
【0029】
あらかじめ95%エタノールに浸しておいた芳香族系合成吸着樹脂(ダイヤイオン(登録商標)HP−20:三菱化学製)の500mLを直径6cmのカラムに詰め、57%エタノールを3L透過した。上記で得た抽出液9Lに蒸留水を6L加水し攪拌した後、上記で準備したカラムに通して、芳香族系合成吸着剤(ダイヤイオンHP−20:三菱化学製)にエキスを吸着させた。その後、57%エタノール2000mLを透過してカラム内の不純物を洗浄した。次いで、83%エタノール2.2Lをカラムに通してエキスを溶離させ、溶離液2.2Lを得た。溶離液2.2Lに対し、1,3−ブチレングリコールを1.0L加えて混合した後、ロータリーエバポレーターでエタノールを取り除き、減圧濃縮し、柑橘エキスを1.0kg得た。
【0030】
実 施 例 2
柑橘エキスのコラゲナーゼ阻害活性の測定:
(1)コラゲナーゼ阻害活性試薬の調整
トリスアミノメタン(和光純薬工業製)および塩酸を0.1Mに調整し、塩化カリウム(和光純薬工業製)を20mM含んだ0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH7.1)を作製した。Pz−ペプチド(Pz−Pro−Leu−Gly−Pro−D−Arg−OH:フコナシ製)を7.8mg量りとり、0.1Mトリス塩酸緩衝液20mLに溶解したものを基質溶液とした。また、コラーゲナーゼ タイプIV(Clostridium hystolyticum由来:シグマ製)5mgを蒸留水1mlに溶解させた液を、酵素溶液とした。これを100μlずつ分注、−20℃で保管し、使用時に蒸留水で50倍に希釈して反応に用いた。更に、クエン酸(和光純薬工業製)を25mMに調整したものを反応停止液とした。
【0031】
(2)コラゲナーゼ阻害活性の測定方法
実施例1で製造した柑橘エキス5mLを、固形分が55.1mgとなるまで濃縮した。これを50%ジメチルスルホキシド2.5mLに溶解し、更に蒸留水で400倍希釈して固形分55μg/mLの試料溶液を調製した。試料溶液25μLと酵素溶液25μL、基質溶液200μLを混合し、固形分を5.5μg/mLに調整した後、37℃で30分間インキュベーションした。インキュベーション後、反応停止液0.5mlで反応を停止し、更に、酢酸エチル2.5mlを加え、抽出した。次にこれを3000rpm、10分間遠心分離し、酢酸エチルを対照として、酢酸エチル層の波長320nmにおける吸光度を測定した。試料溶液のブランクには、試料溶液に蒸留水と基質溶液を加えた液、コントロールには蒸留水に酵素溶液と基質溶液を加えた液、コントロールのブランクには蒸留水に基質溶液を加えた液を使用して酵素反応後に酢酸エチル層の波長320nmの吸光度を測定した。
【0032】
吸光度の値からコラゲナーゼ阻害率を次式により算出した。
【数1】

【0033】
柑橘エキスの固形分5.5μg/mLに対しコラゲナーゼの阻害率は51.6%だった。このコラゲナーゼの阻害率をIC50に換算した結果と、その他公知のコラゲナーゼ阻害活性の値を併せて表1に示した。
【0034】
【表1】

【0035】
実 施 例 3
柑橘エキスのエラスターゼ阻害活性の測定:
(1)エラスターゼ阻害活性の試薬の調整
トリスアミノメタン(和光純薬工業製)および塩酸を0.2Mに調整し、0.2Mのトリス塩酸緩衝液(pH8.0)を作製した。N−スクシニル−L−アラニル−L−アラニル−L−アラニン−p−ニトロアニリドを4.52mg量りとり、ジメチルスルホキシド200μLに溶解し、使用時に0.2Mトリス塩酸緩衝液で10倍希釈した液を基質溶液とした。また、ヒトエラスターゼ(フコナシ製)を蒸留水で希釈して10μg/mLとした液を酵素溶液とした。
【0036】
(2)エラスターゼ阻害活性の測定方法
実施例1で製造した柑橘エキス5mLを、固形分が55.1mgとなるまで濃縮した。これを50%ジメチルスルホキシド2.5mLに溶解し、更に蒸留水で4000倍希釈して固形分5.5μg/mLの試料溶液を調製した。マイクロプレート上に試料溶液50μLと酵素溶液100μL、基質溶液50μLを混合し、固形分1.4μg/mLに調整した後、37℃で1時間インキュベーションした。インキュベーション後、すぐにマイクロプレートリーダーを用いて、試料溶液の分解生成物であるp−ニトロアニリドの吸光度(波長405nm)を測定した。試料溶液のブランクには、試料溶液に蒸留水と基質溶液を加えた液、コントロールには蒸留水に酵素溶液と基質溶液を加えた液、コントロールのブランクには蒸留水に基質溶液を加えた液を使用して酵素反応後にp−ニトロアニリドの吸光度(波長405nm)を測定した。
【0037】
吸光度の値からエラスターゼ阻害率を次式により算出した。
【数2】

【0038】
柑橘エキスの固形分1.4μg/mLに対しエラスターゼの阻害率は41.0%だった。このエラスターゼの阻害率をIC50に換算した結果と、その他公知のエラスターゼ阻害活性の値を併せて表2に示した。
【0039】
【表2】

【0040】
実 施 例 4
化粧水:
以下の処方の化粧水を以下の製造方法により製造した。
(成分名) (配合量)
(1)柑橘エキス 0.5%
(2)グリセリン 5%
(3)1,3−ブチレングリコール 4%
(4)PEG−11メチルエーテルジメチコン 1%
(5)EDTA−2Na 微量
(6)グリチルリチン酸2K 微量
(7)フェノキシエタノール 1%
(8)メチルパラベン 1%
(9)精製水 残量
【0041】
<製造方法>
A:(9)に(2)、(3)、(5)を溶解させた。
B:Aに(1)、(4)、(6)〜(8)を混合したものを添加し、可溶化させ、化粧
水を製造した。
【0042】
実 施 例 5
化粧クリーム(1):
以下の処方の化粧クリームを以下の製造方法により製造した。
(成分名) (配合量)
(1)トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル 7%
(2)ホホバオイル 5%
(3)柑橘エキス 3%
(4)ジプロピレングリコール 2%
(5)ベヘニルアルコール 2.25%
(6)ポリビニルアルコール 3%
(7)ペンタステアリン酸デカグリセリル 0.95%
(8)ビーズワックス 0.80%
(9)ステアリン酸スクロース 1%
(10)ステアロイル乳酸ナトリウム 0.80%
(11)ラウレス−7 0.15%
(12)フェノキシエタノール 1%
(13)メチルパラベン 1%
(14)精製水 残量
【0043】
<製造方法>
A:(14)に(3)と(4)を加え、70℃に加熱した。
B:(1)、(2)、(5)〜(13)を加え、70℃で加熱した。
C:AとBをホモミキサーで乳化粒子が均一となるまで撹拌し、脱気、濾過、冷却をし
、化粧クリームを得た。
【0044】
実 施 例 6
化粧クリーム(2):
以下の処方の化粧クリームを以下の製造方法により製造した。
(成分名) (配合量)
(1)トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル 12%
(2)ホホバオイル 4%
(3)ジプロピレングリコール 4%
(4)柑橘エキス 3%
(5)PEG−2 水添ヒマシ油 3%
(6)セタノール 1.5%
(7)ポリビニルアルコール 2%
(8)ペンタステアリン酸デカグリセリル 1.33%
(9)ビーズワックス 1.20%
(10)ステアリン酸スクロース 1%
(11)ステアロイル乳酸ナトリウム 0.42%
(12)クインスシードガム 0.3%
(13)アルギニン 0.20%
(14)フェノキシエタノール 1%
(15)メチルパラベン 1%
(16)精製水 残量
【0045】
<製造方法>
A:(16)に(3)、(4)を加え、70℃に加熱した。
B:(1)、(2)、(5)〜(15)を加え、70℃に加熱した。
C:AとBをホモミキサーで乳化粒子が均一となるまで撹拌し、脱気、濾過、冷却をし
、化粧クリームを得た。
【0046】
実 施 例 7
石けん(1):
以下の処方の石けんを以下の製造方法により製造した。
(成分名) (配合量)
(1)パーム油 22.0%
(2)パーム核油 10.0%
(3)ヒマシ油 4.0%
(4)オリーブ油 4.0%
(5)苛性ソーダ 6.0%
(6)エチルアルコール 20.0%
(7)精製水 20.0%
(8)砂糖 9.0%
(9)グリセリン 4.5%
(10)柑橘エキス 0.5%
【0047】
<製造方法>
A:(1)〜(7)を湯浴上で加熱しながらケン化した。
B:Aに(8)〜(10)を加えて混合し、篩で濾過して型入れした。
C:Bを冷蔵庫で固化させた後、40日間乾燥熟成させて石けんを得た。
【0048】
実 施 例 8
石けん(2):
以下の処方の石けんを以下の製造方法により製造した。
(成分名) (配合量)
(1)パーム油 22.0%
(2)パーム核油 10.0%
(3)ヒマシ油 7.0%
(4)オリーブ油 22.0%
(5)苛性ソーダ 6.0%
(6)苛性カリ 3.5%
(7)ホホバ種子油 3.0%
(8)加水分解コラーゲン 2.0%
(9)二酸化チタン 1.0%
(10)柑橘エキス 0.5%
(11)精製水 23.0%
【0049】
<製造方法>
A:(1)〜(6)、(11)を湯浴上で加熱しながらケン化した。
B:Aに(7)〜(10)を加えて混合し、篩で濾過して型入れした。
C:Bを冷蔵庫で固化させた後、40日間乾燥熟成させて石けんを得た。
【0050】
実 施 例 9
セラミド配糖体およびステロイド配糖体の精製:
実施例1で得られた柑橘エキスを用い、図1に記載の方法に従って、セラミド配糖体(SQC1およびSQC2)とステロイド配糖体(SQSG1)を精製した。ステロイド配糖体とセラミド配糖体の構造を質量分析法とプロトン核磁気共鳴分光法にて分析した結果、以下の構造式を有することがわかった。
【0051】
セラミド配糖体(SQC1)
【化4】

セラミド配糖体(SQC2)
【化5】

【0052】
ステロイド配糖体(SQSG1)
【化6】

【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の柑橘エキスは、柑橘由来の芳香に優れ、各種柑橘由来の機能性物質が多く含まれている。そのため、本発明の柑橘エキスは、化粧水、化粧クリーム、石けん等の化粧品、飲料、アメ、氷菓等の飲食品、香料等に用いることができる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程(a)および(b)
(a)柑橘原料を低級アルコールで抽出する工程
(b)工程(a)で得られた低級アルコール抽出物を芳香族系合成吸着樹脂で処理する
工程
を含む工程により得られる柑橘エキス。
【請求項2】
工程(a)に用いられる柑橘原料が、シークワサーの搾汁残渣である請求項1記載の柑橘エキス。
【請求項3】
コラゲナーゼ阻害活性(IC50)が1.0〜120μg/mlであり、エラスターゼ阻害活性(IC50)が0.5〜50μg/mlである請求項1または2記載の柑橘エキス。
【請求項4】
次の工程(a)および(b)
(a)柑橘原料を低級アルコールで抽出する工程
(b)工程(a)で得られた低級アルコール抽出物を芳香族系合成吸着樹脂で処理する
工程
を含むことを特徴とする柑橘エキスの製造方法。
【請求項5】
工程(a)に用いられる柑橘原料が、シークワサーの搾汁残渣である請求項4記載の柑橘エキスの製造方法。
【請求項6】
製造される柑橘エキスのコラゲナーゼ阻害活性(IC50)が1.0〜12.0μg/mlおよびエラスターゼ阻害活性(IC50)が0.5〜5.0μg/mlである請求項4または5記載の柑橘エキスの製造方法。
【請求項7】
次の式(I)で表されるセラミド配糖体。
【化1】

【請求項8】
次の式(II)で表されるセラミド配糖体。
【化2】

【請求項9】
次の式(III)で表されるステロイド配糖体。
【化3】


【図1】
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【公開番号】特開2012−135244(P2012−135244A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289400(P2010−289400)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(504426218)株式会社サウスプロダクト (15)
【Fターム(参考)】