説明

染色された2GTポリエステル−スパンデックス丸編布およびその製造方法

本発明は、ポリエチレンテレフタレートおよびスパンデックスを含む染色された弾性編布を含む。布は、AATCC試験方法61−1996−2Aにおいて多繊維試験布の汚染によって測定されるときに、4.0以上の汚染グレード番号を有し、アゾまたはアントラキノン分子群を含む分散染料で染色される。本発明はさらに編布の製造方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散染料で染色される2GTポリエステル−スパンデックス丸編弾性布に関する。本発明はまた、布のニッティング、染色および仕上げ方法にも関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は2004年12月21日出願の米国特許出願第11/018,003号明細書および2005年6月28日出願の米国特許出願第11/169,346号明細書の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
比較的小さい百分率のスパンデックス繊維が、かなりの布延伸および回復を布およびそれから製造された衣服に提供するために、例えば、ナイロン、綿、アクリル、羊毛および2GTポリエステルのような「硬質」糸の編布にしばしば加えられる。硬質糸は、それらが永久的な変形なしに非常に少量だけ延伸できることを意味する、比較的非弾性である。本明細書で用いるところでは、「スパンデックス」は、繊維形成物質が少なくとも85%のセグメント化ポリウレタンよりなる長鎖合成ポリマーである人造繊維を意味する。ポリウレタンは、ポリエーテルグリコール、ジイソシアネートの混合物、および鎖延長剤から製造され、次にスパンデックス繊維を形成するために溶融紡糸、乾式紡糸または湿式紡糸される。
【0004】
丸編、または横編機で編まれる布については、スパンデックスは普通、被覆なしの裸の糸として加えられ、硬質糸と平行して編針に供給される。供給パッケージから表目までのその経路で、スパンデックスはテンション下にあり、典型的にはその元の長さの2.5倍以上延伸され、または牽伸され、例えば、40デニール・スパンデックス糸の牽伸は典型的には3.5倍である。ニッティングに続いて、布はプレセットされ、こすり洗いされまたはきれいにされ、染色され、次にヒートセットされて所望の寸法および外観の着色布を提供する。用いられる染色の方法および染料のタイプは主に、布に使用される硬質糸のタイプ、例えば、2GTポリエステル、ナイロン、綿などに依存する。
【0005】
ポリエチレンテレフタレート(PET)ポリマー(本明細書では以下「2GTポリエステル」と言われる)の繊維は疎水性であり、高度に結晶性である。2GTポリエステルは水溶性線量と相互作用する化学活性基を全く含有しないので、2GTポリエステルは分散染料でのみ染色することができる。分散染料クラスは、これらの染料が水にほとんど不溶であり、そして細分された水性分散系として使用されるのでそのように命名される(ATI参照)。2GTポリエステル繊維の染色は、染料分子が2GTポリエステル中へおよび2GTポリエステル高分子間の利用可能な空間へ浸透するプロセスと多くの人によって理解される。染料が十分な量でおよび妥当な時間で十分な深さまで繊維に浸透するためには、ポリマー構造は、染料分子のより効率的な浸透を可能にするために「オープンアップ」されていなければならない。2GTポリエステルが100℃以下で大気圧で水性溶液中で染色される場合、「キャリア」が普通は2GTポリエステル構造をオープンするのを助けるために必要とされる。キャリアは、クロロベンゼン、オルトフェニルフェノール、芳香族エステル、および塩素化炭化水素のような化学薬品であり、それはプロセスにコストを追加し、そしてまたキャリアを含有する染浴液の廃棄時に環境問題を生み出す。最も広く用いられる代案は、2GTポリエステル含有編布のバッチ染色用の圧力容器中で水性溶液を約130℃に加熱することである。かかるより高い温度は、キャリアの使用なしでの効率的な染色のために2GTポリエステル繊維をオープンするのに十分である。2GTポリエステル含有編布の高圧、高温染色は、チューブ状編布のループが液体(あるいはまた空気)を用いて布を送るベンチュリ(venturi)ジェットの作用によって染色液中へおよびそれから外へ移動させられる、ジェット染色機として知られる装置で今はほとんど常に行われる。
【0006】
キャリアありまたはなしで、用いられる特定の2GTポリエステル染色法にもかかわらず、染料分子が衣類洗濯中に2GTポリエステル繊維表面に移動し、そして他の布および衣服を汚し得る「洗濯堅牢度」問題を染色された2GTポリエステルが典型的に有することは周知である。米国繊維化学者・色彩技術者協会(American Association of Textile Chemists and Colorists)(AATCC)は、その洗濯堅牢度が試験されている布と一緒に洗濯している多繊維布試験サンプル(例えば、アセテート、綿、ポリアミド、2GTポリエステル、アクリルおよび羊毛)の汚染によって測定されるような染色布の洗濯堅牢度を試験するための標準を開発した。個々の布試験サンプルは、どれほど多くそれぞれが試験中の染色布によって汚染されたかを示すために1〜5にグレード付けされ、5のグレードは汚染なしを示すが、1のグレードは非常に著しい汚染を示す。2GTポリエステル染色布が、例えばナイロン6およびナイロン66繊維の同伴ポリアミド布を2〜3の格付けまで汚染することは全く普通のことである。
【0007】
長い期間をかけて、業界は、具体的なケースについて2GTポリエステル染料洗濯堅牢度問題を減らす様々な手段および方法を学んできた。色、色合いおよび分子構造の観点から、染料の選択は、多かれ少なかれ汚染をもたらし得る。PETを染色するための分散染料はほとんどすべて、互いに異なる構造および性能を有するアゾおよびアントラキノンの発色団でできている。より良好な洗濯堅牢度性能を与える、他の発色団の染料が開発されてきたが、これらの染料は広範な商業的利用にはない。含まれる幾つかの染料、アゾおよびアントラキノン分散染料は、洗濯中に同伴布を汚染するための親和力を多かれ少なかれ有する。また、比較的大きい分子および小さい分子の染料もあり、それらは、それらを2GTポリエステル中へもしくはそれから外へ移動させるまたは昇華させるためのエネルギーの量によって決定されるように、それぞれ、高エネルギー〜低エネルギー染料として一般に類別される。高エネルギー染料はまた当業者によってS格付け(またはD)染料としても知られる。中間エネルギー染料はまた当業者によってSE格付け(またはC)染料としても知られる。低エネルギー染料はまた当業者によってE格付け(またはB)染料としても知られる。
【0008】
異なる色合いの染色は、レッド、ブラックおよびブルーの濃色の染色が不満足な洗濯堅牢度に特になりやすくて、多かれ少なかれ汚染する。還元清浄化をはじめとする、染色後に繊維から表面染料を取り除くための様々な方法が開発されてきた。還元清浄化では、染色された繊維の布は還元剤(例えば、ハイドロサルファイト)および塩基(例えば、水酸化ナトリウム)を含有する浴に入れられ、還元清浄化プロセス条件下に、繊維の表面上の染料のみが除去される。
【0009】
収縮を減らすまたは寸法を固定するために、2GTポリエステル繊維を熱処理することもまた、染料分子が繊維の表面に移動し、そして次に洗濯中の他の布をいつでも汚染することができる、熱移動の現象を引き起こすこともまた公知である。例えば175〜200℃およびそれ以上などの高温での熱処理は、染色された2GTポリエステル繊維の洗濯堅牢度に非常に有害であるので、2GTポリエステル布の熱処理は可能であれば染色前に行われる。このように、特定のケースならびに布のタイプおよび色について染色2GTポリエステル洗濯堅牢度を緩和するためにプロセス工程順序、条件および材料の組み合わせを用いることは可能である。
【0010】
スパンデックスおよび2GTポリエステル繊維が弾性布へ丸編され、そして次にアゾ−またはアントラキノン−ベース分散染料で染色されるとき、洗濯堅牢度の問題は、2GTポリエステルのみから編まれた布の洗濯堅牢度と比較してより悪い。2GTポリエステルおよびスパンデックスの両方とも、繊維の内部から表面への染料分子の熱移動を受けやすい。さらに、カットアンドソー(cut and sew)布で、染色後の丸編弾性布仕上げ工程は、その所望の長さおよび幅寸法でオープン幅布をヒートセットすることである。これは、弾性でありそしてニッティングで牽伸された後に収縮力を有するスパンデックスが最終布に、所望の衣服最終用途にとって余りにも密であるようにまたは余りにも多い弾性伸び率を持つようにさせるので必要である。最終ヒートセット工程は、坪量、延伸伸び率、エッジカールおよび外観のような、最終布所望特性を達成するために必要である。所望のオープン幅寸法でスパンデックスをヒートセットすることは、典型的には175〜185℃の温度での乾式加熱を必要とする。これらの温度は、染料の著しい熱移動および洗濯での他の布の汚染によって測定されるような不満足な布洗濯堅牢度結果をもたらす。2GTポリエステル−スパンデックス編布洗濯堅牢度へのヒートセッティングの強い影響のために、最終工程としてヒートセットされる、そして中間エネルギー、SE格付けまたは高エネルギー、S格付け染料カラーおよび染料色合いで染色される、かかる布について、4〜5の汚染グレードレベルまで洗濯堅牢度を改善するための手段は全くない。結果として、2GTポリエステル−スパンデックス編布にとっての、特に暗い、濃厚な色へ染色された布にとっての市場機会は限定される。十分に洗濯堅牢性であるかかる布に対する、およびそれらを製造するための経済的な方法に対する長期にわたるニーズがある。
【0011】
レイコック、レオンおよびシンゲワルド(Laycock,Leung and Singewald)に付与された米国特許公報(特許文献1)は、スパンデックス含有布およびそれの製造方法を教示している。該方法は、低牽伸でスパンデックスと丸編する工程と仕上げおよび乾燥温度をスパンデックス・ヒートセット温度未満に制御する工程とを含む。
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,776,014号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ポリエチレンテレフタレートおよびスパンデックスを含む染色された弾性編布を含む。布は、AATCC試験方法61−1996−2Aにおいて多繊維試験布の汚染によって測定されるときに、4.0以上の汚染グレード番号を有し、アゾまたはアントラキノン分子群を含む分散染料で染色される。本発明はさらに編布の製造方法を含む。
【0014】
2GTポリエステルおよびスパンデックスを含む本発明の弾性編布は、良好なアゾ−およびアントラキノン−分散染料洗濯堅牢度ならびに望ましい物理的特性を示すことができる。本発明はさらに、下にさらに記載されるように高温での乾燥条件下に布をヒートセットすることを回避する編布の製造方法を含む。
【0015】
本発明は、2GTポリエステル連続フィラメント、2GTポリエステル・ステープルまたは2GTポリエステル・ステープルブレンドの糸と添え糸編みされた裸スパンデックスを含んでもよい丸編シングルジャージ弾性布を含んでもよい。布はアゾまたはアントラキノン分散SEまたはS染料で染色することができ、布は、AATCC試験方法61−1996−2Aによる促進洗濯試験でナイロン、綿、2GTポリエステル、羊毛、またはアクリルの汚染として測定されるときに従来の布に対して改善された洗濯堅牢度格付けを有し得る。本布は、160〜330g/m2の範囲の坪量、80%以上の伸び率、例えば長さ(たて糸)方向に80%〜130%の伸び率を有することができる。さらに、前記布は、4%〜15重量%のスパンデックス含有率、ならびに約3%以下、例えば長さおよび幅の両方向に3%未満の洗濯および乾燥後収縮を有することができる。
【0016】
本発明はまた、上記の布から製造された衣服を含んでもよい。かかる衣服はトップ−ウェイト衣服であってもよい。
【0017】
本発明は、染色後のオープン幅乾式ヒートセッティングなしで、2GTポリエステルおよびスパンデックスを含む弾性編布のニッティング、染色および仕上げ方法を含むことができる。例えば、本方法はシングルジャージ丸編布を製造してもよい。スパンデックス・供給糸は約17〜約44デシテックスの範囲であることができ、2GTポリエステル糸は、フィラメント当たりの2GTポリエステル・デシテックスが約0.05〜約3.5で、約55〜約165デシテックスの範囲であることができる。編み目長さおよび2GTポリエステル・デシテックスは、ニット・カバーファクターが約1.1〜約1.6、例えば約1.2〜約1.4の範囲であるように選択することができる。ニッティング中に、スパンデックス糸および2GTポリエステル糸はコースごとに添え糸編みされてもよく、スパンデックス・供給糸の牽伸は、スパンデックス糸が本方法の実施形態に依存してその元の長さの約2倍または約2.5倍以下牽伸されるかもしれないように制御されてもよい。第1実施形態では、編布は、典型的にはキャリアありで、約100℃以下の染色液温度で大気圧で分散染色することができ、ニッティング後の総スパンデックス牽伸は約2倍に制限されてもよい。第2実施形態では、編布は、約110℃〜約135℃の範囲の染色液温度で大気圧で分散染色され、ニッティング後の総スパンデックス牽伸は約2.5倍に制限される。染色液はアゾまたはアントラキノン分散染料を含有してもよい。染色後に、布は、繊維の表面から過剰の染料を除去するために還元清浄化し、リンスすることができ、次に幅出機オーブン中オープン幅で空気乾燥させることができる。オープン幅布はその自然幅および長さで保持され、乾燥するまで加熱されてもよい。空気乾燥温度は最高約130℃以下であることができ、例えば約120〜約125℃であることができる。これらの乾燥温度は、布が染色工程後の仕上げで経験するであろう最高乾式加熱温度である。
【0018】
本発明はまた、本発明の方法に従って製造された丸編弾性シングルジャージ布、およびかかる布から構築された衣服を含んでもよい。
【0019】
本発明は下の実施形態に関連して説明されるであろうが、本発明がかかる説明によって限定されることを決して意図されないことは理解されるべきである。それどころか、それに添付された特許請求の範囲によって明確にされるような本発明の真の精神および範囲内に含まれるかもしれないようなすべての代案、修正および同等物を包含することが意図される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の編布には、裸スパンデックスがコースごとに添え糸編みされたシングルジャージ編み目のそれらの布が含まれてもよい。用語「商業的に有用な」は本明細書で用いるところでは、アパレル布と関係し得る物理的特性(布坪量、洗濯堅牢度、伸び率、安定性および外観をはじめとする)の範囲に関する。
【0021】
図4は、2GTポリエステル−スパンデックスの丸編布の製造、染色および仕上げ方法のフローダイアグラム40を示す。編機に依存して、丸編布はチューブへ編まれるであろうし、または機械の出口でオープン幅(シート)へカットされるであろう。スパンデックスは、それが硬質糸と表目へ添え糸編みされるときに、高度に、例えば44デシテックス・スパンデックスについては3.5倍牽伸される。布が編機の出口でチューブ形状である場合、布は、典型的には190℃で、しかし典型的には45〜60秒の非常に短い滞留時間の間、テンターオーブン中でリラックスさせられ、そしてプレセットされる46前に別個の工程でスリットオープンされる44。このプロセス工程の目的は、スパンデックス・テンションをリラックスさせることである。リラクセーションおよびプレセットの後で、オープン布は、ジェット染色機での複合順次操作50のためにチューブ形状へ縫い戻される48。ジェット染色機のデザインの多くの変化はあるが、それらはすべて、そのケースが実施中のプロセス工程中にあってもよいように、連続的にクレンザー/漂白剤、または染色液、または苛性液の液浴中へまたはそれから外へ、浴液を使用するベンチュリ(venturi)ジェットを用いて、布のチューブを循環させるバッチ装置である。クリーニング、漂白および還元清浄化操作のために、ジェット染色機は大気圧でそして100℃以下の液温で運転される。幾つかの具体的な化学薬品、処理条件およびプロセス滞留時間は実施例に与えられる。2GTポリエステル−スパンデックス布を染色するために、ジェット染色機は布および染色液の両方をロードされ、加圧され、約130℃に加熱され、次に規定されたプロセス条件および滞留時間シーケンスで染色液を通して布を循環させることによって運転されてもよい。重要な一変数は、液体比、すなわちジェット染色機中での布重量対染色液の重量の比である。
【0022】
上記クリーニング、漂白、染色、および還元清浄化操作の後、布はジェット染色機から取り出され、例えば、遠心分離機中でまたは圧搾ローラー中で脱水される52。チューブ状布は次に縫い目を解かれ(仮縫いを解かれ)54、そしてオープン幅(シート)布へもう一度オープンされる。
【0023】
脱水されたオープン幅2GTポリエステル−スパンデックス編布は次に、布を所望の、安定した長さおよび幅寸法へヒートセットするために、幅出機オーブン中で処理される。幅出機は布を幅および長さの両方に所望の寸法に延伸し、スパンデックスおよび2GTポリエステル繊維を約180℃以上に約60〜約120秒の典型的な滞留時間の間加熱することによってそれらをヒートセットする。
【0024】
図4の方法では、最終布ヒートセッティング56は、坪量、伸び率、安定性および外観をはじめとする、布の最終物理的特性を決定する工程である。スパンデックスがあらゆるニットコースに添え糸編みされた2GTポリエステル−スパンデックス・シングルジャージ編布については、およびトップウェイト衣服については、商業的に有用な物理的特性には下記が含まれる:
−約160〜約330g/m2の坪量、
−長さ(たて糸)方向に約80%の最小伸び率、
−総布重量の約4%〜約15%のスパンデックス含有率、ならびに
−幅および長さに約3%以下の洗濯および乾燥後収縮。
【0025】
これらの範囲の布物理的特性は、最終幅出機ヒートセッティングによって容易に達成することができる。しかしながら、上述のように、ヒートセッティング操作は2GTポリエステル−スパンデックス編布の染料洗濯堅牢度を著しく低下させ、特に濃い色および/または色合いのものであるSEおよびS格付け(市販の高エネルギー染料をはじめとする)にとって、4〜5の染料洗濯堅牢度格付けを達成することは一般に可能ではない。
【0026】
図5は、プレ−ヒートセッティングおよび最終ヒートセッティング工程を排除し、それによって布の染料洗濯堅牢度を向上させる方法を示す。本発明で用いられる編み方法の選択は、ニッティング後のプロセス工程の「湿式仕上げ」条件に依存する。湿式仕上げは、こすり洗い、漂白、染色および還元清浄化操作のような、布が湿っているすべてのプロセス操作を意味する。
【0027】
第1実施形態では、ニッティングでのスパンデックス糸の総牽伸は2.0倍以下であることができ、染色をはじめとする湿式仕上げ工程のいかなるものでも液温は約80〜約100℃の範囲であってもよい。第2実施形態では、ニッティングでのスパンデックス糸の総牽伸は約2.5倍以下であってもよく、染色工程の液温は約110〜約135℃の範囲であってもよい。
【0028】
図2は、図式的な形態で、編針を保持する回転シリンダー(示されていない)の下方のカム(示されていない)に応答して矢印24で示されるように相互に移動する一連の編針22を有する丸編機の1供給場所20を示す。丸編機には、移動シリンダーによって運ばれる編針が該場所を通り過ぎて回転するときに個々の編み場所に供給するように、円形に配置された多数のこれらの供給場所がある。
【0029】
添え糸編みニット操作のために、十分に牽伸されたスパンデックス糸12および2GTポリエステル、または硬質糸14は、キャリアプレート26によって編針22に送られる。キャリアプレート26は両糸を編み場所に同時に導く。スパンデックス糸12および2GTポリエステル14は、同じ速度でまたは類似の速度で編針22に導入されて図1に示されるもののようなシングルジャージ表目10を形成する。
【0030】
2GTポリエステル糸14は巻取糸パッケージ28からアキュムレータ30へ送られ、それは糸をキャリアプレート26そして編針22に計量供給する。2GTポリエステル糸14は供給ロール32上を、そしてキャリアプレート26中のガイドホール34を通過する。場合により、2つ以上の2GTポリエステル糸がキャリアプレート26中の異なるガイドホール経由で編針に送られてもよい。
【0031】
スパンデックスは、カンザス州ウィッチタおよびデラウェア州ウィルミントン(Wichita,KS and Wilmington,DE)の本願特許出願人から商業的に入手可能なライクラ(Lycra)(登録商標)スパンデックス・タイプ162および169のような、丸編用の任意の商業的に入手可能なエラスタン製品であることができる。
【0032】
スパンデックス12は、表面駆動パッケージ36から切断端検出器39および方向変換ロール37を通り過ぎてキャリアプレート26内のガイドスロット38に送られる。スパンデックス12の供給テンションは、検出器39と駆動ロール37との間、あるいはまた、切断端検出器が用いられない場合には表面駆動パッケージ36とロール37との間で測定される。ガイドホール34およびガイドスロット38は、硬質糸14およびスパンデックス12をサイド−バイ−サイド、概して平行関係(添え糸編みされる)で編針22に与えるようにキャリアプレート26で互いに分離されている。
【0033】
スパンデックスは、それが供給パッケージからキャリアプレートへ、そして順繰りに表目へ送られるときに編み目使用速度とスパンデックス供給パッケージからの供給速度との間の差のために延伸される(牽伸される)。2GTポリエステル糸供給速度(メートル/分)対スパンデックス供給速度の比は通常2.5〜4倍(2.5倍〜4倍)より大きく、機械牽伸として公知である。これは、150%〜300%、またはそれ以上のスパンデックス伸び率に相当する。スパンデックス糸での供給テンションは、スパンデックス糸の牽伸に直接関係する。この供給テンションは典型的には、スパンデックスについての高い機械牽伸と一致する値に維持される。
【0034】
本発明の方法の2つの実施形態では、総スパンデックス牽伸は、それぞれ、約2.0倍以下、または約2.5倍以下であることができる。これらの牽伸値は、紡績されたままの糸の供給パッケージに含まれるスパンデックスのいかなる牽伸または引張も含んでもよいスパンデックスの総牽伸についてである。紡績からの残留牽伸の値はパッケージ・リラクセーション「PR」と称され、それは典型的には丸編弾性シングルジャージ布に使用されるスパンデックスについては0.05〜0.15の範囲である。布でのスパンデックスの総牽伸はそれ故MD倍(1+PR)であり、ここで、「MD」は編機牽伸である。編機牽伸は、両方ともそれらのそれぞれの供給パッケージからの、硬質糸供給速度対スパンデックス・供給速度の比である。
【0035】
その応力−歪み特性のために、スパンデックスに加えられるテンションが増えるにつれてスパンデックス糸はより多く牽伸され(引っ張られ)、逆に、スパンデックスが牽伸されるのが多ければ多いほど、糸中のテンションは高くなる。丸編機での典型的なスパンデックス糸経路は図2に図式的に示される。スパンデックス糸12は供給パッケージ36から、切断端検出器39上をまたはそれを通って、1つまたは複数の方向変換ロール37上を、そして次にスパンデックスを編針22にそして編み目へ導くキャリアプレート26へ計量供給される。スパンデックスに触れる各デバイスまたはローラーによって与えられる摩擦力のために、スパンデックスが供給パッケージから各デバイスまたはローラー上を通過するにつれてスパンデックス糸中にテンションの蓄積がある。編み目でのスパンデックスの総牽伸はそれ故スパンデックス経路の全体にわたってのテンションの合計に関係する。
【0036】
スパンデックス・供給テンションは、図2に示される切断端検出器39とロール37との間で測定される。あるいはまた、スパンデックス・供給テンションは、切断端検出器が用いられない場合には表面駆動パッケージ36とロール37との間で測定される。設定され、そして制御されるこのテンションが高ければ高いほど、スパンデックス牽伸は布中でより大きくなり、逆もまた同様である。この供給テンションに好適な範囲は、市販の丸編機で22デシテックス・スパンデックスについては約2〜4cN、44デシテックス・スパンデックスについては約4〜6cNを含む。これらの供給テンション設定値およびその後の糸経路摩擦によって課せられる追加のテンションで、市販の編機でスパンデックスは普通は2.5倍より多くかなり牽伸されるであろう。
【0037】
供給パッケージと表目との間のスパンデックス摩擦の最小化は、約2.5倍以下でのスパンデックス牽伸のときに信頼できるスパンデックス供給のためにスパンデックス・供給テンションを十分に高く保つのに役立つ。
【0038】
丸編布の構造デザインは、各表目の「開放性」によってある程度特徴づけることができる。この「開放性」は、各編み目においてオープンである面積対糸によって被覆されている面積の百分率に関係し得る(例えば、図1および3を参照されたい)、そして従って布坪量および伸び率可能性に関係する。堅い非弾性よこ編布については、カバーファクター(「Cf」)は開放性の相対尺度として周知である。カバーファクターは比であり、
Cf=√(テックス)÷L
(ここで、テックスは1000メートルの2GTポリエステル糸のグラム重量であり、また10*デシテックスに等しくもあり、Lはミリメートル単位の編み目長さである)
と定義される。図3はシングルニットジャージ編み目パターンの略図である。編み目長さ「L」がどのように画定されるかを示すためにパターン中の編み目の1つが強調された。
【0039】
編み方法は、下記の制限内にデザインされ、製造される編布について一実施形態では約2.0倍以下、そして別の実施形態では2.5倍以下のスパンデックス牽伸でヒートセッティングなしに裸スパンデックスおよび2GTポリエステル糸から添え糸編みされた商業的に有用な丸編弾性シングルジャージ布を製造することができる:
−ニット構造の開放性を特徴づけるカバーファクターは約1.1〜約1.6、例えば約1.2〜約1.4であることができる、
−2GTポリエステル糸デシテックスは約55〜約165であってもよい、
−スパンデックス・デシテックスは約17〜約44の範囲であってもよい、
−%重量基準で、布中のスパンデックスの含有率は約4%〜約15%であることができる。
【0040】
いかなる一理論によっても縛られたくないが、ニット構造中の硬質糸は表目を圧縮する役割を果たすスパンデックス力に抵抗すると考えられる。この抵抗の有効性は、カバーファクター(Cover Factor)で定義されるような、ニット構造に関係する。ある所与の2GTポリエステル糸デシテックスについて、カバーファクターは編み目長さLに反比例する。この長さは編機で調節することができ、それ故本方法において制御のための重要な変数である。
【0041】
2GTポリエステルと添え糸編みされたスパンデックスの丸編弾性シングルジャージ布を編んだ62後、チューブ状布をクリーニング液中で、典型的にはジェット染色機、図5でこすり洗いすることができる64。布の漂白もまた本装置での任意の操作である。これらの操作は当業者に周知であり、標準方法が本方法にとって満足できるものである。
【0042】
本方法は、大気条件でのまたは高温、高圧での染色64を含んでもよい。2GTポリエステルおよび2GTポリエステル−スパンデックス布のジェット染色は当業者に周知である。布および染色液は、布の重量対染色液の重量の比である、1:10〜1:15の範囲の重量比でジェット染色機へ典型的にロードされる。本発明の目的のためには、アゾ−またはアントラキノン−分散染料が指定される。染色液の温度は典型的には約130℃であってもよいが、それは染料色およびタイプに依存して、約110〜約135℃の範囲であることができる。温度上昇/降下速度および最高温度での滞留時間の染色条件は、使用される染料にとって最良の業界慣行であると考えられ、特別な染色条件または工程は本発明の方法に全く必要とされない。
【0043】
標準業界慣行が脱水工程66およびスリッティング工程68に好適である。
【0044】
乾燥工程70は、布編み目がテンションなしに自由に移動する、かつ、転位することできるように長さ(縦)方向に制御されたオーバーフィードで操作することができる。フラットな、しわが寄っていないまたは嵩高くない布が乾燥後に出てきてもよい。これらの技術は当業者におなじみである。幅出機を、乾燥中に布オーバーフィードを提供するために用いることができる。乾燥工程の目的は、布をヒートセットし、そして2GTポリエステルおよびスパンデックス繊維の内部から前記繊維の表面への染料分子の熱移動を引き起こし得る高温なしで布を乾燥させることであることができる。染料洗濯堅牢度格付けを高めるために、布は約130℃以下の温度で、典型的には約120℃〜約125℃の温度で、乾燥するまで、加熱されてもよい。
【0045】
ニット2GTポリエステル−スパンデックス布は、商業的に有用である物理的特性だけでなく、良好な染料洗濯堅牢度格付けを有することができる。例えば、本方法の製品は、典型的には約3.0を例外として3.5〜5の範囲の布汚染格付けを有する。布は、次の通り、商業的に有用な物理的特性を有することができる:
−約160〜約330g/m2の範囲の坪量
−約80%以上、そして好ましくは約80%〜約130%のたて糸(長さ)方向の伸び率
−長さおよび幅の両方に約3%以下、そして典型的には3%未満の洗濯および乾燥後収縮。
【0046】
本方法は、濃い色合いのアゾおよびアントラキノン染料(高エネルギー染料をはじめとする)を使用するための柔軟性のある製品のこの組み合わせを提供する。
【実施例】
【0047】
次の実施例は、本来例示的なものと見なされるべきであり、限定的なものと見なされるべきではない。
【0048】
(布編みおよび仕上げ)
裸スパンデックスが実施例用に硬質糸と添え糸編みされた丸編弾性シングルジャージ布を、26インチ・シリンダー径、24ゲージ、および78糸供給場所のパイ・ラング丸編機モデル(Pai Lung Circular Knitting Machine Model)PL−XS3B/Cで編んだ。機械を26rpmで運転した。
【0049】
各スパンデックス・供給経路中の切断端検出器(図2を参照されたい)は、糸テンションに対する感受性を低下させるように調節するか、これらの実施例については機械から取り外すかのどちらかであった。切断端検出器は、糸と接触する、それ故スパンデックス中にテンションを誘導するタイプであった。
【0050】
スパンデックス・供給テンションをジビー(Zivy)デジタル張力計、モデル番号EN−10でスパンデックス供給パッケージ36とローラーガイド37(図2)との間で測定した。本発明の実施例については、スパンデックス・供給テンションを20および30デニール・スパンデックスについて1グラム以下に維持した。これらのテンションは、編針へのスパンデックス糸の信頼できる連続供給にとっては十分に高く、かつ、スパンデックスをたったの約2.5倍以下牽伸するように十分に低かった。我々は、供給テンションが余りにも低いとき、スパンデックス糸は、供給パッケージでローラーガイドに巻き付き、そして丸編機に確実に供給することができないことを見いだした。
【0051】
編布をすべて、図5のプロセス60によってこすり洗いし、染色し、乾燥させた。
【0052】
布をジェット染色機(トン・ゲング・エンタープライズ社(Tong Geng Enterprise Co.Ltd.)TGRU−HAF−1−30)中90℃で20分間こすり洗いした。水のリットル当たり、こすり洗い液中の原料の濃度は次の通りであった:0.75g/lのフメクトール・リス(Humectol Lys)(クラリアント(Clariant))、2.0g/lのNa2CO3(セソダ(Sesoda))、0.5g/lのイマコル(Imacol)S(クラリアント)、0.5g/lのアンチムスゾル(Antimussol)HT2S(クラリアント)、および0.5g/lの氷酢酸。
【0053】
布を個別に染色し、そして、同じ機械を各実施例について用いた。実施例A1、B5、C9、およびD13については、ブリリアント・レッド(Brilliant Red)−SR GL(クラリアント)、中間エネルギー染料タイプSE(またはC)を布の重量基準で(OWF)3.5%レベルで使用した。実施例A2、B6、C10、およびD14については、3.0%OWFでのルビン(Rubine)SWF(クラリアント)および1.5%OWFでのブラック(Black)SWF(クラリアント)を使用した。これらの両方とも中間エネルギー染料、タイプSE(またはC)である。実施例A3、B7、C11、およびD15については、ダークブルー(Dark Blue)RD2RE300%(クラリアント)、高エネルギー染料タイプS(またはD)を3.5%OWFで使用した。実施例A4、B8、C12、およびD16については、ブラック(Black)RD−3GE300%(クラリアント)、高エネルギー染料タイプS(またはD)を3.57%OWFで使用した。液比は1:12であった。水のリットル当たり、各布用の染色液中の原料の濃度は次の通りであった:上に与えられたような染料、0.5g/lのイマコルS(クラリアント)、および2.0g/lのサンドアシッド(Sandacid)PB(クラリアント)。染浴pHは4.12であった。布サイクル時間は51秒/サイクルであった。浴温を1℃毎分の速度で室温から130℃まで上げた。本工程を130℃で30分間操作し、引き続き1℃毎分の冷却速度で70℃まで冷却した。染浴を次に排水させ、機械に冷水を再装入し、それに10分間の布のリンスが続いた。その後水を排水して還元清浄化のための布を準備した。
【0054】
布を次に、ジェット染色機で、清浄溶液中85℃で30分間還元清浄化した。水のリットル当たり、溶液中の原料は次の通りであった:3.0g/lのエリオピン(Eriopon)OS(チバ(Ciba))、2.0g/lのNa2CO3(セソダ(Sesoda))、3.33ml/lのNaOH(45%)、0.5g/lのアンチムスゾル(Antimussol)HT2S(クラリアント)、および6.0g/lのNaS24。溶液温度を1℃毎分の速度で室温から85℃まで上げ、そこに30分間保持した。溶液を次に1℃毎分の速度で60℃まで冷却し、次に排水させた。その後、布を氷酢酸で10分間中和し、次にクリーン水で5分間リンスした。湿った布を次に遠心分離機によって8分間または通常の慣行により、布および装置の直径およびスピードに依存して水が除去されるまで脱水した。最終工程については、滑剤(軟化剤)をサンドパーム(Sandoperm)SEI(クラリアント、1155g)入り77リットル水溶液中で布上へパディングした。布を次に、約50%布オーバーフィードで、テンターオーブン中約130℃で約30秒間乾燥させた。
【0055】
上記手順および添加剤は、テキスタイル製造およびシングルジャージ編布の丸編の技術での経験者にはおなじみであろう。
【0056】
(分析方法)
(汚染格付け)
1.0〜5.0の範囲の汚染格付けは、促進洗濯試験に含まれたときに汚染される白い多繊維布サンプルを格付けすることによって測定する。洗濯試験条件および汚染格付け方法論は、AATCC試験方法61−1996−2Aに米国繊維化学者・色彩技術者協会(AATCC)によって明確にされたものである。この方法は参照により全体が本明細書に援用される。
【0057】
(スパンデックス牽伸)
20℃および65%相対湿度の環境中で行う以下の手順を、実施例でスパンデックス牽伸を測定するために用いる。
−シングルコースからの200編み目(編針)の糸サンプルを解ニットし(de−knit)(ほどき)、このサンプルのスパンデックスおよび硬質糸を分離すること。より長いサンプルを解ニットするが、200編み目を始まりおよび終わりでマークする。
−スティックのトップに1マークキングありで一端をメータースティックに取り付けることによって各サンプル(スパンデックスまたは硬質糸)を自由に垂れ下がらせること。各サンプルに重り(硬質糸については0.1g/デニール、スパンデックスについては0.001g/デニール)を取り付けること。重りをゆっくりと下げ、重りが衝撃なしに糸サンプルの端に加えられるようにすること。
−マーク間で測定される長さを記録すること。スパンデックスおよび硬質糸の5サンプルそれぞれについて測定を繰り返すこと。
−次式に従って平均スパンデックス牽伸を計算すること:
牽伸=(マーク間の硬質糸の長さ)÷(マーク間のスパンデックス糸の長さ)
【0058】
布が先行技術でのようにヒートセットされた場合、布中スパンデックス牽伸を測定することは通常可能ではない。これは、スパンデックス・ヒートセッティングに必要とされる高温がスパンデックス糸表面を柔らかくし、裸スパンデックスが布中の編み目交差点16(図1)で互いに結合するであろうからである。かかる多数の結合ポイントのために、布コースを解ニットし、そして糸サンプルを抽出することはできない。
【0059】
(布重量)
編布サンプルを10cm径ダイでダイ穴開けする。各切り取った編布サンプルをグラム単位で秤量する。「布重量」を次にグラム/平方メートルとして計算する。
【0060】
(スパンデックス繊維含有率)
編布を手動で解ニットする。スパンデックスを同伴硬質糸から分離し、精密実験室天秤またはねじり秤で秤量する。スパンデックス含有率は布重量に対するスパンデックス重量の百分率として表す。
【0061】
(布伸び率)
伸び率はたて糸方向でのみ測定する。3布検体を、結果の一貫性を確実にするために使用する。公知長さの布検体を固定伸長試験機へ取り付け、長さのセンチメートル当たり4ニュートンの負荷を表す重りを検体に取り付ける。検体を手動で3サイクル運動させ、次に自由に垂れ下がらせる。重りを付けた検体の伸長した長さを次に記録し、布伸び率を計算する。
【0062】
(収縮)
それぞれ60×60センチメートルの2検体を編布から採取する。3つのサイズマークを布正方形の各エッジ近くに引き、マーク間の距離をノートする。検体を次に40℃水温での12分洗濯機サイクルで3回順次機械洗濯し、実験室環境中テーブル上で風乾させる。サイズマーク間の距離を次に再測定して収縮の量を計算する。
【0063】
(フェイスカール)
4インチ×4インチ(10.16cm×10.16cm)正方形検体を編布からカットする。点を正方形の中心に付け、点を「X」の中心として「X」を引く。「X」の脚は2インチ(5.08cm)長さであり、正方形の外角線上にある。Xをナイフで注意深くカットし、次にカットによって生み出された内部ポイントの2つの布フェイスカールを直ちにおよび2分後に再び測定し、平均する。布ポイントが完全に360°円周にカールしている場合、カールを1.0と格付けし、それが180°だけカールしている場合、カールを1/2と格付けする、などである。
【0064】
(実施例1〜16)
下の表1は実施例編布についてのニッティング条件を示す。ライクラ(登録商標)タイプ169Bおよび162Cをスパンデックス・供給用に使用した(カンザス州ウィッチタおよびデラウェア州ウィルミントンの本願特許出願人から商業的に入手可能)。ライクラ(登録商標)デニールは、それぞれ、40および30、または44デシテックスおよび33デシテックスであった。編み目長さLは機械設定であった。スパンデックス・供給テンションはグラム単位でリストし、1.00グラムは0.98センチニュートン(cN)に等しい。
【0065】
表2は布の主要な仕上げ条件をまとめる。布の各群について明細の記載を含む。実施例A1、A2、B5、B6、C9、C10、D13、およびD14は、別にSE(またはC)タイプ染料として業界では知られる中間エネルギー染料で染色した。実施例A3、A4、B7、B8、C11、C12、D15、およびD16は、別にS(またはD)タイプ染料として業界では知られる高エネルギー染料で染色した。
【0066】
【表1】

【0067】
【表2】

【0068】
表3は完成布の重要な試験結果をまとめる。
【0069】
【表3】

【0070】
(実施例A1)
布を150D/288fマイクロデニール2GTポリエステルおよび33デシテックス・ライクラ(登録商標)スパンデックスを使用して編んだ。布中のスパンデックスの牽伸は2.5倍であった。実施例A1の布を図5に図式的に示す方法に従って中間エネルギー、SE格付け染料でブルー色合いに染色し、仕上げた。実施例A1についての布坪量は、受け入れられる収縮で298g/m2である。ナイロンに対する汚染格付けは3.0である。
【0071】
(実施例A2)
実施例A1の布を図5に図式的に示す方法に従って中間エネルギー、SE格付け染料でブラック色合いに染色し、仕上げた。実施例A2についての布坪量は、受け入れられる収縮で297g/m2である。ナイロンに対する汚染格付けは3.5である。
【0072】
(実施例A3)
実施例A1の布を図5に図式的に示す方法に従って高エネルギー、S格付け染料でレッド色合いに染色し、仕上げた。実施例A3についての布坪量は、受け入れられる収縮で300g/m2である。ナイロンに対する汚染格付けは3.5である。
【0073】
(実施例A4)
実施例A1の布を図5に図式的に示す方法に従って高エネルギー、S格付け染料でパープル色合いに染色し、仕上げた。実施例A4についての布坪量は、受け入れられる収縮で298g/m2である。ナイロンに対する汚染格付けは4.5である。
【0074】
(実施例B5)
布を150D/288fマイクロデニール2GTポリエステルおよび33デシテックス・ライクラ(登録商標)スパンデックスを使用して編んだ。布中のスパンデックスの牽伸は3.5倍であった。実施例B5の布を図5に図式的に示す方法に従って中間エネルギー、SE格付け染料でブルー色合いに染色し、仕上げた。実施例B5についての布坪量は、受け入れられる収縮で271g/m2である。ナイロンに対する汚染格付けは2である。
【0075】
(実施例B6)
実施例B5の布を図5に図式的に示す方法に従って中間エネルギー、SE格付け染料でブラック色合いに染色し、仕上げた。実施例B6についての布坪量は、受け入れられる収縮で279g/m2である。ナイロンに対する汚染格付けは2.5である。
【0076】
(実施例B7)
実施例B5の布を図5に図式的に示す方法に従って高エネルギー、S格付け染料でレッド色合いに染色し、仕上げた。実施例B7についての布坪量は、受け入れられる収縮で279g/m2である。ナイロンに対する汚染格付けは2である。
【0077】
(実施例B8)
実施例B5の布を図5に図式的に示す方法に従って高エネルギー、S格付け染料でパープル色合いに染色し、仕上げた。実施例B8についての布坪量は、受け入れられる収縮で282g/m2である。ナイロンに対する汚染格付けは2.5である。
【0078】
(実施例C9)
布を150D/48f・2GTポリエステルおよび44デシテックス・ライクラ(登録商標)スパンデックスを使用して編んだ。布中のスパンデックスの牽伸は2.5倍であった。実施例C9の布を図5に図式的に示す方法に従って中間エネルギー、SE格付け染料でブルー色合いに染色し、仕上げた。実施例C9についての布坪量は、受け入れられる収縮で306g/m2である。ナイロンに対する汚染格付けは3.0である。
【0079】
(実施例C10)
実施例C9の布を図5に図式的に示す方法に従って中間エネルギー、SE格付け染料でブラック色合いに染色し、仕上げた。実施例C10についての布坪量は、受け入れられる収縮で305g/m2である。ナイロンに対する汚染格付けは3.0である。
【0080】
(実施例C11)
実施例C9の布を図5に図式的に示す方法に従って高エネルギー、S格付け染料でレッド色合いに染色し、仕上げた。実施例C11についての布坪量は、受け入れられる収縮で305g/m2である。ナイロンに対する汚染格付けは4.0である。
【0081】
(実施例C12)
実施例C9の布を図5に図式的に示す方法に従って高エネルギー、S格付け染料でパープル色合いに染色し、仕上げた。実施例C12についての布坪量は、受け入れられる収縮で309g/m2である。ナイロンに対する汚染格付けは4.0である。
【0082】
(実施例D13)
布を150D/48f・2GTポリエステルおよび44デシテックス・ライクラ(登録商標)スパンデックスを使用して編んだ。布中のスパンデックスの牽伸は3.3倍であった。布を図5に図式的に示す方法に従って中間エネルギー、SE格付け染料でブルー色合いに染色し、仕上げた。実施例D13についての布坪量は、受け入れられる収縮で271g/m2である。ナイロンに対する汚染格付けは3.0である。
【0083】
(実施例D14)
実施例D13の布を図5に図式的に示す方法に従って中間エネルギー、SE格付け染料でブラック色合いに染色し、仕上げた。実施例D14についての布坪量は、受け入れられる収縮で263g/m2である。ナイロンに対する汚染格付けは2.5である。
【0084】
(実施例D15)
実施例D13の布を図5に図式的に示す方法に従って高エネルギー、S格付け染料でレッド色合いに染色し、仕上げた。実施例D15についての布坪量は、受け入れられる収縮で266g/m2である。ナイロンに対する汚染格付けは2.5である。
【0085】
(実施例D16)
実施例D13の布を図5に図式的に示す方法に従って高エネルギー、S格付け染料でパープル色合いに染色し、仕上げた。実施例D16についての布坪量は、受け入れられる収縮で251g/m2である。ナイロンに対する汚染格付けは3.0である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】硬質糸およびスパンデックスを含む添え糸編みされた表目を図解する。
【図2】スパンデックス・供給および硬質糸供給を供給される丸編機の一部の概略図である。
【図3】一連のシングルジャージ表目を図解し、編み目長さ「L」の1つの編み目を強調する。
【図4】2GTポリエステル−スパンデックス丸編弾性シングルニットジャージ布を編む、染色するおよび仕上げるための標準プロセス工程を示すフローチャートである。
【図5】2GTポリエステル−スパンデックス丸編弾性シングルニットジャージ布を編む、染色するおよび仕上げるための本発明プロセス工程を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
AATCC試験方法61−1996−2Aにおいて多繊維試験布の汚染によって測定されるときに、4.0以上の汚染グレード番号を有する弾性編布であって、ポリエチレンテレフタレートおよびスパンデックスを含み、アゾまたはアントラキノン分子群を含む分散染料で染色されることを特徴とする編布。
【請求項2】
約160〜約330g/m2の範囲の坪量、および約80%以上の長さ方向の伸び率を有することを特徴とする請求項1に記載の編布。
【請求項3】
長さ方向の伸び率が約80%〜約130%の範囲であることを特徴とする請求項2に記載の編布。
【請求項4】
重量によるスパンデックス含有率が約4%〜約15%の範囲であり、洗濯条件での洗濯および乾燥後の前記布の収縮が布長さ方向および幅方向に約3%以下であることを特徴とする請求項2に記載の編布。
【請求項5】
約160〜約330g/m2の範囲の坪量、および約80%以上の長さ方向の伸び率を有することを特徴とする請求項1に記載の編布。
【請求項6】
長さ方向の伸び率が約80%〜約130%の範囲であることを特徴とする請求項5に記載の丸編布。
【請求項7】
重量によるスパンデックス含有率が約4%〜約15%であり、そして洗濯条件での洗濯および乾燥後の前記布の収縮が布長さ方向および幅方向に約3%以下であることを特徴とする請求項5に記載の丸編布。
【請求項8】
請求項1に記載の染色された丸編シングルジャージ弾性布から製造されることを特徴とする衣服。
【請求項9】
AATCC試験方法61−1996−2Aにおいて多繊維試験布の汚染によって測定されるときに、4.0以上の汚染グレード番号を有する染色された丸編シングルジャージ弾性布の製造方法であって、
該布がポリエチレンテレフタレートまたはそのブレンドの硬質糸で、および添え糸編みされた裸スパンデックス糸で編まれており、
a)スパンデックス糸がその元の長さの約2.5倍以下に牽伸されるように編み工程でスパンデックス糸の供給を制御する工程と、
b)アゾ−またはアントラキノン−ベース分散染料の水性染色液中で布を約135℃未満の温度で染色する工程と、
c)布中の繊維の表面から染料を除くために染色後に布を還元清浄化する工程と、
d)約130℃未満のオーブン温度で布をオーブン中で乾燥させる工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
約17〜約44の範囲のデシテックスの裸スパンデックス糸が、約55〜約165の範囲のデシテックスの1つまたは複数の紡績または連続フィラメント糸、またはそれらのブレンドとコースごとに添え糸編みされ、かつ、ニット・カバーファクターが約1.1〜約1.6の範囲であるように表目長さおよびポリエチレンテレフタレート糸デシテックスが選択されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ニット・カバーファクターが約1.2〜約1.4の範囲であり、そしてポリエチレンテレフタレート繊維のフィラメント当たりのデシテックスが約0.05〜約3.5の範囲であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
布染色工程が布をジェット染色機で染料と接触させることを含み、そして布乾燥工程が布をテンターオーブン中で乾燥させることを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
乾燥オーブンの温度が約120〜約125℃の範囲であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項11に記載の方法によって製造され、AATCC方法61−1996−2Aにおいて多繊維試験布の汚染によって測定されるときに4.0以上の汚染グレード番号を有することを特徴とする染色された丸編シングルジャージ弾性布。
【請求項15】
請求項11に記載の方法によって製造され、AATCC方法61−1996−2Aにおいて多繊維試験布の汚染によって測定されるときに4.0以上の汚染グレード番号を有することを特徴とする染色された丸編シングルジャージ弾性布。
【請求項16】
請求項14に記載の染色された丸編シングルジャージ弾性布から製造されることを特徴とする衣服。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−525656(P2008−525656A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548346(P2007−548346)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/045741
【国際公開番号】WO2007/053160
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(505245302)インヴィスタ テクノロジー エスアエルエル (81)
【氏名又は名称原語表記】INVISTA Technologies S.a.r.l.
【住所又は居所原語表記】Talstrasse 80,8001 Zurich,Switzerland
【Fターム(参考)】