染毛剤組成物
【課題】染料の分解を起こさずに毛髪に鮮やかな色を堅固に付与することができ、光、洗浄、汗、摩擦、熱に対する優れた耐性を有し、アルカリ化剤や酸化剤に対して安定で、高い染色力を有し、時間経過に伴う褪色が少ない染毛剤組成物及びこれを毛髪に適用することによる染毛方法の提供。
【解決手段】アゾ染料(1)又はその塩を含有する染毛剤組成物。
【化1】
〔Rはカプラー成分を示し、R1及びR3は、各々独立して−SO3M、−SO2NR4R5又は水素原子を示し、R2、R4及びR5は、各々独立して水素原子又は置換基を示し、Mは水素原子、金属原子又はアンモニウムを示す。ただし、R1及びR3が同時に水素原子であることはない。〕
【解決手段】アゾ染料(1)又はその塩を含有する染毛剤組成物。
【化1】
〔Rはカプラー成分を示し、R1及びR3は、各々独立して−SO3M、−SO2NR4R5又は水素原子を示し、R2、R4及びR5は、各々独立して水素原子又は置換基を示し、Mは水素原子、金属原子又はアンモニウムを示す。ただし、R1及びR3が同時に水素原子であることはない。〕
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2,1,3-ベンゾチアジアゾール誘導体をアゾ成分とするアゾ直接染料を含有し、毛髪を鮮やかな色調に染毛でき、色落ちすることがなく、かつアルカリ剤や酸化剤に対して安定な染毛剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アニオン性又はカチオン性の直接染料を含む直接染毛剤組成物は、酸化染料中間体を含有する永久染毛剤組成物とは異なり、酸化剤によるカップリング反応を必要としない。そのため、いわゆるカラーシャンプーの形態で界面活性成分と共に、あるいはローション、エマルジョン又はジェル等の濃縮液の形態で、毛髪に適用されることが多い。また、カチオン基が共役系に含まれる構造のいわゆるカチオン染料を含有する色鮮やかな染毛剤に関する提案もされている。
【0003】
これらの直接染毛剤組成物は、染毛直後は鮮やかではあるものの、経日での色落ちが著しいという欠点を有する。更に、これらの直接染料は、酸化剤として一般的に使用されているアルカリ性過酸化物と混合することにより、容易に分解してしまい、所期の染毛効果が得られないことがある。そのため、染毛剤として使用する際、毛髪に対する脱色効果を有しない染毛剤組成物に限定されてしまうという欠点を有する。また、酸化染料を含有するいわゆる永久染毛剤の必須成分であるアルカリ剤及び還元剤に対して不安定であるため、永久染毛剤に併用することはできないという欠点がある。
【0004】
一方、2,1,3-ベンゾチアジアゾール誘導体は、アゾ染料の1種として知られている化合物である(例えば、特許文献1、特許文献2及び非特許文献1参照)。しかしながら、いずれも色相、堅牢性、分子吸光係数の観点から、染毛剤組成物として用いるには満足し得るものではなかった。
【0005】
【特許文献1】英国特許第1550620A号明細書
【特許文献2】伊国特許第778433号明細書
【非特許文献1】ボレティノ・サイエンティフィコ・デラ・ファコルタ・ディ・ケミカ・インダストリアーレ・ディ・ボローニャ(Bollettino Scientifico della Facolta di Chimica Industriale di Bologna),26巻(3-4),215-216頁(1968年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、染料の分解を起こさずに毛髪に鮮やかな色を堅固に付与することができ、光、洗浄、汗、摩擦、熱に対する優れた耐性を有し、アルカリ化剤や酸化剤に対して安定で、高い染色力を有し、時間経過に伴う褪色が少ない染毛剤組成物及びこれを用いた染毛方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、式(1)で表されるアゾ染料を含む染毛剤組成物が、染毛時に染料の分解を起こさずに、幅広い各種の色から選択される鮮やかな色を毛髪に堅固に付与することができ、光、洗浄、汗、摩擦、熱に対して優れた耐性を示すことを見出した。
【0008】
すなわち本発明は、次の一般式(1)で表されるアゾ染料又はその塩を含有する染毛剤組成物を提供するものである。
【0009】
【化1】
【0010】
〔式中、Rはカプラー成分を示し、R1及びR3は、各々独立して−SO3M、−SO2NR4R5又は水素原子を示し、R2、R4及びR5は、各々独立して水素原子又は置換基を示し、Mは水素原子、金属原子又はアンモニウムを示す。ただし、R1及びR3が同時に水素原子であることはない。〕
【発明の効果】
【0011】
本発明の染毛剤組成物は、染毛時に染料の分解を起こすことなく、幅広い各種の色から選択される鮮やかな色を毛髪に堅固に付与することができ、光や洗浄、汗、摩擦、熱による褪色に対して優れた耐性を示す。
【0012】
更に、本発明の染毛剤組成物は、アゾ染料(1)が過酸化物に対して非常に安定であることから過酸化物を好適に併用でき、毛髪を脱色しながら鮮やかな色調を毛髪に付与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明における置換基とは、水素原子に対して置換可能な基を意味する。このような置換基としては、例えば、脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜15の基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、プロパルギル基、ビニル基等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜16の基、例えばフェニル基、4-ニトロフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基等)、ヘテロ環基(好ましくは5〜10員環の基、例えば2-テトラヒドロフリル基、2-ピリジル基、ピリミジン-2-イル基、1-イミダゾリル基、1-ピラゾリル基、2-ピロリル基、ベンゾチアゾール-2-イル基、ベンゾイミダゾール-2-イル基等)、アシル基(好ましくは炭素数1〜15、例えばアセチル基、2-メチルプロパノイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜16の基、例えばアセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜8の基、例えばアセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、2-メチルプロパノイルアミノ基、クロロアセチルアミノ基、ベンズアミド基等)、脂肪族オキシ基(好ましくは炭素数1〜16の基、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、2-メトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜17の基、例えばフェノキシ基、4-ニトロフェノキシ基等)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは5〜10員環の基、例えば2-ピリジルオキシ基、2-フリルオキシ基、3-ピラゾイルオキシ基等)、脂肪族オキシカルボニル基(好ましくは炭素数1〜15の基、例えばメトキシカルボニル基、2-プロピルオキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜17の基、例えばフェノキシカルボニル基、4-メトキシフェノキシカルボニル基等)、ヘテロ環オキシカルボニル基(好ましくは5〜10員環の基、例えば2-ピリジルオキシカルボニル基、2-チエニルオキシカルボニル基等)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜12の基、例えばカルバモイル基、N-エチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基等)、脂肪族スルホニル基(好ましくは炭素数1〜15の基、例えばメタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、メトキシエタンスルホニル基等)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜16の基、例えばフェニルスルホニル基、4-t-ブチルフェニルスルホニル基、p-トルエンスルホニル基等)、ヘテロ環スルホニル基(好ましくは5〜10員環の基、例えば2-テトラヒドロピラニルスルホニル基等)、脂肪族スルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜15の基、例えばメタンスルホニルオキシ基、エタンスルホニルオキシ基等)、アリールスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数6〜16の基、例えばフェニルスルホニルオキシ基等)、ヘテロ環スルホニルオキシ基(好ましくは5〜10員環の基、例えば2-ピリジルスルホニルオキシ基等)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜12の基、例えばスルファモイル基、N,N-ジメチルスルファモイル基等)、脂肪族スルホンアミド基(好ましくは炭素数1〜15の基、例えばメタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基等)、アリールスルホンアミド基(好ましくは炭素数6〜16の基、例えばベンゼンスルホンアミド基、p-トルエンスルホンアミド基等)、ヘテロ環スルホンアミド基(5〜10員環の基、例えば2-ピリジルスルホニルアミド基等)、アミノ基、脂肪族アミノ基(好ましくは炭素数1〜16の基、例えばメチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、ブチルアミノ基等)、アリールアミノ基(好ましくは炭素数6〜16の基、例えばフェニルアミノ基等)、ヘテロ環アミノ基(5〜10員環の基、例えば2-ピリジルアミノ基、ピラゾール-4-イルアミノ基、ベンゾイミダゾール-2-イルアミノ基、ベンゾチアゾール-2-イルアミノ基、ベンゾオキサゾール-2-イルアミノ基、2-オキサゾリルアミノ基、1,2,4-トリアゾール-3-イルアミノ基、1,2,4-チアジアゾール-2-イルアミノ基、1,3,4-チアジアゾール-2-イルアミノ基、1,2,4-オキサジアゾール-2-イルアミノ基、1,3,4-オキサジアゾール-2-イルアミノ基等)、脂肪族オキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜12の基、例えばメトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t-ブトキシカルボニルアミノ基等)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜17の基、例えばフェノキシカルボニルアミノ基等)、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基(5〜10員環の基、例えば2-ピリジルオキシカルボニルアミノ基等):脂肪族スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜12の基、例えばメチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基等)、アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6〜16の基、例えばフェニルスルフィニル基等)、脂肪族チオ基(好ましくは炭素数1〜18の基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、2-エトキシエチルチオ基、ブチルチオ基等)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜18の基、例えばフェニルチオ基等)、脂肪族オキシアミノ基(好ましくは炭素数1〜12の基、例えばメトキシアミノ基、ブトキシアミノ基等)、アリールオキシアミノ基(好ましくは炭素数6〜16の基、例えばフェノキシアミノ基等)、カルバモイルアミノ基(好ましくは炭素数0〜18の基、例えばカルバモイルアミノ基等)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数0〜18の基、例えばスルファモイルアミノ基、N,N-ジメチルスルファモイルアミノ基等)、スルファモイルカルバモイル基(好ましくは炭素数1〜12の基、例えばN-(スルファモイル)カルバモイル基、N-(N',N'-ジメチルスルファモイル)カルバモイル基等)、カルバモイルスルファモイル基(好ましくは炭素数1〜12の基、例えばN-(カルバモイル)スルファモイル基等)、ジ脂肪族オキシホスフィニル基(好ましくは炭素数2〜16の基、例えばジメトキシホスホニル基等)、ジアリールオキシホスフィニル基(好ましくは炭素数6〜16の基、例えばフェノキシホスフィニル基)、ヒドロキシ基;メルカプト基;シアノ基;スルホ基;カルボキシル基;ハロゲン原子等が含まれる。
【0014】
R2で表される置換基としては、前述の本発明における置換基として例示した基であって、置換可能な基であればよい。R2としては、水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子が好ましく、より好ましくは水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、アシルオキシ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホニルオキシ基、ハロゲン原子、最も好ましくは水素原子である。
【0015】
R4及びR5で表される置換基としては、前述の本発明における置換基として例示した基であって、置換可能な基であればよい。R4及びR5としては、水素原子、nが1〜6の整数である直鎖若しくは分枝鎖のアルキル基(CnH2n+1)、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、スルファモイル基、スルホンアミド基、カルボキシ基、カルバモイル基、カルボキサミド基、アルコキシカルボニル基又はスルホ基で置換されたアルキル基、シクロアルキル基、ベンジル基、フェニル基(ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、スルファモイル基、スルホンアミド基、カルボキシ基、カルバモイル基、カルボキサミド基、アルコキシカルボニル基又はスルホ基で置換されていてもよい)、複素環基(スルファモイル基、カルボキシ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基又はnが1〜6の整数である直鎖若しくは分枝鎖のアルキル基(CnH2n+1)で置換されていてもよい)が挙げられ、それらが付加した窒素原子と共に5又は6員環を形成してもよい。より好ましくは、水素原子又はnが1〜4の整数である直鎖若しくは分枝鎖のアルキル基(CnH2n+1)である。最も好ましくは水素原子である。
【0016】
Mは水素原子、金属原子又はアンモニウムを表し、金属原子としては、アルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子が好ましい。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムが好ましく、アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウムが好ましい。アンモニウムとしては、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウムが挙げられる。
【0017】
Rで表されるカプラー成分とは、ジアゾニウム塩と反応し、アゾ染料を得ることの可能なカプラー化合物由来の部分構造を意味する。この概念はアゾ染料の分野で一般に用いられる。本発明において、Rとしては、下記一般式(2)〜(12)で表される構造のカプラー成分が好ましい。なお、これらはそれぞれ一般に、フェノール系カプラー、ナフトール系カプラー、活性メチレン系カプラー、ピラゾロン系カプラー、ピラゾロアゾール系カプラー、ピロロトリアゾール系カプラーと総称される成分である。一般式(2)〜(12)において、Yは一般式(1)のアゾ部と結合する結合手を示す。
【0018】
【化2】
【0019】
〔式中、R6、R7、R8及びR9は各々独立して水素原子又は置換基を示し、互いに結合して縮合環を形成してもよい。Xは炭素原子又は窒素原子を示し、Xが炭素原子のときnは1であり、Xが窒素原子のときnは0である。〕
【0020】
R6、R7、R8及びR9で表される置換基としては、前述の本発明における置換基として例示した基であって、置換可能な基であればよい。また、互いに結合して形成してもよい縮合環としては、R6とR7及び/又はR8とR9が結合して形成される、芳香環であっても非芳香環であってもよく、炭素環であっても複素環であってもよい5〜7員環(例えばベンゼン環、ピリジン環)が挙げられる。
【0021】
R6、R7、R8及びR9で表される置換基としては、水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子が挙げられる。より好ましくは、水素原子、脂肪族炭化水素基、ヘテロ環基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子である。
【0022】
このうち、R6及びR8で表される置換基としては、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−CONR18R19、−SO2NR18R19、−NHCOR18、−NHCONR18R19及び−NHSO2NR18R19から選ばれる基が好ましい。ここで、R18及びR19は水素原子又は置換基を示し、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のヘテロ環基が好ましい。
【0023】
また、R7及びR9で表される置換基としては、水素原子、アシルアミノ基、ハロゲン原子が好ましい。
【0024】
【化3】
【0025】
一般式(3)〜(6)は、活性メチレン系カプラーと称されるカプラーを表す。式中、R10は置換基を有していてもよいアシル基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を示す。R11は置換基を有してもよいアルキル基、アリール基又はヘテロ環基を示す。R12は置換基を有してもよいアリール基又はヘテロ環基を示す。
【0026】
R10、R11及びR12が有してもよい置換基としては、前述の置換基として例示したものが挙げられる。また、一般式(3)〜(6)において、R10とR11、R10とR12は互いに結合して環を形成してもよい。
【0027】
【化4】
【0028】
一般式(7)は、5-ピラゾロン系カプラーと称されるカプラーを表す。式中、R13はシアノ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、アリールアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基又はアルキル基を示す。R14はフェニル基又は1個以上のハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基又はアシルアミノ基が置換したフェニル基を示す。
【0029】
【化5】
【0030】
一般式(8)は、ピラゾロアゾール系カプラーと称されるカプラーをす。式中、R15は水素原子又は置換基を表す。Qは窒素原子を2〜4個含む5員のアゾール環を形成するのに必要な非金属原子群を示し、そのようなアゾール環は置換基(縮合環を含む)を有してもよい。
【0031】
【化6】
【0032】
一般式(9)〜(12)は、ピロロトリアゾール系カプラーと称されるカプラーを表す。式中、R20、R21及びR22は水素原子又は置換基を示す。R20、R21及びR22の置換基としては、前述の置換基として例示したものが挙げられる。
【0033】
また、一般式(2)〜(12)のほかにも、縮環フェノール系カプラー、イミダゾール系カプラー、ピロール系カプラー、3-ヒドロキシピリジン系カプラー(特開平1-315736号公報等に記載のカプラー)、一般式(3)〜(6)で表される以外の活性メチレン系カプラー活性、活性メチン系カプラー、5,5-縮環複素環系カプラー、5,6-縮環複素環系カプラー等が使用できる。
【0034】
本発明において、Rとしては、効果の点で、一般式(2)で表されるカプラー成分が好ましく、そのうち次の一般式(13)又は(14)で表されるカプラー成分がより好ましい。
【0035】
【化7】
【0036】
一般式(13)はフェノール系カプラー、一般式(14)はナフトール系カプラーと称されるカプラーであり、式中、R16は水素原子、ハロゲン原子、−CONR18R19、−SO2NR18R19、−NHCOR18、−NHCONR18R19及び−NHSO2NR18R19から選ばれる基を示す。ここで、R18及びR19は水素原子又は置換基を示す。R17は置換基を示し、lは0〜2から選ばれる整数、mは0〜4から選ばれる整数を示す。l、mが2以上のときは、複数のR17は同じでもそれぞれ異なっていてもよい。
【0037】
R17、R18及びR19で表される置換基としては、前述の置換基として例示したものが挙げられる。特に、R18及びR19としては、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のヘテロ環基が好ましい。また、一般式(13)においては、水酸基のオルト位若しくはR16のパラ位に位置することが好ましく、一般式(14)においては、ナフトール環の5位若しくは8位に位置することが好ましい。
【0038】
アゾ染料(1)の具体例を、次の式(D-1)〜(D-24)に示す。
【0039】
【化8】
【0040】
【化9】
【0041】
式(D-6)、(D-14)、(D-21)及び(D-22)において、Msはメタンスルホニル基を示す。
【0042】
アゾ染料(1)は、無機若しくは有機酸又は無機若しくは有機アルカリの塩であってもよい。無機若しくは有機酸としては、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸が挙げられる。無機若しくは有機アルカリとしては、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化2-エタノールアンモニウム等が挙げられる。
【0043】
アゾ染料(1)の含有量は、全組成(二剤式又は三剤式の場合は各剤の混合後。以下同じ。)中に0.0001〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.001〜20重量%、更に好ましくは0.05〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%である。
【0044】
アゾ染料(1)は、通常の染毛剤で用いられるpH2〜11の広い範囲で保存安定性に優れるため、本発明の染毛剤組成物は、上記範囲内の任意のpHで使用することができる。特に、pH5以上の範囲で使用するのが、染色性の点から好ましい。また、アルカリ剤に対するアゾ染料(1)の高い安定性から、本発明の染毛剤組成物は、高い染色性が得られるpH8以上、特にpH8〜11で使用することができ、長期間の保存後においても直接染料が分解することなく、高い染色性が維持される。
【0045】
〔その他の染料〕
本発明の染毛剤組成物には、更に他の直接染料や酸化染料を配合して色調を変化させることもできる。
【0046】
他の直接染料としては、塩基性染料、カチオン染料、ニトロ染料、分散染料等の公知の直接染料を加えることができる。より具体的には、例えばベーシックブルー7(C.I.42595)、ベーシックブルー26(C.I.44045)、ベーシックブルー99(C.I.56059)、ベーシックバイオレット10(C.I.45170)、ベーシックバイオレット14(C.I.42515)、ベーシックブラウン16(C.I.12250)、ベーシックブラウン17(C.I.12251)、ベーシックレッド2(C.I.50240)、ベーシックレッド12(C.I.48070)、ベーシックレッド22(C.I.11055)、ベーシックレッド46(C.I.110825)、ベーシックレッド76(C.I.12245)、ベーシックレッド118(C.I.12251:1)、ベーシックイエロー28(C.I.48054)、ベーシックイエロー57(C.I.12719)、特開昭58-2204号公報、特開平9-118832号公報、特表平8-501322号公報及び特表平8-507545号公報に記載されているカチオン染料;下記式で表されるシアニン構造を有するメチン型カチオン染料などが挙げられる。
【0047】
【化10】
【0048】
また、例えば、特開2002-275040号公報、特開2003-107222号公報、特開2003-107223号公報、特開2003-113055号公報、特開2004-107343号公報、特開2003-342139号公報、特開2004-155746号公報に記載されている直接染料も加えることができる。
【0049】
本発明の染毛剤組成物においては、アゾ染料(1)とともに、酸化染料を併用することもできる。このような併用により、酸化染料単独では得られない、極めて鮮明で強い染色が可能となる。酸化染料としては、酸化型染毛剤に通常用いられる公知の顕色物質及びカップリング物質が用いられる。
【0050】
顕色物質としては、例えばパラフェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、2-クロロ-パラフェニレンジアミン、N-メトキシエチル-パラフェニレンジアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、2-(2-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラフェニレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルアミン、1,3-ビス(N-(2-ヒドロキシエチル)-N-(4-アミノフェニル)アミノ)-2-プロパノール、PEG-3,2,2'-パラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、パラメチルアミノフェノール、3-メチル-4-アミノフェノール、2-アミノメチル-4-アミノフェノール、2-(2-ヒドロキシエチルアミノメチル)-4-アミノフェノール、オルトアミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール、2-アミノ-5-アセタミドフェノール、3,4-ジアミノ安息香酸、5-アミノサリチル酸、2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、2,5,6-トリアミノ-4-ヒドロキシピリミジン、4,5-ジアミノ-1-(4'-クロロベンジル)ピラゾール等、及びその塩が挙げられる。
【0051】
また、カップリング物質としては、例えばメタフェニレンジアミン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、2-アミノ-4-(2-ヒドロキシエチルアミノ)アニソール、2,4-ジアミノ-5-メチルフェネトール、2,4-ジアミノ-5-(2-ヒドロキシエトキシ)トルエン、2,4-ジメトキシ-1,3-ジアミノベンゼン、2,6-ビス(2-ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、2,4-ジアミノ-5-フルオロトルエン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、メタアミノフェノール、2-メチル-5-アミノフェノール、2-メチル-5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、2,4-ジクロロ-3-アミノフェノール、2-クロロ-3-アミノ-6-メチルフェノール、2-メチル-4-クロロ-5-アミノフェノール、N-シクロペンチル-メタアミノフェノール、2-メチル-4-メトキシ-5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、2-メチル-4-フルオロ-5-アミノフェノール、レゾルシン、2-メチルレゾルシン、4-クロロレゾルシン、1-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、2-イソプロピル-5-メチルフェノール、4-ヒドロキシインドール、5-ヒドロキシインドール、6-ヒドロキシインドール、7-ヒドロキシインドール、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、3,4-メチレンジオキシフェノール、2-ブロモ-4,5-メチレンジオキシフェノール、3,4-メチレンジオキシアニリン、1-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、2,6-ジヒドロキシ-3,4-ジメチルピリジン、2,6-ジメトキシ-3,5-ジアミノピリジン、2,3-ジアミノ-6-メトキシピリジン、2-メチルアミノ-3-アミノ-6-メトキシピリジン、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、2,6-ジアミノピリジン等、及びその塩が挙げられる。
【0052】
これらの顕色物質及びカップリング物質は、それぞれ2種以上を併用することもでき、またそれらの含有量は、全組成中に合計で0.001〜19重量%、更には0.01〜19重量%、特に0.5〜10重量%が好ましい。
【0053】
本発明の染毛剤組成物には、更にインドール類、インドリン類等に代表される自動酸化型染料を加えることもできる。
【0054】
本発明の染毛剤組成物中のアゾ染料(1)と他の染料の合計含有量は、全組成中に0.001〜20重量%、更には0.01〜20重量%、特に0.5〜15重量%が好ましい。
【0055】
〔その他の成分〕
本発明の染毛剤組成物に用いられるアルカリ剤としては、例えばアンモニア;モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン又はこれらの塩等のアルカノールアミン;グアニジン炭酸塩等のグアニジウム塩;水酸化ナトリウム等の水酸化物などが挙げられる。アルカリ剤の含有量は、全組成中の0.01〜20重量%が好ましく、更には0.1〜10重量%が好ましく、0.5〜5重量%が特に好ましい。
【0056】
本発明で使用するアゾ染料(1)は、酸化剤に対して極めて安定なので、酸化剤と混合した後に毛髪に適用することができる。換言すれば、アゾ染料(1)を含有する第1剤(任意の他の知られている直接染料や酸化染料を含んでもよい)と、酸化剤を含有する第2剤の二剤式にすることができる。この場合、染色と脱色が同時に行われ、より鮮やかな染色が得られる。
【0057】
酸化剤としては、例えば過酸化水素;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;過ホウ酸ナトリウム等の過ホウ酸塩;過炭酸ナトリウム等の過炭酸塩;臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム等の臭素酸塩などが挙げられる。なかでも、毛髪に対する脱色性、アゾ染料(1)の安定性及び有効性の点から、過酸化水素が特に好ましい。また、過酸化水素と共に、酸化助剤として他の酸化剤を組み合わせて用いることもできる。なかでも過酸化水素と過硫酸塩とを組み合わせて用いるのが特に好ましい。酸化剤の含有量は、全組成中の0.5〜30重量%が好ましく、1〜20重量%が特に好ましい。過酸化水素と過硫酸塩とを組み合わせて用いる場合は、過酸化水素の含有量は、全組成中の0.5〜10重量%;過硫酸塩の含有量は、全組成中の0.5〜25重量%;両者の合計の含有量が1〜30重量%であることが特に好ましい。
【0058】
アゾ染料(1)を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤の混合割合は、容積比で2:1〜1:3の範囲であるのが好ましい。
【0059】
また、アルカリ剤を含有する第1剤(任意の他の知られている直接染料を含んでもよい)と酸化剤を含有する第2剤から構成される公知の二剤式酸化型染毛剤又はブリーチ剤;アルカリ剤を含有する第1剤(任意の他の知られている直接染料を含んでもよい)と酸化剤を含有する第2剤、酸化助剤を含有する第3剤から構成される公知の三剤式酸化型染毛剤又はブリーチ剤に、酸化型染毛剤の色調を変化させるために、アゾ染料(1)を含有する一剤式染毛剤組成物を使用前あるいは使用中に追加して組み合わせて用いることもできる。
【0060】
アゾ染料(1)は、芳香族アルコール、低級アルキレンカーボネート、N-アルキルピロリドン及びホルムアミド類から選ばれる毛髪浸透性のある有機溶剤を染毛剤組成物に配合して、その染毛性や洗髪堅牢性をより高めることもできる。芳香族アルコールとしては、例えばベンジルアルコール、フェネチルアルコール、γ-フェニルプロピルアルコール、桂皮アルコール、アニスアルコール、p-メチルベンジルアルコール、α,α-ジメチルフェネチルアルコール、α-フェニルエタノール、フェノキシエタノール等が挙げられ、低級アルキレンカーボネートとしては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の炭素数2〜6のアルキレン基を有するカーボネートが挙げられ、N-アルキルピロリドンとしては、例えばN-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン等が挙げられ、ホルムアミド類としては、例えばN-シクロヘキシルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアミド等が挙げられ、染毛性や洗髪堅牢性の点からベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、プロピレンカーボネート等が好ましい。このような有機溶剤は、2種以上を併用することもでき、その含有量は、染毛性や洗髪堅牢性の点から、全組成中に1〜50重量%、特に5〜45重量%が好ましい。
【0061】
本発明の染毛剤組成物に、ポリオール類、ポリオールアルキルエーテル類、カチオン性又は両性ポリマー類、シリコーン類を加えると均一な染毛性が得られるとともに、毛髪の化粧効果を改善することができ好ましい。
【0062】
本発明の染毛剤組成物には、上記成分のほかに通常化粧品原料として用いられる他の成分を加えることができる。このような任意成分としては、炭化水素類、動植物油脂、高級脂肪酸類、浸透促進剤、カチオン界面活性剤、天然又は合成の高分子、高級アルコール類、エーテル類、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、蛋白誘導体、アミノ酸類、防腐剤、キレート剤、安定化剤、酸化防止剤、植物性抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、色素、香料、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0063】
本発明の染毛剤組成物は、常法に従って、一剤型組成物、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤とを有する二剤型組成物、又はこれら二剤に加え、過硫酸塩等の粉末状酸化剤を有する三剤型組成物とすることができる。アゾ染料(1)は、二剤型又は三剤型組成物における上記剤の一方又は両方に組み入れられてもよい。本発明の染毛剤組成物が一剤型である場合には、染毛剤組成物は毛髪に直接適用されるが、二剤型又は三剤型は、染毛に際してこれら成分を混合した後に毛髪に適用される。あるいは、直接染料(1)を含有する一剤型組成物を二剤型又は三剤型組成物の混合の際に併せて混合し、毛髪に適用することもできる。
【0064】
またその形態は、粉末状、透明液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、エアゾール、エアゾールフォーム状等とすることができる。毛髪に適用する段階(二剤型又は三剤型の場合は混合後)における粘度は、1,000〜100,000mPa・sが好ましく、更には5,000〜50,000mPa・s、特に10,000〜40,000mPa・sが好ましい。ここで、粘度は、ブルックフィールド回転粘度計(No.5スピンドル、5rpm)を用いて20℃で測定した値である。
【0065】
本発明の染毛剤組成物は、ヒト又は動物の毛の染色に使用することができ、このような染色方法は、染毛剤組成物の毛髪への適用、染色終了後の毛の洗浄、及び洗浄後の毛の乾燥からなる。
【実施例】
【0066】
実施例1〜5
常法に従い、表1に示す一剤式染毛剤を調整した。
【0067】
【表1】
【0068】
上記一剤式染毛剤を30℃で山羊毛に適用し、20分間の作用時間を置いて山羊毛を通常シャンプーで洗浄し、乾燥した。得られた染色毛の色調を観察した結果、いずれも染色性・シャンプー堅牢性は良好であった。
【0069】
実施例6〜10
常法に従い、表2に示すクリーム状二剤式染毛剤第1剤及び表3に示す共通第2剤を調整した。
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
第1剤1重量部に対し共通第2剤1重量部を混合した後、30℃で山羊毛に適用し、30分間の作用時間を置いて毛髪を通常シャンプーで洗浄し、乾燥した。得られた染色毛の色調を観察した結果、いずれも染色性・シャンプー堅牢性は良好であった。
【技術分野】
【0001】
本発明は、2,1,3-ベンゾチアジアゾール誘導体をアゾ成分とするアゾ直接染料を含有し、毛髪を鮮やかな色調に染毛でき、色落ちすることがなく、かつアルカリ剤や酸化剤に対して安定な染毛剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アニオン性又はカチオン性の直接染料を含む直接染毛剤組成物は、酸化染料中間体を含有する永久染毛剤組成物とは異なり、酸化剤によるカップリング反応を必要としない。そのため、いわゆるカラーシャンプーの形態で界面活性成分と共に、あるいはローション、エマルジョン又はジェル等の濃縮液の形態で、毛髪に適用されることが多い。また、カチオン基が共役系に含まれる構造のいわゆるカチオン染料を含有する色鮮やかな染毛剤に関する提案もされている。
【0003】
これらの直接染毛剤組成物は、染毛直後は鮮やかではあるものの、経日での色落ちが著しいという欠点を有する。更に、これらの直接染料は、酸化剤として一般的に使用されているアルカリ性過酸化物と混合することにより、容易に分解してしまい、所期の染毛効果が得られないことがある。そのため、染毛剤として使用する際、毛髪に対する脱色効果を有しない染毛剤組成物に限定されてしまうという欠点を有する。また、酸化染料を含有するいわゆる永久染毛剤の必須成分であるアルカリ剤及び還元剤に対して不安定であるため、永久染毛剤に併用することはできないという欠点がある。
【0004】
一方、2,1,3-ベンゾチアジアゾール誘導体は、アゾ染料の1種として知られている化合物である(例えば、特許文献1、特許文献2及び非特許文献1参照)。しかしながら、いずれも色相、堅牢性、分子吸光係数の観点から、染毛剤組成物として用いるには満足し得るものではなかった。
【0005】
【特許文献1】英国特許第1550620A号明細書
【特許文献2】伊国特許第778433号明細書
【非特許文献1】ボレティノ・サイエンティフィコ・デラ・ファコルタ・ディ・ケミカ・インダストリアーレ・ディ・ボローニャ(Bollettino Scientifico della Facolta di Chimica Industriale di Bologna),26巻(3-4),215-216頁(1968年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、染料の分解を起こさずに毛髪に鮮やかな色を堅固に付与することができ、光、洗浄、汗、摩擦、熱に対する優れた耐性を有し、アルカリ化剤や酸化剤に対して安定で、高い染色力を有し、時間経過に伴う褪色が少ない染毛剤組成物及びこれを用いた染毛方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、式(1)で表されるアゾ染料を含む染毛剤組成物が、染毛時に染料の分解を起こさずに、幅広い各種の色から選択される鮮やかな色を毛髪に堅固に付与することができ、光、洗浄、汗、摩擦、熱に対して優れた耐性を示すことを見出した。
【0008】
すなわち本発明は、次の一般式(1)で表されるアゾ染料又はその塩を含有する染毛剤組成物を提供するものである。
【0009】
【化1】
【0010】
〔式中、Rはカプラー成分を示し、R1及びR3は、各々独立して−SO3M、−SO2NR4R5又は水素原子を示し、R2、R4及びR5は、各々独立して水素原子又は置換基を示し、Mは水素原子、金属原子又はアンモニウムを示す。ただし、R1及びR3が同時に水素原子であることはない。〕
【発明の効果】
【0011】
本発明の染毛剤組成物は、染毛時に染料の分解を起こすことなく、幅広い各種の色から選択される鮮やかな色を毛髪に堅固に付与することができ、光や洗浄、汗、摩擦、熱による褪色に対して優れた耐性を示す。
【0012】
更に、本発明の染毛剤組成物は、アゾ染料(1)が過酸化物に対して非常に安定であることから過酸化物を好適に併用でき、毛髪を脱色しながら鮮やかな色調を毛髪に付与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明における置換基とは、水素原子に対して置換可能な基を意味する。このような置換基としては、例えば、脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜15の基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、プロパルギル基、ビニル基等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜16の基、例えばフェニル基、4-ニトロフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基等)、ヘテロ環基(好ましくは5〜10員環の基、例えば2-テトラヒドロフリル基、2-ピリジル基、ピリミジン-2-イル基、1-イミダゾリル基、1-ピラゾリル基、2-ピロリル基、ベンゾチアゾール-2-イル基、ベンゾイミダゾール-2-イル基等)、アシル基(好ましくは炭素数1〜15、例えばアセチル基、2-メチルプロパノイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜16の基、例えばアセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜8の基、例えばアセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、2-メチルプロパノイルアミノ基、クロロアセチルアミノ基、ベンズアミド基等)、脂肪族オキシ基(好ましくは炭素数1〜16の基、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、2-メトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜17の基、例えばフェノキシ基、4-ニトロフェノキシ基等)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは5〜10員環の基、例えば2-ピリジルオキシ基、2-フリルオキシ基、3-ピラゾイルオキシ基等)、脂肪族オキシカルボニル基(好ましくは炭素数1〜15の基、例えばメトキシカルボニル基、2-プロピルオキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜17の基、例えばフェノキシカルボニル基、4-メトキシフェノキシカルボニル基等)、ヘテロ環オキシカルボニル基(好ましくは5〜10員環の基、例えば2-ピリジルオキシカルボニル基、2-チエニルオキシカルボニル基等)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜12の基、例えばカルバモイル基、N-エチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基等)、脂肪族スルホニル基(好ましくは炭素数1〜15の基、例えばメタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、メトキシエタンスルホニル基等)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜16の基、例えばフェニルスルホニル基、4-t-ブチルフェニルスルホニル基、p-トルエンスルホニル基等)、ヘテロ環スルホニル基(好ましくは5〜10員環の基、例えば2-テトラヒドロピラニルスルホニル基等)、脂肪族スルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜15の基、例えばメタンスルホニルオキシ基、エタンスルホニルオキシ基等)、アリールスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数6〜16の基、例えばフェニルスルホニルオキシ基等)、ヘテロ環スルホニルオキシ基(好ましくは5〜10員環の基、例えば2-ピリジルスルホニルオキシ基等)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜12の基、例えばスルファモイル基、N,N-ジメチルスルファモイル基等)、脂肪族スルホンアミド基(好ましくは炭素数1〜15の基、例えばメタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基等)、アリールスルホンアミド基(好ましくは炭素数6〜16の基、例えばベンゼンスルホンアミド基、p-トルエンスルホンアミド基等)、ヘテロ環スルホンアミド基(5〜10員環の基、例えば2-ピリジルスルホニルアミド基等)、アミノ基、脂肪族アミノ基(好ましくは炭素数1〜16の基、例えばメチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、ブチルアミノ基等)、アリールアミノ基(好ましくは炭素数6〜16の基、例えばフェニルアミノ基等)、ヘテロ環アミノ基(5〜10員環の基、例えば2-ピリジルアミノ基、ピラゾール-4-イルアミノ基、ベンゾイミダゾール-2-イルアミノ基、ベンゾチアゾール-2-イルアミノ基、ベンゾオキサゾール-2-イルアミノ基、2-オキサゾリルアミノ基、1,2,4-トリアゾール-3-イルアミノ基、1,2,4-チアジアゾール-2-イルアミノ基、1,3,4-チアジアゾール-2-イルアミノ基、1,2,4-オキサジアゾール-2-イルアミノ基、1,3,4-オキサジアゾール-2-イルアミノ基等)、脂肪族オキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜12の基、例えばメトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t-ブトキシカルボニルアミノ基等)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜17の基、例えばフェノキシカルボニルアミノ基等)、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基(5〜10員環の基、例えば2-ピリジルオキシカルボニルアミノ基等):脂肪族スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜12の基、例えばメチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基等)、アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6〜16の基、例えばフェニルスルフィニル基等)、脂肪族チオ基(好ましくは炭素数1〜18の基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、2-エトキシエチルチオ基、ブチルチオ基等)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜18の基、例えばフェニルチオ基等)、脂肪族オキシアミノ基(好ましくは炭素数1〜12の基、例えばメトキシアミノ基、ブトキシアミノ基等)、アリールオキシアミノ基(好ましくは炭素数6〜16の基、例えばフェノキシアミノ基等)、カルバモイルアミノ基(好ましくは炭素数0〜18の基、例えばカルバモイルアミノ基等)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数0〜18の基、例えばスルファモイルアミノ基、N,N-ジメチルスルファモイルアミノ基等)、スルファモイルカルバモイル基(好ましくは炭素数1〜12の基、例えばN-(スルファモイル)カルバモイル基、N-(N',N'-ジメチルスルファモイル)カルバモイル基等)、カルバモイルスルファモイル基(好ましくは炭素数1〜12の基、例えばN-(カルバモイル)スルファモイル基等)、ジ脂肪族オキシホスフィニル基(好ましくは炭素数2〜16の基、例えばジメトキシホスホニル基等)、ジアリールオキシホスフィニル基(好ましくは炭素数6〜16の基、例えばフェノキシホスフィニル基)、ヒドロキシ基;メルカプト基;シアノ基;スルホ基;カルボキシル基;ハロゲン原子等が含まれる。
【0014】
R2で表される置換基としては、前述の本発明における置換基として例示した基であって、置換可能な基であればよい。R2としては、水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子が好ましく、より好ましくは水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、アシルオキシ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホニルオキシ基、ハロゲン原子、最も好ましくは水素原子である。
【0015】
R4及びR5で表される置換基としては、前述の本発明における置換基として例示した基であって、置換可能な基であればよい。R4及びR5としては、水素原子、nが1〜6の整数である直鎖若しくは分枝鎖のアルキル基(CnH2n+1)、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、スルファモイル基、スルホンアミド基、カルボキシ基、カルバモイル基、カルボキサミド基、アルコキシカルボニル基又はスルホ基で置換されたアルキル基、シクロアルキル基、ベンジル基、フェニル基(ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、スルファモイル基、スルホンアミド基、カルボキシ基、カルバモイル基、カルボキサミド基、アルコキシカルボニル基又はスルホ基で置換されていてもよい)、複素環基(スルファモイル基、カルボキシ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基又はnが1〜6の整数である直鎖若しくは分枝鎖のアルキル基(CnH2n+1)で置換されていてもよい)が挙げられ、それらが付加した窒素原子と共に5又は6員環を形成してもよい。より好ましくは、水素原子又はnが1〜4の整数である直鎖若しくは分枝鎖のアルキル基(CnH2n+1)である。最も好ましくは水素原子である。
【0016】
Mは水素原子、金属原子又はアンモニウムを表し、金属原子としては、アルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子が好ましい。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムが好ましく、アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウムが好ましい。アンモニウムとしては、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウムが挙げられる。
【0017】
Rで表されるカプラー成分とは、ジアゾニウム塩と反応し、アゾ染料を得ることの可能なカプラー化合物由来の部分構造を意味する。この概念はアゾ染料の分野で一般に用いられる。本発明において、Rとしては、下記一般式(2)〜(12)で表される構造のカプラー成分が好ましい。なお、これらはそれぞれ一般に、フェノール系カプラー、ナフトール系カプラー、活性メチレン系カプラー、ピラゾロン系カプラー、ピラゾロアゾール系カプラー、ピロロトリアゾール系カプラーと総称される成分である。一般式(2)〜(12)において、Yは一般式(1)のアゾ部と結合する結合手を示す。
【0018】
【化2】
【0019】
〔式中、R6、R7、R8及びR9は各々独立して水素原子又は置換基を示し、互いに結合して縮合環を形成してもよい。Xは炭素原子又は窒素原子を示し、Xが炭素原子のときnは1であり、Xが窒素原子のときnは0である。〕
【0020】
R6、R7、R8及びR9で表される置換基としては、前述の本発明における置換基として例示した基であって、置換可能な基であればよい。また、互いに結合して形成してもよい縮合環としては、R6とR7及び/又はR8とR9が結合して形成される、芳香環であっても非芳香環であってもよく、炭素環であっても複素環であってもよい5〜7員環(例えばベンゼン環、ピリジン環)が挙げられる。
【0021】
R6、R7、R8及びR9で表される置換基としては、水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子が挙げられる。より好ましくは、水素原子、脂肪族炭化水素基、ヘテロ環基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子である。
【0022】
このうち、R6及びR8で表される置換基としては、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−CONR18R19、−SO2NR18R19、−NHCOR18、−NHCONR18R19及び−NHSO2NR18R19から選ばれる基が好ましい。ここで、R18及びR19は水素原子又は置換基を示し、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のヘテロ環基が好ましい。
【0023】
また、R7及びR9で表される置換基としては、水素原子、アシルアミノ基、ハロゲン原子が好ましい。
【0024】
【化3】
【0025】
一般式(3)〜(6)は、活性メチレン系カプラーと称されるカプラーを表す。式中、R10は置換基を有していてもよいアシル基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を示す。R11は置換基を有してもよいアルキル基、アリール基又はヘテロ環基を示す。R12は置換基を有してもよいアリール基又はヘテロ環基を示す。
【0026】
R10、R11及びR12が有してもよい置換基としては、前述の置換基として例示したものが挙げられる。また、一般式(3)〜(6)において、R10とR11、R10とR12は互いに結合して環を形成してもよい。
【0027】
【化4】
【0028】
一般式(7)は、5-ピラゾロン系カプラーと称されるカプラーを表す。式中、R13はシアノ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、アリールアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基又はアルキル基を示す。R14はフェニル基又は1個以上のハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基又はアシルアミノ基が置換したフェニル基を示す。
【0029】
【化5】
【0030】
一般式(8)は、ピラゾロアゾール系カプラーと称されるカプラーをす。式中、R15は水素原子又は置換基を表す。Qは窒素原子を2〜4個含む5員のアゾール環を形成するのに必要な非金属原子群を示し、そのようなアゾール環は置換基(縮合環を含む)を有してもよい。
【0031】
【化6】
【0032】
一般式(9)〜(12)は、ピロロトリアゾール系カプラーと称されるカプラーを表す。式中、R20、R21及びR22は水素原子又は置換基を示す。R20、R21及びR22の置換基としては、前述の置換基として例示したものが挙げられる。
【0033】
また、一般式(2)〜(12)のほかにも、縮環フェノール系カプラー、イミダゾール系カプラー、ピロール系カプラー、3-ヒドロキシピリジン系カプラー(特開平1-315736号公報等に記載のカプラー)、一般式(3)〜(6)で表される以外の活性メチレン系カプラー活性、活性メチン系カプラー、5,5-縮環複素環系カプラー、5,6-縮環複素環系カプラー等が使用できる。
【0034】
本発明において、Rとしては、効果の点で、一般式(2)で表されるカプラー成分が好ましく、そのうち次の一般式(13)又は(14)で表されるカプラー成分がより好ましい。
【0035】
【化7】
【0036】
一般式(13)はフェノール系カプラー、一般式(14)はナフトール系カプラーと称されるカプラーであり、式中、R16は水素原子、ハロゲン原子、−CONR18R19、−SO2NR18R19、−NHCOR18、−NHCONR18R19及び−NHSO2NR18R19から選ばれる基を示す。ここで、R18及びR19は水素原子又は置換基を示す。R17は置換基を示し、lは0〜2から選ばれる整数、mは0〜4から選ばれる整数を示す。l、mが2以上のときは、複数のR17は同じでもそれぞれ異なっていてもよい。
【0037】
R17、R18及びR19で表される置換基としては、前述の置換基として例示したものが挙げられる。特に、R18及びR19としては、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のヘテロ環基が好ましい。また、一般式(13)においては、水酸基のオルト位若しくはR16のパラ位に位置することが好ましく、一般式(14)においては、ナフトール環の5位若しくは8位に位置することが好ましい。
【0038】
アゾ染料(1)の具体例を、次の式(D-1)〜(D-24)に示す。
【0039】
【化8】
【0040】
【化9】
【0041】
式(D-6)、(D-14)、(D-21)及び(D-22)において、Msはメタンスルホニル基を示す。
【0042】
アゾ染料(1)は、無機若しくは有機酸又は無機若しくは有機アルカリの塩であってもよい。無機若しくは有機酸としては、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸が挙げられる。無機若しくは有機アルカリとしては、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化2-エタノールアンモニウム等が挙げられる。
【0043】
アゾ染料(1)の含有量は、全組成(二剤式又は三剤式の場合は各剤の混合後。以下同じ。)中に0.0001〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.001〜20重量%、更に好ましくは0.05〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%である。
【0044】
アゾ染料(1)は、通常の染毛剤で用いられるpH2〜11の広い範囲で保存安定性に優れるため、本発明の染毛剤組成物は、上記範囲内の任意のpHで使用することができる。特に、pH5以上の範囲で使用するのが、染色性の点から好ましい。また、アルカリ剤に対するアゾ染料(1)の高い安定性から、本発明の染毛剤組成物は、高い染色性が得られるpH8以上、特にpH8〜11で使用することができ、長期間の保存後においても直接染料が分解することなく、高い染色性が維持される。
【0045】
〔その他の染料〕
本発明の染毛剤組成物には、更に他の直接染料や酸化染料を配合して色調を変化させることもできる。
【0046】
他の直接染料としては、塩基性染料、カチオン染料、ニトロ染料、分散染料等の公知の直接染料を加えることができる。より具体的には、例えばベーシックブルー7(C.I.42595)、ベーシックブルー26(C.I.44045)、ベーシックブルー99(C.I.56059)、ベーシックバイオレット10(C.I.45170)、ベーシックバイオレット14(C.I.42515)、ベーシックブラウン16(C.I.12250)、ベーシックブラウン17(C.I.12251)、ベーシックレッド2(C.I.50240)、ベーシックレッド12(C.I.48070)、ベーシックレッド22(C.I.11055)、ベーシックレッド46(C.I.110825)、ベーシックレッド76(C.I.12245)、ベーシックレッド118(C.I.12251:1)、ベーシックイエロー28(C.I.48054)、ベーシックイエロー57(C.I.12719)、特開昭58-2204号公報、特開平9-118832号公報、特表平8-501322号公報及び特表平8-507545号公報に記載されているカチオン染料;下記式で表されるシアニン構造を有するメチン型カチオン染料などが挙げられる。
【0047】
【化10】
【0048】
また、例えば、特開2002-275040号公報、特開2003-107222号公報、特開2003-107223号公報、特開2003-113055号公報、特開2004-107343号公報、特開2003-342139号公報、特開2004-155746号公報に記載されている直接染料も加えることができる。
【0049】
本発明の染毛剤組成物においては、アゾ染料(1)とともに、酸化染料を併用することもできる。このような併用により、酸化染料単独では得られない、極めて鮮明で強い染色が可能となる。酸化染料としては、酸化型染毛剤に通常用いられる公知の顕色物質及びカップリング物質が用いられる。
【0050】
顕色物質としては、例えばパラフェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、2-クロロ-パラフェニレンジアミン、N-メトキシエチル-パラフェニレンジアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、2-(2-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラフェニレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルアミン、1,3-ビス(N-(2-ヒドロキシエチル)-N-(4-アミノフェニル)アミノ)-2-プロパノール、PEG-3,2,2'-パラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、パラメチルアミノフェノール、3-メチル-4-アミノフェノール、2-アミノメチル-4-アミノフェノール、2-(2-ヒドロキシエチルアミノメチル)-4-アミノフェノール、オルトアミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール、2-アミノ-5-アセタミドフェノール、3,4-ジアミノ安息香酸、5-アミノサリチル酸、2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、2,5,6-トリアミノ-4-ヒドロキシピリミジン、4,5-ジアミノ-1-(4'-クロロベンジル)ピラゾール等、及びその塩が挙げられる。
【0051】
また、カップリング物質としては、例えばメタフェニレンジアミン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、2-アミノ-4-(2-ヒドロキシエチルアミノ)アニソール、2,4-ジアミノ-5-メチルフェネトール、2,4-ジアミノ-5-(2-ヒドロキシエトキシ)トルエン、2,4-ジメトキシ-1,3-ジアミノベンゼン、2,6-ビス(2-ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、2,4-ジアミノ-5-フルオロトルエン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、メタアミノフェノール、2-メチル-5-アミノフェノール、2-メチル-5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、2,4-ジクロロ-3-アミノフェノール、2-クロロ-3-アミノ-6-メチルフェノール、2-メチル-4-クロロ-5-アミノフェノール、N-シクロペンチル-メタアミノフェノール、2-メチル-4-メトキシ-5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、2-メチル-4-フルオロ-5-アミノフェノール、レゾルシン、2-メチルレゾルシン、4-クロロレゾルシン、1-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、2-イソプロピル-5-メチルフェノール、4-ヒドロキシインドール、5-ヒドロキシインドール、6-ヒドロキシインドール、7-ヒドロキシインドール、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、3,4-メチレンジオキシフェノール、2-ブロモ-4,5-メチレンジオキシフェノール、3,4-メチレンジオキシアニリン、1-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、2,6-ジヒドロキシ-3,4-ジメチルピリジン、2,6-ジメトキシ-3,5-ジアミノピリジン、2,3-ジアミノ-6-メトキシピリジン、2-メチルアミノ-3-アミノ-6-メトキシピリジン、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、2,6-ジアミノピリジン等、及びその塩が挙げられる。
【0052】
これらの顕色物質及びカップリング物質は、それぞれ2種以上を併用することもでき、またそれらの含有量は、全組成中に合計で0.001〜19重量%、更には0.01〜19重量%、特に0.5〜10重量%が好ましい。
【0053】
本発明の染毛剤組成物には、更にインドール類、インドリン類等に代表される自動酸化型染料を加えることもできる。
【0054】
本発明の染毛剤組成物中のアゾ染料(1)と他の染料の合計含有量は、全組成中に0.001〜20重量%、更には0.01〜20重量%、特に0.5〜15重量%が好ましい。
【0055】
〔その他の成分〕
本発明の染毛剤組成物に用いられるアルカリ剤としては、例えばアンモニア;モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン又はこれらの塩等のアルカノールアミン;グアニジン炭酸塩等のグアニジウム塩;水酸化ナトリウム等の水酸化物などが挙げられる。アルカリ剤の含有量は、全組成中の0.01〜20重量%が好ましく、更には0.1〜10重量%が好ましく、0.5〜5重量%が特に好ましい。
【0056】
本発明で使用するアゾ染料(1)は、酸化剤に対して極めて安定なので、酸化剤と混合した後に毛髪に適用することができる。換言すれば、アゾ染料(1)を含有する第1剤(任意の他の知られている直接染料や酸化染料を含んでもよい)と、酸化剤を含有する第2剤の二剤式にすることができる。この場合、染色と脱色が同時に行われ、より鮮やかな染色が得られる。
【0057】
酸化剤としては、例えば過酸化水素;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;過ホウ酸ナトリウム等の過ホウ酸塩;過炭酸ナトリウム等の過炭酸塩;臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム等の臭素酸塩などが挙げられる。なかでも、毛髪に対する脱色性、アゾ染料(1)の安定性及び有効性の点から、過酸化水素が特に好ましい。また、過酸化水素と共に、酸化助剤として他の酸化剤を組み合わせて用いることもできる。なかでも過酸化水素と過硫酸塩とを組み合わせて用いるのが特に好ましい。酸化剤の含有量は、全組成中の0.5〜30重量%が好ましく、1〜20重量%が特に好ましい。過酸化水素と過硫酸塩とを組み合わせて用いる場合は、過酸化水素の含有量は、全組成中の0.5〜10重量%;過硫酸塩の含有量は、全組成中の0.5〜25重量%;両者の合計の含有量が1〜30重量%であることが特に好ましい。
【0058】
アゾ染料(1)を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤の混合割合は、容積比で2:1〜1:3の範囲であるのが好ましい。
【0059】
また、アルカリ剤を含有する第1剤(任意の他の知られている直接染料を含んでもよい)と酸化剤を含有する第2剤から構成される公知の二剤式酸化型染毛剤又はブリーチ剤;アルカリ剤を含有する第1剤(任意の他の知られている直接染料を含んでもよい)と酸化剤を含有する第2剤、酸化助剤を含有する第3剤から構成される公知の三剤式酸化型染毛剤又はブリーチ剤に、酸化型染毛剤の色調を変化させるために、アゾ染料(1)を含有する一剤式染毛剤組成物を使用前あるいは使用中に追加して組み合わせて用いることもできる。
【0060】
アゾ染料(1)は、芳香族アルコール、低級アルキレンカーボネート、N-アルキルピロリドン及びホルムアミド類から選ばれる毛髪浸透性のある有機溶剤を染毛剤組成物に配合して、その染毛性や洗髪堅牢性をより高めることもできる。芳香族アルコールとしては、例えばベンジルアルコール、フェネチルアルコール、γ-フェニルプロピルアルコール、桂皮アルコール、アニスアルコール、p-メチルベンジルアルコール、α,α-ジメチルフェネチルアルコール、α-フェニルエタノール、フェノキシエタノール等が挙げられ、低級アルキレンカーボネートとしては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の炭素数2〜6のアルキレン基を有するカーボネートが挙げられ、N-アルキルピロリドンとしては、例えばN-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン等が挙げられ、ホルムアミド類としては、例えばN-シクロヘキシルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアミド等が挙げられ、染毛性や洗髪堅牢性の点からベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、プロピレンカーボネート等が好ましい。このような有機溶剤は、2種以上を併用することもでき、その含有量は、染毛性や洗髪堅牢性の点から、全組成中に1〜50重量%、特に5〜45重量%が好ましい。
【0061】
本発明の染毛剤組成物に、ポリオール類、ポリオールアルキルエーテル類、カチオン性又は両性ポリマー類、シリコーン類を加えると均一な染毛性が得られるとともに、毛髪の化粧効果を改善することができ好ましい。
【0062】
本発明の染毛剤組成物には、上記成分のほかに通常化粧品原料として用いられる他の成分を加えることができる。このような任意成分としては、炭化水素類、動植物油脂、高級脂肪酸類、浸透促進剤、カチオン界面活性剤、天然又は合成の高分子、高級アルコール類、エーテル類、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、蛋白誘導体、アミノ酸類、防腐剤、キレート剤、安定化剤、酸化防止剤、植物性抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、色素、香料、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0063】
本発明の染毛剤組成物は、常法に従って、一剤型組成物、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤とを有する二剤型組成物、又はこれら二剤に加え、過硫酸塩等の粉末状酸化剤を有する三剤型組成物とすることができる。アゾ染料(1)は、二剤型又は三剤型組成物における上記剤の一方又は両方に組み入れられてもよい。本発明の染毛剤組成物が一剤型である場合には、染毛剤組成物は毛髪に直接適用されるが、二剤型又は三剤型は、染毛に際してこれら成分を混合した後に毛髪に適用される。あるいは、直接染料(1)を含有する一剤型組成物を二剤型又は三剤型組成物の混合の際に併せて混合し、毛髪に適用することもできる。
【0064】
またその形態は、粉末状、透明液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、エアゾール、エアゾールフォーム状等とすることができる。毛髪に適用する段階(二剤型又は三剤型の場合は混合後)における粘度は、1,000〜100,000mPa・sが好ましく、更には5,000〜50,000mPa・s、特に10,000〜40,000mPa・sが好ましい。ここで、粘度は、ブルックフィールド回転粘度計(No.5スピンドル、5rpm)を用いて20℃で測定した値である。
【0065】
本発明の染毛剤組成物は、ヒト又は動物の毛の染色に使用することができ、このような染色方法は、染毛剤組成物の毛髪への適用、染色終了後の毛の洗浄、及び洗浄後の毛の乾燥からなる。
【実施例】
【0066】
実施例1〜5
常法に従い、表1に示す一剤式染毛剤を調整した。
【0067】
【表1】
【0068】
上記一剤式染毛剤を30℃で山羊毛に適用し、20分間の作用時間を置いて山羊毛を通常シャンプーで洗浄し、乾燥した。得られた染色毛の色調を観察した結果、いずれも染色性・シャンプー堅牢性は良好であった。
【0069】
実施例6〜10
常法に従い、表2に示すクリーム状二剤式染毛剤第1剤及び表3に示す共通第2剤を調整した。
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
第1剤1重量部に対し共通第2剤1重量部を混合した後、30℃で山羊毛に適用し、30分間の作用時間を置いて毛髪を通常シャンプーで洗浄し、乾燥した。得られた染色毛の色調を観察した結果、いずれも染色性・シャンプー堅牢性は良好であった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式(1)で表されるアゾ染料又はその塩を含有する染毛剤組成物。
【化1】
〔式中、Rはカプラー成分を示し、R1及びR3は、各々独立して−SO3M、−SO2NR4R5又は水素原子を示し、R2、R4及びR5は、各々独立して水素原子又は置換基を示し、Mは水素原子、金属原子又はアンモニウムを示す。ただし、R1及びR3が同時に水素原子であることはない。〕
【請求項2】
Rが、次の一般式(2)で表される基である請求項1記載の染毛剤組成物。
【化2】
〔式中、Yは一般式(1)のアゾ部と結合する結合手を示す。R6、R7、R8及びR9は各々独立して水素原子又は置換基を示し、互いに結合して縮合環を形成してもよい。Xは炭素原子又は窒素原子を示し、Xが炭素原子のときnは1であり、Xが窒素原子のときnは0である。〕
【請求項3】
更に、酸化剤を含有する請求項1又は2記載の染毛剤組成物。
【請求項4】
更に、酸化染料を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の染毛剤組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の染毛剤組成物を毛髪に適用する染毛方法。
【請求項1】
次の一般式(1)で表されるアゾ染料又はその塩を含有する染毛剤組成物。
【化1】
〔式中、Rはカプラー成分を示し、R1及びR3は、各々独立して−SO3M、−SO2NR4R5又は水素原子を示し、R2、R4及びR5は、各々独立して水素原子又は置換基を示し、Mは水素原子、金属原子又はアンモニウムを示す。ただし、R1及びR3が同時に水素原子であることはない。〕
【請求項2】
Rが、次の一般式(2)で表される基である請求項1記載の染毛剤組成物。
【化2】
〔式中、Yは一般式(1)のアゾ部と結合する結合手を示す。R6、R7、R8及びR9は各々独立して水素原子又は置換基を示し、互いに結合して縮合環を形成してもよい。Xは炭素原子又は窒素原子を示し、Xが炭素原子のときnは1であり、Xが窒素原子のときnは0である。〕
【請求項3】
更に、酸化剤を含有する請求項1又は2記載の染毛剤組成物。
【請求項4】
更に、酸化染料を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の染毛剤組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の染毛剤組成物を毛髪に適用する染毛方法。
【公開番号】特開2006−182653(P2006−182653A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−374469(P2004−374469)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】
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