説明

染毛剤組成物

【課題】剤が垂れにくく、毛髪に塗布しやすく、頭皮や肌を着色することなく、毛髪を均一に染めることができ、かつ酸化処理による損傷毛に対しても、すすぎ時及び乾燥後の優れた感触を付与でき、炭化水素油が経時的に分離しない半永久染毛剤組成物の提供。
【解決手段】次の成分(A)〜(E)
(A)直接染料
(B)炭化水素油
(C)ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン
(D)ジメチルポリシロキサン
(E)水溶性高分子
を含有し、成分(B)と成分(C)と成分(D)の重量比(B)/〔(C)+(D)〕が1/100〜100、成分(D)と成分(C)の重量比(D)/(C)が1/100〜100である染毛剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剤が垂れにくく、毛髪に塗布しやすく、頭皮や肌を着色することなく毛髪を均一に染めることができ、かつ酸化処理による損傷毛に対しても、すすぎ時及び乾燥後の優れた感触を付与でき、炭化水素油が経時的に分離しない半永久染毛剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
直接染料を用いた染毛技術、すなわち半永久染毛剤による染毛は、染料の分子サイズが大きく、毛髪中に容易に浸透しないことから、施術時間が長くかかるなどの問題があったが、現在では、溶剤による浸透促進技術の開発に伴い、施術時間の大幅な短縮が図られている。一方、毛髪と皮膚では、その構造上の違いから、毛髪より皮膚の方が染料に対し染まり易くなっている。このため、半永久染毛剤は、毛髪を染めることができるが同時に頭皮表面も染色してしまうという問題点を抱えている。
【0003】
このような問題を改善し、頭皮や肌を着色することなく、直接染料により毛髪を均一に染める技術として、炭化水素油とポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサンを併用した半永久染毛剤組成物が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、この組成物は、頭皮や肌に対する着色抑制効果をより向上させるため、炭化水素油を増量すると、組成物の粘度が減少し、毛髪に塗布した際に垂れ落ち、頭皮や肌に付着しやすくなる、経時的に炭化水素油が分離するという問題があった。組成物を増粘させるために水溶性高分子を配合するという方法も採られるが、その効果は十分とはいえなかった。
【0004】
一方、アルカリ剤、酸化剤等の共存下での酸化反応によって毛髪を染色ないし脱色する、ヘアカラー処理、ヘアブリーチ処理が広く行われているが、毛髪損傷を引き起こし易く、この損傷毛は、濡れたときにキシみ、絡まり等の問題を生ずる。そこで、このような酸化処理による損傷毛に対し、すすぎ時の滑らかさを付与すると共に、色を補うこともできる製品が望まれている。
【0005】
【特許文献1】特開2002-205927号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、炭化水素油を配合しても、剤が垂れにくく、毛髪に塗布しやすく、頭皮や肌を着色することなく毛髪を均一に染めることができ、かつ酸化処理による損傷毛に対しても、すすぎ時及び乾燥後の優れた感触を付与でき、炭化水素油が経時的に分離しない半永久染毛剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、直接染料に、特定比率の炭化水素油、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン及びジメチルポリシロキサン、並びに水溶性高分子を併用することにより、上記課題が解決されることを見出した。
【0008】
本発明は、次の成分(A)〜(E)
(A)直接染料
(B)炭化水素油
(C)ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン
(D)ジメチルポリシロキサン
(E)水溶性高分子
を含有し、成分(B)と成分(C)と成分(D)の重量比(B)/〔(C)+(D)〕が1/100〜100、成分(D)と成分(C)の重量比(D)/(C)が1/100〜100である染毛剤組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の染毛剤組成物は、剤が垂れにくく、毛髪に塗布しやすく、頭皮や肌を着色することなく毛髪を均一に染めることができ、かつ酸化処理による損傷毛に対しても、すすぎ時及び乾燥後の優れた感触を付与でき、また炭化水素油が経時的に分離しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
成分(A)の直接染料としては、ニトロ染料、アントラキノン染料、酸性染料、油溶性染料、塩基性染料等が挙げられる。
【0011】
ニトロ染料としては、3,4-ジアミノニトロベンゼン、2,5-ジアミノニトロベンゼン、2-アミノ-5-N-β-ヒドロキシエチルアミノニトロベンゼン、2-N-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-N,N-ビス-β-ヒドロキシエチルアミノニトロベンゼン、2-N-メチルアミノ-5-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノニトロベンゼン、2-N-メチルアミノ-5-N-メチル-N-β-ヒドロキシエチルアミノニトロベンゼン、2-N-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-ヒドロキシニトロベンゼン、3-メトキシ-4-N-β-ヒドロキシエチルアミノニトロベンゼン、4-ニトロ-3-メチルアミノフェノキシエタノール、2-N-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-アミノニトロベンゼン、2-N-β-ヒドロキシエチルアミノニトロベンゼン、3-アミノ-4-N-β-ヒドロキシエチルアミノニトロベンゼン、3-β-ヒドロキシエトキシ-4-N-β-ヒドロキシエチルアミノニトロベンゼン、2-アミノ-5-N-メチルアミノニトロベンゼン、2-アミノ-3-メチルニトロベンゼン、2-N-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-β,γ-ジヒドロキシプロポキシニトロベンゼン、3-ヒドロキシ-4-N-β-ヒドロキシエチルアミノニトロベンゼン、3-ヒドロキシ-4-アミノニトロベンゼン、2,5-N,N′-β-ヒドロキシエチルアミノニトロベンゼン、2-N-メチルアミノ-4-o-β,γ-ジヒドロキシプロポキシニトロベンゼン、2-N-β-アミノエチルアミノ-5-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノニトロベンゼン、2-N-β-アミノエチルアミノ-4-メトキシニトロベンゼン、2-N-β-アミノエチルアミノ-5-β-ヒドロキシエトキシニトロベンゼン等が挙げられる。
【0012】
アントラキノン染料としては、1-アミノ-4-メチルアミノアントラキノン、1,4-ジアミノアントラキノン等が挙げられる。
【0013】
酸性染料としては、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、赤色201号、赤色227号、赤色230号、赤色232号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号、橙色205号、橙206号、橙色207号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色402号、黄色403号、黄色406号、黄色407号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、緑色401号、緑色402号、青色1号、青色2号、青色202号、青色205号、紫色401号、黒色401号、アシッドブルー1、アシッドブルー3、アシッドブルー62、アシッドブラック52、アシッドブラウン13、アシッドグリーン50、アシッドオレンジ6、アシッドレッド14、アシッドレッド35、アシッドレッド73、アシッドレッド184、ブリリアントブラック1等が挙げられる。
【0014】
油溶性染料としては、赤色215号、赤色218号、赤色225号、橙色201号、橙色206号、黄色201号、黄色204号、緑色202号、紫色201号、赤色501号、赤色505号、橙色403号、黄色404号、黄色405号、青色403号等が挙げられる。
【0015】
塩基性染料としては、ベーシックブルー6、ベーシックブルー7、ベーシックブルー9、ベーシックブルー26、ベーシックブルー41、ベーシックブルー99、ベーシックブラウン4、ベーシックブラウン16、ベーシックブラウン17、ベーシックグリーン1、ベーシックレッド2、ベーシックレッド12、ベーシックレッド22、ベーシックレッド51、ベーシックレッド76、ベーシックバイオレット1、ベーシックバイオレット3、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット14、ベーシックバイオレット57、ベーシックイエロー57、ベーシックイエロー87、ベーシックオレンジ31等が挙げられる。
【0016】
これらのうち、酸性染料が好ましく、特に黄色4号、黄色403号、橙色205号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、赤色2号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色227号、青色1号、青色205号、紫色401号、黒色401号が好ましい。
【0017】
成分(A)は、2種以上を併用することもでき、またその含有量は、本発明の染毛剤組成物中の0.005〜5重量%、特に0.01〜2重量%が好ましい。
【0018】
成分(B)の炭化水素油としては、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン等が挙げられる。炭化水素油は、2種以上を併用することもでき、またその含有量は、頭皮や肌に対する着色抑制効果の点、及び分離を生じさせず、かつべたつき感を生じさせない点から、本発明の染毛剤組成物中の0.1〜30重量%、更に0.5〜15重量%、特に1〜8重量%が好ましく、4〜8重量%が最も好ましい。
【0019】
成分(C)のポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサンとしては、ジメチルポリシロキサンの主鎖にポリオキシアルキレン基、好ましくはポリオキシエチレン基が結合したものであり、HLBが1〜6、特に2〜5であるものが好ましい。またポリオキシエチレン基のほかにポリオキシプロピレン基を有していてもよい。具体的には、シリコーンKF6005、同KF6015、同KF6017、同KF945A、同KF353A、同KF352A(以上、信越化学社)、SILWET L-720、同L-7001、同L-7002(以上、日本ユニカー社)、シリコーンSH-3775(東レ・ダウコーニング社)等が挙げられる。成分(C)は、2種以上を併用することもでき、またその含有量は、塗布のし易さ、濯ぎ易さ、すすぎ時の感触の点から、本発明の染毛剤組成物中の0.001〜30重量%、更に0.01〜10重量%、特に0.1〜5重量%が好ましい。
【0020】
成分(D)のジメチルポリシロキサンとしては、低重合度のものも使用できるが、成分(D)の全部又は一部として、数平均重合度が1000以上、更には1500以上、特に2000以上20000未満の高重合シリコーン類を使用することが好ましい。
【0021】
数平均重合度が1000以上である高重合シリコーンの市販品の具体例としては、SH200-1,000,000cs(東レ・ダウコーニング・シリコーン社)、TSF451-100MA(GE東芝シリコーン社)、BY11-026(東レ・ダウコーニング・シリコーン社;高重合シリコーンの低粘度シリコーンによる希釈溶液)、KF9008(信越シリコーン社;高重合シリコーンの環状シリコーンによる希釈溶液)、BY22-050A(東レ・ダウコーニング・シリコーン社;高重合シリコーンのカチオンエマルション)、BY22-060(東レ・ダウコーニング・シリコーン社;高重合シリコーンを低粘度シリコーンで希釈した溶液のカチオンエマルション)、BY22-020(東レ・ダウコーニング・シリコーン社;高重合シリコーンを流動パラフィンで希釈した溶液のカチオンエマルション)、KM904(信越シリコーン社;高重合シリコーンを低粘度シリコーンで希釈した溶液のカチオンエマルション)等が挙げられる。成分(D)の含有量は、本発明の染毛剤組成物中の0.01〜30重量%が好ましく、更には0.05〜20重量%、特に0.1〜10重量%が好ましい。
【0022】
成分(B)と成分(C)と成分(D)の重量比(B)/〔(C)+(D)〕は、組成物の増粘による安定性向上の点から、1/100〜100とされ、1/20〜20、特に1/5〜5が好ましい。また、成分(D)と成分(C)の重量比(D)/(C)は、組成物の増粘による安定性向上と炭化水素油の分離防止の点から、1/100〜100とされ、1/20〜20、特に1/5〜5が好ましい。
【0023】
成分(E)の水溶性高分子のうち、アニオン性の水溶性高分子としては、ポリアクリル酸(Noveon社:カーボポール941、981)、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(Noveon社:カーボポールETD2020)、低級アルキルビニルエ―テル/無水マレイン酸共重合体の末端不飽和ジエン化合物による部分架橋ポリマーの加水分解物又はそのモノアルキルエステル(ISP社:スタビリーゼ06、スタビリーゼQM)、カラギーナン(三菱レーヨン社:ソアギーナLX22、ML210)、キサンタンガム(大日本製薬社:エコーガムT)、ウェランガム(三晶株式会社:K1C376、K1A96)、ヒドロキシプロピルキサンタンガム(大日本製薬社:ラボールガムEX)などが挙げられる。
【0024】
非イオン性の水溶性高分子としては、ヒドロキシエチルセルロール(ダイセル化学工業社:SE-850)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセル化学工業社:CMCダイセル1220)、ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルステアリルエーテルヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム(例えば特開平11-12139号公報の製造例1記載の化合物)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学社:メトローズ60SH-10000)、グアーガム(大日本製薬社:ファイバロンS)、プルラン(林原株式会社:プルランPI-20)、ヒドロキシプロピルキトサン(一丸ファルコス社:キトフィルマーHV-10)、キトサン・dl-ピロリドンカルボン酸塩(Union Carbide社:カイトマーPC)、ポリビニルピロリドン(BASF社:Luviskol K-12、K-30、PVP K-120)、ポリビニルアルコール(日本合成化学社:ゴーセノールEG-40)、ビニルアルコール/ビニルアミンコポリマー(エアープロダクト社:VA-120-HCl)、高重合度ポリエチレングリコール(日本Union Carbide社:ポリオックスWSRN-60K)などが挙げられる。
【0025】
カチオン性の水溶性高分子としては、ポリマー鎖の側鎖にアミノ基又はアンモニウム基を含むか、又はジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含む水溶液のもの、例えばカチオン化セルロース誘導体(ライオン社:レオガードG、同GP)、(ユニオンカーバイド社:ポリマーJR-125、同JR-400、同JR-30M、同LR-400、同LR-30M)、(ナショナルスターチアンドケミカル社:セルコートH-100、同L-200)、カチオン化グアーガム誘導体(ローディア社:ジャガーC-13S、同C-17)、(大日本製薬社:ラボールガムCG-M、同CG-M7、同CG-M8M)、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体(カルゴン社:マーコート100、同280、同295、同550)、4級化ポリビニルピロリドン誘導体(アイエスピー・ジャパン社:ガフコート734、同755、同755N)等が挙げられる。
【0026】
直接染料が酸性染料である場合に用いる水溶性高分子としては、アニオン性又は非イオン性の水溶性高分子が好ましい。アニオン性の水溶性高分子としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アルキレート、低級アルキルビニルエ―テル/無水マレイン酸共重合体の末端不飽和ジエン化合物による部分架橋ポリマーの加水分解物又はそのモノアルキルエステル、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルキサンタンガム、ウエランガムが、また、非イオン性の水溶性高分子としては、ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルステアリルエーテルヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グアーガム、プルラン、高重合度ポリエチレングリコールが特に好ましい。
【0027】
成分(E)は、2種以上を併用することもでき、またその含有量は、増粘性の点から、本発明の染毛剤組成物中の0.1〜20重量%が好ましく、更には0.1〜10重量%、特に0.25〜5重量%が好ましい。
【0028】
本発明の染毛剤組成物には、直接染料の毛髪への浸透を促進させるため、更に成分(F)として、芳香族アルコール、低級アルキレンカーボネート、N-アルキルピロリドン、ホルムアミド類及びラクトン類から選ばれる有機溶剤を含有させることが好ましい。芳香族アルコールとしては、ベンジルオキシエタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、γ-フェニルプロピルアルコール、桂皮アルコール、アニスアルコール、p-メチルベンジルアルコール、α,α-ジメチルフェネチルアルコール、α-フェニルエタノール、フェノキシエタノール等が挙げられ、低級アルキレンカーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の炭素数2〜6のアルキレン基を有するカーボネートが挙げられ、N-アルキルピロリドンとしては、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン等が挙げられ、ホルムアミド類としては、N-シクロヘキシルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアミド等が挙げられ、ラクトン類としては、γ-カプロラクトン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-オクタン酸ラクトン、α-メチル-γ-ブチロラクトン等が挙げられる。これらのうち、直接染料の毛髪への浸透性の点から、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、ベンジルオキシエタノール、プロピレンカーボネート、γ-カプロラクトン等が好ましい。成分(F)は、2種以上を併用することもでき、またその含有量は、本発明の染毛剤組成物中の1〜50重量%、特に5〜45重量%が好ましい。
【0029】
本発明の染毛剤組成物には、毛髪を膨潤させ浸透を促進させるため、成分(G)として有機酸又はその塩を含有させることが好ましい。有機酸としては、グリコール酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、レブリン酸、酢酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。なかでもα-ヒドロキシ酸が好ましく、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、特に乳酸、リンゴ酸、クエン酸が好ましい。また、これらの塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、有機アミン化合物等との塩が挙げられる。成分(G)は、2種以上を併用することもでき、またその含有量は、遊離酸換算量として、本発明の染毛剤組成物中の0.1〜40重量%、更には1〜30重量%、特に3〜10重量%が好ましい。
【0030】
更に、本発明の染毛剤組成物には、成分(H)として、低級アルコール又は多価アルコール若しくはその低級アルキルエーテル(カルビトール類)を含有させることができる。低級アルコールとしては、炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖のアルコールが挙げられ、例えばエタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール等が好ましい。多価アルコールとしては、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量200〜5000)等のアルキレングリコール類;グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセリン類等が挙げられ、多価アルコールの低級アルキルエーテルとしては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルグリセリン等のアルキレングリコールのモノエーテル類等が挙げられる。これらのうち、特に1,3-ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量200〜1000)が好ましい。
【0031】
成分(H)は、2種以上を併用することもでき、またその含有量は、本発明の染毛剤組成物中の1〜50重量%、特に5〜30重量%が好ましい。
【0032】
本発明の染毛剤組成物は、刺激を減少させ、すすぎ後の毛髪への剤の残留性を高めるため、界面活性剤の含有量を、1重量%以下、更には0.5重量%以下とすることが好ましく、特に界面活性剤を含まないことが好ましい。
【0033】
本発明の染毛剤組成物は、剤が垂れず、毛髪に伸ばしやすく塗布しやすく、かつ炭化水素が分離しにくい粘度、例えば3000〜10万mPa・s、更には5000〜10万mPa・s、特に10000〜10万mPa・sに調整することが好ましい。なお、ここでの粘度は、B型回転粘度計(ローターNo.4,12rpm,30℃,1分後、ただし、5万mPa・sを超える場合は6rpm)による測定値である。
【0034】
本発明の染毛剤組成物には、毛髪のコンディショニング効果を向上させるため、エステル油、成分(C)及び(D)以外のシリコーン誘導体、高級アルコール、脂肪酸等を含有させることができる。エステル油としては、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸グリセリル等が挙げられる。シリコーン誘導体としては、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。脂肪酸としては、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよく、それぞれの含有量は、0.1〜20重量%、更に0.5〜10重量%、特に1〜5重量%が好ましい。本発明の染毛剤組成物は、以上の各成分を配合し、残部を水性媒体とすることにより調製される。
【0035】
本発明の染毛剤組成物のpH(水で10重量倍に希釈時,25℃)は、成分(A)の直接染料として酸性染料を用いる場合を例に挙げれば、染毛の均一さ及び手肌への刺激抑制の観点から、1〜6、更には2〜5、特に2.5〜4が好ましい。pH調整剤としては、成分(G)の有機酸のほか、無機酸及びそれらの塩、アルカリ剤を使用できる。無機酸としては、リン酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。また、有機酸又は無機酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩(例えばトリエタノールアミン塩)等が挙げられる。アルカリ剤としては、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、有機アミン等が挙げられる。
【0036】
本発明の染毛剤組成物は、例えば、液状、ジェル状、クリーム状等の形態の組成物、又は吐出によりフォーム状となる組成物を、チューブ容器やエアゾール容器に入れた剤型とすることができる。
【0037】
本発明の染毛剤組成物は、ヘアカラー、パーマ等の化学処理履歴の有無を問わず、あらゆる毛髪を対象として使用することができるが、髪を傷めずに色を付与でき、色映えを良くすることができる点から、特にヘアカラー処理を行った毛髪に好適に使用することができる。この場合、ヘアカラー直後の濡れた髪、乾燥させた髪、ヘアカラー後、時間が経過した後(例:1日、1週間、1月等)の濡れた髪、乾燥した髪のいずれでもよい。使用方法としては、髪に直接塗布し所定時間放置した後、水ですすぎ流せばよいが、すすぎ後、シャンプー、リンス等で処理してもよく、特に、リンス処理を行うことが好ましい。また放置時間は、30秒〜30分程度が好ましい。
【実施例】
【0038】
実施例1〜9
表1に示す染毛剤組成物を調製し、毛髪を処理したところ、剤が垂れることなく毛髪に塗布し易く、頭皮や肌を着色することなく毛髪を均一に染めることができ、すすぎ時及び乾燥後の感触に優れるものであった。また炭化水素油が経時的に分離することもなかった。
【0039】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(E)
(A)直接染料
(B)炭化水素油
(C)ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン
(D)ジメチルポリシロキサン
(E)水溶性高分子
を含有し、成分(B)と成分(C)と成分(D)の重量比(B)/〔(C)+(D)〕が1/100〜100、成分(D)と成分(C)の重量比(D)/(C)が1/100〜100である染毛剤組成物。
【請求項2】
更に、成分(F)として、芳香族アルコール、低級アルキレンカーボネート、N-アルキルピロリドン、ホルムアミド類及びラクトン類から選ばれる有機溶剤を含有する請求項1記載の染毛剤組成物。
【請求項3】
成分(D)の全部又は一部として、数平均重合度1000以上の高重合ジメチルポリシロキサンを含有するものである請求項1又は2記載の染毛剤組成物。
【請求項4】
更に、成分(G)として有機酸を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の染毛剤組成物。
【請求項5】
成分(A)が、酸性染料である請求項1〜4のいずれかに記載の染毛剤組成物。

【公開番号】特開2006−143663(P2006−143663A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−336832(P2004−336832)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】