説明

染料用塩

【課題】 液晶パネル、エレクトロルミネッセンスパネル、プラズマディスプレイパネルなどの液晶表示装置のカラーフィルタに用いられる着色剤として有用であり、良好なモル吸光係数を示す塩を提供することおよび前記塩を有効成分とする染料および前記染料を含む着色樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】
シアニン化合物に由来するカチオンと、フタロシアニン化合物に由来するアニオンとを含む塩、前記塩を有効成分とする染料および前記染料を含む着色組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シアニン化合物に由来するカチオンとフタロシアニン化合物に由来するアニオンとを含む塩、前記塩を有効成分とする染料および前記染料を含む着色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル、エレクトロルミネッセンスパネル、プラズマディスプレイパネルなどのディスプレイ装置には、カラーフィルタが用いられている。そして、カラーフィルタに用いられるフタロシアニン染料として、特許文献1に記載されるような、C.I.ダイレクトブルー86が知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−146215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているC.I.ダイレクトブルー86は、そのモル吸光係数が、必ずしも十分満足できるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の[1]〜[9]を提供するものである。
[1] シアニン化合物に由来するカチオン(A)と、フタロシアニン化合物に由来するアニオン(B)とを含む塩
[2] (A)が、式(1)又は式(2)で表されるカチオンである[1]記載の塩。

(式(1)中、環Z及び環Zは、互いに独立に、置換基を有していてもよい芳香環を表す。R及びRは、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表す。R及びRは、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、RとRとが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R及びRは、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、RとRとが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R及びRは、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、RとRとが一緒になってアルカンジイル基を形成する。X及びXは、互いに独立に、水素原子又はハロゲン原子を表す。nは、0又は1を表す。)

(式(2)中、環Z、環Z、環Z及び環Zは、互いに独立に、置換基を有していてもよい芳香環を表す。R及びR16は、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表す。R10及びR11は、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、R10とR11とが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R12及びR13は、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、R12とR13とが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R14及びR15は、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、R14とR15とが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R17及びR18は、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、R17とR18とが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R19及びR20は、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、R19とR20とが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R21及びR22は、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、R21とR22とが一緒になってアルカンジイル基を形成する。Lは、置換基を有してもよい炭素数1〜12のアルカンジイル基を表す。X、X、X及びXは、互いに独立に、水素原子又はハロゲン原子を表す。n及びnは、互いに独立に、0又は1を表す。)
[3] (A)が、式(1)で表されるカチオンである[1]記載の塩。
[4] 環Z及び環Zが、互いに独立に、置換基を有してもよいナフタレン環である[3]記載の塩。
[5] R及びRが、ともにn−ブチル基である[3]又は[4]記載の塩。
[6] R〜Rが、いずれもメチル基である[3]〜[5]のいずれか記載の塩。
[7] フタロシアニン化合物に由来するアニオン(B)が、C.I.ダイレクトブルー86、C.I.ダイレクトブルー87又はC.I.アシッドブルー249に由来するアニオンである[1]〜[6]のいずれか記載の塩。
[8] [1]〜[7]のいずれか記載の塩を有効成分とする染料。
[9] [8]記載の染料を含む着色組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係るフタロシアニン化合物に由来するアニオンと、シアニン化合物に由来するカチオンとの塩は、良好なモル吸光係数を有する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の塩は、シアニン化合物に由来するカチオン(A)(以下「カチオン(A)」という場合がある)とフタロシアニン化合物に由来するアニオン(B)(以下「アニオン(B)」という場合がある)とを含む塩である。
【0008】
カチオン(A)は、目的とするカラーフィルタの色に合わせて選択することができる。
カチオン(A)は、溶剤に充分に溶解することが好ましい。更に、カチオン(A)は、パターン形成に使用する現像液に、パターン形成ができる程度に溶解することが好ましい。カチオン(A)は、式(1)で表されるカチオン(以下「カチオン(1)」という場合がある)又は式(2)で表されるカチオン(以下「カチオン(2)」という場合がある)が好ましい。

(式(1)中、環Z及び環Zは、互いに独立に、置換基を有していてもよい芳香環を表す。R及びRは、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表す。R及びRは、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、RとRとが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R及びRは、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、RとRとが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R及びRは、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、RとRとが一緒になってアルカンジイル基を形成する。X及びXは、互いに独立に、水素原子又はハロゲン原子を表す。nは、0又は1を表す。)

(式(2)中、環Z、環Z、環Z及び環Zは、互いに独立に、置換基を有していてもよい芳香環を表す。R及びR16は、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表す。R10及びR11は、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、R10とR11とが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R12及びR13は、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、R12とR13とが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R14及びR15は、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、R14とR15とが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R17及びR18は、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、R17とR18とが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R19及びR20は、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、R19とR20とが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R21及びR22は、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、R21とR22とが一緒になってアルカンジイル基を形成する。Lは、置換基を有してもよい炭素数1〜12のアルカンジイル基を表す。X、X、X及びXは、互いに独立に、水素原子又はハロゲン原子を表す。n及びnは、互いに独立に、0又は1を表す。)
【0009】
なお、カチオン(1)及びカチオン(2)は、いずれも共鳴構造をとるため、それぞれ式(1)及び式(2)における電荷が移動したカチオンも、本発明の塩を構成するものとする。
【0010】
カチオン(1)は、環Z及び環Zを有する。
【0011】
式(1)において、環Z及び環Zは、互いに独立に、置換基を有していてもよい芳香環を表す。前記芳香環としては、ベンゼン環又はナフタレン環が好ましい。
【0012】
前記ベンゼン環および前記ナフタレン環の置換基としては、例えば、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基などの脂肪族炭化水素基;
フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基などの芳香族炭化水素基;
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基などのアルコキシ基;
フェノキシ基などのアリールオキシ基;
ベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基;
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などのアシルオキシ基;
メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、エチルスルファモイル基、ジエチルスルファモイル基、n−プロピルスルファモイル基、ジ−n−プロピルスルファモイル基、イソプロピルスルファモイル基、ジイソプロピルスルファモイル基、n−ブチルスルファモイル基、ジ−n−ブチルスルファモイル基などのアルキルスルファモイル基;
メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基などのアルキルスルホニル基;
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;
ニトロ基、シアノ基が挙げられる。
なお、かかる置換基が水素原子を有する場合、該水素原子は、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基などのアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基などの芳香族炭化水素基;カルボキシ基;シアノ基;ニトロ基;などによって置換されていてもよい。
【0013】
溶解性の観点から、環Z及び環Zは、それぞれ置換基を有してもよいナフタレン環であることが好ましく、置換基を有さないナフタレン環であることがより好ましい。
【0014】
式(1)において、X及びXは、互いに独立に、水素原子又はハロゲン原子を表す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0015】
及びRは、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表す。
【0016】
前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、エチニル基、プロピル基、イソプロピル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−プロピニル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、2−ペンテン−4−イニル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、5−メチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が挙げられる。
該脂肪族炭化水素基における置換基としては、例えば、
フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基などの芳香族炭化水素基;
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアルコキシ基が挙げられる。
フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基;
さらには、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基が挙げられる。
【0017】
及びRは、好ましくは、置換基を有さない炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基であり、より好ましくは、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基であり、さらに好ましくは、n−ブチル基である。R及びRは、同じ基であることが好ましい。R及びRが同じ基である場合、モル吸光係数が、より良好になる傾向がある。
【0018】
及びRは、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、RとRとが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R及びRは、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、RとRとが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R及びRは、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、RとRとが一緒になってアルカンジイル基を形成する。
【0019】
前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、エチニル基、プロピル基、イソプロピル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−プロピニル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、2−ペンテン−4−イニル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、5−メチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が挙げられる。
該脂肪族炭化水素基における置換基としては、例えば、
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアルコキシ基が挙げられる。
フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基;
さらには、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基が挙げられる。
該アルカンジイル基としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基が挙げられる。
【0020】
〜Rが、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表す場合、それぞれ、好ましくは、置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくは、置換基を有してもよいメチル基であり、さらに好ましくは、置換基を有さないメチル基である。RとR、RとR、RとRは、それぞれ互いに同じ基であることが好ましい。
【0021】
とRとが一緒になって炭素数1〜12のアルカンジイル基を形成する場合、前記アルカンジイル基としては、好ましくは、炭素数4〜7のアルカンジイル基であり、より好ましくは、ペンタン−1,5−ジイル基である。
【0022】
とRとが一緒になって炭素数1〜12のアルカンジイル基を形成する場合、前記アルカンジイル基としては、好ましくは、炭素数4〜7のアルカンジイル基であり、より好ましくは、ペンタン−1,5−ジイル基である。
【0023】
上記アルカンジイル基を含む炭化水素環として、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環等を挙げることができる。また、前記炭化水素環は置換基を有していてもよく、置換基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等の炭素数3個以下のアルキル基を挙げることができる。
【0024】
とRとが一緒になって炭素数1〜12のアルカンジイル基を形成する場合、前記アルカンジイル基としては、好ましくは、炭素数3〜5のアルカンジイル基であり、より好ましくは、プロパン−1,5−ジイル基である。
【0025】
上記アルカンジイル基を含む炭化水素環として、シクロブテン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環等を挙げることができる。また、前記炭化水素環は置換基を有していてもよく、置換基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等の炭素数3個以下のアルキル基を挙げることができる。
【0026】
は0又は1であり、0であることが好ましい。
【0027】
カチオン(2)は、環Z、環Z、環Z及び環Zを有する。
【0028】
式(2)において、環Z、環Z、環Z及び環Zは、互いに独立に、置換基を有していてもよい芳香環を表す。前記芳香環としては、ベンゼン環又はナフタレン環が好ましい。
【0029】
前記ベンゼン環及び前記ナフタレン環の置換基としては、例えば、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基などの脂肪族炭化水素基;
フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基などの芳香族炭化水素基;
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基などのアルコキシ基;
フェノキシ基などのアリールオキシ基;
ベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基;
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などのアシルオキシ基;
メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、エチルスルファモイル基、ジエチルスルファモイル基、n−プロピルスルファモイル基、ジ−n−プロピルスルファモイル基、イソプロピルスルファモイル基、ジイソプロピルスルファモイル基、n−ブチルスルファモイル基、ジ−n−ブチルスルファモイル基などのアルキルスルファモイル基;
メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基などのアルキルスルホニル基;
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;
ニトロ基、シアノ基が挙げられる。
なお、かかる置換基が水素原子を有する場合、該水素原子は、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基などのアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基などの芳香族炭化水素基;カルボキシ基;シアノ基;ニトロ基;などによって置換されていてもよい。
【0030】
溶解性の観点から、環Z、環Z、環Z及び環Zは、それぞれ置換基を有してもよいナフタレン環であることが好ましく、置換基を有さないナフタレン環であることがより好ましい。
【0031】
式(2)において、X、X、X及びXは、互いに独立に、水素原子又はハロゲン原子を表す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0032】
及びR16は、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表す。
【0033】
前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、エチニル基、プロピル基、イソプロピル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−プロピニル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、2−ペンテン−4−イニル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、5−メチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が挙げられる。
該脂肪族炭化水素基における置換基としては、例えば、
フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基などの芳香族炭化水素基;
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアルコキシ基が挙げられる。
フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基;
さらには、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基が挙げられる。
【0034】
及びR16は、好ましくは、置換基を有さない炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基であり、より好ましくは、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基であり、さらに好ましくは、n−ブチル基である。R及びR16は、同じ基であることが好ましい。R及びR16が同じ基である場合、モル吸光係数が、より良好になる傾向がある。
【0035】
10及びR11は、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、R10とR11とが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R12及びR13は、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、R12とR13とが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R14及びR15は、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、R14とR15とが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R17及びR18は、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、R17とR18とが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R19とR20は、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、R19とR20とが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R21及びR22は、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、R21とR22が一緒になってアルカンジイル基を形成する。
【0036】
前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、エチニル基、プロピル基、イソプロピル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−プロピニル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、2−ペンテン−4−イニル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、5−メチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が挙げられる。
該脂肪族炭化水素基における置換基としては、例えば、
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアルコキシ基が挙げられる。
フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基;
さらには、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基が挙げられる。
該アルカンジイル基としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基が挙げられる。
【0037】
10〜R15及びR17〜R22が、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表す場合、好ましくは、置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくは、置換基を有してもよいメチル基であり、さらに好ましくは、置換基を有さないメチル基である。R10とR11、R12とR13、R14とR15、R17とR18、R19とR20及びR21とR22は、それぞれ互いに同じ基であることが好ましい。
【0038】
10とR11とが一緒になって炭素数1〜12のアルカンジイル基を形成する場合、前記アルカンジイル基としては、好ましくは、炭素数4〜7のアルカンジイル基であり、より好ましくは、ペンタン−1,5−ジイル基である。
【0039】
12とR13とが一緒になって炭素数1〜12のアルカンジイル基を形成する場合、前記アルカンジイル基としては、好ましくは、炭素数4〜7のアルカンジイル基であり、より好ましくは、ペンタン−1,5−ジイル基である。
【0040】
17とR18とが一緒になって炭素数1〜12のアルカンジイル基を形成する場合、前記アルカンジイル基としては、好ましくは、炭素数4〜7のアルカンジイル基であり、より好ましくは、ペンタン−1,5−ジイル基である。
【0041】
19とR20とが一緒になって炭素数1〜12のアルカンジイル基を形成する場合、前記アルカンジイル基としては、好ましくは、炭素数4〜7のアルカンジイル基であり、より好ましくは、ペンタン−1,5−ジイル基である。
【0042】
上記アルカンジイル基を含む炭化水素環として、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環等を挙げることができる。また、前記炭化水素環は置換基を有していてもよく、置換基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等の炭素数3個以下のアルキル基を挙げることができる。
【0043】
14とR15とが一緒になって炭素数1〜12のアルカンジイル基を形成する場合、前記アルカンジイル基としては、好ましくは、炭素数3〜5のアルカンジイル基であり、より好ましくは、プロパン−1,5−ジイル基である。
【0044】
21とR22とが一緒になって炭素数1〜12のアルカンジイル基を形成する場合、前記アルカンジイル基としては、好ましくは、炭素数3〜5のアルカンジイル基であり、より好ましくは、プロパン−1,5−ジイル基である。
【0045】
上記アルカンジイル基を含む炭化水素環として、シクロブテン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環等を挙げることができる。また、前記炭化水素環は置換基を有していてもよく、置換基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等の炭素数3個以下のアルキル基を挙げることができる。
【0046】
は、置換基を有してもよい炭化水素基を表す。
該Lとしては、例えば、
メチレン基、エチレン基、ビニレン基、トリメチレン基、プロピレン基、プロペニレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などの脂肪族炭化水素基;
シクロペンチレン基、シクロヘキセニレン基、シクロヘキサジエニレン基などの脂環式炭化水素基;
o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、ナフチレン基などの芳香族炭化水素基;等
が挙げられる。
【0047】
なお、Lにおいて、本発明の塩を含む着色組成物から得られるカラーフィルタの明度が損なわれない範囲であれば、1又は複数の水素原子が、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基などに置換されていてもよい。
該Lとしては、合成のし易さや有機溶剤への溶解性の点で、炭素数1〜16のアルカンジイル基が好ましく、炭素数1〜10のアルカンジイル基がより好ましく、炭素数3〜8のアルカンジイル基が更に好ましい。
【0048】
及びnは、互いに独立に、0又は1を表し、0であることが好ましい。
【0049】
カチオン(A)は、カチオン(1)又はカチオン(2)を表すが、カチオン(1)が好ましい。
【0050】
カチオン(A)としては、以下のカチオンが挙げられる。
【0051】



【0052】





【0053】

【0054】
アニオン(B)は、目的とするカラーフィルタの色に合わせて選択することができる。
アニオン(B)は、溶剤に充分に溶解することが好ましい。更に、アニオン(B)は、パターン形成に使用する現像液に、パターン形成ができる程度に溶解することが好ましい。
【0055】
アニオン(B)は、式(3)で表されるアニオン(以下「アニオン(3)」という場合がある)であることが好ましい。
【0056】

(式(3)は、式(4)で表される化合物に含まれるn個の水素原子が、−SOで置換されていることを表す。nは1以上4以下の整数。)
【0057】

【0058】
アニオン(3)を含む塩としては、具体的には、C.I.Direct Blue 86、C.I.Direct Blue 87、C.I.Acid Blue 249等が挙げられ、C.I.Direct Blue 86が好ましい。
【0059】
アニオン(B)としては、以下のアニオンが挙げられる。
【0060】

【0061】
カチオン(A)とアニオン(B)とからなる塩としては、以下の塩が挙げられる。
【0062】







【0063】







【0064】







【0065】







【0066】



【0067】







【0068】





【0069】







【0070】





【0071】







【0072】





【0073】

【0074】

【0075】

【0076】

【0077】
本発明に係る塩は、カチオン(A)とアニオン(B)とを、溶媒中で接触させることにより、製造することができる。具体的には、アニオン(B)を含む塩とカチオン(A)を含む塩とを溶媒中で塩交換反応させればよい。その際には、アニオン(B)を含む塩とカチオン(A)を含む塩とを、1:1〜1:4のモル比で反応させることが好ましい。
【0078】
反応混合物から目的化合物である塩を取得する方法は、特に限定されず、公知の種々の手法が採用できる。例えば、反応混合物を無機塩(例えば、食塩等)及び水と共に混合し、析出した結晶を濾取することができる。前記無機塩は、予め無機塩の水溶液を調製してから、反応混合物を前記水溶液に添加することが好ましい。反応混合物を添加するときの温度は、好ましくは10℃以上50℃以下、より好ましくは10℃以上40℃以下、さらに好ましくは10℃以上25℃以下である。また反応混合物を無機塩の水溶液に添加後は、同温度で0.5〜2時間程度攪拌することが好ましい。濾取した結晶は、水などで洗浄し、次いで乾燥することが好ましい。また必要に応じて、再結晶などの公知の手法によってさらに精製してもよい。
【0079】
かくして得られた本発明の塩は、染料として有用である。特に、本発明の塩は、分光濃度が高いため、反射光又は透過光を利用して色表示する、液晶表示装置などの表示装置のカラーフィルターや繊維材料などに用いられる染料として有用である。
【0080】
本発明の染料は、カチオン(A)とアニオン(B)との塩を有効成分とする染料である。
本発明の着色組成物は、着色剤(以下「着色剤(C)」という場合がある)として本発明の染料を含み、さらに樹脂(D)を含むことが好ましい。本発明の着色組成物は、さらに重合性化合物(E)、重合開始剤(F)及び溶剤(G)を含むことがより好ましい。
【0081】
着色剤(C)は、本発明の染料のほかに、さらに顔料及び/又は本発明の染料とは異なる染料を含んでいてもよい。
本発明の染料とは異なる染料としては、カラーインデックス(Colour Index)(The Society of Dyers and Colourists 出版)で、ソルベント(Solvent)、アシッド(Acid)、ベーシック(Basic)、リアクティブ(reactive)、ダイレクト(Direct)、ディスパース(Disperse)、又はバット(Vat)に分類されている染料等が挙げられる。より具体的には、以下のようなカラーインデックス(C.I.)番号の染料が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
C.I.ソルベントイエロー25,79,81,82、83,89;
C.I.アシッドイエロー7,23,25,42,65,76;
C.I.リアクティブイエロー2,76,116;
C.I.ダイレクトイエロー4,28,44,86,132;
C.I.ディスパースイエロー54,76;
C.I.ソルベントオレンジ41,54,56,99;
C.I.アシッドオレンジ56,74,95,108,149,162;
C.I.リアクティブオレンジ16;
C.I.ダイレクトオレンジ26;
C.I.ソルベントレッド24,49,90,91,118,119,122,124,125,127,130,132,160,218;
C.I.アシッドレッド73,91,92,97,138,151,211,274,289;
C.I.アシッドバイオレット102;
C.I.ソルベントグリーン1,5;
C.I.アシッドグリーン3,5,9,25,28;
C.I.ベーシックグリーン1;
C.I.バットグリーン1等。
【0082】
顔料としては、顔料分散レジストに通常用いられる有機顔料又は無機顔料が挙げられる。無機顔料としては、金属酸化物や金属錯塩のような金属化合物が挙げられ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属の酸化物又は複合金属酸化物が挙げられる。また有機顔料及び無機顔料として具体的には、カラーインデックス(Colour Index)(The Society of Dyers and Colourists 出版)で、ピグメント(Pigment)に分類されている化合物が挙げられる。より具体的には、以下のようなカラーインデックス(C.I.
)番号の顔料が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0083】
C.I.ピグメントイエロー20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173及び180;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65及び71;
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、215、216、224、242、254、255及び、264;
C.I.ピグメントバイオレット14、19、23、29、32、33、36、37及び38;
C.I.ピグメントグリーン7、10、15、25、36、47及び58等。
【0084】
着色剤(C)の含有量は、着色組成物中の固形分に対して、好ましくは5〜60質量%である。ここで、固形分とは、着色組成物中の、溶剤を除く成分の合計をいう。
着色剤(C)中に含まれる本発明の染料の含有量は、好ましくは3〜100質量%である。
本発明の染料とは異なる染料、及び顔料は、それぞれ単独でも2種以上を組み合わせて本発明の染料と共に用いてもよい。
【0085】
樹脂(D)としては、特に限定されるものではなく、どのような樹脂を用いてもよい。樹脂(D)は、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリル酸から導かれる構造単位を含む樹脂であることがより好ましい。ここで、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。
【0086】
樹脂(D)としては、具体的には、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、メタクリル酸/スチレン/グリシジルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0087】
樹脂(D)のポリスチレン換算重量平均分子量は、5,000〜35,000が好ましく、より好ましくは6,000〜30,000である。
樹脂(D)の酸価は、50〜150mg−KOH/gが好ましく、より好ましくは60〜135mg−KOH/gである。
樹脂(D)の含有量は、着色組成物の固形分に対して、好ましくは7〜65質量%であり、より好ましくは13〜60質量%である。
【0088】
重合性化合物(E)は、重合開始剤(F)から発生した活性ラジカル、酸等によって重合しうる化合物であれば、特に限定されるものではない。例えば、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられる。
【0089】
前記の重合性化合物(E)としては、重合性基を3個以上有する重合性化合物であることが好ましい。重合性基を3以上有する重合性化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等が挙げられる。前記の重合性化合物は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合性化合物(E)の含有量は、着色組成物の固形分に対して、5〜65質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜60質量%である。
【0090】
前記の重合開始剤(F)としては、活性ラジカル発生剤、酸発生剤等が挙げられる。活性ラジカル発生剤は熱又は光の作用によって活性ラジカルを発生する。前記の活性ラジカル発生剤としては、アルキルフェノン化合物、チオキサントン化合物、トリアジン化合物、オキシム化合物等が挙げられる。
前記のアルキルフェノン化合物としては、例えば、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。
【0091】
前記のチオキサントン化合物としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0092】
前記のトリアジン化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0093】
前記のオキシム化合物としては、例えば、O−アシルオキシム系化合物が挙げられ、その具体例としては、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−{2−メチル−4−(3,3−ジメチル−2,4−ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン等が挙げられる。
【0094】
また、活性ラジカル発生剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等を用いてもよい。
【0095】
前記の酸発生剤としては、例えば、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、ベンジル(4−アセトキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のオニウム塩類や、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類等を挙げることができる。
前記の重合開始剤は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0096】
重合開始剤(F)の含有量は、樹脂(D)及び重合性化合物(E)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部であり、より好ましくは1〜20質量部である。重合開始剤の含有量が、前記の範囲にあると、高感度化して露光時間が短縮され生産性が向上することから好ましい。
【0097】
溶剤(G)としては、例えば、エーテル類、芳香族炭化水素類、ケトン類、アルコール類、エステル類、アミド類等が挙げられる。
【0098】
前記のエーテル類としては、例えば、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0099】
前記の芳香族炭化水素類としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等が挙げられる。
前記のケトン類としては、例えば、アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
前記のアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
【0100】
前記のエステル類としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
【0101】
前記のアミド類としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
これらの溶剤は、単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0102】
着色組成物における溶剤(G)の含有量は、着色組成物に対して、好ましくは70〜95質量%であり、より好ましくは75〜90質量%である。
【0103】
本発明の着色組成物は、必要に応じて、界面活性剤、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、連鎖移動剤等の種々の添加剤を含んでもよい。
【0104】
本発明の塩は、染料として有用である。モル吸光係数が高く、かつ有機溶媒への溶解性を示すことから、特に、液晶表示装置等の表示装置のカラーフィルタに用いられる染料として有用である。
また、本発明の塩を含む着色組成物は、カラーフィルタをその構成部品の一部として備える表示装置(例えば、公知の液晶表示装置、有機EL装置等)、固体撮像素子等の種々の着色画像に関連する機器に、公知の態様で利用することができる。
【実施例】
【0105】
次に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
実施例及び比較例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ない限り、質量基準である。
【0106】
以下の実施例において、化合物は元素分析(VARIO-EL;(エレメンタール(株)製))により同定した。
【0107】
〔実施例1〕
C.I.ダイレクトブルー86(東京化成(株)製)7.8gをN,N−ジメチルホルミアミド20mlに溶解させた溶液(s1)を作成した。別途、下記式(d−1)で表される化合物12.5gをN,N−ジメチルホルミアミド20mlに溶解させた溶液(t1)を作成した。25℃にて、(t1)に(s1)の溶液を1時間かけて滴下し、その後2時間攪拌した。その後、イオン交換水100mlを加え、さらに1時間攪拌した。その後、吸引濾過を行い、イオン交換水100mlで洗浄し、式(I−1)で表される塩を10.5g得た。
【0108】

【0109】

【0110】
式(I−1)で表される化合物の同定;
(元素分析)C:72.3 H:5.4 N:9.4 Cu:3.6 S:3.6
【0111】
〔実施例2〕
C.I.ダイレクトブルー86(東京化成(株)製)7.8gをN,N−ジメチルホルミアミド20mlに溶解させた溶液(s3)を作成した。別途、下記式(d−1)で表される化合物6.2gをN,N−ジメチルホルミアミド20mlに溶解させた溶液(t2)を作成した。25℃にて、(s2)に(t2)の溶液を1時間かけて滴下し、その後2時間攪拌した。その後、イオン交換水100mlを加え、さらに1時間攪拌した。その後、吸引濾過を行い、イオン交換水100mlで洗浄し、式(I−2)で表される塩を6.9g得た。
【0112】

【0113】
式(I−2)で表される化合物の同定;
(元素分析)C:65.7 H:5.1 N:10.5 Cu:4.7 S:4.8
【0114】
〔実施例3〕
C.I.ダイレクトブルー86(東京化成(株)製)2.5gをN,N−ジメチルホルミアミド20mlに溶解させた溶液(s3)を作成した。別途、下記式(d−2)で表される化合物3.5gをN,N−ジメチルホルミアミド30mlに溶解させた溶液(t3)を作成した。25℃にて、(s3)に(t3)の溶液を1時間かけて滴下し、その後2時間攪拌した。その後、イオン交換水150mlを加え、さらに1時間攪拌した。その後、吸引濾過を行い、イオン交換水100mlで洗浄し、式(I−3)で表される塩を3.2g得た。
【0115】

【0116】

【0117】
式(I−3)で表される化合物の同定;
(元素分析)C:71.3 H:5.4 N:9.9 Cu:3.7 S:3.8
【0118】
〈吸光度の測定〉
化合物0.35gを乳酸エチルに溶解して体積を250cm3とし、そのうちの2cmを乳酸エチルで希釈して100cmとして、濃度0.028g/Lの溶液を調整した。該溶液について、紫外可視分光光度計(V−650DS;日本分光(株)製)(石英セル、光路長;1cm)を用いて極大吸収波長(λmax)及びモル吸光係数を測定した。結果を表1に示す。
【0119】
【表1】

【0120】
〔実施例4〕
[着色組成物の調製]
(C)着色剤:化合物(I−1):実施例1で合成した化合物 20部
(D)樹脂:メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体(モル比;30/70;重量平均分子量10700、酸価70mg−KOH/g) 70部
(E)重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製) 30部
(F)光重合開始剤:ベンジルジメチルケタール(イルガキュア(登録商標)651;BASFジャパン社製) 15部
(G)溶剤:乳酸エチル 680部
を混合して着色組成物を得る。
【0121】
[カラーフィルタの作製]
ガラス上に、上記で得た着色組成物をスピンコート法で塗布し、揮発成分を揮発させる。冷却後、パターンを有する石英ガラス製フォトマスク及び露光機を用いて光照射する。光照射後に、水酸化カリウム水溶液で現像し、オーブンで200℃に加熱してカラーフィルタを得る。
【0122】
表1の結果から、本発明の塩はモル吸光係数が高く、高い分光濃度を示すことがわかる。また、当該化合物を含む着色組成物は、優れた色性能を有し、高品質なカラーフィルタの作製に利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明の塩は、着色剤として有用である。本発明の塩は、モル吸光係数が高く、分光濃度が高いことから、特に、液晶表示装置等の表示装置のカラーフィルタに用いられる着色剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シアニン化合物に由来するカチオン(A)と、フタロシアニン化合物に由来するアニオン(B)とを含む塩
【請求項2】
(A)が、式(1)又は式(2)で表されるカチオンである請求項1記載の塩。

(式(1)中、環Z及び環Zは、互いに独立に、置換基を有していてもよい芳香環を表す。R及びRは、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表す。R及びRは、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、RとRとが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R及びRは、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、RとRとが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R及びRは、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、RとRとが一緒になってアルカンジイル基を形成する。X及びXは、互いに独立に、水素原子又はハロゲン原子を表す。nは、0又は1を表す。)

(式(2)中、環Z、環Z、環Z及び環Zは、互いに独立に、置換基を有していてもよい芳香環を表す。R及びR16は、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表す。R10及びR11は、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、R10とR11とが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R12及びR13は、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、R12とR13とが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R14及びR15は、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、R14とR15とが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R17及びR18は、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、R17とR18とが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R19及びR20は、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、R19とR20とが一緒になってアルカンジイル基を形成する。R21及びR22は、互いに独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は水素原子を表すか、R21とR22とが一緒になってアルカンジイル基を形成する。Lは、置換基を有してもよい炭素数1〜12のアルカンジイル基を表す。X、X、X及びXは、互いに独立に、水素原子又はハロゲン原子を表す。n及びnは、互いに独立に、0又は1を表す。)
【請求項3】
(A)が、式(1)で表されるカチオンである請求項1記載の塩。
【請求項4】
環Z及び環Zが、互いに独立に、置換基を有してもよいナフタレン環である請求項3記載の塩。
【請求項5】
及びRが、ともにn−ブチル基である請求項3又は4記載の塩。
【請求項6】
〜Rが、いずれもメチル基である請求項3〜5のいずれか記載の塩。
【請求項7】
フタロシアニン化合物に由来するアニオン(B)が、C.I.ダイレクトブルー86、C.I.ダイレクトブルー87又はC.I.アシッドブルー249に由来するアニオンである請求項1〜6のいずれか記載の塩。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか記載の塩を有効成分とする染料。
【請求項9】
請求項8記載の染料を含む着色組成物。

【公開番号】特開2012−162706(P2012−162706A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−280889(P2011−280889)
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】