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染色糸、これを用いた織物、染色糸の製造方法、染色糸の製造装置
説明

染色糸、これを用いた織物、染色糸の製造方法、染色糸の製造装置

【課題】 顔料を染色剤として用いても色抜けや色ムラのない良好な品質もつ染色糸や織物が得られ、また、環境汚染等を生じることがなくて環境に優しい染色糸の製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】 染色糸を製造に際して、巻出装置2から糸sを連続的に繰り出してマングル3に供給し、ここで顔料とバインダとを含む染色水溶液Lに浸漬した後、予備乾燥機4において染色後の糸sを予備乾燥し、次に、予備乾燥後の糸sを本乾燥機5に供給して本乾燥を行って顔料を糸sに固着させた後、巻取装置6で巻き取るようにしている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、顔料を染色剤とした染色糸、これを用いた織物、その染色糸の製造方法、染色糸の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、織物の輸入依存率が高まる中で、国内においては、独自性のある糸染め技術の確立が望まれている。また、一般的な社会傾向として環境保全に対する関心も高いことから、糸染めを行う場合にも環境汚染などの問題が生じない環境に優しい技術を確立することが重要である。
【0003】ところで、糸を染色する方法として、従来より染料が広く使用されている。この染料を使用した糸染めは、糸と染料とが化学的な反応を起こすことで染着されるために色落ちし難く、しかも、染色を比較的簡単に行えるという利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような染料を使用した糸染めを行う場合には、環境保全のために種々の対策を講じる必要がある。
【0005】すなわち、染料の場合、糸の染色のために実質的に使われる染料の割合は数%程度で、大部分の染料は殆ど水とともに流出してしまう。また、この場合、水洗いのために糸1トンを染色するために200〜300トン程度の水が使用されるので、このように染料を含んだ多量の水を排水処理するには、十分大きな能力を備えた排水設備を設ける必要がある。しかも、排水処理後に生じるスラッジ等を別途処理する必要が生じるなど、ランニングコストが高くつくものとなっている。
【0006】本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、顔料を染色剤として用いてバインダで固着することにより、その場合に色抜けや色ムラのない良好な品質もつ染色糸や織物が得られ、また、環境汚染等を生じることがなくて環境に優しい染色糸の製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を達成するために、次のようにしている。
【0008】すなわち、請求項1記載の発明に係る染色糸は、顔料を含む染色剤が表面から内部に含浸されてなることを特徴としている。
【0009】請求項2記載の発明に係る織物は、請求項1記載の染色糸が織られてなることを特徴としている。
【0010】請求項3記載の発明に係る染色糸の製造方法は、請求項1記載の染色糸を製造するための方法であって、糸を連続的に繰り出して顔料とバインダとを含む染色水溶液に浸漬し、次いで、染色後の糸を予備乾燥し、続いて本乾燥して顔料を固着させた後、巻き取ることを特徴としている。
【0011】請求項4の発明に係る染色糸の製造方法は、請求項3記載の発明の方法において、前記予備乾燥は赤外線ヒータを用いた直接加熱により乾燥することを特徴としている。
【0012】請求項5記載の発明に係る染色糸の製造方法は、請求項3または請求項4記載の発明の方法において、複数の糸を同時に染色する場合には、染色後の各々の糸同士が互いに接触しないように分離した状態で予備乾燥することを特徴としている。
【0013】請求項6記載の発明に係る染色糸の製造方法は、請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載の発明の方法において、本乾燥は、ローラーベーキング機を用いた間接加熱により乾燥することを特徴としている。
【0014】請求項7記載の発明に係る染色糸の製造装置は、請求項1記載の染色糸を製造するための装置であって、糸を連続的に巻き出す巻出装置と、この巻出装置から供給される糸を顔料とバインダとを含む染色水溶液中に浸漬する浸漬装置と、この浸漬装置で染色された後の糸を予備乾燥する予備乾燥機と、この予備乾燥機で予備乾燥された糸を本乾燥して顔料を固着させる本乾燥機と、この本乾燥機で本乾燥された後の糸を巻き取る巻取装置と、を備えることを特徴としている。
【0015】請求項8記載の発明に係る染色糸の製造装置は、請求項7記載の発明の構成において、前記予備乾燥機は、赤外線ヒータを備えていることを特徴としている。
【0016】請求項9記載の発明に係る染色糸の製造装置は、請求項7または請求項8記載の発明の構成において、前記予備乾燥機には、この予備乾燥機内で糸同士が互いに接触しないように分離状態を保つセパレータが設けられていることを特徴としている。
【0017】請求項10記載の発明に係る染色糸の製造装置は、請求項7ないし請求項9のいずれか1項記載の発明の構成において、前記予備乾燥機と本乾燥機の各出口側には、走行する糸の伸縮に応じて張力を一定に保つためのアキュムレータが配置されていることを特徴としている。
【0018】請求項11記載の発明に係る染色糸の製造装置は、請求項7ないし請求項10のいずれか1項記載の発明の構成において、前記本乾燥機は、ローラーベーキング機を備えることを特徴としている。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態に係る染色糸の製造装置の全体構成を示す側面図、図2はマングルの正面図、図3は予備乾燥機の正面断面図、図4はアキュムレータの正面図、図5は本乾燥機の正面断面図である。
【0020】この実施の形態における染色糸の製造装置1は、複数の糸sを並列に連続して巻き出す巻出装置2、この巻出装置2で繰り出される糸sを顔料とバインダとが含まれる染色水溶液L中に浸漬する浸漬装置としてのマングル3、このマングル3で染色された後の糸sを予備乾燥する予備乾燥機4、この予備乾燥機4で予備乾燥された糸sを本乾燥して顔料を固着させる本乾燥機5、およびこの本乾燥機5で本乾燥された後の糸sを巻き取る巻取装置6を主体に構成されている。
【0021】そして、予備乾燥機4および本乾燥機5の各出口側には、走行する糸sの伸縮に応じて張力を一定に保つためのアキュムレータ7がそれぞれ配置されている。また、巻取装置6の前段位置には、巻取装置6で巻き取る前に糸染め後の各糸sを分離するセパレータ8および巻取張力を一定に保つためのテンションローラ9が設けられている。
【0022】上記の巻出装置2は、ビーム巻状態にある糸sを連続的に繰り出すもので、ディスクプレート式のブレーキ機構(図示せず)を備えており、このブレーキ機構によってマングル3に供給される糸sの張力を一定に保つようになっている。
【0023】マングル3は、顔料とバインダとを含む染色水溶液Lが貯留されている浸漬槽12と、この浸漬槽12を通過した糸sに含まれる余剰の染色水溶液を除去するニップ装置13とを備える。そして、浸漬槽12には糸を浸漬槽12内に導く2つの給糸ガイドローラ14と糸sの浮き上がりを防止する2つの液中ローラ15とがそれぞれ配置されている。一方、ニップ装置13は、上下に対向配置された加圧ロール16と駆動ロール17とを有し、加圧ロール16は合成ゴム製のもので、エアシリンダ18によってその加圧力が調整可能に構成されており、両ロール16,17の密着点で糸sに含まれる余剰の染色水溶液が絞り取られるようになっている。
【0024】予備乾燥機4は、チャンバ21内の上下にそれぞれ複数(ここでは上下にそれぞれ5つ)の赤外線ヒータ22が糸の走行方向に直交して配置されており、また、チャンバ21内には赤外線ヒータ22の輻射熱を有効利用できるようにヒータ固定フレームを兼用した反射板23が取り付けられている。また、チャンバ21の天井部には、染色水溶液の昇華ガス等を排気するための図示しない排気口が設けられている。
【0025】このように、この実施の形態では、赤外線ヒータ22を使用しているため、チャンバ21内を無風状態に保って予備乾燥することができるので、予備乾燥中に隣接する糸s同士が接触する危険性を低減することができて都合がよい。しかし、チャンバ21内で隣接する糸同士が接触しないように確実に分離状態を保つことができるのであれば、熱風乾燥機などを用いることも可能である。なお、ここでの赤外線ヒータ22は、赤外線領域の光だけでなく遠赤外線領域の光を発するヒータであってもよい。
【0026】さらに、予備乾燥機4には、チャンバ21内で糸s同士が振動等によって互いに接触せずに分離状態を保つように、チャンバ21の入口部と出口部とにそれぞれセパレータ24が設けられている。これらのセパレータ24は、互いに並列に走行する各糸sごとに個別にガイドバー24を設けて構成されたもので、各ガイドバー24の表面は、予備乾燥される糸sが良好に走行するように耐熱ポリフッ化エチレンコーティングされていて、チャンバ21の外壁に取り付けられたブラケットに固定されている。
【0027】アキュムレータ7は、ダンサーロール式のもので、複数のテンションローラ27と、このテンションローラ27の張力を制御する減圧弁付きのエアシリンダ28とを組み合わせて構成されている。糸sの染色水溶液中Lへの浸漬あるいは乾燥に伴って糸sが伸縮するが、各アキュムレータ7を設けることで、このような糸sの伸縮に伴う各装置間の糸のたるみを吸収することができ、糸sを連続して円滑に走行させることができる。
【0028】本乾燥機5は、ローラーベーキング機からなり、このローラーベーキング機5は、チャンバ29内に上下一対のベーキングローラ30およびガイドローラー31が設けられるとともに、各ベーキングローラ30内にチャンバ29外部から熱媒体が循環供給されるように構成されている。この場合の熱媒体としては、たとえば加熱オイル、高圧蒸気、あるいはヒータで加熱された空気やガス等が使用される。そして、チャンバ29内に導入された糸sは、入口側のガイドローラ31を経て下方から上方の各ベーキングローラ30に順次巻回された後、出口側のガイドローラ31を経てチャンバ29外に導出されるようになっている。なお、各ベーキングローラ30の表面は、本乾燥される糸sが良好に走行するように耐熱ポリフッ化エチレンコーティングされており、また、チャンバ29の天井部には、染色水溶液の昇華ガス等を排気するための図示しない排気口が設けられている。
【0029】巻取装置6の前段位置に設けられたセパレータ8は、アキュムレータ7から供給される各糸sを解すもので、架台34にガイドバー35を立設して構成されている。また、巻取装置6は、図示しないトラバース機構を備えており、その前段のテンションローラ9との組み合わせによって染色後の糸sが常に一定の張力でもってビームに巻き取られるようになっている。
【0030】なお、この実施の形態の連続糸染め装置1は、図示しない電気制御盤を備えており、この電気制御盤によって上述した各部2〜6が連携して制御されている。
【0031】次に、上記構成を有する製造装置1を用いて染色糸を製造する方法について説明する。
【0032】まず、予めビームに巻かれた状態の糸sを巻出装置2にセットする。ここでの糸sの素材は、綿や麻などの天然繊維の他、レーヨン、テトロンなどの合成繊維、もしくはこれらの混紡品を使用することができる。
【0033】そして、巻出装置2から複数の糸sを並列状態で順次繰り出してマングル3に供給する。この場合、糸sを並列的に繰り出す本数は、ここでは生産性を考慮して数百本程度に設定されているが、1本あるいは数十本単位であってもよい。また、糸sの走行速度は、糸sの種類や太さ、染色水溶液Lの濃度などに依存するが、ここでは1〜10m/minに設定される。
【0034】マングル3に供給された各糸Lを給糸ガイドローラ14で浸漬槽12に導き、この浸漬槽12内に予め貯留されている染色水溶液L中に浸漬する。このとき、糸Lは、染色水溶液L中に2度にわたって浸漬され、浸漬中は液中ローラ15によって糸sの浮き上がりが防止される。ここで、染色水溶液Lに含まれる顔料としては、金属塩などの無機顔料に限らず、レーキなどの有機顔料を使用することができる。また、バインダとしては、アクリル系やアルキド系の水溶性の合成樹脂が適用される。染色水溶液Lの濃度は、糸sの種類や太さ、顔料やバインダの種類等を考慮して選定されるが、ここでは数%〜数十%に設定されている。
【0035】次いで、ニップ装置13の上下の加圧ロール16と駆動ロール17とによって糸sを加圧して、浸漬槽12を通過した糸sに含まれる余剰の染色水溶液Lを除去する。
【0036】続いて、マングル3で染色された後の糸sを予備乾燥機4に供給する。その際、チャンバ21の入口部、内部、および出口部にそれぞれ設けられたセパレータ24によって染色後の各々の糸s同士が振動等によって互いに接触しないように複数段(ここでは上下4段)に分離した状態に保たれる。そして、チャンバ21内では、各糸sを赤外線ヒータ22を用いて直接に加熱して予備乾燥する。その場合、チャンバ21内の温度は、糸sの種類や太さ、糸sの走行速度やチャンバ21内の走行時間、染色水溶液Lの種類や濃度等を考慮して選定されるが、ここでは120℃〜140℃に保持されている。
【0037】予備乾燥前の状態において、糸sは断面が略円形をしているので、染色水溶液Lに浸漬後は糸sの円周に沿って略均一に染色水溶液Lが浸透している。そして、予備乾燥では、高周波誘電加熱のように内部から加熱するのではなく、赤外線ヒータ22によって糸sの表面を均一に直接加熱するので、糸sは表面から次第に乾いていく。したがって、水分の蒸発の不均一性に伴ういわゆるマイグレーション現象によって、染色水溶液Lの顔料が糸sの中心に向けて移動して色抜けが生じたり、糸sの表面が局部的に加熱されることで染色水溶液中Lの顔料が片寄って移動して色ムラが生じるなどといった不具合を防止することができる。
【0038】特に、この実施の形態のように、セパレータ24によって各糸s同士が常に接触しない状態に保っておけば、糸sの表面が均一に予備乾燥されるため、マイグレーション現象に起因した色ムラの発生を一層確実に防止することができるので都合がよい。なお、この予備乾燥では、糸sは完全に乾燥されておらず、未だ水分が含まれているので、赤外線ヒータ22で直接加熱しても糸sの表面が焦げ付くなどの恐れはない。
【0039】続いて、予備乾燥された糸sをダンサーロール式のアキュムレータ7に移送する。糸sは、染色水溶液L中への浸漬時や予備乾燥時の水分の吸収、蒸発によって伸縮が生じるが、このような糸sの伸縮に伴う各装置間の糸のたるみはアキュムレータ7で吸収されて張力が一定に保たれて円滑に走行される。
【0040】次に、糸sを本乾燥機5に供給し、チャンバ29内の上下一対のベーキングローラ30上に順次糸sを巻き付け、その間に水分を十分に蒸発させて顔料を固着させる。その場合、チャンバ29内の温度は、糸sの種類や太さ、糸sの走行速度やチャンバ内29の走行時間、染色水溶液Lの種類や濃度等を考慮して選定されるが、ここでは120℃〜180℃に保たれている。
【0041】この本乾燥において、予備乾燥のときのような赤外線ヒータ22を用いて糸を直接加熱すると、糸sの表面が焦げ付いたりするなどの恐れがあるが、ベーキングローラ30を用いて糸sを間接加熱して乾燥させれば、このような恐れがないため都合がよい。
【0042】続いて、本乾燥された糸sをダンサーロール式のアキュムレータ7に移送する。ここでは、本乾燥によって生じる糸sの縮みに伴う各装置間のたるみを吸収して張力が一定に保たれるので、糸sは円滑に走行される。
【0043】次に、この本乾燥機5で本乾燥されてアキュムレータ7を通過した後の糸sをセパレータ8で解し、個々の糸sをテンションローラ9でその張力を一定に保ちつつ、図示しないトラバース機構でトラバースして巻取装置6のビームに巻き取る。
【0044】これにより、顔料を染色剤とした染色水溶液Lを使用しているにもかかわらず、色抜けや表面ムラのない良好な品質をもつ染色糸を得ることができる。しかも、染色後の糸は、染料を用いる場合のように糸染め後に水洗いする必要がないため、環境汚染等を生じることがなくて環境に優しい状態で製造することができる。また、顔料の種類を選択することで各種色調のものを容易に得ることができる。
【0045】
【実施例】上記の装置および方法を用いて所望の染色糸が製作できるか否かを確認するために、次の条件の下で試作を行った。
【0046】まず、糸sとして太さが75デニールの綿糸を用い、この綿糸の800本を各ビームに巻き取った状態で巻出装置2にセットした後、これらの綿糸sを並列状態で順次繰り出してマングル3に供給した。そのときの綿糸sの走行速度は1.5m/minに設定した。
【0047】次に、マングル3に供給された各綿糸sを顔料とバインダとを含む染色水溶液中Lに浸漬した。このときの染色水溶液Lは、チバガイギー社製、イルガフォアSPDを使用し、そのときの濃度を10%に設定した。
【0048】次いで、ニップ装置13の加圧ロール16と駆動ロール17とによって綿糸sを加圧して、染色後の綿糸sに含まれる余剰の染色水溶液Lを除去した。この場合の加圧力は、糸全体で約60kgに設定した。
【0049】続いて、マングル3で染色された後の綿糸sを予備乾燥機4に供給して予備乾燥を行った。このときのチャンバ21内の温度は120℃で、チャンバ21内の滞留時間は45秒であった。
【0050】次に、こうして予備乾燥された綿糸sをアキュムレータ7を経由して本乾燥機5に供給し、本乾燥を行った。このときのチャンバ29内の温度は180℃で、チャンバ29内の滞留時間は60秒であった。
【0051】引き続いて、本乾燥後の綿糸sをアキュムレータ7、セパレータ8、テンションローラ9を順次経由して巻取装置6のビームに巻き取った。
【0052】こうして、染色された糸sの外観を検査したところ、色抜けや色ムラがなく均一で良好な染色状態であることが確認された。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、次の効果を奏する。
(1) 請求項1記載の発明に係る染色糸は、染料を染色剤として用いた場合のように糸と染料とが化学的な反応を起こすことで染着されたものではなく、顔料と糸とがバインダを介して物理的に結合した状態で表面から内部に含浸されているので、染料を用いたものと比べて、独特の色調や肌触りをもつものになる。
【0054】(2) 請求項2記載の発明に係る織物は、上記の特性を有する染色糸を布地などに織り上げた後、クラッシュ加工やストーンウォッシュ加工などを施せば、表面の一部の顔料が脱落して布地の表面に濃淡変化のある古ぼけた印象を与える独特の趣のある美観を呈することができる。
【0055】(3) 請求項3記載の発明に係る染色糸の製造方法によれば、顔料を染色剤とした染色水溶液を用いて糸を染色するので、染色後の糸は、染色剤として染料を用いる場合のように水洗いする必要がない。このため、環境汚染等を生じることがなくて環境に優しい状態で製造することができる。また、顔料の種類を選択することで各種色調のものが得られる。しかも、色抜けや表面ムラのない糸染めを行うことができる。
【0056】(4) 請求項4記載の発明に係る染色糸の製造方法によれば、予備乾燥時において、高周波誘電加熱のように内部から加熱するのではなく、赤外線ヒータによって糸の表面を均一に直接加熱するので、糸は表面から次第に乾いていくようになる。したがって、水分の蒸発に伴ういわゆるマイグレーション現象によって、染色水溶液の顔料が糸の中心に向けて移動して色抜けが生じたり、糸の表面が局部的に加熱されることで染色水溶液中の顔料が片寄って移動して色ムラが生じるなどの不具合を防止することができる。
【0057】(5) 請求項5記載の発明に係る染色糸の製造方法によれば、セパレータによって各糸同士が常に接触しない状態に保っておけば、糸の表面を均一に予備乾燥することができるため、マイグレーション現象に起因した色ムラの発生をさらに一層確実に防止することができる。
【0058】(6) 請求項6記載の発明に係る染色糸の製造方法によれば、本乾燥時には、ローラーベーキング機を用いて糸を間接加熱して乾燥させるので、糸の表面が焦げ付いたりするなど不具合を生じることなく、顔料を確実に固着させることができる。
【0059】(7) 請求項7記載の連続糸染め装置を用いれば、請求項3に記載した染色糸の製造方法を容易にかつ確実に実現することができる。
【0060】(8) 請求項8記載の連続糸染め装置を用いれば、請求項4に記載した染色糸の製造方法を容易にかつ確実に実現することができる。
【0061】(9) 請求項9記載の連続糸染め装置を用いれば、請求項5に記載した染色糸の製造方法を容易にかつ確実に実現することができる。
【0062】(10) 請求項10記載の連続糸染め装置を用いれば、糸を染色水溶液中へ浸漬したり乾燥することによって糸が伸縮するが、各アキュムレータを設けることで、このような糸の伸縮に伴う各装置間の糸のたるみを吸収することができ、糸を連続して円滑に走行させることができる。
【0063】(11) 請求項11記載の連続糸染め装置を用いれば、請求項6に記載した染色糸の製造方法を容易にかつ確実に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る染色糸の製造装置の全体構成を示す側面図である。
【図2】 同染色糸の製造装置を構成するマングルの正面図である。
【図3】 同染色糸の製造装置を構成する予備乾燥機の正面断面図である。
【図4】 同染色糸の製造装置を構成するアキュムレータの正面図である。
【図5】 同染色糸の製造装置を構成する本乾燥機の正面断面図である。
【符号の説明】
s 糸、1 染色糸の製造装置、2 巻出装置、3 マングル(浸漬装置)、4 予備乾燥機、5 本乾燥機(ローラーベーキング機)、6 巻取装置、7アキュムレータ、8 セパレータ、L 染色水溶液、22 赤外線ヒータ、24セパレータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 顔料を含む染色剤が表面から内部に含浸されてなることを特徴とする染色糸。
【請求項2】 請求項1記載の染色糸が織られてなることを特徴とする織物。
【請求項3】 請求項1記載の染色糸を製造するための方法であって、糸を連続的に繰り出して顔料とバインダとを含む染色水溶液に浸漬し、次いで、染色後の糸を予備乾燥し、続いて本乾燥して顔料を固着させた後、巻き取ることを特徴とする染色糸の製造方法。
【請求項4】 前記予備乾燥は赤外線ヒータを用いた直接加熱により乾燥することを特徴とする請求項3記載の染色糸の製造方法。
【請求項5】 複数の糸を同時に染色する場合には、染色後の各々の糸同士が互いに接触しないように分離した状態で予備乾燥することを特徴とする請求項3または請求項4記載の染色糸の製造方法。
【請求項6】 本乾燥は、ローラーベーキング機を用いた間接加熱により乾燥することを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載の染色糸の製造方法。
【請求項7】 請求項1記載の染色糸を製造するための装置であって、糸を連続的に巻き出す巻出装置と、この巻出装置から供給される糸を顔料とバインダとを含む染色水溶液中に浸漬する浸漬装置と、この浸漬装置で染色された後の糸を予備乾燥する予備乾燥機と、この予備乾燥機で予備乾燥された糸を本乾燥して顔料を固着させる本乾燥機と、この本乾燥機で本乾燥された後の糸を巻き取る巻取装置と、を備えることを特徴とする染色糸の製造装置。
【請求項8】 前記予備乾燥機は、赤外線ヒータを備えていることを特徴とする請求項7記載の染色糸の製造装置。
【請求項9】 前記予備乾燥機には、この予備乾燥機内で糸同士が互いに接触しないように分離状態を保つセパレータが設けられていることを特徴とする請求項7または請求項8記載の染色糸の製造装置。
【請求項10】 前記予備乾燥機と本乾燥機の各出口側には、走行する糸の伸縮に応じて張力を一定に保つためのアキュムレータが配置されていることを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれか1項記載の染色糸の製造装置。
【請求項11】 前記本乾燥機は、ローラーベーキング機を備えることを特徴とする請求項7ないし請求項10のいずれか1項記載の染色糸の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2003−213534(P2003−213534A)
【公開日】平成15年7月30日(2003.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−7212(P2002−7212)
【出願日】平成14年1月16日(2002.1.16)
【出願人】(501401984)多可染工株式会社 (1)
【Fターム(参考)】