説明

柔道畳

【課題】隣接して設置される複数の柔道畳の周囲に寄せ枠を設けなくてもずれが生じない柔道畳を提供する。
【解決手段】複数枚の柔道畳2,3,4,5によって形成される柔道場1の周縁部に設置される柔道畳3,4,5であって、前記柔道畳3,4,5は、前記周縁部に前記柔道畳3,4,5と隣接して設置される柔道畳3,4,5と連結し、柔道場1の内部に設置される柔道畳2を囲む連結部が設けられるので、柔道場1の内部に設置される柔道畳2は、柔道場1の周縁部に設置される柔道畳3,4,5によって囲まれ柔道畳2の移動が制限されるので、競技者の動きによってずれることがなく、隣接して設置される複数の柔道畳2の周囲に寄せ枠を設けることを要しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔道畳の技術に関し、より詳細には、複数の柔道畳が隣接して設置された周囲に寄せ枠を設けなくても柔道畳にずれが生じない柔道畳の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば複数枚の柔道畳を隣接して配置して正方形の柔道場を設置する場合には、正方形に設置した複数枚の柔道畳の周囲に木製あるいはゴム製の寄せ枠が設けられる。寄せ枠を設けることによって柔道畳がずれなくなり、柔道畳のずれに起因した競技者の怪我が防止されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
柔道畳の周囲に寄せ枠を設置する場合には、体育館などの床面に簡易に柔道場を設置することができない。体育館などの床面に、木製などの寄せ枠を設けた場合には、寄せ枠が床面を傷付けることがある。また、寄せ枠を設置する場合には、寄せ枠用のスペースが必要となり、狭い場所に柔道場を設置する場合には柔道畳を設置することができるスペースが制限される。
【0004】
本発明の目的は、このような課題を解決するもので、隣接して設置される複数の柔道畳の周囲に寄せ枠を設けなくてもずれが生じない柔道畳を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、複数枚の柔道畳によって形成される柔道場の周縁部に設置される周縁用の柔道畳であって、前記周縁用の柔道畳は、前記周縁部に前記周縁用の柔道畳と隣接して設置される他の周縁用の柔道畳と連結し柔道場の内部に設置される柔道畳を囲む連結部が設けられる。また、請求項2に記載の発明によると、前記連結部は、面ファスナーである。
【0006】
請求項3に記載の発明によると、前記柔道畳は、長手方向両端面に各々雄面ファスナーと雌面ファスナーとが設けられる第1の柔道畳と、第1の柔道畳の長手方向の端面に設けられる雌面ファスナーと接着する雄面ファスナーを短手方向の端面に有し、第1の柔道畳の長手方向端面に設けられる雄面ファスナーと接着する雌面ファスナーを長手方向の端面に有する第2の柔道畳と、第1の柔道畳の長手方向端面に設けられる雄面ファスナーと接着する雌面ファスナーを短手方向の端面に有し、第1の柔道畳の長手方向端面に設けられる雌面ファスナーと接着する雄面ファスナーを長手方向の端面に有する第3の柔道畳との少なくとも3種類ある。
【0007】
請求項4に記載の発明によると、第1の柔道畳,第2の柔道畳および第3の柔道畳の外周には、互いに隣接する柔道畳同士を連結する雌面または雄面のいずれか一方の面ファスナーが設けられ、該面ファスナーには、補助板に設けられた雄面または雌面のいずれか一方の面ファスナーが接着し、隣接する第1の柔道畳同士,隣接する第1および第2の柔道畳同士,隣接する第1および第3の柔道畳同士を接合させるように構成したものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、周縁用の柔道畳は、周縁部に前記周縁用の柔道畳と隣接して設置される他の周縁用の柔道畳と連結し、柔道場の内部に設置される柔道畳を囲む連結部が設けられるので、柔道場の内部に設置される柔道畳は、柔道場の周縁部に設置される柔道畳によって囲まれ移動が制限されるので、競技者の動きによってずれることがなく、隣接して設置される複数の柔道畳の周囲に寄せ枠を設けることを要しない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態における柔道場の平面図である。
【図2】柔道畳の面ファスナーの縫いつけ位置を示す図である。
【図3】柔道畳の雄面ファスナーおよび雌面ファスナーの縫い付け部を示す斜視図である。
【図4】柔道畳の雄面ファスナーの縫い付け部を示す斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施形態における柔道畳の雄面ファスナーの縫い付け部を示す斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施形態における柔道場の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の第1の実施形態について図1,図2,図3および図4に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態における柔道場1の平面図である。柔道場1は、50枚の柔道畳2,3,4および5が隣接して設置されて概ね正方形に形成される。柔道場1の中央部には、縦に4枚隣接して配置した柔道畳2を8列設け、合計32枚の柔道畳2が設けられる。正方形に形成された32枚の柔道畳2の周囲には、18枚の柔道畳3,4および5が正方形のリング状に連結されて設置される。柔道畳3は、正方形のリング状に連結された直線部分に14枚配置される。柔道畳4は、正方形のリングの対向する角部に2箇所配置され、柔道畳5は他方の対向する角部に2箇所配置される。
【0011】
なお、柔道畳2は、すべて同じ方向に向けて設置しているが、これに限定されるものではなく、図2に示す方向に対して直交する方向に配置したものを含んでもよい。
柔道畳2,3,4,5は、合成樹脂の発泡体を含む積層体からなる畳床と表面材とからなり、表面材は、畳床を上方から包み込み、畳床に縫合される。畳床を構成する積層体に含まれる合成樹脂の発泡体としては、ポリエチレン発泡体などが挙げられ、表面材としてはポリ塩化ビニル、ポリエチレン製のシート等が用いられる。
【0012】
図2は、柔道畳3,4,5の雄面ファスナー6および雌面ファスナー7の縫い付け位置を示す図である。柔道畳3,4および5の端面8,9,10,11,12,13には、連結部である雄面ファスナー6および雌面ファスナー7が縫い付けられる。柔道畳3,4および5は、面ファスナー6,7で連結され、周囲に隣接した状態で柔道畳2を囲む。
【0013】
柔道畳3は、長手方向両端面8,9の中央部に雄面ファスナー6と雌面ファスナー7とが各々設けられ、正方形のリング状に連結された直線部分に配置される。柔道畳4は、長手方向の端面10の中央部に雌面ファスナー7が設けられ、短手方向の端面11には、隣接して連結される柔道畳3の長手方向端面9に設けられる雌面ファスナー7が接着する雄面ファスナー6が設けられる。
【0014】
柔道畳5は、長手方向の端面12の中央部に雄面ファスナー6が設けられ、短手方向の端面13には、隣接して連結される柔道畳3の長手方向端面8に設けられる雄面ファスナー6が接着する雌面ファスナー7が設けられる。柔道場1の中央部に設置される柔道畳2が増えた場合には、直線部分に配置される柔道畳3が増やされる。
【0015】
次に、雄面ファスナー6および雌面ファスナー7の縫い付け部について説明する。柔道畳3,4および5は、柔道畳2と同様に、たとえば長さ182cm,幅91cm,厚み6cmであるが、雄面ファスナー6あるいは雌面ファスナー7として、例えば幅Tが38mmのものを長さLが80cmにカットしたものが用いられる。
【0016】
図3は、柔道畳3の雄面ファスナー6の縫い付け部を示す斜視図である。図3に示すように、柔道畳3の長手方向端面8に縫い付けられる雄面ファスナー6は、表面材で覆われた端面8の中央下部に表面材とともに畳床に縫い付けられる。柔道畳3の長手方向端面9に縫い付けられる雌面ファスナー7、柔道畳4の長手方向端面10に縫い付けられる雌面ファスナー7および柔道畳5の長手方向端面12に縫い付けられる雄面ファスナー6についても同様である。
【0017】
図4は、柔道畳4の雄面ファスナー6の縫い付け部を示す斜視図である。図4に示すように、柔道畳3の長手方向端面9に縫い付けられる雌面ファスナー7が接着する柔道畳4の短手方向の端面11に縫い付けられる雄面ファスナー6は、端面11の端部から、たとえば5cmの間隔を空けて、表面材で覆われた端面11の下部に表面材とともに畳床に縫い付けられる。
【0018】
柔道畳4の雄面ファスナー6と柔道畳3の雌面ファスナー7とを接着すると、柔道畳4の面ファスナー7が縫い付けられていない長手方向端面15と柔道畳3の外部に臨む短手方向端面16とが概ね揃った状態で連結される。柔道畳3の長手方向端面8に縫い付けられる雄面ファスナー6が接着する柔道畳5の短手方向の端面13に縫い付けられる雄面ファスナー7についても同様である。柔道畳4の雄面ファスナー6と柔道畳3の雌面ファスナー7とを接着すると、柔道畳5の面ファスナー6が縫い付けられていない長手方向端面17と柔道畳3の外部に臨む短手方向端面16とが概ね揃った状態で連結される。
【0019】
面ファスナー6,7を端面8,9,10,11,12,13の上部に縫い付けた場合には、競技者の動きによって面ファスナー6,7が変形し易く安定した接着力が得られない。
【0020】
柔道畳3,4および5は、柔道畳2に面ファスナー6,7を縫い付けたものであり、競技者は、柔道畳2と同様に、柔道畳3,4および5の上でも競技することができるので、柔道場の設置場所を有効に利用することができる。
【0021】
面ファスナー6,7を縫合した3種類の柔道畳3,4および5を備えることによって、あらゆる広さの柔道場1に対応することができ、コストダウンにも繋がる。また、柔道場1の周囲に寄せ枠を設けることを要しないので体育館や競技場などに簡易に設置することができ、寄せ枠を設置することで床面を傷つけるということもない。
【0022】
図5は、本発明の第2の実施形態における柔道畳3の雄面ファスナー14の縫い付け部を示す斜視図である。第1の実施例では、雄面ファスナー6の長さLを80cmにカットしたものを用いたが、図5に示すように、面ファスナー6,7は、一定の間隔を設けて2箇所に分離して縫い付けるものでもよい。面ファスナー6の長さを調整することによって、柔道畳3,4,5を繋ぎ直して位置合わせをし、または柔道畳3,4,5を取り除く場合に、適度な接着力とすることができる。
【0023】
本発明の第3の実施形態について図6に基づいて説明する。図6は本発明の第3の実施形態における柔道場1の平面図である。第1の実施形態の説明と重複する部分については説明を省略し同一の参照符を用いることとする。
【0024】
正方形に形成された32枚の柔道畳2の周囲に柔道畳3,4および5が正方形のリング状に連結されて設置されるが、リング状に連結された柔道畳3,4および5の外周には、互いに隣接する外周面を連結する雌面ファスナー21が設けられる。雌面ファスナー21は、柔道畳3においては長手方向両端面8,9の近傍に設けられ、柔道畳4においては長手方向端面10と短手方向端面11との近傍に設けられる。柔道畳5においては、長手方向端面12と短手方向端面13との近傍に設けられる。雌面ファスナー21の長さは、たとえば15cmとされる。
【0025】
柔道畳3,4および5の外周に設けられた雌面ファスナー21,21同士は、補助部材22によって連結される。補助部材22は、補助板23と、補助板23に設けられた雄面ファスナー24とを備える。補助板23としては、樹脂などの曲がりにくい材料が用いられる。補助板23および雄面ファスナー24の長さは、たとえば35cmとされる。柔道畳3,4および5の外周は、補助板23に設置された雄面ファスナー24が雌面ファスナー21,21に接着することによって連結される。
【0026】
競技者の動きによって、柔道場1の中央部に設置した柔道畳2に柔道場1の外側に向く力が働くことがある。このときリング状に連結された柔道畳3,4および5の雄面ファスナー6と雌面ファスナー7との接着部には、接着部が外側に開こうとする力が働くが、柔道畳3,4および5の外周は補助部材22によって連結されているので、リング状に連結された柔道畳3,4および5の雄面ファスナー6と雌面ファスナー7との接着部が外側に開いて柔道畳2が動くことを防止することができる。
【0027】
このように、複数枚の柔道畳2,3,4,5によって形成される柔道場1の周縁部に設置される周縁用の柔道畳3,4,5であって、前記周縁用の柔道畳3,4,5は、前記周縁部に前記周縁用の柔道畳3,4,5と隣接して設置される他の周縁用の柔道畳3,4,5と連結し柔道場1の内部に設置される柔道畳2を囲む連結部が設けられるので、柔道場1の内部に設置される柔道畳2は、柔道場1の周縁部に設置される柔道畳3,4,5によって囲まれ移動が制限されるので、競技者の動きによってずれることがなく、隣接して設置される複数の柔道畳2の周囲に寄せ枠を設けることを要しない。
【0028】
さらに、柔道畳3,4,5は、長手方向両端面8,9に各々雄面ファスナー6と雌面ファスナー7とが設けられる第1の柔道畳である柔道畳3と、第1の柔道畳の長手方向の端面9に設けられる雌面ファスナー7と接着する雄面ファスナー6を短手方向の端面11に有し、第1の柔道畳の長手方向端面9に設けられる雄面ファスナー6と接着する雌面ファスナー7を長手方向の端面10に有する第2の柔道畳である柔道畳4と、第1の柔道畳の長手方向端面8に設けられる雄面ファスナー6と接着する雌面ファスナー7を短手方向の端面13に有し、第1の柔道畳の長手方向端面10に設けられる雌面ファスナー7と接着する雄面ファスナー6を長手方向の端面12に有する第3の柔道畳である柔道畳5との3種類であるので、柔道畳3,4および5を備えることによって、あらゆる広さの柔道場1に対応することができ、コストダウンにも繋がる。
【0029】
さらに、柔道畳3,柔道畳4および柔道畳5の外周には、互いに隣接する柔道畳同士を連結する雌面または雄面のいずれか一方の面ファスナー7または6が設けられ、該面ファスナーには、補助板23に設けられた雄面または雌面のいずれか一方の面ファスナー6または7が接着し、隣接する柔道畳3同士,隣接する柔道畳3および柔道畳4同士,隣接する柔道畳3および柔道畳5同士を接合させるように構成したので、競技者の動きによって、柔道場1の中央部に設置した柔道畳2に柔道場1の外側に向く力が働き、リング状に連結された柔道畳3,4および5の雄面ファスナー6と雌面ファスナー7との接着部に、外側に開こうとする力が働くとき、柔道畳3,4および5の外周は補助部材22によって連結されているので、リング状に連結された柔道畳3,4および5の雄面ファスナー6と雌面ファスナー7との接着部が外側に開いて柔道畳2が動くことを防止することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 柔道場
2,3,4,5 柔道畳
6,14,24 雄面ファスナー
7,21 雌面ファスナー
8,9,10,11,12,13,15,16,17 端面
22 補助部材
23 補助板



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の柔道畳によって形成される柔道場の周縁部に設置される周縁用の柔道畳であって、
前記周縁用の柔道畳は、前記周縁部に前記周縁用の柔道畳と隣接して設置される他の周縁用の柔道畳と連結し柔道場の内部に設置される柔道畳を囲む連結部が設けられることを特徴とする柔道畳。
【請求項2】
前記連結部は、面ファスナーであることを特徴とする請求項1に記載の柔道畳。
【請求項3】
前記柔道畳は、長手方向両端面に各々雄面ファスナーと雌面ファスナーとが設けられる第1の柔道畳と、第1の柔道畳の長手方向の端面に設けられる雌面ファスナーと接着する雄面ファスナーを短手方向の端面に有し、第1の柔道畳の長手方向端面に設けられる雄面ファスナーと接着する雌面ファスナーを長手方向の端面に有する第2の柔道畳と、第1の柔道畳の長手方向端面に設けられる雄面ファスナーと接着する雌面ファスナーを短手方向の端面に有し、第1の柔道畳の長手方向端面に設けられる雌面ファスナーと接着する雄面ファスナーを長手方向の端面に有する第3の柔道畳との少なくとも3種類あることを特徴とする請求項1または2に記載の柔道畳。
【請求項4】
第1の柔道畳,第2の柔道畳および第3の柔道畳の外周には、互いに隣接する柔道畳同士を連結する雌面または雄面のいずれか一方の面ファスナーが設けられ、該面ファスナーには、補助板に設けられた雄面または雌面のいずれか一方の面ファスナーが接着し、隣接する第1の柔道畳同士,隣接する第1および第2の柔道畳同士,隣接する第1および第3の柔道畳同士を接合させるように構成したことを特徴とする請求項3に記載の柔道畳。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−23817(P2013−23817A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156187(P2011−156187)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(594082947)日本被服工業株式会社 (3)
【出願人】(597013364)
【Fターム(参考)】