説明

染め木製品の製造法及びそれによって得られた染め木製品

【課題】 染め木製品を工業的に生産性よく製造し得る方法を提供すること。
【解決手段】 所定長さの丸木の一方の端面から、加圧下に、水を押し込むようにする一方、該丸木の他方の端面に対して減圧吸引作用を及ぼすことにより、前記一方の端面から導入された水を該丸木の内部を該他方の端面側に導くようにすると共に、該丸木の中間部位に設けた染料液注入孔より、水溶性染料を水に溶解してなる染料液を注入して、該丸木内を該他方の端面側に導かれる水により該染料液を移動させることによって、該丸木内部を該染料液にて着色せしめるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染め木製品の製造法及びそれによって得られた染め木製品に係り、特に、染め木製品を、工業的生産性よく、製造することのできる方法、並びにそれによって得られる、装飾効果に優れた染め木製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、間伐材等の木材の有効利用の観点から、木材を所望の色相に着色することにより装飾して、美観乃至は装飾性を高め、木材としての用途の拡大を図った染め木製品が、注目を受けている。
【0003】
ところで、そのような着色装飾された木材を製作するには、一般に、木材を加工した後に、その表面に着色塗装する方法が、採用されることとなるのであるが、この着色塗装に係る装飾法は、単色が多く、多色装飾にはあまり価値が見出せない装飾法となっているのである。特に、それは、木材の持つ特性、例えば、木肌、年輪模様、感触等を生かし、且つ更なる付加価値を与え得る装飾法とは、言い難いものであったのである。
【0004】
一方、天然木材に対して、その伐採前の立木状態において、染料による染色を行ない、多色装飾を施してなる立木染めの手法も、提案されており、例えば、特開2000−254904号公報(特許文献1)においては、伐採前の立木内部に立木が備える導管と連絡する流入孔を形成し、外部より、該流入孔へ染液を注入することにより、かかる導管の給水力を利用して、立木内部を染色する木材の染色方法において、立木内部へ互いに独立した二つ以上の流入孔を形成し、それら流入孔毎に、異なる色の染液を注入することを特徴とする木材の染色方法が、明らかにされている。
【0005】
しかしながら、そのような立木染めの装飾法にて得られるものは、装飾木材としては評価が高いものの、その染色工程が、全て自然を対象とした要素で構成されることとなるために、その製造が困難であり、また、目的とする着色が実現されているか、どうかについても、実に不確かなものであった。即ち、立木染めの手法は、天然立木に対して実施する必要があるからであり、そのために、自然条件に左右される要素が大きく、結果は、伐採をしてみないとわからないところがあり、安定品質の製品が得られず、しかも工場生産が不可能であるところから、コスト面においても高価となり、そのため、工芸分野等の一部用途を除いて、殆ど装飾品として用いられることはなかったのである。
【0006】
【特許文献1】特開2000−254904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、染め木製品を工業的に生産性よく製造し得る方法を提供することにあり、また、そのような方法によって得られた、装飾性に優れた染め木製品を経済的に有利に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、本発明にあっては、かくの如き課題の解決のために、所定長さの丸木の一方の端面から、加圧下に、水を押し込むようにする一方、該丸木の他方の端面に対して減圧吸引作用を及ぼすことにより、前記一方の端面から導入された水を該丸木の内部を該他方の端面側に導くようにすると共に、該丸木の中間部位に設けた染料液注入孔より、水溶性染料を水に溶解してなる染料液を注入して、該丸木内を該他方の端面側に導かれる水により該染料液を移動させることによって、該丸木内部を該染料液にて着色せしめるようにしたことを特徴とする染め木製品の製造法を、その要旨とするものである。
【0009】
また、本発明にあっては、そのような染め木製品の製造法に従って得られた染め木製品をも、その要旨としているのである。
【発明の効果】
【0010】
このような本発明に従う製造法においては、立木、そのものを対象とするのではなく、樹木を伐採して得られる所定長さの丸木を対象として、その一方の端面から水を押し込むようにする一方、他方の端面における吸引作用によって、丸木内部の導管(道管)等を通じて、丸木の長手方向に効果的に導かれる水によって、注入された染料液を丸木内部に拡散乃至は分散、流動せしめ、以て、丸木内部の有効な着色(染色)を行なうことが出来るようにしたものであり、これによって、自然条件に左右されることなく、工場内において工業的に、着色装飾された丸木を製造することが可能となったのである。
【0011】
また、本発明に従う、伐採された樹木である丸木を着色して装飾する手法は、単なる木の表面に着色塗料を塗ることからなる装飾ではなく、樹木に水や樹液を流す導管を利用した着色法であって、樹木の持つ特性を活かした装飾技法となるために、自然が作り出すオリジナリティーと、樹木が持つ特性を顕著に引き出した本物志向の着色装飾物となって、その価値を効果的に高め得ることとなるのである。
【0012】
特に、この本発明において採用される、導管等を利用した染め木手法は、樹木(丸木)が有する水を吸う作用を活用して、水溶性の染料(着色剤)を、樹木内で流動する導管内の水と一緒に流動させることで、樹木内のセルロース繊維に染料を染着させて、着色し、染め木する方法であって、環境対策、省資源対策、自然重視等の社会ニーズにも好適に合致し、しかも、工場生産を可能としたところに、工業的にも大きな技術的意義を有しているのである。
【発明の態様】
【0013】
ところで、本発明は、前記した課題又は明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであるが、また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいても、採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが理解されるべきである。
【0014】
(1) 所定長さの丸木の一方の端面から、加圧下に、水を押し込むようにする一方、該丸木の他方の端面に対して減圧吸引作用を及ぼすことにより、前記一方の端面から導入された水を該丸木の内部を該他方の端面側に導くようにすると共に、該丸木の中間部位に設けた染料液注入孔より、水溶性染料を水に溶解してなる染料液を注入して、該丸木内を該他方の端面側に導かれる水により該染料液を移動させることによって、該丸木内部を該染料液にて着色せしめるようにしたことを特徴とする染め木製品の製造法。
【0015】
(2) 前記丸木が湿潤状態に保持されて、前記染料液の注入が行なわれる上記態様(1)に記載の染め木製品の製造法。
このような態様(2)に係る構成の採用によって、丸木内への水の押し込みを効果的に行い得ることとなり、以て、注入された染料液の丸木内部における移動乃至は流動を効果的に為し得て、広い領域の着色(染色)を有利に行い得ることとなるのである。
【0016】
(3) 前記丸木が、樹皮を剥がさない状態において用いられる上記態様(1)又は(2)に記載の染め木製品の製造法。
このような態様に従って、樹皮をつけたままの丸木において、取り扱うことにより、丸木内部の乾燥が効果的に抑制乃至は阻止され得ることとなり、以て、丸木内部が効果的に湿潤状態に保持され得て、注入された洗浄液による有効な着色(染色)が、有利に行なわれ得ることとなる。
【0017】
(4) 前記丸木が、間伐材である上記態様(1)乃至(3)の何れか1つに記載の染め木製品の製造法。
このように、伐採された間伐材を丸木として用いることによって、これまで廃棄処理が大問題とされてきた間伐材の有効利用の途が開け、その廃棄処理の問題が緩和されることに加えて、間伐材の付加価値を高め、また、新たな商品価値を与えるものともなるのである。
【0018】
(5) 前記染料が、直接染料又は酸性染料である上記態様(1)乃至(4)の何れか1つに記載の染め木製品の製造法。
このような直接染料又は酸性染料の使用は、丸木内部の有効な着色の観点からして、望ましいものであり、中でも、水溶性の直接染料が、特に有利に用いられることとなる。
【0019】
(6) 前記丸木の他方の端面に対する減圧吸引作用が、時間的な間隔をおいて実施される上記態様(1)乃至(5)の何れか1つに記載の染め木製品の製造法。
この態様(6)の構成に従って、減圧吸引作用が、丸木の他方の端面に対して、時間的な間隔を置いて、間欠的に実施されるインターバル吸引操作を採用することにより、丸木内部における、押し込まれた水や注入された染料液の径方向への広がりが効果的に助長され、以て、丸木内部の着色領域を有利に増大せしめ得るのである。
【0020】
(7) 前記染料液に、食塩が添加、含有せしめられている上記態様(1)乃至(6)の何れか1つに記載の染め木製品の製造法。
このような染料液への食塩の添加によって、丸木内部の染料による着色効果を、効果的に高めることが出来る。
【0021】
(8) 前記丸木の一方の端面から押し込まれる水が、加熱されている上記態様(1)乃至(7)の何れか1つに記載の染め木製品の製造法。
この態様に従って、押し込まれる水が加熱されていることによって、丸木内部において流動する水の温度が上昇するようになると、染料液による丸木内部の染色を短時間で行なうことが可能となる。
【0022】
(9) 前記丸木が、加熱されている上記態様(1)乃至(8)の何れか1つに記載の染め木製品の製造法。
このように、丸木が加熱されるようにしても、前記した水の温度を上昇せしめる場合と同様に、染色時間の短縮が可能となるのであり、特に、丸木の加熱と共に、押し込み水の温度を上昇せしめることによって、顕著な効果が達成され得るのである。
【0023】
(10) 前記丸木の全体が、密閉シールされている上記態様(1)乃至(9)の何れか1つに記載の染め木製品の製造法。
このような密閉シールによって、丸木の湿潤状態や加温(加熱)状態が効果的に保持され、以て、染料液を用いた丸木内部の着色作業を有利に実行し得るのである。
【0024】
(11) 前記丸木の一方の端面から押し込まれる水が、水溶性樹脂又はエマルジョン樹脂を含有している上記態様(1)乃至(10)の何れか1つに記載の染め木製品の製造法。
この態様(11)に従って、丸木内部に樹脂を浸透せしめることによって、着色した丸木の組織が水を吸収したり、排出することによって、着色染料が流出する等の問題を有利に改善乃至は回避することが可能となる。
【0025】
(12) 前記丸木の内部の着色が完了した後、該丸木又はそれから得られた部材の着色表面に対して、少なくとも耐紫外線劣化性に優れた透明な樹脂被膜が形成される上記態様(1)乃至(11)の何れか1つに記載の染め木製品の製造法。
このような態様に従って、着色された丸木から得られる製品の着色表面に対して、耐紫外線劣化性に優れた、換言すれば紫外線吸収性の透明な樹皮被膜が形成されることによって、着色色相の褪色の問題が効果的に改善され、以て、耐候性が向上されたものとなるのであり、これにより、屋外用途の着色装飾製品として、有利に用いられ得るのである。
【0026】
(13) 前記染料液が、前記丸木の横断面において径方向に延びるメイン通路とそれから枝分かれした分岐通路とからなる注入通路を通じて、該丸木内部に浸透せしめられる上記態様(1)乃至(12)の何れか1つに記載の染め木製品の製造法。
本発明において、染料液の注入は、一点から注入せしめる単点注入方式も可能ではあるが、丸木の横断面において、多数の箇所から丸木の内部組織に導くようにした多点投入方式を採用することが、丸木の内部を広い領域に亘って染色することに有効である。
【0027】
(14) 前記丸木の両端面の少なくとも何れか一方に、所定深さの溝が周方向及び/又は径方向に設けられている上記態様(1)乃至(13)の何れか1つに記載の染め木製品の製造法。
このように、丸木の端面に溝を設けることによって、丸木に対する水の押し込み作用や減圧吸引作用を効果的に施し得ることとなり、以て、丸木内部における水の流動や拡散、染料液の浸透や拡散等が有利に実現され得て、丸木内部の効果的な着色が行なわれ得ることとなるのである。
【0028】
(15) 前記染料液として、着色色相の異なる複数のものを用い、前記染料液注入孔の複数を通じて、それぞれ別個に前記丸木内部に注入せしめられる上記態様(1)乃至(14)の何れか1つに記載の染め木製品の製造法。
このように、複数の染料液が丸木内部に注入され、それぞれの色相に着色が行なわれることにより、それぞれの染料に対応した色相に加えて、それら色相が混合された形態の色相においても、着色されることとなり、得られる染木製品の装飾性乃至は美観がより一層高められ得ることとなる。
【0029】
(16) 上記態様(1)乃至(15)の何れか1つに記載の製造法に従って得られた染め木製品。
このような本発明に従う染め木製品においては、表面着色ではなく、木材の内部組織が着色されてなる形態となっているところから、深みのある着色装飾となり、商品価値の高いものであって、しかも、それは伐採された木を用いて、染め木するものであるところから、商品価値の高さに加えて、コスト的にも安価な染め木製品として、有利に提供され得るのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
ここにおいて、本発明に従う染め木製品の製造法にて対象とされる丸木は、広葉樹や針葉樹に区分される各種の樹木を伐採して、所定長さ、例えば、取扱いの容易な50cm程度の長さから、5m程度の長さにおいて切断してなるものであって、ケヤキ、イチョウ、カラマツ、樫、ツゲ、クス、桐、朴、楡、杉、檜、ヒバ、トドマツ、エゾマツ、樅、ツゲ等が、その対象とされる。なお、これらの樹木から得られる丸木は、その種類によって樹木特性が異なり、年輪や導管(仮導管)等によって染め木したときの装飾表現(染色状態)が異なって、発現されるところから、目的とする染め木製品に応じて、適宜に選定されることとなる。
【0031】
特に、本発明にあっては、そのような樹木の間伐材が好適に用いられ、その商品価値が著しく高められ得ることとなるのである。ところで、そのような間伐材は、一般に、高さが10m位の樹木から伐り出され、その伐採後、本発明に従って、装飾用の染め木製品として利用するには、樹木の太さが最小直径で8cm位までが有効であるところから、樹木を根本より伐採した高さ6m位までが、本発明において、丸木として利用できる長さとなる。そして、工場の染め木工程での収率や効率を考慮すると、染め木ができる丸木(樹木)の長さは、最大5m位、好ましくは3m位までであり、通常、1〜2m位の長さにおいて用いられることとなる。なお、本発明に従って染め木される丸木として、1.5mの長さのものを用いた場合にあっては、採取可能な装飾染め木長さは、大略0.9〜1.0m程度となる。
【0032】
そして、本発明に従って染め木装飾される丸木は、間伐材を含んで樹木を伐採した後、有利には、樹皮を剥がすことなく、適当な長さに切断して、染め木工程に提供されるものである。ここで、丸木としては、樹皮を剥がして用いることも可能であるが、樹皮を剥がすことなく、樹皮のついた木のままで用いることにより、その乾燥を抑え、導管を保守して、後の染め木作業を容易と為し得ることとなる。特に、染め木工程の前段階では、丸木を水中浸漬等によって湿潤させたり、湿度の高い密閉された室内において保管したり、密閉袋体内に収容したりして、丸木の乾燥を防ぐようにすることによって、染め木工程における導管内の液流動をスムーズと為し、以て、染め木時間の短縮化を有利に図り得ることとなるのである。
【0033】
ところで、このように準備された所定長さの丸木を用いて、本発明に従って染め木製品を得るには、例えば、間伐材を対象としたとき、図1に示される如き形態において、実施されることとなるのである。
【0034】
そこにおいて、間伐材から1.2〜1.5m程度の長さに切断されて得られた樹皮2a付きの丸木2が、鉛直方向に配置されて、その上端面に対して、加圧水供給装置4が、流体密に取り付けられる一方、かかる丸木2の下端面には、減圧吸引装置6が流体密に取り付けられている。また、丸木2の中間部位ではあるが、その上端に近接した位置(ここでは、上端から約50mmの位置)とその下方に同程度の距離を隔てた位置に位置するように、丸木2の内部に、2つの多点注入口8a、8bがそれぞれ設けられていると共に、それら多点注入口8a、8bに対して、それぞれ異なる着色液を収容した染料液Aタンク10aと染料液Bタンク10bとが、それぞれ連結されている。更に、丸木2の全体を気密に覆うシールカバー12が、取り付けられている。
【0035】
より具体的には、丸木2の上端面が、図2(a)に示される如く、溝切りされて、10〜30mm程度の深さにおいて、周方向に延びる円形の周溝14aと放射状に延びる複数の径方向溝14bとが、4〜10mm程度の幅にて、それぞれ相互に接続された形態において、設けられている。そして、図2(b)に示されるように、そのような周溝14a内に、加圧水供給装置4を構成する円筒体4aの下部が嵌め込まれて、シール17にて液密に取り付けられている一方、円筒体4aの上部には、圧縮空気を導くパイプ16を取り付けたキャップ4bが螺着されて、パイプ16を通じて導入される圧縮空気にて、円筒体4a内に収容された水18に対して、所定の加圧力を作用せしめ得るようになっている。
【0036】
また、丸木2の下端面にも、図4(a)に示される如く、溝切りが施されて、10〜30mm程度の深さにおいて、周方向に延びる円形の周溝20aと放射状に延びる複数の径方向溝20bとが、4〜10mm程度の幅にて、それぞれ相互に接続された形態において、丸木2の上端面と同様に設けられている。そして、図4(b)に示されるように、その周溝20aに対して、減圧吸引装置6を構成する円筒体6aの上部が嵌め込まれ、シール22によって気密に取り付けられている一方、円筒体6aの下部には、真空キャップ6bが気密に取り付けられて、真空吸引パイプ24を通じて、図示しない真空装置の作動による真空吸引作用にて、円筒体6a及び真空キャップ6bにて構成される減圧吸引装置6の密閉空間内が、所望の真空度、ここでは760〜600mmHg程度の真空度に保持され得るようになっている。
【0037】
さらに、丸木2に対して設けられた2つの多点注入口8a,8bは、図3(a)に示されるように、丸木2の横断面において、直径方向に延びる比較的大径(ここでは、8〜12mmφ程度)のメイン通路8aa(8ba)と、そのようなメイン通路8aaから枝分かれして丸木2表面に至る、メイン通路8aaよりも比較的小径(ここでは、6〜10mmφ程度)の複数の分岐通路8ab(8bb)とから構成され、そのメイン通路8aa(8ba)の外方に開口せしめられた一方の開口端部に対して、染料液Aタンク10aや染料液Bタンク10bからそれぞれ染料液A,Bを導く注入パイプ26a,26bが、それぞれ接続されて、所定の染料液Aや染料液Bが、それぞれ多点注入口8a,8bに導かれて、丸木2の内部に注入され、浸透せしめられ得るようになっている。なお、各メイン通路8aa(8ba)と分岐通路8ab(8bb)は、丸木2の表面からの穿孔によって形成されるところから、それら通路の開口部は、メイン通路8aa(8ba)の注入パイプ26a,26bとの接続のための一つの開口部を除いて、それぞれ閉塞されている。
【0038】
更にまた、シールカバー12は、厚さが0.5〜3.0mm程度のPVCシート等から構成された円筒状のカバーであって、その上端部が、シール17によってシールされる一方、その下端部が、シール22によって気密にシールされていることにより、その内部に収容した丸木2が、外部空間から気密にシールされて、保温されるようになっている。勿論、かかるシールカバー12を貫通するように設けられる、多点注入口8a,8bのメイン通路8aa,8baにおける一方の開口端部に接続される注入パイプ26a,26bとの間においても、図3(b)に示される如く、気密の取付けが行なわれており、シールカバー12内は、実質的に気密状態が確保され得るようになっている。
【0039】
そして、このようなセット状態において、加圧水供給装置4の円筒体4a内に収容された水18が、パイプ16を通じての圧縮空気の導入によって、加圧されて、丸木2の内部に押し込まれるようにされる。なお、この際、圧縮空気の圧力としては、樹木(丸木2)の種類に応じて適宜に選択され、例えば、1〜6kg/cm2 程度の空気圧が採用されることとなる。一方、かかる丸木2の下端部においては、減圧吸引装置6によって、真空吸引(減圧吸引)されることにより、丸木2の下端面には、減圧吸引作用が及ぼされ、以て、前記した加圧下における水の押し込み作用と相俟って、加圧水供給装置4の円筒体4a内の水18が、丸木2の上端部から押し込まれ、丸木2の内部を、導管等を通じて、丸木2の下端部側に浸透、移動(流動)せしめられるのである。
【0040】
このようにして、本発明にあっては、丸木2の両端部に作用せしめられる加圧力と真空吸引力の相乗作用にて、水18が、丸木2の内部において、その上部から下部に向かって効果的に流動せしめられ得るようにしたものであり、従来の立ち木染め手法の如き、樹木の葉からの蒸散作用による水の吸い上げによって惹起される樹液流を利用するものではないために、工場における工業的生産が、極めて容易となっているのである。なお、この本発明における加圧力や真空吸引力は、丸木2の上端面及び下端面を、図2(a)や図4(a)に示される如く、溝切りすることによって、有利に作用せしめられ得て、丸木2内部における水18の浸透・移動を、効果的に高め得ることとなるが、勿論、そのような溝切りは、何れか一方の端面に設けるだけでも、何等差し支えなく、また、その溝切りによって形成される溝14a,14b:20a,20bの配設形態にあっても、目的に応じて適宜に選定され得るものである。
【0041】
また、本発明に従う染め木の方法において、丸木2を着色(染色)する染料としては、目的とする色相に丸木2を染色し得る公知の各種の水溶性染料の中から、適宜に選定されることとなるが、特に、直接染料又は酸性染料が好適に用いられ、中でも染め木の安定品質確保の点からして、直接染料が、有利に用いられることとなる。また、そのような水溶性染料は、一つ又は二つ以上の組合せにおいて用いることが出来、更に、複数の色相に丸木2の内部を染色する場合にあっては、図1に示される如く、染料液Aや染料液B等の、複数の染料液(水溶液)が調製されて、複数の部位(注入口)から、それぞれ別個に丸木2内部に注入せしめられることとなる。
【0042】
そして、かかる染料を用いて着色した丸木2の着色形態に関して、丸木2内部に押し込まれ、吸引される水18が丸木2の内部組織の導管等を伝わって丸木2の上部から下部へ吸引、流動せしめられる時間(染色時間)の短い特性を有するタイプの樹木(柔らかい樹木が多い)では、染料が染料投入部周辺以外の部位へ浸透、広がっていく力より、丸木2の下部へ吸引される力の方が強いために、丸木2径方向における染料の広がり、着色が弱く、そのため染料着色が吸引した側に強く現われ、丸木2の下部側において部分的に着色装飾される傾向が認められる。そして、この傾向は、染料投入形態が、単点でも多点でも、同一傾向となるため、丸木2の全体に均一に広がり、浸透した着色形態とするには、真空吸引(減圧吸引)を時間的な間隔をおいて繰り返し実施するインターバル吸引操作を採用することが、望ましい。このインターバル吸引操作を採用することにより、吸引停止時には、丸木2内部を上下方向に移動する水の、丸木2の径方向外方(外周側)への浸透、広がりが惹起され、以て、丸木2の径方向において染色、広がりのある着色が、有利に実現されるのである。なお、このインターバル吸引は、柔らかい材質で、染色時間が3〜5時間と短い樹木を、丸木2とした場合において、好適に採用されるものであり、また、そのインターバルの形態としては、樹木によりバラツキがあり、樹木に応じて適宜に選定されることとなるが、例えば、スタートから1時間吸引−4時間の吸引停止−1時間吸引−4時間の吸引停止−・・・のサイクルを繰り返す等の方式が、採用されることとなる。
【0043】
また、本発明に従う丸木2の着色装飾法においては、着色剤としては、上述の如く、水溶性染料が選択され、そしてその水溶液の形態において、染料液タンク(10a,10b)内に収容されて、注入パイプ(26a,26b)を通じて、丸木2の内部に投入されることとなるが、そのような染料を投入する部位としては、水18を吸引させる上端面より、少なくとも50mm以上離れた位置とすることが望ましく、また、2〜3色の着色染料を投入する多色染め木手法を採用する場合にあっては、各色の投入部位を、少なくとも50mm以上の間隔を空けて、設けるようにすることによって、効果的な多色着色が実現され、樹木への特性を生かした多色着色が、装飾価値を更に向上せしめた状態において、実現されることとなる。
【0044】
なお、丸木2における着色剤(染料液)投入部位の形態としては、図1に示されるように、丸木2の側面からの投入方式となるところから、かかる丸木2の側面に設けられる投入口を通じての穴形態となる。そして、この穴形態の投入部位から、周囲(径方向)への広がりや、その染色状態は、丸木2を与える各樹木の密度、年輪形状、導管状態等によって、染料液の浸透や染色の広がりが異なるものとなるが、一般に、樹木の材質が柔らかい程、染色領域は広がり易く、硬い材質になる程、染色の広がりは少なく、導管の部位のみが着色されて、装飾される傾向が現れる。例えば、針葉樹のスギ、ヒノキ系の樹木を用いた場合においては、8mmφの穴の位置より横へ左右20mm位づつの染料液の浸透、染色領域の広がりを見せる。従って、一点だけの単点投入では、40〜50mm程度の染色ゾーン幅において染色されるようになるところから、丸木2の内部の全体に亘って染色を行なう場合にあっては、丸木2内部の全体に幅広く、染料液が投入され得るように、図3(a)に示される如き、メイン通路(8aa,8ba)と複数の分岐通路(8ab,8bb)とを有する注入通路から成る多点投入形式を採用することが、望ましいのである。
【0045】
そして、このように、丸木2内に投入された染料液を、かかる丸木2の上部から下部に向かって流動せしめられる水18によって、丸木2内部に拡散、移動せしめることによって、目的とする丸木2の染め装飾が行なわれることとなるが、そのような染め装飾に要する時間としては、丸木2を与える樹木の太さに応じて変化し、その太さが太くなるほど、染め装飾に要する時間が長くなる。また、樹木の長さや太さと染め時間との関係は、樹木の種類、密度(硬さ)等の特性により、1本1本異なり、そのため、一義的に決めるのは困難であるが、一般に、針葉樹のスギ、ヒノキ類を用いた場合にあっては、染色時間は3時間〜120時間程度であり、また、広葉樹のケヤキ等の硬い樹木にあっては、その染色時間は40時間〜240時間程度となる。
【0046】
また、かくの如き丸木2の染め木工程においては、染め木着色の安定した品質の確保や染め木時間の短縮を図るための手段も、適宜に採用され得、例えば、染料の着色効果の向上を図るために、染料を水に溶解して得られる染料液中に、更に食塩を少量(例えば、2〜7g/L程度)加えることが望ましく、これによって、染料が吸着され易くなるのである。また、染色時間の短縮のためには、丸木2内に押し込まれる水18を加熱して、その温度を上昇せしめることが有効であり、これによって、短時間での染色が可能となり、例えば、100℃まで加熱すると、染色時間を1時間位とすることが可能であり、また、40℃程度の加熱でも、樹木により異なるが、数時間の染色時間で済むこととなる。
【0047】
さらに、そのような染色時間の短縮のためには、また、図1に示される如く、丸木2の全体をシールカバー12にて覆い、蒸気配管等による加熱によって、シールカバー12内の雰囲気温度を30〜40℃程度に昇温させることも、有効である。
【0048】
ところで、本発明に従って、間伐材等の樹木からなる丸木2の内部を所定の水溶性染料にて着色して得られる染め木(製品)の褪色を防止し、屋内使用のみならず、屋外使用に耐え得る装飾木材を供給するために、丸木2の内部や、その表層部に樹脂皮膜を設けるようにすることが望ましく、これによって、丸木2内部に着色した染料が、樹木の水の給・排水作用に伴って外部に流出することや、日光(紫外線)照射により褪色劣化することを有利に改善することが出来る。
【0049】
そして、丸木2内部における樹脂皮膜の形成は、丸木2を染め木する際に、樹液流として用いられる押し込み水18の中に、水溶性樹脂又はエマルジョン樹脂を含有せしめて、加圧することにより、丸木2の上端面から給水させ、そして、丸木2内を流動させることにより、容易に実現することが出来る。なお、そのような水溶性樹脂またはエマルジョン樹脂としては、公知の水性塗料の水溶性タイプのものや、エマルジョンタイプのもの等が、適宜に用いられることとなる。
【0050】
また、丸木2の表層部における樹脂皮膜は、一般に、三層構造にて構成され、その最下層の第1層は、浸透性に優れた透明樹脂の塗布によって形成される皮膜にて構成され、更にその上に、反応硬化型の透明樹脂又は熱可塑性透明樹脂(例えば、塩化ビニール樹脂、スチロール樹脂、ポリカーボネート樹脂)層が積層されて、第2層を構成し、更に最外層としての第3層を形成するために、かかる第2層の上に、耐紫外線劣化性に優れたフッ素系やシリコン系等の透明樹脂塗料が塗布されるのであり、これによって、耐候性の向上された染め木製品を有利に得ることが出来る。
【0051】
なお、かくの如くして着色された丸木2にあっては、その樹皮2aが剥がされ、その後、風通しの良い屋外において放置・自然乾燥される。そして、少なくとも1ヶ月以上の、そのような放置・乾燥操作によって、その水分量が15%〜20%になるまで、乾燥せしめられるようにされる。また、このような乾燥操作に代えて、30〜40℃程度の温度下に保持された、換気機能を有する炉内において、強制乾燥することも有効であり、更に、乾燥を速めるために、樹皮2aを剥がした後、その着色された丸木2を、目的とする製品を与え得る適当な大きさに切断加工して、乾燥を行なうことも、有利に採用されることとなる。
【0052】
次いで、かかる乾燥が終了した着色丸木2には、一般の木材類を加工する場合と同様な加工・仕上げが施されるのであり、例えば、必要に応じて切断・切削加工が施され、更に切削、研磨、磨き、接合、組み付け等の作業工程を経て、最終製品に仕上げられることとなるのであるが、そのような最終製品における着色保護や木材劣化の改善策として、更にそのような製品表面に、屋内使用品や屋外使用品に対応した樹脂皮膜が形成されることとなる。例えば、屋内使用品の場合にあっては、水性アクリル・ウレタンエマルジョン樹脂等の浸透性透明塗料が塗布され、更に必要に応じて、その上に紫外線防止透明塗料が塗布せしめられるのである。また、屋外使用タイプのものにあっては、浸透性透明塗料の塗布と、透明な反応性樹脂の積層(透明な熱可塑性樹脂のシート積層)と、透明な耐候性塗料の塗布が行なわれて、三層構造の樹脂皮膜が形成される。
【0053】
そして、このようにして、丸木2が着色装飾され、更に加工、仕上げ等が施されて、得られた染め木製品にあっては、その全体が透明樹脂で覆われた製品となり、樹木の持つ有効な特性を発揮させた着色装飾状態を保持するものであって、それらは、工芸品、屋内向け用途品(家具類他)、屋外向け用途品(パネル、ベンチ、柵、フェンス他)等の装飾、化粧等を目的とした用途に、有利に用いられることとなるのである。
【0054】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明が、そのような例示の形態のもののみに限定して解釈されるものでないことは、言うまでもないところであり、また本発明が、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において、実施され得るものであることも、言うまでもないところであり、そしてそのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることが、理解されるべきである。
【0055】
例えば、図1に示される実施形態においては、加圧水供給装置4の円筒体4a内に収容された水18が、パイプ16を通じて導入される圧縮空気の圧力にて加圧されて、加圧水として丸木2の上端面に作用せしめられるようになっているが、これに代えて、適当なポンプにて加圧された水を、加圧水供給装置4内にパイプ16を通じて供給して、丸木2の上端面に作用させるようにすることも可能である。
【0056】
また、前記した実施形態では、主として間伐材への適用例において述べてきたが、間伐材のみならず、用材として用いられている太さの太い樹木に対しても、本発明は有利に適用することが出来る。
【実施例】
【0057】
また、以下に、本発明の代表的な実施例を示し、本発明の特徴を更に明確にすることとするが、本発明が、また、そのような実施例の記載によっても、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。
【0058】
先ず、丸木として、樹皮付きの杉間伐材(直径:82mmφ×長さ:1200mm)を準備し、図1と同様な形態において、かかる杉間伐材の着色を行なった。
【0059】
すなわち、かかる杉間伐材の一端(上端)から押し込まれる水としては、水:水性アクリル・ウレタンエマルジョン樹脂塗料(ワンダー水性クリアー:樹脂分20%)=50:50の比率の混合液を用い、その3リットルを、圧縮空気圧:3.0kg/cm2 の加圧空気にて杉間伐材に押し込み、給水させた。また、染料液A,Bとしては、青色及び赤色酸性染料をそれぞれ溶解してなる水溶液を、それぞれ、杉間伐材の上から50mmの位置及び100mmの位置において、図1に示される如くして、投入した。
【0060】
そして、かかる杉間伐材の他方の端面(下端面)に対して、真空度:約700mHgにて真空吸引して、減圧吸引作用を及ぼすことにより、杉間伐材内に投入された2種の染料液を、上端から吸引された混合液にて展開せしめて、かかる杉間伐材の内部の染色を行なった。なお、染色時間は、42時間であった。
【0061】
さらに、かかる着色の終了した杉間伐材に対して、その樹皮を剥がした後、水性アクリル・ウレタンエマルジョン樹脂塗料(ワシン水性ウレタン着色ニス・クリアー)を、3〜4回塗布して、最下層の透明樹脂層を形成し、更にエポキシ樹脂2液タイプのもの(ペルノックス株式会社製、MM102A,B)の積層を行い、更にその上に、フッ素塗料(旭硝子株式会社製、ルミフロンクリアー)を3〜4回塗布して、最表層の樹脂塗膜を形成した。
【0062】
かくして得られた着色杉間伐材を、縦割り及び横割して、その内部を調査したところ、2種の酸性染料によって、効果的に青色と赤色に染色せしめられた領域を有する、着色装飾性に優れた染め木製品と成っていることを認めた。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明方法に従って染め木を行なう一つの形態を示す断面説明図である。
【図2】図1において染色される丸木の上端部の構成を示す説明図であって、(a)は、そのような丸木の上端面の平面説明図であり、(b)は、丸木と加圧水供給装置との連結部の詳細を示す拡大部分断面説明図である。
【図3】図1における染料液投入部の構成を示すものであって、(a)は、多点注入の可能な染料液投入口の平面配設形態を示す丸木の横断面説明図であり、(b)は、丸木と染料液の注入パイプとの接続形態を示す縦断面部分拡大説明図である。
【図4】図1において染色される丸木の下端部の構成を示す説明図であって、(a)は、かかる丸木の下端面の構成を示す底面説明図であり、(b)は、丸木の下端部と減圧吸引装置との接続構造を示す拡大部分断面説明図である。
【符号の説明】
【0064】
2 丸木
4 加圧水供給装置
4a 円筒体
4b キャップ
6 減圧吸引装置
6a 円筒体
6b 真空キャップ
8a 多点注入口
8aa メイン通路
8ab 分岐通路
10a 染料液Aタンク
10b 染料液Bタンク
12 シールカバー
14a 周溝
14b 径方向溝
16 パイプ
17 シール
18 水
20a 周溝
20b 径方向溝
22 シール
24 真空吸引パイプ
26a,26b 注入パイプ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定長さの丸木の一方の端面から、加圧下に、水を押し込むようにする一方、該丸木の他方の端面に対して減圧吸引作用を及ぼすことにより、前記一方の端面から導入された水を該丸木の内部を該他方の端面側に導くようにすると共に、該丸木の中間部位に設けた染料液注入孔より、水溶性染料を水に溶解してなる染料液を注入して、該丸木内を該他方の端面側に導かれる水により該染料液を移動させることによって、該丸木内部を該染料液にて着色せしめるようにしたことを特徴とする染め木製品の製造法。
【請求項2】
前記丸木が湿潤状態に保持されて、前記染料液の注入が行なわれる請求項1に記載の染め木製品の製造法。
【請求項3】
前記丸木が、樹皮を剥がさない状態において用いられる請求項1又は請求項2に記載の染め木製品の製造法。
【請求項4】
前記丸木が、間伐材である請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の染め木製品の製造法。
【請求項5】
前記染料が、直接染料又は酸性染料である請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の染め木製品の製造法。
【請求項6】
前記丸木の他方の端面に対する減圧吸引作用が、時間的な間隔をおいて実施される請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の染め木製品の製造法。
【請求項7】
前記染料液に、食塩が添加、含有せしめられている請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の染め木製品の製造法。
【請求項8】
前記丸木の一方の端面から押し込まれる水が、加熱されている請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の染め木製品の製造法。
【請求項9】
前記丸木が、加熱されている請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の染め木製品の製造法。
【請求項10】
前記丸木の全体が、密閉シールされている請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の染め木製品の製造法。
【請求項11】
前記丸木の一方の端面から押し込まれる水が、水溶性樹脂又はエマルジョン樹脂を含有している請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の染め木製品の製造法。
【請求項12】
前記丸木の内部の着色が完了した後、該丸木又はそれから得られた部材の着色表面に対して、少なくとも耐紫外線劣化性に優れた透明な樹脂被膜が形成される請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載の染め木製品の製造法。
【請求項13】
前記染料液が、前記丸木の横断面において径方向に延びるメイン通路とそれから枝分かれした分岐通路とからなる注入通路を通じて、該丸木内部に浸透せしめられる請求項1乃至請求項12の何れか1項に記載の染め木製品の製造法。
【請求項14】
前記丸木の両端面の少なくとも何れか一方に、所定深さの溝が周方向及び/又は径方向に設けられている請求項1乃至請求項13の何れか1項に記載の染め木製品の製造法。
【請求項15】
前記染料液として、着色色相の異なる複数のものを用い、前記染料液注入口の複数を通じて、それぞれ別個に前記丸木内部に注入せしめられる請求項1乃至請求項14の何れか1項に記載の染め木製品の製造法。
【請求項16】
請求項1乃至請求項15の何れか1項に記載の製造法に従って得られた染め木製品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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