説明

栄養補助チョコレート又はコンパウンドチョコレート製品

本発明は、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、銅、及び任意にキサントフィルを含む添加機能性成分を含むチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品に関する。本発明は、このようなチョコレート及びコンパウンドチョコレート製品の製造、これらの製品をキット形式に構築すること、並びに眼の疾患、特に黄斑変性症及び白内障形成の治療のため、又は全般的な眼の健康の保全及び支援のためのこれらの製品の使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、眼の疾患、例えば、黄斑変性症の症状の緩和もしくは進行の遅延、及び他の加齢性欠損症の防止に効果があると考えられる量で添加機能性成分を含む新規な栄養補助チョコレート又はコンパウンドチョコレート(compound chocolate)剤に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
網膜は、眼の後にある神経細胞の層であり、この神経細胞により、光が信号に変換され、この信号が脳へ送られる。ヒト及び他の霊長類では(しかし、殆どの他の哺乳動物ではそうではない)、黄斑は、視野の中心に位置する網膜内の小さい黄色味がかった円形の領域である。黄斑は、視野の中心に高分解能の視力を提供し、かつ良好な視力にとって不可欠である。黄斑変性症患者は、しばしば、読む、顔を認識する、運転する、又は慣れていない道路を安全に歩行する能力を失う。黄斑変性症は、高齢者の間では重度の視力喪失及び機能盲の主な原因であり、その割合は、人口の高齢化や、食習慣の濃緑野菜からより高脂肪食への移行につれて増加しつつある。この疾患は、その予防又は治療方法を含め、多くの書物や記事で説明されている。D'Amato Rらの論文、「黄斑変性症:あなたの視力を維持するための最新の科学の発見及び治療(Macular Degeneration: The Latest Scientific Discoveries and Treatments for Preserving Your Sight)」(Walker & Company, 2000); Lim Jl編集、加齢黄斑変性症(Age-Related Macular Degeneration)(Marcel Dekker, 2002); Byrne Sらの論文、「加齢黄斑変性症の管理における最新の概念及び近年の進歩(Current concepts and recent advances in the management of age-related macular degeneration)」、Ir J Med Sci 2003 October-December; 172(4): 185-90; Blodi BAの論文、「加齢黄斑変性症の予防における栄養補助食品(Nutritional supplements in the prevention of age-related macular degeneration)」、Insight 2004 January-March; 29(1): 15-6; Zarbin MAの論文、「加齢黄斑変性症の病因における最新の概念(Current concepts in the pathogenesis of age-related macular degeneration)」、Arch Ophthalmol 2004 April; 122(4): 598-614。
【0003】
黄斑変性症の治療薬が開発され(例えば、血管性加齢黄斑変性症用として米国食品医薬品局によって2006年に認可されたLucentis(商標))、引き続き開発が行われているが、この疾患を予防する、又はその進行を抑制するために栄養補助食品を使用することについての関心が依然として高い。この関心は、米国国立眼研究所(U.S. National Eye Institute)が、黄斑変性症及び/又は白内障に罹患している又は該疾患を発症するリスクの高い何千人もの患者を対象とした大規模な臨床試験を計画し、実施した1990年代に遡る。黄斑変性症及び白内障は、明らかに加齢に関係している。これらの疾患の発症率及び重症度は、人々が概ね60歳を超えると急激に上昇し、約50歳未満の人では、眼に影響を及ぼす特定の遺伝子欠陥を有する人々を除くと、稀にしか発症しない。したがって、この臨床試験は、「加齢性眼疾患研究」、略してAREDSと呼ばれた。AREDS-2と呼ばれる追跡研究が開始されたため、1990年代に行われた研究は、本明細書ではAREDS-1と呼ぶことにする。AREDS-1研究では、参加者は、抗酸化剤のみ、亜鉛のみ、抗酸化剤と亜鉛、又は全く与えられない(コントロール)の4つの治療群に分けられた。各治療群の中で、参加者は、研究を始めた時点の眼の健康状態によって4つのカテゴリーに分けられた。最も低い等級のカテゴリー1は、黄斑に明らかな問題の徴候がない人々を含んでいた。最も高い等級のカテゴリー4は、一方の眼には重大な問題があるが、他方の眼には重度の問題が殆どなく、補助食品を摂取し始めた後に起こる減退をモニタリングし、測定することができる人々を含んでいた。投与する1日当たりの抗酸化剤は、500mgのビタミンC、295mgのビタミンE、及び15mgのベータカロテンであった。1日当たりの「亜鉛」は、貧血防止用の酸化第二銅の形態の2mgの銅と組み合わせて、酸化亜鉛の形態である80mgの亜鉛とし投与された。
【0004】
AREDS-1の主な結果は、2001年10月発行のアーカイブス・オブ・オプサルモロジー(Archives of Ophthalmology)の2つの記事で発表された。黄斑変性症のデータは、AREDS報告番号8(Arch Ophthalmol 119: 1417-1436)で報告され、白内障のデータは、AREDS報告番号9(Arch Ophthalmol 119: 1439-1452)で報告された。詳細についてはAREDS報告番号8を参照されたいが、その結果は、概ね次のように要約することができる:(1)ビタミンA、C、及びEは投与されたが亜鉛は投与されなかった中程度又は重度の黄斑変性症の被験患者は、一部で肯定的な結果を示したが、その指標は、統計的に有意なレベルには達していなかった。(2)亜鉛は投与されたが抗酸化ビタミンは投与されなかった中程度又は重度の黄斑変性症の被験患者もまた、一部で肯定的な結果を示したが、その指標は、統計的に有意なレベルには達していなかった。(3)亜鉛及び抗酸化剤の両方が与えられた中程度又は重度の黄斑変性症の被験患者の第3の組は、統計的に有意なレベルに達した肯定的な結果を示した。Bausch & Lomb社に譲渡されたBartelsらによる米国特許第6,660,297号は、AREDS-1で試験された組成物に基づいた特定の栄養補助食品を請求している。この特許の下、Bausch & Lomb社が販売する製品は、OCUVITE PRESERVISION(商標)と呼ばれている。ICAPS AREDS(商標)と呼ばれる酷似した製剤が、Alcon Laboratories社によって販売されている。
【0005】
現在の製剤は、大部分が、錠剤又はゲルカプセルの形式、すなわち薬物に典型的な形態で提供されている。したがって、これらの栄養補助剤は、典型的な薬物と同じ問題、すなわち患者の服薬遵守が不十分であるという問題を抱えている。この問題を軽減するために、本出願人は、機能性成分、すなわちビタミンC、ビタミンE、ルテイン、ゼアキサンチン、亜鉛、銅、及び任意にキサントフィル、好ましくはルテインとゼアキサンチンの組み合わせ、恐らく最も要望の高い食品であるチョコレートを含むチョコレート剤を開発した。この取り組みの過程において、機能性成分をチョコレートへ導入することによって、又は2種以上のこのような成分がチョコレート中に同時に存在することによって生じる機能性成分の化学的不安定性に関連した問題を解決する必要が生じた。さらなる問題は、特定の成分のチョコレートへの添加によって生じる不快な味又は食感に関連したものである。加えて、栄養補助食品の毎日の摂取によるカロリーの影響が最小限となるように、機能性成分が、高濃度でチョコレート剤中に存在することが望ましかった。この問題の第1の解決策が、国際公開第2009/037562号に記載されている。この国際公開で説明されている方法では、ビタミンCが脂肪酸又はエチルエステルとして、そして金属が脂肪酸塩として存在するように、ビタミンC、亜鉛、及び銅が、チョコレートを含む食品に導入されている。後者の方法は、酸化安定性が改善された栄養補助食品を提供することによる著しい進歩を示すが、その実現は、銅及び亜鉛の脂肪酸塩が、現在は認可された食品添加物ではないため困難である。本発明は、適度な濃度で上記の機能性成分を含み、機能性成分が、化学的に安定であり、かつ典型的な消費者が感じる味又は食感を生じさせない、新規なチョコレート剤に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、銅、及び任意にキサントフィルを含む添加機能性成分を含むチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品に関する。このチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品は、ケーシング及びフィリングを有し、フィリング中には、少なくともビタミンC、ビタミンE、及びキサントフィル(添加される場合)が含められている。本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品に含められる成分は、本質的に化学的に安定であり、該製品の保存可能期間中に典型的な消費者が感じられる舌触り又は味覚効果を生じさせない。ただし、これは、チョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品1g当たり、添加ビタミンCの濃度が約75mg以下、添加ビタミンEの濃度が約45mg、添加亜鉛の濃度が約3mg、添加銅の濃度が約0.4mg、かつ添加キサントフィルの濃度が約2.6mgである場合に限る。これらの量は、成分の活性形態に関係している。典型的な消費者とは、平均的な感覚を持つ消費者のことである。例えば、5人の内4人の消費者が、本発明の製品における舌触り又は味覚効果を感じない場合は、これらの4人の消費者のそれぞれが、典型的な消費者と言われる。
【0007】
一実施態様では、本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品は、少なくとも3ヶ月の保存可能期間を有する。
【0008】
別の実施態様では、チョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品は、1種以上の添加香味料をさらに含み、この香味料は、フィリング中に含められる。添加香味料として、限定されるものではないが、ミント、オレンジ、スパイシーオレンジ、キャラメル、バタースコッチ、バニラ、コーヒー、シナモン、コショウ、チリ、ラズベリー、イチゴ、ショウガ、ヘーゼルナッツ、蜂蜜、レモン、ライム、パパイヤ、ピスタチオ、ピーカンナッツ、タマリンド、タンジェリン、又はクルミが挙げられ、香味料は、エッセンス、抽出物、又は乾燥型の形態を含む任意の形態で添加することができる。
【0009】
本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品の特定の実施態様では、ビタミンCは、パルミチルエステル、ラウリルエステル、ココイルエステル、オレイルエステル、又はステアリルエステルとして添加される。より好ましくは、含められるビタミンCは、パルミチン酸アスコルビルである。キサントフィルが、本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品に添加される場合は、このキサントフィルは、好ましくは、ルテイン、又はルテインとゼアキサンチンの組み合わせである。
【0010】
好ましい実施態様では、ビタミンE、銅、キサントフィル(存在する場合)、及び任意に亜鉛が、カプセル化成分としてチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品に添加される。流動層コーティングプロセスが、本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品に含められる成分をカプセル化する好ましい方法である。より具体的な実施態様では、添加されるカプセル化機能性成分の平均粒径は、約100μmよりも大きい。チョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品に添加されるビタミンE及びキサントフィルは、別個にカプセル化することもできるし、又は共カプセル化、すなわち1つのプロセスで一緒にカプセル化することもできる。同様に、亜鉛が、カプセル化成分として含められる場合、銅及び亜鉛は、共カプセル化することができる。
【0011】
本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品の好ましい実施態様では、亜鉛及び銅の一方又は両方が、ケーシング中に存在する。
【0012】
本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品では、亜鉛は、カプセル化もしくは非カプセル化酸化亜鉛として、又は硫酸塩、塩化物塩、酢酸塩、グルコン酸塩、アスコルビン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、ピコリン酸塩、オロチン酸塩、もしくはトランスフェリン塩の形態であるカプセル化もしくは非カプセル化亜鉛塩として添加される。銅は、好ましくは、カプセル化された酸化第二銅、又はカプセル化されたL-アラニン酸第二銅、炭酸第二銅、塩化第二銅、クエン酸第二銅、グルコン酸第二銅、グリシン酸第二銅、サリチル酸第二銅、硫酸第二銅、もしくは酒石酸第二銅として添加される。ビタミンEは、好ましくは、カプセル化された酢酸DL-α-トコフェロール、DL-α-トコフェロール、酢酸d-α-トコフェロール、d-α-トコフェロール、又は天然物から単離されたビタミンEの形態で添加される。
【0013】
特定の実施態様では、本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品のケーシング及びフィリングは、ダークチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート、又はダーク、ミルク、もしくはホワイトチョコレートフレーバーのコンパウンドチョコレートとすることができる。好ましくは、ケーシングは、ダークチョコレート又はミルクチョコレートであり、フィリングは、ミルクチョコレートフレーバーのコンパウンドチョコレートである。
【0014】
本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品の特定の低グリセミック指数製剤では、チョコレートベースの製品中に通常含まれる砂糖、すなわちスクロース、及びミルクベースの製品中に通常含まれるラクトースが、代替の糖質、バルク甘味料、及び強い甘味料の1種以上で補足される、又はその全体もしくは一部が置換される。このような低グリセミック指数製剤に使用できる代替の糖質としては、フルクトース、タガトース、ラクトース、イソマルトース、トレハロース、ポリデキストロース、及びイヌリンが挙げられる。使用できるバルク甘味料としては、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、マルチトール、イソマルト、及びラクチトールが挙げられ、有用な強い甘味料としては、アセスルファミンカリウム(Acesulfamine potassium)、アリターム(Alitame)、アスパルテーム、アスパラギン酸-アセサルフェーム塩(Aspartate-acesulfame salt)、シクラメート、ネオテーム、サッカリン、ステビア、スクラロース、及びタウマチンが挙げられる。
【0015】
特定の実施態様は、本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品の1日量の投与形態に関連し、1つのチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品又は複数のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品は、12〜2000mgの添加ビタミンC、2.5〜1000mgの添加ビタミンE、1.5〜40mgの添加亜鉛、0.15〜10mgの添加銅、及び任意に1.5〜33mgの添加キサントフィル(複数種)を含み、これらの求められる量では、成分が活性型である。好ましくは、このような1日量の投与形態は、18〜1000mgの添加ビタミンC、30〜500mgの添加ビタミンE、5〜30mgの添加亜鉛、1〜2mgの添加銅、及び7〜20mgの添加キサントフィルを含む。より好ましい1日量の投与形態は、500mgの添加ビタミンC、268mgの添加ビタミンE、25mgの添加亜鉛、1.6mgの添加銅、及び12mgの添加キサントフィルを供給する。
【0016】
別の実施態様は、本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品を製造する方法に関し、この方法は、チョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品を提供するステップ、並びに適量の機能性成分、すなわちビタミンC、ビタミンE、亜鉛、銅、及び任意にキサントフィルを、ケーシング及びフィリングの製造に使用される液体チョコレート又はコンパウンドチョコレートマスに添加するさらなるステップを含み、この添加ステップが、全ての製粉ステップの後で行われる。任意に、チョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品を提供する前記ステップは、チョコレート又はコンパウンドチョコレートを製造するステップを含み;任意に、チョコレート又はコンパウンドチョコレートを提供する又は製造するステップは、チョコレート又はコンパウンドチョコレート製品を製造するのに通常使用される全てのステップを含む。
【0017】
本発明はまた、眼の疾患、特に加齢黄斑変性症又は白内障形成の食事による予防及び/又は治療のため、又は眼の健康を全般的に支援するための方法を包含し、この方法は、このような予防又は治療を必要とする対象に、1日量のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品を毎日投与するステップを含み、このような1日量は、1つのチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品中に、又は複数のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品中に含めることができる。この方法はまた、別の栄養補助食品との共投与も含み得る。好ましくは、1日の摂取に適切と考えられる量のω-3脂肪酸を供給する栄養補助食品が、共投与される。眼の疾患、特に加齢黄斑変性症又は白内障形成の食事による予防及び/又は治療のため、又は眼の健康を全般的に支援するための方法も本発明の範囲内と見なされ、この方法は、このような予防又は治療を必要とする対象に、1日量の本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品、又は該チョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品と同じ1種以上の機能性成分を送達できる別の栄養補助食品を毎日投与するステップを含み、該対象に、少なくとも1週間に1回、1つのチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品又は複数のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品が投与される。後者の方法では、治療用に使用される場合、本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品は、眼の疾患、例えば、黄斑変性症もしくは白内障形成の治療又は予防用の薬剤として使用される。
【0018】
最後の実施態様は、1週間用、2週間用、又は1ヶ月用のキットに関し、該キットは、予定する治療期間に相応する数の1日量の本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品を含む。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(発明の詳細な説明)
本発明は、高齢者における黄斑変性症及び他の加齢性欠損症の進行の抑制又は予防に有効と考えられる亜鉛と抗酸化剤の新規な投与形態に関する。この考えは、上で議論されたAREDS-1の研究結果に基づいている。市販の亜鉛と抗酸化剤を含む栄養補助剤は、ピル又はゲルカプセルであり、これらは、多くの処方薬及び非処方薬と同様に患者の服薬遵守が不十分であるという問題を抱えた製剤である。規則的な摂取が、栄養補助剤の医学的な効果を最大限にするための前提条件であると見なされている。本出願人は、非常に魅力的で切望すらされる食品であって、かつ添加機能性成分に伴う特有の不快な味、例えば、ビタミンCの酸味、重金属イオンの焼けるような味及び苦味、キサントフィルもしくはビタミンEの酸化もしくは分解産物の不快な味や、成分の不均一な分布、例えば、不溶性の金属酸化物などの窪みに起因する魅力的でない舌触りや、大きい粒子の形態の過剰な成分の添加に起因するザラザラ感及び不快な食感のない食品に、亜鉛及び抗酸化剤が含められれば、患者が、はるかに服薬遵守する可能性が高くなるということを提案する。したがって、本発明は、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、銅、及び、好ましくは、これらの機能性成分が安定であり、かついかなる感じられる味もしくは口内の不快感も発生させない形式の1種以上のキサントフィルを含む栄養補助チョコレートもしくはコンパウンドチョコレートに関する。出願人は、高品質のチョコレートの味がする栄養補助チョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品が患者に提供されれば、患者の服薬遵守を改善できると考えている。ビタミン及びミネラルを含むチョコレートは、以前に市場に導入されたが(例えば、Nestl Suisse SAによるNestrovit、Iromedica SAによるEgmovit)、これらの製品は、中に含められる機能性成分に起因するいかなる味もしない高品質のチョコレート製品として認められる上記の基準を満たしていない。
【0020】
AREDS-1の研究で毎日投与された機能性成分の混合物は、500mgのビタミンC、295mgのビタミンE、15mgのベータ-カロテン、酸化亜鉛の形態の80mgの亜鉛、及び酸化第二銅の形態の2mgの銅からなっていた。AREDS報告番号8。亜鉛及び抗酸化剤は、黄斑変性症の進行を防止する処方における活性成分であると考えられている。銅は、必須の微量金属である。銅の不足により、貧血、心異常、例えば、血管及び心臓破裂、EKGの異常、並びに血清コレステロール、トリグリセリド、及びグルコース値の上昇が起こる。ヒトでは、食事から摂取される銅が生涯にわたり最低限であると、心疾患に繋がると考えられている。成人では明らかな症状は稀であるが、長期にわたって不足した場合、又は定期的に亜鉛補助剤を摂取している人に現れることがある。亜鉛は、銅の状態を還元させることが知られている。ビタミンC補助剤の摂取もまた、銅の状態を減少させる。ラットでは、ビタミンCの大量投与が、銅欠乏につながることがある。したがって、亜鉛及びビタミンCをともに高濃度で含むAREDS処方には、銅の欠乏を防ぐために銅が含められた。
【0021】
非常に高用量のビタミンC及びEは、安全でない可能性がある。例えば、研究により、閉経後の冠動脈疾患の女性は、ビタミンC又はEを大量に服用すべきではないことが示された。近年、ベータ-カロテンがヒトの眼の黄斑に沈積しないことが分かった。したがって、高用量のベータ-カロテンが、黄斑変性症に対する実質的な利益又は保護を現実的に一切約束するものではないというコンセンサスが、眼及び視力の研究者らの間で生まれてきている。さらに、ベータ-カロテンは、異常に高濃度の酸素が存在すると、実際にその抗酸化性を反転させ、酸化促進剤となる(例えば、Burton, G.W.らの論文、「ベータ-カロテン:珍しいタイプの脂質抗酸化剤(Beta-carotene: An unusual type of lipid antioxidant)」、Science 224: 569-573 (1984))。このような酸素濃度は、殆どの体組織及び体液中には存在しないが、肺は吸い込んだ空気中の酸素と直接相互作用するため、ベータ-カロテンは、肺組織中では有益な抗酸化剤ではなく有害な酸化促進剤として作用し得る。高酸素濃度でのベータ-カロテンの有害な酸化促進性の明らかな結果として、ベータ-カロテンの大量服用が、有用かつ予防的であるどころか、喫煙者の肺癌のリスクを実際に増大させることが、大規模な臨床試験により確認された。これは、喫煙者では明らかに、かつ間違いなく起こり、非喫煙者でもより少ない程度ではあるが起こり得る。したがって、Bartelsらの特許'297'には、AREDS-1試験で試験された抗酸化剤の組み合わせからベータ-カロテンを除くことができ、網膜中に実際に存在するキサントフィルである、2種の他のカロテノイド、ルテイン及びゼアキサンチンの一方又は両方により代替できることが具体的に記載された。AREDS-1では、亜鉛イオンは酸化亜鉛として投与された。この試験で使用された用量は、1日当たり80mgの酸化亜鉛であったと考えられるが、発表されたAREDS報告書では、「酸化亜鉛として亜鉛80mg」と記載されている。これにより、「80mg」の用量が、亜鉛元素(分子量65.4)を指すのか、それとも酸化亜鉛(分子量81.4)を指すのかという疑問が生じる。現在の亜鉛元素の「1日当たりの推奨摂取量(Recommended Daily Allowance)」値(RDAと略記;2001年に米国食品栄養委員会(U.S.Food and Nutrition Board)(米国医学研究所(Institute of Medicine)の一部)から発表)は、成人女性で1日当たり8ミリグラムであり、成人男性で1日当たり11ミリグラムである。したがって、他の食事からのものを考慮しない、OCUVITE PRESERVISIONピルのみからの69.6mgという亜鉛元素の1日の服用量は、実際のところ、女性のRDAの870%であり、男性のRDAの633%である。RDA値に加えて、最近、米国医学研究所(Institute of Medicine)が、様々な栄養素に対する「許容上限摂取量(Tolerable Upper Intake Levels)」(略して「UL」)を採用し、公表した。亜鉛に関しては、ULは、2001年に男女とも40mg/日に設定された。したがって、OCUVITE PRESERVISION中の亜鉛の量はそれだけで、米国医学研究所により設定されたULのほぼ2倍になりそうであり、食事で摂取される追加の亜鉛も考慮すれば、過剰分はさらに大きくなる。Gierhartらによる米国特許出願公開第20060039954号に記載されているように、亜鉛の過剰な服用が、全ての高齢摂取者ではないが、重大な懸念を引き起こすのに十分な数の摂取者に重大な危険を引き起こし得ることを示唆する出版物が数多く存在する。特定の3つの懸念事項は、神経学に関係している。第1は、アルツハイマー病及びベータ-アミロイド斑に関する。第2の懸念は、脳卒中、心停止、又は脳を襲う他の危機の後で起こる重度の脳損傷及び不治の障害に関する。第3の懸念は、亜鉛を大量投与された動物に見られる認識障害に関する。亜鉛の大量摂取はまた、中高年男性の前立腺癌を引き起こしたり、又はその進行を促進する恐れもある。加えて、亜鉛は、「ドルーゼン」と呼ばれるヒトの網膜に生じる望ましくない沈着物中に高濃度で発見されている。この観察は、多量の亜鉛の摂取がこの望ましくない沈着物の形成及び成長を加速させて、網膜を破壊して視力を低下させる可能性があることを示唆するものである。上記のリスクが、AREDS-1試験を計画して実行した人々に、或いは黄斑変性症の予防もしくは治療用として高用量の亜鉛を含む製剤を高齢消費者に販売している会社に認識又は考慮されていなかったことは明らかである。黄斑変性症の予防もしくは治療用として高齢消費者に提供される将来の製剤は、UL値を超えないレベルの亜鉛、ビタミンC、及びビタミンEを含むべきであり、かつベータ-カロテンの代わりにキサントフィル類のルテイン及びゼアキサンチンを含むべきであることが議論されている。食事からの摂取を考慮すると、亜鉛、ビタミンC、及びビタミンEのレベルは、理想的には、ULS(栄養補助剤からの許容上限摂取量)値を超えるべきではない。特許出願公開'954'で議論されているように、恒常性及び限界効用低減の原理を適用すると、亜鉛、ビタミンC、及びビタミンEの用量をそのように低減させても、製剤の眼に対する効果が顕著には低下しないはずであり、かつベータ-カロテンをキサントフィル、すなわちルテイン又はゼアキサンチンで置き換えると、その効果が促進されるはずである。
【0022】
本発明は、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、銅、及び任意にキサントフィル(好ましくは、ルテイン又はルテインとゼアキサンチンの組み合わせ)を含むチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品又は複数のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品に関する。1日量のチョコレート(複数可)もしくはコンパウンドチョコレート製品(複数可)は、12〜2000mgの添加ビタミンC、2.5〜1000mgの添加ビタミンE(トコフェロール当量=TE)、1.5〜40mgの添加亜鉛、0.15〜10mgの添加銅、及び1.5〜33mgの添加キサントフィルを含む。より好ましくは、1日量は、180〜1000mgの添加ビタミンC、30〜500mgの添加ビタミンE、5〜30mgの添加亜鉛、1〜2mgの添加銅、及び7〜20mgの添加キサントフィルを含む。特に好ましい特定の実施態様では、1日量のチョコレート(複数可)もしくはコンパウンドチョコレート製品(複数可)は、500mgの添加ビタミンC、294mgのビタミンE、25mgの亜鉛、1.6mgの銅、及び12mgのキサントフィル(好ましくは、ルテインとゼアキサンチンの組み合わせ)を含む。上記の量は、成分の「元素」もしくは「活性」型に関係している。後者の製剤の1日量は、500mgのビタミンC、すなわち500mgのアスコルビン酸に相当する量を含むと言われている。以下にも論じるように、ビタミンCは、好ましくはアスコルビン酸エステルとして添加される。ビタミンC500mgの元素用量(elemental dose)に達するようにするためには、1175.5mgのパルミチン酸アスコルビルを含めなければならないであろう。同様に、亜鉛がグルコン酸亜鉛として導入される場合は、亜鉛25mgの元素用量にするためには、174.25mgを添加しなければならないであろう。殆どの国では、上記の機能性成分の範囲内である成分量を含む製剤を提供することが可能なはずであることに留意されたい。しかしながら、特定の国もしくは機関が、より低い用量の1種以上の成分を要求する可能性を排除できない。
【0023】
チョコレートは、カカオ豆からの複合製品であり、数百年にわたって様々な形で調製され、消費されてきた。チョコレート製品の調製方法及び特性は、多数の刊行物に説明されている。例えば、Beckett STの文献、「チョコレートの科学(The Science of Chocolate)」、2008、The Royal Society of Chemistry, Thomas Graham House, Science Park, Milton Road, Cambridge CB4 0WF, UK; 「産業とチョコレートの製造と使用(Industrial Chocolate Manufacture and Use)」 (Beckett ST編集)、第4版、2009、John Wiley & Sons Ltd., Chichester, West Sussex PO19 8SQ, UKを参照されたい。チョコレートの調製では、熱帯性のココアの木(テオブロマカカオL)の実から収穫したカカオ豆を数日間発酵させる。典型的な発酵プロセスは、カカオ豆の外側で起こる。発酵プロセス中に、カカオ豆の内部の温度が劇的に上昇し、結果として、カカオ豆が死に、豆の中身の分解により糖及び酸が蓄えられ、これらの糖及び酸が典型的なチョコレートフレーバーの前駆体である。続いて、カカオ豆を乾燥させて、その水分を、カビの成長を維持するレベルよりも低い約7〜8%に低下させる。焙煎プロセスは、典型的なチョコレートフレーバーを発生させると共に、サルモネラ菌などの汚染微生物を死滅させる役割を果たす。従来は全ての豆が焙煎されていたが、大きさの異なる全ての豆を均等に焙煎する困難さを解消するために別の方法が開発された。このような1つのプロセスでは、選り分け、すなわち殻及び胚の一部と豆の残りの部分との分離の後にカカオニブを使用する。別法では、カカオニブを摩砕してカカオマス又はカカオリカー(溶けた場合)を製造し、次いでこれを焙煎する。熱、水分、及び還元糖(グルコース)の存在下では、焙煎中に生じる殆どの香味の発生に寄与するマイラード反応が起こる。専用の圧縮機を使用して圧縮することによってカカオリカーからカカオバターを生産する。残ったもの、すなわちカカオプレスケーキ(cacao press cake)を製粉してカカオパウダーを生産することができる。カカオニブ及び砂糖を製粉すると、硬くて脆い材料となる。これらの2種の成分にカカオバターを添加して、食用のダークチョコレートを生産する。食用チョコレートを調製する際は、無脂肪成分、当社の砂糖、及び脂肪成分を、別個に又は組み合わせて製粉することができる。脂肪成分、又はより好都合には組み合わせたチョコレート混合物を、高温で液体マスとして製粉する。ミルクチョコレートは、典型的には脱脂乳もしくは全粉乳の形態で添加される乳成分も含む。ホワイトチョコレートは、従来、砂糖、粉乳、及びカカオバターから作られる。製粉プロセスは、チョコレート製品に含まれている粒径を約30μm未満に小さくすること、及び粒子を脂肪で確実にコーティングすることが極めて重要である。粒径が約30μmよりも大きいと、製品は、ザラザラとした舌触りもしくは食感を有する。粒径を小さくする強力な製粉に続いて、チョコレートマスを、いわゆるコンチングプロセスで処理する。このプロセスは、当初は粒径をさらに小さくする役割を果たしたが、現在は、製粉が十分に効率的であるため、コンチングにより、粒子がさらに砕かれることは殆どない。このプロセスは、現在は、液体チョコレートの香味付け及び粘度の低減に主に使用されている。少なくとも約40℃の温度でコンチングプロセスを出たチョコレートをテンパリング処理する。この処理は、望ましい結晶形を有する十分な量の種子脂肪結晶を形成するプロセスである。これを達成するためには、チョコレートを冷却して結晶形成を誘発する。次いで、温度を約30℃に上げて望ましくない結晶(主にIV形)を溶かして、望ましい結晶形(V形)に有利にする。続いて、なお液体のチョコレートを使用して最終チョコレート製品を製造する。このチョコレートを型の中に流し込んで、チョコレートを硬化させてチョコレートバーを製造することができる。シェル型を利用して、固体もしくは半固体の中心を取り囲むチョコレートシェルを有する製品を製造することができる。イースターエッグの場合は、中心を空洞のままにすることができる。化粧掛けプロセスでは、製品が通過するときにその中心を覆う小さいチョコレートの滝を利用する。Mars Bar(登録商標)、After Eight(登録商標)、及びCadbury's Crunchie(登録商標)は、この方法で製造される。他の製品は、パンニング(panning)プロセスを使用して製造される。このような製品には、ナッツもしくはドライフルーツを含むチョコレートコーティング製品、又は中心にチョコレートを含む砂糖コーティング製品、例えば、Smarties(登録商標)及びM&Ms(登録商標)が含まれる。
【0024】
化学的には、チョコレートは複合製品である。高品質のミルクチョコレートの配合表は、以下の成分を列記する。
【0025】
【表1】

【0026】
砂糖が例外(スクロースのみが使用される場合)である可能性はあるが、列記された全ての成分は、それら自体が、異なる化合物の複雑な混合物である。食品産業で使用される市販のレシチンは、リン脂質、すなわちホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、及びホスファチジン酸の混合物である。高脂肪粉乳は、タンパク質(カゼイン及び乳漿タンパク質)15.6%、脂肪54.8%、ラクトース24.3%、ミネラル3.5%、及び水分1.8%を含む。
【0027】
乳脂肪は、それ自体が、異なる脂質と、フレーバー化合物を含むある種の他の脂溶性化合物との混合物である。以下の表2を参照されたい。
【0028】
【表2】

【0029】
乳脂肪の脂肪酸成分は、表3に示される。
【0030】
【表3】

【0031】
カカオリカーは、カカオニブの製粉によって作られる。カカオニブは、以下の成分を含む。
【0032】
【表4】

【0033】
カカオバターは、カカオリカーから圧搾される。カカオバターは、本質的に、表5に詳細に示されたトリグリセリドの混合物である。脂肪酸の範囲は、表6に示される。
【0034】
【表5】

【0035】
さらに、チョコレートは、以下の表7に詳細に示されるように無視できない量のミネラル及びビタミンも含む。カカオに由来する他の重要な大きな化学種群はポリフェノールである。100gのミルクチョコレートバーは、750mgものこれらの化合物を含み得る。カカオは、フラボノイドとして周知のポリフェノール群のサブクラスであるフラボノールが特に豊富である。カカオは、単量体フラボノールエピカテキン及びカテキン、並びにより大きいオリゴマーフラボノール、プロシアニジンを含む。これらの化合物は、化学的に反応性であり、抗酸化剤として機能する。
【0036】
【表6】

【0037】
最後に、チョコレートは、カカオの発酵もしくは焙煎又は後続のチョコレート処理(例えば、コンチング)から生じる多数のフレーバー化合物も含み、これらの化合物は、典型的には少量しか存在しない。また、特定のフレーバー化合物をチョコレートに添加しても良い。チョコレートは、合計で約800種の異なる化合物を含むと言われている。化学的に同定された化合物は、表8に概要が示される。
【0038】
【表7】

【0039】
【表8】

【0040】
チョコレート製品は、超国家的及び国家的なレベルにおいて広範囲の規則を受けている。本明細書で使用される用語の実用的な定義を提供するために、欧州指針2000/36/EC (2003)に定義されている標準を使用する。「チョコレート」製品(「ダークチョコレート」製品とも呼ぶ)は、カカオ製品及び砂糖から得られ、総カカオ固形分を25%以上(カカオバター12%以上及び乾燥脱脂カカオ固形分14%以上)含む。チョコレート製品は、カカオバター(イリペ(illipe)、ヤシ油、サラノキ、シアバターノキ、コクムバター(kokum gurgi)、又はマンゴー核油)以外の植物性脂肪を最大5%含み得る。「ミルクチョコレート」は、乾燥カカオ固形分25%以上、粉乳固形分14%以上、乾燥脱脂カカオ固形分2.5%以上、乳脂肪3.5%以上、及び総脂質(カカオバター及び乳脂肪)25%以上を含む。「ホワイトチョコレート」は、カカオバター20%以上及び乾燥乳固形分14%以上(このうち乳脂肪が3.5%以上)を含む。チョコレート製品はまた、特定の添加物、特に乳化剤レシチンも含み得る。「プラリネ」又は、単独で使用される場合の「チョコレート」は、充填されたチョコレートからなる一口大の製品を意味し、該製品は、その少なくとも25重量%のチョコレートを含む。このようなチョコレートもしくはプラリネは、最大約15gのチョコレートもしくはコンパウンドチョコレートマスを含み得る。典型的なプラリネは、10g〜15gの重さである。「コンパウンドチョコレート」製品は、チョコレート製品の基準を満たさない、カカオ製品、植物性脂肪、及び甘味料の組み合わせから作られたチョコレート代替物を意味する。典型的には、このような製品は、チョコレート製品よりもカカオ材料が少なく、かつ/又は植物性脂肪が多い。特定の法律の逸脱であるが、本願においては、用語ダークチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート、及びコンパウンドチョコレートは、通常含まれる砂糖、例えば、スクロース及びラクトースが、他の砂糖、バルク甘味料、及び/又は強い甘味料で補足される、又はこれらで置換された製品も含むことを意図することに留意されたい。
【0041】
後述するように、本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品の好ましい形式は、ケーシングとフィリングを含む製品の形式である。上記の機能性成分、すなわちビタミンC、ビタミンE、亜鉛、銅、及びキサントフィルの1日量は、1つのプラリネもしくはコンパウンドチョコレート製品、又は合計すると1日量を提供する複数のプラリネもしくはコンパウンドチョコレート製品に含めることができる。同様の障壁機能を果たすという点で上記の好ましい形式に関連した他の形式も、本発明の範囲内である。例えば、1日分を折る又は他の方法で分離することができる、ケーシングとコアを含むバーもしくは他の幾何学的形状などの細長い形状も包含される。また、本質的には、個々のプラリネ(もしくはコンパウンドチョコレート製品)を消費者が分離できる大きめの構造に融合された複数のプラリネ(もしくは同等のコンパウンドチョコレート製品)となる形式も本発明の範囲内である。このような形態は、ストリングビーズ、接続された一連の幾何学的形状、例えば、樽や三角プリズムなどの外観をとることができる。
【0042】
本発明のプラリネのケーシングは、ダークチョコレート、ミルクチョコレート、又はホワイトチョコレートとすることができる。好ましくは、ケーシングは、ダークチョコレートもしくはミルクチョコレートである。フィリングは、任意の種類のチョコレートもしくは脂肪ベースの菓子フィリングとすることもできる。脂肪ベースのフィリングは、ダークチョコレート、ミルクチョコレート、又はホワイトチョコレートのフレーバーを有することができる。最も好ましい脂肪ベースのフィリングは、カカオパウダー、スクロース、乳脂肪、及び植物性脂肪を含むコンパウンドチョコレートである。同様にコンパウンドチョコレートのケーシングを有する類似の製品(すなわち、本発明のコンパウンドチョコレート製品)を作ることができる。
【0043】
上記のチョコレートの科学の概要に概説されているように、食用チョコレートは、数百種類もの化合物の高度に複雑な混合物であり、そのうちの特定の化合物は、極めて反応性が高い。添加化学種との反応が起こると予想され、チョコレートの味、品質、及び食感を低下させることになる可能性が高い。出願人の知る限りでは、「薬用型」製品としてではなく高品質チョコレート製品として消費者によって認識された、添加ビタミン及びミネラルを含むチョコレート製品は、これまでに市販用に開発されていない。ビタミン及びミネラルを含む高品質チョコレート製品がこのように存在しないことは、このような製品を実現することが困難であることを立証している。出願人は、ビタミンC、ビタミンE、ルテイン/ゼアキサンチン、亜鉛塩、及び銅塩をチョコレートの1つの錠剤に直接導入すると、成分が不安定となるとともに、不快な味、後味、及び/又は食感が発生することを実際に経験した。
【0044】
上記の機能性成分のそれぞれでは、出願人は、異なる形式(すなわち、異なる化学種のカプセル化もしくは非カプセル化形態、例えば、異なる密度でカプセル化され、かつ異なるマトリックス材料を使用した異なる塩もしくはエステルなど)で成分を供給する多数の市販の製剤を、チョコレートへの導入に適しているかについて試験した。これらの実験では、成分を、1日の摂取として妥当であると見なされるチョコレート量(最大約30g)に含められる1日量となる濃度で試験した。個々の製品を、香味料、例えば、ミント、キャラメル、オレンジ、シナモン、及び他の香味料を添加して、又は添加しないで、ダークチョコレート、ミルクチョコレート、もしくはホワイトチョコレート、又は脂肪ベースのフィリングで試験した。続いて、異なる機能性原料の組み合わせを、香味料が添加された、又は添加されていない異なるチョコレート及びコンパウンドチョコレートベースへの導入時に調べた。さらに、ケーシング及びフィリングを含むチョコレート製品で実験を行った。成分が異なる様々な市販の製剤を、試験製品のケーシングもしくはフィリングに様々に含めた。同様に、これらの実験は、ケーシング及びフィリング用の様々なチョコレートもしくは化合物ベースの実験、及び異なる香味料の使用を含んでいた。促進剤及び渋味遮断剤(astringency blocker)の効果も調べた。行われた試験には、典型的には、生産の直後に独立したテイスター群によって第1の味覚試験が含まれていた。製品が、優れたプラリネの外観を有し、識別可能な嫌な匂い、不味い味、もしくは後味を発生させず、かつザラザラ感もしくは不快な食感を示さないということに殆どのテイスターが同意した場合、製品は、この段階で適格と見なされた。味覚試験は、添加機能性成分を含まない点を除き、該試験製品と同じ組成を有するコントロール製品に対しても行った。後者の基準によって適格と見なされた製品に対して、定期的な味覚再試験、及び以下の実施例1に記載される標準的な方法を使用した成分の化学的安定性の分析を行った。製品の継続的な合格には、匂い、味、及びザラザラ感/食感について上記の基準を引き続き満たし、かつ機能性成分が、少なくとも3ヶ月間にわたって化学的安定性を維持することが必要であった。
【0045】
望ましい量の機能性成分、すなわちビタミンC、ビタミンE、亜鉛、銅、及びキサントフィルを含む、上で詳述された味、舌触り、及び安定性の基準を満たす高品質のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品(すなわちプラリネもしくはプラリネ様製品)の製造上の問題に対する解決策は、後者の実験から明らかになった。この解決策は、以下の極めて重要な態様の組み合わせである:
(i)2つの別個の区画、すなわちケーシング及びフィリングを含み、該フィリングが該ケーシングによって環境から保護されているチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート形式の使用;
(ii)プラリネへの導入に適した機能性成分の化学形態の選択;
(iii)導入される特定の機能性成分のカプセル化の選択的な使用;
(iv)プラリネのケーシングとフィリングとの間の機能性成分の適切な分布。
【0046】
より具体的には、金属は、酸化物もしくは塩として導入される。キサントフィルは、好ましくは、ルテインと少量のゼアキサンチンを含む混合物である。利用されるビタミンEの特定の形態についての具体的な要件は判明していない。ビタミンCは、好ましくはアスコルビル脂肪酸エステルとして導入される。好ましくは、銅、ビタミンE、及びキサントフィルは、カプセル化形態で使用される。金属は、好ましくは、ケーシングに導入され、ビタミンC、ビタミンE、及びキサントフィルは、フィリングに含められる。
【0047】
判明した解決策は、重さが約30g未満の2区画チョコレート(複数可)もしくはコンパウンドチョコレート製品(複数可)に含められる、本明細書に開示される機能性成分の濃度範囲、すなわち12〜2000mgの添加ビタミンC、2.5〜1000mgの添加ビタミンE(トコフェロール当量=TE)、1.5〜40mgの添加亜鉛、0.15〜10mgの添加銅、及び1.5〜33mgの添加キサントフィル(ルテインとゼアキサンチンとの混合物として)に対して実施できたことに留意されたい。前述のように、示された成分の量は、「元素」もしくは「活性」化合物の量である。
【0048】
本明細書で使用される用語「カプセル化」とは、1種の材料もしくは材料の混合物を別の材料もしくは系でコーティングする技術、又はこのような材料もしくは系内に閉じ込める技術をいう。コーティングされる材料は、活性材料もしくはコア材料と呼ばれ、コーティングする材料は、シェル、壁材、キャリア、もしくはカプセル化材料と呼ばれる。カプセル化技術は、当業者に周知である。カプセル化技術は、幅広く概説されている。例えば、Madeneらの論文、International Journal of Food Science and Technology (2006) 41: 1-21; Gibbsらの論文、International Journal of Food Sciences and Nutrition (1999) 50: 213-224を参照されたい。周知のカプセル化プロセスには、化学技術、例えば、単純もしくは複合コアセルベーション、リポソーム封入、及び分子包接、並びに機械技術、例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥、噴霧冷却もしくは噴霧チリング(spray chilling)、押し出し、及び流動層コーティングが含まれる。異なる方法は、やや異なる結果をもたらす傾向にある。例えば、粒径は、低マイクロメートル(例えば、噴霧乾燥)からミリメートル範囲(例えば、押し出しもしくは流動層コーティング)と様々であり得る。粒子は、異なるキャリアもしくはカプセル化材料、例えば、糖質、ゴム、タンパク質、脂肪、油、ろう、及びリポソームを含み得る。糖質は、カプセル化材料として広く利用されている。糖質、例えば、デンプン、マルトデキストリン、コーンシロップ固形分、及びアカシアゴムが、様々な異なる分子と非共有結合する能力、並びにその低価格及び多様性により、カプセル化支持体として好ましい選択である。ある種のデンプンの顆粒は、1〜3μmの天然の表面孔を有する。香味料などの分子の持続性を向上させることを目的として、新たな微孔性デンプンが作られた。Golovnya RVらの論文、Narhung (1998) 42: 380-384; Thomas DJ及びAtwell WAの論文、Starches. (1999) St. Paul, MN; Eagan Press; Glenn GM及びStern DJに付与された米国特許第5,958,589号。少量の結合剤、例えば、タンパク質もしくは水溶性多糖で噴霧乾燥された小さいデンプン顆粒は、興味深い多孔質構造となる。Zhao, J.及びWhistler, R.J.の論文、Food Technology (1994) 48: 104-105。また、デンプン顆粒をアミラーゼで処理すると、より高度な多孔質構造が得られる。デンプン及びデンプン由来多糖への分子の結合は、アミロース螺旋の内部との疎水性相互作用、又は糖のヒドロキシル基との表面極の相互作用のいずれかによって起こり得る。マルトデキストリンは、低価格であり、香味が少なく、かつ高い固体割合で低粘度であるため、マルトデキストリンもカプセル化に使用される。マルトデキストリンは、酸もしくは酵素によるヤグルマソウ(cornflower)の部分加水分解によって形成され、デキストロース当量(DE)として供給される。DEは、デンプンポリマーの加水分解の指標である。DEの異なるマルトデキストリンが、異なる用途で利用されている。Bangs WE及びReineccius GAの論文、Journal of Food Science (1981) 47: 254-259; Anandaraman S及びReineccius GAの論文、Food Technology (1986) 40: 88-93。マルトデキストリンの最も重大な欠点は、実質的に乳化力がないことであると思われる。親水コロイド、例えば、ゴムも、カプセル化支持体として使用される。アラビアゴムが、最もよく使用されるゴムである。アラビアゴムは、その溶解度、低粘度、乳化特性、及び様々な化合物を保持する能力により、用途の広いカプセル化材料である。アラビアゴムは、比較的高価であるため、その使用が限定されている。アラビアゴムとマルトデキストロースの混合物を使用することにより、コストをいくらか削減することができる。Williams PA及びPhillips GOの論文、Gum arabic. In: Handbook of Hydrocolloids (GO Phillips及びPA Williams編集), (2000) pp. 155-168. Cambridge. Woodhead Publishing Ltd。他の有用なカプセル化材料は、カゼイン酸ナトリウム、乳漿タンパク質、及び大豆タンパク質を含むタンパク質である。これらの異なる化学基、両親媒性、自己会合する能力、様々な異なる物質と相互作用する能力、高分子量、及び分子鎖の柔軟性により、タンパク質は、カプセル化に使用するのに適した優れた機能性を有する。M Rosenbergに付与された米国特許第5,601,760号。乳漿タンパク質は、乳漿タンパク質分離物(タンパク質95〜96%)もしくは乳漿タンパク質濃縮物(WPC-50、WPC-70)粉末として市販されている。例えば、乳漿タンパク質分離物は、マイクロカプセル化オレンジ油の酸化に対する良好な障壁であることが分かった。Kim YD及びMorr CVの論文、Journal of Agricultural and Food Chemistry (1996) 44: 1314-1320。B-ガラクトグロブリンは、最も重要な乳漿タンパク質であり、乳化性及び起泡性を有し、食品産業で広く使用されている。Jouenne E及びCrouzet Jの論文、Journal of Agricultural and Food Chemistry (2000) 48: 1273-1277。乳漿タンパク質はまた、キャリアタンパク質として糖質と組み合わせても使用されている。Sheu TY及びRosenberg Mの論文、Journal of Food Science (1998) 63: 491-494。カゼイン酸ナトリウムもまた、オレンジ油をカプセル化するための効果的な壁材であることが分かった。Kim YD及びMorr CVの論文(1996)。カゼイン塩は、液体油のカプセル化において、乳漿タンパク質よりもさらに効率的であり得る。カゼインと糖質、例えば、マルトデキストリン及びコーンシロップ固形分との混合物は、コスト効率の良い機能性コアカプセル化材料となる可能性がある。Hogan SAらの論文、Food Engineering and Physical Properties (2001) 66: 675-680。ゼラチンは、特にコアセルベーションにおいてマトリックス材料として広く使用されている。Ducel Vらの論文、Colloids and Surfaces A: Physicochemical Engineering Aspects (2004) 232: 239-247; 欧州特許出願第0937496号。カプセル化材料として使用されている他の材料には、硬化植物油、ステアリン、脂肪酸、乳化剤、及びろうが含まれる。Gibbsらの論文(1999)。
【0049】
カプセル化の特に重要な方法には、噴霧乾燥が含まれる。噴霧乾燥は、特に香味料のカプセル化に広く利用されている。噴霧乾燥はまた、粉乳などの材料の脱水にも使用される。キャリア材料として使用される加工デンプン、マルトデキストリン、ゴム、もしくは他の材料は水和されている。最適なキャリア材料は、高い水溶性、高濃度における低粘性、効果的な乳化性及び膜形成特性、並びに効率的な乾燥特性を有するキャリア材料である。活性材料を、典型的には約1:4の比率でキャリア材料と混合して均質にする。次いで、この混合物を噴霧乾燥機に入れ、ノズルもしくはスピニングホイールで霧化する。加熱室内で霧化された材料に熱風を接触させることによって水分を蒸発させる。次いで、カプセル化された材料を、乾燥機の底部に落下してから回収した。この技術は、Re-MIの論文、Drying Technology (1998) 16: 1195-1236、並びにSharma DK及びTiwari BDの論文、Indian Food Industry (2001) 20: 48-51で概説されている。この技術は、10〜100μmの範囲の比較的小さい粒子を形成する。しばしば、粒径を大きくするために凝集ステップが追加される。
【0050】
医薬品及び化粧品産業で主に利用されている技術は、流動層コーティングである。カプセル化される粒子を、コーティング室の高温雰囲気で流動化させる。カプセル化材料をノズルから粒子に吹き付けて、膜の形成を開始する。コーティング液の小さい液滴が、粒子表面に融合する。溶媒を熱風により蒸発させると、カプセル化材料が粒子に付着する。カプセル化された粒子の大きさは、湿潤段階と乾燥段階が繰り返される過程で成長する。製品サイズは、約100μm〜10mmの範囲で様々である。この技術は、ホットメルトコーティング、例えば、硬化植物油、ステアリン、脂肪酸、乳化剤、及びろう、又は溶媒系コーティング、例えば、デンプン、ゴム、もしくはマルトデキストリンに適用可能である。Jacquot M及びPernetti Mの論文、In: Cell Immobilization Biotechnology (U Nedovic及びR Willaert編集), (2003) pp. 343-356. Series: Focus on biotechnology. Dordrecht: Kluwer Academic Publishers。
【0051】
他の良く使用されるカプセル化技術は、噴霧チリング及び噴霧冷却である。噴霧チリングでは、混合されたコア材料と溶融キャリア材料をノズルから、チルド空気を含む反応室内に噴射して霧化する。チリングは、典型的には二酸化炭素氷槽によって達成される。コーティング液滴がコア粒子に付着し、凝固して膜を形成する。この技術は、他の方法では熱処理中に揮発もしくは損傷する恐れがあるカプセル化水溶性材料に適している。この技術は、ビタミン、ミネラル、ベーカリー製品、ドライ・スープ・ミックス、又は脂肪含有量の多い食品のカプセル化に使用されている。カプセル化材料は、しばしば、分画もしくは硬化植物油である。噴霧冷却は、関連したプロセスであり、相違は反応室内の空気の温度である。カプセル化材料は、融点が45〜122℃の範囲の植物油とすることができる。Gouin Sの論文、Trends in Food Science and Technology (2004) 15: 330-347; Augustin MAらの論文、Food Australia (2001) 53: 220-223; Risch SJの論文、In: Encapsulation and Controlled Release of Food Ingredient (SJ Risch及びGA Reineccius編集), (1995) pp. 2-7. Washington, D.C. American Chemical Society。
【0052】
もう1つの試験したカプセル化方法は押し出しである。Gouin Sの論文(2004)。単純な例として、揮発性化合物を、110℃のマトリックスポリマー中に分散させる。次いで、この混合物をダイに強制的に通して、得られたフィラメントを液体乾燥剤に押し込み、該液体乾燥剤が、押し出されたマスを硬化させることによって活性物質を閉じ込める。Rizvi SSHらの論文、Trends in Food Science and Technology (1995) 6: 232-240; Crouzet Jの論文、In: Techniques de l'ingnieur, Agroalimentaire F 4100, (1998) pp. 1-16, Paris。硬化及び脱水に最も一般的に使用されている液体はイソプロピルアルコールである。このプロセスは、特に、ビタミンC及び乾燥食品の用途で使用されている。
【0053】
原則として、上記のプロセスを含むどのカプセル化方法も、本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品に使用される機能性成分のカプセル化に使用することができる。好ましいカプセル化方法は、流動層コーティングである。この方法は、制御が比較的容易であり、資本コスト及びメンテナンス費用の双方の点で経済的に有利である。さらに、粒度分布を制御することができ、壁材の選択が制限されておらず、かつ低空隙率を達成することができる。50%を超える負荷(カプセル化される材料のマトリックスに対する比率)を得ることができる。機能性成分のコーティングに流動層コーティングプロセスを使用する1つの明らかなデメリットは、得られる粒子の予想サイズであろう。文献によると、100μmを超える粒径が予想される。Madeneらの論文。一部の好ましいコーティングされた成分の粒径測定により、該成分が全て、100μmを超える平均粒径を有することが判明した。チョコレート製造分野の技術者は、チョコレート中の固形分は、ザラザラ感をなくすために最大でも30μmの大きさになるまで製粉しなければならないことを周知している。驚くべきことに、機能性成分を含むこれらの大きい粒子は、本発明の栄養補助チョコレート及びコンパウンドチョコレート製品に含められても、知覚できるザラザラ感を発生させない。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、望ましい成分レベルに達するように添加される粒子の濃度を検出できないほど低くすることを提案する。
【0054】
ビタミンE、キサントフィル類のルテイン及びゼアキサンチン、銅、並びに亜鉛を、別個にカプセル化される成分として本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレートに添加することができるが、例えば、チョコレート製品に導入する前にルテインとゼアキサンチン、ビタミンEとキサントフィル、又は亜鉛と銅を共カプセル化することも可能である。
【0055】
ビタミンCは、アスコルビン酸エステルとして、特にパルミチルエステル、ラウリルエステル、ココイルエステル、オレイルエステル、又はステアリルエステルとして本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレートに導入することができる。
【0056】
ビタミンEは、酢酸DL-α-トコフェロール、DL-α-トコフェロール、酢酸d-α-トコフェロール、d-α-トコフェロール、又は天然物から単離されたタミンEとして本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレートに含めることができる。好ましくは、ビタミンEは、チョコレート製品に導入する前にカプセル化する。
【0057】
銅は、限定されるものではないが、L-アラニン酸第二銅(cupric L-alaninate)、炭酸第二銅、塩化第二銅、クエン酸第二銅、グルコン酸第二銅、グリシン酸第二銅、サリチル酸第二銅、硫酸第二銅、酒石酸第二銅を含む酸化第二銅もしくは第二銅塩の形態で本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレートに含めることができる。好ましくは、選択される銅化合物は、本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレートに導入される前にカプセル化する。
【0058】
亜鉛は、酸化亜鉛として、又は、限定されるものではないが、硫酸亜鉛、塩化塩、酢酸塩、グルコン酸塩、アスコルビン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、ピコリン酸塩、オロチン酸塩、及びトランスフェリン塩を含む亜鉛塩として添加することができる。選択される亜鉛化合物は、本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレートに導入する前にカプセル化しても良いし、カプセル化しなくても良い。
【0059】
本発明の製品に使用するのに適したカプセル化形態もしくは非カプセル化形態の機能性成分は、Cognis社(ドイツ)、Fortitech社(米国)、Lithos Food社(オランダ)、LycoRed社(イスラエル)、Sigma Aldrich社(米国)、又はRoyal DSM N.V.社(オランダ)から購入することができる。芳香物質、抽出物、及び香味料は、Diana Naturals社(フランス)、Fabbri 1905 SpA社(イタリア)、又はA.M. Todd社(米国)から調達することができる。クーベルチュールチョコレート、コンパウンドコーティング、及びフィリングは、Barry Callebaut AG社(スイス)、Luebecker Marzipan Fabrik v. Minden & Bruhns社(ドイツ)、Max Felchlin AG社(スイス)、又はValrhona社(フランス)が製造することができる。
【0060】
本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレートのフィリングは、香味料、例えば、ミント、オレンジ、スパイシーオレンジ、キャラメル、バタースコッチ、バニラ、コーヒー、シナモン、コショウ、チリ、ラズベリー、イチゴ、ショウガ、ヘーゼルナッツ、蜂蜜、レモン、ライム、パパイヤ、ピスタチオ、ピーカンナッツ、タマリンド、タンジェリン、又はクルミを任意に含み得る。
【0061】
本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレートは、従来のチョコレートもしくはプラリネ(及び類似のコンパウンドチョコレート製品)を調製するために使用される方法と本質的に同じ方法で製造することができる。相違は、機能性成分を含む点だけである。機能性成分は、全ての製粉ステップの後にケーシングもしくはフィリングマスの中に導入するのが好ましいが、その主な理由は、一部の機能性成分は、長期間にわたって高温に曝露するべきではないからである。さらなる理由として、流動層コーティングプロセスによってカプセル化された成分を使用すると、製粉ステップ中のこれらのカプセル化成分の添加により、カプセルが破壊され、カプセル化成分が露出する恐れがある。成分導入の理想的な段階は、最後のテンパリング段階である。濃度範囲の上限でのアスコルビル脂肪酸エステル、カプセル化キサントフィル、及びカプセル化ビタミンEの添加は、フィリング材料の粘度を上昇させることが分かっている。この影響は、適量の植物性脂肪もしくは乳脂肪のフィリング材料への添加によって補正することができる。
【0062】
本発明のプラリネもしくはコンパウンドチョコレートは、スクロース、すなわちチョコレート型製品に通常存在する糖、又はミルクチョコレート製品に存在するラクトースが、他の糖質、バルク甘味料、又は強い甘味料によって補足される、又はその一部もしくは全体が置換されている様々なものも含む。血糖作用(血糖を上昇させる能力)の低い食品は、減量における食事管理、糖尿病患者、及び心臓病及び高血圧のリスクの低減において重要な役割を有することが科学的に立証された。Leeds Aらの論文、American Journal of Clinical Nutrition 62 (付録) (1998) : 1161S-1168S。血糖作用が低減された本発明のプラリネもしくはコンパウンドチョコレートを製造するために、製造に使用されるチョコレートもしくはコンパウンドチョコレートベース中の糖は、その一部もしくは全体を、単独もしくは様々な組み合わせで使用される他の糖質、バルク甘味料、又は強い甘味料で置換することができる。チョコレート製造分野の技術者であれば、代替の糖質、バルク甘味料、及び/又は強い甘味料を含む高品質の低グリセミック指数チョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品を製造するために製造プロセスを変更する必要があるかどうか、及びどのように変更するかを周知している。
【0063】
典型的な代替の糖質には、限定されるものではないが、フルクトース、タガトース、ラクトース、イソマルツロース、トレハロース、ポリデキストロース、及びイヌリンが含まれる。典型的なバルク甘味料もしくは糖アルコールには、限定されるものではないが、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、マルチトール、イソマルト(2種の二糖アルコールの1:1の組み合わせ)、及びラクチトールが含まれる。強い甘味料には、限定されるものではないが、アセスルファミンカリウム、アリターム、アスパルテーム、アスパラギン酸-アセサルフェーム塩、シクラメート、ネオテーム、サッカリン、ステビア、スクラロース、及びタウマチンが含まれる。強い甘味料はまた、天然植物抽出物、例えば、植物ステビア由来のステビア配糖体、又はタウマチン、すなわち西アフリカ産植物由来の甘味タンパク質をたとえ含んでいても「人工甘味料」とも呼ばれることに留意されたい。
【0064】
代替の糖質、バルク甘味料、及び強い甘味料は、しばしば、低グリセミック指数チョコレートを作るために組み合わせて使用される。例えば、糖尿病用チョコレートは、ポリデキストロース及び/又は二糖アルコール(例えば、マルチトールもしくはラクチトール)で作られ、強い甘味料(例えば、アスパルテームもしくはスクラロース(Sucalose))で甘みが強められている。このような製品のやや単調な甘みを改善するために、低レベルの単糖類の糖もしくはアルコールを添加することができる(例えば、6%フルクトース、5%キシリトール、又は4%エリトリトール)。単糖類の糖及びアルコールのレベルは、高濃度で使用すると、これらの化合物が少々チクチクする焼けるような後味を発生させるため、典型的には低レベルに維持される。また、高レベルの糖アルコールは、望ましくない下痢作用を有する。
【0065】
本発明はまた、眼の疾患、特に黄斑変性症及び白内障形成の治療もしくは予防のための方法、又は全般的な眼の健康の維持もしくは向上のための方法も包含し、この方法は、このような治療を必要とする対象に1日量の本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品を毎日投与することを含む。この治療は、別の栄養補助食品、例えば、ω-3脂肪酸を含む栄養補助剤の共投与によって拡大することができる。ω-3脂肪酸はまた、眼の健康に有効であると見なされている。用語「共投与」は、本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品が投与される同じ日に栄養補助剤が投与され、該栄養補助剤が、本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品と同時、その前、又は後で摂取され得ることを意味すると理解されている。
【0066】
また、眼の疾患、例えば、黄斑変性症及び白内障形成の予防もしくは実際の治療を必要とする対象又は他の消費者が、ピルもしくはゲルキャップ形態の従来の栄養補助剤と本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品との交互の摂取を望む可能性も考えられる。したがって、本発明の製品が、1週間の治療で少なくとも1回の本発明の製品の投与として本明細書で定義される、対象の投与計画の正規の一部を構成する限り、対象が従来の栄養補助剤と本発明の製品とを切り替える治療も、本発明の範囲内であると見なされる。
【0067】
眼の疾患の予防もしくは実際の治療の上記の方法では、本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品は、眼の疾患、例えば、黄斑変性症もしくは白内障形成の治療又は予防用の薬剤として使用される。
【0068】
最後に、1週間、2週間、もしくは1ヶ月の使用、又は一般的な健康目的での使用に十分な数量の本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品を含むキットも本発明に包含される。
【0069】
このようなキットは、キットの形態で提供されるチョコレートもしくはコンパウンドチョコレートを含むことになり、該キットは、治療中のいかなる時点でも消費者に治療の状態を知らせることになる包装を含む。キットは、例えば、望ましい摂取に誘導する1日、1週間、及び1ヶ月の計画されたチョコレート消費を示す二重もしくは三重の包装、ラベル、及び図解パンフレットを含むパッケージデザインを含んでも良く、かつ反復的な重複ラベル、後に消費される特定のチョコレート片へのアクセスを制限する物理的障壁、並びに望ましい消費動態を思い出させて確認させ、したがってキット形式によって治療遵守させようとする他の方法も含み得る。
【0070】
本明細書で言及される全ての刊行物は、それらの全容が本明細書に組み込まれていると見なすものとする。本発明は、以下の実施例によってさらに詳述される。それらの実施例は、例証目的で当業者に示すものであり、添付の特許請求の範囲で説明される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。したがって、本発明は、記載される実施例に限定されるものと解釈するべきではなく、むしろ、本明細書に記載された教示の結果として明らかになる全ての変更形態を包含すると解釈するべきである。
【実施例】
【0071】
(実施例1:分析方法)
ビタミンE:チョコレートサンプル(プラリネの分離されたシェルもしくはフィリング)を不活性雰囲気下で鹸化する。検体をジエチルエーテルにより抽出して、窒素で蒸発させて乾燥させる。再溶解した抽出物を、RP-HPLC及び蛍光検出を使用して分析する。検体の定量を、外部分析標準のDL-α-トコフェロールを使用して行う。鹸化ステップ及び抽出ステップは、回復実験を行うことによって制御する。
【0072】
ビタミンC:検体をジオキサン/メタノール/リン酸によりチョコレートサンプル(プラリネの分離されたシェルもしくはフィリング)から抽出し、RP-HPLC及びUV検出を使用して分析する。検体の定量を、外部分析標準のパルミチン酸アスコルビルを使用して行い、遊離アスコルビン酸の量を算出する。抽出ステップは、回復実験を行うことによって制御する。
【0073】
ルテイン/ゼアキサンチン:チョコレートサンプル(プラリネの分離されたシェルもしくはフィリング)を不活性雰囲気下で鹸化する。検体をジエチルエーテルにより抽出して、窒素で蒸発させて乾燥させる。再溶解した抽出物を、RP-HPLC及びUV検出を使用して分析する。検体の定量を、基準材料としてルテイン/ゼアキサンチン原料を使用して、外部標準法により行う。別法では、ルテイン及びゼアキサンチン用の独立した分析標準を使用する。
【0074】
亜鉛/銅:水、硝酸、及び過酸化水素をチョコレートサンプル(プラリネの分離されたシェルもしくはフィリング)に添加する。懸濁液を、電子レンジ内で圧力をかけて消化する。この消化液を10ml管に移し、一杯まで純水を注ぐ。この溶液を、誘導結合プラズマ発光分析(ICP-OES)により分析する。銅及び亜鉛用の外部分析標準(多標準)を使用して検体の定量を行う。
【0075】
(実施例2:本発明のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品例の調製方法)
1.本発明の製品のケーシングの調製
(a)適量のチョコレートベース(後続の実施例を参照されたい)を約40℃で溶かす、
(b)チョコレートマスをフードミキサーで撹拌しながら、凝集塊ができないように、機能性成分を約2分間の間に順に添加する、
(c)この添加チョコレートマスを、約31℃で約5分間、手動でテンパリングする、
(d)このマスの大部分を28〜30℃で、型(例えば、24のキャビティを有する型)に注ぎ、全てのキャビティを完全に満たし、過剰なチョコレートを除去する一方、ごく一部(チョコレートを閉じるために使用)をホイール装置で31℃〜33℃に保つ、
(e)振動台を使用して、型を約60秒間振動させる、
(f)型を裏返して過剰なチョコレートを流す、
(g)型の重さを量ってチョコレートカップの重さを決定する:必要に応じて、流すプロセスを続ける、
(h)キャビティを下に向けた状態で型を3〜5秒間振動させて、キャビティ内のチョコレートの形状及び均質な分布を最適にする、
(i)型を直立させ、3〜5分間冷却してチョコレートカップを硬化させる、そして
(j)型を12℃の冷蔵庫に入れ、約20分間放置する。
【0076】
2.本発明の製品のフィリングの調製
(a)フィリングチョコレートを40℃に加熱する、
(b)フィリングマスをフードミキサーで撹拌しながら、凝集塊ができないように、機能性成分を約5分間の間に順に添加する、そして
(c)添加フィリングマスを、約30℃で約5分間、手動でテンパリングする。
【0077】
3.チョコレートカップの充填:
(a)ステップ2のフィリングマス(30℃)を絞り袋に入れる、
(b)型を秤に載せる、
(c)フィリングマスを各カップに添加し、各カップに添加するフィリングの正確な量を、増加した型の重量に基づいて推計する、そして、
(d)型を10℃の冷蔵庫に入れ、約30分間放置する。
【0078】
4.チョコレートカップの閉鎖:
(a)型を冷蔵庫から取り出して、開口したチョコレートカップに熱を加えてその縁を柔らかくする、
(b)型を、液体添加チョコレートマスを含むホイール装置のカーテン(チョコレートの「滝」)の下に配置する(ステップ1dを参照)、
(c)満たされた型を秤に載せ、必要に応じて過剰なチョコレートを除去して指定された重量制限の範囲内に保つ、
(d)続いて、型を10℃の冷蔵庫に入れ、約20分間放置する、そして
(e)型を裏返して完成したチョコレートを取り出す。
【0079】
5.完成したチョコレートを、銀のホイルバッグに入れて(真空をかけずに)密封する。
【0080】
6.包装したチョコレートを冷暗所(約19℃;湿度約60%)で保存する。
【0081】
上記のプロセスの説明は、実施される一般的な手順を例証している;この手順は、使用するチョコレートもしくはコンパウンドチョコレートベース、脂肪、及び機能性成分の特性の差異に対処するために僅かに変更される。
【0082】
以下の実施例は、本発明のチョコレート及びコンパウンドチョコレート製品の配合表を示す。これらの配合表は、10kgのバッチについてのものである。このようなバッチから、それぞれが約13gの760のチョコレートもしくは製品を製造することができる。
【0083】
(実施例3:本発明のチョコレート、A型)
【表9】

【0084】
(実施例4:本発明のチョコレート、B型)
【表10】

【0085】
(実施例5:本発明のチョコレート、C型)
【表11】

【0086】
(実施例6:本発明のチョコレート、D型)
【表12】

【0087】
(実施例7:本発明のチョコレート、E型)
【表13】

【0088】
(実施例8:本発明のチョコレート、F型)
【表14】

【0089】
(実施例9:本発明のチョコレート、G型)
【表15】

【0090】
(実施例10:本発明のチョコレート、H型)
【表16】

【0091】
(実施例11:本発明のチョコレート、I型)
【表17】

【0092】
(実施例12:本発明のチョコレート、J型)
【表18】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、銅、及び任意にキサントフィルを含む添加機能性成分を含むチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品であって、ケーシング及びフィリングを有し、少なくとも該ビタミンC、ビタミンE、及びキサントフィルが、該フィリングに含められ、該成分が、本質的に化学的に安定であり、かつ該チョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品の保存可能期間中に典型的な消費者が感じる舌触り又は味覚効果を生じさせないが、その条件として、該チョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品1g当たり、該添加ビタミンCの濃度が約75mg以下、該添加ビタミンEの濃度が約45mg、該添加亜鉛の濃度が約3mg、該添加銅の濃度が約0.4mg、かつ該添加キサントフィルの濃度が約2.6mgである、前記チョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項2】
前記保存可能期間が少なくとも3ヶ月である、請求項1記載のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項3】
1種以上の添加香味料をさらに含み、該香味料が、前記フィリングに含められる、請求項1又は2記載のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項4】
前記香味料が、ミント、オレンジ、スパイシーオレンジ、キャラメル、バタースコッチ、バニラ、コーヒー、シナモン、コショウ、チリ、ラズベリー、イチゴ、ショウガ、ヘーゼルナッツ、蜂蜜、レモン、ライム、パパイヤ、ピスタチオ、ピーカンナッツ、タマリンド、タンジェリン、及びクルミからなる群から選択され、該香味料が、エッセンス、抽出物、又は乾燥型の形態を含む任意の形態で添加される、請求項3記載のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項5】
前記ビタミンCが、パルミチルエステル、ラウリルエステル、ココイルエステル、オレイルエステル、又はステアリルエステルとして添加される、請求項1〜4のいずれか1項記載のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項6】
前記ビタミンCが、パルミチルエステルとして添加される、請求項1〜5のいずれか1項記載のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項7】
前記任意に添加されるキサントフィルが、ルテイン又はルテインとゼアキサンチンとの組み合わせである、請求項1〜6のいずれか1項記載のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項8】
前記ビタミンE、銅、及びキサントフィル(含められる場合)が、カプセル化成分として添加される、請求項1〜7のいずれか1項記載のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項9】
前記亜鉛も、カプセル化成分として添加される、請求項8記載のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項10】
流動層コーティングプロセスを用いて全てのカプセル化成分を製造する、請求項8又は9記載のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項11】
前記カプセル化成分の平均粒径が約100μmよりも大きい、請求項8〜10のいずれか1項記載のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項12】
銅と亜鉛、又はキサントフィルとビタミンEが、共カプセル化の後に添加される、請求項8〜11記載のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項13】
前記亜鉛及び銅の一方又は両方が、前記ケーシング中に存在する、請求項1〜12のいずれか1項記載のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項14】
前記亜鉛が、カプセル化もしくは非カプセル化の、酸化亜鉛、又は硫酸塩、塩化物塩、酢酸塩、グルコン酸塩、アスコルビン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、ピコリン酸塩、オロチン酸塩、もしくはトランスフェリン塩の形態である亜鉛塩として添加される、請求項1〜13のいずれか1項記載のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項15】
前記銅が、L-アラニン酸第二銅、炭酸第二銅、塩化第二銅、クエン酸第二銅、グルコン酸第二銅、グリシン酸第二銅、酸化第二銅、サリチル酸第二銅、硫酸第二銅、もしくは酒石酸第二銅を含む、カプセル化酸化第二銅もしくは、第二銅塩の形態で添加される、請求項1〜14のいずれか1項記載のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項16】
前記ビタミンEが、カプセル化された酢酸DL-α-トコフェロール、DL-α-トコフェロール、酢酸d-α-トコフェロール、d-α-トコフェロール、又は天然物から単離されたビタミンEの形態で添加される、請求項1〜15のいずれか1項記載のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項17】
前記ケーシングが、ダークチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート、及びダーク、ミルク、又はホワイトチョコレートフレーバーのコンパウンドチョコレートからなる群から選択される、請求項1〜16のいずれか1項記載のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項18】
前記ケーシングが、ダークチョコレートもしくはミルクチョコレートである、請求項1〜17のいずれか1項記載のチョコレート。
【請求項19】
前記フィリングが、ダークチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート、及びダーク、ミルク、又はホワイトチョコレートフレーバーのコンパウンドチョコレートからなる群から選択される、請求項1〜18のいずれか1項記載のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項20】
前記フィリングが、ミルクチョコレートフレーバーのコンパウンドチョコレートである、請求項1〜19のいずれか1項記載のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項21】
前記ケーシングもしくは前記フィリングに含められる通常の構成糖、例えば、スクロースもしくはラクトースが、代替の糖質、バルク甘味料、及び強い甘味料の1種以上で補足される、又はその全体もしくは一部が置換されている、請求項1〜20のいずれか1項記載のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項22】
前記代替の糖質が、フルクトース、タガトース、ラクトース、イソマルトース、トレハロース、ポリデキストロース、及びイヌリンからなる群から選択される1種以上の化合物である、請求項21記載のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項23】
前記バルク甘味料が、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、マルチトール、イソマルト、及びラクチトールからなる群から選択される1種以上の化合物である、請求項21又は22記載のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項24】
前記強い甘味料が、アセスルファミンカリウム、アリターム、アスパルテーム、アスパラギン酸-アセサルフェーム塩、シクラメート、ネオテーム、サッカリン、ステビア、スクラロース、及びタウマチンからなる群から選択される1種以上の化合物である、請求項21〜23記載のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項25】
12〜2000mgの添加ビタミンC、2.5〜1000mgの添加ビタミンE、1.5〜40mgの添加亜鉛、0.15〜10mgの添加銅、及び任意に1.5〜33mgの添加キサントフィルを含む、毎日の摂取を目的とする、請求項1〜24のいずれか1項記載の1つのチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品又は複数のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項26】
180〜1000mgの添加ビタミンC、30〜500mgの添加ビタミンE、5〜30mgの添加亜鉛、1〜2mgの添加銅、及び7〜20mgの添加キサントフィルを含む、毎日の摂取を目的とする、請求項1〜25のいずれか1項記載の1つのチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品又は複数のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項27】
500mgの添加ビタミンC、294mgの添加ビタミンE、25mgの添加亜鉛、1.6mgの添加銅、及び12mgの添加キサントフィルを含む、毎日の摂取を目的とする、請求項1〜26のいずれか1項記載の1つのチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品又は複数のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項28】
請求項1〜27のいずれか1項記載のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品を製造する方法であって、チョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品を調製するステップ、並びに適量の機能性成分、すなわちビタミンC、ビタミンE、亜鉛、銅、及び任意にキサントフィルを、ケーシング及びフィリングの製造に使用される液体チョコレートマスもしくは液体コンパウンドチョコレートマスに添加するさらなるステップを含み、前記添加ステップが、全ての製粉ステップの後に行われる、前記方法。
【請求項29】
対象に毎日投与することを目的とする、眼の疾患の食事による予防及び/又は治療のための、或いは全般的な眼の健康を支援するための請求項1〜27のいずれか1項記載の1つのチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品又は複数のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項30】
治療又は予防される前記疾患が、加齢黄斑変性症もしくは白内障形成である、請求項29記載の製品。
【請求項31】
請求項1〜27のいずれか1項記載の1つのチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品又は複数のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品が、別の栄養補助食品と共に投与される、請求項29記載の製品。
【請求項32】
前記共に投与される前記栄養補助食品がω-3脂肪酸を供給する、請求項31記載の製品。
【請求項33】
眼の疾患の食事による予防及び/又は治療のための、又は全般的な眼の健康を支援するための方法であって、請求項25記載の1つのチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品又は複数のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品、或いは前記チョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品と同じ1種以上の機能性成分を送達することができる別の栄養補助食品を対象に毎日投与するステップを含み、前記対象が、前記1つのチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品又は前記複数のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品を少なくとも1週間に1回投与される、前記方法。
【請求項34】
治療又は予防される前記疾患が、加齢黄斑変性症又は白内障形成である、請求項33記載の方法。
【請求項35】
請求項1〜27のいずれか1項記載の1つのチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品又は複数のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品を含む薬剤。
【請求項36】
黄斑変性症もしくは白内障形成を治療又は予防するための、請求項1〜27のいずれか1項記載の1つのチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品又は複数のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品。
【請求項37】
請求項1〜27のいずれか1項記載の十分な数のチョコレートもしくはコンパウンドチョコレート製品を含む、1週間用、2週間用、もしくは1ヶ月用のキット。

【公表番号】特表2013−520968(P2013−520968A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555327(P2012−555327)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000999
【国際公開番号】WO2011/107259
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(511226878)
【Fターム(参考)】