説明

柔軟・半乾性動物標本の作製方法

【課題】 従来の軟・乾性解剖標本の作製方法よりも、作製時間を短縮し、標本本来の感触を半永久的に維持できる柔軟・半乾性動物標本を安価に作製、保管する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
生体器官または生体そのもの被標本をマスクドホルムによって組織を固定する段階と、この組織を固定した被標本を水洗する段階と、水洗した被標本中の水分をグリセリンによって置換して被標本全体に柔軟性を維持させる段階と、その被標本全体をジェルメディウムによるコーティングする段階を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人体やその他の動物の内臓等の諸器官、表面に体毛を有さない小動物等に、柔軟性をもたせた半乾性動物標本の作製方法、とくに、被標本の本来の感触を可能な限り残し、その感触を手にとって感じ得ることができ、また簡便かつ安価な保存方法を用いて常温、常態で半永久的に保存できる利点を有する標本作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動物標本は、常温、常態下で、可能な限り生体に近い状態で保存されることが望ましいとされる。しかし、そのままの状態にしておくと、空気に触れ、水分があると腐敗が進み、原型を維持できなくなる。
【0003】
そのため、従来は、ホルマリン液に浸漬して腐敗を防ぐことが行われてきた。しかし、この方法では標本が液中保存のため、ガラス容器越しにしか観察ができず、細部の観察に不向きである。標本を液中から引き上げて観察することもできるが、直接素手で触ることができない上に、ホルマリン臭の刺激がひどい。また、ガラス容器と保存液を合わせると結構な重量となるため、持ち運ぶ際に手間を要してしまい、保管にも場所をとってしまうという問題があった。
【0004】
標本の原型維持方法として凍結乾燥を適用する方法もあるが、標本が生体としての弾力性を失い、堅く硬化し、空気中に長時間おいておくと水分を吸収し、カビが発生し、腐敗するという問題がある。
【0005】
標本を作製するに際し、保存中に腐敗しないようにするための手段として、特許文献1および2に記載のように重合性プラスチックを含浸させる方法が開示されている。
【0006】
また、アルコールやアセトンで組織を固定して腐敗防止し、表面を塩化エチレン、シリコン樹脂等でコーティングする方法が試みられるようになり、とくに、特許文献3と非特許文献1には、動物の臓器等の標本をアルコールまたはアセトンの溶剤に所定時間浸漬して被標本の水分を前記溶剤と置換する過程と、溶剤が浸透された被標本を塩化メチレン液に浸漬して溶剤を塩化メチレン液と置換する過程と、塩化メチレン液が浸透された被標本を塩化メチレンとシリコン樹脂の混合剤に浸漬する過程と、この被標本に低真空状態下でシリコン樹脂を浸透・硬化させる過程とから柔軟性動物標本の作製方法が開示されている。
【0007】
この動物標本の作製方法は、常温・常態で保存可能であり、手にとることができ、しかも、長期的に使用できる標本の作製をその目的とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭53−111826号公報
【特許文献2】特開昭57−355016号公報
【特許文献3】特公平7−39321号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】臨床解剖学実習書 穐吉 敏男著 1992年2月28日金原出版社発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、既に開発されているこの動物標本の作製方法は、以下のような欠点がある。
【0011】
その第1は、アルコールまたはアセトンの溶剤に所定時間浸漬して被標本の水分を前記溶剤と置換する過程において、この種の溶剤は、生体組織を固定する能力が弱いため、かなり長時間浸漬しておかねばならないという問題である。
【0012】
それにも増して、この方法の最大の問題は、アルコールまたはアセトンの溶剤に所定時間浸漬して組織を固定した後、樹脂コーティングを行うに際して、被標本の水分を完全に除去する必要があるが、従来、シリコン樹脂とともに使用されていた塩化メチレンは水分と置換する能力に欠け、被標本中の水分を完全に除去することはできないという問題がある。
【0013】
さらには、最終段階でコーティング剤として使用するシリコン樹脂は、明らかな厚みが生じる上、ゴムの様な硬い感触となり、本来の動物の器官の感触とは大きく異なるものとなってしまう。また、標本内部を観察しようにも、柔軟性に乏しいため、内部を開くことができない上、触っているうちにコーティングがボロボロと剥がれ、標本の態をなさなくなるという問題もある。
【0014】
この発明が解決しようとする課題は、上記従来の軟・乾性解剖標本の作製方法における欠点を解消した標本の作製方法の提供にある。つまり、作製時間を短縮し、本来の感触に限りなく近く、半永久的に維持でき、かつ簡便・安価な保管、移動方法を可能とした柔軟・半乾性動物標本の作製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明は、被標本が、人体を含む生体の器官、または、魚類を含む生物標本の作製方法であって、被標本のマスクドホルムによる組織固定段階と、水洗後グリセリンのような水和性の不揮発性液体に浸漬し、グリセリンと被標本中の水分とを置換させることで被標本に柔軟性をもたせる柔軟性付与段階と、その標本全体をジェルメディウムによりコーティングし、グリセリンを被標本中に留保させる段階を有する過程を経て柔軟・半乾性動物標本を作製する方法である。
【0016】
組織固定段階においては、標本の組織の腐敗を防止するための固定剤としては、従来使用していたアルコールの他に、それよりも固定時間が短くて済むホルマリンがある。しかし、このホルマリンは、強烈な刺激臭があるため、この発明では、刺激臭の少ないホルムアルデヒド含有液を用いて固定を行う。このホルムアルデヒド含有液としては、ホルムアルデヒドを18.5%含有するマスクドホルム(日本ターナー株式会社による商標名)が好適に使用できる。
【0017】
しかしながら、人体の解剖後の臓器を被標本にする場合は、通常、人体の解剖後直ちにホルマリンを血管内に注入し、ホルマリン液に浸漬させ、固定が充分になされている状態であるため、改めて固定の処理を行う必要はない。
【0018】
また、被標本が人体以外の動物の場合には、豚や牛の様な動物の臓器の場合は、注射器を用いて臓器に直接30%濃度のマスクドホルム溶液を臓器重量の10〜20%程度注入し、臓器内部の固定を行う。そして、その後、20%マスクドホルム溶液中に浸す。
【0019】
心臓や腎臓の様な実質系の臓器は約2週間程度、腸や肺の様な臓器は1週間程度浸漬して固定する。
【0020】
さらには、魚、その他の小動物を丸ごと被標本にする場合、内臓を取り出し、中に脱脂綿等を詰めておくとよい。40%濃度のマスクドホルム溶液を注射器で魚等の重量の20%程度注入した後、30%マスクドホルム溶液中に浸漬させるが、魚等は鱗があるため外部からの固定液が浸み込み難い。したがって、細部に分けて注入する必要がある。
【0021】
グリセリンと被標本中の水分とを置換させることで被標本に柔軟性をもたせる柔軟性付与に際しての水洗は、ホルマリンの刺激臭を取り除くためである。しかし、水洗時間が長過ぎると組織の固定がとれて腐敗してしまうので注意を要する。
【0022】
まず、マスクドホルムに浸漬させて固定していた被標本を、被標本に対して十分な余裕をもって収まるくらいの深めの容器に移し、シンクに置く。水流が被標本の下方から上方に流れるようにするため、蛇口にホース(容器の底に着かないくらいの長さ)を付ける。小指1本分くらいの水量で水を流し、ホルムアルデヒドの刺激臭が、ほとんど無くなる程度まで継続する。
【0023】
刺激臭が取り除かれたら、水から引き上げ、ペーパー等で包んで水分を取り除く。途中、ペーパーを外した状態で2〜3時間放置し、水分を蒸発させながらこの作業を繰り返す。内部の水分は、ペーパーで包んだ状態で軽く握って取り除くとよい。水分の滲出がなくなるまで行う。
【0024】
水洗後の柔軟性付与段階は、水洗した被標本中の水分をグリセリンと置換して、被標本全体に柔軟性を維持させるものである。
【0025】
この本発明では、従来使用されてきた塩化メチレンとシリコン樹脂との混合物に代えてグリセリンを使用する。グリセリンは、水和性であり、水洗後に除ききれなかった標本中の水分と置換する水分置換剤として機能する。また、不揮発性であるため被標本が乾燥することなく、柔軟性を有する半乾燥の状態に保つことができる。また、グリセリンは、組織内の充填材としても機能する。
【0026】
この水分置換剤として、グリセリンの他に、原理的には不揮発性液体等を使用することができるが、グリセリンが最も安価で手に入れやすい。
【0027】
グリセリンによる水分置換段階においては、先ずは、ある程度水分を取り除いた被標本を深めの容器に移し、被標本が被るくらいグリセリンを流し込む。被標本が浮いてきた場合は、ガーゼやラップを掛けてグリセリンが全体を覆うようにして浸漬させる(グリセリン1と称する)。重しをすると、重しの形がついてしまうので注意が必要である。被標本に残っていた水分とグリセリンが置換し、グリセリンが希釈される。このグリセリンがサラサラの状態になったら、新しいグリセリンに浸漬させ、置換を続ける(グリセリン2と称する)。さらに、置換が進み、再びグリセリンがサラサラの状態になった場合、前記同様の処理を続ける(グリセリン3と称する)。
【0028】
被標本に残った水分量が、グリセリンの使用量に大きく関係するため、水洗後の水分を取り除く作業が重要なポイントとなる。
【0029】
この水分置換段階においては、被標本に残った水分量が、グリセリンの使用量に大きく関係するため、水洗後の水分を取り除く作業が重要なポイントとなる。グリセリンの濃度に、それほどの変化がみられなくなってきたら、被標本をグリセリンから引き上げて余分なグリセリンを滴らせて落とす(網等の上に置くと、網の形が付くので避ける)。大方のグリセリンを落とした後は、ペーパー等で包んだまま、握るような感じで押し出して、中に浸み込んでいる余分なグリセリンを取り除く。被標本が柔軟性と半乾性を有するのに最低限必要なグリセリン量にするため、押し出した時に、中からグリセリンがジットリと出てこなくなるまでこれを繰り返す。
【0030】
最後のコーティング段階においては、先の水分との置換に使用したグリセリンによるベタつきを防ぐために、ジェルメディウムによってその被標本全体をコーティングする。ジェルメディウムは、水溶性で元来美術品の透明な盛り上げ剤として使用されるもので、アクリル絵具と混ぜて粘性を維持しつつ透明な被膜を作る時に使用する薬剤であり、水でうすめることによりコーティングの硬さと厚さが調節可能であり柔軟性を持たせることができる。そのため、被標本として、動物の心臓や肺、腸、また魚類そのもの等の特性を活かした標本を作製することができる。
【0031】
コーティング段階においては、ジェルメディウムを水で薄め、筆でよく溶き混ぜてジェルメディウム液を作る。希釈する割合は、被標本の性質によって多少異なるが、容量割合で、ジェルメディウム:水=1:4〜5程度である。
【0032】
余分なグリセリンを除いた後の被標本表面にジェルメディウム液を塗布し、乾かす。乾いたら、さらに重ねて塗布して乾かす。この作業を繰り返し、最低3重のコーティングを行うが、コーティング回数は被標本の種類によって異なる。また、ジェルメディウムは接着作用も有しており、ジェルメディウム液塗布後の被標本を乾かす際、そのまま直に置くと被標本がその場所に接着してしまう。そのため、シリコン樹脂加工耐油紙(クッキングシート等)を下に敷き、その上に置いて乾かす。
【0033】
柔軟性のある標本に仕上げるためには、濃度の濃いジェルメディウム液を一気に塗るのではなく、濃度の薄いジェルメディウム液を数回に分けて塗ることが非常に重要なポイントとなる。
【0034】
この発明によって作製された標本は、グリセリンを含んでいるため、空気中の水分を吸着しやすい。これを防ぐために、密閉できる袋にシリカゲル等の乾燥剤と共に保管する。また、標本を重ねて(詰め込んで)保管すると、標本同士が接着する可能性があるため、標本同士が直接接しないように余裕をもたせて保管することも重要である。
【発明の効果】
【0035】
この発明の製作方法により、ホルマリン液浸標本の様にガラス越しに見る標本はもとより、従来の実際に手にとることができる標本の作製に比べても、作製時間や工程、材料、保管がより簡便であり、本来の状態に近い質感を保持した標本の作製を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施例として人体の心臓を被標本とした例の写真を示す。
【図2】実施例として人体の肺を被標本とした例の写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、この発明の作製方法の実施形態を以下の実施例によって説明する。
【実施例】
【0038】
実施例1
この発明を、実質系(心臓、肝臓、腎臓等の様に中身が詰まっている、または厚みのあるもの)の被標本として、人体の心臓に適用した場合の柔軟・半乾性動物標本の作製実施例について、(1)固定、(2)水洗、(3)置換、(4)コーティングの各段階に基づいて説明する。
【0039】
(1)固定
前記した様に、人体の解剖後の臓器を標本にする様な場合は、既にホルマリンを血管内に注入し、ホルマリン液に浸漬させ、固定が充分になされている状態である。そのため、改めて固定の処理を行う必要はない。
【0040】
(2)水洗
前記要領で水洗を開始する。ヒトの心臓の大きさ(拳くらい)であれば、2日程で水洗は完了する。その他の動物の心臓で、より小さいものであればさらに短い時間で完了する。
水洗完了後からグリセリンに浸漬させるまでの、余分な水分を取り除く作業は、24時間以内に完了することが望ましい。
【0041】
(3)置換
前記要領で置換を開始する。ヒトの心臓であれば、グリセリン1に1日、グリセリン2に3日程度浸漬させる。
【0042】
(4)コーティング
この発明による心臓の標本は、心臓そのものの形態だけではなく、柔軟・半乾性によるしなやかな性質を利用して、心臓内部の構造を観察できることがポイントとする。そのため、水洗完了後、内部を観察する際に開く部分を作っておく必要がある。
【0043】
初めは、前記のとおり、外面からコーティングを施していき、外面のコーティング完了後、内部のコーティングにうつる。内部のコーティングでは、心房や血管の内面同士や観察する時に開く部分が接着しないようにするため、ジェルメディウム液は通常よりも薄め(ジェルメディウム:水=1:7〜8)にする。さらに、シリコン樹脂加工耐油紙(クッキングシート等)を用い、接着させたくない部分の間に挟んで(詰めて)おくことで接着するのを回避することができる。
【0044】
また、内部に塗布したジェルメディウム液が、下に溜まってそのまま固まってしまわないように注意する。塗布回数は内、外面各3回以上は行う。
【0045】
得られた人体の心臓部分の標本は、図1の写真に示す。同図写真aは外観を示し、bは内部を示す。
【0046】
得られた標本は、従来のホルマリン液浸標本又はパラフィン固定によって得られた標本と比較して、全体が柔軟性に富み、触れても、その感触は、その内部も含めて、実物の感触を体験できるものであった。
【0047】
実施例2
この発明を、実質系以外(肺、血管、腸等の内部が詰まっておらず、厚さの薄いもの)の被標本として人体の肺に適用し、柔軟・半乾性標本の作製実施例について説明する。
【0048】
(1)固定
心臓の場合と同様である。
【0049】
(2)水洗
2〜3日程で水洗は完了するが、途中何度か、肺の中に浸み込んでいる固定液を押し出しながら水洗していく。
【0050】
肺はスポンジのような性質であって、水分を吸収しやすい。そのため余分な水分を取り除くのに多少手間と時間を要する。まず、気管にポンプを差し込み、内部の水分を吸引して取り除く。今度は逆に、気管にポンプを差し込み、空気を入れ、内部から出てくる水分をペーパー等で拭き取っていき、ペーパーで包んだ状態でしばらく放置する。この作業を繰り返して余分な水分を取り除いていくが、あまり長い時間をかけると乾燥する部分が出てくるため、4日以内に作業を完了する。
【0051】
(3)置換
肺はスポンジの様な性質をもっているため、グリセリンが浸み込みやすいが、浸み込み過ぎると半乾燥状態の標本とはならない。そのため、グリセリンが浸み込み過ぎないような方法で置換を行う必要がある。
【0052】
まず、ポンプを用いて肺の中に空気を入れ、その後グリセリンに40分程度浸漬させる。グリセリンから引き上げ、再び空気を入れてペーパーで巻いて3時間程度放置しておく。さらに空気を入れては放置して、徐々にグリセリンと水を置換させる。この工程を再度繰り返す。さらに、グリセリンを外面から塗って浸み込ませ、余分な水分を取り除くため、乾燥材(シリカゲル)を入れたデシケーターに入れておく。この作業を2回行う。
【0053】
(4)コーティング
この発明による肺の標本は、肺そのものの形態だけではなく、柔軟・半乾性の性質を利用して、肺のスポンジの様な質感を感じることができる点がポイントである。そのためには、肺の内部に空気を含ませたままの状態でコーティングを完了させなければならない。
【0054】
そこでまず、ポンプを用いて気管から空気を入れて肺の中を空気で満たし、空気が抜けないよう素早く気管の穴をジェルメディウムで塞いで栓をする。
【0055】
その後、先の要領でコーティングを行う。
【0056】
得られた人体の肺の標本を図2の写真に示す。aは前方からを、bは背面からを示す。全体が柔軟性に富み、触れても、その体感は、実物の感触を体験できるものであった。
【0057】
実施例3
この発明を魚類等に適用して、コイの標本を作製した。
【0058】
魚等の小動物を丸ごと標本にする場合、内臓を取り出し、中に脱脂綿等を詰めておく。40%濃度のマスクドホルム溶液を注射器で魚重量の20%程度注入した後、30%マスクドホルム溶液中に浸漬させるが、魚等は鱗があるため外部からの固定液が浸み込み難い。したがって、細部に分けて注入する必要がある。
【0059】
体長50センチの丸々一匹を常温下でホルマリン液に2週間浸漬し後、流水中に1日放置し、脱臭した。その後、丸ごとポンプで、グリセリンを吹き込み、グリセリン紙に包み、3〜6日放置した。その後、実施例1と同じジェルメディウムを水でうすめて、全体をコーティングした。
【産業上の利用可能性】
【0060】
この発明によって得られた標本は、直接手に触れることが可能かつ、本物に近い質感を出すことが可能であるため、教育現場等において、学生に直接手渡し、標本を見ながら講義を行なうことができ、被標本による実物への学生の理解を深めることに役立つ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被標本のホルムアルデヒド含有液による組織固定段階と、
水洗後、水和性の不揮発性液体に浸漬し、水和性の不揮発性液体と被標本中の水分とを置換させることで被標本に柔軟性をもたせる柔軟性付与段階と、
その標本全体をジェルメディウムによりコーティングし、不揮発性液体を被標本中に留保させる段階を有する柔軟・半乾性動物標本の作製方法。
【請求項2】
水和性の不揮発性液体がグリセリンである請求項1に記載の柔軟・半乾性動物標本の作製方法。
【請求項3】
標本全体へのコーティングを、ジェルメディウムをジェルメディウム:水との容量割合を1:4〜5の割合に希釈して、数回に分けて標本全体に塗布する請求項1に記載の柔軟・半乾性動物標本の作製方法。
【請求項4】
被標本が、人体を含む生体の器官、または、魚類を含む生物である請求項1に記載の柔軟・半乾性動物標本の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−208971(P2010−208971A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55184(P2009−55184)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(507075923)学校法人永原学園 (3)
【Fターム(参考)】