説明

柱状構造物の補強工法および補強構造

【課題】コンクリート基礎と柱状構造物下端部とを強固に結合できる柱状構造物の補強方法および補強構造を提供すること。
【解決手段】地盤上から柱状構造物1を支持しているコンクリート基礎2にPC鋼材4を挿入できる縦孔3bを削孔し、縦孔3bにPC鋼材4の下端部を挿入すると共に、グラウト5を注入・硬化してPC鋼材4の下端部を定着した後、そのPC鋼材4で反力をとり、地盤上で柱状構造物1を囲むように組立てられた耐震補強用ブロック6を圧入し、耐震補強用ブロック6と柱状構造物1との間に充填材5bを充填する柱状構造物の補強工法。前記工法により、コンクリート基礎2の縦孔3にPC鋼材4の下端部が配置されてグラウト5により定着され、耐震補強用ブロック6が、柱状構造物1とコンクリート基礎2上部とに渡って配置されて充填材5bが充填・硬化されて一体化されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋脚などの柱状構造物の補強構造および補強工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、耐震性能の向上を目指して橋脚等の柱状構造物の補強工法および補強構造が様々な方法で行われてきた。例えば、(a)鋼板をコンクリート橋脚に巻き立てる方法(例えば、特許文献1〜3参照)。(b)橋脚の回りにコンクリートを現場打ちし、巻き立てる方法(例えば、特許文献1〜3参照)。(c)プレキャストコンクリートを使って巻き立てる方法(例えば、特許文献4参照)。(d)繊維シートで橋脚を補強する方法(例えば、特許文献5〜7参照)などが行われてきた。(e)また、フーチング基礎に補強鉄筋を設けてフーチング基礎を補強することも知られている(例えば、特許文献8参照)。(f)また、仮締め切り工法によりドライ空間を形成して橋脚を補強することも知られている(例えば、特許文献9,10,11)。
【0003】
また、図18に示すように、地上に露出している柱状構造物1中間部にアンカー材30により固定したブラケット31を設け、ジャッキ32の反力を前記ブラケット31に支承させて補強ブロック33を圧入する技術も知られている。
【特許文献1】特開平9−184303号公報
【特許文献2】特開2002−4301号公報
【特許文献3】特開2005−248613号公報
【特許文献4】特開2003−328319号公報
【特許文献5】特開平9−59934号公報
【特許文献6】特開平10−131183号公報
【特許文献7】特開平10−131184号公報
【特許文献8】特開平11−323988号公報
【特許文献9】特開平2002−235328号公報
【特許文献10】特開平2004−316133号公報
【特許文献11】特開平09−242081号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、地中から突出している柱状構造物部分は容易に補強することができるが、地中に埋め込まれている柱状構造物部分の補強は、地盤を掘削しなければならず、施工費用が非常に高くなりコストアップになる。また、敷地の制約がある場合、掘削した溝に更に山留めを必要とし、山留めの施工に費用を要する。したがって、敷地の制約を極力受けず、山留めを必要としない工法が望まれる。
【0005】
また、従来、柱状構造物中間部の補強に注目され、柱状構造物を支持している基礎フーチング等のコンクリート基礎との結合には、注目されてこなかった。
柱状構造物部分のみ補強されてこれに接続されるコンクリート基礎部分の接続部が補強されないと、柱状構造物下端部が太く補強され、これに続く補強されない部分を介して横断面が大きくなるコンクリート基礎部分へと接続する偏断面の縦断面構造になると共に、コンクリート基礎と柱状構造物下端部が強固に結合されない構造になり、コンクリート基礎と柱状構造物下端部の結合部分が耐震上弱点になることもある。
【0006】
また、地上に露出している柱状構造物中間部にアンカー材を設けて、センターホールジャッキの反力を支承させる場合には、柱状構造物中間部に設けたアンカー孔等の後処理が必要になると共に、表面仕上げも必要になるという問題もある。
したがって、柱状構造物中間部のアンカー孔等の後処理の必要がなく、また、コンクリート基礎と柱状構造物下端部とを強固に結合でき、これらの結合部分が耐震上弱点にならない柱状構造物の補強方法および補強構造が望まれる。
【0007】
また、地表面上の地盤から施工できる場合であっても、あるいは、仮締め切り工法を併用してドライ状態とした地盤から施工する場合であっても、基礎の上方の安定している地盤全体を開削しないほうが柱状構造物の安全上望ましい。
本発明は、前記の前記の課題を有利に解消でき、柱状構造物中間部のアンカー孔等の後処理の必要がなく、また、コンクリート基礎と柱状構造物下端部とを強固に補強して結合できる柱状構造物の補強方法および補強構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を有利に解決するために、第1発明の柱状構造物の補強工法においては、地盤上から柱状構造物を支持しているコンクリート基礎にPC鋼材を挿入できる縦孔を削孔し、前記縦孔にPC鋼材の下端部を挿入すると共に、前記縦孔内にグラウトを注入・硬化して前記PC鋼材の下端部を定着した後、そのPC鋼材を反力として、地盤上で柱状構造物を囲むように組立てられた耐震補強用ブロックに前記PC鋼材を挿通すると共に圧入し、耐震補強用ブロックと柱状構造物との間に充填材を充填したことを特徴とする。
また、第2発明の柱状構造物の補強工法では、柱状構造物を支持しているコンクリート基礎にPC鋼材を挿入できる縦孔を削孔し、前記縦孔にPC鋼材の下端部を挿入すると共に、前記縦孔内にグラウトを注入・硬化して前記PC鋼材の下端部を定着した後、柱状構造物を囲むように組立てられた耐震補強用ブロックに前記PC鋼材を挿通すると共に吊り降ろして配設し、耐震補強用ブロックと柱状構造物との間に充填材を充填したことを特徴とする。
また、第3発明では、第1または第2発明の柱状構造物の補強工法において、PC鋼材で、耐震補強用ブロックと基礎を一体化させると同時に耐震補強用ブロック同士を圧着した。
また、第4発明では、第1〜第3発明のいずれかの柱状構造物の補強工法において、縦孔の内周面に溝を設けて、PC鋼材の定着力を高めたことを特徴とする。
また、第5発明の柱状構造物の補強構造では、柱状構造物を支持しているコンクリート基礎に設けた縦孔に、PC鋼材の下端部が配置されると共にグラウトが注入・充填されて定着され、柱状構造物を囲むように組立てられた耐震補強用ブロックが、前記PC鋼材に反力をとって圧入されて柱状構造物とコンクリート基礎上部とに渡って配置され、前記耐震補強用ブロックと柱状構造物との間に充填材が充填・硬化されて一体化されていることを特徴とする。
また、第6発明の柱状構造物の補強構造では、柱状構造物を支持しているコンクリート基礎に設けた縦孔に、PC鋼材の下端部が配置されると共にグラウトが注入・充填されて定着され、柱状構造物を囲むように組立てられた耐震補強用ブロックが、吊り降ろされて柱状構造物とコンクリート基礎上部とに渡って配置され、前記耐震補強用ブロックと柱状構造物との間に充填材が充填・硬化されて一体化されていることを特徴とする。
また、第7発明では、第5または第6発明の柱状構造物の補強構造において、PC鋼材で、耐震補強用ブロックと基礎を一体化させると同時に耐震補強用ブロック同士を圧着したことを特徴とする。
また、第8発明では、第5〜第7発明のいずれかの柱状構造物の補強構造において、縦孔の内周面に溝を設けて、PC鋼材の定着力を高めたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、柱状構造物横断面を一様に拡径、補強することができて、柱状構造物の耐震補強をすることができる。そして、柱状構造物下端部はコンクリート基礎上部と一体化され同断面になることで、柱状構造物下端部とコンクリート基礎上部とを補強しながら強固に結合して耐震補強することができる。しかも、柱状構造物とコンクリート基礎上部との境界部で断面積が小さくなる偏断面になることはない耐震補強であるので、柱状構造物とコンクリート基礎上部とを確実に横断面を増大させて、これらの剛性を高める補強をすることができ、特に、柱状構造物側では、横断面積の増大によるせん断剛性および曲げ剛性の格段の増大を図ることができ、また、コンクリート基礎上部にあっては、格段に横断面積が増大した基礎構造となるために、せん断剛性を格段に向上させる補強構造となる。
また、コンクリート基礎に、縦孔を設け、グラウトによりPC鋼材の下端部を定着するので、地盤上の柱状構造物中間部の表面にアンカー孔等を設ける必要がなく、柱状構造物中間部の後処理がないので、安価に施工できる。
また、柱状構造物周囲の地盤に、耐震補強用ブロックを圧入するので、耐震補強用ブロックの圧入のための山留めを必要とせず、しかも基礎上部まで安価に補強できる耐震補強工法である。
また、柱状構造物周囲に、耐震補強用ブロックを吊り降ろす場合は、耐震補強用ブロックの設置が容易である耐震補強工法である。
また、PC鋼材により、コンクリート基礎と耐震補強用ブロックを一体化すると共に、上下方向の耐震補強用ブロックを圧着させるので、コンクリート基礎と耐震補強用ブロックおよび耐震補強ブロック相互を、PC鋼材を使用して容易に一体化して、柱状構造物を補強することができる。
また、基礎の縦孔の内周面に溝を設けるだけで、容易に定着力を高めて、PC鋼材を確実に定着させることができ、そのため、コンクリート基礎と耐震補強用ブロックとの一体化および耐震補強用ブロック相互の圧着力を高めることができる。
また、本発明の柱状構造物の補強構造は、柱状構造物の近傍に配置される耐震補強用ブロックと、コンクリート基礎の縦孔に定着されたPC鋼材により、耐震補強用ブロックをコンクリート基礎と一体化させると共に、耐震補強用ブロック相互を圧着させる構造であるので、補強構造が簡単であると共に、確実かつ強固にコンクリート基礎を含めて耐震補強することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1〜図3には、本発明を実施して、鉄筋コンクリート製橋脚または高架道路構造物における柱等の柱状構造物1の下部およびこれに接続するコンクリート基礎2の上部を補強した柱状構造物の補強構造の一実施形態が示されている。
【0012】
地上等の地盤8上から柱状構造物下部のフーチング基礎等のコンクリート基礎2に設けた縦孔3bに、PC鋼材4の下端部が配置されると共に無収縮モルタル等のグラウト5が注入・硬化されて定着され、柱状構造物1を囲むように組立てられた耐震補強用ブロック6が、前記PC鋼材4で反力をとって圧入され、前記耐震補強用ブロック6と柱状構造物1との間にグラウト5が充填・硬化されて一体化された柱状構造物の補強構造とされている。
【0013】
前記のコンクリート基礎2に設けた縦孔3bは、地上から縦孔掘削機(図示を省略した)により地表面からコンクリート基礎2まで地盤8を縦に掘削して、コア抜き用縦孔3aを形成し(図4b参照)、その部分にコア抜きガイド用のケーシング34を配設して、コンクリート基礎2の上面側をコア抜き用穿設機(図示を省略)により縦孔3b(図4b参照)が穿設されている。なお、前記ケーシング34は耐震補強用ブロック6の圧入前に引き抜き撤去される。
【0014】
また、コンクリート基礎2の縦孔3bの内周面に溝きり機(図示を省略)により環状の溝10(図6参照)を段状に設けて、PC鋼材4先端部とグラウト5と縦孔3bとの定着力を高めるようにするとよい。前記の環状の溝10に代えて、下部に向って漸次拡径する溝をしてもよい。
【0015】
前記縦孔3b内には、図1の一部を拡大した図6(a)に示すように、PC鋼棒からなるPC鋼材4の先端雄ねじ部に、支圧プレート28を装着すると共にその両側にナットからなる定着金具29を装着したPC鋼材4の先端部が配置されてグラウト5が充填硬化されて、PC鋼材4がコンクリート基礎2に定着されている。
【0016】
前記の耐震補強用ブロック6は、図7〜図9に示すように、鉄筋コンクリート製のプレキャスト版体7a,7bが組立てられて構成され、前後の版体7aと左右の版体7bとを左右方向の横締めPC鋼材14により一体化された筒状のブロックであり、図8および図9に示すように、各版体7a、7bには、上面側の部材厚さ方向の中間部には、横方向のずれを防止するための上向きに漸次離反するように傾斜する一対の傾斜面を有する逆台形状の凹部11が、版体の幅方向に渡って直線状に設けられ、下面側に下向きに漸次接近するように傾斜する一対の傾斜面を有する逆台形状の凸部12が、版体の幅方向全長に渡って直線状に設けられている。
【0017】
図8に示すように、左右の版体7bには、前後方向の両端部に、それぞれ上下方向に間隔をおいて左右方向(部材厚さ方向)にPC鋼材挿通用孔9aが設けられていると共に前記PC鋼材挿通用孔9aに接続するPC鋼材定着用の凹部11aが設けられている。
また、前後方向に間隔をおいて平行に、かつ上下方向に貫通するPC鋼材挿通用孔9bが中央部に設けられていると共に、前記PC鋼材挿通用孔9bを挟むように端部側に、ウォータージェット用またはバキューム用鋼管13が埋め込み配置されている。
また、前記版体7bの内側には、内部の鉄筋に基端部を固定したガイド部材15が内向きに突出するように設けられ、前記ガイド部材15により柱状構造物1外面との間に所定の間隙(例えば、100mmの間隙)が形成可能にされている。
【0018】
また、図9に示すように、前後の版体7aには、左右方向に間隔をおいて複数のウォータージェット用またはバキューム用鋼管13が、柱状構造物側に配置の内側面よりに偏心した位置に埋め込み配置され、前記各ウォータージェット用またはバキューム用鋼管13の外側において、左右に貫通すると共に上下方向に間隔をおいて複数の横締めPC鋼材挿通用孔9aが設けられている。版体7aの内側面には、各ウォータージェット用またはバキューム用鋼管13と同心状に、横断面円弧状の凸部12が形成され、前記凸部12がガイド部材とされていると共に、柱状構造物1外面と版体7a本体との間が所定の距離を保持し、間隙が形成されるように構成されている。
【0019】
図7に示すように、図8に示す版体7bが左右方向に間隔をおいて平行に配置され、その版体7b間の前後両端部に、図9に示す版体7aが介在され、各横締めPC鋼材挿通用孔9aに渡って横締めPC鋼材14が挿通されると共に、左右両側の版体7bの凹部11内において、支圧プレート16およびナット等の定着金具17が設置されて、前記横締めPC鋼材14は緊張定着され、前後の版体7aと左右の版体7bとは一体化されて、筒状の耐震補強用ブロック6が構成されている。前記の筒状の耐震補強用ブロック6は、図3に示すように柱状構造物1を囲むように組み立てられる。
【0020】
前記のような構成のプレキャスト製の耐震補強用ブロック6が、柱状構造物1の周りにおいて上下方向に配置されて、上位に位置する耐震補強用ブロック6と下位に位置する耐震補強用ブロック6とは、版体7a,7a(または7b,7b)の上下部において、前記の凹部11と凸部12の嵌合により、横方向の一体化された構造の耐震補強用ブロック体18とされている。
【0021】
前記のような耐震補強用ブロック体18は、柱状構造物1の外側を囲むように耐震補強用ブロック6が組立てられて順次地中に圧入され、上下方向のPC鋼材4が緊張された状態で最上位の耐震補強用ブロック6の上端部で、前記PC鋼材4に挿通された支圧プレート21および前記PC鋼材4に装着された定着金具22により定着され、上下方向のプレストレスが導入された状態で、柱状構造物1およびコンクリート基礎2と共に一体化されている。
【0022】
また、最下端部に位置する耐震補強用ブロック6の下面側には、これを構成する各版体7a,7bの厚さ方向外周側よりに刃口19が固定されている。前記刃口19の内周面は、下方に向って外周側に接近するように傾斜する内側傾斜面20を備えており、刃口19の内側下端部を広くし、刃口19下端部をコンクリート基礎2の上面(傾斜上面)に当接した状態で、刃口19とコンクリート基礎2と柱状構造物1との間隙内(刃口19内側とコンクリート基礎2上面と柱状構造物1の外周面)を洗浄した後、充填材5bを充填・固化することで、充填材5bと耐震補強用ブロック体18とによりコンクリート基礎2の上部横断面を増大させていると共に、コンクリート基礎2と柱状構造物1下端部の接続部の横断面を増大させ、これらの部分のせん断剛性および曲げ剛性を格段に向上させることを図っている。前記の充填材5bとしては、コンクリート、無収縮モルタルあるいは繊維入りモルタル等のモルタル、またはグラウト等の充填材を使用すればよい。
【0023】
前記の刃口19の上下方向の高さ寸法は、刃口19の先端部がコンクリート基礎2の上面の着座した時点において、下端レベルに位置する耐震補強ブロック6における刃口内側下面とコンクリート基礎2の上面との間に間隙が形成され、コンクリート等の充填材5bを、柱状構造物1と刃口19内側との間、および耐震補強用ブロック体18と柱状構造物1との間に充填されやすいように構成されている。
【0024】
最下位に位置する耐震補強用ブロック6またはこれに接続される上位の耐震補強用ブロック6の地中への圧入時には、その耐震補強用ブロック6内に設けた複数のウォータージェット用またはバキューム用鋼管13の一部を利用して、高圧水噴射ノズルを備えた高圧水ホースを適宜内側に配置するか、またが前記鋼管13に接続しその下端部から高圧水(ウォータージェット)を噴射して掘削すると共に、他のウォータージェット用またはバキューム用鋼管13を利用して、これに排水管を接続して、掘削土を排水と共に排出する。このような作業を、順次上位に継ぎ足される耐震補強用ブロック6ごとに、高圧水管路の接続および排水管路の接続を行って、刃口19がコンクリート基礎2に達するまで、耐震補強用ブロック体18が構築される。
【0025】
前記の耐震補強用ブロック6の圧入時の加圧力を作用させるには、図5bに示すように、コンクリート基礎2に先端部を定着した各PC鋼材4を、順次、耐震補強用ブロック6におけるPC鋼材挿通用孔9に挿通し、かつ最上位に位置する耐震補強用ブロック6の上部に配置したセンターホールジャッキ23内に挿通し、センターホールジャッキ23のピストン24の先端部に設けた雌ねじ部材等の支承部材25にねじ込んで係止させ、この状態でピストン24を伸長させることで、圧入時の加圧力を作用させればよい。また、図示のように短尺のPC鋼材相互を接続して順次長くしたPC鋼材4とする場合には、適宜、カプラ26を介して短尺のPC鋼材を接続すればよい。
【0026】
前記のPC鋼材4としては、両端部に雄ねじ部を有するPC鋼棒、あるいは部材全長に渡って雄ねじ部を備えたPC鋼棒あるいは後記する中空PC鋼棒を備えたプレストレス導入装置を使用することもできる。
【0027】
なお、前記各版体7a,7bの上端部には、凹部11が設けられ、凸部12は設けられていないので、センターホールジャッキ23を安定した状態で設置可能にされている。なお、センターホールジャッキ23により耐震補強用ブロック6を圧入しながら、最下位の耐震補強ブロック6の下端部から高圧水の噴射並びに掘削土の排出を行えばよい。
【0028】
そして、最上段の耐震補強用ブロック6の上端部において、圧入用のPC鋼材4の上端部が所定の緊張力で定着されて、耐震補強用ブロック6とコンクリート基礎2を一体化させると同時に耐震補強用ブロック6同士を圧着している。
【0029】
PC鋼材4とPC鋼材挿通用孔9との間の間隙には、充填材5bが充填されて、PC鋼材4の防錆をかねた耐震補強用ブロック体18との一体化が図られる。
【0030】
本発明を実施する場合、前記の耐震補強用ブロック6として、プレキャストコンクリート製の場合を示したが、鋼製の耐震補強用ブロック6としてもよく、あるいは鋼とコンクリートとを複合一体化した鋼・コンクリート製の耐震補強用ブロックとしてもよい。
【0031】
なお、図1(図2左側の柱状構造物1の上部)の柱状構造物1の上部は、耐震補強用被覆鋼板27が柱状構造物1の外側に、接着材またはグラウト5を介して被覆され、柱状構造物1と一体化されて耐震補強されている。また、同様に、図2の右側に示す柱状構造物1に対しては、耐震補強用被覆鋼板27が柱状構造物1の外側に、接着材または充填材5bを介して被覆され、柱状構造物1と一体化されて耐震補強されている。
【0032】
前記実施形態の耐震補強構造の概略施工手順は、以下のようになる。
(1)土中及び基礎2にPC鋼棒4を挿入できるコア抜き用縦孔3aおよび縦孔3bを削孔する(図4b参照)。
次いで、ケーシングパイプ34を縦孔3aに打ち込み、コンクリート基礎2に到達したらコア抜き機でコンクリート基礎2にコアを抜きして、縦孔3bを形成する(図4b参照)。
(2)コンクリート基礎2に縦孔3bの内周面に、溝きり機で溝10(図6参照)を切削して、PC鋼材4の定着力を高める。
(3)溝10を切った縦孔3bに、PC鋼棒等のPC鋼材4(又は中空PC鋼材を備えたプレストレス導入装置)の先端部を配置し(図4b参照)、グラウト5を充填・硬化し、定着する(図4c)。前記ケーシングパイプ34を撤去する。
(4)地盤上で橋脚からなる柱状構造物1の外側を囲むようにプレキャスト製あるいは鋼製の耐震補強用ブロック6を組立てる(図5a参照)。
(5)PC鋼棒等のPC鋼材4(又は中空PC鋼棒を備えたプレストレス導入装置)を反力として、耐震補強用ブロック6(その先端に刃口19を設けておく)を掘削しながら圧入する。ウォータージェット等の高圧水を最下位の耐震補強ブロック6の下端部から噴射すると共に他方で掘削土を排出しながら(必要に応じ、耐震補強用ブロック6と柱状構造物1の間に、吸引管(図示を省略)を入れ土砂(掘削土)を吸い取り排出する(図5b、c参照))。
(6)刃口19が基礎2に当接するまで耐震補強用ブロック体18を圧入する(図5c参照)。
(7)耐震補強用ブロック体18と柱状構造物1の間の土を排出し、間隙空間を洗浄する(図5c、d参照)。
(8)必要な高さまで耐震補強用ブロック6を建て込む。順次PC鋼棒等のPC鋼材4(又は中空PC鋼棒を備えたプレストレス導入装置)もカプラを介在させて継ぎ足す(図1および図5d参照)。
(9)耐震補強用ブロック体18と柱状構造物1の間にコンクリート等の充填材5bを充填する(図5d参照)。
(10)PC鋼棒(又は中空PC鋼材を備えたプレストレス導入装置)4の上端部を耐震補強用ブロック6の上端部で緊張定着させる(図1参照)。
【0033】
なお、コンクリート基礎2上面の傾斜面20の傾斜角と、耐震補強用ブロック6先端の刃口19の刃先の角度を計算して、刃口19先端部の傾斜角が適宜設定され、刃口19の刃先がコンクリート基礎2の上面の傾斜面20に接触し、刃先を含めた刃口19を充填材5bの捨て型枠としてコンクリート等の充填材5bを充填する。
【0034】
前記実施形態を実施する場合、前記実施形態の耐震補強用ブロック6には、1辺(各版体7a,7b)に2個または3個の100φのダクト(縦鋼管13)を鉛直に明け、合計10本備えているため、偶数本をPC鋼材用に、残りの偶数本を高圧水噴射用に使用してもよく、また、例えば、合計8本のダクト(縦鋼管13)設けている場合には、例えば、その内4本は、PC鋼材用に、残りの4本はウォータージェット用に使ってもよい。
【0035】
前記のPC鋼材4としては、総ねじ異径鋼棒(ゲビンデ鋼棒)からなるPC鋼棒であると、PC鋼棒の先端部に縦孔3の内径より小さい外径の支圧プレート28を定着金具29により容易に装着でき、また、縦孔3の内径より小さい外径の支圧プレート28であると、PC鋼材4の先端部を縦孔3b内に挿入し、充填材5bを充填すると、縦孔3b下端部まで充填材5bが充填でき、確実にPC鋼材4の先端部をコンクリート基礎2に定着できる。また、前記と同様に、耐震補強用ブロック6を沈めるときの反力として使え、更に積み重ねられた耐震補強用ブロック6の縦締めにも使用することができる。
【0036】
前記のように補強された柱状構造物1では、コンクリート基礎2と柱状構造物1の付け根が同一断面で補強されると同時にPC鋼材4によりプレストレスが導入される事で一層耐力がアップされ、地震時に曲げ力とせん断力が作用した場合に十分抵抗できる構造になる。
【0037】
前記のPC鋼材4に代えて、例えば、図11に示すような中空PC鋼棒36を備えたプレストレス力導入装置35も使用することができるので、このようなプレストレス力導入装置35について説明する。
【0038】
図11(a)は、本発明において使用する一実施形態の中空PC鋼棒を使用したプレストレス力導入装置35の1ユニットの一部切欠側面図を示し、(b)はその縦断側面図を示すものであって、鋼製中空PC鋼棒本体36aの長手方向の一端部(前端部)外側に雄ねじ部37を有すると共に、他端部(後端部)外側に雄ねじ部38を有する中空PC鋼棒36における前記雄ねじ部38に、前後両端部に雌ねじ孔39、40を有すると共に多角形の回動工具係合用外面41を有する支承筒42における前端部の雌ねじ孔39が螺合連結されている。
【0039】
前記支承筒42の後端部の雌ねじ孔40に、鋼製筒状の環状係止片からなるストッパ43の前部雄ねじ部44が螺合され、前記ストッパ43の後端部外側には、回動工具係合用外面45が形成されている。
【0040】
前記ストッパ43の前端部は、前記支承筒42の内部に配置され、前端部に凹部46を有する押圧係止片47の後端面が係合され、前記押圧係止片47の前端部の凹部1129には、中空PC鋼棒36内に他端側を除くほぼ全体が挿入され、かつ他端側が前記中空PC鋼棒36の他端部から突出するように配置された押込み用反力PC鋼棒48の後端部が嵌合されている。
【0041】
なお、前記の押込み用反力PC鋼棒48は、ノンプル方式(引き抜かない方式)とする据え置き方式とすることも可能である。
【0042】
この実施形態においては、1本ものの押込み用反力PC鋼棒48により押込み鋼棒を構成しているが、他端側に短尺の撤去用反力PC鋼棒と前記押込み用反力PC鋼棒48よりも若干短尺な押込み用反力PC鋼棒との2本により押込み用反力PC鋼棒48を構成することも可能である。
【0043】
前記中空PC鋼棒36の前端部外側の雄ねじ部37に、雌ねじ部49を有するナットからなるアンカー材50が着脱自在に螺合固定され、前記押込み用反力PC鋼棒48の先端部は前記雌ねじ部49に雄ねじ部材51を介して間接的に係合されている。前記アンカー材50には雄ねじ部材51が螺合固定され、前記雄ねじ部材51により反力PC鋼棒48の先端部が支承されている。前記雄ねじ部38には、ナットからなるアンカー材52が装着されている。
【0044】
図11に示す状態は、内側の反力PC鋼棒48が外側の中空PC鋼棒36に対して押込まれて、反力PC鋼棒48の圧縮力と、中空PC鋼棒36とが吊り合った状態で係合している状態である。このようなプレストレス力導入装置35は、特開2001−207590号公報等により公知であり、押込み用反力PC鋼棒および中空PC鋼棒を備えた各種の形態の装置を使用することもできる。
【0045】
前記のプレストレス力導入装置35を使用する場合には、図6(b)に示すように、コンクリート基礎2における縦孔3内に、アンカー材50を配置してグラウト5を充填・硬化させることにより、プレストレス力導入装置35先端部を定着させればよい。
【0046】
前記のようなプレストレス力導入装置35を使用する場合、前記のアンカー材52および支承筒42を取り外して、接続用のカプラーを雄ねじ部38に接続して、順次接続した後、最上部の中空PC鋼棒36にアンカー材52および支承筒42およびその内部に配置される部品(押込み用PC鋼棒48、押圧係止偏47を配置すると共に、ストッパ43を装着して、前記ストッパ43の回動工具係合用外面45を回動し、押込み用反力PC鋼棒48を押込むようにし、その状態で、PC鋼棒挿通用孔9bと中空PC鋼棒48の周りにグラウトを充填硬化して、中空PC鋼棒36を付着させた後、前記ストッパ43を開放することにより、耐震補強用ブロック体18にプレストレス力を導入するようにして、コンクリート基礎2と一体化させるようにしてもよい。
【0047】
また、耐震補強用ブロック体18が、一つまたは2つ等の上下方向に積み重ねられる少ない数の耐震補強ブロック6である場合には、1本もののプレストレス力導入装置35を使用してプレストレス力を導入するようにしてもよい。このようなプレストレス力導入装置35を使用する場合には、PC鋼材挿通用孔9bの内部において、アンカー材52によりプレキャスト力を導入し定着することができるので、耐震補強ブロック体18の上端部で緊張定着する必要がない。
【0048】
なお、中空PC鋼棒を備えたプレストレス導入装置を用いた場合は、押込み中空PCを初めに開放すると、後で耐震補強用ブロック6の縦締めに、前記プレストレス力導入装置35を使えないため、最後の耐震補強用ブロック6の定着時において、接続して使用するようにするとよい。また、比較的高さの高い一段の耐震補強用ブロックでよい場合には、1本のPC鋼材4または中空PC鋼棒を備えたプレストレス力導入装置35を使用することができる。
【0049】
本発明を実施する場合、耐震補強用ブロック6内側と柱状構造物1との間の間隙を所定の距離に保つ場合に、円弧状凸部12あるいはガイド部材15以外の適宜の変形形態に置き換えるようにしてもよい。
【0050】
なお、本発明は、地盤上から施工する柱状構造物の耐震補強工法に適用することができるので、地上の地表面から施工するようにしてもよく、仮締め切り工法等によりドライ状態とされた地盤上から施工して、柱状構造物およびコンクリート基礎を補強するようにしてもよい。
【0051】
次に、水底地盤に立設されている柱状構造物(橋脚)1に対して、耐震補強ブロック6を配設して耐震補強する発明の一形態について、前記の形態と相違する点を主に図12〜図17を参照して説明する。図12および図13は完成した状態を示し、図14〜図17は施工手順を示している。
【0052】
この形態は、柱状構造物1を支持しているコンクリート基礎2にPC鋼材4を挿入できる縦孔3bを削孔し、前記縦孔3bにPC鋼材4の下端部を挿入すると共に、前記縦孔3b内にグラウト5を注入・硬化して前記PC鋼材4の下端部を定着した後、柱状構造物1を囲むように組立てられた耐震補強用ブロック6に、前記PC鋼材4を挿通すると共にコンクリート基礎2上に、順次積み重ねるように吊り降ろして配設し、耐震補強用ブロック6と柱状構造物1との間に充填材5bを充填し、前記PC鋼材4を緊張して定着するようにした柱状構造物の補強工法である。
【0053】
さらに具体的に説明すると、柱状構造物1に支持させるように設けた足場吊り支持枠55およびこれに支持された足場兼支承装置56を利用して、縦孔3bの穿設およびPC鋼材4の定着並びに耐震補強ブロック6の組立ておよび吊り降ろし設置等を行うようにした形態である。
【0054】
図示形態では、柱状構造物(橋脚)1の中間部に、柱状構造物1を挟むように前後一対の鋼製の支持枠53が配置されと共にその内面が当接され、かつ前後の支持枠53は連結ボルト54により相互に接近するように強固に柱状構造物1の外面に圧着されて、支持枠53は摩擦により柱状構造物1に保持されている。前記のように、支持枠53を摩擦接合により保持するようにすると、大きなアンカ材を柱状構造物1に穿設する場合に比べて断面欠損が生じないと共に、後埋め等の後処理が生じないので好ましい。前記の支持枠53と連結ボルト54等により足場吊り支持枠55が構成されている。前記の支持枠53には、図16(a)に示すように、複数の電動等の巻き揚げ機57の上部が連結されている。
【0055】
前記足場吊り支持枠55の下方には、吊り金具58を介して足場兼支承装置56がレベル調整可能に吊下げ支持されている。図示の形態では、総ねじ異径PC鋼棒の上端部に支持ナットが設けられて支持枠53に支持され、下端部に支承ナットが設けられて足場兼支承装置56を支承している。足場兼支承装置56は、2つ割の一対の足場兼支承枠ユニットが図15に示すようにボルト59により連結されて構成され、足場兼支承装置56の中央部の矩形状の孔60は、前記耐震補強ブロック6の平面外形寸法よりも若干大きく設定されて、耐震補強ブロック6を前記孔60から、前記巻き揚げ機57により吊り下げ降下可能にされている。
【0056】
耐震補強ブロック6に巻き揚げ機57の着脱可能な係止フックを連結するために、耐震補強ブロック6の外側面には適宜横孔等を有する連結片が設けられている。なお、図示を省略するが、この形態の耐震補強ブロック6には、その上下端面の一方または両方に、環状の止水ゴム材が設けられて、上下の耐震補強ブロック6が当接された状態またはPC鋼材4により緊張定着された状態では、内部をドライな状態にすることができるように構成されている。
【0057】
また、前記の足場兼支承装置56における孔60の左右両側には、図15の横断平面図に示すように、前後方向に延長する前後方向支承部材61が孔60の内側(中央より)に位置するように設けられ、また、前記前後支承部材61の前後両端部には、左右方向に延長するように凹溝62が設けられ、左右の前後方向支承部材61における各前部の凹溝62および各後部の凹溝62に渡って左右方向支承部材63が左右方向にスライド可能に支承されている。対向する各左右方向支承部材63の内側は、孔60の内側(中央より)に位置するように設けられている。前記の前後方向支承部材61と左右方向支承部材63により平面井桁状の支承部材64が構成され、前記支承部材64上に耐震補強ブロック6を支承したり、あるいは前記支承部材64上で耐震補強ブロック6を組立ることが可能にされている。耐震補強ブロック6を組み立てるまでに版体7a,7bの仮保持に必要とされる仮保持金具等は、足場兼支承装置56に適宜付属されている(図示を省略した)。
【0058】
施工する場合には、前記の足場兼支承装置56上からコンクリート基礎2に、前記縦孔3bを設け、PC鋼材4を必要に応じ適宜連結して、その下端の定着部を前記縦孔3b内に配置して、グラウト5を充填して定着させる。
【0059】
また、図14(b)に示すように、上位のPC鋼材4は耐震補強ブロック6のPC鋼材挿通孔9bに挿通するようにして、下位のPC鋼材4に上位のPC鋼材4を連結し、この状態で、支承部材61上の耐震補強ブロック6を巻き揚げ機57により若上昇させ、左右方向支承部材63を左右いずれか一方向にスライド移動させ、前後方向支承部材61を後退移動させ、矩形状の孔60上の仮の支承部材64を取り除いき、次いで、巻き揚げ機57を巻き下げ運転するにより、耐震補強ブロック6を吊下げ降下させ、コンクリート基礎2上に設置する。
【0060】
以下同様に、順次耐震補強ブロック6を吊下げ降下させて(図16(a)(b)参照)に示すように、耐震補強ブロック6を積み重ねて、PC鋼材4の最上部で定着金具22により緊張定着させる。なお、足場吊り支持枠55と足場兼支承装置56間の間隔が小さくて、最上部のPC鋼材4が邪魔になる場合には、適宜一時的に取外して、耐震補強ブロック6の搬入あるいは組立を行う。また、最下位の耐震補強ブロック6の先端部には、止水ゴム材等を装着して、コンクリート基礎2との間の止水を図る。
【0061】
次いで、図17(a)に示すように、耐震補強用ブロック体18内側と柱状構造物1との間の水を排出して、ドライな状態とし、図17(b)に示すように、耐震補強用ブロック体18内側と柱状構造物1との間にモルタル等の充填材5bを充填する。その他の点は図1の場合と同様である。
【0062】
なお、前記の場合における耐震補強ブロック6は、地盤に圧入されない形態であるので、ウォータージェット用またはバキューム用鋼管13は、バキューム用鋼管13として利用される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明を実施して橋脚および基礎を補強した状態を示す一部縦断正面図であり、図2の一部の拡大図である。
【図2】図1を含めた橋梁構造物全体を示す一部縦断正面図である。
【図3】図1におけるA−A線の横断平面図である。
【図4】(a)〜(d)は、本発明を実施して橋脚および基礎を補強する工程を示す概略正面図である。
【図5】(e)〜(h)は、本発明を実施して橋脚および基礎を補強する工程を示す概略正面図である。
【図6】(a)は橋脚を支持している基礎フーチングにPC鋼材の先端部を定着した状態を示す拡大縦断正面図、(b)は他の形態のPC鋼材を使用して、基礎フーチングにPC鋼材の先端部を定着した状態を示す拡大縦断正面図である。
【図7】橋脚等の柱状構造物を囲むように配置するプレキャスト版を組立てたプレキャスト筒体を示すものであって、(a)は横断平面図、(b)は断面図である。
【図8】一方のプレキャスト版を示すものであって、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
【図9】他方のプレキャスト版を示すものであって、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
【図10】橋脚等の柱状構造物の回りに鋼板を配置して補強した形態を示す横断平面図であり、図1のB−B線の横断平面図である。
【図11】PC鋼材の他の形態として、中空PC鋼材を使用したプレストレス導入装置の一形態を示すものであって、(a)は側面図、(b)は断面図である。
【図12】本発明を実施して橋脚および基礎を補強した状態を示す一部縦断正面図であり、図2の一部の拡大図である。
【図13】図12のC−C線断面図である。
【図14】(a)〜(b)は、本発明を実施して橋脚および基礎を補強する工程を示す概略正面図である。
【図15】図(a)〜(b)は、本発明を実施して橋脚および基礎を補強する工程を示す概略正面図である。
【図16】図15(b)の上部の横断平面図である。
【図17】図(a)〜(b)は、本発明を実施して橋脚および基礎を補強する工程を示す概略正面図である。
【図18】従来の方法により柱状構造物を補強している状態を示す一部縦断正面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 柱状構造物(橋脚)
2 コンクリート基礎
3a コア抜き用縦孔
3b 縦孔
4 PC鋼材
5 グラウト
5b 充填材
6 耐震補強用ブロック
7a 版体
7b 版体
8 地盤
9a PC鋼材挿通用孔
9b PC鋼材挿通用孔
10 溝
11a PC鋼材定着用の凹部
11 凹部
12 凸部
13 バキューム用鋼管
14 横締めPC鋼材
15 ガイド部材
16 支圧プレート
17 定着金具
18 耐震補強用ブロック体
19 刃口
20 内側傾斜面
21 支圧プレート
22 定着金具
23 センターホールジャッキ
24 ピストン
25 支承部材
26 カプラ
27 耐震補強用被覆鋼板
28 支圧プレート
29 定着金具
30 アンカー材
31 ブラケット
32 ジャッキ
33 補強ブロック
34 ケーシング
34 ケーシング
35 プレストレス力導入装置
36 中空PC鋼棒
36a 中空PC鋼棒本体
37 雄ねじ部
38 雄ねじ部
39 雌ねじ孔
40 雌ねじ孔
41 回動工具係合用外面
42 支承筒
43 ストッパ
44 雄ねじ部
45 回動工具係合用外面
46 凹部
47 押圧係止片
48 押込み用反力PC鋼棒
49 雌ねじ部
50 アンカー材
51 雄ねじ部材
52 アンカー材
53 支持枠
54 連結ボルト
55 足場吊り支持枠
56 足場兼支承装置
57 巻き揚げ機
58 吊り金具
59 ボルト
60 孔
61 前後方向支承部材
62 凹溝
63 左右方向支承部材
64 支承部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤上から柱状構造物を支持しているコンクリート基礎にPC鋼材を挿入できる縦孔を削孔し、前記縦孔にPC鋼材の下端部を挿入すると共に、前記縦孔内にグラウトを注入・硬化して前記PC鋼材の下端部を定着した後、そのPC鋼材を反力として、地盤上で柱状構造物を囲むように組立てられた耐震補強用ブロックに前記PC鋼材を挿通すると共に圧入し、耐震補強用ブロックと柱状構造物との間に充填材を充填したことを特徴とする柱状構造物の補強工法。
【請求項2】
柱状構造物を支持しているコンクリート基礎にPC鋼材を挿入できる縦孔を削孔し、前記縦孔にPC鋼材の下端部を挿入すると共に、前記縦孔内にグラウトを注入・硬化して前記PC鋼材の下端部を定着した後、柱状構造物を囲むように組立てられた耐震補強用ブロックに前記PC鋼材を挿通すると共に吊り降ろして配設し、耐震補強用ブロックと柱状構造物との間に充填材を充填したことを特徴とする柱状構造物の補強工法。
【請求項3】
PC鋼材で、耐震補強用ブロックとコンクリート基礎を一体化させると同時に耐震補強用ブロック同士を圧着したことを特徴とする請求項1または2に記載の柱状構造物の補強工法。
【請求項4】
縦孔の内周面に溝を設けて、PC鋼材の定着力を高めたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の柱状構造物の補強工法。
【請求項5】
柱状構造物を支持しているコンクリート基礎に設けた縦孔に、PC鋼材の下端部が配置されると共にグラウトが注入・充填されて定着され、柱状構造物を囲むように組立てられた耐震補強用ブロックが、前記PC鋼材に反力をとって圧入されて柱状構造物とコンクリート基礎上部とに渡って配置され、前記耐震補強用ブロックと柱状構造物との間に充填材が充填・硬化されて一体化されていることを特徴とする柱状構造物の補強構造。
【請求項6】
柱状構造物を支持しているコンクリート基礎に設けた縦孔に、PC鋼材の下端部が配置されると共にグラウトが注入・充填されて定着され、柱状構造物を囲むように組立てられた耐震補強用ブロックが、吊り降ろされて柱状構造物とコンクリート基礎上部とに渡って配置され、前記耐震補強用ブロックと柱状構造物との間に充填材が充填・硬化されて一体化されていることを特徴とする柱状構造物の補強構造。
【請求項7】
PC鋼材で、耐震補強用ブロックと基礎を一体化させると同時に耐震補強用ブロック同士を圧着したことを特徴とする請求項5または6に記載の柱状構造物の補強構造。
【請求項8】
縦孔の内周面に溝を設けて、PC鋼材の定着力を高めたことを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の柱状構造物の補強構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2007−162448(P2007−162448A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−27142(P2006−27142)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(000103769)オリエンタル建設株式会社 (136)
【Fターム(参考)】