説明

染色装置における液滴連行を減少させるための方法

【課題】単純な仕方で、染色プロセスの所要時間を短いままで保つこと、該プロセスのコストを低いままで保つこと、及び/又は、高品質のサンプルの染色を保証すること、に寄与する染色装置の操作方法を提供する。
【解決手段】第一処理媒体(23)で満たされた第一の容器(22)、及び、第二処理媒体(25)で満たされた第二の容器(24)の溶媒を含む染色装置(20)の操作の間に、染色されるべきサンプル(26)が第一処理媒体(23)に浸漬される。第一処理媒体(23)からサンプル(26)がどの程度早く引き出されるべきかを規定する速度が、第一処理媒体(23)に従って、及び/又は、サンプル(26)に従って決定される。その後、決定された速度で第一処理媒体(23)からサンプル(26)を引き出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一処理媒体で満たされた第一の容器及び第二処理媒体で満たされた第二の容器を含む染色装置を操作する方法に関する。この方法において、染色されるべきサンプルは、第一の容器内の処理媒体に浸漬される。そして、予定された滞留時間が経過した後に、サンプルが第一処理媒体から引き出されて、第二の容器の上に位置する。
【背景技術】
【0002】
サンプル、特に顕微鏡を使用して検査されるべき組織サンプルは、顕微鏡画像においてサンプルの構造が染色されていないサンプルの場合よりもより良く見えるように、ルーチン的に染色装置を使用して染色される。サンプルの染色のために、染色装置は、同一の、類似の、又は異なる処理媒体を予め溜めた2つ以上の容器を含む。染色されるべきサンプルは容器の中に浸漬され、そこで所定の滞留時間(処理ステップ、処理媒体、及び染色されるべきサンプルに依存する)保持される。一度、予定された(所定の)滞留時間が経過すると、サンプルは容器から引き出される。染色方法、及び/又は、サンプルに依存して、処理媒体で満たされた複数ないし多数の容器に連続的にサンプルが浸漬される。
【0003】
第一処理媒体で満たされた第一の容器からサンプルが急速に引き出される場合には、サンプル(特に、組織サンプル)、組織サンプルを運ぶスライド(ガラス)、及び/又は、サンプルを運ぶためのサンプル籠に、少量の第一処理媒体が付着したままであり、及び/又は、第一処理媒体が該処理媒体から引き出されたサンプルから滴下する。その後、第二の容器(第一の容器の次の容器であり、第二処理媒体で満たされる)の上にサンプルが急速に移動する場合には、第一の容器の第一処理媒体が滴下して、第二の容器の第二処理媒体に入る。第二の容器の第二処理媒体の中にサンプルが浸漬される場合には、サンプルに付着する全ての第一処理媒体が、第二処理媒体に混入する。この仕方では、第一処理媒体が連行される(液滴同伴する:verschleppen)ので、第一の容器の中の第一処理媒体の量が減少し、そして、第二の容器の第二処理媒体の品質が低下する。このことは、染色プロセスの品質に対するネガティブな影響を有する。特に、染色後のサンプルにおいて、色のコントラストがほとんど無くなるかもしれないし、及び/又は、色付き度合いが低くなるかもしれない。これと反対に、サンプルが第一処理媒体からゆっくり引き出され、引き出された後に第一の容器の上で長時間宙吊られたままにする場合には、液滴連行(液滴同伴)は減少するが、染色プロセスの所要時間に対してネガティブな影響を与え所要時間を増加させる。特許文献1からは、スライド上の組織サンプルを染色するための染色装置であって、液体を入れた多数の容器を含み、前記容器が互いに関連するステップ化された様式で並べられることを特徴とする染色装置が知られている。スライドが載せられる籠は染色のための容器に浸漬される。輸送機構を介して籠を取り出す際に、籠に付着した液体が拭き取られるようにするために、それぞれの容器の端にぶつけるようにして、籠が取り出される。特許文献2からは、液体が入った多数の容器を含む染色装置であって、当該液体に染色されるべきサンプルを載せた棚が浸漬される染色装置が知られる。この染色装置においては、いくつかの棚が同時に装置内で取り扱われ、棚の輸送が固定のスケジュールに従って実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許第196 81 642号明細書
【特許文献2】米国特許第5573727号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、染色装置を操作する方法を提供することを課題とする。該方法は1つの視点において、単純な仕方で、染色プロセスの所要時間を短いままで保つこと、該プロセスのコストを低いままで保つこと、及び/又は、高品質のサンプルの染色を保証すること、に寄与するべきものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の視点において、第一処理媒体からサンプルが引き出されるべき速度を、第一処理媒体に従って、及び/又は、サンプルに従って決定する。その後、決定された速度でサンプルを第一処理媒体から引き出す。前記速度は、平均速度、又はサンプルが主に移動する速度であり得る。なお、本願において特許請求の範囲に付記した図面参照符号は、専ら理解を助けるためのものであり、図示の態様に限定することを意図するものではない。
【0007】
このことは、サンプル(特に、組織サンプル)、スライド、又は、サンプル籠に付着したままの第一処理媒体の量が、サンプルが処理媒体から引き出される速度に直接的に依存するという事実を利用する。言い換えると、サンプルが急速に引き出される場合には相対的に多量の処理媒体がサンプルに付着しているが、その一方では、サンプルが第一処理媒体からゆっくり引き出される場合には相対的に少量の処理媒体がサンプルに付着している。さらに、処理媒体のサンプルへの付着は、処理媒体のタイプ、及び、サンプルのタイプ(特に、サンプルの表面のタイプ)に依存する。この文脈において、サンプルとは、調査されるべき実際の組織サンプルを含むだけでなく、組織サンプルを担持するスライド(ガラス)、及び/又は、組織サンプル(又はスライド)が置かれるサンプルカセットも含む。サンプルを引き出す速度を決定することは、染色プロセスを相対的に短い時間で実行できるようにしつつ、処理媒体の液滴連行(ひきずり同伴)を特に低いレベルに保つことに寄与し得る。このことは、処理媒体を相対的に純粋に長時間保つことに寄与するので、処理媒体を交換する必要性がほとんど無くなり、プロセスのコストを低く保つとともに、染色の質を高く保つことに役立つ。
【0008】
本発明の第二の視点において、第一処理媒体からサンプルを引き出してから第二の容器の上に移動させるまでに経過する時間を、第一処理媒体に従って、及び/又は、サンプルに従って決定する。その後、決定された時間が経過した後にサンプルが第二の容器の上に位置するように、サンプルを第一の容器から引き出す。サンプルが第二の容器の上に位置するや否や、処理媒体がサンプルから第二の容器に滴下する。前記経過時間は、サンプルを引き出す移動の開始からサンプルが第二の容器の上の位置へ到着するまでの時間、又は、サンプルが第一処理媒体の外に出た時点から第二の容器の上の位置へ到着するまでの時間であり得る。
【0009】
この際は、異なる処理媒体は、同一のタイプのサンプルから滴下し尽すまでに、異なる時間を必要とするという事実と、異なるサンプルのタイプからは同一の処理媒体が異なる速度で滴下するという事実とを利用する。従って、滴下速度は、処理媒体と、サンプルとの両方に依存する。第一の容器からのサンプルを引き出すための時間、及び、サンプルが第二の容器の上に位置するまでの時間を決定することは、染色プロセスを相対的に短い時間で実行できるようにしつつ、処理媒体の液滴連行を特に低いレベルに保つことに寄与し得る。このことは、処理媒体を相対的に純粋に長時間保つことに寄与して、染色の品質を高く保つこと、及び、処理媒体の有用性の維持期間を延長させることに役立つ。
【0010】
有利な一実施形態において、速度及び時間が決定される。次に、サンプルは、決定した速度で第一の容器から引き出され、決定した(経過)時間以内に第二の容器の上に位置する。例えば、サンプルは、決定した速度で第一処理媒体から引き出され、次に、決定した時間以内に第二の容器の方向へ移動する。このことは、サンプルが最適な速度で第一処理媒体から引き出され、そして、十分な度合いまで第一処理媒体を滴下(除去)できるようになるので、液滴連行(同伴)のレベルを低下させること及びプロセスの速度を早くすることに特に効果的に寄与する。
【0011】
速度、及び/又は時間は、例えば、割り当てルールによって決定することができる。割り当てルールは、例えば、各処理媒体、各サンプル、及び/又は、処理媒体とサンプルとの各組み合わせに対して、少なくとも1つの速度、及び/又は、時間が割り当てられている表を含む。言い換えれば、使用される各処理媒体、使用される各サンプル、又は、処理媒体とサンプルとの各組み合わせに対して速度及び/又は時間が割り当てられた表は、染色装置の記憶媒体に格納される。割り当てルールの速度及び/又は時間は、例えば、経験的に(ないし、実験によって)決定することができる。その代わりに、又は、追加的に、速度及び/又は時間を処理媒体の粘度に従って、及び/又は、サンプルの物質に従って決定する。
【0012】
他の実施形態において、処理媒体、及び/又は、サンプルはクラス分け(分類)されて、処理媒体又はサンプルの各クラス(区分)には、速度及び/又は時間が割り当てられる。
【0013】
そして、所定のサンプル及び所定の処理媒体に関して、速度、及び/又は、時間が、許容される液滴連行レベル、及び/又は、守られるべきプロセスの所要時間に従って決定される。このことは、染色の品質及びプロセスの所要時間を最適にする調節を可能にする。言い換えれば、ユーザは、最長の染色プロセスの所要時間、及び/又は、最大の許容可能な液滴連行のレベルを特定することが可能であり、この場合には、速度及び/又は時間は、最長の染色プロセスの所要時間、又は、最大の許容可能な液滴連行のレベルに従って決定される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、単純な仕方で、染色プロセスの所要時間を短いままで保つこと、該プロセスのコストを低いままで保つこと、及び/又は、高品質のサンプルの染色を保証することが可能な染色装置の操作方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の例示的な実施形態が、概略図を参照して、以下により詳細に説明される。
【0016】
【図1】図1は、第一の位置にサンプルを有する染色装置を示す断面図である。
【0017】
【図2】図2は、第二の位置にサンプルを有する染色装置を示す断面図である。
【0018】
【図3】図3は、割り当てルールを示す。
【0019】
【図4】図4は、染色装置を操作するための第一のプログラムのフローチャートである。
【0020】
【図5】図5は、染色装置を操作するための第ニのプログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
同一の構造又は機能を有する要素は、図面を通じて同一の符合で表示される。
【実施例】
【0022】
図1は、サンプル26(特に組織サンプル)を染色するための染色装置20を示す。染色装置20は、第一の容器22及び第二の容器24を含む。第一の容器22は、第一処理媒体(溶液)23で満たされる。第二の容器24は、第二処理媒体(溶液)25で満たされる。サンプル26は、サンプル籠28に配置される。サンプル籠28は、吊り上げ部30に連結されて1つのユニットになる。サンプル26は、サンプル籠28に直接的に置くことができる。その代わりに、サンプル26はサンプルカセット(複数)に並べた上で、サンプルカセットをサンプル籠に置くこともできる。使用される処理媒体は、例えば、濃度が異なるアルコール、キシレン、水、蒸留水、ヘマトキシリン又はエオシンYであり得る。サンプル26は、例えば、組織サンプル、組織サンプルが包埋されたパラフィなどの包埋溶媒(包埋試料)、及び/又は、サンプルを担持するスライド(ガラス)を含む。
【0023】
サンプル26は、洗浄及び/又は染色のために処理媒体23、25に浸漬される。サンプル26は、サンプル26及び処理媒体23、25に依存する滞留時間中、処理媒体23、25に浸漬されたままにする。予定された滞留時間は、例えば、染色装置20の記憶媒体に格納される。一度、予定された滞留時間が経過すると、サンプル26は、処理媒体(溶液)23、25から引き出される。
【0024】
図2は、引き出された位置にサンプル籠28を有する染色装置20を示す。引き出された位置では、第一処理媒体23は、第一の容器22に滴下する。サンプル籠28が第二の容器24の上に移動(矢印の方向)した場合には、この仕方では、第一処理媒体は、第二の容器24の第二処理媒体25に滴下して、液滴連行される。サンプル籠28が第二の容器24に浸漬される場合には、この仕方では、サンプル26に付着した量の第一処理媒体23が第二処理媒体25に導入されて、液滴連行される。
【0025】
第一の容器22から第二の容器24の上までのサンプル26の移動は、少なくとも2つの相に分けられる。第一の相においては、サンプル26がまだ第一処理媒体23の中に位置しているが、丁度引き出されている最中である。第二の相においては、サンプル26が第一処理媒体23からは、既に引き出されているが、第一の容器22から第二の容器24へと十分に遠くに離れて移動しておらず(近接して配置されており)、(かくして、第二の容器24への移動の途中において)第一処理媒体23が第二処理媒体25に滴下することがあり得るであろう。液滴連行は、実質的には2つの要素の影響を受ける。第一の要素は、第一の相の間にサンプル26が第一処理媒体23から引き出される速度である。サンプル26がより早く引き出されれば、液滴連行の度合いはより大きくなる。サンプル26がよりゆっくり引き出されれば、液滴連行の度合いはより低くなる。第二の要素は、サンプル26が第二の容器24の上(第一処理媒体23が第二処理媒体25に滴下し得る)に位置するまでに経過する時間である。この時間は、第一処理媒体23の外へのサンプル26の移動が開始する瞬間から、又は、サンプル26が第一処理媒体23の外へ完全に移動した瞬間に始まることができる。言い換えれば、速度は専ら第一の相に関係するが、その一方では、時間は、第二の相又は両方の相に関連する。従って、第二の時間は、少なくとも第一の容器22の上での滴下時間を含み、そして、第一処理媒体23から引き出すのに必要な時間を追加的に含むことができる。
【0026】
液滴連行を最小程度に保つが、しかも、短いプロセス所要時間を達成可能とするために、好ましくは、サンプル26が第一処理媒体23から引き出されるべき速度が決定される。その代わりに、又は追加として、サンプル26が第一の容器22から引き出されてから第二の容器24の上に位置するまでの経過時間を決定することができる。速度及び経過時間は、好ましくは、経験(実験)的に決定され、例えば、記憶媒体の割り当てルール(の領域)に格納される。速度及び経過時間の経験的な決定において、それぞれ、最長の許容可能な染色プロセスの所要時間、及び/又は、最大の許容可能な液滴連行のレベルを境界の条件としてインプットすることができる。相対的に短いプロセスの所要時間は相対的に高いレベルの液滴連行と関連し、その一方では、相対的に低いレベルの液滴連行は相対的に長いプロセスの所要時間と関連する。
【0027】
図3は、異なる処理媒体23、25からサンプル26が引き出されるべき速度を表す割り当てルールを示す。割り当てルールは5列の表を含む。第一列は、サンプル26を染色するためのステップを列挙する。第二列は、処理媒体23、25、具体的には、100%アルコール、95%アルコール、リンス及び蒸留水をリストする。処理媒体23、25は、2つの区分クラス(具体的には、アルコール及び水)に分類される。図3に示される割り当てルールに従えば、サンプル26は、アルコールから14.55mm/sの速度で引き出されるべきであり、ステップごとに2.4gの液滴連行をもたらす。対照的に、サンプル26は、水から26.67mm/sの速度で引き出され、ステップごとに2.5gの液滴連行をもたらす。
【0028】
特定のサンプル26に関して高いレベルの液滴連行が許容される場合には、速度を増加することができ、それによって染色プロセスが短くなる。同様に、染色プロセスの所要時間の重要性が低い場合には、液滴連行のレベルを低下させて、処理媒体が長期間の操作にわたって純粋なままで保たれ、サンプル26が高い品質の仕方で染色されるように、速度を減らすことができる。例えば、最大の許容可能な染色プロセスの所要時間、及び/又は、最大の許容可能な液滴連行のレベルは、染色プロセスの開始時にユーザがインプットすることができ、この場合には、速度及び時間は、最大の許容可能な染色プロセスの所要時間、及び/又は、最大の許容可能な液滴連行のレベルに従って各々決定される。この目的のためには、異なる割り当てルール(例えば、異なる最大の許容可能なプロセスの所要時間、及び/又は、最大の許容可能な液滴連行のレベル)を染色装置20の記憶媒体に格納することができる
【0029】
図4は、例えば、染色装置20の記憶媒体に格納することができる染色装置を操作するための第一のプログラムのフローチャートを示す。第一のプログラムは、好ましくは、ステップS2においてスタートし、この時に、例えば、サンプル26が第一の容器22に浸漬される。
【0030】
ステップS4において、染色されるべきサンプル26についてサンプルのタイプを決定することができる。サンプルタイプは、例えば、クエリー(質問)と、染色装置のユーザからの対応するインプットとによって決定することができる。その代わりに、サンプルタイプをセンサ部によって検出することができるように、サンプル26にバーコードなどのコードを付すことができる。
【0031】
サンプルタイプのみが適切な場合には、例えば、異なる容器22、24が同一のタイプの複数ないし多数の処理媒体23、25を含む場合には、この形態は、サンプル26が引き出されるべき速度がサンプルタイプに従って決定されるステップ10に直接進むことができる。その他の場合には、ステップS6に続く。第一処理媒体23のタイプのみが適切でない場合には、ステップS4をスキップすることができ、プログラムはステップS6に直接進むことができる。
【0032】
ステップS6において、第一処理媒体23、具体的には、第一処理媒体23のタイプが決定される。上述のように、第一処理媒体23については、新たにユーザに質問することができる。あるいは、染色装置は、第一の容器22の中の第一処理媒体23のタイプを決定することができるセンサ部を有する。単に第一処理媒体23のタイプが適切である場合には、例えば、同一のタイプのサンプル26がルーチン的に使用される場合には、この方法はステップS10に直接進むことができる。その他の場合には、この方法はステップS8に続く。さらに、第一処理媒体23のタイプ、及び、サンプル26のタイプが適切である場合には、ステップS4及びS6をまず実行して、ステップS10に直接進むことができる。
【0033】
ステップS8において、サンプル26及び/又は処理媒体23、25が属する区分クラスが決定される。
【0034】
ステップS10において、サンプル26を引き出す速度は、決定されたサンプルタイプ、及び/又は、決定された第一処理媒体23に従って決定することができる。
【0035】
ステップS12において、サンプル26は決定された速度で第一処理媒体23から引き出され、及び/又は、第一処理媒体23について予定された滞留時間が経過した後、決定された時間以内に、第二の容器24の上に位置する。
【0036】
ステップS14において、この方法を終了させることができる。しかしながら、この方法は、好ましくは、染色装置20の操作の間、規則的に実行される。
【0037】
サンプル26が第一処理媒体23から引き出される速度に加えて、液滴連行は、サンプル26が第二の容器24の上に宙吊りにされて、第一処理媒体23が第二処理媒体25に滴下され得るまでに経過する時間によっても影響を受ける。従って、記憶媒体に格納された第ニのプログラムを、第一のプログラムの代わりに、又は、第一のプログラムに追加して実行することができる。
【0038】
図5は、染色装置20を操作するための第ニのプログラムのフローチャートを示す。この第ニのプログラムは、好ましくは、ステップS16においてスタートし、この時に、例えば、サンプル26が第一の容器22に浸漬される。
【0039】
ステップ18において、染色されるべきサンプル26のタイプは、例えば、第一のプログラムのステップS4のように決定することができる。サンプルタイプのみが適切な場合には、例えば、異なる容器22、24が同一のタイプの複数(ないし多数)の処理媒体23、25を含む場合には、本実施形態の方法は、サンプル26が引き出されるべき速度がサンプルタイプに従って決定されるステップS24に直接進むことができる。その他の場合には、この方法はステップS20に続く。単に第一処理媒体23のタイプが適切である場合には、ステップ18をスキップして、プログラムはステップS20に直接進むことができる。
【0040】
ステップS20において、第一処理媒体23、具体的には、第一処理媒体23のタイプが、例えば、第一のプログラムのステップS6のように決定される。サンプルタイプのみが適切な場合には、ステップ20をスキップすることができる。
【0041】
ステップS22において、サンプル26及び/又は処理媒体23、25が属する区分クラスが決定される。あるいは、ステップS24はステップS20の後に直接実行することができる。
【0042】
次に、ステップS24において、サンプル26を引き出すための時間は、決定されたサンプルタイプ、及び/又は、決定された第一処理媒体23に従って決定することができる。
【0043】
ステップS26において、サンプル26は、第一処理媒体23について予定された滞留時間が経過した後に決定された経過時間以内に、第二の容器24の上に移動する。
【0044】
ステップS28において、この方法を終了させることができる。しかしながら、この方法は、好ましくは、染色装置20の操作の間、規則的に実行される。
【0045】
本発明は、上述の例示的な実施形態に制限されない。例えば、染色装置20は、更に多数の異なる処理媒体23、25を含む2つを上回る容器22、24を含むことができる。そして、染色装置20を操作する方法は、時間についての用語において、異なるように実行することができる。具体的には、サンプル26が染色装置20に導入される最初の時に、サンプルタイプを染色装置20に入力することができるし、及び/又は、処理媒体23、25のタイプを予め知らせておくことができる。その場合には、本発明の方法は、各ステップにおいて、サンプル26が容器22、24の各々から引き出されるべき速度、又は、サンプル26が第二の容器24の上に移動すべき時間のみ質問する。
【0046】
尚、本発明の全開示(請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、更にその基本的技術思想に基づき、実施形態の変更、調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において、種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。即ち、本発明は、請求の範囲及び図面を含む全開示、技術的思想に従い、当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
20 染色装置
22 第一の容器違和感
23 第一処理媒体
24 第二の容器
25 第二処理媒体
26 サンプル
28 サンプル籠
30 吊り上げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一処理媒体(23)で満たされた第一の容器(22)、及び、第二処理媒体(25)で満たされた少なくとも1つの第二の容器(24)を含む染色装置(20)を操作する方法であって、
染色されるべきサンプル(26)が第一処理媒体(23)に浸漬され;
第一処理媒体(23)からサンプル(26)がどの程度早く引き出されるべきかを規定する速度が第一処理媒体(23)に従って、及び/又は、サンプル(26)に従って決定され;
各処理媒体(23)、各サンプル(26)、及び/又は、処理媒体(23)とサンプル(26)との各組み合わせに対して、少なくとも1つの速度が割り当てられている割り当てルールによって前記速度が決定され;
決定された速度で第一処理媒体(23)からサンプル(26)が引き出されることを特徴とする方法。
【請求項2】
第一処理媒体(23)で満たされた少なくとも1つの第一の容器(22)、及び、第二処理媒体(25)で満たされた第二の容器(24)を含む染色装置(20)を操作するための方法であって、
染色されるべきサンプル(26)が第一処理媒体(23)に浸漬され;
サンプル(26)が第一処理媒体(23)から引き出されてから第二の容器(24)の上に移動するまでに経過する時間が、第一処理媒体(23)及び/又はサンプル(26)に従って決定され;
各処理媒体(23)、各サンプル(26)、及び/又は、処理媒体(23)とサンプル(26)との各組み合わせに対して、少なくとも1つの時間が割り当てられている割り当てルールによって前記経過時間が決定され;
前記決定された経過時間が経過した後にサンプル(26)が第二の容器(24)の上に位置するように、サンプル(26)が第一処理媒体及び第一の容器(22)から引き出されることを特徴とする染色装置の操作方法。
【請求項3】
前記速度、及び、前記経過時間が決定され;
サンプル(26)が、決定された速度で第一処理媒体(23)から引き出されて、決定された経過時間以内に、第二の容器(24)の上に位置することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記速度、及び/又は、前記経過時間が、第一処理媒体(23)の粘度に従って決定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記速度、及び/又は、前記経過時間が、サンプル(26)に含まれる物質(material)に従って決定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
処理媒体(23、25)、及び/又は、サンプル(26)がクラスに区分され、
前記速度、及び/又は、前記経過時間が該クラスに従って決定されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
所定のサンプル(26)、所定の処理媒体(23、25)に関して、前記速度、及び/又は、前記時間が、許容される液滴連行レベル、及び/又は、観察されるべきプロセスの所要時間に従って決定されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−18167(P2012−18167A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151610(P2011−151610)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(500113648)ライカ ビオズュステムス ヌスロッホ ゲーエムベーハー (45)
【Fターム(参考)】