栓及び内視鏡
【課題】口金に2回装着可能な鉗子栓を提供する。
【解決手段】鉗子栓21の栓本体29に、口金20を挿入する挿入穴32を形成する。栓本体29の内周面に、口金20の挿入方向に沿って、第1係合爪34と第2係合爪36とを設ける。栓本体29の第1係合爪34と第2係合爪36との間に、第1脆弱部45を形成する。栓本体29の第2係合爪36よりも挿入方向奥側に第2脆弱部46を形成する。第1係合爪34と口金20のフランジ25との係合後に栓本体29が口金20の手前側に引っ張り操作されたときに、第1脆弱部45は、第1係合爪34を口金20側に残すように破断する。栓本体29aの内周面には、フランジ25に係合可能な第2係合爪36が残っているので、鉗子栓21を口金20に再度装着することができる。
【解決手段】鉗子栓21の栓本体29に、口金20を挿入する挿入穴32を形成する。栓本体29の内周面に、口金20の挿入方向に沿って、第1係合爪34と第2係合爪36とを設ける。栓本体29の第1係合爪34と第2係合爪36との間に、第1脆弱部45を形成する。栓本体29の第2係合爪36よりも挿入方向奥側に第2脆弱部46を形成する。第1係合爪34と口金20のフランジ25との係合後に栓本体29が口金20の手前側に引っ張り操作されたときに、第1脆弱部45は、第1係合爪34を口金20側に残すように破断する。栓本体29aの内周面には、フランジ25に係合可能な第2係合爪36が残っているので、鉗子栓21を口金20に再度装着することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の鉗子口などの口部に装着される栓、及びこの栓を備える内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から医療分野において、被検者の体内に内視鏡の挿入部を挿入して、体内の観察だけではなく、体内の観察部位に対して各種の処置を行っている(特許文献1参照)。具体的には、鉗子や切開具などの各種処置具を、操作部に設けられた鉗子口から挿入部内の鉗子チャンネルに挿通させて挿入部先端に開口した鉗子出口から導出させることにより、観察部位の切除、採取等の各種の処置が行われる。
【0003】
鉗子口には、処置具を挿通可能な円筒状の鉗子栓が装着されている。この鉗子栓は、体内の内圧の変化等によって、体内の体液、汚物、空気等が鉗子口から外部に洩れ出ることを防止している。この鉗子栓の内部には、処置具が挿通可能なスリットが形成されている。スリットは、処置具の挿通時にはスリット縁部が処置具に密着することで鉗子口からの体液等の漏出を防止する。このような鉗子栓としては、使用により体液等が付着するため、感染防止の観点から使用毎に新たなものと交換するように、再使用が不可能なディスポタイプのものが一般的である。
【0004】
特許文献2及び3には、栓体の一部を破断させることで鉗子口金から取り外し可能になる鉗子栓が開示されている。また、特許文献4には、栓本体と、鉗子口に係合する係合部とを備え、両者の間に切り込みが形成されている鉗子栓が開示されている。この鉗子栓は、栓本体に対する引っ張り操作により栓本体と係合部との間が破断することで、再使用が不可能になる。特許文献2〜4の鉗子栓では、鉗子口からの取り外しの際に破壊が伴うので、再使用が不可能になる。その結果、使用済みの鉗子栓が誤って再使用されることが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−036426号公報
【特許文献2】特開2008−043774号公報
【特許文献3】特開2006−346197号公報
【特許文献4】特開2006−055446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
処置具は、その種類が異なれば径の大きさも変わる場合がある。このため、鉗子栓には、使用する処置具の径に応じてスリットのサイズが異なる複数の種類がある。従って、鉗子口には、使用する処置具に対応する種類の鉗子栓が装着される。この際に、各種の鉗子栓は外観が似ているので、誤って別の種類の鉗子栓を鉗子口に装着するおそれがある。このような場合に、特許文献2〜4の鉗子栓は、鉗子口から取り外されたときに破壊されてしまうので、例え未使用であったとしても鉗子口に再度装着することはできない。その結果、未使用の鉗子栓を破棄しなければならず、鉗子栓が無駄になってしまう。
【0007】
また、1人の被検者に対して挿入部の外径(鉗子チャンネルの径)や挿入部の長さの異なる複数の内視鏡を用いて観察や処置を行う場合がある。このような場合には、鉗子口から一度取り外した鉗子栓の再使用が望まれるが、特許文献2〜4の鉗子栓は、鉗子口から取り外されたときに破壊されてしまう。このため、新品の鉗子栓を使用する必要が生じる。
【0008】
本発明の目的は、少なくとも1回の装着ミス等では使用不能にはならない内視鏡用の栓、及びこれを備える内視鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の内視鏡用の栓は、内視鏡の内部に挿通されたチャンネルに通じるように前記内視鏡に設けられた略筒状の口部に装着される栓において、前記口部が挿入される挿入穴を有する筒状の栓本体と、前記栓本体の内周面に設けられており、かつ前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第1係合部と、前記第1係合部よりも前記口部の挿入方向奥側に位置するように前記栓本体に形成されており、前記第1係合部と前記口部の係合後に前記栓本体が前記口部の手前側に引っ張り操作されたときに、前記第1係合部が前記栓本体から切り離されるように破断する第1脆弱部と、前記第1脆弱部よりも前記挿入方向奥側に位置するように前記栓本体の内周面に設けられており、前記第1脆弱部の破断後に前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第2係合部と、前記第2係合部よりも前記挿入方向奥側に位置するように前記栓本体に形成された第2脆弱部であって、前記第1脆弱部よりも高い強度を有しており、前記第2係合部と前記口部の係合後に前記栓本体が前記引っ張り操作されたときに、前記第2係合部が前記栓本体から切り離されるように破断する第2脆弱部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
前記第1脆弱部は、前記栓本体の内周面に設けられた環状の内周溝と、前記栓本体の外周面に設けられた環状の外周溝とにより形成されており、前記第2脆弱部は、前記栓本体の外周面に設けられた環状の外周溝により形成されることが好ましい。
【0011】
また、本発明の内視鏡用の栓は、内視鏡の内部に挿通されたチャンネルに通じるように前記内視鏡に設けられた略筒状の口部に装着される栓において、前記口部が挿入される挿入穴を有する筒状の栓本体と、前記栓本体の内周面に設けられており、かつ前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第1係合部と、前記第1係合部よりも前記口部の挿入方向奥側に位置するように前記栓本体に形成されており、前記第1係合部と前記口部の係合後に前記栓本体が前記口部の手前側に引っ張り操作されたときに、前記第1係合部が前記栓本体から切り離されるように破断する脆弱部と、前記脆弱部よりも前記挿入方向奥側に位置するように前記栓本体の内周面に設けられており、前記脆弱部の破断後に前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第2係合部であって、その少なくとも一部が前記栓本体よりも強度が低くなるように形成されている第2係合部と、を備え、前記第2係合部は、前記口部の外周面との係合後に前記栓本体が前記引っ張り操作されたときに破壊されることを特徴とする。
【0012】
前記第2係合部の少なくとも一部が前記栓本体よりも強度の低い材料で形成されていることが好ましい。
【0013】
また、本発明の内視鏡用の栓は、内視鏡の内部に挿通されたチャンネルに通じるように前記内視鏡に設けられた略筒状の口部に装着される栓において、前記口部が挿入される挿入穴を有する筒状の栓本体と、前記栓本体の内周面に設けられており、かつ前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第1係合部と、前記第1係合部よりも前記口部の挿入方向奥側に位置するように前記栓本体に形成されており、前記第1係合部と前記口部の係合後に前記栓本体が前記口部の手前側に引っ張り操作されたときに、前記第1係合部が前記栓本体から切り離されるように破断する脆弱部と、前記脆弱部よりも前記挿入方向奥側に位置するように前記栓本体の内周面に設けられており、前記脆弱部の破断後に前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第2係合部であって、前記外周面との係合を解除するための破壊操作を受けたときに破壊される第2係合部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
前記第2係合部は、その少なくとも一部が前記栓本体から分離可能に形成されており、前記破壊操作を受けたときに前記少なくとも一部が前記栓本体から分離されることが好ましい。
【0015】
また、本発明の内視鏡用の栓は、内視鏡の内部に挿通されたチャンネルに通じるように前記内視鏡に設けられた略筒状の口部に装着される栓において、前記口部が挿入される挿入穴を有する筒状の栓本体と、前記栓本体の内周面に設けられており、かつ前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第1係合部であって、前記外周面との係合を解除するための破壊操作を受けたときに破壊される第1係合部と、前記第1係合部よりも前記口部の挿入方向奥側に位置するように前記栓本体に形成された脆弱部であって、前記破壊操作により破壊された前記第1係合部が前記栓本体から切り離されるように破断可能な脆弱部と、前記脆弱部よりも前記挿入方向奥側に位置するように前記栓本体の内周面に設けられており、かつ前記脆弱部の破断後に前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第2係合部であって、前記外周面との係合を解除するための破壊操作を受けたときに破壊される第2係合部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
前記第1係合部及び前記第2係合部はそれぞれの少なくとも一部が前記栓本体から分離可能に形成されており、前記第1係合部及び前記第2係合部は、それぞれ前記破壊操作を受けたときに前記少なくとも一部が前記栓本体から分離されることが好ましい。
【0017】
前記脆弱部は、前記栓本体の内周面に設けられた環状の内周溝と、前記栓本体の外周面に設けられた環状の外周溝との少なくともいずれか一方により形成されることが好ましい。
【0018】
前記第1係合部及び第2係合部は、前記口部の外周面に設けられたフランジにそれぞれ係合する第1係合爪、第2係合爪であることが好ましい。
【0019】
前記第1係合爪及び第2係合爪は、前記栓本体の内周面の周方向に沿って環状に形成されていることが好ましい。
【0020】
また、本発明の内視鏡は、被検体内に挿入される挿入部と、前記挿入部の基端部に接続された操作部と、前記操作部内に設けられたチャンネルであって、挿入部の先端に設けられた開口に連通するチャンネルと、前記操作部の外表面に設けられており、前記チャンネルに通じる筒状の口部と、前記口部に装着される請求項1ないし11いずれか1項記載の栓と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の栓及び内視鏡は、栓を口部に2回装着することができるので、1回の装着ミスなどで栓を破棄する必要がなくなる。その結果、医療機関における栓の消耗数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】内視鏡の斜視図である。
【図2】鉗子栓及び口金の断面図である。
【図3】鉗子栓及び口金の分解断面図である。
【図4】第1及び第2脆弱部の拡大断面図である。
【図5】口金への装着前の鉗子栓の断面図である。
【図6】口金から取り外される前の鉗子栓の断面図である。
【図7】口金から取り外された後の鉗子栓の断面図である。
【図8】口金に2回装着される前の鉗子栓の断面図である。
【図9】口金に2回装着された鉗子栓の断面図である。
【図10】口金から2回目に取り外される前の鉗子栓の断面図である。
【図11】口金から2回取り外された後の鉗子栓の断面図である。
【図12】口金に3回装着可能な他実施形態の鉗子栓の断面図である。
【図13】破断可能な第2係合爪を備える第2実施形態の鉗子栓の断面図である。
【図14】第2実施形態の鉗子栓の斜視図である。
【図15】口金から2回取り外された後の鉗子栓の断面図である。
【図16】口金からの2回目の取り外し時に第2係合爪の一部を破壊する第3実施形態の鉗子栓の断面図である。
【図17】第3実施形態の鉗子栓の断面図である。
【図18】図16中のA1−A1線に沿った断面図である。
【図19】口金から2回目に取り外される前の鉗子栓の断面図である。
【図20】破壊操作部の操作により第2係合爪の一部が破壊された鉗子栓の断面図である。
【図21】破壊操作部の操作により一部が破壊された第2係合爪の上面図である。
【図22】口金から2回取り外された後の鉗子栓の断面図である。
【図23】第3実施形態とは異なる破壊操作部を備える他実施形態の鉗子栓の断面図である。
【図24】口金から2回取り外される前の鉗子栓の断面図である。
【図25】破壊操作部の操作により第2係合爪が栓本体から分離された鉗子栓の断面図である。
【図26】口金からの1回目の取り外し時に第1係合爪の一部を破壊する第4実施形態の鉗子栓の断面図である。
【図27】第4実施形態の鉗子栓の斜視図である。
【図28】口金から1回目に取り外される前の鉗子栓の断面図である。
【図29】破壊操作部の操作により第1係合爪の一部が破壊された鉗子栓の断面図である。
【図30】口金から1回取り外された後の鉗子栓の断面図である。
【図31】一部が破壊された第1係合爪が分離された後の鉗子栓の断面図である。
【図32】口金に2回装着される鉗子栓の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態]
図1に示すように、内視鏡10は、例えば気管に挿入する気管支鏡である。この内視鏡10は、気管内に挿入される挿入部11と、操作部12と、ユニバーサルコード13とを備える。操作部12は、挿入部11の基端部に連設されている。ユニバーサルコード13の一端は操作部12に接続し、他端は複合タイプのコネクタ13aを介して図示しないプロセッサ装置や光源装置などに接続している。
【0024】
挿入部11は、その先端側から基端側に向かって順に、先端硬性部11aと、湾曲自在な湾曲部11bと、可撓性を有する可撓管部11cとを有している。先端硬性部11aの先端面には、鉗子等の処置具14の出口である鉗子出口15や、図示は省略するが観察窓や照明窓が設けられている。観察窓の奥にはイメージセンサ(図示せず)などが設けられ、照明窓の奥には光ファイバケーブル(図示せず)が設けられている。イメージセンサの信号線や光ファイバケーブルは、挿入部11、操作部12、ユニバーサルコード13、及びコネクタ13a内を通って、プロセッサ装置、光源装置にそれぞれ接続する。
【0025】
挿入部11内には、処置具14を挿通するための鉗子チャンネル16が配設されている。鉗子チャンネル16の一端は鉗子出口15に接続し、他端は操作部12に設けられた鉗子口17に接続している。また、鉗子チャンネル16は、鉗子出口15から血液等の体液や体内汚物等の固形物などを吸引するための経路としても用いられる。操作部12内には、鉗子チャンネル16から分岐した吸引チャンネル(図示せず)が配設されている。この吸引チャンネルは、操作部12に設けられた吸引ボタン18に接続している。
【0026】
吸引ボタン18は、操作部12外において負圧源(図示せず)に接続している。吸引ボタン18は、押圧操作またはその押圧操作の解除により、吸引チャンネルと負圧源との連通/遮断を切り替える。
【0027】
鉗子口17には、本発明の口部に相当する口金20(図2参照)が設けられている。この口金20には、本発明の栓に相当し、処置具14が挿通可能なディスポタイプの鉗子栓21が装着されている。鉗子栓21は、処置具14により処置を行う際に体内の体液、汚物、空気等が鉗子チャンネル16内を漏出して口金20から外部に漏れることを防止する。この鉗子栓21は、口金20に2回装着することができる。このため、鉗子栓21は、口金20から1回取り外しても、もう1回だけ口金20に装着することができる。
【0028】
図2及び図3に示すように、口金20は、鉗子チャンネル16に通じる内部管路23を有している。口金20は、鉗子口17の内部に固定された口金本体部20aと、鉗子口17の開口の手前側に突出した口金先端部20bとを有している。
【0029】
口金先端部20bは、その外径が口金本体部20aの外径よりも一回り小さく形成されている。口金先端部20bの外周面の先端側には、鉗子栓21と係合するフランジ25が形成されている。フランジ25の先端面(以下、フランジ先端面という)25aは、フランジ25の先端が細径となるような傾斜面である。また、フランジ25の後端面(以下、フランジ後端面という)25bは、口金20の軸方向に対して垂直な平面である。
【0030】
鉗子栓21は、栓本体29及び蓋30を有している。栓本体29及び蓋30はゴムなどの弾性材料で形成されている。栓本体29は円筒形状を有している。栓本体29には、その内周面によって挿入穴32が形成されている。挿入穴32の一端側(鉗子口17側)は、口金挿入口32aとして開放されている。また、挿入穴32の他端側は、処置具挿入口32bとして開放されている。口金挿入口32aからは口金先端部20bが挿入され、処置具挿入口32bからは処置具14が挿入される。
【0031】
栓本体29の内周面には、口金挿入口32aから処置具挿入口32bに向かう口金20の挿入方向(以下、単に挿入方向という)に沿って、第1係合爪34、第1収納溝35、第2係合爪36、第2収納溝37、及び仕切り壁38が順番に形成されている。なお、これらは栓本体29と一体に形成されている。
【0032】
第1係合爪34は、口金挿入口32aの近傍の位置で、栓本体29の内周面の周方向に沿って環状に形成されている。第1係合爪34は、鉗子栓21の1回目の装着時に、挿入穴32内に挿入された口金先端部20bのフランジ25と係合する。
【0033】
第1係合爪34の口金挿入口32a側の端面は、フランジ先端面25aと同方向に傾斜した傾斜面(以下、爪傾斜面という)34aに形成されている。また、第1係合爪34の処置具挿入口32b側の端面は、フランジ後端面25bと平行な平面(以下、爪平面という)34bに形成されている。爪平面34bは、第1係合爪34がフランジ25に係合したときに、フランジ後端面25bに引っ掛けられる。これにより、口金20の手前方向側への第1係合爪34の移動が規制される。
【0034】
第1収納溝35は、第1係合爪34に隣接した位置で、挿入穴32の内周面の周方向に沿って環状に形成されている。第1収納溝35には、第1係合爪34と係合したフランジ25が収納される。
【0035】
第2係合爪36は、第1収納溝35に対して間隔をあけた位置で、第1係合爪34と同形状に形成されている。第2係合爪36は、鉗子栓21の2回目の装着時に、挿入穴32内に挿入された口金先端部20bのフランジ25と係合する。この第2係合爪36は、フランジ先端面25aと同方向に傾斜した爪傾斜面36aと、フランジ後端面25bと平行な爪平面36bとを有している。爪平面36bは、第2係合爪36がフランジ25に係合したときに、フランジ後端面25bに引っ掛けられる。これにより、口金20の手前方向側への第2係合爪36の移動が規制される。
【0036】
第2収納溝37は、第2係合爪36に隣接した位置で、第1収納溝35と同形状に形成されている。第2収納溝37には、第2係合爪36と係合したフランジ25が収納される。
【0037】
仕切り壁38は、挿入穴32内をその軸方向に仕切る。仕切り壁38には、処置具14を挿入する小穴38aが形成されている。小穴38aは、処置具14の外径よりも小径に形成されている。このため、小穴38aに処置具14が挿通されたときに、小穴38aの内面が処置具14に密着する。これにより、小穴38aへの処置具14の挿通時に、体内の体液、汚物、空気等が小穴38aから漏出することが防止される。小穴38aの径は、使用する処置具14の径の大きさに応じて定められている。
【0038】
蓋30は、処置具挿入口32bに嵌合する。蓋30には、処置具14を挿通可能なスリット40が形成されている。これにより、処置具14をスリット40から挿入穴32内に挿入することができる。
【0039】
スリット40は、処置具14の非挿通時には、蓋30の弾性力によって閉じた状態となって水密・気密状態を保持する。また、スリット40は、処置具14が挿通した状態では、蓋30の弾性力によってスリット縁部が処置具14の外周面に密着した状態になる。これにより、処置具14の非挿通時及び挿通時のいずれにおいても体液等の漏出を防止することができる。スリット40の長さは、使用する処置具14の径の大きさに応じて定められている。
【0040】
栓本体29には、第1脆弱部45及び第2脆弱部46が形成されている。第1脆弱部45及び第2脆弱部46は、栓本体29の他の部分よりも薄肉に形成されており強度が弱くなる。
【0041】
図4に示すように、第1脆弱部45は、第1収納溝35と第2係合爪36の間に形成されている。第1脆弱部45は、栓本体29の内外周面の周方向に沿って形成された環状の内周溝45a、外周溝45bにより栓本体29の他の部分よりも薄肉化されている。第1脆弱部45は、第1係合爪34とフランジ25との係合後に栓本体29が口金20の手前側に向けて引っ張り操作されたときに、第1係合爪34とフランジ25との係合解除に要する力よりも小さい力で破断する。
【0042】
第2脆弱部46は、第2係合爪36よりも挿入方向奥側に形成されている。なお、ここでいう「挿入方向」とは、挿入穴32内に口金20を挿入する方向である。第2脆弱部46は、栓本体29の外周面にその周方向に沿って形成された環状の外周溝46aにより栓本体29の他の部分よりも薄肉化されている。第2脆弱部46は、第2係合爪36とフランジ25との係合後に栓本体29が引っ張り操作されたときに、第2係合爪36とフランジ25との係合解除に要する力よりも小さい力で破断する。また、第2脆弱部46は、第1脆弱部45よりも厚肉で高い強度を有している。このため、第1係合爪34とフランジ25との係合後に栓本体29が引っ張り操作されたときに、第2脆弱部46が第1脆弱部45よりも先に破断することはない。
【0043】
次に、上記構成の鉗子栓21の作用、特に口金20への鉗子栓21の装着及び取り外し方法について説明を行う。最初に図5に示すように、口金先端部20bの中心に対して口金挿入口32aの中心が一致するように、鉗子栓21の位置調整を行う。次いで、鉗子栓21を口金先端部20bに向けて押し付ける押付操作を行う。これにより、口金先端部20b及びフランジ25が口金挿入口32aから挿入穴32内に挿入される。
【0044】
挿入穴32内に挿入されたフランジ25は、第1係合爪34に接触する。第1係合爪34の爪傾斜面34aがフランジ先端面25aにより押圧されることで、第1係合爪34が次第に拡径変形する。そして、鉗子栓21の押付操作を継続すると、第1係合爪34がフランジ25を乗り越えて元の形状に復元する。これにより、第1係合爪34がフランジ25に係合する。以上で鉗子栓21の装着が完了する。
【0045】
この際に、これらから使用する処置具14の種類に対応していない鉗子栓21を誤って口金20に装着した場合には、この鉗子栓21を口金20から取り外す。
【0046】
図6に示すように、最初に、栓本体29が口金20の手前方向(以下、手前方向という)に向けて引っ張り操作される。このとき、第1係合爪34の爪平面34bがフランジ後端面25bに引っ掛かることにより、第1係合爪34の手前方向側への移動が規制される。
【0047】
図7に示すように、引っ張り操作の力を強めると、第1係合爪34とフランジ25との係合が解除される前に、この力に第1脆弱部45が耐えられなくなり破断する。これにより、第1係合爪34が栓本体29から切り離されるので、鉗子栓21は、第1係合爪34を口金20に残した状態で口金20から取り外される。ここで、口金20から1回取り外された鉗子栓には符号21aを付す。また、この鉗子栓21aの栓本体には符号29aを付す。
【0048】
栓本体29aの挿入穴32は、その一端側が口金先端部20bを挿入可能な口金挿入口32cとして開放される。また、栓本体29aの内周面には、フランジ25に係合可能な第2係合爪36が残っている。このため、鉗子栓21aは、もう1回だけ口金20に装着することができる。これにより、装着ミス等で口金20から取り外した未使用の鉗子栓21aを破棄する必要がなくなり、この鉗子栓21aが無駄になることが防止される。
【0049】
鉗子栓21aに対応した処置具14を使用する場合には、挿入部11を被検者の体内に挿入する前に、先に取り外した鉗子栓21aを口金20に装着する。図8に示すように、鉗子栓21aを口金先端部20bに押し付ける押付操作を行い、口金挿入口32cから挿入穴32内へ口金先端部20b及びフランジ25を挿入させる。
【0050】
図9に示すように、押付操作により第2係合爪36がフランジ25に係合することで、鉗子栓21aが口金20に装着される。次いで、挿入部11を被検者の体内に挿入した後、観察しながら挿入部11の先端を体内の所望の位置に到達させる。そして、処置具14が鉗子栓21aから鉗子チャンネル16に挿入されて各種の処置が施される。内視鏡検査及び処置が終了した後、鉗子栓21aの取り外しが開始される。
【0051】
図10に示すように、栓本体29aに対して手前方向に引っ張り操作がなされる。このとき、第2係合爪36の爪平面36bがフランジ後端面25bに引っ掛かることにより、第2係合爪36の手前方向側への移動が規制される。
【0052】
図11に示すように、引っ張り操作の力をさらに強めると、第2係合爪36とフランジ25との係合が解除される前に、この力に第2脆弱部46が耐えられなくなり破断する。これにより、第2係合爪36が栓本体29から切り離されるので、鉗子栓21aは、第2係合爪36を口金20に残した状態で口金20から取り外される。ここで、口金20から2回取り外された鉗子栓には符号21bを付す。
【0053】
鉗子栓21bには、口金20のフランジ25に係合可能な係合爪が残っていない。このため、鉗子栓21bを口金20に再度装着することはできないので、鉗子栓21bの再使用は不可能となる。1回の装着ミス等で未使用の鉗子栓を廃棄する必要がなくなるので、医療機関における鉗子栓の消耗数を減らすことができる。また、1人の被検者に対して同じ処置具を再度使用して処置を行う場合などにも、新品の鉗子栓を口金20に装着する必要がなくなるので、同様の効果が得られる。さらに、1人の被検者に対して挿入部の外径(鉗子チャンネルの径)や挿入部の長さの異なる複数の内視鏡を用いて観察や処置を行う場合などに、先に使用した内視鏡に装着された鉗子栓21を取り外して、次に使用する内視鏡に装着することができる。このような場合は、従来では2個の鉗子栓が必要であったが、本発明では1個の鉗子栓で対応することができるので、医療機関における鉗子栓の消耗数を減らすことができる。
【0054】
上記第1実施形態の鉗子栓21は口金20に2回装着可能であるが、例えば、図12に示す鉗子栓50のように口金20に3回装着可能であってもよい。この鉗子栓50は、鉗子栓21と基本的には同じ構成であるので、鉗子栓21と機能・構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0055】
鉗子栓50の栓本体51の内周面には、第1〜第2係合爪34,36等の他に、第3係合爪53及び第3収納溝54が形成されている。第3係合爪53は、第1〜第2係合爪34,36と基本的に同じものであり、第2脆弱部46よりも挿入方向奥側の位置に形成されている。第3収納溝54は、第1〜第2収納溝35,37と基本的に同じものであり、第3係合爪53の挿入方向奥側に隣接した位置に形成されている。
【0056】
栓本体51における第3係合爪53と仕切り壁38との間には、第3脆弱部55が形成されている。具体的には、栓本体51の外周面にその周方向に沿って環状の外周溝55aを形成することにより、第3脆弱部55が形成される。
【0057】
第3脆弱部55は、第3係合爪53とフランジ25との係合後に栓本体51が引っ張り操作されたときに、第3係合爪53とフランジ25との係合解除に要する力よりも小さい力で破断する。また、第3脆弱部55は、第2脆弱部46よりも高い強度を有している。このため、第1係合爪34または第2係合爪36がフランジ25に係合している状態で、栓本体51が手前方向に引っ張り操作されたときに、第3脆弱部55が第1〜第2脆弱部45,46よりも破断することはない。
【0058】
上記構成の鉗子栓50は、口金20から2回取り外れた後でも、フランジ25に係合可能な第3係合爪53が栓本体51に残る。このため、鉗子栓50は口金20に3回装着することができる。このため、装着ミスが2回発生しても、もう一回だけ鉗子栓50を口金20に装着することができる。これにより、未使用の鉗子栓50が無駄になることが防止される。
【0059】
また、鉗子栓50は、口金20から3回目に取り外されたときに、第3脆弱部55が破断することにより第3係合爪53が栓本体51から切り離される。その結果、フランジ25に係合可能な係合爪が無くなるので、口金20に装着することができなくなり、再使用が不可能となる。
【0060】
なお、鉗子栓は口金に4回以上装着可能であってもよい。例えば、N(Nは3以上の自然数)回装着可能な鉗子栓には、口金20の挿入方向に沿って第1係合爪、第1脆弱部、第2係合爪、第2脆弱部・・・・、第N係合爪、第N脆弱部が設けられている。第N脆弱部は第1〜第(N−1)脆弱部よりも高い強度を有している。これにより、口金20にN回装着可能となる。
【0061】
[第2実施形態]
次に、図13を用いて本発明の第2実施形態の鉗子栓60について説明を行う。上記第1実施形態の鉗子栓21は、2回目の口金20からの取り外しの際に第2脆弱部46が破断することで口金20への3回目の装着が不可能になる。これに対して、鉗子栓60では栓本体61に第2係合爪62を形成することにより、口金20への3回目の装着を不可能にしている。
【0062】
なお、鉗子栓60は、第2脆弱部46の代わりに第2係合爪62を備える点を除けば、第1実施形態の鉗子栓21と基本的に同じ構成であり、鉗子栓21と機能・構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0063】
第2係合爪62は、第1実施形態の第2係合爪36と同形状である。ただし、この第2係合爪62は、第1脆弱部45よりは強度が高いが、栓本体61よりは強度の低い材料で形成されている。このため、第2係合爪62は、鉗子栓60の1回目の装着後に栓本体61が引っ張り操作されたときに第1脆弱部45よりも先に破断することはない。また、第2係合爪62は、フランジ25との係合後に栓本体61が1回目の取り外し時よりも強い力で引っ張り操作されたときに破断する。
【0064】
次に、上記構成の鉗子栓60の口金20からの取り外し方法について説明を行う。なお、鉗子栓60を口金20に2回装着するまでの処理の流れは上記第1実施形態と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0065】
図14に示すように、内視鏡検査及び処置が終了した後、鉗子栓60を口金20から取り外すために、栓本体61が手前方向に引っ張り操作される。このとき、第2係合爪62がフランジ25に引っ掛かることにより、第2係合爪62の手前方向側への移動が規制される。
【0066】
図15に示すように、引っ張り操作の力をさらに強めると、この力に第2係合爪62が耐えられなくなり破断することで、第2係合爪62が破壊されてしまう。このため、鉗子栓60には口金20のフランジ25に係合可能な係合爪が残っていないので、鉗子栓60を口金20に再度装着することはできない。その結果、鉗子栓60の口金20への3回目の装着は不可能となる。第1実施形態と同様に、鉗子栓60は口金20に2回装着可能であるので、第1実施形態で説明した効果と同様の効果が得られる。
【0067】
上記第2実施形態では、第2係合爪62の全体が第1脆弱部45よりは強度が高いが栓本体61よりは強度の低い材料で形成されているが、第2係合爪62の一部を同材料で形成してもよい。また、第2係合爪62の少なくとも一部を薄肉に形成することで、栓本体61よりも強度が低くなるようにしてもよい。
【0068】
また、上記第2実施形態では、第2係合爪62が栓本体61よりも強度の低い材料で形成されているが、第1係合爪34についても栓本体61よりも強度の低い材料で形成してもよい。
【0069】
[第3実施形態]
次に、図16ないし図18を用いて本発明の第3実施形態の鉗子栓65について説明を行う。上記第1実施形態の鉗子栓21は、2回目の口金20への装着後に栓本体29が手前方向に引っ張り操作されることで、図11に示したように第2係合爪36を口金20に残した状態で口金20から取り外される。これに対して、鉗子栓65は、2回目の口金20への装着後に栓本体66及び第2係合爪36の少なくとも一部を破壊することにより、第2係合爪36を口金20に残すことなく口金20から取り外される。
【0070】
鉗子栓65は、基本的には第1実施形態の鉗子栓21と同じ構成である。ただし、栓本体66には、第2脆弱部46の代わりに破壊操作部67が設けられている。なお、第1実施形態の鉗子栓21と機能・構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0071】
破壊操作部67は、鉗子栓65の口金20からの2回目の取り外しを行う際に、栓本体66及び第2係合爪36の一部を破壊して第2係合爪36とフランジ25との係合を解除可能にするために操作される。破壊操作部67は、つまみ69と、第1破壊操作用脆弱部70と、第2破壊操作用脆弱部71とを有している。
【0072】
つまみ69は、栓本体66の外周面上でかつ第2係合爪36よりも挿入方向奥側に設けられており、略舌片形状を有している。つまみ69は、鉗子栓65の口金20からの2回目の取り外しを行う際に、栓本体66の中心軸から外周側に向かう半径方向(以下、単に半径方向という)に向けて引っ張り操作(破壊操作)される。
【0073】
第1〜第2破壊操作用脆弱部70,71は栓本体66に形成されている。第1〜第2破壊操作用脆弱部70,71は、つまみ69が引っ張り操作されたときに、栓本体66における、つまみ69と第1脆弱部45との間に位置する部分(以下、破断予定部分という)66aが栓本体66から分離するように破断する。このため、第1〜第2破壊操作用脆弱部70,71は、栓本体66の他の部分よりは強度が低くなるような材料で形成されている。
【0074】
第1破壊操作用脆弱部70は、つまみ69の図16及び図17中の上方位置で、且つつまみ69の上面に沿って形成されている。また、第1破壊操作用脆弱部70は、栓本体66の外周面から内周面まで達するように形成されている。
【0075】
第2破壊操作用脆弱部71は、つまみ69の図17及び図18中の両側方位置(具体的には第1破壊操作用脆弱部70の両端部)からそれぞれ第1脆弱部45まで延びた形状を有している。また、各第2破壊操作用脆弱部71は、栓本体66の外周面から内周面及び第2係合爪36まで達するように形成されている。
【0076】
次に、上記構成の鉗子栓65の口金20からの取り外し方法について説明を行う。なお、鉗子栓65を口金20に2回装着するまでの処理の流れは上記第1実施形態と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0077】
図19に示すように、内視鏡検査及び処置が終了した後、口金20からの鉗子栓65の取り外しが開始される。具体的にはつまみ69が半径方向に引っ張られる。引っ張り操作の力をさらに強めると、この力に第1〜第2破壊操作用脆弱部70,71が耐えられなくなり破断する。これにより、図20に示すように、破断予定部分66aが栓本体66から分離する。
【0078】
図21に示すように、栓本体66から破断予定部分66aが分離すると、第2係合爪36及びその周囲の栓本体66は、略環形状から略C字形状となる。第2係合爪36及びその周囲の栓本体66は、略環形状の状態では力を加えても変形し難いが、略C字形状の状態では力を加えることで切れ目部分66bが拡がるように拡径変形し易くなる。その結果、第2係合爪36とフランジ25との係合解除が可能になる。
【0079】
図22に示すように、栓本体66に対して手前方向に引っ張り操作がなされると、第2係合爪36及びその周囲の栓本体66が拡径変形することで、第2係合爪36とフランジ25との係合が解除される。これにより、鉗子栓65が口金20から取り外される。口金20から2回取り外された鉗子栓65には、先に破壊されたC字形状の第2係合爪36だけが残っている。この第2係合爪36では鉗子栓65を口金20に固定することができず、鉗子栓65がぐらついてしまう。その結果、鉗子栓65の口金20への3回目の装着は実質的に不可能となる。
【0080】
鉗子栓65は、第1実施形態と同様に口金20に2回装着可能であるので、第1実施形態で説明した効果と同様の効果が得られる。第2係合爪36を口金20に残すことなく鉗子栓65を取り外すことができるので、ユーザが口金20から第2係合爪36を除去する手間を省くことができる。
【0081】
上記第3実施形態の第1〜第2破壊操作用脆弱部70,71は、栓本体66よりは強度が低くなるような材料で形成されているが、例えば切り欠き溝などにより栓本体66の他の部分よりも薄肉に形成してもよい。また、第1〜第2破壊操作用脆弱部70,71は、第2係合爪36をフランジ25との係合が解除可能な状態まで破壊可能であれば、形状を適宜変更してもよい。
【0082】
上記第3実施形態の破壊操作部67は、つまみ69に対する引っ張り操作により第2係合爪36の一部を栓本体66から分離させているが、第2係合爪36の全てを栓本体66から分離させるようにしてもよい。この場合には、例えば図23に示すように、破壊操作部67の代わりに、破壊操作部75を栓本体66に設ける。
【0083】
破壊操作部75は、第1破壊操作用脆弱部77と、第2破壊操作用脆弱部78と、つまみ79とを有している。第1破壊操作用脆弱部77は、栓本体66の外周面上でかつ第2係合爪36よりも挿入方向奥側に設けられている。この第1破壊操作用脆弱部77は、栓本体66の外周面の周方向に沿って環状に形成されており、栓本体66の他の部分よりも薄肉化されている。
【0084】
第2破壊操作用脆弱部78は、栓本体66の外周面上でかつ第1脆弱部45と第1破壊操作用脆弱部77との間に設けられている。この第2破壊操作用脆弱部78は、栓本体66の軸方向に長く延びており、第1破壊操作用脆弱部77と同様に薄肉化されている。第2破壊操作用脆弱部78の一端は第1破壊操作用脆弱部77に達し、他端は第1脆弱部45に達している。第1〜第2破壊操作用脆弱部77,78は、第1〜第2破壊操作用脆弱部70,71と同様に、栓本体66よりも強度が低くなる。
【0085】
つまみ79は、栓本体66の外周面上でかつ第1破壊操作用脆弱部77と第1脆弱部45との間の位置、より具体的には第2破壊操作用脆弱部78の近傍に設けられている。つまみ79は、鉗子栓65の2回目の取り外しを行う際に半径方向に向けて引っ張り操作(破壊操作)される。
【0086】
図24に示すように、つまみ79が引っ張り操作されると、第1破壊操作用脆弱部77と第2破壊操作用脆弱部78が破断する。これにより、図25に示すように、第2係合爪36及びその周囲の栓本体66の端部が栓本体66から分離されるので、第2係合爪36とフランジ25との係合が解除される。その結果、口金20からの鉗子栓65の取り外しが可能となる。この鉗子栓65には口金20のフランジ25に係合可能な係合爪が残っていないので、鉗子栓65の口金20への3回目の装着は不可能となる。
【0087】
なお、破壊操作部は、図17や図23などに示した実施形態に限定されず、第2係合爪36をフランジ25との係合が解除可能な状態まで破壊可能であれば、その構成・形状などを適宜変更してもよい。この場合には、引っ張り操作以外の各種破壊操作により第2係合爪36の少なくとも一部を破壊するようにしてもよい。
【0088】
また、上記第3実施形態では、2回目の鉗子栓65の取り外しを行う際に、栓本体66の一部を破壊しているが、破壊操作部の形状を変えることにより栓本体66の全体を破壊するようにしてもよい。さらに、鉗子栓65に第1係合爪34及び第1脆弱部45を設ける代わりに、第2実施形態の第2係合爪62と同じように破壊可能な第1係合爪を設けてもよい。
【0089】
[第4実施形態]
次に、図26及び図27を用いて本発明の第4実施形態の鉗子栓85について説明を行う。上記第3実施形態の鉗子栓65は、1回目の口金20からの取り外しの際には、第1実施形態の鉗子栓21と同様に第1係合爪34を口金20に残した状態で口金20から取り外される。これに対して、鉗子栓85は、1回目の口金20からの取り外しの際にも、第1係合爪34を口金20に残すことなく口金20から取り外される。
【0090】
鉗子栓85は、基本的には第3実施形態の鉗子栓65と同じ構成である。ただし、鉗子栓85の栓本体86には、破壊操作部87と脆弱部88とが設けられている。なお、第1〜第3実施形態の鉗子栓と機能・構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0091】
破壊操作部87は、鉗子栓85の口金20からの1回目の取り外しを行う際に、栓本体86及び第1係合爪34の一部を破壊して第1係合爪34とフランジ25との係合を解除可能するために操作される。破壊操作部87は、破壊操作部67と基本的には同じ構成であり、つまみ89と、第1破壊操作用脆弱部90と、第2破壊操作用脆弱部91とを有している。
【0092】
つまみ89は、栓本体86の外周面上でかつ第1係合爪34と第1脆弱部45との間の位置に設けられている。つまみ89は、鉗子栓85の口金20からの1回目の取り外しを行う際に、半径方向に向けて引っ張り操作(破壊操作)される。
【0093】
第1〜第2破壊操作用脆弱部90,91は、つまみ89が引っ張り操作されたときに、栓本体86における、つまみ89と口金挿入口32a側の端面との間の破断予定部分86aが栓本体86から分離するように破断する。第1〜第2破壊操作用脆弱部90,91は、少なくとも栓本体86よりは強度が低くなるように形成されている。
【0094】
第1破壊操作用脆弱部90は、つまみ89の図中上方に設けられている点を除けば、第1破壊操作用脆弱部70と同じものである。第2破壊操作用脆弱部91は、基本的には第2破壊操作用脆弱部71と同じものであり、第1破壊操作用脆弱部90の両端部からそれぞれ栓本体86の口金挿入口32a側の端面まで延びている。
【0095】
脆弱部88は、第1実施形態の第1脆弱部45と基本的には同じものである。この脆弱部88は、鉗子栓85の1回目の取り外し後にユーザからの破断操作を受けることで、第1係合爪34が栓本体86から分離されるように破断する。
【0096】
次に、上記構成の鉗子栓85の口金20からの取り外し方法について説明を行う。なお、鉗子栓85を口金20に1回目に装着するまでの処理の流れは上記第1実施形態と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0097】
例えば、処置に使用する処置具14に対応していない鉗子栓85を誤って口金20に装着した場合には、図28に示すようにつまみ89が半径方向に引っ張られる。この引っ張り操作の力をさらに強めると、第1〜第2破壊操作用脆弱部90,91が破断する。これにより、破断予定部分86aが栓本体86から分離する。
【0098】
図29に示すように、栓本体86から破断予定部分86aが分離すると、第1係合爪34及びその周囲の栓本体86は、図21に示した第3実施形態の第2係合爪36と同様に略C字形状となる。このため、第1係合爪34等は、栓本体86に対して手前方向の力を加えたときに拡径変形し易くなる。その結果、第1係合爪34とフランジ25との係合解除が可能になる。
【0099】
図30に示すように、栓本体86に対して手前方向に引っ張り操作がなされると、第1係合爪34及びその周囲の栓本体86が拡径変形して、第1係合爪34とフランジ25との係合が解除される。これにより、鉗子栓85が口金20から取り外される。
【0100】
次いで、図31に示すように、栓本体86対して脆弱部88で破断するように破断操作が行われると、先に一部が破壊された第1係合爪34が栓本体86から分離される。これにより、挿入穴32の図中下端側が口金20を挿入可能な口金挿入口32cとして開放される。
【0101】
図32に示すように、栓本体86の内周面にはフランジ25に係合可能な第2係合爪36が残っているので、鉗子栓85をもう1回だけ口金20に装着することができる。これにより、第1実施形態と同様に、装着ミス等で口金20から取り外した未使用の鉗子栓85を破棄する必要がなくなる。なお、鉗子栓85の口金20からの2回目の取り外し処理は、第3実施形態と基本的に同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0102】
上記第4実施形態の第1〜第2破壊操作用脆弱部90,91は、栓本体86より強度の低い材料で形成されているが、例えば、切り欠き溝などにより栓本体86の他の部分よりも薄肉に形成してもよい。また、第1〜第2破壊操作用脆弱部90,91は、第1係合爪34をフランジ25との係合が解除可能な状態まで破壊可能であれば、形状を適宜変更してもよい。この場合には、引っ張り操作以外の各種破壊操作により第1係合爪34の少なくとも一部を破壊してもよい。
【0103】
また、破壊操作部87は、図26や図27などに示した実施形態に限定されず、第1係合爪34をフランジ25との係合が解除可能な状態まで破壊可能であれば、その構成・形状などを適宜変更してもよい。例えば、破壊操作部を、図23に示した破壊操作部75と同じような構成にしてもよい。
【0104】
上記第2〜第4実施形態では、口金20に2回装着可能な鉗子栓について説明したが、鉗子栓にさらに1以上の係合爪と、脆弱部及び/又は破壊操作部とを設けることにより、口金20に3回以上装着可能にしてもよい。この場合の鉗子栓の構造は、図12に示した鉗子栓50と基本的に同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0105】
上記第1実施形態では第1脆弱部45が内周溝45a及び外周溝45bにより形成され、さらに第1実施形態の第2脆弱部46が外周溝46aにより形成されているが、第1〜第2脆弱部が内周溝及び外周溝の少なくともいずれか一方により形成されていてもよい。なお、他の実施形態の第1脆弱部45や脆弱部88についても同様である。
【0106】
上記第1実施形態では、栓本体29に薄肉の1〜第2脆弱部45,46を形成しているが、第1〜第2脆弱部45,46を栓本体29の他の部分よりも強度が低く破断しやすい材料で形成してもよい。なお、他の実施形態の第1脆弱部45や脆弱部88についても同様である。
【0107】
上記各実施形態では、鉗子口17に設けられた口金20に装着される鉗子栓を例に挙げて説明を行ったが、鉗子口17の開口部に直に装着される鉗子栓に対しても本発明を適用することができる。
【0108】
上記各実施形態では、フランジ25などの口金20の外周面に係合する鉗子栓の係合部として、環状の係合爪を例に挙げて説明を行ったが、口金20の外周面に係合であれば係合部の形状、数などは特に限定はされない。
【0109】
上記各実施形態では、鉗子口17に装着される鉗子栓を例に挙げて説明を行ったが、例えば吸引チャンネル、送気送水チャンネルなどの内視鏡10の内部に配設される各種のチャンネルや管路に通じる口部に装着される各種の栓に本発明を適用することができる。
【0110】
上記実施形態では、気管に挿入する内視鏡10を例に挙げて説明を行ったが、例えば大腸に挿入される大腸内視鏡等の各種医療用内視鏡や、工業用途などの他の用途に使用される内視鏡などにも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0111】
10 内視鏡
20 口金
21,21a,21b,50,60,65,85 鉗子栓
25 フランジ
29,29a,51,61,66,86 栓本体
32 挿入穴
34 第1係合爪
36,62 第2係合爪
45 第1脆弱部
46 第2脆弱部
67,75,87 破壊操作部
88 脆弱部
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の鉗子口などの口部に装着される栓、及びこの栓を備える内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から医療分野において、被検者の体内に内視鏡の挿入部を挿入して、体内の観察だけではなく、体内の観察部位に対して各種の処置を行っている(特許文献1参照)。具体的には、鉗子や切開具などの各種処置具を、操作部に設けられた鉗子口から挿入部内の鉗子チャンネルに挿通させて挿入部先端に開口した鉗子出口から導出させることにより、観察部位の切除、採取等の各種の処置が行われる。
【0003】
鉗子口には、処置具を挿通可能な円筒状の鉗子栓が装着されている。この鉗子栓は、体内の内圧の変化等によって、体内の体液、汚物、空気等が鉗子口から外部に洩れ出ることを防止している。この鉗子栓の内部には、処置具が挿通可能なスリットが形成されている。スリットは、処置具の挿通時にはスリット縁部が処置具に密着することで鉗子口からの体液等の漏出を防止する。このような鉗子栓としては、使用により体液等が付着するため、感染防止の観点から使用毎に新たなものと交換するように、再使用が不可能なディスポタイプのものが一般的である。
【0004】
特許文献2及び3には、栓体の一部を破断させることで鉗子口金から取り外し可能になる鉗子栓が開示されている。また、特許文献4には、栓本体と、鉗子口に係合する係合部とを備え、両者の間に切り込みが形成されている鉗子栓が開示されている。この鉗子栓は、栓本体に対する引っ張り操作により栓本体と係合部との間が破断することで、再使用が不可能になる。特許文献2〜4の鉗子栓では、鉗子口からの取り外しの際に破壊が伴うので、再使用が不可能になる。その結果、使用済みの鉗子栓が誤って再使用されることが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−036426号公報
【特許文献2】特開2008−043774号公報
【特許文献3】特開2006−346197号公報
【特許文献4】特開2006−055446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
処置具は、その種類が異なれば径の大きさも変わる場合がある。このため、鉗子栓には、使用する処置具の径に応じてスリットのサイズが異なる複数の種類がある。従って、鉗子口には、使用する処置具に対応する種類の鉗子栓が装着される。この際に、各種の鉗子栓は外観が似ているので、誤って別の種類の鉗子栓を鉗子口に装着するおそれがある。このような場合に、特許文献2〜4の鉗子栓は、鉗子口から取り外されたときに破壊されてしまうので、例え未使用であったとしても鉗子口に再度装着することはできない。その結果、未使用の鉗子栓を破棄しなければならず、鉗子栓が無駄になってしまう。
【0007】
また、1人の被検者に対して挿入部の外径(鉗子チャンネルの径)や挿入部の長さの異なる複数の内視鏡を用いて観察や処置を行う場合がある。このような場合には、鉗子口から一度取り外した鉗子栓の再使用が望まれるが、特許文献2〜4の鉗子栓は、鉗子口から取り外されたときに破壊されてしまう。このため、新品の鉗子栓を使用する必要が生じる。
【0008】
本発明の目的は、少なくとも1回の装着ミス等では使用不能にはならない内視鏡用の栓、及びこれを備える内視鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の内視鏡用の栓は、内視鏡の内部に挿通されたチャンネルに通じるように前記内視鏡に設けられた略筒状の口部に装着される栓において、前記口部が挿入される挿入穴を有する筒状の栓本体と、前記栓本体の内周面に設けられており、かつ前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第1係合部と、前記第1係合部よりも前記口部の挿入方向奥側に位置するように前記栓本体に形成されており、前記第1係合部と前記口部の係合後に前記栓本体が前記口部の手前側に引っ張り操作されたときに、前記第1係合部が前記栓本体から切り離されるように破断する第1脆弱部と、前記第1脆弱部よりも前記挿入方向奥側に位置するように前記栓本体の内周面に設けられており、前記第1脆弱部の破断後に前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第2係合部と、前記第2係合部よりも前記挿入方向奥側に位置するように前記栓本体に形成された第2脆弱部であって、前記第1脆弱部よりも高い強度を有しており、前記第2係合部と前記口部の係合後に前記栓本体が前記引っ張り操作されたときに、前記第2係合部が前記栓本体から切り離されるように破断する第2脆弱部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
前記第1脆弱部は、前記栓本体の内周面に設けられた環状の内周溝と、前記栓本体の外周面に設けられた環状の外周溝とにより形成されており、前記第2脆弱部は、前記栓本体の外周面に設けられた環状の外周溝により形成されることが好ましい。
【0011】
また、本発明の内視鏡用の栓は、内視鏡の内部に挿通されたチャンネルに通じるように前記内視鏡に設けられた略筒状の口部に装着される栓において、前記口部が挿入される挿入穴を有する筒状の栓本体と、前記栓本体の内周面に設けられており、かつ前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第1係合部と、前記第1係合部よりも前記口部の挿入方向奥側に位置するように前記栓本体に形成されており、前記第1係合部と前記口部の係合後に前記栓本体が前記口部の手前側に引っ張り操作されたときに、前記第1係合部が前記栓本体から切り離されるように破断する脆弱部と、前記脆弱部よりも前記挿入方向奥側に位置するように前記栓本体の内周面に設けられており、前記脆弱部の破断後に前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第2係合部であって、その少なくとも一部が前記栓本体よりも強度が低くなるように形成されている第2係合部と、を備え、前記第2係合部は、前記口部の外周面との係合後に前記栓本体が前記引っ張り操作されたときに破壊されることを特徴とする。
【0012】
前記第2係合部の少なくとも一部が前記栓本体よりも強度の低い材料で形成されていることが好ましい。
【0013】
また、本発明の内視鏡用の栓は、内視鏡の内部に挿通されたチャンネルに通じるように前記内視鏡に設けられた略筒状の口部に装着される栓において、前記口部が挿入される挿入穴を有する筒状の栓本体と、前記栓本体の内周面に設けられており、かつ前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第1係合部と、前記第1係合部よりも前記口部の挿入方向奥側に位置するように前記栓本体に形成されており、前記第1係合部と前記口部の係合後に前記栓本体が前記口部の手前側に引っ張り操作されたときに、前記第1係合部が前記栓本体から切り離されるように破断する脆弱部と、前記脆弱部よりも前記挿入方向奥側に位置するように前記栓本体の内周面に設けられており、前記脆弱部の破断後に前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第2係合部であって、前記外周面との係合を解除するための破壊操作を受けたときに破壊される第2係合部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
前記第2係合部は、その少なくとも一部が前記栓本体から分離可能に形成されており、前記破壊操作を受けたときに前記少なくとも一部が前記栓本体から分離されることが好ましい。
【0015】
また、本発明の内視鏡用の栓は、内視鏡の内部に挿通されたチャンネルに通じるように前記内視鏡に設けられた略筒状の口部に装着される栓において、前記口部が挿入される挿入穴を有する筒状の栓本体と、前記栓本体の内周面に設けられており、かつ前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第1係合部であって、前記外周面との係合を解除するための破壊操作を受けたときに破壊される第1係合部と、前記第1係合部よりも前記口部の挿入方向奥側に位置するように前記栓本体に形成された脆弱部であって、前記破壊操作により破壊された前記第1係合部が前記栓本体から切り離されるように破断可能な脆弱部と、前記脆弱部よりも前記挿入方向奥側に位置するように前記栓本体の内周面に設けられており、かつ前記脆弱部の破断後に前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第2係合部であって、前記外周面との係合を解除するための破壊操作を受けたときに破壊される第2係合部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
前記第1係合部及び前記第2係合部はそれぞれの少なくとも一部が前記栓本体から分離可能に形成されており、前記第1係合部及び前記第2係合部は、それぞれ前記破壊操作を受けたときに前記少なくとも一部が前記栓本体から分離されることが好ましい。
【0017】
前記脆弱部は、前記栓本体の内周面に設けられた環状の内周溝と、前記栓本体の外周面に設けられた環状の外周溝との少なくともいずれか一方により形成されることが好ましい。
【0018】
前記第1係合部及び第2係合部は、前記口部の外周面に設けられたフランジにそれぞれ係合する第1係合爪、第2係合爪であることが好ましい。
【0019】
前記第1係合爪及び第2係合爪は、前記栓本体の内周面の周方向に沿って環状に形成されていることが好ましい。
【0020】
また、本発明の内視鏡は、被検体内に挿入される挿入部と、前記挿入部の基端部に接続された操作部と、前記操作部内に設けられたチャンネルであって、挿入部の先端に設けられた開口に連通するチャンネルと、前記操作部の外表面に設けられており、前記チャンネルに通じる筒状の口部と、前記口部に装着される請求項1ないし11いずれか1項記載の栓と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の栓及び内視鏡は、栓を口部に2回装着することができるので、1回の装着ミスなどで栓を破棄する必要がなくなる。その結果、医療機関における栓の消耗数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】内視鏡の斜視図である。
【図2】鉗子栓及び口金の断面図である。
【図3】鉗子栓及び口金の分解断面図である。
【図4】第1及び第2脆弱部の拡大断面図である。
【図5】口金への装着前の鉗子栓の断面図である。
【図6】口金から取り外される前の鉗子栓の断面図である。
【図7】口金から取り外された後の鉗子栓の断面図である。
【図8】口金に2回装着される前の鉗子栓の断面図である。
【図9】口金に2回装着された鉗子栓の断面図である。
【図10】口金から2回目に取り外される前の鉗子栓の断面図である。
【図11】口金から2回取り外された後の鉗子栓の断面図である。
【図12】口金に3回装着可能な他実施形態の鉗子栓の断面図である。
【図13】破断可能な第2係合爪を備える第2実施形態の鉗子栓の断面図である。
【図14】第2実施形態の鉗子栓の斜視図である。
【図15】口金から2回取り外された後の鉗子栓の断面図である。
【図16】口金からの2回目の取り外し時に第2係合爪の一部を破壊する第3実施形態の鉗子栓の断面図である。
【図17】第3実施形態の鉗子栓の断面図である。
【図18】図16中のA1−A1線に沿った断面図である。
【図19】口金から2回目に取り外される前の鉗子栓の断面図である。
【図20】破壊操作部の操作により第2係合爪の一部が破壊された鉗子栓の断面図である。
【図21】破壊操作部の操作により一部が破壊された第2係合爪の上面図である。
【図22】口金から2回取り外された後の鉗子栓の断面図である。
【図23】第3実施形態とは異なる破壊操作部を備える他実施形態の鉗子栓の断面図である。
【図24】口金から2回取り外される前の鉗子栓の断面図である。
【図25】破壊操作部の操作により第2係合爪が栓本体から分離された鉗子栓の断面図である。
【図26】口金からの1回目の取り外し時に第1係合爪の一部を破壊する第4実施形態の鉗子栓の断面図である。
【図27】第4実施形態の鉗子栓の斜視図である。
【図28】口金から1回目に取り外される前の鉗子栓の断面図である。
【図29】破壊操作部の操作により第1係合爪の一部が破壊された鉗子栓の断面図である。
【図30】口金から1回取り外された後の鉗子栓の断面図である。
【図31】一部が破壊された第1係合爪が分離された後の鉗子栓の断面図である。
【図32】口金に2回装着される鉗子栓の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態]
図1に示すように、内視鏡10は、例えば気管に挿入する気管支鏡である。この内視鏡10は、気管内に挿入される挿入部11と、操作部12と、ユニバーサルコード13とを備える。操作部12は、挿入部11の基端部に連設されている。ユニバーサルコード13の一端は操作部12に接続し、他端は複合タイプのコネクタ13aを介して図示しないプロセッサ装置や光源装置などに接続している。
【0024】
挿入部11は、その先端側から基端側に向かって順に、先端硬性部11aと、湾曲自在な湾曲部11bと、可撓性を有する可撓管部11cとを有している。先端硬性部11aの先端面には、鉗子等の処置具14の出口である鉗子出口15や、図示は省略するが観察窓や照明窓が設けられている。観察窓の奥にはイメージセンサ(図示せず)などが設けられ、照明窓の奥には光ファイバケーブル(図示せず)が設けられている。イメージセンサの信号線や光ファイバケーブルは、挿入部11、操作部12、ユニバーサルコード13、及びコネクタ13a内を通って、プロセッサ装置、光源装置にそれぞれ接続する。
【0025】
挿入部11内には、処置具14を挿通するための鉗子チャンネル16が配設されている。鉗子チャンネル16の一端は鉗子出口15に接続し、他端は操作部12に設けられた鉗子口17に接続している。また、鉗子チャンネル16は、鉗子出口15から血液等の体液や体内汚物等の固形物などを吸引するための経路としても用いられる。操作部12内には、鉗子チャンネル16から分岐した吸引チャンネル(図示せず)が配設されている。この吸引チャンネルは、操作部12に設けられた吸引ボタン18に接続している。
【0026】
吸引ボタン18は、操作部12外において負圧源(図示せず)に接続している。吸引ボタン18は、押圧操作またはその押圧操作の解除により、吸引チャンネルと負圧源との連通/遮断を切り替える。
【0027】
鉗子口17には、本発明の口部に相当する口金20(図2参照)が設けられている。この口金20には、本発明の栓に相当し、処置具14が挿通可能なディスポタイプの鉗子栓21が装着されている。鉗子栓21は、処置具14により処置を行う際に体内の体液、汚物、空気等が鉗子チャンネル16内を漏出して口金20から外部に漏れることを防止する。この鉗子栓21は、口金20に2回装着することができる。このため、鉗子栓21は、口金20から1回取り外しても、もう1回だけ口金20に装着することができる。
【0028】
図2及び図3に示すように、口金20は、鉗子チャンネル16に通じる内部管路23を有している。口金20は、鉗子口17の内部に固定された口金本体部20aと、鉗子口17の開口の手前側に突出した口金先端部20bとを有している。
【0029】
口金先端部20bは、その外径が口金本体部20aの外径よりも一回り小さく形成されている。口金先端部20bの外周面の先端側には、鉗子栓21と係合するフランジ25が形成されている。フランジ25の先端面(以下、フランジ先端面という)25aは、フランジ25の先端が細径となるような傾斜面である。また、フランジ25の後端面(以下、フランジ後端面という)25bは、口金20の軸方向に対して垂直な平面である。
【0030】
鉗子栓21は、栓本体29及び蓋30を有している。栓本体29及び蓋30はゴムなどの弾性材料で形成されている。栓本体29は円筒形状を有している。栓本体29には、その内周面によって挿入穴32が形成されている。挿入穴32の一端側(鉗子口17側)は、口金挿入口32aとして開放されている。また、挿入穴32の他端側は、処置具挿入口32bとして開放されている。口金挿入口32aからは口金先端部20bが挿入され、処置具挿入口32bからは処置具14が挿入される。
【0031】
栓本体29の内周面には、口金挿入口32aから処置具挿入口32bに向かう口金20の挿入方向(以下、単に挿入方向という)に沿って、第1係合爪34、第1収納溝35、第2係合爪36、第2収納溝37、及び仕切り壁38が順番に形成されている。なお、これらは栓本体29と一体に形成されている。
【0032】
第1係合爪34は、口金挿入口32aの近傍の位置で、栓本体29の内周面の周方向に沿って環状に形成されている。第1係合爪34は、鉗子栓21の1回目の装着時に、挿入穴32内に挿入された口金先端部20bのフランジ25と係合する。
【0033】
第1係合爪34の口金挿入口32a側の端面は、フランジ先端面25aと同方向に傾斜した傾斜面(以下、爪傾斜面という)34aに形成されている。また、第1係合爪34の処置具挿入口32b側の端面は、フランジ後端面25bと平行な平面(以下、爪平面という)34bに形成されている。爪平面34bは、第1係合爪34がフランジ25に係合したときに、フランジ後端面25bに引っ掛けられる。これにより、口金20の手前方向側への第1係合爪34の移動が規制される。
【0034】
第1収納溝35は、第1係合爪34に隣接した位置で、挿入穴32の内周面の周方向に沿って環状に形成されている。第1収納溝35には、第1係合爪34と係合したフランジ25が収納される。
【0035】
第2係合爪36は、第1収納溝35に対して間隔をあけた位置で、第1係合爪34と同形状に形成されている。第2係合爪36は、鉗子栓21の2回目の装着時に、挿入穴32内に挿入された口金先端部20bのフランジ25と係合する。この第2係合爪36は、フランジ先端面25aと同方向に傾斜した爪傾斜面36aと、フランジ後端面25bと平行な爪平面36bとを有している。爪平面36bは、第2係合爪36がフランジ25に係合したときに、フランジ後端面25bに引っ掛けられる。これにより、口金20の手前方向側への第2係合爪36の移動が規制される。
【0036】
第2収納溝37は、第2係合爪36に隣接した位置で、第1収納溝35と同形状に形成されている。第2収納溝37には、第2係合爪36と係合したフランジ25が収納される。
【0037】
仕切り壁38は、挿入穴32内をその軸方向に仕切る。仕切り壁38には、処置具14を挿入する小穴38aが形成されている。小穴38aは、処置具14の外径よりも小径に形成されている。このため、小穴38aに処置具14が挿通されたときに、小穴38aの内面が処置具14に密着する。これにより、小穴38aへの処置具14の挿通時に、体内の体液、汚物、空気等が小穴38aから漏出することが防止される。小穴38aの径は、使用する処置具14の径の大きさに応じて定められている。
【0038】
蓋30は、処置具挿入口32bに嵌合する。蓋30には、処置具14を挿通可能なスリット40が形成されている。これにより、処置具14をスリット40から挿入穴32内に挿入することができる。
【0039】
スリット40は、処置具14の非挿通時には、蓋30の弾性力によって閉じた状態となって水密・気密状態を保持する。また、スリット40は、処置具14が挿通した状態では、蓋30の弾性力によってスリット縁部が処置具14の外周面に密着した状態になる。これにより、処置具14の非挿通時及び挿通時のいずれにおいても体液等の漏出を防止することができる。スリット40の長さは、使用する処置具14の径の大きさに応じて定められている。
【0040】
栓本体29には、第1脆弱部45及び第2脆弱部46が形成されている。第1脆弱部45及び第2脆弱部46は、栓本体29の他の部分よりも薄肉に形成されており強度が弱くなる。
【0041】
図4に示すように、第1脆弱部45は、第1収納溝35と第2係合爪36の間に形成されている。第1脆弱部45は、栓本体29の内外周面の周方向に沿って形成された環状の内周溝45a、外周溝45bにより栓本体29の他の部分よりも薄肉化されている。第1脆弱部45は、第1係合爪34とフランジ25との係合後に栓本体29が口金20の手前側に向けて引っ張り操作されたときに、第1係合爪34とフランジ25との係合解除に要する力よりも小さい力で破断する。
【0042】
第2脆弱部46は、第2係合爪36よりも挿入方向奥側に形成されている。なお、ここでいう「挿入方向」とは、挿入穴32内に口金20を挿入する方向である。第2脆弱部46は、栓本体29の外周面にその周方向に沿って形成された環状の外周溝46aにより栓本体29の他の部分よりも薄肉化されている。第2脆弱部46は、第2係合爪36とフランジ25との係合後に栓本体29が引っ張り操作されたときに、第2係合爪36とフランジ25との係合解除に要する力よりも小さい力で破断する。また、第2脆弱部46は、第1脆弱部45よりも厚肉で高い強度を有している。このため、第1係合爪34とフランジ25との係合後に栓本体29が引っ張り操作されたときに、第2脆弱部46が第1脆弱部45よりも先に破断することはない。
【0043】
次に、上記構成の鉗子栓21の作用、特に口金20への鉗子栓21の装着及び取り外し方法について説明を行う。最初に図5に示すように、口金先端部20bの中心に対して口金挿入口32aの中心が一致するように、鉗子栓21の位置調整を行う。次いで、鉗子栓21を口金先端部20bに向けて押し付ける押付操作を行う。これにより、口金先端部20b及びフランジ25が口金挿入口32aから挿入穴32内に挿入される。
【0044】
挿入穴32内に挿入されたフランジ25は、第1係合爪34に接触する。第1係合爪34の爪傾斜面34aがフランジ先端面25aにより押圧されることで、第1係合爪34が次第に拡径変形する。そして、鉗子栓21の押付操作を継続すると、第1係合爪34がフランジ25を乗り越えて元の形状に復元する。これにより、第1係合爪34がフランジ25に係合する。以上で鉗子栓21の装着が完了する。
【0045】
この際に、これらから使用する処置具14の種類に対応していない鉗子栓21を誤って口金20に装着した場合には、この鉗子栓21を口金20から取り外す。
【0046】
図6に示すように、最初に、栓本体29が口金20の手前方向(以下、手前方向という)に向けて引っ張り操作される。このとき、第1係合爪34の爪平面34bがフランジ後端面25bに引っ掛かることにより、第1係合爪34の手前方向側への移動が規制される。
【0047】
図7に示すように、引っ張り操作の力を強めると、第1係合爪34とフランジ25との係合が解除される前に、この力に第1脆弱部45が耐えられなくなり破断する。これにより、第1係合爪34が栓本体29から切り離されるので、鉗子栓21は、第1係合爪34を口金20に残した状態で口金20から取り外される。ここで、口金20から1回取り外された鉗子栓には符号21aを付す。また、この鉗子栓21aの栓本体には符号29aを付す。
【0048】
栓本体29aの挿入穴32は、その一端側が口金先端部20bを挿入可能な口金挿入口32cとして開放される。また、栓本体29aの内周面には、フランジ25に係合可能な第2係合爪36が残っている。このため、鉗子栓21aは、もう1回だけ口金20に装着することができる。これにより、装着ミス等で口金20から取り外した未使用の鉗子栓21aを破棄する必要がなくなり、この鉗子栓21aが無駄になることが防止される。
【0049】
鉗子栓21aに対応した処置具14を使用する場合には、挿入部11を被検者の体内に挿入する前に、先に取り外した鉗子栓21aを口金20に装着する。図8に示すように、鉗子栓21aを口金先端部20bに押し付ける押付操作を行い、口金挿入口32cから挿入穴32内へ口金先端部20b及びフランジ25を挿入させる。
【0050】
図9に示すように、押付操作により第2係合爪36がフランジ25に係合することで、鉗子栓21aが口金20に装着される。次いで、挿入部11を被検者の体内に挿入した後、観察しながら挿入部11の先端を体内の所望の位置に到達させる。そして、処置具14が鉗子栓21aから鉗子チャンネル16に挿入されて各種の処置が施される。内視鏡検査及び処置が終了した後、鉗子栓21aの取り外しが開始される。
【0051】
図10に示すように、栓本体29aに対して手前方向に引っ張り操作がなされる。このとき、第2係合爪36の爪平面36bがフランジ後端面25bに引っ掛かることにより、第2係合爪36の手前方向側への移動が規制される。
【0052】
図11に示すように、引っ張り操作の力をさらに強めると、第2係合爪36とフランジ25との係合が解除される前に、この力に第2脆弱部46が耐えられなくなり破断する。これにより、第2係合爪36が栓本体29から切り離されるので、鉗子栓21aは、第2係合爪36を口金20に残した状態で口金20から取り外される。ここで、口金20から2回取り外された鉗子栓には符号21bを付す。
【0053】
鉗子栓21bには、口金20のフランジ25に係合可能な係合爪が残っていない。このため、鉗子栓21bを口金20に再度装着することはできないので、鉗子栓21bの再使用は不可能となる。1回の装着ミス等で未使用の鉗子栓を廃棄する必要がなくなるので、医療機関における鉗子栓の消耗数を減らすことができる。また、1人の被検者に対して同じ処置具を再度使用して処置を行う場合などにも、新品の鉗子栓を口金20に装着する必要がなくなるので、同様の効果が得られる。さらに、1人の被検者に対して挿入部の外径(鉗子チャンネルの径)や挿入部の長さの異なる複数の内視鏡を用いて観察や処置を行う場合などに、先に使用した内視鏡に装着された鉗子栓21を取り外して、次に使用する内視鏡に装着することができる。このような場合は、従来では2個の鉗子栓が必要であったが、本発明では1個の鉗子栓で対応することができるので、医療機関における鉗子栓の消耗数を減らすことができる。
【0054】
上記第1実施形態の鉗子栓21は口金20に2回装着可能であるが、例えば、図12に示す鉗子栓50のように口金20に3回装着可能であってもよい。この鉗子栓50は、鉗子栓21と基本的には同じ構成であるので、鉗子栓21と機能・構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0055】
鉗子栓50の栓本体51の内周面には、第1〜第2係合爪34,36等の他に、第3係合爪53及び第3収納溝54が形成されている。第3係合爪53は、第1〜第2係合爪34,36と基本的に同じものであり、第2脆弱部46よりも挿入方向奥側の位置に形成されている。第3収納溝54は、第1〜第2収納溝35,37と基本的に同じものであり、第3係合爪53の挿入方向奥側に隣接した位置に形成されている。
【0056】
栓本体51における第3係合爪53と仕切り壁38との間には、第3脆弱部55が形成されている。具体的には、栓本体51の外周面にその周方向に沿って環状の外周溝55aを形成することにより、第3脆弱部55が形成される。
【0057】
第3脆弱部55は、第3係合爪53とフランジ25との係合後に栓本体51が引っ張り操作されたときに、第3係合爪53とフランジ25との係合解除に要する力よりも小さい力で破断する。また、第3脆弱部55は、第2脆弱部46よりも高い強度を有している。このため、第1係合爪34または第2係合爪36がフランジ25に係合している状態で、栓本体51が手前方向に引っ張り操作されたときに、第3脆弱部55が第1〜第2脆弱部45,46よりも破断することはない。
【0058】
上記構成の鉗子栓50は、口金20から2回取り外れた後でも、フランジ25に係合可能な第3係合爪53が栓本体51に残る。このため、鉗子栓50は口金20に3回装着することができる。このため、装着ミスが2回発生しても、もう一回だけ鉗子栓50を口金20に装着することができる。これにより、未使用の鉗子栓50が無駄になることが防止される。
【0059】
また、鉗子栓50は、口金20から3回目に取り外されたときに、第3脆弱部55が破断することにより第3係合爪53が栓本体51から切り離される。その結果、フランジ25に係合可能な係合爪が無くなるので、口金20に装着することができなくなり、再使用が不可能となる。
【0060】
なお、鉗子栓は口金に4回以上装着可能であってもよい。例えば、N(Nは3以上の自然数)回装着可能な鉗子栓には、口金20の挿入方向に沿って第1係合爪、第1脆弱部、第2係合爪、第2脆弱部・・・・、第N係合爪、第N脆弱部が設けられている。第N脆弱部は第1〜第(N−1)脆弱部よりも高い強度を有している。これにより、口金20にN回装着可能となる。
【0061】
[第2実施形態]
次に、図13を用いて本発明の第2実施形態の鉗子栓60について説明を行う。上記第1実施形態の鉗子栓21は、2回目の口金20からの取り外しの際に第2脆弱部46が破断することで口金20への3回目の装着が不可能になる。これに対して、鉗子栓60では栓本体61に第2係合爪62を形成することにより、口金20への3回目の装着を不可能にしている。
【0062】
なお、鉗子栓60は、第2脆弱部46の代わりに第2係合爪62を備える点を除けば、第1実施形態の鉗子栓21と基本的に同じ構成であり、鉗子栓21と機能・構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0063】
第2係合爪62は、第1実施形態の第2係合爪36と同形状である。ただし、この第2係合爪62は、第1脆弱部45よりは強度が高いが、栓本体61よりは強度の低い材料で形成されている。このため、第2係合爪62は、鉗子栓60の1回目の装着後に栓本体61が引っ張り操作されたときに第1脆弱部45よりも先に破断することはない。また、第2係合爪62は、フランジ25との係合後に栓本体61が1回目の取り外し時よりも強い力で引っ張り操作されたときに破断する。
【0064】
次に、上記構成の鉗子栓60の口金20からの取り外し方法について説明を行う。なお、鉗子栓60を口金20に2回装着するまでの処理の流れは上記第1実施形態と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0065】
図14に示すように、内視鏡検査及び処置が終了した後、鉗子栓60を口金20から取り外すために、栓本体61が手前方向に引っ張り操作される。このとき、第2係合爪62がフランジ25に引っ掛かることにより、第2係合爪62の手前方向側への移動が規制される。
【0066】
図15に示すように、引っ張り操作の力をさらに強めると、この力に第2係合爪62が耐えられなくなり破断することで、第2係合爪62が破壊されてしまう。このため、鉗子栓60には口金20のフランジ25に係合可能な係合爪が残っていないので、鉗子栓60を口金20に再度装着することはできない。その結果、鉗子栓60の口金20への3回目の装着は不可能となる。第1実施形態と同様に、鉗子栓60は口金20に2回装着可能であるので、第1実施形態で説明した効果と同様の効果が得られる。
【0067】
上記第2実施形態では、第2係合爪62の全体が第1脆弱部45よりは強度が高いが栓本体61よりは強度の低い材料で形成されているが、第2係合爪62の一部を同材料で形成してもよい。また、第2係合爪62の少なくとも一部を薄肉に形成することで、栓本体61よりも強度が低くなるようにしてもよい。
【0068】
また、上記第2実施形態では、第2係合爪62が栓本体61よりも強度の低い材料で形成されているが、第1係合爪34についても栓本体61よりも強度の低い材料で形成してもよい。
【0069】
[第3実施形態]
次に、図16ないし図18を用いて本発明の第3実施形態の鉗子栓65について説明を行う。上記第1実施形態の鉗子栓21は、2回目の口金20への装着後に栓本体29が手前方向に引っ張り操作されることで、図11に示したように第2係合爪36を口金20に残した状態で口金20から取り外される。これに対して、鉗子栓65は、2回目の口金20への装着後に栓本体66及び第2係合爪36の少なくとも一部を破壊することにより、第2係合爪36を口金20に残すことなく口金20から取り外される。
【0070】
鉗子栓65は、基本的には第1実施形態の鉗子栓21と同じ構成である。ただし、栓本体66には、第2脆弱部46の代わりに破壊操作部67が設けられている。なお、第1実施形態の鉗子栓21と機能・構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0071】
破壊操作部67は、鉗子栓65の口金20からの2回目の取り外しを行う際に、栓本体66及び第2係合爪36の一部を破壊して第2係合爪36とフランジ25との係合を解除可能にするために操作される。破壊操作部67は、つまみ69と、第1破壊操作用脆弱部70と、第2破壊操作用脆弱部71とを有している。
【0072】
つまみ69は、栓本体66の外周面上でかつ第2係合爪36よりも挿入方向奥側に設けられており、略舌片形状を有している。つまみ69は、鉗子栓65の口金20からの2回目の取り外しを行う際に、栓本体66の中心軸から外周側に向かう半径方向(以下、単に半径方向という)に向けて引っ張り操作(破壊操作)される。
【0073】
第1〜第2破壊操作用脆弱部70,71は栓本体66に形成されている。第1〜第2破壊操作用脆弱部70,71は、つまみ69が引っ張り操作されたときに、栓本体66における、つまみ69と第1脆弱部45との間に位置する部分(以下、破断予定部分という)66aが栓本体66から分離するように破断する。このため、第1〜第2破壊操作用脆弱部70,71は、栓本体66の他の部分よりは強度が低くなるような材料で形成されている。
【0074】
第1破壊操作用脆弱部70は、つまみ69の図16及び図17中の上方位置で、且つつまみ69の上面に沿って形成されている。また、第1破壊操作用脆弱部70は、栓本体66の外周面から内周面まで達するように形成されている。
【0075】
第2破壊操作用脆弱部71は、つまみ69の図17及び図18中の両側方位置(具体的には第1破壊操作用脆弱部70の両端部)からそれぞれ第1脆弱部45まで延びた形状を有している。また、各第2破壊操作用脆弱部71は、栓本体66の外周面から内周面及び第2係合爪36まで達するように形成されている。
【0076】
次に、上記構成の鉗子栓65の口金20からの取り外し方法について説明を行う。なお、鉗子栓65を口金20に2回装着するまでの処理の流れは上記第1実施形態と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0077】
図19に示すように、内視鏡検査及び処置が終了した後、口金20からの鉗子栓65の取り外しが開始される。具体的にはつまみ69が半径方向に引っ張られる。引っ張り操作の力をさらに強めると、この力に第1〜第2破壊操作用脆弱部70,71が耐えられなくなり破断する。これにより、図20に示すように、破断予定部分66aが栓本体66から分離する。
【0078】
図21に示すように、栓本体66から破断予定部分66aが分離すると、第2係合爪36及びその周囲の栓本体66は、略環形状から略C字形状となる。第2係合爪36及びその周囲の栓本体66は、略環形状の状態では力を加えても変形し難いが、略C字形状の状態では力を加えることで切れ目部分66bが拡がるように拡径変形し易くなる。その結果、第2係合爪36とフランジ25との係合解除が可能になる。
【0079】
図22に示すように、栓本体66に対して手前方向に引っ張り操作がなされると、第2係合爪36及びその周囲の栓本体66が拡径変形することで、第2係合爪36とフランジ25との係合が解除される。これにより、鉗子栓65が口金20から取り外される。口金20から2回取り外された鉗子栓65には、先に破壊されたC字形状の第2係合爪36だけが残っている。この第2係合爪36では鉗子栓65を口金20に固定することができず、鉗子栓65がぐらついてしまう。その結果、鉗子栓65の口金20への3回目の装着は実質的に不可能となる。
【0080】
鉗子栓65は、第1実施形態と同様に口金20に2回装着可能であるので、第1実施形態で説明した効果と同様の効果が得られる。第2係合爪36を口金20に残すことなく鉗子栓65を取り外すことができるので、ユーザが口金20から第2係合爪36を除去する手間を省くことができる。
【0081】
上記第3実施形態の第1〜第2破壊操作用脆弱部70,71は、栓本体66よりは強度が低くなるような材料で形成されているが、例えば切り欠き溝などにより栓本体66の他の部分よりも薄肉に形成してもよい。また、第1〜第2破壊操作用脆弱部70,71は、第2係合爪36をフランジ25との係合が解除可能な状態まで破壊可能であれば、形状を適宜変更してもよい。
【0082】
上記第3実施形態の破壊操作部67は、つまみ69に対する引っ張り操作により第2係合爪36の一部を栓本体66から分離させているが、第2係合爪36の全てを栓本体66から分離させるようにしてもよい。この場合には、例えば図23に示すように、破壊操作部67の代わりに、破壊操作部75を栓本体66に設ける。
【0083】
破壊操作部75は、第1破壊操作用脆弱部77と、第2破壊操作用脆弱部78と、つまみ79とを有している。第1破壊操作用脆弱部77は、栓本体66の外周面上でかつ第2係合爪36よりも挿入方向奥側に設けられている。この第1破壊操作用脆弱部77は、栓本体66の外周面の周方向に沿って環状に形成されており、栓本体66の他の部分よりも薄肉化されている。
【0084】
第2破壊操作用脆弱部78は、栓本体66の外周面上でかつ第1脆弱部45と第1破壊操作用脆弱部77との間に設けられている。この第2破壊操作用脆弱部78は、栓本体66の軸方向に長く延びており、第1破壊操作用脆弱部77と同様に薄肉化されている。第2破壊操作用脆弱部78の一端は第1破壊操作用脆弱部77に達し、他端は第1脆弱部45に達している。第1〜第2破壊操作用脆弱部77,78は、第1〜第2破壊操作用脆弱部70,71と同様に、栓本体66よりも強度が低くなる。
【0085】
つまみ79は、栓本体66の外周面上でかつ第1破壊操作用脆弱部77と第1脆弱部45との間の位置、より具体的には第2破壊操作用脆弱部78の近傍に設けられている。つまみ79は、鉗子栓65の2回目の取り外しを行う際に半径方向に向けて引っ張り操作(破壊操作)される。
【0086】
図24に示すように、つまみ79が引っ張り操作されると、第1破壊操作用脆弱部77と第2破壊操作用脆弱部78が破断する。これにより、図25に示すように、第2係合爪36及びその周囲の栓本体66の端部が栓本体66から分離されるので、第2係合爪36とフランジ25との係合が解除される。その結果、口金20からの鉗子栓65の取り外しが可能となる。この鉗子栓65には口金20のフランジ25に係合可能な係合爪が残っていないので、鉗子栓65の口金20への3回目の装着は不可能となる。
【0087】
なお、破壊操作部は、図17や図23などに示した実施形態に限定されず、第2係合爪36をフランジ25との係合が解除可能な状態まで破壊可能であれば、その構成・形状などを適宜変更してもよい。この場合には、引っ張り操作以外の各種破壊操作により第2係合爪36の少なくとも一部を破壊するようにしてもよい。
【0088】
また、上記第3実施形態では、2回目の鉗子栓65の取り外しを行う際に、栓本体66の一部を破壊しているが、破壊操作部の形状を変えることにより栓本体66の全体を破壊するようにしてもよい。さらに、鉗子栓65に第1係合爪34及び第1脆弱部45を設ける代わりに、第2実施形態の第2係合爪62と同じように破壊可能な第1係合爪を設けてもよい。
【0089】
[第4実施形態]
次に、図26及び図27を用いて本発明の第4実施形態の鉗子栓85について説明を行う。上記第3実施形態の鉗子栓65は、1回目の口金20からの取り外しの際には、第1実施形態の鉗子栓21と同様に第1係合爪34を口金20に残した状態で口金20から取り外される。これに対して、鉗子栓85は、1回目の口金20からの取り外しの際にも、第1係合爪34を口金20に残すことなく口金20から取り外される。
【0090】
鉗子栓85は、基本的には第3実施形態の鉗子栓65と同じ構成である。ただし、鉗子栓85の栓本体86には、破壊操作部87と脆弱部88とが設けられている。なお、第1〜第3実施形態の鉗子栓と機能・構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0091】
破壊操作部87は、鉗子栓85の口金20からの1回目の取り外しを行う際に、栓本体86及び第1係合爪34の一部を破壊して第1係合爪34とフランジ25との係合を解除可能するために操作される。破壊操作部87は、破壊操作部67と基本的には同じ構成であり、つまみ89と、第1破壊操作用脆弱部90と、第2破壊操作用脆弱部91とを有している。
【0092】
つまみ89は、栓本体86の外周面上でかつ第1係合爪34と第1脆弱部45との間の位置に設けられている。つまみ89は、鉗子栓85の口金20からの1回目の取り外しを行う際に、半径方向に向けて引っ張り操作(破壊操作)される。
【0093】
第1〜第2破壊操作用脆弱部90,91は、つまみ89が引っ張り操作されたときに、栓本体86における、つまみ89と口金挿入口32a側の端面との間の破断予定部分86aが栓本体86から分離するように破断する。第1〜第2破壊操作用脆弱部90,91は、少なくとも栓本体86よりは強度が低くなるように形成されている。
【0094】
第1破壊操作用脆弱部90は、つまみ89の図中上方に設けられている点を除けば、第1破壊操作用脆弱部70と同じものである。第2破壊操作用脆弱部91は、基本的には第2破壊操作用脆弱部71と同じものであり、第1破壊操作用脆弱部90の両端部からそれぞれ栓本体86の口金挿入口32a側の端面まで延びている。
【0095】
脆弱部88は、第1実施形態の第1脆弱部45と基本的には同じものである。この脆弱部88は、鉗子栓85の1回目の取り外し後にユーザからの破断操作を受けることで、第1係合爪34が栓本体86から分離されるように破断する。
【0096】
次に、上記構成の鉗子栓85の口金20からの取り外し方法について説明を行う。なお、鉗子栓85を口金20に1回目に装着するまでの処理の流れは上記第1実施形態と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0097】
例えば、処置に使用する処置具14に対応していない鉗子栓85を誤って口金20に装着した場合には、図28に示すようにつまみ89が半径方向に引っ張られる。この引っ張り操作の力をさらに強めると、第1〜第2破壊操作用脆弱部90,91が破断する。これにより、破断予定部分86aが栓本体86から分離する。
【0098】
図29に示すように、栓本体86から破断予定部分86aが分離すると、第1係合爪34及びその周囲の栓本体86は、図21に示した第3実施形態の第2係合爪36と同様に略C字形状となる。このため、第1係合爪34等は、栓本体86に対して手前方向の力を加えたときに拡径変形し易くなる。その結果、第1係合爪34とフランジ25との係合解除が可能になる。
【0099】
図30に示すように、栓本体86に対して手前方向に引っ張り操作がなされると、第1係合爪34及びその周囲の栓本体86が拡径変形して、第1係合爪34とフランジ25との係合が解除される。これにより、鉗子栓85が口金20から取り外される。
【0100】
次いで、図31に示すように、栓本体86対して脆弱部88で破断するように破断操作が行われると、先に一部が破壊された第1係合爪34が栓本体86から分離される。これにより、挿入穴32の図中下端側が口金20を挿入可能な口金挿入口32cとして開放される。
【0101】
図32に示すように、栓本体86の内周面にはフランジ25に係合可能な第2係合爪36が残っているので、鉗子栓85をもう1回だけ口金20に装着することができる。これにより、第1実施形態と同様に、装着ミス等で口金20から取り外した未使用の鉗子栓85を破棄する必要がなくなる。なお、鉗子栓85の口金20からの2回目の取り外し処理は、第3実施形態と基本的に同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0102】
上記第4実施形態の第1〜第2破壊操作用脆弱部90,91は、栓本体86より強度の低い材料で形成されているが、例えば、切り欠き溝などにより栓本体86の他の部分よりも薄肉に形成してもよい。また、第1〜第2破壊操作用脆弱部90,91は、第1係合爪34をフランジ25との係合が解除可能な状態まで破壊可能であれば、形状を適宜変更してもよい。この場合には、引っ張り操作以外の各種破壊操作により第1係合爪34の少なくとも一部を破壊してもよい。
【0103】
また、破壊操作部87は、図26や図27などに示した実施形態に限定されず、第1係合爪34をフランジ25との係合が解除可能な状態まで破壊可能であれば、その構成・形状などを適宜変更してもよい。例えば、破壊操作部を、図23に示した破壊操作部75と同じような構成にしてもよい。
【0104】
上記第2〜第4実施形態では、口金20に2回装着可能な鉗子栓について説明したが、鉗子栓にさらに1以上の係合爪と、脆弱部及び/又は破壊操作部とを設けることにより、口金20に3回以上装着可能にしてもよい。この場合の鉗子栓の構造は、図12に示した鉗子栓50と基本的に同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0105】
上記第1実施形態では第1脆弱部45が内周溝45a及び外周溝45bにより形成され、さらに第1実施形態の第2脆弱部46が外周溝46aにより形成されているが、第1〜第2脆弱部が内周溝及び外周溝の少なくともいずれか一方により形成されていてもよい。なお、他の実施形態の第1脆弱部45や脆弱部88についても同様である。
【0106】
上記第1実施形態では、栓本体29に薄肉の1〜第2脆弱部45,46を形成しているが、第1〜第2脆弱部45,46を栓本体29の他の部分よりも強度が低く破断しやすい材料で形成してもよい。なお、他の実施形態の第1脆弱部45や脆弱部88についても同様である。
【0107】
上記各実施形態では、鉗子口17に設けられた口金20に装着される鉗子栓を例に挙げて説明を行ったが、鉗子口17の開口部に直に装着される鉗子栓に対しても本発明を適用することができる。
【0108】
上記各実施形態では、フランジ25などの口金20の外周面に係合する鉗子栓の係合部として、環状の係合爪を例に挙げて説明を行ったが、口金20の外周面に係合であれば係合部の形状、数などは特に限定はされない。
【0109】
上記各実施形態では、鉗子口17に装着される鉗子栓を例に挙げて説明を行ったが、例えば吸引チャンネル、送気送水チャンネルなどの内視鏡10の内部に配設される各種のチャンネルや管路に通じる口部に装着される各種の栓に本発明を適用することができる。
【0110】
上記実施形態では、気管に挿入する内視鏡10を例に挙げて説明を行ったが、例えば大腸に挿入される大腸内視鏡等の各種医療用内視鏡や、工業用途などの他の用途に使用される内視鏡などにも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0111】
10 内視鏡
20 口金
21,21a,21b,50,60,65,85 鉗子栓
25 フランジ
29,29a,51,61,66,86 栓本体
32 挿入穴
34 第1係合爪
36,62 第2係合爪
45 第1脆弱部
46 第2脆弱部
67,75,87 破壊操作部
88 脆弱部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の内部に挿通されたチャンネルに通じるように前記内視鏡に設けられた略筒状の口部に装着される栓において、
前記口部が挿入される挿入穴を有する筒状の栓本体と、
前記栓本体の内周面に設けられており、かつ前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第1係合部と、
前記第1係合部よりも前記口部の挿入方向奥側に位置するように前記栓本体に形成されており、前記第1係合部と前記口部の係合後に前記栓本体が前記口部の手前側に引っ張り操作されたときに、前記第1係合部が前記栓本体から切り離されるように破断する第1脆弱部と、
前記第1脆弱部よりも前記挿入方向奥側に位置するように前記栓本体の内周面に設けられており、前記第1脆弱部の破断後に前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第2係合部と、
前記第2係合部よりも前記挿入方向奥側に位置するように前記栓本体に形成された第2脆弱部であって、前記第1脆弱部よりも高い強度を有しており、前記第2係合部と前記口部の係合後に前記栓本体が前記引っ張り操作されたときに、前記第2係合部が前記栓本体から切り離されるように破断する第2脆弱部と、
を備えることを特徴とする栓。
【請求項2】
前記第1脆弱部は、前記栓本体の内周面に設けられた環状の内周溝と、前記栓本体の外周面に設けられた環状の外周溝とにより形成されており、
前記第2脆弱部は、前記栓本体の外周面に設けられた環状の外周溝により形成されることを特徴とする請求項1記載の栓。
【請求項3】
内視鏡の内部に挿通されたチャンネルに通じるように前記内視鏡に設けられた略筒状の口部に装着される栓において、
前記口部が挿入される挿入穴を有する筒状の栓本体と、
前記栓本体の内周面に設けられており、かつ前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第1係合部と、
前記第1係合部よりも前記口部の挿入方向奥側に位置するように前記栓本体に形成されており、前記第1係合部と前記口部の係合後に前記栓本体が前記口部の手前側に引っ張り操作されたときに、前記第1係合部が前記栓本体から切り離されるように破断する脆弱部と、
前記脆弱部よりも前記挿入方向奥側に位置するように前記栓本体の内周面に設けられており、前記脆弱部の破断後に前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第2係合部であって、その少なくとも一部が前記栓本体よりも強度が低くなるように形成されている第2係合部と、を備え、
前記第2係合部は、前記口部の外周面との係合後に前記栓本体が前記引っ張り操作されたときに破壊されることを特徴とする栓。
【請求項4】
前記第2係合部の少なくとも一部が前記栓本体よりも強度の低い材料で形成されていることを特徴とする請求項3記載の栓。
【請求項5】
内視鏡の内部に挿通されたチャンネルに通じるように前記内視鏡に設けられた略筒状の口部に装着される栓において、
前記口部が挿入される挿入穴を有する筒状の栓本体と、
前記栓本体の内周面に設けられており、かつ前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第1係合部と、
前記第1係合部よりも前記口部の挿入方向奥側に位置するように前記栓本体に形成されており、前記第1係合部と前記口部の係合後に前記栓本体が前記口部の手前側に引っ張り操作されたときに、前記第1係合部が前記栓本体から切り離されるように破断する脆弱部と、
前記脆弱部よりも前記挿入方向奥側に位置するように前記栓本体の内周面に設けられており、前記脆弱部の破断後に前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第2係合部であって、前記外周面との係合を解除するための破壊操作を受けたときに破壊される第2係合部と、
を備えることを特徴とする栓。
【請求項6】
前記第2係合部は、その少なくとも一部が前記栓本体から分離可能に形成されており、前記破壊操作を受けたときに前記少なくとも一部が前記栓本体から分離されることを特徴とする請求項5記載の栓。
【請求項7】
内視鏡の内部に挿通されたチャンネルに通じるように前記内視鏡に設けられた略筒状の口部に装着される栓において、
前記口部が挿入される挿入穴を有する筒状の栓本体と、
前記栓本体の内周面に設けられており、かつ前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第1係合部であって、前記外周面との係合を解除するための破壊操作を受けたときに破壊される第1係合部と、
前記第1係合部よりも前記口部の挿入方向奥側に位置するように前記栓本体に形成された脆弱部であって、前記破壊操作により破壊された前記第1係合部が前記栓本体から切り離されるように破断可能な脆弱部と、
前記脆弱部よりも前記挿入方向奥側に位置するように前記栓本体の内周面に設けられており、かつ前記脆弱部の破断後に前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第2係合部であって、前記外周面との係合を解除するための破壊操作を受けたときに破壊される第2係合部と、
を備えることを特徴とする栓。
【請求項8】
前記第1係合部及び前記第2係合部はそれぞれの少なくとも一部が前記栓本体から分離可能に形成されており、
前記第1係合部及び前記第2係合部は、それぞれ前記破壊操作を受けたときに前記少なくとも一部が前記栓本体から分離されることを特徴とする請求項7記載の栓。
【請求項9】
前記脆弱部は、前記栓本体の内周面に設けられた環状の内周溝と、前記栓本体の外周面に設けられた環状の外周溝との少なくともいずれか一方により形成されることを特徴とする請求項3ないし8いずれか1項記載の栓。
【請求項10】
前記第1係合部及び第2係合部は、前記口部の外周面に設けられたフランジにそれぞれ係合する第1係合爪、第2係合爪であることを特徴とする請求項1ないし9いずれか1項記載の栓。
【請求項11】
前記第1係合爪及び第2係合爪は、前記栓本体の内周面の周方向に沿って環状に形成されていることを特徴とする請求項10記載の栓。
【請求項12】
被検体内に挿入される挿入部と、
前記挿入部の基端部に接続された操作部と、
前記操作部内に設けられたチャンネルであって、挿入部の先端に設けられた開口に連通するチャンネルと、
前記操作部の外表面に設けられており、前記チャンネルに通じる筒状の口部と、
前記口部に装着される請求項1ないし11いずれか1項記載の栓と、
を備えることを特徴とする内視鏡。
【請求項1】
内視鏡の内部に挿通されたチャンネルに通じるように前記内視鏡に設けられた略筒状の口部に装着される栓において、
前記口部が挿入される挿入穴を有する筒状の栓本体と、
前記栓本体の内周面に設けられており、かつ前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第1係合部と、
前記第1係合部よりも前記口部の挿入方向奥側に位置するように前記栓本体に形成されており、前記第1係合部と前記口部の係合後に前記栓本体が前記口部の手前側に引っ張り操作されたときに、前記第1係合部が前記栓本体から切り離されるように破断する第1脆弱部と、
前記第1脆弱部よりも前記挿入方向奥側に位置するように前記栓本体の内周面に設けられており、前記第1脆弱部の破断後に前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第2係合部と、
前記第2係合部よりも前記挿入方向奥側に位置するように前記栓本体に形成された第2脆弱部であって、前記第1脆弱部よりも高い強度を有しており、前記第2係合部と前記口部の係合後に前記栓本体が前記引っ張り操作されたときに、前記第2係合部が前記栓本体から切り離されるように破断する第2脆弱部と、
を備えることを特徴とする栓。
【請求項2】
前記第1脆弱部は、前記栓本体の内周面に設けられた環状の内周溝と、前記栓本体の外周面に設けられた環状の外周溝とにより形成されており、
前記第2脆弱部は、前記栓本体の外周面に設けられた環状の外周溝により形成されることを特徴とする請求項1記載の栓。
【請求項3】
内視鏡の内部に挿通されたチャンネルに通じるように前記内視鏡に設けられた略筒状の口部に装着される栓において、
前記口部が挿入される挿入穴を有する筒状の栓本体と、
前記栓本体の内周面に設けられており、かつ前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第1係合部と、
前記第1係合部よりも前記口部の挿入方向奥側に位置するように前記栓本体に形成されており、前記第1係合部と前記口部の係合後に前記栓本体が前記口部の手前側に引っ張り操作されたときに、前記第1係合部が前記栓本体から切り離されるように破断する脆弱部と、
前記脆弱部よりも前記挿入方向奥側に位置するように前記栓本体の内周面に設けられており、前記脆弱部の破断後に前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第2係合部であって、その少なくとも一部が前記栓本体よりも強度が低くなるように形成されている第2係合部と、を備え、
前記第2係合部は、前記口部の外周面との係合後に前記栓本体が前記引っ張り操作されたときに破壊されることを特徴とする栓。
【請求項4】
前記第2係合部の少なくとも一部が前記栓本体よりも強度の低い材料で形成されていることを特徴とする請求項3記載の栓。
【請求項5】
内視鏡の内部に挿通されたチャンネルに通じるように前記内視鏡に設けられた略筒状の口部に装着される栓において、
前記口部が挿入される挿入穴を有する筒状の栓本体と、
前記栓本体の内周面に設けられており、かつ前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第1係合部と、
前記第1係合部よりも前記口部の挿入方向奥側に位置するように前記栓本体に形成されており、前記第1係合部と前記口部の係合後に前記栓本体が前記口部の手前側に引っ張り操作されたときに、前記第1係合部が前記栓本体から切り離されるように破断する脆弱部と、
前記脆弱部よりも前記挿入方向奥側に位置するように前記栓本体の内周面に設けられており、前記脆弱部の破断後に前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第2係合部であって、前記外周面との係合を解除するための破壊操作を受けたときに破壊される第2係合部と、
を備えることを特徴とする栓。
【請求項6】
前記第2係合部は、その少なくとも一部が前記栓本体から分離可能に形成されており、前記破壊操作を受けたときに前記少なくとも一部が前記栓本体から分離されることを特徴とする請求項5記載の栓。
【請求項7】
内視鏡の内部に挿通されたチャンネルに通じるように前記内視鏡に設けられた略筒状の口部に装着される栓において、
前記口部が挿入される挿入穴を有する筒状の栓本体と、
前記栓本体の内周面に設けられており、かつ前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第1係合部であって、前記外周面との係合を解除するための破壊操作を受けたときに破壊される第1係合部と、
前記第1係合部よりも前記口部の挿入方向奥側に位置するように前記栓本体に形成された脆弱部であって、前記破壊操作により破壊された前記第1係合部が前記栓本体から切り離されるように破断可能な脆弱部と、
前記脆弱部よりも前記挿入方向奥側に位置するように前記栓本体の内周面に設けられており、かつ前記脆弱部の破断後に前記挿入穴に挿入された前記口部の外周面に係合する第2係合部であって、前記外周面との係合を解除するための破壊操作を受けたときに破壊される第2係合部と、
を備えることを特徴とする栓。
【請求項8】
前記第1係合部及び前記第2係合部はそれぞれの少なくとも一部が前記栓本体から分離可能に形成されており、
前記第1係合部及び前記第2係合部は、それぞれ前記破壊操作を受けたときに前記少なくとも一部が前記栓本体から分離されることを特徴とする請求項7記載の栓。
【請求項9】
前記脆弱部は、前記栓本体の内周面に設けられた環状の内周溝と、前記栓本体の外周面に設けられた環状の外周溝との少なくともいずれか一方により形成されることを特徴とする請求項3ないし8いずれか1項記載の栓。
【請求項10】
前記第1係合部及び第2係合部は、前記口部の外周面に設けられたフランジにそれぞれ係合する第1係合爪、第2係合爪であることを特徴とする請求項1ないし9いずれか1項記載の栓。
【請求項11】
前記第1係合爪及び第2係合爪は、前記栓本体の内周面の周方向に沿って環状に形成されていることを特徴とする請求項10記載の栓。
【請求項12】
被検体内に挿入される挿入部と、
前記挿入部の基端部に接続された操作部と、
前記操作部内に設けられたチャンネルであって、挿入部の先端に設けられた開口に連通するチャンネルと、
前記操作部の外表面に設けられており、前記チャンネルに通じる筒状の口部と、
前記口部に装着される請求項1ないし11いずれか1項記載の栓と、
を備えることを特徴とする内視鏡。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
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【図17】
【図18】
【図19】
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【図21】
【図22】
【図23】
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【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2013−85746(P2013−85746A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229568(P2011−229568)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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