説明

柔軟剤組成物

【課題】 作成直後から低粘度であり、保存中に増粘や分離がほとんど発生せず保存安定性に優れる柔軟剤組成物を提供する。
【解決手段】 乳化剤(A)、カチオン界面活性剤(B)並びに水(C)及び/又は親水性溶剤(D)を含有する柔軟剤組成物。カチオン界面活性剤(B)の重量に対する乳化剤(A)の重量の比率[(A)/(B)]は0.01〜0.3であることが好ましい。
乳化剤(A):乳化剤(A1)並びに乳化剤(A2)及び/又は乳化剤(A3)。
カチオン界面活性剤(B):カチオン界面活性剤(B1)及び/又はカチオン界面活性剤(B2)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、柔軟剤組成物は1分子中に2個の長鎖アルキル基を有する第4級アンモニウム塩を主成分として含有しているが、前記第4級アンモニウム塩は水不溶性であるため、水に乳化した形態のものが知られている。このため柔軟剤組成物には作成直後から低粘度で、かつあらゆる環境下においても増粘が抑制される高い保存安定性が求められている。特に、アルキル鎖のいずれかの位置にエステル基やアミド基を有する炭化水素基を有する第4級アンモニウム塩を主成分とする柔軟剤組成物は、長期保存によって加水分解が起こるため増粘しやすい。その解決手段として、作成直後の柔軟剤組成物に対してゲル化防止や低粘度化を目的として無機塩や有機酸塩を含有する組成物が特許文献−1、2には開示されている。また特許文献−3には保存安定性の向上を目的として柔軟剤組成物のpHを酸性に調整することで増粘を抑制することが提案されている。特許文献−4には保存安定性の向上を目的として特定のカチオン界面活性剤とペプチドとを含有する組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献−1】特開平11−81134号公報
【特許文献−2】特開平6−306769号公報
【特許文献−3】特開平7−003649号公報
【特許文献−4】特開2004−143655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1、2で提案された無機塩や有機酸塩を含有させたり、特許文献3で提案されたpHを調整しても保存安定性は十分でないという課題があった。また、特許文献4で提案された組成物では、保存中に増粘が発生するという課題があった。
本発明の目的は、作成直後から低粘度であり、保存中に増粘や分離がほとんど発生せず保存安定性に優れる柔軟剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、乳化剤(A)、カチオン界面活性剤(B)並びに水(C)及び/又は親水性溶剤(D)を含有する柔軟剤組成物である。
乳化剤(A):下記一般式(1)で表される乳化剤(A1)並びに下記一般式(2)で表される乳化剤(A2)及び/又は下記一般式(3)で表される乳化剤(A3)。
【化1】

[式中、Rは炭素数11〜20のアルキル基又はアルケニル基;AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基;hは20〜100の整数である。]
【化2】

[式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基;AO及びAOはそれぞれ独立に炭素数2〜4のオキシアルキレン基;i及びjは、i+j=10〜150を満たす整数である。]
【化3】

[式中、Rは炭素数6〜10のアルキル基又はアルケニル基;AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基;kは10〜100の整数である。]
カチオン界面活性剤(B):下記一般式(4)で表されるカチオン界面活性剤(B1)及び/又は下記一般式(5)で表されるカチオン界面活性剤(B2)。
【化4】

[式中、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、ベンジル基、又はヒドロキシエチル基;R及びRは、それぞれ独立に炭素数12〜24のアルキル基、アルケニル基又はアルカノイル基;Rは、炭素数1〜3のアルキル基;Y及びYは、それぞれ独立にCH、O又はNH;rは1〜3の整数;Xn−はn価の無機酸又は有機酸のアニオンであり、nは1〜4の整数である。]
【化5】

[式中、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、ベンジル基、又はヒドロキシエチル基;R及びR10は、それぞれ独立に炭素数12〜24のアルキル基、アルケニル基、アルケノイル基又はアルカノイル基;Yは、CH、O又はNH;sは1〜3の整数;Xp−はp価の無機酸又は有機酸のアニオンであり、pは1〜4の整数である。]
【発明の効果】
【0006】
本発明の柔軟剤組成物は、作成直後から低粘度であり、保存中に増粘や分離がほとんど発生せず保存安定性に優れるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の柔軟剤組成物は、乳化剤(A)を含有してなる。乳化剤(A)は、一般式(1)で表される乳化剤(A1)と、一般式(2)で表される乳化剤(A2)及び/又は一般式(3)で表される乳化剤(A3)である。
一般式(1)におけるRは、炭素数11〜20の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基であり、具体的には、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、オクテニル基及びデセニル基等が挙げられる。これらのうち、保存安定性の観点から好ましいのは炭素数11〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、更に好ましいのは炭素数11〜14のアルキル基又はアルケニル基である。炭素数11未満又は20を超えるアルキル基又はアルケニル基では、カチオン界面活性剤(B)の乳化性が低くなるため、保存安定性の観点から好ましくない。また、炭素数11〜20のアルキル基又はアルケニル基は、単独で用いてもよいし二種以上を併用してもよい。
【0008】
一般式(1)におけるAOは、炭素数2〜4のアルキレンオキシ基である。炭素数2〜4のアルキレンオキシ基としては、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、及びブチレンオキシ基等が挙げられる。炭素数2〜4のアルキレンオキシ基は、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用している場合は、ブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよい。これらのうち、保存安定性の観点から好ましいのは、エチレンオキシ基単独である。
【0009】
一般式(1)におけるhは20〜100の整数であり、柔軟剤組成物のハンドリング性の観点から好ましくは20〜80の整数であり、更に好ましくは20〜60の整数であり、特に好ましくは20〜40の整数である。hが20未満の場合はカチオン界面活性剤(B)の乳化性が低くなり、100を超えると柔軟剤組成物の粘度が高くなるため、好ましくない。
【0010】
乳化剤(A1)におけるエチレンオキシ基の含有率は、(A1)の重量に基づき、保存安定性の観点から好ましくは80〜95重量%であり、更に好ましくは85〜95重量%である。
【0011】
乳化剤(A1)としては、ウンデシルアルコールエチレンオキサイド35モル付加物、ウンデシルアルコールエチレンオキサイド50モル付加物、ウンデシルアルコールエチレンオキサイド80モル付加物、ドデシルアルコールエチレンオキサイド25モル付加物、ドデシルアルコールエチレンオキサイド40モル付加物、テトラデシルアルコールエチレンオキサイド50/プロピレンオキサイド5モルランダム付加物、ヘキサデシルアルコールエチレンオキサイド40モル付加物及びオクタデシルアルコールエチレンオキサイド40モル付加物等が挙げられる。
【0012】
一般式(2)におけるRは、炭素数8〜20の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基であり、具体的には、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、オクテニル基及びデセニル基等が挙げられる。これらのうち、保存安定性の観点から好ましいのは炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基である。炭素数8未満又は20を超えるアルキル基又はアルケニル基では、カチオン界面活性剤(B)の乳化性が低くなるため、保存安定性の観点から好ましくない。また、炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基は、単独で用いてもよいし二種以上を併用してもよい。
【0013】
一般式(2)におけるAO及びAOは、それぞれ独立に炭素数2〜4のアルキレンオキシ基であり、一般式(1)におけるAOと同様の基が挙げられる。炭素数2〜4のアルキレンオキシ基は、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用している場合は、ブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよい。これらのうち、保存安定性の観点から好ましいのは、エチレンオキシ基単独並びに炭素数2及び3のアルキレンオキシ基がランダム状及び/又はブロック状に付加した基である。
【0014】
一般式(2)におけるi+jは10〜150を満たす整数であり、柔軟剤組成物のハンドリング性の観点から好ましくは20〜80の整数であり、更に好ましくは20〜60の整数である。i+jが10未満の場合はカチオン界面活性剤(B)の乳化性が低くなり、150を超えると柔軟剤組成物の粘度が高くなるため、好ましくない。
【0015】
乳化剤(A2)におけるエチレンオキシ基の含有率は、(A2)の重量に基づき、保存安定性の観点から好ましくは60〜95重量%であり、更に好ましくは70〜85重量%である。
【0016】
乳化剤(A2)としては、ドデシルアミンエチレンオキサイド25モル付加物、テトラデシルアミンエチレンオキサイド40モル付加物、ヘキサデシルアミンエチレンオキサイド40モル付加物、オクタデシルアミンエチレンオキサイド25モル付加物、オクタデシルアミンエチレンオキサイド42モル/プロピレンオキサイド5モルランダム付加物及びデシルアミンエチレンオキサイド25モル/プロピレンオキサイド5モルブロック付加物等が挙げられる。
【0017】
一般式(3)におけるRは、炭素数6〜10の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基であり、具体的には、ヘキシル基、ヘキセニル基、ヘプチル基、オクチル基、オクテニル基、ノニル基、デシル基及びデセニル基等が挙げられる。これらのうち、保存安定性の観点から好ましいのは炭素数8〜10のアルキル基又はアルケニル基である。炭素数6未満のアルキル基又はアルケニル基ではカチオン界面活性剤(B)の乳化性が低くなり、10を超えるアルキル基又はアルケニル基では、柔軟剤組成物の粘度が高くなるため、保存安定性の観点から好ましくない。また、炭素数6〜10のアルキル基又はアルケニル基は、単独で用いてもよいし二種以上を併用してもよい。
【0018】
一般式(3)におけるAOは、炭素数2〜4のアルキレンオキシ基であり、一般式(1)におけるAOと同様の基が挙げられる。炭素数2〜4のアルキレンオキシ基は、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用している場合は、ブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよい。これらのうち、保存安定性の観点から好ましいのは、エチレンオキシ基単独並びに炭素数2及び3のアルキレンオキシ基がランダム状及び/又はブロック状に付加した基である。
【0019】
一般式(3)におけるkは10〜100を満たす整数であり、柔軟剤組成物のハンドリング性の観点から好ましくは20〜80の整数であり、更に好ましくは20〜60の整数であり、特に好ましくは20〜40の整数である。kが10未満の場合はカチオン界面活性剤(B)の乳化性が低くなり、100を超えると柔軟剤組成物の粘度が高くなるため、好ましくない。
【0020】
乳化剤(A3)におけるエチレンオキシ基の含有率は、(A3)の重量に基づき、保存安定性の観点から好ましくは80〜95重量%であり、更に好ましくは85〜95重量%である。
【0021】
乳化剤(A3)としては、へキシルアルコールエチレンオキサイド20モル付加物、オクチルアルコールエチレンオキサイド20モル付加物、オクチルアルコールエチレンオキサイド40モル付加物、デシルアルコールエチレンオキサイド35モル付加物及びデシルアルコールエチレンオキサイド40/プロピレンオキサイド5モルランダム付加物等が挙げられる。
【0022】
本発明における乳化剤(A)が、乳化剤(A2)を含有する場合、乳化剤(A2)の重量に対する乳化剤(A1)の重量の比率[(A1)/(A2)]は、好ましくは1.0〜19.0であり、更に好ましくは1.5〜9.0、特に好ましくは2.0〜4.0である。[(A1)/(A2)]が1.0以上であれば保存安定性の観点から好ましく、19.0以下であれば作成直後の柔軟剤組成物の低粘度性の観点から好ましい。
【0023】
本発明における乳化剤(A)が、乳化剤(A3)を含有する場合、乳化剤(A3)の重量に対する乳化剤(A1)の重量の比率[(A1)/(A3)]は、好ましくは0.1〜9.0であり、更に好ましくは4.0〜0.2である。[(A1)/(A3)]が0.1以上であれば保存安定性の観点から好ましく、9.0以下であれば作成直後の柔軟剤組成物の低粘度性の観点から好ましい。
【0024】
本発明の柔軟剤組成物は、カチオン界面活性剤(B)を含有してなる。カチオン界面活性剤(B)は、一般式(4)で表されるカチオン界面活性剤(B1)及び/又は一般式(5)で表されるカチオン界面活性剤(B2)である。
【0025】
一般式(4)におけるRは、水素原子、メチル基、エチル基、ベンジル基又はヒドロキシエチル基であり、保存安定性の観点から、好ましいのはメチル基、エチル基及びヒドロキシエチル基である。
【0026】
一般式(4)におけるR及びRは、それぞれ独立に炭素数12〜24のアルキル基、アルケニル基又はアルカノイル基である。
炭素数12〜24のアルキル基としては、直鎖又は分岐のアルキル基が挙げられ、具体的にはn−又はイソドデシル基、n−又はイソトリデシル基、n−又はイソテトラデシル基、n−又はイソヘキサデシル基、n−又はイソオクタデシル基、n−又はイソノナデシル基、n−又はイソエイコシル基及びn−又はイソテトラコシル基等が挙げられる。
炭素数が12〜24のアルケニル基としては、直鎖又は分岐のアルケニル基が挙げられ、具体的にはn−又はイソドデセニル基、n−又はイソテトラデセニル基、n−又はイソヘキサデセニル基、n−又はイソオクタデセニル基及びn−又はイソガドレイル基等が挙げられる。
炭素数が12〜24のアルカノイル基としては、直鎖又は分岐のアルカノイル基が挙げられ、具体的にはn−又はイソドドデカノイル基、n−又はイソテトラデカノイル基、n−又はイソヘキサデカノイル基、n−又はイソオクタデカノイル基及びn−又はイソエイコサノイル基及びn−又はイソテトラコサノイル基等が挙げられる。
【0027】
及びRのうち、保存安定性の観点から好ましいのは炭素数12〜20のアルキル基、アルケニル基又はアルカノイル基であり、更に好ましいのは炭素数14〜18のアルキル基、アルケニル基又はアルカノイル基である。炭素数12未満又は24を超えるアルキル基、アルケニル基又はアルカノイル基では柔軟性が低くなるため好ましくない。
【0028】
一般式(4)におけるRは、炭素数1〜3のアルキル基であり、メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基が挙げられる。これらのうち、保存安定性の観点から好ましいのはメチル基である。
一般式(4)におけるY及びYは、それぞれ独立にCH、O又はNHであり、柔軟性の観点から好ましいのはO又はNHである。
一般式(4)におけるrは1〜3の整数であり、柔軟性の観点から好ましいのは1及び2である。
【0029】
一般式(4)におけるXn−は、n価の無機酸又は有機酸のアニオンであり、nは1〜4の整数である。
n−を構成する1〜4価の無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸及びリン酸等が挙げられる。
n−を構成する1価の有機酸としては、炭素数1〜22のモノカルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、安息香酸、エチル安息香酸、桂皮酸及びt−ブチル安息香酸等)、及びアミノ酸(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、セリン、スレオニン、グルタミン、アスパラギン、システイン及びメチオニン等)等が挙げられる。
n−を構成する2〜4価の有機酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、グルタミン酸二酢酸、アスパラギン酸二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びトリメリット酸等が挙げられる。
n−のうち、保存安定性の観点から好ましいのは、1又は2価の無機酸及び有機酸のアニオンであり、更に好ましいのは、1又は2価の無機酸及び有機酸のアニオンである。
【0030】
カチオン界面活性剤(B1)としては、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ビス(ステアロイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロライド、ビス(ステアロイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムメチルサイフェート及びビス(ステアロイルオキシエチル)メチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0031】
一般式(5)におけるRは、水素原子、メチル基、エチル基、ベンジル基又はヒドロキシエチル基であり、保存安定性の観点から、好ましいのはメチル基、エチル基及びヒドロキシエチル基である。
一般式(5)におけるR及びR10は、それぞれ独立に炭素数12〜24のアルキル基、アルケニル基、アルケノイル基又はアルカノイル基である。
炭素数12〜24のアルキル基としては、直鎖又は分岐のアルキル基が挙げられ、具体的にはn−又はイソドデシル基、n−又はイソトリデシル基、n−又はイソテトラデシル基、n−又はイソヘキサデシル基、n−又はイソオクタデシル基、n−又はイソノナデシル基、n−又はイソエイコシル基及びn−又はイソテトラコシル基等が挙げられる。
炭素数が12〜24のアルケニル基としては、直鎖又は分岐のアルケニル基が挙げられ、具体的にはn−又はイソドデセニル基、n−又はイソテトラデセニル基、n−又はイソヘキサデセニル基、n−又はイソオクタデセニル基及びn−又はイソガドレイル基等が挙げられる。
炭素数が12〜24のアルケノイル基としては、直鎖又は分岐のアルケノイル基が挙げられ、具体的にはn−又はイソドドデセノイル基、n−又はイソテトラデセノイル基、n−又はイソヘキサデセノイル基、n−又はイソオクタデセノイル基及びn−又はイソエイコセノイル基及びn−又はイソテトラコセノイル基等が挙げられる。
炭素数が12〜24のアルカノイル基としては、直鎖又は分岐のアルカノイル基が挙げられ、具体的にはn−又はイソドドデカノイル基、n−又はイソテトラデカノイル基、n−又はイソヘキサデカノイル基、n−又はイソオクタデカノイル基及びn−又はイソエイコサノイル基及びn−又はイソテトラコサノイル基等が挙げられる。
【0032】
及びR10のうち、柔軟性、保存安定性の観点から好ましいのは炭素数12〜20のアルキル基、アルケニル基、アルケノイル基又はアルカノイル基であり、更に好ましいのは炭素数14〜18のアルキル基、アルケニル、アルケノイル基又はアルカノイル基であり、特に好ましいのは炭素数14〜18のアルケニル基又はアルケノイル基である。炭素数12未満又は24を超えるアルキル基、アルケニル基、アルケノイル基又はアルカノイル基では柔軟性が低くなるため好ましくない。
一般式(5)におけるYは、CH、O又はNHであり、柔軟性の観点から好ましいのはO又はNHである。
一般式(5)におけるsは1〜3の整数であり、柔軟性の観点から好ましいのは1及び2である。
一般式(5)におけるXp−は、一般式(2)におけるXn−と同様の基であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(5)におけるpは1〜4の整数であり、保存安定性の観点から好ましいのは、1及び2である。
【0033】
カチオン界面活性剤(B2)は、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの炭素数6〜24の脂肪酸とジエチレントリアミンとを150〜200℃で加熱縮合させて得られたアミド型の第3級アミンを塩酸、酢酸などの酸で中和する方法、又は該アミド型の第3級アミンをメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸などのアルキル化剤を加圧下、加熱して反応する方法等で得られる。
【0034】
カチオン界面活性剤(B2)としては、パルミチン酸/ジエチレントリアミン縮合物の塩酸塩、ステアリン酸/ジエチレントリアミン縮合物のジメチル硫酸塩及びオレイン酸/ジエチレントリアミン縮合物のジメチル硫酸塩等が挙げられる。
【0035】
本発明におけるカチオン界面活性剤(B)の重量に対する乳化剤(A)の重量の比率[(A)/(B)]は、好ましくは0.01〜0.3であり、更に好ましくは0.05〜0.3である。[(A)/(B)]が0.01以上であれば保存安定性の観点から好ましく、0.3以下であれば柔軟性を充分発揮できるため好ましい。
【0036】
本発明の柔軟剤組成物は、乳化剤(A)及びカチオン界面活性剤(B)以外に、水(C)及び/又は親水性溶媒(D)を含有する。水及び/又は親水性溶剤(D)のうち、保存安定性の観点から好ましいのは、水単独、及び水と親水性溶剤(D)の併用である。なお、親水性溶剤(D)としては、25℃の水100gに対して3g以上、好ましくは10g以上溶解する有機溶剤が挙げられる。
親水性溶剤(D)としては、炭素数1〜4のアルコール及びグリコール系溶剤等が挙げられる。
炭素数1〜4のアルコールとしてはメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール及びt−ブチルアルコール等が挙げられる。
グリコール系溶剤としては、グリコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール及び1,3−ブチレングリコール等)、グリコール類のモノアルキルエーテル(エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル及びジプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、及びグリコール類のジアルキルエーテル(エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル等)が挙げられる。
親水性溶剤(D)のうち、保存安定性の観点から好ましいのはグリコール系溶剤であり、更に好ましいのはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール及びジプロピレングリコールである。なお、親水性溶剤(D)は、単独で用いても2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合の比率は特に限定されない。
【0037】
本発明の柔軟剤組成物は、必要に応じて、水溶性無機塩、アニオン活性剤、両性活性剤、及びその他の成分からなる群から選ばれる1種以上を含有してもよい。
【0038】
水溶性無機塩としては、25℃の水100gに対して10g以上溶解することができる無機塩が挙げられ、例えばアルカリ金属塩[ハロゲン化物(塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム及びフッ化ナトリウム等)、硫酸塩(硫酸ナトリウム及び硫酸カリウム等)及びリン酸塩(リン酸ナトリウム及びリン酸カリウム等)]、アルカリ土類金属塩[ハロゲン化物(塩化カルシウム及び塩化マグネシウム等)及び硫酸塩(硫酸マグネシウム等)]及びアンモニウム塩[ハロゲン化物(塩化アンモニウム等)及び硫酸塩(硫酸アンモニウム等)]が挙げられる。
水溶性無機塩のうち、保存安定性の観点から好ましいのはアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩であり、更に好ましいのは、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム及び塩化カルシウムである。
【0039】
アニオン活性剤としては、炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸又はその塩[(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等]、炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテル硫酸エステル塩[(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリル硫酸ナトリウム等]、炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホコハク酸エステル塩[スルホコハク酸モノ若しくはジアルキルエステルのジ又はモノナトリウム塩、及びスルホコハク酸(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)モノ若しくはジアルキルエステルのジ又はモノナトリウム塩等]、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム、炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等)、炭素数8〜24の炭化水素基を有するリン酸エステル塩[ラウリルリン酸ナトリウム、及び(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等]、脂肪酸塩(ラウリン酸ナトリウム及びラウリン酸トリエタノールアミン等)、アシル化アミノ酸塩(ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、及びラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等)等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、エーテルカルボン酸又はその塩、脂肪酸塩及びアシル化アミノ酸塩である。
【0040】
両性活性剤としては、ベタイン型両性活性剤(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、及びラウロイロアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等)、及びアミノ酸型両性活性剤(β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等)等が挙げられる。
【0041】
その他の成分としては、抗菌剤(イソチアゾリン系、カーバニド系、イミダゾール系、ビグアナイド系及びチアゾール系抗菌剤等)、香料(d−リモネン、シンアミックアルデヒド及びメチルヨノン等)、着色剤(青色1号、緑色3号及び赤色1号等)及び保湿成分(オリーブ油、アボガド油、ヒアルロン酸、レシチン、アルギン酸塩及びラノリン等)等が挙げられる。
【0042】
本発明の柔軟剤組成物における乳化剤(A)、カチオン界面活性剤(B)、水(C)、親水性溶剤(D)、水溶性無機塩、アニオン活性剤、両性活性剤及びその他の成分の含有率は以下の通りである。
乳化剤(A)の含有率は、乳化剤(A)、カチオン界面活性剤(B)並びに水(C)及び/又は親水性溶剤(D)の合計重量に基づいて、柔軟性及び保存安定性の観点から、好ましくは0.1〜30重量%であり、更に好ましくは0.5〜20重量%、特に好ましくは1〜10重量%である。
カチオン界面活性剤(B)の含有率は、(A)、(B)並びに(C)及び/又は(D)の合計重量に基づいて、柔軟性及び保存安定性の観点から好ましくは5〜40重量%であり、更に好ましくは10〜35重量%、特に好ましくは15〜30重量%である。
水(C)及び/又は親水性溶剤(D)の含有率は、(A)、(B)並びに(C)及び/又は(D)の合計重量に基づいて、保存安定性の観点から好ましくは30〜94.9重量%であり、更に好ましくは45〜90重量%、特に好ましくは60〜85重量%である。
水溶性無機塩の含有率は、(A)、(B)並びに(C)及び/又は(D)の合計重量に基づいて、保存安定性の観点から好ましくは0〜5重量%であり、更に好ましくは0.01〜3重量%、特に好ましくは0.1〜2重量%である。
アニオン活性剤の含有率は、(A)、(B)並びに(C)及び/又は(D)の合計重量に基づいて、それぞれ好ましくは0〜10重量%であり、更に好ましくは0.1〜8重量%、特に好ましくは0.5〜5重量%である。
両性活性剤の含有率は、(A)、(B)並びに(C)及び/又は(D)の合計重量に基づいて、好ましくは0〜10重量%であり、更に好ましくは0.1〜8重量%、特に好ましくは0.5〜5重量%である。
その他の成分の含有率は、(A)、(B)並びに(C)及び/又は(D)の合計重量に基づいて、好ましくは0〜10重量%であり、更に好ましくは0.01〜5重量%、特に好ましくは0.05〜3重量%である。
【0043】
本発明の柔軟剤組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、撹拌機及び加熱冷却装置を備えた混合槽に、乳化剤(A)及びカチオン界面活性剤(B)と、水(C)及び/又は親水性溶剤(D)、更に必要により、水溶性無機塩、アニオン活性剤、両性活性剤、その他の成分を投入順序に特に制限なく投入し、10〜70℃で均一になるまで撹拌して製造する方法が挙げられる。
【0044】
本発明の柔軟剤組成物は、天然繊維、合繊繊維及びこれらの混紡交編繊繊維の柔軟性付与に特に有用である。天然繊維としては、木綿、麻及び羊毛等が挙げられる。化合繊繊維としては、再生セルロース繊維(レーヨン及びアセテート等)及び合成繊維(ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維及びスパンデックス等)等が挙げられる。これらの混紡交編繊維としては、木綿又は麻と他の繊維(羊毛、ポリエステル、ポリアミド及びアクリル等)との混紡交編繊維、羊毛と他の繊維(ポリエステル、ポリアミド及びアクリル等)との混紡交編繊維、ポリエステル繊維と他の繊維(レーヨン、アセテート、ポリアミド、アクリル及びスパンデックス等)との混紡交編繊維、及びポリアミド繊維と他の繊維(レーヨン、アセテート、アクリル及びスパンデックス等)との混紡交編繊維等が挙げられる。繊維の形態としては、布、不織布、編織物及び衣服等が挙げられる。
【0045】
本発明の柔軟剤組成物は、通常1ppm〜0.5重量%の範囲の濃度(水以外の有効成分)に希釈されて使用される。
【0046】
本発明の柔軟剤組成物で繊維を処理する際の温度は、処理する繊維の種類によって任意に選択できるが、通常5〜80℃であり、好ましくは20〜50℃である。
【実施例】
【0047】
以下、製造例および実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下において、部は重量部、%は重量%を示す。
【0048】
<製造例1>[ウンデシルアルコールエチレンオキサイド35モル付加物(A1−1)の合成]
撹拌機、加熱冷却装置及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、ウンデシルアルコール172部(1モル部)及び水酸化カリウム1部を投入し、窒素置換後密閉し、160℃に昇温した。撹拌下エチレンオキサイド(以下、EOと略記する)1540部(35モル部)を圧力が0.5MPa以下になるように調整しながら10時間かけて滴下した後、160℃で2時間熟成した。次いで90℃に冷却後、吸着処理剤「キョーワード600」[協和化学工業(株)製]20部を投入し、90℃で1時間撹拌して水酸化カリウムを吸着処理した後、吸着処理剤をろ過してウンデシルアルコールエチレンオキサイド35モル付加物(A1−1)を得た{(A1−1)は、一般式(1)におけるRはウンデシル基、AOはエチレンオキシ基、hは35である}。
【0049】
<製造例2>[ドデシルアルコールエチレンオキサイド40モル付加物(A1−2)の合成]
ウンデシルアルコール172部をドデシルアルコール186部(1モル部)に、EOの部数1540部を1760部(40モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、ドデシルアルコールエチレンオキサイド40モル付加物(A1−2)を得た{(A1−2)は、一般式(1)におけるRはドデシル基、AOはエチレンオキシ基、hは40である}。
【0050】
<製造例3>[テトラデシルアルコールエチレンオキサイド50/プロピレンオキサイド5モルランダム付加物(A1−3)の合成]
撹拌機、加熱冷却装置及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、テトラデシルアルコール214部(1モル部)及び水酸化カリウム3部を投入し、窒素置換後密閉し、140℃に昇温した。EO2200部(50モル部)とプロピレンオキサイド(以下、POと略記する)290部(5モル部)を混合したものを圧力が0.5MPa以下になるように調整しながら10時間かけて滴下した後、140℃で5時間熟成した。次いで90℃に冷却後、吸着処理剤「キョーワード600」[協和化学工業(株)製]20部を投入し、90℃で1時間撹拌して水酸化カリウムを吸着処理した後、吸着処理剤をろ過してテトラデシルアルコールエチレンオキサイド50/プロピレンオキサイド5モルランダム付加物(A1−3)を得た{(A1−3)は、一般式(1)におけるRはテトラデシル基、AOはエチレンオキシ基およびプロピレンオキシ基、hは55である}。
【0051】
<比較製造例4>[エイコシルアルコールエチレンオキサイド120モル付加物(A'1−1)の合成]
ウンデシルアルコール172部をエイコシルアルコール298部(1モル部)に、EO
の部数1540部を5280部(120モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、エイコシルアルコールエチレンオキサイド120モル付加物(A'1−1)を得た{(A'1−1)は、一般式(1)におけるRはエイコシル基、AOはエチレンオキシ基、hは120である}。
【0052】
<製造例5>[ドデシルアミンエチレンオキサイド25モル付加物(A2−1)の合成]
ウンデシルアルコール172部をドデシルアミン185部(1モル部)に、EOの部数1540部を1100部(25モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、ドデシルアミンエチレンオキサイド25モル付加物(A2−1)を得た{(A2−1)は、一般式(2)におけるRはドデシル基、AO及びAOはエチレンオキシ基、i+jは25である}。
【0053】
<製造例6>[テトラデシルアミンエチレンオキサイド40モル付加物(A2−2)の合成]
ウンデシルアルコール172部をテトラデシルアミン213部(1モル部)に、EOの部数1540部を1760部(40モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、テトラデシルアミンエチレンオキサイド40モル付加物(A2−2)を得た{(A2−2)は、一般式(2)におけるRはテトラデシル基、AO及びAOはエチレンオキシ基、i+jは40である}。
【0054】
<製造例7>[オクタデシルアミンエチレンオキサイド42モル/プロピレンオキサイド5モルランダム付加物(A2−3)の合成]
テトラデシルアルコール214部(1モル部)をオクタデシルアミン269部(1モル部)に、EOの部数2200部を1848部(42モル部)に変更した以外は製造例3と同様にして、オクタデシルアミンエチレンオキサイド42モル/プロピレンオキサイド5モルランダム付加物(A2−3)を得た{(A2−2)は、一般式(2)におけるRはオクタデシル基、AO及びAOはエチレンオキシ基およびプロピレンオキシ基、i+jは47である}。
【0055】
<製造例8>[デシルアミンエチレンオキサイド25モル/プロピレンオキサイド5モルブロック付加物(A2−4)の合成]
撹拌機、加熱冷却装置及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、デシルアミン157部(1モル部)及び水酸化カリウム3部を投入し、窒素置換後密閉し、140℃に昇温した。EO1100部(25モル部)を圧力が0.5MPa以下になるように調整しながら5時間かけて滴下し、140℃で1時間熟成した。次いで、PO290部(5モル部)を5時間かけて滴下した後、140℃で3時間熟成した。90℃に冷却後、吸着処理剤「キョーワード600」[協和化学工業(株)製]20部を投入し、90℃で1時間撹拌して水酸化カリウムを吸着処理した後、吸着処理剤をろ過してデシルアミンエチレンオキサイド25モル/プロピレンオキサイド5モルブロック付加物(A2−4)を得た{(A2−4)は、一般式(2)におけるRはデシル基、AO及びAOはエチレンオキシ基およびプロピレンオキシ基、i+jは30である}。
【0056】
<比較製造例9>[オクダデシルアミンエチレンオキサイド5モル付加物(A'2−1)の合成]
ウンデシルアルコール172部をオクダデシルアミン269部(1モル部)に、EOの部数1540部を220部(5モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、オクダデシルアミンエチレンオキサイド5モル付加物(A'2−1)を得た{(A'2−1)は、一般式(2)におけるRはオクダデシル基、AO及びAOはエチレンオキシ基、i+jは5である}。
【0057】
<製造例10>[オクタデシルアミンエチレンオキサイド155モル/プロピレンオキサイド10モルランダム付加物(A'2−2)の合成]
テトラデシルアルコール214部(1モル部)をオクタデシルアミン269部(1モル部)に、EOの部数2200部を6820部(155モル部)に、POの部数290部を580部(10モル部)に変更した以外は製造例3と同様にして、オクタデシルアミンエチレンオキサイド155モル/プロピレンオキサイド10モルランダム付加物(A'2−2)を得た{(A'2−2)は、一般式(2)におけるRはオクタデシル基、AO及びAOはエチレンオキシ基およびプロピレンオキシ基、i+jは165である}。
【0058】
<製造例11>[オクチルアルコールエチレンオキサイド20モル付加物(A3−1)の合成]
ウンデシルアルコール172部をオクチルアルコール130部(1モル部)に、EOの部数1540部を880部(20モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、オクチルアルコールエチレンオキサイド20モル付加物(A3−1)を得た{(A3−1)は、一般式(3)におけるRはオクチル基、AOはエチレンオキシ基、kは20である}。
【0059】
<製造例12>[デシルアルコールエチレンオキサイド35モル付加物(A3−2)の合成]
ウンデシルアルコール172部をデシルアルコール158部(1モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、デシルアルコールエチレンオキサイド35モル付加物(A3−2)を得た{(A3−2)は、一般式(3)におけるRはデシル基、AOはエチレンオキシ基、kは35である}。
【0060】
<製造例13>[デシルアルコールエチレンオキサイド40/プロピレンオキサイド5モルランダム付加物(A3−3)の合成]
テトラデシルアルコール214部(1モル部)をデシルアルコール158部(1モル部)に、EOの部数2200部を1760部(40モル部)に変更した以外は製造例3と同様にして、デシルアルコールエチレンオキサイド40/プロピレンオキサイド5モルランダム付加物(A3−3)を得た{(A3−3)は、一般式(3)におけるRはデシル基、AOはエチレンオキシ基およびプロピレンオキシ基、kは45である}。
【0061】
<比較製造例14>[ブチルアルコールエチレンオキサイド30モル付加物(A'3−1)の合成]
ウンデシルアルコール172部をブタノール74部(1モル部)に、EOの部数1540部を1320部(30モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、ブチルアルコールエチレンオキサイド30モル付加物(A'3−1)を得た{(A'3−1)は、一般式(3)におけるRはブチル基、AOはエチレンオキシ基、kは30である}。
【0062】
<製造例15>
加熱冷却装置、撹拌装置、温度計、窒素導入官、窒素排出管、滴下ロートを装着した耐圧ガラス容器にオレイン酸メチル600部、ジエチレントリアミン104部および次亜燐酸1部を仕込み、液中に窒素を通じながら150℃まで昇温する。密閉にしてから徐々に減圧にした後、メタノールおよび水を留去しながら150℃で5時間反応させた。100℃に冷却後、ジプロピレングリコール243部を仕込み、75〜85℃でジメチル硫酸129部を徐々に滴下して、カチオン界面活性剤(B2−1)75%とジプロピレングリコール25%からなる溶液を得た[(B2−1)は、一般式(5)におけるRがメチル基、Rがヘプタデセニル基、R10が、オクタデセノイル基、YがNH、sは2、Xp−はCHSOである]。
【0063】
<製造例16>
オレイン酸メチル600部を、パルミチン酸メチル540部に、ジプロピレングリコール243部を230部に変更した以外は製造例15と同様にして、カチオン界面活性剤(B2−2)75%とジプロピレングリコール25%からなる溶液を得た[(B2−2)は、一般式(5)におけるRがメチル基、Rがペンタデカニル基、R10が、ヘキサデカノイル基、YがNH、sは2、Xp−はCHSOである]。
【0064】
<実施例1〜12及び比較例1〜9>
表1に記載の部数(有効成分換算)の柔軟剤組成物の各原料を配合し、これに水を加えて全部を100部にすることにより、柔軟剤組成物(実施例1〜12、比較例1〜9)を作製した。実施例1〜12及び比較例1〜9の柔軟剤組成物について、作製時の粘度を以下の方法で測定した。また、保存安定性を以下の方法で評価し、結果を表1に示す。
【0065】
<作成時の粘度>
実施例1〜12、比較例1〜9の柔軟剤組成物について、B型粘度計(株式会社東京計機製造所製BL型)(ローターNo.2、回転数30rpm)を用いて25℃における溶液粘度を測定した。なお、比較例1及び比較例5の柔軟剤組成物は、作製時にゲル化したため、測定することはできなかった。
<保存安定性の評価方法>
実施例1〜12及び比較例1〜9の柔軟剤組成物を、それぞれ5℃と50℃の恒温槽に3ヶ月間静置した後の柔軟剤組成物について、B型粘度計(株式会社東京計機製造所製BL型)(ローターNo.2、回転数30rpm)を用いて25℃における溶液粘度を測定し、以下の評価基準で保存安定性を評価した。
[評価基準]
◎:400mPa・s未満の均一乳化液状
○:400以上500mPa・s未満の均一乳化液状
△:500以上1000mPa・s未満の均一乳化液状
×:1000mPa・s以上のゲル状または不均一液状
<柔軟性の評価方法>
実施例1〜12及び比較例1〜9の柔軟剤組成物について、下記の試験条件で柔軟性の評価を行った。その結果を表1に示した。
<試験条件>
柔軟剤組成物0.3部を水999.7部で希釈し、十分に混合して試験液とした。それに試布(綿ブロード24×24cm)を入れ5分間浸せきした(浴比1:30)。次いで、遠心脱水機で絞り(絞り率100%)、さらに相対湿度50%の室温で16時間風乾して試料とした。
柔軟性の評価は、試布を水のみで処理して上記と同様に風乾したものを比較試料として、手による触感にて下記基準で評価した。結果を表1に示す。
[評価基準]
◎:弾力性および柔軟性に優れる
○:弾力性および柔軟性が良好
△:弾力性および柔軟性が比較試料よりわずかに良好
×:弾力性および柔軟性不良(比較試料と同レベル)
【0066】
表1に記載の柔軟剤組成物の各原料は以下の通りである。なお、表1におけるその他の成分としては、塩化カルシウム(和光純薬工業社製)及びd−リモネン(和光純薬工業社製)である。
(B1−1):N,N−ビス(ステアロイル/オレオイルオキシエチル)−N−ヒドロキシエチル−N−メチルアンモニウムメチルサルフェート(商品名:ライオンソフターEQ、純分82%、ライオンアクゾ(株)製)[(B1−1)は、Rはヒドロキシエチル基、R及びRはステアロイル基およびオレオイル基、Rはメチル基、Y及びYはO、rは2、Xn−はSOCHである。]
(B1−2):N,N−ビス(パルミトイルオキシエチル)−N−ヒドロキシエチル−N−メチルアンモニウムメチルサルフェート(商品名:デヒコート AU56/G、純分90%、コグニシウジャパン(株)製)[(B1−2)は、Rはヒドロキシエチル基、R及びRはパルミトイル基、Rはメチル基、Y及びYはO、rは2、Xn−はSOCHである。]
(B1−3):N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド(商品名:カチオン DSV、純分94%、三洋化成工業(株)製)[(B1−3)は、Rはメチル基、R及びRはヘキサデシル基、Rはメチル基、Y及びYはCH、rは1、Xn−はClである。]
(D−1):エチレングリコール
(D−2):エチルアルコール
(D−3):ジプロピレングリコール
【0067】
【表1】

【0068】
表1の結果から、実施例1〜12の柔軟剤組成物は、比較例1〜9の柔軟剤組成物と比較して作成時の粘度が低く、かつ5℃及び50℃での保存安定性に優れていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の柔軟剤組成物は、家庭用をはじめ各種繊維製品の柔軟仕上剤、特にタオル、肌着等の吸水性を要求される各種繊維製品の柔軟仕上剤として極めて有効である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記乳化剤(A)、下記カチオン界面活性剤(B)並びに水(C)及び/又は親水性溶剤(D)を含有する柔軟剤組成物。
乳化剤(A):下記一般式(1)で表される乳化剤(A1)並びに下記一般式(2)で表される乳化剤(A2)及び/又は下記一般式(3)で表される乳化剤(A3)。
【化1】

[式中、Rは炭素数11〜20のアルキル基又はアルケニル基;AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基;hは20〜100の整数である。]
【化2】

[式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基;AO及びAOはそれぞれ独立に炭素数2〜4のオキシアルキレン基;i及びjは、i+j=10〜150を満たす整数である。]
【化3】

[式中、Rは炭素数6〜10のアルキル基又はアルケニル基;AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基;kは10〜100の整数である。]
カチオン界面活性剤(B):下記一般式(4)で表されるカチオン界面活性剤(B1)及び/又は下記一般式(5)で表されるカチオン界面活性剤(B2)。
【化4】

[式中、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、ベンジル基、又はヒドロキシエチル基;R及びRは、それぞれ独立に炭素数12〜24のアルキル基、アルケニル基又はアルカノイル基;Rは、炭素数1〜3のアルキル基;Y及びYは、それぞれ独立にCH、O又はNH;rは1〜3の整数;Xn−はn価の無機酸又は有機酸のアニオンであり、nは1〜4の整数である。]
【化5】

[式中、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、ベンジル基、又はヒドロキシエチル基;R及びR10は、それぞれ独立に炭素数12〜24のアルキル基、アルケニル基、アルケノイル基又はアルカノイル基;Yは、CH、O又はNH;sは1〜3の整数;Xp−はp価の無機酸又は有機酸のアニオンであり、pは1〜4の整数である。]

【請求項2】
前記カチオン界面活性剤(B1)におけるR及びR6が、炭素数12〜24のアルカノイル基である請求項1記載の柔軟剤組成物。
【請求項3】
カチオン界面活性剤(B1)におけるY及びYがO又はNHである請求項1又は2記載の柔軟剤組成物。
【請求項4】
前記カチオン界面活性剤(B2)におけるR及びR10が、炭素数14〜18のアルケニル基及び炭素数14〜18のアルケノイル基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の柔軟剤組成物。
【請求項5】
カチオン界面活性剤(B)の重量に対する乳化剤(A)の重量の比率[(A)/(B)]が0.01〜0.3である請求項1〜4のいずれか1項に記載の柔軟剤組成物。

【公開番号】特開2012−233293(P2012−233293A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−97597(P2012−97597)
【出願日】平成24年4月23日(2012.4.23)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】