説明

栄養バランスに優れた食品及び飲料品

【課題】食事の一部又は全部を代替する物として好適に使用できる栄養バランスに優れた食料製品又は飲料製品を提供する。
【解決手段】オーストラリア・ニュージーランド・ジョイント・フード・スタンダード・コードによって公式に明示されたカロリー、タンパク質、脂肪、炭水化物、糖及び繊維の1日推奨摂取量と同じ相対的割合でなる食料または飲料製品であって、カロリー、タンパク質、脂肪、飽和脂肪、炭水化物、糖、繊維、並びに一以上のビタミン及びミネラルの相対比が、消費量に関わらず栄養的にバランスがとれている製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は栄養バランスに優れた人用の食品及び飲料品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食品技術者や栄養学者によって、様々な目的に用いる多種多様な食料製品と飲料製品が開発され、創出されている。例えば、ムースリーバー(muesli bar)は軽食又は食事代替物として広く消費されている。しかしながら、通常これらは脂肪含量が低く、炭水化物、特に糖の含量が非常に高い。一方、筋肉量の増加を目的とした棒状食品は炭水化物含量が非常に低く、タンパク質含量が高い。
【0003】
低脂肪、高タンパク、低炭水化物、高繊維、又は低カロリー等の特定の栄養組成を考慮して開発された従来の製品は、通常はその特定の組成のみに重点を置いたものであり、他の主要栄養素の性質はほとんど又は全く考慮していない。
【0004】
過去、食料製品又は飲料製品の特定の組成以外の栄養についてもバランスを改善しようとする試みがなされた。このようなバランスの改善は、典型的にはある種の人工添加物を添加することにより達成されたが、この場合、実在の天然成分をより多く用いて設計し、開発する場合に得られる栄養面での相乗的な利益が得られない。
【0005】
高濃度、濃密で、口当たりが良く、都合良く構成されており、且つ栄養バランスに優れる食料製品や飲料製品が要求されており、スポーツ等に従事する人、学童、時間的な制約で十分に食事休憩を取れない人は、このような製品を食事の一部又は全部を代替する物として利用できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記需要に鑑み、少なくとも社会に有用な選択肢を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、食事の一部又は全部を代替する物として好適に使用できる栄養バランスの良い食料製品又は飲料製品であって、カロリー、タンパク質、脂肪、飽和脂肪、炭水化物、糖、繊維、並びに一以上のビタミン及びミネラルの相対比が、消費量に関わらず栄養的にバランスがとれている製品が提供される。
【0008】
本発明においては、「栄養的にバランスがとれている」という語句は、適切な政府機関又は準非政府機関が推奨するカロリー、タンパク質、脂肪、飽和脂肪、炭水化物、糖、繊維、並びに一以上のビタミン及びミネラルの相対比について言及するものである。例えば、好ましくは、本発明の製品は、カロリー、タンパク質、脂肪、飽和脂肪、炭水化物、糖、繊維、並びに一以上のビタミン及びミネラルを、オーストラリア・ニュージーランド・ジョイント・フード・スタンダード・コード(the Australia-New Zealand Joint Food Standards Code)で規定されている1日推奨摂取量に対して同一の相対比で、含有する。
【0009】
このような製品は単純で便利なエルゴジェニックエイド(ergogenic aid)として好適に使用でき、使用する人は特に限定されず、大人も子供も、スポーツやその他の運動をする人や、時間的な制約のある人、時に食事休憩を取ることが不都合な人が使用できる。より広範には、本発明の製品は通常の空腹や疲労を解決するためにも有用であり、この点で食事代替品として適している。
【0010】
「含む」は、各司法の下で限定的に又は包含的に解される。本明細書では、特に断らない限り「含む」は包含的意味を有し、即ち、本発明で直接言及した成分のみならず他の規定されていない成分又は要素をも包含し得ると解すべきである。方法やプロセスにおいて、一以上の工程に関して「含まれる」や「含んでいる」という語を用いる場合もこの解釈を適用する。
【0011】
本発明はまた、本発明の食料製品を製造する方法であって、100℃未満の温度で全成分を混合し、そのため長時間にわたって過剰に加熱することによりその成分の元来有する有益な特性の劣化を防止できる製造方法を提供する。
【0012】
本発明の製品は、焼いた棒状食品、成形棒状食品、クッキー、又はビスケット、或いはシェイク状又はスムージー状の飲料品からなるものであってよい。焼いたか成形した棒状食品、又はセーキ又はスムージー(smoothie)が好ましい形である。
【0013】
本発明の製品は、1食分で、カロリー、タンパク質、脂肪、炭水化物の1日当たり推奨摂取量の33.3%を含有するのが最適である。
【0014】
繊維は糖の放出を促進し、様々な成分の結合に作用し、消化を遅らせるため、本発明の製品に繊維を用いるのが有効である。これにより満腹感がより長く持続し、過食を防ぐことができる。また、繊維含量が高い場合、製品の血糖値が低下する。
【0015】
単糖に対する複合糖質の比率は、好ましくは1以上、より好ましくは3以上である。この場合、低血糖の製品が得られ、血中グルコース濃度が急上昇するのを防ぎ、冠状動脈性心臓病、肥満、2型糖尿病等の疾患のリスクを低減することができる。
【0016】
本発明の製品は、好ましくは蜂蜜系甘味料を含有し、より好ましくはネズモドキ(manuka bush、Leptospermum scoparium)の蜜由来の蜂蜜を含有する。
【0017】
運動前、運動中、運動後の炭水化物の摂取は、運動能力を高め回復を早めることがよく知られている。蜂蜜は容易に入手可能な天然の炭水化物源であり、大さじ一杯あたり約17グラムの炭水化物を含む。蜂蜜はフルクトースとグルコースをほぼ同量含む特殊な炭水化物組成を有し、反跳性低血糖症の発生を低減し、運動中に炭水化物を持続的に供給することができるため、望ましい。
【0018】
蜂蜜は様々な炭水化物や他の栄養素を含むため、甘味料として作用し、更に他の機能も示す。蜂蜜の主要な機能特性の一部には、炭水化物(主成分である単糖と微量成分であるオリゴ糖)が関与している。蜂蜜の水分を保持する機能、保存期間を延長する機能、マイクロ波反応性、色と風味の発現を促進する機能は、全てその炭水化物組成に関与している。
【0019】
蜂蜜はそれ自体甘味料としての機能・性能を有するが、加えて有効な甘味増進剤としても機能する。即ち蜂蜜は他成分の甘味を増進・拡大し、製品の甘味レベルは蜂蜜を単独で用いた際に得られるそれを超える。甘味レベルの低い製品に蜂蜜を加えた場合に、この効果は特に顕著である。
【0020】
更なる天然糖源、或いは代替の天然糖源として、アンズ、リンゴ、ベリー、トロピカルフルーツ等の果物由来のものが使用できる。このような天然糖源は食料製品に所望の風味を付ける際にも有用である。更なる香料、或いは代替の香料としては、様々な風味料に加え、チョコレートも使用できる。
【0021】
使用する脂肪源はいずれも、飽和脂肪に対してある程度の量のポリ不飽和脂肪酸やモノ不飽和脂肪酸を含むのが望ましい。オメガ脂肪酸を含む油を使用するのがより好ましい。
【0022】
本発明の食料製品は様々な主要ビタミンやミネラル(ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、E、ナイアシンと葉酸、さらにカルシウム、ヨウ素、鉄、マグネシウム、リン、亜鉛等)を、栄養バランスのとれた炭水化物、脂肪、タンパク質、繊維の濃度に対応する濃度で、任意に含有する。例えば食料製品がこれら成分を1日推奨摂取量の33.3%含有する場合は、主要ビタミンとミネラルの濃度も1日推奨最小摂取量の少なくとも33.3%であるべきである。
【0023】
本発明の製品は実在の食品と同様の味、質感、外観を有するべきである。
【0024】
修飾ポリデキストロース「Litesse(登録商標)」等のポリデキストロースを使用することにより、食感とテクスチャ品質が望ましく改善され、炭水化物と脂肪の含量が過剰となる傾向がある従来の糖や脂肪のキャリアを必要とすることはない。
【0025】
更に、ポリデキストロースに替えてアカシアゴムを使用するのがより好ましい。アカシアゴムは、水分シンクとして作用する、製品の粘つきを防ぐなど、多数の更なる利点を有する。また、アカシアゴムはバイオフィドジェニック(biofidogenic)繊維源としても作用し、即ち所望の胃腸細菌の成長を促進させる。
【0026】
本発明の製品は主として天然成分からなり、遺伝子組み換え原料を含まず、且つ人工着色料、人工香料、又は人工防腐剤を含有しないのが望ましいが、これに限定されない。本発明の製品は有機栽培で生産され承認された成分を任意に含有してよい。
【0027】
更に、本発明の一実施態様による製品は、小麦グルテン、乳製品ラクトース、卵、ナッツ、ゴマ、イースト等の公知のアレルゲンを実質的に含まないと考えられる。
【0028】
本発明の製品は全体として実質的に均一であると考えられ、これが本発明の重要な特性の一つである。製品のいずれの部分、一片、一口もそれぞれ栄養バランスに実質的に優れていると考えられ、実質的に同じ相対比で脂肪、タンパク質、炭水化物、食物繊維を含有する。
【0029】
本発明の食料製品の主要な利点は、その1食分を消費しても一部のみを消費しても、消費者は常に栄養バランスに優れた食事を取ることができる点である。
【0030】
エネルギー、炭水化物、タンパク質、脂肪、食物繊維、必須ビタミン、ミネラルの1日あたり推奨摂取量は、各公的機関によって若干異なる。しかしながら、各個人間のカロリー消費量の相違はより大きく、カロリー消費量は年齢、性別、代謝速度、通常の仕事量によって異なる。更に、個人のカロリー要求量はその日の活動量によって異なる。
【0031】
本発明の食料製品は「1食分」で1日推奨摂取量の特定割合を占めるよう設計してよいが、消費者は1食分のうちどの程度摂取しても、バランスのとれた食事をとることができる。例えば子供や高齢者が1食分の半分のみを摂取しても、1食分かそれ以上を摂取した若者や女性と同様に、栄養バランスの良い食事をとることとなる。食べる量に関わらず、消費者は常にバランスのとれた栄養を摂取することができる。
【0032】
本発明の食料製品は、好ましくは1食分でエネルギー、炭水化物、タンパク質、脂肪、食物繊維、主要ビタミン、ミネラルの1日あたり推奨摂取量の33.3%を含有する。しかしながら、本発明の範囲において、1食分は推奨摂取量の10%〜33.3%を含んでよいと考えられる。
【0033】
本発明の食料製品は適当な食事休憩を取ることができない消費者を想定したものであるため、製品は消費者が容易且つ簡便に持ち運びできる大きさと重量を有するべきである。そのため、製品中の栄養素の1日推奨食事所要量に対する割合に応じて、1食分の重量は好ましくは50〜250gであり、やはり製品中の栄養素の1日推奨食事所要量に対する割合に応じて、容積は好ましくは25〜250cm3である。
【0034】
本発明の製品は、好ましくは1食分毎に包装される。製品1食分を2つの半食分の包装物に分けてもよい。この場合、本発明の一実施態様においては、半食分の包装物の一方は風味があり、他方は甘味があるものでよく、2つの包装物の成分の1日推奨食事所要量に対する比率は同一であってよい。或いは、2つの包装物の成分の1日推奨食事所要量に対する比率は異なっていてもよく、この場合は2つ合わせて用いることで1日推奨食事所要量のうち特定の割合を摂取することができる。
【0035】
本発明の食料製品は周囲条件下での品質保持期間が3ヶ月以上という利点を有する。
【0036】
本発明の第2の態様においては、第1の態様による食料製品の製造方法を提供する。本製造方法は、
(a)種々の成分をそれぞれ量り取り、所望の製品に応じて成分を準備する;
(b)乾燥バルク成分の温度を室温又は室温より僅かに高い温度に調節する;
(c)シロップ混合物調製用乾燥成分を予備混合し、均一化する;
(d)シロップを混合し100℃未満の温度に加熱する;
(e)加熱したシロップを乾燥バルク成分と混ぜて、所定の濃度を有する実質的に均一な混合物を得るために混合する;
(f)均一な混合物を所定の大きさを有し実質的に同量の断片に分け;
(h)空気中の水分の吸収を防ぐために、直ちに各断片を包むこと
を含む。
【0037】
工程(d)において、シロップを95℃以下の温度に加熱するのが好ましい。
【0038】
工程(e)において、シロップを80℃〜95℃に加熱するのが望ましい。
【0039】
工程(f)において、上記均一な混合物は、上記混合物を厚さ均一のシート状に成形し得られたシートを断片に切り分けてもよく、或いは押し出し法又は成形法により断片を形成してもよい。
【0040】
本発明の第3の態様においては、第1の態様による飲料製品の製造方法を提供する。本製造方法は、上記第2の形態の工程(a)〜(e)に加え、続いて(i)上記均一な混合物を所定量の水と混合し、実質的に滑らかで均一な流動体を形成し、(ii)所定の容積の流動体を包装容器内に分注することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の好ましい一実施形態による成形棒状食品の製造に用いたシロップの温度特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、実施形態を参照して本発明を更に説明するが、本発明はそれらにより限定されない。
【0043】
以下、本発明の好ましい一実施態様を添付の図1を参照して説明する。
【0044】
本実施形態の噛める棒状食品のマクロ主要栄養価を下記表に詳細に示す。該噛める棒状食品のネット重量は165gである。
【0045】
【表1】

【0046】
この噛める棒状食品は様々な成分から製造され、基本的に三種の成分、即ちシロップ混合物製造用液体成分、シロップ混合物用乾燥成分、バルクムースリー成分を含む。
【0047】
シロップ混合物用液体成分としては、米ヌカ油、ヤシ油、マヌカ蜂蜜、グリセリン等が挙げられる。シロップ混合物用乾燥成分としては、トウモロコシ粉、アカシアゴム、低デキストロース当量のマルトデキストリン等が挙げられる。また、バルクムースリー成分としては、レーズン、乾燥アンズ、米粉、ロールドオート、小麦フレーク、大豆ナゲット等が挙げられる。
【0048】
棒状食品の栄養特性の観点では、バルク炭水化物成分としては、実質的に果物(アンズ、レーズン等)や蜂蜜(好ましくはマヌカ蜂蜜)に由来する天然糖に加え、マルチデキストリン、小麦フレーク、トウモロコシ粉、ロールドオート、米粉等が挙げられる。タンパク源としては主として大豆タンパクを用いるが、ロールドオートやアンズも重要なタンパク源である。脂肪源としては主に米ヌカ油、ヤシ油、パーム核油等の植物油を用い、これらは風味付けの機能も有する。他の一般的な脂肪源としては小麦フレークが挙げられる。
【0049】
所望の濃度の食物繊維を得るためにはロールドオートを用い、またアカシアゴムや乾燥アンズも使用する。
【0050】
グリセリンの形態の保湿剤を大豆レシチン等の乳化剤と共に添加してもよい。グリセリンは食品を甘くする効果も有する。
【0051】
主要ビタミンとミネラル(ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、E、ナイアシンと葉酸、さらにカルシウム、ヨウ素、鉄、マグネシウム、リン、亜鉛等)をその1日推奨摂取量の33.3%まで添加してもよく、他の成分と混合して基質中で分散ユニットを形成してもよい。これらは不可欠である。
【0052】
トウモロコシ粉は炭水化物成分の複合糖質濃度を向上させる。炭水化物成分は繊維やその他の栄養素を含まず、最終製品の噛み応えを低下させる。
【0053】
ロールドオートが棒状食品のベースとして使用されるので、砂糖を含まないシリアルを調製できる。バンプドオート(bumped oats)を替わりに用いてもよいが、硬い質感を有するため通常は望ましくない。
【0054】
シロップ成分としてマルトデキストリンを用いることでグルコースの使用を避けることができる。デキストロース当量がゼロのマルトデキストリンを用いると、単糖含量が最小となる。
【0055】
米ヌカ油は脂肪酸組成と健康化特性に優れており、更に元来ビタミンEや抗酸化物質の含量が非常に高く、そのため人工添加物、防腐剤、抗酸化物質を必要としない。
【0056】
大豆ナゲットはタンパク粉が有することが多い嫌な味を持たず、棒状タンパク食品のタンパク源として広く使用されている。多くの棒状食品において、大豆ナゲットの濃度は80%を占める。大豆ナゲットの濃度が60%を超えると棒状食品の生地が開き、クランチ(crunch)が生じる。更に、大豆ナゲット中の大豆タンパクは「高品質」と言われる。ここで「高品質」とは、全ての必須アミノ酸を適切な濃度で含有することを意味する。
【0057】
小麦フレークは低脂肪且つ高複合糖質含量であり、棒状食品中のクランチと複合糖質を増加させる。
【0058】
グリセリンを用いることで、砂糖を加えることなく棒状食品の甘味を増加させることができる。また、グリセリンは棒状食品の乾燥を防ぐ保湿剤としても重要である。
【0059】
本発明の製造プロセスにおいては、まず米粉及と燥アンズを前秤量する。次に、必要に応じて米粉を乾燥アンズに振りかけながら、乾燥アンズを切断する。切断工程の間中ずっと米粉を加え続けるべきであり、また切断終了までに全ての米粉を添加する必要がある。水は加えない。このとき、米粉を加えたことにより、乾燥アンズの断片は互いに又は切断刃に付着することがない。通常は滑剤として水を用いて乾燥アンズを切断するが、本実施形態では米粉を用いることによって処方中の水を減らし炭水化物を増加させる。この工程によってより自由な流体混合物が得られる。
【0060】
続いて、脂肪(ヤシ油)とシロップ用液体成分を秤量し、別々に室温又はその前後に保つ。シロップ用乾燥成分も同様に前秤量し、使用時まで気密容器内に載置する。
【0061】
小麦フレークや大豆ナゲット等の成分を別々のバッグに前秤量して気密容器内に密封し、また残るバルクムースリー成分を単一の容器に前秤量して密封する。続いて、密封した容器の温度を室温に調節する。
【0062】
前秤量したシロップ乾燥成分、即ち塩、アカシアゴム、トウモロコシ粉、マルトデキストリンをブレンダー内に置き、均一になるまで混合する。液状シロップを加えて混合することで、トウモロコシ粉の塊が生じるのを抑える。また、混合することにより粉体中にアカシアゴムを均一に分布させることができる。これは機能的理由と栄養的理由から重要である。
【0063】
通常の棒状固定シリアル用シロップの製造方法においては、固体脂肪(脂肪の種類が少ない場合を除く)と短鎖単糖(グルコースシロップ、高フルクトースコーンシロップ、砂糖等の形態)を水(及び乳化剤)と混合し、所定の温度(通常110〜116℃)で煮沸する。その結果、最終生成品のシロップは確実に一定の固体/水分含量を有する。
【0064】
しかしながら、高温での煮沸を行う場合、水を除去し温度を上昇させるために時間がかかりシロップ煮沸時間が非常に長く、且つ最終品のシロップは非常に粘性が高く、そのためバルクムースリー成分と混合するのが非常に困難である。
【0065】
具体的には、図面を参照すると、米ヌカ油、レシチン、ヤシ油を加熱容器に載置してシロップ製造を開始する。この添加の時点を符号1で図中に示す。
【0066】
図中に符号2で示すように容器内の温度が約50℃に達した時点で、マヌカ蜂蜜、グリセリン、他のシロップ用液体成分を加える。容器の内容物が沸騰するとシロップから水が留去されてしまい、また内容物が容器表面に触れたときに特に留去されやすいため、内容物が沸騰しないよう常に充分に混合することが重要である。
【0067】
図中に符号3で示すように、蜂蜜やヤシ油等の液体成分が完全に溶解した時点で、予備混合したシロップ乾燥成分を容器に加え他の成分と完全に混合する。
【0068】
シロップ乾燥成分を加えた後、一定攪拌速度で混合しながら95℃に達するまでシロップを加熱する。水の留去を最小限に抑えるために、シロップの最高温度は100℃未満に保つべきである。ただし、この温度はデンプンのゲル化温度を超える必要がある(デンプンは75℃でゲル化を開始し、充分な水の存在下、約90℃〜95℃で完全にゲル化する)。
【0069】
95℃まで加熱することで、この段階の製品を低温殺菌する効果も得られる。
【0070】
図中に符号4で示すようにシロップが充分に混合され95℃で準備が整った後、その温度が85℃未満に低下しないよう1時間以内に使用すべきである。
【0071】
最終混合物の調製の第一工程において、乾燥バルク成分を十分且つ慎重に、実質均一に混合する。
【0072】
混合物の濃度ができるだけ一定になるように、最終製品の混合時間とシロップ温度を制御する。最終混合工程は特に注意が必要である。混合しすぎた場合、又はシロップを冷却しすぎた場合(従って粘性が高すぎる場合)は、小麦フレークと大豆ナゲットが圧縮され製品の濃度が増加し、そのため、得られる棒状食品は、1日推奨摂取量に対する主要ビタミン、ミネラル、脂肪、タンパク質、炭水化物の比率が損なわれたものとなる。また、品質保持期間を通して棒状食品の質感を保持するために、混合物の濃度は重要である。
【0073】
最終混合を開始する際、まずシロップを加え、バルクムースリー成分を加える前に風味料とビタミンを混合する。バルクムースリー成分を加えた後に風味料とビタミンを添加すると、混合物の温度が低くビタミンと風味料成分のロスを低減できるが、混合工程で充分に均一に分布させることができないと考えられる。また、最初にシロップを加えることで、乾燥バルクムースリー成分の塊がボウルの底に残り混合されないというリスクを回避することができる。
【0074】
混合工程終了直後に混合物をシート状にロール成形し、大豆ナゲットと小麦フレークの圧縮を最小限に抑えて厚さと濃度が均一な平らな層を形成するべきである。ロール工程を円滑に行うために水を使用する必要はない。
【0075】
シート状に成形した後、混合物を冷却トンネルに通して冷却する。冷却工程では、温度と時間を制御して水分ロスを一定に保つ。望ましい冷却トンネル温度は12℃である。冷却トンネルの出口でのシートの温度は18℃〜20℃とすべきである。
【0076】
冷却後、主要ビタミン、ミネラル、脂肪、タンパク質、炭水化物の含量が1日推奨摂取量に対して所定の割合となるように、上記シートを所定の大きさの断片又は棒状食品に切断してよい。
【0077】
品質保持期間悪化の原因となる空気中の水分の吸収を避けるために、切断工程の後、直ちに棒状食品を包装するべきである。箔は高い遮断性を示すため、品質保持期間改善の点で包装材として望ましい。
【0078】
上記説明と参照において公知の均等物を有する整数又は要素について述べたが、それら均等物も記載したものとして本発明に含む。
【0079】
以上、実施可能な態様の一例を用いて本発明を説明したが、添付の請求項の趣旨から逸脱しない範囲で改良及び/又は変更しうると解するべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーストラリア・ニュージーランド・ジョイント・フード・スタンダード・コードによって公式に明示されたカロリー、タンパク質、脂肪、炭水化物、糖及び繊維の1日推奨摂取量と同じ相対的割合でなる食料または飲料製品であって、その製品は、その製品全般にわたって均質化されているため、消費された製品のどの部分も同じ割合の前記タンパク質、前記脂肪、前記炭水化物、前記糖及び前記繊維を含んでいることを特徴とする製品。
【請求項2】
一食分の前記製品は、オーストラリア・ニュージーランド・ジョイント・フード・スタンダード・コードによって公式に明示されたカロリー、タンパク質、脂肪、炭水化物、糖、繊維、並びに1つまたは複数のビタミン及びミネラルの1日推奨摂取量の10%〜33.3%を含有することを特徴とする請求項1に記載の一食分の製品。
【請求項3】
前記単糖に対する複合糖質の比率は、1対3またはそれより大きい値であることを特徴とする請求項2に記載の一食分の製品。
【請求項4】
ネズモドキの蜜由来の甘味料を元にした蜂蜜を含有することを特徴とする請求項7に記載の一食分の製品。
【請求項5】
炭水化物、脂肪、タンパク質、繊維の1日の推奨摂取量の割合に対応するレベルのビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、E、ナイアシンと葉酸、さらにカルシウム、ヨウ素、鉄、マグネシウム、リン、亜鉛を含有することを特徴とする請求項2に記載の一食分の製品。
【請求項6】
小麦グルテン、乳製品ラクトース、卵、ナッツ、ゴマ、イーストからなる公知のアレルゲンを実質的に含有しないことを特徴とする請求項2に記載の一食分の製品。
【請求項7】
低デキストロース当量のマルトデキストリンを含有することを特徴とする請求項2に記載の一食分の製品。
【請求項8】
オーストラリア・ニュージーランド・ジョイント・フード・スタンダード・コードによって公式に明示されたカロリー、タンパク質、脂肪、炭水化物、糖及び繊維の1日推奨摂取量と同じ相対的割合でなる食料または飲料製品であって、その製品は、その製品全般にわたって均質化されているため、消費された製品のどの部分も同じ割合の前記タンパク質、前記脂肪、前記炭水化物、前記糖及び前記繊維を含んでおり、
前記製品は、1食分当たりエネルギーが100%、タンパク質が10.1%、脂肪(総計)が14.1%、脂肪(飽和)が4.8%、炭水化物(総計)が54.7%、炭水化物(糖)が18.2%、食物繊維が6.1%となっていることを特徴とする製品。

【図1】
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【公開番号】特開2012−135315(P2012−135315A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−28643(P2012−28643)
【出願日】平成24年2月13日(2012.2.13)
【分割の表示】特願2008−501831(P2008−501831)の分割
【原出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【出願人】(507308876)サッポロ・ホールディングス・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】