説明

柿の加工方法

【課題】 柿を熟柿化した製品を安全、簡単、短時間、安価、美味に作る方法を開発する事が課題である。
【解決手段】 堅い柿を炭酸カリウムで洗浄する。この柿を弱酸性次亜塩素酸水で殺菌する。この柿をポリエチレン袋に入れ冷蔵庫で保存する。柿を冷凍する前に弱酸性次亜塩素酸水で殺菌し冷凍する。解凍して軟質化し渋味を無くす。その後熟成期間を設けて旨み、風味を濃厚に出す効果と残った渋味を全て無くして熟柿化を成す。熟成期間内に大腸菌群の培養試験をして陽性の場合は弱酸性次亜塩素酸に因って殺菌をして無菌にした後に残留次亜塩素酸の塩素を洗い流してから皮、蔕、種を除いてピューレにする。熟柿化ピューレにアルカリイオン水を添加し再度の冷凍をして軟質の熟柿氷菓子、柿菓子の加工材料と成す。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【産業上の利用分野】
【0001】
本発明は、堅い柿を清潔で細菌を殺菌し熟柿化果肉とする最適な方法と冷凍、解凍の作用に因って熟柿氷菓子、柿菓子の加工材料を加工する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
渋柿を食品としての従来からの加工方法としては、干し柿、アルコールでさわした生食柿、皮を剥いてから凍結した冷凍柿など多様な脱渋方法の柿の加工方法が有る。これらにはそれぞれの姿と味に特徴がある。
【0003】
熟柿の色、甘み、風味、口触りの特徴を表現した柿の完全な熟柿化の方法と熟柿化してからの製品の加工品は見あたらない。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生柿を用いて残存細菌数が食品として許容範囲以下、検体1グラム中、一般細菌数10万個以下、大腸菌群陰性の熟柿化を成し、この状態を維持して提供する熟柿化果肉の新しい加工方法に関する。
【0005】
柿は未熟期は渋くして実を守り、成熟期は柿が子孫を残す手段として熟柿にして実を動物に食べてもらい種を運ばせる手段として実は柔らかく、甘く、美味にする、香り良く、色鮮やかにするのである。因って熟柿は最高の旨さと風味を有する。熟柿に成ってからの収穫は、柔らか過ぎて収穫の際に破損し果肉に細菌が付着して腐敗が生じて一般に提供出来る品質を保持出来ない。この熟柿の特徴を収穫時に品質保持が出来る堅い柿を使って実現して提供するのが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、柿の成長期から成熟期に至る長期間の堅い柿を炭酸カリウム溶液に浸漬し強アルカリ性に因って付着物を遊離させて汚れを洗浄する。
【0007】
続いて弱酸性で柿の果肉に影響なく。金属の腐食性が無く、人畜無害で有り柿の加工に有効である弱酸性次亜塩素酸水に浸漬又は噴霧して殺菌する。
【0008】
この柿をポリエチレン袋に入れて冷蔵保存をする。この保存方法で計画した通年の加工時期に依り近い時期迄で保存期間を延長する。因って消費する日に製造日を近づけた加工工程での冷凍、製品の消費までの冷凍保存の期間を短縮して冷凍経費の削減を成す。
【0009】
加熱殺菌が無い非加熱食品と成す為、細菌が残存し易い。最初の弱酸性次亜塩素酸水で殺菌し冷蔵保存期間を経て生き残り増殖した細菌を再度の弱酸性次亜塩素酸水で殺菌するのを目的に弱酸性次亜塩素酸水を浸漬又は噴霧する。
【0010】
柿を凍結に因って果肉の細胞水を膨張させて低温で硬化した細胞壁を破壊し、解凍に因って細胞水を細胞から流出させて軟質化と渋の不溶化をする。
【0011】
柿は解凍の後に2〜3日の熟成期間を設け完全な熟柿化をして、熟柿としての特徴の旨み、風味を濃厚にする。解凍に因る渋の不溶化の際少しの渋味が残る可能性が有る。この残った渋味を全く無くす作用をする。
【0012】
この熟成期間内にデスオキシコレイト培地にて摂氏37度20時間での大腸菌群培養検査を行い大腸菌群陰性を確認する。陽性反応の場合は弱酸性次亜塩素酸水での浸漬又は散布し滅菌する。
【0013】
解凍の作用と熟成期間で軟質化した柿から皮、蔕、種の排除を次の工程のピューレ作業と同時に行うのが作業効率の点で最良である。ピューレにアルカリイオン水を添加し品質保持を兼ねた再度の冷凍によって熟柿氷菓子、柿菓子の加工材料が出来る。この冷凍熟柿ピューレはアルカリイオン水の作用で軟質に凍結して包丁、ホークによってカットが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について市田柿を使って説明する。6月初めに結実した柿は7月に生理落下時期に入る。この時期から9月にかけて摘果が行われる。この摘果した実はすでに糖度が高く本発明の手法での加工が可能である。通常の収穫時期は10月中旬から11月下旬であり堅い柿を収穫する。
【0015】
収穫した柿は充分の洗浄が必要で有る。蔕の部分にカイガラムシに因る汚れと埃と農薬の付着が特に多い、そこで収穫した柿を食品添加物の炭酸カリウム又は炭酸カリウムが成分の柿の木の灰からも出来る灰汁を用いPH8以上のアルカリ性の溶液に浸漬して付着物を遊離、溶解して洗浄をする。
【0016】
続いて弱酸性次亜塩素酸水で殺菌する。この殺菌工程は生柿食品を製造する為に必要な手段である。人体に悪影響を及ぼす細菌と製品の劣化を生じる細菌の排除は欠かせない。この殺菌は特許第3438880号「殺菌消臭水の製造装置」に因る装置で製造した弱酸性次亜塩素酸水の次亜塩素酸が50ppmを目処とする溶液を用いて浸漬又は噴霧するのが最適で有る。この弱酸性次亜塩素酸水は大腸菌、サルモレラ菌、O157、黄色ブドウ状球菌他ほとんどの細菌を5分間でほぼ100%殺菌する効能が有り塩素の発生が無く人畜無害である。弱酸性で柿の果肉に影響なく、金属の腐食性が無く、柿の加工に最適である。
【0017】
この柿をポリエチレン袋に入れて冷蔵保存をする。計画した通年の加工計画に依り近い時期迄で保存期間を延長できる。保存期間の終了の目処は4月頃とし、本保存期間の許容最終期間は本製品の品質に影響を及ぼさない範囲で終了する。
【0018】
冷蔵保存と冷凍工程の間に最初の殺菌工程で残存し増殖した細菌を殺菌する。殺菌の手段として弱酸性次亜塩素酸水50ppmを目安に浸漬又は噴霧する。
【0019】
柿を冷凍する。生の柿を冷凍した場合、組織中の水分が氷結する。氷結晶は大きく成長し、強固に氷結する。その結果、細胞膜が破壊する。冷凍した柿を解凍する。この解凍によって大量の水が細胞外へ流れ出して渋は不溶性に成り渋味が無くなる。
【0020】
柿は解凍の後に2〜3日の熟成期間を設け完全な熟柿化をする。この期間の終了の決定は収穫時点の未熟な柿、完熟な柿の差異で熟成の進行速度が異なり熟した実は2日で終了する。未熟の実は長く3日で終了する。
【0021】
この熟成期間内にデスオキシコレイト培地にて37℃20時間で大腸菌群培養検査を行い大腸菌群陰性を確認する。陽性の場合、弱酸性次亜塩素酸の濃度は50ppmの溶液を目安に浸漬又は噴霧して殺菌する。柿は果肉が強酸性に成るとタンニンの渋味が強くなる。強アルカリ性はタンニンとの作用で黒くなる特徴が有る。熟成期間に成ると果肉が軟化し皮が破れ消毒液が果肉に浸透する可能性が有る。次亜塩素酸の中には強酸の種類、強アルカリの種類まで多様で有る。特許第3438880号「殺菌消臭水の製造装置」に因る装置で製造した次亜塩素酸水が弱酸性で柿の果肉に影響なく、金属の腐食性が無く、人畜無害で有り、残留塩素は発生しない。この時点での柿の加工に最適である。殺菌終了後水で残留次亜塩素酸の塩素を洗い流す。この洗浄は下記の法令に従って行う。
【0022】
食品衛生法施行規則及び食品添加物等の規格基準によれば、次亜塩素酸水の使用基準にいう「次亜塩素酸水は、最終食品の完成前に除去しなければならい。」とは、有効塩素が最終食品に残留しなよう十分に水で洗浄すること。厚生労働省行政情報平成14年6月10日付けで指示されている。
【0023】
果肉は軟質化し自然の熟柿と同様に変性して「とろとろ」とした状態に成る。この時点まで外皮が果肉の保護をして空気との接触を防ぎ柿色の悪化を防ぐ、この時点で蔕、種、皮などを取り除きピューレとする。
【0024】
熟柿ピューレにアルカリイオン水PH10以上で1重量%を目処に添加してから品質保持を兼ねた再度の冷凍を行い熟柿氷菓子と柿菓子の加工材料と成す。この熟柿氷菓子はアルカリイオン水の作用で例えば、−24℃前後の温度帯で凍結していても強固に氷結する事が無く包丁やホークを使って簡単にカットが出来る。
【発明の効果】
【0025】
以上に説明したように、本発明に係わる柿の加工方法によれば、簡単な作業、短時間で衛生的で良好に熟柿化して熟柿氷菓子、柿菓子の加工材料が出来る。弱酸性の次亜塩素酸水の複数回の浸漬又は散布の殺菌効果に因って熟柿の味わいを変質無く、食品としての安全を確保した。冷凍、解凍の作用で熟柿の美味の味わいを出した。アルカリイオン水を添加しての冷凍に因って簡単に食す事の出来る軟質の熟柿氷菓子、柿菓子の加工材料として提供出来る様に成った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
堅い柿を炭酸カリウム溶液で洗浄する。続いて弱酸性次亜塩素酸水で殺菌する。この柿をポリエチレン袋で冷蔵保存する。柿を冷凍工程の前に再度の殺菌を弱酸性次亜塩素酸水で行う。冷凍と解凍の作用で軟質化した柿の熟成期間を設け熟柿化する。熟成期間内に大腸菌群培養試験を行い陽性の場合、殺菌を弱酸性次亜塩素酸水で行い大腸菌群陰性にする。残留次亜塩素酸の塩素を洗い流した後に皮、蔕、種を除きピューレにする。この熟柿化ピューレにアルカリイオン水を添加し再度冷凍して熟柿氷菓子又は柿菓子の加工材料を製造することを特徴とする。柿の加工方法。

【公開番号】特開2009−183268(P2009−183268A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−55525(P2008−55525)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(594034304)
【出願人】(500147986)
【出願人】(508068489)
【出願人】(508068490)
【Fターム(参考)】