説明

柔軟導電材料およびその製造方法

【課題】 ヒドロシリル化反応により架橋するエラストマーを用いて、伸縮を繰り返しても電気抵抗が増加しにくい柔軟導電材料、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 ヒドロシリル化反応により架橋されたエラストマーと、該エラストマー中に充填されている導電材と、を有する柔軟導電材料を、ヒドロシリル化反応により架橋して該エラストマーを生成するポリマー材料と、予めヒドロシリル化触媒の触媒毒成分を溶解可能な有機溶剤に浸漬され洗浄された該導電材と、該ヒドロシリル化触媒と、を含む架橋前組成物を架橋して製造する。製造された柔軟導電材料において、触媒毒成分の含有量は、柔軟導電材料の質量を100質量%とした場合の0.05質量%以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮可能な電極、配線、電磁波シールド等に好適な柔軟導電材料、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エラストマー等の高分子材料を利用して、柔軟性が高く、小型で軽量なトランスデューサの開発が進められている。トランスデューサとしては、機械エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うアクチュエータ、センサ、発電素子等、あるいは音響エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うスピーカ、マイクロフォン等が挙げられる。
【0003】
例えば、エラストマー製の誘電膜の表裏両面に一対の電極を配置して、アクチュエータを構成することができる。この種のアクチュエータでは、印加電圧の大小により誘電膜が伸縮する。したがって、電極には、誘電膜の伸長、収縮を妨げないように、誘電膜の変形に応じて伸縮可能であることが要求される。加えて、伸長された際に、電気抵抗の変化が小さいことも必要になる。
【0004】
このような観点から、電極や配線には、エラストマーに導電性カーボンや金属粉末が充填された導電材料が使用されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−227985号公報
【特許文献2】特開2010−153364号公報
【特許文献3】特開平6−179821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記導電材料において、未架橋のエラストマーをマトリックスとして用いた場合、伸縮の繰り返しに伴う変形を避けられず、所望の耐久性を得られない。よって、伸縮を繰り返しても形状を保持するためには、架橋されたエラストマーを用いることが望ましい。
【0007】
例えば、シリコーンゴム等のヒドロシリル化反応により架橋されたエラストマーは、絶縁性、耐クリープ性に優れる。このため、アクチュエータ、センサ等における電極材料として好適である。通常、ヒドロシリル化反応には、白金系の触媒が用いられる。しかし、ポリマー材料と導電材と触媒とを混合して架橋した場合、触媒作用が失活してしまい、架橋が充分に進行しないことがあった。架橋が充分に行われないと、導電材料において所望の特性が得られない。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、ヒドロシリル化反応により架橋するエラストマーを用いて、伸縮を繰り返しても電気抵抗が増加しにくい柔軟導電材料、およびその製造方法を提供することを課題とする。また、伸縮を繰り返しても電気抵抗が増加しにくい電極、配線、および電磁波シールドを提供することを課題とする。さらに、柔軟で耐久性に優れたトランスデューサおよびフレキシブル配線板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明者は、架橋の阻害原因について検討を重ねた結果、導電材に付着した不純物が触媒毒となり、ヒドロシリル化触媒の触媒作用を低下させるという知見を得た。例えば、導電材同士の接触面積を大きくして導電性を向上させるという観点から、導電材として、フレーク状の金属粉末を用いる場合がある。フレーク状の金属粉末は、ボールミルにより粒状の粒子を偏平化して製造される。この際、不飽和脂肪酸等の加工助剤が添加される。加工助剤は、製造されたフレーク状粒子に付着する。したがって、フレーク状の金属粉末をそのまま用いると、付着した加工助剤が、ヒドロシリル化触媒の触媒毒になると考えられる。
【0010】
例えば、特許文献3には、ヒドロシリル化触媒の触媒毒成分を除去する方法として、組成物の構成成分を活性炭処理する方法が開示されている。しかし、当該方法では、導電材に付着した加工助剤等の不純物を除去することはできない。また、同文献には、組成物に有機鉄化合物や有機アルミニウム化合物を配合することにより、触媒毒成分の存在下でもヒドロシリル化反応を進行させる方法が開示されている。しかし、当該方法は、有機鉄化合物等を配合するという点で、柔軟導電材料の製造方法には適さない。
【0011】
そこで、本発明の柔軟導電材料の製造方法は、ヒドロシリル化反応により架橋されたエラストマーと、該エラストマー中に充填されている導電材と、を有する柔軟導電材料の製造方法であって、前記導電材を、ヒドロシリル化触媒の触媒毒成分を溶解可能な有機溶剤に浸漬して洗浄する洗浄工程と、ヒドロシリル化反応により架橋して前記エラストマーを生成するポリマー材料と、洗浄後の該導電材と、該ヒドロシリル化触媒と、を含む架橋前組成物を調製する架橋前組成物調製工程と、該架橋前組成物を架橋させる架橋工程と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の製造方法によると、洗浄工程において、予め導電材を洗浄しておく。これにより、導電材に付着していた触媒毒成分は、除去される。したがって、架橋工程において、ヒドロシリル化触媒の触媒作用が低下するおそれは小さい。よって、架橋を充分に進行させることができる。その結果、伸縮を繰り返しても形状回復性が高く、電気抵抗が増加しにくい柔軟導電材料を得ることができる。
【0013】
このように、本発明の製造方法によると、予め導電材を洗浄することにより、導電材の種類によらず、ヒドロシリル化反応を進行させることができる。つまり、本発明の製造方法によると、従来ヒドロシリル化反応による架橋が難しかったエラストマーと導電材との組合せであっても、柔軟導電材料を製造することができる。これにより、エラストマーおよび導電材の組合せの自由度が向上する。
【0014】
例えば、ヒドロシリル化反応により架橋されたシリコーンゴムは、絶縁性、耐熱性、耐クリープ性等に優れる。シリコーンゴムにフレーク状の銀粉末を充填した場合、カーボンブラックを充填した場合と比較して、体積抵抗率を2〜5桁程度小さくすることができる。また、シリコーンゴムをマトリックスとする柔軟導電材料を、シリコーンゴム製の基材上に成形する場合、特別な処理を施さなくても、柔軟導電材料と基材との接着性は良好である。よって、伸縮を繰り返しても、柔軟導電材料が剥離しにくく、耐久性が高い。このように、材料特性や使用環境に応じて、エラストマーおよび導電材を選択することにより、導電性や物理的な耐久性の観点から、有利な効果を得ることができる。
【0015】
(2)本発明の柔軟導電材料は、ヒドロシリル化反応により架橋されたエラストマーと、該エラストマー中に充填されている導電材と、を有し、ヒドロシリル化反応により架橋して該エラストマーを生成するポリマー材料と、予めヒドロシリル化触媒の触媒毒成分を溶解可能な有機溶剤に浸漬され洗浄された該導電材と、該ヒドロシリル化触媒と、を含む架橋前組成物を架橋して製造され、該触媒毒成分の含有量は、柔軟導電材料の質量を100質量%とした場合の0.05質量%以下であることを特徴とする。
【0016】
本発明の柔軟導電材料は、上記本発明の製造方法により製造される。すなわち、洗浄後の導電材を用いて製造される。このため、本発明の柔軟導電材料において、ヒドロシリル化反応を阻害する触媒毒成分の含有量は、0.05質量%以下と極めて微量である。また、架橋時に、ヒドロシリル化触媒の触媒作用が低下するおそれは小さい。よって、架橋は充分に進行する。したがって、本発明の柔軟導電材料においては、伸縮を繰り返しても形状回復性が高く、電気抵抗が増加しにくい。
【0017】
(3)本発明の電極は、上記本発明の柔軟導電材料からなる。したがって、本発明の電極は、伸縮可能である。また、伸縮を繰り返しても電気抵抗が増加しにくい。このため、使用時において、電極の電気抵抗の増加による、素子性能の低下が小さい。
【0018】
(4)本発明の配線は、上記本発明の柔軟導電材料からなる。したがって、本発明の配線は、伸縮可能である。また、伸縮を繰り返しても電気抵抗が増加しにくい。このため、使用時において、配線の電気抵抗の増加による、素子性能の低下が小さい。
【0019】
(5)本発明の電磁波シールドは、上記本発明の柔軟導電材料からなる。本発明の電磁波シールドは、例えば、本発明の柔軟導電材料を構成するポリマー材料や導電材等の原料を所定の溶剤に溶解した導電塗料から、形成することができる。また、溶剤を用いずに、原料を混練した混練物をプレス成形や押出成形して、形成することができる。したがって、形状の制約が少なく、電磁波を遮蔽したい様々な部位へ、容易に配置することができる。また、本発明の電磁波シールドは、伸縮可能であり、伸縮を繰り返しても電気抵抗が増加しにくい。このため、伸縮性を有する部材に使用しても、シールド性能が低下しにくい。
【0020】
(6)本発明のトランスデューサは、エラストマーまたは樹脂製の誘電膜と、該誘電膜を介して配置されている複数の電極と、複数の該電極と各々接続されている配線と、を備え、該電極および該配線の少なくとも一方は、上記本発明の柔軟導電材料からなる。
【0021】
トランスデューサは、ある種類のエネルギーを他の種類のエネルギーに変換する装置である。上述したように、トランスデューサには、機械エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うアクチュエータ、センサ、発電素子等、あるいは音響エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うスピーカ、マイクロフォン等が含まれる。本発明のトランスデューサによると、電極および配線の少なくとも一方が、上記本発明の柔軟導電材料からなる。本発明の柔軟導電材料から形成された電極、配線は、伸縮可能である。よって、トランスデューサの動きが、電極や配線により妨げられにくい。また、本発明の柔軟導電材料から形成された電極、配線においては、伸縮を繰り返しても形状回復性が高く、電気抵抗が増加しにくい。このため、使用時において、電極や配線の電気抵抗の増加による、トランスデューサ性能の低下が小さい。また、電極や配線がクリープしにくいため、本発明のトランスデューサは、耐久性に優れる。
【0022】
(7)本発明のフレキシブル配線板は、弾性基材と、該弾性基材の表面に配置されている配線と、を備え、配線の少なくとも一部は、上記本発明の柔軟導電材料からなることを特徴とする。
【0023】
本発明のフレキシブル配線板によると、弾性基材の変形に追従して配線が伸縮する。本発明の柔軟導電材料から形成された配線においては、伸縮を繰り返しても形状回復性が高く、電気抵抗が増加しにくい。このため、本発明のフレキシブル配線板は、伸縮しても性能が低下しにくく、耐久性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のトランスデューサの第一実施形態であるアクチュエータの断面模式図であって、(a)は電圧オフ状態、(b)は電圧オン状態を示す。
【図2】本発明のトランスデューサの第二実施形態である静電容量型センサの上面図である。
【図3】図2のIII−III断面図である。
【図4】本発明のトランスデューサの第三実施形態である発電素子の断面模式図であって、(a)は伸長時、(b)は収縮時を示す。
【図5】本発明のトランスデューサの第四実施形態であるスピーカの斜視図である。
【図6】図5のVI−VI断面図である。
【図7】本発明のフレキシブル配線板の上面透過図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下にまず、本発明の柔軟導電材料およびその製造方法の実施の形態について説明する。次に、本発明の電極、配線、トランスデューサ、フレキシブル配線板、および電磁波シールドの実施の形態について説明する。なお、本発明の柔軟導電材料、その製造方法、電極、配線、トランスデューサ、フレキシブル配線板、および電磁波シールドは、以下の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
【0026】
<柔軟導電材料の製造方法>
本発明の柔軟導電材料の製造方法は、ヒドロシリル化反応により架橋されたエラストマーと、該エラストマー中に充填されている導電材と、を有する柔軟導電材料の製造方法であって、洗浄工程と、架橋前組成物調製工程と、架橋工程と、を有する。以下、各工程について説明する。
【0027】
(1)洗浄工程
本工程においては、導電材を、ヒドロシリル化触媒の触媒毒成分を溶解可能な有機溶剤に浸漬して洗浄する。ヒドロシリル化触媒の触媒毒成分としては、窒素(N)、リン(P)、硫黄(S)を含む有機化合物、錫(Sn)、鉛(Pb)、水銀(Ag)、ビスマス(Bi)、ヒ素(As)等の重金属のイオン性化合物、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸、アセチレン基等の多重結合を含む有機化合物等が挙げられる。有機溶剤は、導電材の種類や、導電材に付着した不純物の種類を考慮して、適宜選択すればよい。例えば、導電材として金属粉末を用いる場合には、当該金属を腐食しにくい溶剤を選択する。また、自身が触媒毒にならない溶剤を選択する。具体的には、アルコール、エーテル、クロロホルム、アセトン等が挙げられる。有機溶剤は、一種のみを用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
【0028】
導電材の洗浄は、例えば、導電材を有機溶剤に浸漬し、必要に応じて攪拌して行えばよい。洗浄の度合いにより、「導電材を有機溶剤に浸漬→固形分(導電材)をろ別」という工程を、繰り返し行ってもよい。また、導電材を有機溶剤に浸漬しながら超音波処理を行ってもよい。超音波処理を行うと、短時間で効率的に洗浄することができる。超音波処理を行う場合にも、洗浄の度合いにより、「導電材を有機溶剤に浸漬、超音波処理→固形分(導電材)をろ別」という工程を、繰り返し行えばよい。このようにして導電材を洗浄することにより、導電材に付着した触媒毒成分を、除去することができる。洗浄後の導電材は、乾燥して次の工程に用いればよい。
【0029】
導電材の種類は、特に限定されない。カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素材料、銀、金、銅、ニッケル、ロジウム、パラジウム、クロム、チタン、白金、鉄、およびこれらの合金等の金属粉末等から、適宜選択すればよい。導電材は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。例えば、カーボンブラックは、エラストマーとの密着性が高く、凝集して導通経路を形成しやすい、という点で好適である。また、金属粉末は、導電性がカーボンブラックより高く、腐食しにくいという点で好適である。なかでも銀は、電気抵抗が小さい。このため、金属粉末は、銀を含むことが望ましい。すなわち、銀粉末や銀合金粉末を含むとよい。
【0030】
また、金属以外の粒子の表面を金属で被覆した被覆粒子を使用してもよい。この場合、金属だけで構成する場合と比較して、導電材の比重を小さくすることができる。よって、塗料化した場合に、導電材の沈降が抑制されて、分散性が向上する。また、粒子を加工することにより、様々な形状の導電材を容易に製造することができる。また、導電材のコストを低減することができる。被覆する金属としては、先に列挙した銀等の金属材料を用いればよい。また、金属以外の粒子としては、グラファイトやカーボンブラック等の炭素材料、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム等の金属酸化物、シリカ等の無機物、アクリルやウレタン等の樹脂等を用いればよい。
【0031】
導電材同士の接触面積を大きくして導電性を向上させるという観点から、導電材としては、フレーク状の金属粉末を含むことが望ましい。この場合、球状の金属粉末等、形状や大きさの異なる種々の金属粉末を併用してもよい。フレーク状の金属粉末は、厚さが1μm以下でアスペクト比が5以上のフレーク状粒子を含むことが望ましい。
【0032】
フレーク状粒子の厚さを1μm以下としたのは、以下の理由による。すなわち、フレーク状粒子を用いて、エラストマー中に導電経路を形成するためには、エラストマーに所定の数以上のフレーク状粒子を充填することが必要である。ここで、フレーク状粒子の厚さを薄くすると、同じ数だけフレーク状粒子を使用しても、充填されるフレーク状粒子の総質量は減少する。また、エラストマー中に占めるフレーク状粒子の体積割合も低下する。したがって、その分、エラストマーの体積割合が増加して、柔軟導電材料の柔軟性を向上させることができる。より好適な厚さは、0.5μm以下である。なお、フレーク状粒子の「厚さ」は、一つの粒子の平均厚さである。
【0033】
フレーク状粒子のアスペクト比を5以上としたのは、アスペクト比が大きい程、粒子同士が重なりやすく、導電経路が形成されやすいからである。アスペクト比は、フレーク状粒子の最大長さを平均厚さで除して算出される(アスペクト比=最大長さ/平均厚さ)。例えば、柔軟導電材料中のフレーク状粒子の最大長さは、次のようにして測定することができる。まず、柔軟導電材料からポリマー分を除去し、導電材(フレーク状粒子を含む)を取り出す。そして、取り出した導電材の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影し、当該SEM写真からフレーク状粒子の最大長さを測定する。また、柔軟導電材料中のフレーク状粒子の平均厚さは、次のようにして測定することができる。まず、柔軟導電材料から取り出した導電材を、エポキシ樹脂で包埋する。次に、包埋した試料を、導電材の厚さ方向に切断し、試料断面のSEM写真を撮影する。そして、当該SEM写真におけるフレーク状粒子の断面像を画像解析することにより、平均厚さを算出する。
【0034】
(2)架橋前組成物調製工程
本工程においては、ヒドロシリル化反応により架橋してエラストマーを生成するポリマー材料と、洗浄後の導電材と、ヒドロシリル化触媒と、を含む架橋前組成物を調製する。
【0035】
ポリマー材料は、ヒドロシリル化反応により架橋してエラストマーを生成する。例えば、(A)アルケニル基を持つポリマーと、(B)ヒドロシリル基を持つ化合物と、から構成すればよい。(A)のポリマーとしては、耐クリープ性を向上させるという観点から、絶縁性が高いものが望ましい。例えば、電気抵抗値が10〜1016Ω・cmのものが好適である。このようなポリマーは、(a)ポリメチレン形の飽和された主鎖を持つゴムポリマー、(b)ポリマーの主鎖に酸素を持つゴムポリマー、(c)ジオレフィン誘導体で不飽和の炭素鎖を持つゴムポリマー、(d)ポリマーの主鎖にケイ素と酸素を持つゴムポリマー、から選択することが望ましい。(a)〜(d)から選ばれる一種を単独で、あるいは二種以上を混合して用いればよい。
【0036】
(a)のゴムポリマーの例として、アクリルゴム、エチレンーαオレフィン共役ジエン共重合体、ポリイソブチレンゴムが挙げられる。(b)のゴムポリマーの例として、エピクロルヒドリンゴム、ポリエーテルゴムが挙げられる。(c)のゴムポリマーの例として、ブタジエン、イソプレン、スチレンのうちの一つ以上を重合した重合体、クロロプレンゴム、ニトリルゴムが挙げられる。(d)のゴムポリマーの例として、シリコーンゴムが挙げられる。
【0037】
(B)のヒドロシリル基を持つ化合物(以下適宜、「ヒドロシリル化合物」と称す)は、耐クリープ性を向上させるという観点から、シロキサン結合を有するものが望ましい。さらに、フェニル基、アリール基、アルキル基のうちの一つ以上を持つ化合物が好適である。フェニル基、アリール基、アルキル基のいずれかを有する場合、上記(A)のポリマーとの相溶性が向上する。このため、架橋を効率よく行うことができる。
【0038】
このようなヒドロシリル化合物としては、例えば、以下の一般式(1)〜(3)で表される化合物が挙げられる。各々の式中、繰り返し単位m、n、p、q部分は、ランダム重合、ブロック重合等のいかなる重合形態であってもよい。これら一般式(1)〜(3)で表される化合物は、例えば、アルケニル基を有する炭化水素系化合物と、ポリヒドロシラン化合物とを、得られる反応物の分子構造中にヒドロシリル基が残存するように反応させて、製造することができる。
【化1】

【化2】

【化3】

【0039】
一般式(1)〜(3)で表される化合物のなかでも、n=1以上の整数のものが好ましく、特に、以下の構造式(4)〜(8)で表される化合物が望ましい。
【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【0040】
ヒドロシリル化合物の配合割合は、(A)のポリマー100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下とすることが望ましい。1質量部未満であると、架橋が不充分で所望の特性を得られない。2質量部以上が好適である。反対に、15質量部を超えると、架橋し過ぎて硬くなり、柔軟性が低下する。8質量部以下が好適である。
【0041】
ヒドロシリル化触媒としては、公知のものを使用すればよい。例えば、白金化合物、パラジウム化合物、ロジウム化合物、イリジウム化合物、ルテニウム化合物等が挙げられる。白金化合物としては、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金/ビニルシロキサン錯体、白金/オレフィン錯体、白金/ホスファイト錯体、白金、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの等が挙げられる。
【0042】
架橋前組成物は、ポリマー材料、洗浄後の導電材、ヒドロシリル化触媒の他、必要に応じて遅延剤、補強剤、可塑剤、老化防止剤、着色剤等の添加剤を含んでいてもよい。架橋前組成物は、例えば、ポリマー材料に、洗浄後の導電材、ヒドロシリル化触媒、必要に応じて添加剤を加えた混合物を、ニーダー、バンバリーミキサー等の加圧式混練機、二本ロール、三本ロール等により混練して調製することができる。あるいは、当該混合物に、溶剤を加えて混練し、塗料状に調製してもよい。
【0043】
(3)架橋工程
本工程においては、調製された架橋前組成物を架橋させる。例えば、架橋前組成物が混練物の場合、金型成形や押出成形により加圧、加熱して、架橋反応を進行させればよい。また、架橋前組成物が塗料状の場合、当該塗料を基材等に塗布し、加熱により乾燥させると共に架橋反応を進行させればよい。塗料の塗布方法には、公知の方法を採用すればよい。例えば、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、リソグラフィー等の印刷法の他、ディップ法、スプレー法、バーコート法等が挙げられる。例えば、印刷法を採用すると、塗布する部分と塗布しない部分との塗り分けを、容易に行うことができる。また、大きな面積、細線、複雑な形状の印刷も容易である。印刷法の中でも、高粘度の塗料が使用でき、塗膜厚さの調整が容易で、厚膜が形成可能であるという理由から、スクリーン印刷法が好適である。
【0044】
<柔軟導電材料>
本発明の柔軟導電材料は、上記本発明の製造方法により製造され、上記ポリマー材料がヒドロシリル化反応により架橋したエラストマーと、該エラストマー中に充填されている導電材と、を有する。本発明の柔軟導電材料において、ヒドロシリル化反応を阻害する触媒毒成分の含有量は、柔軟導電材料の質量を100質量%とした場合の0.05質量%以下である。また、導電材の含有量は、導電性と柔軟性とを両立できるように、適宜決定すればよい。例えば、電極としての導電性を確保するという観点から、導電材の含有量は、柔軟導電材料の体積を100vol%とした場合の10vol%以上であることが望ましい。15vol%以上であるとより好適である。一方、導電材の含有量が多くなると柔軟性が低下する。このため、導電材の含有量は、柔軟導電材料の体積を100vol%とした場合の40vol%以下とすることが望ましい。25vol%以下とするとより好適である。
【0045】
<電極、配線、トランスデューサ>
本発明のトランスデューサは、エラストマーまたは樹脂製の誘電膜と、該誘電膜を介して配置されている複数の電極と、複数の該電極と各々接続されている配線と、を備える。本発明のトランスデューサは、誘電膜と電極とを交互に積層させた積層構造を有していてもよい。
【0046】
誘電膜は、エラストマーまたは樹脂からなる。なかでも、比誘電率の高いエラストマーを用いることが望ましい。具体的には、常温における比誘電率(100Hz)が2以上、さらには5以上のエラストマーが望ましい。例えば、エステル基、カルボキシル基、水酸基、ハロゲン基、アミド基、スルホン基、ウレタン基、ニトリル基等の極性官能基を有するエラストマー、あるいは、これらの極性官能基を有する極性低分子量化合物を添加したエラストマーを採用するとよい。好適なエラストマーとしては、シリコーンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリルゴム、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン等が挙げられる。なお、「エラストマーまたは樹脂製」とは、誘電膜のベース材料が、エラストマーまたは樹脂であることを意味する。よって、エラストマーまたは樹脂成分の他に、添加剤等の他の成分を含んでいても構わない。
【0047】
誘電膜の厚さは、トランスデューサの用途等に応じて適宜決定すればよい。例えば、アクチュエータの場合、小型化、低電位駆動化、および変位量を大きくする等の観点から、誘電膜の厚さは薄い方が望ましい。この場合、絶縁破壊性等をも考慮して、誘電膜の厚さを、1μm以上1000μm(1mm)以下とすることが望ましい。5μm以上200μm以下とすると、より好適である。
【0048】
電極および配線の少なくとも一方は、上記本発明の柔軟導電材料からなる。本発明の柔軟導電材料の構成、および製造方法については、上述した通りである。よって、ここでは説明を割愛する。また、本発明のトランスデューサの電極、配線においても、上述した本発明の柔軟導電材料の好適な態様を採用することが望ましい。以下、本発明のトランスデューサの例として、アクチュエータ、静電容量型センサ、発電素子、およびスピーカの実施形態を説明する。なお、以下の実施形態において、本発明の電極、配線の実施形態についても併せて説明する。
【0049】
[第一実施形態]
本発明のトランスデューサの第一例として、アクチュエータの実施形態を説明する。図1に、本実施形態のアクチュエータの断面模式図を示す。(a)は電圧オフ状態、(b)は電圧オン状態を各々示す。
【0050】
図1に示すように、アクチュエータ1は、誘電膜10と、電極11a、11bと、配線12a、12bと、を備えている。誘電膜10は、シリコーンゴム製である。電極11aは、誘電膜10の上面の略全体を覆うように、配置されている。同様に、電極11bは、誘電膜10の下面の略全体を覆うように、配置されている。電極11a、11bは、各々、配線12a、12bを介して電源13に接続されている。電極11a、11bは、シリコーンゴム中に銀粉末が充填された本発明の柔軟導電材料からなる。
【0051】
オフ状態からオン状態に切り替える際は、一対の電極11a、11b間に電圧を印加する。電圧の印加により、誘電膜10の厚さは薄くなり、その分だけ、図1(b)中白抜き矢印で示すように、電極11a、11b面に対して平行方向に伸長する。これにより、アクチュエータ1は、図中上下方向および左右方向の駆動力を出力する。
【0052】
本実施形態によると、電極11a、11bは、柔軟で伸縮可能である。このため、電極11a、11bは、誘電膜10の変形に追従して伸縮することができる。すなわち、誘電膜10の動きが、電極11a、11bにより妨げられにくい。よって、アクチュエータ1によると、より大きな力および変位量を得ることができる。また、誘電膜10と電極11a、11bとは、共にシリコーンゴムから形成されている。このため、両者の接着性は良好である。よって、伸縮を繰り返しても、電極11a、11bが剥離しにくく、耐久性が高い。また、電極11a、11bにおいては、導電性が高く、伸縮を繰り返しても電気抵抗が増加しにくい。このため、アクチュエータ1の性能は低下しにくい。また、電極11a、11bがクリープしにくいため、アクチュエータ1は耐久性に優れる。さらに、電極を介在させた状態で誘電膜10を積層してアクチューエータを構成すると、より大きな力を発生させることができる。これにより、アクチュエータの出力が大きくなり、駆動対象部材をより大きな力で駆動させることができる。
【0053】
[第二実施形態]
本発明のトランスデューサの第二例として、静電容量型センサの実施形態を説明する。まず、本実施形態の静電容量型センサの構成について説明する。図2に、静電容量型センサの上面図を示す。図3に、図2のIII−III断面図を示す。図2、図3に示すように、静電容量型センサ2は、誘電膜20と、一対の電極21a、21bと、配線22a、22bと、カバーフィルム23a、23bと、を備えている。
【0054】
誘電膜20は、H−NBR製であって、左右方向に延びる帯状を呈している。誘電膜20の厚さは、約300μmである。
【0055】
電極21aは、長方形状を呈している。電極21aは、誘電膜20の上面に、スクリーン印刷により三つ形成されている。同様に、電極21bは、長方形状を呈している。電極21bは、誘電膜20を挟んで電極21aと対向するように、誘電膜20の下面に三つ形成されている。電極21bは、誘電膜20の下面に、スクリーン印刷されている。このように、誘電膜20を挟んで、電極21a、21bが三対配置されている。電極21a、21bは、シリコーンゴム中に銀粉末が充填された本発明の柔軟導電材料からなる。
【0056】
配線22aは、誘電膜20の上面に形成された電極21aの一つ一つに、それぞれ接続されている。配線22aにより、電極21aとコネクタ24とが結線されている。配線22aは、誘電膜20の上面に、スクリーン印刷により形成されている。同様に、配線22bは、誘電膜20の下面に形成された電極21bの一つ一つに、それぞれ接続されている(図2中、点線で示す)。配線22bにより、電極21bとコネクタ(図略)とが結線されている。配線22bは、誘電膜20の下面に、スクリーン印刷により形成されている。配線22a、22bは、シリコーンゴム中に銀粉末が充填された本発明の柔軟導電材料からなる。
【0057】
カバーフィルム23aは、アクリルゴム製であって、左右方向に延びる帯状を呈している。カバーフィルム23aは、誘電膜20、電極21a、配線22aの上面を覆っている。同様に、カバーフィルム23bは、アクリルゴム製であって、左右方向に延びる帯状を呈している。カバーフィルム23bは、誘電膜20、電極21b、配線22bの下面を覆っている。
【0058】
次に、静電容量型センサ2の動きについて説明する。例えば、静電容量型センサ2が上方から押圧されると、誘電膜20、電極21a、カバーフィルム23aは一体となって、下方に湾曲する。圧縮により、誘電膜20の厚さは小さくなる。その結果、電極21a、21b間のキャパシタンスは大きくなる。このキャパシタンス変化により、圧縮による変形が検出される。
【0059】
次に、本実施形態の静電容量型センサ2の作用効果について説明する。本実施形態によると、誘電膜20、電極21a、21b、配線22a、22b、カバーフィルム23a、23bは、いずれもエラストマー材料からなる。このため、静電容量型センサ2の全体が柔軟であり、伸縮可能である。また、電極21a、21bおよび配線22a、22bは、誘電膜20の変形に追従して変形することができる。さらに、電極21a、21bおよび配線22a、22bにおいては、導電性が高く、伸縮を繰り返しても電気抵抗が増加しにくい。したがって、静電容量型センサ2の応答性は良好である。また、電極21a、21bおよび配線22a、22bがクリープしにくいため、静電容量型センサ2は耐久性に優れる。なお、本実施形態の静電容量型センサ2には、誘電膜20を狭んで対向する電極21a、21bが、三対形成されている。しかし、電極の数、大きさ、形状、配置等は、用途に応じて、適宜決定すればよい。
【0060】
[第三実施形態]
本発明のトランスデューサの第三例として、発電素子の実施形態を説明する。図4に、本実施形態における発電素子の断面模式図を示す。(a)は伸長時、(b)は収縮時を各々示す。
【0061】
図4に示すように、発電素子3は、誘電膜30と、電極31a、31bと、配線32a〜32cと、を備えている。誘電膜30は、H−NBR製である。電極31aは、誘電膜30の上面の略全体を覆うように、配置されている。同様に、電極31bは、誘電膜30の下面の略全体を覆うように、配置されている。電極31aには、配線32a、32bが接続されている。すなわち、電極31aは、配線32aを介して、外部負荷(図略)に接続されている。また、電極31aは、配線32bを介して、電源(図略)に接続されている。電極31bは、配線32cにより接地されている。電極31a、31bは、シリコーンゴム中に銀粉末が充填された本発明の柔軟導電材料からなる。
【0062】
図4(a)中白抜き矢印で示すように、発電素子3を圧縮し、誘電膜30を電極31a、31b面に対して平行方向に伸長すると、誘電膜30の膜厚は薄くなり、電極31a、31b間に電荷が蓄えられる。その後、圧縮力を除去すると、図4(b)に示すように、誘電膜30の弾性復元力により誘電膜30は収縮し、膜厚が厚くなる。その際、蓄えられた電荷が配線32aを通して放出される。
【0063】
本実施形態によると、電極31a、31bは、柔軟で伸縮可能である。このため、電極31a、31bは、誘電膜30の変形に追従して伸縮することができる。すなわち、誘電膜30の動きが、電極31a、31bにより妨げられにくい。また、電極31a、31bにおいては、導電性が高く、伸縮を繰り返しても電気抵抗が増加しにくい。このため、発電素子3の性能は低下しにくい。また、電極31a、31bがクリープしにくいため、発電素子3は耐久性に優れる。
【0064】
[第四実施形態]
本発明のトランスデューサの第四例として、スピーカの実施形態を説明する。まず、本実施形態のスピーカの構成について説明する。図5に、本実施形態のスピーカの斜視図を示す。図6に、図5のVI−VI断面図を示す。図5、図6に示すように、スピーカ4は、第一アウタフレーム40aと、第一インナフレーム41aと、第一誘電膜42aと、第一アウタ電極43aと、第一インナ電極44aと、第一振動板45aと、第二アウタフレーム40bと、第二インナフレーム41bと、第二誘電膜42bと、第二アウタ電極43bと、第二インナ電極44bと、第二振動板45bと、八つのボルト460と、八つのナット461と、八つのスペーサ462と、を備えている。
【0065】
第一アウタフレーム40a、第一インナフレーム41aは、各々、樹脂製であって、リング状を呈している。第一誘電膜42aは、H−NBR製であり、円形の薄膜状を呈している。第一誘電膜42aは、第一アウタフレーム40aと第一インナフレーム41aとの間に張設されている。すなわち、第一誘電膜42aは、表側の第一アウタフレーム40aと裏側の第一インナフレーム41aとにより、所定の張力を確保した状態で、挟持、固定されている。第一振動板45aは、樹脂製であって、円板状を呈している。第一振動板45aは、第一誘電膜42aよりも小径である。第一振動板45aは、第一誘電膜42aの表面の略中央に配置されている。
【0066】
第一アウタ電極43aは、リング状を呈している。第一アウタ電極43aは、第一誘電膜42aの表面に貼着されている。第一インナ電極44aも、リング状を呈している。第一インナ電極44aは、第一誘電膜42aの裏面に貼着されている。第一アウタ電極43aと第一インナ電極44aとは、第一誘電膜42aを挟んで、表裏方向に背向している。第一アウタ電極43aと第一インナ電極44aとは、いずれも、シリコーンゴム中に銀粉末が充填された本発明の柔軟導電材料からなる。また、図6に示すように、第一アウタ電極43aは、端子430aを備えている。第一インナ電極44aは、端子440aを備えている。端子430a、440aには、外部から電圧が印加される。
【0067】
第二アウタフレーム40b、第二インナフレーム41b、第二誘電膜42b、第二アウタ電極43b、第二インナ電極44b、第二振動板45b(以下、「第二部材」と総称する。)の構成、材質、形状は、上記第一アウタフレーム40a、第一インナフレーム41a、第一誘電膜42a、第一アウタ電極43a、第一インナ電極44a、第一振動板45a(以下、「第一部材」と総称する。)の構成、材質、形状と、同様である。また、第二部材の配置は、上記第一部材の配置と、表裏方向に対称である。簡単に説明すると、第二誘電膜42bは、H−NBR製であり、第二アウタフレーム40bと第二インナフレーム41bとの間に張設されている。第二振動板45bは、第二誘電膜42bの表面の略中央に配置されている。第二アウタ電極43bは、第二誘電膜42bの表面に印刷されている。第二インナ電極44bは、第二誘電膜42bの裏面に印刷されている。第二アウタ電極43bと第二インナ電極44bとは、いずれも、シリコーンゴム中に銀粉末が充填された本発明の柔軟導電材料からなる。第二アウタ電極43bの端子430b、第二インナ電極44bの端子440bには、外部から電圧が印加される。
【0068】
第一部材と第二部材とは、八つのボルト460、八つのナット461により、八つのスペーサ462を介して、固定されている。「ボルト460−ナット461−スペーサ462」のセットは、スピーカ4の周方向に所定間隔ずつ離間して配置されている。ボルト460は、第一アウタフレーム40a表面から第二アウタフレーム40b表面までを貫通している。ナット461は、ボルト460の貫通端に螺着されている。スペーサ462は、樹脂製であって、ボルト460の軸部に環装されている。スペーサ462は、第一インナフレーム41aと第二インナフレーム41bとの間に、所定の間隔を確保している。第一誘電膜42aの中央部裏面(第一振動板45aが配置されている部分の裏側)と、第二誘電膜42bの中央部裏面(第二振動板45bが配置されている部分の裏側)と、は接合されている。このため、第一誘電膜42aには、図6に白抜き矢印Y1aで示す方向に、付勢力が蓄積されている。また、第二誘電膜42bには、図6に白抜き矢印Y1bで示す方向に、付勢力が蓄積されている。
【0069】
次に、本実施形態のスピーカの動きについて説明する。端子430a、440aと端子430b、440bとを介して、第一アウタ電極43aおよび第一インナ電極44aと、第二アウタ電極43bおよび第二インナ電極44bと、には、初期状態(オフセット状態)において、所定の電圧(オフセット電圧)が印加されている。スピーカ4の動作時には、端子430a、440aと端子430b、440bとに、逆位相の電圧が印加される。 例えば、端子430a、440aに、オフセット電圧+1Vが印加されると、第一誘電膜42aのうち、第一アウタ電極43aと第一インナ電極44aとの間に配置されている部分の膜厚が薄くなる。並びに、当該部分が径方向に伸長する。これと同時に、端子430b、440bに逆位相の電圧(オフセット電圧−1V)が印加される。すると、第二誘電膜42bのうち、第二アウタ電極43bと第二インナ電極44bとの間に配置されている部分の膜厚が厚くなる。並びに当該部分が径方向に収縮する。これにより、第二誘電膜42bは、第一誘電膜42aを引っ張りながら、図6に白抜き矢印Y1bで示す方向に、自身の付勢力により弾性変形する。反対に、端子430b、440bにオフセット電圧+1Vが印加され、端子430a、440aに逆位相の電圧(オフセット電圧−1V)が印加されると、第一誘電膜42aは、第二誘電膜42bを引っ張りながら、図6に白抜き矢印Y1aで示す方向に、自身の付勢力により弾性変形する。このようにして、第一振動板45a、第二振動板45bを振動させることにより空気を振動させ、音声を発生させる。
【0070】
次に、本実施形態のスピーカ4の作用効果について説明する。本実施形態によると、第一アウタ電極43a、第一インナ電極44a、第二アウタ電極43b、および第二インナ電極44b(以下適宜、「電極43a、44a、43b、44b」と称す)は、柔軟で伸縮可能である。このため、第一アウタ電極43a、第一インナ電極44aは、第一誘電膜42aの変形に追従して伸縮することができる。同様に、第二アウタ電極43b、および第二インナ電極44bは、第二誘電膜42bの変形に追従して伸縮することができる。すなわち、第一誘電膜42a、第二誘電膜42bの動きが、電極43a、44a、43b、44bにより妨げられにくい。よって、スピーカ4の応答性は、低周波領域においても良好である。また、電極43a、44a、43b、44bにおいては、導電性が高く、伸縮を繰り返しても電気抵抗が増加しにくい。このため、スピーカ4の性能は低下しにくい。また、電極43a、44a、43b、44bがクリープしにくいため、スピーカ4は耐久性に優れる。
【0071】
<フレキシブル配線板>
本発明のフレキシブル配線板は、弾性基材と、該弾性基材の表面に配置されている配線と、を備える。弾性基材の材質は、特に限定されない。例えば、伸縮性を有する材料として、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、イソブチレンイソプレンゴム、各種の熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0072】
配線の少なくとも一部は、本発明の柔軟導電材料からなる。本発明の柔軟導電材料の構成、および製造方法については、上述した通りである。よって、ここでは説明を割愛する。また、本発明のフレキシブル配線板においても、上述した本発明の柔軟導電材料の好適な態様を採用することが望ましい。以下、本発明のフレキシブル配線板の一実施形態を説明する。
【0073】
まず、本実施形態のフレキシブル配線板の構成について説明する。図7に、本実施形態のフレキシブル配線板の上面透過図を示す。なお、図7中、裏側の電極、配線については細線で示す。図7に示すように、フレキシブル配線板5は、弾性基材50と、表側電極01X〜16Xと、裏側電極01Y〜16Yと、表側配線01x〜16xと、裏側配線01y〜16yと、表側配線用コネクタ51と、裏側配線用コネクタ52と、を備えている。
【0074】
弾性基材50は、ウレタンゴム製であって、シート状を呈している。表側電極01X〜16Xは、弾性基材50の上面に、合計16本配置されている。表側電極01X〜16Xは、各々、帯状を呈している。表側電極01X〜16Xは、各々、X方向(左右方向)に延在している。表側電極01X〜16Xは、Y方向(前後方向)に、所定間隔ごとに離間して、互いに略平行になるように、配置されている。同様に、裏側電極01Y〜16Yは、弾性基材50の下面に、合計16本配置されている。裏側電極01Y〜16Yは、各々、帯状を呈している。裏側電極01Y〜16Yは、各々、Y方向に延在している。裏側電極01Y〜16Yは、X方向に、所定間隔ごとに離間して、互いに略平行になるように、配置されている。図7にハッチングで示すように、弾性基材50を挟んで、表側電極01X〜16Xと裏側電極01Y〜16Yとが交差する部分(重複する部分)により、荷重等を検出する検出部が形成されている。
【0075】
表側配線01x〜16xは、弾性基材50の上面に、合計16本配置されている。表側配線01x〜16xは、各々、線状を呈している。表側配線01x〜16xは、シリコーンゴム中に銀粉末が充填された本発明の柔軟導電材料からなる。表側配線用コネクタ51は、弾性基材50の左後隅に配置されている。表側配線01x〜16xは、各々、表側電極01X〜16Xの左端と、表側配線用コネクタ51と、を接続している。また、弾性基材50の上面、表側電極01X〜16X、表側配線01x〜16xは、上方から、表側カバーフィルム(図略)により覆われている。
【0076】
裏側配線01y〜16yは、弾性基材50の下面に、合計16本配置されている。裏側配線01y〜16yは、各々、線状を呈している。裏側配線01y〜16yは、シリコーンゴム中に銀粉末が充填された本発明の柔軟導電材料からなる。裏側配線用コネクタ52は、弾性基材50の左前隅に配置されている。裏側配線01y〜16yは、各々、裏側電極01Y〜16Yの前端と、裏側配線用コネクタ52と、を接続している。また、弾性基材50の下面、裏側電極01Y〜16Y、裏側配線01y〜16yは、下方から、裏側カバーフィルム(図略)により覆われている。
【0077】
表側配線用コネクタ51、裏側配線用コネクタ52には、各々、演算部(図略)が電気的に接続されている。演算部には、表側配線01x〜16xおよび裏側配線01y〜16yから、検出部におけるインピーダンスが入力される。これに基づいて、面圧分布が測定される。
【0078】
次に、本実施形態のフレキシブル配線板5の作用効果について説明する。本実施形態によると、表側配線01x〜16xおよび裏側配線01y〜16yは、各々、柔軟で伸縮可能である。このため、表側配線01x〜16xおよび裏側配線01y〜16yは、弾性基材50の変形に追従して変形することができる。また、表側配線01x〜16xおよび裏側配線01y〜16yにおいては、導電性が高く、伸長されても電気抵抗が増加しにくい。このため、フレキシブル配線板5は、伸縮可能な素子を電気回路に接続するのに好適である。また、表側配線01x〜16xおよび裏側配線01y〜16yがクリープしにくいため、フレキシブル配線板5は耐久性に優れる。
【0079】
<電磁波シールド>
本発明の電磁波シールドは、本発明の柔軟導電材料からなる。電磁波シールドは、電子機器の内部で発生した電磁波が外部に漏れるのを抑制したり、外部からの電磁波を内部へ侵入させにくくする役割を果たす。例えば、電子機器の筐体の内周面に、電磁波シールドを配置する場合には、本発明の柔軟導電材料を形成するための導電塗料を、電子機器の筐体の内周面に塗布し、乾燥させればよい。また、上記トランスデューサの第二実施形態として示した静電容量型センサに、電磁波シールドを配置することもできる。例えば、カバーフィルム23aの上面と、カバーフィルム23bの下面と、を各々覆うように、電磁波シールドを配置すればよい(前出図2、図3参照)。この場合、本発明の柔軟導電材料を形成するための導電塗料を、カバーフィルム23aの上面およびカバーフィルム23bの下面に塗布し、乾燥させればよい。さらに、電子機器の隙間にガスケットとして配置する場合には、本発明の柔軟導電材料を、所望の形状に成形して用いればよい。
【実施例】
【0080】
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0081】
<銀粉末の製造>
次のようにして、フレーク状の銀粉末を製造した。まず、ボールミルの円筒容器(容量3L)内に、粒状の銀粉末(BET法比表面積1.0m/g)1.0kgと、直径0.8mmのチタン製ボール3.0kgと、エタノール800gと、オレイン酸20gと、を仕込んだ。次に、ボールミルを回転速度75rpmで24時間運転し、フレーク化処理を行った。その後、円筒容器の内容物をろ過し、ろ液を乾燥して、フレーク状の銀粉末を得た。得られたフレーク状の銀粉末は、厚さ0.15μm、アスペクト比60の銀粒子を含んでいた。
【0082】
<銀粉末の洗浄>
まず、製造したフレーク状の銀粉末を同量のメタノールに浸漬して、超音波処理を行った。超音波処理は、周波数40kHzで、10分間行った。次に、吸引ろ過により固形分(銀粉末)をろ別した。そして、ろ別した銀粉末を、再度同様に超音波洗浄し、吸引ろ過により固形分をろ別した。その後、ろ別された固形分を、常温で24時間乾燥した。
【0083】
<柔軟導電材料の製造>
[実施例1]
まず、二成分付加反応熱硬化型シリコーンゴム(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製「TSE−3351」)のA液50質量部とB液50質量部との混合物に、洗浄後の銀粉末200質量部を添加して、三本ロールにて五回混練りして架橋前組成物を調製した。次に、架橋前組成物を、アクリル樹脂製の基材表面に、厚さ0.5mmのシート状に成形した。そして、150℃で1時間加熱することにより、架橋反応を進行させて、柔軟導電材料を得た。得られた柔軟導電材料における銀粉末の含有量は、18vol%である。
【0084】
[実施例2]
まず、ポリエーテルゴムポリマー100質量部、ヒドロシリル化合物2.5質量部、洗浄後の銀粉末200質量部、遅延剤のアセチレンアルコール0.03質量部、および白金触媒(Gelest社製「SIP6830.0」)0.01質量部を、ロール練り機にて混合して、架橋前組成物を調製した。次に、調製した架橋前組成物を、厚さ0.2mmのシート状に成形した。そして、当該シートを金型に充填して、120℃で30分間プレス架橋することにより、柔軟導電材料を得た。得られた柔軟導電材料における銀粉末の含有量は、20vol%である。使用したポリエーテルゴムポリマーの構造式を、以下の式(9)に示す。また、ヒドロシリル化合物としては、先に記載した構造式(4)の化合物を使用した。
【化9】

【0085】
[比較例1]
未洗浄の銀粉末を使用した点以外は、実施例1と同様にして、柔軟導電材料を製造した。
【0086】
[比較例2]
銀粉末を配合しない点以外は、実施例1と同様にして、シリコーンゴム材料を製造した。すなわち、上記シリコーンゴムのA液50質量部とB液50質量部との混合物を、アクリル樹脂製の基材表面に、厚さ0.5mmのシート状に成形し、150℃で1時間加熱して、シリコーンゴム材料を製造した。
【0087】
<評価方法>
[ろ液成分の分析]
銀粉末の一回目の洗浄でろ別されたろ液を濃縮し、その成分をガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)にて分析した。
【0088】
[架橋性]
まず、実施例および比較例の各材料から切り出した試験片を、室温下でトルエンに4時間浸漬した。その後、試験片を取り出して乾燥させた。そして、乾燥後の試験片の質量を測定し、初期の質量に対する乾燥後の質量割合(トルエン不溶分)を算出した。
【0089】
[柔軟性]
実施例および比較例の各材料について、JIS K7127(1999)に準じた引張試験を行った。試験片の形状は、試験片タイプ2とし、100mm/minの速度で伸長した。得られた応力−歪み曲線から、各材料の弾性率を算出した。
【0090】
[耐クリープ性]
実施例および比較例の各材料について、JIS K6273(2006)に準じた定伸長引張永久歪み試験を行った。まず、実施例および比較例の各材料から切り出した短冊状試験片を、室温下、10%伸長した状態で24時間保持した。その後、解放し、室温下で30分経過した後の長さを測定して、引張永久歪みを算出した。ここで、伸長率は、次式(I)により算出した値である(次の体積抵抗率の測定においても同じ)。
伸長率(%)=(ΔL/L)×100・・・(I)
[L:試験片の標線間距離、ΔL:試験片の標線間距離の伸長による増加分]
【0091】
[導電性]
(1)実施例および比較例の柔軟導電材料の体積抵抗率を、JIS K6271(2008)の平行端子電極法に準じて測定した。この際、試験片を支持する絶縁樹脂製支持具として、市販のシリコーンゴムシート(クレハエラストマー(株)製)を用いた。体積抵抗率の測定は、伸長の有無により二種類行った。すなわち、一つは、自然状態(伸長なし)で測定し、もう一つは、一軸方向に10%伸長した状態(以下、適宜「10%伸長状態」と称す)で測定した。
【0092】
(2)実施例および比較例の柔軟導電材料を繰り返し伸縮し、伸縮前後の体積抵抗率の変化を測定した。柔軟導電材料が自然状態→10%伸長状態→自然状態になるように、柔軟導電材料を周波数1Hzで伸縮させた。伸縮は、「自然状態→10%伸長状態→自然状態」を1回とし、連続して2000回行った。伸縮を2000回繰り返した後、柔軟導電材料の体積抵抗率を測定した。
【0093】
[触媒毒成分の残存量測定]
まず、実施例および比較例の柔軟導電材料の各々100gを粉砕して、試料を作製した。次に、試料をメタノールに24時間浸漬した。次に、溶液をろ別し、乾固した後、再びメタノールに溶解して、GC/MSにて分析した。そして、試料に含まれるオレイン酸(触媒毒成分)の量を測定した。
【0094】
<評価結果>
実施例および比較例の各材料の評価結果を、原料の配合量と共に、表1に示す。表1中、原料の配合量の単位は質量部である。
【表1】

【0095】
銀粉末の一回目の洗浄で生じたろ液から、N−メチルピロリドン(NMP)、酢酸2−ブトキシエチル、ノナナール、ジブチルフタレート(DBP)、オレイン酸、ジオクチルフタレート(DOP)が検出された。これにより、銀粉末に付着していたオレイン酸を含む不純物は、超音波洗浄により除去可能であることがわかる。この点については、柔軟導電材料に残存しているオレイン酸量の比較からも明らかである。すなわち、表1に示すように、実施例1、2の柔軟導電材料においては、比較例1の柔軟導電材料と比較して、オレイン酸の含有量が大幅に減少していた。
【0096】
また、実施例1、2の柔軟導電材料のトルエン不溶分は、90%以上であった。この値は、未洗浄の銀粉末を使用した比較例1の柔軟導電材料のトルエン不溶分と比較して、大幅に大きい。このように、洗浄後の銀粉末を使用した場合、架橋が充分に進行することが確認された。また、架橋の進行は、弾性率の大小からも判断できる。すなわち、実施例1、2の柔軟導電材料の弾性率は、比較例1の柔軟導電材料の弾性率よりも大きくなった。
【0097】
また、比較例1の柔軟導電材料の引張永久歪みが100%であるのに対して、実施例1、2の柔軟導電材料の引張永久歪みは、大幅に小さくなった。つまり、実施例1、2の柔軟導電材料は、耐クリープ性に優れ、へたりにくい。この結果からも、洗浄後の銀粉末を使用すると、架橋が充分に進行することがわかる。
【0098】
自然状態の導電性については、実施例1、2と比較例1とでほとんど差は見られなかった。つまり、いずれの柔軟導電材料においても、高い導電性を示した。しかし、10%伸長した場合、実施例1、2の柔軟導電材料の体積抵抗率はほとんど変化しないのに対して、比較例1の柔軟導電材料の体積抵抗率は、伸長前よりも1桁大きくなった。さらに、伸縮を繰り返した後では、実施例1、2の柔軟導電材料が高い導電性を維持しているのに対して、比較例1の柔軟導電材料においては、導電性が失われた。
【0099】
以上より、洗浄した導電材を用いることにより、ヒドロシリル化触媒の触媒作用が阻害されることなく、架橋が進行することが確認された。その結果、伸縮性および導電性が高く、伸縮を繰り返しても電気抵抗が増加しにくい柔軟導電材料が得られることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明の柔軟導電材料は、エラストマーを利用した柔軟なトランスデューサの電極、配線に好適である。また、電磁波シールド、屈曲可能なディスプレイ等に使用されるフレキシブル配線板の配線としても好適である。さらには、導電性接着剤、ロボットや産業用機械の可動部の制御デバイス、ウェアラブルデバイスの電極、配線にも好適である。
【符号の説明】
【0101】
1:アクチュエータ(トランスデューサ) 10:誘電膜 11a、11b:電極
12a、12b:配線 13:電源
2:静電容量型センサ(トランスデューサ) 20:誘電膜 21a、21b:電極
22a、22b:配線 23a、23b:カバーフィルム 24:コネクタ
3:発電素子(トランスデューサ) 30:誘電膜 31a、31b:電極
32a〜32c:配線
4:スピーカ(トランスデューサ)
40a:第一アウタフレーム 40b:第二アウタフレーム
41a:第一インナフレーム 41b:第二インナフレーム
42a:第一誘電膜 42b:第二誘電膜
43a:第一アウタ電極 43b:第二アウタ電極
44a:第一インナ電極 44b:第二インナ電極
45a:第一振動板 45b:第二振動板
430a、430b、440a、440b:端子 460:ボルト 461:ナット
462:スペーサ
5:フレキシブル配線板
50:弾性基材 51:表側配線用コネクタ 52:裏側配線用コネクタ
01X〜16X:表側電極 01Y〜16Y:裏側電極 01x〜16x:表側配線
01y〜16y:裏側配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロシリル化反応により架橋されたエラストマーと、該エラストマー中に充填されている導電材と、を有する柔軟導電材料の製造方法であって、
前記導電材を、ヒドロシリル化触媒の触媒毒成分を溶解可能な有機溶剤に浸漬して洗浄する洗浄工程と、
ヒドロシリル化反応により架橋して前記エラストマーを生成するポリマー材料と、洗浄後の該導電材と、該ヒドロシリル化触媒と、を含む架橋前組成物を調製する架橋前組成物調製工程と、
該架橋前組成物を架橋させる架橋工程と、
を有することを特徴とする柔軟導電材料の製造方法。
【請求項2】
前記洗浄工程において、前記導電材を前記有機溶剤中で超音波処理する請求項1に記載の柔軟導電材料の製造方法。
【請求項3】
洗浄前の前記導電材には、前記触媒毒成分が付着しており、
前記洗浄工程において該触媒毒成分が除去される請求項1または請求項2に記載の柔軟導電材料の製造方法。
【請求項4】
前記導電材は、金属粉末である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の柔軟導電材料の製造方法。
【請求項5】
前記金属粉末は、銀を含む請求項4に記載の柔軟導電材料の製造方法。
【請求項6】
前記金属粉末は、厚さが1μm以下でアスペクト比が5以上のフレーク状粒子を含む請求項4または請求項5に記載の柔軟導電材料の製造方法。
【請求項7】
前記ポリマー材料は、(A)アルケニル基を持つポリマーと、(B)ヒドロシリル基を持つ化合物と、からなる請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の柔軟導電材料の製造方法。
【請求項8】
前記(A)のポリマーは、(a)ポリメチレン形の飽和された主鎖を持つゴムポリマー、(b)ポリマーの主鎖に酸素を持つゴムポリマー、(c)ジオレフィン誘導体で不飽和の炭素鎖を持つゴムポリマー、(d)ポリマーの主鎖にケイ素と酸素を持つゴムポリマー、から選ばれる一種以上である請求項7に記載の柔軟導電材料の製造方法。
【請求項9】
ヒドロシリル化反応により架橋されたエラストマーと、該エラストマー中に充填されている導電材と、を有し、
ヒドロシリル化反応により架橋して該エラストマーを生成するポリマー材料と、予めヒドロシリル化触媒の触媒毒成分を溶解可能な有機溶剤に浸漬され洗浄された該導電材と、該ヒドロシリル化触媒と、を含む架橋前組成物を架橋して製造され、
該触媒毒成分の含有量は、柔軟導電材料の質量を100質量%とした場合の0.05質量%以下であることを特徴とする柔軟導電材料。
【請求項10】
請求項9に記載の柔軟導電材料からなる電極。
【請求項11】
請求項9に記載の柔軟導電材料からなる配線。
【請求項12】
請求項9に記載の柔軟導電材料からなる電磁波シールド。
【請求項13】
エラストマーまたは樹脂製の誘電膜と、該誘電膜を介して配置されている複数の電極と、複数の該電極と各々接続されている配線と、を備え、
該電極および該配線の少なくとも一方は、請求項9に記載の柔軟導電材料からなるトランスデューサ。
【請求項14】
弾性基材と、該弾性基材の表面に配置されている配線と、を備え、配線の少なくとも一部は、請求項9に記載の柔軟導電材料からなるフレキシブル配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−248399(P2012−248399A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119086(P2011−119086)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】