説明

柑橘成分入りオリーブオイルとその製造方法

【課題】オリーブオイル自体が本来有している風味を損なわず、柑橘類が有している風味と機能性を付加させることができ、且つそれぞれの風味を減殺させるようなことがなく、しかもオリーブに本来含有されているポリフェノール等の有効成分の含有率を増加させることができるとともに、オリーブに本来含有されていない有効成分を付加させることができ、ひいては生理活性作用を高めることのできる柑橘成分入りオリーブオイルとその製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】柑橘類の果実の成分が、オリーブオイル中に抽出されていることを特徴とする。柑橘類の果実の成分のオリーブオイル中への抽出は、主として、柑橘類の果実とオリーブの果実とを混合状態で圧搾することにより行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柑橘成分入りオリーブオイルとその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オリーブはモクセイ科の常緑樹であり、その果実はそのまま食用とされているだけでなく、主としてオリーブオイルの原料として利用されている。オリーブオイルは、古来より食用油、化粧品、薬品、石鹸原料等として広く用いられており、酸化されにくいオレイン酸を多く含むため、他の食用油に比べて酸化されにくく、さらに固まりにくい性質を有する。また、オリーブオイルにはオリーブ果実由来のポリフェノール類等も含有されており、このポリフェノールが健康増進のために優れた効果を有していることから、近年では人体に対するポリフェノール類の生理的活性作用も注目されている。
【0003】
このようなオリーブの生理的活性作用に着目して、たとえば下記特許文献1乃至特許文献3のような特許出願がなされている。特許文献1は、オリーブ抽出物に関するもので、スーパーオキシドやヒドロキシラジカル等の活性酸素を除去する機能や、メラニン生成抑制機能等に着目してなされたものである。また特許文献2は、食品組成物に関するもので、オリーブオイルの製造過程において発生するペジテーション水と称される多量の水にポリフェノール類が多く含有されていることを見出し、これを濃縮又は乾固して食品組成物に利用することに着目してなされたものである。さらに特許文献3は、機能性オリーブオイル等に関するもので、オリーブ果実から採油して脱臭処理するまでの間に、化学処理は一切行わず、すべて物理的な処理のみで、有効成分を多く含むようにしたものである。
【0004】
しかし、特許文献1及び3に係る発明は、スーパーオキシドやヒドロキシラジカル等の活性酸素に着目したにすぎないもので、特許文献1に係る発明は、請求項1に記載されているように「抽出」というきわめてありふれた手段を開示するにすぎないものであり、また特許文献3に係る発明は、請求項1において「物理的な処理」という抽象的な手段を開示するにすぎないものであり、いずれも具体的な手段を講じているとは到底認められない発明である。また特許文献2では、請求項1において「果実の圧搾」、「水溶液の濃縮及び乾固」という具体的な手段を開示するものの、オリーブのみに対してこのような手段を講じているので、それ自体が特別な手段であるとは必ずしも認められない。
【0005】
一方、特許文献4は、オリーブオイルに関する出願であるが、レシチンを含み、かつ親水性乳化剤を含まないことを特徴とするもので、冷蔵庫内等の低温雰囲気で保存するとオリーブオイルに白濁が生じるという問題点に鑑み、レシチンを含有させ且つ親水性乳化剤を含有させないことで、白濁が生じるのを防止するようにしたものである。
【0006】
しかし、この特許文献4に開示されているレシチンは、オリーブオイルに白濁が生じるのを防止する成分で、たとえば食品等の用途に適用した場合、オリーブオイルの味や香りを変える等の嗜好性を付与するものではない。また、上記特許文献1乃至3に開示されているオリーブ抽出物、食品組成物、オリーブオイル等も、オリーブ以外の成分を添加したものではないので、食品等の用途への適用に際して、食品組成物、オリーブオイル等としてオリーブの味や香りを変える等の嗜好性を付与するには到底至らない。
【0007】
ところで、オリーブの果実は上述のようにそれ自体で食用として用いられており、またオリーブオイルはサラダ料理やパスタ料理の仕上げ用調味料等として用いられ、いずれも独特な風味を有して嗜好されているので、あえて味や香りを変える等の嗜好性を付与する必要性がないことはいうまでもない。
【0008】
しかし、オリーブ特有の風味に加えて、さらにオリーブ以外の他の食用成分等の風味等が付加され、それが新たな嗜好性を生じさせるのであれば、食用としてはもちろん、化粧品や石鹸等の用途においても需要を増大させることが考えられる。
【0009】
【特許文献1】特開2001−181197号公報
【特許文献2】特開2001−252054号公報
【特許文献3】特開2007−56181号公報
【特許文献4】特開2000−139348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、オリーブオイル自体が本来有している風味を損なわず、柑橘類が有している風味と機能性を付加させることができ、且つそれぞれの風味を減殺させるようなことがなく、しかもオリーブに本来含有されているポリフェノール等の有効成分の含有率を増加させることができるとともに、オリーブに本来含有されていない有効成分を付加させることができ、ひいては生理活性作用を高めることのできる柑橘成分入りオリーブオイルとその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、柑橘類の果実の成分が、オリーブオイル中に抽出されていることを特徴とする柑橘成分入りオリーブオイルを提供するものである。また本発明は、柑橘類の果実の成分をオリーブオイル中に抽出して製造することを特徴とする柑橘成分入りオリーブオイルの製造方法を提供するものである。
【0012】
柑橘類の果実の成分のオリーブオイル中への抽出は、たとえば柑橘類の果実とオリーブの果実とを混合状態で圧搾することにより行われる。ここで「果実」とは、
果肉、種子、皮等を含む果実全体を意味する場合の他、たとえば果実の皮等、果実の一部のみを用いる場合も含む意味である。また、果実の絞り粕等も本発明の「果実」に含まれる。さらに、未だ圧搾、切断、破砕、粉砕等を行っていない果実、すなわち、いわゆる丸ごとそのままの果実を意味する場合の他、そのような丸のままの果実を、所定の大きさに切断、破砕、粉砕等を行ったものも本発明の「果実」に含まれる。従って、「混合状態で圧搾する」とは、未だ破砕、粉砕等を行っていないオリーブと柑橘類との丸のままの果実を単に混ぜ合わせ、その状態で圧搾する場合の他、所定の大きさに切断、破砕、粉砕等を行った柑橘類の果実とオリーブの果実を混合して圧搾するような場合も含む。また圧搾とは、一般には「圧力でしぼること」をいうが、本発明においては圧力が加わっているか否かを厳密に問う趣旨ではなく、一般に果実から果汁や果物油等の液分を得ることを広く含む趣旨である。
【0013】
柑橘類の果実としては、結実して1ケ月〜3ケ月のポンカン、伊予柑、又はデコポンの未成熟果実を用いることが好ましい。また、自然濾過により、柑橘類の果実及びオリーブの果実の圧搾物から、柑橘成分入りオリーブオイルを分離して製造することが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、上述のように、柑橘類の果実の成分をオリーブオイル中に抽出したものであるため、オリーブオイル自体が本来有している風味と機能性を損なわず、柑橘類が有している風味と機能性をさらに付加させることができ、且つそれぞれの風味を減殺させるようなことがなく、しかもオリーブに本来含有されているポリフェノール等の有効成分の含有率を増加させることができるとともに、オリーブに本来含有されていない有効成分を付加させることができ、ひいては生理活性作用を高めることができるとともに、柑橘の香りがする高級感のある柑橘成分入りオリーブオイルを提供することが可能になるという効果がある。
【0015】
特に、柑橘類の果実とオリーブの果実とを混合状態で圧搾することにより、柑橘類の果実の成分をオリーブオイル中に抽出する場合には、オリーブオイルが主たる有効成分として含有されるだけでなく、あたかもオリーブオイル自身が柑橘類の果実の皮、果肉、その他構成部分の内部に浸透して成分を抽出する抽出溶媒のような機能をするという、単にオリーブオイルと柑橘果汁とを混合することによっては到底発揮できないような作用、効果を生じることとなる。この結果、双方の成分が相溶化して長期間放置しても相分離し難く、また柑橘類の成分を抽出するための溶媒を必要としない等の効果がある。
【0016】
さらに、自然濾過によって固形物のみを除去した場合には、混合物中から有効な成分が不用意に分離除去されるようなことを防止できるという効果がある。
【0017】
また柑橘類として結実して1ケ月〜3ケ月のポンカン、伊予柑、又はデコポンの未成熟果実を用いた場合には、有効成分の含有量の多い柑橘成分入りオリーブオイルを得ることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
本発明の柑橘成分入りオリーブオイルは、上述のように、柑橘類の果実の成分が、オリーブオイル中に抽出されていることを特徴とするものである。また本発明の柑橘成分入りオリーブオイルの製造方法は、柑橘類の果実の成分をオリーブオイル中に抽出して製造することを特徴とするものである。柑橘類の果実の成分のオリーブオイル中への抽出は、主として柑橘類の果実とオリーブの果実とを混合状態で圧搾することにより行われる。
【0020】
柑橘類の種類としては、たとえばポンカン、伊予柑、ハッサク、デコポン、スィートスプリング、甘夏柑、温州ミカン、スダチ、柚、カボス、ダイダイ、その他の柑橘類を使用することができる。また、使用する柑橘の種類は目的とする風味に合わせて複数種のものを適宜選択して混合することが可能である。特にポンカン又は伊予柑を用いることが好ましい。
【0021】
柑橘類の果実としては、成熟果実そのもの、成熟果実の皮、成熟果実のジュース絞り粕、未成熟果実等を使用することができる。未成熟果実とは、可食部が充分に成長していない果実をいう。狭義の未成熟果実は、一般には結実後5ヶ月〜6ヶ月以内のものをいう場合が多いが、本発明における未成熟果実には、結実後1ヶ月
〜5ヶ月程度のものも含む。これら未成熟果実のうち、結実して1ケ月〜3ヶ月のものには、成熟果実よりもポリフェノール類が多く含まれていることが分かっており、このポリフェノール類を有効に活用するためにも結実して1ケ月〜3ヶ月の未成熟果実を用いることが好ましい。
【0022】
さらに、結実して1ケ月〜3ヶ月の未成熟果実のうち、成熟させて収穫するためのものを残して、それ以外のものを剪定して間引くことがある。そのように剪定される果実のこと摘果果実といい、この摘果果実を用いることがさらに好ましい。通常はこのような剪定屑としての摘果果実、成熟果実の皮、ジュース絞り粕などは廃棄処分となるが、これらを利用することで、廃棄物の有効利用が図られることとなるためである。
【0023】
さらに、オリーブの品種としては、ミッション、マンザニロ、ネバディロ・ブランコ、ルッカ、その他、イタリア産やスペイン産の様々な種類のものが利用できる。単独種のオリーブを用いてもよいが、風味を調製するために複数品種のオリーブの果実の混合物を使用することもできる。
【0024】
また、オリーブ果実としての熟成度については、完全に熟した完熟果実、完熟の
少し前段階の成熟果実、未成熟果実が何れも利用できる。完熟果実は、外皮の色は黒色で、果肉の全体的に紫色で充分に柔らかく、採取されるオイルは黄金色である。成熟果実は、外皮の色は赤みがかった紫色で、果肉は白色で少し柔らかく、採取されるオイルは緑がかった黄色である。未成熟果実は、外皮の色は緑色で、果肉は白色で堅く、採取されるオイルは黄色がかった緑色である。このように、採取されるオイルは、オリーブ果実の熟成度によって、香り、辛み、苦みなどの風味、油分、水分等の成分の構成が異なる。これはオリーブ果実の成熟度によって変化する含有成分の差に起因するものであり、適宜、選択して用いることが好ましい。特に、完熟果実あるいは成熟果実を用いることが好ましい。
【0025】
本発明の柑橘成分入りオリーブオイルは、前記柑橘類の果実と前記オリーブの果実との様々な組み合わせによって製造することができる。特に、風味と生理的活性作用との観点から、柑橘類の未成熟果実とオリーブの完熟果実あるいは成熟果実との組み合わせが好ましい。さらに、前記組み合わせにおいて、柑橘類の品種はポンカンと伊予柑、オリーブの品種はミッションを用いるのが好ましい。
【0026】
次に、上記のような柑橘成分入りオリーブオイルを製造する製造方法の一実施形態を図1に従って説明する。
【0027】
先ず、傷物や虫食いなどの原料として適さないものを除去して選別したオリーブの果実と柑橘類の果実を洗浄する。
【0028】
次に、洗浄後のオリーブの果実と柑橘類の果実とを、オリーブオイルの搾油機のような柑橘成分入りオリーブオイルの製造装置に供給し、混合状態で圧搾する。より具体的には、オリーブの果実と柑橘類の果実とを、たとえばホッパーのようなものを介して投入して混合状態とし、その混合状態のままスクリュー式供給機等によって両者をハンマーミル等の粉砕機へ供給し、その破砕機で混合状態の両者を粉砕する。このようなスクリュー式供給機等での供給や粉砕によって、結果的にはオリーブの果実と柑橘類の果実とが同時に圧搾されることになる。
【0029】
このように混合状態のオリーブの果実と柑橘類の果実とを同時に圧搾する場合、オリーブの果実や柑橘類の果実に含まれる種子を破砕しないように行うことが好ましい。これは、種子に多く含まれるリノール酸が過剰にオリーブオイル中に含有されることを防止するためである。オリーブオイルは、主成分であるオレイン酸とリノール酸とのバランスが重要であり、このバランスが崩れることによって品質が低下することを防止するために、圧搾時における粉砕等の条件を制御することが好ましいのである。
【0030】
次に、混合、粉砕されたオリーブの果実と柑橘類の果実とを攪拌混合する。この攪拌混合は、たとえば攪拌器等で行われる。この攪拌混合の際に、柑橘類果実の粉砕物とオリーブ果実粉砕物とが接触し、主として含有されるオリーブオイルが、柑橘類果実の粉砕物の内部に充分に浸透して成分を抽出するように作用するのである。
【0031】
次に、攪拌混合された混合物から、主として油相部分を分離する。すなわち、オリーブや柑橘類の果実の破砕物等の固形物、及び水相から、大部分の油相部分が分離されることとなる。その後、分離された油相部分を、濾過装置によって自然濾過する。このようにして、濾過された柑橘成分入りオリーブオイルが製造されることとなる。
【0032】
尚、前記油相部分の分離の手段について、たとえば遠心分離等の強制的な分離方法を採用すると、有効成分が不用意に分離されて除去されるおそれがある。そのため、自然濾過することによって固形物のみを除去し、混合物としての液状の有効成分をほとんどオイル中に保持することが好ましい。
【0033】
このように、自然濾過の方法を用いると、油相部分以外の固形分および水相部分が除去されて、透明度に優れた最高品質のオリーブオイルを製造することが可能となる。一方、水相部分には水溶性の総ポリフェノールなど水に溶解する有効成分が含有されていることから、この水溶性有効成分を利用する場合には、微細な固形分のみを除去するような濾過条件で濾過することが好ましい。このようにして濾過した場合には、オイル中に水溶性の有効成分が逆ミセル状になってオイル中に均一に分散した状態となり、前述の最高品質のオリーブオイルと比べてわずかに透明度が低いオイルが得られるが、水溶性有効成分に起因する機能性をオイルに付与することが可能となる。
【0034】
次に、上記のようなオリーブの果実と柑橘類の果実との同時圧搾による製造方法を実施するための製造装置の一例を、図2に従って説明する。
【0035】
図2に示す柑橘成分入りオリーブオイルの製造装置は、ホッパー1と、果実供給体2と、粉砕具3と、攪拌器4と、ペースト供給体5と、デカンター6とを具備して構成されている。
【0036】
ホッパー1は、原料であるオリーブの果実と柑橘類の果実とを装置内に投入するためのものであり、柑橘成分入りオリーブオイルの製造装置の最上部に設けられている。
【0037】
果実供給体2は、前記ホッパー1へ投入されたオリーブの果実と柑橘類の果実とを、粉砕具3へ供給するためのものである。この果実供給体2にはスクリューが具備されており、さらに、図示しないが、速度を可変することのできるギアモーターが具備されている。そして、ギアモーターの駆動により、軸を中心にスクリューが回転することによって、果実のままの状態で混合されたオリーブと柑橘類とが供給されるように構成されている。
【0038】
粉砕具3は、前記果実供給体2によって供給されたオリーブの果実と柑橘類の果実とを粉砕するものであり、ハンマーミルとして機能するような構成からなるものである。この粉砕具3は、前記果実供給体2の側部に設けられている。
【0039】
攪拌器4は、前記粉砕具3で粉砕されたオリーブと柑橘類との果実の粉砕物を攪拌混合するためのものである。この攪拌器4には、攪拌軸や攪拌翼が具備され、さらに速度を可変することのできるギアモーターが具備されている。そして、該ギアモーターの駆動により、攪拌軸を中心に攪拌翼が回転することによって、オリーブと柑橘類との果実の粉砕物が攪拌混合されるように構成されている。この攪拌器4は、前記粉砕具3の下部に設けられている。
【0040】
ペースト供給体5は、前記攪拌器4によって攪拌混合されてペースト状とされたオリーブと柑橘類との果実の粉砕混合物をデカンター6へ供給するものであり、前記攪拌器4に設けられている。このペースト供給体5にも、速度を可変することのできるギアモーターが具備されている。
【0041】
デカンター6は、粉砕されたオリーブと柑橘類との果実粉砕混合物残渣を、前記ペースト状の混合物から分離するためのものであり、前記ペースト供給体5の側方に設けられている。このデカンター6は、遠心分離機のように機能するものであるが、一般のオリーブオイルを製造する際に、オリーブ果実の残滓や水分から、油分であるオリーブオイルをほぼ完全に分離するような遠心分離機ではなく、上記のようにペースト状の混合物から、オリーブと柑橘類との果実粉砕混合物の粗い残渣を分離、除去することを主眼とするものである。このようなデカンター6を採用したのは、一般の遠心分離機のようなものを用いると、オリーブの果実や柑橘類の果実の有効成分までもが不要に分離、除去されるおそれがあり、このような事態を避けるためである。
【0042】
このデカンター6とペースト供給体5との間には、前記オイルを排出するためのオイル排出用ダクト8が設けられている。このオイル排出用ダクト8は、目的とする柑橘成分入りオリーブオイルを装置から排出して取り出すためのものであるが、上述のように遠心分離によると有効成分が不要に分離、除去されるおそれがあるので、上記のようにデカンター6ではオリーブ果実と柑橘類との粗い残渣のみが主として分離、除去された状態でオイル排出用ダクト8から排出されるように構成されている。このため、わずかに不透明で粘度の高い状態でオイル排出用ダクト8からオイルが排出されることとなる。
【0043】
得られた不透明で粘度の高いオイルは、濾過装置10に供給することによって自然濾過され、最終製品としてのオイルが得られることとなる。この濾過装置10は、図2に示すように、回収槽14と、該回収槽14の上部に複数個(図2では3個)設けられたロート13とを具備して構成されている。そのロート13の内面側には濾材12が設けられており、この濾材12が、主として濾過機能を有する構成部材である。この濾材12としては、高分子材料繊維で構成された不織布や織布、セルロース製の濾紙、ステンレス鋼線材で構成される焼結材あるいは濾材などが利用できる。
【0044】
この複数個のロート13に、前記オイル排出用ダクト8から排出される柑橘成分入りオリーブオイルが滴下されるように、該オイル排出用ダクト8には配管部15が接続され、その該配管部15の先端部15aが前記ロート13の上部に臨出するように配置されている。その配管部15の先端部15aの手前側にはバルブ16が設けられ、そのバルブ16によって、ロート13に滴下される柑橘成分入りオリーブオイルの滴下量が調節されるように構成されている。配管部15の流路となる途中の部分にはポンプ11が設けられており、そのポンプ11によって、柑橘成分入りオリーブオイルの濾過装置10への供給がなされるとともに、その供給量の調節がなされるように構成されている。
【0045】
なお、上記オイル排出用ダクト8と反対側のデカンター6の側部には、オリーブの果実と柑橘類の果実との粗い残渣を排出するための残渣排出部9が設けられている。この残渣排出部9からは、主としてオリーブの果実と柑橘類の果実との粗い残渣が排出されるが、粘度の高いペースト状残渣もこの残渣排出部9から排出される。
【0046】
そして、このような装置を用いて柑橘成分入りオリーブオイルを製造する方法について説明する。
【0047】
先ず、原料であるオリーブの果実と柑橘類の果実とをホッパー1に投入する。このようにオリーブの果実と柑橘類の果実との両者が1つのホッパー1から投入された時点で、オリーブと柑橘類とは、果実のままの状態ですでに混合された状態となる。
【0048】
ホッパー1に投入されて混合状態とされたオリーブの果実と柑橘類の果実とは、果実供給体2によって粉砕具3へ供給される。このように果実供給体2によって供給される際、その果実供給体2のスクリューの回転によって、混合状態のオリーブの果実と柑橘類の果実との圧搾が開始されることとなる。オリーブの果実と柑橘類の果実とが粉砕具3へ供給されると、該粉砕具3がハンマーミルとして機能し、混合状態のオリーブの果実と柑橘類の果実とが粉砕され、果肉部分と種子部分とに大まかに分離される。
【0049】
次に、粉砕されたオリーブの果実と柑橘類の果実とは、前記粉砕具3から落下して攪拌器4に供給され、該攪拌器4内で攪拌混合される。攪拌混合されたオリーブの果実と柑橘類の果実との混合物はペースト状となり、該攪拌器4から排出されてペースト供給体5に供給される。
【0050】
ペースト供給体5に供給されたペースト状混合物は、該ペースト供給体5からデカンター6側へ供給されることとなる。そして、ペースト供給体5からデカンター6側へ供給されたペースト状混合物は、該デカンター6によって、オイル分を含み、粘度の低いペーストを含むオイル混合物と、オリーブの果実と柑橘類の果実との粗い残渣とに分離され、粗い残渣は残渣排出部9から排出される。
【0051】
一方、わずかに不透明で粘度の高い状態のオイル混合物は、オイル排出用ダクト8から排出される。この場合において、デカンター6は、上述のようにペースト状の混合物から、オリーブの果実と柑橘類の果実との粗い残渣と粘度の高いペーストを分離、除去する。この際、ある程度の水分は除去されるものの、オリーブの果実や柑橘類の果実の有効成分が不要に分離、除去されるおそれは少ない。従って、ポリフェノールやリモネン等の有効成分は、わずかに不透明で粘度の高い状態のオイル混合物として、オイル排出用ダクト8から排出されることとなる。
【0052】
オイル排出用ダクト8から排出されたオイル混合物は、濾過装置10に投入されることによって自然濾過されることとなる。このとき、有効成分を含むオイル分のみが滴下され、オリーブの果実と柑橘類の果実との微粒残渣は、濾過装置によって分離除去される。その結果、わずかに不透明であったオイル混合物が、透明な高品質のオイルとなる。
【0053】
このようにして、上記装置により、柑橘成分入りオリーブオイルが製造されることとなる。
【0054】
上述のように、本発明においては、柑橘類の果実とオリーブの果実とを混合状態で圧搾することにより、柑橘類の果実の成分をオリーブオイル中に抽出することを主眼とするものであるが、このように、両果実を混合状態で圧搾する場合の他、たとえばオリーブオイルを柑橘類の果実に浸透させた後、或いはオリーブオイル中に柑橘類の果実を浸漬した後に、柑橘類の果実を圧搾、破砕等することによって柑橘類の果実の成分をオリーブオイル中に抽出することも可能である。
【0055】
このように、柑橘類の果実を圧搾、破砕等することによって柑橘類の果実の成分をオリーブオイル中に抽出する場合、たとえば上記図2に示すような装置を用いることも可能である。すなわち、ホッパー1から柑橘類の果実を投入した後、オリーブオイルをホッパー1から投入し、果実供給体2で圧搾されつつ供給される柑橘類の果実に対して、後から投入されたオリーブオイルを浸透させることで、柑橘類の果実の成分がオリーブオイル中に抽出されることとなる。オリーブオイルを柑橘類の果実と同時にホッパー1から投入した場合、柑橘類の果実が果実供給体2で圧搾されつつ供給されるよりも先にオリーブオイルが果実供給体2を通過することがあるが、圧搾された柑橘類の果実と、先に投入されたオリーブオイルとが結果的には攪拌器4の中で共存することとなり、オリーブオイルによって圧搾された柑橘類の果実から好適に成分が抽出されることとなる。
【0056】
また、柑橘類の果実をホッパー1から投入する一方で、果実供給体2にオリーブオイルを注入して、果実供給体2で圧搾されつつ供給される柑橘類の果実の成分をオリーブオイル中に抽出させることも可能である。さらには、攪拌器4へオリーブオイルを供給し、ある程度、破砕された柑橘類の果実とオリーブオイルとを混合、攪拌することによって、柑橘類の果実の成分をオリーブオイル中に抽出させることも可能である。
【0057】
さらには、上記図2のような装置を用いることなく、オリーブオイルが収容された浸漬槽に柑橘類の果実を浸漬し、柑橘類の果実を圧搾して柑橘類の果実の成分をオリーブオイル中に抽出させることも可能である。
【実施例】
【0058】
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
本実施例は、透明度の高い最高品質の柑橘成分入りオリーブオイルを製造するための実施例である。本実施例では、原料として、ポンカンの未成熟果実の摘果果実(以下、摘果ポンカンと略する。)と、オリーブの果実とを用いた。
【0059】
原料として、結実後2ヶ月を経過した摘果ポンカン3kgと、オリーブの果実(品種ミッション)20kgとを、搾油機内のハンマーミルで混合、粉砕し、オイル状混合物を回収した。回収した混合物を、攪拌槽で攪拌した後、搾油機内のデカンター(遠心分離機)により固形物と水分を除去した。その後、濾過装置を用いて僅かに残る不純物を除去し、ポンカン成分入りオリーブオイル2.95kgを得た。
【0060】
濾過装置としては、質量320g/m2、厚さ0.74mm、濾水時間80秒、保留粒子径3μmの規格の、アドバンテック社製のセルロース濾紙を大型のロートに装着したものを用いた。得られたポンカン成分入りオリーブオイルの酸価は0.345であった。
【0061】
なお、酸価は、得られたポンカン成分入りオリーブオイルをエタノールとエーテルの等量混合溶液に溶かし、その溶液を水酸化カリウム標準液で滴定して求めた(基準油脂分析試験法:日本油化学会)。この酸価は、オリーブオイル等の油脂の品質を評価する上で非常に重要な指標となるものであり、油脂中の遊離脂肪酸の量を表すものである。そして、その量が少ないほど高品質とされる。酸価度あるいは酸価値とも表示される。JASオリーブ油規格では、高品質のオリーブオイルは酸価度2.0以下と定められている。この基準に照らし合わせても、本実施例のオリーブオイルは高品質であることが分かった。
【0062】
得られたポンカン成分入りオリーブオイルの成分の分析を行った結果、リモネンと総ポリフェノールが検出された。ここで、リモネンの検出はガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS分析)によって行い、総ポリフェノールは、当該業界で成分分析の目的で一般的に用いられているFolin-Ciocalteau法によって分析した。リモネンと総ポリフェノールの検出量は、表1に示すとおりである。
【0063】
(実施例2)
本実施例は、透明度の高い最高品質の柑橘成分入りオリーブオイルを製造するための他の実施例であり、柑橘果実として、上記実施例1の摘果ポンカンに代えて伊予柑の未成熟果実の摘果果実(以下、摘果伊予柑と略す。)を用いたものである。
【0064】
結実後2ヶ月を経過した摘果伊予柑2kgと、オリーブの果実(品種ミッション)20kgとを、搾油機内のハンマーミルで粉砕混合し、オイル状混合物を回収した。回収した混合物を、攪拌槽で攪拌した後、搾油機内の遠心分離機により固形物と水分を除去した。その後、濾過装置を用いて不純物を除去し、伊予柑成分入りオリーブオイル3.3kgを得た。濾過装置は実施例1と同様のものを用いた。また得られた伊予柑成分入りオリーブオイルの酸価は0.350であった。酸価は、実施例1と同じ方法で測定した。
【0065】
また、実施例1と同様の方法で、得られたオイルの成分の分析を行った結果、リモネンと総ポリフェノールが検出された。リモネンと総ポリフェノールの検出量は、表1に示すとおりである。
【0066】
(比較例1)
本比較例は、オリーブの果実のみからオイルを回収した結果である。
【0067】
まず始めに、オリーブの果実(品種ミッション)20kgについて、搾油機内のハンマーミルで粉砕混合し、オイル状物を回収した。回収したオイル状物を、攪拌槽で攪拌した後、搾油機内の遠心分離機により固形物と水分を除去した。その後、濾過装置を用いて不純物を除去し、オリーブオイル3.2kgを得た。
【0068】
実施例1、2と同様の方法で、得られたオイルの成分の分析を行った結果(表1)、総ポリフェノールが検出された。一方、リモネンは検出されなかった。表1の結果から、オリーブオイルに含有される総ポリフェノールは上記実施例1及び2の混合オイルより少ないことが分かった。
【0069】
この結果から、混合状態の、オリーブの果実と摘果ポンカン若しくは摘果伊予柑の果実との同時圧搾によって、摘果果実由来のリモネンと総ポリフェノールが確実にオリーブオイル中に移行したことが分かった。移行した成分量(移行値)は、オリーブの果実と摘果ポンカン若しくは摘果伊予柑の果実との同時圧搾で得られた実施例1若しくは実施例2と、オリーブの果実のみからオイルを回収した比較例1との成分量の差に基づいて求めることができる。たとえば、実施例1の総ポリフェノールの移行値は、531.4−463.8(μg/g−oil)で求めることができ、実施例2の総ポリフェノールの移行値は、483.3−463.8(μg/g−oil)で求めることができる。その移行値を表2に示す。
【0070】
さらに、使用した摘果果実の単位重量当たりにオリーブオイルに移行した成分量(換算値)を求めたものを、表3に示した。尚、移行値を換算値に換算するための式は次の通りである。また、(g−pon)は、摘果ポンカンの重量を、(g−iyo)は、摘果伊予柑の重量を意味する単位である。
【0071】
<実施例1>
換算値=(移行値)×(2.95kg−oil)/(3kg−pon)
<実施例2>
換算値=(移行値)×(3.3kg−oil)/(2kg−iyo)
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

【0074】
【表3】

【0075】
(比較例2)
本比較例は、摘果果実のみを粉砕して回収したものに含有される有効成分を分析した例である。
【0076】
結実後2ヶ月を経過した摘果ポンカン100.46gを準備し、これを粉砕して2.21gの果汁を得た。得られた果汁の成分の分析を、実施例1及び2と同様の方法で行った結果、リモネンと総ポリフェノールが検出された。リモネンと総ポリフェノールの検出量は、表4に示すとおりである。
【0077】
表4において、比較例2のリモネンと総ポリフェノールの検出量は、果汁中の含有量であり、そのままでは前記表3に示した実施例1及び2のような量と対比することができない。そこで、検出量の単位を表3と同じ単位に変換させるために、次のように換算することが必要となる。
【0078】
換算値=(検出量)×(2.21g−juice)/(100.46g−pon)
【0079】
算出された換算値を表5に示す。この換算値を表3の実施例1と対比すると、比較例2の摘果ポンカンのオイルに換算したリモネンの換算値は、実施例1に比べてはるかに少ないことがわかった。一方、総ポリフェノールの換算値は実施例1よりは多い値となった。
【0080】
油溶性のリモネンは、単に摘果ポンカンを粉砕してその果汁をオリーブオイルに混合しただけではオリーブオイル中に移行されにくいが、オリーブ果実と混合して攪拌することによってオリーブオイルによって好適に抽出されて、オイル中に移行することができたと考えられた。
【0081】
油溶性と水溶性の両方の成分を含有する総ポリフェノールは、単に摘果ポンカンを粉砕した場合には油溶性と水溶性の両方のものが回収される。しかし、オリーブオイルを用いた場合には、油溶性の総ポリフェノールが主としてオイル中に移行したために、実施例1よりも比較例2の値が多くなったと考えられた。
【0082】
(比較例3)
本比較例は、摘果果実のみを粉砕して回収したものに含有される有効成分を分析した別の例である。
【0083】
結実後2ヶ月を経過した摘果伊予柑100.32gを準備し、これを粉砕して14.53gの果汁を得た。得られた果汁の成分の分析を、実施例1及び2と同様の方法で行った結果、リモネンと総ポリフェノールが検出された。リモネンと総ポリフェノールの検出量は、表4に示すとおりである。
【0084】
表4において、比較例3のリモネンと総ポリフェノールの検出量は、果汁中の含有量であり、そのままでは前記表3に示した実施例1及び2のような量と対比することができない。そこで、検出量の単位を表3と同じ単位に変換させるために、次のように換算することが必要となる。
【0085】
換算値=(検出量)×(14.53g−juice)/(100.32g−iyo)
【0086】
算出された換算値を表5に示す。この換算値を表3の実施例2と対比すると、比較例3の摘果伊予柑のオイルに換算したリモネンの換算値は、実施例2に比べてはるかに少ないことがわかった。一方、総ポリフェノールの換算値は実施例2よりは多い値となった。
【0087】
油溶性のリモネンは、単に摘果伊予柑果実を粉砕してその果汁をオリーブオイルに混合しただけではオリーブオイル中に移行されにくいが、オリーブ果実と混合して攪拌することによってオリーブオイルによって好適に抽出されて、オイル中に移行することができたと考えられた。
【0088】
油溶性と水溶性の両方の成分を含有する総ポリフェノールは、単に摘果伊予柑を粉砕した場合には油溶性と水溶性の両方のものが回収される。しかし、オリーブオイルを用いた場合には、油溶性の総ポリフェノールが主としてオイル中に移行したために、実施例2よりも比較例3の値が多くなったと考えられた。この傾向は、比較例1と実施例1との比較結果の傾向と同様であった。
【0089】
【表4】

【0090】
【表5】

【0091】
上記実施例1、2、及び比較例1乃至3の結果から、オリーブのみ或いは柑橘類のみのサンプルよりも、柑橘類成分入りオリーブオイルにおける各成分の含有量が増加することが確認された。特に、柑橘類由来の油溶成分が好適にオリーブオイル中に移行することが確認された。
【0092】
さらに、上記実施例1及び2の結果から、柑橘成分入りオリーブオイルの酸価が、JASオリーブ油規格の高品質オリーブオイルの酸価2.0よりも低い値であり、さらに最高品質であるとともに安定性が極めて高いことが分かった。この結果から、本実施例による柑橘成分入りオリーブオイルは、食品はもとより、品質の安定性を要求される化粧品への適用も可能であることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】一実施形態としての柑橘成分入りオリーブオイルの製造方法の製造工程を示すブロック図。
【図2】一実施形態としての柑橘成分入りオリーブオイルの製造装置の概略正面図。
【符号の説明】
【0094】
3…粉砕具
4…攪拌器
6…デカンター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柑橘類の果実の成分を、オリーブオイル中に抽出して製造することを特徴とする柑橘成分入りオリーブオイルの製造方法。
【請求項2】
柑橘類の果実とオリーブの果実とを混合状態で圧搾することにより、柑橘類の果実の成分をオリーブオイル中に抽出する請求項1記載の柑橘成分入りオリーブオイルの製造方法。
【請求項3】
自然濾過により、柑橘類の果実及びオリーブの果実の圧搾物から、柑橘成分入りオリーブオイルを分離して製造する請求項1又は2記載の柑橘成分入りオリーブオイルの製造方法。
【請求項4】
柑橘類の果実が、結実して1ケ月〜3ケ月のポンカン、伊予柑、又はデコポンの未成熟果実である請求項1乃至3のいずれかに記載の柑橘成分入りオリーブオイルの製造方法。
【請求項5】
柑橘類の果実の成分が、オリーブオイル中に抽出されていることを特徴とする柑橘成分入りオリーブオイル。
【請求項6】
柑橘類の果実とオリーブの果実とが混合状態で圧搾されることにより、柑橘類の果実の成分がオリーブオイル中に抽出されている請求項5記載の柑橘成分入りオリーブオイル。
【請求項7】
柑橘類の果実が、結実して1ケ月〜3ケ月のポンカン、伊予柑、又はデコポンの未成熟果実である請求項5又は6記載の柑橘成分入りオリーブオイル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−29989(P2009−29989A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197388(P2007−197388)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(501484839)有限会社井上誠耕園 (2)
【Fターム(参考)】