説明

染色釜

【課題】 綛専用の横型染色釜をスピンドルを交換可能な構造とすることで綛染色釜でもチーズ染色を可能ならしめ、効率良く染色することができるようにした染色釜を提供する。
【解決手段】 横型円筒状の綛染色釜本体2の隔壁6の内部に臨む染色液供給管12に長手方向上側面に複数の微細な吐出孔29を設けた中空の綛専用スピンドルSP1が水平に連結支持され、SP1の両端には回転可能に支持された一対の支持体R1,R2に綛旋回軸Hが支持されて、一方の支持体R2に伝達手段を介して係合した専用駆動源によりSP1の周りに旋回駆動するよう構成され、而も染色液供給管12には、SP1に代えてチーズ専用スピンドルSP2が着脱可能に連結されるよう構成されて、このSP2は、長手方向外周全域に複数の吐出孔18が穿設されると共にSP2の外周には、複数の染色液透過孔22を設けた複数のボビンBBが挿嵌支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、綛染色釜にてチーズ染色をも行うことができるようにした染色釜に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、糸の染色機として各種染色機があるが、代表的なものとして染色槽の上方に回転枠を回転自在に設け、この回転枠に綛束を懸架し、綛束の下部を染色槽に浸漬し回転枠の回転により綛束を順次回転させることにより全体を均一に染色する綛染色機と、染色用ボビンに糸を巻き、チーズ状にしてから染色するチーズ染色機と、が知られている(非特許文献1参照)。
【0003】
図9には前者の綛染色機が示されており、この綛染色機は、横型染色釜306の隔壁308に中空の綛専用スピンドル310の一端が水平に固設されて長手方向上側面には複数の微細な吐出孔が設けられており、上記綛専用スピンドル310の両端には径方向外方に延出する一対の支持体312が回転可能に支持され、上記支持体312には綛旋回軸314の両端が綛専用スピンドル310と平行に支持されている。
【0004】
上記支持体312は、図示しないモータ等の駆動源により回転駆動される一対の歯車318,320を介して上記綛専用スピンドル310の周りを旋回するようになっている。
【0005】
そこで、上記綛専用スピンドル310ないし綛旋回軸314に、輪状に束ねられた綛被染色物316を挿通懸架した状態で、上記支持体312を回転駆動して綛旋回軸314を綛専用スピンドル310の周りに旋回し、この綛専用スピンドル310の旋回により上記綛被染色物316を上記綛専用スピンドル310の周りで少しづつ回転させつつ、上記綛専用スピンドル310の複数の吐出孔から噴出する染色液322を上記綛被染色物316の内側から外側へ浸透させると共に、上部に設けた図示しない散水管から噴出する染色液322により均一に染色が行われている。
【0006】
また、後者のチーズ染色機は、図10に示すように、ボビン(不図示)に糸を巻き上げチーズ形状とした染色用チーズ305を染色機の縦型染色釜300内キャリア301に立設したスピンドル302に装填し、上記染色釜300内に染色液304を充填して上記チーズ305を浸漬する。そして、染色液をスピンドル内よりチーズ外層側へ、またはチーズ外層側よりスピンドル内方向へ通過させてチーズの染色が行われている。
【0007】
【非特許文献1】東京糸問屋協同組合発行「縫糸ハンドブック」出版、平成12年5月20日第二刷
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記のチーズ染色機では、上述のように縦型染色機で染色するのが通例となっているが、糸の性質から綛染色機も設備上必要となるため染色工場では、両者の染色機を個別に設備して生産しているのが現状である。
【0009】
このようなことから、工場に設備された異なる縦、横型染色釜をもつ染色機を使用して形態の異なる染色が行われているため、染色機2台分の設置床面積が必要となるだけでなく機械の設備費が嵩み、染色効率が低下する問題を有し、上記各問題を改良することができる染色機械が要望されていた。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、綛専用の横型染色釜に使用される綛専用スピンドルに代えてチーズ専用スピンドルを交換可能な構造とすることで綛染色釜でもチーズ染色を可能ならしめ、床面積の省スペース化を図ると共に設備費の低廉化を図り、効率良く染色することができるようにした染色釜を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を解決するために、本発明の請求項1に記載の染色釜は、開口する一端側が開閉可能な蓋体4で密閉閉塞されると共に他端側が隔壁6で閉塞された横型円筒状の綛染色釜本体2と、上記隔壁6に外部から挿通支持され上記綛染色釜本体2の内部に高温、高圧の染色液を供給する染色液供給管12と、上記隔壁6の内部に臨む上記染色液供給管12に水平に連結支持され先端側が閉塞されると共に長手方向上側面に複数の微細な吐出孔29を設けた中空の綛専用スピンドルSP1と、該綛専用スピンドルSP1の両端に回転可能に支持され径方向外方に延出する一対の支持体R1,R2に上記綛専用スピンドルSP1と平行に支持される綛旋回軸Hと、上記支持体R1,R2の一方に係合した伝達手段を介して上記綛旋回軸Hを上記綛専用スピンドルSP1の周りに旋回駆動する専用駆動源とを備え、上記綛専用スピンドルSP1ないし綛旋回軸Hに輪状に束ねた綛被染色物30を挿通懸架した状態で、旋回駆動される上記綛旋回軸Hにより綛被染色物30を綛専用スピンドルSP1の周りに旋回させつつ上記複数の吐出孔29から吐出した染色液を上記綛被染色物30の内側から外側へ浸透させて染色するようにした綛染色釜1に於いて、上記染色液供給管12には、上記綛専用スピンドルSP1に代えて中空のチーズ専用スピンドルSP2が連結手段を介して着脱可能に連結され、上記チーズ専用スピンドルSP2は、先端側が閉塞されて長手方向外周全域に複数の吐出孔18が穿設されると共に上記チーズ専用スピンドルSP2外周には、複数の染色液透過孔22を設けた複数のボビンBBが挿嵌支持されて成り、上記複数の吐出孔29から吐出した染色液を上記染色液透過孔22を介して上記ボビンBBに巻上げたチーズ被染色物20の内側から外側へ浸透させて、チーズ被染色物20をも染色できるようにしたことを特徴とする染色釜である。
上記の染色釜によれば、綛染色を行う際は、中空の綛専用スピンドルSP1ないし綛旋回軸Hに、輪状に束ねられた綛被染色物30を挿通懸架した状態で、支持体R1,R2を回転駆動して綛旋回軸Hを綛専用スピンドルSP1の周りに旋回し、この綛専用スピンドルSP1の旋回により上記綛被染色物30を上記綛専用スピンドルSP1の周りで少しづつ回転させつつ、上記綛専用スピンドルSP1の複数の吐出孔29から噴出する高温、高圧の染色液を上記綛被染色物30の内側から外側へ浸透させて均一に染色が行われる。また、チーズ染色を行う際は、上記綛専用スピンドルSP1に代えて上記染色液供給管12に連結手段を介して中空のチーズ専用スピンドルSP2を連結し、この中空のチーズ専用スピンドルSP2に、チーズ被染色物となる糸状20をチーズ状に巻き上げた複数のボビンBBを挿嵌支持し、この状態で上記中空のチーズ専用スピンドルSP2の長手方向外周全域に穿設された複数の吐出孔18から吐出された高温、高圧の染色液を、染色液透過孔22を通して上記糸状20の内側から外側へ浸透させて上記糸状20を均一に染色する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は以下の効果を奏する。
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、綛専用の横型染色釜に使用される綛専用スピンドルに代えてチーズ専用スピンドルを交換可能な構造とすることで、綛染色釜でもチーズ染色を行うことが可能となり、床面積の省スペース化を図ると共に設備費の低廉化を図り、効率良く染色することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0015】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明すると、図1は本発明の実施例に係り綛専用スピンドルに綛被染色物を懸架支持した染色釜の内部構造を示す斜視図、図2は綛被染色物専用の綛専用スピンドルが染色液供給管に連結された状態を示す説明図、図3は綛被染色物専用の綛専用スピンドルが染色液供給管から取り外された状態を示す説明図である。
【0016】
図1、図2において、1は綛染色釜であって、この綛染色釜1は、横型円筒状の綛染色釜本体2の開口する一端側が開閉可能な蓋体4で密閉閉塞されると共に他端側が隔壁6で閉塞されている。上記隔壁6には、外部から高温、高圧の染色液を供給する染色液供給管12が挿通支持され、上記綛染色釜本体2の内部に臨む端部には、綛専用スピンドルSP1が後述する連結手段を介して着脱可能に連結されている。
【0017】
綛専用スピンドルSP1は、中空管体26で構成され、長手方向上側面には、複数の微細な吐出孔29が穿設されるとともに、上記中空管体26の先端にはキャップCPが回転自在に支持されて、先端開口が閉塞されており、このキャップCPの後端側外周にはフランジF1が形成されるとともにキャップCPの先端壁面には係止軸25が突設しており、キャップCPの外周面には支持体R1が径方向外方に突設している。
【0018】
上記中空管体26の後端外周には雄ネジT1が螺設されており、この雄ネジT1と上記隔壁6から綛染色釜本体2内部に突出した染色液供給管12の突出部12a内壁に螺設された雌ネジT2とにより連結手段が構成されている。
【0019】
綛専用スピンドルSP1の後端側に螺設された雄ネジT2近傍には、大径歯車G1と一体形成されたフランジF2が回転可能に支持されており、このフランジF2には支持体R2が径方向外方に突設している。
【0020】
上記支持体R1と支持体R2の間には綛旋回軸Hの両端が上記綛専用スピンドルと平行に支持されており、この綛旋回軸Hは、綛専用スピンドルSP1の周りに旋回するようになっている。
【0021】
上記隔壁6には、駆動軸Sが回転可能に挿通支持されており、綛染色釜本体2の内部に臨む駆動軸Sの軸端には上記大径歯車G1と噛合する第1小歯車G2が取着されると共に、上記綛染色釜本体2の外方に延出する駆動軸Sの軸端には図示しない専用駆動源(例えばモータ)の出力軸に取着された第3小歯車G4と例えばタイミングベルトBを介して連結されている第2小歯車G3が取着されて伝達手段を構成している。
【0022】
詳しくは、綛専用スピンドルSP1は、管径7cmまたは8cmの中空管体26の長手方向上側面に、先端の雄ネジT3と後端側のフランジF1’間の長さ1380mmの範囲で直径1.8mmの吐出孔29が穿設されたものが使用されている。
【0023】
このように構成された綛専用スピンドルSP1を使用して綛被染色物30に染色を行う際は、上記綛専用スピンドルSP1ないし綛旋回軸Hに、輪状に束ねられた綛被染色物30を挿通懸架した状態で、支持体R1,R2を専用駆動源により回転駆動して綛旋回軸Hを綛専用スピンドルSP1の周りに旋回し、この綛専用スピンドルSP1の旋回により上記綛被染色物30を上記綛専用スピンドルSP1の周りで少しづつ回転させつつ、上記綛専用スピンドルSP1の複数の吐出孔29から噴出する高温、高圧の染色液が、上記綛被染色物30の内側から外側へ浸透すると共に、上記綛専用スピンドルSP1に対応して上部に設けた複数の散水管10から噴出する染色液により斑なく均一に染色が行われる。
【0024】
次に、図4〜図8を参照して上記綛染色釜を用いてチーズ被染色物をも染色できるようにした点を説明する。図4はチーズ専用スピンドルにチーズ組立体を支持した染色釜の内部構造を示す斜視図、図5はチーズ被染色物専用のチーズ専用スピンドルを染色釜内部に延出した染色液供給管に連結する状態を示す説明図、図6はチーズ被染色物専用のチーズ専用スピンドルが染色液供給管に連結された状態を示す説明図、図7は染色液供給管に連結されたチーズ専用スピンドルに被染色物となる糸状をチーズ状に巻き上げた複数のボビンとキャップを取付ける状態を示す分解組立斜視図、図8は各チーズ専用スピンドルに糸状をチーズ状に巻き上げた複数のボビン乃至キャップを取付けた状態を示す組立斜視図である。
【0025】
図4において、1は前述した綛被染色物の染色を行う際に使用した横型の綛染色釜であり、これをそのまま用いるので同一部分は同一符号を付し説明を省略する。後述するチーズ被染色物20を染色する際は、図5に示すように綛専用スピンドルSP1に代えてチーズ専用スピンドルSP2が上記染色液供給管12の突出部12aに上記と同じ連結手段を介して装着される。
【0026】
詳しくは、綛専用スピンドルSP1が、染色液供給管12の突出部12aから取外される際は、第1小歯車G2に噛合していた綛専用スピンドルSP1の大径歯車G1は、伝達手段の第1小歯車G2から切り離されて、これら第1、第2及び第3小歯車G2,G3,G4はそのまま綛染色釜本体2の隔壁6にそのまま残される。
【0027】
尚、上記連結手段として本実施例では、チーズ専用スピンドルSP2後端に螺設された雄ネジT1と染色液供給管12の突出部12a先端に螺設された雌ネジT2が採用されているが、これに限らずチーズ専用スピンドルSP2の後端ないし染色液供給管12の突出部12a先端にフランジを設けて、これらフランジをボルトで連結する連結法や、両者を迅速に連結する公知のクイック継手を用いた連結法も適宜採用することができる。
【0028】
図5および図6において、チーズ専用スピンドルSP2は、例えばステンレス鋼管で構成される中空管体14の先端外周に後述するキャップCPを螺着するための雄ネジT3が螺設されており、その後端側にはフランジF4が設けられ、後端外周には雄ネジT1が螺設されており、先端の雄ネジT3と後端側フランジF4の間には、上記中空管体14の長手方向全周に亘って複数の微細な吐出孔18が穿設されている。
【0029】
詳しくは、チーズ専用スピンドルSP2は、管径5.08cmの中空管体14外周に雄ネジT3とフランジF1間の長さ1380mmの範囲に直径3mmの吐出孔18がピッチ13mmの間隔で穿設されたものが使用されている。
【0030】
尚、チーズ専用スピンドルSP2の他の例として、同一管径5.08cmの中空管体14外周に、先端の雄ネジT3側から長さ873mmの範囲に直径2.5mmの吐出孔18がピッチ13mmの間隔で穿設され、且つ長さ873mmからフランジF1までの長さ436の範囲に直径3mmの吐出孔18がピッチ13mmの間隔で穿設されたものを使用することができる。
【0031】
そして、前述したチーズ専用スピンドルSP2では、長手方向全周に亘って穿設された吐出孔18が全て同一直径3mmで形成されているが、上記複数の吐出孔18を上記スピンドルSP2の先端に向けて順次小径に形成することで、染色液の圧力損失による吐出圧低減を抑制することができる。
【0032】
次に、複数のチーズ被染色物から成るチーズ組立体をチーズ専用スピンドルに支持する手順に付き図7、図8を参照して説明する。
【0033】
図7、図8において、符号8はチーズ組立体を示し、このチーズ組立体8は、被染色物となる糸状20をチーズ状に巻き上げた複数(実施例では5個)のボビンBBから成り、これらボビンBBは、染色液供給管12の突出部12a先端に上記連結手段を介して水平に連結された6本のチーズ専用スピンドルSP2に、先端側から順次連続的に挿嵌支持される。
【0034】
各チーズ専用スピンドルSP2に、糸状20をチーズ状に巻き上げた5個のボビンBBが挿嵌支持されると、これらチーズ専用スピンドルSP2の先端にキャップCPが螺着される。
【0035】
このボビンBBは、図7に示すように後端側に所定厚みのフランジBFが形成されるとともに、中空管の外周には、上記チーズ専用スピンドルSP2に形成された吐出孔18の孔径より大径の染色液透過孔22が穿設されている。
【0036】
また、キャップCPは、チーズ専用スピンドルSP2の先端開口を閉塞するもので、後端側外周にボビンBBにチーズ状に巻き上げられた糸状20の外径と略同径の鍔としてフランジF1が形成されており、キャップCPの後端側開口には、上記チーズ専用スピンドルSP2先端の雄ネジT3に螺合する雌ネジ(不図示)が螺設されると共に、先端側壁面には係止軸25が突設されている。
【0037】
図7に示される手順で6組のチーズ組立体8が組立られると、キャップCP先端の係止軸25が上記綛染色釜1の軸心を横切るように綛染色釜本体2の両内壁間に水平に架設された長尺の支持棒28上に支持される。
【0038】
そこで、チーズ染色を行う際は、綛専用スピンドルSP1に代えて上記染色液供給管12に連結手段を介して中空のチーズ専用スピンドルSP2を連結し、この中空のチーズ専用スピンドルSP2に、チーズ被染色物となる糸状20をチーズ状に巻き上げた複数のボビンBBを挿嵌支持してチーズ組立体8を組立て、この状態で上記中空のチーズ専用スピンドルSP2の複数の吐出孔18から吐出された高温、高圧の染色液を、染色液透過孔22を通して上記糸状20の内側から外側へ浸透させると共に、上記綛専用スピンドルSP2に対応して上部に設けた複数の散水管10から噴出する染色液により上記糸状20が斑なく均一に染色が行われる。
【0039】
次に、横型の綛染色釜を使用してチーズ染色を実施した染色例に付き詳述する。
【0040】
第1の染色例では、チーズ状にボビンBBに巻き上げた被染色物となる糸状20として、234デシテックス(78dtex/1×3)のポリエステルミシン糸が使用され、上記ボビンBBに上記ポリエステルミシン糸を糸綾角度30°にて1020g巻き付け、48本を130℃で本発明の横型の綛染色釜1内で20分間染色した。
【0041】
その結果、従来から使用しているチーズ用縦型高温高圧染色機に比較して染め斑もなく良好な染色ができた。
【0042】
また、第2の染色例では、チーズ状にボビンBBに巻き上げた被染色物となる糸状20として、168デシテックス(56dtex/1×3)のポリエステルミシン糸が使用され、上記ボビンBBに上記ポリエステルミシン糸を糸綾角度30°にて1060g巻き付け、48本を130℃で本発明の横型の綛染色釜1内で20分間染色した。
【0043】
その結果、従来から使用しているチーズ用縦型高温高圧染色機に比較して染め斑もなく良好な染色ができた。
【0044】
すなわち、上記の実施例で述べたように、横型の綛染色釜1に使用される綛専用スピンドルSP1に代えてチーズ専用スピンドルSP2を交換可能な構造とすることで、綛染色釜1でもチーズ染色を行うことができ、床面積の省スペース化を図ると共に設備費の低廉化を図り、効率良く染色することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施例に係り綛専用スピンドルに綛被染色物を懸架支持した綛染色釜の内部構造を示す斜視図である。
【図2】綛被染色物専用の綛専用スピンドルが染色液供給管に連結された状態を示す説明図である。
【図3】綛被染色物専用の綛専用スピンドルが染色液供給管から取り外された状態を示す説明図である。
【図4】綛染色釜にチーズ専用スピンドルを取付けた綛染色釜の内部構造を示す斜視図である。
【図5】チーズ被染色物専用のチーズ専用スピンドルを染色釜内部に突出した染色液供給管に連結する状態を示す説明図である。
【図6】チーズ被染色物専用のチーズ専用スピンドルが染色液供給管に連結された状態を示す説明図である。
【図7】染色液供給管に連結されたチーズ専用スピンドルに被染色物となる糸状をチーズ状に巻き上げた複数のボビンとキャップを取付ける状態を示す分解組立斜視図である。
【図8】各チーズ専用スピンドルに糸状をチーズ状に巻き上げた複数のボビン乃至キャップを取付けた状態を示す組立斜視図である。
【図9】綛染色を行う従来の横型染色釜の内部構造を示す正面図である。
【図10】チーズ染色を行う従来の縦型チーズ染色釜の断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 綛染色釜
2 綛染色釜本体
4 蓋体
5 垂直支持軸
6 壁面
8 チーズ組立体
10 散水管
12 染色液供給管
12a 突出部
14 中空管体
18 吐出孔
20 チーズ被染色物(糸状)
22 染色液透過孔
24 カップ体
25 係止軸
26 中空管体
28 支持棒
29 吐出孔
30 綛被染色物
B タイミングベルト
BB ボビン
BF フランジ
CP キャップ
F1,F2 フランジ
F3,F4 フランジ(鍔)
G1 大径歯車
G2 第1小歯車
G3 第2小歯車
G4 第3小歯車
H 綛旋回軸
R1,R2 支持体
SP1 綛専用スピンドル
SP2 チーズ専用スピンドル
T1,T3 雄ネジ
T2 雌ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口する一端側が開閉可能な蓋体4で密閉閉塞されると共に他端側が隔壁6で閉塞された横型円筒状の綛染色釜本体2と、上記隔壁6に外部から挿通支持され上記綛染色釜本体2の内部に高温、高圧の染色液を供給する染色液供給管12と、上記隔壁6の内部に臨む上記染色液供給管12に水平に連結支持され先端側が閉塞されると共に長手方向上側面に複数の微細な吐出孔29を設けた中空の綛専用スピンドルSP1と、該綛専用スピンドルSP1の両端に回転可能に支持され径方向外方に延出する一対の支持体R1,R2に上記綛専用スピンドルSP1と平行に支持される綛旋回軸Hと、上記支持体R1,R2の一方に係合した伝達手段を介して上記綛旋回軸Hを上記綛専用スピンドルSP1の周りに旋回駆動する専用駆動源とを備え、
上記綛専用スピンドルSP1ないし綛旋回軸Hに輪状に束ねた綛被染色物30を挿通懸架した状態で、旋回駆動される上記綛旋回軸Hにより綛被染色物30を綛専用スピンドルSP1の周りに旋回させつつ上記複数の吐出孔29から吐出した染色液を上記綛被染色物30の内側から外側へ浸透させて染色するようにした綛染色釜1に於いて、
上記染色液供給管12には、上記綛専用スピンドルSP1に代えて中空のチーズ専用スピンドルSP2が連結手段を介して着脱可能に連結され、上記チーズ専用スピンドルSP2は、先端側が閉塞されて長手方向外周全域に複数の吐出孔18が穿設されると共に上記チーズ専用スピンドルSP2外周には、複数の染色液透過孔22を設けた複数のボビンBBが挿嵌支持されて成り、上記複数の吐出孔29から吐出した染色液を上記染色液透過孔22を介して上記ボビンBBに巻上げたチーズ被染色物20の内側から外側へ浸透させて、チーズ被染色物20をも染色できるようにしたことを特徴とする染色釜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−217808(P2007−217808A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37829(P2006−37829)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(390015299)大貫繊維株式会社 (2)
【Fターム(参考)】