説明

柵取付装置及び安全柵

【課題】フック部による柵の吊り下げによらないベルトコンベヤ等の柵取付装置を提供する。フック部を設置できない複雑な外観形状の場所でも柵を非常に簡単な作業だけで設置できるようにする。
【解決手段】機枠9bに取り付けられる本体部17と、本体部17に着脱される第1面板28と、第1面板28の動きを規制する規制部材31とを有した柵取付装置16である。本体部17は、ボルト26によって機枠9bに固定される取付部18と、取付部18と一体である第2面板19a,19bと、第2面板から突出した突出部21とを有する。突出部21は柵11の網目空間14を通ることができる。規制部材31は突出部21に回転移動可能に連結されている。第1面板28は第2面板19a,19bと協働して柵11を挟持する。規制部材31は回転移動状態(鎖線)で、第1面板28を第2面板19a,19bの方向へ押し付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーム、支柱、補強部材等といった機枠に柵を設置するための柵取付装置に関する。また、本発明は、柵とその柵を機枠に取り付けている柵取付装置とを含んで成る安全柵に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の産業分野において、柵、例えば人の安全を確保するための安全柵、を設置することを要求される場合がある。例えば、任意の物体を搬送するための搬送手段としてベルトコンベヤを備えた搬送装置が産業界において広く使用されており、このベルトコンベヤの周囲に柵、例えば安全柵を付設する場合がある。
【0003】
上記の搬送装置には多くの可動部分、例えば、ベルトコンベヤそれ自体や、ベルトコンベヤを周回移動させるローラ、電動モータ等といった駆動系や、ギヤ等といった動力伝達系、等が含まれている。従来、作業者がこれらの可動部分に接触することを防止するために、搬送装置の周囲に柵を設けることが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、ベルトコンベヤを支持する機枠の一部にフック部を設け、該フック部に金網から成る柵を引掛けるという構成が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ベルトコンベヤを支持する機枠の一部にフック部を設け、該フック部に金網から成る柵を引掛けて吊り下げるという構成が開示されている。また、特許文献3には、ベルトコンベヤを支持する機枠の一部にフック部を設け、該フック部に金網から成る柵を引掛けて吊り下げると共に、係止リングとコッタとにより柵を機枠に固定するという構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3151281号公報(請求項1、第5頁、図1,2,3)
【特許文献2】特開2008−156069号公報(請求項1、第4,5頁、図1,3,4)
【特許文献3】特開2009−173389号公報(請求項1、第5頁、図1,2,3)
【特許文献4】実用新案登録第3159665号公報(第5〜7頁、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1、特許文献2及び特許文献3に開示された装置においては、ベルトコンベヤの機枠にフック部を設け、そのフック部に柵を吊り下げるようにしたので、柵が揺動して不安定であったり、フック部を設けることができない場所には柵を付設することができなかったり、柵をフック部に吊り下げる作業に手間がかかって面倒であったり、フック部に大きな荷重がかかって損傷し易い、等という問題があった。
【0007】
本発明者は、上記の問題点に鑑み、フック部を用いた吊り下げ構造でなく、一対の面板を用いて安全柵を挟んで支持する柵取付構造を提案した(例えば、特許文献4)。この構造を採用することにより、フック部を設けることができないような場所にも安全柵を装着できることになり、さらには安全柵を徒に揺動させることなく安定して支持することが可能となった。
【0008】
しかしながら、特許文献4で提案された柵取付構造においては、柵取付装置の本体部分と、柵を押える部材である楔部材とが互いに別々の分離した部材として用いられていた。このため、作業者による柵の着脱作業時における部品の取り扱いが非常に煩わしく、さらに、柵取付装置の部品保管の処理が難しい、という問題があった。
【0009】
本発明は、従来の装置における上記の問題点を解消するために成されたものであって、フック部を設けることができないような複雑な外観形状の場所でも柵を設置でき、非常に簡単な作業だけで柵をしっかりと安定状態に設置でき、損傷し難い丈夫な構造であり、しかも作業者や保管者にとっての部品の取り扱いが非常に容易である柵取付装置及び安全柵を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る柵取付装置は、
(A)取付用穴を備えた柵を機枠に取付けるための柵取付装置であって、
(B)前記機枠に取付けられる本体部と、当該本体部に着脱される第1挟み部材と、当該第1挟み部材の動きを規制する規制部材とを有しており、
(C)前記本体部は、(a)固定手段によって前記機枠に固定される取付部と、(b)当該取付部と一体であり前記柵と平面的に接触できる接触面を備えた第2挟み部材と、(c)当該第2挟み部材の接触面から突出した突出部とを有しており、
(D)前記突出部は前記柵の取付用穴を通ることができ、
(E)前記規制部材は、(a)互いに対向している長辺と互いに対向している短辺とを有した長い形状を有し、(b)前記突出部に回転可能、しかし脱落不能に連結され、(c)前記長辺が前記第2挟み部材の前方へ突出する第1の位置と、前記長辺が第2挟み部材に対向する第2の位置との間で回転可能であり、
(F)前記第1挟み部材は、(a)前記柵と平面的に接触できる接触面を有し、(b)前記規制部材の短辺及び前記突出部を通すことができる開口を有し、(c)前記突出部に沿って前記本体部の第2挟み部材に近付き又は遠ざかる方向へ移動でき、
(G)前記規制部材は、前記第2の位置にあるときに前記第1挟み部材が前記第2挟み部材から離れる方向へ移動することを規制することを特徴とする。
【0011】
上記の機枠は位置不動に設けられている任意の構造体である。位置不動とは、例えば地中に挿入されることや、地上に固定されること等によって容易には位置が動かない状態になっていることや、ポール、柱状物等が単に地上に置かれている状態も含む意味である。
【0012】
上記の機枠は、例えばベルトコンベヤを構成している各種の機器要素を支持するための構造要素であり、位置移動しない要素である。一般には、フレーム、支柱、梁、補強部材、その他の構造要素である。ベルトコンベヤは任意の物体を1つの場所から他の場所へ搬送するために周回移動するベルトである。柵は、少なくとも人体の一部が通過することを阻止できる部材であり、金属製の網部材、樹脂製の網部材、金属製又は樹脂製で板状の部材、等とすることができる。
【0013】
上記の第1挟み部材及び第2挟み部材は、柵を挟んで保持できる部材であり、形状及び構造は任意である。例えば、平面的な部材(いわゆる、面状部材、面板等)を用いることができる。
【0014】
上記の固定手段は任意の機械構造を採用できる。例えば、ボルトを用いた着脱可能な構造が望ましいが、場合によっては溶接等のような容易には取り外しできない固定構造であっても良い。上記の規制部材は、基本的には第1挟み部材が第2挟み部材から離れることを阻止できる部材であるが、望ましくは第1挟み部材を第2挟み部材へ向けて押し付ける部材である。
【0015】
本発明に係る柵取付装置において、前記第2挟み部材は前記規制部材の短辺部分を挿入可能な開口を有しており、前記規制部材は前記第1の位置において前記突出部に対して直線移動可能であり、当該直線移動により、前記規制部材の短辺部分が前記第2挟み部材の開口に挿入されることが望ましい。
【0016】
規制部材の短辺部分が第2挟み部材の開口に挿入されると、規制部材が突出部に対して回転移動できない状態となり、作業者が規制部材から手を放しても規制部材が第2挟み部材から突出した状態に固定される。作業者は柵の取付用穴をこのような固定状態となっている規制部材に差し込むことにより、柵を本体部の突出部に容易に装着することができる。
【0017】
本発明に係る柵取付装置において、前記規制部材は、前記第2の位置において前記突出部に対して直線移動可能とすることができる。このように前記規制部材が前記第2の位置において直線移動することにより、前記規制部材の長辺は前記突出部を中心とした(すなわち突出部を境とした)両側部分で前記第1挟み部材に対向する状態になる。この構成により、規制部材の長辺の全領域又は広い領域によって第1挟み部材を確実に安定して押し付けることができる。
【0018】
本発明に係る柵取付装置において、前記規制部材の一方の短辺は他方の短辺よりも短くなっており、前記規制部材の長辺は短い短辺と長い短辺との間で傾斜していることが望ましい。つまり、規制部材は楔形状になっていることが望ましい。
この構成により、規制部材が第2の位置において直線移動したとき、当該規制部材は第1挟み部材を第2挟み部材へ向けて押し付けることができ、第1挟み部材と第2挟み部材とによって柵をしっかりと挟持できる。
【0019】
仮に規制部材が楔形状ではなくて単なる長方形状であるとすると、規制部材を第2位置において直線移動させたときにその規制部材が第1挟み部材を押し付ける力は、それ程大きく無い可能性がある。これに対し、規制部材を楔形状にしておけば、規制部材を第2位置において直線移動させるとき、第1挟み部材の抗力により作業者が手の押圧力だけでは規制部材を直線移動させることが難しくなる可能性があるが、その場合にはハンマ等といった打撃具を用いて規制部材の短辺を打撃することにより規制部材を強制的に直線移動させることができ、その結果、第1挟み部材に対して規制部材を強制的に打ち込んで、第1挟み部材の動きを規制することができる。
【0020】
本発明に係る柵取付装置において、前記柵は、環状の線材によって囲まれた領域内に複数の直線状の線材を直交2方向へ互いに間隔を空けて配置して成る網部材とすることができる。この場合、前記取付用穴は、前記環状の線材と前記直線状の線材とによって囲まれる開口領域、又は前記複数の直線状の線材のうちの隣接するもの同士によって囲まれる開口領域となる。
【0021】
この柵においては、複数の取付用穴が線材を挟んで縦横に連続してマトリクス状に並ぶことになるので、柵取付装置の本体部の突出部に差し込むべき取付用穴をそれら複数の取付用穴から自由に選択でき、その結果、作業性を向上させることができる。
【0022】
本発明に係る柵取付装置において、前記第1挟み部材及び前記第2挟み部材の少なくとも一方は、前記柵に設けられた取付用穴の全領域を覆うことができる形状とすることができる。
【0023】
第1挟み部材及び第2挟み部材の形状及び大きさは、原則として自由に設定できる。しかしながら、それらの形状及び大きさが取付用穴よりも小さいとすると、第1挟み部材と第2挟み部材とによって柵を挟持する領域が狭くて偏った領域になってしまうことが考えられる。これに対し、第1挟み部材及び前記第2挟み部材の少なくとも一方の形状を、柵に設けられた取付用穴の全領域を覆うことができるような形状に設定しておけば、取付用穴の周辺の柵を第1挟み部材と前記第2挟み部材とによって万遍無く均一に挟持できるようになる。
【0024】
本発明に係る柵取付装置において、前記第1挟み部材にはプレス加工によって形成されたボスが設けられることが望ましく、当該ボスの凹部が外部へ開口する側の前記第1挟み部材の面が前記柵に接触することが望ましい。プレス加工によってボスを形成することにより、第1挟み部材を形成している材料の板厚が薄い場合でも、当該第1挟み部材の強度を高めることができる。また、当該ボスの凹部が外部へ開口する側の第1挟み部材の面を柵に接触させることにより、当該ボスの凹部が柵に引っ掛る傾向が促され、その結果、第1挟み部材による柵に対する滑り止めの効果を高めることができる。
【0025】
本発明に係る柵取付装置において、前記取付部と前記第2挟み部材は1つの板材を折曲げ加工することによって一体に形成されており、前記取付部は前記折曲げ加工によって形成された湾曲端を有しており、当該湾曲端には前記機枠を挿入できる溝が形成されており、前記固定手段はボルトとナットとによって構成されており、当該ナットは前記取付部の湾曲端の内部に固定されており、前記ボルトは前記ナットにネジ込まれた状態で前記溝に臨出可能であることが望ましい。
【0026】
以上のように取付部と第2挟み部材とを1つの板材から折曲げ加工によって一体に形成することにより、取付部はそれ全体として好ましいバネ性、すなわち外力吸収性又は応力分散性を有することになり、その結果、ボルトを強く締め過ぎたとしても取付部に部分的な応力集中が発生することを防止でき、それ故、ボルトによる過剰な締付力付与によって取付部が損傷するという事態を未然に防止できる。
【0027】
次に、本発明に係る安全柵は、機枠に装着される安全柵であって、取付用穴を備えた柵と、当該柵を前記機枠に取り付けるための柵取付装置とを有する安全柵において、前記柵取付装置は以上に記載した各発明態様に係る構成の柵取付装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る柵取付装置によれば、フック部を用いた吊り下げ構造でなく、一対の挟み部材(例えば面板)を用いて柵を挟んで支持する構造であるので、フック部を設けることができないような複雑な外観形状の場所でも柵を設置できる。
【0029】
また、フック部を用いた構造では、柵を吊り下げるだけなので柵自体はフック部を中心として自由に揺動できる状態であり、それ故、柵を安定してしっかりと設置することができない。例えば風が強い場合には柵が揺動して吊り下げ部分に過剰な荷重がかかり、フック部や柵に損傷が生じ易い。これに対し、本発明では、一対の挟み部材で柵を挟んで支持するので、柵を安定してしっかりと支持でき、柵自身や柵の支持部分に損傷が生じることがほとんど無い。
【0030】
また、フック部を用いた吊り下げ構造では、柵の安定性を確保するために、係止リングとそれに差し込まれる係止部材等を用いた別の構造物が必要であった。そのため、吊り下げ作業及び係止作業の2つの作業が必要となり、作業が非常に面倒であった。さらに、2つの構造を用意しなければならずコストも高かった。これに対し、本発明では、一対の挟み部材だけで柵を確実に支持できるので、柵設置の作業が楽であり、コストも低く抑えることができるようになった。
【0031】
柵を設置しようとする対象物が、例えばベルトコンベヤであるとすれば、柵を設置すべきベルトコンベヤの長さは非常に長くなる場合がある。例えば、鉱山における鉱石搬送システムにおいてはベルトコンベヤが数十メートルから数百メートルにわたるような場合がある。このような場合には、特に本発明の柵取付装置を用いることが、作業を楽にする上及びコストを低く抑える上で非常に有利である。
【0032】
特許文献1から特許文献3に開示された装置においては、係止リングとそれに差し込まれる係止部材(例えばコッタ)とを有した支持構造が用いられているが、係止リングと係止部材は、それぞれ、独立した個別の部材であった。従って、作業者は両者を別々に保有して安全柵の取付作業を行わなければならず、作業性が悪かった。また、特許文献4に開示された装置においては、柵取付装置の本体部分と、柵を押える部材である楔部材とが互いに別々の分離した部材として用いられていた。このため、作業者による柵の着脱作業時における部品の取り扱いが非常に煩わしく、さらに、柵取付装置の部品保管の処理が難しい、という問題があった。
【0033】
これに対し、本発明においては、規制部材が本体部の構成要素である突出部に連結されていて、規制部材が本体部と一体になっている。このため作業者及び保管者は、作業中、規制部材と本体部とを別々に保有しなくて済むので、部品の取り扱いが容易であり、作業性が著しく向上する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】(a)は柵を設置する対象物の一例であるベルトコンベヤを使った搬送装置の一例を示す図であり、(b)はその搬送装置に本発明に係る柵取付装置及び安全柵のそれぞれの一実施形態を付設した状態を示す図である。
【図2】図1(b)のB−B線に従ったベルトコンベヤ搬送装置の断面図である。
【図3】図1(b)の主要部を拡大して示す図である。
【図4】図3の主要部である柵取付装置を組立て解除状態で拡大して示す斜視図である。
【図5】図4の柵取付装置の主要部である本体部を示す斜視図である。
【図6】図5の本体部の平面図である。
【図7】図5の本体部の主要部である規制部材の正面図である。
【図8】図4の柵取付装置を組み立てた状態を示す斜視図である。
【図9】図8とは別の形態で図4の柵取付装置を組み立てた状態を示す斜視図である。
【図10】本発明に係る柵取付装置及び安全柵の他の実施形態を示す断面図である。
【図11】(a)はベルトコンベヤを使った搬送装置の他の例を示す図であり、(b)はその搬送装置に柵取付装置及び安全柵を付設した本発明のさらに他の実施形態を示す図である。
【図12】本発明に係る柵取付装置及び安全柵のさらに他の実施形態を示す斜視図である。
【図13】図12の柵取付装置及び安全柵の拡大領域部分を示す図である。
【図14】本発明に係る柵取付装置及び安全柵のさらに他の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(柵取付装置及び安全柵の第1の実施形態)
以下、本発明に係る柵取付装置及び安全柵を実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、これ以降の説明では図面を参照するが、その図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
【0036】
図1(a)は、本発明に係る柵取付装置及び安全柵が付設される対象物の一例であるベルトコンベヤ搬送装置の一例の全体を、搬送方向Aの側方から見た状態を示している。また、図1(b)はそのベルトコンベヤ搬送装置に本発明に係る柵取付装置及び安全柵の一実施形態を付設した状態を示している。
【0037】
ベルトコンベヤ搬送装置は、図1(a)に示すように、駆動ローラ1と従動ローラ2とによって支持されたベルトコンベヤ3と、駆動ローラ1やその他の種々の構造部材を支持している機枠4と、ベルトコンベヤ3のキャリヤ側(すなわち、上走側)3aを覆っているカバー6とを有している。このベルトコンベヤ搬送装置は、例えば鉱山において産出される鉱石を搬送するために用いられる。この場合には、ベルトコンベヤ3は数十メートルから数百メートルといった非常に長い距離にわたって施設されることがある。
【0038】
搬送対象物、例えば鉱石、はベルトコンベヤ3のキャリヤ側3aに乗って矢印Aで示す方向へ搬送される。搬送後のベルトコンベヤ3は駆動ローラ1を迂回して下走側3bとなり、搬送対象物を受け取る位置である元の位置へ戻る。このようなベルトコンベヤ3の下走側3bをリターン側と呼ぶことがある。
【0039】
図1(b)のB−B線に従った断面図である図2において、ベルトコンベヤ3の上走行体であるキャリヤ側部分3aは、中央の水平ローラ5と、その両側に設けられた傾斜ローラ10,10とによって受けられて、図2の紙面奥側から紙面手前側へ向かう方向へ走行する。他方、ベルトコンベヤ3の下走行体であるリターン側部分3bは水平ローラ15によって受けられて、図2の紙面手前側から紙面奥側へ向かう方向へ走行する。キャリヤ側の水平ローラ5及び傾斜ローラ10,10並びにリターン側の水平ローラ15は、図2の紙面と直交(すなわち、紙面を貫通)する方向へ複数個が互いに間隔を空けて設けられている。各傾斜ローラ10は、機枠であるコンベヤフレーム8上に固定された支柱20によって支持されている。支柱20も機枠の1つである。
【0040】
図1(a)において、機枠4は、地面等といった基準面上に置かれた基台フレーム7と、基台フレーム7の上方に設置されていてベルトコンベヤ3を支持しているコンベヤフレーム8と、基台フレーム7とコンベヤフレーム8との間に設けられた支柱である縦フレーム9とを含んでいる。駆動ローラ1の下側の一部分、従動ローラ2の下側の一部分、及びベルトコンベヤ3のリターン側(下走側)3bは、機枠4によって囲まれる空間の内部に納められている。
【0041】
機枠4の側面には、図1(b)に示すように、柵としての長方形状の網部材11が複数個、略隙間無く連続して並べて設けられている。図1(b)では機枠4の手前側側面に設けられた網部材11が図示されているが、図2に示すように、機枠4の後方側側面(図2の左側側面)にも同様の複数の網部材11が設けられている。
【0042】
網部材11は、図3に示すように、長方形状でリング状(すなわち、環状又は枠状)の比較的太い線材12の縦辺及び横辺の両方の内側に複数の細い線材13を張り渡すことによって形成されている。環状線材12とそれに隣接する縦及び横の線材13とによって囲まれる長方形状の開口領域(すなわち網目空間)の1つずつ、並びに縦方向及び横方向で互いに隣接する線材13によって囲まれる長方形状の開口領域(すなわち網目空間)の1つずつ、は後述する本体部の突出部を挿通させるための取付用穴14を構成している。取付用穴14は複数個が縦横に行列状に並んでいる。線材12及び線材13は金属製又は樹脂製の線材である。
【0043】
縦フレーム9は基板部9aの両側に起立部9b,9bが形成されて成る断面コ字形状に形成されている。網部材11は、縦フレーム9の起立部9bに取り付けられた柵取付装置16によって支持されている。柵取付装置16は、図4に示すように、本体部17と第1挟み部材としての第1面板28とを有している。
【0044】
本体部17は、縦フレーム9の一方の起立部9b(図3参照)に固定状態で取り付けられるための取付部18と、取付部18と一体な第2挟み部材としての第2面板19a,19bと、第2面板19a,19bの間から外部へ突出した突出部21とを有している。
【0045】
取付部18は、図5において、断面U字形状(図5では横U字形状)で幅W1を持った部材であり、U字形状の開放側の上下両端のそれぞれに、第2面板19a,19bのそれぞれが略直角を成して連続している形状となっている。2つの第2面板19a及び19bの第1面板28(図4参照)に対向する表面は、段差の無い1つの共通の平面を形成している。もちろん、製作上の誤差のため、第2面板19aの表面と第2面板19bの表面とが実用上支障の無い程度の段差を形成する場合もある。
【0046】
図5において、取付部18と第2面板19a,19bとは、例えば、1つの金属製の平板をプレス加工処理して折り曲げ加工することによって1つの一体な部品として形成されている。この部品は、例えば構造用鋼によって形成され、亜鉛メッキその他の必要な表面処理が施され、その厚さは2〜3mm程度であり、その重量は0.5〜1kgである。
【0047】
図6において、取付部18のU字形状の非開放湾曲端(図6の上側端)の略中央部分に溝23が形成されている。溝23は、例えば、取付部18の形状を形成するための折り曲げ加工の前に打抜き加工等によって形成される。非開放湾曲端の内部であって溝23の一方の側(図6の左側)に長ナット24が固定配置されている。長ナット24は、例えば溶接によって上下の取付部18に固定される。この長ナット24にボルト26がネジ込まれている。ボルト26の先端は溝23に臨出することができる。例えば、ボルト26の外径は12mm、長ナット24の長さは25mmである。
【0048】
ボルト26には緩み防止処理が施されている。例えば、ネジの谷の部分に緩みを防止するためのシール材が塗られていたり、ネジの山頂部分に小さな突起を形成しておいて緩みを防止する、等といった緩み防止処理が施されている。このようにボルト26に緩み止めを施したことにより、2つのナットを用いてボルトの緩みを防止する構造、すなわちダブルナット構造を採用することなく、1つの長ナット24を用いたシングルナット構造によって十分な緩み防止効果が実現されている。
【0049】
図4に示すように溝23内に縦フレーム9の起立部9bを挿入し、ボルト26を締め付けることにより、取付部18従って本体部17を縦フレーム9の起立部9bに強固に固定できる。なお、本実施形態のようなシングルナット構造に代えてダブルナット構造を採用することもできるし、その他の任意の固定手段を採用することも可能である。また、溝23を形成している取付部18の辺のうちボルト26に対向する辺に、三角波形状の滑り止め形状、いわゆるギザギザ形状をつけることにより、起立部9bに対する滑り止めを防止することもできる。
【0050】
ところで、実用新案登録第3159665号公報には、1つの金属ブロックである取付部(18)を第2面板(19)へ溶接等によって固定し、機枠を挿入するための溝(23)を取付部(18)に切削加工を施すことによって形成することが開示さている。カッコを付けて示している符号は実用新案登録第3159665号公報内での符号であることを示している。しかしながら、このような取付方法を採用した場合には、ボルト26を強く締め付け過ぎたときに、溝(23)の角部や、溶接部分等に応力集中が発生する可能性が考えられる。
【0051】
これに対し本実施形態では、取付部18が1つの金属ブロックではなく、薄い1枚の構造用鋼をプレス加工によって湾曲状に折り曲げることによって形成されており、第2面板19a,19bも溶接ではなく1枚の鋼材の折り曲げ加工によって形成されている。このため、取付部18はそれ全体として好ましいバネ性、すなわち外力吸収性又は応力分散性を有しており、ボルト26を強く締め過ぎたとしても取付部18に部分的な応力集中が発生することがなく、それ故、ボルト26による過剰な締付力付与によって取付部18が損傷するという事態を未然に防止できる。
【0052】
図4において、突出部21は、断面コ字形状(図5では横コ字形状)で長さLを持った金属製又は合成樹脂製の一対のアングル材21a,21bによって形成されている。アングル材21aとアングル材21bとは、図6に示すように、互いに適宜の間隔Dを空けて配置されている。アングル材21a及び21bはリベット止め22によって取付部18の上下部分に固定されている。突出部21の幅(すなわち、アングル材21a及び21bの先端間の幅)W2は、図4において、柵である網部材11に設けられた1つの網目空間である取付用穴14を通過できる大きさとなっている。図5において、第2面板19a,19bとアングル材21a,21bとによって囲まれる部分に開口30が形成されている。
【0053】
図5において、突出部21を構成している一対のアングル材21a,21bの間に規制部材31が設けられている。規制部材31は、金属製又は合成樹脂製の概ね長方形状で細長い板材によって形成されている。規制部材31の長手方向に沿って略中央部から一方の端部に向かって案内用の長穴32が形成されている。長穴32の幅W3はその長手方向に沿って一定である。一対のアングル材21a,21bの間にわたって軸部材としてのボルト33が設けられている。軸部材用ボルト33は規制部材31の長穴32を貫通し、止めナット42によってアングル材21a及び21bに固定されている。規制部材31は、軸部材用ボルト33に吊り下がった状態でその軸部材33によって回転自在に支持されている。
【0054】
規制部材31は、矢印C−Cで示すように軸部材用ボルト33を中心として回転移動可能であり、同時に、矢印Eで示すように軸部材用ボルト33が長穴32内で動くことができる範囲内で直線移動可能である。
【0055】
図7において、規制部材31は、全体として細長い形状であり、互いに対向している長辺31a,31bと、互いに対向している短辺31c,31dとを有している。長穴32に近い側の短辺31dの幅W4は、対向する短辺31cの幅W5よりも小さくなっている。短辺31dの近傍部分34には幅がW4で一定である部分が設けられている。長い短辺31cから短い短辺31dにかけて設けられている長辺31a,31bには、長い短辺31cから短い短辺31dに向かって幅が狭くなるようなテーパすなわち傾斜が設けられている。規制部材31の形状は、長手方向の中心線X1に関して左右対称である。
【0056】
図4に戻って、柵取付装置16は、第1挟み部材としての第1面板28を有している。第1面板28は、本体部17の構成要素である第2面板19aと第2面板19bとを合わせた平面形状と略同じ形状に形成されている。また、第1面板28の略中央部には、本体部17の構成要素である突出部21の幅及び高さよりも大きい矩形状の穴部分と、規制部材31の長い短辺31cよりも大きい細長い穴部分とが組み合わされた形状の開口36が設けられている。
【0057】
第1面板28における開口36の周囲の部分に、4つの細長い線状の突起、すなわち線状ボス35が開口36を中心として放射状に設けられている。これらの線状ボス35は、部分断面図(a)に示すように、図4の第1面板28の裏面(網部材11に対向した面)から手前側の面の方向に突出している。線状ボス35は、例えば絞り加工、すなわちプレス加工によって形成されている。第1面板28は、例えば構造用鋼であり、その厚さは例えば2〜3mmである。
【0058】
線状ボス35を設けたことにより、第1面板28が薄い板材であってもその強度を高めることができる。また、線状ボス35を設けたことにより、第1面板28を表裏方向へ好ましく撓ませることが可能となり、第1面板28と第2面板19a,19bとによる網部材11の挟持を安定化させることができる。
【0059】
さらに、線状ボス35の凹部が外部へ開口する側の第1面板28の面が網部材11に接触するように構成することにより、線状ボス35の凹部が網部材11の線材12,13に引っ掛る傾向が促され、その結果、単なる平面部材が網部材11に当接、すなわち面接触する場合に比べて網部材11に対する滑り止めの効果を高めることができる。
【0060】
本体部17の構成要素である突出部21及びそれに連結された規制部材31は、網部材11の取付用穴14を貫通できる形状及び大きさとなっている。そして、第2面板19a,19bは、網部材11の縦横の細い線材13又はリング状の外枠の線材12に面接触できる。突出部21及び規制部材31が取付用穴14を貫通している状態で、第1面板28を開口36の所で規制部材31及び突出部21へ差し込み、その第1面板28により線材12又は13を第1面板19a,19bへ押し付ければ、第1面板28と第2面板19a,19bとによって網部材11を挟み付けることができる。
【0061】
第1面板28の平面形状及び一対の第2面板19a,19bが作る平面形状は、1つの取付用穴14の面積よりも小さくても良いが、望ましくは1つの取付用穴14の開口面積よりも大きくする。こうすれば、1つの取付用穴14を形成しているリング状線材12又は内部の直線状線材13の全周を第1面板28と第2面板19a,19bとによって挟み付けることができる。
【0062】
本実施形態に係る柵取付装置16は以上のように構成されているので、これによって柵としての網部材11をベルトコンベヤに付設する際には、まず、図4の本体部17の取付部18を、ボルト26及びナット24によって縦フレーム9の起立部9bに固定する。これにより、本体部17の全体が機枠9の所望の場所にしっかりと固定される。
【0063】
次に、図5において、規制部材31を水平位置まで回動させ、次に規制部材31を第2面板19a,19bへ向けて突出部21に対して直線移動させる。すると、規制部材31の短い短辺31dの近傍の一定幅部分34(図7参照)が第2面板19aと第2面板19bとの間の開口30に入り込む。これにより、規制部材31は図4に示すように、第2面板19a,19bから水平に突出する状態に固定されて、作業者が手を離しても揺動しない状態に固定される。
【0064】
この状態において、網部材11の取付用穴14(複数の網目空間のいずれか1つ)を本体部17の規制部材31及び突出部21に差し入れ、線材12又は13を第2面板19a,19bに面接触させる。このとき、規制部材31は手を離しても水平状態に固定されているので、網部材11を規制部材31及び突出部21に差し入れる作業は作業者が両手で網部材11を持って行うことができ、非常に簡単である。第2面板19a,19bの平面形状が1つの取付用穴14の開口面積よりも大きい場合には、1つの取付用穴14を形成している線材12又は13の全周を第2面板19a,19bに面接触させることができる。
【0065】
次に、第1面板28を開口36の所で矢印Fで示すように規制部材31及び突出部21に差し込み、第1面板28によって線材12又は13を第1面板19a,19bに押し付ける。次に、規制部材31を矢印Fと反対方向に引き出して、規制部材31を回転自在な状態にした後、矢印Gで示すように規制部材31を上方へ回転移動させて、長辺31aが第1面板28に対向する状態、具体的には長辺31aが第1面板28に略平行となる起立状態(鎖線で示す状態)まで回転移動させる。規制部材31が起立状態まで移動すると、その長穴32が垂直方向に延びる状態となり、そのため規制部材31は図8に矢印Hで示すように自重で落下するか、あるいは作業者による適宜の押下力又はハンマ等による打撃力によって下方へ移動する。
【0066】
図7に示すように、規制部材31の長辺31aにはテーパが設けられているので、図8において規制部材31が下方へ移動する際、規制部材31の長辺31aが第1面板28を第2面板19a,19bの方向へ押し付ける。つまり、長辺31aは第1面板28を第2面板19a,19bの方向へ押しやるカム形状すなわち案内面形状となっている。そして、最終的には、図8に示すように、規制部材31の長辺31aが第1面板28に接触してそれを押し付ける状態となる。
【0067】
こうして、図1(b)に示すように、ベルトコンベヤ3の周囲、特に機枠4の内部に設置されたベルトコンベヤ3のリターン側3bの周囲に、複数の網部材11を容易には取り外せないように連続して設けることができる。これにより、作業者がベルトコンベヤ3の可動要素、例えばローラ、モータ等に触れることを柵である網部材11によって防止できる。つまり、網部材11は安全柵として機能する。
【0068】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、図4に示すように、規制部材31が突出部21に連結、すなわち接続されている。つまり、規制部材31と突出部21は別々ではなくて、一体になっている。また、第1挟み部材である第1面板28は柵としての網部材11に平面的に接触できる接触面を有しており、規制部材31及び突出部21を通すことができる開口36を有しており、そして、突出部21に沿って第2挟み部材である第2面板19a,19bに近付き又は遠ざかる方向へ移動できる。そして、規制部材31は、図8に示す状態で、第1面板28が第2面板19a,19bから離れる方向へ移動することを規制している。具体的には、規制部材31は長辺31aによって第1面板28を第2面板19a,19bの方向へ押し付けている。
【0069】
規制部材31は、図4において突出部21に回転移動可能に接続されている。そして、規制部材31は、実線で示す第1の位置と鎖線で示す第2の位置との間で軸部材33を中心として回転移動可能である。規制部材31が第1の位置(実線)にあるとき、第1面板28は突出部21へ差し込まれることを許容される。規制部材31が第2の位置(鎖線)にあるとき、その規制部材31は、第2面板19a,19bと協働して線材12又は13を挟持している第1面板28が第2面板19a,19bから遠ざかる方向へ移動することを規制する。
【0070】
規制部材31は突出部21に対して回転移動可能であると共に直線移動可能である。規制部材31は、第1の位置(実線)と第2の位置(鎖線)との間で軸部材33を中心として回転移動可能であり、さらに、第2の位置(鎖線)において直線移動可能である。規制部材31が第2の位置において直線移動することにより、長辺31aは図8に示すように突出部21を境とした上下両側で第1面板28に対向する状態になる。これにより、規制部材31の長辺31aの全域により第1面板28を安定して押し付けることができる。
【0071】
なお、本実施形態の柵取付装置においては、規制部材31を図8に矢印Hで示すように上から下へ押し込む又は叩き込むことに代えて、図9に矢印Jで示すように規制部材31を下から上へ押し込む又は叩き込むことができる。これにより、邪魔なものが存在していて一方向からの規制部材31の押し込み等が無理な場合でも、他の方向からの押し込み等が可能であるので非常に便利である。
【0072】
(柵取付装置及び安全柵の第2の実施形態)
図10は、本発明に係る柵取付装置及び安全柵の他の実施形態を示している。この実施形態で使用するベルトコンベヤ搬送装置は、ベルトコンベヤ3のキャリヤ側部分3aを覆うカバー6を有していないことにおいて、図2のベルトコンベヤ搬送装置と異なっている。それ以外の構成は図2のベルトコンベヤ搬送装置と同じである。
【0073】
本実施形態ではベルトコンベヤ3のキャリヤ側部分3aが外部に露出している。そして、傾斜ローラ10を支持している機枠としての支柱20の適所に柵取付装置16が固定されており、その柵取付装置16によって柵としての網部材11aが支持されている。網部材11aはベルトコンベヤ3のキャリヤ側部分3aの側方部分を外部から覆っている。網部材11aは複数個が図10の紙面と直角方向(紙面を貫通する方向)、すなわちベルトコンベヤ3による物体の搬送方向、に沿って連続して並べて設けられている。
【0074】
以上のように、本実施形態では、ベルトコンベヤ3のキャリヤ側部分3aの側方が網部材11aによって覆われ、さらに、ベルトコンベヤ3のリターン側部分3bの側方が網部材11によって覆われている。この構成により、ベルトコンベヤ3に付属する可動部分(例えば、ローラ、モータ、プーリ、ギヤ、動力伝達ベルト等)に作業者が誤って触れることを網部材11及び11aによって防止できる。
【0075】
(柵取付装置及び安全柵の第3の実施形態)
図11(b)は本発明に係る柵取付装置及び安全柵のさらに他の実施形態を示している。図11(a)は、図11(b)の装置から安全柵を取り外した状態のベルトコンベヤ搬送装置の全体を示している。
【0076】
図11(a)に示すベルトコンベヤ搬送装置が図1(a)に示したベルトコンベヤ搬送装置と異なる点は、図11(a)において機枠4が補強構造要素である斜めフレーム25を含んでいることである。斜めフレーム25それ自体は、縦フレーム9と同様に、基板部及び起立部を有する断面コ字形状に形成されている。
【0077】
図1(b)に示したベルトコンベヤの安全柵においては、柵取付装置16の全てが縦フレーム9の起立部9bに固定され、それらの柵取付装置16によって柵としての網部材11が支持されている。これに対し、図11(b)に示す本実施形態のベルトコンベヤの安全柵においては、一部の柵取付装置16が縦フレーム9ではなくて斜めフレーム25の起立部に固定されている。そして、縦フレーム9に固定された柵取付装置16と斜めフレーム25に固定された柵取付装置16とによって1つの網部材11が支持されている。このように、柵取付装置16は任意の機枠に固定することができる。
【0078】
(柵取付装置及び安全柵の第4の実施形態)
図12及び図13は本発明に係る柵取付装置及び安全柵のさらに他の実施形態を示している。本実施形態では、第1面板28の適所、例えば図12の第1面板28の辺端中央部に小孔38を設け、その小孔38に連結用線部材としてのワイヤ39を連結している。ワイヤ39の先端には引掛け用部材としての湾曲フック41が設けられている。
【0079】
この構成により、第1面板28を本体部17から取り外したとき、その第1面板28を網部材11の線材12又は13に吊り下げることができ、これにより、第1面板28の紛失を防止できる。引掛け用部材は図示の形状の湾曲フック41に限られず、必要に応じて任意の形状又は機構とすることができる。
【0080】
通常、第1面板28をプレス処理によって製造する際には、所定位置に位置決め用の孔を開けることが行われる。ワイヤ39を連結させるための上記の小孔38は、そのような位置決め用の孔を活用できる。
【0081】
(柵取付装置及び安全柵の第5の実施形態)
図14は本発明に係る柵取付装置及び安全柵のさらに他の実施形態を示している。本実施形態では、第1面板28に補強用の線状ボス35を絞り加工によって形成する際に、それと同時に、抜止め用ボス43a,43bを同じ絞り加工によって形成している。抜止め用ボス43a,43bは、いずれも、第1面板28の辺に近い部分であって当該辺の略中央部分に形成されている。さらに、規制部材31の長い短辺31cの角部に切欠部44が設けられている。
【0082】
本実施形態によれば、規制部材31を起立位置(第2の位置)に移動させた後、さらに規制部材31を下方へ押し込んだとき、あるいはハンマによって叩き込んだとき、規制部材31の角部の切欠部44が抜止め用ボス43aに嵌まり込み、その結果、規制部材31が上方は抜け出ることをボス43aによって防止できる。また、対向辺に設けた他の抜止め用ボス43bに規制部材31の短い短辺31dの幅の狭い一定幅部分34が嵌り込み、その結果、規制部材31が下方へ抜け出ることがボス43bによって防止される。こうして、規制部材31が第1面板28から抜け出ることを防止することにより、網部材11を長期間にわたって安定して保持し続けることが可能となる。
【0083】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
【0084】
例えば、上記の実施形態では鉱山で使用される鉱石搬送用のベルトコンベヤ搬送装置に本発明に係る柵取付装置及び安全柵を付設したが、本発明の柵取付装置及び安全柵は、鉱石搬送用のベルトコンベヤ搬送装置に限られず、その他の任意のベルトコンベヤ搬送装置にも適用できる。また、本発明は、ベルトコンベヤ以外の任意の対象物に対して付設することができる。例えば、建設現場や工事現場において支柱間に柵を設けることもできる。
【0085】
上記の実施形態では柵として網部材11を用いたが、柵は網部材以外の任意の部材、例えば板状の部材、板状のフェンス等とすることができる。この場合、取付用穴は板状部材の適所に、例えば長穴等として形成される。
【0086】
上記の実施形態では、図4において、規制部材31に長穴32を設けることにより、規制部材31を軸部材33に対して回転移動可能且つ直線移動可能に設定した。しかしながら、規制部材31は軸部材33に対して回転移動だけを行う構成とすることもできる。この場合には、回転移動した規制部材31によって第1面板28が押し付けられたり、第1面板28の移動が規制されたりする。なお、この場合には、回転移動した規制部材31の反転移動を阻止するためのストッパ機構、例えばラチェット機構が付設されることが望ましい。
【符号の説明】
【0087】
1.駆動ローラ、 2.従動ローラ、 3.ベルトコンベヤ、 3a.キャリヤ側(上走側)、 3b.リターン側(下走側)、 4.機枠、 5.水平ローラ、 6.カバー、 7.基台フレーム、 8.コンベヤフレーム(機枠)、 9.縦フレーム(支柱)、 9a.基板部、 9b.起立部、 10.傾斜ローラ、 11.網部材(柵)、 11a.網部材(柵)、 12.枠線材、 13.細い線材、 14.取付用穴、 15.水平ローラ、 16.柵取付装置、 17.本体部、 18.取付部、 19a,19b.第2面板(第2挟み部材)、 20.支柱(機枠)、 21.突出部、 21a,21b.アングル材、 22.リベット止め、 23.溝、 24.長ナット、 25.斜めフレーム(機枠)、 26.ボルト、 28.第1面板(第1挟み部材)、30.開口、 31a,31b.長辺、 31c.長い短辺、 31d.短い短辺、 31.規制部材、 32.案内用長穴、 33.軸部材用ボルト、 34.一定幅部分、 35.線状ボス、 36.開口、 38.小孔、 39.ワイヤ、 41.湾曲フック、 42.止めナット、 43a,43b.抜止め用ボス、 44.切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)取付用穴を備えた柵を機枠に取付けるための柵取付装置であって、
(B)前記機枠に取付けられる本体部と、当該本体部に着脱される第1挟み部材と、当該第1挟み部材の動きを規制する規制部材とを有しており、
(C)前記本体部は、
(a)固定手段によって前記機枠に固定される取付部と、
(b)当該取付部と一体であり前記柵と平面的に接触できる接触面を備えた第2挟み部材と、
(c)当該第2挟み部材の接触面から突出した突出部と、を有しており、
(D)前記突出部は前記柵の取付用穴を通ることができ、
(E)前記規制部材は、
(a)互いに対向している長辺と互いに対向している短辺とを有した長い形状を有し、
(b)前記突出部に回転可能、しかし脱落不能に連結され、
(c)前記長辺が前記第2挟み部材の前方へ突出する第1の位置と、前記長辺が第2挟み部材に対向する第2の位置との間で回転可能であり、
(F)前記第1挟み部材は、
(a)前記柵と平面的に接触できる接触面を有し、
(b)前記規制部材の短辺及び前記突出部を通すことができる開口を有し、
(c)前記突出部に沿って前記本体部の第2挟み部材に近付き又は遠ざかる方向へ移動でき、
(G)前記規制部材は、前記第2の位置にあるときに前記第1挟み部材が前記第2挟み部材から離れる方向へ移動することを規制する
ことを特徴とする柵取付装置。
【請求項2】
前記第2挟み部材は前記規制部材の短辺部分を挿入可能な開口を有しており、
前記規制部材は前記第1の位置において前記突出部に対して直線移動可能であり、当該直線移動により、前記規制部材の短辺部分が前記第2挟み部材の開口に挿入される
ことを特徴とする請求項1記載の柵取付装置。
【請求項3】
前記規制部材は、前記第2の位置において前記突出部に対して直線移動可能であり、
前記規制部材が前記第2の位置において直線移動することにより、前記規制部材の長辺が前記突出部を中心とした両側部分で前記第1挟み部材に対向する
ことを特徴とする請求項2記載の柵取付装置。
【請求項4】
前記規制部材は、前記第2の位置において直線移動したときに前記第1挟み部材を前記第2挟み部材へ向けて押し付けることを特徴とする請求項3記載の柵取付装置。
【請求項5】
前記規制部材の一方の短辺は他方の短辺よりも短くなっており、前記規制部材の長辺は短い短辺と長い短辺との間で傾斜していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の柵取付装置。
【請求項6】
前記柵は、環状の線材によって囲まれた領域内に複数の直線状の線材を直交2方向へ互いに間隔を空けて配置して成る網部材であり、
前記取付用穴は、前記環状の線材と前記直線状の線材とによって囲まれる開口領域、又は前記複数の直線状の線材のうちの隣接するもの同士によって囲まれる開口領域である、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の柵取付装置。
【請求項7】
前記第1挟み部材及び前記第2挟み部材の少なくとも一方は、前記柵に設けられた取付用穴の全領域を覆うことができる形状であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の柵取付装置。
【請求項8】
前記第1挟み部材にはプレス加工によって形成されたボスが形成されており、当該ボスの凹部が外部へ開口する側の前記第1挟み部材の面が前記柵に接触することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の柵取付装置。
【請求項9】
前記取付部と前記第2挟み部材は1つの板材を折曲げ加工することによって一体に形成されており、
前記取付部は前記折曲げ加工によって形成された湾曲端を有しており、
当該湾曲端には前記機枠を挿入できる溝が形成されており、
前記固定手段はボルトとナットとによって構成されており、
当該ナットは前記取付部の湾曲端の内部に固定されており、
前記ボルトは前記ナットにネジ込まれた状態で前記溝に臨出可能である
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1つに記載の柵取付装置。
【請求項10】
機枠に装着される安全柵であって、
取付用穴を備えた柵と、当該柵を前記機枠に取り付けるための柵取付装置とを有する安全柵において、
前記柵取付装置は請求項1から請求項9のいずれか1つに記載の柵取付装置であることを特徴とする安全柵。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−25498(P2012−25498A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163339(P2010−163339)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【出願人】(396008934)松本工業株式会社 (7)
【出願人】(000227250)日鉄鉱業株式会社 (82)