説明

柵および柵用パネル

【課題】簡素な構成によって製造コストを抑えると共に、傾斜地への設置を容易にし、さらに、組立後のガタを最少にする柵を提供する。
【解決手段】柵は、上下に配置される一対の胴縁10と、両端がそれぞれ胴縁10に連結される縦格子30と、胴縁10内に挿入されて縦格子30の端部を把持する支持材20とを有する。胴縁10に縦格子30が挿入自在な挿入孔11が形成され、支持材20は断面コ字状の溝形であって、側面に内側に突出する略球面の一部からなる凸部21が形成され、縦格子30の両端部には支持材20の凸部21が係止自在(嵌入自在)な貫通孔31が形成されている。そして、胴縁10内に支持材20を移動不能に配置し、胴縁10に斜めに挿入された縦部材30を起立させて、縦部材30の側面を凸部21に摺動しながら支持材20を押し広げ、やがて凸部21を貫通孔31に係止(陥没)する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は柵および柵用パネル、特に、パイプ製の柵および柵用パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車道と歩道との分離する柵(パイプフェンス)、道路の中央分離帯等に設置される柵(ガードフェンス)、公園などの境界柵や案内柵等は、上下に配置される一対の胴縁と、両端がそれぞれ前記胴縁に溶接される縦格子とから構成されていた。ところが、かかる溶接による接続では、柵を傾斜地に設置する際、傾斜の程度に応じて、それぞれの角度になるよう胴縁に縦格子を斜めに溶接する必要が生じ、製造管理および在庫管理が煩雑になるという問題があった。
このため、溶接に替えて、機械的に胴縁に縦格子を連結し、設置現場において両者の傾斜角度を調整自在にする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−360372(第3−4頁、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術には以下の問題があった。すなわち、該技術は、縦格子の両端部に角パイプが溶接または両端部が角パイプ状に絞り加工され、該角パイプ部に貫通孔が形成されている。また、胴縁には角パイプが挿入可能な角穴が形成されている。そして、縦格子の角パイプ部が胴縁の角穴に挿入された状態で、胴縁内に係止棒を挿入し、該係止棒を前記貫通孔に挿通させることによって、縦格子と胴縁との連結するものである。
(あ)このため、角パイプの溶接または角パイプ状の絞り加工が高価であるため、コスト競争力が劣るという問題があった。
(い)また、長尺の係止棒が撓む(弾性変形する)ため、係止棒を前記貫通孔に挿通させる作業が困難であって、作業性が悪いという問題があった。
(う)さらに、前記作業性を改善するため、貫通孔を大きくすると、組立後のガタ(遊び)が大きくなるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、簡素な構成によって製造コストを抑えると共に、設置現場における施工を容易にし、さらに、組立後のガタを最少にする柵および柵用パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る柵は、上下に配置される一対の胴縁と、両端がそれぞれ前記胴縁に連結される縦格子と、前記胴縁内に挿入されて前記縦格子の端部を把持する支持材と、支柱を有する柵であって、
前記胴縁に前記縦格子が挿入自在な挿入孔が形成され、
前記支持材が断面略コ字状の溝形であって、その側面に内側に突出する凸部が形成され、
前記縦格子の両端部に前記凸部が係止自在な凹部または貫通孔が形成され、
前記挿入孔を通過して前記支持材の溝部に挿入した前記縦格子の凹部または貫通孔に、前記支持材の凸部が係止していることを特徴とする。
【0007】
(2)また、前記胴縁に挿入された前記支持材を前記胴縁の軸方向に動かないようにして前記縦格子を挿入後傾けることにより、前記縦格子の前記凹部または貫通孔に前記支持材の凸部を係止させたものであることを特徴とする。
(3)また、前記縦格子の外形が円形であって、
前記挿入孔を通過して前記支持材の溝部に挿入した前記縦格子を、該縦格子の軸心を中心にして回転することにより、前記縦格子の前記凹部または貫通孔に前記支持材の凸部を係止させたものであることを特徴とする。
【0008】
(4)また、前記支持材の側面の側端縁と、前記支持材の側面部と底面部との隅部との4箇所が、前記胴縁の内面に当接していることを特徴とする。
(5)また、前記支持材がばね鋼板によって形成され、前記縦格子の凹部または貫通孔に前記支持材の凸部が係止する際、前記支持材の側面部が押し広げられることを特徴とする前記支持材の側面の側端縁と、前記支持材の側面と底面との折れ曲がり部との4箇所が、前記胴縁の内面に当接していることを特徴とする。
【0009】
(6)さらに、本発明の柵用パネルは、上下に配置される一対の胴縁と、両端がそれぞれ前記胴縁に連結される縦格子と、前記胴縁内に挿入されて前記縦格子の端部を把持する支持材とを有するものであって、
前記胴縁に前記縦格子が挿入自在な挿入孔が形成され、
前記支持材が断面略コ字状の溝形であって、その側面に内側に突出する略球面の一部からなる凸部が形成され、
前記縦格子の両端部に前記凸部が係止自在な凹部または貫通孔が形成され、
前記挿入孔を通過して前記支持材の溝部に挿入した前記縦格子の凹部または貫通孔に、前記支持材の凸部が係止していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る柵は以上の構成であるから、以下の効果を奏する。
(i)本発明に係る柵は、胴縁に縦格子が挿入自在な挿入孔が形成され、縦格子の両端部に凹部または貫通孔が形成され、支持材が溝形状で、その側壁に凸部が形成されているから、挿入孔を通過して支持材の溝部に挿入した縦格子は、その凹部または貫通孔に支持材の凸部が係止しているため、胴縁から抜け出すことがない。また、かかる係止状態の縦格子は支持材(胴縁に同じ)の長手方向に対して傾動するから、縦格子を傾斜させて設置することができる。また、構成が簡素であるから製造コストを安価に抑えることができ、また、設置現場における施工が容易である。さらに、常に前記係止をしているから、組立後のガタを最少にすることができる。
【0011】
(ii)また、支持材を動かないようにして縦格子を挿入後傾けることにより、凹部または貫通孔に凸部を係止させたものであるから、組み立てが容易であると共に、一旦係止した後は、縦格子が支持材から抜け出すことがない(縦格子の軸方向に、相当大きな力を掛けても、前記係止が外れることがない)ため、柵の信頼性の向上や保全性の向上が図られる。
(iii)また、縦格子の外形が円形であって、縦格子を回転することによって、凹部または貫通孔に凸部を係止させたものであるから、かかる係止作業が容易である(比較的小さな力で係止する)と共に、一旦係止した後は、縦格子が支持材から抜け出すことがない(縦格子の軸方向に、相当大きな力を掛けても、前記係止が外れることがない)ため、柵の信頼性の向上や保全性の向上が図られる。
【0012】
(iv)また、支持材の側端縁と隅部との合計4箇所が胴縁の内面に当接しているから、支持材が胴縁に拘束され両者の間にガタがない。
(v)また、支持材がばね鋼板によって形成されるから、前記係止作業が容易になると共に、一旦係止した後は、確実に弾性復元(スプリングバック)して前記係止を長期間にわたって継続するため、柵の信頼性の向上や保全性の向上が図られる。
【0013】
(vi)さらに、本発明に係る柵用パネルは以上の構成であるから、部材構成が簡素であって、施工が容易である。特に、挿入孔を丸孔にすれば、加工が迅速かつ安価になる。また、凹部が狭搾部に挟まれたまま縦格子が傾動するため、設置場所の傾斜に応じた角度に縦格子を倒すことができると共に、組立後のガタが最少に抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[実施形態1:柵]
(全体構成)
図1は本発明の実施形態1に係る柵を示す正面図である。図1において、柵1は、一対の胴縁10a、10bと、両端がそれぞれ胴縁10a、10bに連結された縦格子30a、30b・・・・と、胴縁10a内に挿入されて縦格子30a、30b、30c・・・・の一方の端部を把持する支持材20a、20b(破線にて示す)と、胴縁10b内に挿入されて縦格子30a、30b、30c・・・・の他方の端部を把持する支持材20c、20d(破線にて示す)と、地面2に立設された支柱3a、3bとを有する。
【0015】
なお、胴縁10a、10bについて、支持材20a、20b、20c、20dについて、および縦格子30a、30b、30c・・・・について、それぞれに共通する内容を説明する際は、添え字「a、b・・・・」を省略して、それぞれ「胴縁10」、「支持材20」および「縦格子30」と称する。また、以下の各部材を説明する図は、全体構成を説明する図1に組み立てられた状態を基準にして、正面図、側面図および平面図を規定する。
【0016】
柵1は「梯子」状であって、胴縁10の両端が地面2に立設された一対の柱3a、3bにそれぞれ取り付けられている。なお、図1において、縦格子30は胴縁10の軸方向にに対して直角に連結されているが、傾斜して連結することができるものである(すなわち、平行四辺形状になる。図示しない)また、胴縁10の一対の柱3a、3bへの取り付け要領は限定するものではない。なお、柱3a、3bのそれぞれに共通する内容を説明する際は、添え字「a、b」を省略して、それぞれ「柱3」と称する場合がある。また、地面2とは、文字通りの陸上の地面に限定するものではなく、海底や河床、あるいは道路、建建築物ないし機械等の構造物を含むものを指している。
【0017】
(胴縁)
図2は本発明の実施形態1に係る柵における胴縁を示す、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は一部断面にして模式的に示す斜視図である。図2において、胴縁10は丸鋼管(断面円形)であって、上面(図2の(c)において12時の位置)に、縦格子30が挿入自在(正確には、縦格子30の凸部39が通過自在、これについては別途詳細に説明する)な挿入孔11が複数形成されている。
なお、挿入孔11は縦格子30(正確には、縦格子30の凸部39)が通過自在な形状である限り円形に限定するものではなく、楕円であっても、矩形(縦格子30が角鋼管等の断面矩形状の場合)であってもよい。また、柵1が傾斜地に設置される場合には、挿入孔11を軸方向に長い長孔や、丸孔であっても縦格子30の外径よりも大きな孔(いわゆるバカ孔)にしておけば、縦格子30を胴縁10の軸方向に対して容易に傾斜させることができる。
【0018】
また、両端部の側面(図2の(c)において3時の位置および9時の位置)には通し孔12が形成されている。そして、柱3a、3bには柵1を取り付けるための取り付け用金具(図示しない)が設置され、取り付け用金具には取り付け用孔が形成されているから、該取り付け用孔と通し孔12とを同時に貫通する通しボルト(図示しない)によって、柱3a、3bに柵1(胴縁10に同じ)を取り付けることが可能になる。
また、通し孔12は胴縁10の軸方向に長い長孔になっているから、柱3aと柱3bとの施工がバラついても(間隔や平行度がズレても)、取り付けが容易になっている。
【0019】
(縦格子)
図3は本発明の実施形態1に係る柵における縦格子を示す、(a)平面図、(b)は一部破断した正面図、(c)は側面図、(d)は一部断面にして模式的に示す斜視図である。
図3において、縦格子30は丸鋼管(断面円形)であって、両端面から所定の距離に貫通孔31が形成されている。
【0020】
なお、貫通孔31は後記する支持材20の凸部21(これについては、別途詳細に説明する)が係止自在な限り、その形状は図示するものに限定するものではなく、所定深さの凹部であってもよい。さらに、貫通孔31(または凹部)の形成要領も限定するものではなく、機械加工(たとえば、ドリル切削)または塑性加工(たとえば、パンチ打ち抜き)の何れであってもよい。
なお、縦格子30の先端面38と側面36との角部37に面取り部を形成してもよい。このとき、縦格子30を胴縁10の挿入孔11や支持材20の懐内に挿入することが容易になる。
【0021】
(支持材)
図4は本発明の実施形態1に係る柵における支持材を示す、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は凸部を示す側面視の断面図、(d)は凸部を示す平面視の断面図、(e)は凸部を模式的に示す斜視図である。図4において、支持材20は、ばね鋼の薄板(たとえば、厚さ0.6〜1.5mm)を曲げ加工したものであって、底面部28と一対の側面部26からなる正面視においてコ字状の溝形を呈している。そして、側面部26には、長手方向で内側に向かって突出した複数の凸部21が形成されている。凸部21はエンボス加工によって形成されたものであって、先端範囲は略球面の一部であって、裾野範囲は側面部26に滑らかに連なっている。なお、以下の説明において、底面部28と一対の側面部26に囲まれた範囲であって、概ね凸部21より底面部28に近い範囲を「懐部29」と称す。
【0022】
なお、支持材20は無負荷状態で、一対の側面部26が互いに平行であるものに限定するものではなく、後記するように、支持材20を弾性変形させて胴縁10内に挿入自在であって、凸部21が縦格子30の貫通孔31に係止する限り、一対の側面部26の側縁25同士の間隔が、側面部26と底面部28との境界に相当する隅部27同士の間隔よりも、大きくてもよい。反対に、支持材20の懐部29に縦格子30が挿入自在である限り、一対の側面部26の側縁25同士の間隔が、側面部26と底面部28との境界に相当する隅部27同士の間隔よりも、小さくてもよい。
【0023】
また、隅部27は所定の曲率半径を具備するものである。
さらに、底面部28は平面であるものを示しているが本発明はこれに限定するものではなく、断面円弧状であってもよい。同様に、側面部26は平面に限定するものではなく、後記する組立作業を可能にする限り、断面円弧状であったりしてもよい。
なお、図1において、一方の胴縁10に2本の支持材20が配置されているが、胴縁10と略同じ長さの一本物であってもよい。
【0024】
(柵の組立−1)
図5および図6は本発明の実施形態1に係る柵の組立要領を工程を追って説明する、図5は正面図、図6は平面視の部分断面図であって、図5の(a)が図6の(a)に、図5の(b)および(c)が図6の(c)にそれぞれ対応し、図6の(b)は図5の(a)から(b)に移行する途中を示している。なお、上側の胴縁10aへの組立と下側の胴縁10bへの組立とは、上下を反転すれば同一であるため、添え字「a、b」を省略して下側の胴縁10bについて説明する。
【0025】
図5の(a)および図6の(a)において、胴縁10の内部に支持材20が配置され、胴縁10の端部に組み立て軸14が当接している。組み立て軸14は胴縁10の貫通孔12に挿入された組み立て用ボルト13によって、胴縁10から抜け出し不能に支持されている。したがって、支持材20は、胴縁10から抜け出す方向(図6において右方向)の力が作用しても移動することがない。
そして、胴縁10の挿入孔11に縦部材30が斜めに挿入されている。このとき、縦格子30の側面が、支持材20の凸部21に近接または当接している。
【0026】
図6の(b)において、胴縁10に斜めに挿入された縦部材30を起立させている(胴縁10の長手方向と縦部材30の軸方向とを垂直にする)。このとき、胴縁10の挿入孔11の縁が傾動支点となって、縦部材30は容易に傾動し、かかる傾動によって、縦部材30の側面は支持材20の凸部21に摺動しながら、支持材20を押し広げている。
【0027】
図5の(b)および図6の(c)において、縦部材30はさらに傾動しているから、縦格子30の貫通孔31に支持材20の凸部21が係止(陥没)すると共に、支持材20はスプリングバックしてその幅が元に戻っている。
すなわち、支持材20の凸部21は、断面円弧状の縦部材30の側面を軸方向に対して垂直の面内で登って貫通孔31に陥没したことになる。このため、陥没した後に、縦部材30の軸方向に向かって貫通孔31から抜け出そうとすると、支持材20を陥没直前の幅以上に大きく拡げる必要が生じる。すなわち、支持材20の凸部21は、縦部材30の貫通孔31から容易に抜け出さないことになる。
【0028】
図5の(c)において、縦部材30を起立させている。このとき、支持剤20の端面は組み立て治具14から離れているから、組み立て治具14および組み立て用ボルト13を容易に撤去することができる。
そして、胴縁10の両端部を、それぞれ支柱3に設置することにより、柵1が完成する(図示しない)。
【0029】
以上は、縦格子30が支持材20に対して垂直(胴縁10に対して垂直に同じ)に組み立てられる場合を示しているが、図5の(b)に示す工程の後、縦格子30を支持材20の長手方向に対して所望の角度に傾斜することができる。このとき、凸部21が球面の一部であって、貫通孔31が円形であるから、所望の角度に容易に傾斜することができると共に、何れの角度に傾斜しても、凸部21は貫通孔31から抜け出し難くなっている。
【0030】
よって、支持材20は縦格子30によって確実に把持された状態になるため、胴縁10から抜け出すことがない。また、当該把持部には間隙(ガタ)がないため、縦格子30がガタつくことがない。さらに、前述のように、支持材20は胴縁10に4点で当接しているから支持材20を引き出すような力が作用しても、支持材20を把持している縦格子30は持ち上げられないから、縦格子30のガタつきは最少に抑えられている。
【0031】
特に、貫通孔31に一旦係止(嵌入)した凸部21は、支持材20の長手方向には極めて抜け出し難くなっている。すなわち、平面板上を転がった球体が、平面板に設けた丸孔に係止(嵌入)した場合、丸孔から抜け出すために球体を平面板と平行に押す力は、何れの方向でも同じ大きさになる。一方、平面板でなく円筒に丸孔が設けられている場合、丸孔から抜け出すために球体を円筒の軸方向に押す力は、円筒の軸に垂直面で外面に接する方向に押す力に比較して格段に大きなものになるからである。
【0032】
なお、以上は胴縁10や縦格子が丸鋼管によって形成された場合を示しているが本発明はこれに限定するものではなく、ステンレス管、アルミニウム管、その他金属(合金を含む)管、または樹脂管であってもよい。
また、胴縁10は断面角形状や断面異形状であってもよい。さらに、胴縁10aと胴縁10bとが同一形状である場合を示しているが本発明はこれに限定するものではなく、胴縁10aと胴縁10bとが異なった形状(外径、断面形状)であってもよい。
さらに、胴縁10a内に配置される支持材20a、20bの凸部の形状と胴縁10bに配置される支持材20c、20dの凸部の形状とが相違する場合には、縦格子30の両端部には、それぞれ相違する形状の貫通孔または凹部が形成されてもよい。
【0033】
(柵の組立−2)
図7は本発明の実施形態1に係る柵の組立要領を工程を追って説明する、(a)および(b)は部分側面図、(c)は側面視の部分断面図である。なお、上側の胴縁10aへの組立と下側の胴縁10bへの組立とは、上下を反転すれば同一であるため、添え字「a、b」を省略して下側の胴縁10bについて説明する。
図7の(a)において、胴縁10の内部に支持材20が配置されている。このとき、支持材20の断面コ字形状はスプリングバックして、隅部27と側縁25との4点(正確には4条)において胴縁10の内面に当接している。
そして、縦格子30の貫通孔31が支持材20の長手方向(胴縁10の長手方向に同じ)になるように配置して、縦格子30を胴縁10の挿入孔11に挿入しようとしている。
このとき、支持材20の側縁25同士の間隔が縦格子30の外径よりも大きいから、縦格子30は支持材20の一対の側面部26の間に容易に挿入することになる。
【0034】
そして、さらに縦格子30が挿入すると、縦格子30の角部37は、支持材20の凸部21の裾野に当接し、凸部21に摺動しながら支持材20を押し広げる(図示しない)。やがて、縦格子30の角部37が凸部21の頂上に到達した後は、側面36が凸部21の頂上に摺動しながら挿入を続ける。
図7の(b)において、縦格子30はさらに挿入して貫通孔31が支持材20の凸部21と同じ位相(高さ)になっている。このとき、凸部21の頂上同士の距離は最大幅に押し広げられ、縦格子30の外径に等しくなっている。
【0035】
図7の(c)において、縦格子30を軸心を中心に90度回転している。すなわち、縦格子30の貫通孔31と支持材20の凸部21とが同一位置になるため、支持材20は押し広げられていた支えを失ってスプリングバックするから、支持材20の凸部21は縦格子30の貫通孔31に係止(嵌入)することになる。
そして、そして、胴縁10の両端部が、それぞれ支柱3に設置されることにより、柵1が完成する。
【0036】
したがって、前記「柵の組立−1」と同様に、縦格子30を支持材20の長手方向に対して所望に角度に傾斜することができ、る縦格子30のガタつきは最少に抑えられ、さらに、支持材20の長手方向には極めて抜け出し難くなっている。
【0037】
なお、以上は胴縁10や縦格子が丸鋼管によって形成された場合を示しているが本発明はこれに限定するものではなく、ステンレス管、アルミニウム管、その他金属(合金を含む)管、または樹脂管であってもよい。
また、胴縁10は断面角形状や断面異形状であってもよく、縦格子は断面楕円であってもよい。さらに、胴縁10aと胴縁10bとが同一形状である場合を示しているが本発明はこれに限定するものではなく、胴縁10aと胴縁10bとが異なった形状(外径、断面形状)であってもよい。
さらに、胴縁10a内に配置される支持材20a、20bの凸部の形状と胴縁10bに配置される支持材20c、20dの凸部の形状とが相違する場合には、縦格子30の両端部には、それぞれ相違する形状の貫通孔または凹部が形成されてもよい。
【0038】
[実施形態2:柵用パネル]
(全体構成)
本発明の実施形態2に係る柵用パネルは、実施形態1に係る柵1から支柱3を除いたものに同じであるため、図示および各構成部材の説明を省略する。
すなわち、かかる柵用パネルは、これが設置される支柱を限定するものではないため、たとえば、古い柵用パネルを更新する際の「新しい柵用パネル」として既設の支柱に設置されたり、建築物の外壁等の構造物に設置されたりすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は以上の構成であるから、任意の傾きの傾斜地に設置することが可能であると共に、設置現場における施工が容易で、簡素な構成であるため製造コストが安価で、さらに、組立後のガタが最少に抑えられるから、平坦地や傾斜地に設置される柵および柵用パネルとして広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態1に係る柵を示す正面図。
【図2】図1に示す柵における胴縁を示す、平面図、正面図、側面図、斜視図。
【図3】図1に示す柵における縦格子を示す、平面図、正面図、側面図、斜視図。
【図4】図1に示す柵における支持材を示す、平面図、正面図、断面図、斜視図。
【図5】図1に示す柵の組立要領(その1)を工程を追って説明する正面図。
【図6】図1に示す柵の組立要領(その1)を工程を追って説明する部分断面図。
【図7】図1に示す柵の組立要領(その2)を工程を追って説明する部分側面図。
【符号の説明】
【0041】
1 柵
2 地面
3 柱
10 胴縁
11 挿入孔
12 通し孔
20 支持材
21 凸部
25 側縁
26 側面部
27 隅部
28 底面部
29 懐部
30 縦格子
31 貫通孔
36 側面
37 角部
38 先端面
39 凸部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に配置される一対の胴縁と、両端がそれぞれ前記胴縁に連結される縦格子と、前記胴縁内に挿入されて前記縦格子の端部を把持する支持材と、柱とを有する柵であって、
前記胴縁に前記縦格子が挿入自在な挿入孔が形成され、
前記支持材が断面略コ字状の溝形であって、その側面に内側に突出する略球面の一部からなる凸部が形成され、
前記縦格子の両端部に前記凸部が係止自在な凹部または貫通孔が形成され、
前記挿入孔を通過して前記支持材の溝部に挿入した前記縦格子の凹部または貫通孔に、前記支持材の凸部が係止していることを特徴とする柵。
【請求項2】
前記胴縁に挿入された前記支持材を前記胴縁の軸方向に動かないようにして前記縦格子を挿入後傾けることにより、前記縦格子の前記凹部または貫通孔に前記支持材の凸部を係止させたものであることを特徴とする請求項1記載の柵。
【請求項3】
前記縦格子の外形が円形であって、
前記挿入孔を通過して前記支持材の溝部に挿入した前記縦格子を、該縦格子の軸心を中心にして回転することにより、前記縦格子の前記凹部または貫通孔に前記支持材の凸部を係止させたものであることを特徴とする請求項1記載の柵。
【請求項4】
前記支持材の側面の側端縁と、前記支持材の側面部と底面部との隅部との4箇所が、前記胴縁の内面に当接していることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の柵。
【請求項5】
前記支持材がばね鋼板によって形成され、前記縦格子の凹部または貫通孔に前記支持材の凸部が係止する際、前記支持材の側面部が押し広げられることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の柵。
【請求項6】
上下に配置される一対の胴縁と、両端がそれぞれ前記胴縁に連結される縦格子と、前記胴縁内に挿入されて前記縦格子の端部を把持する支持材とを有する柵用パネルであって、
前記胴縁に前記縦格子が挿入自在な挿入孔が形成され、
前記支持材が断面略コ字状の溝形であって、その側面に内側に突出する略球面の一部からなる凸部が形成され、
前記縦格子の両端部に前記凸部が係止自在な凹部または貫通孔が形成され、
前記挿入孔を通過して前記支持材の溝部に挿入した前記縦格子の凹部または貫通孔に、前記支持材の凸部が係止していることを特徴とする柵用パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−224520(P2007−224520A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−44084(P2006−44084)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(000231110)JFE建材株式会社 (150)
【出願人】(301006747)有限会社品川産業 (1)
【Fターム(参考)】